説明

型締装置及び可動プラテン

【課題】成形品の品質を向上させることができるようにする。
【解決手段】固定プラテンと、トグルサポートと、タイバーと、該タイバーに沿って進退自在に配設され、可動金型が取り付けられた可動プラテン14と、トグルサポートと可動プラテンとの間に配設されたトグル機構とを有する。可動プラテン14は、本体部、本体部の四隅に配設され、タイバーを保持するタイバー保持部53〜56、及び可動プラテン14とトグル機構とを連結する連結部83、84を備え、タイバー保持部53〜56と連結部83、84との間に、連結部83、84に加わった力がタイバー保持部53〜56に伝わるのを抑制する力伝達抑制部が形成される。トグル機構によって連結部83、84に加わる力が力伝達抑制部によって吸収される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置及び可動プラテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂が高圧で金型装置のキャビティ空間に充填され、該キャビティ空間内において冷却され、固化させられることによって成形品が成形されるようになっている。
【0003】
そのために、前記金型装置は固定金型及び可動金型を備え、型締装置を作動させて前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることによって、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。前記型締装置は、固定金型を取り付けるための固定側の金型保持部材としての固定プラテン、該固定プラテンと対向させて配設されたトグルサポート、固定プラテンとトグルサポートとの間に架設されたタイバー、該タイバーに沿って進退自在に配設され、前記可動金型を取り付けるための可動側の金型保持部材としての可動プラテン、前記トグルサポートと可動プラテンとの間に配設され、可動プラテンを進退させることによって可動金型を進退させるトグル機構等を備える。
【0004】
ところで、前記型締装置を作動させて可動プラテン及び可動金型を前進させ、所定の型締力で型締めを行うと、トグル機構によって、可動プラテンの上端及び下端を固定プラテンに向けて押す力が発生させられ、タイバーを介して固定プラテンの左右の上端及び下端、すなわち、四隅をベースプレート側に引く力が発生させられる。そして、固定プラテン及び可動プラテンの中央部は、固定金型及び可動金型によって反力を受け、反対方向に押される。
【0005】
その結果、固定プラテン及び可動プラテンが変形し、それに伴って、固定金型及び可動金型が変形し、固定金型と可動金型との間に隙間が形成されるので、該隙間に樹脂が進入してバリが形成されたり、隙間を介して樹脂の漏れ、すなわち、樹脂漏れが発生したりして、成形品の品質が低下してしまう。
【0006】
そこで、固定プラテン及び可動プラテンのうちの少なくとも一方のプラテン、例えば、可動プラテンにおける中央部と四隅との間に、中央部と四隅とを連結するリブを形成し、可動プラテンの四隅に加わった力を中央部に伝達し、可動プラテンにおける面圧分布を均一にするようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−349836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の型締装置においては、トグル機構によって発生させられ、可動プラテンの上端及び下端を固定プラテンに向けて押す力がタイバーに伝わり、タイバーが湾曲すると、可動金型に偏荷重が加わってしまう。したがって、成形品の品質を向上させることができない。
【0008】
本発明は、前記従来の型締装置の問題点を解決して、成形品の品質を向上させることができる型締装置及び可動プラテンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、本発明の型締装置においては、固定金型が取り付けられた固定プラテンと、該固定プラテンと対向させて配設されたトグルサポートと、前記固定プラテンとトグルサポートとの間に架設されたタイバーと、該タイバーに沿って進退自在に配設され、可動金型が取り付けられた可動プラテンと、前記トグルサポートと可動プラテンとの間に伸縮自在に配設され、伸展に伴って型締力を発生させるトグル機構とを有する。
【0010】
そして、前記可動プラテンは、本体部、該本体部の四隅に配設され、前記タイバーを保持するタイバー保持部、及び可動プラテンとトグル機構とを連結する連結部を備え、前記タイバー保持部と連結部との間に、連結部に加わった力がタイバー保持部に伝わるのを抑制する力伝達抑制部が形成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、型締装置においては、固定金型が取り付けられた固定プラテンと、該固定プラテンと対向させて配設されたトグルサポートと、前記固定プラテンとトグルサポートとの間に架設されたタイバーと、該タイバーに沿って進退自在に配設され、可動金型が取り付けられた可動プラテンと、前記トグルサポートと可動プラテンとの間に伸縮自在に配設され、伸展に伴って型締力を発生させるトグル機構とを有する。
