説明

地図表示方法およびそれに用いる携帯情報端末装置

【課題】一般的な紙地図を使用したとしても紙地図と携帯情報端末装置で表示している地図とを容易に関連付けすることができ、携帯情報端末装置の表示地図から得られない広域情報については紙地図から容易に得ることができるようにした地図表示方法およびそれに使用する携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】ステップS1で自己位置投影機能を作動させ、ステップS2で紙地図13の上方部に携帯情報端末装置を配置し、続くステップS3で携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと一致する紙地図13上の位置を決定し、ステップS4で警報音などでこの一致を使用者に知らせ、ステップS5で自己位置投光部10から紙地図13に向けて投光すると、表示部12aの自己位置に対応して紙地図13上に自己位置を投影し、その周辺の広域情報を紙地図13から黙視で容易に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙に印刷した紙地図と携帯情報端末装置内蔵の電子地図データとを関連付けて使用する地図表示方法およびそれに用いる携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、登山地図や観光案内地図等の多くは紙に印刷した紙地図が使用されており、この紙地図は、広域地図が表示できるため、例えば、登山用の場合には登山ルート等の設定が容易に行えるという利点がある。しかし、地図自体が大きいため折り畳んだ状態で携帯する必要があり、それを見る必要が生じる度に折り畳んだ紙地図を広げなければならず、見るのに手間がかかるという欠点がある。これに対して、最近普及している携帯情報端末装置は、パーソナルコンピュータに接続して電子地図データをダウンロードしたり、予め電子地図データを記憶させたメモリカード等の記録媒体を装着することにより、その画面上に地図を表示できるようになっており、またGPS機能が付いた携帯情報端末装置では、画面表示された地図上に現在の自己位置を表示することができ、携帯性および取り扱い性に優れている。
【0003】
一般的に、上述した携帯情報端末装置は、携帯性の点から液晶表示部の大きさが限られてしまうため、広域地図を表示部に表示した場合、画面が小さ過ぎて登山ルートや観光ルートを設定することは困難であり、一方、表示部に表示した地図を拡大してしまうと地図全体からの広域情報を得ることができなくなってしまう。そこで本発明者は、紙地図としては複数の縦横線によって升目状に区画した複数の区画部を形成したものを使用し、一方、携帯情報端末装置としてはGPS受信信号と、このGPS受信信号から得られる緯度経度情報などと内蔵した電子地図データおよび紙地図の各区画部毎に設定したアドレスとを関連付けて記憶させ、表示部の地図上に自己位置を表示すると共に、現在の自己位置に対応する区画部のアドレスをアドレス表示部に表示するようにしたものを提案した(特許文献1を参照)。このような紙地図と携帯情報端末装置とを併用すれば、携帯情報端末装置のアドレス表示部に表示されたアドレスと、紙地図の区画部とを対応させることができ、携帯情報端末装置の表示部から得られない広域情報については紙地図を使用して入手できるようになった。
【特許文献1】特開2006−259288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した携帯情報端末装置では、升目状に区画した複数の区画部を有する専用の紙地図を使用し、必ず、これに対応した携帯情報端末装置を使用しなければならず、一般的な紙地図を使用することができない。
【0005】
そこで本発明の目的は、一般的な紙地図を使用したとしても紙地図と携帯情報端末装置で表示している部分地図とを容易に関連付けすることができ、携帯情報端末装置の表示地図から得られない広域情報については紙地図から容易に得ることができるようにした地図表示方法およびそれに用いる携帯情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地図表示方法は、電子地図データに基づいて表示部に表示した地図画像上にGPS受信信号に基づく自己位置を表示可能な携帯情報端末装置と、広域地図情報を記載した紙地図とを用いた地図表示方法において、前記表示部に表示した地図画像と前記紙地図の部分地図とが対応するように前記携帯情報端末装置を前記紙地図の上方部に配置すると共に、前記表示部に表示した地図画像と前記紙地図の部分地図とが対応したとき、前記表示部に表示した前記自己位置に対応する位置から前記紙地図上へ投光して前記自己位置を投影したことを特徴とする。
