説明

型締装置

【課題】比較的簡単な構造により型締時に固定盤と可動盤との間の平行度を維持することができる型締装置を提供する。
【解決手段】ベース12と、固定金型19が取付けられる固定盤15と、前記固定盤15に対して複数のタイバ20により連結される受圧盤18と、固定盤15と受圧盤18の間に設けられ可動金型22が取付けられる可動盤21と、前記固定金型19と可動金型22を型締する型締機構37とが配設された型締装置において、受圧盤18には型開閉方向の軸Bに直交する面Cに対して上下方向および左右方向の盤の角度が変更可能な角度調整機構40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機、ダイカスト成形機、プレス成形機等に用いられる型締装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機、ダイカスト成形機、プレス成形機等に用いられる型締装置においては、固定金型に対する可動金型の平行度や、固定金型に対する可動金型の芯ズレの問題が重要となる。射出プレス成形を含む射出圧縮成形の場合、型同士を強く型締しないで成形が開始されるので、前記の問題は特に重要となる。また成形品別に捉えると、レンズ、導光板、光ディスク等の精密成形品の場合、前記の問題は特に重要となる。
【0003】
図10に示されるように一般的な型締装置では、型締時に固定盤の下部がベッドに固定されているので、固定盤の上部側のみが受圧盤側に向けて倒れ、上下のタイバの応力が不均一になるという問題があった。そのため固定金型に対する可動金型の平行度や、固定金型に対する可動金型の芯ズレが生じるという問題があった。また従来の一般的な型締シリンダを用いた射出成形機では、受圧盤が型締シリンダ後部の自重により後方側への傾斜し、その結果固定盤も同様に受圧盤側に向けて傾斜し、固定盤と可動盤の間の平行度が保てないという問題があった。前記問題に対しては、図11に示されるように盤に締結されるタイバのナットを調整して、固定盤と可動盤が平行になるように調整が行われている。しかしその場合には、固定盤と受圧盤の間の特に上下のタイバの長さが相違してしまい、図11の状態から型締を行うと、図12に示されるように、上下のタイバの長さの相違からタイバ間で発生する応力に差が生じ、固定金型に対する可動金型の芯ズレに繋がるという問題があった。また型締時には固定盤と可動盤の間のタイバには反りが生じるので、タイバの反りにより可動盤が傾いたり可動盤の移動が円滑に行えないといった問題もあった。
【0004】
前記の固定金型と可動金型の平行度や芯ズレの問題に対しては、特許文献1ないし特許文献4に記載されたものが知られている。特許文献1は、固定ダイプレート(固定盤)の下面に球面軸受を設け、特許文献1の図4に示される型締時の固定ダイプレートの撓みを吸収するものである。しかしながら特許文献1は、固定ダイプレートの角度を積極的に調整することができるものではなく、例えば成形品に問題がある場合などに対応して固定ダイプレートの角度を修正できるものではなかった。
【0005】
また特許文献2は、可動ダイプレート(可動盤)とは別に金型取付プレートを設け、金型取付プレートをベース上を移動する直動部材や可動ダイプレートにそれぞれ球面軸受を介して取付けることにより、固定金型に対して可動金型がならうように角度変更されるものである。しかしながら特許文献2は、構造が複雑になる上に、特許文献1と同様に可動ダイプレート等の角度を積極的に調整することができるものではなく、例えば成形品に問題がある場合などに対応して盤の角度を修正できるものではなかった。
【0006】
更に特許文献3は、固定プラテン(固定盤)をピボットピンにより鉛直軸周りに回動自在に設けるとともに、傾き調整ボルトにより鉛直軸に対する傾きを調整可能に設けたものである。特許文献3は、積極的に固定プラテンの角度を変更できるものであるが、固定プラテンの回動中心であるピボットピンと固定プラテンを係止するボルト孔の距離が近く、ピボットピンを中心に固定プラテンを僅かな角度だけ回動させることが難しく所望の角度に固定プラテンを固定することが難しかった。また固定プラテンの鉛直軸に対する傾きは、傾き調整ボルトのみにより調整するが実際に微調整を行うことが難しいものであった。また固定プラテンの射出装置側のスペースは、射出装置が設置されているので作業しずらいスペースであり、傾き調整ボルトの位置を固定盤から射出装置側に離れた位置に設けて微調整を行いやすくすることも困難であった。
【0007】
更には特許文献4は、機台上に支持部材がそれぞれ摺動可能に設けられ、固定プラテン(固定盤)とバックプラテン(受圧盤)はそれぞれ、前記支持部材に両側から中央部が支持されている。前記構造により特許文献4の型締装置は、型締時に固定プラテンやバックプラテンが撓んだとしても機台に対しての影響が少なく、上下のタイバが均等に伸ばされるようになっている。また特許文献4の(0038)、(0039)に記載されるようにバックプラテンの倒れについてシリンダの前部下側に設けられた弾性部材により弾性的に支持することによりモーメントの相殺が図られるようになっている。しかしながら特許文献4は、バックプラテンの倒れを防止することはできるもののバネを使用しているため積極的に角度を調整の上、固定できるものではなかった。また型開閉方向に直交する面に対して左右方向のバックプラテンの角度変更はできないものであった。そのため例えば成形品に問題がある場合などに対応してバックプラテンを調整することはできないものであり、そのような目的での調整自体がまったく想定されていないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−64350号公報(請求項1、図2、図3、図4)
