説明

地図表示装置

【課題】画像処理に係る演算負荷の軽減を図りつつ、位置関係を容易に把握することのできる地図表示装置を提供する。
【解決手段】地図表示装置1は、まず、各種操作部20によって指定された拡大中心点P(ひいては、拡大部)を含み、且つ、上記各種操作部20によって選択された最大縮尺以下の通常地図画C1〜C3を外部メモリ30から読み出す。地図表示装置1は、次に、その読み出した通常地図画C1〜C3からその縮尺に対応する領域A1〜A3が抽出されるようにマスクするマスクパーツM1〜M3を通常地図画C1〜C3各々に対して生成する。そして、地図表示装置1は、外部メモリ30から読み出した通常地図画C1〜C3及びその各々に対して生成したマスクパーツM1〜M3を縮尺順に階層状に交互に重ねることで、部分拡大地図画を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる地図画である部分拡大地図画を表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の技術が知られている。この文献に記載の地図表示装置は、まず、縮尺一定の地図画である原地図画を表示画面上に表示する。ここで、表示中の原地図画に対して例えばマウスカーソル等によって拡大部が指定されると、地図表示装置は、拡大部については、縮尺のより大きな拡大地図画を表示し、拡大部外の領域については、そのまま縮尺一定の原地図画を表示する。
【0003】
また、この特許文献1に記載の地図表示装置は、マウスカーソル等によって所定操作が行われると、縮尺一定の原地図画を表示することなく、縮尺のより大きな拡大地図画に切り換える。
【0004】
一方、特許文献2に記載の技術も知られている。この文献に記載の地図表示装置は、当該装置が搭載される車両の現在地付近の領域を大きな縮尺の地図画にて表示するとともに、地図画上のより一層遠隔の領域を小さな縮尺の地図画にて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−221874号公報
【特許文献2】特開平9−244528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の技術では、拡大部における縮尺及び拡大部外における縮尺が異なることに起因して、拡大部内外の位置関係を把握することが難しい場合がある。具体的には、例えば、拡大部外における道路が拡大部内におけるいずれの道路に対応するか把握しにくい。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の技術では、所定操作が行われると、縮尺の小さな原地図画から縮尺の大きな拡大地図画に切り替えられるため、やはり、縮尺の切替前後で位置関係を把握することが難しい場合がある。
【0008】
これに対し、上記特許文献2に記載の技術では、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなるため、こうした位置関係を容易に把握することが可能にはなる。
【0009】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、部分拡大地図画を合成するに当たり、縮尺一定の原地図画を部分的に拡大変換及び縮小変換するため、画像処理に係る演算負荷が増大してしまう。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、画像処理に係る演算負荷の軽減を図りつつ、位置関係を容易に把握することのできる地図表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる地図画である部分拡大地図画を表示する地図表示装置であって、互いに縮尺の異なる複数の原地図画を記憶する原地図画記憶部と、前記原地図画記憶部から原地図画を少なくとも3つ読み出し、その読み出した原地図画のうち最大縮尺の原地図画の表示領域が前記拡大部となるマスクパーツ、最大縮尺の原地図画と最小縮尺の原地図画以外の中間縮尺の原地図画の表示領域がその中間縮尺の原地図画よりも1つ縮尺の大きい原地図画の表示領域に隣接する環状領域となるマスクパーツ、及び最小縮尺の原地図画の表示領域がその最小縮尺の次に縮尺の小さい原地図画の表示領域の外側となるマスクパーツを生成するマスクパーツ生成部と、前記複数の原地図画及びマスクパーツを縮尺順に階層状に交互に重ねることで前記部分拡大地図画を構成し、その構成した部分拡大地図画を表示画面に画面表示する表示制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記請求項1に記載の発明では、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる部分拡大地図画が表示されるため、位置関係を容易に把握することができるようになる。また、部分拡大地図画を構成するに当たり、原地図画及びマスクパーツを縮尺順に階層状に交互に重ねるため、縮尺一定の原地図画を部分的に拡大変換及び縮小変換して部分拡大地図画を構成する場合に比較して、画像処理に係る演算負荷の低減を図ることができるようになる。したがって、画像処理に係る演算負荷の軽減を図りつつ、位置関係を容易に把握することができるようになる。
