地盤改良混合攪拌装置
【構成】地盤を掘削し掘削土と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法に使用される図1(A)に示される混合攪拌装置であって、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとを同一面上に位置させてなる地盤改良混合攪拌装置。攪拌部材4の両端部に掘削部材1の掘削羽根101に平行の突出部400を設けその先端ラインと掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインとを同一面上に位置させる。又、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材4A、第2の攪拌部材4B及び第3の攪拌部材4Cからなる3つの攪拌部材を備えさせるようにする。
【効果】 撹拌混練の際の剪断力が向上し粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができ、掘削の速度が向上し地盤改良作業をより一層短期間で完了させることができる。
【効果】 撹拌混練の際の剪断力が向上し粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができ、掘削の速度が向上し地盤改良作業をより一層短期間で完了させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良混合攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤や埋め立て地などの地盤の強度が比較的に弱い場所において、地盤に改良を施して、建造物を構築する場合、コンクリ−ト等で製造された杭を打ち込む工法があるが、騒音問題などで敬遠されつつある。
一方、当該工法に代わり、地盤に穴を掘削してその掘削土にセメントや凝固剤や硬化剤等と称される注入材(固化材)を注入し混合攪拌により杭を形成するという工法(場所打ち杭構築工法)が行われている。
従来、当該穴の掘削には、ベ−スマシン等が用いられ、攪拌軸(回転ロッド、回転軸、掘削軸)の掘削先端部側には、掘削部材が取付けられ、又、その上部には上下方向に複数の撹拌棒、攪拌翼などの撹拌部材を取付け、当該撹拌軸の回転に伴い掘削部材及び撹拌部材を回転させ当該場所打ち杭構築工法を行っている。
当該掘削部材は、例えば、掘削羽根と掘削攪拌翼とを有してなり、その中央等には、注入材(固化材)の吐出口が設けられ、掘削部材により掘削された掘削土に、当該吐出口から吐出した固化材が混合され、撹拌部材の攪拌と相俟って地盤改良の為の上記工法が行われる。
【0003】
図1(B)は、従来例を示したもので、掘削部材1は、掘削羽根(攪拌刃)101と掘削攪拌翼102とを有してなり、その中央には、注入材(固化材)の吐出口2が設けられており、掘削羽根101と掘削攪拌翼102とからなる当該掘削部材1は、掘削軸3により、例えば当該図示のように、左回転しつつ、地盤に穴を掘削する。その掘削土には、当該掘削部材1の吐出口2から吐出された固化材が注入される。
一方、撹拌部材4は、上記の掘削羽根101とは逆回転し、例えば当該図示のように、右回転して撹拌を行い、固化材が注入された掘削土を攪拌して、固化材と掘削土との混合攪拌を行って上記工法が行われる。
尚、地盤改良混合攪拌装置には、単軸の攪拌軸のものと、相互に逆方向に回転する外軸と内軸の二重軸に構成し、互いに上記のように、内外軸で反対方向に回転させてなる地盤改良装置が提案されている。
又、所謂複数の攪拌部材が一緒に回ってしまうという共回り現象を防止する為に、共回り防止の攪拌部材を取付けたりすることも行われている。
【0004】
図1(B)に示す従来例は、その図示のように、左回転する掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと、右回転する当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとの間が離隔されており、当該掘削部材1と当該攪拌部材4との間には段差Sがある。
この場合、混合攪拌は、当該掘削部材1の上辺と当該攪拌部材4の下辺との間の領域E1で行われ、充分な剪断による撹拌混練が行えず、特に、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合には充分な剪断による撹拌混練が行えない場合があるという欠点がある。
従来例のような当該掘削部材1と当該攪拌部材4との間に段差がある地盤改良装置の特許の例としては、特開平1−17917号公報、特公平3−40166号公報、特開平6−193047号公報、特開平6−193059号公報、特開平10−159083号公報等があり、従来例の殆んどは、当該段差を有する地盤改良装置である。
一方、特開2007−247241号公報には、外軸側掘削攪拌手段107と内軸側掘削攪拌手段106の上下方向の相互位置を調節可能にした地盤改良装置が記載されており、当該外軸側掘削攪拌手段107と内軸側掘削攪拌手段106との高さを調節することにより、地盤の状況に合わせた掘削が可能になると記載されている。しかしながら、当該地盤改良装置では、当該外軸側掘削攪拌手段107と内軸側掘削攪拌手段106との高さを調節するための調節手段を必要とし、内外軸の駆動装置に加えて新たに当該調節手段としての油圧シリンダを設置する必要があり、当該地盤改良装置をコスト高にし、又、当該公報には、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し下げるとか、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し上げるとか記載されているだけで(当該公報の段落0045および0048参照)、高さ調節といっても、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106と同一面にするという技術思想は記載されていない。
特開2008−75255号公報にも、同様に、外軸側掘削攪拌手段20及び内軸側掘削攪拌手段10を高さ調節手段38により互いの上下間隔を調整するという技術が記載されているが、上記公報と同様に、当該外軸側掘削攪拌手段20と内軸側掘削攪拌手段10との高さを調節するための高さ調節手段38を必要とし、内外軸の駆動装置に加えて新たに当該調節手段としてのピストン式シリンダ−(当該公報請求項2参照)や油圧シリンダ(当該公報の段落0030参照)を設置する必要があり、当該地盤改良装置をコスト高にし、又、当該公報には、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し下げるとか、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し上げるとか記載されているだけで(当該公報の段落0045および0048参照)、高さ調節といっても、当該外軸側掘削攪拌手段20の径大翼部21を内軸側掘削攪拌手段10の径小翼部11とを離設可能とするということで、内軸側掘削攪拌手段10の掘削ピット12と外軸側掘削攪拌手段20の掘削ピット23とを同一面にするという技術思想は記載されていない。
