説明

垂直書き込みヘッドおよびその製造方法

【課題】垂直書き込みヘッドにおける磁気シールド用の傾斜バンプ設計およびその製造方法を提供する。
【解決手段】傾斜バンプ磁気シールドは、ハードディスクドライブにおける磁気記憶ディスクなどの磁気媒体に書き込むための磁束を最大限にするために、小さなスロート高さを提供し、一方で飽和を回避する。エッチングプロセスを用いて、非磁性ギャップ材料のテーパを形成する。次に、磁気シールドが、テーパに堆積され、シールドの傾斜バンプを形成する。エッチングプロセスは、テーパを形成する場合に、優れたエッジおよび厚み制御を提供するために多重エッチングプロセスであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、ハードディスクドライブ用の書き込みヘッドに関し、特に磁気ディスク上の垂直記録用に用いられる書き込みヘッドの磁気シールド用の傾斜バンプ設計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気ディスク記憶システム技術の分野が、ますます発展している。かかる成功によって、記憶システムは、現代のコンピュータの重要なコンポーネントになった。任意の記憶システムにおける最も重要ないくつかの顧客用属性は、メガバイト当たりのコスト、データレートおよびアクセスタイムである。個体メモリと比べて比較的低コストの磁気ディスク記憶システムを得るために、消費者は、この技術のあまり望ましくない特徴を受け入れなければならないが、これらの特徴には、比較的遅い応答、高電力消費、ノイズ、およびどんな機械システムにも関連する、より劣った信頼性属性が含まれる。他方で磁気記憶システムは、常に不揮発性だった。すなわち、データを保存するために電力が必要とされない。これは、半導体素子では、複雑さの処理、電源要件、書き込みデータレートまたはコストにおいて妥協を必要とすることが多い属性である。面密度(ディスクドライブ上の所与のエリア内に配置できる情報量)における改善が、記憶コストにおける歴史的な改善の背後にある主要な原動力だった。実際には、磁気ディスク記憶システムの面密度は、増加し続けている。磁気ディスク上の記録データを構成する磁性粒子がさらに小さくなるにつれて、かかる小さなビットの書き込みおよび読み出しにおける技術的な困難が生じる。
【0003】
垂直記録は、長手方向記録と比較して、面密度を増加させる1つの代替法である。近年、より高いデータレートおよび面密度に対する要求の増加が、より小さな寸法へ向けてスケーリングする垂直ヘッド設計、ならびに新しいヘッド設計、材料、および実際的な製造方法の絶え間ない探究の必要性を推し進めてきた。垂直磁気記録に関して遭遇する問題のいくつかは、ディスク上の隣接トラックに対するサイド書き込みおよびサイド消去である。これらの問題は、磁気書き込みヘッドからの磁束の漏れおよびフリンジングから生じる。これらの影響を最小限にするために、1つのアプローチは、後部シールドまたはラップアラウンドシールドを磁気書き込みヘッドに設けることである。これらのシールドによって、ディスクへ書き込むための有効磁束を提供し、一方で上記の問題につながる可能性がある漏れおよびフリンジングを回避することが可能になる。しかしながら、ディスクの面密度が増加するにつれて、所望の結果を達成するための既存シールドの能力は低減する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の実施形態において、ハードディスクドライブ用の磁気書き込みヘッドである。磁気書き込みヘッドには、空気ベアリング面(ABS)と、ABSの一部を画定する端部を有する磁気書き込み磁極と、磁気書き込み磁極上の非磁性ギャップ材料層であって、ABSからの第1の距離における第1の厚さから、ABSから遠ざかる方向におけるより大きな厚さへ、非磁性ギャップ材料層の厚さを増加させることによって画定されたテーパを含む非磁性ギャップ材料層と、非磁性ギャップ材料層上の磁気シールドと、が含まれる。
【0005】
さらなる実施形態において、本発明は、磁気記憶ディスクおよびデータをディスクドライブに書き込むための磁気書き込みヘッドを有するハードディスクドライブである。磁気書き込みヘッドには、磁気ディスクに隣接しかつ面する空気ベアリング面(ABS)と、実質的にABSに端部を有する磁気書き込み磁極と、磁気書き込み磁極上の非磁性ギャップ材料層であって、ABSからの第1の距離における第1の厚さから、ABSから遠ざかる方向におけるより大きな厚さへ、非磁性ギャップ材料層の厚さを増加させることによって画定されたテーパを含む非磁性ギャップ材料層と、非磁性ギャップ材料層上の磁気シールドと、が含まれる。
【0006】
