培地溶液のpH計測方法及びpH計測装置
【課題】細胞培養液中に含まれるウシ胎児血清等の増殖因子などの濃度に依存せずに、正確な細胞培養液のpH値の計測が可能な方法を提供する。
【解決手段】300nm〜800nmの波長領域において、第一吸収ピークを有する第一物質(増殖因子)と、第二吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二収束点と第三吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三収束点とを有する第二物質(pH指示薬)とを含む培地溶液に、第一吸収ピーク波長λ1の光と、第二吸収ピーク又は第二収束点波長λ2の光と、第三吸収ピーク又は第三収束点波長λ3の光と、第一物質と第二物質のいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを含む複数の光を培地溶液に照射するステップと、前記照射された光を受光するステップと、受光して得られた各波長の吸光度に基づき、第一物質の影響を補正した培地溶液のpHを演算するステップとから構成されるpH計測方法。
【解決手段】300nm〜800nmの波長領域において、第一吸収ピークを有する第一物質(増殖因子)と、第二吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二収束点と第三吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三収束点とを有する第二物質(pH指示薬)とを含む培地溶液に、第一吸収ピーク波長λ1の光と、第二吸収ピーク又は第二収束点波長λ2の光と、第三吸収ピーク又は第三収束点波長λ3の光と、第一物質と第二物質のいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを含む複数の光を培地溶液に照射するステップと、前記照射された光を受光するステップと、受光して得られた各波長の吸光度に基づき、第一物質の影響を補正した培地溶液のpHを演算するステップとから構成されるpH計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞培養液のpH計測方法に関し、培地に含まれる未知の濃度のウシ胎児血清(FBS)などの細胞増殖因子といった所定の成分の影響を補正した高精度なpH計測方法及びpH計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞が生育、増殖を行うためには、その細胞培養液のpHが増殖適合範囲にある必要がある。しかしながら、その細胞培養液の調製または保存中に細胞培養液中に含まれる二酸化炭素が放出され、pHが増大することによって増殖適合範囲から外れることが多い。
このため、通常細胞培養液に含まれるフェノールレッドの色変化を目視にて判断したり、或いはpH電極を細胞培養液中に浸漬して測定するなどの方法により、pHの計測を行っているが、次のような問題点があった。
細胞培養液に含まれたフェノールレッドの色変化を目視にて判断する場合、誤認が起こる。これは、目視では誤りが多発しやすく、また細胞培養液中に含まれる牛胎児などの血清が黄色を呈しているためこの呈色にまどわされることもあるからである。
一方、pH電極を細胞培養液に浸漬する場合、pH電極が十分滅菌されていない場合には、雑菌等のコンタミネーションが起こる。
【0003】
上記、目視に伴う誤認や、pH電極を使用する場合のコンタミネーションのような問題の起こらない細胞培養液のpH計測方法として以下のものが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平06−34754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、培地溶液のpHを計測可能なpH計測装置の基本的なブロック図である。
本例のpH計測装置において、発光素子1は、電池4より供給される電力によって、発光するように駆動回路3により駆動される。
発光素子1は、図1では1個の素子として示されているが、実際には異なる波長の光を発光する複数の素子で構成される。より具体的には、発光素子1は、例えば、ウシ胎児血清(FBS)に対応した吸光度のピークである411nm帯を発光する素子、フェノールレッド(pH指示薬)の吸光度のピークを示す430nm帯や560nm帯を発光する素子、pHの変化に依らず吸光度が変化せずに収束した値を示す367nm帯や479nm帯を発光する素子、および、例えばウシ胎児血清やフェノールレッドが吸光度を示さない700nm帯を発光する素子など、少なくとも4つ以上の素子で構成をされる。これらの素子には、例えばLEDが好ましく用いられる。
【0006】
これらの発光素子1から発光した光はpHの測定溶液5を透過して受光素子6で受光されて電気信号に変換される。受光素子6は、図1では1個の素子として示されているが、発光素子1を構成する各素子に対応した複数の素子で構成される。これらの各素子には、フォトダイオードが好ましく用いられる。すなわち、発光素子1が4個のLEDで構成されている場合は、受光素子6は、4個のフォトダイオードで構成されてもよい。また、受光素子6は、測定溶液5を透過した光を受光する形態に替えて、測定溶液5の反射光を受光するように設けられてもよい。
受光素子6で変換された信号は、増幅器6で増幅され、マルチプレクサ8によりそれぞれの光波長に対応したフィルター9に振り分けられる。
各フィルター9に振り分けられた信号はフィルター9によりフィルタリングされてノイズ成分が低減され、図示しないA/D変換器によりデジタル化されて処理部10に入力される。この処理部10は、例えばCPUなどの演算処理素子および記憶素子などで構成される。
【0007】
特許文献1には従来の細胞培養液のpH計測方法として以下の記載がなされている。
細胞培養培地、血清および可視光の波長領域で2種以上の吸収ピークを有する指示薬からなる細胞培養液の可視光の吸収からpHを測定する細胞培養液のpH測定方法であって、pHが既知である細胞培養液に可視光を透過して得られた吸収ピークの2つの波長における吸光度の対数とpHとの直線関係に基づいて、pHが未知である細胞培養液試料で測定された各吸収ピークの吸光度の比の対数の値によりpHの値を求めることを特徴とする。
【0008】
上記細胞培養液中には通常細胞に害を与えないような希薄な濃度にてフェノールレッドがpH変化の検出のため含まれているが、このような希薄な濃度においてはフェノールレッドは可視光の範囲において430〜440nm付近と560nm付近に吸収ピークをもち、また480nmに等吸収点をもっている。細胞の生育可能なpH領域であるpH6.8〜7.6の範囲では、pHが下がるにつれて430〜444nm付近の吸収ピークは増大し、560nm付近の吸収ピークは減少していく。フェノールレッドのみの吸収が得られれば、この430〜440nm付近の吸収と560nm付近の吸収の比をとると、プロットは1本の曲線上にのり、この2つのピークの比から培養液のpHを算出することが可能である。
【0009】
また、従来のpHの光学的測定では、試料を測定する前に、試料を空にした状態でゼロレベル測定を行い、空の吸光レベルを、試料の読み取り値から減算すると、試料の正味吸光度が得られる。第3の波長として指示薬による吸光性を殆ど示さない波長(700nm)付近を選定して、ゼロレベルの変化を追跡する手段として利用されている。この波長チャネルの吸光レベルに変化があれば、ゼロレベルに変化があったことを示すので、測定に使用される他の2つの波長を、この第3の波長で測定された変化に基づいてゼロ補正を行っていた。
【0010】
