説明

垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法

【課題】スキューに起因した問題の発生を防止でき、トラック幅を精度よく規定でき、且つ記録特性を向上させることのできる磁極層を形成する。
【解決手段】磁気ヘッドは、トラック幅規定部と幅広部を含む磁極層と、磁極層を収容する溝部43aを有する収容層43を備えている。溝部43aは、トラック幅規定部を収容する第1の部分43a1と、幅広部を収容する第2の部分43a2を含んでいる。磁気ヘッドの製造方法は、後に収容層43となる非磁性層の上に溝部規定層13を形成する工程と、非磁性層のうち、第1の部分43a1が形成される予定の領域を覆うマスクを形成する工程と、非磁性層に第2の部分43a2が形成されるように非磁性層をエッチングする工程と、マスクを除去する工程と、第1の部分43a1が形成されて溝部43aが完成するように非磁性層をテーパエッチングする工程とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直磁気記録方式によって記録媒体に情報を記録するために用いられる垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録再生装置における記録方式には、信号磁化の向きを記録媒体の面内方向(長手方向)とする長手磁気記録方式と、信号磁化の向きを記録媒体の面に対して垂直な方向とする垂直磁気記録方式とがある。垂直磁気記録方式は、長手磁気記録方式に比べて、記録媒体の熱揺らぎの影響を受けにくく、高い線記録密度を実現することが可能であると言われている。
【0003】
一般的に、垂直磁気記録用の磁気ヘッドとしては、長手磁気記録用の磁気ヘッドと同様に、読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR(Magnetoresistive)素子とも記す。)を有する再生ヘッドと、書き込み用の誘導型電磁変換素子を有する記録ヘッドとを、基板上に積層した構造のものが用いられる。記録ヘッドは、記録媒体の面に対して垂直な方向の磁界を発生する磁極層を備えている。磁極層は、例えば、一端部が記録媒体に対向する媒体対向面に配置されたトラック幅規定部と、このトラック幅規定部の他端部に連結され、トラック幅規定部よりも大きな幅を有する幅広部とを有している。トラック幅規定部は、ほぼ一定の幅を有している。
【0004】
垂直磁気記録方式において、記録密度の向上に寄与するのは、主に、記録媒体の改良と記録ヘッドの改良である。高記録密度化のために記録ヘッドに要求されることは、特に、トラック幅の縮小と、記録特性の向上である。一方、トラック幅が小さくなると、記録特性、例えば重ね書きの性能を表わすオーバーライト特性は低下する。従って、トラック幅が小さくなるほど、記録特性の一層の向上が必要となる。ここで、媒体対向面に垂直な方向についてのトラック幅規定部の長さをネックハイトと呼ぶ。このネックハイトが小さいほど、オーバーライト特性が向上する。
【0005】
ところで、ハードディスク装置等の磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドは、一般的に、スライダに設けられる。スライダは、上記媒体対向面を有している。この媒体対向面は、空気流入側の端部と空気流出側の端部とを有している。そして、空気流入側の端部から媒体対向面と記録媒体との間に流入する空気流によって、スライダは記録媒体の表面からわずかに浮上するようになっている。このスライダにおいて、一般的に、磁気ヘッドは媒体対向面における空気流出側の端部近傍に配置される。磁気ディスク装置において、磁気ヘッドの位置決めは、例えばロータリーアクチュエータによって行なわれる。この場合、磁気ヘッドは、ロータリーアクチュエータの回転中心を中心とした円軌道に沿って記録媒体上を移動する。このような磁気ディスク装置では、磁気ヘッドのトラック横断方向の位置に応じて、スキューと呼ばれる、円形のトラックの接線に対する磁気ヘッドの傾きが生じる。
【0006】
特に、長手磁気記録方式に比べて記録媒体への書き込み能力が高い垂直磁気記録方式の磁気ディスク装置では、上述のスキューが生じると、あるトラックへの情報の書き込み時に隣接トラックの情報が消去される現象(以下、隣接トラック消去と言う。)が生じたり、隣り合う2つのトラックの間において不要な書き込みが行なわれたりするという問題が生じる。高記録密度化のためには、隣接トラック消去を抑制する必要がある。また、隣り合う2つのトラックの間における不要な書き込みは、磁気ヘッドの位置決め用のサーボ信号の検出や再生信号の信号対雑音比に悪影響を及ぼす。
【0007】
上述のようなスキューに起因した問題の発生を防止する技術としては、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されているように、媒体対向面におけるトラック幅規定部の端面の形状を、記録媒体の進行方向の後側(スライダにおける空気流入端側)に配置される辺が反対側の辺よりも短い形状とする技術が知られている。磁気ヘッドでは、通常、媒体対向面において、基板からより遠い端部が記録媒体の進行方向の前側(スライダにおける空気流出端側)に配置される。従って、上述の媒体対向面におけるトラック幅規定部の端面の形状は、基板により近い辺が基板からより遠い辺よりも短い形状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−92821号公報
【特許文献2】特開2003−242607号公報
【特許文献3】特開2006−107695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、上述のように媒体対向面におけるトラック幅規定部の端面の形状が、基板により近い辺が基板からより遠い辺よりも短い形状となる磁極層の形成方法について考える。特許文献1および特許文献2には、フォトレジストよりなるマスクを用いて無機絶縁膜を選択的にエッチングして無機絶縁膜に溝を形成し、この溝内に磁極層を形成する方法が記載されている。また、特許文献3には、非磁性層の上に非磁性導電層を形成し、フォトレジストよりなるマスクを用いて非磁性導電層を選択的にエッチングして非磁性導電層に開口部を形成し、更に、反応性イオンエッチング(以下、RIEとも記す。)によって、非磁性層のうち非磁性導電層の開口部から露出する部分を選択的にエッチングして、非磁性層に溝部を形成し、この溝内に磁極層を形成する方法が記載されている。
【0010】
特許文献1、特許文献2または特許文献3に記載された方法によって形成された磁極層では、磁極層の側面の大部分が、磁極層の全周にわたって、基板の上面に垂直な方向に対して傾いた面となる。このような形状の磁極層では、磁極層の側面全体が基板の上面に対して垂直な場合に比べて、磁束の流れる方向に対して垂直な断面の面積が小さくなる。上記の形状の磁極層では、特にトラック幅規定部と幅広部との境界の近傍の部分において多くの磁束を通過させることができなくなり、その結果、オーバーライト特性等の記録特性が低下してしまう。そのため、上記の形状の磁極層では、記録特性の低下を抑制するために、ネックハイトを小さくせざるを得ない。
【0011】
ところで、磁極層の側面のうちトラック幅規定部と幅広部との境界近傍の部分を精度よく形成することは難しい。そのため、磁極層のうちトラック幅規定部と幅広部との境界近傍の部分は、媒体対向面から離れるに従って幅が徐々に大きくなる形状になりやすい。そのため、ネックハイトが小さくなってくると、媒体対向面に配置されたトラック幅規定部の幅すなわちトラック幅を精度よく規定することが難しくなる。
【0012】
これらのことから、従来は、スキューに起因した問題の発生を防止でき、トラック幅を精度よく規定でき、且つ記録特性を向上させることのできる磁極層を形成することが難しかった。
【0013】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、スキューに起因した問題の発生を防止でき、トラック幅を精度よく規定でき、且つ記録特性を向上させることのできる磁極層を形成できるようにした垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法によって製造される垂直磁気記録用磁気ヘッドは、
