埋込型医療機器のためのメッシュパウチ
心調律管理装置(CRM)および他の埋込型医療機器とともに使用するための、パウチに形成される生分解性のポリマー被覆外科用メッシュに関して記述する。そのようなメッシは、例えば、パウチまたは他のカバーといった容器に形成され、それを適所に固定する目的で、心調律管理装置または他の埋込型医療機器を封入、包囲および/または保持すること、細菌増殖を抑制または低減すること、鎮痛を提供すること、および/またはCRMまたは他の埋込型医療機器の上または周囲の瘢痕化を抑制することが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年2月8日に出願された米国第11/672,929号の一部継続であり、これは、米国特許法§119(e)(5)の下、2006年11月6日に出願された米国仮特許出願第60/864,597号および2006年2月8日に出願された米国仮特許出願第60/772,827号の優先権を主張する。この出願はまた、米国特許法§119(e)(5)の下、2006年11月6日に出願された米国仮特許出願第60/864,597号への優先権を主張する。これらの各々は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
心調律管理装置(cardiac rhythm management device:CRM)および他の埋込型医療機器(implantable medical device:IMD)とともに使用するための、パウチに形成される生分解性のポリマー被覆外科用メッシュに関して記述する。そのようなメッシュは、例えば、パウチまたは他のカバー等の容器内に形成され、それを適所に固定し、細菌増殖を抑制または低減し、鎮痛を提供し、そして/またはCRMもしくは他のIMDの上もしくは周囲の瘢痕化を抑制する目的で、CRMまたは他のIMDを封入、包囲、および/または保持することが可能である。好ましい実施形態は、そのメッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して、それらのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化することによって、および/または、メッシュの剛性をその本来の剛性の少なくとも1.1倍に増加させることによって、硬化剤の役割を果たすことができる1つ以上の生分解性ポリマーで被覆された外科用メッシュパウチを含む。また、本発明のパウチは、それらの埋め込み、挿入または外科的使用と関連する、様々な術後合併症の緩和も提供することもでき、任意に、被覆のポリマーマトリクス中に1つ以上の薬物を含んで、予防効果を提供する、および/または手術またはCRMあるいは他のIMDの埋め込みと関連する副作用または合併症を軽減する。
【背景技術】
【0003】
メッシュ、組み合わせメッシュ製品、または他の多孔質プロテーゼ等のプロテーゼインプラントは、組織型間の物理的障壁または軟組織の身体的欠損に対する特別な力を提供するために一般的に使用される。しかしながら、そのような機器は、インプラント後感染、疼痛、過剰な瘢痕組織形成、およびプロテーゼまたはメッシュの収縮を含む、術後合併症と関連することが多い。過剰な瘢痕組織形成、患者の可動性の制限、および慢性疼痛は、インプラントのサイズ、形、および質量に起因することが多く、瘢痕組織形成の量を減少させるために、様々な努力が行われている。例えば、これらの問題に対処するために、より小さい繊維、よい大きい織り方、および/またはより大きい細孔サイズを使用するより軽いメッシュならびに非吸収性および吸収性材料の両方で織ったメッシュが使われている。
【0004】
急性疼痛および感染を治療するために、埋め込みプロテーゼを有する患者は、典型的には、術後に抗生物質の全身投与および鎮痛剤で治療される。患者は、抗生物質の全身投与を予防的に時折与えられるが、しかしながら、臨床試験の文献レビューは、インプラント関連感染を予防するのに有効であることは示していない。
【0005】
1992年に、院内感染は、毎年200万人を超える患者に影響を与え、年間45億ドルを超える医療制度の費用がかかることが報告された1。今日、これらの数は、疑う余地無く高まっている。約500,000人の患者に関与する手術部位感染は、院内感染の2番目によくある原因であり、全院内感染の約17%である2。ペースメーカの設置と関連する感染の発生率は、0.13から19.9%であり、ほとんどの場合、インプラントの完全除去に伴うこれらの合併症を治療するための平均費用は、$35,000であると報告されている3,4。
【0006】
術後感染は、宿主防衛機構の欠如、手術部位、および機器埋め込み時の細菌の存在の3つの要因に関係している5。患者の全体的な健康(つまり、宿主因子)は、常に重要であるが、しかしながら、手術を必要とする患者の多くは何らかの危険にさらされるため、その要因を軽減させるために行えることはほとんど無く、他の2つの要因を制御することが重要である。
【0007】
患者は、病院内、特に、手術室(operating room:OR)およびORまでの経路において、細菌汚染に曝露されることが研究により示されている6。事実、最大7.0×104CFU/m2の細菌がOR着替えエリア内で発見された6。空気処理および表面洗浄における最近の改善は、感染病原体の環境濃度を減少させたが、しかしそれらを排除したわけではない。その結果として、細菌汚染を減少させる、または細菌感染の可能性を減少させるさらなる手段が所望される。
【0008】
接種レベルを制御することは、術中および術後外科感染対策3本柱への第3の構成要素である。微生物制御への一側面は、抗生物質の使用である。例えば、一施術者は、手術が3時間を越える場合の追加の投薬とともに、切開前60分以内の抗生物質の全身投与を推奨する5。そのような切開前投与は、ペースメーカの設置に関連する感染の発生率に対していくらかの好ましい効果を示している7。インプラント汚染の可能性を制御する付加的アプローチは、埋込型医療機器への抗菌薬剤の導入である8,9。
【0009】
このアプローチは、留置カテーテル等の表面貫入機器を介した体内への微生物侵入に対する障壁を生成するために、初期に開発された9−11。抗菌薬剤は、機器上の直接的な被覆として溶液中に適用され、機器の細菌定着を予防するまたは減少させ、しがたって、機器関連感染の可能性を減少させる。多くの臨床試験は、中心静脈カテーテル等の機器上の抗菌被覆が、機器コロニー形成を減少させることを実証している一方で、数的傾向は患者感染の減少を示してはいるが、感染の減少は統計的には有意でない12−18。これらの結果は、適切な無菌および外科技術ならびに適当な抗生物質療法を用いた表面修飾機器の使用が、全体的な処置/患者予後へのプラスの影響を有することを立証する傾向があるため、大いに関連性がある12,13(非特許文献1および非特許文献2)。
【0010】
術後感染の進行は、多くの要因に依存し、どれくらいのコロニー形成単位(colony forming unit:CFU)が、臨床感染を発生するために必要であるのか明確ではない。手術部位での103細菌の接種は、20%の創傷感染率をもたらすことが報告されている5。また、現在の空気処理技術および感染対策手順は、病院内の微生物レベルを明らかに減少させているが、埋込型機器の微生物汚染は依然可能性がある。ブドウ球菌等の細菌は、機器の埋め込み後短期間内(つまり、90日以内)に菌血症を生じさせ得るか、または活動性感染を発生する何ヶ月か前に潜伏し得るので、埋め込み時の細菌接種の根絶が重要であり、後期および早期の機器関連感染を減少させるのに役立つ可能性があることが既知である22。
【0011】
例えば、リファンピンおよびミノサイクリンの組み合わせは、シリコーンおよびポリウレタン等の非吸収性被覆におけるそれらの薬物の使用を含む、カテーテルおよび他の埋め込み機器に対する被覆として抗菌有効性を実証している13,19−21。また、リファンピンおよびミノサイクリンの組み合わせは、陰茎インプラントへの予防的被覆として使用される場合に、臨床感染の発生率を減少させることも証明されている。
【0012】
本出願の親出願(米国特許出願第11/672,929号)は、抗菌薬剤リファンピンおよびミノサイクリンに対する担体としての外科用メッシュ上のバイオ吸収性ポリマー被覆に関して記述する。そのようなメッシュは、埋め込みペースメーカ、パルス発生器、除細動器および他の埋込型医療機器にマッチするように、種々のサイズおよび形のパウチ内に構築することができる。抗菌薬剤の添加は、外科的および全身的な感染対策の補助としての外科的埋め込み時に、パウチがインプラント部位に抗菌薬剤を送達し、したがって、CRMの微生物定着に対する障壁を提供できるようにする。
【0013】
本発明は、埋め込みの際に埋込型医療機器を保持するために、パウチまたは他の容器内に形成されるメッシュを一時的に硬化させることによって、これらの必要性(感染の予防または抑制)ならびに鎮痛および瘢痕組織、線維化等の抑制または減少等の他の必要性に対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Maki DG, Stolz SM, Wheeler S and Memel LA. Prevention of central venous catheter−related blood stream infection by use of an antiseptic−impregnated catheter: a randomized, controlled trial. Ann Intern Med, 1997:127:257−66.
【非特許文献2】Raad I, Darouiche R, Dupuis J, et.al., Central venous catheters coated with minocycline and rifampin for the prevention of catheter−related colonization and bloodstream infections: a randomized, double−blind trial. Ann Intern Med, 1997; 127:267−74.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、1つ以上の生分解性ポリマー被覆を備える埋込型外科用メッシュで作られているパウチ、カバー等に関する。本発明のメッシュパウチは、あらゆる埋込型医療機器を適合させるために、所望に応じて、パウチ、バッグ、カバー、シェル、スキン、容器等の形にすることができる。本発明の好適なメッシュは、薬物溶出または他の一時的効果を与えるために、1つ以上の生分解性ポリマーで被覆された、織られたポリプロピレンから構成される。
【0016】
本明細書で使用される「パウチ」、「メッシュパウチ」、「本発明のパウチ」は、1つ以上の生分解性ポリマー被覆を備える埋込型外科用メッシュで作られ、全部または実質的部分において、埋込型医療機器を被包する、封入する、包囲する、覆うまたは保持するように形作られた任意のパウチ、バッグ、スキン、シェル、カバー、または他の容器を意味する。本発明のパウチは、IMDのリードおよびチューブを、IMDからパウチの開口部を通じて妨げられずに延在することを可能にする開口部を有する。また、パウチは、IMDを周囲組織に電気的に接地する必要がある単極機器を収容させるために、多孔性を有してもよい。パウチが機器を保持することができ、機器の少なくとも20%、30%、50%、60%、75%、85%、90%、95%、または98%がパウチ内にある、またはパウチによって被覆されている時に、IMDは、実質的に被包される、封入される、包囲されるか、または被覆されている。
【0017】
本発明に従って、被覆された外科用メッシュは、それらを適所に固定する目的で、ペースメーカ、除細動器、発生器、埋込型アクセスシステム、神経刺激機器、または任意の他の埋込型機器を被包するように形成することができ、鎮痛を提供し、瘢痕化もしくは線維化を抑制し、および/または細菌増殖を抑制する。そのような被覆されたメッシュは、生分解性ポリマーでの被覆前または後のいずれかに、適当な形に形成される。
【0018】
一側面において、本発明のパウチは、医療プロテーゼ(インプラントのエリア周囲の機器および組織への支持を提供する)の役割を果たしてもよく、したがって、医療プロテーゼとしても称される。
【0019】
したがって、本発明のパウチは、メッシュと、メッシュをその本来の剛性の少なくとも1.1倍まで一時的に硬化させる1つ以上の被覆とを備える。そのようなメッシュ上の被覆は、メッシュの完全性を変化させず、したがって、メッシュを多孔質のままとどめることが可能である。概して、被覆は、メッシュの多孔性を実質的に変化させない。具体的には、本発明のパウチは、メッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して、それらのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化する、硬化剤を含む少なくとも1つの被覆を有する、1つ以上の被覆を有するメッシュを備える。再び、そのようなメッシュ上の被覆は、下層のメッシュの完全性または強度を変化させず、被覆後に、メッシュを多孔質のままとどめることが可能である。概して、被覆は、メッシュの多孔性を実質的に変化させない。メッシュは、使用条件下で、それらの本来の剛性に実質的に戻ることが可能である。
【0020】
硬化剤、つまり、本発明の被覆内に適用されたようなものは、被覆を生成するために、メッシュのフィラメントまたは該繊維の接触点を選択的に、部分的に、または完全に被覆することができる。概して、接触点は、織られたメッシュの結び目を含む。そのような被覆は、鋳型パターンにおいて、またはコンピュータ制御の沈着技術を含む、インクジェットタイプの技術とともに沈着され得るもの等の配列において、メッシュ上に位置付けることができる。さらに、被覆は、メッシュの片側または両側に適用することができる。
【0021】
一部の実施形態においては、硬化剤は、単独または1つ以上の生分解性ポリマーとの組み合わせのいずれかで、ヒドロゲルを含む。一部の実施形態においては、硬化剤は、1つ以上の生分解性ポリマーであり、層に適用することができる。1つ以上の生分解性ポリマーは、個々の被覆層ごとに使用することができる。好適な生分解性ポリマーは、ポリアリレート、ポリカーボネート、またはポリイミノカーボネートとしての1つ以上のチロシン由来のジフェノールモノマー単位を含む。
【0022】
本発明の別の側面においては、本発明のパウチは、1つ以上の薬物をさらに備える少なくとも1つの被覆を有する。そのような薬物は、抗菌薬剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗瘢痕化剤(anti−scarring agent)、抗線維化剤(anti−fibrotic agent)、ロイコトリエン阻害剤、ならびにタンパク質、増殖阻害剤等の生物学的因子を含む薬物の他の種類を含むが、これらに限定されない。
【0023】
生分解性ポリマー被覆は、薬物が、インプラントまたは手術関連の合併症を減少させる、または予防するように、周囲の体内組織内かつ機器の近位に1つ以上の薬物を放出することが可能である。例えば、周囲の体内組織、体液、または全身的な流体内に予想通りに浸出または溶出する麻酔薬を被覆に含めることによって、埋め込み部位で経験される疼痛を減弱させる有用な方法を有する。別の実施例においては、麻酔薬を抗炎症薬と交換することは、メッシュ、機器、および/またはパウチの埋め込みに関連する腫大および炎症を減少させる方法を提供する。さらに別の実施例において、同じ方法で抗菌薬剤を送達することによって、手術切開の初期の治癒に必要な少なくとも手術後の期間に、メッシュパウチ、CRM、または他のIMD、および/または外科的埋め込み部位の細菌による定着を予防するのに十分な薬物放出の速度を提供する方法を有する。
【0024】
本発明のパウチ上の被覆は、1つ以上の独立した層(これらの一部は、薬物を含有しない場合がある)から多数の薬物を送達することができる。
【0025】
したがって、本発明は、本発明のパウチとして形成された外科用メッシュ上の被覆からの生分解性かつ吸収性ポリマーを使用して、制御された速度で、規定の期間、薬物を送達する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】指示された時間、黄色ブドウ球菌菌叢上でインキュベートされたリファンピンおよび塩酸ミノサイクリンを含有するポリアリレート被覆のメッシュについての抑制域(zone of inhibition:ZOI)を図示する(実施例1)。記号は、以下のメッシュを表す。◆:P22−25 20通過、■:P22−25 40通過、▲:P22−25 80通過、x:P22−27.5 20通過、*:P22−27.5 40通過、●:P22−27.5 80通過、および│:カテーテル。
【図2】多層ポリアリレート被覆のメッシュからの累積ブピバカイン放出を図示する。
【図3】ブピバカインの種々の負荷を有する多層ポリアリレート被覆のメッシュからの累積ブピバカイン放出を図示する。記号は、以下のメッシュを表す。◆:P22−27.5(11通過、1浸漬)、■:P22−27.5(11通過、2浸漬)、および▲:P22−27.5(2通過、2浸漬)。
【図4】7.5mg/cm2ブピバカインを含有する1×2cmの外科的に埋め込まれたポリアリレートメッシュからの皮膚麻酔の時間的経過を図示する。メッシュは、肋骨下開腹によってラット内に埋め込み、ピンプリック反応を決定し、%疼痛反応抑制で示す(詳細は実施例を参照)。「*」は、ベースラインピンプリック反応と比較した、p<0.05での統計的に有意な反応を示す。
【図5】メッシュの剛性を図示する。頂部から底部への棒は、(1)ポリアリレート被覆せず、滅菌していないPPM3メッシュ、(2)エチレンオキシドで滅菌したProleneTM(Ethicon)メッシュ、(3)被覆および窒素フラッシュとともにγ線照射により滅菌した12ヶ月後のポリアリレート被覆のPPM3メッシュ、ならびに(4)被覆およびγ線照射により滅菌した12ヶ月後のポリアリレート被覆PPM3メッシュについての剛性を表す。
【図6】PBSに浸るポリマー被覆ポリプロピレンメッシュに対するポリマー分解の経過の間の時間を亘ってのメッシュの剛性の変化を図示する。
【図7】チロシンポリアリレート被覆のメッシュの顕微鏡写真を描写する。左上パネルは、メッシュの織布性質およびフィラメントの接触点を示す。左下パネルは、メッシュフィラメントの接触点上の被覆を実証する。右パネルは、被覆されたフィラメントの走査電子顕微鏡写真である。
【図8】リファンピンおよびミノサイクリンを含有するチロシンポリアリレート被覆を有するメッシュの光学像を提供する。左側は光学像であり、右側は、斜線で埋めた囲んだ領域によって示した強いオレンジ色の領域を示すその略図である。
【図9】パウチ内に挿入されたCRMを有するポリマー被覆CRMパウチの概略図を示す。
【図10】CRMを含有するポリマー被覆パウチの写真である。
【図11】埋め込み後14週の機器を有する被覆されたメッシュパウチのインプラント部位を示す顕微鏡写真である(4×拡大率)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のパウチは、被覆された埋込型外科用メッシュから形成され、外科用メッシュおよび1つ以上の生分解性ポリマー被覆層を備え、各被覆層は、任意かつ独立して、薬物をさらに含有する。被覆の物理的、機械的、化学的、および再吸収特徴は、メッシュの臨床性能および機器を埋め込む外科医の能力を増強させる。これらの特徴は、好適な被覆の厚さおよび生分解性ポリマーを選択することによって実現される。
【0028】
メッシュ
本発明に従ったメッシュは、布または布状材料を生成するようにかみ合わされる、編成された、編組された、織られたまたは織られていないフィラメントまたは繊維から構築された任意のウェブまたは布である。また、本明細書に従って使用される「メッシュ」は、一時的に硬化させるのに好適な任意の多孔質プロテーゼも含む。
【0029】
外科用メッシュは、当技術分野において周知であり、任意のそのようなメッシュは、本明細書に記載されているように被覆することができる。本明細書で使用されるメッシュは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、生体適合性材料、合成物質、または天然物質で作られる。本発明の利点の1つは、被覆を任意の市販のメッシュとともに使用できることである。好適なメッシュは、織られたポリプロピレンで作られる。メッシュの細孔サイズは異なる。例えば、Bard Marlex(登録商標)メッシュが、379+/−143マイクロメータ、すなわち約0.4mmの細孔を有する一方で、Johnson and Johnson Vypro(登録商標)メッシュは、3058+/−62マイクロメータ、すなわち約3mmの細孔を有する。
【0030】
本発明の硬化剤は、ヒドロゲル、生分解性ポリマー、および本発明に従ってメッシュに一時的な剛性を与えることが可能な任意の他の化合物を含む。一時的な剛性は、対応する被覆されていないメッシュ材料と比べて、本発明に従って1つ以上の被覆を適用した時に、剛性における増加があることを意味する。使用の際に、これらの被覆は、次いで、メッシュを、その本来の剛性に戻す、その本来の剛性近くまで戻す、またはその本来の剛性に十分近づかせる様式で、時間をわたって軟化または分解させ、所望の手術結果および予期される患者の快適性を得る。医療プロテーゼが一時的な剛性を有するかどうかを判断するために、プロテーゼは、インビトロまたはインビボで評価することができる。例えば、被覆は、メッシュに適用することができ、次いで、メッシュは、その剛性を測定する前に、ある期間の間、生理的な溶液内に放置される。剛性の期間は、分解速度(生分解性ポリマーについて)または吸収能(ヒドロゲルについて)によって制御される。期間は、数日から数週間、またはさらに数ヶ月に変動し得、インビトロで最も好都合に判断される。適正な期間(1日から3〜4ヶ月)内にインビトロでそれらの本来の剛性に戻るメッシュは、一時的に硬化されると見なされる。さらに、メッシュを埋め込み、次いで、それを動物から除去し、その剛性が変化したかどうかを判断することによって一時的な剛性を評価するために動物モデルを使用することができる。そのようなインビボ結果は、当業者によってインビトロ結果と関連付けることができる。メッシュまたは被覆されたメッシュの剛性を測定する方法は、当技術分野において公知である。
【0031】