特許文献1に記載の従来の細胞培養液のpH計測方法は、細胞培養液にフェノールレッドのみが含まれている場合であるが、細胞培養液には、フェノールレッドのみでなく、細胞を増殖させるための増殖因子として、例えばウシ胎児血清(FBS)が含ませる場合がある。
ウシ胎児血清(FBS)の光吸度特性は、フェノールレッドとは大きく異なっているので、特許文献1に記載のpH計測方法で得られた計測値をそのまま使用することはできない。特に特許文献1に記載のpH計測方法は、測定前に予め培地に含まれる血清の濃度が分からないと吸光度の対数とpHとの直線関係が決定できない為、濃度が分からない血清などが含まれた培地において、正確なpH計測ができなかった。
【0011】
本発明の課題(目的)は、細胞培養液中に含まれるウシ胎児血清(FBS)等の増殖因子などの濃度に依存せずに、正確な細胞培養液のpH値の計測が可能なpH計測方法及び細胞培養液のpH計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
300nm〜800nmの波長領域で第一の吸収ピークを有する第一の物質と、
300nm〜800nmの波長領域で第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点と第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点とを有する第二の物質と
を含む培地溶液に、
第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、
第二の吸収ピーク又は第二の収束点に対応した波長λ2の光と、
第三の吸収ピーク又は第三の収束点に対応した波長λ3の光と、
前記第一の物質と前記第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを含む複数の光を培地溶液に照射する照射ステップと、
前記照射された複数の光の透過光及び/又は反射光を受光する受光ステップと、
受光ステップで得られた各波長λ1〜λ4における吸光度を計測する計測ステップと、
計測された吸光度に基づき、第一の物質の影響を補正した培地溶液のpHを演算する演算ステップと、
を含むpH計測方法を提供する。
【0013】
また、上記pH計測方法において、
前記演算ステップは、
計測された吸光度から算出された吸光度比の対数を用いた重回帰分析を用いて補正するステップを含むことが好ましい。
【0014】
また、上記pH計測方法において、
前記重回帰分析は、以下の[式1]にて表される回帰式で行われることが好ましい。なお、[式1]において、Bは定数、Φは吸光度比、Aは吸光度をそれぞれ示す。
[式1]
【数1】
【0015】
また、上記pH計測方法において、
また、前記演算ステップは、
前記第一の物質の吸光度と前記第二の物質の吸光度の和とした行列式で演算するステップを含むことが好ましい。
また、この場合、前記行列式はpHと吸光係数のいずれかを変数とした関数を元に構成されることが好ましい。
【0016】
また、上記pH計測方法において、
前記行列式がpHを変数とした関数から構成された場合、以下の[式2]にて表される行列式によりpHを計測することが好ましい。
[式2]
【数2】
【0017】
また、上記pH計測方法において、
前記行列式が吸光係数を変数とした関数から構成された場合、以下の[式3]にて表される行列式により得られた吸光係数に基づいてpHを計測することが好ましい。
[式3]
【数3】
【0018】
また、上記pH計測方法において、
前記第二の収束点λ2と第三の収束点λ3に対応した波長の光とは、それぞれ480nm帯と370nm帯の光とし、
前記吸光度が収束する波長の光λ4とは、第一の物質と第二の物質との両方がpHによらずに吸光度が収束する波長の光とした場合、以下の[式4]にて表される行列式によりpHを計測することが好ましい。
[式4]
【数4】
【0019】
また、上記pH計測方法において、
前記演算ステップでは、
前記行列式に基づき、さらに第一の物質と第二の物質の少なくともいずれかの濃度を演算することが好ましい。
【0020】
また、上記pH計測方法において、
前記第一の物質は、ウシ胎児血清(FBS)又は仔ウシ血清であり、前記第二の物質はフェノールレッド(又は乳酸菌)であってもよい。
【0021】
また、上記pH計測方法において、
第一の吸収ピークは410nmおよびその近傍(410nm帯)であり、第二の吸収ピークは430nmおよびその近傍(430nm帯)であり、第三の吸収ピークは560nmおよびその近傍(560nm帯)であってもよい。
【0022】
また、本発明は、
上記のいずれかの特徴を有するpH計測方法によるpHの計測が可能なpH計測装置を提供する。
【0023】
また、本発明は、
発光波長の異なる4種の発光部と、前記4種の波長の吸光度を計測する受光部と、
前記4種の波長の吸光度の値からpHを演算する演算部とを備えるpH計測装置であって、前記発光部は、第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点に対応した波長λ2の光と、第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点に対応した波長λ3の光と、第一の物質と第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを発光するpH計測装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のpH計測方法によれば、細胞培養液中に濃度が不明のウシ胎児血清(FBS)等の増殖因子が含まれている場合にも正確な細胞培養液のpH値の計測が可能である。さらに、FBSの濃度が時々刻々と変化してもそれに応じたpH値を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】溶液のpH計測装置の基本的なブロックを示す図である。
【図2】フェノールレッド単独での吸光度と波長との関係を示す図である。
【図3】ウシ胎児血清(FBS)単独での吸光度と波長との関係を示す図である。
【図4】図3のウシ胎児血清(FBS)単独での吸光度と波長との関係を、図2のフェノールレッドと重ねて示す図である。
【図5】ウシ胎児血清(FBS)が10%存在する場合(10%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係を示す図である。
【図6】ウシ胎児血清(FBS)が20%存在する場合(20%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係を示す図である。
【図7】ウシ胎児血清(FBS)の濃度が違いによる吸光度の対数ΦとpHとの関係を示す図である。
【図8】図7の吸光度の対数ΦとpHとの関係の一部であるpH7〜pH7.8範囲を拡大して示す図である。
【図9】重回帰分析による[式1]で示す回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係を示す図である。
【図10】重回帰分析による[式1]で示す回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係の一部であるpHが7〜7.6の範囲を拡大して示す図である。
【図11】フェノールレッドの吸光係数αPR-JとpHとの関係を示す図である。
【図12】[式2]の行列式での計算結果(FBS濃度と計算したFBS濃度との関係)を示す図である。
【図13】[式2]の行列式での計算結果(フェノールレッド濃度と計算したフェノールレッド濃度との関係)を示す図である。