記録媒体に対向する媒体対向面と、
記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、
コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層と、
非磁性材料よりなる底部形成層と、
非磁性材料よりなり、底部形成層の上に配置され、上面で開口し磁極層を収容する溝部を有する収容層と、
上面を有し、底部形成層、収容層、磁極層およびコイルが積層される基板とを備えている。
【0015】
磁極層は、媒体対向面に配置されトラック幅を規定する端面とその反対側の端部とを有するトラック幅規定部と、トラック幅規定部の前記端部に接続され、トラック幅規定部の幅よりも大きい幅を有する幅広部とを含んでいる。媒体対向面に配置されたトラック幅規定部の端面は、基板の上面に近づくに従って小さくなる幅を有している。溝部は、磁極層のうちのトラック幅規定部の少なくとも一部を収容する第1の部分と、第1の部分よりも媒体対向面から遠い位置に配置され、磁極層のうちの幅広部の少なくとも一部を収容する第2の部分とを含んでいる。第1の部分は、基板の上面に近づくに従って小さくなる幅を有している。第2の部分は、収容層を貫通している。
【0016】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法は、
底部形成層を形成する工程と、
底部形成層の上に、後に溝部が形成されることにより収容層となる非磁性層を形成する工程と、
非磁性層の上に、後に形成される溝部の平面形状に対応した形状の貫通する開口部を有する溝部規定層を形成する工程と、
非磁性層が収容層になるように、非磁性層に溝部を形成する工程と、
収容層の溝部内に収容されるように磁極層を形成する工程と、
コイルを形成する工程とを備えている。
【0017】
非磁性層に溝部を形成する工程は、非磁性層のうち、溝部の第1の部分が形成される予定の領域を覆うマスクを形成する工程と、非磁性層に、溝部の第2の部分が形成されるように、マスクおよび溝部規定層をエッチングマスクとして用いて、反応性イオンエッチングによって非磁性層をエッチングする第1のエッチング工程と、マスクを除去する工程と、非磁性層に、溝部の第1の部分が形成されて、溝部が完成するように、溝部規定層をエッチングマスクとして用いて、反応性イオンエッチングによって非磁性層をテーパエッチングする第2のエッチング工程とを含んでいる。底部形成層および溝部規定層は、いずれも、第1および第2のエッチング工程におけるエッチング速度が非磁性層よりも小さい。
【0018】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、非磁性層は、Alによって形成され、底部形成層および溝部規定層は、いずれも、非磁性金属材料によって形成されてもよい。
【0019】
また、本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法において、第2の部分の側壁が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第1の部分の側壁が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さくてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法によれば、非磁性層に溝部を形成する工程が、マスクを形成する工程と、第1のエッチング工程と、マスクを除去する工程と、第2のエッチング工程とを含むことにより、スキューに起因した問題の発生を防止でき、トラック幅を精度よく規定でき、且つ記録特性を向上させることのできる磁極層を形成することが可能になるという効果を奏する。特に、本発明では、溝部の第1の部分を形成するために非磁性層をテーパエッチングする前に、既に、第2の部分の側壁が形成されていることから、第2の部分の側壁が基板の上面に垂直な方向に対してなす角度が大きくなることを抑制することができる。これにより、本発明によれば、上記の効果がより顕著に発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る磁気ヘッドの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る磁気ヘッドにおける磁極層の平面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る磁気ヘッドにおける磁極層の一部を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る磁気ヘッドにおける収容層の溝部を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態における収容層の溝部の形成方法における一工程を示す説明図である。
【図7】図6に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図8】図7に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図9】図8に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図10】図9に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図11】図10に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図12】比較例の溝部の形成方法における一工程を示す説明図である。
【図13】図12に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図14】図13に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【図15】図14に示した工程に続く工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの媒体対向面を示す正面図である。図2は、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッドの構成を示す断面図である。なお、図2は媒体対向面および基板の上面に垂直な断面を示している。また、図2において記号Tで示す矢印は、記録媒体の進行方向を表している。
【0023】
図1および図2に示したように、本実施の形態に係る垂直磁気記録用磁気ヘッド(以下、単に磁気ヘッドと記す。)は、アルミニウムオキサイド・チタニウムカーバイド(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基板1と、この基板1の上に配置されたアルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層2と、この絶縁層2の上に配置された磁性材料よりなる下部シールド層3と、この下部シールド層3の上に配置された絶縁膜である下部シールドギャップ膜4と、この下部シールドギャップ膜4の上に配置された再生素子としてのMR(磁気抵抗効果)素子5と、このMR素子5の上に配置された絶縁膜である上部シールドギャップ膜6と、この上部シールドギャップ膜6の上に配置された磁性材料よりなる第1の上部シールド層7とを備えている。
【0024】
MR素子5の一端部は、記録媒体に対向する媒体対向面30に配置されている。MR素子5には、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子あるいはTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子等の磁気抵抗効果を示す感磁膜を用いた素子を用いることができる。GMR素子としては、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプでもよいし、磁気的信号検出用の電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプでもよい。
