説明

基地局装置、移動局装置、無線通信用パラメータ更新方法

【課題】無線通信に必要なパラメータを自動更新することができる基地局装置を提供する。
【解決手段】自局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組を、自局近傍の他の基地局に通知し、他の基地局と移動局との間のパスロス値と、該他の基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組とを取得する。この取得した情報に基づいて、自局が報知する識別子と無線通信用パラメータとの組を設定更新する。移動局から報告されるパスロス値をも考慮して更新を行っているので、より高精度にパラメータを更新できる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基地局装置、移動局装置、無線通信用パラメータ更新方法に関し、特に複数のユーザが無線伝送路を共有して同時に通信を行う多元接続方式における基地局装置、移動局装置、無線通信用パラメータ更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザが無線伝送路を共有して同時に通信を行う多元接続方式としては、符号分割多元接続方式(code division multiple access;CDMA)、時分割多元接続方式(time division multiple access;TDMA)、周波数分割多元接続方式(Frequency Division Multiple Access;FDMA)などが知られている。
例えば、符号分割多元接続方式を用いて同一周波数帯域を複数の通信波で共有する通信システムにおいては、個々の通信波はランダムな符号系列である拡散コ一ドにより区別される。拡散コードは、検出特性(自己相関特性)および、異なる拡散コード間の識別特性(相互相関特性)が良いほどシステム効率が向上する。このため、系列長で決まる全てのランダムな符号組合せを用いることは無く、所要特性を得る符号系列を選択して用いる。したがって、高いシステム効率が求められる場合には拡散コードは限定され、割当可能な拡散コード数はシステムが想定する全同時通信波数を下回る。
【0003】
特に、W−CDMA(Wideband CDMA)セルラシステムの下り回線で用いる拡散コードには、高い検出特性や識別特性に加えて、低送信電力でも高品質な通信を実現するために異なる拡散コード間の相互干渉を低減できる符号直交性が求められる。このため、割当可能な拡散コード数は上り回線よりも少なくなる。この少数の拡散コードは有効利用のため全セルで繰返し使用されるが、セル間での混信を防ぐため、セル毎に異なるコードを重畳して用いる。
【0004】
W−CDMAセルラシステムでは、ユーザのデータを実際に広帯域拡散する拡散コードをチャネライゼーションコード、セル毎に重畳するセル間混信防止用のコードをスクランブリングコードと呼んでいる。
W−CDMAセルラシステムの各セルを形成する各基地局装置(以下、単に基地局と呼ぶ)は、移動局装置(以下、単に移動局と呼ぶ)がセル検出を高速に行えるように、その周辺基地局が使用している下りスクランブリングコードを制御チャネルにより報知しており、移動局は制御チャネルで通知されたスクランブリングコードを対象に下り回線の受信を行う。従って、ある基地局に下りスクランブリングコードを割当てた場合、移動局が当該基地局の下り回線を受信してから、下り回線の周辺となる他の下り回線を受信するには、当該基地局の周辺に位置する周辺基地局の下りスクランブリングコードを、当該基地局の制御チャネルに設定し、当該基地局が形成するセルに所属する移動局に報知しておかなければならない。
【0005】
なお、移動局が基地局の情報を取得し、自局が接続している基地局に報告し、基地局で情報を更新する技術が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2001−54158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載されている基地局情報の更新方法を採用する場合、基地局と移動局との間のパスロスは考慮されておらず、基地局が使用するスクランブリングコード等の無線通信用パラメータの自動設定を、高精度に行うことができない。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は周辺基地局が使用する無線通信用のパラメータを、自基地局が報知するパラメータとしてより高精度に自動設定するための基地局装置、移動局装置、無線通信用パラメータ更新方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1による基地局装置は、自局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組を、自局近傍の他の基地局に通知する無線通信用パラメータ通知手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード通知部108及び送信部102に対応)と、前記他の基地局と移動局との間のパスロス値、受信レベル、及び、制御チャネルの到達時間差のうちの少なくとも1つと、該他の基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組とを取得する情報取得手段(後述する図3中の受信部104に対応)と、前記情報取得手段によって取得した情報に基づいて、自局が報知する識別子と無線通信用パラメータとの組を設定更新する無線通信用報知パラメータ更新手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード設定部106及び基地局識別子・スクランブリングコード報知更新部110に対応)とを含むことを特徴とする。この請求項は、後述する新設基地局1004についての請求項である。このような構成を採用すれば、パスロス測定値などと周辺基地局の無線通信パラメータとに基づいて更新を行うことができるので、より高精度にパラメータを更新することができる。
【0008】
本発明の請求項2による基地局装置は、請求項1において、前記無線通信用報知パラメータ更新手段は、基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組について、設定されているパスロス値のより小さいものを優先的に報知する組として設定し、パスロス値が同一の場合は出現回数の多い組を優先的に報知する組として設定することを特徴とする。この請求項は、後述する新設基地局1004についての請求項である。このような構成を採用すれば、パスロス測定値と無線通信パラメータとに基づいて高精度にパラメータを更新でき、しかも、パスロス値が同一であった場合でも出現回数に基づいて適切に更新できる。
【0009】
本発明の請求項3による基地局装置は、請求項1において、前記無線通信用報知パラメータ更新手段は、基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組について、設定されているもののうち出現回数の多いものを優先的に報知する組として設定し、出現回数が同一のものについては設定されているパスロス値のより小さいものを優先的に報知する組として設定することを特徴とする。この請求項は、後述する新設基地局1004についての請求項である。このような構成を採用すれば、パスロス測定値と無線通信パラメータとに基づいて高精度にパラメータを更新でき、しかも、出現回数が同一であった場合でもパスロス値に基づいて適切に更新できる。
