説明

埋設用脚の保護キャップ、及び、埋設用脚と保護キャップとの組合せ

【課題】埋設用脚部に螺着することなく路面から突出しないように装着できると共に、上面に凍結が生じても除雪車のグレーダー等との接触によって離脱や浮き上がりが発生することのない埋設用脚の保護キャップの提供。
【解決手段】第1の穴部12と、第1の穴部12よりも小径な第2の穴部13とを有するし埋設用脚1の第1の穴部12を閉塞するように該第1の穴部12内に嵌合されるキャップ本体31と、キャップ本体31の下面から突設され、埋設用脚1の第2の穴部13内に嵌合される突起部32とを備え、キャップ本体31は、その高さ寸法が埋設用脚1の第1の穴部12の深さ寸法以下であると共に、上面に凹溝33が形成されることにより相対的に凸形状となる撤去用の摘み部34が形成されており、突起部32は、その高さ寸法が埋設用脚1の第2の穴部13の深さ寸法よりも小さいと共に、外径は、埋設用脚1の第2の穴部13の内径に対して締め代を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設用脚の保護キャップ、及び、埋設用脚と保護キャップとの組合せに関し、詳しくは、道路標識柱を取り外した後に路面に埋設されたままの埋設用脚に対して螺合することなく路面から突出しないように装着できると共に、上面に凍結が生じても除雪車のグレーダー等との接触によって離脱や浮き上がりが発生することのない保護キャップ、及び、埋設用脚とこの保護キャップとの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の交通を円滑に誘導するため、安全対策として道路標識柱が使用されている。通常、一旦路面に道路標識柱を施工した後は、破損等が発生して交換が必要となるまで設置されたままとされ、取り外しされることはないが、積雪地域においては除雪作業を行う際の支障となるため、冬期に路面から取り外すことがある。このように取り外しを前提とした道路標識柱は、予め路面に埋設用脚を埋設しておき、この埋設用脚の雌ネジ部に、道路標識柱の下端から突出する雄ネジ部、又は、道路標識柱の台座部を路面に固定するためのボルトを螺合することによって取り付けられるようにしている。
【0003】
道路標識柱を取り外した後の埋設用脚は路面に穴部が露出するため、内部に砂やゴミが入って次回の道路標識柱の取付け作業に支障が出るおそれがある。このため、従来では、道路標識柱を取り外した後の埋設用脚に保護キャップを取付け、砂やゴミの侵入を防止するようにしている。
【0004】
特許文献1には、埋設用脚の外径よりも大径のフランジ部を有し、該フランジ部の下面に突出する突出部分を埋設用脚の雌ネジ部に螺合することによって埋設用脚を覆うようにした保護キャップが記載されている。
【0005】
一方、特許文献2には、埋設用脚の雌ネジ部に対して螺合して取り付けられる保護キャップが記載されている。
【0006】
しかし、特許文献1のようにフランジ部等が路面よりも上方に突出していると、除雪車のグレーダーに当たって離脱してしまい、埋設用脚の穴部を保護することができなくなるおそれがある。また、特許文献2のように保護キャップを雌ネジ部に螺合して取り付ければ、グレーダー等と接触しても離脱を困難にすることができるが、通常、道路標識柱は車等を円滑に誘導するために路面に多数本並設されるため、各埋設用脚に対して保護キャップを一つ一つ螺合して取り付けていく作業は極めて煩雑であると共に、埋設用脚と保護キャップとの固着状態が強固となるため、路面から突出している部分だけが破壊されてしまう場合があり、次に道路標識柱を取り付ける際に保護キャップを撤去できなくなるおそれがある。
【0007】
これを改善するため、従来、図8のように、路面に埋設された埋設用脚100の第1の穴部101を閉塞する程度の大きさに形成された保護キャップ200が用いられている。
【0008】
埋設用脚100は、路面に対してほぼ面一に露出して開口するように上面から所定深さに凹設された第1の穴部101を有し、この第1の穴部101の底面104から該第1の穴部101よりも小径な第2の穴部102が連通して形成されており、この第2の穴部102の内周面に雌ネジ部103が刻設されている。
【0009】
一方、保護キャップ200は、路面から突出することのないように、その高さ寸法が第1の穴部101の深さ寸法と同一となるように形成され、第1の穴部101内に収容された状態で、その下面が第2の穴部102の周囲に配置される第1の穴部101の底面104上に載置されている。保護キャップ200の上面には2つの凹溝201が形成され、その凹溝201、201間に、撤去時にペンチやプライヤ等の工具を用いて摘むことができるようにした相対的に凸形状となる摘み部202が形成されている。