【0025】
磁気ヘッドは、更に、第1の上部シールド層7の上に順に配置された非磁性層81および第2の上部シールド層82を備えている。非磁性層81は、アルミナ等の非磁性材料によって形成されている。第2の上部シールド層82は、磁性材料によって形成されている。下部シールド層3から第2の上部シールド層82までの部分は、再生ヘッドを構成する。
【0026】
磁気ヘッドは、更に、第2の上部シールド層82の上に配置された絶縁材料よりなる絶縁層83と、この絶縁層83の上に配置されたコイル9と、コイル9の巻線間および周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層10と、絶縁層10の周囲に配置された絶縁材料よりなる絶縁層11とを備えている。コイル9は、平面渦巻き形状をなしている。コイル9および絶縁層10,11の上面は平坦化されている。絶縁層83,11は、例えばアルミナによって形成されている。絶縁層10は、例えばフォトレジストによって形成されている。コイル9は、銅等の導電材料によって形成されている。
【0027】
磁気ヘッドは、更に、平坦化されたコイル9および絶縁層10,11の上面の上に配置された非磁性材料よりなる非磁性層41と、この非磁性層41の上に配置された底部形成層42と、この底部形成層42の上に配置された収容層43とを備えている。非磁性層41は、例えばアルミナによって形成されている。底部形成層42の材料としては、例えば、Ru、NiB、NiP、NiCr、Pd、V、Cr、Nb、Te、Rh、Ir、Re、Rb、Cs、NiCu等の非磁性金属材料を用いることができる。収容層43は、上面で開口し後述する磁極層を収容する溝部43aを有している。収容層43の材料としては、例えば、アルミナ、シリコン酸化物(SiO)、シリコン酸窒化物(SiON)等の絶縁材料が用いられる。
【0028】
磁気ヘッドは、更に、収容層43の上面の上に配置された溝部規定層13を備えている。溝部規定層13は、溝部43aの形状を規定するための層である。溝部規定層13は、溝部43aの平面形状に対応した形状の貫通する開口部13aを有している。この開口部13aの縁は、収容層43の上面における溝部43aの縁の真上に配置されている。溝部規定層13の材料としては、例えば、Ta、Mo、W、Ti、Ru、Rh、Re、Pt、Pd、Ir、NiCr、NiP、NiB、WSi、TaSi、TiSi、TiN、TiW等の非磁性金属材料が用いられる。
【0029】
磁気ヘッドは、更に、収容層43の溝部43a内および溝部規定層13の開口部13a内に配置された非磁性膜14、研磨停止層15および磁極層16を備えている。非磁性膜14は、溝部43aの表面に接するように配置されている。磁極層16は、溝部43aの表面から離れるように配置されている。非磁性膜14は、溝部43a内において、収容層43と磁極層16の間に挟まれるように配置されている。研磨停止層15は、溝部43a内において、非磁性膜14と磁極層16の間に挟まれるように配置されている。
【0030】
非磁性膜14は、非磁性材料によって形成されている。非磁性膜14の材料としては、例えば絶縁材料または半導体材料を用いることができる。非磁性膜14の材料としての絶縁材料としては、例えばアルミナ、シリコン酸化物(SiO)、シリコン酸窒化物(SiON)のいずれかを用いることができる。非磁性膜14の材料としての半導体材料としては、例えば多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンを用いることができる。
【0031】
研磨停止層15は、非磁性金属材料によって形成されている。研磨停止層15の材料としては、例えば、溝部規定層13に用いられる非磁性金属材料と同じものを用いることができる。
【0032】
磁極層16は、金属磁性材料によって形成されている。磁極層16の材料としては、例えば、CoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0033】
磁気ヘッドは、更に、溝部規定層13、非磁性膜14、研磨停止層15および磁極層16の上面の上に配置されたギャップ層18を備えている。ギャップ層18には、媒体対向面30から離れた位置において、開口部が形成されている。ギャップ層18の材料は、アルミナ等の絶縁材料でもよいし、Ru、NiCu、Ta、W、NiB、NiP等の非磁性金属材料でもよい。
【0034】
磁気ヘッドは、更に、シールド20を備えている。シールド20は、ギャップ層18の上に配置された第1層20Aと、この第1層20Aの上に配置された第2層20Cと、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上に配置されたヨーク層20Bと、このヨーク層20Bの上に配置された連結層20Dと、第2層20Cと連結層20Dを連結するように配置された第3層20Eとを有している。第1層20A、ヨーク層20B、第2層20C、連結層20Dおよび第3層20Eは、いずれも磁性材料によって形成されている。これらの層20A〜20Eの材料としては、例えばCoFeN、CoNiFe、NiFe、CoFeのいずれかを用いることができる。
【0035】
磁気ヘッドは、更に、非磁性材料よりなり、ヨーク層20Bの周囲に配置された非磁性層21を備えている。非磁性層21の一部は、第1層20Aの側方に配置されている。非磁性層21は、例えば、アルミナや塗布ガラス等の無機絶縁材料によって形成されている。あるいは、非磁性層21は、非磁性金属材料よりなる層とその上に配置された絶縁材料よりなる層とで構成されていてもよい。この場合、非磁性金属材料としては、例えば、Ta、Mo、Nb、W、Cr、Ru、NiCu、Pd、Hf等の高融点金属が用いられる。
【0036】
磁気ヘッドは、更に、ヨーク層20Bおよび非磁性層21の上面のうち、後述するコイル23が配置される領域の上に配置された絶縁層22と、この絶縁層22の上に配置されたコイル23と、このコイル23の巻線間およびコイル23の周囲に配置された絶縁層24と、絶縁層24の周囲に配置された絶縁層25と、コイル23および絶縁層24,25の上に配置された絶縁層26を備えている。コイル23は、平面渦巻き形状をなしている。コイル23の一部は、第2層20Cと連結層20Dの間を通過している。コイル23は、銅等の導電材料によって形成されている。第2層20C、連結層20Dおよび絶縁層24,25の上面は平坦化されている。絶縁層24は、例えばフォトレジストによって形成されている。絶縁層22,25,26は、例えばアルミナによって形成されている。
【0037】
コイル9からシールド20の第3層20Eまでの部分は、記録ヘッドを構成する。磁気ヘッドは、更に、シールド20を覆うように形成された保護層27を備えている。保護層27は、例えばアルミナによって形成されている。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態に係る磁気ヘッドは、記録媒体に対向する媒体対向面30と再生ヘッドと記録ヘッドとを備えている。再生ヘッドと記録ヘッドは、基板1の上に積層されている。再生ヘッドは記録媒体の進行方向Tの後側(スライダにおける空気流入端側)に配置され、記録ヘッドは記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。
【0039】
再生ヘッドは、再生素子としてのMR素子5と、媒体対向面30側の一部がMR素子5を挟んで対向するように配置された、MR素子5をシールドするための下部シールド層3および上部シールド層7と、MR素子5と下部シールド層3との間に配置された下部シールドギャップ膜4と、MR素子5と上部シールド層7との間に配置された上部シールドギャップ膜6とを備えている。
【0040】
記録ヘッドは、コイル9、非磁性層41、底部形成層42、収容層43、溝部規定層13、非磁性膜14、研磨停止層15、磁極層16、ギャップ層18、シールド20およびコイル23を備えている。コイル9,23は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。なお、コイル9は、記録ヘッドにおける必須の構成要素ではなく、設けられていなくてもよい。また、非磁性膜14は省略してもよい。
