説明

基地局及び通信方法

【課題】複数のアンテナでの送信指向性を制御して通信端末と通信する基地局の送信性能を向上することが可能な技術を提供する。
【解決手段】通信部13は、通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末がSRSを送信しておらず、当該下り無線リソースに対応付けられていない、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む非対応上り無線リソースを用いて当該通信端末がSRSを送信している場合に、当該下り無線リソースの時間帯と、当該非対応上り無線リソースの時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末がDMRSを送信する際には、当該DMRSに基づいて複数のアンテナ110aの送信指向性を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを用いて通信する基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、LTE(Long Term Evolution)に関する技術が開示されている。LTEは、「E−UTRA」とも呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−099079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LTE等の通信システムの基地局においては、複数のアンテナでの指向性を適応的に制御するアダプティブアレイアンテナ方式が採用されることがある。
【0005】
一方で、基地局においては送信性能の向上が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、複数のアンテナでの送信指向性を制御して通信する基地局の送信性能を向上することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る基地局は、複数の基地局を備える通信システムにおける一の基地局であって、複数のアンテナを用いて通信を行い、下り通信を行う際には通信端末が送信する既知信号に基づいて当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、前記通信部が通信端末と下り通信を行う際に使用する下り無線リソースを当該通信端末に割り当てる無線リソース割り当て部とを備え、前記既知信号は、互いに異なった上り無線リソースを用いて通信端末から送信される第1及び第2既知信号を含み、前記通信システムでは、下り無線リソースと、通信端末において前記第1既知信号の送信に使用される上り無線リソースとに関して、前記第1既知信号に基づいたビームフォーミング及びヌルステアリングのための対応付けが定められており、前記通信部は、前記無線リソース割り当て部において通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースを用いて当該通信端末と下り通信を行う場合であって、当該下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信しておらず、当該下り無線リソースに対応付けられていない、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む非対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信している場合に、当該下り無線リソースの時間帯と、当該非対応上り無線リソースの時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信する際には、当該第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する。
【0008】
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記通信部は、前記無線リソース割り当て部において通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースを用いて当該通信端末と下り通信を行う場合であって、当該下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信する場合には、当該下り無線リソースの時間帯と、当該通信端末が前記対応上り無線リソースを用いて前記第1既知信号を送信する時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信するときであっても、当該第1既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する。
【0009】
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記通信部は、前記無線リソース割り当て部において通信端末に対して割り当てられる、当該通信端末が前記第1既知信号を送信しない周波数帯域を周波数方向に含む下り無線リソースを用いて当該通信端末と下り通信を行う場合に、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信する際には、当該第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する。
【0010】
また、本発明に係る基地局の一態様では、前記通信部は、前記第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する際には、ビームフォーミング及びヌルステアリングのうちビームフォーミングだけを行う。
【0011】
また、本発明に係る通信方法は、複数の基地局を備える通信システムにおける一の基地局での通信端末との通信方法であって、(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、下り通信を行う際には通信端末が送信する既知信号に基づいて当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、(b)前記工程(a)において通信端末と下り通信を行う際に使用する下り無線リソースを当該通信端末に割り当てる工程とを備え、前記既知信号は、互いに異なった上り無線リソースを用いて通信端末から送信される第1及び第2既知信号を含み、前記通信システムでは、下り無線リソースと、通信端末において前記第1既知信号の送信に使用される上り無線リソースとに関して、前記第1既知信号に基づいたビームフォーミング及びヌルステアリングのための対応付けが定められており、前記工程(a)では、前記工程(b)において通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースが用いられて当該通信端末と下り通信が行われる場合であって、当該下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信しておらず、当該下り無線リソースに対応付けられていない、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む非対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信している場合に、当該下り無線リソースの時間帯と、当該非対応上り無線リソースの時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信する際には、当該第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性が制御される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基地局の送信性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る基地局の構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るTDDフレームの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係るTDDフレームの構成の種類を示す図である。
【図5】実施の形態に係るTDDフレームの構成の詳細を示す図である。
【図6】SRS送信可能帯域が周波数ホッピングする様子を示す図である。
【図7】SRS0とSRS1を示す図である。
【図8】複数のSRS用上り無線リソースを示す図である。
【図9】SRSの送信周波数帯域が周波数ホッピングする様子を示す図である。
【図10】実施の形態に係る通信システムの動作を示す図である。
【図11】下り無線リソースとSRS用上り無線リソースとの対応付けを示す図である。
【図12】実施の形態に係る基地局においてビームフォーミング及びヌルステアリングが適切に行われることを説明するための図である。
【図13】実施の形態に係る基地局においてビームフォーミング及びヌルステアリングが適切に行われることを説明するための図である。
【図14】上りサブフレームにおいてDMRSが送信される様子を示す図である。
【図15】実施の形態に係る基地局での通信端末に対する使用SRS用上り無線リソース及び使用下り無線リソースの割り当て例を示す図である。
【図16】実施の形態に係る基地局での効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本実施の形態に係る通信システム100の構成を示す図である。通信システム100は、例えば、複信方式としてTDD(Time Division Duplexing)方式が採用されたLTEであって、複数の基地局1を備えている。各基地局1は、複数の通信端末2と通信を行う。LTEでは、下り通信ではOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が使用され、上り通信ではSC−FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)方式が使用される。したがって、基地局1から通信端末2への送信にはOFDMA方式が使用され、通信端末2から基地局1への送信にはSC−FDMA方式が使用される。基地局1と通信端末2との通信には、互いに直交する複数のサブキャリアが合成されたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号が使用される。
【0015】