更に請求項2の記載の本発明は、上記紙地図は、載置台上に固定されているものとした請求項1の地図表示方法を開示する。
【0007】
また請求項3に記載の本発明による携帯情報端末装置は、電子地図データに基づいて表示部に表示した地図画像上にGPS受信信号に基づく自己位置を表示可能な携帯情報端末装置において、前記表示部に表示した前記自己位置に対応する位置から投光する自己位置投光部を設け、この自己位置投光部は、前記表示部に表示した地図画像と広域地図情報を記載した紙地図の部分地図とが対応するように前記紙地図の上方部に配置したとき、上記紙地図上へ投光して自己位置を投影するよう構成したことを特徴とする。
【0008】
また請求項4に記載の本発明による携帯情報端末装置は、請求項3に記載した携帯情報端末装置において、前記紙地図の部分地図画像データを取り込む光学レンズ部と、この光学レンズ部から取り込んだ部分地図画像データと前記表示部に表示した地図画像データとが一致することを検出する画像処理部と、この画像処理部での一致検出後に前記自己位置投光部が作動するようにしたことを特徴とする。
【0009】
さらに請求項5に記載の本発明による携帯情報端末装置は、請求項3に記載した携帯情報端末装置において、前記紙地図としては、地図情報の上に複数の縦横線によって複数の区画部に区分したものを使用し、各区画部毎にそれぞれ異なるアドレスを付けると共に、前記GPS受信信号に基づいて前記自己位置がどの前記区画部に位置するかを算出してその前記アドレスを表示するアドレス表示部を設けたことを特徴とする。
更に請求項6の記載の本発明は、上記紙地図は、載置台上に固定されているものとした請求項2〜5のいずれかの携帯情報端末装置を開示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の地図表示方法によれば、携帯情報端末装置によって入手した正確な自己位置を紙地図上に投影することができ、もともと紙地図上に印刷された広範囲な地図情報と自己位置との位置関係が明らかになる。このため、携帯情報端末装置における表示部の画面の大きさが限られていても、正確な自己位置と、その周囲に遠望する山や川等の名称や地名など表示画面からは同時に入手することができなかった広域情報を紙地図から黙視により容易に得ることができるようになり、このようにして、携帯情報端末装置と紙地図のそれぞれの利点を生かすことが可能となる。
【0011】
また請求項3に記載の本発明による携帯情報端末装置によれば、携帯情報端末装置によって入手した自己位置を自己位置投光部から紙地図上に投影することができ、もともと紙地図上に印刷された広範囲な地図情報とこの自己位置との位置関係が明らかになる。このため、携帯情報端末装置における表示部の画面の大きさが限られていても、正確な自己位置を示した投影部と、その周囲に遠望する山や川等の名称や地名など表示画面からは同時に入手することができなかった広域情報を、紙地図から黙視により同時にかつ容易に得ることができるようになり、このようにして、携帯情報端末装置と紙地図のそれぞれの利点を生かすことが可能となる。
【0012】
また請求項4に記載の本発明による携帯情報端末装置によれば、紙地図から取り込んだ部分地図画像データと、表示部に表示した地図画像データとを比較することによって、両者が一致する携帯情報端末装置と紙地図との相対的な位置関係を得ることができ、このときの位置関係を保持しながら自己位置投光部から紙地図上に自己位置を投影することができる。
【0013】
さらに請求項5に記載の本発明による携帯情報端末装置によれば、アドレス表示部を有する携帯情報端末装置と、複数の区画部に区分した紙地図とを使用することにより、両者が一致する携帯情報端末装置と紙地図との大凡の相対的な位置関係を簡単に特定することができ、その後、この特定化された区画部内で携帯情報端末装置と紙地図との詳細な位置関係を特定すればよいので、この作業をより短時間に完了させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明の一実施の形態による携帯情報端末装置を示す正面図である。
