説明

坑井孔パイプ保護装置

【課題】坑井孔パイプ保護装置であって、手動で設定し且つ取り外す容易性と速度とが改善され、一方、搭載状態で坑井孔パイプに確実に固定されるものを提供することを目的とする。
【解決手段】坑井孔パイプ保護装置(1)は、被覆スリーブ(2)及び作動要素(3)を備えている。該作動要素は、該保護装置のロック状態と非ロック状態との間の相互変換可能性を実現するために、被覆スリーブのスリーブ壁(21)の変形状態を変えるように配置される。ロック状態では、弾性物質(4)が、スリーブ壁によって、坑井孔パイプ端部(7)のねじ山(8)内に押圧されている。作動要素は、被覆スリーブに対して軸方向(5)に手動で摺動可能であり、かつロック状態では、軸方向の周りを作動要素の軸方向摺動性が非ロック状態への方向において阻止されるところの回転位置へ手動で回転可能であるハンドグリップ(9)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、坑井孔パイプ端部に搭載された状態において、該パイプ端部のねじ山を保護するための坑井孔パイプ保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で言及される「坑井孔パイプ」という用語は、掘削段階中および生産段階中の両方の坑井作業で使用される種々のタイプのパイプを包含することを意味していることが注目される。したがって、「坑井孔パイプ」という用語は、坑井孔で使用される掘削用、ケーシング用および配管用パイプの種々のタイプを含んでいる。
【0003】
そのような保護装置は、坑井孔パイプの運搬および保管中の潜在的な損傷に対して、坑井孔パイプ端部の内側または外側のねじ山の保護に貢献する。坑井孔パイプが運用状態にあるとき、すなわちそれらがパイプストリングを形成するように相互接続されているとき、保護装置はパイプ端部から取り除かれている。
【0004】
坑井孔パイプ保護装置の複数のタイプが公知であるが、実際のところ、該保護装置は、坑井孔パイプのねじ山と協働するためのねじ山を備えた実質的に円筒形の本体を有している。これら公知の装置の第1のクラスとして、その円筒形本体は、対応する坑井孔パイプ端部の外側のねじ山に合う内側のねじ山を有する。これら公知の装置の第2のクラスとして、その円筒形本体は、対応する坑井孔パイプ端部の内側のねじ山に合う外側のねじ山を有する。上記タイプの公知の装置を設定するときは、作業員は、坑井孔パイプ端部の上に/中に該装置をねじ入れる。これら公知の装置を設定から外すときには、作業員は手動でパイプ端部から保護装置をねじ戻して外す。
【0005】
これら公知の装置の欠点は、坑井孔パイプに対する保護装置のねじ入れおよびねじ戻しが、時間のかかる仕事であるということである。その理由は、ねじ入れおよびねじ戻しは、比較的長い螺旋状の経路にわたる且つ比較的に高い摩擦を伴う、相対運動を包含しているからである。坑井孔作業は、典型的には多数の坑井孔パイプの取扱を要するので、多数の保護装置を設定しおよび取り外す時間のかかる仕事は、作業速度及び/又は作業に含まれた関連労働コストへの負の影響を有している。坑井孔作業は通常、比較的清潔でない環境で生じ、このような環境は、しばしば保護装置および坑井孔パイプの汚れたねじ山の原因になることに留意されたい。このことはさらに、保護装置をねじ入れおよびねじ戻しする仕事を妨げる。
【0006】
上述した欠点を考慮して、いくつか別の保護装置が知られているが、これら別の保護装置は、保護されるべきパイプのねじ山に相対的なそのような装置のねじ入れおよびねじ戻しに基づいてはいない。
【0007】
米国特許第4429719A号明細書は、本明細書に添付された独立の請求項1の前提部に従うパイプねじ山保護装置を開示している。該米国特許第4429719A号明細書から公知のこの保護装置は、内側部材(12)及び外側部材(11)を有している。保護装置を搭載した状態において、これら内側および外側部材は、真空システムによって相互に連結されうる、真空システムは、ハンドル(34)によって手動で引っ込められうる弁(21)によって手動で制御される。パイプから保護装置を外すことは、連続したステップ;真空を止めることを可能にするためのハンドルを手動で引っ込めること、パイプから外側部材を手動で引き離すこと、およびパイプから内側部材を手動で引き離すこと、を要する。反対に、パイプ上に保護装置を搭載することは、第1に、内側部材の手動での配置、第2に外側部材の手動での配置を要求される。引き離しおよび内側部材と外部部材との配置のようなステップの各々は、一般に作業員の両手で実行されることを必要とする。全体として、この公知のパイプねじ山保護装置の取外しおよび搭載は、未だに比較的に時間を浪費する。坑井孔作業は、典型的に多数の坑井孔パイプの取り扱いを必要とするので、この公知のパイプねじ山保護装置の多数の搭載および取外しの時間を浪費する仕事は、作業の速度及び/又は作業に含まれている関連労働コストに悪い影響を与える。
【0008】
パイプのねじ山端部を保護するもう1つの装置が、米国特許第2238643A号明細書から知られている。この文書は、パイプ端部の内側ねじ山のための保護装置を開示している。この公知の保護装置は、セグメントに配列された切頭円錐形のカップ(3)、紙カップ(12)、ならびにねじでそれと係合されたカップ(3)の底壁(5)を通過して延在している円錐形のねじ切りされたプラグ(16)を備える。この公知の保護装置の設定および取り外しは、とりわけ、明らかに特別の工具を使用する、先細のねじ切りされたプラグ(16)を必要とする。