【図14】[式2]の行列式での計算結果(pHと計算したpHとの関係)を示す図である。
【図15】[式16]を用いて計算した結果を横軸pHで、縦軸吸光度比で示す図である。
【図16】[式16]を用いて計算した結果(pHと計算したpHとの関係)を示す図である。
【図17】吸光係数とpHとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
先ず、細胞培養液中にウシ胎児血清(FBS)が含まれている場合と、ウシ胎児血清(FBS)が含まれていないフェノールレッド単独での光の波長と吸光度との関係を図2〜6に示す。
【0027】
図2は、ウシ胎児血清(FBS)が存在しない通常の培地(DMEM)における波長300〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係を示す図であって、横軸は波長で300nm〜800nmの範囲で、縦軸は吸光度(ABS)であって、0〜2の範囲を示している。
図2では、波長430nm及び560nmにピークが存在し、波長700nmでは吸光度がほぼゼロであり、波長367nm及び479nmでは、全てのpH値でそれぞれ吸光度は収束して同じ値を示している。
【0028】
また、図3は、ウシ胎児血清(FBS)の吸光度と波長との関係を示す図である。
この図3は、100%FBSの場合の吸光度を表す図であって、横軸は波長で300nm〜800nmの範囲で、縦軸は吸光度(ABS)であって、0〜2の範囲を示している。
図3では、波長411nm付近にピークが存在し、それ以外の波長では漸減している。
【0029】
図4は、上記図3のウシ胎児血清(FBS)の吸光度と波長との関係を、図2と重ねて示す図である。
【0030】
次に、ウシ胎児血清(FBS)がフェノールレッドの吸光度に与える影響について考察する。
【0031】
ウシ胎児血清(FBS)が存在しない場合(0%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係は
図2に示すとおりである。
【0032】
また、ウシ胎児血清(FBS)が10%存在する場合(10%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係は図5に示すとおりであり、図2と比してFBSが混合することで、フェノールレッドの吸光スペクトルに変化が生じている。
【0033】
また、ウシ胎児血清(FBS)が20%存在する場合(20%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係は図6に示すとおりであり、図2と比してFBSが更に混合することで、フェノールレッドの吸光スペクトルに更に変化が生じている。
【0034】
図2,5,6に示す様に、ウシ胎児血清がある程度存在する場合には、図2では成立していた430nm付近の吸収と560nm付近の吸収の比をとると、プロットは1本の曲線上にのり、このフェノールレッドの2つのピークの比から培養液のpHを算出することが可能であるという前提が成立しなくなって、正確な細胞培養液のpH値の測定ができないことが理解できる。
【0035】
吸光度の対数ΦとpHとの関係を図7に示す。
図7では、吸光度の対数Φとして、
Φ=log((A560−700)/(A430−A700))波長430nm及び560nmの吸光度を波長700nmで補正した値を縦軸に、pH6.20〜pH8.25を横軸にとって、ウシ胎児血清(FBS)が0%、10%、20%の培地の例を示したものである。
【0036】
次に、吸光度の対数ΦとpHとの関係を示す図8の一部であるpH7〜pH7.8範囲について図8に示す。
図8では、ウシ胎児血清(FBS)の0%、10%、20%の場合に、以下の式で近似できる。
y1=0.9018x−6.7154 R2=0.9975 (FBS 0%)
y2=0.86x−64489 R2=0.9972 (FBS 10%)
y3=0.8165x−64489 R2=0.9965 (FBS 20%)
【0037】
次に、ウシ胎児血清(FBS)の影響の補正について述べる。
本願では、ウシ胎児血清(FBS)の影響の補正方法として、以下を検討している。
【0038】
第1の補正方法として、重回帰分析について以下に述べる。
重回帰分析の基本式は、例えば、以下の[式5]にて表される。なお、この[式5]は、上記の[式1]と同じ式であり、Bは定数、Φは吸光度比、Aは吸光度をそれぞれ示す。
[式5]
【数5】
ここで、B:定数、Φ:吸光度比、A:吸光度
【0039】
上記回帰式は、FBSが0%〜20%存在する範囲で収束して同じ値を示す477nm付近の吸光度と、FBS単独で吸光度のピークを示す411nm,フェノールレッドの第1のピークである430nm及び第2のピーク558nmの吸光度を用いて計算をしている。
【0040】
重回帰分析による上記[式5]で示す回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係を図9に示す。
図9に示すように、回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係は、ウシ胎児血清(FBS)の濃度の変化による影響はpHが6.5以下では大きくなるが、pHが7以上では少なくなることが理解できる。
pHが7〜7.6の範囲の例を図10に示す。
【0041】
以上の結果から、重回帰分析により良好に計測が可能である。
特に、図10に示すように、pHが7〜7.6の範囲では直線に近似でき、より良好な計測が可能である。
【0042】
上記説明は、通常の培地(DMEM)における例を示しているが、培地としては、通常の培地(DMEM)以外に、筋芽細胞の培養に特化した培地としてSkBMが存在する。
SkBMは、フェノールレッドの濃度がDMEMの1/10程度であるため、ウシ胎児血清の吸光度の影響を大きく受けるため、上記重回帰分析で使用した回帰式が当てはまらないため、培地がSkBMの場合は正確なpHの計測はできないという課題が残る。
【0043】
第2の補正方法として、行列計算(連立方程式)について以下に述べる。
フェノールレッドにウシ胎児血清(FBS)が存在する場合のLEDから発光される光の波長をλ1〜λ4としたときのそれぞれの吸光度Aλ1〜Aλ4は、以下に[式6]で表されるように、FBSの吸光度とフェノールレッドの吸光度の和で示される。
[式6]
【数6】
【0044】
フェノールレッドの吸光係数αPR-λiとpHとの関係は、pHが7〜8.0の範囲であれば図11に示すように一次式で近似可能である。すなわち、本補正方法において、pHを未知数とする関数として以下に[式7]で表す行列式を構成させる。
[式7]
【数7】
【0045】
したがって、吸光度Aλiは、以下の[式8]のように表すことができる。
[式8]
【数8】
【0046】
ここで、λ1〜λ4の各波長における吸光度は、以下の[式9]で表すことができる。
[式9]
【数9】
【0047】
上記[式5]の行列計算は、各波長(例えば、λ1を411nm、λ2を430nm、λ3を558nm、λ4を700nmとした場合)の吸光度を以下の[式10]に代入して、FBSの濃度、フェノールレッド濃度、pHが算出できる。
[式10]
【数10】
【0048】
図12、図13及び図14は、上記[式2]の行列式での計算結果をに示す。
図12乃至図14に示す計算結果から明らかなように、フェノールレッド濃度及びFBS濃度によらずにpHの算出が可能である。
しかし、図14に示す計算結果から判るように培地のpHが7〜8の範囲内であれば、早期に演算ができ、連続的にモニタリングができる為、特に有効ではあるものの、培地の所定のpHの範囲外では誤差が大きいという課題が残る。