【0013】
なお、縮尺一定の原地図画を部分的に拡大変換及び縮小変換することで部分拡大地図画を構成する(合成する)場合、その合成された部分拡大地図画に含まれる情報内容は、その原地図画に含まれる情報内容と何ら変わらない。しかしながら、上記請求項1に記載の発明では、互いに縮尺の異なる複数の原地図画から部分的に抽出することで部分拡大地図を構成するため、その構成された部分拡大地図画に含まれる情報内容を増大させることができるようになる。
【0014】
請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明では、前記原地図画記憶部から読み出された原地図画の表示領域の境界を含む領域に対し、これら領域間を滑らかに連結する画像処理を実行する画像処理部をさらに備えることとした。これにより、地図表示装置は、拡大部に近づくほど縮尺が滑らかに大きくなる部分拡大地図画を構成することができるようになる。なお、上記領域間を滑らかに連結する画像処理を実行するため、画像処理にかかる演算負荷の増大が懸念されるものの、上記表示領域の境界を含む領域に限定して画像処理を実行するため、画像処理にかかる演算負荷はそれほど増大しない。
【0015】
請求項1または2に記載の構成において、請求項3に記載の発明では、前記拡大部の位置を指定する位置指定部をさらに備え、前記マスクパーツ生成部は、前記位置指定部によって指定された拡大部の位置に基づいて、マスクパーツを生成することとした。これにより、拡大部の位置を指示することができるようになる。
【0016】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成において、請求項4に記載の発明では、前記部分拡大地図画を構成する原地図画の最大縮尺を指定する縮尺指定部をさらに備え、前記マスクパーツ生成部は、前記縮尺指定部によって指定された最大縮尺以下の原地図画を前記原地図画記憶部から読み出すことを特徴とする。これにより、部分拡大地図画を構成する原地図画の最大縮尺を指定することができるようになる。
【0017】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の構成において、請求項5に記載の発明では、前記部分拡大地図画と前記原地図画との間で、前記表示画面に画面表示される地図画の切替を指示する切替指示部をさらに備え、前記表示制御部は、前記切替指示部によって切替が指示されることに基づいて、切替指示された地図画を前記表示画面に画面表示することを特徴とする。これにより、表示画面に画面表示される地図画を部分拡大地図画と原地図画との間で切り替えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る地図表示装置の位置実施の形態について、その構成を示すブロック図である。
【図2】拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる地図画である部分拡大地図画の構成例を示す模式図である。
【図3】部分拡大地図画の一例を示す図である。
【図4】通常地図画の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る地図表示装置の一実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。なお、図1は、地図表示装置1の構成例を示すブロック図であり、図2は、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる地図画である部分拡大地図画の構成例を示す模式図である。
【0020】
地図表示装置1は、当該装置1を搭載する車両の現在地から入力された目的地までの経路を案内する車載ナビゲーションシステムの一部として具体化されており、図1に示されるように、ECU10、各種操作部20、外部メモリ30、及び表示画面40を備えて構成されている。
【0021】
このうち、各種操作部20は、例えばプッシュボタン等によって構成され、表示画面40の周囲に設けられ、ECU10に接続されている。ユーザは、表示画面40に表示される地図画上にて、同じく表示画面40に表示されるマウスカーソルを移動させることにより、地図上の任意の地点を拡大中心点として指定することが可能(拡大中心点を自由に移動可能)である。各種操作部20によって拡大中心点が指定されると、その指定された拡大中心点はECU10に入力され、ECU10は、拡大中心点を中心とする一定半径の円領域を拡大部としている。
【0022】
また、ユーザは、各種操作部20を操作することにより、上記拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる部分拡大地図画を構成する縮尺一定の通常地図画の最大縮尺を、所定縮尺の中から選択することが可能(拡大表示部分の縮尺を自由に変更可能)である。各種操作部20によって最大縮尺が選択されると、その選択された最大縮尺はECU10に入力される。
【0023】