別の実施形態において、本発明は、磁気書き込みヘッドの形成方法である。この方法には、基板を提供することが含まれるが、この場合に、基板は、書き込みヘッドの磁極を形成するための磁性材料の第1の層と、第1の層上の非磁性材料の第2の層と、を有する。次に、非磁性ギャップ材料の第3の層が、第2の層上に堆積され、続いて第3の層にフォトレジストの層を堆積する。第1のエッチングプロセスが、フォトレジスト層をマスクとして用いて、第3の層に対して実行される。第2のエッチングプロセスが、第3の層に対して実行される。第1および第2のエッチングプロセスは、非磁性ギャップ材料層が、ABSから遠ざかる方向において、ABSからの第1の距離で厚さを増加させるように、第3の層にテーパを形成する。磁性材料の第4の層を第3の層上に堆積して、書き込みヘッドの磁気シールドを形成する。
【0007】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することができる方法、上記で簡潔に要約した本発明の詳細で具体的な説明を、実施形態を参照することによって持ちうるために、実施形態のいくつかが添付の図面に示されている。しかしながら、添付の図面が、本発明の単に典型的な実施形態だけを示し、したがって本発明の範囲を限定するように見なすべきではないことに留意されたい。なぜなら、本発明は、他の等しく効果的な実施形態も可能にするからである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に従って、磁気ディスクと、アクチュエータに実装された磁気読み出し/書き込みヘッドと、を有する例示的なディスクドライブを示す。
【図2A】本発明の一実施形態による、図1のディスクドライブの読み出し/書き込みヘッドおよび磁気ディスクの側面図である。
【図2B】本発明の一実施形態による、図2Aの読み出し/書き込みヘッドの一部の拡大側面図である。
【図2C】本発明のさらなる実施形態による、図2Aの読み出し/書き込みヘッドの一部の拡大側面図である。
【図3A】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3B】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3C】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3D】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3E】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3F】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3G】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3H】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図3I】本発明の一実施形態に従って、先細磁気シールドを生成する1つの段階を示す側面図である。
【図4A】切断線4−4を通して得られた、図3Iの構造における断面の一実施形態を示す。
【図4B】切断線4−4を通して得られた、図3Iの構造における断面のさらなる実施形態を示す。
【図5A】切断線5−5を通して得られた、図3Iの構造における断面の一実施形態を示す。
【図5B】切断線5−5を通して得られた、図3Iの構造における断面のさらなる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の実施形態に言及する。しかしながら、本発明が、説明される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。そうではなく、以下の特徴および要素の任意の組み合わせは、異なる実施形態に関連していてもしていなくても、本発明を実現および実施するものと考えられている。さらに、様々な実施形態において、本発明は、先行技術に勝る多数の利点を提供する。しかしながら、本発明の実施形態が、他の解決法に勝る、かつ/または先行技術に勝る利点を達成可能であっても、特定の利点が所与の実施形態によって達成されるかどうかは、本発明の限定とはならない。したがって、以下の態様、特徴、実施形態および利点は、単に例示であり、明示的に存在しなければ、添付の特許請求の範囲の要素または限定とは考えられない。
【0010】