なお、本補正において、一次関数での近似を例としてあげたが、これに限られるものではない。二次関数で近似する場合には、さらに異なる波長を追加し、5行5列の行列式を用いて計算してもよい。
【0049】
第3の補正方法として、ウシ胎児血清(FBS)の影響の除去について以下に述べる。
第2の補正方法で述べたように、フェノールレッドにウシ胎児血清(FBS)が存在する場合のLEDから発光される光の波長をλ1〜λ4としたときのそれぞれの吸光度Aλ1〜Aλ4は、以下の[式11]のように、FBSの吸光度とフェノールレッドの吸光度の和で示される。
[式11]
【数11】
【0050】
ここで、第2の補正方法とは異なり、吸光係数αPR-λ1を未知数とする関数として以下の[式12]で表される行列式を構成させることもできる。なお、この[式12]は、上記の[式7]と同じ式である。
[式12]
【数12】
【0051】
したがって、吸光係数αPR-λ1は、以下の[式13]で表すことができる。
[式13]
【数13】
【0052】
ここで、λ1〜λ4の各波長における吸光度は、以下の[式14]で表すことができる。
[式14]
【数14】
【0053】
上記[式2]の行列式による計算は、各波長の吸光度を以下の[式15]に代入すると、αPR-λ1が求まるため、FBSの濃度、フェノールレッド濃度、pHが算出できる。
なお、吸光係数とpHとは図17に示す関係にあり、吸光係数αPR-λ1が求まることで、pHは一意に算出できる。
なお、本補正において、一次関数での近似を例としてあげたが、これに限られるものではない。二次関数で近似する場合には、さらに異なる波長を追加し、5行5列の行列式を用いて計算してもよい。
[式15]
【数15】
【0054】
ここで、図2に示す如く、フェノールレッドの吸光度は、波長430nm及び560nmにピークが存在し、波長700nmでは吸光度がほぼゼロであり、波長367nm及び479nmでは、pH値が変化しても、それぞれ吸光度は収束して同じである収束点といえるような波長である。
この特性を利用して、補正方法3を適用した場合、数15の行列計算において、各波長(例えば、λ1を411nm、λ2を478nm、λ3を367nm、λ4を700nmとした場合)の吸光度を以下の[式16]に代入すると、行列の要素は0に置き換え可能となるため、行列が簡素化され、精度良くFBSの濃度、フェノールレッド濃度、pHが算出できる。
[式16]
【数16】
【0055】
[式16]で算出した結果を横軸pHで、縦軸吸光度比で示すと図15の如くなり、ほぼ直線に近似されていることが判る。
【0056】
[式16]の行列式での計算結果(pHと計算したpHとの関係)を図16に示す。
図15,16で明らかなように、フェノールレッド濃度及びFBS濃度によらずにpHの算出が可能であり、[式8]の行列式での計算結果であるpHとpHとは良く一致している。
培地のpHの範囲に依存せず、安定した関係(一次関数)を保つ点で特に有効といえる。
【0057】
なお、本発明に係る実施例として挙げたフェノールレッドやウシ胎児血清(FBS)はそれぞれpH指示薬と細胞増殖因子の一例であり、これらに限られるものでない。培地にフェノールレッドやウシ胎児血清(FBS)以外のpH指示薬と細胞増殖因子が採用された場合、それらの吸光スペクトルに応じて発光素子に採用される波長の値は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:発光素子
3:駆動回路
4:電池
5:測定溶液
6:受光素子
7:増幅器(マルチプレクサ,フィルタ)
8:マルチプレクサ
9:フィルター
10:処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞培養液のpH計測方法に関し、培地に含まれる未知の濃度のウシ胎児血清(FBS)などの細胞増殖因子といった所定の成分の影響を補正した高精度なpH計測方法及びpH計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞が生育、増殖を行うためには、その細胞培養液のpHが増殖適合範囲にある必要がある。しかしながら、その細胞培養液の調製または保存中に細胞培養液中に含まれる二酸化炭素が放出され、pHが増大することによって増殖適合範囲から外れることが多い。
このため、通常細胞培養液に含まれるフェノールレッドの色変化を目視にて判断したり、或いはpH電極を細胞培養液中に浸漬して測定するなどの方法により、pHの計測を行っているが、次のような問題点があった。
細胞培養液に含まれたフェノールレッドの色変化を目視にて判断する場合、誤認が起こる。これは、目視では誤りが多発しやすく、また細胞培養液中に含まれる牛胎児などの血清が黄色を呈しているためこの呈色にまどわされることもあるからである。
一方、pH電極を細胞培養液に浸漬する場合、pH電極が十分滅菌されていない場合には、雑菌等のコンタミネーションが起こる。
【0003】
上記、目視に伴う誤認や、pH電極を使用する場合のコンタミネーションのような問題の起こらない細胞培養液のpH計測方法として以下のものが知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平06−34754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、培地溶液のpHを計測可能なpH計測装置の基本的なブロック図である。
本例のpH計測装置において、発光素子1は、電池4より供給される電力によって、発光するように駆動回路3により駆動される。
発光素子1は、図1では1個の素子として示されているが、実際には異なる波長の光を発光する複数の素子で構成される。より具体的には、発光素子1は、例えば、ウシ胎児血清(FBS)に対応した吸光度のピークである411nm帯を発光する素子、フェノールレッド(pH指示薬)の吸光度のピークを示す430nm帯や560nm帯を発光する素子、pHの変化に依らず吸光度が変化せずに収束した値を示す367nm帯や479nm帯を発光する素子、および、例えばウシ胎児血清やフェノールレッドが吸光度を示さない700nm帯を発光する素子など、少なくとも4つ以上の素子で構成をされる。これらの素子には、例えばLEDが好ましく用いられる。
【0006】
これらの発光素子1から発光した光はpHの測定溶液5を透過して受光素子6で受光されて電気信号に変換される。受光素子6は、図1では1個の素子として示されているが、発光素子1を構成する各素子に対応した複数の素子で構成される。これらの各素子には、フォトダイオードが好ましく用いられる。すなわち、発光素子1が4個のLEDで構成されている場合は、受光素子6は、4個のフォトダイオードで構成されてもよい。また、受光素子6は、測定溶液5を透過した光を受光する形態に替えて、測定溶液5の反射光を受光するように設けられてもよい。
受光素子6で変換された信号は、増幅器6で増幅され、マルチプレクサ8によりそれぞれの光波長に対応したフィルター9に振り分けられる。
各フィルター9に振り分けられた信号はフィルター9によりフィルタリングされてノイズ成分が低減され、図示しないA/D変換器によりデジタル化されて処理部10に入力される。この処理部10は、例えばCPUなどの演算処理素子および記憶素子などで構成される。
【0007】
特許文献1には従来の細胞培養液のpH計測方法として以下の記載がなされている。
細胞培養培地、血清および可視光の波長領域で2種以上の吸収ピークを有する指示薬からなる細胞培養液の可視光の吸収からpHを測定する細胞培養液のpH測定方法であって、pHが既知である細胞培養液に可視光を透過して得られた吸収ピークの2つの波長における吸光度の対数とpHとの直線関係に基づいて、pHが未知である細胞培養液試料で測定された各吸収ピークの吸光度の比の対数の値によりpHの値を求めることを特徴とする。
