説明

型装置潤滑及び冷却用装置

【課題】成形装置の潤滑及び冷却装置を簡単にし、かつ、潤滑剤の消費を低くする。
【解決手段】潤滑剤用の流路(11、15)及び冷却剤用の流路が互いに分離され、潤滑剤流路に潤滑剤をスプレイするために設計されたノズル(17)が割り当てられ、冷却剤流路に冷却剤をスプレイするために設計されたノズル(20、21)が割り当てられ、また潤滑剤用の流路(11、15)及び冷却剤用の流路(10)が、開口した型装置内に移動できるガイドアーム(14)に取り付け可能である共通のハウジング(1)内に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤及び冷却剤を供給するための流路と、潤滑剤及び冷却剤をスプレイするためのノズルとを有する、型装置、特に鍛造用の鍛造型及び工具の潤滑及び冷却用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鍛造部品を正確に製造するため、及び、鍛造部品の鍛造型からの離型をよくするため、また、工具の摩耗の低減のため、鍛造型の形彫に注油して、鍛造型の動作温度を冷却して規定の温度範囲内に保持することが必要であるということが知られている。鍛造型の形枠の外型枠を組み立てることによって適合されることができ、また形彫に向かい合ったディスクに、潤滑剤と水とから構成される混合物を取り出すための穴を備えるディスクスプレイノズルが公知である(特許文献1)。このようなノズルヘッドは比較的高価であり、また潤滑剤・水混合物が最適にスプレイされず、潤滑剤の消費量が多いという不都合を有する。
【0003】
同様に、産業用ロボットによって案内され鍛造型の形彫をレール式に搬出しかつ潤滑剤・水混合物をスプレイする空圧式噴霧ノズルが公知である。
潤滑剤/冷却剤混合物を発生かつ放出する形装置専用のスプレイ要素が、例えば特許文献2に開示されている。しかし、このようなスプレイ要素を操作するには多大な費用がかかる。
【0004】
【特許文献1】EP−PS0724486
【特許文献2】DE4420679A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、このような潤滑及び冷却装置を簡単化すること、及び、、潤滑剤の消費量をできるだけ低く抑えるすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、冒頭に述べた種類の装置では、潤滑剤及び冷却剤用の流路が互いに分離され、また潤滑剤流路に、潤滑剤をスプレイするために設計されたノズルが割り当てられ、冷却剤流路に、冷却剤をスプレイするために設計されたノズルが割り当てられる。この措置によって、一方で冷却剤用及び他方で潤滑剤用のスプレイノズルを最適に設計でき、また例えば潤滑剤をスプレイするためのいわゆる最小潤滑ノズルを設けることができるので、潤滑剤の消費を著しく低減できる。同様のことが、冷却剤の消費にも適用されるが、この理由は、この場合も、冷却剤をスプレイするために最適なノズルの種類を使用できるからである。
【0007】
この場合、特に有利には、潤滑剤用及び冷却剤用の流路を共通のハウジング内に、唯一のノズルヘッドに配設でき、また、このハウジングは、それ自体既知の方法で、開口した型枠又は鍛造型内に移動できるガイドアームに取り付け可能である。したがって、冷却剤又は潤滑剤ノズルのための別個のガイドが不必要になり、また特に、中心チャンバと、このチャンバを覆いまた流路、特に環状流路を備える少なくとも1つのカバーとがハウジングに備えられ、前記流路がチャンバから分離されて、スプレイに必要な媒体の少なくとも1つが加えられる場合、コンパクトかつ比較的簡単な構造のノズルヘッドの型枠を達成できる。
【0008】
本発明の一つの態様では、カバー内の流路は、外側から来る供給流路を介してスプレイに必要な媒体が導入される環状流路として形成することができる。この場合、有利には、この供給流路は、環状流路内に半径方向に通じることができる。また、中心チャンバには、半径方向に通じる冷却剤用の供給流路が設けられ、またカバー板の直径に均一に分布して複数に配置される冷却剤ノズルが装備される円形のカバー板によって閉じられることが有利である。この場合、このカバー板は、簡単にカバーリング内にねじ込み、平坦シールによって中心チャンバに向かって閉じることができる。この場合、簡単な構造のスプレイ装置が得られる。
