説明

地面灌水構造

【課題】灌水機能が長時間維持され、ブロックの目詰まり等に対するメンテナンス頻度が削減され、効率よく舗装面の温度上昇を抑制することができる地面灌水構造を提供する。
【解決手段】 ブロック3は互いに縦横方向に隙間11をあけて並べられる。ブロック3の下方には凹溝7を有する送水部材5が設けられる。隣接する送水部材5同士の間には、隙間23が設けられる。凹溝7を流れる水は、ブロック3と送水部材5との間に設けられた流路25を流れる。流路25を流れる水の一部は隙間11を上昇して、ブロック3の上面近傍を濡らし、ブロック3を冷却する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面近傍に水を送り、水の蒸発により地面の表面温度上昇を抑制する灌水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
都市部の舗装道路などでは、夏場の強い日差しによって、道路表面の温度が極めて高温となるヒートアイランド現象が発生する場合がある。このような場合には、舗装道路等に散水することで、舗装道路表面の温度の低下を図っている。
【0003】
しかし、通常、道路上には人や車が通行しており、舗装道路の温度上昇に応じて、効率よく散水することは困難である場合が多い。また、散水設備を舗装道路上に設けるのは、通行の妨げになるなどの問題もある。
【0004】
このような問題に対して、舗装道路上の温度上昇を抑制する方法としては、例えば、保水性のブロックを敷設し、保水性ブロックの下方に多孔質パイプによって水を送り、保水性ブロックに水を吸収させて、保水性ブロック表面で水を蒸発させることで、温度の上昇を抑制する保水性舗装体灌水設備がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−299514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の保水性舗装体灌水設備では、多孔質パイプを流れる水を、保水性ブロックへ吸収させ、保水性ブロックの表面まで水が浸み込む必要があるが、保水性ブロックの内部に有する孔は約3μmと微細であるため、使用開始後即座に目詰まりを生じ、水が十分に保水性ブロックへ吸収されなくなるという問題がある。このため、灌水機能が発揮されず、温度抑制の効果を長時間維持することが困難であるとともに、高圧洗浄などの頻繁なメンテナンスが必要となるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、灌水機能が長時間維持され、ブロックの目詰まり等に対するメンテナンス頻度が削減され、効率よく舗装面の温度上昇を抑制することができる地面灌水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明は、地面に水を送り、水の蒸発により地面の表面温度上昇を抑制する灌水構造であって、地面に敷設された複数のブロックと、前記ブロックの下方近傍に設けられた送水部材と、前記複数のブロック同士の間に設けられた第1の隙間と、を具備し、前記送水部材を流れる水が、前記第1の隙間から前記ブロックの上面近傍へ送られることを特徴とする地面灌水構造である。
【0008】
前記送水部材は、遮水性の凹溝を有する板状部材であり、前記凹溝に水が流されてもよく、または、前記送水部材は、前記ブロックに設けられた溝に収納された多孔質パイプと、前記多孔質パイプの下方に設けられた遮水部材と、を具備し、前記多孔質パイプに水が流されてもよく、または、前記送水部材は、遮水性の凹溝を有する板状部材と、前記凹溝に設けられた多孔質パイプと、を具備し、前記多孔質パイプに水が流されても良い。この場合、前記凹溝は、前記第1の隙間の近傍に設けられてもよく、または前記多孔質パイプは、前記第1の隙間の近傍に設けられてもよい。
【0009】
前記送水部材同士の間には、第2の隙間が設けられてもよく、この場合、前記第1の隙間の幅は、前記第2の隙間の幅よりも大きいことが好ましい。また、前記第1の隙間には、透水部材が入れられてもよい。この場合、前記第1の隙間の下方には、前記透水部材の流出防止のためのメッシュが設けられることが望ましい。
【0010】
