説明

型特異的ハイブリッド捕捉法による核酸の検出方法

【課題】標的特異的ハイブリッド捕捉法による、迅速および高感度だけでなく、特異性が高く、かつ高い相同性をもつ核酸標的配列を識別することが可能な、核酸の検出方法を提供する。
【解決手段】標的核酸を捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズして二本鎖ハイブリッド(DNA/RNAハイブリッド)を形成し、ブロッカープローブを加えて過剰の捕捉配列にハイブリダイズさせ、固相に結合させたハイブリッドを検出する、標的核酸の検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には、核酸の検出方法の分野に関連し、より詳しくは、標的特異的ハイブリッド捕捉法による核酸の検出に関連する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
生物学的試料に存在する特定の核酸配列の検出は、微生物の同定および分類、感染性疾患の診断、遺伝的異常の検出および特性化、癌に関連する遺伝子変化の同定、疾患に対する遺伝的感受性の研究、ならびに様々な治療の型に対する反応の測定にとって重要である。特定の核酸配列を検出することおよび定量することについての共通の技術は、核酸ハイブリダイゼーションである。
【0003】
様々なハイブリダイゼーション法は、核酸の検出および研究に利用可能である。従来のハイブリダイゼーション法において、同定されうる核酸は、溶液中かまたは固体担体に付着しているかのいずれかである。核酸は、その核酸にハイブリダイズすることができる標識化核酸プローブを用いて検出される。最近、新しいハイブリダイゼーション法が開発され、検出の感度および特異性が増大した。一つの例は、米国特許出願第07/792,585号において記載されているハブリッド捕捉法である。これらの新しいハイブリダイゼーション法は従来の方法を超える著しい進歩を提供しているが、高い相同性をもつ核酸配列の間を完全に識別する能力にまだ欠けている。
【0004】
それゆえ、迅速および高感度だけでなく、特異性が高く、かつ高い相同性をもつ核酸標的配列を識別することが可能であるハイブリダイゼーション法を提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、本明細書において、標的特異的ハイブリッド捕捉(「TSHC」)と呼ばれる、新規な核酸検出方法を提供する。TSHCは、高い相同性をもつ核酸標的配列を識別および検出することができる、高特異性および高感度の方法である。
【0006】
一つの態様において、方法は標的核酸の検出に関連し、標的される一本鎖または部分的一本鎖の核酸が、捕捉配列プローブおよび非標識化シグナル配列プローブに同時に、または連続的にハイブリダイズされる。これらのプローブは、標的核酸の重複しない領域にハイブリダイズし、かつ相互にハイブリダイズしないで、二本鎖ハイブリッドが形成される。ハイブリッドは固相上へ捕捉されて、検出される。好ましい態様において、DNA/RNAハイブリッドは、標的核酸およびシグナル配列プローブの間で形成される。この方法を用いて、例えば、DNA/RNAハイブリッドを認識することができる標識化抗体をその二本鎖ハイブリッドに結合し、それによりそのハイブリッドを検出することにより、検出が達成されてもよい。
【0007】
もう一つの態様において、検出方法で使用されるシグナル配列プローブは、DNA/RNA二重鎖、および一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸にハイブリダイズすることができる一本鎖の核酸配列を含む核酸分子である。検出は、例えば、シグナル配列プローブのDNA/RNA二重鎖部分を認識できる標識化抗体を結合し、それにより、標的核酸、捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブの間に形成されるハイブリッド検出することにより、達成されてもよい。
【0008】
さらにもう一つの態様において、検出方法に使用されるシグナル配列プローブは、一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸にハイブリダイズすることができる配列を含まない分子である。シグナル配列プローブにハイブリダイズすることができる配列と同様に標的核酸にハイブリダイズすることができる配列を含む架橋プローブが使用される。この態様において、シグナル配列プローブは、DNA/RNA二重鎖部分および架橋プローブ内の配列に相補的な配列を含む一本鎖DNA配列部分を含む。標的核酸およびシグナル配列プローブの両方にハイブリダイズする架橋プローブは、それゆえに、標的核酸および標的核酸にハイブリダイズした捕捉配列プローブへシグナル配列プローブを結合するための中間体としての役割を果たす。
【0009】
本発明のTSHC法のもぅ一つの態様において、捕捉配列プローブに相補的なオリゴヌクレオチドを含むブロッカープローブが、過剰の捕捉配列プローブを排除し、それにより検出におけるバックグラウンドシグナルを低下させかつアッセイ法の特異性を増大させるために、その方法に使用される。
【0010】
本発明はまた、新規なプローブにも関連する。これらのプローブは、例えば、TSHCアッセイ法を含む、様々なハイブリダイゼーションアッセイ法において機能できる核酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】標的特異的ハイブリッド捕捉法の一つの態様を説明する模式図である。
【図2】標的特異的ハイブリッド捕捉法の一つの態様を説明する模式図である。
【図3】標的特異的ハイブリッド捕捉検出において融合化捕捉配列プローブを使用する態様が作用する可能性のある機構を説明する模式図である。
【図4】HSV-1の標的特異的ハイブリッド捕捉検出の分析的感度および特異性を示す。
【図5】HSV-2の標的特異的ハイブリッド捕捉検出の分析的感度および特異性を示す。
【図6A】標的特異的ハイブリッド捕捉プラス法の様々な態様を示す。
【図6B】標的特異的ハイブリッド捕捉プラス法の様々な態様を示す。
【図6C】標的特異的ハイブリッド捕捉プラス法の様々な態様を示す。
【図6D】標的特異的ハイブリッド捕捉プラス法の様々な態様を示す。
【図7】標的特異的ハイブリッド捕捉法の欠失プローブの態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、試験試料において核酸の存在を検出するための方法を提供する。より詳しくは、本発明は、高い相同性をもつ核酸配列を識別および検出できる高特異性および高感度の方法を提供する。本発明についての好ましい使用は、当業者によく知られており、限定されるものではないが、挿入、欠失、逆位、反復配列、および一塩基多型(SNP)と同様に複数のものも含む様々な突然変異の検出および識別に適用されうる。さらに、本発明は、類似の配列エレメントを共有する核酸標的の検出のための群特異的でもありうる。
【0013】
精製または未精製の形での任意の核酸の供給源を試験試料として利用することができる。例えば、試験試料は、食物もしくは農業生産物、またはヒトもしくは獣医学臨床検体であってもよい。典型的には、試験試料は、尿、血液、血漿、血清、唾液などのような生物学的液体である。または、試験試料は、対象の核酸を所有することが疑われる組織検体であってもよい。試験試料における標的核酸は、検出されうる配列が核酸全体を構成しているような分離した分子として最初に存在していてもよいし、またはより大きな分子の成分にすぎなくてもよい。検出されうる核酸配列は純粋な形で最初に存在する必要はない。試験試料は、核酸の複合混合物を含み、それらのうちの標的核酸が、全ヒトゲノムDNAもしくはRNAに含まれる対象の遺伝子、または生物体が臨床試料の微量成分である病原性生物体の核酸配列の部分に相当してもよい。
【0014】
試験試料における標的核酸は、細菌、酵母、ウイルス、および植物もしくは動物のような高等生物体の細胞もしくは組織を含む任意の源由来のDNAまたはメッセンジャーRNAのようなRNAであることができる。そのような核酸の抽出および/または精製のための方法は、当技術分野においてよく知られている。標的核酸は、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。本方法において、標的核酸は一本鎖、またはその方法のハイブリダイゼーション段階の前に通常の変性技術により一本鎖にさせられることが好ましい。好ましい態様において、二本鎖標的DNAを変性させるために塩基変性技術が用いられる。
【0015】
本明細書において用いられる場合の「オリゴヌクレオチド」という用語は、2個またはそれ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む核酸分子を指す。所望のオリゴヌクレオチドは、天然に存在する核酸からの精製のような任意の適する方法、分子生物学的方法、または新規合成により、調製されうる。オリゴヌクレオチドの例は、本明細書に記載されている核酸プローブである。
【0016】
核酸プローブは、試験試料において相補的RNAまたはDNA配列にハイブリダイズする検出可能な核酸配列である。プローブの検出は、試験試料において特定の核酸配列の存在を示す。一つの態様において、標的特異的ハイブリッド捕捉法は2つの型の核酸プローブ:捕捉配列プローブ(CSP)およびシグナル配列プローブ(SSP)を使用する。捕捉配列プローブは、標的核酸内の固有の配列にハイブリダイズすることおよび固相上へ捕捉されることができる核酸配列を含む。シグナル配列プローブは、CSPにより認識される固有の領域に隣接している標的核酸内の領域にハイブリダイズすることができる核酸配列を含む。CSPおよびSSPの配列は、それらが標的核酸の同じ領域に、または相互にハイブリダイズしないように選択される。
【0017】
さらに、CSPおよびSSPは、互いの50,000塩基内で標的の領域にハイブリダイズするように選択される。CSPが標的核酸内でハイブリダイズする配列とSSPがハイブリダイズする配列との間の距離は、好ましくは、1〜50,000塩基の間、より好ましくは、距離は3,000塩基未満である。最も好ましくは、距離は1,000塩基未満である。
【0018】
検出方法に使用されるCSPは、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、ロック化核酸(LNA)、または他の核酸類似体であることができる。本明細書において定義される場合の「ロック化核酸」とは、高い熱安定性および選択性を有する相補DNAおよびRNAで二重鎖を形成する新規なクラスのオリゴヌクレオチド類似体である。標準ヌクレオシドでのフラノース環の通常の立体配置的自由は、2'-O位を4'-C位へ結合するメチレンリンカーのためにLNAにおいて制限される。PNAは、糖-リン酸骨格がポリアミドまたは「偽ペプチド」骨格に置換されているオリゴヌクレオチドである。好ましい態様において、CSPはDNAである。CSPは最小限6塩基の長さをもち、好ましくは15〜100塩基長、およびより好ましくは20〜40塩基長である。CSPは、それがハイブリダイズする標的核酸内の配列に実質的に相補的である。CSPの配列は、標的ハイブリダイゼーション領域に、好ましくは少なくとも75 %相補的であり、より好ましくはこの配列に100 %相補的である。CSPは、試験試料に存在するものと考えられている所望しない配列に、75 %未満または同等の配列同一性、より好ましくは50 %未満の配列同一性を含むことがまた好ましい。CSPが結合する標的核酸内の配列は、好ましくは6塩基長、より好ましくは20〜40塩基長である。CSPがハイブリダイズする配列は、固有の配列または群特異的配列であることがまた好ましいかもしれない。群特異的配列は、別々の群を形成する複数関連性配列である。
【0019】