【0009】
パイプのねじ山端部を保護するための更に別の装置が、国際公開第99/07978A1号公報(これ以降、「国際公開‘978」と略す)から知られている。この公知の装置は、被覆スリーブ(21)を有しているキャップ部材(15a)を有する(国際公開‘978の図2Aおよび3A参照)。キャップ部材(15a)は、応力手段(16)によって(国際公開‘978の図6に別に示される)パイプ部分(12)の受け口端部(12c)に適合されうる(国際公開‘978の図1参照)。応力手段(16)は、ホールダー(17)の対応する内向きねじ切りと協働している外向きのねじ切りを有する柄(40)(国際公開‘978の図2A参照)を備え、該ホールダー(17)はキャップ部材(15a)へ固定して取り付けられている。柄(40)は、ルーズなハンドグリップ用具(45)によって手動で旋回せられる(国際公開‘978の図10および11参照)。ハンドグリップ用具(45)の手動の旋回は、くさび部材(18)の移動をもたらし、これは、クランプ部材(39)の変形、ならびにウェブ部分(38)の半径方向の移動およびクランプ手段(20a〜20c)の相互移動をもたらす(国際公開‘978の図8参照)。結局は、これら全ての移動は、ソケットの付いたパイプ端部(12c)のねじ山(12d)に向いている内側に相対的に被覆スリーブ(21)の締め付けまたは緩めることをもたらす。言い換えると、ハンドグリップ用具(45)の1方向への旋回は、保護装置をロックされた状態にし、一方ハンドグリップ用具(45)の反対方向への旋回は、保護装置をロックされていない状態にする。したがって、国際公開‘978から知られた保護装置は、ロックされた状態とロックされていない状態の間の互換性を実現するために保護装置の部分のねじ山による係合が手動で調節されねばならない点において、前述の米国特許第2238643A号明細書から知られた保護装置と類似である。しかし、国際公開‘978から知られた保護装置のロック構造は、米国特許第2238643A号よりも明らかに遙かに複雑である。さらに、国際公開‘978から知られた保護装置と米国特許第2238643A号から知られた保護装置との両方にとって、一度これら保護装置がロックされた状態において、堅く締められたねじ山による係合が緩められえて、これら公知の装置が保護されるべきパイプから外れるという望ましくない状況をもたらすという不利がある。したがって、これらロックされた状態では、これら保護装置はパイプに確実には固定されない。以下の「発明の概要」および「発明を実施するための形態」から直ぐに明らかになるように、本発明に従う保護装置は、これらの欠点を解決している。すなわち、本発明に従う保護装置は、該装置の手動での設定および取り外しの容易さおよび速度を提供する簡単なロック構造を有しており、一方、ロックされた状態では、該保護装置は坑井孔パイプに確実に固定されている。
【0010】
別のねじ切り保護装置が、米国特許4379471A号明細書に開示されている。該米国特許4379471A号明細書の図1〜3は、この公知の保護装置が非常に複雑なロック構造を有していることを示している。このロック構造は、くさび形状のロック部材(30)、上に曲げられたつまみ(18)と(20)およびT字形つまみブロック部材(36)を備えている。該米国特許4379471A号明細書の図2に示されたように、鋭い物、例えばねじ回しの先端部が、ロック部材(30)を取り外すのに使用されなければならない。
【0011】
また別のねじ切り保護装置が、米国特許2098087A号明細書に開示されている。この公知のねじ切り保護装置もまた、その作業のために適切な道具の使用を必要とする非常に複雑なロック構造を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、坑井孔パイプ保護装置を手動で設定し且つ取外す、容易さと速度とが改善され、一方そのような保護装置は、搭載状態において坑井孔パイプに確実に固定されることに従う、少なくとも1つの代替的な解決策を提供することを目的とする。
【0013】
この目的のために、本発明は請求項1に記載の坑井孔パイプ保護装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
該保護装置のロックされていない状態(非ロック状態)においては、作業者は、該保護装置を坑井孔パイプ端部上に素早くかつ容易に設定でき、また該保護装置を坑井孔パイプ端部から素早くかつ容易に取り外すことができる。これは上述の公知のねじ入れ/ねじ戻しタイプの保護装置であって面倒なねじ入れまたはねじ戻しを必要とするものとは、対照的である。本発明に従う保護装置は、スリーブ壁をパイプ端部内に同軸的に挿入することによって、または場合によっては、スリーブ壁をパイプ端部上に同軸的に摺動させることによって、坑井孔パイプ端部上に、容易にかつほんのわずかの摩擦を伴って置かれうる。また、本発明に従う保護装置については、該保護装置を坑井孔パイプから取り外すことも容易である。この理由は、非ロック状態においては、スリーブ壁は、パイプ端部から簡単に同軸的に抜けまたは外れるように摺動されるからである。ねじ入れまたはねじ戻しがないので、パイプ端部のねじ山の何らかの汚染の存在によって、保護装置の設定または取り外しが妨害されることはない。
【0015】
また、ロックされた状態(ロック状態)と非ロック状態との間でおよびその逆に、保護装置の状態を変えるための作動要素の手動操作は、迅速に実行されうる、作業者にとって容易な作業である。それは、作動要素が、作業者の簡単な短い人手による動作によって容易に完成されうるところの、スリーブ壁の変形状態を変えることを単に要するだけである。