本発明によれば、ブロック間に隙間が設けられ、ブロックの下に配置された送水部材を流れる水は、当該隙間からブロックの上面近傍へ到達するため、ブロック自体に保水性や吸水性が要求されず、このため廉価なブロックを使用することができる。また、ブロック間の隙間は、水が流れるのに十分な隙間であるため、目詰まりを起こしにくく、灌水による効果を長時間維持することができ、こまめなメンテナンスが不要となる。
【0011】
また、送水部材が遮水性の凹溝を有する板状部材であれば、水を流すためのパイプ等が不要となり、また、地面下方への水の逃げを最小限に抑えることができ、効率よくブロック下へ送水することができる。また、送水部材として多孔質パイプと、多孔質パイプの下に設けられた遮水部材とを用いれば、多孔質パイプは配管等との接続が容易であり、水は多孔質パイプ内へ流すことができ、また、多孔質パイプの下方への水の逃げを最小限に抑えることができ、効率よくブロック下へ送水することができる。
【0012】
また、前述の凹溝や多孔質パイプの配置を、ブロック間の隙間に近づけることで、凹溝や多孔質パイプを流れる水を、効率よくブロック間の隙間に流すことができる。
【0013】
さらに、送水部材間に隙間を設ければ、雨などの際に、水を下方へ流すことができるため、水溜りが生じることがない。さらに、ブロック間の隙間の幅を送水部材間の隙間の幅よりも大きくすることで、送水部材を流れる水は、送水部材間の隙間を流れる際に大きな抵抗を受けるため、より効率よく、ブロック間の隙間へ水を流すことができる。また、ブロック間の隙間に透水部材を設ければ、歩きやすく、隙間に物を落とす恐れがない。更に、ブロック間の隙間の下方に透水部材の流出防止のためのメッシュを設ければ、透水部材が送水部材間の隙間等に流入することがなく、透水部材をブロック間の隙間に保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、灌水機能が長時間維持され、ブロックの目詰まり等に対するメンテナンス頻度が削減され、効率よく舗装面の温度上昇を抑制することができる地面灌水構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態にかかる灌水構造を含む灌水設備1について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる灌水設備1を示す図である。
【0016】
灌水設備1は、主にブロック3、送水部材5、及び図示を省略した送水設備等から構成される。地面上に複数のブロック3が敷設される。ブロック3は略直方体のブロックであり、通常のレンガや敷石、およびインターロッキングブロックなどが使用でき、上部を通行する人や車に対する荷重強度や環境に対する耐摩耗性を有すれば良く、特に吸水性や保水性は不要である。
【0017】
ブロック3は互いに縦横方向に隙間11をあけて、千鳥状に並べられる。なお、ブロック3の並べ方は、図1に示すような千鳥状以外にも、様々な並べ方とすることができ、また、隙間11は、ブロック3の縦方向のみ、または横方向のみとすることができる。
【0018】
ブロック3の下方には凹溝7を有する送水部材5が設けられる。図2は、送水部材5を示す斜視図である。送水部材5は略中央片面に凹溝7を有した板状部材である。送水部材5の材質は、ある程度の強度があり、遮水性を有することが望ましく、例えば樹脂製であり、再生プラスチック等が使用できる。
【0019】
なお、送水部材5としては、図2に示すような凹溝が1本のものに限らず、凹溝が複数本設けられた送水部材としてもよい。このような送水部材としては、ケーブル等の配設に用いられる管路材などを転用して使用することもできる。なお、ブロック3と送水部材5との間には水の流路が設けられるが詳細は後述する。
【0020】
送水部材5の下方には、砂層9が不陸調整等の目的で設けられる。砂層9は、水はけが良く、送水や雨によって、水溜りが生じることを防ぐ。
【0021】
なお、ブロック3と送水部材5とは同じサイズである必要はなく、必要に応じて、一つの送水部材5の上に複数のブロック3が敷設されても良い。ブロック3は、例えば100mm×100〜200mmで厚さ60〜80mm程度のインターロッキングブロックを使用できる。なお、ブロック3の厚さが薄い方が、後述する灌水効率は良いが、厚さを薄くすることで、ブロック3の強度が低下するため、ブロック3の厚みは、必要荷重強度に応じて適宜決定すればよい。また、ブロック3のサイズが小さいほど、後述する灌水のための隙間が増えるため灌水効率は良いが、地面の平坦性の確保が困難となるため、仕様に応じて適宜決定すればよい。