【特許文献2】特開2005−288999号公報(請求項1、図1)
【特許文献3】特開2007−253532号公報(請求項1、0015、図2、図3)
【特許文献4】特開2010−89295号公報(請求項1、0038,0039、図1、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1ないし特許文献4は、いずれも型開閉方向の軸に直交する面に対して上下方向および左右方向の盤の角度を変更し固定することができないものであった。従って本発明では上記の問題を鑑みて、比較的簡単な構造により受圧盤の角度を変更可能とし、その結果受圧盤に連結される固定盤の角度も自由に調整することができる型締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の型締装置は、ベースと、固定金型が取付けられる固定盤と、前記固定盤に対して複数のタイバにより連結される受圧盤と、固定盤と受圧盤の間に設けられ可動金型が取付けられる可動盤と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構とが配設された型締装置において、受圧盤には型開閉方向の軸に直交する面に対して上下方向および左右方向の盤の角度が変更可能な角度調整機構が設けられたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に記載の型締装置は、請求項1において、受圧盤の両側下部は、ベースに対して少なくとも摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の型締装置。
【0012】
本発明の請求項3に記載の型締装置は、請求項1または請求項2において、受圧盤の下面中央部には、ベースに対して盤を軸支する軸支部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に記載の型締装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、受圧盤には型締シリンダが配置され、型締シリンダのシリンダ部の後端または後部寄りに前記角度調整機構が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の型締装置は、ベースと、固定金型が取付けられる固定盤と、前記固定盤に対して複数のタイバにより連結される受圧盤と、固定盤と受圧盤の間に設けられ可動金型が取付けられる可動盤と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構とが配設された型締装置において、受圧盤には型開閉方向の軸に直交する面に対して上下方向および左右方向の盤の角度が変更可能な角度調整機構が設けられているので、受圧盤の角度を自由に調整することができ、その結果受圧盤に連結される固定盤の角度も自由に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の型締装置の正面図である。
【図2】本実施形態の型締装置の平面図である。
【図3】本実施形態の型締装置の固定盤をベースに取付けた部分の拡大断面図である。
【図4】本実施形態の型締装置の受圧盤をベースに取付けた部分の拡大断面図である。
【図5】本実施形態の受圧盤の角度調整機構の断面図である。
【図6】図5におけるA−A線の断面図である。
【図7】本実施形態の型締装置の型締時の状態を模式的に表した正面図である。
【図8】本実施形態の型締装置の型締時の状態を模式的に表した平面図である。
【図9】本実施形態の型締装置の受圧盤および固定盤の角度調整時の状態を模式的に表した平面図である。
【図10】従来の一般的な型締装置の型締時の問題を示す図である。
【図11】従来の一般的な型締装置において、タイバのナットを調整して固定盤と可動盤が平行になるように調整が行われた際の図である。
【図12】図11の状態から型締を行った際の問題を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の射出成形機11の型締装置13について、図1ないし図9を参照して説明する。射出成形機11は、ベース12上の一側に設けられた型締装置13とその他側に設けられた射出装置14から基本的な部分が構成される。射出装置14は公知のものであり、固定盤15の反可動盤側の面の中央に形成されるノズル孔15aの両側の位置に、ノズルタッチ機構16のシリンダ機構または電動機構が取付けられている。ノズル17を挟むように両側に2本のノズルタッチ機構16を設けることにより、ノズルタッチ時の固定盤15の受圧盤側に向けての倒れを防止することができる。
【0017】
型締装置13について説明すると、所定の強度を有するベース12上には、固定金型19が取付けられる固定盤15が配設されている。また固定盤15に対して一側寄り(反射出装置側)のベース12上には受圧盤18が配設されている。固定盤15と受圧盤18はそれぞれの四隅近傍がナット36により固定されたタイバ20により連結されている。また固定盤15と受圧盤18との間には、可動金型22が取付けられる可動盤21が型開閉方向に移動可能に設けられている。