本発明の実施形態は、ハードディスクドライブ用磁気書き込みヘッドにおいて、磁束漏れおよびフリンジングならびにそれらによって引き起こされる問題を低減することに関する。本発明の実施形態は、磁気ディスクハードドライブでの使用に特に適しているが、この使用は、限定的に考えるべきではない。なぜなら、本発明の磁気書き込みヘッドは、磁気漏れおよびフリンジングが問題である任意のタイプの磁気媒体に書き込むために使用可能だからである。垂直磁気記録(PMR)の出現は、長手方向記録よりかなり高い記憶密度を提供するが、それ自身の一連の難問を持ち込んだ。これらの難問の1つが、垂直記録において必要とされる高書き込み電流による、垂直書き込み磁極からの漂遊磁界を抑制する必要性である。漂遊磁界を抑制する一方法は、読み出し/書き込みヘッドの後端部において磁気シールドを用いることによる。シールドは、非磁性材料で形成されたシールドギャップによって、書き込み磁極から分離される。シールドギャップは、ABSに隣接して厚さが低減された部分を有し、シールドギャップスロートを形成する。シールドギャップスロート領域では、磁気シールドと書き込み磁極との間の距離が低減される。ABSから、ギャップが厚さを増加し始めるポイントまでのシールドギャップスロートの高さが、スロート高さとして知られている。高面密度PMRのために、シールドスロート高さは、比較的小さくなければならない。しかしながら、小さなスロート高さは、飽和を引き起こす傾向がある。本発明の実施形態は、傾斜バンプ磁気シールドを提供する。傾斜バンプは、ギャップ材料におけるテーパによって形成され、比較的小さなスロート高さを提供し、一方で飽和を回避する。
【0011】
垂直書き込みヘッド磁極用の2つの通常タイプの磁気シールドは、後部シールドおよびラップアラウンドシールドである。後部シールドが、主に、読み出し/書き込みヘッドの後端部に位置するのに対して、ラップアラウンドシールドは、書き込み磁極を包み込み、かつ後端部と同様に書き込み磁極の側部を覆うことによって、追加的シールドを提供する。ラップアラウンドシールドは、漂遊磁界抑制のための最も効率的なタイプのシールドである。両方のタイプのシールドは、本発明の傾斜バンプから恩恵を受ける。
【0012】
図1は、ハウジング12を含む磁気ハードディスクドライブ10の一実施形態を示すが、このハウジング12の内では、磁気ディスク14が、クランプによってスピンドルモータ(SPM)に固定されている。SPMは、ある速度で回転するように磁気ディスク14を駆動する。ヘッドスライダ18は、磁気ディスク14の記録領域にアクセスする。ヘッドスライダ18は、ヘッド要素区分と、ヘッド要素区分が固定されるスライダと、を有する。ヘッドスライダ18には、磁気ディスク14上方へのヘッドの浮上高さを調整する浮上高さ制御部が設けられている。アクチュエータ16が、ヘッドスライダ18を担持する。図1において、アクチュエータ16は、ピボットシャフトによって回動可能に保持され、かつ駆動機構としてのボイスコイルモータ(VCM)17の駆動力によってピボットシャフトを中心に回動される。アクチュエータ16は、磁気ディスク14の半径方向に回動して、ヘッドスライダ18を所望の位置に移動させる。回転している磁気ディスク14と、磁気ディスク14に面するヘッドスライダの空気ベアリング面(ABS)との間の空気の粘性ゆえに、圧力が、ヘッドスライダ18に作用する。ヘッドスライダ18は、空気と、アクチュエータ16によって磁気ディスク14の方に加えられる力との間でバランスを取るこの圧力の結果として、磁気ディスク14上に低く浮上する。
【0013】
図2Aは、スライダ201上に実装され、かつ磁気ディスク202に面する読み出し/書き込みヘッド200の実施形態の中心を通る、フラグメント化された側部断面図である。一実施形態において、スライダ201は、図1のヘッドスライダ18であり、磁気ディスク202は、図1の磁気ディスク14である。いくつかの実施形態において、磁気ディスク202は、「二重層」媒体、すなわち、ディスク基板208上に形成された「軟」または比較的低保磁力の磁気透過性下層(EBL)206上の垂直磁気データ記録層(RL)204を含む「二重層」媒体であってもよい。読み出し/書き込みヘッド200は、空気ベアリング面(ABS)、磁気書き込みヘッド210、および磁気読み出しヘッド211を含み、かつそのABSが磁気ディスク202に面するように実装される。図2Aにおいて、ディスク202は、矢印232によって示される方向に、書き込みヘッド210を通り越して移動するので、読み出しヘッド211および書き込みヘッド210を支持するスライダ201の部分は、スライダ「後」端部203と呼ばれることが多い。読み出し/書き込みヘッド200は、典型的には、空気ベアリングスライダ201の後端部203上に形成されるが、この空気ベアリングスライダ201は、そのABS(図示せず)がディスク202の表面上方で支持されるようにする。
【0014】