ヒドロゲルは、水溶性ポリマー鎖のネットワークから構成される。ヒドロゲルは、被覆として適用され、メッシュ上で乾燥される。例えば、体内への埋め込み等の使用の際に、ヒドロゲルは、水を吸収して軟らかくなり(ヒドロゲルは、99%を超える水を含有することができる)、それによって、メッシュの柔軟性が増加し、メッシュの本来の剛性または本来の剛性近くまで戻る。典型的には、ヒドロゲルは、それらの著しい含水量に起因して、天然組織と極めて良く似た柔軟性の程度を保有する。ヒドロゲルに対する一般的な成分は、例えば、親水基が豊富なポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレートポリマーおよび共重合体を含む。
【0032】
メッシュは、1つ以上のポリマー被覆を有することができ、任意に、被覆内に薬物を含むことができる。単一被覆を有するメッシュは、外科的埋め込みおよび使用時のメッシュの取り扱いを向上させるのに有用である。薬物を有するメッシュは、送達される薬物の量、薬物の種類、および所望の放出速度に応じて、単一または多数の層で被覆することができる。各層は、同一または異なるポリマー、同一または異なる薬物、および同一または異なるの量のポリマーまたは薬物を含有することができる。例えば、第1の被覆層は、薬物を含有することができ、一方、第2の被覆層は、薬物を含有しないか、または低濃度の薬物を含有する。
【0033】
メッシュの表面上に沈着された生分解性被覆は、それがメッシュに剛性を与え、それによって、その取り扱いを向上させるため、被覆されていないメッシュと比べて優れた取り扱い特徴を与え、外科的挿入を促進させる。しかしながら、時間が経つと、強度が損失することなく、患者のより大きな快適性を提供する柔軟性メッシュの状態にするために、被覆は再吸収する、または硬化剤は分解もしくは軟化する。
【0034】
外科用メッシュは、被覆されていないメッシュの剛性の少なくとも1.1から4.5倍、より好ましくは1.25から2倍の剛性を提供する厚さを有する均一な被覆を達成するために、噴霧または浸漬被覆等の標準的な技術を使用して、生分解性ポリマーで被覆することができる。加えて、被覆は、埋め込みおよび初期の創傷治癒過程全体を通じて、メッシュに付着したままにする均一かつ柔軟な非剥離の層を提供するように最適化される。典型的には、ポリマー被覆は、少なくとも1週間その完全性を維持しなければならない。最適な被覆溶液は、塩化メチレンまたは他の塩素化溶剤、THF、種々のアルコール、またはそれらの組み合わせ等の揮発性溶剤において、約0.01から約30%の溶解度を有する生分解性ポリマーを選択することによって取得される。さらに、約10,000から約200,000ダルトンの分子量を有する生分解性ポリマーを使用することが好ましい。そのようなポリマーは、水性環境において37℃で約1週間にわたって、十分な機械的および物理的完全性を維持する速度で分解する。
【0035】
さらに、生分解性ポリマー層(すなわち、被覆)が、比較的良好なポリマー−薬物混和性を提供する化学組成を有する、生分解性のポリマー被覆埋込型メッシュが記載される。ポリマー層は、室温で1〜80%の間の薬物、ならびに1〜95%、2〜80%、2〜50%、5〜40%、5〜30%、5〜25%および10〜20%の間の薬物、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10%の薬物、ならびに10〜95%からの5%増分、すなわち、10%、15%、20%、25%等の薬物を含有することができる。一実施形態においては、生分解性ポリマー被覆は、少なくとも2〜3日間薬物を放出する。そのような放出は、薬物が、例えば、手術部位での局所疼痛管理を補助する鎮痛薬である場合に、好適である。また、そのような負荷および放出特徴は、多層化技術を使用することによって、良好な混和性を有さない薬物 ポリマーの組み合わせに関しても取得することもできる。
【0036】
さらに、メッシュパウチとともに使用するための生分解性ポリマーは、ポリマー層が、室温で2〜50%の間の薬物を含有するように、薬物に相補的な化学組成を有する。薬物の特定の種類に対して、層は、80〜90%もの薬物を含有し、薬物レザバ(または貯蔵層)として作用し、薬物放出は、様々な量の薬物(ゼロから数パーセント、飽和またはポリマー中の薬物への溶解限度を上回る)を有する多数の層を使用することによって制御することができる。
【0037】
鎮痛効果を達成するため、麻酔薬および/または鎮痛薬は、手術または組織傷害直後に傷害した組織に送達されるべきである。本発明のパウチ上の被覆に含めるための薬物は、鎮痛薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗菌薬剤、抗真菌薬、NSAIDS、他の生物製剤(タンパク質および核酸を含む)等を含むが、これらに限定されない。抗菌薬および抗真菌薬は、メッシュパウチ、機器および/または周囲組織に細菌が定着することを予防することができる。1つ以上の薬物は、本発明のメッシュパウチ上のポリマー被覆内に包含することができる。
【0038】
別の実施形態においては、本発明のメッシュパウチは、急性手術部位疼痛の期間と典型的には一致する1日から10日の間、埋め込まれた被覆メッシュから手術部位の周囲組織に溶出するように、麻酔薬を含む被覆を有する。別の実施形態においては、本発明のメッシュパウチを介する抗菌薬の送達は、治癒過程(例えば、通常約30日以下)の間、インプラントの周囲の細菌増殖および定着に対抗して抑制域を生成し、および/または過度の線維形成反応を予防することができる。
【0039】
好適な化学的性質を有する被覆は、長期間にわたって比較的高い濃度の薬物の放出を提供するために、任意に1つ以上の薬物と協力して、メッシュ上に沈着することができるため、生分解性ポリマー被覆を使用することにより、下層の機器内または該機器への薬物溶解度、含浸または付着の問題が回避される。例えば、メッシュパウチ上の生分解性ポリマー被覆の化学組成および被覆手法を調節することによって、臨床的に有効な量の麻酔薬は、十分な薬物溶出を確実にし、手術部位、患者への術後の疼痛の軽減を提供するために、メッシュパウチに負荷され得る。
【0040】
そのような術後の急性疼痛の軽減を提供するため、メッシュパウチは、1〜10日間にわたって、約30mgから約1000の麻酔薬を、例えば、その期間にわたって、約30、50、100、200、400、500、750、または1000mgを溶出すべきである。
【0041】
パウチは、疼痛が患者に最も顕著な時である術後急性期の間に、臨床的に有効量の麻酔薬を溶出すべきである。いくつかの臨床研究で定義されたこの期間は、手術の12時間から5日後である傾向があり、疼痛は、約24時間で最大であり、その後数日の期間にわたって弱まる。12時間前、患者は、通常、手術自体の間に投与された任意の局所麻酔薬注射の影響下にまだある。5日間後、手術自体に関連する疼痛(すなわち、切開疼痛および筋膜、筋肉&神経の触診)の多くは、かなりの程度まで消散した。
【0042】
ブピバカインは、既知の毒性プロファイル、発現の持続時間、および作用の持続時間を有する。薬物研究書は、日用量が400mgを超えないことを推奨している。当業者は、所望される鎮痛の量および持続時間を達成するために、ポリマー被覆またはヒドロゲル被覆内に含める麻酔薬の量を判断することができる。さらに、リドカインおよびブピバカイン等のアミンを含有する麻酔薬は、疎水性であり、ポリプロピレンおよび非吸収性の熱可塑性プラスチック等の医療機器産業において最も一般的に使用されるプラスチック内に、十分な量を負荷することが困難である。それらの塩酸塩の形の場合、2つの材料の親水性における不一致のために、麻酔薬は、そのような非吸収性の熱可塑性プラスチック内に有意な濃度で効果的に負荷することができない。
【0043】
カテーテル疼痛ポンプシステムを併用した、2〜5日目の開放性ヘルニア修復後の麻薬使用および疼痛スコアの減少または完全な除去に関する多数の報告がある。これらの場合、ポンプは、ブピバカインの0.25%または0.5%のいずれかの溶液を筋膜下領域(Sanchez,2004;LeBlanc,2005;およびLau,2003)に送達する。2mL/時間の流速において、これは、1日当たり約120mgのブピバカインの一定の「溶出」にと翻訳される。しかしながら、このシステムは、漏出に悩まされるとされるため、1日当たり120mgは、適切な術後の鎮痛を提供するために送達されるべきブピバカインの量の極めて大まかな指針としてのみ機能し得る。
【0044】
文献で報告された術後の鎮痛に関して最も良く特徴付けられた持続放出貯蔵システムのうちの1つは、ブピバカインのPLGAミクロスフェアベースの持続放出製剤である。この製剤は、皮下疼痛の軽減ならびに神経遮断(neural block)に関して、ヒトにおいて開発およびテストされた。ヒトの治験は、最初の24時間により高い濃度で、続いて濃度を漸減して、7日間にわたって周囲組織内に溶出した90から180mgのブピバカインの注射を介して、皮下疼痛が軽減されたことを示した。他の貯蔵持続放出技術は、鼠径部ヘルニア修復に関連する術後疼痛をうまく抑止した。例えば、外部ポンプおよびPLGAミクロスフェア製剤は、各々約72時間の間薬物を放出したとされる。
【0045】
溶出プロファイルの下限での負荷を達成するため、例えば、比較的親水性の生分解性ポリマーを選択し、麻酔薬が、麻酔薬の飽和限度を下回る濃度でポリマー内に溶解されるように、それを麻酔薬塩酸塩と組み合わせることができる。そのような製剤は、麻酔薬の非バースト放出を提供する。溶出プロファイルの上限での負荷を達成するため、その飽和限度を超える濃度で麻酔薬を含有する麻酔薬−ポリマー混合物の層を噴霧被覆することができる。この製剤において、ポリマーは、麻酔薬を放出するための制御機構としては作用しないが、むしろ溶解されていない麻酔薬粒子を一緒に保持するための結合剤として作用し、薬物の結晶化動態を変化させる。さらなる麻酔薬を含有し得るまたは含有し得ない第2の被覆層は、第1の層の上部に噴霧される。第2の被覆内に存在する場合、麻酔薬濃度は、ポリマーの麻酔薬に対するより高い比率であり、例えば、麻酔薬がポリマー層において可溶性である濃度である。
【0046】
したがって、頂部の層は、薬物−ポリマー溶解度比を介して、底部の層(別称、貯蔵層)において薬物の放出を制御するのに役立つことができる。さらに、ポリマー層の厚さを変更し、その水の取り込みに従ってポリマー組成を変更することによって、薬物の放出速度を変化させることが可能である。24時間以内に相当量の水を吸収するポリマーは、貯蔵層の内容物を迅速に放出するであろう。しかしながら、水の取り込みが制限されたポリマー、または変動性の水の取り込み(分解のその段階の関数として変化する)を有するポリマーは、水溶性の麻酔薬の放出を遅らせるであろう。
【0047】
一実施形態においては、生分解性ポリマー被覆は、少なくとも2〜3日の間薬物を放出する。そのような放出は、例えば、薬物が、手術部位での局所疼痛管理を補助する鎮痛薬である場合に好適である。鎮痛効果を達成するために、麻酔薬および/または鎮痛薬は、手術または組織傷害の直後に、傷害組織に送達されるべきである。
【0048】
別の実施形態においては、被覆は、麻酔薬が、急性手術部位疼痛の期間と典型的には一致する1日から10日の間、埋め込まれた被覆メッシュから手術部位の周囲組織に溶出するように、麻酔薬を含む。別の実施形態においては、本発明のメッシュを介する抗菌薬の送達は、治癒過程(例えば、通常約7〜30日以下)の間、インプラントの周囲の細菌増殖および定着に対抗して抑制域を生成し、および/または過度の線維形成反応を予防することができる。
【0049】
好適な化学的性質を有する被覆は、長期間にわたって比較的高い濃度の薬物の放出を提供するために、任意に1つ以上の薬物と協力して、メッシュパウチ上に沈着することができるため、生分解性ポリマー被覆を使用することにより、下層の機器内または該機器への薬物溶解度、含浸または付着の問題が回避される。例えば、生分解性ポリマー被覆の化学組成物および被覆手法を調節することによって、臨床的に有効な量の麻酔薬は、十分な薬物溶出を確実にし、手術部位、患者への術後疼痛の軽減を提供するために、メッシュパウチに負荷することができる。
【0050】
異なる(長いまたは短い)時間にわたる、より速いまたはより遅い薬物放出を伴う他の溶出プロファイルは、層の厚さ、貯蔵層内の薬物の量および生分解性ポリマーの親水性を変化させることによって達成することができる。
【0051】
生分解性ポリマー
本発明のパウチ上の被覆は、任意に1つ以上の薬物を含有する生分解性ポリマー層から形成される。生分解性ポリマーを作る方法は、当技術分野において周知である。
【0052】
本発明で使用するのに好適な生分解性ポリマーは、以下を含むが、これらに限定されない;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびにそれらの共重合体および混合物、例えば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)ポリグリコール酸[ポリグリコリド(PGA)]、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)(PLA/PCL)およびポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGA/PCL)等のポリ乳酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレンフマレート、ポリ(エチルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン−コ−アクリル酸ブチル、ポリヒドロキシブチラート(PHBT)およびポリヒドロキシブチラートの共重合体、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、無水マレイン酸共重合体、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5% ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、ポリ(オルトエステル)、チロシン由来のポリアリレート、チロシン由来のポリカーボネート、チロシン由来のポリイミノカーボネート、チロシン由来のポリホスホネート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒアルロン酸、キトサンおよび再生セルロース等の多糖類、ゼラチンおよびコラーゲン等のタンパク質、ならびにそれらの混合物および共重合体、とりわけ、PEG誘導体または上記のいずれかの混合物。
【0053】
一部の実施形態においては、本発明の生分解性ポリマーは、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリホスホネートまたは任意の他のポリマーを形成するために、適切な化学的部分と共重合されるジフェノールモノマー単位を有する。
【0054】
好適な生分解性ポリマーは、米国特許第4,980449号、第5,099,060号、第5,216,115号、第5,317,077号、第5,587,507号、第5,658,995号、第5,670,602号、第6,048,521号、第6,120,491号、第6,319,492号、第6,475,477号、第6,602,497号、第6,852,308号、第7,056,493号、第RE37,160E号、および第RE37,795E号に記載されるもの、ならびに米国特許出願公開第2002/0151668号、第2003/0138488号、第2003/0216307号、第2004/0254334号、第2005/0165203号、およびPCT国際公開第WO99/52962号、第WO01/49249号、第WO01/49311号、第WO03/091337号に記載されるものを含む、チロシンベースのポリアリレートである。また、これらの特許および刊行物は、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリチオカーボネート、ポリホスホネートおよびポリエーテルを含む、チロシン由来のジフェノールモノマー単位または他のジフェノールモノマー単位を含有する他のポリマーも開示する。
【0055】
同様に、前述の特許および刊行物は、これらのポリマーを作るための方法を記載し、それらの一部の方法は、他の生分解性ポリマーを合成することに適用でき得る。最後に、また、前述の特許および刊行物は、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)を含む、ポリアルキレンオキシドを有する混合物および共重合体も記載する。全てのそのようなポリマーは、本発明における使用を検討される。
【0056】
前述のポリマーの代表的な構造は、参考としてそれら全体が本明細書に援用される上記の特許および刊行物に提供される。
【0057】
本明細書で使用するDTEは、ジフェノール単量体デスアミノチロシル−チロシンエチルエステルであり、DTBnは、ジフェノール単量体デスアミノチロシル−チロシンベンジルエステルであり、DTは、対応する遊離酸型、すなわち、デスアミノチロシル−チロシンである。BTEは、ジフェノール単量体4−ヒドロキシ安息香酸−チロシルエチルエステルであり、BTは、対応する遊離酸型、すなわち、4−ヒドロキシ安息香酸−チロシンである。
【0058】
P22は、コハク酸塩とのDTEの縮合によって生成されたポリアリレート共重合体である。P22−10、P22−15、P22−20、P22−xx等は、(1)DTの指示されたパーセンテージ(すなわち、10、15、20およびxx%DT等)を使用したDTEおよびDTの混合物と(2)コハク酸塩との縮合によって生成された共重合体を表す。
【0059】
さらなる好適なポリアリレートは、デスアミノチロシル−チロシン(DT)およびデスアミノチロシル−チロシルエステル(DTエステル)の共重合体であり、共重合体は、約0.001%DTから約80%DTを含み、エステル部分は、最大18の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル、アルキルアリール、またはアルキレンエーテル基であることができ、それらの任意の基は、任意にその中にポリアルキレンオキシドを有することができる。同様に、ポリアリレートの別の群は前述と同一であるが、デスアミノチロシル部分は、4−ヒドロキシベンゾイル部分で置換される。好適なDTまたはBT含量は、約1%から約30%、約5%から約30%、約10から約30%DTまたはBTを有するそれらの共重合体を含む。好適な二価酸(ポリアリレートの形成に使用される)は、コハク酸塩、グルタル酸塩およびグリコール酸を含む。
【0060】
本発明に有用なさらなる生分解性ポリマーは、2005年11月3日に出願された米国特許仮出願第60/733,988号および2006年11月3日に出願されたその対応するPCT出願第PCT/US06/42944号に開示される生分解性かつ再吸収性ポリアリレートおよびポリカーボネートである。これらのポリマーは、BTEグルタル酸塩、DTMグルタル酸塩、DTプロピルアミドグルタル酸塩、DTグリシンアミドグルタル酸塩、BTEコハク酸塩、BTMコハク酸塩、BTEコハク酸塩PEG、BTMコハク酸塩PEG、DTMコハク酸塩PEG、DTMコハク酸塩、DT N−ヒドロキシスクシンイミドコハク酸塩、DTグルコサミンコハク酸塩、DTグルコサミングルタル酸塩、DT PEGエステルコハク酸塩、DT PEGアミドコハク酸塩、DT PEGエステルグルタル酸塩およびDT PEGエステルコハク酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0061】
最も好適なポリアリレートは、ポリマーのDTE−DTコハク酸塩のファミリーであり、例えば、約1、2、5、10、15、20、25、27.5、30、35、40%、45%、および50%DTを含むがこれらに限定されない、0〜50%、5〜50%、5〜40%、1〜30%、または10〜30%DTを有するポリマーのP22−xxのファミリーである。
【0062】
さらに、本発明で使用するポリアリレートポリマーは、米国仮特許出願第60/733,988号に記載されるような分解過程を促進するために、0.1〜99.9%PEG二価酸を有することができる。ポリアリレートまたはポリアリレートとの他の生分解性ポリマーの混合物もまた好適である。
【0063】
薬物
本発明のメッシュパウチを調製する過程に適合する任意の薬物、生物学的因子、または活性成分は、メッシュ上の生分解性ポリマー被覆の1つ以上の層に取り込むことができる。そのような薬物および薬剤の用量は、当技術分野において公知である。当業者は、本発明のメッシュ上の被覆に含める特定の薬物の量を容易に判断することができる。
【0064】
本発明とともに使用するのに好適な薬物の例は、麻酔薬、抗生物質(抗菌薬)、抗炎症薬、線維化阻害剤、抗瘢痕化剤、ロイコトリエン阻害剤/拮抗薬、細胞増殖阻害剤等を含む。本明細書で使用する「薬物」は、タンパク質、核酸等の小分子または大型の分子を問わず、全ての種類の治療薬を含むように使用される。本発明の薬物は、単独または組み合わせて使用することができる。
【0065】
例えば、遊離塩基またはその薬学的に許容可能な塩またはエステル等の本発明の薬物の任意の薬学的に許容可能な形態を、本発明に採用することができる。薬学的に許容可能な塩は、例えば、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩,クエン酸塩、リン酸塩等を含む。
【0066】
非ステロイド性抗炎症薬の例は、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェンおよびジクロフェナク、セレコキシブ、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、メロキシカム、r−フルルビプロフェン、メフェナム酸、ナブメトン、トルメチン、および前述の各ナトリウム塩、ケトロラクブロメタミン、ケトロラクブロメタミントロメタミン、コリンマグネシウムトリサリチル酸塩、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、アスピリン、サリチル酸およびそのナトリウム塩、α、β、γトコフェロールおよびトコトリエノールのサリチル酸エステル(および全てのそれらのd、l、ラセミ異性体)、ならびにアセチルサリチル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル,エステル等を含むが、これらに限定されない。