【0022】
送水部材5としては、例えば厚さ100mmで、凹溝7の幅が20mm程度のものが使用できるが、設置場所や要求仕様等に応じて適宜設定することができる。
【0023】
図3(a)は、敷設されたブロック3、送水部材5等の正面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【0024】
ブロック3同士は、互いに隙間11をあけて並べられる。ブロック3下方には、送水部材5が設けられる。凹溝7と垂直な方向に隣接する送水部材5同士の間には、隙間23が設けられる。なお、凹溝7方向に隣接する送水部材5同士の間には隙間を設ける必要はない。ブロック3と送水部材5との隙間にはスペーサ21が設けられる。スペーサ21は、ブロック3と送水部材5との間に隙間を設けるためのもので、ある程度の強度があればよく、例えば樹脂製である。また、スペーサ21としては、不織布や、排水シート等の導水部材等の材料でも良い。
【0025】
図3(a)に示すように、スペーサ21の幅は、凹溝7の端から送水部材5の端部までの幅に該当し、また、図3(b)に示すように、スペーサ21の長さは、ブロック3、送水部材5の長さよりも短く、凹溝7の軸方向に対して、数枚に分割して設置される。長さ方向に分割して配置されたスペーサ21同士の間には隙間が設けられており、流路25が形成される。すなわち、凹溝7に垂直な方向に設けられた流路25によって、凹溝7と、隙間11及び隙間23とが連通する。
【0026】
なお、隙間11と隙間23とは、必ずしも同一線上に設けられる必要はない。また、スペーサ21によって流路25を設ける代わりに、ブロック3または、送水部材5に、凹溝7と垂直な方向に溝を設けておき、ブロック3と送水部材5とが密着させて、当該溝を流路として機能させても良い。
【0027】
次に、灌水設備1における水の流れについて説明する。図4は、灌水設備1の平面図である。なお、図中の矢印は水の流れを示す。
【0028】
水は、図示を省略したポンプ等の送水設備によって、送水配管13に送られる。送水配管13を流れる水は、ヘッダ15aを介して分岐配管17aに流れる。分岐配管17aを流れる水は、ブロック3下方に設けられた、送水部材5の凹溝7へ流入し、ブロック3下を凹溝7に沿って流れる。
【0029】
敷設されたブロック3の端部まで流れた水は、それぞれの凹溝7に接続された分岐配管17bに流出し、ヘッダ15bを介して、排水配管19から排水される。
【0030】
なお、送水配管13、ヘッダ15a、分岐配管17aは、図示を省略した継手によってそれぞれ接続され、同様に、分岐配管17b、ヘッダ15b、排水配管19は、図示を省略した継手によって接続される。また、分岐配管17a、17bと凹溝7は、接続部から水が漏れないように、パテ等により接続される。
【0031】
ここで、送水配管13には、流量調整弁や圧力調整バルブなどが別途設けられ、所定の条件で送水することができる。また、分岐配管17aそれぞれに流量調整弁や圧力調整弁を設ければ、各ラインごとに圧力設定等を行うことができ、送水配管からの距離に応じた圧損を考慮して、それぞれの送水条件を決めることもできる。
【0032】
なお、送水配管13へ送られる水としては、灌水設備1近傍に設けられた、雨水貯留槽に貯留された水を利用することもできる。すなわち、灌水設備1の近傍(例えば下方)に、雨水を貯留する貯留槽を設けておき、貯留された雨水を利用することもできる。この場合、雨水貯留槽からポンプで送られた水は、ブロック3の下に流され、その後、排水配管を経由して、再び雨水貯留槽へ戻すこともできる。
【0033】
なお、ポンプの電源は、太陽発電により行うこともできる。また、ポンプの動作は、太陽発電で一定の量の発電が行われた場合のみ運転するとすることもできるし、タイマーにより運転時間をあらかじめ決めておいても良い。更に、ブロック3表面の温度から、所定温度以上の場合のみ稼動するとしても良い。この場合、例えば雨天時や夜間には、必要以上の運転をすることがなく、省エネルギーである灌水設備を得ることができる。