いくつかの実施形態において、磁気読み出しヘッド211は、磁気抵抗(MR)読み出しヘッドであるが、この磁気抵抗(MR)読み出しヘッドには、MRシールドS1およびS2間に位置するMR検出素子230が含まれる。RL204は、垂直に記録または磁化された領域を伴って示されているが、隣接する領域が、RL204に位置する矢印によって表される反対の磁化方向を有している。隣接し反対方向に磁化された領域間の磁気遷移は、記録されたビットとしてMR検出素子230によって検出可能である。
【0015】
書き込みヘッド210には、主磁極212、磁束戻り磁極214、ならびに主磁極212および磁束戻り磁極214を接続するヨーク216から構成されたヨークが含まれる。書き込みヘッド210にはまた、非磁性材料219に埋め込まれたセクションに示されている薄膜コイル218、およびラップアラウンドヨーク216が含まれる。書き込み磁極220は、主磁極212に磁気的に接続され、かつディスク202の外面に面する磁気書き込みヘッド210のABS部分を画定する端部226を有する。いくつかの実施形態において、書き込み磁極220は、フレア型書き込み磁極であり、フレア型部222と、ABSにおける端部226を含む磁極先端224と、を含む。フレア型書き込み磁極の実施形態において、(図2Aにおいてページの中および外への)書き込み磁極220の厚さは、磁極先端224における第1の厚さから、フレア型部222におけるより大きな厚さへ増加する。フレア型部222は、書き込み磁極220の高さ全体(図2Aの上下)に延伸してもよく、または図2Aに示すように、高さの一部だけにわたって延伸してもよい。動作において、書き込み電流は、コイル218を通過し、(破線228によって示される)磁界をWP220から誘導するが、この磁界は、RL204を通過して(WP220の下のRL204の領域の磁化し)、EBL206によって設けられた磁束戻り経路を通り、戻り磁極214に戻る。
【0016】
図2Aはまた、非磁性ギャップ層256によってWP220から分離された磁気シールド250の一実施形態を示す。いくつかの実施形態において、磁気シールド250は、シールド材料のほぼ全てが後端部203にある後部シールドであってもよい。図4および5にもっともよく示されるように、代替として、いくつかの実施形態において、磁気シールド250は、シールドが後端部203を覆い、かつまた書き込み磁極220の側部を包み込むラップアラウンドシールドであってもよい。図2Aが、読み出し/書き込みヘッド200の中心を通る断面図なので、それは、後部およびラップアラウンド実施形態の両方を表す。
【0017】
ABSの近くで、非磁性ギャップ層256は、厚さが減少し、シールドギャップスロート258を形成する。スロートギャップ幅は、一般に、ABSにおいてWP220と磁気シールド250との間の距離として定義される。シールド250は、(Ni、CoおよびFe合金などの)磁気透過性材料で形成され、ギャップ層256は、(Ta、TaO、SiCまたはAlなどの)非磁性材料で形成される。ギャップ材料におけるテーパ260は、ABSにおけるギャップ幅からテーパ260上方の最大ギャップ幅へとなだらかな遷移を提供する。幅におけるこのなだらかな遷移によって、磁気シールド250に傾斜バンプが形成されるが、この傾斜バンプは、書き込み磁極220からのより大きな磁束密度を可能にし、一方で飽和を回避する。テーパ260が、図2A〜2Cに示すよりも多くまたは少なく延伸してもよいことを理解されたい。テーパは、最大ギャップ幅が、ABSと反対側のシールド端部になるように、シールド250のもう一方の端部(図示せず)まで上方に延伸してもよい。ギャップ層厚さは、ABSからの第1の距離(スロートギャップ高さ)における第1の厚さ(スロートギャップ幅)から、ABSから遠ざかる方向におけるより大きな厚さへ、ABSからの第2の距離(第1の距離より大きい)における最大の厚さへと、増加する。
【0018】
図2Bは、図2Aの区分290の拡大側面図を示す。テーパ260は、読み出し/書き込みヘッド200のABSに対して角度θを形成する。一実施形態において、θは、読み出し/書き込みヘッド200のABSに対して約10°〜約70°であり、ほぼ固定される傾斜を形成する。スロートギャップ幅は、図2BにおいてTWと名付けられ、ABSにおいてWP220と磁気シールド250との間の距離として定義される。ギャップ層256におけるテーパによって、磁界の過度のフリンジングなしにTWの低減が可能になる。一実施形態において、TWは、約15nm〜40nmである。スロート高さTHは、一般に、ABSと、シールド250の前縁252におけるシールド高さとの間の距離として定義される。いくつかの実施形態において、THは、約20nm〜150nmである。THの上方では、ギャップ256の幅は、テーパ260に沿って最大ギャップ幅GWへ増加する。テーパ260は、TW、GWおよびθに依存して、THの上方で40nm〜300nmにわたって延伸する。最大ギャップ幅GWは、40nm〜300nmである。前縁252とテーパ260との間の遷移と同様に、テーパ260と、シールド250の比較的に直線な部分270との間の遷移は、急激で鋭いコーナーを形成してもよく、またはよりなだらかであってもよい。