【0008】
上記細胞培養液中には通常細胞に害を与えないような希薄な濃度にてフェノールレッドがpH変化の検出のため含まれているが、このような希薄な濃度においてはフェノールレッドは可視光の範囲において430〜440nm付近と560nm付近に吸収ピークをもち、また480nmに等吸収点をもっている。細胞の生育可能なpH領域であるpH6.8〜7.6の範囲では、pHが下がるにつれて430〜444nm付近の吸収ピークは増大し、560nm付近の吸収ピークは減少していく。フェノールレッドのみの吸収が得られれば、この430〜440nm付近の吸収と560nm付近の吸収の比をとると、プロットは1本の曲線上にのり、この2つのピークの比から培養液のpHを算出することが可能である。
【0009】
また、従来のpHの光学的測定では、試料を測定する前に、試料を空にした状態でゼロレベル測定を行い、空の吸光レベルを、試料の読み取り値から減算すると、試料の正味吸光度が得られる。第3の波長として指示薬による吸光性を殆ど示さない波長(700nm)付近を選定して、ゼロレベルの変化を追跡する手段として利用されている。この波長チャネルの吸光レベルに変化があれば、ゼロレベルに変化があったことを示すので、測定に使用される他の2つの波長を、この第3の波長で測定された変化に基づいてゼロ補正を行っていた。
【0010】
特許文献1に記載の従来の細胞培養液のpH計測方法は、細胞培養液にフェノールレッドのみが含まれている場合であるが、細胞培養液には、フェノールレッドのみでなく、細胞を増殖させるための増殖因子として、例えばウシ胎児血清(FBS)が含ませる場合がある。
ウシ胎児血清(FBS)の光吸度特性は、フェノールレッドとは大きく異なっているので、特許文献1に記載のpH計測方法で得られた計測値をそのまま使用することはできない。特に特許文献1に記載のpH計測方法は、測定前に予め培地に含まれる血清の濃度が分からないと吸光度の対数とpHとの直線関係が決定できない為、濃度が分からない血清などが含まれた培地において、正確なpH計測ができなかった。
【0011】
本発明の課題(目的)は、細胞培養液中に含まれるウシ胎児血清(FBS)等の増殖因子などの濃度に依存せずに、正確な細胞培養液のpH値の計測が可能なpH計測方法及び細胞培養液のpH計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
300nm〜800nmの波長領域で第一の吸収ピークを有する第一の物質と、
300nm〜800nmの波長領域で第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点と第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点とを有する第二の物質と
を含む培地溶液に、
第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、
第二の吸収ピーク又は第二の収束点に対応した波長λ2の光と、
第三の吸収ピーク又は第三の収束点に対応した波長λ3の光と、
前記第一の物質と前記第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを含む複数の光を培地溶液に照射する照射ステップと、
前記照射された複数の光の透過光及び/又は反射光を受光する受光ステップと、
受光ステップで得られた各波長λ1〜λ4における吸光度を計測する計測ステップと、
計測された吸光度に基づき、第一の物質の影響を補正した培地溶液のpHを演算する演算ステップと、
を含むpH計測方法を提供する。
【0013】
また、上記pH計測方法において、
前記演算ステップは、
計測された吸光度から算出された吸光度比の対数を用いた重回帰分析を用いて補正するステップを含むことが好ましい。
【0014】
また、上記pH計測方法において、
前記重回帰分析は、以下の[式1]にて表される回帰式で行われることが好ましい。なお、[式1]において、Bは定数、Φは吸光度比、Aは吸光度をそれぞれ示す。
[式1]
【数1】
【0015】
また、上記pH計測方法において、
また、前記演算ステップは、
前記第一の物質の吸光度と前記第二の物質の吸光度の和とした行列式で演算するステップを含むことが好ましい。
また、この場合、前記行列式はpHと吸光係数のいずれかを変数とした関数を元に構成されることが好ましい。
【0016】
また、上記pH計測方法において、
前記行列式がpHを変数とした関数から構成された場合、以下の[式2]にて表される行列式によりpHを計測することが好ましい。
[式2]
【数2】
【0017】
また、上記pH計測方法において、
前記行列式が吸光係数を変数とした関数から構成された場合、以下の[式3]にて表される行列式により得られた吸光係数に基づいてpHを計測することが好ましい。
[式3]
【数3】
【0018】
また、上記pH計測方法において、
前記第二の収束点λ2と第三の収束点λ3に対応した波長の光とは、それぞれ480nm帯と370nm帯の光とし、
前記吸光度が収束する波長の光λ4とは、第一の物質と第二の物質との両方がpHによらずに吸光度が収束する波長の光とした場合、以下の[式4]にて表される行列式によりpHを計測することが好ましい。
[式4]
【数4】
【0019】
また、上記pH計測方法において、
前記演算ステップでは、
前記行列式に基づき、さらに第一の物質と第二の物質の少なくともいずれかの濃度を演算することが好ましい。
【0020】
また、上記pH計測方法において、
前記第一の物質は、ウシ胎児血清(FBS)又は仔ウシ血清であり、前記第二の物質はフェノールレッド(又は乳酸菌)であってもよい。
【0021】
また、上記pH計測方法において、
第一の吸収ピークは410nmおよびその近傍(410nm帯)であり、第二の吸収ピークは430nmおよびその近傍(430nm帯)であり、第三の吸収ピークは560nmおよびその近傍(560nm帯)であってもよい。
【0022】
また、本発明は、
上記のいずれかの特徴を有するpH計測方法によるpHの計測が可能なpH計測装置を提供する。
【0023】
また、本発明は、
発光波長の異なる4種の発光部と、前記4種の波長の吸光度を計測する受光部と、
前記4種の波長の吸光度の値からpHを演算する演算部とを備えるpH計測装置であって、前記発光部は、第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点に対応した波長λ2の光と、第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点に対応した波長λ3の光と、第一の物質と第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを発光するpH計測装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のpH計測方法によれば、細胞培養液中に濃度が不明のウシ胎児血清(FBS)等の増殖因子が含まれている場合にも正確な細胞培養液のpH値の計測が可能である。さらに、FBSの濃度が時々刻々と変化してもそれに応じたpH値を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】溶液のpH計測装置の基本的なブロックを示す図である。
【図2】フェノールレッド単独での吸光度と波長との関係を示す図である。
【図3】ウシ胎児血清(FBS)単独での吸光度と波長との関係を示す図である。
【図4】図3のウシ胎児血清(FBS)単独での吸光度と波長との関係を、図2のフェノールレッドと重ねて示す図である。
