説明

基材および被膜を備える積層体および複合層ならびにそれを作製するための方法および装置

本発明は、2枚のプラスチックフィルムと(場合によりその間の金属または金属酸化物層と)、トリアジン以外の有機化合物の層とを備える積層体であって、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度が約2N/インチ以上である積層体に関する。さらに本発明は、上記積層体に好適な複合層に関する。さらに本発明は、バリア性を改善するためのトリアジン以外の結晶性有機化合物を有する積層体に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、良好なバリアおよび接着性を有する2枚のプラスチックフィルムを備える積層体に関する。さらに本発明は、基材、金属または金属酸化物、および被膜を備える複合層、それを作製するための方法および装置に関する。
【0002】
積層体は、包装、電子、および他の産業において用いられている。積層体には、酸素または水蒸気透過度が低いなどの良好なバリア性が求められる場合が多い。プラスチックフィルムまたは薄い紙には、バリア性を改善するための1種またはそれ以上の層を塗布することが必要である。さらに、フィルム間の接着を十分に高くすることが必要である。例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは酸化ケイ素等の金属または金属酸化物を、基材、例えば、ポリオレフィンまたはポリエステルフィルムに塗布したものが周知である。このようなフィルムは包装または電子産業にも用いられている。この種のフィルムは良好なバリア性を有することができるが、バリア性を高めるために使用されるこの種の金属または金属酸化物層は加工が難しい場合がある。例えば、アルミナが塗布されたフィルムは、数ヶ月以内にさらなる加工を行えないほどに劣化する。したがって、次のステップを行う前に、アルミナ層にコロナ処理が施される。これにより加工に遅れが生じるのは明白であり、コストが嵩むことになる。また、金属または金属酸化物層は、例えば印刷またはさらなる加工によって微小レベルの損傷を受ける場合がある。金属または金属酸化物層をさらなる被膜で保護することができれば有利であろう。場合によっては、被膜が別個の加工ステップでオフラインで適用される。こうして得られた複合層は、接着剤を使用して、例えばさらなるポリオレフィンフィルムとさらに積層される。通常、メラミンのバリア薄膜は湿気によって劣化する。
【0003】
必要とされる堆積条件はごく温和であるものの、依然としてメラミンよりもバリア性の感湿性が低い、バリア性を有する層を提供することはさらに有利であろう。温和な堆積条件とは、蒸発温度が500℃未満であり、真空圧力が10−3ミリバール未満であることを意味する。アルミニウム等の無機物質と比較すると、蒸着は1500℃を超える堆積温度および10−3ミリバールを超える真空圧力で実施される。
【0004】
誘電体被膜として作用する層をこのように温和に堆積させるとさらに有利であろう。
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠点の少なくとも一部が克服された代替的なバリア薄膜を提供することにある。
【0006】
本発明のさらなる目的は、良好な加工性および良好なラミネート強度を有する、基材と、保護層を有する金属または金属酸化物バリア層とを備える積層体を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、基材と、インラインで適用することができる保護層を有する金属または金属酸化物バリア層とを備える複合層を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、基材と、蒸着された結晶性有機化合物と、金属または金属酸化物層とを備える複合層を提供することにある。金属または金属酸化物層および有機化合物は両方ともインラインで適用される。
【0009】
本発明の他の目的は、基材、バリア層が印刷適性を有するような、保護層を有する金属または金属酸化物バリア層を備える複合層を提供することにある。
【0010】
さらなる他の目的は、長期間保管した後の金属層の表面張力の一貫性を改善するのに有用なさらなる化合物を見出すことにある。
【0011】