【0016】
ロック状態においては、弾性物質は、スリーブ壁によってねじ山内にしっかりと押圧されており、坑井孔パイプの運搬および保管中に生じうる偶発的な外的衝撃のために保護装置が該パイプから離れてしまうのを防止する。スリーブ壁の被覆側に備えられた様々な種類の弾性物質、すなわち天然および合成の両物質、例えば天然または合成ゴムが使用されうることが述べられる。また、弾性物質は、様々な形状と分布パターンをもって被覆側に備えられうる。
【0017】
前述の公知のねじ入れ/ねじ戻しタイプの保護装置と比較すると、本発明に従う保護装置のさらなる利点は、坑井孔パイプ端部の特定の直径のために保護装置が配置されるとき、保護装置は該パイプ端部のねじ山の様々なタイプおよび形状に適合することである。また、本発明に従う、そのようなある特定の直径のために配置された保護装置については、被覆側に備えられる弾性物質の形状および分布パターンを変更することが可能である。すなわち、弾性物質の形状および分布パターンは、該パイプ端部のねじ山の様々なタイプおよび形状の特定の1つに最適に合わせられるようにその度に選ばれうる。
【0018】
前述の公知のねじ入れ/ねじ戻しタイプの保護装置のもう1つの欠点は、これら公知の保護装置の坑井孔パイプ端部に相対的なねじ入れおよびねじ戻しが、該パイプ端部のねじ山に存在する潤滑剤に悪い影響をあたえることである。すなわち、そのようなねじ入れ及びねじ戻しによって、潤滑剤が多少とも上記ねじ山から除去される。本発明に従う保護装置に関してはねじ入れまたはねじ戻しがないので、そのような悪影響が回避されることが本発明に従う保護装置の別の利点である。
【0019】
米国特許第4429719A号明細書から知られた上述のパイプねじ山保護装置と比較すると、本発明に従う保護装置は、以下の点で少なくともそれらと区別される。すなわち、作動要素はハンドグリップを備え、該ハンドグリップは、該作動要素の摺動性を実現するために、少なくとも被覆スリーブの軸方向の成分で被覆スリーブに相対的に手動で摺動可能であり、かつロック状態においては、該作動要素の上記摺動性が少なくとも非ロック状態に向かう方向には阻止されるところの回転位置まで、上記軸方向の周りを被覆スリーブに相対的に手動で回転可能である。
【0020】
そのようなハンドグリップは操作するのが非常に容易であり、複雑なまたは精密な操作を必要としない。そのような操作の容易性は、作業者が数多くの保護装置を設定または取り除かねばならない典型的に過酷な作業環境において非常に望ましい。
【0021】
本発明に従う保護装置を設定するために、作業者は、片手だけでハンドグリップを把持することによって、該保護装置を(例えば、保管所、床などから)簡単に取り出しうる。片手で該保護装置を持ったまま、作業者は、坑井孔パイプ端部の中へ/上に該保護装置を簡単に配置することができ、それからハンドグリップを押し、そして続いて、作動要素の上記摺動性が阻止されるところの上記回転位置内にハンドグリップを回転させうる。この阻止によって、該保護装置はパイプに確実に固定される。実際、上記取り出し、上記配置、上記押すことおよび上記回転を包含する複合操作は、作業者の片手のみの、単一の、スムーズな、連続した、継続操作によって遂行されえて、この操作は非常に速く且ついかなる特別の道具または装置も必要としない。両手を使用することによって、作業者は、2つの別個のパイプの端部に2つの別個の保護装置を同時に速く設定することさえできる。
【0022】
反対に、坑井孔パイプから該保護装置を取り外すことも、相応に容易且つ速いことは明らかであろう。必要とされる全てのことは、片手でハンドグリップを把持すること、それを回転させること、該保護装置を非ロック状態にするためそれを引き上げること、該パイプ端部から該保護装置を外すためにさらに少しそれを引き上げること、そして該保護装置を取り外すことである。再び、上記の把持、上記の回転、上記の引き上げおよび上記の取り外しを包含する複合操作は、作業者の片手だけの、単一の、スムーズな、連続した、継続操作によって遂行されえて、この操作は非常に速く且つどのような特別の道具または装置も必要としない。両手を使用することによって、作業者は、2つの別のパイプの端部から2つの別の保護装置を同時に速く取り外すことさえできる。
【0023】
したがって、既存のねじ山保護装置と比較すると、本発明に従う保護装置を設定しおよび取り外す、容易さと速度とにおける改善は、驚くべきものであり、一方、保護装置の信頼性に関する犠牲はない。
【0024】
本発明の特定の実施態様は、従属請求項に記載されている。
【0025】
1の好ましい実施態様においては、被覆スリーブおよび作動要素は、手動では相互に分離不能である。それ故に、各保護装置の被覆スリーブおよび作動要素は、ユーザー、例えば坑井孔パイプ作業者、および運搬と保管中に保護装置を扱う他の人達にとって分離不能のままである。その結果、これらの部分を再接続するための余分の仕事は生じない。
【0026】
別の好ましい実施態様においては、弾性封止物質がスリーブ壁のスリットを充填している。そのような弾性物質は、望ましくない物質がスリーブ壁のスリットを介してパイプ端部のねじ山へ透過するのを防止する。
【0027】
さらに別の好ましい実施態様においては、弾性物質の少なくとも部分は、スリーブ壁に相対的に同軸的に延在している少なくとも1つのO−リングの弾性物質である。1以上のそのようなO−リングの施与は、効果的で、簡単かつ廉価である。
【0028】
