説明

地紋画像処理装置および地紋画像処理方法

【課題】QRコードまたは一次元バーコードなどのコードが目立たないように地紋画像の合成を行う。
【解決手段】画像形成装置1に、入力された原稿画像50の中からQRコードなどのコードを示す情報埋込パターン画像5Jを検出する情報埋込パターン検出部206と、情報埋込パターン画像5Jの濃度を所定の濃度に変更して濃度変更埋込画像5Nを生成する濃度変更部207と、スキャナによる読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点からなる地紋パターン5Gを原稿画像50に重ね、かつ、情報埋込パターン画像5Jを濃度変更埋込画像5Nに置き換えることによって、出力用の地紋入画像51を生成する、画像合成部209と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像に地紋画像を合成する装置および方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物の複写を制限したり著作権を管理したりするために、QR(Quick Response)コードまたは一次元バーコードなどのコードを印刷物に印刷することがある。
【0003】
しかし、このようなコードを印刷すると、印刷物の見栄えが悪くなることがある。また、コードの存在をユーザにあまり知られたくないこともある。よって、コードを目立たないように印刷することが求められる。
【0004】
ところで、情報を目立たないように印刷する方法として、地紋画像を用いる方法が提案されている。
【0005】
「地紋画像」は、図3に示すように、多数の残留ドット6Jおよび消去ドット6Sによって構成される。残留ドット6Jは、情報を文字列などによって表わしており、消去ドット6Sは、この文字列をカムフラージュ(迷彩)させている。
【0006】
残留ドット6Jおよび消去ドット6Sは、ともに、細かなドットであるが、残留ドット6Jはスキャナによる読取りが可能な大きさであり、消去ドット6Sは不能な大きさである。したがって、原本の用紙から資料をコピー機で複写すると、印刷物には、残留ドット6Jおよび消去ドット6Sのうちの残留ドット6Jのみが印刷される。
【0007】
そのほか、引用文献1には、次のような方法が提案されている。分割されて記憶されている文字データと修飾データとを合成して出力するにあたって、CPUは、前記文字データあるいは修飾データが存在するか否かを判別する。なお、地紋画像のデータが修飾データとして用いられる。そして、出力すべき前記文字データと修飾データがともに存在する場合に、前記修飾データが所定の密度を越えているか否かをさらに判別する。そして、前記修飾データが所定の密度を越えている場合は前記文字データの文字ドットに隣接する1ドット分をOFFした縁取りを行なった上で合成出力する。
【0008】
この方法によると、密度の大きい下地に文字を合成しても文字を見やすくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開8−180047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載される方法によると、QRコードまたは一次元バーコードなどのコードの一部の画素の濃度の有無が反転してしまう。
【0011】
しかし、このようなコードが印刷物から読み取られても、コンピュータは、コードを解析することができない。コードおよびその周囲に重ならないように、地紋画像を避けることが考えられる。しかし、そうすると、資料全体に対してコードが目立ってしまう。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑み、QRコードまたは一次元バーコードなどのコードが目立たないように地紋画像の合成を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態に係る地紋画像処理装置は、入力された入力画像の中からコードを示す画像であるコード画像を検出するコード画像検出手段と、検出された前記コード画像の濃度を所定の濃度に変更した濃度変更画像を生成する濃度変更画像生成手段と、画像を読み取る画像読取手段による読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点からなる地紋下地画像を前記入力画像に重ね、かつ、前記コード画像を前記濃度変更画像に置き換えることによって、出力用の出力画像を生成する、出力画像生成手段と、を有する。
【0014】
好ましくは、前記所定の濃度は、前記地紋下地画像の濃度である。
【0015】
