説明

地域電話網

【課題】既存の有線放送電話網に代わる、高品質かつ高機能な電話網を低コストで提供する。
【解決手段】少なくとも1本のデジタル中継回線5および複数のデジタル加入者回線2〜4を回線交換方式の電話交換機1に収容するとともに、各デジタル加入者回線に端末ユニット9〜11を接続し、端末ユニットには、少なくとも1台の電話機19a、20aまたはデータ通信端末機21aまたはそれらの両方と、スピーカ19b、20b、21bとを接続し、さらに電話交換機に放送設備17を接続し、電話機およびデータ通信端末機による通話およびデータ通信は、専らデジタル加入者回線の通話用チャンネルを使用して行う一方、放送設備から端末ユニットへの放送は、専らデジタル加入者回線の放送用チャンネルを使用して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域電話網、特に、有線放送サービス機能を備えた地域電話網に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有線放送電話装置は、日本国内における農業協同組合、漁業共同組合および市町村等の地域団体によって設置される有線放送業務を行うための有線電気通信設備をいい、昭和30〜40年代にかけて、日本電信電話公社の一般加入電話が普及していない農村や漁村で、市町村地域内の放送業務や地域内の音声通話等を行い、生活改善をする目的で設置されたものである。
【0003】
図6は、従来の有線放送電話装置の概略構成を示す図である。図6において、交換機40は、空間分割スイッチ41と、複数の加入者回路42と、複数のトランク回路43を内蔵し、各加入者回路42には(2線式)加入者回線44が接続され、各加入者回線44には複数の電話機45が並列接続されている(共同電話)。電話機45には、それぞれ、放送を聴取するためのスピーカが内蔵されている。
また、配線盤47には、加入者回路42および加入者回線44が収容され、対応する加入者回路42と加入者回線44とが接続されている。
空間分割スイッチ41は、加入者回路42間の接続、およびトランク回路43および各加入者回路42間の接続を行う。また、トランク回路43には放送設備46が接続され、放送設備46は、トランク回路43および空間分割スイッチ41を介して各加入者回路42に接続される。
【0004】
加入者回路42は、着信時、加入者回線44に並列接続された複数の電話機45のうちの1の電話機45を指定する信号を出力し、それに応答した電話機45のみが通話を行う。
そして、通話時と放送時とで加入者回線44に印加される直流電圧の極性が反転(転極)し、スピーカは放送時のみ動作し、通話時には、加入者回線44に印加される極性が反転し、通話を行っていない他の電話機45のスピーカは動作しないので、通話音声がスピーカから漏洩することなく、接続された電話機45間で通話がなされる。
【0005】
したがって、この有線放送電話装置においては、放送と通話の分離ができないために、放送が行われているときには通話ができないという問題が、また、1本の加入者回線に複数の電話機が並列接続されるために、話中率が高いという問題がそれぞれ生じていた。さらには、1本の加入者回線に複数の電話機が並列接続されるために、1の電話機が通話を行うと、他の電話機は放送を聴取できないという問題が生じていた。
【0006】
これらの問題を解消するため、従来技術においては、1本の加入者回線には1の電話機のみを接続する単独接続(単独電話)が採用され、また別の方法として、電話機に対する通話路を2回線とし、2回線を収容する電話機を使用し、放送時は、放送用に1回線を、通話用に1回線を使用することで放送と通話を分離し、通話時は、2回線を使用することで話中率の改善を図るようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、交換機を、通話路スイッチと、通話路スイッチと接続される複数の加入者回路と、各加入者回路に対応する切替制御部と、各切替制御部内に設けられた接点と、外部の放送設備に接続され、加入者回路と異なる極性にて放送を出力するトランク回路と、トランク回路に接続され、各切替制御部内に設けられた極性切替回路とから構成するとともに、接点に接続された(2線式)加入者回線に加入者側の電話機およびスピーカを接続し、通話がなされていない時に放送を行う場合は、切替制御部が加入者回線と極性切替回路を接続することで、極性切替回路の出力をスピーカが動作する極性電圧としてスピーカから放送内容を出力するが、通話時に放送を行う場合には、切替制御部が加入者回線を加入者回路と極性切替回路に連続的に接続し、加入者回線の電圧極性を通話中の極性に保持することで、スピーカから通話内容が漏洩することなく電話機の送受話器のみから放送内容を出力するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