一つの態様において、検出方法に使用されるCSPは、固相上へのプローブの特異的捕捉を可能にする、核酸における1つまたは複数の修飾を含んでもよい。例えば、CSPは、例えば、ニックトランスレーション、化学的または光化学的取り込みを含む、当業者によく知られた方法により、少なくとも1つのリガンドでそれをタグ付けすることにより修飾されてもよい。さらに、CSPは、複数の位置に1つまたは複数の型の標識でタグ付けされてもよい。例えば、CSPは、ストレプトアビジンに結合するビオチン;または抗ジゴキシゲニンに結合するジゴキシゲニン;または抗-DNPに結合する2,4-ジニトロフェノール(DNP)で、タグ付けされてもよい。発蛍光団もまたプローブを修飾するために使用することができる。発蛍光団の例は、フルオレセインおよび誘導体、フィコエリトリン、アロ-フィコシアニン、フィコシアニン、ローダミン、テキサスレッドまたは他の有標発蛍光団を含む。発蛍光団は、一般的に化学的修飾により付着し、かつ抗フルオレセインのような発蛍光団特異的抗体に結合する。CSPがまた、特異的抗体により認識可能な任意の化学基を含む修飾化塩基の取り込みによりタグ付けされることもできることは、当業者により理解されるであろう。他のタグおよびヌクレオチド配列を基質でコーティングした固相上への捕捉のためにタグ付けする方法は、当業者によく知られている。核酸標識の概説は、ランデグレン(Landegren)ら、「DNA診断学-分子技術と自動化(DNA Diagnostics-Molecular Techniques and Automation)」、Science, 242:229〜237(1988)の論文に見出されうり、参照として本明細書に組み入れられている。一つの好ましい態様において、CSPは、ヌクレオチド配列の5'末端および3'末端の両方にビオチンでタグ付けされる。もう一つの態様において、CSPは修飾されずに、固体マトリックスへハイブリダイゼーションの可能なCSPに含まれる配列によって、そのマトリックス上へ捕捉される。
【0020】
検出方法に使用されるSSPはDNAまたはRNAであってもよい。本発明の一つの特定の態様において、SSPおよび標的核酸はDNA/RNAハイブリッドを形成する。それゆえ、この態様において、標的核酸がDNAである場合には、好ましいSSPはRNAである。同様に、標的核酸がRNAである場合には、好ましいSSPはDNAである。SSPは一般的に、少なくとも15塩基長である。しかしながら、SSPは1000塩基長に達するまたはそれ以上であってもよい。より長いSSPが好ましい。SSPは、単一の核酸断片、または各断片が好ましくは長さが15〜100塩基の間である複数のより小さな核酸断片を含んでもよい。
【0021】
もう一つの態様において、検出方法に使用されるSSPは、DNA/RNA二重鎖および標的核酸にハイブリダイズすることができる一本鎖核酸配列を含む(図6A)。SSPは、最初、標的核酸内の配列に相補的な一本鎖DNA配列を一本鎖DNAベクターへクローニングし、その後、DNAベクター配列に相補的なRNAをハイブリダイズしてDNA/RNA二重鎖を生成することにより、調製されてもよい。例えば、M13をDNAベクターとして使用する場合には、M13 RNAをベクター中のM13 DNA配列にハイブリダイズさせ、DNA/RNA二重鎖を生成させる。その結果生じるSSPは、標的核酸内の配列にハイブリダイズすることができる一本鎖部分と同様に、DNA/RNA二重鎖部分も含む。一本鎖DNAは、少なくとも10塩基長であるべきであり、1000塩基長に達するまたはそれ以上であってもよい。または、SSPのDNA/RNA二重鎖部分は、SSPの一本鎖部分が標的核酸にハイブリダイズされる反応の間または後に、形成されてもよい。SSPは、線状、環状、または2つまたはそれ以上の形の組み合わせであることができる。SSPのDNA/RNA二重鎖部分は、本明細書に記載されているように、抗-DNA/RNA抗体を用いる捕捉されたハイブリッドの検出のための増幅されたシグナルを提供する。
【0022】
さらにもう一つの態様において、検出方法に使用されるSSPは、標的核酸にハイブリダイズすることができる配列を含まない分子である。この態様において、SSPにハイブリダイズすることができる配列と同様に標的核酸にハイブリダイズすることができる配列も含む架橋プローブが使用される。架橋プローブは、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、ロック化核酸(LNA)、または他の核酸類似体であることができる。一つの態様において(図6B)、SSPは、DNA/RNA二重鎖部分および架橋プローブ内の配列に相補的な配列を含む一本鎖部分を含む。標的核酸およびSSPの両方にハイブリダイズすることができる架橋プローブは、それゆえに、SSPを標的核酸および標的核酸にハイブリダイズされているCSPに結合するための中間体としての役目を果たす。もう一つの態様において(図6C)、検出方法に使用されるSSPは、架橋プローブにハイブリダイズすることができる一本鎖RNA配列と同様に複数組の反復配列も含む。反復配列に相補的な配列を含むDNAオリゴヌクレオチドプローブは、SSPにハイブリダイズしてシグナル増幅のために必要とされるRNA/DNA二重鎖を生成するために使用されてもよい。さらにもう一つの態様において(図6D)、架橋プローブは、標的核酸にハイブリダイズすることができる配列に加えて、ポリ(A)テールを含む。この例に使用されるSSPはポリ(dT)DNA配列を含む。架橋プローブは、それゆえ、そのポリ(A)テールを介してSSPにハイブリダイズすることができる。ポリ(A)配列を含むRNAプローブは、SSP内に残っているポリ(dT)DNA配列にハイブリダイズしてRNA/DNA二重鎖を形成するために使用されてもよい。ポリ(dT)配列を含むSSPおよびポリ(A)配列を含むRNAプローブは、好ましくは、100〜5,000塩基長である。
【0023】
本発明の検出方法に使用されるSSPは、修飾されない、またはCSPについてのように、上記および/または当技術分野において公知の方法を用いて修飾されることができる。好ましい態様において、SSPは共有結合的に修飾されていないプローブである。
【0024】
複数のCSPおよび/またはSSPを本発明の検出方法において使用することができることは理解される。
【0025】
もう一つの態様において、標的核酸の2つまたはそれ以上の別個の領域の相補的配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、いっしょに融合されて、本発明の方法において捕捉配列プローブとして使用される。または、単一または複数の標的核酸に相補的な配列を含む単一のプローブを設計かつ作製することができる。この型のプローブはまた、本明細書において、「融合化」CSPとも呼ばれる。実施例5において示されるように、融合化捕捉配列プローブは、同じ濃度で使用される場合、2つの非融合化CSPの組合わせと同じくらい効率的に働く。
【0026】
本発明のさらなる態様において、「欠失核酸プローブ」をTSHCにおいて使用してもよい。構築する必要のある転写鋳型の数を最小限にするために、欠失核酸プローブ、例えばRNAを1)使用されるプローブの長さを最長化する;および2)プローブがCSPにより標的される領域で重複するのを妨げるように、設計する。これらの欠失プローブは、そのプローブを作製するために使用される核酸鋳型において内部欠失を含む。さらに、これらの欠失プローブは核酸標的にハイブリダイズして、CSPハイブリダイゼーションにとって接近しやすいハイブリダイズされていない核酸の「バブル(bubble)」を形成する。この方法はまた、標的全体としての核酸を転写ベクターへクローニングし、その後、配列を、一度配列がCSPハイブリダイゼーションに有用な領域として同定されれば、配列は取り除かれてもよいので、プローブを作製するためのとても便利な手段も提供する。さらに、この方法は、CSPと重複しない(すなわち、同じ領域にハイブリダイズしない)、ほぼ完全長の全ゲノムのプローブの使用を可能にする。転写鋳型内に標的される欠失を設計するために、いかなる市販の突然変異誘発キットが使用されうる。典型的には、SSP合成に用いられる核酸鋳型の欠失は、転写ベクターにクローニングされる鋳型に直接的に行われる。鋳型における欠失は、CSPによりハイブリダイズされる領域に重複する配列を除去するように、作成される。欠失は、CSP領域自体と同じくらい小さくてもよいが、一般的かつより好ましくは、CSPによりハイブリダイズされる領域の5'末端および3'末端における約100〜300個のヌクレオチドが欠失される(図7参照)。
【0027】
本発明の核酸プローブは、例えば、化学的合成、天然に存在する源からの単離、組換え体生産および非対称的PCR(McCabe、1990、「PCRプロトコール:方法と適用の手引き(PCR Protocols: A guide to methods and applications)」、サンディエゴ、CA.、アカデミックプレス、76〜83)を含む、当技術分野において公知の任意の適する方法により作製されてもよい。1つまたは複数のセグメントとしてプローブを化学的に合成し、かつ続いてそのセグメントを連結することが好ましいかもしれない。いくつかの化学的合成法は、ナラング(Narang)ら、(1979, Meth. Enzymol. 68:90)、ブラウン(Brown)ら、(1979, Meth. Enzymol. 68:109)およびカルターズ(Caruthers)ら、(1985, Meth. Enzymol. 154:287)により記載されており、参照として本明細書に組み入れられている。または、クローニング法により、プロモータープライマーとして使用するために単離されるうる便利な核酸断片を供給してもよい。二本鎖DNAプローブは、例えば、標的核酸へのハイブリダイゼーションの前に通常の変性方法を用いて、まず第一に、一本鎖にさせられる。
【0028】
ハイブリダイゼーションは、当業者によく知られている標準的ハイブリダイゼーション条件下で行われる。プローブの核酸配列へのハイブリダイゼーションについての反応条件は、プローブによって変化し、プローブの長さ、配列におけるGおよびCのヌクレオチドの数、およびハイブリダイゼーション反応に使用される緩衝液の成分のような要素に依存している。適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、完全塩基対二本鎖DNAの融解温度以下である約25℃に調節することのように、当業者により一般的に理解されている。より高い特異性は、一般的に、より高い温度をもつインキュベーション条件、換言すれば、よりストリンジェントな条件を用いることにより達成される。よく知られているサムブルック(Sambrook)らの実験マニュアル、「分子クローニング:実験マニュアル(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL)」、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク(1990)の11章(参照として本明細書に組み入れられている)には、特異性のあるハイブリダイゼーションを保証するために必要な、関係する因子およびストリンジェンシーのレベルの記載を含め、極めて詳細にオリゴヌクレオチドプローブについてのハイブリダイゼーション条件を記載している。ハイブリダイゼーションは典型的には、緩衝水溶液中で行われ、温度、塩濃度、およびpHのようなそれのための条件は、プローブがいかなる他の配列でもなく、それらそれぞれの標的核酸配列に特異的にハイブリダイズするように十分なストリンジェンシーを与えるように選択される。
【0029】
一般的に、プローブおよび標的の間でのハイブリダイゼーションの効率は、添加されるプローブの量が鋳型に対してモル過剰であり、好ましくは2〜106モル過剰量、より好ましくは103〜106モル過剰量である条件下で向上する。効率的な捕捉のために供給される各CSPの濃度は、最終ハイブリダイゼーション溶液において少なくとも25 fモル/ml(25 pM)、好ましくは25 fモル/ml〜104 fモル/ml(10 nM)の間である。各SSPの濃度は、最終ハイブリダイゼーション溶液において少なくとも15 ng/ml、好ましくは150 ng/mlである。表Aはng/mlで表示されるSSP濃度のモル基準への換算を示す。
【0030】
〔表A〕 SSP濃度のng/mlからfモル/mlへの換算