または、前記変更画像生成手段は、前記濃度変更画像として、前記画像読取手段による読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点および当該各第二の孤立点の周囲に配置された複数の前記第一の孤立点からなる画像を、生成する。
【0016】
または、前記変更画像生成手段は、前記濃度変更画像として、画像読取手段による読取りが可能な複数の線および当該各線の周囲に配置された複数の前記第一の孤立点からなる画像を、生成する。
【0017】
または、前記変更画像生成手段は、前記濃度変更画像として、濃度を下げた前記コード画像および当該コード画像の周囲に配置された複数の前記第一の孤立点からなる画像を、生成する。
【0018】
本発明に他の一形態に係る地紋画像処理装置は、読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点および読取りが可能な画像である読取可能画像からなる地紋画像と、当該地紋画像の周囲の、読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点が重ねられた周囲画像とを、用紙から読み取る読取手段と、読み取られた前記読取可能画像の濃度を変更した濃度変更画像を生成する濃度変更画像生成手段と、読み取られた前記周囲画像および生成された前記濃度変更画像を含む出力用の出力画像を生成する出力画像生成手段と、を有する。
【0019】
または、前記読取可能画像は、読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点からなり、前記濃度変更画像生成手段は、前記読取可能画像をクロージング処理し、クロージング処理された前記読取可能画像の前記濃度を変更する。
【0020】
または、前記読取可能画像は、読取りが可能な複数の線からなり、前記濃度変更画像生成手段は、前記読取可能画像をクロージング処理し、クロージング処理された前記読取可能画像の前記濃度を変更する。
【0021】
または、前記読取可能画像は、コードを表わす所定の濃度以上の連続した画素群からなり、前記濃度変更画像生成手段は、前記読取可能画像を二値画像に変換し、当該二値画像の前記濃度を変更する。
【発明の効果】
【0022】
請求項1〜5、10に係る発明によると、QRコードまたは一次元バーコードなどのコードが目立たないように地紋画像の合成することができる。請求項6〜9、11に係る発明によると、請求項1〜5、10に係る発明によって得られた出力画像に含まれる濃度変更画像からコードの画像を好適に検出し、濃度を変えて再び出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】画像形成装置を含むプリントシステム全体の構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】地紋画像の例を示す図である。
【図4】原稿画像の例を示す図である。
【図5】地紋画像生成部の構成の例を示す図である。
【図6】情報埋込パターン画像および濃度変更埋込画像の例を示す図である。
【図7】読取画像処理部の構成の例を示す図である。
【図8】読取画像処理部の構成の例を示す図である。
【図9】読取画像処理部の構成の例を示す図である。
【図10】地紋画像生成部によって得られたコードの画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、画像形成装置1を含むプリントシステム全体の構成の例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、地紋画像の例を示す図である。
【0025】
図1に示す画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる装置であって、コピー、ネットワークプリンティング(PCプリント)、ファックス、およびスキャナなどの機能を集約した装置である。
【0026】
画像形成装置1は、LAN(Local Area Network)、公衆回線、またはインターネットなどの通信回線NWを介してパーソナルコンピュータ4などの装置と画像データのやり取りを行うこととができる。
【0027】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、大容量記憶装置10d、スキャナ10e、印刷装置10f、ネットワークインタフェース10g、タッチパネル10h、モデム10i、地紋入画像生成部10j、および読取画像処理部10kのほか制御用の回路などによって構成される。
【0028】
ネットワークインタフェース10gは、通信回線NWを介してパーソナルコンピュータなどの他の装置と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0029】