【0012】
そして、前記可動プラテンは、本体部、該本体部の四隅に配設され、前記タイバーを保持するタイバー保持部、及び可動プラテンとトグル機構とを連結する連結部を備え、前記タイバー保持部と連結部との間に、連結部に加わった力がタイバー保持部に伝わるのを抑制する力伝達抑制部が形成される。
【0013】
この場合、可動プラテンの本体部の四隅に前記タイバーを保持するタイバー保持部が配設されるので、可動プラテンが変形するのを抑制することができる。
【0014】
したがって、固定金型と可動金型との間に隙間が形成されることがないので、該隙間に成形材料が進入してバリが形成されたり、隙間を介して成形材料の漏れが発生したりすることがない。その結果、成形品の品質を向上させることができる。
【0015】
また、前記タイバー保持部と連結部との間に、連結部に加わった力がタイバー保持部に伝わるのを抑制する力伝達抑制部が形成されるので、トグル機構によって連結部に加わる力がタイバー保持部に伝わるのを抑制することができる。
【0016】
したがって、可動金型に偏荷重が加わるのを防止することができ、成形品の品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、成形機としての射出成形機について説明する。
【0018】
図2は本発明の実施の形態における射出成形機の要部を示す図である。
【0019】
図において、Frは射出成形機を支持するフレーム、11は該フレームFrに固定ブロック29によって取り付けられた第1の支持部材としての、かつ、第1の金型保持部材としての固定プラテン、12は前記フレームFr上に載置され、前記固定プラテン11と対向させて配設された第2の支持部材としての、かつ、ベースプレートとしてのトグルサポート、13は前記固定プラテン11とトグルサポート12との間に架設された連結部材としてのタイバー、14は前記固定プラテン11とトグルサポート12との間において、固定プラテン11と対向させて、前記タイバー13に沿って進退自在に配設された第2の金型保持部材としての可動プラテンであり、前記固定プラテン11及び可動プラテン14に、互いに対向させて第1の金型としての固定金型15及び第2の金型としての可動金型16が取り付けられる。前記固定金型15及び可動金型16によって金型装置20が構成される。なお、前記固定プラテン11に隣接させて図示されない射出装置が配設される。
【0020】
前記タイバー13は、固定プラテン11、トグルサポート12及び可動プラテン14の上端及び下端の左右の端部、すなわち、四隅(コーナ部分)に配設される。また、タイバー13は、該タイバー13の本体部分18、及び固定プラテン11側の端部において、本体部分18よりわずかに径が小さくされた貫通部19を備え、該貫通部19の先端に図示されないねじ部が形成される。そして、貫通部19を固定プラテン11の前端面側から貫通孔32内に挿入し、本体部分18と貫通部19との段差を前記前端面における貫通孔32の内周縁に当て、固定プラテン11の後端面から突出する前記ねじ部をナット33と螺合させることによって、タイバー13の一端をトグルサポート12に取り付けることができる。
【0021】
前記トグルサポート12と可動プラテン14との間には、型締力伝達装置としてのトグル機構21が配設され、該トグル機構21は、クロスヘッド22を型締め用の駆動部としての図示されない型締用モータを駆動することによってトグルサポート12と可動プラテン14との間で進退させることにより、可動プラテン14をタイバー13に沿って進退させ、可動金型16を固定金型15に対して接離させることによって、型閉じ、型締め及び型開きを行う。
【0022】
前記トグル機構21は、ダブルトグル式の構造を有し、図における手前側及び奥側、すなわち、トグルサポート12及び可動プラテン14における左右に、互いに平行に配設され、かつ、同じ構造を有する一対のリンク機構30を備える。該各リンク機構30は、前記クロスヘッド22、該クロスヘッド22の上端及び下端において、クロスヘッド22に対して、揺動自在に支持された第1のリンクとしてのトグルレバー23a、23b、前記トグルサポート12の上端及び下端において、トグルサポート12に対して揺動自在に支持された第2のリンクとしてのトグルレバー24a、24b、並びに前記可動プラテン14の上端及び下端において、可動プラテン14に対して揺動自在に支持された第3のリンクとしてのトグルアーム25a、25bを備える。
【0023】
また、トグルサポート12の上端及び下端に連結部81、82が、可動プラテン14の上端及び下端に連結部83、84が配設され、前記連結部81、82を介してトグルサポート12とトグル機構21とが連結され、前記連結部83、84を介して可動プラテン14とトグル機構21とが連結される。
【0024】
