説明

型締駆動装置

【課題】出力軸を支持するベアリングの機能が低下することがなく、可動金型の位置、型締力等を正確に制御することができるようにする。
【解決手段】ケーシングMCと、ステータ31と、出力軸35と、第1、第2のベアリングと、前記出力軸35に取り付けられたロータ34と、進退部材と、出力軸35と連結された第1の部材、及び進退部材に取り付けられた第2の部材を備えた運動方向変換手段と、第1、第2のベアリングに当接させて配設された第1、第2のベアリング押え56、57と、第1、第2のベアリング押え56、57間に配設され、第1、第2のベアリングをケーシングMCの所定の部分に押し付ける引張手段とを有する。第1、第2のベアリングを、位置決めすることができ、ケーシングMCに安定して取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、型締駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、射出成形機においては、加熱シリンダ内において加熱され溶融させられた樹脂を金型装置のキャビティ空間に充填(てん)し、該キャビティ空間内において樹脂を冷却し、固化させることによって成形品を成形するようになっている。
【0003】そのために、前記金型装置は固定金型及び可動金型から成り、型締装置のトグル機構を作動させることによって前記可動金型を進退させ、前記固定金型に対して接離させることにより、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きが行われる。
【0004】そして、前記トグル機構を作動させる手段としてモータを使用するようにした型締装置においては、前記モータを駆動することによって発生させられた回転運動をボールねじによって直線運動に変換し、該直線運動を前記トグル機構に伝達するようにしている。そのために、前記モータの出力軸と、ボールねじを構成するボールナット及びボールねじ軸のうちの一方、例えば、ボールねじ軸とを連結し、かつ、前記トグル機構を構成するクロスヘッドと前記ボールナットとを連結するとともに、出力軸の回転をボールねじ軸に伝達することによって、ボールナットを進退させ、前記クロスヘッドを進退させるようになっている。
【0005】そして、前記モータを駆動するために制御装置が配設され、該制御装置は、型開閉位置制御を行うことによって、可動金型の位置を制御したり、型締力を制御したりする。この場合、出力軸とボールねじ軸とをプーリ、タイミングベルト等を介して連結すると、出力軸の回転とボールねじ軸の回転とを完全に同期させることができず、可動金型の位置、型締力等を正確に制御することができない。そこで、出力軸とボールねじ軸とを直接連結し、型締装置をダイレクトドライブ方式で作動させるようにしている。なお、前記ボールねじ、クロスヘッド、モータ等によって型締駆動装置が構成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の型締駆動装置においては、モータを駆動してボールナットを進退させたときに反力が発生させられるが、該反力が出力軸に伝達されるので、出力軸を回転自在に支持するベアリングの機能が低下してしまう。
【0007】そして、該ベアリングの機能が低下すると、出力軸の回転をボールねじ軸に正確に伝達することができなくなり、可動金型の位置、型締力等を正確に制御することができなくなってしまう。
【0008】本発明は、前記従来の型締駆動装置の問題点を解決して、出力軸を支持するベアリングの機能が低下することがなく、可動金型の位置、型締力等を正確に制御することができる型締駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の型締駆動装置においては、ケーシングと、該ケーシングに取り付けられたステータと、前記ケーシング内において回転自在に配設された出力軸と、該出力軸の両端を支持する第1、第2のベアリングと、前記ステータより径方向内方において前記出力軸に取り付けられたロータと、進退自在に配設された進退部材と、前記出力軸と連結された第1の部材、及び前記進退部材に取り付けられた第2の部材を備え、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換手段と、前記第1、第2のベアリングに当接させて配設された第1、第2のベアリング押えと、該第1、第2のベアリング押え間に配設され、前記第1、第2のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付ける引張手段とを有する。
【0010】本発明の他の型締駆動装置においては、さらに、前記第1の部材はボールねじ軸である。そして、前記第2の部材はボールナットである。