図1に示されるように、各基地局1のサービスエリア10は、周辺基地局1のサービスエリア10と部分的に重なっている。図1では、4つの基地局1だけしか示されていないため、1つの基地局1に対して周辺基地局1が2つあるいは3つだけしか存在していないが、実際には、1つの基地局1に対して例えば6つの周辺基地局1が存在することがある。
【0016】
複数の基地局1は、図示しないネットワークに接続されており、当該ネットワークを通じて互いに通信可能となっている。また、ネットワークには図示しないサーバ装置が接続されており、各基地局1は、ネットワークを通じてサーバ装置と通信可能となっている。
【0017】
図2は各基地局1の構成を示す図である。基地局1は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される無線リソースを複数の通信端末2のそれぞれに個別に割り当てることによって、当該複数の通信端末2と同時に通信することが可能となっている。基地局1は、送受信アンテナとしてアレイアンテナを有し、アダプティブアレイアンテナ方式を用いてアレイアンテナの指向性を制御することが可能である。
【0018】
図2に示されるように、基地局1は、無線処理部11と、当該無線処理部11を制御する制御部12とを備えている。無線処理部11は、複数のアンテナ110aから成るアレイアンテナ110を有している。無線処理部11は、アレイアンテナ110で受信される複数の受信信号のそれぞれに対して増幅処理、ダウンコンバート及びA/D変換処理等を行って、ベースバンドの複数の受信信号を生成して出力する。
【0019】
また、無線処理部11は、制御部12で生成されるベースバンドの複数の送信信号のそれぞれに対して、D/A変換処理、アップコンバート及び増幅処理等を行って、搬送帯域の複数の送信信号を生成する。そして、無線処理部11は、生成した搬送帯域の複数の送信信号を、アレイアンテナ110を構成する複数のアンテナ110aにそれぞれ入力する。これにより、各アンテナ110aから送信信号が無線送信される。
【0020】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)及びメモリなどで構成されている。制御部12は、機能ブロックとして、送信信号生成部120、受信データ取得部121、無線リソース割り当て部122、送信ウェイト処理部123及び受信ウェイト処理部124を備えている。
【0021】
送信信号生成部120は、通信対象の通信端末2に送信する送信データを生成する。送信データには制御データ及びユーザデータが含まれる。そして、送信信号生成部120は、生成した送信データを含むベースバンドの送信信号を生成する。この送信信号は、アレイアンテナ110を構成する複数のアンテナ110aの数だけ生成される。
【0022】
送信ウェイト処理部123は、送信信号生成部120で生成された複数の送信信号に対して、アレイアンテナ110での送信指向性を制御するための複数の送信ウェイトをそれぞれ設定する。そして、送信ウェイト処理部123は、複数の送信ウェイトがそれぞれ設定された複数の送信信号に対して逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)等を行った後に、当該複数の送信信号を無線処理部11に出力する。
【0023】
受信ウェイト処理部124は、無線処理部11から入力される複数の受信信号に対して、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)を行った後に、アレイアンテナ110での受信指向性を制御するための複数の受信ウェイトをそれぞれ設定する。そして、受信ウェイト処理部124は、複数の受信ウェイトがそれぞれ設定された複数の受信信号を合成して新たな受信信号(以後、「合成受信信号」と呼ぶ)を生成する。
【0024】
受信データ取得部121は、受信ウェイト処理部124で生成された合成受信信号に対して、逆離散フーリエ変換や復調処理等を行って、当該合成受信信号に含まれる制御データ及びユーザデータを取得する。
【0025】
本実施の形態に係る基地局1では、無線処理部11、送信ウェイト処理部123及び受信ウェイト処理部124によって、アレイアンテナ110の指向性を適応的に制御しながら複数の通信端末2と通信を行う通信部13が構成されている。通信部13は、通信端末2と通信する際に、アレイアンテナ110の受信指向性及び送信指向性のそれぞれを制御する。具体的には、通信部13は、受信ウェイト処理部124において、受信信号に乗算する受信ウェイトを調整することより、アレイアンテナ110での受信指向性のビーム及びヌルを様々な方向に設定することができる。また、通信部13は、送信ウェイト処理部123において、送信信号に乗算する送信ウェイトを調整することより、アレイアンテナ110での送信指向性のビーム及びヌルを様々な方向に設定することができる。送信ウェイトは受信ウェイトから求めることができ、受信ウェイトは通信端末2からの既知信号に基づいて求めることができる。
【0026】
無線リソース割り当て部122は、データの下り通信を行う通信端末2を決定するとともに、当該通信端末2に対して、当該通信端末2とのデータの下り通信で使用する下り無線リソース(以後、「使用下り無線リソース」と呼ぶ)を割り当てる。送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に割り当てた使用下り無線リソースに基づいて、当該通信端末2に送信すべきデータを含む送信信号を生成するとともに、当該使用下り無線リソースに基づいたタイミングで当該送信信号を送信ウェイト処理部123に入力する。これにより、通信端末2に送信すべきデータを含む送信信号が、当該通信端末2に割り当てられた使用下り無線リソースを用いて通信部13から送信される。送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に割り当てた使用下り無線リソースを当該通信端末2に通知するための制御データを含む送信信号を生成して出力する。これにより、通信端末2は、自装置宛てのデータの送信で使用される使用下り無線リソースを知ることができ、基地局1からの自装置宛てのデータを適切に受信することができる。
【0027】
また無線リソース割り当て部122は、データの上り通信を行う通信端末2を決定するとともに、当該通信端末2に対して、当該通信端末2とのデータの上り通信で使用する上り無線リソース(以後、「使用上り無線リソース」と呼ぶ)を割り当てる。送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に割り当てた使用上り無線リソースを当該通信端末2に通知するための制御データを含む送信信号を生成して出力する。これにより、通信端末2は、基地局1へのデータの送信に使用する使用上り無線リソースを知ることができ、当該使用上り無線リソースを用いて基地局1にデータを無線送信する。
【0028】
さらに無線リソース割り当て部122は、通信端末2が、既知信号である後述のサウンディング基準信号(SRS)を送信する際に使用する上り無線リソース(以後、「使用SRS用上り無線リソース」と呼ぶ)を当該通信端末2に対して割り当てる。送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に対して割り当てた使用SRS用上り無線リソースを当該通信端末2に通知するための制御データを含む送信信号を生成して出力する。これにより、当該通信端末2は、基地局1へのSRSの送信に使用する使用SRS用上り無線リソースを知ることができ、当該使用SRS用上り無線リソースを用いて基地局1にSRSを無線送信する。
【0029】
<TDDフレームの構成>
次に基地局1と通信端末2との間で使用されるTDDフレーム300について説明する。TDDフレーム300は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される。TDDフレーム300の周波数帯域幅(システム帯域幅)は例えば10MHzであって、TDDフレーム300の時間長は10msである。基地局1は、TDDフレーム300から、各通信端末2に対して割り当てる使用上り無線リソース、使用下り無線リソース及び使用SRS用上り無線リソースを決定する。
【0030】
図3はTDDフレーム300の構成を示す図である。図3に示されるように、TDDフレーム300は、2つのハーフフレーム301で構成されている。各ハーフフレーム301は、5個のサブフレーム302で構成されている。つまり、TDDフレーム300は10個のサブフレーム302で構成されている。サブフレーム302の時間長は1msである。以後、TDDフレーム300を構成する10個のサブフレーム302を、先頭から順に第0〜第9サブフレーム302とそれぞれ呼ぶことがある。
【0031】
各サブフレーム302は、時間方向に2つのスロット303を含んで構成されている。各スロット303は、7個のシンボル期間304で構成されている。したがって、各サブフレーム302は、時間方向に14個のシンボル期間304を含んでいる。このシンボル期間304は、OFDMA方式の下り通信では、OFDMシンボルの1シンボル期間となり、SC−FDMA方式の上り通信では、DFTS(Discrete Fourier Transform Spread)−OFDMシンボルの1シンボル期間となる。
【0032】
以上のように構成されるTDDフレーム300には、上り通信専用のサブフレーム302と下り通信専用のサブフレーム302とが含められる。以後、上り通信専用のサブフレーム302を「上りサブフレーム302」と呼び、下り通信専用のサブフレーム302を「下りサブフレーム302」と呼ぶ。通信端末2は、上りサブフレーム302で基地局1にデータを送信し、基地局1は、下りサブフレーム302で通信端末2にデータを送信する。
【0033】
LTEでは、TDDフレーム300において、周波数方向に180kHzの周波数帯域幅を含み、時間方向に7シンボル期間304(1スロット303)を含む領域(無線リソース)が「リソースブロック(RB)」と呼ばれている。リソースブロックには、12個のサブキャリアが含まれる。無線リソース割り当て部122は、通信端末2に対して使用上り無線リソースを割り当てる場合、あるいは通信端末2に対して使用下り無線リソースを割り当てる場合には、時間方向においては連続する2つのリソースブロック単位、つまり1つのサブフレーム302単位で、周波数方向においては1つのリソースブロック単位で、当該通信端末2に対して使用上り無線リソースあるいは使用下り無線リソースを割り当てる。なお、上り通信ではSC−FDMA方式が使用されていることから、上りサブフレーム302において、ある通信端末2に対して周波数方向において複数のリソースブロックが割り当てられる際には、周波数方向に連続した複数のリソースブロックが当該通信端末2に割り当てられる。以後、説明の便宜上、「RB」と言えば、周波数方向と時間方向で特定される本来の意味のリソースブロックを示すのではなく、リソースブロックの周波数帯域だけを示すものとする。