本発明の積層体は、基材層と、プラスチックフィルムと、その間に蒸着されたトリアジン以外の結晶性有機化合物層とを備え、この積層体は、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度が約2N/25mm(インチ)以上であり、結晶性有機化合物によって積層体のバリア性が改善されている。
【0012】
他の実施形態においては、本発明の積層体は、基材層と、プラスチックフィルムと、その間に蒸着されたトリアジン以外の有機化合物層と、金属または金属酸化物層とを備え、この積層体は、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度が約2N/25mm(インチ)以上であり、結晶性有機化合物によって積層体のバリア性が改善されている。
【0013】
本発明の他の実施形態においては、積層体は、基材と、金属層と、蒸着されたトリアジン以外の結晶性有機化合物層と、さらなる金属層とを備える。この有機層は2つの金属層間の絶縁層として作用する。金属層の好適な例としては、これらに限定されるものではないが、アルミナ、クロム、銀、金、または銅が挙げられる。
【0014】
好ましくは、基材層もプラスチックフィルムである。
【0015】
基材は、プラズマ処理によって前処理されていてもよく、かつ/または下塗りを有していてもよい。好適な下塗りとしては、ポリアクリル酸エステル系被膜、エポキシ系被膜等の架橋性被膜が挙げられる。これらの被膜は、好ましくは、例えば、シリカ、二酸化チタン、酸化セリウム等のナノ粒子を含む。好ましい実施形態においては、硬化型シリカ系被膜は、高湿度下で安定なバリア層を得るのに非常に適していることが分かった。
【0016】
他の実施形態においては、本発明の複合層は、基材と、インラインで蒸着された保護層を有する金属または金属酸化物バリア層とを備える。
【0017】
本発明のさらなる実施形態においては、積層体は、有機化合物層およびプラスチックフィルムの間に接着層を含む。
【0018】
さらなる実施形態においては、積層体は、有機化合物層層上に模様または図形を有する。
【0019】
さらなる実施形態においては、フィルムは、印刷されていてもよい有機化合物層上に直接押出される。
【0020】
蒸着可能な結晶性有機化合物を用いて非常に有用な透明積層体を作製することができる。
【0021】
有機化合物層は、単層または最上層であってもよいが、有機化合物層上にさらなる層、例えば、さらなる金属または金属酸化物の層、トリアジンの層、印刷、またはポリマー層(ラミネートフィルム)を存在させることも可能である。
【0022】
本発明による有機化合物層は、原則として、結晶性トリアジン化合物とは別の任意の有機化合物を含んでいてもよい。例えば、メラミン、メラム、メレム、およびメロンは除外される。
【0023】
有機化合物は、好ましくは、分解温度よりも30℃低い場合の蒸気圧が約1Pa(0.01ミリバール)以上である。好ましくは、この蒸気圧は約10Pa以上である。通常、この蒸気圧は約1000Pa(100ミリバール)以下であろう。
【0024】
改善されたバリア性を得るためには、化合物は結晶性を有するべきであり、Tmは>50℃、好ましくは>100℃である。アルミナの活性を保護するために、有機化合物のTm(またはTgまたはゴム状からプラスチックへの相転移)が70℃以上、好ましくは100℃以上である。
【0025】
有機化合物のMwは、通常は1000未満であろう。好ましくは、この有機化合物は、表面上で重合しない。その理由は、実質的に加工上の問題を引き起こすためである。さらにこの有機化合物は、好ましくは、この化合物が基材に適切に接着するのに十分な極性を有するように、非脂肪族(したがって、エーテル、エステル、アミド、ケトン基等を有する)である。
【0026】
飽和圧力は、好ましくは、化合物のモル質量の平方根を、化合物が発熱体内で蒸発する絶対温度で除した値の4倍を超える。
【0027】
具体的な昇華熱は、好ましくは約0.5kJ/g以上、好ましくは約0.6kJ/g以上である。一般に、具体的な昇華熱は、好ましくは約2kJ/g以下、より好ましくは約1.5kJ/g以下、最も好ましくは約1.2kJ/g以下である。
【0028】
さらに好ましい実施形態においては、有機化合物は、水素結合を形成する能力を有する1種またはそれ以上の基、例えば、−NH、−OH、−COOH、−NRH等を含む。
【0029】
