説明

埋め込み型機器用のマルチバンドアンテナ

本書は、特に、複数のセグメント(332、333、334)を有するスイッチバック部を含む埋め込み型アンテナ(305)を使用して、生体媒質内から第1または第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を無線送信するか、または生体媒質内で第1または第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を受信するシステムおよび方法を述べる。第1指定動作周波数および第2指定動作周波数は、複数のセグメントを使用して提供できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医療機器は体内に埋め込んで、体内もしくは身体に関連する生理学的情報のモニタリング、検出または感知、生理学的状態もしくは疾患の診断、生理学的状態もしくは疾患の処置もしくは治療の提供、または器官もしくは組織の機能の回復もしくは変更を含む機能を果たすことができる。埋め込み型医療機器の例には、ペースメーカ、心臓再同期療法機器、心臓除細動器もしくは細動除去器などの心臓律動管理機器、神経刺激器、神経筋刺激器、または薬物送達システムを含む。特定の実施例では、埋め込み型医療機器は遠隔測定回路と遠隔測定回路に連結されるアンテナとを含み、その組合せは埋め込み型医療機器と外部機器との間の無線通信を提供する(例えば、生理学的もしくはその他の情報などの情報を埋め込み型医療機器から外部機器に送信するか、またはプログラミング命令などの情報を外部機器から埋め込み型医療機器で受信する)ように構成されている。
【0002】
体内に埋め込まれた埋め込み型医療機器と外部機器との間、または体外の埋め込み型医療機器と外部機器との間の短距離(例えば、数センチメートル)通信を提供するために磁気結合が用いられている。しかし、磁気結合通信は主として近距離場放射に依拠しており、磁場分布はアンテナからの距離およびアンテナの向きに強く依存していることから、埋め込み型医療機器と外部機器との間の無線通信の有効範囲は著しく制限される。
【0003】
磁気結合の代わりに、または磁気結合に加えて、磁気結合を上回る送信範囲を有する低出力の無線周波数(RF:Radio Frequency)を使用して、埋め込み型医療機器と外部機器との間の通信を提供できる。しかし、多くのRF通信チャネル、帯域または周波数は、連邦通信委員会(FCC:Federal Communication Commission)または他の監督官庁などの管理機関または他の規制機関によって制限されている。このように、あるエリアで使用するために利用できる周波数は、他のエリアで使用するためには利用できない可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、特に、複数のセグメントを有するスイッチバック部を含む埋め込み型アンテナを使用して、生体媒質内から第1もしくは第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を無線送信するか、または生体媒質内で第1もしくは第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を受信するためのシステムまたは方法を認識した。第1指定動作周波数および第2指定動作周波数は複数のセグメントを使用して提供できる。
【0005】
実施例1では、マルチバンド埋め込み型遠隔測定システムは埋め込み型アンテナに連結される埋め込み型遠隔測定回路を含み、埋め込み型遠隔測定回路は第1指定動作周波数または第2指定動作周波数のうちの少なくとも一方を使用して送信モードで埋め込み型アンテナを駆動し、受信モードで埋め込み型アンテナから情報を受信するように構成されており、第2指定動作周波数は第1指定動作周波数とは異なっており、埋め込み型アンテナは、第1および第2の指定動作周波数を使用して、生体媒質内から電磁的に情報を無線送信するか、または生体媒質内で電磁的に情報を無線受信するように構成されている。埋め込み型アンテナは第1長さを有する第1主要セグメントと、第2長さを有する第2主要セグメントと、第3長さを有する第3主要セグメントとを含むスイッチバック部を含み、第1、第2および第3の主要セグメントはスイッチバック構成で配列される。第1指定動作周波数は埋め込み型アンテナの基本モードで提供され、埋め込み型アンテナの基本モード周波数は全長の等しい非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なっており、この差は少なくとも第1主要セグメントの第1長さを使用して提供され、第2指定動作周波数は埋め込み型アンテナの全長を使用して埋め込み型アンテナの第1高次モードで提供される。
【0006】
実施例2では、実施例1の埋め込み型アンテナの第1高次モード周波数は、任意で、全長の等しい非折返しアンテナの第1高次モード周波数と一致する。
実施例3では、実施例1〜2のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントの第1長さは、任意で、(1)第1指定動作周波数を提供するために埋め込み型アンテナの基本モードで第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最適化するか、または(2)第2指定動作周波数を提供するために埋め込み型アンテナの第1高次モードで第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最小化するように構成されている。
【0007】
実施例4では、実施例1〜3のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントの第1長さは、任意で、第1指定動作周波数の有効波長の8分の1と一致する。
実施例5では、実施例1〜4の第1主要セグメントの第1長さ、第2主要セグメントの第2長さおよび第3主要セグメントの第3長さは、任意で、第1指定動作周波数の有効波長の8分の1と個々に一致する。
【0008】
実施例6では、実施例1〜5のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントは、任意で、第2主要セグメントよりも地板から遠くに配置されている。
実施例7では、実施例1〜6のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントは、任意で、第2主要セグメントよりも地板の近くに配置されている。
【0009】
実施例8では、実施例1〜7のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントの少なくとも一部は、任意で、第2主要セグメントの少なくとも一部と地板から等距離に配置されている。
【0010】
実施例9では、実施例1〜8のうちのいずれか1つ以上の埋め込み型アンテナは、任意で、ワイヤアンテナを含み、実施例1〜8のうちのいずれか1つ以上の第2主要セグメントの少なくとも一部は、任意で、第1主要セグメントの少なくとも一部から第1距離分離れており、第1距離はワイヤアンテナの直径よりも少なくとも3倍だけ大きく、第1主要セグメントの第1長さは、第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の第1距離よりも少なくとも5倍だけ大きい。
【0011】
実施例10では、実施例1〜9のうちのいずれか1つ以上の埋め込み型アンテナのスイッチバック部は、任意で、第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間に第1移行部を含み、第1移行部は第1主要セグメントの遠位端を第2主要セグメントの近位端に連結するように構成されており、第1移行部は、第1主要セグメントの近位端から第1主要セグメントの遠位端までの幾何学的方向が第2主要セグメントの近位端から第2主要セグメントの遠位端までの幾何学的方向に実質的に対向するような折返し部を含む。
【0012】
実施例11では、実施例1〜10のうちのいずれか1つ以上の第1および第2の指定動作周波数は、以下のうちの少なくとも1つを含むリストから任意に選択される。
(1)約402MHzから約405MHzにわたる体内埋め込み型医療用データ伝送サービス(MICS:Medical Implant Communication Service)帯域範囲
(2)約862MHzから約870MHzにわたる短距離無線機器(SRD:Short Range Device)帯域範囲
(3)約902MHzから約928MHzにわたる第1産業科学医療(ISM:Industrial−Scientific−Medical)帯域範囲
(4)約2400MHzから約2500MHzにわたる第2ISM帯域範囲、または
(5)約1850〜1990MHzにわたるパーソナル通信サービス(PCS:Personal Communication Service)帯域範囲
実施例12では、実施例1〜11のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントの遠位端は、任意で、第2主要セグメントの近位端に連結され、実施例1〜11のうちのいずれか1つ以上の第2主要セグメントの遠位端は、任意で、第3主要セグメントの近位端に連結されており、埋め込み型アンテナのスイッチバック部は第1主要セグメントの近位端から第3主要セグメントの遠位端まで延びる単一の連続導体から構成される。
【0013】
実施例13では、実施例1〜12のうちのいずれか1つ以上の埋め込み型アンテナは、任意で、遠隔測定回路を第1主要セグメントの近位端に連結するように構成されている初期セグメントを含んでおり、初期セグメントは帰路導体に対する初期セグメントの少なくとも一部の物理的な配列を少なくとも一部使用して埋め込み型アンテナの入力インピーダンスを制御することによって、埋め込み型遠隔測定回路の出力インピーダンスとの生体媒質における実質的な共役整合を提供するように構成されている。
【0014】
実施例14では、実施例1〜13のうちのいずれか1つ以上のシステムは、任意で、埋め込み型遠隔測定回路および埋め込み型遠隔測定回路に連結される導電部を含む埋め込み型機器ハウジングと、埋め込み型機器ハウジングに連結される埋め込み型誘電性隔室とを含み、埋め込み型誘電性隔室は埋め込み型アンテナのスイッチバック部の第1、第2および第3の主要セグメントを含み、埋め込み型誘電性隔室は埋め込み型機器ハウジングの表面に対して高さを有するとともに、埋め込み型機器ハウジングの表面に沿った長さおよび幅を有しており、実施例1〜13のうちのいずれか1つ以上の埋め込み型アンテナは、任意で、第1および第2の指定動作周波数を使用して、生体媒質内の埋め込み型誘電性隔室内から電磁的に情報を無線送信するか、または生体媒質内の埋め込み型誘電性隔室で電磁的に情報を無線受信するように構成されており、実施例1〜13のうちのいずれか1つ以上の第1、第2および第3の主要セグメントの第1、第2および第3の長さはそれぞれ、任意で、埋め込み型誘電性隔室の長さよりも短く、実施例1〜13のうちのいずれか1つ以上の第2主要セグメントの少なくとも一部は、任意で、第1主要セグメントの少なくとも一部から第1距離だけ離れており、第1距離は埋め込み型誘電性隔室の高さまたは幅のうちの少なくとも一方よりも短い。
【0015】
実施例15では、実施例1〜14のうちのいずれか1つ以上の埋め込み型アンテナのスイッチバック部の第1、第2または第3の主要セグメントのうちの少なくとも1つは、任意で、埋め込み型誘電性隔室の側面または上面のうちの少なくとも一方の近くに配置されている。