更に、特開2008−297698号公報には、高さ調節手段を介して上下動可能に設けられた攪拌手段を有する地盤改良装置が記載されており(当該公報の請求項2参照)、当該高さ調節手段がピストン式シリンダ−からなると共に、外軸に対して内軸を上下動するようにした地盤改良装置が記載されている(当該公報請求項3参照)。即ち、当該地盤改良装置でも、高さ調節手段として新たにピストン式シリンダ−を必要とし、更には、外軸に対して内軸を上下動するようにする手段が必要である。
尚、逆ではあるが、当該外軸を内軸に沿って強制的に上下動できるようにした技術は、特開平10−60878号公報に記載されており、当該特開平10−60878号公報では、外軸6の下端部に上下2段の攪拌翼12及び攪拌翼13を取付けて、当該外軸6を内軸1に沿って強制的に上下動できるようにして、これらの攪拌翼12及び攪拌翼13を上下させるというもので、特開2008−297698号公報も、高さ調節手段9(ピストン式シリンダ−)を介して攪拌手段8(攪拌翼8A、8B)が上下動可能に設けられていることで、これら公報が共通しているのは、攪拌手段8や攪拌翼12及び攪拌翼13が上下するだけで、地盤改良装置先端の掘削手段7や掘削手段11との関係については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−17917号公報、特公平3−40166号公報、特開平6−193047号公報、特開平6−193059号公報、特開平10−159083号公報、特開2007−247241号公報、特開2008−75255号公報、特開2008−297698号公報、特開平10−60878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する欠点を解消した新規な地盤改良装置に関する技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、地盤を掘削し、掘削土と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法に使用される混合攪拌装置において、掘削先端の掘削部材の掘削羽根の先端ラインと当該掘削部材に連設した攪拌部材の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項2に記載のように、地盤改良混合攪拌装置が、攪拌部材の両端部に、掘削部材の掘削羽根に平行の突出部を設け、当該突出部の先端ラインと掘削部材の掘削羽根の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項3に記載のように、掘削部材及び突出部を設けてなる攪拌部材が共に、回転軸に固定されてなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項4に記載のように、突出部が設けられた攪拌部材(第1の攪拌部材)と、掘削部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第2の攪拌部材)と、前記第1の攪拌部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第3の攪拌部材)とを備え、当該第1の攪拌部材と第2の攪拌部材と第3の攪拌部材との回転方向が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つように構成してなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項5に記載のように、地盤改良混合攪拌装置が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材、第2の攪拌部材及び第3の攪拌部材からなる3つの攪拌部材を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掘削先端の掘削部材の掘削羽根の先端ラインと当該掘削部材に連設した攪拌部材の先端ラインとを同一面上に位置させてなるので、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。掘削の速度が向上し、地盤改良作業をより一層短期間で完了させることができる。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項2に記載のように、攪拌部材の両端部に、掘削部材の掘削羽根に平行の突出部を設け、当該突出部の先端ラインと掘削部材の掘削羽根の先端ラインとを同一面上に位置させてなると、当該突出部により、当該突出部と掘削部材との間での攪拌混合が行われ、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができ、又、より一層、掘削の速度が向上し、地盤改良作業をより一層短期間で完了させることができる。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項3に記載のように、掘削部材及び突出部を設けてなる攪拌部材が共に、回転軸に固定されてなるようにすれば、従来例のように、新たに高さ調節手段を必要とせず、地盤改良混合攪拌装置を安価に供することができ、又、装置を複雑化しなくて済む。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項4に記載のように、上記請求項1〜3の構成の地盤改良混合攪拌装置に加えて、突出部が設けられた攪拌部材(第1の攪拌部材)と、掘削部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第2の攪拌部材)と、前記第1の攪拌部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第3の攪拌部材)とを備え、当該第1の攪拌部材と第2の攪拌部材と第3の攪拌部材との回転方向が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つように構成すると、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つことにより、正逆方向の掘削土(固化材)の移動を行わせて掘削土(固化材)の地盤中での対流攪拌を生じさせることもできる。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項5に記載のように、地盤改良混合攪拌装置が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材、第2の攪拌部材及び第3の攪拌部材からなる3つの攪拌部材を備えてなることにより、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つことにより、正逆方向の掘削土(固化材)の移動を行わせて掘削土(固化材)の地盤中での対流攪拌を生じさせることもでき、又、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0010】
実施例1
図1(A)に示すように、本発明では、その地盤改良混合攪拌装置X1において、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根(攪拌刃)101の先端ラインと、当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとを同一面上に位置させてなるようにする。