【0011】本発明の更に他の型締駆動装置においては、さらに、前記引張手段は、前記第1の部材と第2のベアリング押えとを連結するテンションボルトであり、第1の部材及び第1のベアリング押えを介して第1のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付け、第2のベアリング押えを介して第2のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付ける。
【0012】本発明の更に他の型締駆動装置においては、さらに、前記テンションボルトと前記第1の部材とは螺(ら)合によって連結される。そして、前記テンションボルトを第1の部材に対して相対的に回動させることによって、前記テンションボルトと前記第1の部材との螺合量が変化させられる。
【0013】本発明の更に他の型締駆動装置においては、さらに、前記テンションボルトの回転方向における位置を保持する位置保持手段が配設される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】図2は本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の概略図である。
【0016】図において、10は型締装置、11は固定プラテン、12はベースプレートとしてのトグルサポートであり、前記固定プラテン11とトグルサポート12との間に図示されないタイバーが架設される。また、14は前記固定プラテン11と対向させて配設され、前記タイバーに沿って進退(図における左右方向に移動)自在に配設された可動プラテンであり、前記固定プラテン11における可動プラテン14と対向する面に固定金型15が、前記可動プラテン14における前記固定プラテン11と対向する面に可動金型16がそれぞれ取り付けられる。なお、固定金型15及び可動金型16によって金型装置が構成される。また、前記可動プラテン14の後端 (図における左端) には、図示されないエジェクタ装置が配設され、トグルサポート12の後端には、駆動手段としてのモータ、例えば、サーボモータ48が配設される。
【0017】そして、前記トグルサポート12と可動プラテン14との間には、トグル機構43が配設される。該トグル機構43は、前記トグルサポート12に対してピンp1を介して揺動自在に配設されたトグルレバー44、前記可動プラテン14の後端面(図における左端面)に形成されたブラケット14aに対してピンp2を介して、かつ、前記トグルレバー44に対してピンp3を介して揺動自在に配設されたトグルアーム45、及び前記トグルレバー44に対してピンp4を介して揺動自在に配設され、かつ、進退自在に配設された進退部材としてのクロスヘッド41に対してピンp5を介して揺動自在に配設されたトグルレバー46を備える。
【0018】また、サーボモータ48を駆動することによって発生させられた回転運動を直線運動に変換し、該直線運動を前記クロスヘッド41に伝達するために運動方向変換手段としてのボールねじ21が配設される。該ボールねじ21は、サーボモータ48の出力軸35と連結された第1の部材としてのボールねじ軸51、及びボールねじ軸51と螺合させて配設され、クロスヘッド41に取り付けられた第2の部材としてのボールナット23から成る。なお、前記ボールねじ21、クロスヘッド41、サーボモータ48等によって型締駆動装置が構成される。
【0019】したがって、サーボモータ48を駆動し、クロスヘッド41を進退させることによって、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きを行うことができる。すなわち、型閉じ時に、サーボモータ48を正方向に駆動し、クロスヘッド41を前進(図における右方に移動)させることによって、可動プラテン14を前進させ、可動金型16を固定金型15に当接させることができる。このようにして型閉じが行われる。これに伴って、可動金型16と固定金型15との間に図示されないキャビティ空間が形成される。
【0020】続いて、型締め時に、前記サーボモータ48を更に正方向に駆動すると、前記トグル機構43によってトグル倍率を乗じた型締力が発生させられ、該型締力で可動金型16を固定金型15に押し付けることができる。このようにして型締めが行われる。このとき、図示されない射出装置の射出ノズルから射出された成形材料としての樹脂が前記キャビティ空間に充填される。
【0021】また、型開き時に、サーボモータ48を逆方向に駆動し、クロスヘッド41を後退(図における左方に移動)させることによって、可動プラテン14を後退させ、可動金型16を固定金型15から離すことができる。このようにして型開きが行われる。
【0022】次に、型締駆動装置について説明する。