好ましくは、スリーブ壁は、少なくとも1つのO−リングをその中に受け入れるところの少なくとも1つの環状溝を備えている。それ故に、O−リングがスリーブ壁に相対的に軸方向に動くのを阻止する、効果的で簡単な解決策が提供される。
【0029】
本発明に従う保護装置の実施態様の1つの種類においては、保護装置は、坑井孔パイプ端部の外側ねじ山を保護するために配置される。この別の種類については、スリーブ壁の被覆側は、スリーブ壁がパイプ端部上を同軸的に摺動されるとき、搭載された状態で外側ねじ山を被覆するためのスリーブ壁の中心軸の方向を向いているスリーブ壁の側である。
【0030】
本発明に従う保護装置の別の実施態様において、保護装置は、坑井孔パイプ端部の内側ねじ山を保護するために配置される。この種類では、スリーブ壁の被覆側は、スリーブ壁がパイプ端部内に同軸的に挿入されるとき、搭載された状態で内側ねじ山を被覆するためのスリーブ壁の中心軸の方向の逆を向いているスリーブ壁の側である。
【0031】
本発明に従う保護装置の実施態様の最後に述べられた種類の好ましい実施態様においては、弾性封止ディスクは、ハンドグリップから離れる方向を向いている被覆スリーブの側で、作動要素によって保持され、この封止ディスクは、被覆スリーブと実質的に同軸に且つ軸方向に実質的に横方向に延在している。そのような封止ディスクは、坑井孔パイプ内部に存在する望まれない物質が、パイプ端部の内側ねじ山へ侵入するのを防ぐ。
【0032】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下で記載された実施態様から明らかであり、およびそれらを参照することで明確にされるであろう。
【0033】
本発明の別の詳細、局面および実施態様は、添付された図面の概略図を参照して、例として目的でのみ、記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に従う保護装置の1実施態様の1例の縦断面図であって、該保護装置は、ねじ山を外側に有する坑井孔パイプ端部へ、非ロック状態で搭載されている。
【図2】図1の例と同様の縦断面図であるが、該保護装置のロック状態を示す。
【図3】図1および2の該保護装置の作動要素の一部分と一緒の被覆スリーブの斜視図である。
【図4】本発明に従う保護装置の別の実施態様の1例の縦断面図であって、該保護装置は、ねじ山を内側に有する坑井孔パイプ端部へ、非ロック状態で搭載されている。
【図5】図4の該例と同様の縦断面図であるが、該保護装置がロック状態であることを示す。
【図6】図4および5の該保護装置の被覆スリーブの斜視図である。
【図7】図4および5の該保護装置の作動要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
先ず、図1〜3に示された実施態様が参照される。
【0036】
図1および2は、本発明に従う坑井孔パイプ保護装置(1)であって、坑井孔パイプ端部(7)へ搭載された状態を示している。該保護装置(1)は、該パイプ端部(7)の外側ねじ山(8)を保護するために配置される。図示された搭載状態では、該保護装置(1)は、手動で操作可能であり、ロックされた状態(図2に示されている)とロックされていない状態(図1に示されている)との間でその状態を交換する。ロックされた状態(ロック状態)では、該保護装置(1)は、或る偶発的な外部衝撃によって該保護装置がパイプから離されるのを防ぐような仕方でパイプに固定される。ロックされていない状態(非ロック状態)では、該保護装置(1)は、ロック状態よりも緩くパイプに固定され、次に該保護装置(1)は、パイプから手動で取り外すことが可能である。
【0037】
該保護装置(1)は被覆スリーブ(2)および作動要素(3)を備えている。
【0038】
被覆スリーブ(2)は、中心軸(5)を有する周囲スリーブ壁(21)を備えている。中心軸(5)の方向を向いている周囲スリーブ壁(21)の側面が、該パイプ端部(7)のねじ山(8)を被覆するための被覆側面(22)である。このねじ山の被覆は、図示された搭載状態で、すなわち該スリーブ壁(21)が該パイプ端部(7)上に同軸的にスライドされるときに、生じる。
【0039】
被覆スリーブ(2)は、スリーブ壁の被覆側面(22)に、弾性物質(4)を備えている。スリーブ壁(21)がスリット(23)によって中断されている(図3を参照)限り、該スリーブ壁(21)の少なくとも一部分は可撓性がある。スリット(23)の長さ方向は、少なくとも軸方向(5)に延在して、該スリーブ壁(21)は、該スリーブ壁(21)の少なくとも直径が、軸方向(5)の少なくともある部分的範囲内において調節可能であるように、変形可能である。
【0040】
周囲スリーブ壁(21)の直径の上記調節可能性は、ロック状態と非ロック状態との間の上記互換性を可能にして、ロック状態での弾性物質(4)は、スリーブ壁(21)によってねじ山(8)内に押圧され(図2参照)、一方、非ロック状態においては、ねじ山(8)内に押圧されないか、またはロック状態よりも緩く押圧されている(図1参照)。1以上の追加の封止リング、例えば図1および2に示された封止リング(64)は、該スリーブ壁(21)とねじ山(8)がない場所での該パイプ端部(7)との間のロック状態(図2参照)における接点を押圧ために施与されうることに留意されたい。このことは、望ましくない物質がねじ山(8)内へ浸入するのを防いでいる。
【0041】