【0009】
本発明の一つの態様では、各々の冷却剤ノズルの前段にスワラを接続でき、この場合、このスワラは、中心チャンバを指す冷却剤ノズル孔の側面に設けることができるねじ穴にねじ込むことができる。
【0010】
本発明の一つの態様では、環状流路は、中心チャンバを囲むハウジングの領域に、カバー板を含むカバーリングによって閉じられる周囲溝として設けることができ、前記カバーリング内にカバー板もねじ込まれる。
【0011】
本発明の一つの態様では、外側環状流路は潤滑剤用の供給流路と結合でき、内側環状流路は圧縮空気供給部と結合できる。
【0012】
本発明の別の形態では、直径に均一に分布して配置された、特に最小潤滑ノズルの形態の潤滑剤スプレイノズルをカバーリングに設けることができ、前記スプレイノズルは、内側環状流路に至る圧縮空気給送用の分岐流路とそれぞれ結合される。さらに、この分岐流路は、簡単に、潤滑剤スプレイノズル用の固定ねじの心穴に通じる交差孔として形成できる。
【0013】
最終的に、圧縮空気、潤滑剤及び冷却剤用の供給流路は、ガイドアームとして使用される管継手に互いに平行に延ばして配設でき、この管継手を介して、本発明による装置、すなわち本発明によるノズルヘッドを鍛造型に又は工具に導入できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1〜図4は、片側が開口したシェルの形態の円筒状ハウジング1を示しており、その側面には、ハウジング1の中心軸線3に対し平行に延びる平坦部2が設けられている。この場合、ハウジング1の中心チャンバ4は、開口側で、平坦部2に対し面一の側方平坦部を有するカバーリング5と、カバーリングにねじ込まれたカバー板6とから構成されるカバーによって閉じられる。前記カバー板は、カバーリング5のねじ7内にねじ込まれ、組立工程のために、工具用の側方の平行の把持面8が設けられる。皿頭ねじ9は、カバーリング5をハウジング1に保持する。
【0016】
図3に示されるように、ハウジング1の領域の平坦部2には、スプレイされるべき媒体用の接続部が設けられ、例えば冷却液用の接続部10、液体潤滑剤用の接続部11及び圧縮空気用の接続部12が設けられる。次に、平坦部2には、図1と図2に破線で示したように、管継手14の部分であるフランジ13を装着でき、この管継手内で、冷却液用、潤滑剤用及び圧縮空気用の供給管が互いに平行に延び、またこの管継手は、本発明によるノズルヘッド用のガイドアームとして機能することができる。
【0017】
カバーリング5の中に、直径に均一に分布して、潤滑剤用の6つのスプレイノズル17が設けられ、潤滑剤は接続部11を介して供給されて、環状流路15内に流れ込み、この環状流路は、最初にハウジング1の開口側の周囲の溝として形成され、次に、載置されたカバーリング5によって、また挿入されたシールリング16、例えば市販の0リングによって閉鎖される。この場合、スプレイノズル17は、それ自体公知のいわゆる最小スプレイノズルとして形成される。圧縮空気は、別の環状流路18を介してこれらのスプレイノズル17に供給され、環状流路18は、環状流路15と同様に溝として製造され、次に、カバーリング5及びシールリング16を装着することによって閉鎖される。この内側環状流路18は、それぞれの分岐孔19を介して、ノズル17のねじ込みねじ用の空間と結合し、この結果、スプレイノズル17には、潤滑剤の他に、潤滑剤の微細スプレイ用の圧縮空気を供給することができる。このようにして、特に潤滑剤の圧縮空気噴霧用に、スプレイノズル17を設計することができる。これによって、潤滑剤の消費を非常に低く抑えることができる。
【0018】
図5は、カバーリング5の著しく拡大した切断図を示している。潤滑剤ノズル17用のねじ込みねじ50、及びねじ込みねじ50用の空間内に通じる圧縮空気供給用の分岐孔19がよく見える。さらに、カバーリング5を固定するためにハウジング1に設けられるねじ穴52が見える。
【0019】