【0023】図1は本発明の実施の形態における型締駆動装置の概略図、図3は本発明の実施の形態における型締駆動装置の要部を示す概略図、図4は本発明の実施の形態におけるベアリング押えの断面図、図5は本発明の実施の形態におけるベアリング押えの側面図、図6は本発明の実施の形態における回動部材の正面図、図7は本発明の実施の形態における回動部材の右側面図、図8は本発明の実施の形態における回動部材の左側面図である。
【0024】図において、12はトグルサポートであり、該トグルサポート12にサーボモータ48が図示されないボルトによって取り付けられる。前記サーボモータ48は、環状の端部プレート27、28及び筒状のフレーム29から成るケーシングMC、該ケーシングMCに取り付けられ、ステータコア32及びステータコイル33から成るステータ31、前記ケーシングMC内において回転自在に配設された中空の出力軸35、並びに前記ステータ31の径方向内方において回転自在に配設され、かつ、前記出力軸35に取り付けられたロータ34を備える。前記端部プレート27、28はボルト17によって互いに連結される。
【0025】前記出力軸35は、ケーシングMCに対して回転自在に配設され、両端が第1の支持機構及び第1のベアリングとしての一対のベアリングb1、b2、並びに第2の支持機構及び第2のベアリングとしてのベアリングb3によってそれぞれ支持される。そのために、出力軸35の前端(図1における右端)がベアリングb1、b2を介して端部プレート27に、出力軸35の後端(図1及び3における左端)がベアリングb3を介して端部プレート28に取り付けられる。そして、前記端部プレート27に嵌(かん)入穴27aが形成され、該嵌入穴27aにベアリングb1、b2が嵌入され、前記出力軸35の前端部(図1における右端部)が前記べアリングb1、b2内に嵌入される。また、端部プレート28に嵌入穴28aが形成され、該嵌入穴28aにベアリングb3が嵌入され、出力軸35の後端部(図1及び3における左端部)がベアリングb3内に嵌入される。
【0026】そして、前記ロータ34の回転をボールねじ軸51に伝達するために、出力軸35とボールねじ軸51とが直接連結される。そのために、前記ボールねじ軸51は、ねじ部53、及び該ねじ部53より後方(図における左方)に形成され、ねじ部53よりわずかに径が小さい連結部54から成り、該連結部54が出力軸35の前端部内に挿入される。また、前記連結部54の後端面(図1における左端面)に開口させてねじ穴54aが形成される。そして、出力軸35の前端部の内周面及び連結部54の外周面において軸方向に形成されたキー溝55に図示されないキーが挿入され、出力軸35と連結部54との相対的な回転が規制される。したがって、ステータ31を駆動することによってロータ34を回転させると、ロータ34の回転が出力軸35及びキーを介してボールねじ軸51に伝達され、それに伴ってボールナット23及びクロスヘッド41が進退(図1における左右方向に移動)させられる。なお、前記キー溝55及びキーによって第1の相対回転規制手段が構成される。
【0027】したがって、前記サーボモータ48を駆動することによって発生させられた回転運動をボールねじ21によって直線運動に変換し、該直線運動を前記トグル機構43(図2)に伝達することができる。すなわち、サーボモータ48を正方向に駆動することによってボールねじ軸51を正方向に回転させると、ボールナット23が前進(図1における右方に移動)させられ、それに伴ってクロスヘッド41が前進させられる。また、サーボモータ48を逆方向に駆動することによってボールねじ軸51を逆方向に回転させると、ボールナット23が後退(図1における左方に移動)させられ、それに伴ってクロスヘッド41が後退させられる。
【0028】この場合、クロスヘッド41を進退させるためにボールねじ軸51を回転させるようになっていて、ボールナット23を回転させる必要がない。そして、ボールねじ軸51の外径がボールナット23の外径より小さいので、ボールナット23を回転させる場合より、回転モーメントを小さくすることができる。
【0029】そして、前記サーボモータ48を駆動するために図示されない制御装置が配設され、該制御装置は、型開閉位置制御を行うことによって、可動金型16の位置を制御したり、型締力を制御したりする。この場合、出力軸35とボールねじ軸51とがプーリ、タイミングベルト等を介することなく直接連結され、型締装置がダイレクトドライブ方式で作動させられるので、出力軸35の回転とボールねじ軸51の回転とを完全に同期させることができ、可動金型16の位置、型締力等を正確に制御することができる。