【0016】
実施例16では、マルチバンド埋め込み型遠隔測定システムは埋め込み型アンテナに連結されている埋め込み型遠隔測定回路を含んでおり、埋め込み型遠隔測定回路は、約402MHzから約405MHzにわたる体内埋め込み型医療用データ伝送サービス(MICS)帯域周波数範囲の第1指定動作周波数、または約902MHzから約928MHzにわたる産業科学医療(ISM)帯域周波数範囲の第2指定動作周波数のうちの一方を使用して、送信モードで埋め込み型アンテナを駆動し、受信モードでアンテナから情報を受信するように構成されている。埋め込み型アンテナは、第1および第2の指定動作周波数を使用して、生体媒質内の埋め込み型誘電性隔室内から電磁的に情報を無線送信し、生体媒質内の埋め込み型誘電性隔室で電磁的に情報を無線受信するように構成されており、埋め込み型アンテナはスイッチバック部を含んでおり、スイッチバック部は第1長さを有する第1主要セグメントと、第2長さを有する第2主要セグメントと、第3長さを有する第3主要セグメントとを含んでおり、第1、第2および第3の主要セグメントはスイッチバック構成で配列されている。実施例15では、第1指定動作周波数は埋め込み型アンテナの基本モードで提供され、埋め込み型アンテナの基本モード周波数は全長の等しい非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なっており、その差は第1主要セグメントの少なくとも第1長さを使用して提供され、第2指定動作周波数は埋め込み型アンテナの全長を使用して埋め込み型アンテナの第1高次モードで提供され、第1主要セグメントの第1長さを使用して、埋め込み型アンテナのスイッチバック部は、(1)第1指定動作周波数を提供するために、埋め込み型アンテナの基本モードで第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最適化するか、または(2)第2指定動作周波数を提供するために、埋め込み型アンテナの第1高次モードで第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最小化する、ように構成されており、第1主要セグメントの第1長さ、第2主要セグメントの第2長さ、および第3主要セグメントの第3長さのそれぞれは、第1指定動作周波数の有効波長の8分の1と個々に一致する。
【0017】
実施例17では、実施例16の埋め込み型アンテナの第1高次モード周波数は、任意で全長の等しい非折返しアンテナの第1高次モード周波数と一致する。
実施例18では、実施例16〜17のうちのいずれか1つ以上のシステムは、任意で、遠隔測定回路を第1主要セグメントの近位端に連結するように構成されている初期セグメントを含んでおり、初期セグメントは帰路導体に対する初期セグメントの少なくとも一部の物理的な配列を少なくとも部分的に使用して埋め込み型アンテナの入力インピーダンスを制御することによって、埋め込み型遠隔測定回路の出力インピーダンスとの生体媒質における実質的な共役整合を提供するように構成されている。
【0018】
実施例19では、方法は、第1指定動作周波数または第1指定動作周波数とは異なる第2指定動作周波数のうちの少なくとも一方を使用して、送信モードで埋め込み型アンテナを駆動し、受信モードで埋め込み型アンテナから情報を受信すること、生体媒質内から埋め込み型アンテナを使用して第1または第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を無線送信するか、または生体媒質内で埋め込み型アンテナを使用して第1または第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を無線受信することであって、埋め込み型アンテナはスイッチバック部を含み、スイッチバック部は第1長さを有する第1主要セグメントと、第2長さを有する第2主要セグメントと、第3長さを有する第3主要セグメントとを含み、第1、第2および第3の主要セグメントはスイッチバック構成で配列されている、前記無線送受信すること、埋め込み型アンテナの基本モードで第1指定動作周波数を提供することであって、埋め込み型アンテナの基本モード周波数は全長の等しい非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なり、その差は少なくとも第1主要セグメントの第1長さを使用して提供される、前記提供すること、埋め込み型アンテナの全長を使用して埋め込み型アンテナの第1高次モードで第2指定動作周波数を提供することを含む。
【0019】
実施例20では、実施例19の埋め込み型アンテナを駆動または埋め込み型アンテナから情報を受信することは、任意で、約402MHzから約405MHzにわたる体内埋め込み型医療用データ伝送サービス(MICS)帯域周波数範囲のうちの1つもしくはその間の第1指定動作周波数を使用すること、または約902MHzから約928MHzにわたる産業科学医療(ISM)帯域周波数範囲および約862MHzから約870MHzにわたる短距離無線機器(SRD)帯域範囲の第2指定動作周波数を使用することを含む。
【0020】
実施例21では、実施例19〜20のうちのいずれか1つ以上の埋め込み型アンテナの第1高次モードで第2指定動作周波数を提供することは、任意で、全長の等しい非折返しアンテナの第1高次モード周波数と一致する第1高次モードで第2指定動作周波数を提供することを含む。
【0021】
実施例22では、実施例19〜21のうちのいずれか1つ以上の方法は、任意で、第1指定動作周波数を提供するために第1主要セグメントの第1長さを使用して埋め込み型アンテナの基本モードで第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最適化すること、第2指定動作周波数を提供するために第1主要セグメントの第1長さを使用して埋め込み型アンテナの第1高次モードで第1主要セグメントと第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最小化することを含む。
【0022】
実施例23では、実施例19〜22のうちのいずれか1つ以上の第1主要セグメントの第1長さを使用することは、任意で、第1指定動作周波数の有効波長の8分の1と一致する長さを使用することを含む。
【0023】
実施例24では、実施例19〜23のうちのいずれか1つ以上の方法は、任意で、初期セグメントを使用して遠隔測定回路を埋め込み型アンテナのスイッチバック部に連結すること、帰路導体に対する初期セグメントの少なくとも一部の物理的な配列を少なくとも部分的に使用して埋め込み型アンテナの入力インピーダンスを制御することによって、埋め込み型遠隔測定回路の出力インピーダンスとの生体媒質における実質的な共役整合を提供することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】埋め込み型遠隔測定回路に連結されている埋め込み型アンテナを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図2】外部モジュールに無線連結されている埋め込み型機器を含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図3A】埋め込み型アンテナと、初期セグメントと、フィードスルーと、地板とを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図3B】埋め込み型アンテナと、初期セグメントと、フィードスルーと、地板とを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図3C】埋め込み型アンテナと、初期セグメントと、フィードスルーと、地板とを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図4A】非折返しダイポールアンテナの実施例を一般的に図示している。
【図4B】非折返しダイポールアンテナに沿った表面電流分布の実施例を一般的に図示している。
【図4C】非折返しダイポールアンテナに沿った表面電流分布の実施例を一般的に図示している。
【図5A】3主要セグメントの折返しダイポールアンテナの実施例を一般的に図示している。
【図5B】3主要セグメントの折返しダイポールアンテナに沿った表面電流分布の実施例を一般的に図示している。
【図5C】3主要セグメントの折返しダイポールアンテナに沿った表面電流分布の実施例を一般的に図示している。
【図6】2つの実施例のアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係の実施例を一般的に図示している。
【図7】第1主要セグメントと第2主要セグメントと第3主要セグメントとを含むスイッチバック部を有する埋め込み型アンテナを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図8】図7に図示するアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係の実施例を一般的に図示している。
【図9】スイッチバック部を有する埋め込み型アンテナを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図10】図9に図示するアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係の実施例を一般的に図示している。
【図11】スイッチバック部を有する埋め込み型アンテナを含むシステムの実施例を一般的に図示している。
【図12】図11に図示するアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係の実施例を一般的に図示している。
【図13A】2主要セグメントの折返しダイポールアンテナの実施例を一般的に図示している。
【図13B】2主要セグメントの折返しダイポールアンテナに沿った表面電流分布の実施例を一般的に図示している。
【図13C】2主要セグメントの折返しダイポールアンテナに沿った表面電流分布の実施例を一般的に図示している。
【図14】2つの実施例のアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係の実施例を一般的に図示している。
【図15】異なる第1または第2の指定動作周波数で電磁的に情報を無線伝送することを含む方法の実施例を一般的に図示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本概要は本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本発明の排他的または包括的な説明を提供することを意図しているわけではない。本特許出願に関する更なる情報を提供するために詳細な説明を記載する。
【0026】
必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない図面において、同じ番号は異なる図の同様な構成要素を示すことがある。異なる文字の添え字を有する同じ番号は、同様な構成要素の異なる事例を表すことがある。図面は制限としてではなく例として、本書で述べる様々な実施形態を一般的に図示している。
【0027】
