説明

培養脂肪細胞

【課題】糖尿病の病態解明と治療薬のスクリーニングのために必要な、肥大化した脂肪細胞とその作製方法、および肥大化した脂肪細胞の利用に関する。
【解決手段】コラーゲンとフィブロネクチンで被覆した、150〜350Paの硬さのゲルを細胞支持基盤として使用し、飽和脂肪酸を添加して、脂肪細胞を培養することによって、インスリン感受性が維持された肥大化した脂肪細胞を新たに作製することができた。本発明の肥大化した脂肪細胞を用いることにより、糖尿病の病態解明と糖尿病治療剤の新たなスクリーニング方法が可能になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥大化した新たな脂肪細胞とその作製方法、その肥大化脂肪細胞を使用した糖尿病治療薬のスクリーニング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病においては、糖尿病発症の主要な原因の一つが、過食・運動不足による脂肪細胞の肥大化であると見なされている(非特許文献4)。脂肪細胞は種々のアディポカインを血中に分泌して全身のインスリン感受性に影響を与える役割を果しており、肥満で肥大化した脂肪細胞はインスリン抵抗性のトリガー(引き金)になっている。即ち、アディポネクチンなどのインスリン感受性を亢進させるアディポカイン分泌が減少し、単球走化活性化因子(monocyte chemoattractant protein−1、MCP−1)などのインスリン抵抗性を増大させるアディポカイン分泌が増加していることが知られている。後者は脂肪組織に炎症細胞を遊走させ、脂肪組織を慢性炎症の状態にする。慢性炎症は、脂肪細胞からのインスリン抵抗性を増大させるアディポカイン分泌をさらに増加させる。また脂肪組織の慢性炎症は、細胞内に蓄積された中性脂肪の分解とその分解産物である遊離脂肪酸の血液中への放出を促進する。脂肪組織由来のインスリン抵抗性を増悪させるアディポカインおよび遊離脂肪酸は、肝臓や骨格筋などのインスリン標的臓器に働きかけ、これらの臓器におけるインスリン作用を阻害してインスリン抵抗性を発生させ、糖尿病発症に寄与することがよく知られている。
【0003】
糖尿病治療薬の開発のためには、インスリン抵抗性のトリガーとなる肥満型脂肪細胞の機能異常のメカニズム解明と、各種の肥満型脂肪細胞のモデル細胞を用いた薬剤のスクリーニング方法の開発が不可欠である。しかし、生体からの初代培養脂肪細胞では、培養中に速やかに形態変化を起こし、その性質が失われてしまうことが観察されている。従って、糖尿病研究を進めるためにも、適切な脂肪細胞の培養方法と肥満型のモデル脂肪細胞の確立が望まれていた。
【0004】
一方、細胞培養の分野では、ES細胞やiPS細胞の研究伸展に伴い、再生医療を始めとする組織工学の研究が大きく進んできた(非特許文献1)。そこでは、単なる細胞培養でなく、ヒトの組織を培養で形成させるには、細胞を支える枠組みである、細胞外マトリックス(ECM)と呼ばれる高分子群が重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。細胞は、しかるべき場所や組織に存在している細胞外マトリックスを認識し、それに接着することで、細胞が本来持つ機能を発現したり、成分の異なった細胞外マトリックスの空間配置が、細胞の組織形成や機能形成を促していることが知られている。また、細胞の置かれた物理的環境の違いによって、培養された細胞の組織形態や機能が異なってくることも知られている(特許文献1,2)。
特に、細胞が周囲の細胞外マトリックスを手繰り寄せる時に、周囲の細胞外マトリックスの力学的強度を認識して、細胞の移動の方向や形態を変化させることが知られている。例えば、骨髄由来間葉系幹細胞を培養すると、骨髄同様の弾性を持つゲル上では増殖・分化が一時停止して細胞が休眠すること等が報告されている(非特許文献2)。
【0005】
脂肪細胞のモデル細胞として、3T3−L1脂肪細胞が良く使われるが、この脂肪細胞をソフトゲル上で培養すると、インスリン応答性が増大し長期間保存されることが報告されている(非特許文献3)。このように、細胞外基質の種類と細胞支持基盤の硬度を臓器に近づけることにより、生体組織に近い培養細胞が得られることが分かってきた。また、小型脂肪細胞を肥大化した脂肪細胞に分化誘導するために、飽和天然油脂、不飽和天然油脂を使用することが報告されている(特許文献3)。この肥大脂肪細胞はPAI-1(プラスミノーゲン
アクチベイター インヒイビター1)(血栓)、TNF(腫瘍壊死因子)-α(インシュリン抵抗性)、レジスチン(インシュリン抵抗性)、FFA(遊離脂肪酸)(高脂血症)等を生成し、代謝障害を招来すると報告されている。