【図5】ウシ胎児血清(FBS)が10%存在する場合(10%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係を示す図である。
【図6】ウシ胎児血清(FBS)が20%存在する場合(20%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係を示す図である。
【図7】ウシ胎児血清(FBS)の濃度が違いによる吸光度の対数ΦとpHとの関係を示す図である。
【図8】図7の吸光度の対数ΦとpHとの関係の一部であるpH7〜pH7.8範囲を拡大して示す図である。
【図9】重回帰分析による[式1]で示す回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係を示す図である。
【図10】重回帰分析による[式1]で示す回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係の一部であるpHが7〜7.6の範囲を拡大して示す図である。
【図11】フェノールレッドの吸光係数αPR-JとpHとの関係を示す図である。
【図12】[式2]の行列式での計算結果(FBS濃度と計算したFBS濃度との関係)を示す図である。
【図13】[式2]の行列式での計算結果(フェノールレッド濃度と計算したフェノールレッド濃度との関係)を示す図である。
【図14】[式2]の行列式での計算結果(pHと計算したpHとの関係)を示す図である。
【図15】[式16]を用いて計算した結果を横軸pHで、縦軸吸光度比で示す図である。
【図16】[式16]を用いて計算した結果(pHと計算したpHとの関係)を示す図である。
【図17】吸光係数とpHとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
先ず、細胞培養液中にウシ胎児血清(FBS)が含まれている場合と、ウシ胎児血清(FBS)が含まれていないフェノールレッド単独での光の波長と吸光度との関係を図2〜6に示す。
【0027】
図2は、ウシ胎児血清(FBS)が存在しない通常の培地(DMEM)における波長300〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係を示す図であって、横軸は波長で300nm〜800nmの範囲で、縦軸は吸光度(ABS)であって、0〜2の範囲を示している。
図2では、波長430nm及び560nmにピークが存在し、波長700nmでは吸光度がほぼゼロであり、波長367nm及び479nmでは、全てのpH値でそれぞれ吸光度は収束して同じ値を示している。
【0028】
また、図3は、ウシ胎児血清(FBS)の吸光度と波長との関係を示す図である。
この図3は、100%FBSの場合の吸光度を表す図であって、横軸は波長で300nm〜800nmの範囲で、縦軸は吸光度(ABS)であって、0〜2の範囲を示している。
図3では、波長411nm付近にピークが存在し、それ以外の波長では漸減している。
【0029】
図4は、上記図3のウシ胎児血清(FBS)の吸光度と波長との関係を、図2と重ねて示す図である。
【0030】
次に、ウシ胎児血清(FBS)がフェノールレッドの吸光度に与える影響について考察する。
【0031】
ウシ胎児血清(FBS)が存在しない場合(0%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係は
図2に示すとおりである。
【0032】
また、ウシ胎児血清(FBS)が10%存在する場合(10%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係は図5に示すとおりであり、図2と比してFBSが混合することで、フェノールレッドの吸光スペクトルに変化が生じている。
【0033】
また、ウシ胎児血清(FBS)が20%存在する場合(20%FBS)の培地における300nm〜800nmにおけるフェノールレッドの吸光度をpH6.20〜pH8.25毎の関係は図6に示すとおりであり、図2と比してFBSが更に混合することで、フェノールレッドの吸光スペクトルに更に変化が生じている。
【0034】
図2,5,6に示す様に、ウシ胎児血清がある程度存在する場合には、図2では成立していた430nm付近の吸収と560nm付近の吸収の比をとると、プロットは1本の曲線上にのり、このフェノールレッドの2つのピークの比から培養液のpHを算出することが可能であるという前提が成立しなくなって、正確な細胞培養液のpH値の測定ができないことが理解できる。
【0035】
吸光度の対数ΦとpHとの関係を図7に示す。
図7では、吸光度の対数Φとして、
Φ=log((A560−700)/(A430−A700))波長430nm及び560nmの吸光度を波長700nmで補正した値を縦軸に、pH6.20〜pH8.25を横軸にとって、ウシ胎児血清(FBS)が0%、10%、20%の培地の例を示したものである。
【0036】
次に、吸光度の対数ΦとpHとの関係を示す図8の一部であるpH7〜pH7.8範囲について図8に示す。
図8では、ウシ胎児血清(FBS)の0%、10%、20%の場合に、以下の式で近似できる。
y1=0.9018x−6.7154 R2=0.9975 (FBS 0%)
y2=0.86x−64489 R2=0.9972 (FBS 10%)
y3=0.8165x−64489 R2=0.9965 (FBS 20%)
【0037】
次に、ウシ胎児血清(FBS)の影響の補正について述べる。
本願では、ウシ胎児血清(FBS)の影響の補正方法として、以下を検討している。
【0038】
第1の補正方法として、重回帰分析について以下に述べる。
重回帰分析の基本式は、例えば、以下の[式5]にて表される。なお、この[式5]は、上記の[式1]と同じ式であり、Bは定数、Φは吸光度比、Aは吸光度をそれぞれ示す。
[式5]
【数5】
ここで、B:定数、Φ:吸光度比、A:吸光度
【0039】
上記回帰式は、FBSが0%〜20%存在する範囲で収束して同じ値を示す477nm付近の吸光度と、FBS単独で吸光度のピークを示す411nm,フェノールレッドの第1のピークである430nm及び第2のピーク558nmの吸光度を用いて計算をしている。
【0040】
重回帰分析による上記[式5]で示す回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係を図9に示す。
図9に示すように、回帰式によるpH計算値と実際のpH値との関係は、ウシ胎児血清(FBS)の濃度の変化による影響はpHが6.5以下では大きくなるが、pHが7以上では少なくなることが理解できる。
pHが7〜7.6の範囲の例を図10に示す。
【0041】
以上の結果から、重回帰分析により良好に計測が可能である。
特に、図10に示すように、pHが7〜7.6の範囲では直線に近似でき、より良好な計測が可能である。
【0042】
上記説明は、通常の培地(DMEM)における例を示しているが、培地としては、通常の培地(DMEM)以外に、筋芽細胞の培養に特化した培地としてSkBMが存在する。
SkBMは、フェノールレッドの濃度がDMEMの1/10程度であるため、ウシ胎児血清の吸光度の影響を大きく受けるため、上記重回帰分析で使用した回帰式が当てはまらないため、培地がSkBMの場合は正確なpHの計測はできないという課題が残る。
【0043】
第2の補正方法として、行列計算(連立方程式)について以下に述べる。
フェノールレッドにウシ胎児血清(FBS)が存在する場合のLEDから発光される光の波長をλ1〜λ4としたときのそれぞれの吸光度Aλ1〜Aλ4は、以下に[式6]で表されるように、FBSの吸光度とフェノールレッドの吸光度の和で示される。