【0018】
4本のタイバ20はそれぞれが同じ材質および同じ直径であり、その材質や固定盤15や受圧盤18への固定方式については公知のものである。各タイバ20の両端近傍部分にはネジが形成されている。そして各タイバ20の両端側は、固定盤15および受圧盤18の四隅近傍の貫通孔にそれぞれ挿通され、固定盤15および受圧盤18の内側部分はカラーを介して外側に向けて押えられ、固定盤15および受圧盤18の外側からは前記ネジに対してそれぞれナット36が螺合されて内側に向けて押えられ、当初からタイバ20に一定の張力が発生するように固定されている。また各タイバ20は原則として、固定盤15と受圧盤18間の距離が均等になるように取付けられている。本実施形態においてタイバ20は4本であるが複数のタイバ20であればよい。
【0019】
固定盤15のベース12への取付けについて説明すると、図2および図3に示されるように、固定盤15の操作盤側と反操作盤側の側面15bの下方寄りの部分には、内側に向けて凹部15cが形成されている。凹部15cは型開閉方向(水平方向)に一定幅の溝状に形成され、ベース12と平行な下側の面(上方を向いた面)15dと上側の面(下方を向いた面)15eを有する。そして前記固定盤15の側面15bの側方には、側面15bに対して摺動可能に案内部材23が設けられている。そして固定盤15と案内部材23との間は、上下方向に所定のクリアランスaが設けられている。押え部材23は、断面逆L字状の部材であり、高さ方向の本体部24と水平方向の押え部25からなっている。そして押え部材23の本体部24には上下方向に貫通孔26が複数(この場合2個)形成されている。また押え部材23の長さLは、固定盤15の板厚と略同じである。
【0020】
固定盤15の側面15bの近傍のベース12には、固定盤15の側面15bと平行にボルト穴27が複数(この場合2個)形成されている。そして前記押え部材23の押え部25を凹部15cに対して非接触状態に係合した状態で、前記貫通孔26の上方からベース12のボルト穴27にワッシャを取付けたボルト28を挿通することにより押え部材23はベース12に固定されている。従って固定盤15自体が、ボルトにより移動不能にベース12に対して直接締結されている訳ではない。そして固定盤15と押え部材23の関係は、型締されていない状態で、押え部材23の押え部25の下面25aは固定盤15の凹部15cの下側の面15dと所定のクリアランスaが形成され、押え部材の上面25bは固定盤15の凹部15cの上側の面15eと所定のクリアランスbが形成されるようになっている。また固定盤15の下面15f(両側下面)とベース12の上面はそれぞれ平面からなり拘束されていない。なおこの部分に平面状のブッシュ等の低摩擦部材を挟むようにしてもよく、ベース12の上面を低摩擦加工してもよい。上記構造により固定盤15自体はベース12に対して、型開閉方向に移動可能(摺動可能)であり、型締時の固定盤15の撓みによる変形も許容し、ベース12に対して水平方向および垂直方向への変位が自在であり、ベース12に撓みがほとんど伝達されない構造となっている。また固定盤15と案内部材23の間は部材間の僅かな間隙や案内部材23およびボルト28の撓みにより固定盤15の撓みによる変形を許容する。
【0021】
なお本発明においては固定盤15には、凹部15cを形成せずに、固定盤15から型開閉方向と直交する方向(操作盤側と反操作盤側を結ぶ方向)に向けて、図4に示される受圧盤18の取付部29のようなブラケット状の取付部を突出して設けるようにしてもよい。その場合は固定盤15の一部である取付部が、直接ボルトにより固定的に締結されておらず、押え部材23により一定のクリアランスを有して上方からガイドされるよう取付けられる。また固定盤の取付部等に型開閉方向に所定の長さを有する長孔を上下方向に貫通形成し、前記長孔の位置する部分の下方のベースにボルト穴を設ける。そして前記取付部の上方から長孔を介してショルダーボルト等のボルトを挿通してもよい。前記においてショルダーボルトのボルト頭で固定盤を直接押圧はしないように取付ける。その場合でも型締時にベース12に対して固定盤15を摺動自在であって水平方向および垂直方向に変位自在に設けることができる。更には固定盤15の側面15bと案内部材23の内側側面23aは、少なくとも一方を凸状または凸球面状にして摺動面の面積を減らすようにしてもよい。そのことにより固定盤15の撓みがより容易となる。更にまた固定盤15の側面15bと案内部材23の内側側面23aの間には所定のクリアランスを設けるようにしてもよく、その場合は固定盤15の下面中央部(その近傍を含む)がベッド12に対して型開閉方向にガイドされるようにすることが望ましい。
【0022】
次に受圧盤18のベース12への取付けについて説明する。図4に示されるように、受圧盤18の下部の両側には、型開閉方向と直交する方向に取付部29がそれぞれ張出している。そして取付部29には上下方向に貫通孔30が形成されている。そして前記貫通孔30の上方からベース12のボルト穴31に向けてショルダーボルト32が挿通されている。ショルダーボルト32は公知のように、ボルト頭32aに近い側にネジの形成されていない円筒状の胴部32bが形成され、先端側にネジ部32cが形成されている。そして前記貫通孔30の内径はショルダーボルト32の胴部32bの外径よりも一定寸法だけ大きくなっており、両者の間にはクリアランスcが形成される。またショルダーボルト32は、ネジ部32cがベース12のボルト穴31に挿入された際に、胴部32bの下面32dとベース12の上面の間が当接面となって固定されるので、ボルト頭32aの下面と取付部29の上面29aの間には若干のクリアランスdが形成されるように取付けられる。また受圧盤18の取付部29の下面18aと、対応するベース12の上面は、それぞれ平面からなり拘束されていない。なおこの部分も固定盤15の下面15fと同様に平面状のブッシュや低摩擦加工を行ったものでもよい。