【0010】
本発明の請求項4による基地局装置は、新規に設けられた新設基地局から、該基地局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組を取得する情報取得手段(後述する図3中の受信部104に対応)と、前記情報取得手段によって取得した情報を、自局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組と共に、自局が形成するセルに所属する移動局に報知する無線通信用パラメータ報知手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード設定部106及び送信部102に対応)とを含むことを特徴とする。この請求項は、後述する既設基地局1001、1002についての請求項である。このような構成を採用すれば、移動局からパスロス値を取得し、そのパスロス値に基づいて、より高精度にパラメータを更新できる。
【0011】
本発明の請求項5による基地局装置は、請求項4において、前記新設基地局及び自局の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を含んだ測定報告を前記移動局から取得した場合にのみ、前記測定報告に基づいて前記識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を更新するパスロス更新手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード設定部106及び基地局識別子・スクランブリングコード報知更新部110に対応)と、前記測定報告を取得した場合に、自局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を、前記新設基地局に送信するパスロス通知手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード設定部106及び送信部102に対応)とを更に含むことを特徴とする。この請求項は、後述する既設基地局1001、1002についての請求項である。このような構成を採用すれば、パスロス値を取得した新規基地局が、そのパスロス値に基づいて、より高精度にパラメータを更新できる。
【0012】
本発明の請求項6による基地局装置は、請求項4又は5において、前記新設基地局及び自局以外の基地局についての識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を、前記移動局から取得した場合に、該基地局に対し、該基地局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組の全てを前記新設基地局に通知するように要求する無線通信用報知パラメータ通知要求手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード通知部108及び送信部102に対応)を更に含むことを特徴とする。この請求項は、後述する既設基地局1001、1002についての請求項である。このような構成を採用すれば、新設基地局から遠い位置にある基地局の報知情報をも考慮して、より適切に識別子と無線通信用パラメータとの組を設定できる。
【0013】
本発明の請求項7による基地局装置は、請求項5又は請求項6において、前記パスロス更新手段は、前記測定報告を複数の移動局から取得した場合に、前記パスロス値の測定値に対する平均値及び該測定値の最小値のいずれか一方を該パスロス値の更新値とすることを特徴とする。この請求項は、後述する既設基地局1001、1002についての請求項である。このような構成を採用すれば、より高精度にパラメータを更新できる。
【0014】
本発明の請求項8による基地局装置は、請求項5から請求項7までのいずれか1項において、前記パスロス通知手段は、前記測定報告を、所定数の移動局から取得した場合に、自局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を、前記新設基地局に送信する。この請求項は、後述する既設基地局1001、1002についての請求項である。このような構成を採用すれば、より高精度にパラメータを更新できる。
【0015】
本発明の請求項9による基地局装置は、自局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組の全てを、新規に設けられた新設基地局に通知するように他の基地局から要求された場合に、それら組の全てを前記新設基地局に通知する無線通信用報知パラメータ通知応答手段(後述する図3中の基地局識別子・スクランブリングコード設定部106及び送信部102に対応)を含むことを特徴とする。この請求項は、後述する既設基地局1003についての請求項である。このような構成を採用すれば、新設基地局から遠い位置にある基地局の報知情報をも考慮して、より適切に識別子と無線通信用パラメータとの組を設定できる。
【0016】
本発明の請求項10による移動局装置は、自局が接続可能な基地局の送信電力と自局の受信電力の電力差であるパスロス値を測定するパスロス測定手段(後述する図6中のスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306に対応)と、前記パスロス測定手段によって測定したパスロス値を前記基地局に通知する通知手段(後述する図6中のスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306及び送信部302に対応)とを含むことを特徴とする。このような構成を採用すれば、基地局側がパスロス値を取得することができ、基地局側においてより適切に識別子と無線通信用パラメータとの組を設定できる。
【0017】
本発明の請求項11による無線通信用パラメータ更新方法は、新設時に無線アクセスネットワークへの編入および無線通信に必要なパラメータの設定を自動で行う基地局と該基地局が形成するセルに所属する移動局とが通信を行う無線通信システムにおいて、新設された新設基地局の形成するセルに隣接するセルを形成する既設の既設基地局の識別子と無線通信用のパラメータとの組を、前記新設基地局が形成するセルに所属する移動局に前記新設基地局が報知するための無線通信用パラメータ更新方法であって、
新設基地局が、自局の基地局識別子と無線通信用パラメータとの組を設定するステップ(後述する図5中のステップS1102に対応)と、
近傍の第1の既設基地局に対し、前記新設基地局が、自局の基地局識別子と無線通信用パラメータとの組を通知するステップ(後述する図5中のステップS1104、S1108、S1112に対応)と、
前記新設基地局からの基地局識別子と無線通信用パラメータとの組の通知に基づき、前記第1の既設基地局が、該第1の既設基地局が形成するセルに所属する移動局に報知していた基地局識別子と無線通信用パラメータとの組に、前記新設基地局の基地局識別子と無線通信用パラメータとの組を加えて、前記移動局に報知するステップ(後述する図5中のステップS1114、S1116に対応)と、