【0031】
標的核酸へのCSPおよびSSPのハイブリダイゼーションは、同時に、または連続してどちらかの順で、行われてもよい。一つの態様において、標的核酸へのCSPのハイブリダイゼーションおよびSSPのハイブリダイゼーションは同時に行われる。形成されたハイブリッドはその後、CSPに付着しているリガンドが特異性をもって結合する基質によりコーティングされている固相上に捕捉される。もう一つの態様において、SSPの標的核酸へのハイブリダイゼーションは、CSPの標的核酸へのハイブリダイゼーションの後に行われる。この場合、CSPは、ハイブリダイゼーションの前または後に、固相に固定化されてもよい。この態様において、CSPおよび標的の両方がSSPハイブリダイゼーション反応の間に固相へ結合されてもよい。最も好ましくは、CSPおよびSSPは標的核酸にハイブリダイズされて、ハイブリダイズされた複合体を形成し、該複合体がその後、CSPに付着しているリガンドが特異性をもって結合する基質によりコーティングされている固相上へ捕捉される。
【0032】
付加された特異性および感度をもって特異的ポリヌクレオチド配列を同定および検出するために、条件が、シグナル検出を増強しかつバックグラウンド干渉を低下するのに最適であるように、アッセイ法を設計することができる。ストリンジェンシーの加算を達成するための好ましい方法は、TSHC加熱化捕捉段階および/またはブロッカープローブの使用による段階を含む。CSP、SSP、および標的核酸を含むハイブリダイズされた複合体の捕捉効率はいくつかのアッセイ条件により影響されるため、加熱化捕捉は偽反応性を低下させ、かつ少なくとも1つのヌクレオチドの突然変異を検出するのに有用でありうる。好ましくは、加熱化捕捉法は一塩基多型の検出のために用いられる。簡単には、ハイブリダイズされた複合体を捕捉するまたは固相へ結合するための加熱化捕捉法では、温度の範囲を上昇させて利用している。ハイブリダイゼーションに続いてCSPハイブリダイズ化標的を固定するために、ハイブリダイゼーション溶液を例えば、96ウェルのプレートのウェルの中へ置き、そして1100 rpmsの振盪で、20℃から90℃の範囲の温度で15分間〜2時間、プレートを振盪する。選択的に、1100 rpmsでの振盪で1時間、室温でハイブリダイゼーションを行うのが好ましいかもしれない。室温より上の捕捉温度は、ハイブリダイゼーション(および「乱交雑(promiscuous)ハイブリダイゼーション」)がプレート捕捉段階の間に起こってしまうようなストリンジェンシーのレベルを上げるために好ましいかもしれない。より高度の特異性および感度を得るためのもう一つの方法は、ブロッカープローブの使用による。
【0033】
本発明の一つの態様において、ハイブリダイズされたSSPおよび標的核酸の複合体を同時にかまたは連続してのいずれかで、固相に固定化されたCSPに捕捉するために温度を上昇させて用いる加熱化捕捉法が提供され、その上昇した温度により、CSPの非特異的ハイブリダイゼーションがプレート捕捉段階の間に起こるのを防ぐ。上昇した温度はまた、SSPハイブリダイゼーション特異性にも影響を及ぼす。TSHCに使用されるCSPは、核酸または修飾化核酸であってもよく、好ましくは固相上へ捕捉させるよう修飾を含むDNAである。そのような修飾の一つの例は、ビオチン標識であり、より好ましくは複数のビオチン標識である。CSPは最小限6塩基対を含み、好ましくは65℃より上の好ましい融解温度(Tm)をもつ16〜50塩基を含む。好ましいCSPは試料に存在する核酸の標的分子内の固有の配列に相補的な配列を含んでいてもよいが、これは複数の核酸種を標的するのに必要ない。例えば、遺伝子ファミリーが標的の場合には、CSPは、好ましくは、遺伝子ファミリーの1つまたは複数のメンバーに共通の配列エレメントを含んでもよい。ほとんどの適用について、CSPは好ましくは、試料に存在することが疑われる所望しない標的に対して、多くとも75 %、より好ましくは50 %未満の配列同一性を含む。アッセイ法は、たった1個のヌクレオチドにおいて異なり、かつたった1個のヌクレオチドにおいて異なる標的を選択的に検出するCSPを利用することができる。この識別の程度を加熱化プレート捕捉段階を用いることにより促進することができる。CSPハイブリダイゼーションが溶液中で行われる場合、試料を続いて捕捉のために固相と反応させる。例えば、ビオチン標識化CSPが使用される場合には、アビジンまたは何か他のビオチン結合性タンパク質が捕捉のために固相をコーティングするのに使用されてもよい。本発明のもう一つの態様は、同時に起こるハイブリダイゼーションおよび捕捉を含み、ハイブリダイゼーションは捕捉固相上、例えば、捕捉プレート上で直接的に行われる。
【0034】
本発明のさらにもう一つの態様において、TSHC法はSNPを有する核酸標的を識別および検出するために用いられることができる。このハイブリッド捕捉一塩基多型(HC-SNP)検出方法は、高感度および高特異性でSNPを検出することができる。SNPを有する核酸標的を識別および検出するためのTSHCの拡張された能力を説明する実施例は本明細書に記載されているが、シグナル配列プローブ(SSP)、および標的核酸分子に加えて、標識化において、捕捉オリゴヌクレオチド(CSP)が使用される。CSPは核酸標的をハイブリダイズしかつ固相または表面(例えば、96ウェルプレート)に捕捉しうる。標識方法は当技術分野においてよく知られており、標的核酸の固定化を促進するためにもまた用いられうる。
【0035】
一つの態様において、標的核酸の捕捉は、CSP上のビオチンと固体表面上のストレプトアビジンとの間での高親和性相互作用によって達成される。同時に、DNA標的に相補的でかつ捕捉領域について重複しないRNAシグナル配列プローブ(SSP)はDNA標的にハイブリダイズされる。RNA/DNAハイブリッドは、アルカリホスファターゼで標識されたRNA/DNAハイブリッドに対して指向性のある抗体により認識される。この例において、化学発光のリン酸化基質がその後添加され、引き続き、活性化基質が照度計により検出および測定されうる。シグナルノイズ比は既知の陰性対照を用いて測定される。さらに、標的の濃度を、標準物質として既知の濃度の標的分子を使用することにより測定することができる。ハイブリッドを固相へ結合および捕捉することの特異性は、室温より高い温度、ブロッカープローブの添加、または室温より高い温度とブロッカープローブの添加とにより、調節、制御、または調整される。ストリンジェンシーを加算するために、ブロッカープローブを加熱化捕捉法と共にかまたは伴わずにのいずれかで、使用してもよい。または、捕捉段階は室温で行われてもよく、選択的にブロッカープローブを利用してもよい。
【0036】
本発明のもう一つの態様はさらに、多くの場合、加熱化捕捉段階の必要性を取り除く、ブロッカーオリゴヌクレオチド法を提供する。これは、室温でオリゴヌクレオチドを捕捉するためにブロッカーオリゴヌクレオチドをハイブリダイズし、それにより捕捉段階の間にCSPの所望しない標的へのさらなるハイブリダイゼーションを防ぐことにより達成されうる。捕捉プローブは、好ましくは、捕捉プローブに相補的なブロッカープローブの存在を必要としてもよい。ブロッカープローブの長さは、完全長CSPに相補的なブロッカーからCSPの小さな部分のみに相補的なとても短いブロッカーまで変化することができる。例えば、ブロッカープローブはCSPの長さより4〜10塩基対短くありえる。ブロッカープローブの存在によりバックグラウンドが低下し、より高い感度が可能になる。加熱化捕捉段階およびブロッカープローブは、別々にまたは共にのいずれで使用されてもよく、ハイブリッドを固相へ結合および捕捉することの特異性は、室温より高い温度およびブロッカープローブの添加により、調節、制御、または調整される。
【0037】
固相またはマトリックスには、例えば、プレート、スライド、皿、ビーズ、粒子、微粒子、コップ、ストランド、チップおよびストリップの形状で、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートまたは任意の固いプラスチック材が含まれることは、当業者により理解されるものと思われる。固相はまた、ガラスビーズ、ガラス試験管および任意の他の適当なガラス製品を含む。表面がカルボキシル基、アミノ基、ヒドラジド基、アルデヒド基、核酸またはヌクレオチド誘導体を含むように修飾されたプラスチックまたはガラスのような機能的にされた固相もまた使用することができる。プラスチックもしくはガラスの微粒子、ビーズ、ストリップ、試験管、スライド、ストランド、チップまたはマイクロタイタープレートのような任意の固相を使用することができる。
【0038】
一つの好ましい態様において、CSPはビオチンで標識され、かつハイブリッドを捕捉するためにストレプトアビジンコーティング化またはアビジンコーティング化固相が使用される。さらに好ましくは、ストレプトアビジンコーティング化マイクロタイタープレートが使用される。これらのプレートは受動的にまたは共有結合的にコーティングされてもよい。
【0039】
捕捉されたハイブリッドは、ハイブリッドに特異的な標識化ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、SSPに付着した1つもしくは複数のリガンドに特異的な抗体、標識化抗体、またはSSP自体の検出可能な修飾を用いる等の、当技術分野においてよく知られた通常の手段により検出されうる。
【0040】
一つの好ましい検出方法は、RNA/DNAハイブリッドに結合することができる抗体(本明細書では「RNA/DNA抗体」と呼ばれる)を使用することにより捕捉されたハイブリッドを検出する。この態様において、抗RNA/DNA抗体は、好ましくは、酵素、蛍光分子またはビオチン-アビジン接合体で標識され、かつ非放射性である。標識は、比色計、照度計、または蛍光検出器のような当技術分野において公知の通常の手段により直接的または間接的に検出することができる。一つの好ましい標識は、例えば、アルカリホスファターゼである。当業者に公知の他の標識もまた、結合した二本鎖ハイブリッドを検出する手段として使用されうる。
【0041】
捕捉されたハイブリッドの検出は、好ましくは、接合型抗体をインキュベーション段階の間にハイブリッドに結合することにより達成される。その後、いかなる過剰な接合体を除去するために表面を洗浄する。これらの技術は当技術分野において公知である。例えば、手作業での洗浄は、50 mlのCombitip(商標)を有するEppendorf(商標)リピートピペッター(エッペンドルフ(Eppendorf)、ハンブルグ、ドイツ)、コーニング(Corning)リピート洗浄器(コーニング(Corning)、コーニング、NY)、バリオスタットまたは付属チューブを有するリザーバからの重力流により制御される単式ポンプのいずれかを用いて行ってもよい。ソースサイエンティフィックシステムズ(Source Scientific Systems)(ガーデングローヴ、CA)から入手できる商業的に入手可能なチューブ洗浄システムもまた使用できる。
【0042】
結合された接合体は、続いて、当技術分野において通常に使用される方法、例えば、比色またはカウトリー(Coutlee)ら、J. Clin. Microbiol. 27:1002〜1007(1989)に記載されているような化学発光により検出される。好ましくは、結合されたアルカリホスファターゼ接合体は、アルカリホスファターゼにより活性化されうる基質を添加することにより、化学発光により検出される。アルカリホスファターゼにより活性化される化学発光性基質は、当技術分野においてよく知られている。
【0043】
もう一つの態様において、本発明の標的特異的ハイブリッド捕捉法は、CSPおよびSSPに加えて、ブロッカープローブを使用する。ブロッカープローブは、CSPの配列に相補的である配列を含む。ブロッカープローブの配列は、好ましくはCSPの配列に少なくとも75 %相補的、より好ましくは、CSPに100 %相補的である。ブロッカープローブをハイブリダイゼーション反応混合物へ添加することにより、ハイブリダイズされていないCSPが標的に存在する交差反応性核酸配列にハイブリダイズすることを防ぎ、そのために検出の特異性が増大する。
【0044】
ブロッカープローブは、一般的に少なくとも5塩基長、好ましくは12塩基長である。ハイブリダイゼーション反応におけるブロッカープローブの濃度は、好ましくは、CSPおよびSSPのそれを超過する。好ましくは、ブロッカープローブは2倍のモル超過量で存在するが、10,000倍モル超過量まで存在してもよい。ブロッカープローブはDNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)または他の核酸類似体であることができる。
【0045】
一つの態様において、完全長または完全長に近いCSPに相補的なブロッカープローブを使用する。CSP、SSPおよび標的核酸の間にハイブリッドが形成される反応に続いて、一つまたは複数のブロッカープローブをその反応に添加してもよく、ハイブリダイゼーションを望ましい時間、続ける。ハイブリダイゼーション生成物は、その後、上記のように検出される。
【0046】
もう一つの態様において、CSPの部分のみに相補的でかつCSPより短いブロッカープローブを使用する。これらのブロッカープローブはCSPより低い融解温度をもつ。好ましくは、ブロッカープローブの融解温度は、CSPのそれより10度低い。この場合、ブロッカープローブは、好ましくは、標的核酸にCSPおよびSSPとともに同時に添加される。ブロッカープローブはCSPより低い融解温度をもつため、ブロッカープローブがCSPのその標的配列へのハイブリダイゼーションを干渉しないようにハイブリダイゼーションの初期温度を選択する。しかしながら、ハイブリダイゼーション混合物の温度が標的ハイブリダイゼーションについて用いられる温度より低く調整される場合、ブロッカープローブはCSPにハイブリダイズして、CSPが交差反応性核酸配列にハイブリダイズするのを効率的にブロックする。例えば、ハイブリダイゼーション生成物をハイブリッド捕捉の間、ストレプトアビジンコーティング化マイクロタイタープレート上で、室温でインキュベートする時に、ブロッカープローブを添加してもよい。
【0047】
以下の実施例は、本増幅方法および本検出アッセイ法および本キットの使用を説明する。これらの実施例は例証として提供され、いずれの様式においても本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載されているすべての引用文献は、参照として全部、明白に組み入れられている。
【実施例】
【0048】
実施例1
標的特異的ハイブリッド捕捉(TSHC)アッセイ法プロトコール
既知の濃度の単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)および単純ヘルペスウイルス2(HSV-2)ウイルス粒子(アドバンスドバイオテクノロジーズ社(Advanced Biotechnologies, Inc.)、コロンビア、MD)または臨床試料を陰性対照培養液(Negative Control Media)(ダイジーン社(Digene Corp.)、ゲーサーズバーグ、MD)または陰性子宮頸検体(Negative Cervical Specimens)(ダイジーン(Digene))のいずれかを用いて、希釈した。様々な希釈溶液を作製し、個々のミクロチューブへ等分した。変性試薬5100-0431(Denaturation Reagent 5100-0431)(ダイジーン)の半量を添加した。試験試料を試料中の核酸の変性のために65℃で45分間インキュベートした。
【0049】
変性に続いて、シグナル配列プローブ(SSP)(各600 ng/ml)および捕捉配列プローブ(CSP)(各2.5 pモル/ml)を含むハイブリダイゼーション溶液を試料へ添加し、74℃で1時間インキュベートした。4xプローブ希釈液(ダイジーン)の1容量を含む溶液中のブロッカープローブ、1容量の変性試薬、および2容量の陰性対照培養液をその後、ハイブリダイゼーション混合物へ添加し、74℃で15分間インキュベートした。
【0050】
実験の第二シリーズにおいて、核酸の変性に続いて、SSP(各600 ng/ml)、CSP(各2.5 pモル/ml)、およびブロッカープローブ(各250 pモル/ml)を含むハイブリダイゼーション混合液を試料へ添加し、74℃で1時間インキュベートした。
【0051】
反応混合物を含むチューブを室温で5分間冷却し、各チューブから一定分量を取り、96ウェルのストレプトアビジン捕捉プレート(ダイジーン)の個々のウェルへ移した。プレートを1100 rpmsで1時間、室温で振盪した。その後、上清をデカントし、プレートをハイブリッド捕捉2洗浄緩衝液(Hybrid Capture 2 wash buffer)(ダイジーン)で2回洗浄し、残留洗浄緩衝液を除去するために一時的に逆さにした。アルカリホスファターゼ抗RNA/DNA抗体検出試薬-1(DR-1;ダイジーン)をその後、各ウェルに添加し、30分間、室温(約20℃〜25℃)で、インキュベートした。その後、ウェルを以下の段階を含む多数の洗浄段階にさらした:1)室温でシャープ(Sharp)洗浄緩衝液(ダイジーン)で3回洗浄;2)加温ブロック上で60℃で10分間、シャープ洗浄緩衝液でプレートのインキュベーション;3)室温でシャープ洗浄緩衝液で2回洗浄;および4)室温でSNM洗浄緩衝液(ダイジーン)で1回洗浄。残留液体の除去に続いて、発光基質5100-0350(ダイジーン)を各ウェルへ添加し、室温で15分間インキュベートした。個々のウェルをその後、プレート照度計で読み取って相対光ユニット(RLU)のシグナルを得た。
【0052】
陰性対照培養液または既知のHSV陰性子宮頸検体を含む溶液を試験試料についての陰性対照として使用した。シグナルノイズ比(S/N)は、陰性対照の平均RLUに対する試験試料から得られる平均RLUの比として計算された。シグナルノイズ比を捕捉効率の測定および標的核酸の検出のための基準として使用した。2またはそれ以上のS/N値を自由裁量によって、陽性シグナルとして割り当て、一方、2未満のS/N値を陰性とみなした。1試料組内の実験の変動性の測定である変動係数(CV)は、反復試験の標準偏差を取り、それらを平均値で割り、そしてパーセント値を得るためにその値に100を掛けることにより計算された。
【0053】
実施例2〜実施例13に記載されている実験において使用される捕捉配列プローブおよびブロッカープローブは、コック(Cook)ら(1988, Nucl. Acid. Res., 16:4077〜4095)により記載されている方法を用いて合成された。そうでないことを示さないかぎり、本明細書に記載されている実験において使用される捕捉配列プローブは、それらの5'末端および3'末端がビオチンで標識されている。
【0054】
実施例2〜実施例13に記載されている実験において使用されるシグナル配列プローブはRNAプローブであるが、本発明は、RNAを含むSSPに限定されない。これらのプローブはイスラエリ(Yisraeli)ら(1989, Methods in Enzymol., 180:42〜50)により記載されている方法を用いて調製される。
【0055】
実施例2
以下の表は、実施例3〜実施例13に記載されている実験において使用される様々なプローブを記載する。
【0056】
〔表1〕 HSV-1プローブの由来するHSV-1クローン