図1(A)に示すように、左回転する掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと、右回転する当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとの間に段差を設けないようにする。
図1(A)に示すように、攪拌部材4の両端部に、掘削部材1の掘削羽根101に平行の突出部400を設け、当該突出部400の先端ラインと掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインとを同一面上に位置させるようにする。
図1(A)に示すように、掘削部材1の掘削攪拌翼102と攪拌部材4と当該攪拌部材4の突出部400とで区画形成される領域E2を持つようにする。
当該地盤改良混合攪拌装置では、従来例と同様に、掘削部材1は、掘削羽根(攪拌刃)101と掘削攪拌翼102とを有してなり、その中央には、注入材(固化材)の吐出口2が設けられており、掘削羽根101と掘削攪拌翼102とからなる当該掘削部材1は、掘削軸3により、例えば当該図示のように、左回転しつつ、地盤に穴を掘削する。その掘削土には、当該掘削部材1の吐出口2から吐出された固化材が注入される。
一方、撹拌部材4は、上記の掘削羽根101とは逆回転し、例えば当該図示のように、右回転して撹拌を行い、固化材が注入された掘削土を攪拌して、固化材と掘削土との混合攪拌を行って上記工法が行われる。撹拌部材4は、上記の掘削羽根101のようなビットを有せず、突出部400の先端には、ビットを有さない。
掘削部材1や撹拌部材4は、掘削軸3に固定して取付けられる。
図1(A)及び(B)に示すように、突出部400を有する攪拌部材4の上部には、攪拌棒5が掘削軸3に直角に取付けられ、当該攪拌棒5は、掘削軸3の回転に伴い、掘削部材1と共に、例えば当該図示のように、左回転する。
当該攪拌棒5は、掘削軸3の回転で上記のように左回転して、撹拌部材4と同様に、右回転しないように、即ち、所謂共回り現象を防止することができる。
上記実施例のように、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと攪拌部材4の先端ラインとの間に段差を設けないように、その好ましい実施態様として、攪拌部材4の両端部に掘削部材1の掘削羽根101に平行の突出部400を設け当該突出部400の先端ラインと掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインとを同一面上に位置させると、従来例に比較して、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができ、剪断領域が掘削部材1の掘削攪拌翼102と攪拌部材4と当該攪拌部材4の突出部400とで区画形成される領域E2に増大し、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。
【0011】
実施例2
図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2は、上記の地盤改良混合攪拌装置X1に更に改良を施したもので、図2に示すように、上記の突出部400が設けられた攪拌部材4(第1の攪拌部材4A)と、掘削部材1と同じ方向に回転する攪拌部材4(第2の攪拌部材4B)と、当該突出部400が設けられた第1の攪拌部材4Aと同じ方向に回転する攪拌部材4(第3の攪拌部材4C)を備えてなる。
図示のように、第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとは、当該第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとを連設する連設部401及び402を介して連設されており、同じ方向に回転するようになっている。
第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bと第3の攪拌部材4Cとの回転方向は、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ。
第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bとは、正逆回転の関係に立ち、第1の攪拌部材4Aが例えば左回転の正回転すれば、第2の攪拌部材4Bは、右回転の逆回転する。
第2の攪拌部材4Bが、右回転の逆回転すると、第3の攪拌部材4Cは、左回転の正回転をする。
第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとは、常に、同じ方向に回転するが、第2の攪拌部材4Bは、当該第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとは、逆回転するので、第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bと第3の攪拌部材4Cとの回転方向は、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つことになる。
上記実施例2のように、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと攪拌部材4の先端ラインとの間を同一面上に位置させるようにし、且つ、第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bと第3の攪拌部材4Cとの回転方向を、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つようにすることにより、上記実施例1にも増して、撹拌混練の際の剪断力がより一層向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、より一層剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。
【0012】
図3は、図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の左側面図で、図3に示すように、第3の攪拌部材4Cは掘削軸3の内軸3A及び外軸3Bの両側に位置している。
図4は、図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の右側面図で、図4に示すように、第1の攪拌部材4Aは掘削軸3の内軸3Aの両側に位置している。
図5は、図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2において、A方向からの矢視図で、図5に示すように、第2の攪拌部材4Bは掘削軸3の内軸3Aの両側に位置している。
【0013】
図6は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の内軸3Aを中心とした分解図で、図6に示すように、内軸3Aに取付けられた第2の攪拌部材4Bと掘削部材1とは同じ方向に回転するようになっている。
図7は、同図6の左側面図で、内軸3Aに取付けられた第2の攪拌部材4Bは、掘削軸3の内軸3Aの両側に位置している。第2の攪拌部材4Bはスパイラル状に取付けられている。
図8は、同図6の右側面図で、掘削部材1は内軸3Aに取付けられている。
【0014】