そして、クロスヘッド22とトグルレバー23a、23bとがピンp1によって、トグルレバー23a、23bとトグルレバー24a、24bとがピンp2によって、トグルレバー24a、24bとトグルアーム25a、25bとがピンp3によって、連結部81、82とトグルレバー24a、24bとがピンp4によって、連結部83、84とトグルアーム25a、25bとがピンp5によってそれぞれリンク結合される。
【0025】
また、図示されないボールねじ軸が、前記トグルサポート12に対して回転自在に支持され、前記ボールねじ軸と前記クロスヘッド22に取り付けられた図示されないボールナットとが螺合させられる。前記ボールねじ軸を回転させるために、前記トグルサポート12の側面に前記型締用モータが取り付けられ、該型締用モータの回転がボールねじ軸に伝達される。
【0026】
したがって、前記型締用モータを駆動して前記ボールねじ軸を回転させると、ボールねじ軸の回転運動が前記ボールナットの直線運動に変換させられ、前記クロスヘッド22が進退させられる。すなわち、クロスヘッド22を前進させると、トグル機構21が伸展させられて可動プラテン14及び可動金型16が前進させられ、型閉じ及び型締めが行われる。このとき、前記固定金型15と可動金型16との間に図示されないキャビティ空間が形成され、該キャビティ空間に前記射出装置によって射出された成形材料としての樹脂が充填される。
【0027】
なお、前記射出装置は、シリンダ部材としての加熱シリンダ、及び該加熱シリンダ内において回転自在に、かつ、進退自在に配設された射出部材としてのスクリューを備え、該スクリューを回転させたり、前進させたりするために、計量用の駆動部としての計量用モータ、射出用の駆動部としての射出用モータ等が配設される。そして、計量工程において、前記計量用モータを駆動してスクリューを回転させると、加熱シリンダ内におけるスクリューより前方に樹脂が溜められ、射出工程において、前記射出用モータを駆動してスクリューを前進させると、スクリューの前方に溜められた樹脂が加熱シリンダの前端に取り付けられた射出ノズルから射出され、前記キャビティ空間に充填される。
【0028】
そして、キャビティ空間内の樹脂が冷却されて固化されると、成形品が成形される。
【0029】
続いて、前記クロスヘッド22を後退させると、トグル機構21が屈曲させられて可動プラテン14及び可動金型16が後退させられ、型開きが行われる。このとき、突出部材としての図示されないエジェクタピンが可動金型16から突き出され、該可動金型16側に付着している成形品が突き落とされる。
【0030】
前記トグルサポート12には、金型装置20を交換した場合等に、金型装置20の厚さに対応させてタイバー13の有効長さを変更するために、型厚調整装置31が配設される。
【0031】
本実施の形態においては、クロスヘッド22を進退させるために型締用モータが配設されるようになっているが、型締用の駆動部として型締シリンダを配設し、該型締シリンダを駆動することによってクロスヘッド22を進退させることができる。また、本実施の形態においては、可動プラテン14及び可動金型16を進退させるためにトグル機構21が配設されるようになっているが、トグル機構21を使用することなく、前記型締シリンダによって直接可動プラテン14及び可動金型16を進退させることができる。
【0032】
なお、前記固定プラテン11、トグルサポート12、タイバー13、可動プラテン14、トグル機構21、ナット33、型締用モータ等によって型締装置が構成される。また、前記ボールねじ軸及びボールナットによって、運動方向変換部としてのボールねじが構成され、前記ボールねじ軸によって第1の変換要素が、ボールナットによって第2の変換要素が構成される。
【0033】
ところで、前記型締装置を作動させて可動プラテン14及び可動金型16を前進させ、所定の型締力で型締めを行うと、トグル機構21によって、可動プラテン14の四隅を固定プラテン11に向けて押す力が発生させられ、タイバー13を介して固定プラテン11の四隅をトグルサポート12側に引く力が発生させられる。そして、固定プラテン11及び可動プラテン14の中央部は、固定金型15及び可動金型16によって反力を受け、反対方向に押される。
【0034】
この場合、固定プラテン11及び可動プラテン14が変形すると、それに伴って、固定金型15及び可動金型16が変形し、固定金型15と可動金型16との間に隙間が形成されるので、該隙間に樹脂が進入してバリが形成されたり、隙間を介して樹脂の漏れ、すなわち、樹脂漏れが発生したりして、成形品の品質が低下してしまう。
【0035】
また、可動プラテン14の変形に伴ってタイバー13が湾曲すると、可動金型16に偏荷重が加わってしまう。したがって、成形品の品質を向上させることができない。
【0036】
そこで、本実施の形態においては、可動プラテン14の連結部83、84に加わる力が、可動プラテン14におけるタイバー13を保持する保持部、すなわち、タイバー保持部に伝わるのを抑制するために、可動プラテン14の背面において、連結部83、84と各タイバー保持部とが分離させられるようになっている。
【0037】
次に、前記可動プラテン14について説明する。