【0019】
図2Cは、テーパが一貫性のない本発明の別の実施形態に従って、図2Aの区分290の拡大側面図を示す。例示的な実施形態において、テーパ260は、2つのテーパ260Aおよび260B間の区分280に中間ギャップが形成されるように、2つの部分260Aおよび260Bに分割される。中間ギャップは、中間幅IWを有する。IWは、TWとGWとの間であり、一実施形態において、IW=(TW+GW)/2であるように、TWおよびGWの平均であってもよいが、他のIW値もまた可能である。区分280は、テーパ260Aおよび260Bと共にコーナー282を形成する。コーナー282は、鋭いコーナーでも、または丸みがあってもよく、それぞれの曲率半径Rは、同じかまたは異なってもよい。テーパ260Aは、読み出し/書き込みヘッド200のABSと角度αを形成し、一方でテーパ260Bは、読み出し/書き込みヘッド200のABSと角度βを形成する。一実施形態において、αおよびβは、ABSに対して約10°〜約70°である。いくつかの実施形態において、αおよびβは等しいが、他の実施形態において、それらは、等しくなくてもよい。例えば、一実施形態において、テーパ260Aは、αが約60°であるように、前縁252(一実施形態において、ABSと約90°の角度を形成する)と比較的小さな角度を形成し、一方でテーパ260Bは、βが約30°であるように、前縁252に対してより急勾配であってもよい。1つの中間区分280ならびに2つのテーパ260Aおよび260Bだけが、図2Cに示されているが、任意の数のテーパおよび中間区分を、本発明の範囲を逸脱せずに含み得ることを理解されたい。
【0020】
図3A−3Iは、本発明の傾斜バンプ磁気シールドを形成するための方法の一実施形態を示す。図3Aには基板300が示されている。基板300は、図2A−2CのWP220であってもよく、または一時的な基板、すなわちそれを起点にして、堆積された層がWP220に変形される基板であってもよい。いくつかの実施形態において、基板300は、積層された主磁極であってもよく、かつその上に位置する残ったアルミナマスク層302を含んでもよい。次に、図3Bに示すように、比較的薄い(例えば、約2nm〜50nmの厚さ)ルテニウムシード層304が、層302上に堆積される。シード層304用の他の適した材料には、例えば、ロジウムおよびイリジウムが含まれる。図3Cは、ルテニウムシード層304上に堆積された非磁性ギャップ材料層306(一実施形態において、Ta、TaOまたはAlとすることができる)を示す。一実施形態において、層306は、約30nm〜200nmの厚さに、物理蒸着(PVD)またはイオンビーム蒸着(IBD)によって堆積される。図3Dに進むと、二重層フォトレジスト308が、層306上に堆積されてパターニングされる。フォトレジスト308がパターニングされた後で、図3Eに示すように、構造は、フォトレジスト層の一部を除去して層308’を残す反応性イオンエッチング(RIE)にさらされる。一実施形態において、RIEは、CFおよびArを用いて実行され、フォトレジスト層308によって保護されていない層306の一部を除去して、層306’を形成する。フォトレジストによって保護されていない層306’の部分において、テーパ310がRIEによって形成される。一実施形態において、層306は、Alで形成され、誘導結合プラズマ(ICP)ツールを用いてエッチングされる。一実施形態において、テーパ角度(例えば、図2Bにおけるθ)は、以下の表1に示すように特定の範囲内でプロセスパラメータを変えることによって、約30°〜約60°になるように「調整」することができる。
【0021】
【表1】

【0022】
図3Fにおいて、残りのフォトレジスト308’は、フォトレジストリフトオフプロセスを用いて除去された。次に、図3Gに示すが、層304の一部が露出されるように、低RF電力を使用する第2のRIEを用いて層306’の一部を除去し、層306’’を形成する。本発明のいくつかの実施形態において、第2の低電力RIEは、ちょうど第1の高電力RIEの後でフォトレジストリフトオフプロセスの前に実行してもよい。一実施形態において、第1のRIEは、除去すべき層306の材料全体の約70%〜約90%または約80%を除去し、一方で第2のRIEは、残りの約30%〜約10%または約20%を除去する。各RIE動作によって除去される材料のパーセンテージは変化してもよいが、比較的低電力のRIEを用いるRIEプロセスで締めくくることによって、優れたエッジおよび厚み制御を達成できると信じられる。