【0010】
この保護キャップ200によれば、路面から突出することがないため、除雪車のグレーダーに当たって離脱してしまうおそれはなく、しかも、埋設用脚100の雌ネジ部103と螺合する必要もないため、装着も撤去もきわめて簡単に行えるという利点がある。
【0011】
しかしながら、この保護キャップ200では、図9(a)に示すように、凹溝201の部分に水が溜まると、水が凍りついて膨張した氷300が路面上に突出してしまう。この氷300にグレーダーGが接触すると、図9(b)に示すように、グレーダーGでいた氷300と一緒に保護キャップ200が上方に掻き飛ばされ、埋設用脚100から簡単に離脱してしまう問題がある。
【0012】
また、完全に離脱しないまでも、グレーダーGが氷300と接触した時の振動で保護キャップ200が埋設用脚100から浮き上がることがあり、浮き上がった保護キャップ200と埋設用脚100の隙間から砂やゴミが侵入してしまうおそれがある。保護キャップ200と埋設用脚100の隙間に砂やゴミが侵入すると、保護キャップ200が元に戻らなくなってしまったり、隙間に詰まった砂やゴミが保護キャップ200を取り外す際の大きな抵抗となり、撤去が困難となってしまったりする問題がある。
【0013】
また、保護キャップ200を撤去できたとしても、浮き上がりによって隙間から侵入した砂やゴミが第2の穴部102まで入り込んでしまうおそれがある。この状態で道路標識柱を取り付けようとすると、ネジの回転に悪影響を及ぼして道路標識柱の取り付けが困難となるばかりか、無理に取り付けると、螺合部分に砂やゴミが噛み込まれてしまい、道路標識柱が取り外し不能となる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実公平4−7216号公報
【特許文献2】特開平7−238515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記従来事情に鑑みてなされたものであり、埋設用脚部に螺着することなく路面から突出しないように装着できると共に、上面に凍結が生じても除雪車のグレーダー等との接触によって離脱や浮き上がりが発生することのない埋設用脚の保護キャップを提供することを課題とする。
【0016】
また、本発明は、埋設用脚部と保護キャップとを螺着することなく保護キャップが路面から突出しないように装着できると共に、保護キャップの上面に凍結が生じても除雪車のグレーダー等との接触によって離脱や浮き上がりが発生することのない埋設用脚と保護キャップとの組合せを提供することを課題とする。
【0017】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題は以下の各発明によって解決される。
【0019】
(請求項1)
上面から凹設された第1の穴部と、前記第1の穴部の底面から更に凹設され、該第1の穴部よりも小径な第2の穴部とを有し、路面に埋設されることにより、前記第2の穴部の内周面に刻設された雌ネジ部に、道路標識柱を路面に対して着脱可能に立設するための雄ネジ部が螺合される埋設用脚に対して、前記第1の穴部を閉塞するように取り付けられる埋設用脚の保護キャップであって、
前記第1の穴部を閉塞するように該第1の穴部内に嵌合されるキャップ本体と、
前記キャップ本体の下面から突設され、前記埋設用脚の前記第2の穴部内に嵌合される突起部とを備え、
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法以下であると共に、上面に凹溝が形成されることにより相対的に凸形状となる撤去用の摘み部が形成されており、
前記突起部は合成樹脂からなり、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第2の穴部の深さ寸法よりも小さいと共に、外径は、前記埋設用脚の前記第2の穴部の内径に対して締め代を有していることを特徴とする埋設用脚の保護キャップ。
【0020】
(請求項2)
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の埋設用脚の保護キャップ。
【0021】
(請求項3)
前記キャップ部と前記突起部とが合成樹脂によって一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2記載の埋設用脚の保護キャップ。