ハウジング1の円筒状チャンバ4は、それらの壁部に設けられた開口部30を介して、詳細に示していない方法で冷却液用の接続部10と結合し、このようにして、冷却液はチャンバ4内に案内され、そこからノズル開口部20を介して外側に向かってスプレイされることができる。冷却液は、開口部30を通して接線方向に又は少なくとも偏心的に案内されるので、チャンバ4には安定した流動状態が存在する。このように、カバー板6は、本実施例に設けられた7つのノズル孔20を有する束状のノズルユニットを形成し、それらのそれぞれには、特に図4から明らかなように、スワラ21が前段に接続され、これらのスワラにより円錐ビームがノズル孔20の出口に発生される。この場合、スワラ21は、図4から理解できるように、スワラ21用の取付け穴22のチャンバ4の対向側から、対応するねじ23内にねじ込まれ、この場合、ねじ部が備えられる各スワラ21の面取りエッジ24がこのねじ23内に嵌合する。工具の把持のため、スワラ21は把持溝25を備える。次にスワラ流路26に移行する平坦な側面21aは、冷却剤の通過を可能にするために使用される。カバー板6は、その周囲にねじを備え、カバーリング5の適切な雌ねじ内にねじ込まれる。カバー板6は、挿入されたフラットシールリング27を介してカバーリング5に対してシールされる。図1〜図4のノズルヘッドは、冷却剤及び潤滑剤をスプレイするために一方の側面に向かって設計される。ノズルヘッドの寸法は、スプレイされるべき鍛造型又は成形技術用の工具に適合させることができる。したがって、その外型枠、及びスプレイノズル17及びスプレイ開口部20の配置も、円形とは異なることができる。
【0020】
なお、ハウジング1又はハウジングリング1aの相互のねじれは、円筒ピン28によって確保され、この円筒ピンは、軸線3に対し平行に延び、カバーリング5によって把持され、またハウジング1又はハウジング1aの内部までそれぞれ案内されることを指摘する。
【0021】
次に、図7〜図9は、構造が図1〜図4に対応するが、型枠の両側のスプレイのために設計されるノズルヘッドを示している。したがって、同様の部分には同様の参照番号が付されている。この場合異なるのは、ハウジング1’が、片側が閉じられたシェルとしてでなく、両側でカバーリング5とこのカバーリングにねじ込まれたカバー板6とから構成されるカバーによって形成されるハウジングリングとして形成されることである。カバーをハウジング1’に固定するために、カバーリングの1つはねじ穴を備え、2つカバーリングはねじ頭用の窪部を備え、またハウジング1’は導通穴を備える。したがって、両方のカバーは、貫通ボルトによって互いにかつハウジング1’と結合される。
【0022】
したがって、作動中、冷却液は、接続部10を通してチャンバ4に導入され、またそのチャンバ内で円錐ビームの形態でノズル孔20を通して外側に向かって分布される。液状の潤滑剤は、接続部11を通して環状流路15内に、またそこからスプレイノズル17を介して外側に向かって流出する。内側環状流路溝18から来る噴霧空気は、スプレイノズル17の前の段付き穴を介して供給された潤滑剤が、スプレイノズルから流出する際に最も微細な滴に細分されるように作用する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】円筒状の原型を有するノズルヘッドとして形成された本発明による装置のスプレイノズルを備えた側面の平面図である。
【図2】切断線IIの方向の図1の部分的に切り開いたノズルヘッドの側面図である。
【図3】接続側を示している矢印IIIの方向の図1のノズルヘッドの外観図である。
【図4】図2の拡大図である。
【図5】ノズルヘッドの内側からの図1のノズルヘッドのカバーリングの部分図であるが、著しく拡大したスプレイノズルはねじ込まれていない。
【図6】ねじ込まれるべきスワラの斜視図である。
【図7】図1と同様のノズルヘッドの外観図であるが、両側に向かって冷却剤及び潤滑剤をスプレイするために適している。
【図8】切断線VIIIに沿って切り開いた図7のノズルヘッドの側面図である。
【図9】図3と同様の図面であり、図7と図8のノズルヘッドの接続箇所の方向のノズルヘッドの外観図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤及び冷却剤を供給するための流路と、前記潤滑剤及び前記冷却剤をスプレイするためのノズルとを有する、型装置の潤滑及び冷却用装置において、
前記潤滑剤用の流路(11、15)及び前記冷却剤用の流路が互いに分離され、
前記潤滑剤流路に、前記潤滑剤をスプレイするために設計されたノズル(17)が割り当てられ、
前記冷却剤流路に、前記冷却剤をスプレイするために設計されたノズル(20、21)が割り当てられ、