【0041】
磁極層16は、媒体対向面30に配置された端面を有し、コイル23によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。
【0042】
シールド20は、媒体対向面30に配置された端面を有し、媒体対向面30から離れた位置において磁極層16に連結されている。ギャップ層18は、非磁性材料よりなり、磁極層16とシールド20との間に設けられている。
【0043】
媒体対向面30において、シールド20の端面は、磁極層16の端面に対して、ギャップ層18の厚みによる所定の間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側に配置されている。ギャップ層18の厚みは、例えば、20〜50nmの範囲内である。コイル23の少なくとも一部は、磁極層16とシールド20との間に、磁極層16およびシールド20に対して絶縁された状態で配置されている。
【0044】
収容層43は、上面で開口し磁極層16を収容する溝部43aを有している。溝部43aは、収容層43を貫通している。磁極層16は、底部形成層42の上面、収容層43の溝部43aおよび溝部規定層13の開口部13aによって囲まれた空間内に配置されている。非磁性膜14は、溝部43a内において、収容層43と磁極層16の間に挟まれるように配置されている。研磨停止層15は、溝部43a内において、非磁性膜14と磁極層16の間に挟まれるように配置されている。非磁性膜14の厚みは、例えば20〜80nmの範囲内である。しかし、この範囲内に限らず、非磁性膜14の厚みは、トラック幅に応じて任意に設定することができる。研磨停止層15の厚みは、例えば20〜80nmの範囲内である。
【0045】
シールド20は、ギャップ層18に隣接するように配置された第1層20Aと、第1層20Aにおけるギャップ層18とは反対側に配置された第2層20Cと、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上に配置されたヨーク層20Bと、このヨーク層20Bの上に配置された連結層20Dと、第2層20Cと連結層20Dを連結するように配置された第3層20Eとを有している。第2層20Cは、媒体対向面30とコイル23の少なくとも一部との間に配置されている。コイル23は、連結層20Dを中心として巻回されている。なお、図2に示した例では、ヨーク層20Bの一部は、磁極層16とコイル23の一部との間に配置されている。しかし、このようなヨーク層20Bの代わりに、連結層20Dと同様の平面形状を有し、磁極層16と連結層20Dとを連結する連結層を設けてもよい。
【0046】
第1層20Aは、媒体対向面30に配置された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有している。第2層20Cも、媒体対向面30に配置された第1の端部とその反対側の第2の端部とを有している。スロートハイトTHは、媒体対向面30から見て磁極層16とシールド20との間隔が大きくなり始める位置から媒体対向面30までの距離となる。本実施の形態では、スロートハイトTHは、第1層20Aの媒体対向面30から遠い端部から媒体対向面30までの距離となる。スロートハイトTHは、例えば0.05〜0.3μmの範囲内である。
【0047】
次に、図3および図4を参照して、磁極層16の形状について詳しく説明する。図3は、磁極層16の平面図である。図4は、磁極層16のうちの媒体対向面30の近傍における部分を示す斜視図である。
【0048】
図3および図4に示したように、磁極層16は、媒体対向面30に配置された端面とその反対側の端部とを有するトラック幅規定部16Aと、このトラック幅規定部16Aの端部に接続され、トラック幅規定部16Aの幅よりも大きい幅を有する幅広部16Bとを含んでいる。トラック幅規定部16Aは、実質的に媒体対向面30からの距離に応じて変化しない幅を有している。幅広部16Bの幅は、例えば、トラック幅規定部16Aとの境界位置ではトラック幅規定部16Aの幅と等しく、媒体対向面30から離れるに従って、徐々に大きくなった後、一定の大きさになっている。本実施の形態では、磁極層16のうち、媒体対向面30に配置された端面から、磁極層16の幅が大きくなり始める位置までの部分を、トラック幅規定部16Aとする。ここで、媒体対向面30に垂直な方向についてのトラック幅規定部16Aの長さをネックハイトと呼ぶ。ネックハイトは、例えば60〜200nmの範囲内である。
【0049】
図4に示したように、媒体対向面30に配置されたトラック幅規定部16Aの端面は、基板1により近い第1の辺A1と、第1の辺A1とは反対側の第2の辺A2と、第1の辺A1の一端と第2の辺A2の一端とを結ぶ第3の辺A3と、第1の辺A1の他端と第2の辺A2の他端とを結ぶ第4の辺A4とを有している。第2の辺A2は、トラック幅を規定する。媒体対向面30に配置されたトラック幅規定部16Aの端面は、第1の辺A1に近づくに従って小さくなる幅を有している。また、第3の辺A3と第4の辺A4がそれぞれ基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度は、例えば、8°〜15°の範囲内である。第2の辺A2の長さ、すなわちトラック幅は、例えば0.05〜0.20μmの範囲内である。媒体対向面30における磁極層16の厚みは、例えば0.15〜0.3μmの範囲内である。
【0050】
図3に示したように、磁極層16は、媒体対向面30から10〜300nmの範囲内の距離だけ離れた位置から媒体対向面30までの第1の領域R1において互いに反対側に配置された第1の側面S1および第2の側面S2と、第1の領域R1以外の第2の領域R2に配置された第3の側面S3および第4の側面S4とを有している。第1の側面S1と第3の側面S3は、磁極層16におけるトラック幅方向の中心から見て同じ側に配置されている。第2の側面S2と第4の側面S4は、磁極層16におけるトラック幅方向の中心に対して、第1の側面S1と第3の側面S3とは対称な位置に配置されている。
【0051】
トラック幅方向についての第1の側面S1と第2の側面S2の間隔は、基板1の上面に近づくに従って小さくなっている。トラック幅方向についての第3の側面S3と第4の側面S4の間隔は、基板1の上面からの距離に関わらずに一定であってもよいし、基板1の上面に近づくに従って小さくなってもよいし、基板1の上面に近づくに従って大きくなってもよい。第3の面S3が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第1の側面S1が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さく、第4の側面S4が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第2の側面S2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。トラック幅方向についての第3の側面S3と第4の側面S4の間隔が、基板1の上面に近づくに従って小さくなる場合には、第3の面S3が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度と第4の側面S4が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度は、いずれも、0°に近いほど好ましい。
【0052】
なお、図4には、第1の領域R1と第2の領域R2との境界位置と媒体対向面30との間の距離が、トラック幅規定部16Aと幅広部16Bとの境界位置と媒体対向面30との間の距離すなわちネックハイトよりも大きい例を示している。しかし、第1の領域R1と第2の領域R2との境界位置と媒体対向面30との間の距離は、ネックハイトと等しくてもよいし、ネックハイトよりも小さくてもよい。
【0053】
次に、図5を参照して、底部形成層42、収容層43および溝部規定層13について詳しく説明する。図5(a)は、底部形成層42、収容層43および溝部規定層13からなる積層体を示す平面図である。図5(b)は、図5(a)に示した積層体の5B−5B線断面図である。図5(c)は、図5(a)に示した積層体の5C−5C線断面図である。