[式6]
【数6】
【0044】
フェノールレッドの吸光係数αPR-λiとpHとの関係は、pHが7〜8.0の範囲であれば図11に示すように一次式で近似可能である。すなわち、本補正方法において、pHを未知数とする関数として以下に[式7]で表す行列式を構成させる。
[式7]
【数7】
【0045】
したがって、吸光度Aλiは、以下の[式8]のように表すことができる。
[式8]
【数8】
【0046】
ここで、λ1〜λ4の各波長における吸光度は、以下の[式9]で表すことができる。
[式9]
【数9】
【0047】
上記[式5]の行列計算は、各波長(例えば、λ1を411nm、λ2を430nm、λ3を558nm、λ4を700nmとした場合)の吸光度を以下の[式10]に代入して、FBSの濃度、フェノールレッド濃度、pHが算出できる。
[式10]
【数10】
【0048】
図12、図13及び図14は、上記[式2]の行列式での計算結果をに示す。
図12乃至図14に示す計算結果から明らかなように、フェノールレッド濃度及びFBS濃度によらずにpHの算出が可能である。
しかし、図14に示す計算結果から判るように培地のpHが7〜8の範囲内であれば、早期に演算ができ、連続的にモニタリングができる為、特に有効ではあるものの、培地の所定のpHの範囲外では誤差が大きいという課題が残る。
なお、本補正において、一次関数での近似を例としてあげたが、これに限られるものではない。二次関数で近似する場合には、さらに異なる波長を追加し、5行5列の行列式を用いて計算してもよい。
【0049】
第3の補正方法として、ウシ胎児血清(FBS)の影響の除去について以下に述べる。
第2の補正方法で述べたように、フェノールレッドにウシ胎児血清(FBS)が存在する場合のLEDから発光される光の波長をλ1〜λ4としたときのそれぞれの吸光度Aλ1〜Aλ4は、以下の[式11]のように、FBSの吸光度とフェノールレッドの吸光度の和で示される。
[式11]
【数11】
【0050】
ここで、第2の補正方法とは異なり、吸光係数αPR-λ1を未知数とする関数として以下の[式12]で表される行列式を構成させることもできる。なお、この[式12]は、上記の[式7]と同じ式である。
[式12]
【数12】
【0051】
したがって、吸光係数αPR-λ1は、以下の[式13]で表すことができる。
[式13]
【数13】
【0052】
ここで、λ1〜λ4の各波長における吸光度は、以下の[式14]で表すことができる。
[式14]
【数14】
【0053】
上記[式2]の行列式による計算は、各波長の吸光度を以下の[式15]に代入すると、αPR-λ1が求まるため、FBSの濃度、フェノールレッド濃度、pHが算出できる。
なお、吸光係数とpHとは図17に示す関係にあり、吸光係数αPR-λ1が求まることで、pHは一意に算出できる。
なお、本補正において、一次関数での近似を例としてあげたが、これに限られるものではない。二次関数で近似する場合には、さらに異なる波長を追加し、5行5列の行列式を用いて計算してもよい。
[式15]
【数15】
【0054】
ここで、図2に示す如く、フェノールレッドの吸光度は、波長430nm及び560nmにピークが存在し、波長700nmでは吸光度がほぼゼロであり、波長367nm及び479nmでは、pH値が変化しても、それぞれ吸光度は収束して同じである収束点といえるような波長である。
この特性を利用して、補正方法3を適用した場合、数15の行列計算において、各波長(例えば、λ1を411nm、λ2を478nm、λ3を367nm、λ4を700nmとした場合)の吸光度を以下の[式16]に代入すると、行列の要素は0に置き換え可能となるため、行列が簡素化され、精度良くFBSの濃度、フェノールレッド濃度、pHが算出できる。
[式16]
【数16】
【0055】
[式16]で算出した結果を横軸pHで、縦軸吸光度比で示すと図15の如くなり、ほぼ直線に近似されていることが判る。
【0056】
[式16]の行列式での計算結果(pHと計算したpHとの関係)を図16に示す。
図15,16で明らかなように、フェノールレッド濃度及びFBS濃度によらずにpHの算出が可能であり、[式8]の行列式での計算結果であるpHとpHとは良く一致している。
培地のpHの範囲に依存せず、安定した関係(一次関数)を保つ点で特に有効といえる。
【0057】
なお、本発明に係る実施例として挙げたフェノールレッドやウシ胎児血清(FBS)はそれぞれpH指示薬と細胞増殖因子の一例であり、これらに限られるものでない。培地にフェノールレッドやウシ胎児血清(FBS)以外のpH指示薬と細胞増殖因子が採用された場合、それらの吸光スペクトルに応じて発光素子に採用される波長の値は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:発光素子
3:駆動回路
4:電池
5:測定溶液
6:受光素子
7:増幅器(マルチプレクサ,フィルタ)
8:マルチプレクサ
9:フィルター
10:処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
300nm〜800nmの波長領域で第一の吸収ピークを有する第一の物質と、
300nm〜800nmの波長領域で第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点と第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点とを有する第二の物質と
を含む培地溶液に、
第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、
第二の吸収ピーク又は第二の収束点に対応した波長λ2の光と、
第三の吸収ピーク又は第三の収束点に対応した波長λ3の光と、
前記第一の物質と前記第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを含む複数の光を培地溶液に照射する照射ステップと、
前記照射された複数の光の透過光及び/又は反射光を受光する受光ステップと、
受光ステップで得られた各波長λ1〜λ4における吸光度を計測する計測ステップと
計測された吸光度に基づき、前記第一の物質の影響を補正した培地溶液のpHを演算する演算ステップと、
から構成されるpH計測方法。
【請求項2】
前記演算ステップには、
計測された吸光度から算出された吸光度比の対数を用いた重回帰分析を用いて補正するステップが含まれることを特徴とする請求項1に記載のpH計測方法。
【請求項3】
前記重回帰分析は、以下の[式1]にて表される回帰式で行われることを特徴とする請求項2に記載のpH計測方法。
[式1]
【数17】
【請求項4】
前記演算ステップは、
前記第一の物質の吸光度と前記第二の物質の吸光度の和とした行列式で演算するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のpH計測方法。
【請求項5】
前記行列式は、pHと吸光係数のいずれかを変数とした関数を元に構成されることを特徴とする請求項4に記載のpH計測方法。
【請求項6】
前記行列式がpHを変数とした関数から構成された場合、以下の[式2]にて表される行列式によりpHを計測することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のpH計測方法。
[式2]
【数18】
【請求項7】
前記行列式が吸光係数を変数とした関数から構成された場合、以下の[式3]にて表される行列式により得られた吸光係数に基づいてpHを計測することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のpH計測方法。