RIEプロセスを順次実行することにより、単一のRIEを実行して動作中の電力を低減し、それによって恐らく、アセンブリプロセスの時間およびコストを低減することができる。一実施形態において、層302、304および306’’は、図2A−2Cの非磁性ギャップ層256を形成する。テーパ310’が層に306’’に形成された後で、図3Hに示すように、シード層312が、層304および306’’上に堆積される。シード層312は、NiFe、CoFe、CoNiFeおよびCoFeCrで形成されるが、それらに限定されない。次に、磁気シールド層314を形成する磁性材料(Ni、CoまたはFe合金など)が、シード層312上に堆積されて、図3Iに示すような構造を完成する。いくつかの実施形態において、磁気シールド層314は、図2A−2Cの磁気シールド250を形成する。
【0023】
図4Aは、(図2Aに示すように、ほぼABSのレベルで)切断線4−4を通して得られた、図3Iの構造における一実施形態の断面図である。この実施形態において、図4Aの上部における矢印によって示すように、比較的垂直なIBDプロセス(主磁極300の上面402に垂直)を用いて、層306を堆積する(図3C)。図4Aには、主磁極(層300)のABS端が示されている。図4Aで分かるように、一実施形態において、主磁極300は、断面が台形である。他の断面形状も考えられ、本発明の観点において特定の形状が限定的であると考えるべきではない。主磁極300は、非磁性材料400によって囲まれている。材料400には、主磁極300の下および側部における材料219(図2B)が含まれる。層302および304(図3I)が、主磁極300の上端、ならびに材料400の上端および側部に薄層を形成する。シールド314は、主磁極構造を囲み、かつ層302および304によって形成された比較的より薄いギャップによって主磁極300から分離される。この実施形態において、図3Iの切断線4−4によって示すように、層306の上端部がABSまで延伸しないので、層306’’が、「ショルダ」エリア404に存在するだけであることに留意されたい。層302および304の上端部が、層306の堆積を「遮る」ので、比較的小量の306’’が堆積される。
【0024】
図4Bは、(図2Aに示すように、ほぼABSのレベルで)切断線4−4を通して得られた、図3Iの構造におけるさらなる実施形態の断面図である。この実施形態において、図4Bの側部における矢印によって示すように、主磁極300の上面402に対してほぼ45°のIBDプロセスを用いて、層306を堆積する(図3C)。図4Bには、主磁極(層300)のABS端が示されている。主磁極300は、非磁性材料400によって囲まれる。材料400には、主磁極300の下および側部における材料219(図2B)が含まれる。層302および304(図3I)は、主磁極300の上端、ならびに材料400の上端および側部に薄層を形成する。シールド314は、主磁極構造を囲み、かつ層302および304によって形成された比較的より薄いギャップによって主磁極300から分離される。この実施形態において、層306’’は、図3Iにおける切断線4−4によって示すように、この層の上端部がABSまで延伸しないので、「ショルダ」エリア404に存在するだけであることに留意されたい。比較的小量の306’’が主磁極300の側部に堆積される。なぜなら、IBD蒸着プロセスが、ある角度で実行されるので、層302および304の上端部が、層306の堆積を遮らないからである。
【0025】
図5Aは、線5−5を通して得られた、図3Iの構造における一実施形態の断面図である。図5Aにおいて、主磁極300の上端は、図3Iの層302、304および306’’で形成された比較的より厚いギャップによって、シールド314から分離される。図5Aにおいて、ギャップ材料306は、PVDを用いて堆積されるか、または代替として、図の上端における矢印によって示すように、(主磁極300の上面502に垂直な)垂直IBDプロセスを用いて堆積してもよい。この実施形態において、また図4Aに関連して説明するように、層302および304の上端部が、層306の堆積を「遮る」ので、比較的小量の306’’が堆積される。
【0026】
図5Bは、線5−5を通して得られた、図3Iの構造におけるさらなる実施形態の断面図である。この実施形態において、図5Bの側部における矢印によって示し、かつ図4Bに関連して説明したように、主磁極300の上面502に対してほぼ45°のIBDプロセスを用いて、層306を堆積する(図3C)。図5Aにおいて、主磁極300の上端は、図3Iの層302、304および306’’で形成された比較的厚いギャップによって、シールド314から分離される。角度のあるIBDプロセスを用いることによって、ギャップ材料は、主磁極300の底部506より下の領域504において、より厚く形成可能である。主磁極300の側部に対する層302、304および306’’の部分が、磁気シールドの側部ギャップを形成する。領域504の追加材料は、サイド書き込みおよび消去を低減することによって、磁気シールド314の側部ギャップのよりよい制御を提供する。