【0067】
麻酔薬の例は、リコダイン(licodaine)、ブピバカイン、およびメピバカインを含むが、これらに限定されない。鎮痛薬、麻酔薬および麻薬のさらなる例は、アセトアミノフェン、クロニジン、ベンゾジアゼピン、ベンゾジアゼピンアンタゴニストフルマゼニル、リドカイン、トラマドール、カルバマゼピン、メペリジン、ザレプロン、トリミプラミン マレイン酸塩、ブプレノルフィン、ナルブフィン、ペンタゾカイン、フェンタニル、プロポキシフェン、ヒドロモルホン、メタドン、モルヒネ、レボルファノール、およびヒドロコドンを含むが、これらに限定されない。局所麻酔薬は、弱い抗菌特性を有し、急性疼痛および感染の予防において二重の役割を担うことができる。
【0068】
抗菌薬の例は、トリクロサン、クロルヘキシジン、リファンピン、ミノサイクリン(または他のテトラサイクリン誘導体)、バンコマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン等を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、被覆は、リファンピンおよび別の抗菌薬剤を含有し、好ましくは、その薬剤はテトラサイクリン誘導体である。別の好ましい実施形態において、被覆は、セファロスポリンおよび別の抗菌薬剤を含有する。好適な組み合わせは、リファンピンおよびミノサイクリン、リファンピンおよびゲンタマイシン、ならびにリファンピンおよびミノサイクリンを含む。
【0069】
さらなる抗菌薬は、アズトレオナム;セフォテタンおよびその二ナトリウム塩;ロラカルベフ、セフォキシチンおよびそのナトリウム塩;セファゾリンおよびそのナトリウム塩;セファクロル;セフチブテンおよびそのナトリウム塩;セフチゾキシム;セフチゾキシムナトリウム塩;セフォペラゾンおよびそのナトリウム塩;セフロキシムおよびそのナトリウム塩;セフロキシムアキセチル;セフプロジル;セフタジジム;セフォタキシムおよびそのナトリウム塩;セファドロキシル;セフタジジムおよびそのナトリウム塩;セファレキシン;セファマンドールナファート;セフェピムおよびその塩酸塩、硫酸塩およびリン酸塩;セフジニルおよびそのナトリウム塩;セフトリアキソンおよびそのナトリウム塩;セフィキシムおよびそのナトリウム塩;セフポドキシムプロキセチル;メロペネムおよびそのナトリウム塩;イミペネムおよびそのナトリウム塩;シラスタチンおよびそのナトリウム塩;アジスロマイシン;クラリスロマイシン;ジリスロマイシン;エリスロマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩エチルコハク酸塩、およびステアリン酸塩形態;クリンダマイシン;クリンダマイシン塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;リンコマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;トブラマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ストレプトマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;バンコマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ネオマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;アセチルスルフイソキサゾール;コリスチメタートおよびそのナトリウム塩;キヌプリスチン;ダルホプリスチン;アモキシリン;アンピシリンおよびそのナトリウム塩;クラブラン酸およびそのナトリウムまたはカリウム塩;ペニシリンG;ペニシリンGベンザチン、またはプロカイン塩;ペニシリンGナトリウムまたはカリウム塩;カルベニシリンおよびその二ナトリウムまたはインダニル二ナトリウム塩;ピペラシリンおよびそのナトリウム塩;チカルシリンおよびその二ナトリウム塩;スルバクタムおよびそのナトリウム塩;モキシフロキサシン;シプロフロキサシン;オフロキサシン;レボフロキサシン;ノルフロキサシン;ガチフロキサシン;メシル酸トロバフロキサシン;メシル酸アラトロフロキサシン;トリメトプリム;スルファメトキサゾール;デメクロサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ドキシサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ミノサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;テトラサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;オキシテトラサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;クロルテトラサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;メトロニダゾール;ダプソン;アトバコン;リファブチン;リネゾリド;ポリミキシンBおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;スルファセタミドおよびそのナトリウム塩;ならびにクラリスロマイシンを含む。
【0070】
抗真菌薬の例は、アムホテリシンB;ピリメタミン;フルシトシン;カスポファンギン酢酸塩;フルコナゾール;グリセオフルビン;テルビナフィンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ケトコナゾール;ミクロナゾール;クロトリマゾール;エコナゾール;シクロピロクス;ナフチフィン;ならびにイトラコナゾールを含む。
【0071】
本発明のメッシュパウチ上の被覆に取り込むことができる他の薬物は、ケフレックス、アシクロビル、セフラジン、マルファレン(malphalen)、プロカイン、エフェドリン、アドリアマイシン、ダウノマイシン、プルンバギン(plumbagin)、アトロピン、キニーネ、ジゴキシン、キニジン,生物活性ペプチド、セフラジン、セファロチン、cis−ヒドロキシ−L−プロリン、メルファラン、ペニシリンV、アスピリン、ニコチン酸、ケノデオキシコール酸、クロランブシル、パクリタキセル、シロリムス、シクロスポリン、5−フルオロウラシル等を含むが、これらに限定されない。
【0072】
さらなる薬物は、血管新生阻害剤の役割を果たすもの、または上皮細胞増殖因子、PDGF、VEGF、FGF(線維芽細胞増殖因子)等の細胞増殖を抑制するものを含む。これらの薬物は、抗増殖因子抗体(ニュートロフィリン−1)、エンドスタチンおよびサリドマイド等の増殖因子受容体特異的阻害剤を含む。有用なタンパク質の例は、上皮細胞増殖因子等の細胞増殖阻害剤を含む。
【0073】
抗炎症性化合物の例は、酢酸アネコルタブ;テトラヒドロコルチゾール,4,9(ll)−プレグナジエン−17.α.,21−ジオール−3,20−ジオンおよびその−21−酢酸塩、11−エピコルチゾール、17.α.−ヒドロキシプロゲステロン;テトラヒドロコルテキソロン(tetrahydrocortexolone);コルチゾン;酢酸コルチゾン;ヒドロコルチゾン;酢酸ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン;リン酸フルドロコルチゾン、プレドニゾン;プレドニゾロン;プレドニゾロンリン酸ナトリウム;メチルプレドニゾロン;メチルプレドニゾロン酢酸塩;メチルプレドニゾロン;コハク酸ナトリウム;トリアムシノロン;トリアムシノロン−16,21−ジアセテート;トリアムシノロンアセトニドおよびその−21−酢酸塩、−21−二ナトリウムリン酸塩、および−21−ヘミコハク酸塩形態;トリアムシノロンベネトニド;トリアムシノロンヘキサセトニド;フルオシノロンおよびフルオシノロンアセテート;デキサメサゾンおよびその−21−酢酸塩、−21−(3,3−ジメチルブチラート)、−21−リン酸塩二ナトリウム塩、−21−ジエチルアミノアセテート、−21−イソニコチネート、−21−ジプロピオネート、および−21−パルミテート形態;βメタゾンおよびその−21−酢酸塩、−21−アダマントエート、−17−安息香酸塩、−17,21−ジプロピオネート、−17−吉草酸塩、および−21−リン酸塩二ナトリウム塩;ベクロメタゾン;ベクロメタゾンジプロピオネート;ジフロラゾン;酢酸ジフロラゾン;フランカルボン酸モメタゾン;ならびにアセタゾラミドを含むが、これらに限定されない。
【0074】
ロイコトリエン阻害剤/拮抗薬の例は、アシタザノラスト(acitazanolast)、イラルカスト(iralukast)、モンテルカスト、プランルカスト(pranlukast)、ベルルカスト(verlukast)、ザフィルルカスト、およびジレウトン(zileuton)等のロイコトリエン受容体拮抗薬を含むが、これらに限定されない。
【0075】
本発明の被覆に取り込むことができる別の有用な薬物は、ナトリウム2−メルカプトエタンスルホン酸塩(Mesna)である。Mesnaは、乳房インプラントを用いた嚢(capsular)拘縮の動物実験において、筋線維芽細胞形成を減少させることが分かっており[Ajmal et al.(2003)Plast.Reconstr.Surg.112:1455−1461]、したがって、抗線維化薬剤として作用し得る。
【0076】
当業者は、前述の開示された任意の薬物は、本発明の被覆において組み合わせて、または混合で使用することができることを理解されたい。
【0077】
被覆方法
本発明に従って、硬化剤でメッシュを被覆する一方法は、メッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して、メッシュのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化するために、ポリマーの溶液を噴霧することである。この方法は、(a)溶剤および硬化剤を含む被覆溶液を調製するステップと、(b)フィラメントまたは繊維を被覆するメッシュのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化するのに十分な厚さおよび設置を有する被覆を生成するために、メッシュ上にある量の溶液を提供するように1回以上メッシュに噴霧するステップと、(c)該被覆を生成するために、メッシュを乾燥させるステップとを備える。被覆厚さのポリマー被覆に対する比率の1例は、図7の走査電子微鏡写真に示す。薬物(または薬物の組み合わせ)とともに使用する場合、薬物は、所望の濃度で被覆溶液中に含める。
【0078】
噴霧は、既知の方法で達成することができる。例えば、被覆は、メッシュ全体に、またはそれを硬化させるのに必要なメッシュのその部分に塗布することができる。一技術は、メッシュを被覆材料に浸漬することであり、別の技術は、被覆をメッシュ上に移動させるローラにメッシュを通り抜けさせることである。また、微小滴でメッシュに噴霧することも有効である。メッシュを硬化させるのに必要なそれらの領域のみに選択的に被覆するための技術は、極微針(micro needle)または同様の手段で被覆を分配することを含む、被覆の範囲の所望の領域のみを露出する鋳型またはマスクを通じて被覆を沈着することを含む。より好ましくは、被覆は、所望の部分を露出するフォトレジストのようなマスクを使用し、被覆をフォトマスク上に塗布し、フォトマスクを除去して塗布することができる。
【0079】
被覆されたメッシュは、所望の形およびサイズのパウチ、カバー等を生成するために、レーザ切断することができる。パウチは、比較的ぴったりと、またはより緩く埋込型医療機器の周囲に適合させるように形作ることができる。2つの部品は、熱、超音波または当技術分野において既知の方法によってシールすることができ、外科的処置の時に機器の挿入を可能にし、リードまたは他のワイヤがパウチから延在して突起/突出することを可能にするために、片側を開放させておく。
【0080】
さらに、本発明のメッシュパウチは、機器からのリードがパウチを通り抜けるのに十分な空間または開口部を有する。提供されるパウチ内の空間または開口部の数は、関連機器に適用できるようなCRMまたは他のIMDから延在するリードまたは他の管の数および設置とマッチさせることができる。
【0081】
好ましい実施形態において、本発明のパウチの形およびサイズは、それが使用されるCRMまたはIMDのものと同様であり、パウチは、特定のCRMまたは他のIMDのリードまたは管を収容するのに十分な数の開口部または空間を有する。
【0082】
本発明のパウチは、メッシュに由来して多孔質であるが、付加的な多孔性を有することができる。例えば、付加的な多孔性は、被覆されたメッシュ多孔質パウチにおいて付加的な空孔をレーザ切断することによって与えることができる。したがって、パウチは、IMDを完全に封入する、または包囲する必要はない。したがって、パウチが機器および機器の少なくとも20%、30%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%をパウチ内に保持することができる時に、IMDは、実質的に被包される、封入される、包囲されるか、または被覆される。多孔質パウチおよび部分的に封入されたパウチは、組織および体液との接触を可能にし、モノポールCRMまたは他のIMD機器とともに特に有用である。多孔性は、パウチによって被覆されるIMDのパーセンテージに寄与する。すなわち、IMDは、50%空隙または空孔を有する膜で構築されるパウチによって完全に包囲されるのであれば、50%被覆されると見なされる。
【0083】
CRMおよび他のIMD
本発明のパウチとともに使用されるCRMおよび他のIMDは、ペースメーカ、除細動器、埋込型アクセスシステム、神経刺激機器、他の刺激機器、心室補助機器、輸液ポンプもしくは薬物を送達するための他の埋込型機器(またはその埋込型構成部品)、水和溶液もしくは他の流体、髄腔内送達システム,疼痛ポンプ、または薬物もしくは電気刺激を体の一部に提供するための任意の他の埋込型システムを含むが、これらに限定されない。
【0084】
埋込型心調律管理装置(Implantable cardiac rhythm management:CRM)は、IMDの形態であり、生涯医療機器インプラントである。CRMは、定常速度で心臓が継続的に鼓動することを確実にする。埋込型心調律管理装置と埋込型除細動器の2つの主な種類のCRM機器がある。
【0085】
ICDまたは埋込型電気除細動器(cardioverter defibrillator)およびペースメーカは、共通要素を共有する。それらは、比較的規模の小さい外科的処置を介して挿入された永久インプラントである。それぞれが、発生器およびリードの2つの基本的な構成部品を有する。発生器は、通常、胸骨の皮膚の下の皮下ポケット内に設置され、リードは、心筋または心室内に下方にセット(threaded down and into)される。設置および設計の共通要素は、リード突出、リードチップ線維化、および感染を含む、共有の罹患率に繋がる。感染率は極めて低いとされるが、リード、発生器、または手術部位のいずれかの細菌汚染が、発生器およびリードに沿った細菌拡散を介して、心臓に直接移動することができるため、感染は、重要な課題である。心内膜炎、または心臓の感染は、33%もの高い死亡率を報告している。
【0086】
ICDは、心拍および律動を定常的に監視する電子機器である。これは、速い異常な心律動を検出した時に、心筋にエネルギーを送達する。この作用は、それを洞律動に戻す試みにおいて、再び正常な律動で心臓を鼓動させる。
【0087】
ICDは、リードおよびパルス発生器の2つの部品を有する。リードは、心律動を監視し、ペーシングおよび/または除細動(定義は以下を参照)のために使用されるエネルギーを送達する。リードは、心臓および発生器に直接接続される。発生器は、電池および極小コンピュータを収容する。エネルギーは、必要となるまで電池に保存される。コンピュータは、リードを介して心機能に関する情報を受け取り、そのプログラミングに基づいてその情報に反応する。
【0088】
異なる種類のICDは、リードが右心室に取り付けされる単一チャンバICD(必要とあれば、エネルギーは、心室が正常に収縮するように心室に送達される)と、リードが右心房および右心室に取り付けられる二重チャンバICD(エネルギーは、心臓が正常な順序(sequence)で確実に鼓動するように、最初に右心房に、次いで右心室に送達される)と、リードが右心房、右心室および左心室に取り付けられる両室ICDと、を含むが、これに限定されない。この配列(arrangement)は、より均衡の取れた方法で心臓を鼓動させるのに役立ち、心不全患者のために特に使用される。
【0089】
ペースメーカは、好適な心拍および律動を維持するために、電気インパルスを心筋に送る小さな機器である。また、ペースメーカは、失神発作(fainting spell)(失神)、鬱血性心不全、および肥大型心筋症を治療するために使用することもできる。ペースメーカは、概して、規模の小さい外科的処置時に、胸部の皮膚の下に埋め込まれる。また、ペースメーカは、リードおよび電池駆動のパルス発生器で構成される。パルス発生器は、胸部の皮膚の下に存在する。リードは、静脈を介して心臓にセットされ、心筋に埋め込まれるワイヤである。それらは、パルス発生器から心筋にインパルスを送り、心臓の電気的活動を感知する。
【0090】
各インパルスは、心臓を収縮させる。ペースメーカは、心臓の不具合を治療するのに必要なペースメーカの種類に応じて、1つから3つのリードを有してもよい。
【0091】
異なる種類のペースメーカは、心臓の上方チャンバ(心房)または下方チャンバ(心室)内で1つのリードを使用する単一チャンバペースメーカ、心臓の心房内で1つのリードおよび心室内で1つのリードを使用する二重チャンバペースメーカ、ならびに1つが右心房内に設置され、1つが右心室内に設置され、1つが左心室に設置される(冠状静脈洞静脈を介して)、3つのリードを使用する両室ペースメーカを含むが、これらに限定されない。
【0092】
したがって、本発明のパウチは、様々な製造業者(表1参照)からの広範囲に及ぶペースメーカおよび埋込型除細動器を適合するように設計することができる。CRMのサイズは異なり、典型的なサイズ範囲を表1に列挙する。
【0093】
【表1】
埋込型神経刺激機器は、機器が電気インパルスを発生させるペースメーカと同様である。これらの機器は、疼痛および他の神経障害を治療するために、リードを介して脊椎および脳に電気信号を送る。例えば、リードが脊椎に埋め込まれた場合、神経刺激は、慢性疼痛(特に、背痛および脊椎痛)を治療するために使用することができ、リードが脳に埋め込まれた場合、神経刺激は、癲癇とパーキンソン病および他の神経障害に付随する振せんを含む本態性振せんとを治療するために使用することができる。神経刺激は、重症かつ慢性の悪心および嘔吐ならびに泌尿器系障害を治療するために使用することができる。前者に対して、電気インパルスは胃に送られ、後者に対して、電気インパルスは、腰背部の仙骨神経に送られる。神経刺激機器のインプラント位置は、用途によって異なるが、全ての場合において、皮膚の下に設置され、埋め込み時および埋め込み後に感染しやすい。同様に、神経刺激機器内の電池の再介入および交換は、一定の間隔で生じ得る。
【0094】
したがって、本発明のパウチは、様々な製造業者(表2参照)からの広範囲に及ぶ神経刺激機器を適合するように設計することができる。神経刺激機器のサイズは異なり、典型的なサイズ範囲を表2に列挙する。
【0095】
【表2】
最初の埋め込みに関する報告された感染率は、通常極めて低いが(1%未満)、しかしながら、再介入が必要な時に、感染率は劇的に増加する。再介入は、ICDの発生器部分、ペースメーカ、神経刺激機器、薬物ポンプまたは他のIMDの除去を必要とすることが多く、吸収性パウチを有することでその処理が向上する。
【0096】
本発明において使用するための他のIMDは、薬物ポンプ、特に疼痛ポンプおよび髄腔内送達システムである。概して、これらの機器は、薬物を分配するための埋込型薬物ポンプおよびカテーテルから成る。埋込型薬物ポンプは、神経刺激機器およびCRMと同様のサイズである。さらなる埋込型医療機器は、埋込型EGMモニタ、埋込型アクセスシステム、または体の一部に薬物または電気刺激を提供するために、電池電力を利用する任意の他の埋込型システムを含むが、これらに限定されない。
【0097】
抗菌効果
本発明のパウチの抗菌効果は、例えば、細菌抑制域にアクセスするために、改良型Kirby−−Bauer Antibiotic Susceptibility Test (Disk Diffusion Test)(インビトロ)を使用して、またはBoburden Test Method(インビトロ)によって、実験室(インビトロ)で実証することができる。そのような実験において、パウチの小さいディスクを切断して、使用し、また、抗菌効果も、感染の動物モデルを使用してインビボで実証することができる。例えば、パウチと機器の組み合わせを動物に埋め込み、手術部位を、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌等の病原微生物に意図的に感染させ、感染および炎症の徴候について動物を監視する。屠殺後、動物は、パウチ、機器および周囲組織の炎症、線維化および細菌定着に関して評価される。
【0098】
当業者は、本発明の範囲を逸脱せずに、上記の本発明に、種々の省略、追加および変型を行うことができ、全てのそのような変型および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本発明の範囲に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書で引用した全ての参考文献、特許、特許出願、または他の文書は、参考としてそれらの全体が援用される。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
DTE−DTコハク酸塩被覆メッシュからの抗生物質放出
A.噴霧被覆によるメッシュの調製
9:1テトラヒドロフラン/メタノール中、比率1:1:8のリファンピン:ミノサイクリン:ポリマーを含有する1%溶液を、各側面が、少なくとも10mgの抗菌薬包埋ポリマーで被覆されるまで、メッシュの各側面上に噴霧ノズルを繰り返し通過させることによって、外科用メッシュ上に噴霧被覆した。試料を、使用前に真空オーブン内で少なくとも72時間乾燥させた。
【0100】