前記第1の既設基地局から報知された前記識別子と無線通信用パラメータとの組全ての中で、前記移動局が接続可能な基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組における基地局の送信電力と移動局の受信電力の電力差であるパスロス値を含む測定報告を、前記第1の既設基地局が前記移動局から受信するステップ(後述する図5中のステップS1118、S1122に対応)と、
前記第1の既設基地局が、前記新設基地局及び前記第1の既設基地局の両方の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を含んだ測定報告を前記移動局から受信した場合にのみ、前記パスロス値の測定報告に基づき識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値の保持値を更新するステップ(後述する図5中のステップS1120、S1124に対応)と、
前記第1の基地局のうち、自局及び前記新設基地局の両方の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を含んだ測定報告を前記移動局から受信した第2の既設基地局において報知している全ての識別子と無線通信用パラメータとの各組におけるパスロス値の保持値を、前記第2の既設基地局が前記新設基地局に通知するステップ(後述する図5中のステップS1128、S1130に対応)と、
前記第2の既設基地局において、前記移動局から前記新設基地局及び前記第2の既設基地局に加えて第3の既設基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロスの測定報告が通知された場合、前記第2の既設基地局が前記第3の既設基地局に対し、前記第3の既設基地局が報知している全ての識別子と無線通信用パラメータとの組を、前記新設基地局に通知するように要求するステップ(後述する図5中のステップS1126に対応)と、
前記要求に基づいて、第3の既設基地局が報知している全ての前記識別子と無線通信用パラメータとの組を、前記第3の既設基地局が前記新設基地局に通知するステップ(後述する図5中のステップS1132に対応)と、
前記新設基地局は、前記第2の既設基地局から通知された全ての識別子、無線通信用パラメータにおけるパスロスの保持値、前記第3の既設基地局から通知された全ての識別子、及び、前記無線通信用パラメータに基づいて、前記新設基地局が報知する識別子と無線通信用パラメータとの組を更新するステップ(後述する図5中のステップS1134に対応)と、
を含むことを特徴とする。このような更新方法を採用すれば、より高精度にパラメータを更新することができる。なお、基地局同士が近傍かどうかについては、基地局同士の間の経路長に基づいて判定できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明は、パスロス測定値と周辺基地局の報知用無線通信パラメータとに基づいて、基地局が形成するセルに所属する移動局に基地局が報知すべき基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組をより高精度に自動設定できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、同一機能を有する部分には同一符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
(無線アクセスネットワークの構成例)
本実施形態にかかる無線アクセスネットワークの構成例について、図1を参照して説明する。同図(a)は基地局新設前の状態、同図(b)は基地局新設後の状態、をそれぞれ示している。
【0020】
本例にかかる無線アクセスネットワークでは、隣接する複数のセルにおいて、セルに所属する移動局とセルを形成する各基地局が同一周波数帯を共有して通信を行うCDMA(Code Division Multiple Access)セルラシステムが採用されている。このネットワークは、基地局100i(iは自然数)と、制御ルータ200k(kは自然数)とを含んで構成されている。本例では、同図に示されているように、基地局1001〜1003と、制御ルータ2001及び2002とがネットワークに設けられている。そして、セルを形成する基地局毎に異なる下りスクランブリングコード、すなわち下り回線を用いて送信する際に使用する拡散符号が設定される。また、セルを形成する基地局毎に、基地局が形成するセルに所属する移動局に報知する、セルの周辺に位置するセルを形成する周辺基地局の基地局識別子とスクランブリングコードとの組が設定される。
【0021】
同図(a)を参照すると、本例では、基地局1001において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1002及び基地局1001(つまり自局)である。基地局1002において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1001及び基地局1002(つまり自局)である。基地局1003において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1003(つまり自局のみ)である。
【0022】
なお、本例にかかる無線アクセスネットワークは、CDMAのFDD(frequency Division Duplex)方式とTDD(Time Division Duplex)方式を想定している。また、本実施例にかかる無線アクセスネットワークは、CDMA(Code Division Multiple Access)セルラシステム以外にも、TDMA(Time Division Multiple Access)セルラシステムやFDMA(Frequency Division Multiple Access)セルラシステムを想定してもよい。
【0023】
各基地局1001、1002および1003は制御ルータ2001および2002のいずれかに収容される。本例では、図1(a)に示されているように、当初は、基地局1001および1002が制御ルータ2001に、基地局1003が制御ルータ2002に収容される。その後、同図(b)に示されているように、基地局1004が新設され、制御ルータ2001に収容される。この結果、同図(b)を参照すると、本例では、基地局1001において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1002、基地局1004及び基地局1001(つまり自局)である。基地局1002において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1001、基地局1004及び基地局1002(つまり自局)である。基地局1003において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1003(つまり自局のみ)である。基地局1004において、スクランブリングコード及び基地局識別子を報知する対象の基地局は、基地局1001、基地局1002及び基地局1004(つまり自局)である。
【0024】