【0034】
また、LTEでは、TDDフレーム300の構成については、上りサブフレーム302と下りサブフレーム302の組み合わせが異なる7種類の構成が規定されている。図4は当該7種類の構成を示す図である。
【0035】
図4に示されるように、LTEでは、0番〜6番までのTDDフレーム300の構成が規定されている。通信システム100では、この7種類の構成のうちの1つの構成が使用される。図4では、「D」で示されるサブフレーム302は、下りサブフレーム302を意味し、「U」で示されるサブフレーム302は、上りサブフレーム302を意味している。また、「S」で示されるサブフレーム302は、通信システム100において、下り通信から上り通信への切り替えが行われるサブフレーム302を意味している。このサブフレーム302を「スペシャルサブフレーム302」と呼ぶ。
【0036】
例えば、0番の構成を有するTDDフレーム300では、第0及び第5サブフレーム302が下りサブフレーム302となっており、第2〜第4サブフレーム302及び第7〜第9サブフレーム302が上りサブフレーム302となっており、第1及び第6サブフレーム302がスペシャルサブフレーム302となっている。また、4番の構成を有するTDDフレーム300では、第0サブフレーム302及び第4〜第9サブフレーム302が下りサブフレーム302となっており、第2及び第3サブフレーム302が上りサブフレーム302となっており、第1サブフレーム302がスペシャルサブフレーム302となっている。本実施の形態に係る通信システム100では、例えば、1番の構成を有するTDDフレーム300が使用されるものとする。
【0037】
図5は、1番の構成を有するTDDフレーム300の構成を詳細に示す図である。図5に示されるように、スペシャルサブフレーム302は、時間方向に、下りパイロットタイムスロット(DwPTS)351と、ガードタイム(GP)350と、上りパイロットタイムスロット(UpPTS)352とを含んでいる。ガードタイム350は、下り通信から上り通信に切り替えるために必要な無信号期間であって、通信には使用されない。
【0038】
LTEでは、下りパイロットタイムスロット351、ガードタイム350及び上りパイロットタイムスロット352の時間長の組み合わせについて、複数種類の組み合わせが規定されている。図5の例では、下りパイロットタイムスロット351の時間長は11シンボル期間304に設定されており、上りパイロットタイムスロット352の時間長は2シンボル期間304に設定されている。
【0039】
本実施の形態に係る通信システム100では、下りサブフレーム302だけではなく、スペシャルサブフレーム302の下りパイロットタイムスロット351においても下り通信を行うことが可能である。また、本通信システム100では、上りサブフレーム302だけではなく、スペシャルサブフレーム302の上りパイロットタイムスロット352においても上り通信を行うことが可能である。
【0040】
本実施の形態では、基地局1は、下りパイロットタイムスロット351の各シンボル期間304においてデータを通信端末2に送信する。また、各通信端末2は、上りパイロットタイムスロット352の2つのシンボル期間304のうちのどちらか一方、あるいは両方においてSRSと呼ばれる既知信号を送信する。SRSは、複数のサブキャリアを変調する複数の複素シンボルで構成されている。本実施の形態では、上りパイロットタイムスロット352において送信されるSRSを、送信ウェイトを算出するために使用する。つまり、基地局1の通信部13は、通信端末2が上りパイロットタイムスロット352で送信するSRSに基づいてアレイアンテナ110の送信指向性の制御を行うことが可能となっている。以後、アレイアンテナ110の送信指向性の制御を「アレイ送信制御」と呼ぶ。
【0041】
なお、SRSは、上りサブフレーム302の最後のシンボル期間304においても送信可能である。つまり、通信端末2は、上りサブフレーム302において、最後のシンボル期間304を除く各シンボル期間304ではデータを送信可能であり、最後のシンボル期間304ではSRSを送信可能である。アレイ送信制御には、上りサブフレーム302の最後のシンボル期間304で送信されるSRSを使用することも可能であるが、本実施の形態では、上りパイロットタイムスロット352で送信されるSRSを使用するものとする。以後、特に断らない限り、SRSと言えば、上りパイロットタイムスロット352を使用して送信されるSRSを意味するものとする。また、通信端末2がSRSを送信することが可能な上りパイロットタイムスロット352に含まれる前方のシンボル期間304及び後方のシンボル期間304を「第1SRS用上り通信期間370a」及び「第2SRS用上り通信期間370b」とそれぞれ呼ぶ。また、第1SRS用上り通信期間370aと第2SRS用上り通信期間370bを特に区別する必要が無い場合には、それぞれを「SRS用上り通信期間」と呼ぶ。
【0042】
ここで、スペシャルサブフレーム302の第1SRS用上り通信期間370aの先頭から、その次のスペシャルサブフレーム302の第1SRS用上り通信期間370aの先頭までの期間を「単位期間360」と呼ぶ。通信端末2に対する使用下り無線リソース等の無線リソースの割り当ては、この単位期間360が基準となる。本通信システム100では、単位期間360が繰り返し現れることになる。
【0043】
本実施の形態では、基地局1と通信する各通信端末2は、無線リソース割り当て部122による使用SRS用上り無線リソースの割り当てによって、例えば、1つの単位期間360ごとに少なくとも1回SRSを送信する。つまり、基地局1と通信する各通信端末2は、各単位期間360において、当該単位期間360に含まれる第1SRS用上り通信期間370a及び第2SRS用上り通信期間370bのうちのどちらか一方、あるいは両方においてSRSを送信する。単位期間360の長さは5msであることから、各通信端末2は、5msの間に2回、あるいは5msの倍数(1倍を含む)の期間内に1回、SRSを送信することになる。
【0044】
<SRS送信可能帯域の周波数ホッピング>
本通信システム100では、通信端末2がSRSの送信に使用可能な周波数帯域450(以後、「SRS送信可能帯域450」と呼ぶ)が、1つの単位期間360ごとに周波数ホッピングするようになっている。図6はSRS送信可能帯域450が周波数ホッピングする様子を示す図である。
【0045】
図6に示されるように、SRS送信可能帯域450は、1つの単位期間360ごとに、システム帯域400において高周波側及び低周波側に交互に寄せて配置されるようになっている。したがって、各単位期間360においては、システム帯域400における高周波側端部あるいは低周波側端部がSRSの送信に使用することができない帯域となっている。以後、この帯域を「SRS送信不可帯域460」と呼ぶ。各基地局1は、SRS送信不可帯域460に含まれる周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースを使用SRS用上り無線リソースとして通信端末2に割り当てることはできない。
【0046】
なお、SRS送信不可帯域460は各基地局1において同一である。したがって、各単位期間360において、ある基地局1が通信端末2に対してSRSの送信用として割り当てることができないSRS送信不可帯域460と、その基地局1の周辺に位置する周辺基地局1が通信端末2に対してSRSの送信用として割り当てることができないSRS送信不可帯域460とは一致している。
【0047】
本実施の形態のように、システム帯域幅が10MHzの場合には、システム帯域400には、50個のRBが含まれる。この場合、SRS送信可能帯域450の帯域幅は、40個のRB分の周波数帯域幅となり、SRS送信不可帯域の帯域幅は10個のRB分の周波数帯域幅となる。以後、周波数方向に並ぶ50個のRBに対して、周波数の低い方から順に0番から49番までの番号を付与し、以下では、この番号を用いて通信システム100の動作を説明することがある。また。x個のRB分の周波数帯域幅を「xRB」と呼ぶ。
【0048】
<SRSの構成>
本実施の形態に係る通信システム100では、“transmissionComb”と呼ばれるパラメータkTCで識別される2種類のSRSが規定されている。各通信端末2は、この2種類のSRSのうちのどちらか一方のSRSを、第1SRS用上り通信期間370a及び第2SRS用上り通信期間370bの少なくとも一方で送信する。
【0049】
パラメータkTCは“0”あるいは“1”の値をとることが可能である。パラメータkTC=0で特定されるSRS(以後、「SRS0」と呼ぶ)の送信に使用される複数のサブキャリアSC0は、周波数方向において、連続的に配置されているのではなく、櫛歯状に配置されている。言い換えれば、SRS0のキャリア周波数は周波数方向において櫛歯状に配置されている。同様にして、パラメータkTC=1で特定されるSRS(以後、「SRS1」と呼ぶ)の送信に使用される複数のサブキャリアSC1は、周波数方向において櫛歯状に配置されている。そして、SRS0とSRS1とが同じ周波数帯域で送信される場合には、当該SRS0の送信に使用される複数のサブキャリアSC0と、当該SRS1の送信に使用される複数のサブキャリアSC1は、周波数方向において交互に配置される。したがって、SRS0のキャリア周波数とSRS1のキャリア周波数とは周波数方向において互いに重なることはない。
【0050】
図7は、ある周波数帯域470において、SRS0とSRS1との両方が送信される様子を示している。図7に示されるように、SRS0の送信に使用される複数のサブキャリアSC0は、周波数方向において、1サブキャリア置きに配置されている。同様に、SRS1の送信に使用される複数のサブキャリアSC1は、周波数方向において、1サブキャリア置きに配置されている。そして、同じ周波数帯域470に含まれる、複数のサブキャリアSC0と複数のサブキャリアSC1とは、周波数方向において交互に配置されている。
【0051】