ロック状態と非ロック状態との間の上記互換性を実現するために、作動要素(3)は、周囲スリーブ壁(21)の変形状態における変化を実現するために、被覆スリーブ(2)の軸方向(5)に被覆スリーブ(2)に相対的に摺動可能である。図示された例においては、作動要素(3)は、被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)を同軸的に取り囲んでいる周囲スリーブ壁(31)を備えている。被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)は、その被覆側面(22)の反対側のその側面(23)上に環状突起部(24)を有している。中心軸(5)の方向を向いている、作動要素(3)の該スリーブ壁(31)の側面(32)は、中心軸(5)に対して傾斜形状を有している。作動要素(3)の手動操作は、作動要素(3)のハンドグリップ(9)によって行なわれうる。図1に示された非ロック状態から始めて、ユーザーがハンドグリップ(9)を中心軸(5)に平行な方向(40)(図1参照)に動かすとき、作動要素(3)の該スリーブ壁(31)は、図2に示されたロック状態が達成されるまで、被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)をパイプ端部(7)のねじ山(8)の方へ徐々に押すであろう。このことは、一方の該スリーブ壁(21)の上記変形可能性によって、ならびに作動要素(3)の該スリーブ壁(31)の側面(32)の傾斜部分と他方の被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)の側面(23)の環状突起部(24)との間の接合接点を摺動することによって可能にされる。ユーザーが、図2で示されたロック状態から始めて、ハンドグリップ(9)を方向(41)(図2参照)、すなわち、図1の方向(40)の反対に動かすとき、被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)は、図1に示された非ロック状態が達成されるまで、徐々に緩められる。
【0042】
被覆スリーブ(2)に相対的なハンドグリップ(9)の手動による移動可能性を実現するために、ハンドグリップ(9)は、円柱ロッド(59)へ固定的に接続されている。円柱ロッド(59)は、被覆スリーブ(2)および作動要素(3)と同軸的に置かれている。作動要素(3)の別の部分に相対的な円柱ロッド(59)の軸方向の運動は、保持リング(51)によって阻止される。しかし、円柱ロッド(59)は、作動要素(3)の他の部分に相対的に、軸方向の周りを自由に回転する。円柱ロッド(59)は、被覆スリーブ(2)の軸受筒(53)内に受け取られ、該軸受筒(53)は、被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)に対して同軸的であり且つ固定的に接続されている。円柱ロッド(59)は、これから横方向に突出している多数のピン(52)を有している。これらピン(52)は、軸受筒(53)に存在する案内スリットに案内されるように受け取られる。図3に最もよく見られるように、これら案内スリットは、軸方向に向けられた部分(54)、ならびに該軸方向に向けられた部分(54)へ接続された接線方向に向けられた部分(55)を有している。それ故に、ハンドグリップ(9)は、方向(40)へ(図3参照)、被覆スリーブ(2)に相対的に手動で摺動可能である。この摺動の間、ピン(52)は軸方向に向けられた部分(54)内で案内される。この摺動の後、該保護装置(1)のロック状態が達成されうる。このロック状態においては、ハンドグリップ(9)は、被覆スリーブに相対的に方向(42)へ(図3参照)手動で回転可能である。この回転中、ピン(52)は接線方向に向けられた部分(55)内で案内される。この回転の後、軸受筒(53)に相対的なハンドグリップの軸方向への移動は非ロック状態への方向には阻止されるところの回転位置が得られうる。
【0043】
望ましくない物質が作動要素(3)を通り抜けるのを防止するために、追加の封止物質を、例えば保持リング(51)にまたはその近くに(図1参照)施与することが可能である。
【0044】
以下、図4〜7に示された別の実施態様が参照される。
【0045】
図4および5は、坑井孔パイプ端部(107)へ搭載された状態での本発明に従う坑井孔パイプ保護装置(101)を示す。該保護装置(101)は、パイプ端部(107)の内側ねじ山(108)を保護するために配置される。図示された搭載状態において、該保護装置(101)は、ロック状態(図5で示された)と非ロック状態(図4で示された)との間で状態を交換するために手動で操作可能である。ロック状態では、該保護装置(101)は、ある偶発的な外部からの衝撃によって該保護装置がパイプから離れるのを防止するような仕方でパイプへ固定される。非ロック状態では、該保護装置(101)は、ロック状態よりも緩やかにパイプへ固定され、そして、次に該保護装置(101)は、パイプから手動で取り外されうる。
【0046】
該保護装置(101)は、被覆スリーブ(102)および作動要素(103)を備えている。
【0047】
被覆スリーブ(102)は、中心軸(105)を有している周囲スリーブ壁(121)を備えている。中心軸(105)から離れる方向を向いている該スリーブ壁(121)の側面は、パイプ端部(107)の内側ねじ山を被覆するための被覆側面(122)である。ねじ山のこの被覆は、図示された搭載された状態で、すなわち該スリーブ壁(121)がパイプ端部(107)へ同軸的に挿入されているとき、生じる。
【0048】