図9は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の外軸3Bを中心とした分解図で、図9に示すように、外軸3Bに取付けられた第3の攪拌部材4Cと第1の攪拌部材4Aととは同じ方向に回転するようになっている。
第1の攪拌部材4Aの両端部から突出した突出部400は、第1の攪拌部材4Aと同じ方向に回転するが、前記のように、当該突出部400は、掘削部材1の掘削羽根101に対して平行に設けられているので、当該掘削羽根101と同じ縦方向に回転する。
図10は、同図9の左側面図で、外軸3Bに取付けられた第3の攪拌部材4Cは、掘削軸3の外軸3Bの両側に位置している。第3の攪拌部材4Cは、スパイラル状に取付けられている。
図11は、同図9の右側面図で、外軸3Bに取付けられた第1の攪拌部材4Aは、掘削軸3の外軸3Bの両側に位置している。第1の攪拌部材4Aは、スパイラル状に取付けられている。
上記分解図に示すように、本発明による地盤改良混合攪拌装置は、掘削部材1、攪拌部材4A、4B及び4Cがそれぞれ独立したパ−ツとなって全体が組み立てられているため、各損傷具合により当該パ−ツの交換が容易なようになっている。
【0015】
上記の地盤改良混合攪拌装置X1及び地盤改良混合攪拌装置X2は、例えば、図12に示すような移動可能なベ−スマシンBの駆動モータMの下部に、上記の地盤改良混合攪拌装置X2の掘削軸3を装着し、当該撹拌軸3の内外軸3A,3Bの回転に伴い掘削部材1及び3つの撹拌部材4A、4B及び4Cを回転させ、軟弱地盤や埋め立て地などの地盤の強度が比較的に弱い地盤に穴を掘削して、その掘削土にセメントや凝固剤や硬化剤等と称される注入材(固化材)を注入し混合攪拌により杭を形成して場所打ち杭構築工法を行う。
ベ−スマシンBには、掘削羽根101と攪拌部材4との特別な高さ調節手段としての油圧シリンダやピストン式シリンダ−を設置する必要がないので、安価な地盤改良混合攪拌装置X1及び地盤改良混合攪拌装置Xを提供できる。
掘削先端の掘削部材1の掘削羽根(攪拌刃)101の先端ラインと当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとは同一面上に位置させてなるので、当該掘削部材1と第1の攪拌部材4Aとは、掘削先端において共に掘削と攪拌を行う。
掘削部材1の掘削攪拌翼102と第1の攪拌部材4Aと当該第1の攪拌部材4Aの突出部400とで区画形成される領域E2において、固化材と掘削土との混合攪拌が行なわれ、その領域E2において優れた剪断力が発揮される。
【0016】
図13に従って本発明の利点を説明する。
図13(B)は、本発明の地盤改良混合攪拌装置を示す。本発明の掘削部材1と攪拌部材4との先端ラインを同一面上に位置させてなる地盤改良混合攪拌装置によれば、図示のように、土壌の先端面から既に掘削部材1による掘削と攪拌部材4による攪拌とが同時に行われ、土壌の先端面から既に当該掘削部材1による掘削と攪拌部材4による剪断効果が表れ、従って、地盤改良の為に掘削部材1と攪拌部材4との共同作用で地盤中に杭を形成していくその作業時間を著しく短縮することができる。
これに対して、図13(A)は、高さ調節により、掘削部材1の上部の離隔した位置に攪拌部材4を位置させた場合である。図示のように、掘削は早く行われても、掘削した掘削土は、一旦上昇していって掘削部材1からの離れた位置で攪拌部材4と攪拌混合される。その為、掘削と攪拌による剪断も掘削部材1の上部の離れた位置で行われ、杭形成の作業時間も、本発明に比較して遅くなる。
同様に、図13(C)のように、高さ調節により、攪拌部材4の下部に掘削部材1を位置させた場合、図示のように、攪拌が掘削より早く行われ、土壌先端面での掘削が遅れる。本発明のような土壌の先端面から既に当該掘削部材1による掘削と攪拌部材4による剪断効果が表れるということはない。従って、本発明のように、地盤改良の為に掘削部材1と攪拌部材4との共同作用で地盤中に杭を形成していくその作業時間を短縮することはできない。
【0017】
本発明は上記実施例に限定されず、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、掘削部材を回転させながら地盤を掘削し、掘削した土壌と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法の全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1Aは、本発明の実施例を示す地盤改良混合攪拌装置の断面図、図1Bは、従来例の地盤改良混合攪拌装置の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す地盤改良混合攪拌装置の断面図である。
【図3】図2の地盤改良混合攪拌装置の左側面図である。
【図4】図2の地盤改良混合攪拌装置の右側面図である。
【図5】図2の地盤改良混合攪拌装置のA方向から見た矢視図である。
【図6】図6は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の内軸3Aを中心とした分解図である。
【図7】図7は、同図6の左側面図である。
【図8】図8は、同図6の右側面図である。
【図9】図9は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の外軸3Bを中心とした分解図である。
【図10】図10は、同図9の左側面図である。
【図11】図11は、同図9の右側面図である。
【図12】本発明の地盤改良混合攪拌装置の一例使用説明図である。
【図13】(A)高さ調節により、掘削部材の上部に攪拌部材を位置させた場合の説明図、(B)本発明の掘削部材と攪拌部材との先端ラインを同一面上に位置させてなる地盤改良混合攪拌装置の説明図、(C)高さ調節により、攪拌部材の下部に掘削部材を位置させた場合の説明図である。
【0020】
1 掘削部材
2 吐出口
3 掘削軸
3A 内軸
3B 外軸
4 攪拌部材
4A 第1の攪拌部材
4B 第2の攪拌部材
4C 第3の攪拌部材
101 掘削羽根
102 掘削翼
400 突出部
E1 従来例領域
E2 本発明領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良混合攪拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤や埋め立て地などの地盤の強度が比較的に弱い場所において、地盤に改良を施して、建造物を構築する場合、コンクリ−ト等で製造された杭を打ち込む工法があるが、騒音問題などで敬遠されつつある。
一方、当該工法に代わり、地盤に穴を掘削してその掘削土にセメントや凝固剤や硬化剤等と称される注入材(固化材)を注入し混合攪拌により杭を形成するという工法(場所打ち杭構築工法)が行われている。
従来、当該穴の掘削には、ベ−スマシン等が用いられ、攪拌軸(回転ロッド、回転軸、掘削軸)の掘削先端部側には、掘削部材が取付けられ、又、その上部には上下方向に複数の撹拌棒、攪拌翼などの撹拌部材を取付け、当該撹拌軸の回転に伴い掘削部材及び撹拌部材を回転させ当該場所打ち杭構築工法を行っている。
当該掘削部材は、例えば、掘削羽根と掘削攪拌翼とを有してなり、その中央等には、注入材(固化材)の吐出口が設けられ、掘削部材により掘削された掘削土に、当該吐出口から吐出した固化材が混合され、撹拌部材の攪拌と相俟って地盤改良の為の上記工法が行われる。
【0003】