このように、1つの通信端末2がSRSの送信に使用する複数のサブキャリアは周波数方向において櫛歯状に配置されていることから、当該通信端末2がSRSの送信に使用する周波数帯域での複数のサブキャリアの半分がSRSの送信に使用される。そして、同じ周波数帯域に含まれる、複数のサブキャリアSC0と複数のサブキャリアSC1とは交互に配置されることから、SRS0を送信する通信端末2と、SRS1を送信する通信端末2とは、同じSRS用上り通信期間において同じ周波数帯域を使用することができる。基地局1側から見れば、基地局1は、同じSRS用上り通信期間において同じ周波数帯域で送信されるSRS0及びSRS1を区別することができる。
【0052】
LTEの規格上では、各通信端末2に、第1SRS用上り通信期間370aにおいてSRS1を送信させることは可能であるが、本実施の形態では、第1SRS用上り通信期間370aにおいて各通信端末2にSRS1を送信させないようになっている。
【0053】
以後、第1SRS用上り通信期間370aと、SRS送信可能帯域450に含まれる、SRS0の送信に使用することが可能な櫛歯状の複数のサブキャリアSC0とで特定される上り無線リソースを「第1SRS用上り無線リソース500a」と呼ぶ。また、第2SRS用上り通信期間370bと、SRS送信可能帯域450に含まれる、SRS0の送信に使用することが可能な櫛歯状の複数のサブキャリアSC0とで特定される上り無線リソースを「第2SRS用上り無線リソース500b」と呼ぶ。そして、第2SRS用上り通信期間370bと、SRS送信可能帯域450に含まれる、SRS1の送信にすることが可能な櫛歯状の複数のサブキャリアSC1とで特性される上り無線リソースを「第3SRS用上り無線リソース500c」と呼ぶ。
【0054】
図8は、第1SRS用上り無線リソース500a、第2SRS用上り無線リソース500b及び第3SRS用上り無線リソース500cを示す図である。図8に示されるように、同一の単位期間360に含まれる、第1SRS用上り無線リソース500a、第2SRS用上り無線リソース500b及び第3SRS用上り無線リソース500cは、時間方向及び周波数方向の少なくとも一方で互いに異なっている。以後、これらの上り無線リソースを区別する必要がない場合には、それぞれを「SRS用上り無線リソース」と呼ぶ。
【0055】
また、LTEにおいては、SRSを構成する複数のSRSシンボルから成る符号パターンが8種類規定されている。この8種類の符号パターンには、互いに直交する8種類の符号系列がそれぞれ採用されている。通信端末2は、8種類の符号パターンのいずれか1つをSRSとして送信する。
【0056】
このように、SRSについては、互いに直交する8種類の符号系列が採用された8種類の符号パターンが規定されていることから、LTEの規格上では、最大で8つの通信端末2が送信するSRSを多重することができるが、本実施の形態では、SRSの多重は行わないものとする。
【0057】
<SRSの送信周波数帯域の周波数ホッピング>
本実施の形態に係る通信システム100では、SRSの送信周波数帯域を、SRS送信可能帯域450内において周波数ホッピングさせることができる。また、本通信システム100では、SRSの送信周波数帯域幅は変更可能となっている。本通信システム100では、SRSの送信周波数帯域幅として設定することが可能な帯域幅として、例えば、40RB、20RB及び4RBの3種類の帯域幅が定められている。
【0058】
図9は、端末番号1の通信端末2が送信するSRSの送信周波数帯域480aと端末番号2の通信端末2が送信するSRSの送信周波数帯域480bとがSRS送信可能帯域450内で周波数ホッピングする様子の一例を示す図である。図9には連続する複数の単位期間360における各サブフレーム302が示されている。図9では横方向が時間方向を示し、縦方向が周波数方向を示している。また図9の一番左に示されている0〜49の数字は、周波数方向に並ぶ50個のRBの番号を示している。また図9に示される「SP」はスペシャルサブフレーム302を意味し、「Up」は上りパイロットタイムスロット(UpPTS)352を意味し、「Dw」は下りパイロットタイムスロット(DwPTS)351を意味している。また、図9に示される「UL」及び「DL」は、上りサブフレーム302及び下りサブフレーム302をそれぞれ意味している。
【0059】
図9の例では、端末番号1及び2の通信端末2のそれぞれは、各単位期間360において1回SRSを送信している。また、端末番号1及び2の通信端末2が送信するSRSの送信周波数帯域幅のそれぞれは20RBに設定されている。図9の例では、端末番号1の通信端末2が送信するSRSの送信周波数帯域480aと、端末番号2の通信端末2が送信するSRSの送信周波数帯域480bとは、1つの単位期間360ごとに、SRS送信可能帯域450において低周波側及び高周波側に交互に寄せて配置されている。
【0060】
より詳細には、送信周波数帯域480aは、SRS送信可能帯域450が高周波側に寄せて配置されている単位期間360では、SRS送信可能帯域450において低周波側に寄せて配置され、SRS送信可能帯域450が低周波側に寄せて配置されている単位期間360では、SRS送信可能帯域450において高周波側に寄せて配置されている。これにより、送信周波数帯域480aは、システム帯域の中央部における30RBの周波数帯域(10番〜39番のRB)内において周波数ホッピングする。したがって、システム帯域の低周波側の10RBの端部及び高周波側の10RBの端部のそれぞれでは、端末番号1の通信端末2からSRSが送信されない。このような周波数ホッピングを「中ホッピング」と呼ぶ。
【0061】
これに対して、送信周波数帯域480bは、SRS送信可能帯域450が高周波側に寄せて配置されている単位期間360では、SRS送信可能帯域450において高周波側に寄せて配置され、SRS送信可能帯域450が低周波側に寄せて配置されている単位期間360では、SRS送信可能帯域450において低周波側に寄せて配置されている。これにより、送信周波数帯域480bは、システム帯域の低周波側及び高周波側に交互に寄せて配置される。したがって、システム帯域の中央部の10RBの周波数帯域(20番〜29番のRB)では、端末番号2の通信端末2からSRSが送信されない。このような周波数ホッピングを「端ホッピング」と呼ぶ。
【0062】
本実施の形態に係る無線リソース割り当て部122は、基地局1が通信する各通信端末2についてのSRSの送信態様を決定する。具体的には、無線リソース割り当て部122は、各通信端末2について、使用するSRS用上り通信期間、SRSパラメータkTCの値、SRSの符号パターン、SRSの送信周波数帯域幅、SRSの送信周波数帯域の周波数ホッピングの態様などを決定する。これにより、基地局1が通信する各通信端末2に対して使用SRS用上り無線リソースが割り当てられる。
【0063】
送信信号生成部120は、無線リソース割り当て部122が通信端末2に対して割り当てた使用SRS用上り無線リソースを当該通信端末2に通知するための制御データ、言い換えれば、無線リソース割り当て部122で決定された、当該通信端末2が送信するSRSの送信態様を当該通信端末2に通知するための制御データ(以後、「SRS制御データ」と呼ぶ)を含む送信信号を生成する。この送信信号は、下りサブフレーム302が使用されて通信部13から当該通信端末2に送信される。これにより、各通信端末2にはSRS制御データが送信され、各通信端末2は、SRSを送信する際に使用する上り無線リソースを知ることができる。言い換えれば、各通信端末2は、自身が送信するSRSの送信態様を知ることができる。各通信端末2は、基地局1から通知された使用SRS用上り無線リソースを用いてSRSを送信する。
【0064】
なお、SRS制御データには、SRSの送信開始を指示するための送信開始データあるいはSRSの送信停止を指示するための送信停止データも含められる。SRSを送信していない通信端末2が、送信開始データを含むSRS制御データを受信すると、当該SRS制御データで通知される使用SRS用上り無線リソースを用いてSRSの送信を開始する。また、SRSを送信している通信端末2が、送信停止データを含むSRS制御データを受信すると、SRSの送信を停止する。通信端末2がSRSの送信に使用する上り無線リソースを変更する際には、新たな使用SRS用上り無線リソースを通知するためのSRS制御データが当該通信端末2に通知される。SRS制御データは、LTEでは、“RRCConnectionReconfiguration message”と呼ばれている。
【0065】
<SRSの送信を制御する際の通信システムでの一連の動作>
次に、ある通信端末2がSRS制御データを受信してから、当該通信端末2が当該SRS制御データによって通知される使用SRS用上り無線リソースを用いてSRSを送信するまでの通信システム100での一連の動作について説明する。図10は当該一連の動作を示す図である。以後、説明の対象の通信端末2を「対象通信端末2」と呼ぶ。
【0066】
図10に示されるように、例えば、(N−2)番目のTDDフレーム300の末尾に位置する下りサブフレーム302において、基地局1から対象通信端末2にSRS制御データを含む送信信号が送信されると、その次の(N−1)番目のTDDフレーム300の先頭から8番目の上りサブフレーム302(第7サブフレーム302)において、対象通信端末2は、SRS制御データを正常に受信した旨を通知するための応答データを含む送信信号を基地局1に送信する。この応答データは“RRCConnectionReconfigurationComplete message”と呼ばれている。
【0067】
応答データを送信した対象通信端末2は、次のN番目のTDDフレーム300以降において、受信したSRS制御データが示す使用SRS用上り無線リソースを用いて、言い換えれば、当該SRS制御データで通知される送信態様に基づいて、SRSを送信する。
【0068】
なお、図10の例では、(N−1)番目のTDDフレーム300で対象通信端末2が応答データを送信しているが、それよりも後のTDDフレーム300で対象通信端末2が応答データを送信することもある。
【0069】
また、SRSを送信している通信端末2が、当該通信端末2に対して新たに割り当てられた使用SRS用上り無線リソースを通知するためのSRS制御データを受信した場合には、当該SRS制御データによって通知される新たな使用SRS用上り無線リソースを用いてSRSを送信するまでは(図10の例では、(N−1)番目のTDDフレーム300の2つ目のスペシャルサブフレーム302まで)、それまでの使用SRS用上り無線リソースを用いてSRSを送信することになる。
【0070】