【0038】
図1は本発明の実施の形態における可動プラテンの斜視図、図3は本発明の実施の形態における可動プラテンの背面図、図4は本発明の実施の形態における可動プラテンの平面拡大図である。
【0039】
図において、14は可動プラテンであり、該可動プラテン14の本体部、すなわち、金型ダイ57の第1の面、本実施の形態においては、金型ダイ57における固定プラテン11と対向する側の面が、可動金型16を取り付けるための取付面s1とされ、該取付面s1から金型ダイ57の背面s2にかけて、複数の貫通穴hが形成される。
【0040】
また、前記金型ダイ57の四隅には、金型ダイ57からトグルサポート12側に向けて突出させて、ほぼ矩形の形状を有するタイバー保持部53〜56が形成され、該各タイバー保持部53〜56にタイバー13を貫通させるための貫通孔62が形成される。そして、前記各タイバー保持部53〜56のうちの所定のタイバー保持部、本実施の形態においては、可動プラテン14における左側(可動プラテン14から固定プラテン11を見たときの左側)の二つのタイバー保持部53、55間にリブ43が、可動プラテン14における右側(可動プラテン14から固定プラテン11を見たときの右側)の二つのタイバー保持部54、56間にリブ44が、上下方向に形成される。本実施の形態において、前記リブ43、44は、前記金型ダイ57の縁、すなわち、左縁(可動プラテン14から固定プラテン11を見たときの左側の縁)及び右縁(可動プラテン14から固定プラテン11を見たときの右側の縁)に沿って、かつ、金型ダイ57からトグルサポート12側に向けて突出させて、所定の幅で形成される。
【0041】
そして、前記背面s2の上端におけるタイバー保持部53、54間に、連結部83が、左右方向に延在させて、かつ、リブ43、44の上端を連結するように形成され、前記背面s2の下端におけるタイバー保持部55、56間に、連結部84が、左右方向に延在させて、かつ、リブ43、44の下端を連結するように形成される。
【0042】
前記連結部83は、タイバー保持部53、54間においてリブ43、44の上端を連結し、矩形の形状を有する本体部85、及び該本体部85の左右の縁部において、タイバー保持部53、54と隣接させて、かつ、後方(トグルサポート12側)に向けて突出させて形成された一対の回転支持部86、87を備え、該回転支持部86、87にピンp5(図2)を挿入するための穴86a、87aが形成される。
【0043】
そして、前記本体部85と金型ダイ57(の背面s2)との間に、溝m1が、本体部85とタイバー保持部53、54との間に、溝m2、m3が、可動プラテン14の上端から所定の深さd1で、かつ、互いに連通させて、「コ」字状に形成される。前記深さd1は、溝m1〜m3の底が、タイバー保持部53、54の貫通孔62の最下端部より下方になるように設定される。なお、前記溝m1〜m3によって力伝達抑制部が構成される。
【0044】
前記溝m1によって、連結部83と金型ダイ57とが分離されるので、トグル機構21から連結部83に力が加わったときに、連結部83が変形することによって、連結部83に伝達された力が吸収される。したがって、連結部83に伝達された力が金型ダイ57に伝達されるのを抑制することができるので、可動プラテン14が変形するのを防止することができる。
【0045】
また、前記溝m2、m3によって、連結部83とタイバー保持部53、54とが分離されるので、トグル機構21から連結部83に力が加わったときに、連結部83が変形することによって、連結部83に伝達された力が吸収される。したがって、連結部83に伝達された力がタイバー保持部53、54に伝達されるのを抑制することができるので、タイバー保持部53、54が変形するのを防止することができ、タイバー13が湾曲するのを防止することができる。
【0046】
前記連結部84は、タイバー保持部53、54間においてリブ43、44の下端を連結し、矩形の形状を有する本体部91、及び該本体部91の左右の縁部において、タイバー保持部55、56と隣接させて、かつ、後方(トグルサポート12側)に向けて突出させて形成された一対の回転支持部92、93を備え、該回転支持部92、93にピンp5を挿入するための穴92a、93aが形成される。
【0047】
そして、前記本体部91と金型ダイ57(の背面s2)との間に、溝m1が、本体部91とタイバー保持部55、56との間に、溝m2、m3が、可動プラテン14の下端から所定の深さd2で、かつ、互いに連通させて、「コ」字状に形成される。前記深さd2は、溝m1〜m3の底が、タイバー保持部55、56の貫通孔62の最上端部より上方になるように設定される。
【0048】
前記溝m1によって、連結部84と金型ダイ57とが分離されるので、トグル機構21から連結部84に力が加わったときに、連結部84が変形することによって、連結部84に伝達された力が吸収される。したがって、連結部84に伝達された力が金型ダイ57に伝達されるのを抑制することができるので、可動プラテン14が変形するのを防止することができる。
【0049】