【0023】
受圧盤18の下面中央部18bは、受圧盤18を軸支する軸支部である球面軸受33を介してベース12に取付けられている。受圧盤18の下面中央部18bには下方に向けて円筒部が突出して設けられ、前記円筒部の下側部分には球面軸受33の球面34(内輪)が設けられている。またベース12の側に前記球面34に対応する凹球面状の外輪35が固定されている。しかし球面軸受33は、受圧盤内部側に外輪35が形成されベース12側から突出した軸に球面34が形成されたものでもよい。前記の構造により受圧盤18は、型開閉方向の軸Bに直交する垂直方向の面Cに対して上下方向および左右方向の盤の角度が変更可能となっている。更に詳しくは、受圧盤18は、球面軸受34の中心を中心にそれぞれ盤の角度が変更可能となっている。そしてまた受圧盤18は、型締時に平面視した際に、中央部が反固定盤側に向けて牽引され、四隅近傍部分がタイバ20により固定盤側に牽引される形で撓んだとしても、水平方向の撓みが一定量許容される。即ち受圧盤18は、ベース12に対して中央部が角度変更可能ではあるものの移動不能となっているが、ショルダーボルト32の胴部32bと取付部29の間にクリアランスcを有しているので、水平方向の撓みが一定量許容される。また型締時の受圧盤18を側面視した際の撓みも球面軸受33の働きと、ショルダーボルト32(ショルダーボルト32のボルト頭32aの下面32dと取付部29の上面29aの間のクリアランスd)により一定量許容される。
【0024】
なお受圧盤18の下面中央部15bをベース12に対して軸支する軸支部は、球面軸受33に変えて、受圧盤に固定された円筒状のボスがベース側の穴部に挿通され軸支されたものなどでもよい。その場合でもボスと穴部の間の僅かなクリアランスにより受圧盤の垂直方向の撓みは一定量許容される。またボスと穴部の支点を中心に受圧盤は角度変更される。また受圧盤は、両側の取付部に対してボルトのみによってベースに取付けられたものでもよい。その場合は受圧盤の左右方向の角度は取付部の長孔に対するボルトの固定位置で調整し、上下方向の角度はボルトとナットの挿入位置で調整される。更にまた受圧盤を回動する垂直方向の軸の位置は盤面下部中央部に限定されない。また特許文献4に示されるように支持部材により受圧盤の側面中央が軸支されたものでもよい。その場合は受圧盤の上下方向の角度は支持部材の軸(型開閉方向の軸と直交する水平方向の軸)を中心に回動される。また受圧盤の左右方向の角度は、支持部材の軸を球面軸受とすることや支持部材をベースに対して移動可能に取付けることにより実現され得る。
【0025】
そして本発明は、上記のようにして固定盤15および受圧盤18をベース12に対して取付けることにより、特許文献4のように盤の側面中間部を支持部材により軸支するタイプよりも、比較的簡単な構造とすることができコストダウンすることができる。また特許文献4に比べて型締時に平面視した場合の盤の両側中央の撓みに対しても十分に対応することができる。
【0026】
また受圧盤18は型締機構である型締シリンダ37をベース12上で載置する盤であって、中央部に型締シリンダ37のシリンダ部38が固定されている。そして公知のため図示は省略するがシリンダ部38のシリンダ筒37の内部には高速でラムを前進させるブースタシリンダと大径の型締シリンダ37のピストンが設けられ、前記ピストンに固定されたラム39が可動盤21の背面21bの中央部に固定されている。従って本実施形態の型締機構は、可動盤21の中央部に直接加圧力が加えられることにより固定金型19と可動金型22を型締する方式であり、可動盤の外側近傍にリンクが取付けられるトグル型締装置のように型締力により可動盤に反りが発生することはほとんどない。なお本発明の型締装置は、前記のトグル型締装置やハーフナットを用いた型締シリンダ方式等の他の型締機構を除外するものではない。
【0027】
次に本実施形態の受圧盤18の角度調整機構40について図1、図2、図5、図6により説明する。型締シリンダ37のシリンダ部38は反固定盤側に向けて一定の長さがあり、その後端には受圧盤18の角度調整機構40が取付けられている。そして受圧盤15は、角度調整機構40により、型開閉方向の軸B(仮想軸)に直交する垂直方向の面C(ベッド12の長手方向に対して垂直方向の仮想面)に対して上下方向(正面視した際の角度変更方向)および左右方向(平面視した際の角度変更方向)の盤の角度が変更可能となっている。なお角度調整機構40の位置は限定されないが、シリンダ部38の後端以外では、受圧盤18とシリンダ部の後端の間における1/2の位置よりも後部に設けることが望ましい。
【0028】