タッチパネル10hは、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが処理の指令および条件を入力するための画面、およびCPU10aの処理の結果を示す画面などを表示する。また、ユーザが指で触れた位置を検知し、検知結果を示す信号をCPU10aに送信する。
【0030】
スキャナ10eは、用紙に記されている写真、文字、絵、図表などの画像を読み取って画像データを生成する装置である。
【0031】
モデム10iは、固定電話網を介して他のファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りするための装置である。
【0032】
印刷装置10fは、スキャナ10eによって読み取られた画像のほか、パーソナルコンピュータ4または他のファックス装置などから受信した画像データに示される画像を印刷する。以下、これらの画像を「原稿画像50」と記載する。
【0033】
地紋入画像生成部10jは、原稿画像50に含まれるQRコードまたは文字などの画像を地紋画像に変換したり新たに地紋画像を追加したりすることによって、地紋入画像51を生成する。
【0034】
「地紋画像」は、一般に、図3に示すように、多数の小さなドットによって構成されるが、大きさは2種類ある。これらのドットは、互いに接することなく孤立している。つまり、これらのドットは、孤立点である。
【0035】
大きい方のドットは、スキャナによる読取りが可能であり、これらの集合によって文字などを表わしている。以下、大きいほうのドットを「残留ドット6J」と記載する。
【0036】
一方、小さい方のドットは、スキャナによる読取りが不能である。したがって、これらのドットが印刷された用紙に対してスキャンを行っても、これらのドットは読み取られないので消えてしまったように感じられる。そこで、以下、これらのドットを「消去ドット6S」と記載する。消去ドット6Sは、残留ドット6Jによって表わされる文字列をカムフラージュするために用いられる。
【0037】
図2に戻って、読取画像処理部10kは、スキャナ10eが読み取った地紋入画像51の中からカムフラージュされているQRコードまたは文字を抽出し、抽出したQRコードまたは文字の濃度を変更する処理を行う。
【0038】
図4は、原稿画像50の例を示す図である。図5は、地紋入画像生成部10jの構成の例を示す図である。図6は、情報埋込パターン画像5Jおよび濃度変更埋込画像5Nの例を示す図である。図7は、読取画像処理部10kの構成の例を示す図である。
【0039】
次に、図4に示す原稿画像50に対して処理を行う場合を例に、地紋入画像生成部10jの処理およびユーザの操作などについて説明する。図4に示す通り、原稿画像50には、文字、線、およびQRコードなどの画像のほか、三角形または円などのイラストが含まれている。
【0040】
地紋入画像生成部10jは、図5に示すように、エッジ検出部201、線幅検出部202、ドット密度検出部203、細線領域判定部204、ダイレーション処理部205、情報埋込パターン検出部206、濃度変更部207、地紋パターン生成部208、および画像合成部209などによって構成される。
【0041】
ユーザは、地紋画像とともに印刷したい原稿画像50を用意する。例えば、パーソナルコンピュータ4のワープロソフトまたは描画ソフトなどのアプリケーションを用いて原稿画像50を作成してもよい。または、用紙に原稿画像50を手書きしてもよい。以下、パーソナルコンピュータ4の描画ソフトを用いて、図4に示すような原稿画像50を作成した場合を例に説明する。
【0042】
ユーザは、描画ソフトで原稿画像50を作成し終えたら、印刷のコマンドをパーソナルコンピュータ4に対して入力する。この際に、地紋画像の付加のオプションを選択する。
【0043】
すると、パーソナルコンピュータ4は、原稿画像50の画像データのほか所定のコマンドを、画像形成装置1へ送信する。
【0044】
画像形成装置1において、画像データおよび所定のコマンドが受信されると、エッジ検出部201ないし地紋パターン生成部208は、次のような処理を実行する。
【0045】
エッジ検出部201は、原稿画像50に対してエッジ検出処理を施す。これにより、50に含まれる文字、線、QRコード、およびイラストそれぞれのエッジ(輪郭)の領域であるエッジ領域が検出される。
【0046】
線幅検出部202は、原稿画像50に含まれる線の幅を検出する。本実施形態では、線幅をドットの数によって表わすものとする。
【0047】
ドット密度検出部203は、原稿画像50の中の領域ごとに、単位面積当たりの所定の濃度以上のドットの数(以下、「ドット密度」と記載する。)を次のように検出する。
【0048】