【0022】
(請求項4)
上面から凹設された第1の穴部と、前記第1の穴部の底面から更に凹設され、該第1の穴部よりも小径な第2の穴部とを有し、路面に埋設されることにより、前記第2の穴部の内周面に刻設された雌ネジ部に、道路標識柱を路面に対して着脱可能に立設するための雄ネジ部が螺合される埋設用脚と、
前記埋設用脚の前記第1の穴部を閉塞するように取り付けられる保護キャップとの組合せであって、
前記保護キャップは、前記第1の穴部を閉塞するように該第1の穴部内に嵌合されるキャップ本体と、
前記キャップ本体の下面から突設され、前記埋設用脚の前記第2の穴部内に嵌合される突起部とを備え、
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法以下であると共に、上面に凹溝が形成されることにより相対的に凸形状となる撤去用の摘み部が形成されており、
前記突起部は合成樹脂からなり、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第2の穴部の深さ寸法よりも小さいと共に、外径は、前記埋設用脚の前記第2の穴部の内径に対して締め代を有していることを特徴とする埋設用脚と保護キャップとの組合せ。
【0023】
(請求項5)
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項4記載の埋設用脚と保護キャップの組合せ。
【0024】
(請求項6)
前記キャップ部と前記突起部とが合成樹脂によって一体成形されていることを特徴とする請求項4又は5記載の埋設用脚と保護キャップとの組合せ。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、埋設用脚部に螺着することなく路面から突出しないように装着できると共に、上面に凍結が生じても除雪車のグレーダー等との接触によって離脱や浮き上がりが発生することのない埋設用脚の保護キャップを提供することができる。
【0026】
また、本発明によれば、埋設用脚部と保護キャップとを螺着することなく保護キャップが路面から突出しないように装着できると共に、保護キャップの上面に凍結が生じても除雪車のグレーダー等との接触によって離脱や浮き上がりが発生することのない埋設用脚と保護キャップとの組合せを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る保護キャップと組合される埋設用脚の縦断面図
【図2】埋設用脚に道路標識柱を取り付けた状態を示す図
【図3】本発明に係る保護キャップの平面図
【図4】図3中の(iv)−(iv)線に沿う縦断面図
【図5】本発明に係る保護キャップを埋設用脚に取り付けた状態を示す断面図
【図6】埋設用脚に取り付けられた本発明に係る保護キャップの作用を説明する図
【図7】(a)は本発明に係る保護キャップの他の態様を示す平面図、(b)はその縦断面図
【図8】従来の保護キャップを埋設用脚に取り付けた状態を示す断面図
【図9】従来の保護キャップの問題点を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る保護キャップと組合される埋設用脚の縦断面図、図2は、埋設用脚に道路標識柱を取り付けた状態を示す図、図3は、本発明に係る保護キャップの平面図、図4は、図3中の(iv)−(iv)線に沿う縦断面図、図5は、本発明に係る保護キャップを埋設用脚に取り付けた状態を示す断面図、図6は、埋設用脚に取り付けられた本発明に係る保護キャップの作用を説明する図である。
【0030】
まず、図1、図2を用いて道路標識柱を路面に着脱可能に立設するための埋設用脚について説明する。
【0031】
埋設用脚1は、有底円筒状の金属製の脚本体11の上面から所定深さで凹設された平面視円形状の第1の穴部12と、この第1の穴部12の底面12aから所定深さで凹設され、該第1の穴部12よりも小径な平面視円形状の第2の穴部13が一体に連通して形成されている。第2の穴部13の内周面には雌ネジ部14が刻設されている。
【0032】
このような埋設用脚1は、第1の穴部12の開口面が路面GLに対してほぼ面一に露出するように、予め道路標識柱2を立設すべき場所に埋設される。道路標識柱2の下端には、埋設用脚1に取り付けるための取付けボルト21が突設されており、この取付けボルト21を埋設用脚1の第2の穴部13の位置まで挿入し、道路標識柱2自体を回転させることによって、取付けボルト21外周面の雄ネジ部を第2の穴部13の雌ネジ部14と螺合させることによって、道路標識柱2を路面GLに取り付ける(図2)。