【0054】
図5に示したように、収容層43は、底部形成層42の上に配置され、上面で開口し磁極層16を収容する溝部43aを有している。溝部規定層13は、収容層43の上に配置され、溝部43aの平面形状に対応した形状の貫通する開口部13aを有している。この開口部13aの縁は、収容層43の上面における溝部43aの縁の真上に配置されている。
【0055】
収容層43の溝部43aは、磁極層16のうちのトラック幅規定部16Aの少なくとも一部を収容する第1の部分43a1と、第1の部分43a1よりも媒体対向面30から遠い位置に配置され、磁極層16のうちの幅広部16Bの少なくとも一部を収容する第2の部分43a2とを含んでいる。第1の部分43a1は、磁極層16のうち、図4に示した領域R1に存在する部分を収容する。第2の部分43a2は、磁極層16のうち、図4に示した領域R2に存在する部分を収容する。第1の部分43a1は、基板1の上面に近づくに従って小さくなる幅を有している。溝部43aのうち、少なくとも第2の部分43a2は、収容層43を貫通している。図5には、溝部43aの全体が収容層43を貫通している例を示している。
【0056】
ここで、図5(b)に示したように、第1の部分43a1の側壁SW1が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度をθ1とする。角度θ1は、図4に示した第3の辺A3と第4の辺A4がそれぞれ基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度と等しいか、ほぼ等しい。角度θ1は、例えば8°〜15°の範囲内である。
【0057】
第2の部分43a2の側壁SW2は、基板1の上面に対して垂直であってもよいし、基板1の上面に垂直な方向に対して傾いていてもよい。ここで、図5(c)に示したように、第2の部分43a2の側壁SW2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度をθ2とする。角度θ2は、角度θ1よりも小さい。角度θ2は、例えば0°〜3.5°の範囲内である。角度θ2は、0°に近いほど好ましい。
【0058】
次に、図6ないし図10を参照して、本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法について説明する。図6ないし図10は、本実施の形態における収容層の溝部の形成方法を示す説明図である。なお、図6ないし図10では、底部形成層42よりも基板1側の部分を省略している。
【0059】
本実施の形態に係る磁気ヘッドの製造方法では、まず、図2に示したように、基板1の上に、絶縁層2、下部シールド層3、下部シールドギャップ膜4を順に形成する。次に、下部シールドギャップ膜4の上にMR素子5と、このMR素子5に接続される図示しないリードとを形成する。次に、MR素子5およびリードを、上部シールドギャップ膜6で覆う。次に、上部シールドギャップ膜6の上に、上部シールド層7、非磁性層81、第2の上部シールド層82および絶縁層83を順に形成する。次に、絶縁層83の上に、コイル9および絶縁層10,11を形成する。次に、コイル9および絶縁層10,11の上面を、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって平坦化する。次に、平坦化されたコイル9および絶縁層10,11の上面の上に、非磁性層41を形成する。
【0060】
図6は、次の工程を示す。図6(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図6(b)は、図6(a)に示した積層体の6B−6B線断面図である。図6(c)は、図6(a)に示した積層体の6C−6C線断面図である。この工程では、まず、非磁性層41の上に底部形成層42を形成する。次に、底部形成層42の上に、後に溝部43aが形成されることにより収容層43となる非磁性層43Pを形成する。次に、非磁性層43Pの上に、後に開口部13aが形成されることにより溝部規定層13となる非磁性金属層13Pを形成する。
【0061】
次に、非磁性金属層13Pの上に、非磁性金属層13Pに開口部13aを形成するためのフォトレジストマスク51を形成する。このフォトレジストマスク51は、開口部13aおよび溝部43aに対応した形状の開口部51aを有している。フォトレジストマスク51は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、フォトレジストマスク51を用いて、非磁性金属層13Pを選択的にエッチングして、非磁性金属層13Pに貫通した開口部13aを形成する。このエッチングは、例えば、イオンビームエッチング(以下、IBEと記す。)を用いて行われる。次に、フォトレジストマスク51を除去する。非磁性金属層13Pに開口部13aが形成された状態を図7に示す。
【0062】
図7(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図7(b)は、図7(a)に示した積層体の7B−7B線断面図である。図7(c)は、図7(a)に示した積層体の7C−7C線断面図である。図7に示したように、非磁性金属層13Pは、開口部13aが形成されることによって溝部規定層13となる。
【0063】
図8は、次の工程を示す。図8(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図8(b)は、図8(a)に示した積層体の8B−8B線断面図である。図8(c)は、図8(a)に示した積層体の8C−8C線断面図である。この工程では、まず、非磁性層43Pのうち、溝部43の第1の部分43a1が形成される予定の領域を覆うフォトレジストマスク52を形成する。フォトレジストマスク52は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。フォトレジストマスク52は、貫通する開口部52aを有している。非磁性層43Pの上面のうち、溝部43の第2の部分43a2が形成される予定の領域は、開口部52aから露出する。
【0064】
次に、フォトレジストマスク52および溝部規定層13をエッチングマスクとして用いて、反応性イオンエッチング(以下、RIEと記す。)によって非磁性層43Pをエッチングする。この工程を、第1のエッチング工程と呼ぶ。第1のエッチング工程では、例えば、BClおよびClを含むエッチングガスを用いたRIEによって、非磁性層43Pをエッチングする。次に、フォトレジストマスク52を除去する。フォトレジストマスク52を除去した後の状態を、図9に示す。
【0065】
図9(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図9(b)は、図9(a)に示した積層体の9B−9B線断面図である。図9(c)は、図9(a)に示した積層体の9C−9C線断面図である。図9に示したように、第1のエッチング工程によって、非磁性層43Pに溝部43aの第2の部分43a2が形成される。図9(c)に示したように、第1のエッチング工程では、第2の部分43a2の側壁SW2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度が例えば0°〜3.5°の範囲内になるように、非磁性層43Pをエッチングする。
【0066】
図10は、次の工程を示す。図10(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図10(b)は、図10(a)に示した積層体の10B−10B線断面図である。図10(c)は、図10(a)に示した積層体の10C−10C線断面図である。この工程では、まず、溝部規定層13の上にフォトレジストマスク53を形成する。フォトレジストマスク53は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。フォトレジストマスク53は、溝部規定層13の開口部13aよりも広い貫通する開口部53aを有し、開口部53aから開口部13aが露出するように、溝部規定層13の上に形成される。開口部13aの縁と開口部53aの縁との間隔は、0.1〜0.3μmの範囲内であることが好ましい。