被覆スリーブ(102)は、該スリーブ壁(121)の被覆側面(122)に弾性物質(104)を備えている。スリーブ壁(121)がスリット(123)によって中断されている(図6参照)限り、該スリーブ壁(121)の少なくとも一部分は、可撓性がある。スリット(123)の長さ方向は、少なくとも軸方向(105)に延在して、該スリーブ壁(121)は、該スリーブ壁(121)の少なくとも直径が、軸方向(105)の少なくともある部分的範囲内において調節可能であるように、変形可能である。
【0049】
該スリーブ壁(121)の直径の上記調節可能性によって、ロック状態と非ロック状態との間の上記互換性は可能になる。ここで、ロック状態での弾性物質(104)は、スリーブ壁(121)によって、ねじ山(108)内に押圧され(図5参照)、一方、非ロック状態では、ねじ山(108)内に押圧されないか、あるいはロック状態よりも緩く押圧されている(図4参照)。
【0050】
ロック状態と非ロック状態との間の上記互換性を実現するために、作動要素(103)は、該スリーブ壁(121)の変形状態における変化を実現するために、被覆スリーブ(102)の軸方向(105)に被覆スリーブ(102)に相対的に摺動可能である。図示された例においては、作動要素(103)は、中心軸(105)に対して回転対称に配置されており且つ被覆スリーブ(102)の該スリーブ壁(121)によって同軸的に取り囲まれている作動体(131)を備えている。被覆スリーブ(102)は、パイプ端部(107)内に最も深く挿入された該スリーブ壁(121)の端で、その端から中心軸(105)の方向へ延在している環状フランジ(124)を備えている。この環状フランジ(124)は、被覆スリーブ(102)を通して通路(125)を取り囲んでおり、この通路(125)を通して、作動要素(103)の作動体(131)が延在している。作動要素(103)の作動体(131)の外側周辺側面(132)は、中心軸(105)に対して傾斜形状を有している。
【0051】
作動要素(103)の手動操作は、作動要素(103)のハンドグリップ(109)によって行われうる。ユーザーが図4に示された非ロック状態から出発して、中心軸(105)に平行な方向(140)(図4参照)にハンドグリップ(109)を動かすとき、作動要素(103)の作動体(131)は、図5で示されたロック状態に達するまで、徐々に被覆スリーブ(102)のスリーブ壁(121)をパイプ端部(107)のねじ山(108)の方へ押すであろう。このことは、一方の作動要素(103)の作動体(131)の側面(132)の傾斜部分と他方の被覆スリーブ(102)の環状フランジ(124)との間の接合接点を摺動することに、ならびに該スリーブ壁(121)の上記変形可能性よって可能にされる。ユーザーが、図5に示されたロック状態から始めて、ハンドグリップ(109)を方向(141)(図5参照)、すなわち、図4の方向(140)の反対に動かすとき、被覆スリーブ(102)の該スリーブ壁(121)は、図4に示された非ロック状態が達成されるまで、徐々に緩められるであろう。
【0052】
ハンドグリップ(109)の被覆スリーブ(102)に相対的な手動での移動可能性を実現するために、作動体(131)の環状フランジ(135)は、その外側周辺に多数の窪み(152)を有しており(図7参照)、一方、被覆スリーブ(102)の該スリーブ壁(121)は、被覆スリーブ(102)の内側に多数の案内リブ(154)を有している。環状フランジ(135)は、案内リブ(154)に沿って、これら窪み(152)によって案内されて摺動することができる。案内リブ(154)は、軸方向(105)に延在している。それ故に、ハンドグリップ(109)は、被覆スリーブ(102)に相対的に該方向(140)(図7参照)に、手動で摺動可能である。この摺動のあと、保護装置(101)のロック状態が達成されうる。このロック状態で、ハンドグリップ(109)は、被覆スリーブ(102)に相対的に該方向(142)(図7参照)に手動で回転可能である。案内リブ(154)が被覆スリーブ(102)の環状フランジ(124)にまで完全に延在していなくて、案内リブ(154)の夫々と該フランジ(124)との間に隙間を残しておくことによって、この回転は可能になる。環状フランジ(135)の外側部分は、それ故に図5に示すようにこれら隙間に割り込ませられ得る。前記回転の後、回転位置が得られて、被覆スリーブ(102)に相対的なハンドグリップ(109)の軸方向の移動は、非ロック状態への方向には阻止される。環状フランジ(135)は、1以上の突出要素、例えば図7で示された要素(155)を有することができ、これは、該要素(155)と案内リブ(154)との間の接合接点によって回転範囲を制限することに留意されたい。
【0053】
図4〜7の図示された実施例において、弾性封止ディスク(164)は、ハンドグリップ(109)から離れる方向を向いている被覆スリーブ(102)の側で、作動要素(103)によって保持されている。この弾性封止ディスク(164)は、被覆スリーブ(102)に対して実質的に同軸的に且つ軸方向(105)に対して実質的に横方向に延在している。図4に示された非ロック状態においては、封止ディスク(164)は、作動要素(103)の環状端部フランジ(134)と被覆スリーブ(102)のフランジ(124)との中間で、ごく近接して置かれる。ユーザーが、図4に示された非ロック状態から出発して、ハンドグリップ(109)を該方向(140)に動かすとき、弾性封止ディスク(164)もまた、該方向(140)に動く。この移動中の或る点で、封止ディスク(164)の外側部分は、リッジ(156)に当接するであろう。該リッジ(156)は、内側ねじ山を有しているパイプ内に通常存在する。ハンドグリップ(109)を該方向(140)にさらに押すことは、封止ディスク(164)を作動体(131)上に、特に作動体(131)の側面(132)の傾斜部分上に、摺動させるであろう。それ故に、該封止ディスク(164)は、上記傾斜部分とリッジ(156)(図5参照)との中間に応力で保持されるであろう。その応力は好ましい封止特性を与える。ユーザーが、図5に示されたロック状態から出発して、ハンドグリップ(109)を該方向(141)に動かすとき、該封止ディスク(164)は図4で示された位置に戻るであろう。