【0027】
上記は、本発明の実施形態に関するが、本発明の他の、およびさらなる実施形態が、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに考案可能であり、それらの範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0028】
10 磁気ハードディスクドライブ
12 ハウジング
14 磁気ディスク
16 アクチュエータ
17 ボイスコールモータ(VCM)
18 ヘッドスライダ
200 読み出し/書き込みヘッド
201 スライダ
202 磁気ディスク
203 後端部
204 垂直磁気データ記録層(RL)
206 磁気透過性下層(EBL)
208 ディスク基板
210 磁気書き込みヘッド
211 磁気読み出しヘッド
212 主磁極
214 磁束戻り磁極
216 ヨーク
218 薄膜コイル
219 非磁性材料
220 書き込み磁極(WP)
222 フレア型部
224 磁極先端
226 端部
228 破線
230 MR検出素子
232 矢印
250 磁気シールド
252 前縁
256 非磁性ギャップ層
258 シールドギャップスロート
260 テーパ
260A テーパ
260B テーパ
270 直線部
280 区分
282 コーナー
290 区分
300 主磁極
302 アルミナマスク層
304 ルテニウムシード層
306 非磁性ギャップ材料層
306’ 層
306’’ 層
308 フォトレジスト
308’ 層
310 テーパ
310’ テーパ
312 シード層
314 磁気シールド層
400 非磁性材料
402 上面
404 ショルダエリア
502 上面
504 領域
506 底部
ABS 空気ベアリング面
MR 磁気抵抗
S1 MRシールド
S2 MRシールド
RN 曲率
TH スロート高さ
TW スロートギャップ幅
GW 最大ギャップ幅
IW 中間幅
α 角度
β 角度
θ 角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブ用の磁気書き込みヘッドであって、
空気ベアリング面(ABS)と、
前記ABSの一部を定める端部を有する磁気書き込み磁極と、
前記磁気書き込み磁極上に堆積された非磁性ギャップ材料層であって、前記ABSからの第1の距離における第1の厚さから、前記ABSからの第2の距離おける第2の厚さへ、前記非磁性ギャップ材料層の増加する厚さによって画定されるテーパを含み、前記第2の厚さが前記第1の厚さより厚く、前記第2の距離が前記第1の距離より大きい非磁性ギャップ材料層と、
前記非磁性ギャップ材料層上に堆積された磁気シールドと、
を含む磁気書き込みヘッド。
【請求項2】
前記第1の距離が、20nm〜150nmである、請求項1に記載の磁気書き込みヘッド。
【請求項3】
前記第1の厚さが、10nm〜40nmである、請求項1に記載の磁気書き込みヘッド。
【請求項4】
前記非磁性ギャップ材料が、Ta、TaO、SiC、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の磁気書き込みヘッド。
【請求項5】
前記非磁性ギャップ材料層の最大厚さが、40nm〜300nmである、請求項1に記載の磁気書き込みヘッド。
【請求項6】
磁気記憶ディスクと、
データをディスクドライブに書き込むための磁気書き込みヘッドであって、
前記ディスクに隣接しかつ面する空気ベアリング面(ABS)と、
実質的に前記ABSに端部を有する磁気書き込み磁極と、
前記磁気書き込み磁極上の非磁性ギャップ材料層であって、前記ABSからの第1の距離における第1の厚さから、前記ABSからの第2の距離おける第2の厚さへ、前記非磁性ギャップ材料層の増加する厚さによって画定されたテーパを含み、前記第2の厚さが前記第1の厚さより厚く、前記第2の距離が前記第1の距離より大きい非磁性ギャップ材料層と、
前記非磁性ギャップ材料層上の磁気シールドと、
を含むハードディスクドライブ。
【請求項7】
前記第1の距離が、20nm〜150nmである、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項8】
前記第1の厚さが、10nm〜40nmである、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項9】
前記非磁性ギャップ材料が、Ta、TaO、SiC、Al、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項10】