また、ユーザは、各種操作部20を操作することにより、上記部分拡大地図画と通常地図画との間で、表示画面40に画面表示される地図画の切替を指示することが可能(部分拡大地図画と通常地図画との間で自由に切替可能)である。各種操作部20によって切替指示が与えられると、その与えられた切替指示がECU10に入力される。なお、各種操作部20が特許請求の範囲に記載の位置指定部、縮尺指定部、及び切替指示部に相当する。
【0024】
また、本実施の形態では、各種操作部20として例えばプッシュボタンを採用したが、これに限らず、上記拡大中心点を指定したり、上記最大縮尺を選択したり、上記切替指示を与えたりすることができれば、任意の操作デバイスを採用することができる。
【0025】
外部メモリ30は、例えば公知のフラッシュメモリやハードディスクドライブ装置等によって構成されており、外部メモリ30には、ECU10によって実行されるプログラムが記憶されているほか、縮尺がエリアによらず一定の地図画である通常地図画が、多数の縮尺に対して記憶されている。これら通常地図画には、その縮尺に応じた内容の情報が含まれている。詳しくは、縮尺が大きい通常地図画には、民家等の小さな建物の外形や幅の狭い道路の外形についてまで詳細な情報が含まれている一方、縮尺が小さい通常地図画には、こうした詳細な情報が割愛され、工場等の大きな建物の外形や国道等の幅の広い道路の外形についての情報が含まれている。また、外部メモリ30は、ECU10に接続されており、このECU10によって通常地図画が適宜読み出される。なお、通常地図画が特許請求の範囲に記載の原地図画に相当し、外部メモリ30が特許請求の範囲に記載の原地図画記憶部に相当する。
【0026】
本実施の形態では、通常地図画は、例えば「100万分の1」「50万分の1」「25万分の1」「10万分の1」「5万分の1」「1万分の1」「5000分の1」「1000分の1」等の縮尺ごとに異なる情報単位(いわゆるレイヤ)、及びその縮尺に応じた一定面積ごとに区切られた情報単位(いわゆるメッシュ)にて、外部メモリ30に記憶されている。なお、通常地図画の縮尺については、上記縮尺に限らず任意である。また、縮尺とは、分子を「1」とする分数の値を意味しており、その分母の値が小さいほど縮尺は大きく、その分母の値が大きいほど、縮尺は小さい。そして、縮尺が大きいほど、地図上の建物や道路等が大きく表示される。
【0027】
表示画面40は、例えばLCD等によって構成され、車両の乗員が視認可能な車室内の適宜の箇所に配置されている。また、この表示画面40はECU10に接続されており、このECU10によって上記部分拡大地図画や通常地図画等の画面表示が制御されている。
【0028】
また、ECU10は、いずれも図示しないCPU及び内蔵メモリ等を備えた公知のコンピュータであり、内蔵メモリや外部メモリ30等に予め記憶されたプログラムに従って種々の処理を実行する。
【0029】
ECU10は、まず、外部メモリ30から、上記各種操作部20によって指定された拡大中心点(ひいては拡大部)を含み、且つ、上記各種操作部20によって選択された最大縮尺以下の通常地図画を少なくとも3つ外部メモリ30から読み出す。次に、ECU10は、その読み出した通常地図画の表示領域が下記のようになるマスクパーツを生成する。
【0030】
具体的には、図2に示されるように、ECU10は、上記各種操作部20によって指定された拡大中心点Pを含み、且つ、上記各種操作部20によって選択された最大縮尺以下の通常地図画として、通常地図画C1〜C3を読み出したとする。なお、通常地図画C1が読み出された通常地図画のうち最大縮尺の通常地図画であり、通常地図画C2が最大縮尺の原地図画と最小縮尺の原地図画以外の中間縮尺の通常地図画であり、通常地図画C3が読み出された通常地図画のうち最小縮尺の通常地図画である。
【0031】
次に、ECU10は、読み出した通常地図画C1〜C3のうち最大縮尺の通常地図画C1から、拡大中心点Pを中心とする円形状の表示領域A1が抽出されるように、表示領域A1外側の領域であるマスク領域B1をマスクするマスクパーツM1を生成する。
【0032】
また、ECU10は、読み出した通常地図画C1〜C3のうち縮尺が中程度(最大縮尺の次に大きい縮尺)の通常地図画C2から、上記表示領域A1に隣接し、且つ、上記拡大中心点Pを中心とする円環状の領域である表示領域A2が表示されるように、表示領域A2以外の領域であるマスク領域B2をマスクするマスクパーツM2を生成する。なお、マスク領域B2は、上記表示領域A1と同一の領域であるマスク領域B21と、上記マスク領域B1から表示領域A2を除外した領域であるマスク領域B22とをあわせた領域である。
【0033】
また、ECU10は、読み出した通常地図画C1〜C3のうち最小縮尺の通常地図画C1から、表示領域A3が表示されるように、この表示領域A3内側の領域であるマスク領域B3をマスクするマスクパーツM3を生成する。なお、マスク領域B3は、マスクパーツM1にてマスクされない表示領域A1及びマスクパーツM2にてマスクされない表示領域A2をあわせた領域であり、表示領域A3はマスク領域B3の外側の領域である。
【0034】
本実施の形態では、ECU10は、通常地図画C1〜C3を読み出していたが、読み出す地図画数は「3」に限られない。より多数の通常地図画を読み出した場合でも、その各々に対するマスクパーツを上記生成方法を拡張することで生成することが可能である。また、表示領域A1は円形状に限らず、矩形状であっても、楕円状であってもよい。同様に、表示領域A2は円環状に限らない。表示領域A1に隣接し、且つ、その周囲を囲う環状領域であればよい。ちなみに、このECU10が特許請求の範囲に記載のマスクパーツ生成部に相当する。