【0054】
図1〜7の実施態様の各々において、被覆スリーブと作動要素は、お互いに手動で取り外し不能である。すなわち、各保護装置の被覆スリーブおよび作動要素は、ユーザー、例えば、運搬および保管中に保護装置を取り扱う坑井孔パイプ作業員およびその他の人にとって、分離不能のままである。その結果、これら部品を再接続するという余分の仕事が防がれる。図1〜3の実施態様において、この取り外し不能性は、作動要素(3)の該スリーブ壁(31)が、該スリーブ壁(31)の端部で、その端部から中心軸(5)へ向かう方向に延在している環状フランジ(34)(図1および2参照)を有していることで実現される。図1に図示された位置から出発して、作動要素(3)が、図1に指示された方向(40)と反対方向に動かされるとき、環状フランジ(34)は、被覆スリーブ(2)の該スリーブ壁(21)の側面(23)の環状突起部(24)に当接し、従って被覆スリーブ(2)と作動要素(3)の手動での分離を防ぐ。図4〜7の別の実施態様において、この取外し不能性は、作動体(131)が、それを通して延在するところの通路(125)の反対側に、環状フランジ(134,135)を夫々有していることで実現されている(図4,5及び7参照)。図4および5の各々に図示された位置から出発して、作動要素(103)が、各々の方向(140、141)に動かされるとき、これら環状フランジ(135、134)は、夫々、被覆スリーブ(102)の環状フランジ(124)に当接し、従って被覆スリーブ(102)と作動要素(103)の手動での分離を防ぐ。
【0055】
図1〜7の実施態様の各々において、スリーブ壁のスリットを弾性封止物質で満たすことは可能である。すなわち、図3に示されたスリット(23)ならびに、被覆スリーブ(2)の図示されたフランジ(25)内のそれらの延在部は、例えば何らかの適当な弾性セメントで満たされうる。また、図6に示されたスリット(123)ならびに被覆スリーブ(102)のフランジ(124)内のそれらの延在部は、例えば何らかの適切な弾性セメントで満たされうる。
【0056】
図1〜7の実施態様の各々において、弾性物質(4、104)の各々は、被覆スリーブ壁(21、121)の各々に相対的に同軸的に延在している3つのO−リングによって提供される。この目的のために、各被覆スリーブ壁(21、121)は、それぞれ3つの環状溝(6、106)をそれぞれ備え、その中に、3つのO−リングが受け入れられている。しかしながら、そのようなO−リングのそれ以外の数、例えば、1つのO−リング、2つのO−リングあるいは3より多いO−リングが、各保護装置について適用されうる。また、上で述べたように、O−リングの使用に替えてまたは加えて、弾性物質は多様なそれ以外の形状と分布パターンで被覆側に備えられうる。
【0057】
上記の保護装置は様々な物質で作られうる。被覆スリーブ及び/又は作動要素は、例えば、金属からまたはプラスチック、例えば射出成形によって製作されうる。被覆スリーブと作動要素の両方を同じ物質から製作することも可能である。しかし、これら2つの部分を互いに異なる物質から、例えば、被覆スリーブはプラスチックから、そして作動要素は金属または金属合金から、またはその逆に、製作することもまた可能である。
【0058】
前述の詳細な説明において、本発明は、本発明の実施態様の特定の例を参照して記載されてきた。しかし、様々な変形および変更が、添付された請求項に記載されている本発明のより広い範囲から離れることなく行われうることは明白であろう。例えば、作動要素(3)の周囲スリーブ壁(31)の側面(32)および作動要素(103)の該作動体(131)の側面(132)の様々なタイプの傾斜、テーパーされおよびカーブされたものを含む、を適用することが可能である。また、これらの傾斜は、図に示された例と比較されると、中心軸(5、105)に対して反対の角度を有してもよく、その場合には、ロックおよび非ロック方向(40,41、140、141)は、例に示されたロック方向(40、140)および非ロック方向(41,141)に対して反対にされる。さらに、そのような傾斜を同じ目的で、作動要素におけるそのような傾斜に替えてまたは追加して、被覆スリーブの周囲スリーブ壁に施与することが可能である。しかし、その他の修正、変更および代替案も可能である。したがって明細書および図面は、限定的な意味というよりは例示的な意味に取られるべきである。
【符号の説明】
【0059】
1 坑井孔パイプ保護装置
2 被覆スリーブ
21 周囲スリーブ壁
22 被覆側面
23 スリット
24 環状突起部
25 フランジ
3 作動要素
31 周囲スリーブ壁
34 環状フランジ
4 弾性物質
5 中心軸
51 保持リング
52 ピン
53 軸受筒
55 接線方向に向けられた部分
59 円柱ロッド
6 環状溝
64 封止リング
7 坑井孔パイプ端部
8 外側ねじ山