図1(B)は、従来例を示したもので、掘削部材1は、掘削羽根(攪拌刃)101と掘削攪拌翼102とを有してなり、その中央には、注入材(固化材)の吐出口2が設けられており、掘削羽根101と掘削攪拌翼102とからなる当該掘削部材1は、掘削軸3により、例えば当該図示のように、左回転しつつ、地盤に穴を掘削する。その掘削土には、当該掘削部材1の吐出口2から吐出された固化材が注入される。
一方、撹拌部材4は、上記の掘削羽根101とは逆回転し、例えば当該図示のように、右回転して撹拌を行い、固化材が注入された掘削土を攪拌して、固化材と掘削土との混合攪拌を行って上記工法が行われる。
尚、地盤改良混合攪拌装置には、単軸の攪拌軸のものと、相互に逆方向に回転する外軸と内軸の二重軸に構成し、互いに上記のように、内外軸で反対方向に回転させてなる地盤改良装置が提案されている。
又、所謂複数の攪拌部材が一緒に回ってしまうという共回り現象を防止する為に、共回り防止の攪拌部材を取付けたりすることも行われている。
【0004】
図1(B)に示す従来例は、その図示のように、左回転する掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと、右回転する当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとの間が離隔されており、当該掘削部材1と当該攪拌部材4との間には段差Sがある。
この場合、混合攪拌は、当該掘削部材1の上辺と当該攪拌部材4の下辺との間の領域E1で行われ、充分な剪断による撹拌混練が行えず、特に、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合には充分な剪断による撹拌混練が行えない場合があるという欠点がある。
従来例のような当該掘削部材1と当該攪拌部材4との間に段差がある地盤改良装置の特許の例としては、特開平1−17917号公報、特公平3−40166号公報、特開平6−193047号公報、特開平6−193059号公報、特開平10−159083号公報等があり、従来例の殆んどは、当該段差を有する地盤改良装置である。
一方、特開2007−247241号公報には、外軸側掘削攪拌手段107と内軸側掘削攪拌手段106の上下方向の相互位置を調節可能にした地盤改良装置が記載されており、当該外軸側掘削攪拌手段107と内軸側掘削攪拌手段106との高さを調節することにより、地盤の状況に合わせた掘削が可能になると記載されている。しかしながら、当該地盤改良装置では、当該外軸側掘削攪拌手段107と内軸側掘削攪拌手段106との高さを調節するための調節手段を必要とし、内外軸の駆動装置に加えて新たに当該調節手段としての油圧シリンダを設置する必要があり、当該地盤改良装置をコスト高にし、又、当該公報には、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し下げるとか、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し上げるとか記載されているだけで(当該公報の段落0045および0048参照)、高さ調節といっても、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106と同一面にするという技術思想は記載されていない。
特開2008−75255号公報にも、同様に、外軸側掘削攪拌手段20及び内軸側掘削攪拌手段10を高さ調節手段38により互いの上下間隔を調整するという技術が記載されているが、上記公報と同様に、当該外軸側掘削攪拌手段20と内軸側掘削攪拌手段10との高さを調節するための高さ調節手段38を必要とし、内外軸の駆動装置に加えて新たに当該調節手段としてのピストン式シリンダ−(当該公報請求項2参照)や油圧シリンダ(当該公報の段落0030参照)を設置する必要があり、当該地盤改良装置をコスト高にし、又、当該公報には、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し下げるとか、当該外軸側掘削攪拌手段107を内軸側掘削攪拌手段106に対して少し上げるとか記載されているだけで(当該公報の段落0045および0048参照)、高さ調節といっても、当該外軸側掘削攪拌手段20の径大翼部21を内軸側掘削攪拌手段10の径小翼部11とを離設可能とするということで、内軸側掘削攪拌手段10の掘削ピット12と外軸側掘削攪拌手段20の掘削ピット23とを同一面にするという技術思想は記載されていない。
更に、特開2008−297698号公報には、高さ調節手段を介して上下動可能に設けられた攪拌手段を有する地盤改良装置が記載されており(当該公報の請求項2参照)、当該高さ調節手段がピストン式シリンダ−からなると共に、外軸に対して内軸を上下動するようにした地盤改良装置が記載されている(当該公報請求項3参照)。即ち、当該地盤改良装置でも、高さ調節手段として新たにピストン式シリンダ−を必要とし、更には、外軸に対して内軸を上下動するようにする手段が必要である。
尚、逆ではあるが、当該外軸を内軸に沿って強制的に上下動できるようにした技術は、特開平10−60878号公報に記載されており、当該特開平10−60878号公報では、外軸6の下端部に上下2段の攪拌翼12及び攪拌翼13を取付けて、当該外軸6を内軸1に沿って強制的に上下動できるようにして、これらの攪拌翼12及び攪拌翼13を上下させるというもので、特開2008−297698号公報も、高さ調節手段9(ピストン式シリンダ−)を介して攪拌手段8(攪拌翼8A、8B)が上下動可能に設けられていることで、これら公報が共通しているのは、攪拌手段8や攪拌翼12及び攪拌翼13が上下するだけで、地盤改良装置先端の掘削手段7や掘削手段11との関係については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−17917号公報、特公平3−40166号公報、特開平6−193047号公報、特開平6−193059号公報、特開平10−159083号公報、特開2007−247241号公報、特開2008−75255号公報、特開2008−297698号公報、特開平10−60878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する欠点を解消した新規な地盤改良装置に関する技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、地盤を掘削し、掘削土と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法に使用される混合攪拌装置において、掘削先端の掘削部材の掘削羽根の先端ラインと当該掘削部材に連設した攪拌部材の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項2に記載のように、地盤改良混合攪拌装置が、攪拌部材の両端部に、掘削部材の掘削羽根に平行の突出部を設け、当該突出部の先端ラインと掘削部材の掘削羽根の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項3に記載のように、掘削部材及び突出部を設けてなる攪拌部材が共に、回転軸に固定されてなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項4に記載のように、突出部が設けられた攪拌部材(第1の攪拌部材)と、掘削部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第2の攪拌部材)と、前記第1の攪拌部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第3の攪拌部材)とを備え、当該第1の攪拌部材と第2の攪拌部材と第3の攪拌部材との回転方向が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つように構成してなることを特徴とする。