アンテナは、例えば、電流を電磁波に変換することによって、または電磁波を電流に変換することによって、電磁波を送信または受信するように構成できる。ダイポールアンテナは典型的には、共通のまたは同様な給電点からほぼ等しい長さで延びている2つの導体を含む。非折返しダイポールアンテナの2分の1の長さは、典型的には、非折返しダイポールアンテナの基本モード周波数の波長の4分の1と一致する。
【0028】
例えば、空中(または約1の有効誘電率を有する媒質中)では、1GHzの所望の基本モード周波数を有するダイポールアンテナの長さは一般に、1GHzの波長の2分の1、または約15cmと一致する。非折返し半波長ダイポールアンテナの場合、共振は典型的には基本モード周波数の奇数倍繰り返す。このため、1GHzで基本モード周波数を有する15cm長のダイポールアンテナの場合、第1高次モード周波数は3GHzで生じ、第2高次モード周波数は5GHzで生じる。
【0029】
一般に、アンテナの所望の長さは、アンテナを取り囲む媒質の有効誘電率の平方根に略反比例して変化する。このため、所望の基本モード周波数の場合、所望のアンテナ長さは、伝送媒体の有効誘電率が増加するにつれて減少する。ある実施例では、アンテナは生体媒質(例えば、組織、血液、筋肉、生体媒質をシミュレートする1つ以上の物質等)内に埋め込まれるように構成できる。特定の実施例では、生体媒質内のアンテナは、アンテナの有効誘電率に影響を与える多様な厚さのポリマーまたは他の誘電材料で取り囲むことができる。
【0030】
別の種類のアンテナがモノポールアンテナである。一般に、モノポールアンテナは地板に近接したダイポールアンテナの半分を含む。地板が十分に大きい場合、モノポールアンテナは、ダイポールアンテナの他の半分を占めるかまたは補うために地板からの反射を利用して、ダイポールアンテナと同様に機能することができる。したがって、非折返しモノポールアンテナの長さは、典型的には、非折返しモノポールアンテナの基本モード周波数の波長の4分の1と一致する。
【0031】
特定の実施例では、例えば、複数の地理的地域で動作性能を提供するため、様々なシステムもしくは機器との動作適合性を提供するため、バックアップ無線性能を提供するため(例えば、干渉、劣悪な伝播特性、誤作動、高いデータ誤り率等のために)、または1つ以上の他の理由のために、複数の指定動作周波数で通信するのが望ましい。一般に、基本アンテナ(例えば、非折返しモノポールアンテナ、非折返しダイポールアンテナ等)は、アンテナの基本モードおよびアンテナの高次モードで通信するように構成できる。しかし、これらのアンテナの共振は一般に基本モード周波数および基本モード周波数の奇数倍(高次モード周波数)に制限される。
【0032】
本発明者らは、特に、単一のアンテナを使用して、アンテナの基本モード周波数または1つ以上の高次モード周波数とは異なる複数の指定動作周波数で通信するのが望ましいことを認識した。例えば、体内埋め込み型医療用データ伝送サービス(MICS)帯域範囲の第1動作周波数(例えば、402〜405MHz)と産業科学医療(ISM)帯域範囲の第2動作周波数(例えば、902〜928MHz)、MICS帯域範囲の第1動作周波数と衛星航法システム(GPS)帯域範囲の第2動作周波数(例えば、L1、1572〜1578MHz)、または1つ以上の他の周波数帯域範囲(例えば、第2ISM帯域範囲(例えば、2400〜2500MHz)、L2 GPS帯域範囲(例えば、1224〜1230MHz)、パーソナル通信サービス(PCS)帯域範囲(例えば、1850〜1990MHz)等)の組合せの第1および第2の動作周波数で通信すると有利にできる。
【0033】
一般に、アンテナに沿った表面電流分布は周波数によって変わる。本発明者らは、特に、アンテナをその長さに沿って曲げる、折畳む、またはその他の方法で(例えば、スイッチバック部などの1つ以上の移行部を使用して)変更をすると、(例えば、同様な全長の非折返しアンテナに沿った電流分布に対して)アンテナに沿った電流分布を変えることができると認識した。また、本発明者らは、アンテナの長さに沿った電流分布を変えることによって(例えば、1つ以上の移行部を使用して)、基本モード周波数または1つ以上の高次モード周波数のうちの少なくとも1つを、埋め込み型アンテナの元の基本モード周波数または1つ以上の高次周波数とは異なる、所望の動作周波数に調整できることを認識した。
【0034】
ある実施例では、基本モードは、(例えば、同様な全長の非折返しアンテナの高次モードに対して)高次モードの1つ以上を実質的に変えないで変更することができる。他の実施例では、基本モードと1つ以上の高次モードの両方を変更できる。
【0035】
ある実施例では、本発明者らは、アンテナの全長を、同様な全長の非折返しアンテナが非折返しアンテナの高次モードを使用して第2の所望の動作周波数(例えば、非折返しアンテナの全長の関数として確立される基本モード周波数)でもしくはその付近で共振するように選択して、アンテナを第1動作周波数および第2動作周波数(第2動作周波数は第1動作周波数よりも大きい)で共振するように調整できることを認識した。さらに、この実施例では、本発明者らは、(例えば、少なくともアンテナの長さに沿った第1移行部を使用し、同様な全長の非折返しアンテナに対してアンテナの電流分布を変えて)非折返しアンテナの基本モード周波数が変更されて、高次モードを使用して第2の所望周波数でもしくはその付近で実質的に共振させながら、第1の所望の動作周波数(例えば、非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なる第1の所望の動作周波数)でもしくはその付近で共振させることができることを認識した。
【0036】
一般に、所与のアンテナ長さがあれば、同様な長さの非折返しアンテナの基本モード周波数および高次モード周波数を見積るか、シミュレートするか、またはその他の方法で確立することができる。このため、所望の動作周波数のセットに関して、アンテナの高次モード周波数(例えば、基本モード周波数または高次モード周波数の、所望の動作周波数への調整が行えるように、アンテナの高次モード周波数のうちの1つ付近)と一致する(同様なまたは等しい)所望の動作周波数を提供するように、アンテナの全長が選択される。特定の実施例では、1つ以上の移行部(例えば、スイッチバック部の1つ以上の主要セグメント)が、基本モードまたは1つ以上の高次モードの表面電流の相殺パターンを変更するように、アンテナの長さに沿って配置されて、所望の動作周波数に対して、結果として生じる共振周波数を最適化することができる。
【0037】
ある実施例では、所望の動作周波数に応じて、第2の所望の動作周波数(第2の所望の動作周波数は第1の所望の動作周波数よりも大きい)の移行部の効果を最小化するように(例えば、同様な全長の非折返しアンテナと比較したときの1つ以上の高次モード周波数に対する影響を最小化するための、電流分布の変化の最小化、スイッチバック部等の主要セグメント間の表面電流の相殺の最小化等)、1つ以上の移行部が配置される。他の実施例では、第1の所望の動作周波数の移行部の効果を最適化するように(例えば、同様な全長を有する非折返しアンテナに対する基本モード周波数または1つ以上の高次モード周波数に対する影響を最適化するための、電流分布の変化の最適化、スイッチバック部等の主要セグメント間の表面電流の相殺の最適化等)、1つ以上の移行部が配置される。
【0038】
ある実施例では、埋め込み型モノポールアンテナの第1の所望の動作周波数および第2の所望の動作周波数は、高次モード周波数として第2の所望の動作周波数を有する基本モード周波数の4分の1の波長とほぼ一致する埋め込み型アンテナの全長を選択することによって提供できる。この実施例では、1つ以上の移行部が、(例えば、電流分布を埋め込み型アンテナに沿って変えるように)埋め込み型アンテナの長さに沿って配置されて、基本モード周波数を第1の所望の動作周波数に近づける調整を最適化し、高次モード周波数を第2の所望の動作周波数付近にとどめるための高次モードの調整を最小化することができる。他の実施例では、埋め込み型アンテナの基本モードおよび1つ以上の高次モードの両方を、1つ以上の移行部を使用して、基本モード周波数および1つ以上の高次モード周波数が第1および第2の所望の動作周波数に向かって変位するように最適化できる。
【0039】
ある実施例では、1つ以上の移行部を使用して、埋め込み型アンテナのスイッチバック部の複数のセグメント間の表面電流の方向を、1つ以上の所望の動作周波数に対して、基本モード、1つ以上の高次モード、または基本モードと1つ以上の高次モードの両方を最適化するために使用できる。他の実施例では、1つ以上の移行部を使用して、埋め込み型アンテナのスイッチバック部の単一のセグメントに沿った表面電流の方向を、1つ以上の所望の動作周波数に対して、基本モード、1つ以上の高次モード、または基本モードと1つ以上の高次モードの両方を最適化するために使用できる。他の実施例では、アンテナ構成の1つ以上の他の特性を使用して、スイッチバック部の後続のまたは他のセグメントの様々な部分間の間隔、埋め込み型誘電性隔室の1つ以上の帰路導体間の距離(例えば、地板、導電性ハウジング等)、埋め込み型アンテナの全長、スイッチバック部のセグメントの1つ以上の長さ等、1つ以上の移行部の効果を最適化できる。
【0040】
図1は、埋め込み型遠隔測定回路105に連結されている埋め込み型アンテナ110を含むシステム100の実施例を一般的に図示している。
ある実施例では、埋め込み型遠隔測定回路105は、第1指定動作周波数または第2指定動作周波数のうちの一方を使用して、送信モードで埋め込み型アンテナ110を駆動し、受信モードで埋め込み型アンテナ110から情報を受信するように構成されている。ある実施例では、第1および第2の指定動作周波数は少なくとも1オクターブだけ離すことができるが、直接的に調和関係にすることはできない(例えば、高い方の所望の動作周波数は低い方の所望の動作周波数の奇数倍ではない)。特定の実施例では、システム100は、埋め込み型アンテナ110を駆動するか、または埋め込み型アンテナ110から情報を受信するように構成されている複数の埋め込み型遠隔測定回路を含むことができる。
【0041】
ある実施例では、埋め込み型アンテナ110は、第1または第2の指定動作周波数のうちの少なくとも一方を使用して、生体媒質内から電磁的に情報を無線送信するか、または生体媒質内で電磁的に情報を無線受信するように構成できる。ある実施例では、埋め込み型アンテナ110は、複数(例、2つ以上)の周波数を同時に使用して、電磁的に情報を無線伝送(例えば、送信または受信)するように構成できる。
【0042】
ある実施例では、埋め込み型アンテナ110は、スイッチバック部を含む単一導体から形成される1つ以上の異なるアンテナ構成を含むことができる。ある実施例では、埋め込み型アンテナ110のスイッチバック部は生体媒質内で第1または第2の指定動作周波数のうちの一方の波長の約4分の1と一致する全長を有することができる。ある実施例では、埋め込み型アンテナ110はダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、逆F形アンテナ、逆L形アンテナ、または1つ以上の他のアンテナ構成を含むことができる。
【0043】