【0034】
次に凹溝7からブロック3までの水の流れについて説明する。図5は、ブロック3、送水部材5等の拡大図である。凹溝7を流れる水は、ブロック3と送水部材5との間に設けられた流路25を流れる。流路25を流れる水の一部は、ブロック3間の隙間11(矢印E方向)へ流れる。同様に、流路25を流れる水の一部は、流路25から送水部材5間の隙間23へ流れる。すなわち、流路25からの水は、隙間11及び隙間23へ分岐して流れる。なお、隙間11及び隙間23においては、凹溝7と同軸方向(流路25と垂直方向)へも水は流れる。
【0035】
ブロック3の隙間11を流れる水は、ブロック3の厚みDに対応するヘッド圧がかかる。しかし、隙間23の幅Cは隙間11の幅Bよりも十分に小さい。このため、隙間23には大きな流水抵抗が生じる。従って、水の多くは優先して隙間11方向へ流れる。なお、凹溝7を流れる水には、隙間23へ水が流れることよる圧力低下分を考慮したうえで、ブロック3の厚さDに応じたヘッド圧以上の圧力が必要である。水は隙間11を上昇して、ブロック3の上面近傍を濡らし、ブロックを冷却する。なお、ブロック3の側面部に細かな凹凸を有すれば、水の圧力に加えて、側面に沿って表面張力によっても水が上方へ吸い上がる。
【0036】
隙間11及び隙間23の幅は、水圧やブロック3の厚み等により適宜決定される。隙間11としては例えば、2mm〜3mm程度とすることができ、隙間23は、隙間11の1/2以下が望ましく、更に望ましくは1/3以下である。この構成とすることで、施工の手間が比較的は省け、効率良く水を上方へ上げることができる。なお、隙間11及び隙間23を決定後、灌水効率が良くなるように水圧側を調整することもできる。
【0037】
なお、隙間11が大きい場合には、図6に示すように隙間11に透水部材27を充填することもできる。隙間11が大きくなると、歩きにくくまた、物を落とす場合などがあるためである。透水部材27としては、目詰まりがなく、水を透過できれば良く、例えば粒径の比較的大きな目地砂等でよい。
【0038】
この場合、スペーサ21等によって形成される流路25はできるだけ小さい方が望ましい。特に、透水部材27として目地砂を隙間11へ入れる場合には、流路25の大きさは、目地砂の粒径の2倍以下が望ましい。そうすることによって、流路25への目地砂の進入を防ぐことができる。また、流路25へ目地砂が侵入しないように、必要に応じて、目地砂の粒径よりも小さな開口径を有するメッシュ28を設けることもできる。メッシュ28によれば、透水部材27としての目地砂は通過させないが、水のみを通過させることができる。
【0039】
このように、本実施の形態にかかる灌水設備1によれば、ブロック3の上面近傍に水を送ることができるため、ブロック3の異常な温度上昇を防ぐことができる。また、ブロック3同士の間には隙間11が設けられ、隙間11を水が流れるため、ブロック3自体が吸水性や保水性を有している必要がなく、一般のレンガ等を使用でき、また、このためブロック3の目詰まりとは無関係に灌水機能を発揮することができる。
【0040】
また、送水部材5は、凹溝7を有しており、遮水性があるため、パイプ等の配設が不要であり、直接凹溝7に水を流すことができるため、構造が簡易である。また、送水部材5同士にも隙間23が設けられるため、雨天時に、隙間11より上方から流入した水は、隙間23を介して砂層へ排水することができるため、水溜りなどが生じにくい。
【0041】
また、隙間11の幅は隙間23の幅よりも大きいため、隙間23を水が流れる通水抵抗が大きく、このため、水を優先して隙間11側へ流すことができる。凹溝7を流れる水の圧力が十分であれば、水はブロック3の上面近傍まで流れるため、ブロック3を効率よく冷却することができる。
【0042】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1〜図4に示す灌水設備1と同一の機能を果たす構成要素には、図1〜図4と同一番号を付し、重複した説明を避ける。
【0043】
図7は、ブロック3と送水部材5との設置位置を半ピッチずらした状態を示す図である。本実施の形態では、送水部材5の凹溝7はブロック3同士の隙間11の下方に設けられ、送水部材5同士の隙間23は、ブロック3の略中央下方に位置する。
【0044】