ドット密度検出部203は、QRコードの場合は、QRコードを構成する所定の濃度以上のドットの数を、QRコードを囲む最小の長方形の面積で割ることによって、QRコードのドット密度を検出する。文字の場合も同様に、文字を構成する所定の濃度以上のドットの数を、文字を囲む最小の長方形の面積で割ることによって、文字のドット密度を検出する。イラストの場合は、イラストを構成する所定の濃度以上のドットの数を、イラストの面積で割ることによって、イラストのドット密度を検出する。または、複数の線が並んでいる場合は、これらの線を囲む領域のドット密度を、これらの線を構成する所定の濃度以上のドットの数をこの領域の面積で割ることによって、検出する。
【0049】
細線領域判定部204は、原稿画像50に含まれる線のうち、次の(1)〜(3)の条件をすべて満たしている線を「細線領域5H」として抽出する。
(1) エッジ検出部201によって抽出されたエッジ領域であること。
(2) 線幅検出部202によって検出された幅が所定の値(例えば、3ドット)以下である線であること。
(3) ドット密度検出部203によって検出されたドット密度が所定の値(例えば、0.5)以上であること。
【0050】
ダイレーション処理部205は、細線領域判定部204によって判定された細線領域5Hに対してダイレーションの処理を行い膨張させることによって、細線有領域5Yを検出する。つまり、細線領域5Hのそれぞれに対してダイレーションの処理を行うと、近傍の複数の領域同士がくっ付き、1つまたは複数の、ドットの塊になる。これらの塊の1つ1つが、細線有領域5Yである。
【0051】
地紋パターン生成部208は、濃度αの地紋のパターンを生成する。例えば、濃度αが10%である場合は、10画素に1つの割合で黒の消去ドット6Sが表れる地紋のパターンを生成する。以下、地紋パターン生成部208によって生成されるパターンを「地紋パターン5G」と記載する。なお、濃度αは、ユーザが任意に設定することができる。
【0052】
情報埋込パターン検出部206は、原稿画像50の中からQRコードおよび一次元バーコードなど、何らの情報を表した画像、つまり、何らかの情報が埋め込まれた画像を抽出する。以下、このような画像を「情報埋込パターン画像」と記載する。情報埋込パターン画像として、「12345−00000」のような、所定のフォーマットの文字列からなるコードを抽出してもよい。また、情報埋込パターン検出部206によって検出された情報埋込パターン画像を「情報埋込パターン画像5J」と記載する。
【0053】
濃度変更部207は、情報埋込パターン検出部206によって検出された情報埋込パターン画像5Jを、情報埋込パターンの濃度が濃度αになるように補正する。
【0054】
補正の方法として、例えば次の3つが挙げられる。ここで、図6(A)に示す文字を補正する場合を例に、3つの方法を説明する。
【0055】
1つ目の方法は、図6(B)に示すように、情報埋込パターン画像5Jの濃度を、βmax×αに変更する方法である。「βmax」は、階調の最大値であり、8ビットの階調つまり256階調の画像の場合は、「255」である。
【0056】
2つ目の方法は、図6(C)に示すように、残留ドット6Jで情報埋込パターン画像5Jを表わすが、情報埋込パターン画像5Jの全体の濃度が濃度αになるように、周囲のドットのピッチよりも距離を開けてドットを配置する、という方法である。
【0057】
3つ目の方法は、図6(D)に示すように、情報埋込パターン画像5Jを所定のパターンのスクリーンで表わす方法である。この場合も、情報埋込パターン画像5Jの全体の濃度が濃度αになるようにスクリーンの中の線の間隔を開ける。
【0058】
以下、濃度が補正された情報埋込パターン画像5Jを「濃度変更埋込画像5N」と記載する。
【0059】
画像合成部209は、濃度変更部207によって得られた濃度変更埋込画像5Nおよび地紋パターン生成部208によって得られた地紋パターン5Gを、次のように原稿画像50に配置することによって、地紋入画像51を生成する。
【0060】
画像合成部209は、原稿画像50から情報埋込パターン画像5Jを消去し、その情報埋込パターン画像5Jの位置に、その情報埋込パターン画像5Jに基づいて濃度変更部207によって生成された濃度変更埋込画像5Nを配置する。さらに、原稿画像50の全体に地紋パターン5Gを重ねる。ただし、細線有領域5Yには、地紋パターン5Gを重ねない。隣り合う2本の細線の鮮明さが失われてしまわないようにするためである。また、濃度変更埋込画像5Nにも地紋パターン5Gを重ねない。濃度変更埋込画像5Nには既に消去ドット6Sが打たれているからである。このような処理を原稿画像50に対して行うことによって、地紋入画像51が生成される。
【0061】