しかし、このような従来の有線放送電話装置においては、各回線は、音声やデータ等をアナログ信号として伝送しており、電話、放送およびデータ通信等を同時に行うには、メディア別に個別の回線が必要とされる。
また、従来の有線放送電話装置に代わるものとして、インターネットを利用して、音声告知や情報配信、地域内電話を実現する方法が提案されているが、安全性、安定性およびコスト面で問題がある。
【0009】
また、有線放送電話網を利用する地域にも、都市部と同様に光回線を使用した高速インターネットを導入することも考えられるが、導入コストおよび維持コストが膨大なものになり、かかる地域のユーザーの利用頻度を考えると、ユーザーの負担もかなり増大し、現実的ではない。
かかる状況下、現在の光伝送技術、デジタル技術を活用して、安全で確実な地域情報基盤を提供することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平7−79496号公報
【特許文献2】特開平7−38514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、既存の有線放送電話網に代わる、高品質かつ高機能な地域電話網を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、回線交換方式の1または複数の電話交換機と、前記電話交換機に収容された少なくとも1本のデジタル中継回線および複数本のデジタル加入者回線と、前記デジタル加入者回線のそれぞれに回線終端装置を介して接続された端末ユニットと、を備え、前記端末ユニットには、スピーカが備えられるとともに、少なくとも1台の電話機またはデータ通信端末機またはそれらの両方が接続され、さらに、放送設備と、前記放送設備の放送信号をデジタル信号に変換して前記電話交換機に出力する手段と、を備え、前記デジタル中継回線および前記デジタル加入者回線は、通話用チャンネル、放送用チャンネルおよび制御チャンネルを有し、前記電話交換機は、前記電話機間、および前記データ通信端末機間、および前記電話機および前記データ通信端末機と前記デジタル中継回線との間で交換接続し、通話信号を、前記デジタル加入者回線の前記通話用チャンネルを使用して伝送する一方、前記放送設備から前記端末ユニットへの放送信号は、当該放送信号を受信する複数の前記デジタル加入者回線の前記放送用チャンネルに分配接続するとともに、当該放送用チャンネルを使用して伝送し、前記端末ユニットは、前記電話機および前記データ通信端末機を前記デジタル加入者回線の前記通話用チャンネルに接続する一方、前記デジタル加入者回線の前記放送用チャンネルを通じた放送信号を前記スピーカに出力することを特徴とする地域電話網を構成したものである。
この場合、前記電話交換機または前記デジタル中継回線の一部または全部を、インターネットプロトコル方式の装置として構成することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、少なくとも1本のデジタル中継回線および複数のデジタル加入者回線を回線交換方式の電話交換機に収容するとともに、各デジタル加入者回線に端末ユニットを接続し、端末ユニットには、スピーカを備えるとともに、少なくとも1台の電話機またはデータ通信端末機またはそれらの両方を接続し、さらに電話交換機に放送設備を接続し、電話機およびデータ通信端末機による通話およびデータ通信は、専らデジタル加入者回線の通話用チャンネルを使用して行う一方、放送設備から端末ユニットへの放送は、専らデジタル加入者回線の放送用チャンネルを使用して行うようにした。それによって、通話またはデータ通信と、放送を同時に行うことができ、しかもこの場合、従来の有線放送電話網と比べ、より大量の情報を、より高い品質で伝送することができる。また、従来の光回線等を用いるインターネットのセキュリティ対策のコストを考えると、本発明による地域電話網の導入コストおよび維持コストは非常に安くて済む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1実施例による地域電話網の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の端末ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】図1の電話交換機の通話路スイッチ網と放送設備との接続状態を説明する図である。
【図4】図1の加入者回線のチャンネル構成の1例を示す図である。
【図5】本発明の別の実施例による地域電話網の構成を示す図である。
【図6】従来の有線放送電話装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発明の1実施例による地域電話網の構成を示すブロック図である。
図1を参照して、本発明の地域電話網は、1または複数の回線交換式の電話交換機1を備えている。電話交換機1には、複数本、この実施例では3本のデジタル加入者回線2〜4と、少なくとも1本、この実施例では1本のデジタル中継回線5が収容される。