ポリマーは、表3に示される%DTであるxxを有するポリアリレートP22−xxである。表3において、RxxまたはMxxは、被覆中のリファンピン(R)またはミノサイクリン(M)の重量パーセンテージを示し、すなわち、R10M10は、10%リファンピンおよび10%塩酸ミノサイクリンと80%の指示されたポリマーとを意味する。表3は、それらの%DT含有量、正確な試料サイズ、最終的な被覆重量および薬物被覆重量とともに、これらのポリアリレートのリストを提供する。
【0101】
【表3】
B.抑制域(Zone of Inhibition:ZOI)研究
抗生物質被覆メッシュについてのZOIを、Kirby−Bauer方法に従って判断した。表皮ブドウ球菌または黄色ブドウ球菌は、保存培養液からTriplicate Soy Broth(TSB)中に播種し、濁度がMcFarland#0.5基準(1〜2時間)に達するまで、37℃でインキュベートした。プレートは、Mueller−HintonII寒天上(HMA)に3回細菌を画線することによって調製し、プレート全体を被覆するために、各回に左から右にプレートを塗布し、画線の方向を変更するために、塗布間にプレートを回転させた。
【0102】
噴霧被覆メッシュの予め切断した断片(1〜2cm2)を、事前に温めたMueller HintonII寒天プレートの中央に強く押し、37℃でインキュベートした。断片は、無菌鉗子を使用して、24時間おきに、新鮮かつ事前に温めたMueller HintonII寒天プレートに移行させた。試料から抑制域の外縁の距離を、24時間おきに測定し、各試料に関して表4および5の下段の行に報告する。各試料について上段の行は、ZOIの直径とメッシュの対角線との間の差を表す。表4は、表皮ブドウ球菌菌叢上に設置したメッシュについてのZOI結果を示し、表5は、黄色ブドウ球菌菌叢上に設置したメッシュについてのZOI結果を示す。さらに、残留ミノサイクリンおよびリファンピンの分析のために、3つの断片を24時間ごとに除去した。
【0103】
図1は、25%または27.5%DTを有するDTE−DTコハク酸塩ポリアリレート被覆中の、それぞれ10%の塩酸ミノサイクリンおよびリファンピンを有するメッシュについての黄色ブドウ球菌の合計ZOIを示す。カテーテルは、リファンピンおよび塩酸ミノサイクリンを含浸させたCOOK SPECTRUM静脈カテーテルである。
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
表6は、生体外薬物放出の持続時間が、吸収性ポリマーの親水性とともに増加することを示す。溶媒キャスト膜をPBS中に浸し、抗生物質放出をHPLCで監視した。
【0106】
【表6】
(実施例2)
DTE−DTコハク酸塩被覆メッシュからのブピバカイン放出
A.メッシュの調製
図2に示す実験に関して、THFメタノールの混合物中1%P22−27.5ポリアリレートを有する4%溶液として540mgのブピバカインHClを含有する第1の貯蔵被覆を、メッシュ上に噴霧被覆した。425mgの同一ポリアリレートのみから成る第2の層は、第1の層の頂部に沈着させた。
【0107】
図3に示す実験に関して、27.5%DTを有するDTE−DTコハク酸塩ポリマー中の約4%ブピバカインの溶液を、指示した数の通過と、続いて、THF:メタノール(9:1)中の同一ポリアリレートの溶液内への指示した数の浸漬を用いて、メッシュ上に噴霧した。
【0108】
B.麻酔薬放出
メッシュの事前秤量した断片を37℃でPBS中に置き、HPLCでブピバカインを判断するために、試料を周期的に回収した。図2は、時間の関数としての多層ポリアリレート被覆からPBS中へのブピバカインの累積放出を示す。ブピバカインのほぼ80%が、インキュベーションの25時間後に放出された。
【0109】
図3は、貯蔵層における薬物量と外層の厚さの両方を変化させることによって達成することができる放出特徴の変化の一例である。これらの被覆外科用メッシュは、被覆されていない対応物よりもより剛性である。
【0110】
(実施例3)
DTE−DTコハク酸塩被覆メッシュからのインビボブピバカイン放出
A.概要
薬物動態学的研究のために、頚静脈カニューレを有するラットに、7.5mgのブピバカイン/cm2を含有する1×2cmP22−27.5ポリアリレート被覆のメッシュを外科的に埋め込んだ。手術前に、痛覚に対するベースラインピンプリック(pin−prick)反応を、予定の手術切開部位で測定し、ベースライン血液試料を取得した。ヘルニアは、肋骨下開腹を介した腹膜腔への切開によって生成し、Lichtenstein非張力修復は、ブピバカイン含浸のポリアリレート被覆のメッシュを使用して行った。血液試料は、埋め込みの3、6、24、48、72、96、および120時間後に取り出した。血液を取り出す前に、ラットは、ブピバカイン放出からの皮膚麻酔を評価するために、ピンプリックテストを受けた。行動結果は、中程度のレベルの皮膚麻酔が、3から120時間で現れ、6および48時間での量がベースラインを有意に上回ったことを示す(p<0.05)。薬物動態解析は、血漿ブピバカインレベルが、0から24時間の一次吸収をともなう1コンパートメントモデルに適合することを示す。
【0111】
B.外科用メッシュの調製
ポリプロピレンメッシュを、実施例2の第1段落に記述したように噴霧被覆した。個々のメッシュを、1×2cmに切断し、個々に包装し、γ線照射で無菌化した。メッシュは、7.5mg/cm2のブピバカインHClを負荷した(1×2cmメッシュごとに、合計15mgのブピバカインが負荷された)。
【0112】
C.メッシュの外科的埋め込み
59〜63日齢および体重250〜275gの8匹の雄性ラットは、外部頚静脈カニューレ(SU007)とともにTaconic Laboratory(Germantown,NY)から得た。各ラットは、足指ピンチ(toe pinch)および角膜反射に対する反応がないことによって判断されるように外科麻酔の平面へのイソフルランによって麻酔し、手術の間に2%イソフルランで維持した。肋骨下部位を剪毛し、10%ポビドンヨード(providone iodine)で洗浄し、70%エタノールですすいだ。無菌ドレープを、無菌性手術野を維持するために使用し、無菌化された器具は、ホットビーズ滅菌器を使用して、ラット間で再無菌化した。2.5cm皮膚切開は、最後の肋骨の尾側で平行に0.5cm切開した。下層の皮下空間(切開の両側上1cm)を緩めてメッシュを収容した。2cm切開は、皮膚切開と同一平面に沿って筋層を通し、膜腔を貫通し、腹膜を、連続縫合パターンの6−0プロレン(Prolene)縫合糸で閉じた。伝統的な「張力閉鎖」を使用して内部および外部斜筋を縫合するのではなく、むしろLichtenstein「非張力」修復は、修復材料としてメッシュを使用することによって行った。セクションAで調製したメッシュを、切開創ヘルニア上に位置付け、6−0プロレン(Prolene)縫合糸を使用して内部および外部斜筋に縫合した。次いで、皮下組織を、ラットがメッシュに接近することを防ぐために、6から8個の6−0プロレン(Prolene)縫合糸を用いた連続パターンで縫合し、続いて、6から8回の皮膚縫合を行った。合計手術時間は、麻酔導入および調製に10分、手術に20分であった。
【0113】
ラットをそれらのホームケージ内で回復させ、覚醒するまで、手術後に監視した。血液試料は、手術の3、6、24、48、72、96、および120時間後に血漿ブピバカインレベルを判断するために取り出した。切開部の保護に関してラットを評価し、炎症、腫大の徴候または感染の他の徴候に関して切開部を評価した。毒性または痙攣を呈したラットはなく、感染またはブピバカインの放出により瀕死状態にあるラットもなかった。
【0114】
D.皮膚麻酔テスト
侵害ピンプリックテストを、皮膚麻酔を評価するために使用した(Morrow and Casey,1983;Kramer et al.,1996;Haynes et al.,2000;Khodorova and Strichartz,2000)。ラットを一方の手で保持し、他方の手を使用して、ピンを適用した。痛覚は、ラットからの皮膚のたじろき、または侵害防御(nocifensive)(すなわち、驚愕または回避しようとする試み)反応によって示した。メッシュの存在が皮膚のたじろき反応を妨害した一方で、侵害防御反応は完全にインタクトのままであった。
Buck神経学的ハンマからのピンの10回の適用に対するベースライン侵害防御反応を、メッシュ埋め込み前に、予定の切開部位で得た。手術後、ピンプリックテストを、切開部の吻側に適用した。切開部の尾側の神経は、処置中に横切し、したがって、ピン適用に反応せず、テストしなかった。埋め込み後のテストは、手術前と同一の力を使用し、10のピンを適用して繰り返し、侵害防御反応のパーセント抑制を、[1−(テスト反応/10基本反応)]×100によって計算した。データは、反復測定ANOVAと、続いて、テューキー検定を用いる事後解析を使用して解析した。結果を図4に示す。
【0115】
(実施例4)
メッシュ剛性
A.実施例1に記述したように調製したメッシュは、ASTM4032−94に基づき、TyRx Pharma Inc. Mesh Stiffness Test Protocol、ATM 0410の方法に従って剛性テストを行った。メッシュは、γ線照射を使用する滅菌の前に箔バッグにシールした。「γN2」で示した場合、バッグは、シールおよび照射前に窒素でフラッシュ(flush)した。メッシュは、3連でテストした。結果を図7に示し、経年化が、被覆メッシュの柔軟性に影響を与えないことを示す。
【0116】
【表7】
B.メッシュは、実施例1に概して記述したように、P22−27.5の溶液をPPM3メッシュ上に噴霧被覆することによって調製した。被覆メッシュは、正方形当たり80mgポリマー被覆を提供するために、3インチ×3インチの正方形に切断した。正方形は、指示した時間の間、1Lの0.01M PBS中でインキュベートし、次いで、この実施例のパートAに記述したような剛性テストのために除去した。全ての実験は、3連で行った。対照として、被覆されていないPPM3メッシュを同一条件下でインキュベートした。乾燥時の対照の剛性は、乾燥時1.42±0.23Nであり、0.01M PBS中1時間および24時間後は、1.12Nであった。結果を図6に示す。
【0117】
(実施例5)
被覆メッシュの顕微鏡写真
抗生物質なしのチロシンポリアリレート被覆のメッシュ、すなわち、ポリマー被覆のみを、実施例1に記述したように調製し、噴霧被覆溶液中の抗生物質を除去した。被覆メッシュの光学像を、メッシュの織布性質およびフィラメントの接触点を容易に示す拡大率で、図7の左上パネルに示す。接触点の拡大は、図7の左下パネルに示し、被覆が、メッシュフィラメントの接触点を固定化することを実証する。図7の右パネルは、被覆フィラメントの走査電子顕微鏡写真である。
図8は、実施例1からの、すなわち、ポリマー、リファンピンおよびミノサイクリンで被覆されたメッシュの光学像を示す。色に関して、この写真は、一部オレンジ色の緑がかった色に見えるフィラメントおよびほとんどが純粋なオレンジ色に見える結び目(またはフィラメント接触点)を有する青色背景上のメッシュを示す。オレンジ色は、抗生物質に起因するものであり、その領域内のメッシュのより広い表面領域に起因して、結び目上でより可視的である。色の差は、写真の白黒版では可視化することが難しいため、右パネルで、オレンジ色の領域を、斜線で埋めた囲んだ領域によって示す。
【0118】
(実施例6)
抗菌被覆メッシュ、ペースメーカパウチ
抗菌ペースメーカパウチは、体内に埋め込まれた時に、安定環境をもたらすために、ペースメーカパルス発生器または除細動器を保持するように設計された2重成分(吸収性および非吸収性)かつ無菌のプロテーゼである。パウチは、ポリプロピレンの編まれたフィラメントと、抗菌薬剤リファンピンおよびミノサイクリンを含有するメッシュ上の生体吸収性ポリアリレート被覆とで構成される非吸収性メッシュから構築される。抗菌薬剤は、最低限7日間放出し、その後、ポリマーの完全再吸収が続き、組織に取り込まれた軽量の恒久的なメッシュの状態となり、ペースメーカまたは除細動器に対して安定環境が提供される(図9および10参照)。
【0119】
パウチのためのメッシュは、2006年2月8日に出願された米国仮出願第60/771,827号に記述される抗菌ポリマー被覆外科用メッシュと同一方法で調製することができる。パウチは、他方の上に一方を設置し、超音波溶接を使用してシールおよび形に切断した2個の平らな被覆メッシュで構築される。これにより、約3つの側面と2分の1の側面上でシールされ、約50から75mgのポリマーおよび6.1mgのリファンピンおよび6.1mgのミノサイクリン(各薬物に関して86.11μg/cm2)で被覆された、サイズ2.5インチ×2.75インチのパウチが形成される。そのようなパウチは、広範囲なペースメーカ、埋込型除細動器、神経刺激機器および他のIMDを適合させるように設計することができる(表1および2参照)。
【0120】
抗菌効果
抗菌効果は、実験室(インビトロ)および動物(インビボ)試験で実証した。結果は、被覆メッシュパウチが、メッシュおよび発生器の微生物定着を防止するのに有効であることを示す(表8参照)。
【0121】
イヌ研究からの組織学的結果は、パウチが、ペースメーカ周囲の組織に急速に取り込まれ、ペースメーカを保持するための安定環境の形成を促進することを示す(図3)。
【0122】
【表8】
参考文献
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【0123】
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【技術分野】
【0001】
この出願は、2007年2月8日に出願された米国第11/672,929号の一部継続であり、これは、米国特許法§119(e)(5)の下、2006年11月6日に出願された米国仮特許出願第60/864,597号および2006年2月8日に出願された米国仮特許出願第60/772,827号の優先権を主張する。この出願はまた、米国特許法§119(e)(5)の下、2006年11月6日に出願された米国仮特許出願第60/864,597号への優先権を主張する。これらの各々は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
心調律管理装置(cardiac rhythm management device:CRM)および他の埋込型医療機器(implantable medical device:IMD)とともに使用するための、パウチに形成される生分解性のポリマー被覆外科用メッシュに関して記述する。そのようなメッシュは、例えば、パウチまたは他のカバー等の容器内に形成され、それを適所に固定し、細菌増殖を抑制または低減し、鎮痛を提供し、そして/またはCRMもしくは他のIMDの上もしくは周囲の瘢痕化を抑制する目的で、CRMまたは他のIMDを封入、包囲、および/または保持することが可能である。好ましい実施形態は、そのメッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して、それらのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化することによって、および/または、メッシュの剛性をその本来の剛性の少なくとも1.1倍に増加させることによって、硬化剤の役割を果たすことができる1つ以上の生分解性ポリマーで被覆された外科用メッシュパウチを含む。また、本発明のパウチは、それらの埋め込み、挿入または外科的使用と関連する、様々な術後合併症の緩和も提供することもでき、任意に、被覆のポリマーマトリクス中に1つ以上の薬物を含んで、予防効果を提供する、および/または手術またはCRMあるいは他のIMDの埋め込みと関連する副作用または合併症を軽減する。
【背景技術】
【0003】
メッシュ、組み合わせメッシュ製品、または他の多孔質プロテーゼ等のプロテーゼインプラントは、組織型間の物理的障壁または軟組織の身体的欠損に対する特別な力を提供するために一般的に使用される。しかしながら、そのような機器は、インプラント後感染、疼痛、過剰な瘢痕組織形成、およびプロテーゼまたはメッシュの収縮を含む、術後合併症と関連することが多い。過剰な瘢痕組織形成、患者の可動性の制限、および慢性疼痛は、インプラントのサイズ、形、および質量に起因することが多く、瘢痕組織形成の量を減少させるために、様々な努力が行われている。例えば、これらの問題に対処するために、より小さい繊維、よい大きい織り方、および/またはより大きい細孔サイズを使用するより軽いメッシュならびに非吸収性および吸収性材料の両方で織ったメッシュが使われている。
【0004】
急性疼痛および感染を治療するために、埋め込みプロテーゼを有する患者は、典型的には、術後に抗生物質の全身投与および鎮痛剤で治療される。患者は、抗生物質の全身投与を予防的に時折与えられるが、しかしながら、臨床試験の文献レビューは、インプラント関連感染を予防するのに有効であることは示していない。
【0005】
1992年に、院内感染は、毎年200万人を超える患者に影響を与え、年間45億ドルを超える医療制度の費用がかかることが報告された1。今日、これらの数は、疑う余地無く高まっている。約500,000人の患者に関与する手術部位感染は、院内感染の2番目によくある原因であり、全院内感染の約17%である2。ペースメーカの設置と関連する感染の発生率は、0.13から19.9%であり、ほとんどの場合、インプラントの完全除去に伴うこれらの合併症を治療するための平均費用は、$35,000であると報告されている3,4。
【0006】
術後感染は、宿主防衛機構の欠如、手術部位、および機器埋め込み時の細菌の存在の3つの要因に関係している5。患者の全体的な健康(つまり、宿主因子)は、常に重要であるが、しかしながら、手術を必要とする患者の多くは何らかの危険にさらされるため、その要因を軽減させるために行えることはほとんど無く、他の2つの要因を制御することが重要である。
【0007】
患者は、病院内、特に、手術室(operating room:OR)およびORまでの経路において、細菌汚染に曝露されることが研究により示されている6。事実、最大7.0×104CFU/m2の細菌がOR着替えエリア内で発見された6。空気処理および表面洗浄における最近の改善は、感染病原体の環境濃度を減少させたが、しかしそれらを排除したわけではない。その結果として、細菌汚染を減少させる、または細菌感染の可能性を減少させるさらなる手段が所望される。
【0008】
接種レベルを制御することは、術中および術後外科感染対策3本柱への第3の構成要素である。微生物制御への一側面は、抗生物質の使用である。例えば、一施術者は、手術が3時間を越える場合の追加の投薬とともに、切開前60分以内の抗生物質の全身投与を推奨する5。そのような切開前投与は、ペースメーカの設置に関連する感染の発生率に対していくらかの好ましい効果を示している7。インプラント汚染の可能性を制御する付加的アプローチは、埋込型医療機器への抗菌薬剤の導入である8,9。
【0009】
このアプローチは、留置カテーテル等の表面貫入機器を介した体内への微生物侵入に対する障壁を生成するために、初期に開発された9−11。抗菌薬剤は、機器上の直接的な被覆として溶液中に適用され、機器の細菌定着を予防するまたは減少させ、しがたって、機器関連感染の可能性を減少させる。多くの臨床試験は、中心静脈カテーテル等の機器上の抗菌被覆が、機器コロニー形成を減少させることを実証している一方で、数的傾向は患者感染の減少を示してはいるが、感染の減少は統計的には有意でない12−18。これらの結果は、適切な無菌および外科技術ならびに適当な抗生物質療法を用いた表面修飾機器の使用が、全体的な処置/患者予後へのプラスの影響を有することを立証する傾向があるため、大いに関連性がある12,13(非特許文献1および非特許文献2)。
【0010】
術後感染の進行は、多くの要因に依存し、どれくらいのコロニー形成単位(colony forming unit:CFU)が、臨床感染を発生するために必要であるのか明確ではない。手術部位での103細菌の接種は、20%の創傷感染率をもたらすことが報告されている5。また、現在の空気処理技術および感染対策手順は、病院内の微生物レベルを明らかに減少させているが、埋込型機器の微生物汚染は依然可能性がある。ブドウ球菌等の細菌は、機器の埋め込み後短期間内(つまり、90日以内)に菌血症を生じさせ得るか、または活動性感染を発生する何ヶ月か前に潜伏し得るので、埋め込み時の細菌接種の根絶が重要であり、後期および早期の機器関連感染を減少させるのに役立つ可能性があることが既知である22。
【0011】
例えば、リファンピンおよびミノサイクリンの組み合わせは、シリコーンおよびポリウレタン等の非吸収性被覆におけるそれらの薬物の使用を含む、カテーテルおよび他の埋め込み機器に対する被覆として抗菌有効性を実証している13,19−21。また、リファンピンおよびミノサイクリンの組み合わせは、陰茎インプラントへの予防的被覆として使用される場合に、臨床感染の発生率を減少させることも証明されている。
【0012】
本出願の親出願(米国特許出願第11/672,929号)は、抗菌薬剤リファンピンおよびミノサイクリンに対する担体としての外科用メッシュ上のバイオ吸収性ポリマー被覆に関して記述する。そのようなメッシュは、埋め込みペースメーカ、パルス発生器、除細動器および他の埋込型医療機器にマッチするように、種々のサイズおよび形のパウチ内に構築することができる。抗菌薬剤の添加は、外科的および全身的な感染対策の補助としての外科的埋め込み時に、パウチがインプラント部位に抗菌薬剤を送達し、したがって、CRMの微生物定着に対する障壁を提供できるようにする。
【0013】
本発明は、埋め込みの際に埋込型医療機器を保持するために、パウチまたは他の容器内に形成されるメッシュを一時的に硬化させることによって、これらの必要性(感染の予防または抑制)ならびに鎮痛および瘢痕組織、線維化等の抑制または減少等の他の必要性に対処する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Maki DG, Stolz SM, Wheeler S and Memel LA. Prevention of central venous catheter−related blood stream infection by use of an antiseptic−impregnated catheter: a randomized, controlled trial. Ann Intern Med, 1997:127:257−66.