シリンダ部38の後端には、型締シリンダ37の軸線上に反固定盤側に向けて一定長さの円筒形の挿入部材41が形成されている。そして前記挿入部材41の周囲にはブッシュ42を介して外形が長方体からなる調整ブロック43が設けられている。詳しくは調整ブロック43の長手方向の軸芯には円筒形の貫通孔43aが貫通形成されており、その内部にブッシュ42が挿入固定され、ブッシュ42内に挿入部材41が摺動自在に挿入される形となっている。なお挿入部材41がベース側の部材である調整ブロック43に固定されたブッシュ42と摺動自在に設けられているのは、型締時や昇温時の型締シリンダ37のシリンダ部38の伸びを吸収するためである。そして図6に示されるように、前記調整ブロック43の外周側の側面43bと下面43cの2面にはそれぞれボルト穴(ネジ穴)43dが2個、前記側面43や下面43cに対して直角方向に形成されている。なおボルト穴43dは少なくとも1個であればよい。また調整ブロック43の後端面の四箇所にもボルト穴43eが形成されている。
【0029】
一方、型締シリンダ37のシリンダ部38の後端よりもやや一側(反固定盤側)に対応する位置のベース12の上面には、角度調整機構40の支持台44が立設されている。そして支持台44の上部には水平方向に下板45が設けられている。そして下板45の上には外枠部材46が固定されている。外枠部材46は、下板45の両側上面に固定される側板46aと、側板46a,46aの上部の上板46bとからなっている。そして前記下板45、外枠部材46の両側の側板46a、および上板46bの内部には、前記調整ブロック43が挿入される長方体形状の空間が形成されている。前記外枠部材46の側板46aには、調整ブロック43のボルト穴43dに対して、型開閉方向および上下方向が対応するする位置に、ボルト穴47が2個形成されている。また側板46aには前記ボルト穴47と異なる位置にボルト穴48が2個形成されている。また下板45にも調整ブロック43のボルト穴43dに対して、型開閉方向および型開閉方向に直交する左右方向が対応する位置に、ボルト穴49が2個形成されている。更に下板45には、前記ボルト穴49とは異なる位置にボルト穴50が2個形成されている。また外枠部材46の後端には側板46cが垂直方向に設けられ、外枠部材46の空間を塞いでいる。そして側板46cの調整ブロック43のボルト穴43に対応する位置にもボルトが挿通される貫通孔46eが形成されている。
【0030】
上記構成により図6に示されるように調整ブロック43は、前記外枠部材46内に一定のクリアランスe、fを隔てて挿入される形となっている。そして外枠部材46の前記下板45のボルト孔49,50から調整用ボルト51,52が調整ブロック43に向けてそれぞれ挿入される。調整用ボルト51は、調整ブロック43の下面側のボルト穴43dに挿入される。またボルト52は、調整ブロック43の下面に当接されるとともに、枠部材46の下板56の外側面にはボルト52に係合されたナット53が当接される。つまり2種類の調整用ボルト51,52は押しボルト52と引きボルト51の役割を果たしており、下板45に対する調整ブロック43の位置を調整する。
【0031】
また側板46aの側も下板45の側と同様に、ボルト孔47,48から調整ブロック43に向けて調整用ボルト54,55が挿通される。ボルト54は、調整ブロック43の側面に当接されるとともに、側板46aの外側面に対してナット57により当接される。またボルト55は、調整ブロック43のボルト穴43dに挿入される。つまり2種類のボルト54,55は押しボルト54と引きボルト55の役割を果たしており、側板46aに対する調整ブロック43の位置を調整する。そして前記構造により調整用ボルト51,52,54,55の挿入量を調整することにより調整ブロック43、挿入部材41、および型締シリンダ37のシリンダ部38の後端を上下方向および左右方向に自在に位置調整することができる。そして型締シリンダ37が固定される受圧盤18の下部の中心が球面軸受(もしくはボス)により各方向に角度調整自在となっており、受圧盤18の両側が大径の貫通孔30に対してクリアランスcを持ってショルダーボルト32の胴部32bを挿通して取付けられており、受圧盤18がベース12に固定的に拘束されていないことから、型締シリンダ37の角度変更(角度調整)に伴い受圧盤18の角度を型開閉方向の軸Bに直交する面Cに対して上下方向および左右方向の盤の角度を変更(調整)することができる。
【0032】
そして受圧盤18側の調整ブロック43等が前記の調整用ボルト51等により変位され受圧盤18の角度調整が完了すると、次に図5に示されるように後端側の側板43bの貫通孔46eから固定用ボルト62のネジ部を挿入し、調整ブロック43のボルト孔43bに螺入し、外枠46に対する調整ブロック43等の位置を固定する。この際の調整ブロック43の変位量は、実際にはごく僅かであり、固定用ボルト62のネジとボルト孔43bの間にも僅かなクリアランスがあるので、調整ブロック43が移動しても固定用ボルト62をボルト孔43bに挿入することが可能である。そして固定用ボルト62により受圧盤18の角度は強固に固定することができる。換言すれば、受圧盤18は、上下左右方向のいずれの方向にも角度変更でき固定することが可能である。そして受圧盤18(特に球面軸受34)と、角度変更機構40との間には受圧盤18の高さ以上の距離があることから、角度変更機構40の調整用ボルト51,52,54,55により挿入部材41の位置を上下左右に変位させることにより受圧盤18の角度の微調整が正確に行え、同時にタイバ20により連結される固定盤15の角度の調整も正確に行える。
【0033】