【0016】
加入者回線2〜4はそれぞれ、ISDN64に準拠しており、図4(A)に示すように、伝送速度が64kbpsの2つのチャンネルB1、B2と、伝送速度が16kbpsの1つのチャンネルDを有している。そして、チャンネルB1およびチャンネルB2はそれぞれ通話用チャンネルおよび放送用チャンネルとして使用され、チャンネルDは制御チャンネルとして使用される。
中継回線5は、ISDN1500に準拠しており、伝送速度が64kbpsの23のチャンネルB1〜B23と、伝送速度が64kbpsの1つのチャンネルDを有している。そして、チャンネルB1〜チャンネルB21はそれぞれ通話用チャンネルとして使用され、チャンネルB22とチャンネルB23はそれぞれ放送用チャンネルとして使用され、チャンネルDは制御チャンネルとして使用される。
【0017】
電話交換機1は、各加入者回線2〜4および中継回線5間、並びに加入者回線2〜4間の発信(発呼)と着信(着呼)の通話路を形成し、切断し、復旧する通話路スイッチ網12を有し、通話路スイッチ網12は、制御装置13aによって制御される。制御装置13は、監視信号や選択信号の情報を翻訳、分析し、その結果に基づき、発呼者および着呼者の識別や出線選択、通話路形成の動作指示等を行う。制御装置13aには、回線交換制御ソフトウェア、および局データや加入者データ等のデータを格納した記憶装置13bが接続される。
【0018】
また、通話路スイッチ網12には、加入者回線2〜4毎に設けられ、発呼信号や終話信号等、加入者回線2〜4の状態を監視する加入者回路14a〜14cが接続される。この場合、加入者回路14a〜14cのチャンネルB1、B2端子が通話路スイッチ網12に接続される一方、加入者回路14a〜14cのチャンネルD端子は制御装置13aに接続される。
そして、加入者回路14a〜14cは、それぞれ、加入者回線2〜4のDSU6〜8に対向して加入者回線2〜4を終端するOCU(Office Channel Unit)16a〜16cに接続される。
【0019】
各加入者回路14a〜14cは、チャンネルB1、B2およびチャンネルDの信号を加入者回線2〜4へのシリアル信号に変換してOCU16a〜16cに出力する機能と、OCU16a〜16cから入力される加入者回線2〜4からのシリアル信号をチャンネルB1、B2およびチャンネルDの信号に変換する機能を備えている。
また、加入者回路14a〜14cには、発信音送出機能、選択信号受信機能、呼出信号送出機能、呼出音送出機能、話中音送出機能等を備えた信号装置15aが接続される。また、通話路スイッチ網12の中継回線側には、選択信号受信機能、選択信号送出機能、話中音送出機能等を有する信号装置15bが接続される。
OCU16a〜16cは、加入者回線2〜4へのシリアル信号と、加入者回線2〜4からのシリアル信号を、2線式線路の加入者回線の伝送方向を交互に切り換えて伝送する機能と、通話用の電源を重畳して供給する機能を備えている。
【0020】
本発明の地域電話網は、また、放送設備17を備えている。放送設備17は、CODEC18を介して、電話交換機1の通話路スイッチ網12に接続され、それによって、放送設備17の放送信号は、CODEC18によってデジタル信号に変換(符号化)された後、電話交換機1の通話路スイッチ網17に入力される。このCODEC18による符号化は、放送信号を8kHzでサンプリング、符号化し、64kbps(125μs毎に8bit)の伝送速度が得られるようになされる。
【0021】
加入者回線2〜4にはそれぞれDSU(Digital Service Unit)6〜8を介して端末ユニット9〜11が接続される。
図2は、端末ユニットの構成を示すブロック図である。なお、端末ユニット9〜11はいずれも同一の構成を有しているので、図2では、それらのうちの1つ(端末ユニット6)を代表的に図示した。図2を参照して、端末ユニット9は、TA(Terminal Adapter)22を備え、TA22は、S/Tポートを通じて、加入者回線2を終端するDSU6に接続される。TA22はアナログポート22aとデジタルポート22bを有し、アナログポート22aは第1のコネクタ28に結線され、デジタルポート22bはCODEC24およびアンプ25を介して第2のコネクタ29に結線される。そして、第1のコネクタ28には電話機19a(またはデータ通信端末機)が接続され、第2のコネクタ29にはスピーカ19bが接続される。
放送信号は、CODEC18でデジタル信号に変換(符号化)され、そして、CODEC24でアナログ信号に変換(復号化)されるが、この符号化の方式としては、電話網で一般的に用いられるμLOW(ミューロー)方式のほか、64kbpsの範囲であれば、デジタルテレビ放送の音声伝送で用いられるAAC方式等を用いることができ、より高品質な放送を実現することができる。
【0022】