そして、画像合成部209によって生成された地紋入画像51は、印刷装置10fによって用紙に印刷される。
【0062】
ユーザは、用紙に印刷された地紋入画像51を画像形成装置1によって別の用紙に複写することができる。この際に、スキャナ10eは、その用紙から地紋入画像51を読み取る。また、読取画像処理部10kは、地紋入画像51の中の濃度変更埋込画像5Nの濃度を変更する処理を行う。以下、読取画像処理部10kについて、詳細に説明する。なお、読取画像処理部10kは、図6(B)に示したような多値(二値でない多階調)の情報埋込パターン画像が含まれる地紋入画像51に対して、特に好適に用いられる。
【0063】
スキャナ10eは、用紙をスキャンすることによって地紋入画像51を読み取る。ただし、消去ドット6Sは小さすぎるので、MTF劣化の影響を受けやすい。よって、消去ドット6Sは、結果的にほとんど読み取られない。したがって、地紋入画像51のうちの消去ドット6Sを除いた部分を読み取る。以下、スキャナ10eによって読み取られた画像を「読取画像52」と記載する。
【0064】
読取画像処理部10kは、図7に示すように、下地処理部301、二値化処理部302、情報埋込パターン検出部303、濃度変更部304、および画像合成部305などによって構成される。
【0065】
下地処理部301は、読取画像52の明度の調整を行うなどして、読取画像52のノイズを除去する下地処理を行う。下地処理は、特に、読取画像52に残った残留ドット6Jなどの孤立点を除去するために行われる。以下、下地処理が施された読取画像52を「読取画像53」と記載する。
【0066】
二値化処理部302は、読取画像53を、二値画像である二値画像54に変換する処理を行う。
【0067】
情報埋込パターン検出部303は、二値画像54の中から情報埋込パターン画像を検出する。以下、検出された情報埋込パターン画像を「情報埋込パターン画像5U」記載する。
【0068】
濃度変更部304は、情報埋込パターン画像5Uの濃度を濃度βに変更する処理を行う。人間が情報埋込パターン画像5Uを認識しにくいようにしたい場合は、濃度βを濃度αよりも低く設定し、情報埋込パターン画像5Uの濃度を変更する。または、読取画像52に濃度が示されている場合は、この示されている濃度を濃度βとしてもよい。
【0069】
以下、濃度が濃度βに変更された情報埋込パターン画像5Uを「濃度変更埋込画像5M」と記載する。
【0070】
画像合成部305は、読取画像53から情報埋込パターン画像5Uを消去し、その情報埋込パターン画像5Uの位置に、その情報埋込パターン画像5Uから濃度変更部304によって得られた濃度変更埋込画像5Mを配置する。つまり、情報埋込パターン画像5Uを濃度変更埋込画像5Mに置き換える。以下、置換えが行われた読取画像53を「置換画像55」と記載する。
【0071】
そして、画像合成部305によって得られた置換画像55は、印刷装置10fによって用紙に印刷される。印刷する代わりに、置換画像55の画像データを記録媒体に保存したり他の装置へ送信したりしてもよい。
【0072】
図8は、読取画像処理部10mの構成の例を示す図である。図9は、読取画像処理部10nの構成の例を示す図である。
【0073】
読取画像52に対する処理を、読取画像処理部10kの代わりに読取画像処理部10mまたは読取画像処理部10nによって行ってもよい。読取画像処理部10mは、図6(C)に示したような情報埋込パターン画像が含まれる地紋入画像51に対して、特に好適に用いられる。
【0074】
読取画像処理部10mは、図8に示すように、下地処理部311、残留ドット検出部312、クロージング処理部313、情報埋込パターン検出部314、濃度変更部315、および画像合成部316などによって構成される。
【0075】
下地処理部311は、読取画像処理部10kの下地処理部301と同様に、読取画像52のノイズを除去する下地処理を行う。これにより、読取画像53が得られる。
【0076】
残留ドット検出部312は、読取画像53の中から残留ドット6Jを検出する。残留ドット6Jの検出は、いわゆる孤立点の検出の方法など、公知の方法によって行うことができる。
【0077】
クロージング処理部313は、読取画像53の中の、残留ドット6Jが検出された領域に対して、クロージングの処理を行う。つまり、所定の回数、膨張処理を行った後、同じ回数、収縮処理を行う。これにより、隣り合う残留ドット6Jが繋がって、情報埋込パターン画像が鮮明に復元される。以下、クロージングの処理が施された読取画像53を「クロージング処理画像5C」と記載する。
【0078】
情報埋込パターン検出部314は、クロージング処理画像5Cから情報埋込パターン画像を抽出する。以下、抽出された情報埋込パターン画像を「情報埋込パターン画像5F」と記載する。