本発明は、好ましい実施態様として、請求項5に記載のように、地盤改良混合攪拌装置が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材、第2の攪拌部材及び第3の攪拌部材からなる3つの攪拌部材を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、掘削先端の掘削部材の掘削羽根の先端ラインと当該掘削部材に連設した攪拌部材の先端ラインとを同一面上に位置させてなるので、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。掘削の速度が向上し、地盤改良作業をより一層短期間で完了させることができる。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項2に記載のように、攪拌部材の両端部に、掘削部材の掘削羽根に平行の突出部を設け、当該突出部の先端ラインと掘削部材の掘削羽根の先端ラインとを同一面上に位置させてなると、当該突出部により、当該突出部と掘削部材との間での攪拌混合が行われ、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができ、又、より一層、掘削の速度が向上し、地盤改良作業をより一層短期間で完了させることができる。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項3に記載のように、掘削部材及び突出部を設けてなる攪拌部材が共に、回転軸に固定されてなるようにすれば、従来例のように、新たに高さ調節手段を必要とせず、地盤改良混合攪拌装置を安価に供することができ、又、装置を複雑化しなくて済む。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項4に記載のように、上記請求項1〜3の構成の地盤改良混合攪拌装置に加えて、突出部が設けられた攪拌部材(第1の攪拌部材)と、掘削部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第2の攪拌部材)と、前記第1の攪拌部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第3の攪拌部材)とを備え、当該第1の攪拌部材と第2の攪拌部材と第3の攪拌部材との回転方向が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つように構成すると、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つことにより、正逆方向の掘削土(固化材)の移動を行わせて掘削土(固化材)の地盤中での対流攪拌を生じさせることもできる。
本発明によれば、好ましい実施態様として、請求項5に記載のように、地盤改良混合攪拌装置が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材、第2の攪拌部材及び第3の攪拌部材からなる3つの攪拌部材を備えてなることにより、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つことにより、正逆方向の掘削土(固化材)の移動を行わせて掘削土(固化材)の地盤中での対流攪拌を生じさせることもでき、又、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0010】
実施例1
図1(A)に示すように、本発明では、その地盤改良混合攪拌装置X1において、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根(攪拌刃)101の先端ラインと、当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとを同一面上に位置させてなるようにする。
図1(A)に示すように、左回転する掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと、右回転する当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとの間に段差を設けないようにする。
図1(A)に示すように、攪拌部材4の両端部に、掘削部材1の掘削羽根101に平行の突出部400を設け、当該突出部400の先端ラインと掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインとを同一面上に位置させるようにする。
図1(A)に示すように、掘削部材1の掘削攪拌翼102と攪拌部材4と当該攪拌部材4の突出部400とで区画形成される領域E2を持つようにする。
当該地盤改良混合攪拌装置では、従来例と同様に、掘削部材1は、掘削羽根(攪拌刃)101と掘削攪拌翼102とを有してなり、その中央には、注入材(固化材)の吐出口2が設けられており、掘削羽根101と掘削攪拌翼102とからなる当該掘削部材1は、掘削軸3により、例えば当該図示のように、左回転しつつ、地盤に穴を掘削する。その掘削土には、当該掘削部材1の吐出口2から吐出された固化材が注入される。
一方、撹拌部材4は、上記の掘削羽根101とは逆回転し、例えば当該図示のように、右回転して撹拌を行い、固化材が注入された掘削土を攪拌して、固化材と掘削土との混合攪拌を行って上記工法が行われる。撹拌部材4は、上記の掘削羽根101のようなビットを有せず、突出部400の先端には、ビットを有さない。
掘削部材1や撹拌部材4は、掘削軸3に固定して取付けられる。
図1(A)及び(B)に示すように、突出部400を有する攪拌部材4の上部には、攪拌棒5が掘削軸3に直角に取付けられ、当該攪拌棒5は、掘削軸3の回転に伴い、掘削部材1と共に、例えば当該図示のように、左回転する。
当該攪拌棒5は、掘削軸3の回転で上記のように左回転して、撹拌部材4と同様に、右回転しないように、即ち、所謂共回り現象を防止することができる。
上記実施例のように、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと攪拌部材4の先端ラインとの間に段差を設けないように、その好ましい実施態様として、攪拌部材4の両端部に掘削部材1の掘削羽根101に平行の突出部400を設け当該突出部400の先端ラインと掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインとを同一面上に位置させると、従来例に比較して、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができ、剪断領域が掘削部材1の掘削攪拌翼102と攪拌部材4と当該攪拌部材4の突出部400とで区画形成される領域E2に増大し、より一層、撹拌混練の際の剪断力が向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。
【0011】
実施例2