前記潤滑剤用の流路(11、15)及び前記冷却剤用の流路(10)が、開口した型装置内に移動できるガイドアーム(14)に取り付け可能である共通のハウジング(1)内に配設されている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ハウジング(1)が中心チャンバ(4)と、該中心チャンバ(4)を覆う少なくとも1つのカバー(6)とを備え、
前記中心チャンバ(4)から分離されて、前記スプレイに必要な媒体の少なくとも1つを導入する流路(15、18)が前記ハウジング(1)内に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流路(15、18)が、外側から来る供給流路(11、12)を介して前記スプレイに必要な媒体の1つが導入される環状流路である、
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記供給流路(11、12)が、前記環状流路(15、18)内に半径方向に通じることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジング(1)に中心チャンバ(4)が備えられ、
前記中心チャンバ(4)に、偏心して特に接線方向に通じる前記冷却剤用の供給流路が備えられ、
前記中心チャンバ(4)が、円形のカバー板(6)の直径に均一に分布して複数に配置される冷却剤孔(20)が備えられる前記カバー板(6)によって閉じられる、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記カバー板(6)が、カバーリング(5)内にねじ込まれて、フラットシールリング(27)によって前記中心チャンバ(4)に向かって閉じられる、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
各々の冷却剤孔(20)の前段にスワラ(21)が接続される、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
各々のスワラ(21)が、前記中心チャンバ(4)を指す前記冷却剤ノズル孔(20)の側面に設けられるねじ穴(23)内にねじ込まれる、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記環状流路(15、18)が、前記中心チャンバを囲む前記ハウジング(1)の領域に、前記カバー板(6)を含む前記カバーリング(5)によって閉じられる周囲溝として設けられる、ことを特徴とする請求項2又は請求項3〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
外側の環状流路(15)が、潤滑剤用の供給流路(11)と結合され、内側の環状流路(18)が圧縮空気用の供給流路(12)と結合される、ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
直径に均一に分布して配置された、潤滑剤スプレイノズル(17)が前記カバーリング(5)に設けられ、前記スプレイノズル(17)が、前記内側環状流路(18)に至る圧縮空気給送用の分岐流路(19)とそれぞれ結合される、
ことを特徴とする、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記分岐流路(19)が、前記潤滑剤スプレイノズル用の固定ねじの心穴に通じる交差孔として形成される、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
潤滑剤、冷却剤及び圧縮空気用の前記供給流路(10、11、12)が、共通のハウジング(1、1’)内に、またガイドアームとして使用される管継手(14)内に少なくとも部分的に互いに平行に延びて配設される、ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−245183(P2007−245183A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71465(P2006−71465)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(500181832)レヒラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【Fターム(参考)】