端末ユニット9は、また、制御部23を有し、制御部23は、TA22のS/Tインターフェース22cに接続され、デジタル加入者回線2の制御チャンネルDを通じてデータ通信を行う。制御部23はまた、CODEC24およびアンプ25を制御する。制御部23には、端末ユニット9の動作状態を表示し、また、端末ユニット9を操作するためのタッチパネル式ディスプレイ26が接続される。
【0023】
TA22は、加入者回線2の通話用チャンネルB1を通じた信号は、アナログポート22aを通じて入出力する一方、加入者回線2の放送用チャンネルB2を通じた信号は、アナログポート22bを通じて出力するようになっている。そして、TA22は、第1のコネクタ28に接続された電話機19aからの発信信号を、加入者回線2の通話用チャンネルB1を使用して電話交換機1に伝送する。TA22は、また、加入者回線2の通話用チャンネルB1を通じた着信信号を電話機19aに出力する一方、加入者回線2の放送用チャンネルを通じた放送信号をスピーカ19bに出力する。スピーカ19bは、端末ユニット9に内蔵することもできるし、端末ユニット9の外側に、それと一体構造となるように設けることもできる。
【0024】
図3は、電話交換機1の通話路スイッチ網12と放送設備17との接続状態を説明する図である。図3を参照して、本発明によれば、通話路スイッチ網12は、64kbpsのデジタル信号を処理する時分割通話路スイッチであり、制御装置13aによって制御され、放送設備17の出力ラインを各加入者回線2〜4のチャンネルB2に常時接続する一方、各加入者回線2〜4のチャンネルB2と、各加入者回線2〜4のチャンネルB1および中継回線5とを常時非接続状態とするように動作する。
また、通話路スイッチ網12は、各加入者回線2〜4のチャンネルB1および中継回線5間、および各加入者回線2〜4のチャンネルB1間については、通常のアナログ方式の電話交換機における空間分割通話路スイッチと同様の回線交換動作を行う。
【0025】
こうして、放送設備17からの放送信号は、常に、加入者回線2〜4のチャンネルB2を通じて端末ユニット9〜11に伝送され、それによって、各加入者は、通話またはデータ通信をしているか否かにかかわらず、端末ユニット9〜11のスピーカ19b、20b、21bから放送を聴取することができる。また、加入者回線2〜4の電話機19a、20aおよびデータ通信端末機21aからの送信される通話信号は、端末ユニット9〜11から加入者回線2〜4のチャンネルB1を通じて電話交換機1に伝送され、さらに電話交換機1から所定の着信先に伝送される。また、加入者回線2〜4の電話機19a、20aおよびデータ通信端末機21aに受信される通話信号は、電話交換機1から加入者回線2〜4のチャンネルB1を通じて端末ユニット9〜11に伝送され、さらに端末ユニット9〜11から当該電話機19a、20aおよびデータ通信端末機21aに伝送される。
【0026】
この実施例によれば、ISDN64に準拠したデジタル加入者回線としたので、2芯のメタリック線を加入者回線として使用することができる。したがって、地域電話網の導入コストおよび維持コストは、光回線の場合に比べるとかなり安くなる。さらに、加入者回線のチャンネルB1を通話用チャンネルとして、チャンネルB2を放送用チャンネルとして使用し、放送設備から端末ユニットへの放送は、専らチャンネルB2を使用して行うようにした。それによって、通話またはデータ通信と、放送を同時に行うことができ、しかもこの場合、従来の有線放送電話網と比べ、より大量の情報を、より高い品質で伝送することができる。
【0027】
以上、本発明を好ましい1実施例に基づいて説明したが、本発明の構成は、この実施例に限定されるものではない。
例えば、近年、公衆電話交換網がIP(インターネットプロトコル)方式のNGN(次世代ネットワーク)に置き換わりつつあるが、これに伴って、本発明の地域電話網を構成する電話交換機および中継回線の一部または全部が回線交換方式に相当する機能および性能を有し、通信の品質が保証される場合には、当該電話交換機または中継回線の一部または全部をIP方式の装置として構成することができる。
【0028】
また、例えば、上記実施例では、ISDN64に準拠したデジタル加入者回線を使用したが、その代わりに、ISDN1500に準拠したデジタル加入者回線を使用することもできる。あるいは、任意の多重度(チャンネル数)のデジタル加入者回線とすることもできる。
そして、加入者回線がISDN1500に準拠する構成とした場合には、例えば、図4(B)に示すように、加入者回線が、伝送速度が64kbpsの24チャンネルを有するようにし、24チャンネルのうち、2チャンネルを放送用チャンネル、21チャンネルを通話用チャンネル、1チャンネルを制御チャンネルとして使用する等して、複数の放送用チャンネルを設けることもできる。この場合には、端末ユニットに複数の電話機および複数のデータ通信端末機を接続して同時使用できるとともに、複数の放送用チャンネルのうちの所望のチャンネルを聴取することができる。
【0029】