この携帯情報端末装置は、本体11の前面側に配置した液晶表示の表示部12aや一般的な種々の操作釦から成る操作部12bを有して構成されており、表示部12aには、詳細を後述する内蔵の電子地図データに基づいて地図を表示する他に、GPS受信信号から算出した自己位置をその中心部付近の定まった位置に表示する矢印12dと、詳細を後述するアドレス表示部12cとを有している。その他にも本体11や表示部12aには種々の操作釦やキーなどが構成されているが、本発明と直接関係ない部分については説明を省略する。
【0015】
特に、この携帯情報端末装置には、GPS信号受信機能、電子地図表示機能、自己位置表示機能、自己位置投影機能、これら各機能のためにそれぞれ演算処理を行う計算機能などが付加されている。GPS信号受信機能、電子地図表示機能および自己位置表示機能を開始させる操作は一般的に知られており、例えば、自己位置表示機能は表示部12aに設けた自己位置表示用キー12eにタッチすることによって作動する。その他の機能も同様の操作によって作動を開始するが、自己位置投影機能は、GPS受信信号に基づいて自己位置を表示部12aの地図上に表示させた状態で作動して、携帯情報端末装置と紙地図との所定の対応関係を確保した後、この自己位置を紙地図上に投影するもので、表示部12aに設けた自己位置投影用キー12fにタッチすることによって作動するようにしている。ここでは、これらのキー12e,12fを表示部12aに表示したものとして示したが、一般的なメニュー画面から表示させるようにしたり、その他の操作釦に割り付けるなどしても良い。
【0016】
さらに、この携帯情報端末装置に付加された各機能については図1のブロック構成図を用いて説明する。
GPS信号受信機能は、GPS信号を受信するGPS信号受信アンテナ1と、このGPS信号受信アンテナ1での受信信号から所定バンドを共振抽出する前置回路2と、その信号を増幅する増幅器3と、この入力信号から緯度経度情報などを用いて自己位置を算出する自己位置算出手段4とを備えている。
【0017】
電子地図表示機能は、予め電子地図データを格納した電子地図データ記憶部6と、この電子地図データ記憶部6から取得した電子地図データと自己位置算出手段4からの自己位置データに基づいて画像処理を行う画像処理手段5と、この画像処理手段5の処理結果を表示する表示部12aとを有している。
【0018】
自己位置投影機能は、上述した自己位置投影用キー12fの操作によって作動し、携帯情報端末装置と紙地図13との対応位置関係を特定した後、携帯情報端末装置から表示部12aの自己位置を紙地図13上に投影するものである。例えば、より具体的な自己位置投影機能は、第一段階として作動して紙地図13の一部を撮影した画像データと、表示部12aの表示地図の画像データとの一致から携帯情報端末装置と紙地図との対応位置関係を特定し、その後、第二段階として作動して自己位置を紙地図13上に投光するものである。
【0019】
このような自己位置投影機能は、紙地図13を撮影するために使用する光学レンズ部8と、この光学レンズ部8から取り込んだ地図画像データを記憶する地図画像データ記憶部7と、光学レンズ部8を通して取り込んだ地図画像データと表示部12aに表示している電子地図データとを照合して一致を判定する上述の画像処理手段5と、光学レンズ部8を通して取り込んだ地図画像データと表示部12に表示している電子地図データとが画像処理手段5で一致したと判定した場合にのみ信号を出力する自己位置投光発生部9と、この自己位置投光発生部9への出力があった場合に表示部12aに表示した自己位置に相当する部分から光を投光する自己位置投光部10とを備えている。光学レンズ部8および自己位置投光部10は、図3に示した携帯情報端末装置における表示部12aの裏面側に配置されている。
【0020】
紙地図は、地面に広げておく例もあるが、プラスチック等の載置台(持ち運びに便利な折り畳み形も含む)の上に固定させておけば紙地図の読取りや光投影がより正確なものになる利点がある。
また紙地図上に1つまたは2つ以上の位置合せマークをつけておき、このマークを携帯情報端末装置が読取れるような位置関係を位置合せ位置(平面上の位置X,Yとその高さZとを含む3次元的な位置)と認定し、その後で紙地図の読取り処理や投光マーク照射を可能にさせるやり方がある。この方法は載置台と組合せることで、より正確・確実な投光マークの達成が可能となる。