【0030】ところで、サーボモータ48を駆動してボールナット23を進退させたときに反力が発生させられ、該反力が出力軸35に伝達されることによってベアリングb1〜b3の機能が低下すると、出力軸35の回転をボールねじ軸51に正確に伝達することができなくなり、可動金型16の位置、型締力等を正確に制御することができなくなってしまう。
【0031】そこで、前記ベアリングb1〜b3として、いずれもスラスト荷重を受けることが可能なボールベアリングが使用される。すなわち、ベアリングb1、b2として、出力軸35が正方向に回転させられ、ボールナット23が前進させられるときにスラスト荷重を受けることが可能なアンギュラベアリングが、ベアリングb3として、出力軸35が逆方向に回転させられ、ボールナット23が後退させられるときにスラスト荷重を受けることが可能なアンギュラベアリングが使用される。なお、ベアリングb1、b2として、出力軸35が逆方向に回転させられ、ボールナット23が後退させられるときにスラスト荷重を受けることが可能なアンギュラベアリングを、ベアリングb3として、出力軸35が正方向に回転させられ、ボールナット23が前進させられるときにスラスト荷重を受けることが可能なアンギュラベアリングを使用することもできる。
【0032】そして、前記端部プレート27に対してベアリングb1、b2を、端部プレート28に対してベアリングb3を、それぞれ位置決めするとともに、安定させて取り付けるために、出力軸35の前端に、ベアリングb1、b2と当接させて環状の第1のベアリング押え56が、出力軸35の後端に、ベアリングb3と当接させて筒状の第2のベアリング押え57が配設され、前記第1、第2のベアリング押え56、57間に前記連結部54及び引張手段としてのテンションボルト58が配設され、前記連結部54及びテンションボルト58を介して第1、第2のベアリング押え56、57が連結される。
【0033】前記第1のベアリング押え56は、内径が出力軸35の内径と等しく、外径が出力軸35の外径より大きく、出力軸35に対してフランジを構成し、溶接、又は図示されないボルト等の固定手段によって出力軸35の前端に固定される。なお、出力軸35と第1のベアリング押え56とを一体に形成することもできる。
【0034】また、第2のベアリング押え57は、出力軸35の後端部に嵌入される本体部61及び該本体部61より後方(図4における左方)に一体に形成されたフランジ部62から成り、該フランジ部62は、外径が出力軸35の外径より大きくされる。そして、前記第2のベアリング押え57は、内部に、小径部63、該小径部63より後方に形成された中径部64、及び該中径部64より後方に形成された大径部65から成る貫通穴66を有する。さらに、前記本体部61の外周面には長溝70が軸方向に延在させて形成される。
【0035】なお、前記出力軸35の後端部の内周面には、前記長溝70に対応させて長溝71が形成され、長溝70、71によってキー溝81が構成される。そして、該キー溝81に図示されないキーを挿入することによって、出力軸35と第2のベアリング押え57との相対的な回転が規制される。したがって、ステータ31のステータコイル33に電流を供給することによってロータ34を回転させると、ロータ34の回転が出力軸35及びキーを介してテンションボルト58及びボールねじ軸51に伝達され、それに伴ってボールナット23及びクロスヘッド41が進退させられる。なお、前記キー溝81及びキーによって第2の相対回転規制手段が構成される。
【0036】また、前記テンションボルト58は、出力軸35内において延在させられ、本体部67、前端部に形成されたねじ部68、及び後端部に形成され、本体部67より径が大きいヘッド部69から成る。そして、本体部67が小径部63内を貫通させられ、ヘッド部69が中径部64内に置かれ、前記ねじ部68に形成された雄ねじと前記ねじ穴54aに形成された雌ねじとが螺合させられる。その結果、テンションボルト58は螺合によって第2のベアリング押え57とボールねじ軸51とを連結する。そして、前記ヘッド部69には、後端面に開口させて六角形の形状を有するボルト係止穴73が形成される。この場合、該ボルト係止穴73に、回動部材75の係止部83を挿入し、回動部材75を回転させることによってテンションボルト58を回動させることができる。
【0037】そのために、前記回動部材75は、中央のフランジ部82、フランジ部82より前方(図6における右方)に突出させて形成された前記係止部83、及びフランジ部82より後方(図6における左方)に突出させて形成された操作部84を備え、フランジ部82の円周方向における2箇所に貫通孔e1が、互いに等ピッチで形成され、フランジ部82の円周方向における4箇所に、前記貫通孔e1よりわずかに径が大きい貫通孔e2が、互いに等ピッチで形成される。また、係止部83は前記ボルト係止穴73に対応するボルトのヘッドの形状を有し、操作部84は外周面における2箇所に、互いに平行に平坦(たん)部85、86が形成される。したがって、前記係止部83をボルト係止穴73に挿入し、前記平坦部85、86を所定の工具によって挟んで係止部83を回動させると、テンションボルト58がボールねじ軸51に対して相対的に回動させられ、テンションボルト58が回動させられた分だけ前記雄ねじと雌ねじとを螺合させることができる。