【0067】
次に、フォトレジストマスク53および溝部規定層13をエッチングマスクとして用いて、RIEによって、非磁性層43Pをテーパエッチングする。この工程を、第2のエッチング工程と呼ぶ。次に、フォトレジストマスク53を除去する。フォトレジストマスク53を除去した後の状態を、図11に示す。
【0068】
図11(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図11(b)は、図11(a)に示した積層体の11B−11B線断面図である。図11(c)は、図11(a)に示した積層体の11C−11C線断面図である。図11に示したように、非磁性層43Pがテーパエッチングされることによって、非磁性層43Pに溝部43aの第1の部分43a1が形成される。これにより、溝部43aが完成する。溝部43aが完成することにより、非磁性層43Pは収容層43となる。
【0069】
非磁性層43Pがアルミナ(Al23)によって形成されている場合、第2のエッチング工程では、BClとClのうち少なくともBClと、CFまたはNを含むエッチングガスを用いたRIEによって、非磁性層43Pをテーパエッチングする。BClとClは、非磁性層43Pのエッチングに寄与する主成分である。CFとNは、非磁性層43Pのエッチング中に、エッチングによって形成される溝の側壁に側壁保護膜を形成するためのガスである。エッチングガスがCFまたはNを含むことにより、非磁性層43Pのエッチング中に溝の側壁に側壁保護膜が形成され、これにより、非磁性層43Pがテーパエッチングされる。
【0070】
第2のエッチング工程では、既に形成されている溝部43aの第2の部分43a2の形状はほとんど変化しない。なお、フォトレジストマスク53を、第2の部分43a2を覆う形状とし、第2のエッチング工程において第2の部分43a2が全くエッチングされないようにしてもよい。
【0071】
溝部43aが完成した後の工程については、図1および図2を参照して説明する。溝部43aが完成した後の工程では、まず、図11に示した積層体の上面全体の上に、非磁性膜14を形成する。非磁性膜14は溝部43a内にも形成される。非磁性膜14は、例えば、スパッタ法または化学的気相成長法(以下、CVDと記す。)によって形成される。非磁性膜14の厚みは、精度よく制御することができる。CVDを用いて非磁性膜14を形成する場合には、特に、1原子層毎の成膜を繰り返すCVD、いわゆるアトミックレイヤーCVD(以下、ALCVDと記す。)を用いることが好ましい。この場合には、非磁性膜14の厚みの制御をより精度よく行うことができる。また、ALCVDを用いて非磁性膜14を形成する場合には、非磁性膜14の材料としては、特にアルミナが好ましい。半導体材料を用いて非磁性膜14を形成する場合には、特に、低温(200℃程度)でのALCVDまたは低温での低圧CVDを用いて非磁性膜14を形成することが好ましい。また、非磁性膜14の材料としての半導体材料は、不純物をドープしない多結晶シリコンまたはアモルファスシリコンであることが好ましい。
【0072】
次に、例えばスパッタ法またはALCVDによって、積層体の上面全体の上に研磨停止層15を形成する。研磨停止層15は溝部43a内にも形成される。研磨停止層15は、後に行われる研磨工程における研磨の停止位置を示す。
【0073】
次に、後に磁極層16となる、図示しない磁性層を形成する。この磁性層は、その上面が溝部規定層13、非磁性膜14および研磨停止層15の各上面よりも上方に配置されるように形成される。磁性層は、例えば、フレームめっき法によって形成してもよいし、パターニングしていないめっき層を形成した後、このめっき層をエッチングによってパターニングして形成してもよい。
【0074】
次に、積層体の上面全体の上に、例えばアルミナよりなる、図示しない被覆層を形成する。次に、例えばCMPによって、研磨停止層15が露出するまで被覆層および磁性層を研磨して、研磨停止層15および磁性層の上面を平坦化する。CMPによって被覆層および磁性層を研磨する場合には、研磨停止層15が露出した時点で研磨が停止するようなスラリー、例えばアルミナ系のスラリーを用いる。
【0075】
次に、例えばRIEまたはIBEによって、研磨停止層15のうち、積層体の上面に露出している部分を選択的に除去する。次に、例えばCMPによって、溝部規定層13が露出するまで非磁性膜14、研磨停止層15および磁性層を研磨して、溝部規定層13、非磁性膜14、研磨停止層15および磁性層の上面を平坦化する。これにより、残った磁性層が磁極層16となる。CMPによって非磁性膜14、研磨停止層15および磁性層を研磨する場合には、溝部規定層13が露出した時点で研磨が停止するようなスラリー、例えばアルミナ系のスラリーを用いる。このようにして溝部規定層13が露出した時点で研磨を停止させることにより、磁極層16の厚みを正確に制御することができる。
【0076】
次に、積層体の上面全体の上に、ギャップ層18を形成する。ギャップ層18は、例えば、スパッタ法またはCVDによって形成される。CVDを用いてギャップ層18を形成する場合には、特にALCVDを用いることが好ましい。また、ALCVDを用いてギャップ層18を形成する場合には、ギャップ層18の材料としては、特にアルミナが好ましい。
【0077】
次に、媒体対向面30から離れた位置において、ギャップ層18を選択的にエッチングして、ギャップ層18に開口部を形成する。次に、ギャップ層18の上に第1層20Aを形成すると共に、ギャップ層18の開口部が形成された位置において磁極層16の上にヨーク層20Bを形成する。第1層20Aとヨーク層20Bは、フレームめっき法によって形成してもよいし、スパッタ法によって磁性層を形成した後、この磁性層を選択的にエッチングすることによって形成してもよい。次に、積層体の上面全体の上に、非磁性層21を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層20Aおよびヨーク層20Bが露出するまで非磁性層21を研磨して、第1層20A、ヨーク層20Bおよび非磁性層21の上面を平坦化する。
【0078】
次に、ヨーク層20Bおよび非磁性層21の上面のうち、コイル23が配置される領域の上に絶縁層22を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、コイル23の少なくとも一部が絶縁層22の上に配置されるように、コイル23を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第2層20Cおよび連結層20Dを形成する。なお、第2層20Cおよび連結層20Dを形成した後に、コイル23を形成してもよい。
【0079】
次に、コイル23の巻線間およびコイル23の周囲に、例えばフォトレジストよりなる絶縁層24を選択的に形成する。次に、積層体の上面全体の上に、絶縁層25を形成する。次に、例えばCMPによって、第2層20C、連結層20Dおよびコイル23が露出するまで絶縁層25を研磨して、第2層20C、連結層20D、コイル23および絶縁層24,25の上面を平坦化する。
【0080】
次に、コイル23および絶縁層24,25の上に絶縁層26を形成する。次に、例えばフレームめっき法によって、第3層20Eを形成して、シールド20を完成させる。
【0081】
次に、積層体の上面全体を覆うように保護層27を形成する。次に、保護層27の上に配線や端子等を形成し、スライダ単位で基板を切断し、媒体対向面30の研磨、浮上用レールの作製等を行って、磁気ヘッドが完成する。
【0082】
次に、本実施の形態に係る磁気ヘッドの作用および効果について説明する。この磁気ヘッドでは、記録ヘッドによって記録媒体に情報を記録し、再生ヘッドによって、記録媒体に記録されている情報を再生する。記録ヘッドにおいて、コイル23は、記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生する。磁極層16およびシールド20は、コイル23が発生する磁界に対応した磁束を通過させる磁路を形成する。磁極層16は、コイル23によって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって情報を記録媒体に記録するための記録磁界を発生する。シールド20は、磁気ヘッドの外部から磁気ヘッドに印加された外乱磁界を取り込む。これにより、外乱磁界が磁極層16に集中して取り込まれることによって記録媒体に対して誤った記録が行なわれることを防止することができる。また、シールド20は、媒体対向面30に配置された磁極層16(トラック幅規定規定部16A)の端面より発生されて、記録媒体を磁化した磁束を還流させる機能も有している。