また、組立て型の、端末装置載置部と紙地図載置台とより成り、両者を載置させての読み取り及び投光の実現例もある。
【0021】
次に、上述した携帯情報端末装置と紙地図13の使用について説明する。
先ず、携帯情報端末装置は、パーソナルコンピュータに接続して電子地図データをダウンロードしたり、予め電子地図データを記憶させたメモリカード等の記録媒体を装着することにより、その表示部12aに地図を表示できるようにする。一方、紙地図13は、この電子地図データを用いてプリントアウトしたものとして準備する。
【0022】
携帯情報端末装置と紙地図13を持参した使用者が出発点に到着したなら、図2に示した携帯情報端末装置の表示部12aに設けた自己位置表示用キー12eを操作して電子地図データ記憶部6から取得した電子地図データを用いて表示部12aに表示させる。次に、表示部12aに配置した自己位置表示用キー12eを操作して、GPS信号受信アンテナ1から取り込んだGPS信号を用いて自己位置算出手段4で自己位置を算出し、これを表示部12aに表示している地図上に反映させて矢印12dで表示する。
【0023】
このような携帯情報端末装置を使用すると、表示部12aの地図と矢印12dによって、現在位置や地図上のどの位置を移動しているかを表示部6を見ることにより容易に把握できる。しかしながら、表示部12aの画面の大きさは限られているため、自己位置の周囲に遠望する山や川等の名称や地名を知りたい場合のように、表示部12aの表示範囲を越える広域情報の収集には限界がある。このような場合、携帯情報端末装置と共に持参した紙地図13を広げて、紙地図13から広域情報の収集を行うが、そのためには、携帯情報端末装置の表示部12aに表示された矢印で示す自己位置と、紙地図13の対応関係を把握する必要がある。そこで、図3に示したフローチャートの作業処理手順に従って操作を行う。
【0024】
ステップS1で、携帯情報端末装置の表示部12aに配置した自己位置投影用キー12fを操作し、自己位置投影機能を作動させる。その後、ステップS2で図1に示したように紙地図13と表示部12aに表示させた地図の方向性を合わせた状態で、紙地図13の上部に携帯情報端末装置を配置する。このとき、携帯情報端末装置の表示部12aに表示した地図画像と、紙地図13の地図との大凡な対応関係が分かるなら、ほぼ対応した紙地図13の上方部に携帯情報端末装置を配置する。続くステップS3で、携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと一致する紙地図13上の位置を決定する。このような対応位置関係が決定されたなら、ステップS4で自己位置投光発生部9に出力すると共に、警報音や表示やその他の方法で使用者に知らせる。
【0025】
このとき使用者は、紙地図13上の携帯情報端末装置を位置保持すると、自己位置投光発生部9からの信号が自己位置投光部10に与えられて、自己位置投光部10はステップS5で紙地図13に向けて投光する。この自己位置投光部10は表示部12aの矢印12dで示した自己位置に対応しているため、紙地図13上には自己位置が投影されたことになる。
【0026】
このとき、紙地図13には、携帯情報端末装置によって入手した正確な自己位置が投影されており、もともと紙地図13上に印刷された広範囲な地図情報との位置関係の一緒に示されたことになる。このため、携帯情報端末装置における表示部12aの画面の大きさが限られていても、紙地図13のみを黙視することによって、正確な自己位置と、その周囲に遠望する山や川等の名称や地名など表示画面12aからは同時に入手することができなかった広域情報を容易に得ることができる。このようにして、携帯情報端末装置と紙地図13のそれぞれの利点を生かすことが可能となる。
【0027】
次に、図3におけるステップS3の具体的な処理について説明する。