【0038】なお、前記端部プレート27には、ベアリングb2の後方に隣接させて、径方向内方に向けて突出させて環状の突起27bが、端部プレート28には、ベアリングb3の前方に隣接させて、径方向内方に向けて突出させて環状の突起28bが形成され、それぞれ段部が形成される。
【0039】そして、雄ねじと雌ねじとを所定の量だけ螺合させ、テンションボルト58にテンションを発生させると、ねじ部53と連結部54との間の段部が第1のベアリング押え56に当たり、第1のベアリング押え56が所定の押付力でベアリングb1に押し付けられるとともに、フランジ部62が前記押付力でベアリングb3に押し付けられる。その結果、ベアリングb1、b2が端部プレート27の所定の部分としての突起27bに、ベアリングb3が端部プレート28の所定の部分としての突起28bにそれぞれ押し付けられるので、前記ベアリングb1、b2を端部プレート27に対して、ベアリングb3を端部プレート28に対して位置決めすることができる。また、ベアリングb1〜b3に所定の予圧を加えることができるので、ベアリングb1〜b3をケーシングMCに安定して取り付けることができる。そして、前記テンションボルト58をボールねじ軸51に対して相対的に回動させることによって、前記テンションボルト58とボールねじ軸51との螺合量を変化させると、予圧が調整される。
【0040】したがって、サーボモータ48を駆動してボールナット23を進退させたときに反力が発生させられ、該反力が出力軸35に伝達されても、ベアリングb1〜b3の機能が低下することがなく、出力軸35の回転をボールねじ軸51に正確に伝達することができ、可動金型16の位置、型締力等を正確に制御することができる。
【0041】ところで、前記サーボモータ48を駆動したり、金型装置の型閉じ、型締め及び型開きを行ったりする際に、出力軸35、ボールねじ軸51、テンションボルト58等に振動が伝達されるが、その振動が伝達されるのに伴って雄ねじと雌ねじとの螺合が緩み、ボールねじ軸51に対してテンションボルト58が回動してしまうと、ベアリングb1〜b3に加えられる予圧が変化してしまう。
【0042】そこで、ボールねじ軸51に対してテンションボルト58が不用に回動するのを防止するために、前記大径部65の前端面(図4における右端面)の円周方向における12箇所にねじ穴e3が形成される。そして、係止部83をボルト係止穴73内に挿入し、かつ、フランジ部82を大径部65内に挿入した後、位置保持用のボルト87、88を、互いに対応する所定の貫通孔e1、e2及び所定のねじ穴e3を貫通させ、第2のベアリング押え57に形成されたボルト穴にねじ込むことによって、ボールねじ軸51に対するテンションボルト58の回転方向における位置を保持することができる。したがって、雄ねじと雌ねじとの螺合が緩むことがなくなり、ボールねじ軸51に対してテンションボルト58が回動することがなくなるので、ベアリングb1〜b3に加えられる予圧が変化するのを防止することができる。この場合、回動部材75は位置保持手段として機能する。
【0043】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0044】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、型締駆動装置においては、ケーシングと、該ケーシングに取り付けられたステータと、前記ケーシング内において回転自在に配設された出力軸と、該出力軸の両端を支持する第1、第2のベアリングと、前記ステータより径方向内方において前記出力軸に取り付けられたロータと、進退自在に配設された進退部材と、前記出力軸と連結された第1の部材、及び前記進退部材に取り付けられた第2の部材を備え、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換手段と、前記第1、第2のベアリングに当接させて配設された第1、第2のベアリング押えと、該第1、第2のベアリング押え間に配設され、前記第1、第2のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付ける引張手段とを有する。
【0045】この場合、引張手段によって、前記第1、第2のベアリングが前記ケーシングの所定の部分に押し付けられるので、第1、第2のベアリングを位置決めすることができる。また、第1、第2のベアリングに所定の予圧を加えることができるので、第1、第2のベアリングをケーシングに安定して取り付けることができる。