基地局1001ないし1004は、基地局同士の組合せにおいて、制御ルータ200を通じて相互に接続される。また、基地局100は、自基地局が報知する周辺基地局の基地局識別子とスクランブリングコードとの組を保持し、その内容について基地局同士で照会することができる。
なお、基地局100iの識別子などのシステム全体で一意性を保持する必要があるものについてはサーバ等を設けて管理し、制御ルータから照会できるようにしてもよい。例えば、図2に示されているように、各基地局の識別子を管理するためのサーバ400を設け、インターネット500を介して、各基地局100iや、制御ルータ200kからサーバ400にアクセスして照会を行うようにすれば良い。
【0025】
同図中のサーバ400は、制御ルータ200kおよび基地局100iと論理的に繋がっているが、制御ルータと基地局との間のノード構成にあるような階層上の関係を採用しなくてもよい。すなわち、サーバ400と基地局100iとの間で基地局識別子を送受する場合には、制御ルータ200kを介さずにデータ転送ができるような構成してもよい。逆に、制御ルータ200kを介して基地局識別子を送受しなければならない構成にしてもよい。
【0026】
また、設けるサーバの数については、特に制限はない。同図に示されているようにシステム全体でサーバを1つ設けてもよいし、例えば負荷分散を行うことを目的としてサーバを複数設けてもよい。
なお、図1及び図2では、基地局1001、1002及び1004が制御ルータ2001の配下に所属し、基地局1003が制御ルータ2002の配下に所属しているが、このような所属関係に限定されず、どのような所属関係であっても良い。
【0027】
(基地局の構成例)
次に、図1中の基地局100iの構成例について、図3を参照して説明する。図3において、本例の基地局100iは、各種信号を外部に送信するための送信部102と、各種信号を外部から受信するための受信部104と、送信部102および受信部104と接続された基地局識別子・スクランブリングコード設定部106と、送信部102およびスクランブリングコード設定部106と接続された基地局識別子・スクランブリングコード通知部108と、送信部102、受信部104、スクランブリングコード設定部106および基地局識別子・スクランブリングコード通知部108と接続された基地局識別子・スクランブリングコード報知更新部110とを含んで構成されている。
【0028】
このような構成において、基地局100iの識別子および下りスクランブリングコードの設定内容を、基地局識別子・スクランブリングコード設定部106により設定する。送信部102は、上記下りスクランブリングコードで拡散した制御チャネルにより上記基地局識別子の送信を開始する。
基地局識別子・スクランブリングコード通知部108は、送信部102により、自基地局に設定した上記基地局識別子および下りスクランブリングコードを、他の基地局100に向けて送信する。また、受信部104より、自基地局が形成するセルの周辺に位置するセルを形成する周辺基地局が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組と、上記周辺基地局が記憶する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組におけるパスロスの保持値を受信し、基地局識別子・スクランブリングコード報知更新部110において、自基地局が形成するセルに所属する移動局に報知する基地局識別子と無線通信用パラメータとの組の更新を行う。
【0029】
(制御ルータの構成例)
次に、図1中の制御ルータ200kの構成例について、図4を参照して説明する。図4において、本例の制御ルータ200kは、各種信号を外部に送信するための送信部202と、各種信号を外部から受信するための受信部204と、送信部202および受信部204と接続された基地局識別子割り当て部206とを含んで構成されている。
このような構成において、新設された基地局の識別子がサーバから送信され、受信部204より受信される。基地局識別子割り当て部206は、送信部202を介して、上記新設基地局に上記基地局識別子を送信する。
【0030】
(基地局間の信号のやり取り)
次に、新設された基地局が設定した下りスクランブリングコードで拡散した制御チャネルにより上記新設基地局の識別子の送信を開始してから、上記新設基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を自動設定する場合の動作について、図5を参照して説明する。同図には、新設基地局1004と既設基地局1001〜1003との信号のやり取りが示されている。
【0031】
同図において、新設基地局1004は、自局に設定した下りスクランブリングコードで拡散した共通制御チャネルにより、自局の識別子の送信を開始する(ステップS1102)。その後、新設基地局1004は、既設基地局1001〜1003に対し、新設基地局1004における基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を、既設基地局1001〜1003が報知している基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に追加するように要求する(ステップS1104、ステップS1108、ステップS1112)。
【0032】
新設基地局1004からの基地局識別子、スクランブリングコードの追加要求の信号を、ある一定の所要時間以内という条件と一定のルータ中継数以内という条件との少なくとも一方の条件で受信することのできた既設基地局1001および1002は、自基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に、新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を追加する(ステップS1106、ステップS1110)。一方、上記の条件で受信することのできなかった既設基地局1003は、新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を追加しない(ステップS1112)。
【0033】
新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を、報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に追加した既設基地局1001および1002は、上記新設基地局1004からの基地局識別子、スクランブリングコードの追加要求に対する応答を返す(ステップS1114、ステップS1116)。
【0034】
新設基地局1004の共通制御チャネルを受信可能な移動局(Mobile Station;MS)3001および3002は、新設基地局1004の下りスクランブリングコードと基地局識別子とを新たに同定し、所属する既設基地局1001および1002に対し、移動局が所属する既設基地局1001および1002と新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に対するパスロスの測定報告を通知し、これを既設基地局1001および1002が受信する(ステップS1118、ステップS1122)。既設基地局1001および1002は、このパスロスの測定報告に基づき、既設基地局1001および1002が保持するパスロスの保持値を更新する(ステップS1120、ステップS1124)。