【0057】
〔表2〕 HSV-2プローブの由来するHSV-2クローン

【0058】
〔表3〕 HSV-1についての捕捉配列プローブ


* 括弧内の配列はHSVへの指向性はない「テール(tail)」配列である。
【0059】
〔表4〕 HSV-1についてのブロッカープローブ

【0060】
〔表5〕 HSV-2についての捕捉配列プローブ

【0061】
〔表6〕 HSV-2についてのブロッカープローブ

【0062】
〔表7〕 HPVについての捕捉配列プローブ


* 括弧内の配列はHPVへの指向性はない「テール(tail)」配列である。
【0063】
〔表8〕 HPVについてのブロッカープローブ


【0064】
実施例3
捕捉効率へのビオチン標識の大きさの影響
試験は、TSHC検出にとって捕捉配列プローブあたりのビオチン標識の最適な数を決定するために行われた。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。シグナルノイズ比(S/N)により測定される、1個、2個、または3個のビオチンで標識された捕捉配列プローブF15Rの捕捉効率を試験した。使用されるシグナル配列プローブはH19であった。表9に示されるように、捕捉配列プローブあたり2個のビオチンが最適の捕捉効率として十分であった。2個のビオチン標識を有する捕捉配列プローブを使用する場合、単一のビオチン標識された捕捉配列プローブと比較して、S/Nにおいて50 %以上の増加が観察された。捕捉配列プローブに3個目のビオチン標識を付加することにより、2個のビオチン標識捕捉配列プローブと比較してS/Nにおいて減少が生じた。
【0065】
〔表9〕 捕捉効率へのビオチン標識の程度の影響

【0066】
実施例4
捕捉効率へのCSPおよびSSPの標的部位間の距離の影響
捕捉効率への、HSV-1標的核酸上の捕捉配列プローブ(CSP)およびシグナル配列プローブ(SSP)のハイブリダイゼーション部位間の距離の影響を評価した。SSPハイブリダイゼーション部位から0.2 kb、3 kb、18 kb、36 kb、および46 kbの位置にあるHSV-1標的核酸配列にハイブリダイズするCSPを試験した。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。捕捉効率は、それぞれ、100 %、50 %、30 %、19 %および7 %であった(表10)。0.2 kbから46 kbへ距離が増加するにつれて、相対的捕捉効率において一定の低下が観察された。
【0067】
〔表10〕 捕捉効率への標的部位間の距離の影響

【0068】
実施例5
HSV-1のTSHC検出への融合化捕捉配列プローブの効果
ストレプトアビジンプレートの結合能力は、ウェルにつき二倍ビオチン化CSPで約2 pモルであることが測定された。CSPは二倍にビオチン標識されているので、ウェルの結合能力を超えないためには最大限8つのCSP(1つのSSPにつき2つのCSP)が好ましい。提示された能力を上回るビオチン標識化捕捉配列プローブにおける少しの増加でも、いわゆる「フック効果」と呼ばれる、シグナルにおける減少を引き起こした。この「フック効果」を避けて、かつ4つ以上のSSP-CSPの組合わせの使用をなお可能にするために、(5'末端および3'末端を)いっしょに融合した2つのCSPの配列を含む合成オリゴヌクレオチドの効果を試験した。融合化捕捉配列プローブは、独立的に機能して、固有の標的部位へのハイブリダイゼーションを行いうる。もう一つの態様において、融合化プローブは、いったんプローブが第一の部位にハイブリダイズすれば、本質的にゼロ次速度論での単分子反応であるため、恵まれた第二のハイブリダイゼーションでもって2つの標的部位へ結合しうる。ハイブリダイゼーションは1つまたは両方の機構により決定されてもよい。以前の実験では、2つのCSPである、VH3およびNC-1が、いっしょに使用される場合、個々のCSPの約2倍のS/Nを与えることが示された。非融合化捕捉配列プローブVH-3およびNC-1は、5 pモル/mlの全濃度に対して各2.5 pモル/mlで使用され、融合化プローブVH-4(VH-3およびNC-1の融合)は2.5 pモル/mlで使用された。表11に示されるように、融合化プローブは2つの非融合化プローブの組合わせと同じくらいに効果的であった。それゆえ、融合化捕捉配列プローブを使用するTSHC検出は、プレートのビオチン結合能力を超えることなく、シグナル配列プローブにより標的される核酸配列の数を少なくとも2倍にすることを可能にする。実験はまた、2.0未満のS/N値により示されているように、107ゲノムでHSV-2の交差反応性はないことを証明している。
【0069】
〔表11〕 HSV-1のTSHC検出における融合化捕捉配列プローブ対非融合化の捕捉配列プローブの比較