凹溝7を流れる水の一部は、流路25を介さず、直接上方の隙間11へ流れる。隙間11へ流れた水は、水圧によって上昇し、ブロック3の上面近傍を濡らし、ブロック3を冷却する。なお、凹溝7は、隙間11の直下でなくても良く、多少のずれがあっても、隙間11の近傍に設けられれば良い。
【0045】
一方、凹溝7を流れる水の一部は、流路25を介して、隙間23へも流れる。隙間23より流れ出た水は、砂層9へ排水される。
【0046】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、凹溝7が隙間11の近傍であるので、凹溝7を流れる水は、流路25を介することなく、または、流路25をわずかに流れるのみで隙間11へ流れることができる。このため、流路25による圧損がほとんどない。また、隙間23への水の流れは、流路25を介するため、大きな通水抵抗を受ける。このため、隙間11へより効率的に水を流すことができる。
【0047】
また、雨水は、隙間11から流入し、流路25を介して隙間23から砂層9へ流出する。このため、雨によって水溜り等が生じにくい。
【0048】
次に、第3の実施の形態について説明する。図8(a)は、送水部材として、多孔質パイプ31および遮水材35を設けた状態を示す正面図であり、図8(b)は図8(a)のG−G断面図である。
【0049】
ブロック3が互いに隙間11をあけて並べられる。ブロック3には、U字状のパイプ溝33が、開口部を下方に向けて設けられる。パイプ溝33は、ブロック3の端部近傍、すなわち、隙間11近傍に設けられる。パイプ溝33には、多孔質パイプ31が嵌められる。多孔質パイプ31は、周囲に多数の細孔を有するパイプである。パイプ31及びブロック3の下方には、遮水材35が設けられる。遮水材35同士は互いに隙間23をあけて並べられる。遮水材35は、遮水性の板状部材である。図8(b)に示すように、遮水材35の上面(ブロック3と接する面)には、多孔質パイプ31と垂直な方向に多数の溝37が設けられる。
【0050】
なお、多孔質パイプ31は、例えばセラミックス製のポーラスパイプや架橋ポリエチレン製を使用することができる。また、遮水材35は、ある程度の強度があれば良く、例えば樹脂製で良い。
【0051】
多孔質パイプ31は、図示を省略した分岐配管17a、17b等に接続され、内部に水が流される。多孔質パイプ31内部を流れる水は、多孔質パイプ31の孔から外部へ流出する。多孔質パイプ31より流出した水は、溝37を流れて、隙間11および隙間23近傍へ流出する。隙間11へ流れ出た水は、隙間11を通り、ブロック3上面近傍を濡らし、ブロック3を冷却する。
【0052】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、多孔質パイプ31を用いるため、配管の接合が容易となり、施工性に優れ、また、多孔質パイプ31と分岐配管17等との接続部での水漏れの恐れが少ない。
【0053】
次に、第4の実施の形態について説明する。図9は、送水部材として、送水部材5の凹溝7へ多孔質パイプ31を設けた状態を示す正面図である。送水部材5の凹溝7はブロック3同士の隙間11の下方に設けられ、送水部材5同士の隙間23は、ブロック3の略中央下方に位置する。
【0054】
凹溝7には、多孔質パイプ31が設けられる。多孔質パイプ31には水が流される。多孔質パイプ31を流れる水の一部は、流路25を介さず、直接上方の隙間11へ流れる。隙間11へ流れた水は、水圧によって上昇し、ブロック3の上面近傍を濡らし、ブロック3を冷却する。なお、多孔質パイプ31は、隙間11の直下でなくても良く、多少のずれがあっても、隙間11の近傍に設けられれば良い。
【0055】
一方、多孔質パイプ31を流れる水の一部は、流路25を介して、隙間23へも流れる。隙間23より流れ出た水は、砂層9へ排水される。
【0056】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、多孔質パイプ31が隙間11の近傍であるので、多孔質パイプ31を流れる水は、流路25を介することなく、または、流路25をわずかに流れるのみで隙間11へ流れることができる。このため、流路25による圧損がほとんどない。
【0057】