【0083】
また、本実施の形態では、媒体対向面30において、シールド20の端面は、磁極層16の端面に対して、ギャップ層18による所定の小さな間隔を開けて記録媒体の進行方向Tの前側(スライダにおける空気流出端側)に配置されている。記録媒体に記録されるビットパターンの端部の位置は、媒体対向面30における磁極層16のギャップ層18側の端部の位置によって決まる。シールド20は、媒体対向面30に配置された磁極層16の端面より発生されて記録媒体の面に垂直な方向以外の方向に広がる磁束を取り込むことにより、この磁束が記録媒体に達することを阻止する。これにより、記録媒体に既に記録されているビットパターンにおける磁化の方向が上記磁束の影響によって変化することを防止することができる。これにより、本実施の形態によれば、線記録密度を向上させることができる。
【0084】
また、本実施の形態では、図4に示したように、媒体対向面30に配置されたトラック幅規定部16Aの端面は、第1の辺A1に近づくに従って、すなわち基板1の上面に近づくに従って小さくなる幅を有している。これにより、本実施の形態によれば、スキューに起因した問題の発生を防止することができる。
【0085】
また、本実施の形態では、非磁性材料よりなる収容層43の溝部43a内に、非磁性膜14および研磨停止層15を介して磁極層16が配置される。そのため、磁極層16の幅は溝部43aの幅よりも小さくなる。これにより、溝部43aを容易に形成することが可能になると共に、磁極層16の幅、特にトラック幅を規定するトラック幅規定部16Aの上面の幅を容易に小さくすることが可能になる。従って、本実施の形態によれば、フォトリソグラフィによって形成可能なトラック幅の下限値よりも小さなトラック幅を、容易に実現でき、且つ正確に制御することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、磁極層16は、媒体対向面30から10〜300nmの範囲内の距離だけ離れた位置から媒体対向面30までの第1の領域R1において互いに反対側に配置された第1および第2の側面S1,S2と、第1の領域R1以外の第2の領域R2に配置された第3および第4の側面S3,S4とを有している。トラック幅方向についての第1の側面S1と第2の側面S2の間隔は、基板1の上面に近づくに従って小さくなっている。第3の面S3が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第1の側面S1が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さく、第4の側面S4が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度は、第2の側面S2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さい。本実施の形態によれば、第3の面S3が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度が、第1の側面S1が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度と等しく、第4の側面S4が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度が、第2の側面S2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度と等しい場合に比べて、磁極層16の幅広部16Bにおいて、磁束の流れる方向に対して垂直な断面の面積が大きくなる。そのため、本実施の形態によれば、特にトラック幅規定部16Aと幅広部16Bとの境界の近傍の部分において多くの磁束を通過させることができ、その結果、オーバーライト特性等の記録特性を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、ネックハイトを極端に小さくしなくても記録特性を向上させることができることから、ネックハイトを大きくすることにより、トラック幅を精度よく規定することが可能になる。
【0087】
次に、比較例の溝部の形成方法と比較しながら、本実施の形態における溝部の形成方法による効果について説明する。まず、図12ないし図15を参照して、比較例の溝部の形成方法について説明する。比較例の溝部の形成方法において、非磁性金属層13Pに貫通した開口部13aを形成する工程までは、本実施の形態と同様である。非磁性金属層13Pは、開口部13aが形成されることによって溝部規定層13となる。
【0088】
図12は、次の工程を示す。図12(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図12(b)は、図12(a)に示した積層体の12B−12B線断面図である。図12(c)は、図12(a)に示した積層体の12C−12C線断面図である。この工程では、まず、溝部規定層13の上にフォトレジストマスク62を形成する。フォトレジストマスク62は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。フォトレジストマスク62は、溝部規定層13の開口部13aよりも広い貫通する開口部62aを有し、開口部62aから開口部13aが露出するように、溝部規定層13の上に形成される。
【0089】
次に、フォトレジストマスク62および溝部規定層13をエッチングマスクとして用いて、RIEによって、非磁性層43Pをテーパエッチングする。この工程を、第1のエッチング工程と呼ぶ。次に、フォトレジストマスク62を除去する。フォトレジストマスク62を除去した後の状態を、図13に示す。
【0090】
図13(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図13(b)は、図13(a)に示した積層体の13B−13B線断面図である。図13(c)は、図13(a)に示した積層体の13C−13C線断面図である。図13に示したように、非磁性層43Pがテーパエッチングされることによって、非磁性層43Pに初期溝43Paが形成される。
【0091】
溝部規定層13の開口部13aの縁は、非磁性層43Pの上面における初期溝43Paの縁の真上に配置されている。初期溝43Paは、溝部43aの第1の部分43a1と、初期側壁形成部分43Pa2とを含んでいる。初期側壁形成部分43Pa2は、溝部43aの第2の部分43a2が形成される予定の領域に形成されている。図13(c)に示したように、初期側壁形成部分43Pa2は、後に行われる第2のエッチング工程においてエッチングされることによって第2の部分43a2の側壁SW2となる初期側壁SW2Pを有している。比較例では、初期側壁SW2Pによって囲まれた領域の全域において、底部形成層42の上面が露出している。
【0092】
図14は、次の工程を示す。図14(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図14(b)は、図14(a)に示した積層体の14B−14B線断面図である。図14(c)は、図14(a)に示した積層体の14C−14C線断面図である。この工程では、まず、初期溝43Paの第1の部分43a1を覆う初期溝マスク63を形成する。初期溝マスク63は、フォトリソグラフィによってフォトレジスト層をパターニングして形成する。次に、初期溝マスク63および溝部規定層13をエッチングマスクとして用いて、RIEによって非磁性層43Pをエッチングする。この工程を、第2のエッチング工程と呼ぶ。次に、初期溝マスク63を除去する。初期溝マスク63を除去した後の状態を、図15に示す。
【0093】