以上のように、目的に応じた培養脂肪細胞を得るためには、細胞支持基盤の硬さと分化誘導剤を適切に選択する必要があることが明らかとなってきた。しかし、現在においても、適切な肥満型のモデル細胞やそれを用いた糖尿病治療剤のスクリーニング方法についてはまだ充分なものはではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2009/005769
【特許文献2】WO2009/005770
【特許文献3】特開2005−328806
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】現代生物科学入門、「7再生医療生物学」第5章(岩波書店、2009年刊)
【非特許文献2】Tissue Eng PartA 15(1):147−154(2009)
【非特許文献3】J.Med.Invest.,56,142−149(2009)
【非特許文献4】J Med Invest. 56(3−4), 88−92, 2009
【非特許文献5】杉原甫、第124回日本医学会シンポジウム記録集・肥満の科学、71−81頁(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、飽和脂肪酸の存在下においても、内分泌機能異常を示さない新たな肥大化した脂肪細胞を提供することを目的とする。更にはこれらの脂肪細胞を用いて、インスリン抵抗性のメカニズムを解明すると共に、新たな糖尿病治療薬のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、既に、細胞外基質に接着する細胞は、細胞支持基盤(細胞外基質を介して細胞を保持する基盤)の硬さに応答することを見出している(特許文献1,2)。更に、3T3−L1脂肪細胞を、正常脂肪組織と同じ硬さ(250パスカル)を持つゲル(細胞支持基盤)上で培養することにより、インスリンシグナルを増強させ、初代培養脂肪細胞と同様の糖輸送担体発現パターンを示すこと、更にはインスリン依存性4型糖輸送担体の細胞膜移行が増加することを見出した(非特許文献3)。これらのことから、本発明者は、細胞支持基盤の硬さは、体外で培養された脂肪細胞が生体内と同様の細胞機能を発揮するために重要な因子の一つであることを見出している。
【0010】
今回、本発明者は、上述の250Paの硬さのゲルの上で、パルミチン酸のような飽和脂肪酸の存在下に、脂肪細胞を培養すると、脂肪細胞が肥大化するに係らず、内分泌機能異常を起こさないこと、即ちインスリン抵抗性が惹起されない(インスリン感受性が維持される)ことを見出した。これまでの知見では、肥大化した脂肪細胞では、アディポネクチンの分泌量が低下し、MCP−1等の炎症性のサイトカインの分泌量が増大することが知られている。しかし、本発明者が作製した肥大化した脂肪細胞は、従来の知見とは異なり、肥大化していても細胞の機能(内分泌機能)は正常脂肪細胞と同等であった。
また、本発明者は、図1に示すように脂肪細胞の肥大化で生じる細胞−細胞外基質間の歪が、細胞支持基盤の硬さに依存し、影響しあって、肥大化した脂肪細胞の機能を悪化させる(インスリン抵抗性を増悪させる)ことも見出した。即ち、肥満型の脂肪組織と同様の硬さ(750Pa)を持つゲル上で脂肪細胞を培養すると、飽和脂肪酸の有無に係わらずインスリン抵抗性が惹起された肥大化した脂肪細胞が作製できることを見出した。これらの知見から、本発明者は、図2に示されるように、ゲルの硬さと飽和脂肪酸(パルミチン酸の有無)が、肥大化した脂肪細胞の機能に大きく影響することを見出した。本発明者は、以上の知見に基き本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)肥大化した脂肪細胞であって、
a)上記脂肪細胞は、飽和脂肪酸に抵抗性を示し、
b)上記脂肪細胞は、肥大化する前の内分泌機能が維持されている
ことを特徴とする、肥大化した脂肪細胞。
(2)肥大化した脂肪細胞が、100μm〜150μmの細胞直径であることを特徴とする、上記(1)記載の肥大化した脂肪細胞。
(3)150〜350Paの硬さのゲル上で肥大化した脂肪細胞であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の肥大化した脂肪細胞。
(4)飽和脂肪酸の存在下で培養し肥大化した脂肪細胞であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
(5)飽和脂肪酸がパルミチン酸である、上記(4)に記載の肥大化した脂肪細胞。
(6)肥大化する前の内分泌機能が維持されていることが、肥大化する前の脂肪細胞のアディポネクチン、MCP−1またはIL−12αの分泌量が、肥大した後も維持されていることである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