【0035】
また、ECU10は、外部メモリ30から読み出した通常地図画C1〜C3及びその各々に対して生成したマスクパーツM1〜M3を縮尺順に階層状に交互に重ねることで、部分拡大地図画を構成する。
【0036】
具体的には、ECU10は、図2に示されるように、ユーザによる視認方向に相当する図中上方から「マスクパーツM1→通常地図画C1→マスクパーツM2→通常地図画C2→マスクパーツM3→通常地図画C3」のように通常地図画C1〜C3及びマスクパーツM1〜M3を重ねる。このようにして構成される部分拡大地図画では、拡大中心点Pを含む表示領域A1は、縮尺の大きな通常地図画C1が抽出され、この表示領域A1を囲む領域である周囲領域(表示領域A2に相当)は、縮尺が中程度の通常地図画C2が表示され、表示領域及び周囲領域を除く領域である外縁領域(表示領域A3に相当)は、縮尺の小さな通常地図画C3が表示される。そのため、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる地図画である部分拡大地図画が構成される。ちなみに、このECU10が特許請求の範囲に記載の表示制御部に相当する。
【0037】
ところで、例えば通常地図画C1の縮尺が通常地図画C2の縮尺と大きく異なる場合、これら通常地図画C1及びC2の双方に含まれる同一道路の幅は、拡大部及びこの拡大部に隣接する周囲領域の境界において急激に変化し、その道路外形線に段が生じてしまう。こうした道路外形線の段は、例えば通常地図画C2の縮尺が通常地図画C3の縮尺と大きく異なる場合にも、その縮尺の差異に起因して同様に生じる。また、道路の外形線に限らず、工場や住宅等、建造物の外形線にも同様に生じてしまう。
【0038】
そこで、本実施の形態では、ECU10は、上記部分拡大地図画を構成した後、上記表示領域及び上記周囲領域間の境界を含む近傍領域、並びに、上記周囲領域及び上記外縁領域間の境界を含む近傍領域に対し、これら領域間を滑らかに連結する画像処理を行なう。詳しくは、ECU10は、道路や建物等の外形線に生じることのある段を補間し、滑らかな外形線となる画像処理を行なう。なお、こうした画像処理は、公知の技術を用いて実行することができる。
【0039】
そして、ECU10は、外形線を滑らかにする画像処理を実行した部分拡大地図画を表示画面40に画面表示する。ちなみに、このECU10が特許請求の範囲に記載の画像処理部に相当する。
【0040】
以上説明した本実施の形態の地図表示装置1によって表示される部分拡大地図画の一例を図3に示す。図3中にC1として示す円は、先のマスクパーツM1の表示領域A1とマスク領域B1との境界に相当し、図3中にC2として示す円は、先のマスクパーツM2の表示領域A2とマスク領域B22との境界に相当する。ちなみに、通常地図画の一例を図4に示す。本実施の形態の地図表示装置1によれば、図3に示すような、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる部分拡大地図画を表示することができるようになる。
【0041】
上記実施の形態では、地図表示装置1は、まず、各種操作部20によって指定された拡大中心点P(ひいては、拡大部)を含み、且つ、上記各種操作部20によって選択された最大縮尺以下の通常地図画C1〜C3を外部メモリ30から読み出す。地図表示装置1は、次に、その読み出した通常地図画C1〜C3からその縮尺に対応する領域A1〜A3が表示されるようにマスクするマスクパーツM1〜M3を通常地図画C1〜C3各々に対して生成する。そして、地図表示装置1は、外部メモリ30から読み出した通常地図画C1〜C3及びその各々に対して生成したマスクパーツM1〜M3を縮尺順に階層状に交互に重ねることで、部分拡大地図画を構成した。これにより、拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる部分拡大地図画が表示されるため、位置関係を容易に把握することができるようになる。また、部分拡大地図画を構成するに当たり、通常地図画C1〜C3及びマスクパーツM1〜M3を縮尺順に階層状に交互に重ねるため、画像処理に係る演算負荷の低減を図ることができるようになる。さらに、互いに縮尺の異なる複数の通常地図画C1〜C3から部分的に抽出することで部分拡大地図を構成するため、その構成された部分拡大地図画に含まれる情報内容を増大させることができるようになる。
【0042】
また、上記実施の形態では、地図表示装置1は、部分拡大地図画を構成した後、表示領域A1及び表示領域A2間の境界を含む近傍領域、並びに、表示領域A2及び表示領域A3間の境界を含む近傍領域に対し、これら領域間を滑らかに連結する画像処理を行なうこととした。これにより、地図表示装置1は、拡大部に近づくほど縮尺が滑らかに大きくなる部分拡大地図画を構成することができるようになる。
【0043】
なお、本発明に係る地図表示装置1は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記各実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0044】