図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2は、上記の地盤改良混合攪拌装置X1に更に改良を施したもので、図2に示すように、上記の突出部400が設けられた攪拌部材4(第1の攪拌部材4A)と、掘削部材1と同じ方向に回転する攪拌部材4(第2の攪拌部材4B)と、当該突出部400が設けられた第1の攪拌部材4Aと同じ方向に回転する攪拌部材4(第3の攪拌部材4C)を備えてなる。
図示のように、第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとは、当該第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとを連設する連設部401及び402を介して連設されており、同じ方向に回転するようになっている。
第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bと第3の攪拌部材4Cとの回転方向は、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ。
第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bとは、正逆回転の関係に立ち、第1の攪拌部材4Aが例えば左回転の正回転すれば、第2の攪拌部材4Bは、右回転の逆回転する。
第2の攪拌部材4Bが、右回転の逆回転すると、第3の攪拌部材4Cは、左回転の正回転をする。
第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとは、常に、同じ方向に回転するが、第2の攪拌部材4Bは、当該第1の攪拌部材4Aと第3の攪拌部材4Cとは、逆回転するので、第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bと第3の攪拌部材4Cとの回転方向は、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つことになる。
上記実施例2のように、掘削先端の掘削部材1の掘削羽根101の先端ラインと攪拌部材4の先端ラインとの間を同一面上に位置させるようにし、且つ、第1の攪拌部材4Aと第2の攪拌部材4Bと第3の攪拌部材4Cとの回転方向を、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つようにすることにより、上記実施例1にも増して、撹拌混練の際の剪断力がより一層向上し、粘性土からなる地盤のように硬化剤が混練し難いような場合にも、より一層剪断力が向上し、充分な剪断による撹拌混練を行うことができる。
【0012】
図3は、図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の左側面図で、図3に示すように、第3の攪拌部材4Cは掘削軸3の内軸3A及び外軸3Bの両側に位置している。
図4は、図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の右側面図で、図4に示すように、第1の攪拌部材4Aは掘削軸3の内軸3Aの両側に位置している。
図5は、図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2において、A方向からの矢視図で、図5に示すように、第2の攪拌部材4Bは掘削軸3の内軸3Aの両側に位置している。
【0013】
図6は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の内軸3Aを中心とした分解図で、図6に示すように、内軸3Aに取付けられた第2の攪拌部材4Bと掘削部材1とは同じ方向に回転するようになっている。
図7は、同図6の左側面図で、内軸3Aに取付けられた第2の攪拌部材4Bは、掘削軸3の内軸3Aの両側に位置している。第2の攪拌部材4Bはスパイラル状に取付けられている。
図8は、同図6の右側面図で、掘削部材1は内軸3Aに取付けられている。
【0014】
図9は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の外軸3Bを中心とした分解図で、図9に示すように、外軸3Bに取付けられた第3の攪拌部材4Cと第1の攪拌部材4Aととは同じ方向に回転するようになっている。
第1の攪拌部材4Aの両端部から突出した突出部400は、第1の攪拌部材4Aと同じ方向に回転するが、前記のように、当該突出部400は、掘削部材1の掘削羽根101に対して平行に設けられているので、当該掘削羽根101と同じ縦方向に回転する。
図10は、同図9の左側面図で、外軸3Bに取付けられた第3の攪拌部材4Cは、掘削軸3の外軸3Bの両側に位置している。第3の攪拌部材4Cは、スパイラル状に取付けられている。
図11は、同図9の右側面図で、外軸3Bに取付けられた第1の攪拌部材4Aは、掘削軸3の外軸3Bの両側に位置している。第1の攪拌部材4Aは、スパイラル状に取付けられている。
上記分解図に示すように、本発明による地盤改良混合攪拌装置は、掘削部材1、攪拌部材4A、4B及び4Cがそれぞれ独立したパ−ツとなって全体が組み立てられているため、各損傷具合により当該パ−ツの交換が容易なようになっている。
【0015】
上記の地盤改良混合攪拌装置X1及び地盤改良混合攪拌装置X2は、例えば、図12に示すような移動可能なベ−スマシンBの駆動モータMの下部に、上記の地盤改良混合攪拌装置X2の掘削軸3を装着し、当該撹拌軸3の内外軸3A,3Bの回転に伴い掘削部材1及び3つの撹拌部材4A、4B及び4Cを回転させ、軟弱地盤や埋め立て地などの地盤の強度が比較的に弱い地盤に穴を掘削して、その掘削土にセメントや凝固剤や硬化剤等と称される注入材(固化材)を注入し混合攪拌により杭を形成して場所打ち杭構築工法を行う。
ベ−スマシンBには、掘削羽根101と攪拌部材4との特別な高さ調節手段としての油圧シリンダやピストン式シリンダ−を設置する必要がないので、安価な地盤改良混合攪拌装置X1及び地盤改良混合攪拌装置Xを提供できる。
掘削先端の掘削部材1の掘削羽根(攪拌刃)101の先端ラインと当該掘削部材1に連設した攪拌部材4の先端ラインとは同一面上に位置させてなるので、当該掘削部材1と第1の攪拌部材4Aとは、掘削先端において共に掘削と攪拌を行う。
掘削部材1の掘削攪拌翼102と第1の攪拌部材4Aと当該第1の攪拌部材4Aの突出部400とで区画形成される領域E2において、固化材と掘削土との混合攪拌が行なわれ、その領域E2において優れた剪断力が発揮される。
【0016】
図13に従って本発明の利点を説明する。
図13(B)は、本発明の地盤改良混合攪拌装置を示す。本発明の掘削部材1と攪拌部材4との先端ラインを同一面上に位置させてなる地盤改良混合攪拌装置によれば、図示のように、土壌の先端面から既に掘削部材1による掘削と攪拌部材4による攪拌とが同時に行われ、土壌の先端面から既に当該掘削部材1による掘削と攪拌部材4による剪断効果が表れ、従って、地盤改良の為に掘削部材1と攪拌部材4との共同作用で地盤中に杭を形成していくその作業時間を著しく短縮することができる。
これに対して、図13(A)は、高さ調節により、掘削部材1の上部の離隔した位置に攪拌部材4を位置させた場合である。図示のように、掘削は早く行われても、掘削した掘削土は、一旦上昇していって掘削部材1からの離れた位置で攪拌部材4と攪拌混合される。その為、掘削と攪拌による剪断も掘削部材1の上部の離れた位置で行われ、杭形成の作業時間も、本発明に比較して遅くなる。