【非特許文献2】Raad I, Darouiche R, Dupuis J, et.al., Central venous catheters coated with minocycline and rifampin for the prevention of catheter−related colonization and bloodstream infections: a randomized, double−blind trial. Ann Intern Med, 1997; 127:267−74.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、1つ以上の生分解性ポリマー被覆を備える埋込型外科用メッシュで作られているパウチ、カバー等に関する。本発明のメッシュパウチは、あらゆる埋込型医療機器を適合させるために、所望に応じて、パウチ、バッグ、カバー、シェル、スキン、容器等の形にすることができる。本発明の好適なメッシュは、薬物溶出または他の一時的効果を与えるために、1つ以上の生分解性ポリマーで被覆された、織られたポリプロピレンから構成される。
【0016】
本明細書で使用される「パウチ」、「メッシュパウチ」、「本発明のパウチ」は、1つ以上の生分解性ポリマー被覆を備える埋込型外科用メッシュで作られ、全部または実質的部分において、埋込型医療機器を被包する、封入する、包囲する、覆うまたは保持するように形作られた任意のパウチ、バッグ、スキン、シェル、カバー、または他の容器を意味する。本発明のパウチは、IMDのリードおよびチューブを、IMDからパウチの開口部を通じて妨げられずに延在することを可能にする開口部を有する。また、パウチは、IMDを周囲組織に電気的に接地する必要がある単極機器を収容させるために、多孔性を有してもよい。パウチが機器を保持することができ、機器の少なくとも20%、30%、50%、60%、75%、85%、90%、95%、または98%がパウチ内にある、またはパウチによって被覆されている時に、IMDは、実質的に被包される、封入される、包囲されるか、または被覆されている。
【0017】
本発明に従って、被覆された外科用メッシュは、それらを適所に固定する目的で、ペースメーカ、除細動器、発生器、埋込型アクセスシステム、神経刺激機器、または任意の他の埋込型機器を被包するように形成することができ、鎮痛を提供し、瘢痕化もしくは線維化を抑制し、および/または細菌増殖を抑制する。そのような被覆されたメッシュは、生分解性ポリマーでの被覆前または後のいずれかに、適当な形に形成される。
【0018】
一側面において、本発明のパウチは、医療プロテーゼ(インプラントのエリア周囲の機器および組織への支持を提供する)の役割を果たしてもよく、したがって、医療プロテーゼとしても称される。
【0019】
したがって、本発明のパウチは、メッシュと、メッシュをその本来の剛性の少なくとも1.1倍まで一時的に硬化させる1つ以上の被覆とを備える。そのようなメッシュ上の被覆は、メッシュの完全性を変化させず、したがって、メッシュを多孔質のままとどめることが可能である。概して、被覆は、メッシュの多孔性を実質的に変化させない。具体的には、本発明のパウチは、メッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して、それらのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化する、硬化剤を含む少なくとも1つの被覆を有する、1つ以上の被覆を有するメッシュを備える。再び、そのようなメッシュ上の被覆は、下層のメッシュの完全性または強度を変化させず、被覆後に、メッシュを多孔質のままとどめることが可能である。概して、被覆は、メッシュの多孔性を実質的に変化させない。メッシュは、使用条件下で、それらの本来の剛性に実質的に戻ることが可能である。
【0020】
硬化剤、つまり、本発明の被覆内に適用されたようなものは、被覆を生成するために、メッシュのフィラメントまたは該繊維の接触点を選択的に、部分的に、または完全に被覆することができる。概して、接触点は、織られたメッシュの結び目を含む。そのような被覆は、鋳型パターンにおいて、またはコンピュータ制御の沈着技術を含む、インクジェットタイプの技術とともに沈着され得るもの等の配列において、メッシュ上に位置付けることができる。さらに、被覆は、メッシュの片側または両側に適用することができる。
【0021】
一部の実施形態においては、硬化剤は、単独または1つ以上の生分解性ポリマーとの組み合わせのいずれかで、ヒドロゲルを含む。一部の実施形態においては、硬化剤は、1つ以上の生分解性ポリマーであり、層に適用することができる。1つ以上の生分解性ポリマーは、個々の被覆層ごとに使用することができる。好適な生分解性ポリマーは、ポリアリレート、ポリカーボネート、またはポリイミノカーボネートとしての1つ以上のチロシン由来のジフェノールモノマー単位を含む。
【0022】
本発明の別の側面においては、本発明のパウチは、1つ以上の薬物をさらに備える少なくとも1つの被覆を有する。そのような薬物は、抗菌薬剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗瘢痕化剤(anti−scarring agent)、抗線維化剤(anti−fibrotic agent)、ロイコトリエン阻害剤、ならびにタンパク質、増殖阻害剤等の生物学的因子を含む薬物の他の種類を含むが、これらに限定されない。
【0023】
生分解性ポリマー被覆は、薬物が、インプラントまたは手術関連の合併症を減少させる、または予防するように、周囲の体内組織内かつ機器の近位に1つ以上の薬物を放出することが可能である。例えば、周囲の体内組織、体液、または全身的な流体内に予想通りに浸出または溶出する麻酔薬を被覆に含めることによって、埋め込み部位で経験される疼痛を減弱させる有用な方法を有する。別の実施例においては、麻酔薬を抗炎症薬と交換することは、メッシュ、機器、および/またはパウチの埋め込みに関連する腫大および炎症を減少させる方法を提供する。さらに別の実施例において、同じ方法で抗菌薬剤を送達することによって、手術切開の初期の治癒に必要な少なくとも手術後の期間に、メッシュパウチ、CRM、または他のIMD、および/または外科的埋め込み部位の細菌による定着を予防するのに十分な薬物放出の速度を提供する方法を有する。
【0024】
本発明のパウチ上の被覆は、1つ以上の独立した層(これらの一部は、薬物を含有しない場合がある)から多数の薬物を送達することができる。
【0025】
したがって、本発明は、本発明のパウチとして形成された外科用メッシュ上の被覆からの生分解性かつ吸収性ポリマーを使用して、制御された速度で、規定の期間、薬物を送達する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】指示された時間、黄色ブドウ球菌菌叢上でインキュベートされたリファンピンおよび塩酸ミノサイクリンを含有するポリアリレート被覆のメッシュについての抑制域(zone of inhibition:ZOI)を図示する(実施例1)。記号は、以下のメッシュを表す。◆:P22−25 20通過、■:P22−25 40通過、▲:P22−25 80通過、x:P22−27.5 20通過、*:P22−27.5 40通過、●:P22−27.5 80通過、および│:カテーテル。
【図2】多層ポリアリレート被覆のメッシュからの累積ブピバカイン放出を図示する。
【図3】ブピバカインの種々の負荷を有する多層ポリアリレート被覆のメッシュからの累積ブピバカイン放出を図示する。記号は、以下のメッシュを表す。◆:P22−27.5(11通過、1浸漬)、■:P22−27.5(11通過、2浸漬)、および▲:P22−27.5(2通過、2浸漬)。
【図4】7.5mg/cm2ブピバカインを含有する1×2cmの外科的に埋め込まれたポリアリレートメッシュからの皮膚麻酔の時間的経過を図示する。メッシュは、肋骨下開腹によってラット内に埋め込み、ピンプリック反応を決定し、%疼痛反応抑制で示す(詳細は実施例を参照)。「*」は、ベースラインピンプリック反応と比較した、p<0.05での統計的に有意な反応を示す。
【図5】メッシュの剛性を図示する。頂部から底部への棒は、(1)ポリアリレート被覆せず、滅菌していないPPM3メッシュ、(2)エチレンオキシドで滅菌したProleneTM(Ethicon)メッシュ、(3)被覆および窒素フラッシュとともにγ線照射により滅菌した12ヶ月後のポリアリレート被覆のPPM3メッシュ、ならびに(4)被覆およびγ線照射により滅菌した12ヶ月後のポリアリレート被覆PPM3メッシュについての剛性を表す。
【図6】PBSに浸るポリマー被覆ポリプロピレンメッシュに対するポリマー分解の経過の間の時間を亘ってのメッシュの剛性の変化を図示する。
【図7】チロシンポリアリレート被覆のメッシュの顕微鏡写真を描写する。左上パネルは、メッシュの織布性質およびフィラメントの接触点を示す。左下パネルは、メッシュフィラメントの接触点上の被覆を実証する。右パネルは、被覆されたフィラメントの走査電子顕微鏡写真である。
【図8】リファンピンおよびミノサイクリンを含有するチロシンポリアリレート被覆を有するメッシュの光学像を提供する。左側は光学像であり、右側は、斜線で埋めた囲んだ領域によって示した強いオレンジ色の領域を示すその略図である。
【図9】パウチ内に挿入されたCRMを有するポリマー被覆CRMパウチの概略図を示す。
【図10】CRMを含有するポリマー被覆パウチの写真である。
【図11】埋め込み後14週の機器を有する被覆されたメッシュパウチのインプラント部位を示す顕微鏡写真である(4×拡大率)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のパウチは、被覆された埋込型外科用メッシュから形成され、外科用メッシュおよび1つ以上の生分解性ポリマー被覆層を備え、各被覆層は、任意かつ独立して、薬物をさらに含有する。被覆の物理的、機械的、化学的、および再吸収特徴は、メッシュの臨床性能および機器を埋め込む外科医の能力を増強させる。これらの特徴は、好適な被覆の厚さおよび生分解性ポリマーを選択することによって実現される。
【0028】
メッシュ
本発明に従ったメッシュは、布または布状材料を生成するようにかみ合わされる、編成された、編組された、織られたまたは織られていないフィラメントまたは繊維から構築された任意のウェブまたは布である。また、本明細書に従って使用される「メッシュ」は、一時的に硬化させるのに好適な任意の多孔質プロテーゼも含む。
【0029】
外科用メッシュは、当技術分野において周知であり、任意のそのようなメッシュは、本明細書に記載されているように被覆することができる。本明細書で使用されるメッシュは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミドおよびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、生体適合性材料、合成物質、または天然物質で作られる。本発明の利点の1つは、被覆を任意の市販のメッシュとともに使用できることである。好適なメッシュは、織られたポリプロピレンで作られる。メッシュの細孔サイズは異なる。例えば、Bard Marlex(登録商標)メッシュが、379+/−143マイクロメータ、すなわち約0.4mmの細孔を有する一方で、Johnson and Johnson Vypro(登録商標)メッシュは、3058+/−62マイクロメータ、すなわち約3mmの細孔を有する。
【0030】
本発明の硬化剤は、ヒドロゲル、生分解性ポリマー、および本発明に従ってメッシュに一時的な剛性を与えることが可能な任意の他の化合物を含む。一時的な剛性は、対応する被覆されていないメッシュ材料と比べて、本発明に従って1つ以上の被覆を適用した時に、剛性における増加があることを意味する。使用の際に、これらの被覆は、次いで、メッシュを、その本来の剛性に戻す、その本来の剛性近くまで戻す、またはその本来の剛性に十分近づかせる様式で、時間をわたって軟化または分解させ、所望の手術結果および予期される患者の快適性を得る。医療プロテーゼが一時的な剛性を有するかどうかを判断するために、プロテーゼは、インビトロまたはインビボで評価することができる。例えば、被覆は、メッシュに適用することができ、次いで、メッシュは、その剛性を測定する前に、ある期間の間、生理的な溶液内に放置される。剛性の期間は、分解速度(生分解性ポリマーについて)または吸収能(ヒドロゲルについて)によって制御される。期間は、数日から数週間、またはさらに数ヶ月に変動し得、インビトロで最も好都合に判断される。適正な期間(1日から3〜4ヶ月)内にインビトロでそれらの本来の剛性に戻るメッシュは、一時的に硬化されると見なされる。さらに、メッシュを埋め込み、次いで、それを動物から除去し、その剛性が変化したかどうかを判断することによって一時的な剛性を評価するために動物モデルを使用することができる。そのようなインビボ結果は、当業者によってインビトロ結果と関連付けることができる。メッシュまたは被覆されたメッシュの剛性を測定する方法は、当技術分野において公知である。
【0031】
ヒドロゲルは、水溶性ポリマー鎖のネットワークから構成される。ヒドロゲルは、被覆として適用され、メッシュ上で乾燥される。例えば、体内への埋め込み等の使用の際に、ヒドロゲルは、水を吸収して軟らかくなり(ヒドロゲルは、99%を超える水を含有することができる)、それによって、メッシュの柔軟性が増加し、メッシュの本来の剛性または本来の剛性近くまで戻る。典型的には、ヒドロゲルは、それらの著しい含水量に起因して、天然組織と極めて良く似た柔軟性の程度を保有する。ヒドロゲルに対する一般的な成分は、例えば、親水基が豊富なポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリレートポリマーおよび共重合体を含む。
【0032】
メッシュは、1つ以上のポリマー被覆を有することができ、任意に、被覆内に薬物を含むことができる。単一被覆を有するメッシュは、外科的埋め込みおよび使用時のメッシュの取り扱いを向上させるのに有用である。薬物を有するメッシュは、送達される薬物の量、薬物の種類、および所望の放出速度に応じて、単一または多数の層で被覆することができる。各層は、同一または異なるポリマー、同一または異なる薬物、および同一または異なるの量のポリマーまたは薬物を含有することができる。例えば、第1の被覆層は、薬物を含有することができ、一方、第2の被覆層は、薬物を含有しないか、または低濃度の薬物を含有する。
【0033】
メッシュの表面上に沈着された生分解性被覆は、それがメッシュに剛性を与え、それによって、その取り扱いを向上させるため、被覆されていないメッシュと比べて優れた取り扱い特徴を与え、外科的挿入を促進させる。しかしながら、時間が経つと、強度が損失することなく、患者のより大きな快適性を提供する柔軟性メッシュの状態にするために、被覆は再吸収する、または硬化剤は分解もしくは軟化する。
【0034】
外科用メッシュは、被覆されていないメッシュの剛性の少なくとも1.1から4.5倍、より好ましくは1.25から2倍の剛性を提供する厚さを有する均一な被覆を達成するために、噴霧または浸漬被覆等の標準的な技術を使用して、生分解性ポリマーで被覆することができる。加えて、被覆は、埋め込みおよび初期の創傷治癒過程全体を通じて、メッシュに付着したままにする均一かつ柔軟な非剥離の層を提供するように最適化される。典型的には、ポリマー被覆は、少なくとも1週間その完全性を維持しなければならない。最適な被覆溶液は、塩化メチレンまたは他の塩素化溶剤、THF、種々のアルコール、またはそれらの組み合わせ等の揮発性溶剤において、約0.01から約30%の溶解度を有する生分解性ポリマーを選択することによって取得される。さらに、約10,000から約200,000ダルトンの分子量を有する生分解性ポリマーを使用することが好ましい。そのようなポリマーは、水性環境において37℃で約1週間にわたって、十分な機械的および物理的完全性を維持する速度で分解する。
【0035】
さらに、生分解性ポリマー層(すなわち、被覆)が、比較的良好なポリマー−薬物混和性を提供する化学組成を有する、生分解性のポリマー被覆埋込型メッシュが記載される。ポリマー層は、室温で1〜80%の間の薬物、ならびに1〜95%、2〜80%、2〜50%、5〜40%、5〜30%、5〜25%および10〜20%の間の薬物、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10%の薬物、ならびに10〜95%からの5%増分、すなわち、10%、15%、20%、25%等の薬物を含有することができる。一実施形態においては、生分解性ポリマー被覆は、少なくとも2〜3日間薬物を放出する。そのような放出は、薬物が、例えば、手術部位での局所疼痛管理を補助する鎮痛薬である場合に、好適である。また、そのような負荷および放出特徴は、多層化技術を使用することによって、良好な混和性を有さない薬物 ポリマーの組み合わせに関しても取得することもできる。
【0036】
さらに、メッシュパウチとともに使用するための生分解性ポリマーは、ポリマー層が、室温で2〜50%の間の薬物を含有するように、薬物に相補的な化学組成を有する。薬物の特定の種類に対して、層は、80〜90%もの薬物を含有し、薬物レザバ(または貯蔵層)として作用し、薬物放出は、様々な量の薬物(ゼロから数パーセント、飽和またはポリマー中の薬物への溶解限度を上回る)を有する多数の層を使用することによって制御することができる。
【0037】
鎮痛効果を達成するため、麻酔薬および/または鎮痛薬は、手術または組織傷害直後に傷害した組織に送達されるべきである。本発明のパウチ上の被覆に含めるための薬物は、鎮痛薬、抗炎症薬、麻酔薬、抗菌薬剤、抗真菌薬、NSAIDS、他の生物製剤(タンパク質および核酸を含む)等を含むが、これらに限定されない。抗菌薬および抗真菌薬は、メッシュパウチ、機器および/または周囲組織に細菌が定着することを予防することができる。1つ以上の薬物は、本発明のメッシュパウチ上のポリマー被覆内に包含することができる。
【0038】
別の実施形態においては、本発明のメッシュパウチは、急性手術部位疼痛の期間と典型的には一致する1日から10日の間、埋め込まれた被覆メッシュから手術部位の周囲組織に溶出するように、麻酔薬を含む被覆を有する。別の実施形態においては、本発明のメッシュパウチを介する抗菌薬の送達は、治癒過程(例えば、通常約30日以下)の間、インプラントの周囲の細菌増殖および定着に対抗して抑制域を生成し、および/または過度の線維形成反応を予防することができる。
【0039】
好適な化学的性質を有する被覆は、長期間にわたって比較的高い濃度の薬物の放出を提供するために、任意に1つ以上の薬物と協力して、メッシュ上に沈着することができるため、生分解性ポリマー被覆を使用することにより、下層の機器内または該機器への薬物溶解度、含浸または付着の問題が回避される。例えば、メッシュパウチ上の生分解性ポリマー被覆の化学組成および被覆手法を調節することによって、臨床的に有効な量の麻酔薬は、十分な薬物溶出を確実にし、手術部位、患者への術後の疼痛の軽減を提供するために、メッシュパウチに負荷され得る。
【0040】
そのような術後の急性疼痛の軽減を提供するため、メッシュパウチは、1〜10日間にわたって、約30mgから約1000の麻酔薬を、例えば、その期間にわたって、約30、50、100、200、400、500、750、または1000mgを溶出すべきである。
【0041】
パウチは、疼痛が患者に最も顕著な時である術後急性期の間に、臨床的に有効量の麻酔薬を溶出すべきである。いくつかの臨床研究で定義されたこの期間は、手術の12時間から5日後である傾向があり、疼痛は、約24時間で最大であり、その後数日の期間にわたって弱まる。12時間前、患者は、通常、手術自体の間に投与された任意の局所麻酔薬注射の影響下にまだある。5日間後、手術自体に関連する疼痛(すなわち、切開疼痛および筋膜、筋肉&神経の触診)の多くは、かなりの程度まで消散した。
【0042】
ブピバカインは、既知の毒性プロファイル、発現の持続時間、および作用の持続時間を有する。薬物研究書は、日用量が400mgを超えないことを推奨している。当業者は、所望される鎮痛の量および持続時間を達成するために、ポリマー被覆またはヒドロゲル被覆内に含める麻酔薬の量を判断することができる。さらに、リドカインおよびブピバカイン等のアミンを含有する麻酔薬は、疎水性であり、ポリプロピレンおよび非吸収性の熱可塑性プラスチック等の医療機器産業において最も一般的に使用されるプラスチック内に、十分な量を負荷することが困難である。それらの塩酸塩の形の場合、2つの材料の親水性における不一致のために、麻酔薬は、そのような非吸収性の熱可塑性プラスチック内に有意な濃度で効果的に負荷することができない。
【0043】
カテーテル疼痛ポンプシステムを併用した、2〜5日目の開放性ヘルニア修復後の麻薬使用および疼痛スコアの減少または完全な除去に関する多数の報告がある。これらの場合、ポンプは、ブピバカインの0.25%または0.5%のいずれかの溶液を筋膜下領域(Sanchez,2004;LeBlanc,2005;およびLau,2003)に送達する。2mL/時間の流速において、これは、1日当たり約120mgのブピバカインの一定の「溶出」にと翻訳される。しかしながら、このシステムは、漏出に悩まされるとされるため、1日当たり120mgは、適切な術後の鎮痛を提供するために送達されるべきブピバカインの量の極めて大まかな指針としてのみ機能し得る。
【0044】
文献で報告された術後の鎮痛に関して最も良く特徴付けられた持続放出貯蔵システムのうちの1つは、ブピバカインのPLGAミクロスフェアベースの持続放出製剤である。この製剤は、皮下疼痛の軽減ならびに神経遮断(neural block)に関して、ヒトにおいて開発およびテストされた。ヒトの治験は、最初の24時間により高い濃度で、続いて濃度を漸減して、7日間にわたって周囲組織内に溶出した90から180mgのブピバカインの注射を介して、皮下疼痛が軽減されたことを示した。他の貯蔵持続放出技術は、鼠径部ヘルニア修復に関連する術後疼痛をうまく抑止した。例えば、外部ポンプおよびPLGAミクロスフェア製剤は、各々約72時間の間薬物を放出したとされる。
【0045】
溶出プロファイルの下限での負荷を達成するため、例えば、比較的親水性の生分解性ポリマーを選択し、麻酔薬が、麻酔薬の飽和限度を下回る濃度でポリマー内に溶解されるように、それを麻酔薬塩酸塩と組み合わせることができる。そのような製剤は、麻酔薬の非バースト放出を提供する。溶出プロファイルの上限での負荷を達成するため、その飽和限度を超える濃度で麻酔薬を含有する麻酔薬−ポリマー混合物の層を噴霧被覆することができる。この製剤において、ポリマーは、麻酔薬を放出するための制御機構としては作用しないが、むしろ溶解されていない麻酔薬粒子を一緒に保持するための結合剤として作用し、薬物の結晶化動態を変化させる。さらなる麻酔薬を含有し得るまたは含有し得ない第2の被覆層は、第1の層の上部に噴霧される。第2の被覆内に存在する場合、麻酔薬濃度は、ポリマーの麻酔薬に対するより高い比率であり、例えば、麻酔薬がポリマー層において可溶性である濃度である。
【0046】