図2は、外部モジュール215に無線連結されている埋め込み型機器202を含むシステム200の実施例を一般的に図示している。埋め込み型機器202は、埋め込み型遠隔測定回路206を含む埋め込み型機器ハウジング205と、埋め込み型機器ハウジング205に連結されている埋め込み型誘電性隔室207(例えば、ヘッダー)とを含んでおり、埋め込み型誘電性隔室207は埋め込み型アンテナ210の少なくとも一部を含む。ある実施例では、埋め込み型アンテナ210は初期セグメントを使用して埋め込み型遠隔測定回路206に連結できる。初期セグメントは埋め込み型アンテナ210の一部として含むことができ、埋め込み型アンテナ210の全長に追加される。さらに、埋め込み型機器ハウジング205の少なくとも一部は、埋め込み型アンテナ210の地板を提供するように構成されている導体を含むことができる。
【0044】
ある実施例では、埋め込み型機器202はペースメーカ、除細動器、または1つ以上の他の埋め込み型医療機器を含むことができる。
ある実施例では、外部モジュール215は外部遠隔測定回路216と、外部アンテナ217(例えば、または1つ以上の外部アンテナ)とを含むことができる。ある実施例では、外部モジュール215はローカル医療機器プログラマーまたは他のローカル外部モジュール(例えば、埋め込み型アンテナ210の無線通信内の医療機器プログラマーまたは他の外部モジュール)を含むことができる。他の実施例では、外部モジュール215はリモート医療機器プログラマーまたは1つ以上の他のリモート外部モジュール(例えば、埋め込み型アンテナ210の無線通信範囲外であるが、中継器などのローカル外部機器を使用して埋め込み型機器202に連結されるもの)を含むことができる。
【0045】
図3A、図3B、図3Cは、埋め込み型アンテナ305と、初期セグメント310と、フィードスルー311と、地板315とを含むシステム300〜302の実施例を一般的に図示している。ある実施例では、埋め込み型アンテナは導電性ワイヤまたは導電性ストリップのうちの少なくとも1つを含むことができる。ある実施例では、初期セグメント310は埋め込み型アンテナ305を埋め込み型遠隔測定回路(例えば、埋め込み型遠隔測定回路206)に連結するように構成できる。ある実施例では、埋め込み型遠隔測定回路は埋め込み型機器ハウジング(例えば、埋め込み型機器ハウジング205)に配置でき、初期セグメント310は、埋め込み型機器ハウジングの外側(であるが、埋め込み型誘電性隔室内)に少なくとも一部が配置されている埋め込み型アンテナ305をフィードスルー311を通して埋め込み型遠隔測定回路に連結するように構成できる。ある実施例では、フィードスルー311は埋め込み型機器ハウジングが埋め込み型アンテナ305からの電磁エネルギーの放射を減衰、ショート、またはその他変更させることを防止できる。
【0046】
図3Aは、埋め込み型アンテナ305と初期セグメント310とを含むシステム300の実施例を一般的に図示しており、埋め込み型アンテナ305は地板315の上に配置されている。ある実施例では、地板315は電磁放射の少なくとも一部を埋め込み型アンテナ305にまたは埋め込み型アンテナ305から反射するように構成されている1つ以上の導体を含むことができる。特定の実施例では、地板は埋め込み型機器ハウジング(例えば、埋め込み型機器ハウジング205)の少なくとも一部、または1つ以上の他の導体もしくは地板を含むことができる。
【0047】
図3Aでは、埋め込み型アンテナ305は逆L形構成で地板315の上に位置づけられているモノポールアンテナを含む。この実施例では、埋め込み型アンテナ305はスイッチバック部を含まない。したがって、埋め込み型アンテナ305は、生体媒質内の埋め込み型誘電性隔室に埋め込み型アンテナ305(初期セグメントを含む)の長さの関数として確立される基本モード周波数で電磁的に情報を伝送するように構成できる。さらに、埋め込み型アンテナ305は1つ以上の高次モード(例えば、基本モード周波数の奇数倍)で電磁的に情報を伝送するように構成できる。
【0048】
図3Bは、埋め込み型アンテナ305と、初期セグメント310とを含むシステム301の実施例を一般的に図示しており、埋め込み型アンテナ305は地板315の上に配置されている。図3Aの実施例とは対照的に、図3Bの埋め込み型アンテナ305は第1主要セグメント330および第2主要セグメント331を有するスイッチバック部を含む。
【0049】
ある実施例では、埋め込み型アンテナ305は第1主要セグメント330を第2主要セグメント331に連結するように構成されている第1移行部320を含む。特定の実施例では、第1移行部320は第1主要セグメント330から第2主要セグメント331まで、曲げ、曲線、直線セグメント、または1つ以上の他の移行部を含む。ある実施例では、第1移行部は埋め込み型アンテナ305に沿って表面電流分布を変更するように構成できる。
【0050】
ある実施例では、第1主要セグメントの長さは埋め込み型アンテナ305の基本モード周波数の有効波長の一部(例えば、所望の動作周波数に応じて、基本モード周波数の有効波長の8分の1、または1つ以上の他の長さ)と一致させることができる。図3Bの実施例では、第1移行部320の長さは第1主要セグメント330の長さよりもはるかに短い(例えば、少なくとも5分の1)。特定の実施例では、第1移行部320の長さは、埋め込み型アンテナ305の直径または幅(例えば、ワイヤの直径、ストリップの幅等)の約3倍の最低長さを有することができる。特定の実施例では、第1主要セグメント330または第1移行部の長さは、埋め込み型アンテナ305を収納する埋め込み型誘電性隔室(例えば、埋め込み型誘電性隔室207)のサイズ(例えば、高さ、長さ、または幅の1つ以上)によって制限できる。
【0051】
ある実施例では、各主要セグメントの長さが短い(例えば、第1移行部320の長さに実質的に等しい)場合、第1主要セグメント330と第2主要セグメント331との間に表面電流の相殺が起こり、埋め込み型アンテナ305の放射効率が低下する。しかし、第1主要セグメント330および第2主要セグメント331の長さが波長に対して長いため、埋め込み型アンテナ305の放射効率は、重なったセグメント部分での表面電流の大きさの違いのためにそれほど影響を受けない。例えば、図3Bの実施例では、第1主要セグメント330の近位端(初期セグメント310付近)で、表面電流の大きさが高い。しかし、第2主要セグメント331の遠位端にあたる第2主要セグメント331の重なった部分では、表面電流の大きさが低い(例えば、ゼロまたはほぼゼロ)ため、2点間の表面電流の相殺の量は微々たるものである。各主要セグメントの長さがより短い場合には、埋め込み型アンテナの表面電流の相殺の量は、重なった部分での表面電流の大きさがおそらくより高くなるためにより大きくなるであろう。
【0052】
さらに、複数の主要セグメントの物理的な向きはそれらの間の表面電流の相殺に影響を与えることができる。ある実施例では、第1主要セグメント330の少なくとも一部は第2主要セグメント331の少なくとも一部に(または1つ以上の他のセグメントに)平行にできる。しかし、平行なセグメントは表面電流の相殺によって、より大きな影響を受けることがある。他の実施例では、第1主要セグメント330の少なくとも一部は第2主要セグメント331の少なくとも一部に逆平行にできる。ある実施例では、逆平行のセグメントは表面電流の相殺による影響を少なくすることができる。さらに、主要セグメント間の間隔はスイッチバック部の表面電流の相殺に影響を与えることができる。特定の実施例では、主要セグメント間の距離を小さくすると、相殺電流の近接により、その間の表面電流の相殺の可能性が大きくなる。
【0053】
特定の実施例では、埋め込み型アンテナ305のスイッチバック部の主要セグメントの1つ以上は、直線または実質的に直線のセグメントを含む。他の実施例では、第1主要セグメント330は、第2主要セグメント331と同じ長さか、または実質的に同じ長さにできる。ある実施例では、第1主要セグメント330および第2主要セグメント331は生体媒質内の同じ有効動作周波数波長に比例するが、実際の長さはやや異なる。他の実施例では、第1主要セグメント330または第2主要セグメント331の長さの1つ以上を、第1または第2の指定動作周波数で効率的に通信するように増減できる。
【0054】
図3Cは、埋め込み型アンテナ305と初期セグメント310とを含むシステム302の実施例を一般的に図示しており、埋め込み型アンテナ305は地板315の上に配置されている。図3Cの埋め込み型アンテナ305は、第1主要セグメント332と第2主要セグメント333と第3主要セグメント334とを有するスイッチバック部を含む。ある実施例では、埋め込み型アンテナ305は、第1主要セグメント332を第2主要セグメント333に連結するように構成されている第1移行部320と、第2主要セグメント333を第3主要セグメント334に連結するように構成されている第2移行部321とを含む。ある実施例では、第2移行部321は、基本モード周波数または1つ以上の高次モード周波数で埋め込み型アンテナ305に沿った表面電流分布を変更するように構成されているが、少なくとも部分的には第2移行部321での表面電流の大きさが第1移行部320よりも低いために、第1移行部320よりも小さい。
【0055】
ある実施例では、第2主要セグメント333および第3主要セグメント334の長さは、第1主要セグメント332に続く埋め込み型アンテナ305のスイッチバック部の全長の残りを提供するように構成されている。特定の実施例では、埋め込み型アンテナ305のスイッチバック部の複数のセグメント間の表面電流の相殺のために、スイッチバック部の全長または埋め込み型アンテナ305の全長は、4分の1波長の非折返しアンテナに必要なものよりも長くすることができる。特定の実施例では、スイッチバック部のセグメントの数は、埋め込み型アンテナに利用できる長さに依存させることができる(例えば、埋め込み型アンテナが埋め込み型誘電性隔室内にあるとき、スイッチバック部のセグメントの数は埋め込み型誘電性隔室の全長または使用可能な長さに依存させることができる)。様々な実施例では、スイッチバック部のセグメントの数は、図3Cの実施例に図示する3つのセグメントよりも多くまたは少なく含むことができる。したがって、セグメントの長さはスイッチバック部のセグメントの数および1つ以上の所望の動作周波数に依存させることができる。
【0056】
ある実施例では、埋め込み型アンテナ305は、3つの主要セグメントを有するスイッチバック(例えば、ジグザグ、折返し等)部を含むことができる。特定の実施例では、3つの主要セグメントのそれぞれを、低い方の所望の動作周波数の有効波長の8分の1と一致させて、埋め込み型アンテナ305の全長を、高い方の所望の動作周波数でまたはその近傍で高次モード周波数を有する基本モード周波数の有効波長の4分の1と一致させることができる。第1主要セグメント332の長さは、高次モード周波数の1つ以上を実質的に保持しながら、埋め込み型アンテナの基本モード周波数を変更するように構成されている。
【0057】
ある実施例では、3つの主要セグメントは、所望の動作周波数に応じて、わずかにまたは実質的に異なる長さを有する実質的に線形のアンテナセグメントを含むことができる。さらに、3つの主要セグメントの1つ以上は、所望の動作周波数に応じて、1つ以上の他の主要セグメントと平行にするか、または1つ以上の他の主要セグメントと同じかまたは異なる長さにすることができる。
【0058】
他の実施例では、埋め込み型アンテナ305のスイッチバック部の第1主要セグメント332の幾何学的方向は、埋め込み型アンテナの第2主要セグメント333の幾何学的方向に実質的に対向させることができる。ある実施例では、第1主要セグメント332の近位端から第1主要セグメント332の遠位端までの幾何学的方向は、第2主要セグメント333の近位端から第2主要セグメント333の遠位端までの幾何学的方向に実質的に対向させることができる(例えば、180度、135度等の対向)。