このように、基地局1が、あるTDDフレーム300において、対象通信端末2に対してSRS制御データを送信すると、そのTDDフレーム300よりも少なくとも2つ後のTDDフレーム300以降において、対象通信端末2は、当該SRS制御データに基づいたSRSの送信を行うようになる。したがって、基地局1が、対象通信端末2にSRSの送信開始を指示する際、あるいは対象通信端末2にSRSの送信態様の変更を指示する際には、対象通信端末2にSRS制御データを送信してから、そのSRS制御データに基づいて対象通信端末2から送信されるSRSを受信するまでに、ある程度の時間がかかることになる。
【0071】
基地局1がSRSを送信している通信端末2に対してSRSの送信停止を指示する場合についても、通信システム100は同様に動作する。例えば、(N−2)番目のTDDフレーム300の末尾に位置する下りサブフレーム302において、送信停止データを含むSRS制御データが基地局1から対象通信端末2に対して送信されると、その次の(N−1)番目のTDDフレーム300の先頭から8番目の上りサブフレーム302(第7サブフレーム302)において、対象通信端末2は、SRS制御データを正常に受信した旨を通知するための応答データを基地局1に送信する。応答データを送信した対象通信端末2は、次のN番目のTDDフレーム300になるとSRSの送信を停止する。
【0072】
このように、基地局1が、対象通信端末2にSRSの送信停止を指示する際には、対象通信端末2にSRS制御データを送信してから、対象通信端末2でのSRSの送信が停止するまでに、ある程度の時間がかかることになる。
【0073】
<アレイ送信制御について>
本実施の形態に係るアレイ送信制御では、SRSと、既知信号である後述の復調リファレンス信号(DMRS)とのどちらか一方に基づいて送信ウェイトが求められる。DMRSは「DRS」とも呼ばれる。
【0074】
また、本実施の形態に係るアレイ送信制御では、通信部13が対象通信端末2に割り当てられた使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う際には、当該使用下り無線リソースの周波数帯域で対象通信端末2が送信する既知信号(SRSあるいはDMRS)に基づいて送信ウェイトが求められる。
【0075】
また、本実施の形態に係るアレイ送信制御では、ヌルステアリング及びビームフォーミングが同時に行われる。通信部13では、例えば、RLS(Recursive Least-Squares)アルゴリズム等の逐次更新アルゴリズムを用いて受信ウェイトを複数回更新し、更新終了後の受信ウェイトに基づいて送信ウェイトを求めることによって、ヌルステアリングとビームフォーミングの両方を同時に行う。
【0076】
また、本実施の形態に係るアレイ送信制御では、送信ウェイトが、例えば、1つのRBごとに求められる。例えば、対象通信端末2に割り当てられた使用下り無線リソースの周波数帯域が4つのRBで構成されているとすると、対象通信端末2についてのアレイ送信制御では、当該4つのRBのそれぞれについて送信ウェイトが求められる。使用下り無線リソースの周波数帯域に含まれるある1つのRBを用いて対象通信端末2に送信される信号に対して適用する送信ウェイトは、当該1つのRBで対象通信端末2が送信するSRSを構成する複数の複素シンボルに基づいて受信ウェイトが複数回更新されて、更新終了後の受信ウェイトに基づいて送信ウェイトが求められる。
【0077】
<下り無線リソースとSRS用上り無線リソースとの対応付け>
本実施の形態に係る通信システムでは、下り無線リソースとSRS用上り無線リソースとに関して、SRSに基づいたビームフォーミング及びヌルステアリングのための対応付けが定められている。各基地局1が、この対応付けに基づいて、SRSを送信する通信端末2に対して使用下り無線リソースを割り当てるとともにアレイ送信制御を行うことによって、各基地局1はビームフォーミング及びヌルステアリングを適切に行うことが可能となる。以後、この対応付けを「アレイ制御用リソース対応付け」と呼ぶ。以下に、アレイ制御用リソース対応付けについて説明する。
【0078】
なお、以後、単位期間360に含まれる2つの下りサブフレーム302について、先の下りサブフレーム302を「第1下りサブフレーム302a」と呼び、後の下りサブフレーム302を「第2下りサブフレーム302b」と呼ぶ。また、単位期間360に含まれる、スペシャルサブフレーム302における下りパイロットタイムスロット351を含む部分については、下りサブフレーム302ではないが、便宜上、「第3下りサブフレーム302c」と呼ぶ。以後、下りサブフレーム302には、この第3下りサブフレーム302cも含まれるものとする。また、説明の対象の単位期間360を「対象単位期間360」と呼ぶ。
【0079】
図11は、対象単位期間360Tでの下り無線リソースと、SRS用上り無線リソースとの対応付けを説明するための図である。以下の説明は各単位期間360について言えることである。
【0080】
本実施の形態では、対象単位期間360TにおいてSRS送信可能帯域450に含まれる周波数帯域を有する下り無線リソースは、対象単位期間360TでのSRS用上り無線リソースに対応付けられる。一方で、対象単位期間360TにおいてSRS送信可能帯域450に含まれない周波数帯域、つまりSRS送信不可帯域460に含まれる周波数帯域を有する下り無線リソースは、対象単位期間360Tよりも一つ前の単位期間360T−1でのSRS用上り無線リソースに対応付けられる。
【0081】
具体的には、対象単位期間360Tの第1下りサブフレーム302aのうち、SRS送信可能帯域450を周波数方向に含む下り無線リソース600aに含まれる下り無線リソースは、対象単位期間360Tの第1SRS用上り無線リソース500aにおける、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースと対応付けられる。つまり、対象単位期間360Tでの下り無線リソース600aに含まれる下り無線リソースは、対象単位期間360Tでの第1SRS用上り無線リソース500aにおいて、当該下り無線リソースの周波数帯域と同じ周波数帯域を有する上り無線リソースと対応付けられる。
【0082】
対象単位期間360Tの第2下りサブフレーム302bのうち、SRS送信可能帯域450を周波数方向に含む下り無線リソース600bに含まれる下り無線リソースは、対象単位期間360Tの第2SRS用上り無線リソース500bにおける、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースと対応付けられる。
【0083】
対象単位期間360Tの第3下りサブフレーム302cのうち、SRS送信可能帯域450を周波数方向に含む下り無線リソース600cに含まれる下り無線リソースは、対象単位期間360Tの第3SRS用上り無線リソース500cにおける、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースと対応付けられる。
【0084】
これに対して、対象単位期間360Tの第1下りサブフレーム302aのうち、SRS送信不可帯域460を周波数方向に含む下り無線リソース610aに含まれる下り無線リソースは、対象単位期間360Tよりも一つ前の単位期間360T−1の第1SRS用上り無線リソース500aにおける、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースと対応付けられる。
【0085】
対象単位期間360Tの第2下りサブフレーム302bのうち、SRS送信不可帯域460を周波数方向に含む下り無線リソース610bに含まれる下り無線リソースは、単位期間360T−1の第2SRS用上り無線リソース500bにおける、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースと対応付けられる。
【0086】
対象単位期間360Tの第3下りサブフレーム302cのうち、SRS送信不可帯域460を周波数方向に含む下り無線リソース610cに含まれる下り無線リソースは、単位期間360T−1の第3SRS用上り無線リソース500cにおける、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソースと対応付けられる。
【0087】
各基地局1では、以上のようなアレイ制御用リソース対応付けに基づいて、当該通信端末2に対して使用下り無線リソースが割り当てられるとともにアレイ送信制御が行われる。
【0088】
具体的には、無線リソース割り当て部122は、各単位期間360について、当該単位期間360の下り無線リソースから通信端末2に対して使用下り無線リソースを割り当てる際には、当該使用下り無線リソースに対応付けられた上り無線リソースを用いて当該通信端末2がSRSを送信しているような当該使用下り無線リソース(以後、「SRS対応使用下り無線リソース」と呼ぶ)だけをできる限り割り当てるようにする。
【0089】
ただし、単位期間360において通信端末2と下り通信を行う際に、SRS対応使用下り無線リソースだけでは足り無い場合には、無線リソース割り当て部122は、当該通信端末2に対して、それに対応付けられた上り無線リソースを用いて当該通信端末2がSRSを送信していないような使用下り無線リソース(以後、「SRS非対応使用下り無線リソース」と呼ぶ)を当該単位期間360の下り無線リソースから割り当てる。
【0090】
また、各基地局1では、通信部13は、無線リソース割り当て部122において対象通信端末2に割り当てられたSRS対応使用下り無線リソースを用いて対象通信端末2と下り通信を行う際には、当該SRS対応使用下り無線リソースに対応付けられた上り無線リソースを用いて対象通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行う。
【0091】
一方で、各基地局1では、通信部13は、無線リソース割り当て部122において対象通信端末2に割り当てられたSRS非対応使用下り無線リソースを用いて対象通信端末2と下り通信を行う際には、当該SRS非対応使用下り無線リソースの周波数帯域で対象通信端末2が送信するSRSあるいはDMRSに基づいてアレイ送信制御を行う。この点については後で詳細に説明する。
【0092】
本通信システム100では、各基地局1が通信端末2との下り通信にSRS対応使用下り無線リソースを用いることによって、各基地局1は適切にビームフォーミング及びヌルステアリングを行うことができる。以下にこの点について説明する。
【0093】
図12,13は、基地局1aとその周辺に位置する基地局1bがSRS対応使用下り無線リソースを用いることによって、基地局1a,1bのそれぞれにおいてビームフォーミング及びヌルステアリングが適切に行われる点を説明するための図である。図12には、対象単位期間360における、基地局1a,1bでのSRS対応使用下り無線リソースの割り当て例が示されている。また図13には、対象単位期間360における、基地局1a,1bでの送信指向性に関するビーム及びヌルが示されている。