この構成によれば、ユーザーは、端末ユニットを使用して、複数の放送用チャンネルのうち所望のチャンネルを選択し、放送を聴取することができる。また、この構成によれば、複数の通話用チャンネルを確保することができ、それによって、ユーザーは、放送を聴取しながら、電話機による通話とデータ通信端末機によるデータ通信を同時に行うことができる。さらに、端末ユニットにマイクを接続し、マイクから出力される音声信号を、空いた1つの通話用チャンネルを使用して伝送可能とすることにより、1つの端末ユニットから他の複数の端末ユニットへ音声を伝達するページング機能を実現することができる。
また、端末ユニットにマイクを接続する代わりに、端末ユニットに接続された電話機からページング機能を示す番号をダイヤルし、電話機の通話器をマイクの代わりに使用することもできる。あるいは、ページング機能を実現するにあたり、放送設備から送信される放送信号は、複数の端末ユニットに対して放送用チャンネルを一方向に伝送されるので、音声信号は、ページングを行う端末ユニットのみから放送設備に向けて同一の放送用チャンネルの逆方向に伝送させることで、設備を効率的に使用することができる。
【0030】
サービス地域が広範囲にわたり、多数のユーザが利用する場合には、図5に示すように、サービス地域を分割し、分割した地域毎に、例えば、当該地域の集会所30a、30bに集線交換機を配置し、集線交換機に各ユーザーの加入者回線を収容するとともに、各集線交換機と、放送センサー31に配置したセンター側交換機とを中継回線で接続すればよい。センター側交換機および集線交換機は、電話交換機1またはそれと同等の機能をもつ交換機から構成すればよい。
また、中継回線が複数の回線(伝送路)で構成されるときは、回線毎に通話用チャンネルと放送用チャンネルを振り分けることもできる。
また、中継回線と加入者回線のISDN回線を、デジタルテレビ放送やインターネットサービス用の光ケーブルや高速伝送回線に重畳することで、セキュリティを確保して、より低コスト化することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 電話交換機
2〜4 デジタル加入者回線
5 デジタル中継回線
6〜8 DSU
9〜11 端末ユニット
12 通話路スイッチ網
13a 制御装置
13b 記憶装置
14a〜14c 加入者回路
15a、15b 信号装置
16a〜16c OCU
17 放送設備
18 CODEC
19a、19b 電話機
19c データ通信端末機
19b、20b、21b スピーカ
22 TA
22a アナログポート
22b デジタルポート
22c S/Tインターフェース
23 制御部
24 CODEC
25 アンプ
26 ディスプレイ
27 S/Tポート
28 第1のコネクタ
29 第2のコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線交換方式の1または複数の電話交換機と、
前記電話交換機に収容された少なくとも1本のデジタル中継回線および複数本のデジタル加入者回線と、
前記デジタル加入者回線のそれぞれに回線終端装置を介して接続された端末ユニットと、を備え、前記端末ユニットには、スピーカが備えられるとともに、少なくとも1台の電話機またはデータ通信端末機またはそれらの両方が接続され、さらに、
放送設備と、
前記放送設備の放送信号をデジタル信号に変換して前記電話交換機に出力する手段と、を備え、
前記デジタル中継回線および前記デジタル加入者回線は、通話用チャンネル、放送用チャンネルおよび制御チャンネルを有し、
前記電話交換機は、前記電話機間、および前記データ通信端末機間、および前記電話機および前記データ通信端末機と前記デジタル中継回線との間で交換接続し、通話信号を、前記デジタル加入者回線の前記通話用チャンネルを使用して伝送する一方、前記放送設備から前記端末ユニットへの放送信号は、当該放送信号を受信する複数の前記デジタル加入者回線の前記放送用チャンネルに分配接続するとともに、当該放送用チャンネルを使用して伝送し、
前記端末ユニットは、前記電話機および前記データ通信端末機を前記デジタル加入者回線の前記通話用チャンネルに接続する一方、前記デジタル加入者回線の前記放送用チャンネルを通じた放送信号を前記スピーカに出力することを特徴とする地域電話網。
【請求項2】
前記電話交換機または前記デジタル中継回線の一部または全部が、インターネットプロトコル方式の装置として構成されることを特徴とする請求項1に記載の地域電話網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−205168(P2011−205168A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67516(P2010−67516)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(591277153)甲賀電子株式会社 (3)
【Fターム(参考)】