【0035】
仮に、移動局(Mobile Station;MS)3002の測定報告において、移動局が所属する既設基地局1002と新設基地局1004に加えて、既設基地局1003の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に対するパスロスが含まれる場合、この測定報告を受信した既設基地局1002は、既設基地局1003に対し、既設基地局1003が報知している全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を、新設基地局1004に通知するように要求する(ステップS1126)。
【0036】
ここで、既設基地局は、自局と新設基地局に加えて、他の既設基地局の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に対するパスロスが含まれている場合に、他の既設基地局に新設基地局に通知要求を行う。ただし、自局と新設基地局のパスロスのみが含まれている場合(すなわち他の既設基地局のパスロスの通知が含まれない場合)には、通知要求を行わない。本例の場合、既設基地局1002は、自局と新設基地局に加えて、既設基地局1003の基地局識別子と下りスクランブリングコードの組に対するパスロスが含まれている測定報告を受信している。これに対し、既設基地局1001は、自局と新設基地局のパスロスのみ含まれている測定報告を受信しているので、既設基地局1002のみ、既設基地局1003へ通知の要求を行う。
【0037】
移動局MS3001および3002から上記パスロスの測定報告を受信した既設基地局1001および1002は、自基地局が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組と、それらの組におけるパスロスの保持値を新設基地局1004に転送する(ステップS1128、ステップS1130)。
既設基地局1002から、既設基地局1003が報知している基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を新設基地局1004に通知するように要求を受けた既設基地局1003は、自基地局が報知している基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を、新設基地局1004に転送する(ステップS1132)。
【0038】
新設基地局1004のスクランブリングコード設定部106では、転送された既設基地局1001および1002が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組と、それらの組に対応するパスロス値の保持値および既設基地局1003が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を参照し、新設基地局1004が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を設定する(ステップS1134)。
【0039】
また、新設基地局1004は、自基地局が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に対応する既設基地局1001〜1003のうち、新設基地局1004の基地局識別子とスクランブリングコードとの組を、報知する基地局識別子とスクランブリングコードとの組として未だ追加していない既設基地局1003に対し、新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を追加するように要求する(ステップS1136)。この要求を受信した既設基地局1003は、自基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に対し、新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を追加する(ステップS1138)。そして、既設基地局1003は、新設基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の追加が完了したことを新設基地局1004に通知する(ステップS1140)。
【0040】
以上のように、新設基地局の報知用無線通信パラメータを設定する場合に、移動局から通知される周辺基地局のパスロス測定値と周辺基地局の報知用無線通信パラメータとに基づいて更新を行っているので、より高精度にパラメータを更新することができる。
【0041】
(移動局の構成例)
次に、移動局300m(mは自然数)の構成例について、図6を参照して説明する。同図において、移動局300mは、各種信号を外部に送信するための送信部302と、各種信号を外部から受信するための受信部304と、送信部302および受信部304と接続されたスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306とを含んで構成されている。この移動局は、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型コンピュータなどのモバイル機器である。
【0042】
スクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306は、基地局100iの識別子、基地局100iの下りスクランブリングコードを、送信部302により既設基地局100iに報告する。また、スクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306は、基地局100iの送信電力と移動局における受信電力との差(すなわち、パスロス)等を測定し、送信部302により既設基地局100iに報告する。
【0043】
移動局300mのスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306は、測定報告の宛先となる基地局1001〜1003および新設基地局1004以外にも同時に測定することのできた基地局の識別子、下りスクランブリングコード、パスロス等を報告する。ただし、ここでは説明の都合上、測定報告の宛先となる基地局1001〜1003、及び、新設基地局1004のみとの間のパスロスを測定することのできた場合について述べる。
【0044】
(測定報告の例)
次に、移動局300から基地局100に報告される情報(測定報告)について、図7を参照して説明する。
同図に示されているように、移動局MS3001のスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306は、既設基地局1001宛に、宛先の基地局1001の下りスクランブリングコード「Sc#1」と基地局識別子「BSid#1」との組におけるパスロス「PL#1」と、新設された基地局1004の下りスクランブリングコード「Sc#4」と基地局識別子「BSid#4」との組におけるパスロス「PL#4」とを、測定報告として送信する。
【0045】