【0046】したがって、駆動手段を駆動して第2の部材を進退させたときに反力が発生させられ、該反力が出力軸に伝達されても、第1、第2のベアリングの機能が低下することがなく、出力軸の回転を第1の部材に正確に伝達することができ、可動金型の位置、型締力等を正確に制御することができる。
【0047】本発明の他の型締駆動装置においては、さらに、前記テンションボルトと前記第1の部材とは螺合によって連結される。そして、前記テンションボルトを第1の部材に対して相対的に回動させることによって、前記テンションボルトと前記第1の部材との螺合量が変化させられる。
【0048】この場合、前記テンションボルトと前記第1の部材との螺合量を変化させることによって、第1、第2のベアリングに加わる予圧を調整することができる。
【0049】本発明の更に他の型締駆動装置においては、さらに、前記テンションボルトの回転方向における位置を保持する位置保持手段が配設される。
【0050】この場合、前記テンションボルトの回転方向における位置が保持されるので、雄ねじと雌ねじとの螺合が緩むことがなくなり、第1の部材に対して引張手段が回動することがなくなる。したがって、第1、第2のベアリングに加えられる予圧が変化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における型締駆動装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態における型締駆動装置の要部を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるベアリング押えの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるベアリング押えの側面図である。
【図6】本発明の実施の形態における回動部材の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態における回動部材の右側面図である。
【図8】本発明の実施の形態における回動部材の左側面図である。
【符号の説明】
21 ボールねじ
23 ボールナット
27b、28b 突起
31 ステータ
34 ロータ
35 出力軸
41 クロスヘッド
48 サーボモータ
51 ボールねじ軸
56、57 第1、第2のベアリング押え
58 テンションボルト
75 回動部材
b1〜b3 ベアリング
MC ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)ケーシングと、(b)該ケーシングに取り付けられたステータと、(c)前記ケーシング内において回転自在に配設された出力軸と、(d)該出力軸の両端を支持する第1、第2のベアリングと、(e)前記ステータより径方向内方において前記出力軸に取り付けられたロータと、(f)進退自在に配設された進退部材と、(g)前記出力軸と連結された第1の部材、及び前記進退部材に取り付けられた第2の部材を備え、回転運動を直線運動に変換する運動方向変換手段と、(h)前記第1、第2のベアリングに当接させて配設された第1、第2のベアリング押えと、(i)該第1、第2のベアリング押え間に配設され、前記第1、第2のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付ける引張手段とを有することを特徴とする型締駆動装置。
【請求項2】 (a)前記第1の部材はボールねじ軸であり、(b)前記第2の部材はボールナットである請求項1に記載の型締駆動装置。
【請求項3】 前記引張手段は、前記第1の部材と第2のベアリング押えとを連結するテンションボルトであり、第1の部材及び第1のベアリング押えを介して第1のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付け、第2のベアリング押えを介して第2のベアリングを前記ケーシングの所定の部分に押し付ける請求項1に記載の型締駆動装置。
【請求項4】 (a)前記テンションボルトと前記第1の部材とは螺合によって連結され、(b)前記テンションボルトを第1の部材に対して相対的に回動させることによって、前記テンションボルトと前記第1の部材との螺合量が変化させられる請求項3に記載の型締駆動装置。
【請求項5】 前記テンションボルトの回転方向における位置を保持する位置保持手段が配設される請求項4に記載の型締駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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