また、前記溝m2、m3によって、連結部84とタイバー保持部55、56とが分離されるので、トグル機構21から連結部84に力が加わったときに、連結部84が変形することによって、連結部84に伝達された力が吸収される。したがって、連結部84に伝達された力がタイバー保持部55、56に伝達されるのを抑制することができるので、タイバー保持部55、56が変形するのを防止することができ、タイバー13が湾曲するのを防止することができる。
【0050】
なお、前記連結部83は、前記リブ43、44の上端を、前記連結部84は、前記リブ43、44の下端を、それぞれ連結し、リブとして機能する。
【0051】
このように、本実施の形態においては、金型ダイ57にタイバー保持部53〜56、リブ43、44、連結部83、84等が形成されるので、金型ダイ57が変形するのを抑制することができ、可動プラテン14及び可動金型16が変形するのを抑制することができる。
【0052】
したがって、固定金型15と可動金型16との間に隙間が形成されることがないので、該隙間に樹脂が進入してバリが形成されたり、隙間を介して樹脂漏れが発生したりすることがなくなり、成形品の品質を向上させることができる。
【0053】
また、本実施の形態においては、可動プラテン14の背面において、連結部83、84と、金型ダイ57及び各タイバー保持部53〜56とが分離させられるようになっているので、トグル機構21によって、連結部83、84に加わる力がタイバー保持部53〜56に伝わるのを抑制する。
【0054】
したがって、可動金型16に偏荷重が加わるのを防止することができ、成形品の品質を向上させることができる。
【0055】
また、本体部85の左右の縁部に回転支持部86、87が、本体部91の左右の縁部に回転支持部92、93が形成されるので、各リンク機構30間の隙間を大きくすることができる。したがって、クロスヘッド22、該クロスヘッド22を進退させるためのボールねじ等を配設する際の制約がないので、トグル機構21の設計の自由度を高くすることができる。また、リンク機構30間に、図示されないエジェクタ装置を配設するためのスペースを十分に採ることができる。したがって、エジェクタピンの本数を多くすることができるので、エジェクタ装置の操作性を向上させることができる。
【0056】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態における可動プラテンの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における射出成形機の要部を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における可動プラテンの背面図である。
【図4】本発明の実施の形態における可動プラテンの平面拡大図である。
【符号の説明】
【0058】
11 固定プラテン
12 トグルサポート
13 タイバー
14 可動プラテン
15 固定金型
16 可動金型
21 トグル機構
33 ナット
53〜56 タイバー保持部
57 金型ダイ
83、84 連結部
m1〜m3 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固定金型が取り付けられた固定プラテンと、
(b)該固定プラテンと対向させて配設されたトグルサポートと、
(c)前記固定プラテンとトグルサポートとの間に架設されたタイバーと、
(d)該タイバーに沿って進退自在に配設され、可動金型が取り付けられた可動プラテンと、
(e)前記トグルサポートと可動プラテンとの間に伸縮自在に配設され、伸展に伴って型締力を発生させるトグル機構とを有するとともに、
(f)前記可動プラテンは、本体部、該本体部の四隅に配設され、前記タイバーを保持するタイバー保持部、及び可動プラテンとトグル機構とを連結する連結部を備え、
(g)前記タイバー保持部と連結部との間に、連結部に加わった力がタイバー保持部に伝わるのを抑制する力伝達抑制部が形成されることを特徴とする型締装置。
【請求項2】
前記力伝達抑制部は前記タイバー保持部と連結部との間に形成された溝である請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
(a)前記トグル機構は一対のリンク機構を備えたダブルトグル式の構造を有するとともに、
(b)前記連結部は、前記タイバー保持部と隣接させて配設され、可動プラテンと各リンク機構とを連結するための回転支持部を備える請求項1に記載の型締装置。
【請求項4】
(a)本体部と、
(b)該本体部の四隅に配設され、タイバーを保持するタイバー保持部と、
(c)可動プラテンとトグル機構とを連結する連結部とを有するとともに、
(d)前記タイバー保持部と連結部との間に、連結部に加わった力がタイバー保持部に伝わるのを抑制する力伝達抑制部が形成されることを特徴とする可動プラテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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