前記非磁性ギャップ材料層の最大厚さが、40nm〜300nmである、請求項6に記載のハードディスクドライブ。
【請求項11】
磁気書き込みヘッドの形成方法であって、
前記書き込みヘッドの磁極を形成するための第1の磁性材料層、および前記第1の層上の第2の非磁性材料層を含む基板を用意する工程と、
第3の非磁性ギャップ材料層を前記第2の層上に堆積する工程と、
前記第3の層が、前記ABSからの第1の距離における第1の厚さから、前記ABSからの第2の距離おける第2の厚さへ、厚さを増加させるように、前記第3の層をパターニングして前記第3の層にテーパを形成する工程であって、前記第2の厚さが前記第1の厚さより厚く、前記第2の距離が前記第1の距離より大きいくし、
第4の磁性材料層を前記第3の層上に堆積して、前記書き込みヘッドの磁気シールドを形成する工程を、を含む方法。
【請求項12】
前記第3の層のパターニングが、
フォトレジスト層を前記第3の層上に堆積する工程と、
前記フォトレジスト層をマスクとして用いて、第1のエッチングプロセスを前記第3の層に対して実行する工程と、
第2のエッチングプロセスを前記第3の層に対して実行することであって、前記第1および第2のエッチングプロセスが、前記第3の層に前記テーパを形成する工程と、
を含む、請求項11に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項13】
前記第1のエッチングプロセスを実行した後で、かつ前記第2のエッチングプロセスを実行する前に、フォトレジストリフトオフプロセスを実行して前記フォトレジスト層を除去する工程をさらに含む、請求項12に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項14】
前記フォトレジスト層が、前記第1のエッチングプロセスおよび前記第2のエッチングプロセスの両方のためのマスクとして用いられるように、前記第1のエッチングプロセスおよび前記第2のエッチングプロセスを実行した後で、フォトレジストリフトオフプロセスを実行して前記フォトレジスト層を除去する工程をさらに含む、請求項12に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項15】
前記第1および第2のエッチングプロセスが、単一のエッチングプロセスとして連続的に実行され、前記第1のエッチングプロセスが、第1のRF電力レベルで実行される反応性イオンエッチングを含み、前記第2のエッチングプロセスが、第2のRF電力レベルで実行される反応性イオンエッチングを含み、前記第1のRF電力レベルが前記第2のRF電力レベルより大きい、請求項14に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項16】
前記第1のエッチングプロセスが、第1のRF電力レベルで実行される反応性イオンエッチングを含み、前記第2のエッチングプロセスが、第2のRF電力レベルで実行される反応性イオンエッチングを含み、前記第1のRF電力レベルが前記第2のRF電力レベルより大きい、請求項12に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項17】
前記第1のエッチングプロセスが、前記第3の層から第1の量の材料を除去し、前記第2のエッチングプロセスが、前記第3の層から第2の量の材料を除去し、前記第1の量が前記第2の量より大きい、請求項16に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項18】
前記第1の量の材料が、前記第1および第2のエッチングプロセスによって前記第3の層から除去される材料総量の70%〜90%である、請求項17に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項19】
前記第3の非磁性ギャップ材料層の前記堆積が、比較的小量の非磁性ギャップ材料が前記磁極の側部に堆積されるように、前記磁極の上面にほぼ垂直に向けられたIBDプロセスを含む、請求項11に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。
【請求項20】
前記第3の非磁性ギャップ材料層の前記堆積が、比較的多量の非磁性ギャップ材料が前記磁極の側部に堆積されるように、前記磁極の上面に対してほぼ45°に向けられたIBDプロセスを含む、請求項11に記載の磁気書き込みヘッドの形成方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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