また、移動局MS3002のスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306は、既設基地局1002宛に、宛先の基地局1002の下りスクランブリングコード「Sc#2」と基地局識別子「BSid#2」との組におけるパスロス「PL#2」と、新設された基地局1004の下りスクランブリングコード「Sc#4」と基地局識別子「BSid#4」との組におけるパスロス「PL#4」とを、測定報告として送信する。さらに、移動局MS3002においては、基地局1002および新設基地局1004に加えて接続可能な基地局1003の下りスクランブリングコード「Sc#3」と基地局識別子「BSid#3」との組におけるパスロス「PL#3」を、測定報告として送信する。
なお、移動局MS300mのスクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部306は、基地局の識別子、下りスクランブリングコード、パスロス以外にも、受信レベルや制御チャネルの到達時間差などを報告するようにしてもよい。
【0046】
(新設基地局への情報送信方法)
次に、既設基地局1001および1002が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組と、それらの組におけるパスロスの保持値と、既設基地局1003が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組とを、基地局1001〜1003が新設基地局1004に送信する方法について、図8を参照して説明する。
【0047】
同図において、既設基地局1001および1002は、自基地局が形成するセルに所属する移動局300mから受信したパスロスの受信報告のうち、接続中の既設基地局1001および1002に加え、新設基地局1004における基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組のパスロスを含む場合にのみ、基地局識別子と下りスクランブリングコードとの各組におけるパスロスの保持値の更新を行う。例えば、既設基地局1001は、同図中の移動局3001から取得した測定報告を対象として、パスロス保持値の更新を行う(S1a)。一方、取得できなかった測定報告(同図中の×印)は、パスロス保持値の更新対象にはならない(S1b)。既設基地局1002も同様に、同図中の移動局3002から取得した測定報告を対象として、パスロス保持値の更新を行い(S2a)、取得できなかった測定報告(同図中の×印)は、パスロス保持値の更新対象にはならない(S2b)。なお、基地局識別子と下りスクランブリングコードとの各組における、現在まで受信したパスロスの測定値の平均値または最小値に基づいて、パスロス保持値を更新してもよい。
【0048】
既設基地局1001および1002は、パスロスの保持値を更新する対象のパスロス測定報告をある一定の数だけ受信すると、パスロスの保持値の更新処理を終了する。そして、既設基地局1001および1002は、新設基地局1004に、既設基地局1001および1002が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組と、それらの組におけるパスロスの保持値とを通知する。この通知は、制御ルータ2001を介して新設基地局1004に送信される(S3)。
【0049】
また、既設基地局1001および1002は、自基地局と新設基地局1004以外の基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組におけるパスロスの保持値を記憶している場合、基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に対応する既設基地局1003に対し、既設基地局1003が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を、新設基地局1004に送信するように要求する(S4)。この要求に基づいて、既設基地局1003は、自基地局が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を、新設基地局1004に送信する(S5)。
【0050】
新設された基地局1004は、基地局識別子、スクランブリングコード報知更新部110において、通知された各基地局1001および1002が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組と、それらの組におけるパスロスの保持値と、各基地局1003が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組に基づいて、新設基地局1004が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を自局に設定する。
【0051】
(基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の例)
図9は、基地局識別子・スクランブリングコード報知更新部110において生成した新設基地局1004が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の例を示す図である。
同図を参照すると、既設基地局1001においては、優先順位の降順に、下りスクランブリングコード「Sc#2」と基地局識別子「BSid#2」との組、同じく「Sc#3」と「BSid#3」との組、同じく「Sc#a」と「BSid#a」との組、同じく「Sc#b」と「BSid#b」との組、同じく「Sc#1」と「BSid#1」とパスロス(PL)保持値「α」との組、が設定されている。
【0052】
また、既設基地局1002においては、優先順位の降順に、下りスクランブリングコード「Sc#1」と基地局識別子「BSid#1」との組、同じく「Sc#3」と「BSid#3」とパスロス(PL)保持値「γ」との組、同じく「Sc#b」と「BSid#b」との組、同じく「Sc#a」と「BSid#a」との組、同じく「Sc#2」と「BSid#2」とパスロス(PL)保持値「β」との組、が設定されている。
【0053】
さらに、既設基地局1003においては、優先順位の降順に、下りスクランブリングコード「Sc#1」と基地局識別子「BSid#1」との組、同じく「Sc#2」と「BSid#2」との組、同じく「Sc#a」と「BSid#a」との組、同じく「Sc#c」と「BSid#c」との組、同じく「Sc#3」と「BSid#3」との組、が設定されている。
【0054】
以上のような設定状態において、基地局1004に設定される内容は、以下のように決定する。すなわち、基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の優先順位の最上位には、既設基地局1001〜1003が報知する全ての基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組のうち、パスロスの保持値が通知されている隣接基地局(以下、第1の隣接基地局と称する)の下りスクランブリングコードと基地局識別子の組とが設定され、その下位に、パスロスの保持値が通知されていない隣接基地局(以下、第2の隣接基地局と称する)の下りスクランブリングコードと基地局識別子の組とが設定される。本例では、基地局1001及び1002が「第1の隣接基地局」、基地局1003が「第2の隣接基地局」となる。
【0055】