図15(a)は、磁気ヘッドの製造過程における積層体の平面図である。図15(b)は、図15(a)に示した積層体の15B−15B線断面図である。図15(c)は、図15(a)に示した積層体の15C−15C線断面図である。図15に示したように、第2のエッチング工程によって、溝部43aが完成する。第2のエッチング工程では、初期側壁SW2Pをエッチングして第2の部分43a2の側壁SW2を形成する。図14(c)および図15(c)に示したように、第2のエッチング工程では、第2の部分43a2の側壁SW2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度が、初期側壁SW2Pが基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さくなるように、初期側壁SW2Pをエッチングする。
【0094】
ここで、図15(b)に示したように、比較例における第1の部分43a1の側壁SW1が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度をθ11とする。角度θ11は、実施の形態における角度θ1と同様に、例えば8°〜15°の範囲内である。また、図15(c)に示したように、比較例における第2の部分43a2の側壁SW2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度をθ12とする。角度θ12は、角度θ11よりも小さくなるが、実施の形態における角度θ2よりも大きくなる。角度θ12は、例えば6.5°〜10°の範囲内である。
【0095】
上述のように、比較例では、角度θ12が比較的大きくなる。以下、その原因について説明する。比較例では、第2のエッチング工程の際に、底部形成層42の上面が露出している。そのため、比較例では、第2のエッチング工程の際に、底部形成層42がエッチングされて飛散した物質に起因する反応生成物が生成される。この反応生成物は、非磁性層43Pのエッチングを阻害すると共に、溝部43aの第2の部分43a2の側壁SW2に付着して側壁保護膜を形成する。その結果、比較例では、エッチング時間が長くなると共に、この側壁保護膜が形成されることにより、角度θ12が比較的大きくなる。そのため、比較例では、磁極層16の幅広部16Bにおいて、磁束の流れる方向に対して垂直な断面の面積を十分に大きくすることができず、その結果、オーバーライト特性等の記録特性を十分に向上させることができない。
【0096】
これに対し、本実施の形態では、溝部43aの第2の部分43a2を形成するための第1のエッチング工程の当初は、底部形成層42の上面は、非磁性層43Pによって覆われている。そのため、本実施の形態では、第1のエッチング工程の際に、底部形成層42がエッチングされないことから、反応生成物が生成されず、側壁保護膜も形成されない。そのため、本実施の形態によれば、第1のエッチング工程によって、基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度θ2が0°または0°に近い第2の部分43a2の側壁SW2を、短時間で、容易に形成することができる。また、本実施の形態によれば、溝部43aの第1の部分43a1を形成するために非磁性層43Pをテーパエッチングする第2のエッチング工程の前に、既に、第2の部分43a2の側壁SW2が形成されていることから、第2の部分43a2の側壁SW2が基板1の上面に垂直な方向に対してなす角度が大きくなることを抑制することができる。これにより、本実施の形態によれば、スキューに起因した問題の発生を防止でき、トラック幅を精度よく規定でき、且つ記録特性を向上させることができるという効果がより顕著に発揮される。
【0097】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、各実施の形態において、平面渦巻き形状のコイル9,23の代わりに、磁極層16を中心にして螺旋状に配置されたコイルを設けてもよい。
【0098】
また、実施の形態では、基体側に再生ヘッドを形成し、その上に、記録ヘッドを積層した構造の磁気ヘッドについて説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
13…溝部規定層、16…磁極層、16A…トラック幅規定部、16B…幅広部、42…底部形成層、43…収容層、43a…溝部、43a1…第1の部分、43a2…第2の部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対向する媒体対向面と、
前記記録媒体に記録する情報に応じた磁界を発生するコイルと、
前記コイルによって発生された磁界に対応する磁束を通過させると共に、垂直磁気記録方式によって前記情報を前記記録媒体に記録するための記録磁界を発生する磁極層と、
非磁性材料よりなる底部形成層と、
非磁性材料よりなり、前記底部形成層の上に配置され、上面で開口し前記磁極層を収容する溝部を有する収容層と、
上面を有し、前記底部形成層、収容層、磁極層およびコイルが積層される基板とを備え、
前記磁極層は、前記媒体対向面に配置されトラック幅を規定する端面とその反対側の端部とを有するトラック幅規定部と、前記トラック幅規定部の前記端部に接続され、前記トラック幅規定部の幅よりも大きい幅を有する幅広部とを含み、
前記媒体対向面に配置された前記トラック幅規定部の端面は、前記基板の上面に近づくに従って小さくなる幅を有し、
前記溝部は、前記磁極層のうちの前記トラック幅規定部の少なくとも一部を収容する第1の部分と、前記第1の部分よりも前記媒体対向面から遠い位置に配置され、前記磁極層のうちの前記幅広部の少なくとも一部を収容する第2の部分とを含み、
前記第1の部分は、前記基板の上面に近づくに従って小さくなる幅を有し、
前記第2の部分は、前記収容層を貫通している垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法であって、
前記底部形成層を形成する工程と、
前記底部形成層の上に、後に前記溝部が形成されることにより前記収容層となる非磁性層を形成する工程と、
前記非磁性層の上に、後に形成される前記溝部の平面形状に対応した形状の貫通する開口部を有する溝部規定層を形成する工程と、
前記非磁性層が前記収容層になるように、前記非磁性層に前記溝部を形成する工程と、
前記収容層の前記溝部内に収容されるように前記磁極層を形成する工程と、
前記コイルを形成する工程とを備え、
前記非磁性層に前記溝部を形成する工程は、
前記非磁性層のうち、前記溝部の前記第1の部分が形成される予定の領域を覆うマスクを形成する工程と、
前記非磁性層に、前記溝部の前記第2の部分が形成されるように、前記マスクおよび前記溝部規定層をエッチングマスクとして用いて、反応性イオンエッチングによって前記非磁性層をエッチングする第1のエッチング工程と、
前記マスクを除去する工程と、
前記非磁性層に、前記溝部の前記第1の部分が形成されて、前記溝部が完成するように、前記溝部規定層をエッチングマスクとして用いて、反応性イオンエッチングによって前記非磁性層をテーパエッチングする第2のエッチング工程とを含み、
前記底部形成層および溝部規定層は、いずれも、前記第1および第2のエッチング工程におけるエッチング速度が前記非磁性層よりも小さいことを特徴とする垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
【請求項2】
前記非磁性層は、Alによって形成され、前記底部形成層および溝部規定層は、いずれも、非磁性金属材料によって形成されることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。
【請求項3】
前記第2の部分の側壁が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度は、前記第1の部分の側壁が前記基板の上面に垂直な方向に対してなす角度よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録用磁気ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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