【0094】
図12,13の例では、対象単位期間360において、基地局1aは、SRS対応使用下り無線リソース650aを用いて端末番号1の通信端末2と下り通信を行っており、基地局1bは、SRS対応使用下り無線リソース650aと同じSRS対応使用下り無線リソース650bを用いて端末番号5の通信端末2と下り通信を行っている。したがって、基地局1aが端末番号1の通信端末2と下り通信を行う際に、その周辺に位置する基地局1bと下り通信する端末番号5の通信端末2に対して干渉を与える可能性がある。同様に、基地局1bが端末番号5の通信端末2と下り通信を行う際に、その周辺に位置する基地局1aが下り通信する端末番号1の通信端末2に対して干渉を与える可能性がある。
【0095】
また図12,13の例では、SRS対応使用下り無線リソース650aは、第1下りサブフレーム302aにおける、対象単位期間360でのSRS送信可能帯域450を周波数方向に含む下り無線リソースから、端末番号1の通信端末2に対して割り当てられている。同様に、SRS対応使用下り無線リソース650bは、第1下りサブフレーム302aにおける、対象単位期間360でのSRS送信可能帯域450を周波数方向に含む下り無線リソースから、端末番号5の通信端末2に対して割り当てられている。
【0096】
基地局1aはSRS対応使用下り無線リソース650aを用いて下り通信を行う際には、SRS対応使用下り無線リソース650aに対応付けられた上り無線リソース、つまり、対象単位期間360での第1SRS用上り無線リソース500aにおける、SRS対応使用下り無線リソース650aの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソース660aを用いて端末番号1の通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行う。また、基地局1bはSRS対応使用下り無線リソース650bを用いて下り通信を行う際には、SRS対応使用下り無線リソース650bに対応付けられた上り無線リソース、つまり、対象単位期間360での第1SRS用上り無線リソース500aにおける、SRS対応使用下り無線リソース650bの周波数帯域を周波数方向に含む上り無線リソース660bを用いて端末番号5の通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行う。
【0097】
このように、基地局1aは、SRS対応使用下り無線リソース650aを用いて端末番号1の通信端末2と下り通信を行う際には、SRS対応使用下り無線リソース650aの周波数帯域と一致する周波数帯域で端末番号1の通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行っている。したがって、図13に示されるように、基地局1aでの送信指向性に関するビーム700aは、通信対象の端末番号1の通信端末2に対して向くようになる。よって、基地局1aでは適切にビームフォーミングが行われる。
【0098】
同様に、基地局1bは、SRS対応使用下り無線リソース650bを用いて端末番号5の通信端末2と下り通信を行う際には、SRS対応使用下り無線リソース650bの周波数帯域と一致する周波数帯域で端末番号5の通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行っている。したがって、基地局1bでの送信指向性に関するビーム700bは、通信対象の端末番号5の通信端末2に対して向くようになる。よって、基地局1bでは適切にビームフォーミングが行われる。
【0099】
また、本例のように、基地局1aと、その周辺に位置する基地局1bとが、同じSRS対応使用上り無線リソースを用いて下り通信を行う際には、基地局1aがアレイ送信制御を行う際に使用するSRSの送信に使用される上り無線リソース660aと、基地局1bがアレイ送信制御を行う際に使用するSRSの送信に使用される上り無線リソース660bとは一致するようになる。したがって、基地局1aが端末番号1の通信端末2から上り無線リソース660aで受信するSRSには、基地局1bが通信する端末番号5の通信端末2が送信するSRSが干渉波成分として含まれるようになる。よって、基地局1aが、上り無線リソース660aにおいて端末番号1の通信端末2から受信するSRSに基づいて送信ウェイトを算出し、当該送信ウェイトを、SRS対応使用下り無線リソース650aを用いて端末番号1の通信端末2に送信する送信信号に設定すると、図13に示されるように、基地局1aでの送信指向性に関するヌル701aは、干渉を与えたくない、基地局1bと通信する端末番号5の通信端末2に対して向くようになる。よって、基地局1aでは適切にヌルステアリングが行われる。
【0100】
基地局1b側から見れば、基地局1bが端末番号5の通信端末2から上り無線リソース660bで受信するSRSには、基地局1aが通信する端末番号1の通信端末2が送信するSRSが干渉波成分として含まれるようになる。よって、基地局1bが、上り無線リソース660bにおいて端末番号5の通信端末2から受信するSRSに基づいて送信ウェイトを算出し、当該送信ウェイトを、SRS対応使用下り無線リソース650bを用いて端末番号5の通信端末2に送信する送信信号に設定すると、図13に示されるように、基地局1bでの送信指向性に関するヌル701bは、干渉を与えたくない、基地局1aと通信する端末番号1の通信端末2に対して向くようになる。よって、基地局1bでは適切にヌルステアリングが行われる。
【0101】
このように、基地局1とその周辺に位置する周辺基地局1とが、同じSRS対応使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う場合に、当該基地局1及び当該周辺基地局1のそれぞれにおいて適切にビームフォーミング及びヌルステアリングが行われるようになる。
【0102】
これに対して、基地局1が通信端末2との下り通信にSRS非対応使用下り無線リソースを用いる場合には、ビームフォーミングは適切に行われることはあっても、ヌルステアリングを適切に行うことができない。
【0103】
基地局1が通信端末2との下り通信にSRS非対応使用下り無線リソースを用いる場合であって、当該SRS非対応使用下り無線リソースの周波数帯域と同じ周波数帯域で当該通信端末2が既知信号(SRSあるいはDMRS)を送信している場合には、基地局1は当該既知信号に基づいてアレイ送信制御を行う。したがって、この場合には、基地局1のアレイアンテナ110の送信指向性に関するビームは当該通信端末2に向くようになって、SRS対応使用下り無線リソースを用いる場合と同様にビームフォーミングを適切に行うことができる。
【0104】
一方で、基地局1とその周辺に位置する周辺基地局1とが同じ使用下り無線リソースを用いて下り通信する場合であって、基地局1ではSRS非対応使用下り無線リソースが使用されるとともに、当該SRS非対応使用下り無線リソースの周波数帯域と同じ周波数帯域において基地局1での通信対象の通信端末2が既知信号(SRSあるいはDMRS)を送信し、周辺基地局1ではSRS対応使用下り無線リソースが使用される場合には、上述の説明から理解できるように、基地局1がアレイ送信制御に使用する既知信号と、周辺基地局1がアレイ送信制御に使用するSRSとは、互いに異なった上り無線リソースを用いて送信されることになる。よって、基地局1がアレイ送信制御に使用する既知信号には、周辺基地局1が通信する通信端末2からのSRSは干渉波成分として含まれず、周辺基地局1がアレイ送信制御に使用するSRSには、基地局1が通信する通信端末2からの既知信号は干渉波成分として含まれないことになる。よって、基地局1はアレイアンテナ110の送信指向性に関するヌルを、周辺基地局1が通信する通信端末2に向けることはできず、周辺基地局1はアレイアンテナ110の送信指向性に関するヌルを、基地局1が通信する通信端末2に向けることはできない。その結果、基地局1及び周辺基地局1のそれぞれにおいて適切にヌルステアリングを行うことができなくなる。
【0105】
このように、基地局1が通信端末2との下り通信にSRS非対応使用下り無線リソースを用いる場合には、ヌルステアリングを適切に行うことができないことから、上述のように、各基地局1では、通信端末2に対してできる限りSRS対応使用下り無線リソースを割り当てるようにしている。
【0106】
<DMRSについて>
本通信システム100においては、データ送信に利用される上りサブフレーム302の一部が使用されて、DMRSと呼ばれる既知信号が送信される。各基地局1では、SRSだけではなく、このDMRSをアレイ送信制御に使用することが可能である。DMRSは、複数のサブキャリアを変調する複数の複素シンボルで構成されており、上りサブフレーム302の各スロット303において、先頭から4つ目のシンボル期間304で送信される。
【0107】
対象通信端末2は、基地局1の無線リソース割り当て部122において、上りサブフレーム302から、使用上り無線リソースとして割り当てられた各リソースブロックの一部を用いてDMRSを送信する。図14はその様子を示す図である。図14には、1つの上りサブフレーム302が示されており、対象通信端末2に使用上り無線リソースとして割り当てられているリソースブロック800(上りサブフレーム302における、SRSを送信することが可能な最後のシンボル期間304は除く)には右下がり斜線が示されている。図14の例では、対象通信端末2には、使用上り無線リソースとして、4つのリソースブロック800が割り当てられている。対象通信端末2は、使用上り無線リソースとして自身に割り当てられた各リソースブロック800において、先頭から4つの目のシンボル期間304の複数のサブキャリアを用いてDMRSを送信する。図14では、対象通信端末2に割り当てられたリソースブロック800において、先頭から4つ目のシンボル期間304を含む部分には、右下がりの斜線と左下がりの斜線との両方が示されている。
【0108】
本実施の形態では、上りサブフレーム302に含まれる2つのスロット303において、例えば、先のスロット302で送信されるDMRSをアレイ送信制御に使用し、後のスロット302で送信されるDMRSはアレイ送信制御に使用しないものとする。
【0109】
<SRSとDMRSの使い分けについて>