ここで、第1隣接基地局同士の優先順位については、既設基地局1001および1002から通知されるパスロスの保持値が小さい第1隣接基地局を、より上位とする。本例では、測定報告されたパスロス値は、値の小さい順に、「α」、「β」、「γ」である。なお、複数の基地局100から同一の第1隣接基地局における下りスクランブリングコードと基地局識別子の組に対するパスロスの保持値を受信した場合、パスロスの保持値の平均値または最小値を用いて、他の第1隣接基地局のパスロスの保持値と比較してもよい。
【0056】
また、第2隣接基地局同士の優先順位については、第1隣接基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の中で出現回数が多い第2隣接基地局を、より上位とする。仮に、第2隣接基地局同士の出現回数が同一の場合には、パスロス値の測定報告が小さい第1隣接基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組である第2隣接基地局を、より上位とする。さらに、第2隣接基地局同士が、パスロスの測定報告の小さい、同一の第1隣接基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組である場合には、パスロス値の測定報告が小さい第1隣接基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の中で優先順位の高い第2隣接基地局を、より上位とする。つまり、「出現回数」、「パスロス値が小の基地局」、「優先順位」の順序で設定順序を決定する。最後に、新設の基地局1004の基地局識別子と下りスクランブリングコードとを、その基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組として設定する。
【0057】
以上により、新設の基地局1004には、優先順位の降順に、下りスクランブリングコード「Sc#1」と基地局識別子「BSid#1」との組、同じく「Sc#2」と「BSid#2」との組、同じく「Sc#3」と「BSid#3」との組、同じく「Sc#a」と「BSid#a」との組、同じく「Sc#4」と「BSid#4」との組、が設定される。
【0058】
ところで、基地局100が報知できる基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の数は有限である。このため、設定した基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の数が上限値(本例では「5」)を超える場合には、基地局識別子、スクランブリングコード報知更新部110は、自基地局の下りスクランブリングコードと識別子との項を残して優先順位の低い項を削除する。そして、この上限値を超えている場合、基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の設定処理は完了となる。
【0059】
上述した例によれば、新設された基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組を設定する場合、新設基地局が形成するセルの隣接に位置する複数の基地局において報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組の中で、出現回数が同一となるようなスクランブリングコードと基地局識別子との組が複数存在しても、スクランブリングコードと基地局識別子との組に優先度をつけて、新設基地局が報知する基地局識別子と下りスクランブリングコードとの組として設定することができる。
(変形例)
上述した実施形態では、CDMAシステムの場合に、他の基地局の下りスクランブリングコードと重複しない下りスクランブリングコードを設定しているが、TDMAシステムやFDMAシステムについても本発明を適用することができる。すなわち、TDMAセルラシステムの場合には、新設基地局が報知するタイムスロットと基地局識別子との組の設定、FDMAセルラシステムの場合には、新設基地局が報知する周波数帯域と基地局識別子との組の設定についても同様に、無線通信用のパラメータを設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複数のユーザが無線伝送路を共有して同時に通信を行う多元接続方式のシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態にかかる基地局が新設される場合の無線アクセスネットワークの構成を示す説明図である。
【図2】図1の無線アクセスネットワークにおいて、各基地局の識別子を管理するためのサーバを追加した構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる制御ルータの構成を示すブロック図である。
【図5】新設基地局が報知する基地局識別子とスクランブリングコードとを更新する処理を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる移動局の構成を示すブロック図である。
【図7】移動局から基地局に報告される情報を示す図である。
【図8】既設基地局の報知している基地局識別子・スクランブリングコード・パスロス保持値が新設基地局に通知される様子を示す図である。
【図9】周辺基地局の報知する基地局識別子、スクランブリングコード、パスロスに基づき新設基地局が報知する基地局識別子、スクランブリングコードを設定する処理を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
102、202、302 送信部
104、204、304 受信部
106 基地局識別子・スクランブリングコード設定部
108 基地局識別子・スクランブリングコード通知部
110 基地局識別子・スクランブリングコード報知更新部
206 基地局識別子割り当て部
306 スクランブリングコード・基地局識別子・パスロス測定部
400 サーバ
500 インターネット
1001〜1004 基地局
2001、2002 制御ルータ
3001、3002 移動局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組を、自局近傍の他の基地局に通知する無線通信用パラメータ通知手段と、前記他の基地局と移動局との間のパスロス値、受信レベル、及び、制御チャネルの到達時間差のうちの少なくとも1つと、該他の基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組とを取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得した情報に基づいて、自局が報知する識別子と無線通信用パラメータとの組を設定更新する無線通信用報知パラメータ更新手段とを含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項2】
前記無線通信用報知パラメータ更新手段は、基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組について、設定されているパスロス値のより小さいものを優先的に報知する組として設定し、パスロス値が同一の場合は出現回数の多い組を優先的に報知する組として設定することを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項3】