[式3]
【数19】
【請求項8】
前記第二の収束点λ2と第三の収束点λ3に対応した波長の光とは、それぞれ480nm帯と370nm帯の光とし、
前記吸光度が収束する波長の光λ4とは、前記第一の物質と前記第二の物質との両方がpHによらずに吸光度が収束する波長の光とした場合、以下の[式4]にて表される行列式によりpHを計測することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のpH計測方法。
[式4]
【数20】
【請求項9】
前記演算ステップでは、
前記行列式に基づき、さらに前記第一の物質と前記第二の物質の少なくともいずれかの濃度を演算することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載のpH計測方法。
【請求項10】
前記第一の物質はウシ胎児血清又は仔ウシ血清であり、前記第二の物質はフェノールレッドである請求項1乃至9のいずれかに記載のpH計測法。
【請求項11】
第一の吸収ピークは410nmおよびその近傍であり、第二の吸収ピークは430nmおよびその近傍であり、第三の吸収ピークは560nmおよびその近傍である請求項1乃至10のいずれかに記載のpH計測法。
【請求項12】
前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載したpH計測方法を備えたpH計測装置。
【請求項13】
発光波長の異なる4種の発光部と、
前記4種の波長の吸光度を計測する受光部と、
前記4種の波長の吸光度の値からpHを演算する演算部とを備えるpH計測装置であって、
前記発光部は、
第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、
第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点に対応した波長λ2の光と、
第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点に対応した波長λ3の光と、
第一の物質と第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを発光するpH計測装置。
【請求項1】
300nm〜800nmの波長領域で第一の吸収ピークを有する第一の物質と、
300nm〜800nmの波長領域で第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点と第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点とを有する第二の物質と
を含む培地溶液に、
第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、
第二の吸収ピーク又は第二の収束点に対応した波長λ2の光と、
第三の吸収ピーク又は第三の収束点に対応した波長λ3の光と、
前記第一の物質と前記第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを含む複数の光を培地溶液に照射する照射ステップと、
前記照射された複数の光の透過光及び/又は反射光を受光する受光ステップと、
受光ステップで得られた各波長λ1〜λ4における吸光度を計測する計測ステップと
計測された吸光度に基づき、前記第一の物質の影響を補正した培地溶液のpHを演算する演算ステップと、
から構成されるpH計測方法。
【請求項2】
前記演算ステップには、
計測された吸光度から算出された吸光度比の対数を用いた重回帰分析を用いて補正するステップが含まれることを特徴とする請求項1に記載のpH計測方法。
【請求項3】
前記重回帰分析は、以下の[式1]にて表される回帰式で行われることを特徴とする請求項2に記載のpH計測方法。
[式1]
【数17】
【請求項4】
前記演算ステップは、
前記第一の物質の吸光度と前記第二の物質の吸光度の和とした行列式で演算するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載のpH計測方法。
【請求項5】
前記行列式は、pHと吸光係数のいずれかを変数とした関数を元に構成されることを特徴とする請求項4に記載のpH計測方法。
【請求項6】
前記行列式がpHを変数とした関数から構成された場合、以下の[式2]にて表される行列式によりpHを計測することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のpH計測方法。
[式2]
【数18】
【請求項7】
前記行列式が吸光係数を変数とした関数から構成された場合、以下の[式3]にて表される行列式により得られた吸光係数に基づいてpHを計測することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のpH計測方法。
[式3]
【数19】
【請求項8】
前記第二の収束点λ2と第三の収束点λ3に対応した波長の光とは、それぞれ480nm帯と370nm帯の光とし、
前記吸光度が収束する波長の光λ4とは、前記第一の物質と前記第二の物質との両方がpHによらずに吸光度が収束する波長の光とした場合、以下の[式4]にて表される行列式によりpHを計測することを特徴とする請求項4又は5のいずれかに記載のpH計測方法。
[式4]
【数20】
【請求項9】
前記演算ステップでは、
前記行列式に基づき、さらに前記第一の物質と前記第二の物質の少なくともいずれかの濃度を演算することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか一項に記載のpH計測方法。
【請求項10】
前記第一の物質はウシ胎児血清又は仔ウシ血清であり、前記第二の物質はフェノールレッドである請求項1乃至9のいずれかに記載のpH計測法。
【請求項11】
第一の吸収ピークは410nmおよびその近傍であり、第二の吸収ピークは430nmおよびその近傍であり、第三の吸収ピークは560nmおよびその近傍である請求項1乃至10のいずれかに記載のpH計測法。
【請求項12】
前記請求項1乃至11のいずれか1項に記載したpH計測方法を備えたpH計測装置。
【請求項13】
発光波長の異なる4種の発光部と、
前記4種の波長の吸光度を計測する受光部と、
前記4種の波長の吸光度の値からpHを演算する演算部とを備えるpH計測装置であって、
前記発光部は、
第一の吸収ピークに対応した波長λ1の光と、
第二の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第二の収束点に対応した波長λ2の光と、
第三の吸収ピーク又はpHによらず吸光度が収束する第三の収束点に対応した波長λ3の光と、
第一の物質と第二の物質の少なくともいずれかの吸光度がpHによらずに収束する波長λ4の光とを発光するpH計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−215428(P2012−215428A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79705(P2011−79705)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【出願人】(591173198)学校法人東京女子医科大学 (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【出願人】(591173198)学校法人東京女子医科大学 (48)
【Fターム(参考)】
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