(7)肥大化する前の内分泌機能が維持されていることが、アディポネクチンに関して肥大化する前の分泌量が維持されることである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
(8)アディポネクチンが高分子量アディポネクチンである、上記(7)に記載の肥大化した脂肪細胞。
(9)肥大する前の内分泌機能が維持されることが、肥大化する前の脂肪細胞のNFκBの発現量が維持されることである、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
(10)分泌量または発現量が維持されることが、肥大する前の脂肪細胞の分泌量または発現量を1として、±0.5の変動範囲にあることである、上記(1)〜(9)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
(11)150〜350Paの硬さのゲルが、コラーゲンとフィブロネクチンで被覆されていることを特徴とする、上記(3)に記載の肥大化した脂肪細胞。
(12)ゲルの硬さが250Paである、上記(11)に記載の肥大化した脂肪細胞。
(13)脂肪細胞が、3T3−L1脂肪細胞またはヒト脂肪細胞である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
【0012】
(14)肥大化する前の内分泌機能を維持した肥大化した脂肪細胞を作製する方法であって、
a)150〜350Paの硬さのゲルをコラーゲンとフィブロネクチンで被覆し、
b)被覆されたゲルに脂肪細胞を担持させ、
c)飽和脂肪酸存在下で培養する
ことにより、肥大化する前の内分泌機能を維持した肥大化した脂肪細胞の作製方法。
(15)肥大化した脂肪細胞が、100μm〜150μmの細胞直径であることを特徴とする、上記(14)記載の肥大化した脂肪細胞の作製方法。
(16)肥大化する前の内分泌機能を維持することが、肥大化する前のアディポネクチン、MCP−1またはIL−12αの分泌量が維持されていることである、上記(14)または(15)に記載の肥大化した脂肪細胞の作製方法。
(17)肥大化する前の内分泌機能を維持することが、肥大化する前のアディポネクチンの分泌量が維持されていることである、上記(14)〜(16)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞の作製方法。
(18)肥大化する前の内分泌機能を維持することが、肥大する前の脂肪細胞のアディポサイトカインの分泌量または発現量を1として、±0.5の変動範囲にあることである、上記(14)〜(17)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
(19)脂肪細胞が、3T3−L1脂肪細胞またはヒト脂肪細胞である、上記(14)〜
(18)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞の作製方法。
(20)飽和脂肪酸がパルミチン酸である、上記(14)〜(19)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞の作製方法。
(21)ゲルの硬さが250Paである、上記(14)〜(20)のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞の作製方法。
【0013】
(22)650〜850Paの硬さのゲルをコラーゲンとフィブロネクチンで被覆し、被覆されたゲルに脂肪細胞を担持させて培養し、インスリン抵抗性を惹起した脂肪細胞を用いて、薬剤共存下で培養することにより、脂肪細胞のアディポサイトカインの発現変動を評価することによる、糖尿病治療剤の評価方法。
(23)アディポサイトカインが、アディポネクチン、MCP−1またはIL-12αである、上記(22)記載の糖尿病治療剤の評価方法。
(24)薬剤と共に飽和脂肪酸が添加されている、上記(22)または(23)に記載の糖尿病治療剤の評価方法。
(25)飽和脂肪酸がパルミチン酸である、上記(22)〜(24)のいずれかに記載の糖尿病治療剤の評価方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の脂肪細胞は、肥大化しているものの、内分泌機能は肥大化する前の脂肪細胞と同じ程度に維持されていると言う特徴をもった脂肪細胞である。本発明の脂肪細胞は、飽和脂肪酸の存在下でもインスリン感受性亢進因子(アディポネクチン等)を持続的に分泌できることから、糖尿病の病態生理の解明のターゲット細胞として重要であり、本発明の脂肪細胞を用いて解明された病態生理のメカニズムから、新たな糖尿病治療薬のスクリーニングの試剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】飽和脂肪酸によるインスリン抵抗性の誘導メカニズムの概念図である。