前記無線通信用報知パラメータ更新手段は、基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組について、設定されているもののうち出現回数の多いものを優先的に報知する組として設定し、出現回数が同一のものについては設定されているパスロス値のより小さいものを優先的に報知する組として設定することを特徴とする請求項1記載の基地局装置。
【請求項4】
新規に設けられた新設基地局から、該基地局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得した情報を、自局を識別するための識別子と無線通信用パラメータとの組と共に、自局が形成するセルに所属する移動局に報知する無線通信用パラメータ報知手段とを含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項5】
前記新設基地局及び自局の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を含んだ測定報告を前記移動局から取得した場合にのみ、前記測定報告に基づいて前記識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を更新するパスロス更新手段と、前記測定報告を取得した場合に、自局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を、前記新設基地局に送信するパスロス通知手段とを更に含むことを特徴とする請求項4記載の基地局装置。
【請求項6】
前記新設基地局及び自局以外の基地局についての識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を、前記移動局から取得した場合に、該基地局に対し、該基地局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組の全てを前記新設基地局に通知するように要求する無線通信用報知パラメータ通知要求手段を更に含むことを特徴とする請求項4又は5記載の基地局装置。
【請求項7】
前記パスロス更新手段は、前記測定報告を複数の移動局から取得した場合に、前記パスロス値の測定値に対する平均値及び該測定値の最小値のいずれか一方を該パスロス値の更新値とすることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の基地局装置。
【請求項8】
前記パスロス通知手段は、前記測定報告を、所定数の移動局から取得した場合に、自局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を、前記新設基地局に送信する請求項5から請求項7までのいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項9】
自局が報知している識別子と無線通信用パラメータとの組の全てを、新規に設けられた新設基地局に通知するように他の基地局から要求された場合に、それら組の全てを前記新設基地局に通知する無線通信用報知パラメータ通知応答手段を含むことを特徴とする基地局装置。
【請求項10】
自局が接続可能な基地局の送信電力と自局の受信電力の電力差であるパスロス値を測定するパスロス測定手段と、前記パスロス測定手段によって測定したパスロス値を前記基地局に通知する通知手段とを含むことを特徴とする移動局装置。
【請求項11】
新設時に無線アクセスネットワークへの編入および無線通信に必要なパラメータの設定を自動で行う基地局と該基地局が形成するセルに所属する移動局とが通信を行う無線通信システムにおいて、新設された新設基地局の形成するセルに隣接するセルを形成する既設の既設基地局の識別子と無線通信用のパラメータとの組を、前記新設基地局が形成するセルに所属する移動局に前記新設基地局が報知するための無線通信用パラメータ更新方法であって、
新設基地局が、自局の基地局識別子と無線通信用パラメータとの組を設定するステップと、
近傍の第1の既設基地局に対し、前記新設基地局が、自局の基地局識別子と無線通信用パラメータとの組を通知するステップと、
前記新設基地局からの基地局識別子と無線通信用パラメータとの組の通知に基づき、前記第1の既設基地局が、該第1の既設基地局が形成するセルに所属する移動局に報知していた基地局識別子と無線通信用パラメータとの組に、前記新設基地局の基地局識別子と無線通信用パラメータとの組を加えて、前記移動局に報知するステップと、
前記第1の既設基地局から報知された前記識別子と無線通信用パラメータとの組全ての中で、前記移動局が接続可能な基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組における基地局の送信電力と移動局の受信電力の電力差であるパスロス値を含む測定報告を、前記第1の既設基地局が前記移動局から受信するステップと、
前記第1の既設基地局が、前記新設基地局及び前記第1の既設基地局の両方の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を含んだ測定報告を前記移動局から受信した場合にのみ、前記パスロス値の測定報告に基づき識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値の保持値を更新するステップと、
前記第1の基地局のうち、自局及び前記新設基地局の両方の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロス値を含んだ測定報告を前記移動局から受信した第2の既設基地局において報知している全ての識別子と無線通信用パラメータとの各組におけるパスロス値の保持値を、前記第2の既設基地局が前記新設基地局に通知するステップと、
前記第2の既設基地局において、前記移動局から前記新設基地局及び前記第2の既設基地局に加えて第3の既設基地局の識別子と無線通信用パラメータとの組におけるパスロスの測定報告が通知された場合、前記第2の既設基地局が前記第3の既設基地局に対し、前記第3の既設基地局が報知している全ての識別子と無線通信用パラメータとの組を、前記新設基地局に通知するように要求するステップと、
前記要求に基づいて、第3の既設基地局が報知している全ての前記識別子と無線通信用パラメータとの組を、前記第3の既設基地局が前記新設基地局に通知するステップと、
前記新設基地局は、前記第2の既設基地局から通知された全ての識別子、無線通信用パラメータにおけるパスロスの保持値、前記第3の既設基地局から通知された全ての識別子、及び、前記無線通信用パラメータに基づいて、前記新設基地局が報知する識別子と無線通信用パラメータとの組を更新するステップと、
を含むことを特徴とする無線通信用パラメータ更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−116392(P2007−116392A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305240(P2005−305240)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】