したがって、頂部の層は、薬物−ポリマー溶解度比を介して、底部の層(別称、貯蔵層)において薬物の放出を制御するのに役立つことができる。さらに、ポリマー層の厚さを変更し、その水の取り込みに従ってポリマー組成を変更することによって、薬物の放出速度を変化させることが可能である。24時間以内に相当量の水を吸収するポリマーは、貯蔵層の内容物を迅速に放出するであろう。しかしながら、水の取り込みが制限されたポリマー、または変動性の水の取り込み(分解のその段階の関数として変化する)を有するポリマーは、水溶性の麻酔薬の放出を遅らせるであろう。
【0047】
一実施形態においては、生分解性ポリマー被覆は、少なくとも2〜3日の間薬物を放出する。そのような放出は、例えば、薬物が、手術部位での局所疼痛管理を補助する鎮痛薬である場合に好適である。鎮痛効果を達成するために、麻酔薬および/または鎮痛薬は、手術または組織傷害の直後に、傷害組織に送達されるべきである。
【0048】
別の実施形態においては、被覆は、麻酔薬が、急性手術部位疼痛の期間と典型的には一致する1日から10日の間、埋め込まれた被覆メッシュから手術部位の周囲組織に溶出するように、麻酔薬を含む。別の実施形態においては、本発明のメッシュを介する抗菌薬の送達は、治癒過程(例えば、通常約7〜30日以下)の間、インプラントの周囲の細菌増殖および定着に対抗して抑制域を生成し、および/または過度の線維形成反応を予防することができる。
【0049】
好適な化学的性質を有する被覆は、長期間にわたって比較的高い濃度の薬物の放出を提供するために、任意に1つ以上の薬物と協力して、メッシュパウチ上に沈着することができるため、生分解性ポリマー被覆を使用することにより、下層の機器内または該機器への薬物溶解度、含浸または付着の問題が回避される。例えば、生分解性ポリマー被覆の化学組成物および被覆手法を調節することによって、臨床的に有効な量の麻酔薬は、十分な薬物溶出を確実にし、手術部位、患者への術後疼痛の軽減を提供するために、メッシュパウチに負荷することができる。
【0050】
異なる(長いまたは短い)時間にわたる、より速いまたはより遅い薬物放出を伴う他の溶出プロファイルは、層の厚さ、貯蔵層内の薬物の量および生分解性ポリマーの親水性を変化させることによって達成することができる。
【0051】
生分解性ポリマー
本発明のパウチ上の被覆は、任意に1つ以上の薬物を含有する生分解性ポリマー層から形成される。生分解性ポリマーを作る方法は、当技術分野において周知である。
【0052】
本発明で使用するのに好適な生分解性ポリマーは、以下を含むが、これらに限定されない;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ならびにそれらの共重合体および混合物、例えば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)ポリグリコール酸[ポリグリコリド(PGA)]、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)(PLA/PCL)およびポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)(PGA/PCL)等のポリ乳酸、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレンフマレート、ポリ(エチルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン−コ−アクリル酸ブチル、ポリヒドロキシブチラート(PHBT)およびポリヒドロキシブチラートの共重合体、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、無水マレイン酸共重合体、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5% ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、ポリ(オルトエステル)、チロシン由来のポリアリレート、チロシン由来のポリカーボネート、チロシン由来のポリイミノカーボネート、チロシン由来のポリホスホネート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒアルロン酸、キトサンおよび再生セルロース等の多糖類、ゼラチンおよびコラーゲン等のタンパク質、ならびにそれらの混合物および共重合体、とりわけ、PEG誘導体または上記のいずれかの混合物。
【0053】
一部の実施形態においては、本発明の生分解性ポリマーは、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリホスホネートまたは任意の他のポリマーを形成するために、適切な化学的部分と共重合されるジフェノールモノマー単位を有する。
【0054】
好適な生分解性ポリマーは、米国特許第4,980449号、第5,099,060号、第5,216,115号、第5,317,077号、第5,587,507号、第5,658,995号、第5,670,602号、第6,048,521号、第6,120,491号、第6,319,492号、第6,475,477号、第6,602,497号、第6,852,308号、第7,056,493号、第RE37,160E号、および第RE37,795E号に記載されるもの、ならびに米国特許出願公開第2002/0151668号、第2003/0138488号、第2003/0216307号、第2004/0254334号、第2005/0165203号、およびPCT国際公開第WO99/52962号、第WO01/49249号、第WO01/49311号、第WO03/091337号に記載されるものを含む、チロシンベースのポリアリレートである。また、これらの特許および刊行物は、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリチオカーボネート、ポリホスホネートおよびポリエーテルを含む、チロシン由来のジフェノールモノマー単位または他のジフェノールモノマー単位を含有する他のポリマーも開示する。
【0055】
同様に、前述の特許および刊行物は、これらのポリマーを作るための方法を記載し、それらの一部の方法は、他の生分解性ポリマーを合成することに適用でき得る。最後に、また、前述の特許および刊行物は、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)を含む、ポリアルキレンオキシドを有する混合物および共重合体も記載する。全てのそのようなポリマーは、本発明における使用を検討される。
【0056】
前述のポリマーの代表的な構造は、参考としてそれら全体が本明細書に援用される上記の特許および刊行物に提供される。
【0057】
本明細書で使用するDTEは、ジフェノール単量体デスアミノチロシル−チロシンエチルエステルであり、DTBnは、ジフェノール単量体デスアミノチロシル−チロシンベンジルエステルであり、DTは、対応する遊離酸型、すなわち、デスアミノチロシル−チロシンである。BTEは、ジフェノール単量体4−ヒドロキシ安息香酸−チロシルエチルエステルであり、BTは、対応する遊離酸型、すなわち、4−ヒドロキシ安息香酸−チロシンである。
【0058】
P22は、コハク酸塩とのDTEの縮合によって生成されたポリアリレート共重合体である。P22−10、P22−15、P22−20、P22−xx等は、(1)DTの指示されたパーセンテージ(すなわち、10、15、20およびxx%DT等)を使用したDTEおよびDTの混合物と(2)コハク酸塩との縮合によって生成された共重合体を表す。
【0059】
さらなる好適なポリアリレートは、デスアミノチロシル−チロシン(DT)およびデスアミノチロシル−チロシルエステル(DTエステル)の共重合体であり、共重合体は、約0.001%DTから約80%DTを含み、エステル部分は、最大18の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル、アルキルアリール、またはアルキレンエーテル基であることができ、それらの任意の基は、任意にその中にポリアルキレンオキシドを有することができる。同様に、ポリアリレートの別の群は前述と同一であるが、デスアミノチロシル部分は、4−ヒドロキシベンゾイル部分で置換される。好適なDTまたはBT含量は、約1%から約30%、約5%から約30%、約10から約30%DTまたはBTを有するそれらの共重合体を含む。好適な二価酸(ポリアリレートの形成に使用される)は、コハク酸塩、グルタル酸塩およびグリコール酸を含む。
【0060】
本発明に有用なさらなる生分解性ポリマーは、2005年11月3日に出願された米国特許仮出願第60/733,988号および2006年11月3日に出願されたその対応するPCT出願第PCT/US06/42944号に開示される生分解性かつ再吸収性ポリアリレートおよびポリカーボネートである。これらのポリマーは、BTEグルタル酸塩、DTMグルタル酸塩、DTプロピルアミドグルタル酸塩、DTグリシンアミドグルタル酸塩、BTEコハク酸塩、BTMコハク酸塩、BTEコハク酸塩PEG、BTMコハク酸塩PEG、DTMコハク酸塩PEG、DTMコハク酸塩、DT N−ヒドロキシスクシンイミドコハク酸塩、DTグルコサミンコハク酸塩、DTグルコサミングルタル酸塩、DT PEGエステルコハク酸塩、DT PEGアミドコハク酸塩、DT PEGエステルグルタル酸塩およびDT PEGエステルコハク酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0061】
最も好適なポリアリレートは、ポリマーのDTE−DTコハク酸塩のファミリーであり、例えば、約1、2、5、10、15、20、25、27.5、30、35、40%、45%、および50%DTを含むがこれらに限定されない、0〜50%、5〜50%、5〜40%、1〜30%、または10〜30%DTを有するポリマーのP22−xxのファミリーである。
【0062】
さらに、本発明で使用するポリアリレートポリマーは、米国仮特許出願第60/733,988号に記載されるような分解過程を促進するために、0.1〜99.9%PEG二価酸を有することができる。ポリアリレートまたはポリアリレートとの他の生分解性ポリマーの混合物もまた好適である。
【0063】
薬物
本発明のメッシュパウチを調製する過程に適合する任意の薬物、生物学的因子、または活性成分は、メッシュ上の生分解性ポリマー被覆の1つ以上の層に取り込むことができる。そのような薬物および薬剤の用量は、当技術分野において公知である。当業者は、本発明のメッシュ上の被覆に含める特定の薬物の量を容易に判断することができる。
【0064】
本発明とともに使用するのに好適な薬物の例は、麻酔薬、抗生物質(抗菌薬)、抗炎症薬、線維化阻害剤、抗瘢痕化剤、ロイコトリエン阻害剤/拮抗薬、細胞増殖阻害剤等を含む。本明細書で使用する「薬物」は、タンパク質、核酸等の小分子または大型の分子を問わず、全ての種類の治療薬を含むように使用される。本発明の薬物は、単独または組み合わせて使用することができる。
【0065】
例えば、遊離塩基またはその薬学的に許容可能な塩またはエステル等の本発明の薬物の任意の薬学的に許容可能な形態を、本発明に採用することができる。薬学的に許容可能な塩は、例えば、硫酸塩、乳酸塩、酢酸塩、ステアリン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩,クエン酸塩、リン酸塩等を含む。
【0066】
非ステロイド性抗炎症薬の例は、ナプロキセン、ケトプロフェン、イブプロフェンおよびジクロフェナク、セレコキシブ、スリンダク、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、エトドラク、メロキシカム、r−フルルビプロフェン、メフェナム酸、ナブメトン、トルメチン、および前述の各ナトリウム塩、ケトロラクブロメタミン、ケトロラクブロメタミントロメタミン、コリンマグネシウムトリサリチル酸塩、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、アスピリン、サリチル酸およびそのナトリウム塩、α、β、γトコフェロールおよびトコトリエノールのサリチル酸エステル(および全てのそれらのd、l、ラセミ異性体)、ならびにアセチルサリチル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル,エステル等を含むが、これらに限定されない。
【0067】
麻酔薬の例は、リコダイン(licodaine)、ブピバカイン、およびメピバカインを含むが、これらに限定されない。鎮痛薬、麻酔薬および麻薬のさらなる例は、アセトアミノフェン、クロニジン、ベンゾジアゼピン、ベンゾジアゼピンアンタゴニストフルマゼニル、リドカイン、トラマドール、カルバマゼピン、メペリジン、ザレプロン、トリミプラミン マレイン酸塩、ブプレノルフィン、ナルブフィン、ペンタゾカイン、フェンタニル、プロポキシフェン、ヒドロモルホン、メタドン、モルヒネ、レボルファノール、およびヒドロコドンを含むが、これらに限定されない。局所麻酔薬は、弱い抗菌特性を有し、急性疼痛および感染の予防において二重の役割を担うことができる。
【0068】
抗菌薬の例は、トリクロサン、クロルヘキシジン、リファンピン、ミノサイクリン(または他のテトラサイクリン誘導体)、バンコマイシン、ゲンタマイシン、セファロスポリン等を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、被覆は、リファンピンおよび別の抗菌薬剤を含有し、好ましくは、その薬剤はテトラサイクリン誘導体である。別の好ましい実施形態において、被覆は、セファロスポリンおよび別の抗菌薬剤を含有する。好適な組み合わせは、リファンピンおよびミノサイクリン、リファンピンおよびゲンタマイシン、ならびにリファンピンおよびミノサイクリンを含む。
【0069】
さらなる抗菌薬は、アズトレオナム;セフォテタンおよびその二ナトリウム塩;ロラカルベフ、セフォキシチンおよびそのナトリウム塩;セファゾリンおよびそのナトリウム塩;セファクロル;セフチブテンおよびそのナトリウム塩;セフチゾキシム;セフチゾキシムナトリウム塩;セフォペラゾンおよびそのナトリウム塩;セフロキシムおよびそのナトリウム塩;セフロキシムアキセチル;セフプロジル;セフタジジム;セフォタキシムおよびそのナトリウム塩;セファドロキシル;セフタジジムおよびそのナトリウム塩;セファレキシン;セファマンドールナファート;セフェピムおよびその塩酸塩、硫酸塩およびリン酸塩;セフジニルおよびそのナトリウム塩;セフトリアキソンおよびそのナトリウム塩;セフィキシムおよびそのナトリウム塩;セフポドキシムプロキセチル;メロペネムおよびそのナトリウム塩;イミペネムおよびそのナトリウム塩;シラスタチンおよびそのナトリウム塩;アジスロマイシン;クラリスロマイシン;ジリスロマイシン;エリスロマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩エチルコハク酸塩、およびステアリン酸塩形態;クリンダマイシン;クリンダマイシン塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;リンコマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;トブラマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ストレプトマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;バンコマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ネオマイシンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;アセチルスルフイソキサゾール;コリスチメタートおよびそのナトリウム塩;キヌプリスチン;ダルホプリスチン;アモキシリン;アンピシリンおよびそのナトリウム塩;クラブラン酸およびそのナトリウムまたはカリウム塩;ペニシリンG;ペニシリンGベンザチン、またはプロカイン塩;ペニシリンGナトリウムまたはカリウム塩;カルベニシリンおよびその二ナトリウムまたはインダニル二ナトリウム塩;ピペラシリンおよびそのナトリウム塩;チカルシリンおよびその二ナトリウム塩;スルバクタムおよびそのナトリウム塩;モキシフロキサシン;シプロフロキサシン;オフロキサシン;レボフロキサシン;ノルフロキサシン;ガチフロキサシン;メシル酸トロバフロキサシン;メシル酸アラトロフロキサシン;トリメトプリム;スルファメトキサゾール;デメクロサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ドキシサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ミノサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;テトラサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;オキシテトラサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;クロルテトラサイクリンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;メトロニダゾール;ダプソン;アトバコン;リファブチン;リネゾリド;ポリミキシンBおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;スルファセタミドおよびそのナトリウム塩;ならびにクラリスロマイシンを含む。
【0070】
抗真菌薬の例は、アムホテリシンB;ピリメタミン;フルシトシン;カスポファンギン酢酸塩;フルコナゾール;グリセオフルビン;テルビナフィンおよびその塩酸塩、硫酸塩、またはリン酸塩;ケトコナゾール;ミクロナゾール;クロトリマゾール;エコナゾール;シクロピロクス;ナフチフィン;ならびにイトラコナゾールを含む。
【0071】
本発明のメッシュパウチ上の被覆に取り込むことができる他の薬物は、ケフレックス、アシクロビル、セフラジン、マルファレン(malphalen)、プロカイン、エフェドリン、アドリアマイシン、ダウノマイシン、プルンバギン(plumbagin)、アトロピン、キニーネ、ジゴキシン、キニジン,生物活性ペプチド、セフラジン、セファロチン、cis−ヒドロキシ−L−プロリン、メルファラン、ペニシリンV、アスピリン、ニコチン酸、ケノデオキシコール酸、クロランブシル、パクリタキセル、シロリムス、シクロスポリン、5−フルオロウラシル等を含むが、これらに限定されない。
【0072】
さらなる薬物は、血管新生阻害剤の役割を果たすもの、または上皮細胞増殖因子、PDGF、VEGF、FGF(線維芽細胞増殖因子)等の細胞増殖を抑制するものを含む。これらの薬物は、抗増殖因子抗体(ニュートロフィリン−1)、エンドスタチンおよびサリドマイド等の増殖因子受容体特異的阻害剤を含む。有用なタンパク質の例は、上皮細胞増殖因子等の細胞増殖阻害剤を含む。
【0073】
抗炎症性化合物の例は、酢酸アネコルタブ;テトラヒドロコルチゾール,4,9(ll)−プレグナジエン−17.α.,21−ジオール−3,20−ジオンおよびその−21−酢酸塩、11−エピコルチゾール、17.α.−ヒドロキシプロゲステロン;テトラヒドロコルテキソロン(tetrahydrocortexolone);コルチゾン;酢酸コルチゾン;ヒドロコルチゾン;酢酸ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、酢酸フルドロコルチゾン;リン酸フルドロコルチゾン、プレドニゾン;プレドニゾロン;プレドニゾロンリン酸ナトリウム;メチルプレドニゾロン;メチルプレドニゾロン酢酸塩;メチルプレドニゾロン;コハク酸ナトリウム;トリアムシノロン;トリアムシノロン−16,21−ジアセテート;トリアムシノロンアセトニドおよびその−21−酢酸塩、−21−二ナトリウムリン酸塩、および−21−ヘミコハク酸塩形態;トリアムシノロンベネトニド;トリアムシノロンヘキサセトニド;フルオシノロンおよびフルオシノロンアセテート;デキサメサゾンおよびその−21−酢酸塩、−21−(3,3−ジメチルブチラート)、−21−リン酸塩二ナトリウム塩、−21−ジエチルアミノアセテート、−21−イソニコチネート、−21−ジプロピオネート、および−21−パルミテート形態;βメタゾンおよびその−21−酢酸塩、−21−アダマントエート、−17−安息香酸塩、−17,21−ジプロピオネート、−17−吉草酸塩、および−21−リン酸塩二ナトリウム塩;ベクロメタゾン;ベクロメタゾンジプロピオネート;ジフロラゾン;酢酸ジフロラゾン;フランカルボン酸モメタゾン;ならびにアセタゾラミドを含むが、これらに限定されない。
【0074】
ロイコトリエン阻害剤/拮抗薬の例は、アシタザノラスト(acitazanolast)、イラルカスト(iralukast)、モンテルカスト、プランルカスト(pranlukast)、ベルルカスト(verlukast)、ザフィルルカスト、およびジレウトン(zileuton)等のロイコトリエン受容体拮抗薬を含むが、これらに限定されない。
【0075】
本発明の被覆に取り込むことができる別の有用な薬物は、ナトリウム2−メルカプトエタンスルホン酸塩(Mesna)である。Mesnaは、乳房インプラントを用いた嚢(capsular)拘縮の動物実験において、筋線維芽細胞形成を減少させることが分かっており[Ajmal et al.(2003)Plast.Reconstr.Surg.112:1455−1461]、したがって、抗線維化薬剤として作用し得る。
【0076】
当業者は、前述の開示された任意の薬物は、本発明の被覆において組み合わせて、または混合で使用することができることを理解されたい。
【0077】
被覆方法
本発明に従って、硬化剤でメッシュを被覆する一方法は、メッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して、メッシュのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化するために、ポリマーの溶液を噴霧することである。この方法は、(a)溶剤および硬化剤を含む被覆溶液を調製するステップと、(b)フィラメントまたは繊維を被覆するメッシュのフィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化するのに十分な厚さおよび設置を有する被覆を生成するために、メッシュ上にある量の溶液を提供するように1回以上メッシュに噴霧するステップと、(c)該被覆を生成するために、メッシュを乾燥させるステップとを備える。被覆厚さのポリマー被覆に対する比率の1例は、図7の走査電子微鏡写真に示す。薬物(または薬物の組み合わせ)とともに使用する場合、薬物は、所望の濃度で被覆溶液中に含める。
【0078】
噴霧は、既知の方法で達成することができる。例えば、被覆は、メッシュ全体に、またはそれを硬化させるのに必要なメッシュのその部分に塗布することができる。一技術は、メッシュを被覆材料に浸漬することであり、別の技術は、被覆をメッシュ上に移動させるローラにメッシュを通り抜けさせることである。また、微小滴でメッシュに噴霧することも有効である。メッシュを硬化させるのに必要なそれらの領域のみに選択的に被覆するための技術は、極微針(micro needle)または同様の手段で被覆を分配することを含む、被覆の範囲の所望の領域のみを露出する鋳型またはマスクを通じて被覆を沈着することを含む。より好ましくは、被覆は、所望の部分を露出するフォトレジストのようなマスクを使用し、被覆をフォトマスク上に塗布し、フォトマスクを除去して塗布することができる。