各基地局1においては、通信部13は、対象通信端末2と下り通信を行う際に、SRS及びDMRSのどちらに基づいてアレイ送信制御を行うかを決定する。以下にアレイ送信制御に使用する既知信号の決定方法について説明する。
【0110】
上述のように、基地局1では、通信端末2との下り通信にSRS対応使用下り無線リソースを用いる場合には、ビームフォーミング及びヌルステアリングを適切に行うことが可能となる。つまり、通信部13が、無線リソース割り当て部122において対象通信端末2に割り当てられたSRS対応使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う場合に、当該SRS使用下り無線リソースに対応付けられた上り無線リソースで対象通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行う際には、ビームフォーミング及びヌルステアリングを適切に行うことが可能となる。したがって、本実施の形態では、通信部13は、通信端末2との下り通信にSRS対応使用下り無線リソースを用いる場合には、当該下り通信でのアレイ送信制御にSRSを使用することを決定する。つまり、通信部13は、無線リソース割り当て部122において対象通信端末2に割り当てられた使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う場合であって、当該使用下り無線リソースに対応付けられた上り無線リソースを用いて対象通信端末2がSRSを送信する場合には、アレイ送信制御に当該SRSを使用することを決定する。
【0111】
これに対して、基地局1では、通信端末2との下り通信にSRS非対応使用下り無線リソースを用いる場合であって、その下り通信でアレイ送信制御を行う場合には、ビームフォーミングを適切に行うことができても、ヌルステアリングを適切に行うことができない。一方で、基地局1が通信端末2と下り通信を行う場合にビームフォーミングを行う際には、当該下り通信のタイミングにできるだけ近いタイミングで当該通信端末2から送信される既知信号に基づいてアレイ送信制御を行うことが望ましい。これは、基地局1が対象通信端末2と下り通信する場合において、アレイ送信制御に使用する既知信号の受信タイミングから、当該既知信号に基づいてアレイ送信制御を行って下り通信を行うタイミングまでの期間が大きくなると、対象通信端末2の移動速度が大きいときには、当該期間において対象通信端末2が大きく移動することがあり、基地局1のアレイアンテナ110の送信指向性に関するビームを対象通信端末2に適切に向けることができないことがあるからである。
【0112】
そこで、本実施の形態では、通信部13は、通信端末2とアレイ送信制御を行ってSRS非対応使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う場合には、当該下り通信のタイミングにできるだけ近いタイミングで受信する既知信号(SRSあるいはDMRS)をアレイ送信制御に使用するものとする。つまり、通信部13は、無線リソース割り当て部122において対象通信端末2に割り当てられた使用下り無線リソースを用いてアレイ送信制御を行って下り通信を行う場合であって、当該使用下り無線リソースに対応付けられた上り無線リソースを用いて対象通信端末2がSRSを送信していない場合には、当該下り通信のタイミングにできるだけ近いタイミングで受信する既知信号に基づいてアレイ送信制御を行う。
【0113】
図15は基地局1での使用下り無線リソースの割り当て例を示す図である。図15には、連続する4つの単位期間360a〜360dにおける各サブフレーム302が示されている。図15の例では、基地局1は端末番号1の通信端末2と端末番号2の通信端末2と通信している。端末番号1及び2の通信端末2のそれぞれに対しては、第1SRS用上り無線リソース500aから、20RBの使用SRS用上り無線リソースが割り当てられている。端末番号1の通信端末2に割り当てられる使用SRS用上り無線リソースの周波数帯域は中ホッピングしており、端末番号2の通信端末2に対して割り当てられる使用SRS用上り無線リソースの周波数帯域は端ホッピングしている。
【0114】
また図15の例では、端末番号1の通信端末2に対してはSRS対応使用下り無線リソースだけが割り当てられており、端末番号2の通信端末2に対してはSRS対応使用下り無線リソースとSRS非対応使用下り無線リソースとが割り当てられている。図15では、SRS対応使用下り無線リソースを斜線で、SRS非対応使用下り無線リソースを横線で示している。
【0115】
また図15の例では、単位期間360cの先頭の上りサブフレーム302において、端末番号1の通信端末2が20番〜29番のRBでDMRSを送信し、端末番号2の通信端末2が0番〜19番のRBでDMRSを送信している。また、単位期間360dの先頭の上りサブフレーム302において、端末番号2の通信端末2が20番〜29番のRBでDMRSを送信している。
【0116】
また図15では、使用下り無線リソースと、当該使用下り無線リソースが用いられる下り通信が行われる際のアレイ送信制御で使用される既知信号(SRSあるいはDMRS)との関係を矢印で示している。矢印の終点側には使用下り無線リソースが示され、矢印の始点側には、当該使用下り無線リソースが用いられる下り通信が行われる際のアレイ送信制御で使用される既知信号が示されている。
【0117】
図15に示されるように、端末番号1の通信端末2については、単位期間360a〜360dのそれぞれにおいて、SRS対応使用下り無線リソースだけが割り当てられていることから、基地局1が端末番号1の通信端末2と下り通信を行う際のアレイ送信制御では、常にSRSが使用される。
【0118】
ここで、図15の例では、単位期間360cにおいて基地局1が20番〜29番のRBを周波数方向に含むSRS対応使用下り無線リソース850aを用いて端末番号1の通信端末2と下り通信を行う時間帯と、端末番号1の通信端末2がSRS対応使用下り無線リソース850aに対応付けられた上り無線リソースを用いてSRSを送信する時間帯(単位期間360cにおいて端末番号1の通信端末2が20番〜29番のRBを用いてSRSを送信する時間帯)との間において、端末番号1の通信端末2は20番〜29番のRBを用いてDMRSを送信している。したがって、ビームフォーミングの性能だけを考慮すれば、単位期間360cにおいて基地局1がSRS対応使用下り無線リソース850aを用いて端末番号1の通信端末2と下り通信を行う際には、当該DMRSに基づいてアレイ送信制御を行うことが望ましい。しかしながら、当該DMRSに基づいてアレイ送信制御を行うと、ヌルステアリングを適切に行うことができない。本実施の形態では、ヌルステアリングの性能を優先させて、当該DMRSではなく、SRS対応使用下り無線リソース850aに対応付けられた上り無線リソースを用いて端末番号1の通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行う。なお、この点は、基地局1が端末番号2の通信端末2とSRS対応使用下り無線リソースを用いて下り通信する場合も同様である。
【0119】
端末番号2の通信端末2については、単位期間360c,360dにおいて、SRS非対応使用下り無線リソースが割り当てられている。具体的には、単位期間360cにおいては、端末番号2の通信端末2が単位期間360bではSRSを送信している10番〜19番のRBを周波数方向に含むSRS非対応使用下り無線リソース900aが、端末番号2の通信端末2に割り当てられている。単位期間360dにおいては、端末番号2の通信端末2がSRSをまったく送信していない周波数帯域、つまり20番〜29番のRBを周波数方向に含むSRS非対応使用下り無線リソース900bと、端末番号2の通信端末2が単位期間360cではSRSを送信している30番〜39番のRBを周波数方向に含むSRS非対応使用下り無線リソース900cとが、端末番号2の通信端末2に割り当てられている。
【0120】
図15に示されるように、基地局1がSRS非対応使用下り無線リソース900aを用いて端末番号2の通信端末2と下り通信を行う時間帯と、端末番号2の通信端末2が単位期間360bにおいてSRS非対応使用下り無線リソース900aの周波数帯域でSRSを送信する時間帯との間においては、端末番号2の通信端末2は当該周波数帯域でDMRSを送信している。したがって、基地局1はSRS非対応使用下り無線リソース900aを用いて端末番号2の通信端末2と下り通信を行う際には、当該DMRSに基づいてアレイ送信制御を行う。これにより、基地局1は下り通信を行うタイミングに近いタイミングで受信する既知信号に基づいてアレイ送信制御を行うことができる。
【0121】
これに対して、本実施の形態とは異なり、アレイ送信制御にDMRSをまったく使用せずにSRSだけを使用する場合には、SRS非対応使用下り無線リソース900aを用いて端末番号2の通信端末2と下り通信を行う際には、単位期間360bにおいて端末番号2の通信端末2が送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行うことになる。この場合には、基地局1は下り通信を行うタイミングとは離れたタイミングで受信する既知信号に基づいてアレイ送信制御を行うことになる。図16は、図15の例のように使用下り無線リソースが端末番号1,2の通信端末2に対して割り当てられている場合において、SRSだけを使用してアレイ送信制御を行う様子を示している。図16に示されている矢印の意味は図15と同様である。
【0122】
本実施の形態では、基地局1は下り通信を行うタイミングに近いタイミングで受信する既知信号に基づいてアレイ送信制御を行うことができることから、通信端末2の移動速度が大きい場合であっても、当該通信端末2に向けて適切にビームを向けることができる。
【0123】
また、単位期間360dでのSRS非対応使用下り無線リソース900bの周波数帯域において、端末番号2の通信端末2は、SRSを送信していないものの、単位期間360dでDMRSを送信していることから、基地局1はSRS非対応使用下り無線リソース900bを用いて端末番号2の通信端末2と下り通信を行う際には、当該DMRSに基づいてアレイ送信制御を行う。
【0124】
これに対して、図16に示されるように、アレイ送信制御にSRSだけを使用する場合には、SRS非対応使用下り無線リソース900bの周波数帯域では端末番号2の通信端末2はSRSを送信していないことから、SRS非対応使用下り無線リソース900bを用いて下り通信を行う際にはアレイ送信制御を行うことはできない。つまり、基地局1は、SRS非対応使用下り無線リソース900bを用いて下り通信を行う際にはオムニ送信することになる。この場合には、基地局1からの送信信号が端末番号2の通信端末2に届きにくくなる。