【0070】
実施例6
HSV-1のTSHC検出における様々なCSPおよびSSPの捕捉効率
TSHCによるHSV-1の検出において、4つのHSV-1特異的シグナル配列プローブ(SSP)である、H19、RH5B、RH3およびR10のそれぞれについて捕捉配列プローブ(CSP)の捕捉効率を評価した。捕捉配列プローブを設計するために用いられる基準は以下のとおりである:1)CSPハイブリダイゼーション部位は、HSV-1核酸配列上においてSSPハイブリダイゼーション部位の5'または3'のいずれかの1 kb以内、好ましくは0.5 kb以内である;および2)CSPは、10塩基以上のHSV-2に相同的な配列のひと続きをもたず、HSV-1に固有の配列を含む。CSPは、SSPハイブリダイゼーション部位に隣接する5'領域および3'領域を、好ましくは各SSPに対して5'CSPおよび3'CSPで標的するように設計された。オミガソフトウェア(Omiga software)(オックスフォードモレキュラーグループ(Oxford Molecular Group)、キャンベル、CA)をそのような部位の同定における手段とした。CSPの融解温度(Tm)は、HSVについてのハイブリッド捕捉II(Hybrid Capture II(HC II))アッセイ法(ダイジーン)において用いられる70℃〜75℃のハイブリダイゼーション温度と同じになるように、70℃〜85℃の間であるように設計された。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。H19について11個のCSP(6つの異なる部位に結合する)、RH5Bについて6個のCSP(3つの固有の部位に結合する)、RH3について6個のCSP(6つの固有の部位に結合する)、およびR10について2個のCSPを試験した。表12に示されるように、シグナル配列プローブH19、RH5BおよびR10について、効率的な捕捉配列プローブが見出された。
【0071】
〔表12〕 HSV-1のTSHC検出のためのCSPおよびSSP

【0072】
実施例7
HSV-2のTSHC検出における様々なCSPおよびSSPの捕捉効率
TSHCによるHSV-2の検出において、4つのHSV-2特異的シグナル配列プローブ(SSP)、E4A、E4B、Ei8およびi8のそれぞれについて捕捉配列プローブ(CSP)の捕捉効率を評価した。HSV-2特異的捕捉配列プローブ(CSP)は、それらがHSV-2特異的であるという必要条件を除いては、HSV-1のCSPと同じ基準に基づいて設計された。E4Aについては4個のCSP、E4Bについては3個のCSP、ならびにEi8およびi8については各2個のCSPを試験した。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。表13に示されるように、i8およびEi8について、効率的な捕捉配列プローブが見出された。
【0073】
〔表13〕 HSV-2のTSHC検出のためのCSPおよびSSP

【0074】
実施例8
HSV-1およびHSV-2の検出へのブロッカープローブの効果
捕捉段階を室温で起こるようにさせておきながら、TSHCの交差反応性を低下させる試みにおいて、ブロッカープローブを使用する方法を開発した。ブロッカープローブは、検出のために使用される捕捉配列プローブ(CSP)に相補的である配列を含む。これらの実験は、より低いストリンジェンシー条件、室温捕捉段階の間にしばしば遭遇する状況下において、CSPの試料中に存在する非標的核酸への非特異的ハイブリダイゼーションを防ぐために設計された。
【0075】
一つの方法において、完全長または完全長に近い捕捉配列プローブに相補的なブロッカープローブを使用した。ブロッカープローブは、CSPおよびSSPの標的DNA分子へのハイブリダイゼーションが起こった後、CSPの割合に対して10倍の超過量で反応混合物へ添加された。ブロッカープローブはCSPと類似した融解温度をもつため、CSPを最初に標的核酸にハイブリダイズさせて、CSPの標的核酸へのハイブリダイゼーションが起こる前にブロッカープローブのCSPへのハイブリダイゼーションが起こることを防ぐ。表14に示されるように、ブロッカープローブの添加により、これらのプローブがHSV-1検出の感度に影響を及ぼすことなく、交差反応性における劇的な低下を生じた。ブロッカープローブを使用した場合、交差反応性のHSV-2(107ウイルス粒子/ml)の検出についてのS/Nは5.0から0.8へ減少した。
【0076】
もう一つの方法において、CSPの部分のみに相補的でかつCSPより短いブロッカープローブを使用した。ブロッカープローブは、室温より高いが、CSPの標的核酸へのハイブリダイゼーション温度より少なくとも10℃低い融解温度をもつように設計された。これらのブロッカープローブはCSPの標的核酸へのハイブリダイゼーション温度より低い温度でCSPにハイブリダイズするため、CSPの標的核酸へのハイブリダイゼーション効率に影響を及ぼすことなく、CSPおよびSSPと同時に反応へ添加されうる。これらの短い方のブロッカープローブは、室温捕捉段階の間に起こるより低い温度でCSPにハイブリダイズすることにより、室温捕捉段階の間に機能する。表15に示されるように、単一かまたは対のいずれか短い方のブロッカープローブを、CSPの割合に対して100倍の超過量で添加することにより、HSV-1検出の感度には影響を及ぼさず、交差反応性における劇的な低下が生じた。ブロッカープローブ無しで交差反応性のHSV-2(107ウイルス粒子/ml)を検出することについてのS/Nは、10.6であったが、ブロッカープローブの添加により1.5未満または同等にまで低下した。
【0077】
それゆえに、ブロッカープローブを利用する両方の方法は、交差反応性に実質的な低下をもたらす。低い方の融解温度をもつブロッカープローブを利用する第二の方法は、捕捉配列プローブと同時にブロッカープローブを添加することで検出方法についての余分な段階が必要とされなくなるため、好ましいかもしれない。
【0078】
〔表14〕 捕捉プローブハイブリダイゼーション後に添加されるブロッカープローブのTSHCへの効果

【0079】
〔表15〕 捕捉プローブと同時に添加されるブロッカープローブのHSV-1のTSHC検出への効果

【0080】
実施例9
TSHC検出がベクターバックグラウンドを低下させる
TSHCアッセイ法は、ハイブリッド捕捉II(HC II)検出アッセイ法(ダイジーン)に関連することが多いベクター混入問題を排除する。HC IIに使用されるRNAシグナル配列プローブは線状化ベクター鋳型から作成されるので、いくらか残存している非線状化プラスミドDNAによりベクター配列に特異的な追加的RNAプローブ配列の産生が生じる。HC IIアッセイ法において、これらの読み過ごし(read-through)転写の結果として形成するRNA/DNAハイブリッドが抗体コーティング化プレート上に捕捉されて、シグナルを生じる。対照的に、TSHC法において、捕捉配列プローブにもまたハイブリダイズするそれらのRNA/DNAのみが検出される。したがって、ベクター関連配列のどの検出も排除される。HSV HC II試験(ダイジーン)において検出可能であることが知られているプラスミドSK+、pBR322、DgZ、および1066を2つのRNAシグナル配列プローブ(H19およびRH5b)および2つの捕捉配列プローブ(VH-2およびVH-4)を使用するTSHCアッセイ法において試験した。その後、RNAプローブの同一の組をHSV-1の検出についてのHC II法およびTSHC法に使用した。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。表16に示されるように、標準HC IIにおけるシグナルノイズ比は14〜48の範囲であったが、TSHC法についてのシグナルノイズ比は試験されたすべてのプラスミドについて2未満であった。
【0081】
〔表16〕 TSHC対HC IIの検出におけるベクターバックグラウンド

【0082】
実施例10
TSHCによりHSV-1およびHSV-2を検出することの感度および特異性
HSV-1およびHSV-2のTSHC検出についての感度および分類識別力を実施例1に記載されているTSHCを用いて評価した。HSV-1のTSHCアッセイ法において、シグナル配列プローブH19およびRH5B、捕捉配列プローブHZ-1、VH-2およびVH-4、ならびにブロッカープローブNG-7、NG-8、GP-3、GP-4およびGP-1を使用した。HSV-2のTSHCアッセイ法において、シグナル配列プローブi8およびEi8、捕捉配列プローブNF-1およびNF-2、ならびにブロッカープローブHX-4、HX-5およびGP-8を使用した。HSV-1およびHSV-2のウイルス粒子は、陰性対照溶液を用いて様々な濃度に希釈された。図4および図5に示されるように、104のコピーのHSV-1またはHSV-2のどちらも(450コピー/ウェル)、それぞれのアッセイにおいて検出されたが、108コピー/ml(4,500,000コピー/ウェル)までの濃度(108コピー/mlを含める)で、交差反応性型のHSVの検出は事実上なかった。このように、HSV-1およびHSV-2のTSHCアッセイ法は、優れた感度(450 VP(ウイルス粒子)/ウェル)を維持しながら、10,000倍以上の識別範囲で2つのHSV型を区別することができる。
【0083】
HSV-1のTSHCアッセイ法は、少なくとも2 x 103 VP/mlから5 x 103 VP/mlの範囲にかけて検出の直線区域を示す(表17)。アッセイ法の特異性は、2 x 107ウイルス粒子/ml〜5 x 107ウイルス粒子/mlほどの高い濃度のHSV-2を含む試料において交差反応性が検出されなかった(S/Nが2未満または同等)くらいに優れている。同様に、HSV-2のTSHCアッセイ法もまた優れた特異性を示し、5 x 107ウイルス粒子/mlほどの高い濃度のHSV-1を含む試料において交差反応性が検出されなかった(表18)。同様の結果は、HSV-2およびHSV-1のウイルスの希釈シリーズを用いるHSV-2のTSHC検出から得られた(表19)。
【0084】
〔表17〕 HSV1のTSHCアッセイ法の分析的感度および特異性