このステップS3では、携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと一致する紙地図13上の位置を決定することを述べたが、図1に示した携帯情報端末装置の自己位置投影機能に対応させた場合、図4のフローチャートのように処理を行う。つまり、ステップS1およびステップS3は先の説明と同様であるが、自己位置投影用キー12fの操作によって自己位置投影機能が作動すると、第一段階動作としてステップS6で、携帯情報端末装置の光学レンズ部8から対応した紙地図13の部分地図情報を画像データとして取り込み、取り込んだ画像データを地図画像データ記憶部7に記憶させながら、ステップS7では画像処理手段5により携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと、先に紙地図13から光学レンズ部8によって取り込んだ地図データを比較し、一致するかどうかを判定する。
【0028】
この比較は、例えば画像減算などの特徴抽出によって行う。この結果、両者データが一致すると判定した場合、ステップS8で警報音や表示やその他の方法で操作者に知らせると共に、自己位置投光発生部9に出力する。この警報音などを受けた操作者は、表示部12aに表示している地図データと、紙地図13から光学レンズ部8によって取り込んだ部分地図データとが一致したことを知り、ステップS9でそのときの携帯情報端末装置の位置を保持するようにする。
【0029】
自己位置投光発生部9への出力によって自己位置投影機能は第二段階動作へと進み、ステップS10では自己位置投光部10が作動して紙地図13に向けて投光する。この自己位置投光部10は前述したように表示部12aの矢印12dで示した自己位置に対応しているため、紙地図13上には自己位置が投影されたことになる。
【0030】
このようにして紙地図13上には、携帯情報端末装置によって入手した正確な自己位置が投影されており、もともと紙地図13上に印刷された広範囲な地図情報との位置関係が同時に示されたことになる。このため、携帯情報端末装置における表示部12aの画面の大きさが限られていても、紙地図13だけを黙視することにより、正確な自己位置と、その周囲に遠望する山や川等の名称や地名など表示画面12aからは同時に入手することができなかった広域情報を容易に得ることができる。このようにして、携帯情報端末装置と紙地図13のそれぞれの利点を生かすことが可能となる。
【0031】
図5は、本発明の他の実施の形態による携帯情報端末装置を用いた地図表示方法で使用する紙地図13を示す平面図である。
上述した自己位置投影機能の処理作業で、携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと、紙地図13から光学レンズ部8によって取り込んだ部分地図データとが一致する相対的な位置関係を見いだすためには、紙地図13の広範囲にわたって携帯情報端末装置を移動させて光学レンズ部8から紙地図13の部分画像データを取り込まなければならない。次に、この処理作業を改善する構成について説明する。
【0032】
図5に示した紙地図13は、携帯情報端末装置の電子地図データ記憶部6に格納したと同じ電子地図データを用いて、例えばA0サイズの用紙のほぼ全面にパーソナルコンピュータからプリントアウトしたもので、登山用の場合は山岳地が、観光案内用の場合は観光地が表示されている。さらに、この紙地図13の特徴は、周囲に余白14を残して全体が複数の縦線15aと複数の横線15bにより升目状に区画されていて、各縦軸15a間には、各区画部毎に例えば数字符号が付されており、また各横軸15b間には、各区画部毎に例えばアルファベット符号が付されている。従って、一つの数字符号と一つのアルファベット符号とによって縦横軸で囲まれた位置の区画部を特定することができるようになり、例えば、アルファベット符号Eと数字符号3とによって区画部「E3」を特定することができる。
【0033】
このような紙地図13と共に使用する携帯情報端末装置は、上述した紙地図13の各区画部とそのアドレスの対応関係をデジタルデータ化し、内蔵電子地図データとの位置関係を関連付け、またGPS受信信号から得られる緯度経度情報と結びつけて記憶部に格納している。また携帯情報端末装置の表示部12aには、自己位置を示す矢印12dを表示部12aに表示したとき、この自己位置に対応する紙地図13の区画部アドレスを演算し、図1に示したアドレス表示部12cにそれを表示するようにしている。
【0034】
次に、上述した携帯情報端末装置と上述した紙地図13の使用について説明する。