【0079】
被覆されたメッシュは、所望の形およびサイズのパウチ、カバー等を生成するために、レーザ切断することができる。パウチは、比較的ぴったりと、またはより緩く埋込型医療機器の周囲に適合させるように形作ることができる。2つの部品は、熱、超音波または当技術分野において既知の方法によってシールすることができ、外科的処置の時に機器の挿入を可能にし、リードまたは他のワイヤがパウチから延在して突起/突出することを可能にするために、片側を開放させておく。
【0080】
さらに、本発明のメッシュパウチは、機器からのリードがパウチを通り抜けるのに十分な空間または開口部を有する。提供されるパウチ内の空間または開口部の数は、関連機器に適用できるようなCRMまたは他のIMDから延在するリードまたは他の管の数および設置とマッチさせることができる。
【0081】
好ましい実施形態において、本発明のパウチの形およびサイズは、それが使用されるCRMまたはIMDのものと同様であり、パウチは、特定のCRMまたは他のIMDのリードまたは管を収容するのに十分な数の開口部または空間を有する。
【0082】
本発明のパウチは、メッシュに由来して多孔質であるが、付加的な多孔性を有することができる。例えば、付加的な多孔性は、被覆されたメッシュ多孔質パウチにおいて付加的な空孔をレーザ切断することによって与えることができる。したがって、パウチは、IMDを完全に封入する、または包囲する必要はない。したがって、パウチが機器および機器の少なくとも20%、30%、50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%をパウチ内に保持することができる時に、IMDは、実質的に被包される、封入される、包囲されるか、または被覆される。多孔質パウチおよび部分的に封入されたパウチは、組織および体液との接触を可能にし、モノポールCRMまたは他のIMD機器とともに特に有用である。多孔性は、パウチによって被覆されるIMDのパーセンテージに寄与する。すなわち、IMDは、50%空隙または空孔を有する膜で構築されるパウチによって完全に包囲されるのであれば、50%被覆されると見なされる。
【0083】
CRMおよび他のIMD
本発明のパウチとともに使用されるCRMおよび他のIMDは、ペースメーカ、除細動器、埋込型アクセスシステム、神経刺激機器、他の刺激機器、心室補助機器、輸液ポンプもしくは薬物を送達するための他の埋込型機器(またはその埋込型構成部品)、水和溶液もしくは他の流体、髄腔内送達システム,疼痛ポンプ、または薬物もしくは電気刺激を体の一部に提供するための任意の他の埋込型システムを含むが、これらに限定されない。
【0084】
埋込型心調律管理装置(Implantable cardiac rhythm management:CRM)は、IMDの形態であり、生涯医療機器インプラントである。CRMは、定常速度で心臓が継続的に鼓動することを確実にする。埋込型心調律管理装置と埋込型除細動器の2つの主な種類のCRM機器がある。
【0085】
ICDまたは埋込型電気除細動器(cardioverter defibrillator)およびペースメーカは、共通要素を共有する。それらは、比較的規模の小さい外科的処置を介して挿入された永久インプラントである。それぞれが、発生器およびリードの2つの基本的な構成部品を有する。発生器は、通常、胸骨の皮膚の下の皮下ポケット内に設置され、リードは、心筋または心室内に下方にセット(threaded down and into)される。設置および設計の共通要素は、リード突出、リードチップ線維化、および感染を含む、共有の罹患率に繋がる。感染率は極めて低いとされるが、リード、発生器、または手術部位のいずれかの細菌汚染が、発生器およびリードに沿った細菌拡散を介して、心臓に直接移動することができるため、感染は、重要な課題である。心内膜炎、または心臓の感染は、33%もの高い死亡率を報告している。
【0086】
ICDは、心拍および律動を定常的に監視する電子機器である。これは、速い異常な心律動を検出した時に、心筋にエネルギーを送達する。この作用は、それを洞律動に戻す試みにおいて、再び正常な律動で心臓を鼓動させる。
【0087】
ICDは、リードおよびパルス発生器の2つの部品を有する。リードは、心律動を監視し、ペーシングおよび/または除細動(定義は以下を参照)のために使用されるエネルギーを送達する。リードは、心臓および発生器に直接接続される。発生器は、電池および極小コンピュータを収容する。エネルギーは、必要となるまで電池に保存される。コンピュータは、リードを介して心機能に関する情報を受け取り、そのプログラミングに基づいてその情報に反応する。
【0088】
異なる種類のICDは、リードが右心室に取り付けされる単一チャンバICD(必要とあれば、エネルギーは、心室が正常に収縮するように心室に送達される)と、リードが右心房および右心室に取り付けられる二重チャンバICD(エネルギーは、心臓が正常な順序(sequence)で確実に鼓動するように、最初に右心房に、次いで右心室に送達される)と、リードが右心房、右心室および左心室に取り付けられる両室ICDと、を含むが、これに限定されない。この配列(arrangement)は、より均衡の取れた方法で心臓を鼓動させるのに役立ち、心不全患者のために特に使用される。
【0089】
ペースメーカは、好適な心拍および律動を維持するために、電気インパルスを心筋に送る小さな機器である。また、ペースメーカは、失神発作(fainting spell)(失神)、鬱血性心不全、および肥大型心筋症を治療するために使用することもできる。ペースメーカは、概して、規模の小さい外科的処置時に、胸部の皮膚の下に埋め込まれる。また、ペースメーカは、リードおよび電池駆動のパルス発生器で構成される。パルス発生器は、胸部の皮膚の下に存在する。リードは、静脈を介して心臓にセットされ、心筋に埋め込まれるワイヤである。それらは、パルス発生器から心筋にインパルスを送り、心臓の電気的活動を感知する。
【0090】
各インパルスは、心臓を収縮させる。ペースメーカは、心臓の不具合を治療するのに必要なペースメーカの種類に応じて、1つから3つのリードを有してもよい。
【0091】
異なる種類のペースメーカは、心臓の上方チャンバ(心房)または下方チャンバ(心室)内で1つのリードを使用する単一チャンバペースメーカ、心臓の心房内で1つのリードおよび心室内で1つのリードを使用する二重チャンバペースメーカ、ならびに1つが右心房内に設置され、1つが右心室内に設置され、1つが左心室に設置される(冠状静脈洞静脈を介して)、3つのリードを使用する両室ペースメーカを含むが、これらに限定されない。
【0092】
したがって、本発明のパウチは、様々な製造業者(表1参照)からの広範囲に及ぶペースメーカおよび埋込型除細動器を適合するように設計することができる。CRMのサイズは異なり、典型的なサイズ範囲を表1に列挙する。
【0093】
【表1】
埋込型神経刺激機器は、機器が電気インパルスを発生させるペースメーカと同様である。これらの機器は、疼痛および他の神経障害を治療するために、リードを介して脊椎および脳に電気信号を送る。例えば、リードが脊椎に埋め込まれた場合、神経刺激は、慢性疼痛(特に、背痛および脊椎痛)を治療するために使用することができ、リードが脳に埋め込まれた場合、神経刺激は、癲癇とパーキンソン病および他の神経障害に付随する振せんを含む本態性振せんとを治療するために使用することができる。神経刺激は、重症かつ慢性の悪心および嘔吐ならびに泌尿器系障害を治療するために使用することができる。前者に対して、電気インパルスは胃に送られ、後者に対して、電気インパルスは、腰背部の仙骨神経に送られる。神経刺激機器のインプラント位置は、用途によって異なるが、全ての場合において、皮膚の下に設置され、埋め込み時および埋め込み後に感染しやすい。同様に、神経刺激機器内の電池の再介入および交換は、一定の間隔で生じ得る。
【0094】
したがって、本発明のパウチは、様々な製造業者(表2参照)からの広範囲に及ぶ神経刺激機器を適合するように設計することができる。神経刺激機器のサイズは異なり、典型的なサイズ範囲を表2に列挙する。
【0095】
【表2】
最初の埋め込みに関する報告された感染率は、通常極めて低いが(1%未満)、しかしながら、再介入が必要な時に、感染率は劇的に増加する。再介入は、ICDの発生器部分、ペースメーカ、神経刺激機器、薬物ポンプまたは他のIMDの除去を必要とすることが多く、吸収性パウチを有することでその処理が向上する。
【0096】
本発明において使用するための他のIMDは、薬物ポンプ、特に疼痛ポンプおよび髄腔内送達システムである。概して、これらの機器は、薬物を分配するための埋込型薬物ポンプおよびカテーテルから成る。埋込型薬物ポンプは、神経刺激機器およびCRMと同様のサイズである。さらなる埋込型医療機器は、埋込型EGMモニタ、埋込型アクセスシステム、または体の一部に薬物または電気刺激を提供するために、電池電力を利用する任意の他の埋込型システムを含むが、これらに限定されない。
【0097】
抗菌効果
本発明のパウチの抗菌効果は、例えば、細菌抑制域にアクセスするために、改良型Kirby−−Bauer Antibiotic Susceptibility Test (Disk Diffusion Test)(インビトロ)を使用して、またはBoburden Test Method(インビトロ)によって、実験室(インビトロ)で実証することができる。そのような実験において、パウチの小さいディスクを切断して、使用し、また、抗菌効果も、感染の動物モデルを使用してインビボで実証することができる。例えば、パウチと機器の組み合わせを動物に埋め込み、手術部位を、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌等の病原微生物に意図的に感染させ、感染および炎症の徴候について動物を監視する。屠殺後、動物は、パウチ、機器および周囲組織の炎症、線維化および細菌定着に関して評価される。
【0098】
当業者は、本発明の範囲を逸脱せずに、上記の本発明に、種々の省略、追加および変型を行うことができ、全てのそのような変型および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本発明の範囲に含まれることが意図されることを理解されたい。本明細書で引用した全ての参考文献、特許、特許出願、または他の文書は、参考としてそれらの全体が援用される。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
DTE−DTコハク酸塩被覆メッシュからの抗生物質放出
A.噴霧被覆によるメッシュの調製
9:1テトラヒドロフラン/メタノール中、比率1:1:8のリファンピン:ミノサイクリン:ポリマーを含有する1%溶液を、各側面が、少なくとも10mgの抗菌薬包埋ポリマーで被覆されるまで、メッシュの各側面上に噴霧ノズルを繰り返し通過させることによって、外科用メッシュ上に噴霧被覆した。試料を、使用前に真空オーブン内で少なくとも72時間乾燥させた。
【0100】
ポリマーは、表3に示される%DTであるxxを有するポリアリレートP22−xxである。表3において、RxxまたはMxxは、被覆中のリファンピン(R)またはミノサイクリン(M)の重量パーセンテージを示し、すなわち、R10M10は、10%リファンピンおよび10%塩酸ミノサイクリンと80%の指示されたポリマーとを意味する。表3は、それらの%DT含有量、正確な試料サイズ、最終的な被覆重量および薬物被覆重量とともに、これらのポリアリレートのリストを提供する。
【0101】
【表3】
B.抑制域(Zone of Inhibition:ZOI)研究
抗生物質被覆メッシュについてのZOIを、Kirby−Bauer方法に従って判断した。表皮ブドウ球菌または黄色ブドウ球菌は、保存培養液からTriplicate Soy Broth(TSB)中に播種し、濁度がMcFarland#0.5基準(1〜2時間)に達するまで、37℃でインキュベートした。プレートは、Mueller−HintonII寒天上(HMA)に3回細菌を画線することによって調製し、プレート全体を被覆するために、各回に左から右にプレートを塗布し、画線の方向を変更するために、塗布間にプレートを回転させた。
【0102】
噴霧被覆メッシュの予め切断した断片(1〜2cm2)を、事前に温めたMueller HintonII寒天プレートの中央に強く押し、37℃でインキュベートした。断片は、無菌鉗子を使用して、24時間おきに、新鮮かつ事前に温めたMueller HintonII寒天プレートに移行させた。試料から抑制域の外縁の距離を、24時間おきに測定し、各試料に関して表4および5の下段の行に報告する。各試料について上段の行は、ZOIの直径とメッシュの対角線との間の差を表す。表4は、表皮ブドウ球菌菌叢上に設置したメッシュについてのZOI結果を示し、表5は、黄色ブドウ球菌菌叢上に設置したメッシュについてのZOI結果を示す。さらに、残留ミノサイクリンおよびリファンピンの分析のために、3つの断片を24時間ごとに除去した。
【0103】
図1は、25%または27.5%DTを有するDTE−DTコハク酸塩ポリアリレート被覆中の、それぞれ10%の塩酸ミノサイクリンおよびリファンピンを有するメッシュについての黄色ブドウ球菌の合計ZOIを示す。カテーテルは、リファンピンおよび塩酸ミノサイクリンを含浸させたCOOK SPECTRUM静脈カテーテルである。
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
表6は、生体外薬物放出の持続時間が、吸収性ポリマーの親水性とともに増加することを示す。溶媒キャスト膜をPBS中に浸し、抗生物質放出をHPLCで監視した。
【0106】
【表6】
(実施例2)
DTE−DTコハク酸塩被覆メッシュからのブピバカイン放出
A.メッシュの調製
図2に示す実験に関して、THFメタノールの混合物中1%P22−27.5ポリアリレートを有する4%溶液として540mgのブピバカインHClを含有する第1の貯蔵被覆を、メッシュ上に噴霧被覆した。425mgの同一ポリアリレートのみから成る第2の層は、第1の層の頂部に沈着させた。
【0107】
図3に示す実験に関して、27.5%DTを有するDTE−DTコハク酸塩ポリマー中の約4%ブピバカインの溶液を、指示した数の通過と、続いて、THF:メタノール(9:1)中の同一ポリアリレートの溶液内への指示した数の浸漬を用いて、メッシュ上に噴霧した。
【0108】
B.麻酔薬放出
メッシュの事前秤量した断片を37℃でPBS中に置き、HPLCでブピバカインを判断するために、試料を周期的に回収した。図2は、時間の関数としての多層ポリアリレート被覆からPBS中へのブピバカインの累積放出を示す。ブピバカインのほぼ80%が、インキュベーションの25時間後に放出された。
【0109】
図3は、貯蔵層における薬物量と外層の厚さの両方を変化させることによって達成することができる放出特徴の変化の一例である。これらの被覆外科用メッシュは、被覆されていない対応物よりもより剛性である。
【0110】
(実施例3)
DTE−DTコハク酸塩被覆メッシュからのインビボブピバカイン放出
A.概要
薬物動態学的研究のために、頚静脈カニューレを有するラットに、7.5mgのブピバカイン/cm2を含有する1×2cmP22−27.5ポリアリレート被覆のメッシュを外科的に埋め込んだ。手術前に、痛覚に対するベースラインピンプリック(pin−prick)反応を、予定の手術切開部位で測定し、ベースライン血液試料を取得した。ヘルニアは、肋骨下開腹を介した腹膜腔への切開によって生成し、Lichtenstein非張力修復は、ブピバカイン含浸のポリアリレート被覆のメッシュを使用して行った。血液試料は、埋め込みの3、6、24、48、72、96、および120時間後に取り出した。血液を取り出す前に、ラットは、ブピバカイン放出からの皮膚麻酔を評価するために、ピンプリックテストを受けた。行動結果は、中程度のレベルの皮膚麻酔が、3から120時間で現れ、6および48時間での量がベースラインを有意に上回ったことを示す(p<0.05)。薬物動態解析は、血漿ブピバカインレベルが、0から24時間の一次吸収をともなう1コンパートメントモデルに適合することを示す。
【0111】
B.外科用メッシュの調製
ポリプロピレンメッシュを、実施例2の第1段落に記述したように噴霧被覆した。個々のメッシュを、1×2cmに切断し、個々に包装し、γ線照射で無菌化した。メッシュは、7.5mg/cm2のブピバカインHClを負荷した(1×2cmメッシュごとに、合計15mgのブピバカインが負荷された)。
【0112】
C.メッシュの外科的埋め込み
59〜63日齢および体重250〜275gの8匹の雄性ラットは、外部頚静脈カニューレ(SU007)とともにTaconic Laboratory(Germantown,NY)から得た。各ラットは、足指ピンチ(toe pinch)および角膜反射に対する反応がないことによって判断されるように外科麻酔の平面へのイソフルランによって麻酔し、手術の間に2%イソフルランで維持した。肋骨下部位を剪毛し、10%ポビドンヨード(providone iodine)で洗浄し、70%エタノールですすいだ。無菌ドレープを、無菌性手術野を維持するために使用し、無菌化された器具は、ホットビーズ滅菌器を使用して、ラット間で再無菌化した。2.5cm皮膚切開は、最後の肋骨の尾側で平行に0.5cm切開した。下層の皮下空間(切開の両側上1cm)を緩めてメッシュを収容した。2cm切開は、皮膚切開と同一平面に沿って筋層を通し、膜腔を貫通し、腹膜を、連続縫合パターンの6−0プロレン(Prolene)縫合糸で閉じた。伝統的な「張力閉鎖」を使用して内部および外部斜筋を縫合するのではなく、むしろLichtenstein「非張力」修復は、修復材料としてメッシュを使用することによって行った。セクションAで調製したメッシュを、切開創ヘルニア上に位置付け、6−0プロレン(Prolene)縫合糸を使用して内部および外部斜筋に縫合した。次いで、皮下組織を、ラットがメッシュに接近することを防ぐために、6から8個の6−0プロレン(Prolene)縫合糸を用いた連続パターンで縫合し、続いて、6から8回の皮膚縫合を行った。合計手術時間は、麻酔導入および調製に10分、手術に20分であった。
【0113】
ラットをそれらのホームケージ内で回復させ、覚醒するまで、手術後に監視した。血液試料は、手術の3、6、24、48、72、96、および120時間後に血漿ブピバカインレベルを判断するために取り出した。切開部の保護に関してラットを評価し、炎症、腫大の徴候または感染の他の徴候に関して切開部を評価した。毒性または痙攣を呈したラットはなく、感染またはブピバカインの放出により瀕死状態にあるラットもなかった。
【0114】
D.皮膚麻酔テスト
侵害ピンプリックテストを、皮膚麻酔を評価するために使用した(Morrow and Casey,1983;Kramer et al.,1996;Haynes et al.,2000;Khodorova and Strichartz,2000)。ラットを一方の手で保持し、他方の手を使用して、ピンを適用した。痛覚は、ラットからの皮膚のたじろき、または侵害防御(nocifensive)(すなわち、驚愕または回避しようとする試み)反応によって示した。メッシュの存在が皮膚のたじろき反応を妨害した一方で、侵害防御反応は完全にインタクトのままであった。
Buck神経学的ハンマからのピンの10回の適用に対するベースライン侵害防御反応を、メッシュ埋め込み前に、予定の切開部位で得た。手術後、ピンプリックテストを、切開部の吻側に適用した。切開部の尾側の神経は、処置中に横切し、したがって、ピン適用に反応せず、テストしなかった。埋め込み後のテストは、手術前と同一の力を使用し、10のピンを適用して繰り返し、侵害防御反応のパーセント抑制を、[1−(テスト反応/10基本反応)]×100によって計算した。データは、反復測定ANOVAと、続いて、テューキー検定を用いる事後解析を使用して解析した。結果を図4に示す。
【0115】
(実施例4)
メッシュ剛性
A.実施例1に記述したように調製したメッシュは、ASTM4032−94に基づき、TyRx Pharma Inc. Mesh Stiffness Test Protocol、ATM 0410の方法に従って剛性テストを行った。メッシュは、γ線照射を使用する滅菌の前に箔バッグにシールした。「γN2」で示した場合、バッグは、シールおよび照射前に窒素でフラッシュ(flush)した。メッシュは、3連でテストした。結果を図7に示し、経年化が、被覆メッシュの柔軟性に影響を与えないことを示す。
【0116】
【表7】
B.メッシュは、実施例1に概して記述したように、P22−27.5の溶液をPPM3メッシュ上に噴霧被覆することによって調製した。被覆メッシュは、正方形当たり80mgポリマー被覆を提供するために、3インチ×3インチの正方形に切断した。正方形は、指示した時間の間、1Lの0.01M PBS中でインキュベートし、次いで、この実施例のパートAに記述したような剛性テストのために除去した。全ての実験は、3連で行った。対照として、被覆されていないPPM3メッシュを同一条件下でインキュベートした。乾燥時の対照の剛性は、乾燥時1.42±0.23Nであり、0.01M PBS中1時間および24時間後は、1.12Nであった。結果を図6に示す。
【0117】
(実施例5)
被覆メッシュの顕微鏡写真
抗生物質なしのチロシンポリアリレート被覆のメッシュ、すなわち、ポリマー被覆のみを、実施例1に記述したように調製し、噴霧被覆溶液中の抗生物質を除去した。被覆メッシュの光学像を、メッシュの織布性質およびフィラメントの接触点を容易に示す拡大率で、図7の左上パネルに示す。接触点の拡大は、図7の左下パネルに示し、被覆が、メッシュフィラメントの接触点を固定化することを実証する。図7の右パネルは、被覆フィラメントの走査電子顕微鏡写真である。
図8は、実施例1からの、すなわち、ポリマー、リファンピンおよびミノサイクリンで被覆されたメッシュの光学像を示す。色に関して、この写真は、一部オレンジ色の緑がかった色に見えるフィラメントおよびほとんどが純粋なオレンジ色に見える結び目(またはフィラメント接触点)を有する青色背景上のメッシュを示す。オレンジ色は、抗生物質に起因するものであり、その領域内のメッシュのより広い表面領域に起因して、結び目上でより可視的である。色の差は、写真の白黒版では可視化することが難しいため、右パネルで、オレンジ色の領域を、斜線で埋めた囲んだ領域によって示す。
【0118】
(実施例6)
抗菌被覆メッシュ、ペースメーカパウチ
抗菌ペースメーカパウチは、体内に埋め込まれた時に、安定環境をもたらすために、ペースメーカパルス発生器または除細動器を保持するように設計された2重成分(吸収性および非吸収性)かつ無菌のプロテーゼである。パウチは、ポリプロピレンの編まれたフィラメントと、抗菌薬剤リファンピンおよびミノサイクリンを含有するメッシュ上の生体吸収性ポリアリレート被覆とで構成される非吸収性メッシュから構築される。抗菌薬剤は、最低限7日間放出し、その後、ポリマーの完全再吸収が続き、組織に取り込まれた軽量の恒久的なメッシュの状態となり、ペースメーカまたは除細動器に対して安定環境が提供される(図9および10参照)。