【0059】
一般に、埋め込み型アンテナ305が第1または第2の所望の動作周波数範囲を達成する能力に影響を与えることのできる要因には、埋め込み型アンテナ305の全長、埋め込み型アンテナ305のスイッチバック部のセグメントの総数、スイッチバックセグメントの長さ、スイッチバックセグメント間の間隔等が含まれる。
【0060】
ある実施例では、埋め込み型アンテナは、MICS帯域周波数範囲の第1指定動作周波数(例えば、402〜405MHz)およびISM帯域周波数範囲の第2指定動作周波数(例えば、902〜928MHz)を使用して、電磁的に情報を無線伝送するように構成できる。
【0061】
ある実施例では、ISM帯域周波数は埋め込み型アンテナの高次モードを使用して提供できる。ある実施例では、埋め込み型アンテナの基本モード周波数は、埋め込み型アンテナの全長(例えば、埋め込み型アンテナの基本モード周波数の有効波長の4分の1)と対応させることができる。ある実施例では、全長は、第1高次モード周波数(例えば、基本モード周波数の約3倍)がISM帯域周波数とほぼ一致するように選ぶことができる。
【0062】
さらに、本発明者らは、特に、同様な全長の非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なる基本モードで所望の動作周波数を提供するために、1つ以上のスイッチバック部を画成する埋め込み型アンテナの長さに沿って配置される1つ以上の移行部が、埋め込み型アンテナの基本モード周波数を変更、調整または離調するように構成できることを認識した。
【0063】
図4Aは、各セグメントが基本モード周波数の有効波長の4分の1と一致する第1長さ440を有する2つのセグメントを含む非折返しダイポールアンテナ405の実施例を一般的に図示している。
【0064】
ある実施例では、非折返しダイポールアンテナ405の基本モード周波数は、所望の動作周波数に近い高次モード周波数(例えば、セグメントの数または所望の動作周波数に応じた、第1高次モード周波数、または他の高次モード周波数)を提供できる。ある実施例では、約305MHzの基本モード周波数を有する非折返しアンテナは、ISM帯域周波数範囲の中心周波数である915MHzに近い第1高次モード周波数を含む。
【0065】
図4Bは、非折返しダイポールアンテナ405の基本モードでの非折返しダイポールアンテナ405に沿った第1表面電流分布410の実施例を一般的に図示している。基本モードでの第1表面電流分布410は、非折返しダイポールアンテナ405の給電点で最大となり、各アンテナセグメントの末端でまたはその付近でゼロまで低下するように変動する。
【0066】
図4Cは、非折返しダイポールアンテナ405の第1高次モードでの非折返しダイポールアンテナ405に沿った第2表面電流分布411の実施例を一般的に図示している。高次モードでの第2表面電流分布411は、非折返しダイポールアンテナ405の基本モードでの第1表面電流分布410とは異なるが、変動する。
【0067】
特定の実施例では、第2表面電流分布411は第1表面電流分布410とは異なるため、非折返しダイポールアンテナ405の移行部は第2表面電流分布411とは異なる形で、第1表面電流分布410に影響を与えることができる。ある実施例では、1つ以上の移行部は非折返しダイポールアンテナ405の基本モードの表面電流分布を変更するとともに、非折返しダイポールアンテナ405の1つ以上の高次モードでの表面電流分布を別の形で変更するか、または実質的に変更しないままにするように構成できる。
【0068】
ある実施例では、1つ以上の移行部は、基本モード周波数を変えて、基本モードでの表面電流分布を最適化して、同様な全長の非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なる第1指定動作周波数を提供しながら、高次モードの変化を最小限にして、同様な全長の非折返しアンテナの高次モード周波数に関して第2指定動作周波数を保持するように構成できる。他の実施例では、基本モードおよび1つ以上の高次モードの両方での表面電流分布を最適化して、1つ以上の移行部は、第1および第2の所望の動作周波数を提供するように構成できる。
【0069】
図5Aは、スイッチバック部を画成する1つ以上の移行部を含む3セグメントの折返しダイポールアンテナ505(図4Aの実施例に図示するような)の実施例を一般的に図示している。図5Aの実施例では、スイッチバック部は第1主要セグメント532と、第2主要セグメント533と、第3主要セグメント534とを含み、第1主要セグメント532は第1移行部520を使用して第2主要セグメント533に連結されており、第2主要セグメント533は第2移行部521を使用して第3主要セグメント534に連結されている。ある実施例では、各主要セグメントは第2長さ541を有し、各移行部は第3長さ542を有する。ある実施例では、図4Aの第1長さ440は図5Aの第2長さ541および第3長さ542に以下のように関係付けることができる。
【0070】
第1長さ440≒(3×第2長さ541)+(2×第3長さ542)
他の実施例では、主要セグメントまたは移行部の1つ以上は、所望の動作周波数に応じて、1つ以上の他の長さを含むことができる。
【0071】
ある実施例では、図4Aに図示するダイポールアンテナはISM帯域周波数範囲の高次モード周波数(例えば、第1高次モード周波数)を含む基本モード周波数を有することができる。図5Aに図示するように、1つ以上の移行部が3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の長さに沿って配置されて、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の基本モードを変更する。ある実施例では、第1主要セグメント532の長さが所望の動作周波数の有効波長の8分の1と一致するように第1移行部520が配置されて、MICS帯域周波数範囲の所望の動作周波数を提供することができる。ある実施例では、第1、第2および第3の主要セグメントのそれぞれを所望の動作周波数範囲の有効波長の8分の1と個々に一致させることができる。
【0072】
図5Bは、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の基本モードでの3セグメントの折返しダイポールアンテナ505に沿った第1表面電流分布510の実施例を一般的に図示している。
【0073】
図5Cは、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の第1高次モードでの3セグメントの折返しダイポールアンテナ505に沿った第2表面電流分布511の実施例を一般的に図示している。
【0074】
図5Bに図示するように、基本モードでは、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の第1主要セグメントにおける第1表面電流分布510の方向は、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の第2主要セグメントにおける第1表面電流分布510の方向に概ね対向する。したがって、表面電流の相殺が起こる可能性があり、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の基本モードに影響する。
【0075】
しかし、図5Cの実施例に図示するように、第1高次モードでは、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の第1主要セグメントにおける第2表面電流分布511の方向は、3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の第2主要セグメントにおける第2表面電流分布511の方向に実質的に対向していない。ここでは、表面電流の相殺はそれほど起こることはなく、基本モードほど3セグメントの折返しダイポールアンテナ505の第1高次モードに影響しない。
【0076】
したがって、図5Aのスイッチバック構成は第1高次モードよりも基本モードに大きく影響する。
図6は、2つの実施例のアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係600の実施例を一般的に図示している。この実施例では、プロット601は、約300MHzで基本モード周波数を有する(例えば、図4Aに図示するような)非折返しダイポールアンテナの反射減衰量特性の実施例を一般的に図示している。プロット601は、この実施例では、高次モード周波数は基本モード周波数の奇数倍(例えば、約900MHz、約1.5GHz、2.1GHz、2.7GHz等)で生じる。さらに、この実施例では、プロット602は約900MHzで高次モード周波数を有するが、約400MHzで基本モード周波数を有する(例えば、図5Aに図示するような)スイッチバック部を有する折返しダイポールアンテナの実施例を一般的に図示している。
【0077】
図7は、第1主要セグメント706と第2主要セグメント707と第3主要セグメント708とを含むスイッチバック部を有する埋め込み型アンテナ705を含むシステム700の実施例を一般的に図示している。特定の実施例では、埋め込み型アンテナは、第1主要セグメント706を第2主要セグメント707に連結するように構成されている第1移行部720と、第2主要セグメント707を第3主要セグメント708に連結するように構成されている第2移行部721とを含む。ある実施例では、埋め込み型アンテナ705は埋め込み型アンテナ705のスイッチバック部の第1主要セグメント706とは異なる初期セグメント710を含み、初期セグメント710は、第1主要セグメント706をフィードスルー711を通して埋め込み型機器ハウジング内の埋め込み型遠隔測定回路に連結するように構成される。
【0078】
特定の実施例では、フィードスルー711は第1主要セグメント706からある距離のところに配置されている。特定の実施例では、埋め込み型アンテナ705は、第1主要セグメント706の近位端から第3主要セグメント708の遠位端まで、または初期セグメント710の近位端から第3主要セグメント708の遠位端まで延びる1本のワイヤ(例えば、0.381mmの直径を有する)など、単一の連続導体を含む。
【0079】
特定の実施例では、初期セグメント710が含まれる場合、埋め込み型アンテナ705を所望の動作周波数に同調させて、埋め込み型アンテナ705の入力インピーダンスに影響を与えるか、または1つ以上のアンテナ特性にその他の変化、変更または影響を与えるように、初期セグメント710の長さまたは形状が、選択される。ある実施例では、帰路導体(例えば、地板または他の導体)に対して初期セグメント710の少なくとも一部の間に物理的な配列を提供することができ、物理的な配列を使用して、2008年10月16日に出願され、その全体を本書に組み込む「IMPEDANCE−CONTROLLED IMPLANTABLE TELEMETRY ANTENNA」と題する、本発明の譲受人に譲渡されたデイヴィッド・ギェムら(David Nghiem et.al)の米国仮出願第61/106,068号に記述されるように、埋め込み型アンテナ705の入力インピーダンスを制御することによって、埋め込み型アンテナ705に連結される埋め込み型遠隔測定回路の出力インピーダンスとの生体媒質内における実質的な共役整合を提供することができる。