【0033】
また、図示しないが、道路標識柱2の下端の台座部22の周縁の複数箇所に別体の取付けボルトを挿通させ、各取付けボルトをそれぞれ対応する埋設用脚1に螺着させることによって取り付けるようにしてもよい。
【0034】
脚本体11の下端付近には、部分的に外径が小径となる小径部15が形成されており、この小径部15に埋設時に使用される接着剤等が食い込むことによって埋設用脚1の抜け止めが図られている。
【0035】
次に、図3、図4を用いて、この埋設用脚1を保護するために該埋設用脚1と組合される保護キャップについて説明する。
【0036】
保護キャップ3は、キャップ本体31と、このキャップ本体31の下面31aから突設された突起部32とを備えている。これらキャップ本体31と突起部32は合成樹脂製であり、例えばポリウレタン樹脂等の軟質合成樹脂によって一体成形されている。一体成形であることにより、構造簡単で低コストで製造できる。
【0037】
キャップ本体31は、第1の穴部12を閉塞するように該第1の穴部12に嵌合される部分であり、平面視円形状を呈し、埋設用脚1の第1の穴部12の内径と同一の外径(最大径)を有している。すなわち、例えば第1の穴部12の内径が42mmである場合、キャップ本体31の外径も42mmとされる。このため、埋設用脚1に取り付けられた際に第1の穴部12と隙間なく嵌合し、砂やゴミの侵入が阻止される(図5)。
【0038】
なお、保護キャップ3を埋設用脚1に対して簡単に抜けてしまうことがないように取り付け可能とするには、通常、このキャップ本体31の部分を第1の穴部12の内径よりもやや大径にして締め代を形成することが行われるが、本発明においては、詳細には後述する突起部32の存在により抜け防止が図られるため、このキャップ本体31に締め代を形成することは必須ではない。
【0039】
第1の穴部12の内径と同一となる最大径の部分は、キャップ本体31の上端31bからやや下方までの部分だけとなっている。キャップ本体31の側面は、この上端31bのやや下方から下端に行くに従って次第に僅かに小径となるテーパー形状に形成されており、埋設用脚1の第1の穴部12への嵌合を円滑に行い得るようにしている。
【0040】
キャップ本体31は、その高さ寸法h1が埋設用脚1の第1の穴部12の深さ寸法d1以下(h1≦d1)となっている。このため、埋設用脚1に取り付けられた際、キャップ本体31の部分が埋設用脚1の上面から上方に突出することはないので、除雪車のグレーダーと接触するおそれはない。
【0041】
好ましくは、h1をd1よりも小さくする(h1<d1)ことである(図5)。これによりグレーダーとの接触回避をより確実にすることができる。この場合、h1とd1の差は1〜2mm程度の僅かでよく、例えば埋設用脚1の第1の穴部12の深さ寸法d1が20mmである場合、キャップ本体31の高さ寸法h1は19mmとすることができる。
【0042】
キャップ本体31の上面には、2つの凹溝33が形成されている。各凹溝33は、平面視でそれぞれ半円形状を呈し、互いの直線部分が対向するように配置されることにより、凹溝33、33間に相対的に凸形状となる1条の摘み部34が形成されている。
【0043】
この摘み部34は、保護キャップ3を撤去する際に工具で挟み付けて摘む部分であり、撤去作業が容易に行えるようにするため、工具による摘み代を大きくとることが望ましく、このためには凹溝33の深さを深くすることが必要である。通常、凹溝33を深く形成しすぎるとキャップ本体31の底面部分が薄くなって外形を維持することが難しくなり、歪みが生じ易くなる。
【0044】
しかし、本発明では、このキャップ本体31の下面に後述する突起部32を設けているため、この突起部32の存在によってキャップ本体31の変形や歪みを抑えることができ、凹溝33の深さを摘み代を大きくするために深く形成することが可能となる。例えば、凹溝33の上面からの凹設深さは、キャップ本体31の高さ寸法h1の1/2〜2/3とすることができる。
【0045】
突起部32は、埋設用脚1の第2の穴部13に嵌合される部分であり、キャップ本体31の下面31aから円筒状に突出形成されている。キャップ本体31との接続端から下端に向けて外径が一定の円柱状となっているが、キャップの先端32aの部分のみ、その外形はやや先窄まりとなるように10°程度のテーパー形状となっており、第2の穴部13への挿入が円滑に行えるようになっている。
【0046】