【0079】
濃度変更部315は、読取画像処理部10kの濃度変更部304と同様に、情報埋込パターン画像5Fの濃度を濃度βに変更する処理を行う。以下、濃度が濃度βに変更された情報埋込パターン画像5Fを「濃度変更埋込画像5P」と記載する。
【0080】
画像合成部316は、読取画像処理部10kの画像合成部305と同様に、読取画像53から情報埋込パターン画像5Fを消去し、その情報埋込パターン画像5Fの位置に、その情報埋込パターン画像5Fから濃度変更部315によって得られた濃度変更埋込画像5Pを配置する。つまり、情報埋込パターン画像5Fを濃度変更埋込画像5Pに置き換える。以下、置換えが行われた読取画像53を「置換画像57」と記載する。
【0081】
そして、画像合成部316によって得られた置換画像57は、印刷装置10fによって用紙に印刷される。置換画像55の場合と同様、印刷する代わりに、置換画像57の画像データを記録媒体に保存したり他の装置へ送信したりしてもよい。
【0082】
読取画像処理部10nは、図9に示すように、下地処理部321、スクリーンパターン検出部322、クロージング処理部323、情報埋込パターン検出部324、濃度変更部325、および画像合成部326などによって構成される。読取画像処理部10nは、図6(D)に示したような情報埋込パターン画像が含まれる地紋入画像51に対して、特に好適に用いられる。
【0083】
下地処理部321は、読取画像処理部10kの下地処理部301および読取画像処理部10mの下地処理部311と同様に、読取画像52のノイズを除去する下地処理を行う。これにより、読取画像53が得られる。
【0084】
スクリーンパターン検出部322は、読取画像53の中からスクリーンのパターン5Sを検出する。例えば、等間隔で並んでいるラインまたはドットのパターン5Sを検出する。パターン5Sの検出は、公知の方法によって行うことができる。
【0085】
クロージング処理部323は、読取画像53の中の、パターン5Sが検出された領域に対して、クロージングの処理を行う。これにより、隣り合うラインまたはドットが繋がって、情報埋込パターン画像が鮮明に復元される。
【0086】
以下、情報埋込パターン検出部324、濃度変更部325、および画像合成部326は、読取画像処理部10mの情報埋込パターン検出部314、濃度変更部315、および画像合成部316と同様の処理を行う。
【0087】
つまり、情報埋込パターン検出部324は、クロージング処理部323によって得られたクロージング処理画像5Dから情報埋込パターン画像5Fを抽出する。濃度変更部325は、情報埋込パターン画像5Fの濃度を濃度βに変更することによって濃度変更埋込画像5Pを生成する。そして、画像合成部326は、読取画像53の中の情報埋込パターン画像5Fを濃度変更埋込画像5Pに置き換えることによって置換画像57を生成する。
【0088】
本実施形態によると、QRコードまたは一次元バーコードなどのコードが目立たないように地紋画像の合成を行うことができる。
【0089】
図10は、地紋入画像生成部10jによって得られたコードの画像の例を示す図である。例えば、QRコードの背景に、図10(A)に示すように、消去ドット6Sを多数配置することによって、濃度ムラの発生を抑えることができる。また、QRコード全体の濃度が、周囲の地紋画像の濃度とほぼ同じになるように消去ドット6Sを配置するので、QRコードが目立たないようにすることができる。さらに、図10(B)に示すように、QRコードの濃度を低くすることによって、QRコードを一層目立たなくすることができる。
【0090】
本実施形態では、スキャナ10eによって読取画像52を取得したが、デジタルカメラなど取得してもよい。
【0091】
読取画像処理部10kの全部または一部の機能をソフトウェアによって実現してもよい。この場合は、上述の処理の手順を記述したプログラムを用意し、CPU10aによってそのプログラムを実行すればよい。読取画像処理部10m、10nについても、同様である。
【0092】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置(地紋画像処理装置)
10e スキャナ(読取手段)
206 情報埋込パターン検出部(コード画像検出手段)
207 濃度変更部(濃度変更画像生成手段)
209 画像合成部(出力画像生成手段)
304、315、325 濃度変更部(濃度変更画像生成手段)
305、316、326 画像合成部(出力画像生成手段)
51 地紋入画像(出力画像)
52 読取画像
5J 情報埋込パターン画像(コード画像)
5N 濃度変更埋込画像(濃度変更画像)
5P 濃度変更埋込画像(濃度変更画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された入力画像の中からコードを示す画像であるコード画像を検出するコード画像検出手段と、