受圧盤18には型締シリンダ37の前方側の部分が固定されており、型締シリンダ37のシリンダ部38が後方に向けて延びていることから、受圧盤18は重量バランスの点で、後傾しやすいという特性がある。しかし前記角度調整機構40により、受圧盤18をベース12に対して垂直となるように調整することが可能である。なお角度調整機構40の構造は上記に限定されず、ボルトにより3方向以上から調整を行うものや、偏芯カム、バネ、およびシム等を用いたものでもよい。
【0034】
次に可動盤21について説明する。可動盤21は一定の板厚を有する盤体であり、その前面は可動金型22の取付面21aであり、背面にはラム39が固定されている。図2に示されるようにベース12上の固定盤15と受圧盤18の間であって、固定盤15の側面15bの位置よりも外側の位置には、リニアガイド機構57のガイドレール58が型開閉方向の軸Bとそれぞれ平行に1本づつ設けられている。一方可動盤21の下面両側の脚部59にはリニアガイド機構57のハウジング60が固定されている。公知のようにハウジング60には複数の球体が連続して設けられ、前記ガイドレール57の凹状の溝に沿って前記球体が転動してハウジング60自体が移動される。可動盤21の脚部59の型開閉方向の長さは、可動盤21の本体部の板厚の2倍〜7倍に設けられている。そして可動盤21の脚部59は、固定盤側と受圧盤側にそれぞれ張出して設けられており、特に受圧盤側はの方が長くなっている。そして脚部59の固定盤側と受圧盤側にそれぞれハウジング60が取付けられている。可動盤21の脚部59へのハウジング60の取付けは、図示しない型開閉方向と直交しかつ水平方向に設けられた偏芯軸を介して取付けられている。従って前記偏芯軸を回転させ固定させることにより可動盤21に対してハウジング60の上下高さを変更させることができ、可動盤21の高さが調節できるようになっている。
【0035】
また可動盤21の四隅近傍にはタイバ20を挿通する貫通孔61が形成されている。しかし本実施形態では可動盤21の貫通孔61にはブッシュは挿入されておらず、可動盤21は型締時も含めて直接タイバ20に負荷がかからない非接触状態に設けられている。換言すれば可動盤21はリニアガイド機構57によってベース上に直立し、リニアガイド機構57のみにガイドされて移動されるようになっている。なお本実施形態では可動盤32の貫通孔にタイバが挿通されるが、特許文献4の図3に示されるように可動盤21の四隅を小さくして可動盤21の外側にタイバ20が位置するようにしてもよい。
【0036】
次に本実施形態の射出成形機11の型締装置13の作動方法、とりわけ型締時の固定盤15や受圧盤18の撓み、固定盤15と可動盤21の平行度、受圧盤18の角度調整等について説明する。また本実施形態では射出成形機11により射出圧縮成形を行う例について説明する。本発明については、平行度や求められる高精密な成形品(例えば板厚が0.2〜1.0mmの導光板であって板厚寸法の許容範囲が0.05mm以下のものやレンズなど)や、型閉後に可動盤および可動金型の移動が行われる射出圧縮成形(射出プレス成形を含む)に好適に用いられるが、他の一般的な射出成形機にも適用可能である。
【0037】
射出成形機11により成形を開始する前に、型締装置13を型締時に、各タイバ20に略均等に応力が発生するようにしておく必要があり、固定盤15と受圧盤18の間のタイバの長さが略均等になるように調整されていることは当然のことである。また型締シリンダ37の後部の自重により受圧盤18が反固定盤側に向けて傾斜した状態(受圧盤18の上部が下部よりも反固定盤側の状態)にならないように、角度調整機構40により受圧盤18の角度を鉛直方向に調整しておく。更に詳しくは受圧盤側の各ナット36によりタイバ20を係合する位置(受圧盤15の盤面)が、型開閉方向の軸Bと直交する面C上にすべて位置するように調整する。前記のように各タイバ20の長さは同じとなるので、受圧盤18の角度を調整することは、固定盤15の角度を調整することになり、固定盤15が可動盤21に対して完全に平行となるように調整が行われる。なお実際には固定盤15の角度は非常に微妙な範囲内で調整されるので、固定盤15の側面15bと案内部材23の内側側面15aとが潤滑剤を介して摺動自在になっていても僅かなクリアランスや案内部材23やボルト28の撓みにより調整可能である。また前述したように、可動盤21は独立してリニアガイド機構57を介してベース12上に配置され、ベース12に対して直角に立設されているので、受圧盤18および固定盤15の角度調整の影響を受けない。
【0038】
前記の調整が完了すると型締シリンダ37を作動させ、可動盤21および可動金型22を前進させ、固定金型19との型閉を行う。その際に可動盤21はタイバ20にガイドされずにリニアガイド機構57のガイドレール58上を姿勢を保って移動される。そして型閉が完了すると所定の型締力で型締される(または射出プレス成形の場合は可動金型22が位置制御され型閉位置で停止される)。一方、射出装置14は、ノズルタッチ機構16によりノズル17が固定金型19にノズルタッチされている。
【0039】
次に射出装置14からノズル27を介して金型内のキャビティCに溶融樹脂の射出充填を行い、その途中または射出後に、型締シリンダ37を再び作動させ、キャビティC内の溶融樹脂を圧縮する(射出圧縮成形または射出プレス成形の場合)。この際に型締シリンダ37の前進方向の力は、ラム39を介して直線的に可動金型22および固定金型19に伝達され、固定盤15を反受圧盤側(射出装置14側)に移動させ、同時に各タイバ20が引張され、型締力が得られる。この際に固定盤15は、正面視(正面側の側方から見た状態)した図7、および平面視した図8に示されるように、固定盤15の中央部が反受圧盤側に押圧され、タイバ20が取付けられる周辺部(四隅近傍部)が受圧盤側に引張られて撓みが発生する。