同様に、図13(C)のように、高さ調節により、攪拌部材4の下部に掘削部材1を位置させた場合、図示のように、攪拌が掘削より早く行われ、土壌先端面での掘削が遅れる。本発明のような土壌の先端面から既に当該掘削部材1による掘削と攪拌部材4による剪断効果が表れるということはない。従って、本発明のように、地盤改良の為に掘削部材1と攪拌部材4との共同作用で地盤中に杭を形成していくその作業時間を短縮することはできない。
【0017】
本発明は上記実施例に限定されず、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、掘削部材を回転させながら地盤を掘削し、掘削した土壌と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法の全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1Aは、本発明の実施例を示す地盤改良混合攪拌装置の断面図、図1Bは、従来例の地盤改良混合攪拌装置の断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す地盤改良混合攪拌装置の断面図である。
【図3】図2の地盤改良混合攪拌装置の左側面図である。
【図4】図2の地盤改良混合攪拌装置の右側面図である。
【図5】図2の地盤改良混合攪拌装置のA方向から見た矢視図である。
【図6】図6は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の内軸3Aを中心とした分解図である。
【図7】図7は、同図6の左側面図である。
【図8】図8は、同図6の右側面図である。
【図9】図9は、上記図2に示す地盤改良混合攪拌装置X2の外軸3Bを中心とした分解図である。
【図10】図10は、同図9の左側面図である。
【図11】図11は、同図9の右側面図である。
【図12】本発明の地盤改良混合攪拌装置の一例使用説明図である。
【図13】(A)高さ調節により、掘削部材の上部に攪拌部材を位置させた場合の説明図、(B)本発明の掘削部材と攪拌部材との先端ラインを同一面上に位置させてなる地盤改良混合攪拌装置の説明図、(C)高さ調節により、攪拌部材の下部に掘削部材を位置させた場合の説明図である。
【0020】
1 掘削部材
2 吐出口
3 掘削軸
3A 内軸
3B 外軸
4 攪拌部材
4A 第1の攪拌部材
4B 第2の攪拌部材
4C 第3の攪拌部材
101 掘削羽根
102 掘削翼
400 突出部
E1 従来例領域
E2 本発明領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を掘削し、掘削土と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法に使用される混合攪拌装置において、掘削先端の掘削部材の掘削羽根の先端ラインと当該掘削部材に連設した攪拌部材の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする地盤改良混合攪拌装置。
【請求項2】
地盤改良混合攪拌装置が、攪拌部材の両端部に、掘削部材の掘削羽根に平行の突出部を設け、当該突出部の先端ラインと掘削部材の掘削羽根の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする、請求項1に記載の地盤改良混合攪拌装置。
【請求項3】
掘削部材及び突出部を設けてなる攪拌部材が共に、回転軸に固定されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の地盤改良混合攪拌装置。
【請求項4】
地盤改良混合攪拌装置が、突出部が設けられた攪拌部材(第1の攪拌部材)と、掘削部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第2の攪拌部材)と、前記第1の攪拌部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第3の攪拌部材)とを備え、当該第1の攪拌部材と第2の攪拌部材と第3の攪拌部材との回転方向が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つように構成してなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の地盤改良混合攪拌装置。
【請求項5】
正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材、第2の攪拌部材及び第3の攪拌部材からなる3つの攪拌部材を備えてなることを特徴とする地盤改良混合攪拌装置。
【請求項1】
地盤を掘削し、掘削土と固化材とを混合して地盤中に杭を形成し地盤を改良する工法に使用される混合攪拌装置において、掘削先端の掘削部材の掘削羽根の先端ラインと当該掘削部材に連設した攪拌部材の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする地盤改良混合攪拌装置。
【請求項2】
地盤改良混合攪拌装置が、攪拌部材の両端部に、掘削部材の掘削羽根に平行の突出部を設け、当該突出部の先端ラインと掘削部材の掘削羽根の先端ラインとを同一面上に位置させてなることを特徴とする、請求項1に記載の地盤改良混合攪拌装置。
【請求項3】
掘削部材及び突出部を設けてなる攪拌部材が共に、回転軸に固定されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の地盤改良混合攪拌装置。
【請求項4】
地盤改良混合攪拌装置が、突出部が設けられた攪拌部材(第1の攪拌部材)と、掘削部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第2の攪拌部材)と、前記第1の攪拌部材と同じ方向に回転する攪拌部材(第3の攪拌部材)とを備え、当該第1の攪拌部材と第2の攪拌部材と第3の攪拌部材との回転方向が、正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つように構成してなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の地盤改良混合攪拌装置。
【請求項5】
正回転−逆回転−正回転又は逆回転−正回転−逆回転の関係に立つ第1の攪拌部材、第2の攪拌部材及び第3の攪拌部材からなる3つの攪拌部材を備えてなることを特徴とする地盤改良混合攪拌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−76273(P2013−76273A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217055(P2011−217055)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(511237667)株式会社 菊鷹産業 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(511237667)株式会社 菊鷹産業 (1)
【Fターム(参考)】
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