【0080】
図7の実施例では、埋め込み型アンテナ705は、1つ以上のポートまたはレセプタクルを有する埋め込み型誘電性隔室内に配置されるように構成できる。ある実施例では、1つ以上のポートまたはレセプタクル(例えば、典型的には1から5)は、1つ以上のリード線または電極を受け取るように構成できる。したがって、1つ以上のリード線または電極は、患者からの生理学的情報を受信するか、または1つ以上の治療を患者に送達するために使用される。ある実施例では、埋め込み型アンテナ705は、埋め込み型誘電性隔室内に1つ以上のポートもしくはレセプタクル、または1つ以上の他の導体を避けるように構成できる。
【0081】
図7の実施例では、埋め込み型アンテナ705は複数の平面に存在できる。さらに、1つ以上の主要セグメント(例えば、第1主要セグメント706、第2主要セグメント707、または第3主要セグメント708)は、埋め込み型誘電性隔室の側面に沿ってもしくはその付近に、または埋め込み型誘電性隔室の上面に沿ってもしくはその付近に配置されるように構成できる。図7の実施例では、第1主要セグメント706は埋め込み型誘電性隔室(図示せず)の側面の付近に配置されるように構成され、第3主要セグメント708は埋め込み型誘電性隔室の上面近傍に配置されるように構成されている。
【0082】
ある実施例では、生体媒質内でMICS帯域周波数範囲の第1指定動作周波数およびISM帯域周波数範囲の第2指定動作周波数を提供するために、埋め込み型アンテナ705は24.35mmの初期セグメントの長さ、29.5mmの第1主要セグメントの長さ、30mmの第2および第3主要セグメントの長さ、3.3mmの第1移行部の長さ、および3.75mmの第2移行部の長さを有する。他の実施例では、同じかもしくは同様な動作周波数を提供するために、または1つ以上の他の指定動作周波数を提供するために、1つ以上の他の長さを使用できる。
【0083】
図8は、図7に図示するアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係800の実施例を一般的に図示している。この実施例では、プロット801は、図7に図示するアンテナ構成が約420MHzで基本モード周波数を、約1GHzで第1高次モード周波数を有することを一般的に図示している。
【0084】
図9は、第1主要セグメント906と第2主要セグメント907と第3主要セグメント908とを含むスイッチバック部を有する埋め込み型アンテナ905を含むシステム900の実施例を一般的に図示している。特定の実施例では、埋め込み型アンテナは第1主要セグメント906を第2主要セグメント907に連結するように構成されている第1移行部920と、第2主要セグメント907を第3主要セグメント908に連結するように構成されている第2移行部921とを含む。ある実施例では、埋め込み型アンテナ905は埋め込み型アンテナ905のスイッチバック部の第1主要セグメント906とは異なる初期セグメント910を含み、初期セグメント910は、第1主要セグメント906をフィードスルー911を通して埋め込み型機器ハウジング内の埋め込み型遠隔測定回路に連結するように構成されている。
【0085】
図9の実施例では、第1主要セグメント906、第2主要セグメント907および第3主要セグメント908は、埋め込み型誘電性隔室の1側面に沿って配置されるように構成され、初期セグメント910は、第1主要セグメント906を埋め込み型遠隔測定回路に連結するように構成できる。
【0086】
特定の実施例では、他の主要セグメントよりも基本モードで高い表面電流を有する第1主要セグメント906を、埋め込み型アンテナ905の1つ以上の他の主要セグメントよりも埋め込み型機器ハウジングまたは地板から遠くに位置づけるようにできる。ある実施例では、第1主要セグメント906を埋め込み型機器ハウジングまたは地板からより遠くに位置づけることにより、第1主要セグメント906と埋め込み型機器ハウジングまたは地板との間の表面電流の相殺の量を小さくすることができ、したがって、埋め込み型アンテナ905の放射効率にごくわずかな影響しか与えないようにすることができる。他の実施例では、第1主要セグメント906は、埋め込み型アンテナ905の他の主要セグメントの1つ以上よりも埋め込み型機器ハウジングまたは地板の近くに位置づけることができる。
【0087】
ある実施例では、生体媒質を含む複雑な誘電体媒質でMICS帯域周波数範囲の第1指定動作周波数およびISM帯域周波数範囲の第2指定動作周波数を提供するために、埋め込み型アンテナ905は24.8mmの初期セグメントの長さ、28mmの第1主要セグメントの長さ、26.5mmの第2主要セグメントの長さ、27mmの第3主要セグメントの長さ、および4.7mmの第1および第2移行部の長さを有する。他の実施例では、同じかもしくは同様な動作周波数を提供するために、または1つ以上の他の指定動作周波数を提供するために、1つ以上の他の長さを使用することができる。
【0088】
他の実施例では、2つ以上の主要セグメントの少なくとも一部を医療機器ハウジングまたは地板から等距離に配置できる。
図10は、図9に図示するアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係1000の実施例を一般的に図示している。この実施例では、プロット1001は、図9に図示するアンテナ構成が約400MHzで基本モード周波数を有し、且つ約960MHzで第1高次モード周波数を有することを一般的に図示している。
【0089】
図11は、第1主要セグメント1106と第2主要セグメント1107と第3主要セグメント1108とを含むスイッチバック部を有する埋め込み型アンテナ1105を含むシステム1100の実施例を一般的に図示している。特定の実施例では、埋め込み型アンテナは第1主要セグメント1106を第2主要セグメント1107に連結するように構成されている第1移行部1120と、第2主要セグメント1107を第3主要セグメント1108に連結するように構成されている第2移行部1121とを含む。ある実施例では、埋め込み型アンテナ1105は埋め込み型アンテナ1105のスイッチバック部の第1主要セグメント1106とは異なる初期セグメント1110を含み、初期セグメント1110は第1主要セグメント1106をフィードスルー1111を通して埋め込み型機器ハウジング内の埋め込み型遠隔測定回路に連結するように構成されている。
【0090】
図11の実施例では、第1主要セグメント1106は埋め込み型アンテナ1105の1つ以上の他の主要セグメントよりも埋め込み型機器ハウジングまたは地板の近くに配置されるように構成できる。ある実施例では、生体媒質を含む複雑な誘電体媒質でMICS帯域周波数範囲の第1指定動作周波数およびISM帯域周波数範囲の第2指定動作周波数を提供するために、埋め込み型アンテナ1105は22.5mmの初期セグメントの長さ、28mmの第1主要セグメントの長さ、26.5mmの第2主要セグメントの長さ、27mmの第3主要セグメントの長さ、および4.7mmの第1および第2移行部の長さを有する。他の実施例では、同じかもしくは同様な動作周波数を提供するために、または1つ以上の他の指定動作周波数を提供するために、1つ以上の他の長さを使用することができる。
【0091】
図12は、図11に図示するアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係1200の実施例を一般的に図示している。この実施例では、プロット1201は、図11に図示するアンテナ構成が約430MHzで基本モード周波数を有し、且つ約1000MHzで第1高次モード周波数を有することを一般的に図示している。
【0092】
図13Aは、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305(図4Aの実施例に図示するような)の実施例を概略的に図示している。ある実施例では、2セグメントのダイポールアンテナ1305はスイッチバック部を画成する2つの主要セグメントを含む。図13Aの実施例では、スイッチバック部は第1主要セグメント1332と第2主要セグメント1333とを含み、第1主要セグメント1332は第1移行部1320を使用して第2主要セグメント1333に連結されている。ある実施例では、各主要セグメントは第4長さ1343を有し、第1移行部1320は第5長さ1344を有する。ある実施例では、図4Aの第1長さ440は、図13Aの第4長さ1343および第5長さ1344に以下のように関係付けられる。
【0093】
第1長さ440≒(2×第4長さ1343)+第5長さ1344
他の実施例では、主要セグメントまたは移行部のうちの1つ以上は、所望の動作周波数に応じて1つ以上の他の長さを含むことができる。
【0094】
ある実施例では、図4Aに図示する非折返しダイポールアンテナは、GPS帯域周波数範囲(例えば、1572〜1578MHz)の高次モード周波数(例えば、第2高次モード周波数)を提供する基本モード周波数(例えば、約315MHz)を有する。図13Aに図示するように、第1移行部が、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の長さに沿って配置されて、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の基本モードを変更する。ある実施例では、基本モードでスイッチバック部の表面電流分布を変更して、MICS帯域周波数範囲で第1の所望の動作周波数を提供し、高次モードでスイッチバック部の表面電流分布の変化を最小化して、GPS帯域周波数範囲で第2の所望の動作周波数を提供するように、第1移行部1320が配置される。ある実施例では、第1主要セグメント1332の第1長さは、GPS帯域周波数範囲で高次モード周波数を提供する(例えば、図4Aに図示する)非折返しアンテナの基本モード周波数の有効波長の8分の1と一致させることができる。この実施例では、第1主要セグメント1332の第1長さは、約315MHzの有効波長の8分の1と一致させることができる。
【0095】
他の実施例では、2セグメントのスイッチバック部を使用して基本モードまたは高次モードのうちの1つ以上を使用または変更して、1つ以上の他の所望の動作周波数を提供することができる。この実施例では、1つ以上の異なる主要セグメント長さ、移行部長さ等を使用して、1つ以上の他の所望の動作周波数を提供できる。他の実施例では、基本モードと1つ以上の高次モードの両方を変更して、所望の動作周波数を提供することができる。
【0096】
図13Bは、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の基本モードでの2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305に沿った第1表面電流分布1310の実施例を概略的に図示している。
【0097】
図13Cは、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の第2高次モードでの2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305に沿った第2表面電流分布1311の実施例を概略的に図示している。
【0098】