検出された前記コード画像の濃度を所定の濃度に変更した濃度変更画像を生成する濃度変更画像生成手段と、
画像を読み取る画像読取手段による読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点からなる地紋下地画像を前記入力画像に重ね、かつ、前記コード画像を前記濃度変更画像に置き換えることによって、出力用の出力画像を生成する、出力画像生成手段と、
を有することを特徴とする地紋画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の濃度は、前記地紋下地画像の濃度である、
請求項1記載の地紋画像処理装置。
【請求項3】
前記変更画像生成手段は、前記濃度変更画像として、前記画像読取手段による読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点および当該各第二の孤立点の周囲に配置された複数の前記第一の孤立点からなる画像を、生成する、
請求項1または請求項2記載の地紋画像処理装置。
【請求項4】
前記変更画像生成手段は、前記濃度変更画像として、画像読取手段による読取りが可能な複数の線および当該各線の周囲に配置された複数の前記第一の孤立点からなる画像を、生成する、
請求項1または請求項2記載の地紋画像処理装置。
【請求項5】
前記変更画像生成手段は、前記濃度変更画像として、濃度を下げた前記コード画像および当該コード画像の周囲に配置された複数の前記第一の孤立点からなる画像を、生成する、
請求項1または請求項2記載の地紋画像処理装置。
【請求項6】
読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点および読取りが可能な画像である読取可能画像からなる地紋画像と、当該地紋画像の周囲の、読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点が重ねられた周囲画像とを、用紙から読み取る読取手段と、
読み取られた前記読取可能画像の濃度を変更した濃度変更画像を生成する濃度変更画像生成手段と、
読み取られた前記周囲画像および生成された前記濃度変更画像を含む出力用の出力画像を生成する出力画像生成手段と、
を有することを特徴とする地紋画像処理装置。
【請求項7】
前記読取可能画像は、読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点からなり、
前記濃度変更画像生成手段は、前記読取可能画像をクロージング処理し、クロージング処理された前記読取可能画像の前記濃度を変更する、
請求項6記載の地紋画像処理装置。
【請求項8】
前記読取可能画像は、読取りが可能な複数の線からなり、
前記濃度変更画像生成手段は、前記読取可能画像をクロージング処理し、クロージング処理された前記読取可能画像の前記濃度を変更する、
請求項6記載の地紋画像処理装置。
【請求項9】
前記読取可能画像は、コードを表わす所定の濃度以上の連続した画素群からなり、
前記濃度変更画像生成手段は、前記読取可能画像を二値画像に変換し、当該二値画像の前記濃度を変更する、
請求項6記載の地紋画像処理装置。
【請求項10】
入力された入力画像の中からコードを示す画像であるコード画像を検出し、
検出した前記コード画像の濃度を所定の濃度に変更した濃度変更画像を生成し、
画像を読み取る画像読取手段による読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点からなる地紋下地画像を前記入力画像に重ね、かつ、前記コード画像を前記濃度変更画像に置き換えることによって、出力用の出力画像を生成する、
ことを特徴とする地紋画像処理方法。
【請求項11】
読取りが不能な大きさの複数の第一の孤立点および読取りが可能な画像である読取可能画像からなる地紋画像と、当該地紋画像の周囲の、読取りが可能な大きさの複数の第二の孤立点が重ねられた周囲画像とを、用紙から読み取り、
読み取られた前記読取可能画像の濃度を変更した濃度変更画像を生成し、
読み取られた前記周囲画像および生成された前記濃度変更画像を含む出力用の出力画像を生成する、
ことを特徴とする地紋画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−9926(P2012−9926A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141438(P2010−141438)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】