【図2】本発明の脂肪細胞の培養において、使用するゲルの硬さの相違による、脂肪細胞のアディポサイトカイン等の分泌と発現が変化する様子を図示した概略図である。即ち、パルミチン酸の添加、無添加の影響を表わした、以下の図4〜図12の結果をまとめて図示した概略図である。
【図3】肥満モデルマウス(Zuckerマウス)における、痩せ型マウスの脂肪組織の硬さと肥満型マウスの脂肪組織の硬さを測定した結果を表わした図である。
【図4】パルミチン酸存在下で3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、脂肪細胞内に蓄積されるトリグリセリド(TG)量の変化を表わした図である。
【図5】パルミチン酸存在下で3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、肥大化した脂肪細胞のサイズの変化を表わした図である。
【図6】パルミチン酸存在下で3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、脂肪細胞内の炎症関連因子(IκBα、p65)の変化を表わした電気泳動の図(写真)である。
【図7】パルミチン酸存在下で3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、脂肪細胞内の遺伝子発現の変化を整理した表である。750/250とは、パルミチン酸の存在しない中でのゲルの硬さの相違(750Pa/250Pa)による遺伝子の変動比である。250Pa/250とは、同じ硬さのゲル(250Pa)を使用し、パルミチン酸の有無で生じる遺伝子の変動比である。750Pa/750の意味も上記と同様である。
【図8】パルミチン酸存在下で3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、脂肪細胞内の遺伝子発現の変化を整理した表である。750/250等の表記は、図7と同じ内容を意味する。
【図9】パルミチン酸存在下で3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、3T3−LI脂肪細胞からの全アディポネクチン分泌量の変化を表わした図である。併せて、パルミチン酸が添加されていない場合のアディポネクチン分泌量の変化も併記されている。全アディポネクチンの分泌量は、ゲルの硬さに影響されることが示されている。
【図10】パルミチン酸を添加せずに3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、3T3−LI脂肪細胞からの高分子量アディポネクチン分泌量の変化を表わした図である。
【図11】パルミチン酸の添加、無添加の両方の場合、3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、脂肪細胞からの高分子量アディポネクチン分泌量の変化を表わした図である。
【図12】パルミチン酸の添加、無添加の両方の場合、3T3−LI脂肪細胞を培養した際に、ゲルの硬さの相違によって生じる、脂肪細胞からのMCP−1分泌量の変化を表わした図である。MCP−1の分泌量は、アディポネクチンの場合と異なり、パルミチン酸の添加の影響を大きく受けることを表わしている。
【図13】図4〜図12の結果をまとめた図2を簡略化し、炎症性アディポカインの発現が増強される要因を表わした図である。まず、脂肪組織の線維化などの際に見られる細胞支持基盤の硬さの増加が影響し、炎症性アディポカインであるMCP−1の分泌やNFκBの発現が増大することを表わしている。更にパルミチン酸が添加されることで((+)PA)、細胞が肥大する際に生じる細胞−細胞外基質間の歪み(stress)とトール・ライク・リセプター(TLR)関与の影響が出て、MCP−1やNFκB等の炎症性アディポカインの発現が増強されることを表わしている。
【図14】図13の結果を、脂肪細胞内のシグナル情報の伝達メカニズムで整理して表わした概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
−本発明の第1態様―
本発明の第1の態様は肥大した脂肪細胞に関するものである。
本発明の「肥大した脂肪細胞」とは、中性脂肪の貯蔵を行なって肥大化した成熟脂肪細胞のことを言う。非特許文献5の記載によれば、肥大した脂肪細胞の細胞直径は、100μm以上であり、最大でも130〜140μmである。一方、通常の脂肪細胞(BMI20〜22の普通体重者)の細胞直径は、70〜90μmであった。このように、通常の脂肪細胞と肥大化した脂肪細胞では、細胞直径が顕著に異なっている。また、形態的にも、肥大化した脂肪細胞では、細胞が多面体の形状を取るが、通常の脂肪細胞では、脂肪細胞は球形で細胞相互間に隙間があり、例えばぶどう型の形状を示している。本発明においても、肥大化した脂肪細胞の細胞直径として、100〜150μmを挙げることができる。好ましくは100〜140μmを挙げることができ、更に好ましくは、100〜130μmを挙げることができる。