【0119】
パウチのためのメッシュは、2006年2月8日に出願された米国仮出願第60/771,827号に記述される抗菌ポリマー被覆外科用メッシュと同一方法で調製することができる。パウチは、他方の上に一方を設置し、超音波溶接を使用してシールおよび形に切断した2個の平らな被覆メッシュで構築される。これにより、約3つの側面と2分の1の側面上でシールされ、約50から75mgのポリマーおよび6.1mgのリファンピンおよび6.1mgのミノサイクリン(各薬物に関して86.11μg/cm2)で被覆された、サイズ2.5インチ×2.75インチのパウチが形成される。そのようなパウチは、広範囲なペースメーカ、埋込型除細動器、神経刺激機器および他のIMDを適合させるように設計することができる(表1および2参照)。
【0120】
抗菌効果
抗菌効果は、実験室(インビトロ)および動物(インビボ)試験で実証した。結果は、被覆メッシュパウチが、メッシュおよび発生器の微生物定着を防止するのに有効であることを示す(表8参照)。
【0121】
イヌ研究からの組織学的結果は、パウチが、ペースメーカ周囲の組織に急速に取り込まれ、ペースメーカを保持するための安定環境の形成を促進することを示す(図3)。
【0122】
【表8】
参考文献
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【0123】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の生分解性かつ吸収性のポリマー被覆を有する外科用メッシュを備えるメッシュパウチであって、該パウチは、医療機器ユニットのための予防的封入である、パウチ。
【請求項2】
前記メッシュは、該メッシュをその本来の剛性の少なくとも1.1倍まで一時的に硬化させる1つ以上の被覆を有し、該メッシュは、埋込型機器を被包するように形成され、該1つ以上の被覆は、単独または組み合わせて、鎮痛を提供すること、瘢痕化もしくは線維化を抑制すること、および/または細菌増殖を抑制することが可能である、1つ以上の生分解性ポリマーおよび1つ以上の薬物を含む、請求項1に記載のメッシュパウチ。
【請求項3】
前記メッシュは、1つ以上の被覆を有し、該1つ以上の被覆は、硬化剤の役割を果たし、該メッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して該メッシュの該フィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化する、1つ以上の生分解性ポリマーを備え、該メッシュは、埋込型機器を被包するように形成され、前記1つ以上の被覆は、単独または組み合わせて、鎮痛を提供すること、瘢痕化または線維化を抑制すること、および/または細菌増殖を抑制することが可能である、1つ以上の薬物をさらに備える、請求項1に記載のメッシュパウチ。
【請求項4】
前記メッシュは、前記薬剤で被覆される時に、多孔質のままである、請求項3に記載のメッシュパウチ。
【請求項5】
前記薬剤は、前記フィラメントまたは前記繊維を選択的および/または部分的に被覆する、請求項3に記載のメッシュパウチ。
【請求項6】
前記接触点は、織られたメッシュにおける結び目を備える、請求項3に記載のメッシュパウチ。
【請求項7】
前記1つ以上の被覆は、前記メッシュの剛性をその被覆されていない剛性の少なくとも1.1倍から約4.5倍、増加させる、請求項2または3に記載のメッシュパウチ。
【請求項8】
前記メッシュは、織られたポリプロピレンを備える、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項9】
前記1つ以上の生分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリエチレンオキシド、ポリオキサエステル、ポリジオキサノン、ポリプロピレンフマレート、ポリ(エチルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン−コ−アクリル酸ブチル、ポリヒドロキシブチラート、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、無水マレイン酸共重合体、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5%ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、ポリ(オルトエステル)、チロシン由来のポリアリレート、チロシン由来のポリカーボネート、チロシン由来のポリイミノカーボネート、チロシン由来のポリホスホネート、ポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、タンパク質、ならびに共重合体、ターポリマーおよび任意のそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項10】
前記生分解性ポリマーのうちの少なくとも1つは、1つ以上のチロシン由来のジフェノールモノマー単位を含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項11】
前記ポリマーは、ポリアリレートである、請求項10に記載のメッシュパウチ。
【請求項12】
前記ポリアリレートは、約1%DTから約30%DTを有するDT−DTEコハク酸塩である、請求項11に記載のメッシュパウチ。
【請求項13】
前記ポリアリレートは、デスアミノチロシル−チロシン(DT)およびデスアミノチロシル−チロシルエステル(DTエステル)のランダム共重合体であり、該共重合体は、約0.001%DTから約80%DTを含み、該エステル部分は、最大18の炭素原子を有する、分枝または非分枝アルキル、アルキルアリール、またはアルキレンエーテル基であり得、それらの基のいずれかは、その中にポリアルキレンオキシドを任意に有することができる、請求項11に記載のメッシュパウチ。
【請求項14】
前記被覆は、抗菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗瘢痕化剤、抗線維化剤およびロイコトリエン阻害剤から成る群より選択される、1つ以上の薬物を含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項15】
前記薬物は、麻酔薬である、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項16】
前記麻酔薬は、ブピバカインHClである、請求項15に記載のメッシュパウチ。
【請求項17】
前記薬物は、抗菌剤である、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項18】
前記抗菌剤は、リファンピン、ミノサイクリン、銀/クロルヘキシジン、バンコマイシン、セファロスポリン、ゲンタマイシン、トリクロサンおよびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項17に記載のメッシュパウチ。
【請求項19】
2つの抗菌剤を含み、該薬剤は、ゲンタマイシンまたはバンコマイシンと組み合わせたリファンピンである、請求項17に記載のメッシュパウチ。
【請求項20】
2つの抗菌剤を含み、該薬剤は、リファンピンおよびテトラサイクリン誘導体である、請求項17に記載のメッシュパウチ。
【請求項21】
前記被覆のうちの少なくとも1つは、リファンピンおよびミノサイクリンHClを含む、請求項20に記載のメッシュパウチ。
【請求項22】
前記被覆のうちの少なくとも1つは、非選択性cox−1阻害剤および非選択性cox−2阻害剤から選択される抗炎症薬を含む、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項23】
前記被覆のうちの少なくとも1つは、選択性cox−1阻害剤または選択性cox−2阻害剤から選択される抗炎症薬を含む、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項24】
前記埋込型機器は、ペースメーカ、除細動器、パルス発生器、埋込型アクセスシステム、薬物ポンプまたは神経刺激機器である、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項25】
埋込型医療機器ユニットと、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチとを備える、キット。
【請求項26】
前記医療機器ユニットは、CRM機器である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記医療機器ユニットは、ペースメーカ、除細動器、パルス発生器、埋込型アクセスシステム、薬物ポンプまたは神経刺激機器である、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記1つ以上の生分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン),ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリエチレンオキシド、ポリオキサエステル、ポリジオキサノン、ポリプロピレンフマレート、ポリ(エチルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン−コ−アクリル酸ブチル、ポリヒドロキシブチラート、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、無水マレイン酸共重合体、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5%ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、ポリ(オルトエステル)、チロシン由来のポリアリレート、チロシン由来のポリカーボネート、チロシン由来のポリイミノカーボネート、チロシン由来のポリホスホネート、ポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、タンパク質、ならびに共重合体、ターポリマーおよび任意のそれらの混合物から成る群より選択される、請求項25に記載のキット。
【請求項29】
前記生分解性ポリマーのうちの少なくとも1つは、1つ以上のチロシン由来のジフェノールモノマー単位を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項30】
前記被覆は、抗菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗瘢痕化薬、抗線維化剤およびロイコトリエン阻害剤から成る群より選択される、1つ以上の薬物を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項31】
前記薬物は、麻酔薬である、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記薬物は、抗菌剤である、請求項30に記載のキット。
【請求項33】
前記抗菌剤は、リファンピン、ミノサイクリン、銀/クロルヘキシジン、バンコマイシン、セファロスポリン、ゲンタマイシン、トリクロサンおよびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
2つの抗菌剤を含み、該薬剤は、リファンピンおよびテトラサイクリン誘導体である、請求項32に記載のキット。
【請求項1】
1つ以上の生分解性かつ吸収性のポリマー被覆を有する外科用メッシュを備えるメッシュパウチであって、該パウチは、医療機器ユニットのための予防的封入である、パウチ。
【請求項2】
前記メッシュは、該メッシュをその本来の剛性の少なくとも1.1倍まで一時的に硬化させる1つ以上の被覆を有し、該メッシュは、埋込型機器を被包するように形成され、該1つ以上の被覆は、単独または組み合わせて、鎮痛を提供すること、瘢痕化もしくは線維化を抑制すること、および/または細菌増殖を抑制することが可能である、1つ以上の生分解性ポリマーおよび1つ以上の薬物を含む、請求項1に記載のメッシュパウチ。
【請求項3】
前記メッシュは、1つ以上の被覆を有し、該1つ以上の被覆は、硬化剤の役割を果たし、該メッシュのフィラメントまたは繊維を被覆して該メッシュの該フィラメントまたは繊維の接触点を一時的に固定化する、1つ以上の生分解性ポリマーを備え、該メッシュは、埋込型機器を被包するように形成され、前記1つ以上の被覆は、単独または組み合わせて、鎮痛を提供すること、瘢痕化または線維化を抑制すること、および/または細菌増殖を抑制することが可能である、1つ以上の薬物をさらに備える、請求項1に記載のメッシュパウチ。
【請求項4】
前記メッシュは、前記薬剤で被覆される時に、多孔質のままである、請求項3に記載のメッシュパウチ。
【請求項5】
前記薬剤は、前記フィラメントまたは前記繊維を選択的および/または部分的に被覆する、請求項3に記載のメッシュパウチ。
【請求項6】
前記接触点は、織られたメッシュにおける結び目を備える、請求項3に記載のメッシュパウチ。
【請求項7】
前記1つ以上の被覆は、前記メッシュの剛性をその被覆されていない剛性の少なくとも1.1倍から約4.5倍、増加させる、請求項2または3に記載のメッシュパウチ。
【請求項8】
前記メッシュは、織られたポリプロピレンを備える、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項9】
前記1つ以上の生分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリエチレンオキシド、ポリオキサエステル、ポリジオキサノン、ポリプロピレンフマレート、ポリ(エチルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン−コ−アクリル酸ブチル、ポリヒドロキシブチラート、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、無水マレイン酸共重合体、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5%ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、ポリ(オルトエステル)、チロシン由来のポリアリレート、チロシン由来のポリカーボネート、チロシン由来のポリイミノカーボネート、チロシン由来のポリホスホネート、ポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、タンパク質、ならびに共重合体、ターポリマーおよび任意のそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項10】
前記生分解性ポリマーのうちの少なくとも1つは、1つ以上のチロシン由来のジフェノールモノマー単位を含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項11】
前記ポリマーは、ポリアリレートである、請求項10に記載のメッシュパウチ。
【請求項12】
前記ポリアリレートは、約1%DTから約30%DTを有するDT−DTEコハク酸塩である、請求項11に記載のメッシュパウチ。
【請求項13】
前記ポリアリレートは、デスアミノチロシル−チロシン(DT)およびデスアミノチロシル−チロシルエステル(DTエステル)のランダム共重合体であり、該共重合体は、約0.001%DTから約80%DTを含み、該エステル部分は、最大18の炭素原子を有する、分枝または非分枝アルキル、アルキルアリール、またはアルキレンエーテル基であり得、それらの基のいずれかは、その中にポリアルキレンオキシドを任意に有することができる、請求項11に記載のメッシュパウチ。
【請求項14】
前記被覆は、抗菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗瘢痕化剤、抗線維化剤およびロイコトリエン阻害剤から成る群より選択される、1つ以上の薬物を含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項15】
前記薬物は、麻酔薬である、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項16】
前記麻酔薬は、ブピバカインHClである、請求項15に記載のメッシュパウチ。
【請求項17】
前記薬物は、抗菌剤である、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項18】
前記抗菌剤は、リファンピン、ミノサイクリン、銀/クロルヘキシジン、バンコマイシン、セファロスポリン、ゲンタマイシン、トリクロサンおよびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項17に記載のメッシュパウチ。
【請求項19】
2つの抗菌剤を含み、該薬剤は、ゲンタマイシンまたはバンコマイシンと組み合わせたリファンピンである、請求項17に記載のメッシュパウチ。
【請求項20】
2つの抗菌剤を含み、該薬剤は、リファンピンおよびテトラサイクリン誘導体である、請求項17に記載のメッシュパウチ。
【請求項21】
前記被覆のうちの少なくとも1つは、リファンピンおよびミノサイクリンHClを含む、請求項20に記載のメッシュパウチ。
【請求項22】
前記被覆のうちの少なくとも1つは、非選択性cox−1阻害剤および非選択性cox−2阻害剤から選択される抗炎症薬を含む、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項23】
前記被覆のうちの少なくとも1つは、選択性cox−1阻害剤または選択性cox−2阻害剤から選択される抗炎症薬を含む、請求項14に記載のメッシュパウチ。
【請求項24】
前記埋込型機器は、ペースメーカ、除細動器、パルス発生器、埋込型アクセスシステム、薬物ポンプまたは神経刺激機器である、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチ。
【請求項25】
埋込型医療機器ユニットと、請求項1、2または3のいずれか一項に記載のメッシュパウチとを備える、キット。
【請求項26】
前記医療機器ユニットは、CRM機器である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記医療機器ユニットは、ペースメーカ、除細動器、パルス発生器、埋込型アクセスシステム、薬物ポンプまたは神経刺激機器である、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記1つ以上の生分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリグリコール酸、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン),ポリ(グリコリド−コ−カプロラクトン)、ポリエチレンオキシド、ポリオキサエステル、ポリジオキサノン、ポリプロピレンフマレート、ポリ(エチルグルタメート−コ−グルタミン酸)、ポリ(tert−ブチルオキシ−カルボニルメチルグルタメート)、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトン−コ−アクリル酸ブチル、ポリヒドロキシブチラート、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(アミノ酸)、ポリデプシペプチド、無水マレイン酸共重合体、ポリイミノカーボネート、ポリ[(97.5%ジメチル−トリメチレンカーボネート)−コ−(2.5%トリメチレンカーボネート)]、ポリ(オルトエステル)、チロシン由来のポリアリレート、チロシン由来のポリカーボネート、チロシン由来のポリイミノカーボネート、チロシン由来のポリホスホネート、ポリアルキレンオキシド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類、タンパク質、ならびに共重合体、ターポリマーおよび任意のそれらの混合物から成る群より選択される、請求項25に記載のキット。
【請求項29】
前記生分解性ポリマーのうちの少なくとも1つは、1つ以上のチロシン由来のジフェノールモノマー単位を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項30】
前記被覆は、抗菌剤、麻酔薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗瘢痕化薬、抗線維化剤およびロイコトリエン阻害剤から成る群より選択される、1つ以上の薬物を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項31】
前記薬物は、麻酔薬である、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記薬物は、抗菌剤である、請求項30に記載のキット。
【請求項33】
前記抗菌剤は、リファンピン、ミノサイクリン、銀/クロルヘキシジン、バンコマイシン、セファロスポリン、ゲンタマイシン、トリクロサンおよびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
2つの抗菌剤を含み、該薬剤は、リファンピンおよびテトラサイクリン誘導体である、請求項32に記載のキット。
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【公表番号】特表2010−508915(P2010−508915A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535509(P2009−535509)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083843
【国際公開番号】WO2008/127411
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508125575)タイレックス・ファーマ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】TYRX PHARMA INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/083843
【国際公開番号】WO2008/127411
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(508125575)タイレックス・ファーマ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】TYRX PHARMA INC.
【Fターム(参考)】
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