【0085】
〔表18〕 HSV2のTSHCアッセイ法の分析的感度および特異性

【0086】
〔表19〕 異なる希釈度のHSV-1およびHSV-2を用いるHSV-2プローブでの検出

【0087】
実施例11
臨床検体試験
TSHC法およびHC II法の両方を用いて、64人の臨床検体パネルをHSV-1およびHSV-2について検査した。パネルは、既知量のHSV-1またはHSV-2を含む15試料、およびPCR試験によりHSV-1およびHSV-2について陰性であることがわかっている49試料を含んだ。したがって、15個の陽性試料はHC IIおよびTSHCのアッセイ法の両方において、陽性の試験結果となることが「予想」され、かつ49個の陰性試料はHC IIおよびTSHCの試験の両方において陰性の試験結果となることが「予想」された。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。HC II法およびTSHC法を用いての結果は、それぞれ、表20および表21に示されている。陰性結果が生じることを「予想」されている49試料のうち、HC II法を用いた場合、5試料が陽性の試験結果となり、かつ44試料が陰性の試験結果となった。対照的に、TSHC法を用いた場合、すべての49試料が陰性の試験結果となった。それゆえ、TSHC法は、HSV-1およびHSV-2の検出において、HC II法よりも特異性について優れている。
【0088】
〔表20〕 HSV-1およびHSV-2のHC II検出についての観察結果対予想結果

【0089】
〔表21〕 HSV-1およびHSV-2のTSHC検出についての観察結果対予想結果

【0090】
実施例12
HSVのTSHC検出におけるプローブを組み合わせることの効果
HSV-1検出におけるHSV-1特異的シグナル配列プローブおよび捕捉配列プローブの組を組み合わせることの効果を評価した。HSV-1およびHSV-2交差反応性のTSHC検出をRNAシグナル配列プローブ/ビオチン化捕捉配列プローブの組合わせの2つの異なる組(組1番:H19プラスHZ-1;および組2番:RH5bプラスTS-1およびTS-2)で別々に行った。TSHCはまた、両方のRNAシグナル配列プローブ/ビオチン化捕捉配列プローブの組を組み合わせて、2つのプローブ組を組み合わせることの感度および交差反応性への効果を評価するために行われた。実施例1に記載されている一般的なTSHC法を用いた。表22に示される結果より、HSV-2交差反応性に明らかな増加もなく、HSV-1検出についての2つのプローブ組を組み合わせることの相加作用が明らかに示されている。
【0091】
〔表22〕 HSV-1特異的CSPおよびSSPを組み合わせることにより感度が上昇する

【0092】
実施例13
HPV18およびHPV45のTSHC検出
ヒトパピローマウイルス18(HPV18)およびヒトパピローマウイルス45(HPV45)のTSHCおよびHC II検出の相対的感度および特異性を比較した。以前の研究より、HPV18に対する最も交差反応性が高いHPV型としてHPV45が、かつ逆に、HPV45に対する最も交差反応性が高いHPV型としてHPV18が確立されている。この研究において、HPV18およびHPV45を検出する2つの方法の能力をHPV18およびHPV45のプラスミドDNAを使用して評価した。
【0093】
4つのヒトパピローマウイルス型:HPV16、HPV18、HPV31およびHPV45のそれぞれについて捕捉配列プローブ(CSP)を設計した。捕捉配列プローブを設計するために用いられる基準は以下のとおりであった:1)CSPハイブリダイゼーション部位はSSP部位と重複しない;2)CSPは、12塩基以上の他のHPV型に相同的な配列のひと続きをもたない、1つのHPV型に固有の配列を含む;および3)CSPは、70℃で効率的にハイブリダイズすることができるのに十分な長さである。
【0094】
各CSPについてのブロッカープローブは、標的核酸へのハイブリダイゼーションの間に、CSPと同時に添加されることができるように設計された。ブロッカープローブは、オリゴ5.0プログラム(the Oligo 5.0 program)(ナショナルバイオサイエンス社(National Biosciences, Inc.)、プリマス、MN)により計算される場合、少なくとも37℃だが60℃より高くない融解温度を有する。2つのブロッカープローブが、室温プレート捕捉段階の間にブロッカー効果を最大化するように、各捕捉オリゴヌクレオチドに対して使用された。各CSPに対するブロッカープローブが類似した融解温度を有することもまた望ましかった。
【0095】
各HPV型についてのCSPは、相対的捕捉効率および他のHPV型への交差反応性について試験された。感度および低交差反応性の最高の組合わせを与えるCSPをTSHCを用いるHPVの検出に使用した。
【0096】
HPV18のTSHCおよびHC IIの検出において、HPV18 DNAは、10 pg/mlの濃度で使用された。交差反応性試験に使用されるHPV45は4 ng/mlで使用された。実施例1に記載される一般的なTSHC法を用いた。表23に示されるように、HPV18のHC II検出について得られた7.6という比と比較して、HPV18のTSHC検出について16.9というシグナルノイズ比が得られた。他方、HPV45との交差反応性は、TSHC法を用いる場合、有意的に低下した(HC IIについての393.3のS/Nと比較して、TSHCについて1.3のS/N)。その結果より、HC II法と比較して、HPV18の検出についてのTSHC法は、感度および特異性の両方において優れていたことが明らかに示されている。HPV45のTSHCおよびHC IIの検出を比較する実験において得られた結果より、HPV45の検出についてTSHC法が感度および特異性の両方において優れていることが証明されている(表24)。
【0097】
〔表23〕 HPV18のTSHC検出

【0098】
〔表24〕 HPV45のTSHC検出

【0099】
実施例14
標的特異的ハイブリッド捕捉プラスアッセイ法プロトコール
B型肝炎ウイルス(HBV)は、標的核酸の検出についての標的特異的ハイブリッド捕捉プラス(TSHCプラス)アッセイ法の開発のためのモデル系として使用された。
【0100】
TSHCプラス法(図6A〜図6D)におけるハイブリダイゼーションは、単一段階として行われてもよい。1段階法において、CSP、プレハイブリダイズされたDNA/RNA二重鎖を含むSSP、架橋プローブ(図6B〜図6D)、およびブロッカープローブは、標的核酸へ同時に添加される。ハイブリダイゼーションが2段階で行われる場合には、CSP、プレハイブリダイズされたDNA/RNA二重鎖非含有SSP、架橋プローブおよびブロッカープローブが最初に、標的核酸にハイブリダイズされる。SSPにおける一本鎖核酸配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブが、その後、DNA/RNA二重鎖を形成するために、その反応に添加される。ハイブリッドは、その後、実施例1に記載されているように、抗RNA/DNA抗体を用いて検出される。
【0101】
実験は、TSHCプラスを用いてHBVを検出するために行われた(実施例15〜実施例18)。図6Aに示される方法を用いた。既知の濃度のヒトB型肝炎ウイルス(HBV adw2)プラスミドDNAをHBV陰性試料希釈液(HBV negative Sample Diluent)(ダイジーン)を用いて希釈した。様々な希釈溶液を作成し、個々のチューブへ等分した。陰性試料希釈液は、陰性対照として使用された。変性試薬5100-0431(ダイジーン)の半量を試験試料へ添加した。試験試料を試料中の核酸を変性させるために65℃で45分間インキュベートした。
【0102】
HBV試料の変性に続いて、捕捉配列プローブ(CSP)、ブロッカープローブ、M13 DNA/M13 RNA二重鎖を含むシグナル配列プローブ、およびSSPおよびHBV配列の両方にハイブリダイズすることができる一本鎖または部分的一本鎖のDNA配列の架橋プローブを含むハイブリダイゼーション溶液を試料に添加し、65℃で1〜2時間、インキュベートした。または、変性された試料を捕捉配列プローブ(CSP)、ブロッカープローブおよびHBV相補的配列を含むM13 DNAプラスミドを含むハイブリダイゼーション溶液とともに、1時間インキュベートした。インキュベーションに続いて、M13 RNAをその反応に添加し、65℃でさらに1時間、インキュベーションを続けた。
【0103】
反応混合物を含むチューブを室温で5分間冷却し、各チューブから一定分量を取り、96ウェルのストレプトアビジンプレート(ダイジーン)の個々のウェルへ移した。プレートを1100 rpmsで1時間、室温で振盪した。その後、溶液をデカントして、プレートをSNM洗浄緩衝液(ダイジーン)で4回洗浄した。アルカリホスファターゼ抗RNA/DNA抗体DR-I(ダイジーン)を各ウェルへ添加し、室温で30分間インキュベートした。その後、DR-I(ダイジーン)をデカントして、プレートをSNM洗浄緩衝液(ダイジーン)で4回洗浄した。残留洗浄緩衝液の除去に続いて、発光性物質(CDP-スター(CDP-Star)、トロピックス社(Tropix Inc.))を各ウェルへ添加し、室温で15分間インキュベートした。個々のウェルは、相対光ユニット(RLU)シグナルを得るために、プレート照度計で読み取られた。
【0104】
実施例15
以下の表は、実施例16〜実施例18に記載した実験において試験される様々なプローブを記載する。
【0105】
〔表25〕 HBVについての捕捉配列プローブ

【0106】
〔表26〕 SSPの調製されるHBV/M13クローン

【0107】
〔表27〕 HBVブロッカープローブ

【0108】
実施例16
HBVのTSHCプラス検出へのブロッカープローブの効果
室温捕捉段階の間、CSPへ非特異的にハイブリダイズする過剰SSP(M13 RNA/HBV-M13 DNA二重鎖)は、プレート上へ固定化され、その結果として高バックグラウンドシグナルを生じる。バックグラウンドシグナルを低下させる試みにおいて、ブロッカープローブをHBVのTSHCプラス検出に使用した。ブロッカープローブは、アッセイ法で用いられるハイブリダイゼーション温度より十分に低い温度で捕捉プローブにハイブリダイズすることしかできないように、CSPよりかなり短く設計された。
【0109】
CSPに相補的である2つの別々のオリゴヌクレオチドから成るブロッカープローブの組を使用した。ブロッカープローブをCSPの割合に対して10倍の超過量でハイブリダイゼーション混合物に添加した。ブロッカープローブはCSPよりかなり短いため、標的ハイブリダイゼーション温度ではCSPにハイブリダイズせず、それゆえ、CSPの標的核酸へのハイブリダイゼーションを干渉しない。CSPおよび標的核酸のハイブリダイゼーションに続いて、試料を室温捕捉段階にさらし、その間にブロッカープローブが過剰CSPにハイブリダイズして、それらがSSPにハイブリダイズするのを防いだ。表28に示されるように、ハイブリダイゼーション反応でのブロッカープローブの使用により、アッセイ法のバックグラウンドシグナルが大幅に低下した。
【0110】
〔表28〕 HBV検出へのブロッカープローブの効果

【0111】
実施例17
HBVのTSHCプラス検出へのSSPの長さの影響
SSPを産生するためのM13ベクターへ挿入されるDNA配列の長さのHBVのTSCH-プラス検出への影響を研究した。20 pg/mlのHBVプラスミドDNAを含む陽性対照を使用した。表29に示されるように、SSPにおいて長い方のHBV相補的配列(87塩基対)の使用が、検出のシグナルに実質的な増加を生じた。短い方のプローブのTm(融解温度)はハイブリダイゼーション温度より15度上であるため、最適状態に及ばないハイブリダイゼーション温度条件のせいである可能性は低い。SSPに形成されるM13 RNA/DNA二重鎖は、そのプローブにおける相補的DNA配列が標的核酸中のHBV配列にハイブリダイズすることを部分的に妨害するように作用するため、SSPにおいて相補的配列の長い方がこの妨害に打ち勝つのかもしれない。
【0112】
〔表29〕 HBVのTSHCプラス検出へのSSPにおける相補的配列の長さの影響