本発明の「脂肪細胞」とは、例えばマウス線維芽細胞由来の3T3−L1脂肪細胞、Zucker肥満マウス脂肪細胞、ヒト脂肪細胞のことを挙げることができる。
本発明の「飽和脂肪酸」とは、飽和高級脂肪酸のことを言い、例えば、パルミチン酸、ラウリン酸等の炭素数12以上の飽和脂肪酸を挙げることができる。好ましいものとしては、パルミチン酸を挙げることができる。
本発明の「飽和脂肪酸に抵抗性を示す」とは、脂肪細胞が存在する環境(培養条件等)の中に、飽和脂肪酸が存在しても、脂肪細胞の内分泌機能が余り変化しないことを言う。即ち、飽和脂肪酸が存在し、脂肪細胞が肥大化しても、肥大化する前の内分泌機能が維持されることを言う。
【0017】
本発明の「肥大化する前の内分泌機能が維持されている」とは、脂肪細胞においてアディポネクチン、レプチンなどのインスリン感受性を亢進させるアディポカインの分泌が、肥大化する前の脂肪細胞と同じ程度に維持されており、単球走化活性因子(MCP−1)、IL−12α、TNF−α、PAI−1、レジスチンなどのインスリン抵抗性を増大させるアディポカインの分泌が、肥大化する前の脂肪細胞のように低く抑制されていることを言う。
また、別の表現をすれば、「肥大化する前の内分泌機能が維持されている」とは、肥大する前の脂肪細胞のアディポサイトカインの分泌量または発現量を1として、±0.5の変動範囲にあることを表わすものである。即ち、本発明の「肥大化する前のアディポネクチン、MCP−1またはIL−12αの分泌量が、肥大した後も維持されている」とは、図7と図8の「250PA/250」の項目に示されるように、アディポネクチンの場合、パルミチン酸の存在下の方が、1.3倍分泌が高くなっている。MCP−1では0.6倍に分泌が抑制され、IL−12αでは1.1倍と分泌がほぼ変わらない状態であった。
それ故、「内分泌機能が維持されている」好ましい範囲とは、例えばアディポネクチンなどのインスリン感受性を亢進させるアディポカインの場合には、分泌量がほぼ同じか、あるいは3割ほど増加減少する範囲のものを言う。また、MCP−1やIL−12αなどのインスリン抵抗性を増大させるアディポカインの場合には、分泌量がほぼ同じか、低下しているものを言う。なお、図7と図8の「250PA/250」とは、ゲルの硬さが250Paのものを用いて、パルミチン酸が存在する場合、しない場合での分泌量の変動比較を行なった結果を表わしている。
なお、一般に、肥大した脂肪細胞からは、上記のインスリン抵抗性を増大させるアディポカインや遊離脂肪酸(FFA)が多量に産生されることが知られている。このうちTNF−α、レジスチン、FFAは、骨格筋や肝臓でインスリンの情報伝達を障害し,インスリン抵抗性を惹起することが知られている。
本発明の「ゲル」とは、細胞培養における細胞支持基盤である細胞外マトリックスのことを言い、2次元培養系または3次元培養系に使用される公知の培養基材を使用することができる。例えば特許文献1や2、非特許文献2に記載の方法で作製されたポリアクリル酸アミドゲル、市販のチオール化ヒアルロン酸ゲル(www.glycosan.comを参照)等の樹脂、例えばポリアミド・ナノファイバー、多孔質のポリビニルフォーマル(PVF)樹脂等を挙げることができる。なお、ゲルの硬さは、公知の方法で測定することができ、例えば特許文献1や2、非特許文献2に記載の測定方法でゲルの硬さを評価することができる。
【0018】
本発明の「脂肪細胞を担持させ(る)」とは、2次元培養系または3次元培養系の被覆されたゲル(細胞支持基盤)に脂肪細胞を播種するか、包埋させることを言う。
本発明の「150〜350Paの硬さのゲル」とは、BMIが20〜22の普通体重者の脂肪組織と同じ硬さを持つゲル(細胞外マトリックス)のことである。なお、脂肪組織の硬さは、通常の脂肪組織と肥満の脂肪組織の間には差があるが、同じ通常脂肪組織においては、ヒトと実験動物(ラット)の間には大差がない状況である。例えば実施例1に示されるように、通常の脂肪組織では、脂肪組織の硬さが約250Paであり、肥満型の肥大化した脂肪細胞では約750Paであった。
本発明の「コラーゲン」とは、例えばI〜VI型のコラーゲンを挙げることができる。好ましいものとしては、I型コラーゲン又は6型コラーゲンを挙げることができる。
本発明の「ゲルをコラーゲンとフィブロネクチンで被覆する」とは、特許文献1や2、非特許文献2に記載のように、例えばポリアクリルアミドゲルの表面にコラーゲンとフィブロネクチンを結合させることを言う。
【0019】
−本発明の第2態様―
本発明の第2の態様は本発明の肥大化した脂肪細胞(特にインスリン抵抗性を持つもの)を用いる、糖尿病治療剤の評価方法に関するものである。