この突起部32は、従来のように埋設用脚1の雌ネジ部14と螺合させるものではないので、その外周面に雄ネジは刻設されていない。合成樹脂材が比較的弾性に富む場合は突起部32の内部に空洞がない中実状とすることもできるが、図示するように、下面からややキャップ本体31まで至る深さに亘って肉抜き部35を形成することで、第2の穴部13の雌ネジ部14と圧接した際に掛かる余計な力を逃がし、該雌ネジ部14に対して円滑に食い込みが行われるようにすることが好ましい。
【0047】
この突起部32の高さ寸法h2は、埋設用脚1の第2の穴部13の深さ寸法d2よりも小さい。例えばd2の1/3〜2/3程度とすることができる。
【0048】
また、突起部32の外径は、第2の穴部13の内径に対して締め代を有している。例えば、第2の穴部13の雌ネジ部14がM24(ネジ底寸法21.5mm、ネジ山寸法20.752mm)に対応するネジ部である場合、突起部32の外径を21.5mmとすることで、0.2mm程度の締め代が形成されるようにすることが好ましい。このような締め代を設けることにより、保護キャップ3は、突起部32の部分において埋設用脚1の第2の穴部13と密に嵌合させることができ、振動が発生しても保護キャップ3に浮きが発生することが防止される。先端32aがテーパー形状となっており、しかも合成樹脂からなるので、第2の穴部13への取り付けが困難となることはない。
【0049】
次に、埋設用脚1と保護キャップ3とを組合わせた際の作用について図5、図6を用いて説明する。
【0050】
以上のように構成された保護キャップ3は、突起部32が埋設用脚1の第2の穴部13に圧入され、キャップ本体31の下面31aが埋設用脚1の第1の穴部12の底面12aに当接するまで、螺合することなく下方に押し込まれることによって、第1の穴部12及び第2の穴部13に嵌合され、装着される(図5)。この装着状態で、キャップ本体31の上端31bが埋設用脚1の上端から突出することはなく、路面GLから上方に突出することはない。
【0051】
保護キャップ3が路面GLに埋設された埋設用脚1に装着された状態では、キャップ本体31は路面GLから上方に突出していないが、保護キャップ3の上面(凹溝33内)に水が溜まると氷が形成される場合がある。本実施形態に示すようにキャップ本体31の高さ寸法h1が埋設用脚1の第1の穴部12の深さ寸法d1よりも小さいと、凹溝22内に溜まった水が凍っても、その氷が路面GLよりも上方に突出することは少なくなるが、溜まった水の量等によっては、氷300が路面GLよりも上方に突出することがある(図6(a))。
【0052】
この場合、除雪車のグレーダーGの先端が氷300に当たり、この氷300を掻き飛ばそうとするが(図6(b))、このとき保護キャップ3に掛かるグレーダーGの進行方向Aに働く力は、保護キャップ3のキャップ本体31に対して、グレーダーGの進入側と反対側の下面31aを埋設用脚1の底面12aに押し付けようとする下向きの力a1として作用すると共に、この下面31aと底面12aとの当接部位を支点として、突起部32の下端をグレーダーGの進入側(進行方向Aと反対方向)に向けて移動させる横向きの力a2として作用する。その結果、保護キャップ3がキャップ本体31の下面31aと埋設用脚1の第1の穴部12の底面12aとの当接部位を支点として外れる方向に移動することが阻止され、グレーダーGは氷300のみを掻き取っていき、保護キャップ3の離脱が防止される(図6(c))。
【0053】
また、保護キャップ3の突起部32は、埋設用脚1の第2の穴部13の雌ネジ部14に密に嵌合していることによって互いに噛み合っているため、グレーダーGと氷300とが接触した時等による振動によってガタつくことはなく、浮き上がってキャップ本体31と埋設用脚1との間に隙間が生じたりすることはなく、砂やゴミの侵入を確実に防止することができる。
【0054】
以上説明した態様では、保護キャップ3の摘み部として1条の突条からなる摘み部36を例示したが、摘み部は埋設用脚1に装着された際に路面GLから上方に突出することがなく、且つ、撤去時に容易に摘んで取り外すことができるものであれば何ら制限はない。
【0055】
例えば図7(a)は摘み部の他の態様を示す保護キャップ3の平面図、(b)はその縦断面図を示している。この保護キャップ3は、キャップ本体31の上面の中央部を除く全体を凹設した1つの凹溝36を形成することで、その底面中央から相対的に凸状に形成される1つの突起状の摘み部37を形成している。この摘み部37は、凹溝36の底面から上方に延びる円柱状の基部37aと、この基部37aの先端に該基部37aの外径よりも大径となるように形成された頭部37bとを有している。