9 ハンドグリップ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑井孔パイプ端部(7;107)に搭載された状態で該パイプ端部のねじ山(8;108)を保護するための坑井孔パイプ保護装置であって、該搭載状態での該保護装置(1;101)は、以下の状態:
‐ある偶発的な外部からの衝撃により該保護装置が該パイプから離れるのを防止するような仕方で該保護装置が該パイプに固定されているところのロック状態、および、
‐該保護装置が該ロックされた状態よりも該パイプに緩く固定されており且つ該保護装置が該パイプから手動で取り外しうるところの非ロック状態、
の間でその状態を互換することが手動で操作可能であり、
そして、該保護装置は、
‐周囲スリーブ壁(21;121)を備えている被覆スリーブ(2;102)、ここで、該スリーブ壁の1側面は、搭載状態において該パイプ端部のねじ山を被覆するための被覆側面(22;122)であり、そして該被覆スリーブは該スリーブ壁の該被覆側面上に弾性物質(4;104)を有し、該スリーブ壁が、その長さ方向が少なくとも該スリーブの軸方向(5;105)に延在しているところのスリット(23;123)によって中断されている限り、該スリーブ壁の少なくとも一部分は可撓性があり、その結果、該スリーブ壁は、該スリーブ壁の少なくとも直径が少なくとも部分的な範囲で該スリーブの軸方向で調節可能であるような仕方で変形可能であり、該調節可能性は、該ロック状態と該非ロック状態との間の前記互換性を可能にして、該ロック状態での該弾性材料は、該スリーブ壁によってねじ山内に押圧され、一方、該非ロック状態での該弾性材料は、ねじ山内に押圧されないか、または該ロック状態ほどしっかりとではなく押圧される、および
‐作動要素(3;103)、ここで該作動要素は、該ロック状態と該非ロック状態との間の前記互換性を実現するために、該スリーブ壁の変形状態における変化を実現するために、該被覆スリーブに相対的に少なくとも該被覆スリーブの軸方向(5;105)の成分で摺動可能である、
を備えており、
該作動要素(3;103)は、ハンドグリップ(9;109)を備え、該ハンドグリップは、該作動要素の前記摺動可能性を実現するために、該被覆スリーブ(2;102)に相対的に、少なくとも前記軸方向(5;105)の成分で手動で摺動可能であり、かつ該ハンドグリップは、該ロック状態では、該被覆スリーブ(2;102)に相対的に前記軸方向の周りを、該作動要素の前記摺動可能性が少なくとも該非ロック状態へ向かう方へは阻止されるところの回転位置へ手動で回転可能である、
ことで特徴付けられる、
上記保護装置。
【請求項2】
該被覆スリーブ(2;102)および作動要素(3;103)は、お互いに手動で取り外せない、請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
弾性封止物質が、該スリーブ壁(21;121)の該スリット(23;123)を満たしている、請求項1または2に記載の保護装置。
【請求項4】
該弾性物質の少なくとも一部分は、該スリーブ壁(21;121)に相対的に同軸的に延在している少なくとも1つのO−リング(4;104)の弾性物質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護装置。
【請求項5】
該スリーブ壁(21;121)は、少なくとも1つのO−リング(4;104)がその中に受け取られるところの少なくとも1つの環状溝(6;106)を備えている、請求項4に記載の保護装置。
【請求項6】
該保護装置(1)は、坑井孔パイプ端部(7)の外側ねじ山(8)を保護するために配置され且つ該スリーブ壁(21)の被覆側(22)は、該スリーブ壁が該パイプ端部上に同軸的に摺動するとき、搭載された状態で外側ねじ山を被覆するための、該スリーブ壁の中心軸(5)の方向を向いている、該スリーブ壁の側である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護装置。
【請求項7】
該保護装置(101)は、坑井孔パイプ端部(107)の内側ねじ山(108)を保護するために配置され且つ該スリーブ壁(121)の被覆側面(122)は、該スリーブ壁が該パイプ端部内に同軸的に挿入されるとき、搭載された状態で内側ねじ山を被覆するための、該スリーブ壁の中心軸(105)から離れる方向を向いている、該スリーブ壁の側面である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護装置。
【請求項8】
弾性封止ディスク(164)が、ハンドグリップ(109)から離れる方向に向いている被覆スリーブ(102)の1側面で、作動要素(103)によって保持されており、該封止ディスクは該被覆スリーブと実質的に同軸的に且つ前記軸方向(105)に実質的に横方向に延在している、請求項7に記載の保護装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−514951(P2013−514951A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545879(P2012−545879)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/NL2010/050709
【国際公開番号】WO2011/078658
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512162373)パイプ−プロテック ビー.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】