本発明の「650〜850Paの硬さのゲル」とは、ヒト又はラットの肥満した脂肪細胞組織の硬さのことを言う。前述するように、肥満した脂肪組織の硬さは、特許文献1や2、非特許文献2に記載の測定方法で評価することができる。例えば実施例1で示すように、肥満した脂肪細胞の硬さは、約750Paである。
本発明の「アディポサイトカインの発現変動」とは、培養系中に添加されている薬効成分の影響を受けて、肥満型脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインの種類と分泌量が変化することを言う。アディポサイトカインの発現変動は、汎用のサイトカインの定量方法を用いて行なうことができる。
なお、本発明の第1態様と共通する用語は、同じ意味を表わす。
【実施例】
【0020】
次に実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)ツッカー肥満ラットの脂肪細胞組織の硬さの評価
a)方法
ツッカー(Zucker)非肥満ラットと肥満ラットからそれぞれ脂肪組織を採取し、特許文献1や2の方法で、採取した脂肪組織の硬さを評価した。
b)結果
図3に示されるように、非肥満ラットの脂肪細胞組織の硬さは平均約250Paであり、肥満ラットの脂肪組織の硬さは平均約750Paであることが明らかとなった。

【0022】
(実施例2)培養系の相違(ゲルの硬さの相違)による3T3−L1脂肪細胞でのトリグリセリド蓄積効果の変化
a)ポリアクリルアミドゲル(ソフトゲル)の作製
非特許文献2と3の方法に順じて作成される。例えば、250Paソフトゲル用としては、ガラス製カバースリップの表面で、3.0%アクリル酸アミドと0.2%ビスアクリル酸アミドの溶液に、0.1mg/mlラット尾部コラーゲン1型と0.02mg/mlヒト・フィブロネクチンを混合して、N−コハク酸イミドを用いてゲル表面を架橋する。このガラス製カバースリップをラット尾部コラーゲン1型とヒト・フィブリノーゲンの溶液で1時間浸漬し、表面を細胞外マトリックス・リガンドで被覆した。
b)細胞培養
Mol.Cell Biol.,24,7567−7577(2004)の方法に準じて行なわれる。例えば、3T3−L1線維芽細胞が10%CSが添加されたDMEM培地で2日間培養され、コンフルエントにする。培養細胞をソフトゲルに撒き、48時間培養する。培養培地は、DMEM培地に10%FBS、0.5mMIBMX、1μMデキサメタゾン、1.7μMインスリンを含んでいる。その後、培養細胞を10%FBSを含有するDMEM培地で7−9日間培養する。その間、培地は毎日交換した。
c)結果
400mMパルミチン酸を含有する培地と含有しない培地を用いて、24時間の培養を行い、結果を比較した。図4に示されるように、細胞支持基盤(ゲル)の弾性が250Paの場合に、脂肪細胞のトリグリセライド蓄積量が顕著に高いことを見出した。
なお、培養脂肪細胞の形態的にも、細胞のサイズが肥大している様子が伺える。図5に示されるようにパルミチン酸の添加を中止しても、脂肪細胞のサイズが増加して行くことが見出された。
以上の培養細胞の挙動は、糖尿病初期の白色脂肪細胞の挙動とほとんど同じものである。それ故、ゲルの硬さが250Paの細胞支持基盤で培養された3T3−L1脂肪細胞は、糖尿病初期の白色脂肪細胞のモデルとして使用できることが見出された。

【0023】
(実施例3)パルミチン酸の添加培養により惹起される、3T3−L1脂肪細胞での炎症性応答に対する細胞支持基盤の硬さの効果
a)方法
特許文献1と2、非特許文献2と3の方法に準じて、各種の硬さを持つポリアクリル酸アミドゲル上での培養系を作製し、効果を評価した。培地にパルミチン酸またはLPSの添加、無添加のものを作製して培養し、100Pa、250Pa、750Pa、5×10の硬さのゲル、ガラスを細胞外マトリックスとして用いて、それぞれの硬さがどのように影響するかを検討した。IκBα、p65の発現評価に関しては、文献の方法(J.Biol.Chem.,279,No.40,41294−41301(2004))に準じて行なった。
b)結果
図6で示されるように、3T3−L1脂肪細胞に対するパルミチン酸またはLPSの効果は、細胞支持基盤が硬いほど、影響が出る傾向が見られた。逆に、硬さが少なくなるほど、パルミチン酸またはLPSの影響が弱くなり、例えば250Paのゲルでは、パルミチン酸が添加されていても、炎症性応答が起こりにくくなっていた。即ち、NFκBのシグナル伝達にあまり影響を与えないことが分かった。

【0024】
(実施例4)パルミチン酸の添加培養により惹起される、3T3−L1脂肪細胞における発現遺伝子に対する細胞支持基盤の硬さの効果
a)方法
実施例3の培養系の内、250Paと750Paの培養系で得られた脂肪細胞を用いて、それぞれの細胞内の発現遺伝子をマイクロアレイ方法により検討評価した。