【0056】
この摘み部37によれば、基部37aをペンチ等の工具で挟み付け、そのまま上方に引き抜くことによって保護キャップ3を埋設用脚1から取り外すことができる。大径な頭部37bは取り外しの際に工具が基部37aから外れてしまうことを防止する。
【符号の説明】
【0057】
1:埋設用脚
11:脚本体
12:第1の穴部
12a:底面
13:第2の穴部
14:雌ネジ部
15:小径部
2:道路標識柱
21:取付けボルト
22:台座部
3:保護キャップ
31:キャップ本体
31a:下面
31b:上端
32:突起部
32a:先端
33:凹溝
34:摘み部
35:肉抜き部
36:凹部
37:摘み部
37a:基部
37b:頭部
300:氷
GL:路面
G:除雪車のグレーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面から凹設された第1の穴部と、前記第1の穴部の底面から更に凹設され、該第1の穴部よりも小径な第2の穴部とを有し、路面に埋設されることにより、前記第2の穴部の内周面に刻設された雌ネジ部に、道路標識柱を路面に対して着脱可能に立設するための雄ネジ部が螺合される埋設用脚に対して、前記第1の穴部を閉塞するように取り付けられる埋設用脚の保護キャップであって、
前記第1の穴部を閉塞するように該第1の穴部内に嵌合されるキャップ本体と、
前記キャップ本体の下面から突設され、前記埋設用脚の前記第2の穴部内に嵌合される突起部とを備え、
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法以下であると共に、上面に凹溝が形成されることにより相対的に凸形状となる撤去用の摘み部が形成されており、
前記突起部は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第2の穴部の深さ寸法よりも小さいと共に、外径は、前記埋設用脚の前記第2の穴部の内径に対して締め代を有していることを特徴とする埋設用脚の保護キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の埋設用脚の保護キャップ。
【請求項3】
前記キャップ部と前記突起部とが合成樹脂によって一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2記載の埋設用脚の保護キャップ。
【請求項4】
上面から凹設された第1の穴部と、前記第1の穴部の底面から更に凹設され、該第1の穴部よりも小径な第2の穴部とを有し、路面に埋設されることにより、前記第2の穴部の内周面に刻設された雌ネジ部に、道路標識柱を路面に対して着脱可能に立設するための雄ネジ部が螺合される埋設用脚と、
前記埋設用脚の前記第1の穴部を閉塞するように取り付けられる保護キャップとの組合せであって、
前記保護キャップは、前記第1の穴部を閉塞するように該第1の穴部内に嵌合されるキャップ本体と、
前記キャップ本体の下面から突設され、前記埋設用脚の前記第2の穴部内に嵌合される突起部とを備え、
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法以下であると共に、上面に凹溝が形成されることにより相対的に凸形状となる撤去用の摘み部が形成されており、
前記突起部は合成樹脂からなり、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第2の穴部の深さ寸法よりも小さいと共に、外径は、前記埋設用脚の前記第2の穴部の内径に対して締め代を有していることを特徴とする埋設用脚と保護キャップとの組合せ。
【請求項5】
前記キャップ本体は、その高さ寸法が前記埋設用脚の前記第1の穴部の深さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項4記載の埋設用脚と保護キャップの組合せ。
【請求項6】
前記キャップ部と前記突起部とが合成樹脂によって一体成形されていることを特徴とする請求項4又は5記載の埋設用脚と保護キャップとの組合せ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−100699(P2013−100699A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245912(P2011−245912)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】