図13Bの実施例に図示するように、基本モードで、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の第1主要セグメントにおける第1表面電流分布1310の方向は、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の第2主要セグメントにおける第1表面電流分布1310の方向とは概ね対向する。したがって、表面電流の相殺が起こる可能性があり、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の基本モード周波数に影響を与える。
【0099】
しかし、図13Cの実施例に図示するように、第2高次モードでは、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の第1主要セグメントにおける第2表面電流分布1311の方向は、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の第2主要セグメントにおける第2表面電流分布1311の方向に実質的に対向していない。ここでは、表面電流の相殺はそれほど起こらず、2セグメントの折返しダイポールアンテナ1305の第1高次モードに対する第1移行部の影響を最小化する。
【0100】
したがって、図13Aのスイッチバック構成は、第2高次モード周波数よりも基本モード周波数に大きく影響する。他の実施例では、1つ以上の他の高次モード周波数に影響を与え、利用することができる。
【0101】
図14は、2つの実施例のアンテナ構成の反射減衰量(デシベル単位)と周波数(GHz単位)との関係1400の実施例を概略的に図示している。この実施例では、プロット1401は、約300MHzで基本モード周波数を有する(例えば、図4Aに図示するような)非折返しダイポールアンテナの反射減衰量特性の実施例を概略的に図示している。プロット1401は、この実施例では、高次モードは基本モード周波数の奇数倍(例えば、約900MHz、約1.5GHz、2.1GHz、2.7GHz等)で生じることを概略的に図示している。さらに、この実施例では、プロット1402は、約1.6GHzで第2高次モード周波数を有するが、約400MHzで基本モード周波数を有する(例えば、図14Aに図示するような)スイッチバック部を有する折返しダイポールアンテナの実施例を一般的に図示している。
【0102】
図15は、異なる第1または第2の指定動作周波数で電磁的に情報を無線伝送することを含む方法1500の実施例を概略的に図示している。電磁的に情報を無線伝送することは、電磁的に情報を無線送信または受信することを含むことができる(例えば、1つ以上の指定動作周波数を使用して、送受信を同時に行う)。ある実施例では、埋め込み型アンテナは埋め込み型遠隔測定回路の送信モードで駆動し、または埋め込み型アンテナからの情報を埋め込み型遠隔測定回路の受信モードで受信する。ある実施例では、駆動または受信することは、異なる第1または第2の指定動作周波数を使用することを含む。特定の実施例では、第1指定動作周波数は第2指定動作周波数とは異なる。
【0103】
1505で、スイッチバック部を含む埋め込み型アンテナを使用して異なる第1または第2の指定動作周波数で情報を電磁的に無線伝送する。ある実施例では、情報は第1および第2の両方の指定動作周波数で無線伝送する。他の実施例では、情報は第1または第2の指定動作周波数のうちの一方を使用して無線伝送できるが、埋め込み型アンテナは他の指定動作周波数で情報を無線伝送するように構成できる。
【0104】
1510で、第2指定動作周波数(例えば、第1指定動作周波数よりも高いもの)を、埋め込み型アンテナの全長を使用して埋め込み型アンテナの第1高次モードで提供できる。
【0105】
ある実施例では、非折返し埋め込み型アンテナを基準として、第1高次モードを使用して第2指定動作周波数を提供する基本モード周波数を画成する全長が選択される。非折返しアンテナの基本モード周波数は、埋め込み型アンテナのスイッチバック部を画成する非折返し埋め込み型アンテナの長さに沿った1つ以上の移行部を用いて変更または変化させる。
【0106】
ある実施例では、1つ以上の移行部は、基本モード、および1つ以上の高次モードで別々に埋め込み型アンテナに沿った表面電流分布を変更または変化させることができる。これらの実施例では、高次モードの第1および第2の主要セグメント(または1つ以上の他のセグメント)の重なった部分の表面電流は同じ方向に向けることができるので、複数のセグメント間の表面電流の相殺の量が相対的に小さくなる。したがって、特定の実施例では、スイッチバック部を含む埋め込み型アンテナの第2指定動作周波数は全長の等しい非折返し埋め込み型アンテナの高次モード周波数に実質的に類似したままにすることができる。
【0107】
他の実施例では、埋め込み型アンテナの第1および第2の主要セグメント(または1つ以上の他のセグメント)の重なった部分の高次モードの表面電流の方向は互いに部分的に対向させることができ、または部分的に同じ方向に向けることができる。ある実施例では、互いに対向する第1および第2の主要セグメントの重なった部分の高次モードの表面電流が大きいほど、第2指定動作周波数の変化も大きくできる。特定の実施例では、埋め込み型アンテナの全長、埋め込み型アンテナのスイッチバック部の全長、または埋め込み型アンテナの1つ以上の部分(例えば、初期セグメント、1つ以上の主要セグメント、1つ以上の移行部等)の全長は、埋め込み型アンテナの第1および第2の主要セグメント(または1つ以上の他のセグメント)において、対向する表面電流を補償(増減)するように変更できる。
【0108】
ある実施例では、第1主要セグメントの第1長さは低い方の指定動作周波数の有効波長の約8分の1を含み、約403.5MHzで第1指定動作周波数を提供し、且つ約915MHzで第2指定動作周波数を提供することができる。
【0109】
1515で、(前述したとおり)埋め込み型アンテナの基本モードで第1指定動作周波数を提供でき、埋め込み型アンテナの基本モード周波数は全長の等しい非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なり、その差は、少なくとも第1主要セグメントの第1長さを使用して提供される。
【0110】
他の実施例では、2つ以上の周波数での無線通信を提供するために、1つ以上の周波数を選択でき、1つ以上の他のアンテナの長さを選択できる。さらに、特定の実施例では、アンテナを同調させるために、本発明者らは、アンテナの長さを長くして、1つ以上の指定動作周波数での伝送特性を改善することを認識した。例えば、埋め込み型アンテナの全長は第1のまたは低い方の所望の動作周波数の有効波長の4分の1を超えることができる。
【0111】
ある実施例では、(例えば、所望の動作周波数を取り囲む両周波数帯域での通信を提供するため)所望の動作周波数は2つの動作帯域間で選択できる。ある実施例では、第1または第2の所望の動作周波数のうちの一方は、各バンドでの通信を提供するためにISMとSRDの帯域範囲間で選択できる。特定の実施例では、第2の所望の動作周波数は1つ以上の他の動作帯域(例えば、MICS帯域範囲)で、または2つの動作帯域間で選択できる。
【0112】
特定の実施例では、埋め込み型アンテナは埋め込み型誘電性隔室内に嵌め込むように構成できる。様々な実施例では、異なる誘電性隔室は異なる形状、サイズ、またはその内部の構成部品を有することができる。したがって、特定の実施例では、埋め込み型アンテナの部分の1つ以上(例えば、初期セグメント、主要セグメント、移行部等の1つ以上)を、所望の動作周波数での通信を提供するように変更できる(例えば、長くする、または短くする)。ある実施例では、埋め込み型アンテナの初期セグメントを長くすることができ、それに応じてスイッチバック部の第3主要セグメントを短くできる。他の実施例では、1つ以上の他の部分を変更できる。特定の実施例では、埋め込み型アンテナの全長を一定に維持できる。しかし、他の実施例では、特定のセグメント(例えば、第1主要セグメント)への変更が他のものよりも大きく動作(例えば、結果として発生する動作周波数)に影響を与えることができ、それに応じた割合を占めることができる。
補記
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部をなす添付の図面の参照を含む。図面は例として、本発明を実施できる具体的な実施形態を示している。これらの実施形態は本明細書において「実施例」とも呼ばれる。かかる実施例は図示して説明された要素以外の要素を含むことができる。しかし、本発明者らは図示して説明される要素のみが提供される実施例も企図する。
【0113】
本書で参照されるすべての出版物、特許および特許文献は、参照により個々に組み込まれたごとくに参照によりその全体がこれに組み込まれる。本書と、そのように参照により組み込まれたそれらの文書との間に矛盾する用法がある場合、組み込まれた参照文献での用法は、本書の補足と考えるべきである。矛盾が解消されない場合、本書の用法に準拠する。
【0114】
本明細書において、「または」という用語は、別段の指示がない限り、非排他的なことをいうために、または、「AまたはB」は「AであってBではない」、「BであってAではない」および「AとB」を含むように使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチバンド埋め込み型遠隔測定システムであって、
埋め込み型アンテナに連結されている埋め込み型遠隔測定回路であって、前記埋め込み型遠隔測定回路は第1指定動作周波数または第2指定動作周波数のうちの少なくとも一方を使用して、送信モードで前記埋め込み型アンテナを駆動し、受信モードで前記埋め込み型アンテナから情報を受信するように構成されて、前記第2指定動作周波数は前記第1指定動作周波数とは異なる、前記埋め込み型遠隔測定回路を備える前記マルチバンド埋め込み型遠隔測定システムにおいて、
前記埋め込み型アンテナは、前記第1および第2の指定動作周波数を使用して、生体媒質内から電磁的に情報を無線送信するか、または前記生体媒質内で電磁的に情報を無線受信するように構成され、
前記埋め込み型アンテナは、
第1長さを有する第1主要セグメントと、
第2長さを有する第2主要セグメントと、
第3長さを有する第3主要セグメントと、
を含むスイッチバック部を含み、前記第1、第2および第3の主要セグメントはスイッチバック構成に配列され、
前記第1指定動作周波数は前記埋め込み型アンテナの基本モードで提供され、前記埋め込み型アンテナの前記基本モード周波数は全長の等しい非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なり、前記差は前記第1主要セグメントの少なくとも第1長さを使用して提供され、
前記第2指定動作周波数は、前記埋め込み型アンテナの全長を使用して前記埋め込み型アンテナの第1高次モードで提供される、マルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項2】
前記埋め込み型アンテナの前記第1高次モード周波数は、全長の等しい前記非折返しアンテナの前記第1高次モード周波数と一致する、請求項1に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項3】
前記第1主要セグメントの前記第1長さは、
(1)前記第1指定動作周波数を提供するために、前記埋め込み型アンテナの前記基本モードで前記第1主要セグメントと前記第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最適化し、および