【0125】
本実施の形態では、基地局1はSRS非対応使用下り無線リソース900bを用いて下り通信を行う際には、DMRSに基づいてアレイ送信制御を行うことから、ビームを端末番号2の通信端末2に適切に向けることができる。よって、基地局1からの送信信号を端末番号2の通信端末2に確実に届けることができる。
【0126】
また、基地局1が単位期間360dでのSRS非対応使用下り無線リソース900cを用いて端末番号2の通信端末2と下り通信を行う時間帯と、端末番号2の通信端末2が単位期間360cにおいてSRS非対応使用下り無線リソース900cの周波数帯域でSRSを送信する時間帯との間においては、端末番号2の通信端末2は当該周波数帯域でDMRSを送信していない。したがって、基地局1はSRS非対応使用下り無線リソース900cを用いて端末番号2の通信端末2と下り通信を行う際には、端末番号2の通信端末2が単位期間360cにおいてSRS非対応使用下り無線リソース900cの周波数帯域で送信するSRSに基づいてアレイ送信制御を行う。
【0127】
以上のように、本実施の形態では、通信部13は、通信端末2に対して割り当てられた使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う場合であって、当該使用下り無線リソースに対応付けられた上り無線リソースを用いて当該通信端末2がSRSを送信している場合には、当該SRSに基づいてアレイ送信制御を行っている。これにより、適切なビームフォーミング及びヌルステアリングを行うことが可能となる。
【0128】
また、本実施の形態では、通信部13が通信端末2と下り通信を行う場合には、当該下り通信のタイミングにできるだけ近いタイミングで当該通信端末2から送信される既知信号に基づいてアレイ送信制御を行っている。したがって、通信端末2の移動速度が大きい場合であっても、当該通信端末2に対してビームを適切に向けることができる。よって、適切なビームフォーミングを行うことができる。
【0129】
なお、上記の例では、DMRSに基づいてアレイ送信制御を行う場合であっても、ビームフォーミング及びヌルステアリングの両方を行っていたが、ビームフォーミングだけを行っても良い。基地局1がDMRSに基づいてアレイ送信制御を行う場合にヌルステアリングを行ったとしても、その周辺に位置する周辺基地局1と通信する、干渉を与えたくない通信端末2に向けてヌルが向く可能性が低いことから、ビームフォーミングだけを行っても問題がない。また、ビームフォーミング及びヌルステアリングの両方を行った場合には、形成されるヌルの影響を受けてビームの利得が小さくなる傾向にある。したがって、ビームフォーミングだけを行う場合の方が、ビームの利得を大きくすることができ、基地局1からの送信信号を通信端末2に確実に届けることができる。
【0130】
また上記の例では、通信端末2に対して、使用上り無線リソースと使用下り無線リソースとを特に関連付けることなくそれらを割り当てていたが、無線リソース割り当て部122は、単位期間360の下り無線リソースから通信端末2に対してSRS非対応使用下り無線リソースを割り当てる際には、当該通信端末2が当該単位期間360において当該SRS非対応使用下り無線リソースの周波数帯域でDMRSを送信するように当該通信端末2に対して使用上り無線リソースを割り当てても良い。これにより、通信部13は、単位期間360の下り無線リソースから通信端末2に割り当てられたSRS非対応使用下り無線リソースを用いて当該通信端末2と下り通信を行う際には、当該単位期間360での当該SRS非対応使用下り無線リソースの周波数帯域で必ずDMRSを当該通信端末2から受信することができる。よって、基地局1は、SRS非対応使用下り無線リソースを用いて下り通信を行う際には、当該下り通信のタイミングに近いタイミングで受信するDMRSに基づいて常にアレイ送信制御を行うことができ、適切なビームフォーミングを行うことができる。図15の例では、単位期間360dでのSRS非対応使用下り無線リソース900cを用いた下り通信では、単位期間360dよりも一つ前の単位期間360cで送信されるSRSに基づいてアレイ送信制御が行われているが、単位期間360dで送信されるDMRSに基づいてアレイ送信制御を行うことが可能となる。
【0131】
また、上記の例では、本願発明をLTEに適用する場合について説明したが、本願発明は他の通信システムにも適用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 基地局
2 通信端末
13 通信部
110a アンテナ
122 無線リソース割り当て部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局を備える通信システムにおける一の基地局であって、
複数のアンテナを用いて通信を行い、下り通信を行う際には通信端末が送信する既知信号に基づいて当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する通信部と、
前記通信部が通信端末と下り通信を行う際に使用する下り無線リソースを当該通信端末に割り当てる無線リソース割り当て部と
を備え、
前記既知信号は、互いに異なった上り無線リソースを用いて通信端末から送信される第1及び第2既知信号を含み、
前記通信システムでは、下り無線リソースと、通信端末において前記第1既知信号の送信に使用される上り無線リソースとに関して、前記第1既知信号に基づいたビームフォーミング及びヌルステアリングのための対応付けが定められており、
前記通信部は、
前記無線リソース割り当て部において通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースを用いて当該通信端末と下り通信を行う場合であって、当該下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信しておらず、当該下り無線リソースに対応付けられていない、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む非対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信している場合に、
当該下り無線リソースの時間帯と、当該非対応上り無線リソースの時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信する際には、当該第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する、基地局。
【請求項2】
請求項1に記載の基地局であって、
前記通信部は、
前記無線リソース割り当て部において通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースを用いて当該通信端末と下り通信を行う場合であって、当該下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信する場合には、
当該下り無線リソースの時間帯と、当該通信端末が前記対応上り無線リソースを用いて前記第1既知信号を送信する時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信するときであっても、当該第1既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する、基地局。
【請求項3】
請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の基地局であって、
前記通信部は、前記無線リソース割り当て部において通信端末に対して割り当てられる、当該通信端末が前記第1既知信号を送信しない周波数帯域を周波数方向に含む下り無線リソースを用いて当該通信端末と下り通信を行う場合に、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信する際には、当該第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する、基地局。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の基地局であって、
前記通信部は、前記第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性を制御する際には、ビームフォーミング及びヌルステアリングのうちビームフォーミングだけを行う、基地局。
【請求項5】
複数の基地局を備える通信システムにおける一の基地局での通信端末との通信方法であって、
(a)複数のアンテナを用いて通信を行い、下り通信を行う際には通信端末が送信する既知信号に基づいて当該複数のアンテナでの送信指向性を制御する工程と、
(b)前記工程(a)において通信端末と下り通信を行う際に使用する下り無線リソースを当該通信端末に割り当てる工程と
を備え、
前記既知信号は、互いに異なった上り無線リソースを用いて通信端末から送信される第1及び第2既知信号を含み、
前記通信システムでは、下り無線リソースと、通信端末において前記第1既知信号の送信に使用される上り無線リソースとに関して、前記第1既知信号に基づいたビームフォーミング及びヌルステアリングのための対応付けが定められており、
前記工程(a)では、
前記工程(b)において通信端末に対して割り当てられる下り無線リソースが用いられて当該通信端末と下り通信が行われる場合であって、当該下り無線リソースに対応付けられた対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信しておらず、当該下り無線リソースに対応付けられていない、当該下り無線リソースの周波数帯域を周波数方向に含む非対応上り無線リソースを用いて当該通信端末が前記第1既知信号を送信している場合に、
当該下り無線リソースの時間帯と、当該非対応上り無線リソースの時間帯との間において、当該下り無線リソースの周波数帯域で当該通信端末が前記第2既知信号を送信する際には、当該第2既知信号に基づいて前記複数のアンテナの送信指向性が制御される、通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−249044(P2012−249044A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118725(P2011−118725)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】