それぞれの細胞からの遺伝子の単離操作等は、実施例3の方法に準じて行った。また、マイクロアレイによる、発現遺伝子の変動確認は、公知の汎用手段で行なった。
b)結果
図7と図8で示されるように、3T3−L1脂肪細胞における、パルミチン酸の添加の有無による効果は、ゲル(細胞外マトリックス基盤)の硬さが250Paと750Paで変化すると、遺伝子発現が影響を受けることが示された。なお、「750/250」の項目は、パルミチン酸が存在しない場合におけるゲル硬さの影響を示している。750Paで培養された3T3−L1細胞と250Paで培養された3T3−L1細胞を比較すると、750Paの場合に、MCP−1とIL−12αの発現量が2.5倍増加していることが分かった。「250Pa/250」の項目は、250Paの硬さのゲルを使用し、パルミチン酸の存在の有無で、どのように遺伝子発現が変動するかを見たものである。また、「750Pa/750」の項目も、上記と同様に、750Paの硬さのゲルを使用し、パルミチン酸の存在の有無で、どのように遺伝子発現が変動するかを見たものである。
これらの遺伝子発現の変動をまとめると、図7に示されるように、ゲルの硬さが硬くなると、幾つかのアディポカインに関して炎症性の応答が認められるようになった。即ち、パルミチン酸の添加の有無に関わらず、750Paの方がMCP−1とIL−12αの分泌量が高いことが示された。
図8に示されるように、ゲルの硬さが硬くなると、パルミチン酸の添加により、コラーゲンレセプターの発現が減少したが、フィブロネクチン(FN)リセプターの発現は増大した。
【0025】
(実施例5)パルミチン酸の添加培養により惹起される、3T3−L1脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量に対する細胞支持基盤の硬さの効果
a)方法
実施例3の方法により、100Pa、250Pa、750Pa、5×10の硬さのゲルおよびガラスを細胞支持基盤とする培養系を作製し、3T3−L1培養脂肪細胞にもたらす、パルミチン酸の添加の有無とゲルの硬さの影響を評価した。
アディポネクチンの分泌量は市販のELIZAキット(大塚製薬製、積水工業製)により、培地に分泌された全アディポネクチン量と高分子量アディポネクチン量を測定した。
b)結果
図9に示されるように、培養脂肪細胞の全アディポネクチンの分泌量は、細胞外マトリックスの硬さを横軸に取ると、250Paと750Paの範囲でピークを示すベル型の曲線を示した。しかし、アディポネクチンの分泌量は、細胞支持基盤の硬さに依存し、パルミチン酸の添加の有無には余り依存しないことが示された。
更に、分泌されたアディポネクチンの中に存在する、高分子量アディポネクチンの量を測定したところ、図10に示されるように、250Paと750Paの範囲でピークを示すベル型の曲線を示した。しかし、250Paの硬さを持つ細胞外マトリックス基盤で培養された脂肪細胞が、最も多く高分子量アディポネクチンを分泌していることが示された。
また、パルミチン酸の添加の有無で、高分子量アディポネクチンの分泌量にどのような影響が出るかを検討した。その結果、図11に示されるように、パルミチン酸の添加の有無は、高分子量アディポネクチンの分泌にあまり影響を与えないことが分かった。
【0026】
(実施例6)パルミチン酸の添加培養により惹起される、3T3-L1脂肪細胞から分泌される単球走化活性因子(MCP-1)の分泌量に対する細胞支持基盤の効果
a)方法
実施例5の方法と同様にして、MCP-1の分泌量に対する、細胞支持基盤の硬さとパルミチン酸の添加の有無による影響を評価した。MCP-1の分泌量の評価方法は、公知の文献(大豆たん白質研究、Vol.1,116−120(2008))等に準じて行なった。
b)結果
インスリン抵抗性を惹起する因子であると考えられているMCP-1は、図12に示されるように、750Paの細胞支持基盤で培養された脂肪細胞から最も多く分泌されるが、250Paの細胞支持基盤では、あまり分泌されないことが分かった。また、細胞支持基盤の硬さが増大すると、MCP−1の分泌量が増大する傾向が見られた。
更に、パルミチン酸の添加の影響を見ると、パルミチン酸を添加した方が、MCP-1の分泌がより増大する傾向にあることが分かった。
【0027】
以上の図4〜図12の結果をまとめると、本発明の肥大した脂肪細胞においては、細胞支持基盤の硬さとパルミチン酸の添加の有無に影響され、図2で示されるようなアディポサイトカイン類の分泌変化が生じることが明らかとなった。
更に、図2の内容を簡略化し、炎症性アディポカインの発現が増強される要因分析を行なうと、図13のように表わすことができる。即ち、細胞支持基盤の硬さに影響されて、MCP-1などの炎症性サイトカインの遺伝子発現が増大し、線維形成し易くなる(fibrosis)。更にパルミチン酸が添加されることで((+)PA)、細胞が肥大する際に生じる細胞−細胞外基質間の歪み(stress)とトール・ライク・リセプター(TLR)関与の影響が出て来るため、MCP−1やNFκB等の炎症性アディポカインの発現が増強される。