【0040】
しかし固定盤15のベース12への取付けは、図3に示されるように押え部材23により、クリアランスaを有して固定盤15を上方から押えられ(ガイドされ)、固定盤15の下面15f(少なくとも両側下面)がベース12に対して摺動可能かつ固定盤15の側面15bと案内部材23の内側側面23aが摺動可能となっているので、固定盤15の平面方向から見た水平方向の撓みと正面方向(側方)から見た垂直方向の撓みがそれぞれ許容され、吸収可能となっている。即ち図7に示されるように側方から正面視して固定盤15の下面15fの前側が浮き上がることが許容されるので、固定盤15は上下が略均等に垂直方向に撓むことができる。そして図9に示される従来技術のように固定盤15の中央部から上部にかけての部分が受圧盤側に向けて引っ張られる形で固定盤15が傾斜せずに、固定盤15の中央部は可動盤21との平行状態が保たれる。またその結果、固定金型19と可動金型22の平行度も許容範囲内に保たれる。
【0041】
また受圧盤18についても中央部の型締シリンダ37の部分に対してタイバ20が取付けられる周辺部(四隅近傍部)が固定盤側に引張られて撓みが発生する。しかし受圧盤18についても両側下部の取付部29がベース12に対して摺動自在にショルダーボルト32により取付けられており、中央部が球面軸受33を介して取付けられているので、受圧盤18の水平方向の撓みおよび垂直方向の撓みが吸収可能となっている。その結果、固定盤15や受圧盤18は略均等に撓むので、前記撓みにより特定のタイバ20が大きく異なった応力を受けるということがない。しかし型締時には固定盤15と受圧盤18の撓みによりタイバ20は、図7および図8に示されるように、可動盤21近傍の部分がセンター寄りとなり固定盤15と受圧盤18の近傍部分が外側寄りとなるように弓状に反りが起きる。しかしながら本発明における可動盤21は、リニアガイド57によりベース12に対して移動自在であって前記タイバ20に対して非接触状態(無負荷状態)に配設されているので、タイバ20の反りの影響をまったく受けることがない。(なお図7、図8では固定盤15および受圧盤18の撓み、タイバ20の反りは共に誇張して描かれていることは言うまでもない)。
【0042】
従って本実施形態の型締装置13は、型締時に固定金型19と可動金型22は各盤面やタイバ20の反りの影響をほとんど受けずに成形を行うことができる。しかしそれでも金型の問題やその他の問題により固定盤15と可動盤21の平行度が保たれない場合、または固定金型19と可動金型22のキャビティ形成面間の平行度が保たれずに成形された成形品の板厚が不均等(または所望の板厚分布になっていない)な場合は、角度調整機構40により調整を行う。
【0043】
角度調整機構40による受圧盤18の角度の調整は、例えば成形品におけるキャビティ上部で成形された部分の板厚が厚すぎ、キャビティ下部で成形された部分の板厚が薄すぎる場合は、固定用ボルト62を調整ブロック43から抜いてから、角度調整機構40の下方のボルト52の挿入量を浅くし(同時にナット53も調整する)、同時に調整用ボルト51の挿入量を深くする。そのことにより図9において二点鎖線で示されるようにベース12および外枠部材46に対して受圧盤18に直結される挿入部材41とその周囲の調整ブロック43の位置が下降され、受圧盤18は、球面軸受34の中心部分を中心に角度が変更され、受圧盤18の上部は反固定盤側に向けて移動される。同時に略均等な長さの各タイバ20により連結される固定盤15も同様に上部が受圧盤側に向けて移動され、固定盤15も角度が調整される。そのことにより固定盤15に取付けられる固定金型19と可動金型22の間に形成されるキャビティCの上部の間隔が狭まり、成形品の平行度が修正される。そして受圧盤18の角度調整が完了したら固定用ボルト62を再び調整ブロック43のボルト穴43bに挿入し、受圧盤18等の角度を固定する。この際の型締シリンダ37のシリンダ部38の角度の変更に伴うラム39や可動盤21への影響は、シリンダ部38の角度変更は実質的にはごく僅かな角度変更であり、シリンダ部38の内壁とピストンとの間のOリング等の歪により前記角度変更分が吸収されるので、ラム39や可動盤21の角度にはほとんど影響を与えることが無い。
【0044】
また成形品におけるキャビティ上部で形成された部分の板厚が薄すぎ、キャビティ下部で形成された部分の板厚が厚すぎる場合は、固定用ボルト62を抜いてから、前記の逆にボルト52の挿入量を深くし(同時にナット53も調整する)、調整用ボルト51の挿入量を浅くすることにより、球面軸受34を中心に受圧盤18の角度を変更し、受圧盤18の上部を固定盤側に移動させる。そして再び固定用ボルト62を締結する。更には、キャビティCの左右方向の板厚が不均等である場合も、固定用ボルト62を抜いて、角度調整機構40の側方のボルト54の挿入量(同時にナット56も調整する)と、ボルト55の挿入量を調整することにより、受圧盤18は、球面軸受34の中心部分を中心に角度が変更される。同時に略均等な長さの各タイバ20により連結される固定盤15も同様に角度が変更され、成形品の板厚が調整される。そして再び固定用ボルト62を締結する。