【0113】
実施例18
HBVのTSHCプラスおよびHC II検出
HBVのTSHCプラスおよびHC II(ハイブリッド捕捉II、ダイジーン)検出の相対的感度を比較した。3つの異なる濃度のHBV陽性標準を実験において試験した。表30に示されるように、TSHCプラス検出方法を用いて得られたシグナルは、HC II検出方法を用いて得られたものより約2倍高かった。
【0114】
〔表30〕 HBV*のTSHCプラスおよびHC II検出

* 相対光ユニット(RLU)として測定されるシグナル
【0115】
実施例19
SNPの標的特異的ハイブリッド捕捉検出のための試料調製
SNPを検出するためのTSHC法の態様として、標的分子としてp53 DNAを用い、かつp53コード領域のコドン72での多型またはSNP(Kawajiriら、Carcinogenesis. 14:1085〜1089, 1993)を識別することを本明細書において実証されているハイブリッド捕捉SNP(HC-SNP)法を提供する。アンチセンス鎖上のコドン72での2つのp53多型は、アルギニン(Arg)をコードするgCg、およびプロリン(Pro)をコードするアンチセンス鎖上のp53コドン72、gGgである。2つの多型をp53Argおよびp53Proと呼ぶ。これはHC-SNP法がヌクレオチドの特異的検出として用いられるSNPである。HC-SNP法がプローブ、プローブ標識、および標的のこれらの特定の型に限定されるのではなく、TSHC法として記載される変形の全範囲をも含むことができることは理解される。
【0116】
PCR単位複製配列またはゲノムDNAのいずれかを含む試料をHC-SNP態様における多型検出についての標的として使用した。ゲノムDNAを使用することは、診断的適用にとって特に有用でありえる。PCR単位複製配列の調製について、2つのプライマー、例えば、上流プライマー

および下流プライマー

を使用した(クラエス(klaes)ら、J. Mol. Med. 77:299〜302, 1999により記載)。これらのプライマーは、以下を含むプログラムを利用して、p53エキソン4領域(182塩基対)の増幅のために特に選択された:a)95℃で4分間;b)94℃で40秒間;c)62℃で40秒間;d)72℃で40秒間;e)72℃で6分間;およびf)保管のためまたは使用前は4℃であり、段階b)〜d)はDNA鋳型の質しだいで25〜45サイクル繰り返される。その後、PCR単位複製配列は、試験前に、TE(10 mM トリス;1 mM EDTA)、pH 7.4中で1:1000または1:100に希釈された。ゲノムDNAの調製のためのゲノムDNA試料の無制限な例には、限定されるものではないが、ヒト体液、細胞、組織、およびパラフィンブロック中の保管用組織を含む。ゲノムDNAの単離は、適切なキット(キアゲン(Qiagen))を使用して行われた。標的の増幅段階を迂回して直接的に多型を検出するためには、およそ、試験一組につき10 μg〜20 μgの単離されたゲノムDNAが必要とされた。
【0117】
各DNA標的は、p53-Arg特異的およびp53-Pro特異的捕捉オリゴで別々に試験された。シグナルノイズ比(S/N)は計算され、p53-Pro特異的S/Nに対するp53-Arg特異的S/Nの比は試料の遺伝子型を同定するために用いられた。ホモ接合体(Arg/ArgまたはPro/Pro)対ヘテロ接合体(Arg/Pro)を決定するためのSNP試験結果の例は表31に示されている。これらの試験の結果はウェーブ(Wave)分析(トランスゲノミック(Transgenomic);サンタクララ、CA)およびDNA配列分析により確認された。
【0118】
実施例20
SNPを検出するための標的特異的ハイブリッド捕捉法
プラスミドDNA(p53-Argおよびp53-Pro)をキアプレップスピンミニプレップキット(Qiaprep Spin Miniprep Kit)(キアゲン社(Qiagen, Inc.);バレンシア、CA)を使用して細菌培養から調製した。ゲノムDNA(HeLa、SiHa、およびジャーカット)をDNイージー組織キット(DNeasy Tissue Kit)(キアゲン社)を使用して細胞系から調製した。プラスミドDNAおよび臨床試料DNAを前に記載されているPCR法(45サイクル)を用いて増幅した。使用前に、PCR増幅されたDNAをTE、pH 7.4中で1:1000に希釈し、プラスミドDNA試料をTE、pH 7.4中で100 pg/mlに希釈した。試験につき、希釈されたPCR増幅DNAまたはプラスミドDNAの5マイクロリットルを使用した。試験につきHeLa、ジャーカット、およびSiHaのゲノムDNAそれぞれについて、5 μg、7 μg、および10 μgを含む50マイクロリットルの抽出されたゲノムDNA試料をを使用した。各試料は各アッセイ法について独立して2回試験された。第一試験はp53-Arg CSPおよびp53 SSPを使用して行われた。第二試験はp53-Pro CSPおよびp53 SSPを使用して行われた。
【0119】
ウェルあたり50 μlの最終容量で水およびDNA標的の混合物をハイブリダイゼーションマイクロプレートへ添加した。ウェルあたり変性試薬5100-0431(ダイジーン)(25 μl)を添加した。プレートをプレートシーラーでカバーし、プレート振盪機上で1100 rpm、10〜30秒間撹拌した。反応物をマイクロプレートヒーターI(ロビンスディサイエンティフィック社(Robbins Dcientific Corp.);サニーバレー、CA)で65℃、25分間変性させた。変性段階の間、プローブ混合物を調製した。p53-Arg特異的プローブ混合物は、15 pモル/mlの16塩基長Arg特異的CSP、600 ng/mlのp53 SSP、および4Xプローブ希釈液(ダイジーン)から構成された。p53-Pro特異的プローブ混合物は、15 pモル/mlの16塩基長Pro特異的CSP、600 ng/mlのp53 SSP、および4Xプローブ希釈液(ダイジーン)から構成された。各プローブ混合物(各25 μl)を変性された試料に添加した。プレートをプレートシーラーでカバーし、プレート振盪機を用いて、1100 rpmで、10〜30秒間撹拌した。試料をマイクロプレートヒーターで65℃、1時間、ハイブリダイズさせた。ハイブリダイズされた試料を室温で5〜10分間、インキュベートした(プレートの温度を低下させるため)。ハイブリダイゼーション反応物を96ウェルのストレプトアビジン(SA)プレート(ダイジーン)へ移し、プレートシーラーでカバーした。ハイブリッドを45℃で45分間、900 rpmで撹拌しながら、SAプレート上へ捕捉させた。CSPハイブリダイズ化標的の固定化は、例えば、96ウェルプレートのウェルの中へ置かれているハイブリダイゼーション溶液中で行わせることができ、そしてプレートを15分〜2時間、20℃〜90℃の範囲の温度で振盪し、好ましくは室温で1時間、1100 rpmsで振盪する。室温より上の捕捉温度は、プレート捕捉段階の間にハイブリダイゼーション(および「乱交雑のハイブリダイゼーション」)が起こってしまう場合には、ストリンジェンシーレベルを上げることとして好ましいかもしれない。上清をデカントし、ウェルにつき100 μlのDR-1(ダイジーン)を捕捉RNA/DNAハイブリッドの検出のために添加した。プレートを室温で30分間、撹拌せずにインキュベートした。上清を捨て、プレートを室温シャープ洗浄緩衝液(Sharp Wash Buffer)で2回洗浄した。その後、ウェルをシャープ洗浄緩衝液で再び満たし、プレートを60℃で10分間、インキュベートした。その後、プレートを室温シャープ洗浄緩衝液で2回、室温ハイブリッド捕捉2洗浄緩衝液で1回、洗浄した。プレートから残留洗浄緩衝液を吸い取った(キムタオルを用いて)。化学発光性リン酸化基質、DR-2(100 μl/ウェル)を添加し、反応物を室温で15分間、撹拌せずにインキュベートした。活性化された基質を測定し、プレート照度計を用いて分析した(表31を参照)。
【0120】
〔表31〕 HC-SNPからの遺伝子型データ