先ず、出発点に到着したら携帯情報端末装置の表示部12aに設けた自己位置表示用キー12eを操作して、電子地図データ記憶部6から取得した電子地図データを用いて表示部12aに表示されている地図画像上に、自己位置を示す矢印12dを表示させる。このとき、上述した表示部12aのアドレス表示部12cには、自己位置に対応する紙地図13の区画部が表示される。
【0035】
この表示部12aの地図画像と自己位置をみながら使用者は携帯情報端末装置を使用するが、表示部12aの画面の大きさが限られているため、自己位置の周囲に遠望する山や川等の名称や地名を知りたい場合、これまでの説明と同様に携帯情報端末装置と共に持参した紙地図13を広げて、紙地図13から広域情報を収集する。このとき図6に示したフローチャートの作業処理手順に従って行う。
【0036】
ステップS1の状態で、携帯情報端末装置と紙地図13を対応付けて情報を収集する場合、ステップS1Aで、携帯情報端末装置の表示部12aにおけるアドレス表示部12cから紙地図13の区画部に対応するアドレス情報を取得する。その後、表示部12aの自己位置投影用キー12fを操作して自己位置投影機能を作動させて、ステップS2で紙地図13の上部に携帯情報端末装置を配置する。
【0037】
このとき、操作者は携帯情報端末装置の表示部12aに表示したアドレス表示部12cから紙地図13の区画部に対応するアドレス、例えば「E3」を取得しているため、図5に示した紙地図13の区画部「E3」の上方部に携帯情報端末装置を配置すると共に、両者の地図の方向性を合致させる。その後は、図4に示したフローチャートの場合と同様に自己位置投影用キー12fの操作によって自己位置投影機能が作動すると、第一段階動作としてステップS6で、携帯情報端末装置の光学レンズ部8から対応した紙地図13の部分地図情報を画像データとして取り込み、取り込んだ画像データを地図画像データ記憶部7に記憶させながら、ステップS7では画像処理手段5により携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと、先に紙地図13から光学レンズ部8によって取り込んだ部分地図データを比較し、一致するかどうかを判定する。
【0038】
携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと、紙地図13から光学レンズ部8によって取り込んだ地図データが一致しなかった場合、紙地図13上の携帯情報端末装置の位置をずらして同じ処理作業を繰り返すことになるが、携帯情報端末装置の位置をずらすのは紙地図13上の区画部「E3」という限定された範囲内であり、両者が一致する対応関係を得るまでに要する時間を短縮することができる。
【0039】
上述した実施の形態による携帯情報端末装置では表示部12aにアドレス表示部12cを形成し、一方、紙地図13としてはアドレス表示部12cの表示に対応する区画部を形成したが、これに限らず他の様々な方法で大凡の対応関係を把握できるようにすることができる。
【0040】
また上述した実施の形態では、携帯情報端末装置の表示部12aに表示するために内蔵した電子地図データと同様に詳細情報を記載した紙地図13を使用したが、その他の紙地図を使用することもできる。例えば、携帯情報端末装置と合わせて使用する紙地図から入手することになる広域情報と、特徴抽出に役立つ補足情報とを記載するが、その他の細かな情報を省略した紙地図とする。このような紙地図の使用は、例えば、図4に示したステップS6で光学レンズ部8から取り込んだ画像データの大きさを制限すると共に、ステップS7での特徴抽出による一致判定を容易にする。
【0041】
上述した特徴抽出に役立つ補足情報を記した紙地図としては、独自のものを作成しても良いが、図5に示した紙地図13として裏側を白紙としたものにし、この裏面を使用して同じ領域で、入手することが期待される広域情報と、特徴抽出に役立つ補足情報とを印刷したものとすることもできる。このような地図は、両面の地図情報が同じ領域のものなので管理が容易になり、しかも、特徴抽出による一致判定時に裏面側を使用して、携帯情報端末装置の表示部12aに表示している地図データと、この紙地図から光学レンズ部8によって取り込んだ部分地図データとの一致を判定すると、裏面側に印刷した補足情報を利用して画像処理手段5での処理を助けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