【0045】
なお前記の成形品形状から受圧盤18および固定盤15の角度を調整する方法は、実際は一方方向のみに板厚差が発生することは少ないので、受圧盤18の上下方向と水平方向の角度が同時に調整されることが多い。また射出装置側の成形条件(射出速度、射出圧力、樹脂温度、保圧切替位置等)、型締装置側の成形条件(射出圧縮成形の際の最初の可動金型停止位置、圧縮開始のタイミング、型締力制御)、および成形金型の修正の少なくとも一つと並行して行われる場合も多い。
【0046】
本発明の型締装置は、本実施形態のもの以外に次のようなものでもよい。本実施形態では、受圧盤18の下面の中心がベース12に対して略位置固定(角度変更は許容)であり、固定盤15全体が型締時に型開閉方向に移動されるものについて説明したが、固定盤15の下面15fの中心がベース12に対して略位置固定(角度変更は許容)に軸支部により軸支され、受圧盤18全体が型締時に型開閉方向に移動されるものでもよく、軸支部はいずれか一方の盤に設けられていればよい。また固定盤15および受圧盤18ともに位置固定されておらず、型締時に両方の盤15,18が一定範囲内で型開閉方向に変位されるものでもよい。そして前記の受圧盤18が型締時に移動されるものの場合、角度変更機構40についても受圧盤18とともに移動可能に設けることが望ましい。また可動盤21のみならず、固定盤15または受圧盤18の少なくとも一方にもリニアガイド機構を設け、可動盤21と同じまたは相違するガイドレール58上に載置されたものでもよい。その場合リニアガイド機構のハウジングに対して固定盤15等が移動自在に設けられることにより、固定盤15等がベースに対して少なくとも水平方向に変位自在に設けられる。
【0047】
また固定盤15の両側下部がベース12に対して摺動自在に設けた機構は、ベース12の上面に別の盤面を固定しその上面にMCプレート等の摩擦係数の小さい部材を貼り付け、それら全体でベース12を構成するものでもよい。更にはベース12またはベース12に取付けられた部材にバネを介して固定盤15等を取付けることにより、固定盤15等の垂直方向(側面視方向)と水平方向(平面視方向)の撓みを吸収し、ベース12に対して固定盤15等を変位可能としたものでもよい。更に型締装置13の型締機構は、型締シリンダ37を用いたものに限定されず、電動機構または油圧機構を駆動源とするトグル機構を用いたものでもよい。トグル機構の場合、取付けられる金型の厚みに応じて受圧盤位置が変更される。従ってリニアガイド機構等により型開閉方向に移動可能なハウジングを含む支持台の上に受圧盤を立設させ、支持台と受圧盤の間を受圧盤の角度変更可能であり受圧盤の撓みも許容するように取付けることにより、ベースに対する受圧盤の角度変更が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の型締装置は、射出成形機の他、ダイカスト成形機、プレス成形機といった高圧で型締を行う型締装置に用いられ、成形品の種類は限定されない。また本発明の型締装置は、竪型型締装置にも応用することができる。
【符号の説明】
【0049】
11 射出成形機
12 ベース
13 型締装置
14 射出装置
15 固定盤
18 受圧盤
19 固定金型
20 タイバ
21 可動盤
22 可動金型
23 押え部材
32 ショルダーボルト
33 球面軸受
37 型締シリンダ
38 シリンダ部
40 角度調整機構
41 挿入部材
43 調整ブロック
51,52,54,55 調整用ボルト
57 リニアガイド機構
B 型開閉方向の軸
C 型開閉方向の軸Bに直交する面
a,b,c,d,e,f クリアランス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、固定金型が取付けられる固定盤と、前記固定盤に対して複数のタイバにより連結される受圧盤と、固定盤と受圧盤の間に設けられ可動金型が取付けられる可動盤と、前記固定金型と可動金型を型締する型締機構とが配設された型締装置において、
受圧盤には型開閉方向の軸に直交する面に対して上下方向および左右方向の盤の角度が変更可能な角度調整機構が設けられたことを特徴とする型締装置。
【請求項2】
受圧盤の両側下部は、ベースに対して少なくとも摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の型締装置。
【請求項3】
受圧盤の下面中央部には、ベースに対して盤を軸支する軸支部が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の型締装置。
【請求項4】
受圧盤には型締シリンダが配置され、型締シリンダのシリンダ部の後端または後部寄りに前記角度調整機構が設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の型締装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−166530(P2012−166530A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31542(P2011−31542)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000155159)株式会社名機製作所 (255)
【Fターム(参考)】