【0121】
様々な好ましい態様の前記述は、実例および説明の目的のために提供され、開示された精密な形態に網羅させるものでも限定するものでもない。上記開示に照らして、明らかな変更または変形は可能である。考察された態様は、実例およびそれの実践的適用を提供して、それらにより当業者が様々な態様および企図される特定の使用に適応するように様々な変更をもって利用することを可能にするために、選択かつ記載された。特許請求の範囲の公正に、法律的におよび衡平法的に権利を与えられる外延に従って解釈される場合、すべてのそのような変更および変形は添付の特許請求の範囲により決定される体系内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む標的核酸を検出する方法:
a) 一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズして、該プローブと標的核酸との間に二本鎖ハイブリッドを形成する段階であり、捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブは標的核酸内の重複しない領域にハイブリダイズすることができ、かつ相互にハイブリダイズしない段階;
b) ハイブリダイゼーション反応にブロッカープローブを加える段階であり、該ブロッカープローブはハイブリダイズされていない過剰の捕捉配列プローブにハイブリダイズする段階;
c) ハイブリッドを固相に結合して、結合ハイブリッドを形成する段階;および
d) 結合ハイブリッドを検出する段階。
【請求項2】
以下の段階を含む標的核酸を検出する方法:
a) 一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を固定化捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズして、該プローブと標的核酸との間に二本鎖ハイブリッドを形成する段階であり、捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブは標的核酸内の重複しない領域にハイブリダイズし、かつ相互にハイブリダイズしない段階;
b) ハイブリダイゼーション反応にブロッカープローブを加える段階であり、該ブロッカープローブはハイブリダイズされていない過剰の捕捉配列プローブにハイブリダイズする段階;
c) 結合ハイブリッドを検出する段階。
【請求項3】
シグナル配列プローブが一本鎖である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項4】
捕捉配列プローブが少なくとも1つのリガンドで修飾されている、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項5】
リガンドがビオチンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
捕捉配列プローブが5'末端および3'末端を有する線状であり、その5'末端および3'末端の両方がビオチン化されている、請求項5記載の方法。
【請求項7】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブが標的核酸の領域にハイブリダイズし、その領域の隔たりが3キロベース未満である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項8】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブが標的核酸の領域にハイブリダイズし、その領域の隔たりが500ベース未満である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項9】
捕捉配列プローブが、標的核酸の異なる領域または異なる標的分子に相補的な2つまたはそれ以上の配列の融合体である、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項10】
形成される二本鎖ハイブリッドがDNA/RNAハイブリッドである、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項11】
ハイブリダイゼーション段階の前に一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を形成する段階をさらに含む、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項12】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションが連続的に行われる、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項13】
段階a)および段階b)が同時に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
段階a)および段階c)が同時に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項15】
段階a)、段階b)および段階c)が同時に行われる、請求項1記載の方法。
【請求項16】
段階a)および段階b)が同時に行われる、請求項2記載の方法。
【請求項17】
ブロッカープローブが捕捉配列プローブの融解温度より低い融解温度を有する、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項18】
ハイブリッドが固相上へ捕捉される、請求項1記載の方法。
【請求項19】
固相がストレプトアビジンでコーティングされている、請求項17記載の方法。
【請求項20】
固相がマイクロプレートである、請求項17記載の方法。
【請求項21】
段階c)が室温で実行される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
結合ハイブリッドがそのハイブリッドを認識する抗体を使用して検出される、請求項1または請求項2記載の方法。
【請求項23】
ハイブリッドがDNA/RNA-ハイブリッドである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
DNA/RNAハイブリッドを認識する抗体がアルカリホスファターゼで標識されている、請求項22記載の方法。
【請求項25】
以下の段階を含む標的核酸を検出する方法:
a) 一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズする段階であり、捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブは標的核酸内の重複しない領域にハイブリダイズし、かつ相互にハイブリダイズせず、該ハイブリダイゼーションにより該シグナル配列プローブと標的核酸との間にRNA/DNAハイブリッドが形成される段階;および
b) RNA/DNAハイブリッドが、そのRNA/DNAハイブリッドを認識する抗体を該ハイブリッドに結合することにより検出される段階であり、該抗体は検出可能に標識されている段階。
【請求項26】
段階a)において形成されるハイブリッドを固相に結合して、結合ハイブリッドを形成する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
シグナル配列プローブが一本鎖である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
捕捉配列プローブが少なくとも1つのリガンドで修飾されている、請求項25記載の方法。
【請求項29】
捕捉配列プローブがビオチン化されている、請求項28記載の方法。
【請求項30】
捕捉配列プローブが5'末端および3'末端を有する線状であり、その5'末端および3'末端の両方がビオチン化されている、請求項29記載の方法。
【請求項31】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブが標的核酸の領域にハイブリダイズし、その領域の隔たりが3キロベース未満である、請求項25記載の方法。
【請求項32】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブが標的核酸の領域にハイブリダイズし、その領域の隔たりが500ベース未満である、請求項25記載の方法。
【請求項33】
ハイブリダイゼーション段階の前に一本鎖の標的核酸を形成する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項34】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションが連続的に行われる、請求項25記載の方法。
【請求項35】
段階a)において形成されるハイブリッドを固相上へ結合して、結合ハイブリッドを形成する、請求項25記載の方法。
【請求項36】
結合ハイブリッドが室温で形成される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
固相がストレプトアビジンでコーティングされている、請求項35記載の方法。
【請求項38】
固相がマイクロプレートである、請求項35記載の方法。
【請求項39】
抗体がアルカリホスファターゼで標識されている、請求項25記載の方法。
【請求項40】
ブロッカープローブをハイブリダイゼーション段階に加える段階をさらに含み、該ブロッカープローブがハイブリダイズされていない過剰の捕捉配列プローブにハイブリダイズする、請求項25記載の方法。
【請求項41】
ブロッカープローブが、捕捉配列プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションに続いてハイブリダイゼーション反応に加えられる、請求項40記載の方法。
【請求項42】
ブロッカープローブが捕捉配列プローブの融解温度より低い融解温度を有する、請求項40記載の方法。
【請求項43】
以下の段階を含む標的核酸を検出する方法:
a) 一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズする段階であり、捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブは標的核酸内の重複しない領域にハイブリダイズし、かつ相互にハイブリダイズせず、シグナル配列プローブはDNA/RNAハイブリッド領域を含み、該ハイブリダイゼーションにより複合体が形成される段階;および
b) 該複合体を検出する段階。
【請求項44】
シグナル配列プローブが少なくとも40塩基対の長さを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
捕捉配列プローブが少なくとも6塩基対の長さを含む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
捕捉配列プローブが固相上に固定化されている、請求項45記載の方法。
【請求項47】
複合体が、DNA/RNAハイブリッド領域を認識する抗体を該領域に結合することにより検出され、その抗体が検出可能に標識されている、請求項43記載の方法。
【請求項48】
捕捉配列プローブが少なくとも1つのリガンドで修飾されている、請求項43記載の方法。
【請求項49】
リガンドがビオチンである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
捕捉配列プローブが5'末端および3'末端を有する線状であり、その5'末端および3'末端の両方がビオチン化されている、請求項49記載の方法。
【請求項51】
ブロッカープローブをハイブリダイゼーション段階後に加える段階をさらに含み、該ブロッカープローブがハイブリダイズされていない過剰の捕捉配列プローブにハイブリダイズする、請求項43記載の方法。
【請求項52】
ブロッカープローブが捕捉配列プローブの長さより4塩基対〜10塩基対短い長さを含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
配列番号:1から配列番号:160までからなる群より選択される配列からなる核酸プローブ。
【請求項54】
シグナル配列プローブがDNA/RNA二重鎖構造を有する第一の領域と一本鎖の核酸配列を有する第二の領域とを含む、請求項1記載の方法。
【請求項55】
DNA/RNA二重鎖がM13 DNA-M13 RNA二重鎖である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
以下の段階を含む標的核酸を検出する方法:
a) 一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を捕捉配列プローブ、架橋プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズして、二本鎖ハイブリッドを形成する段階であり、捕捉配列プローブおよび架橋プローブは標的核酸内の重複しない領域にハイブリダイズし、かつ相互にハイブリダイズせず、ならびにシグナル配列プローブは架橋プローブにハイブリダイズし、かつ標的核酸および捕捉配列プローブにハイブリダイズしない段階;
b) ブロッカープローブをハイブリダイゼーション反応に加える段階であり、該ブロッカープローブはハイブリダイズされていない過剰の捕捉配列プローブにハイブリダイズする段階;
c) ハイブリッドを固相に結合して、結合ハイブリッドを形成する段階;および
d) 結合ハイブリッドを検出する段階。
【請求項57】
シグナル配列プローブがDNA/RNA二重鎖構造を有する第一の領域および一本鎖の核酸を有する第二の領域を含む、請求項56記載の方法。
【請求項58】
DNA/RNA二重鎖がM13 DNA-M13 RNA二重鎖である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
DNA/RNA二重鎖がシグナル配列プローブ内の反復配列とその反復配列に相補的な配列を有する核酸分子との間に形成されるハイブリッドである、請求項57記載の方法。
【請求項60】
架橋プローブがポリ(A)テールをさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項61】
シグナル配列プローブが、架橋プローブのポリ(A)テールにハイブリダイズする一本鎖ポリ(dT)DNA配列、およびシグナル配列プローブのポリ(dT)配列とポリ(A)配列を有する核酸分子との間に形成されるDNA/RNA二重鎖を含む、請求項60記載の方法。
【請求項62】
以下の段階:
a) 一本鎖または部分的一本鎖の標的核酸を捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブにハイブリダイズして、該プローブと標的核酸との間に二本鎖ハイブリッドを形成する段階;
b) ハイブリッドを固相に結合して、結合ハイブリッドを形成する段階;および
c) 結合ハイブリッドを検出する段階、
を含む標的核酸を検出する方法であり、捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブは標的核酸内の重複しない領域にハイブリダイズし、かつ相互にハイブリダイズしない方法。
【請求項63】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションが連続的に行われる、請求項62記載の方法。
【請求項64】
段階a)および段階b)が同時に行われる、請求項62記載の方法。
【請求項65】
ブロッカープローブを加える段階をさらに含み、該ブロッカープローブはハイブリダイズされていない過剰の捕捉配列プローブにハイブリダイズする、請求項62記載の方法。
【請求項66】
ブロッカープローブの添加およびハイブリダイゼーション段階が同時に行われる、請求項65記載の方法。
【請求項67】
ブロッカープローブの添加および結合段階が同時に行われる、請求項65記載の方法。
【請求項68】
シグナル配列プローブが一本鎖である、請求項62記載の方法。
【請求項69】
捕捉配列プローブが少なくとも1つのリガンドで修飾されている、請求項62記載の方法。
【請求項70】
リガンドがビオチンである、請求項62記載の方法。
【請求項71】
捕捉配列プローブが5'末端および3'末端を有する線状であり、その5'末端および3'末端の両方がビオチン化されている、請求項70記載の方法。
【請求項72】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブが標的核酸の領域にハイブリダイズし、その領域の隔たりが3キロベース未満である、請求項62記載の方法。
【請求項73】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブが標的核酸の領域にハイブリダイズし、その領域の隔たりが500ベース未満である、請求項62記載の方法。
【請求項74】
捕捉配列プローブが、標的核酸の異なる領域または異なる標的分子に相補的な2つまたはそれ以上の配列の融合体である、請求項62記載の方法。
【請求項75】
形成される二本鎖ハイブリッドがDNA/RNAハイブリッドである、請求項62記載の方法。
【請求項76】
ハイブリダイゼーション段階の前に一本鎖DNAを形成する段階をさらに含む、請求項62記載の方法。
【請求項77】
捕捉配列プローブおよびシグナル配列プローブの標的核酸へのハイブリダイゼーションが連続的に行われる、請求項62記載の方法。
【請求項78】
段階a)および段階b)が同時に行われる、請求項62記載の方法。
【請求項79】
ブロッカープローブが捕捉配列プローブの融解温度より低い融解温度を有する、請求項63記載の方法。
【請求項80】
固相がストレプトアビジンでコーティングされている、請求項63記載の方法。
【請求項81】
固相がマイクロプレートである、請求項73記載の方法。
【請求項82】
段階b)が約20℃〜90℃で実行される、請求項62記載の方法。
【請求項83】
捕捉配列プローブが少なくとも6ベースの長さを含む、請求項82記載の方法。
【請求項84】
段階b)が室温で実行される、請求項62記載の方法。
【請求項85】
結合ハイブリッドが、ハイブリッドを認識する抗体を使用して検出される、請求項62記載の方法。
【請求項86】
ハイブリッドがDNA/RNAハイブリッドである、請求項85記載の方法。
【請求項87】
DNA/RNAハイブリッドを認識する抗体がアルカリホスファターゼで標識されている、請求項85記載の方法。
【請求項88】
シグナル配列プローブが欠失した捕捉配列プローブ領域を含み、かつ標的核酸に相補的である、請求項62記載の方法。
【請求項89】
標的核酸が一塩基多型である、請求項62記載の方法。
【請求項90】
ハイブリッドの固相への結合の特異性が、室温より高い温度によって調節される、請求項89記載の方法。
【請求項91】
ハイブリッドの固相への結合の特異性が、ブロッカープローブの添加によって調節される、請求項89記載の方法。
【請求項92】
ハイブリッドの固相への結合の特異性が、室温より高い温度およびブロッカープローブの添加によって調節される、請求項89記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24090(P2012−24090A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175725(P2011−175725)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【分割の表示】特願2002−510721(P2002−510721)の分割
【原出願日】平成13年6月15日(2001.6.15)
【出願人】(510069559)キアジェン ゲイサーズバーグ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】