(2)前記第2指定動作周波数を提供するために、前記埋め込み型アンテナの前記第1高次モードで前記第1主要セグメントと前記第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最小化するように構成されている、請求項1から2のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項4】
前記第1主要セグメントの前記第1長さは、前記第1指定動作周波数の有効波長の8分の1と一致する、請求項1から3のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項5】
前記第1主要セグメントの前記第1長さ、前記第2主要セグメントの前記第2長さ、および前記第3主要セグメントの前記第3長さのそれぞれは、前記第1指定動作周波数の前記有効波長の8分の1と個々に一致する、請求項4に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項6】
前記第1主要セグメントは、前記第2主要セグメントよりも地板から遠くに配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項7】
前記第1主要セグメントは、前記第2主要セグメントよりも地板の近くに配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項8】
前記第1主要セグメントの少なくとも一部は、前記第2主要セグメントの少なくとも一部と地板から等距離に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項9】
前記埋め込み型アンテナはワイヤアンテナを含み、前記第2主要セグメントの少なくとも一部は前記第1主要セグメントの少なくとも一部から第1距離だけ離れており、前記第1距離は、前記ワイヤアンテナの直径よりも少なくとも3倍だけ大きく、前記第1主要セグメントの前記第1長さは、前記第1と第2の主要セグメント間の前記第1距離よりも少なくとも5倍だけ大きい、請求項1から8のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項10】
前記埋め込み型アンテナの前記スイッチバック部は前記第1と第2の主要セグメント間に第1移行部を含み、前記第1移行部は前記第1主要セグメントの遠位端を前記第2主要セグメントの近位端に連結するように構成され、前記第1移行部は、前記第1主要セグメントの近位端から前記第1主要セグメントの遠位端までの幾何学的方向が、前記第2主要セグメントの前記近位端から前記第2主要セグメントの遠位端までの幾何学的方向に実質的に対向するような折返し部を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項11】
前記第1および第2の指定動作周波数は、
(1)約402MHzから約405MHzにわたる体内埋め込み型医療用データ伝送サービス(MICS:Medical Implant Communication Service)帯域範囲
(2)約862MHzから約870MHzにわたる短距離無線機器(SRD:Short Range Device)帯域範囲
(3)約902MHzから約928MHzにわたる第1産業科学医療(ISM:Industrial−Scientific−Medical)帯域範囲
(4)約2400MHzから約2500MHzにわたる第2ISM帯域範囲、または
(5)約1850〜1990MHzにわたるパーソナル通信サービス(PCS:Personal Communication Service)帯域範囲
のうちの少なくとも1つを含むリストから選択される、請求項1から10のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項12】
前記第1主要セグメントの前記遠位端は前記第2主要セグメントの前記近位端に連結され、前記第2主要セグメントの前記遠位端は前記第3主要セグメントの前記近位端に連結され、
前記埋め込み型アンテナの前記スイッチバック部は、前記第1主要セグメントの前記近位端から前記第3主要セグメントの前記遠位端まで延びる単一の連続導体から構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項13】
前記埋め込み型アンテナは前記遠隔測定回路を前記第1主要セグメントの前記近位端に連結するように構成されている初期セグメントを含み、前記初期セグメントは、前記埋め込み型アンテナの入力インピーダンスを、帰路導体に対する前記初期セグメントの少なくとも一部の物理的な配列を少なくとも部分的に使用して制御するように構成されて、前記埋め込み型遠隔測定回路の出力インピーダンスとの前記生体媒質における実質的な共役整合を提供する、請求項12に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項14】
前記埋め込み型遠隔測定回路と前記埋め込み型遠隔測定回路に連結されている導電部とを含む埋め込み型機器ハウジングと、
前記埋め込み型機器ハウジングに連結されている埋め込み型誘電性隔室であって、前記埋め込み型誘電性隔室は前記埋め込み型アンテナの前記スイッチバック部の前記第1、第2および第3の主要セグメントを含み、前記埋め込み型誘電性隔室は前記埋め込み型機器ハウジングの表面に対して高さを有するとともに、前記埋め込み型機器ハウジングの前記表面に沿った長さおよび幅を有している、前記埋め込み型誘電性隔室と、を含み、
前記埋め込み型アンテナは、前記第1および第2の指定動作周波数を使用して、前記生体媒質内の前記埋め込み型誘電性隔室内から電磁的に情報を無線送信するか、または前記生体媒質内の前記埋め込み型誘電性隔室で電磁的に情報を無線受信するように構成され、
前記第1、第2および第3の主要セグメントの前記第1、第2および第3長さは、それぞれ前記埋め込み型誘電性隔室の前記長さよりも短く、
前記第2主要セグメントの少なくとも一部は前記第1主要セグメントの少なくとも一部から第1距離だけ離れており、前記第1距離は前記埋め込み型誘電性隔室の前記高さまたは幅のうちの少なくとも一方よりも短い、請求項1から13のいずれか1項に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項15】
前記埋め込み型アンテナの前記スイッチバック部の前記第1、第2または第3の主要セグメントのうちの少なくとも1つは、前記埋め込み型誘電性隔室の側面または上面のうちの少なくとも一方の近くに配置されている、請求項14に記載のマルチバンド埋め込み型遠隔測定システム。
【請求項16】
方法であって、
第1指定動作周波数または前記第1指定動作周波数とは異なる第2指定動作周波数のうち少なくとも一方を使用して、送信モードで埋め込み型アンテナを駆動し、受信モードで前記埋め込み型アンテナから情報を受信すること、
生体媒質内から前記埋め込み型アンテナを使用して、前記第1または第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を無線送信するか、または前記生体媒質内で前記埋め込み型アンテナを使用して、前記第1または第2の指定動作周波数のうちの一方で電磁的に情報を無線受信することであって、前記埋め込み型アンテナはスイッチバック部を含み、前記スイッチバック部は第1長さを有する第1主要セグメントと、第2長さを有する第2主要セグメントと、および第3長さを有する第3主要セグメントとを含み、前記第1、第2および第3の主要セグメントはスイッチバック構成に配列されている、前記無線送信するか、または前記無線受信すること、
前記埋め込み型アンテナの基本モードで前記第1指定動作周波数を提供することであって、前記埋め込み型アンテナの前記基本モード周波数は全長の等しい非折返しアンテナの基本モード周波数とは異なり、前記埋め込み型アンテナの前記基本モード周波数と前記非折返しアンテナの前記基本モード周波数との差は前記第1主要セグメントの少なくとも前記第1長さを使用して提供される、前記提供すること、
前記埋め込み型アンテナの全長を使用して、前記埋め込み型アンテナの第1高次モードで前記第2指定動作周波数を提供すること、を備える方法。
【請求項17】
前記埋め込み型アンテナを前記駆動するか、または前記埋め込み型アンテナから情報を前記受信することは、約402MHzから約405MHzにわたる体内埋め込み型医療用データ伝送サービス(MICS)帯域周波数範囲で前記第1指定動作周波数を使用すること、または約902MHzから約928MHzにわたる産業科学医療(ISM)帯域周波数範囲と、約862MHzから約870MHzにわたる短距離無線機器(SRD)帯域範囲のうちの1つもしくはその間の前記第2指定動作周波数を使用することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記埋め込み型アンテナの前記第1高次モードで前記第2指定動作周波数を前記提供することは、全長の等しい前記非折返しアンテナの前記第1高次モード周波数と一致する前記第1高次モードで前記第2指定動作周波数を提供することを含む、請求項16から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1指定動作周波数を提供するために、前記第1主要セグメントの前記第1長さを使用して前記埋め込み型アンテナの前記基本モードで前記第1主要セグメントと前記第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最適化すること、
前記第2指定動作周波数を提供するために、前記第1主要セグメントの前記第1長さを使用して前記埋め込み型アンテナの前記第1高次モードで前記第1主要セグメントと前記第2主要セグメントとの間の表面電流の相殺を最小化すること、
を含む、請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1主要セグメントの前記第1長さを前記使用することは、前記第1指定動作周波数の有効波長の8分の1と一致する長さを使用することを含む、請求項16から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
初期セグメントを使用して遠隔測定回路を前記埋め込み型アンテナの前記スイッチバック部に連結すること、
帰路導体に対する前記初期セグメントの少なくとも一部の物理的な配列を少なくとも部分的に使用して前記埋め込み型アンテナの入力インピーダンスを制御することによって、前記埋め込み型遠隔測定回路の出力インピーダンスとの前記生体媒質における実質的な共役整合を提供すること、
を含む、請求項16から20のいずれか1項に記載の方法。

【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−507091(P2013−507091A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533238(P2012−533238)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/051369
【国際公開番号】WO2011/044062
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(505003528)カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド (466)
【Fターム(参考)】