上記実施の形態では、地図表示装置1は、部分拡大地図画を構成した後、上記表示領域A1及び表示領域A2間の境界を含む近傍領域、並びに、上記表示領域A2及び上記表示領域A3間の境界を含む近傍領域に対し、これら領域間を滑らかに連結する画像処理を行なっていたが、こうした画像処理の実行を割愛してもよい。こうした画像処理を行なうことに替え、外部メモリ30から通常地図画をより多数読み出し、その各々に対するマスクパーツを生成した上で、部分拡大地図画を構成すれば、道路や建物等の外形線を滑らかにすることができるようになる。
【0045】
上記実施の形態では、拡大中心点P(ひいては拡大部)を1つのみ指定していたが、これに限らない。他に例えば、拡大中心点Pとして、経路案内開始地点及び目的地の2つを指定し、その2つの拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる部分拡大地図画を構成・表示してもよい。さらに、拡大部の数は「1つ」や「2つ」に限られず、より多数の拡大部を有する部分拡大地図画を構成・表示してもよい。
【0046】
上記実施の形態では、拡大中心点P(ひいては拡大部)として、例えば経路案内開始地点及び目的地等の固定点を指定したが、これに限らず、当該装置が搭載される車両の現在地等の移動点を指定してもよい。これにより、表示画面40上に移動する拡大部を表示することができるようになる。なお、こうした場合、画像処理に係る演算負荷の低減を図った効果がより顕著にあらわれる。
【0047】
上記実施の形態では、地図表示装置1は、当該装置1を搭載する車両の現在地から入力された目的地までの経路を案内する車載ナビゲーションシステムの一部として具体化されていたが、これに限らない。他に例えば、携帯電話などのモバイル機器におけるナビゲーションシステムの一部として具体化してもよく、商店街や商業施設等の街頭案内板の一部として具体化してもよい。各種地図表示機器として具体化して有益である。
【符号の説明】
【0048】
1…地図表示装置、10…ECU(マスクパーツ生成部、表示制御部、画像処理部)、20…各種操作部(位置指定部、縮尺指定部、切替指示部)、30…外部メモリ(記憶部)、40…表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡大部に近づくほど縮尺が大きくなる地図画である部分拡大地図画を表示する地図表示装置であって、
互いに縮尺の異なる複数の原地図画を記憶する原地図画記憶部と、
前記原地図画記憶部から原地図画を少なくとも3つ読み出し、その読み出した原地図画のうち最大縮尺の原地図画の表示領域が前記拡大部となるマスクパーツ、最大縮尺の原地図画と最小縮尺の原地図画以外の中間縮尺の原地図画の表示領域がその中間縮尺の原地図画よりも1つ縮尺の大きい原地図画の表示領域に隣接する環状領域となるマスクパーツ、及び最小縮尺の原地図画の表示領域がその最小縮尺の次に縮尺の小さい原地図画の表示領域の外側となるマスクパーツを生成するマスクパーツ生成部と、
前記複数の原地図画及びマスクパーツを縮尺順に階層状に交互に重ねることで前記部分拡大地図画を構成し、その構成した部分拡大地図画を表示画面に画面表示する表示制御部とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記原地図画記憶部から読み出された原地図画の表示領域の境界を含む領域に対し、これら領域間を滑らかに連結する画像処理を実行する画像処理部をさらに備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図表示装置において、
前記拡大部の位置を指定する位置指定部をさらに備え、
前記マスクパーツ生成部は、前記位置指定部によって指定された拡大部の位置に基づいて、マスクパーツを生成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の地図表示装置において、
前記部分拡大地図画を構成する原地図画の最大縮尺を指定する縮尺指定部をさらに備え、
前記マスクパーツ生成部は、前記縮尺指定部によって指定された最大縮尺以下の原地図画を前記原地図画記憶部から読み出すことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の地図表示装置において、
前記部分拡大地図画と前記原地図画との間で、前記表示画面に画面表示される地図画の切替を指示する切替指示部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記切替指示部によって切替が指示されることに基づいて、切替指示された地図画を前記表示画面に画面表示することを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−243605(P2010−243605A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89517(P2009−89517)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】