また、隙間23への水の流れは、流路25を介するため、大きな通水抵抗を受ける。このため、隙間11へより効率的に水を流すことができる。また、多孔質パイプ31を用いるため、配管の接合が容易となり、施工性に優れ、また、多孔質パイプ31と分岐配管17等との接続部での水漏れの恐れが少ない。
【0058】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】灌水設備1の構成を示す斜視図。
【図2】送水部材5を示す斜視図。
【図3】灌水設備1を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図4】灌水設備1の平面図。
【図5】隙間11と隙間23を示す拡大図。
【図6】隙間11へ充填部材を充填した状態を示す図。
【図7】ブロック3と送水部材5とを半ピッチずらして設置した状態を示す図。
【図8】多孔質パイプ31を設けた状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のG−G断面図。
【図9】送水部材5へ多孔質パイプ31を設けた状態を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1………灌水設備
3………ブロック
5………送水部材
7………凹溝
9………砂層
11………隙間
13………送水配管
15a、15b……ヘッダ
17a、17b………分岐配管
19………排水配管
21………スペーサ
23………隙間
25………流路
27………透水部材
28………メッシュ
31………多孔質パイプ
33………パイプ溝
35………遮水材
37………溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面近傍に水を送り、水の蒸発により地面の表面温度上昇を抑制する灌水構造であって、
地面に敷設された複数のブロックと、
前記ブロックの下方近傍に設けられた送水部材と、
前記複数のブロック同士の間に設けられた第1の隙間と、
を具備し、
前記送水部材を流れる水が、前記第1の隙間から前記ブロックの上面近傍へ送られることを特徴とする地面灌水構造。
【請求項2】
前記送水部材は、遮水性の凹溝を有する板状部材であり、
前記凹溝に水が流されることを特徴とする請求項1記載の地面灌水構造。
【請求項3】
前記送水部材は、
前記ブロックに設けられた溝に収納された多孔質パイプと、
前記多孔質パイプの下方に設けられた遮水部材と、
を具備し、
前記多孔質パイプに水が流されることを特徴とする請求項1記載の地面灌水構造。
【請求項4】
前記送水部材は、
遮水性の凹溝を有する板状部材と、
前記凹溝に設けられた多孔質パイプと、
を具備し、
前記多孔質パイプに水が流されることを特徴とする請求項1記載の地面灌水構造。
【請求項5】
前記凹溝は、前記第1の隙間の近傍に設けられることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の地面灌水構造。
【請求項6】
前記多孔質パイプは、前記第1の隙間の近傍に設けられることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の地面灌水構造。
【請求項7】
前記送水部材同士の間には、第2の隙間が設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の地面灌水構造。
【請求項8】
前記第1の隙間の幅は、前記第2の隙間の幅よりも大きいことを特徴とする請求項7記載の地面灌水構造。
【請求項9】
前記第1の隙間には、透水部材が入れられることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の地面灌水構造。
【請求項10】
前記第1の隙間の下方には、前記透水部材の流出防止のためのメッシュが設けられることを特徴とする請求項9記載の地面灌水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−197430(P2009−197430A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38467(P2008−38467)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】