上述した地図表示方法に使用する携帯情報端末装置および紙地図は、図示の構成のものに限らず他の構成のものも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態による携帯情報端末装置のブロック構成図である。
【図2】図1に示した携帯情報端末装置の正面図である。
【図3】図1に示した携帯情報端末装置の地図表示方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施の形態による携帯情報端末装置の地図表示方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態による携帯情報端末装置の地図表示方法で使用する紙地図の平面図である。
【図6】図5に示した紙地図を用いた携帯情報端末装置の地図表示方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 GPS信号受信アンテナ
2 前置回路
3 増幅器
4 自己位置算出手段
5 画像処理手段
6 電子地図データ記憶部
7 地図画像データ記憶部
8 光学レンズ部
9 自己位置投光発生部
10 自己位置投光部
11 本体
12 表示部および操作部
12a 表示部
12b 操作釦
12c アドレス表示部
12d 矢印
12e 自己位置表示用キー
12f 自己位置投影用キー
13 紙地図
15a 縦線
15b 横線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子地図データに基づいて表示部に表示した地図画像上にGPS受信信号に基づく自己位置を表示可能な携帯情報端末装置と、広域地図情報を記載した紙地図とを用いた地図表示方法において、前記表示部に表示した地図画像と前記紙地図の部分地図とが対応するように前記携帯情報端末装置を前記紙地図の上方部に配置すると共に、前記表示部に表示した地図画像と前記紙地図の部分地図とが対応したとき、前記表示部に表示した前記自己位置に対応する位置から前記紙地図上へ投光して前記自己位置を投影したことを特徴とする地図表示方法。
【請求項2】
上記紙地図は、載置台上に固定されているものとした請求項1の地図表示方法。
【請求項3】
電子地図データに基づいて表示部に表示した地図画像上にGPS受信信号に基づく自己位置を表示可能な携帯情報端末装置において、前記表示部に表示した前記自己位置に対応する位置から投光する自己位置投光部を設け、この自己位置投光部は、前記表示部に表示した地図画像と広域地図情報を記載した紙地図の部分地図とが対応するように前記紙地図の上方部に配置したとき、上記紙地図上へ投光して自己位置を投影するよう構成したことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項4】
請求項3に記載した携帯情報端末装置において、前記紙地図の部分地図画像データを取り込む光学レンズ部と、この光学レンズ部から取り込んだ部分地図画像データと前記表示部に表示した地図画像データとが一致することを検出する画像処理部と、この画像処理部での一致検出後に前記自己位置投光部が作動するようにしたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項5】
請求項3に記載した携帯情報端末装置において、前記紙地図としては、地図情報の上に複数の縦横線によって複数の区画部に区分したものを使用し、各区画部毎にそれぞれ異なるアドレスを付けると共に、前記GPS受信信号に基づいて前記自己位置がどの前記区画部に位置するかを算出してその前記アドレスを表示するアドレス表示部を設けたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項6】
上記紙地図は、載置台上に固定されているものとした請求項2〜5のいずれかの携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−230664(P2009−230664A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78070(P2008−78070)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(595167292)株式会社デージーエス・コンピュータ (18)
【Fターム(参考)】