これらの結果から、脂肪細胞内においては、図14に示されるようなシグナル情報伝達が行なわれていることが明らかになった。このように本発明の肥大した脂肪細胞から、インスリン抵抗性の発症メカニズムの一部が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の肥大した脂肪細胞は、飽和脂肪酸が存在する環境でも、通常の痩せ型の脂肪細胞と同様の内分泌機能を示し、インスリン抵抗性促進因子(MCP−1等)の分泌が増加していないことを見出した。更に本発明の肥大化した脂肪細胞を用いたインスリン抵抗性の発症メカニズム研究の中で、発症阻害剤としての糖尿病予防剤あるいは糖尿病進行抑制剤のスクリーニングが可能となった。
また、本発明に基き、3T3−LI脂肪細胞から作製された肥満型脂肪細胞をヒト肥満型脂肪細胞のモデル細胞として使用し、糖尿病の病態生理の解明と共に、新たな糖尿病治療薬のスクリーニングが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥大化した脂肪細胞であって、
a)上記脂肪細胞は、飽和脂肪酸に抵抗性を示し、
c)上記脂肪細胞は、肥大化する前の内分泌機能が維持されている
ことを特徴とする、肥大化した脂肪細胞。
【請求項2】
肥大化した脂肪細胞が、100μm〜150μmの細胞直径であることを特徴とする、請求項1記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項3】
150〜350Paの硬さのゲル上で肥大化した脂肪細胞であることを特徴とする、請求項1または2に記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項4】
飽和脂肪酸の存在下で培養し肥大化した脂肪細胞であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項5】
飽和脂肪酸がパルミチン酸である、請求項4に記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項6】
肥大化する前の内分泌機能が維持されていることが、肥大化する前の脂肪細胞のアディポネクチン、MCP−1またはIL−12αの分泌量が、肥大した後も維持されていることである、請求項1〜5のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項7】
肥大化する前の内分泌機能が維持されていることが、アディポネクチンに関して肥大化する前の分泌量が維持されることである、請求項1〜6のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項8】
アディポネクチンが高分子量アディポネクチンである、請求項7に記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項9】
肥大する前の内分泌機能が維持されることが、肥大化する前の脂肪細胞のNFκBの発現量が維持されることである、請求項1〜5のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項10】
分泌量または発現量が維持されることが、肥大する前の脂肪細胞の分泌量または発現量を1として、±0.5の変動範囲にあることである、請求項1〜9のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項11】
150〜350Paの硬さのゲルが、コラーゲンとフィブロネクチンで被覆されていることを特徴とする、請求項3に記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項12】
ゲルの硬さが250Paである、請求項11に記載の肥大化した脂肪細胞。
【請求項13】
脂肪細胞が、3T3−L1脂肪細胞またはヒト脂肪細胞である、請求項1〜12のいずれかに記載の肥大化した脂肪細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−10600(P2012−10600A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147429(P2010−147429)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 第53回日本糖尿病学会年次学術集会(平成22年5月27〜29日)日本糖尿病学会
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】