さらなる好ましい実施形態においては、有機化合物は、1種またはそれ以上の芳香族、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキシル、アダマンタン、シクロヘキセニル基等の環式基を含み、1種またはそれ以上の芳香族基が好ましい。
【0030】
さらなる好ましい実施形態においては、環式環は、酸素、硫黄、および好ましくは窒素等のヘトロジェネオス(hetrogeneous)原子を含む、ピリミジン等である。
【0031】
さらなる好ましい実施形態においては、有機化合物は、可撓性のあるスペーサ単位で結合された2個の芳香環を含む。この可撓性を有する単位は、−NH−または−CH−基を含んでいてもよい。
【0032】
好適な化合物の例としては、ピリミジントリオン、ピラン−2,4,6−トリオール、ビピリジン、ナフタレンヘキソール(naphthalenehexol)、ジアミノ−ジヒドロ−オキソ−ピリモジン(pyrimodine)、ミオ−イノシトール、ジアゾズスピロ(diazozspiro)−デカン−トリオン、ベンゼントリオール、シクロヘキサントリカルボン酸、ヒドロキシベンゼンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸エステル、9−メチルアントラセン、9−メチルカルバゾール、ジベンゾチオフェン、ノナン二酸、4,4’−アゾキシアニソール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、トリフェニルアミン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、アジピン酸、p−フェニルフェノール、p−アミノフェノール、アルミニウムアセトアセトナート(aluminiumacetoacetonate)、3−ヒドロキシ安息香酸、およびテレフタル酸の誘導体が挙げられる。
【0033】
予期せぬことに、有機化合物層は、金属(特にアルミナ)層を不活性化から保護する。保護されていないアルミナ層は、数ヶ月間保管した後に加工業者が積層体の作製を所望した場合は、コロナ処理を施す必要がある。有機層は、コロナ処理を実施する必要性を解消し、それによって費用を節減し、積層処理速度を向上させることが分かった。
【0034】
好ましい実施形態においては、有機化合物層は、バリア性も改善する。有機化合物層は、フィルムの印刷に用いられる軟質ロール(フレキソ)および硬質ロール(グラビア)印刷処理の両方の衝撃から金属または金属酸化物層を保護する助けとなる。
【0035】
さらなる好ましい実施形態においては、有機層は、金属または金属酸化物層を保護することだけでなく、本来印刷適性がより優れた化合物であるという理由から、印刷適性をさらに改善する。
【0036】
さらなる好ましい実施形態においては、有機層は、連続的な結晶層を形成する。メラミンは微結晶粒子の層を形成し、このような層は水が容易に侵入するという欠点を有している。連続的な結晶層は耐水性がより高いと考えられている。
【0037】
保護層が1つの処理シーケンスで(金属または金属酸化物を適用するステップの後、フィルムを再び巻き取ることなく)作製することができ、かつ保護層がバリア性をさらに改善することができる、バリア層および保護層を基材に設けることによって、非常に有用な複合層を得ることができる。
【0038】
蒸着ステップにおいて基材上に形成される有機化合物層の厚みはその意図された目的に依存し、したがって、幅広い範囲内で変化させることができる。好ましくは、層の厚みは約5μm以下、よりさらに好ましくは約1μm以下であり、その理由は、このように厚みがより薄くなると透明性が改善されるためである。厚みは、コスト上の理由で例えば約500nm以下であってもよい。最小の厚みは、好ましくは、約2nm以上、より好ましくは約10nm以上、よりさらに好ましくは約100nm以上であり、その理由は、このような厚みによって保護性が改善されるためである。例えば、厚みは、約200または300nm以上であってもよい。
【0039】
好ましくは、この複合層は、有機化合物側に接着剤およびプラスチックフィルムを積層した場合、引張試験装置を用いて30mm/分、90°で測定すると、約2.5N/インチ以上、より好ましくは約3N/インチ以上、よりさらに好ましくは約3.5N/インチ以上のラミネート強度を示すことができる。一般に、ラミネート強度の上限は重要ではないが、通常は約20N/インチ以下であろう。試験用の複合層の積層は、好ましくは適切なウレタン接着剤を用いて実施され、厚みが10μmのポリエチレンフィルムに積層される。その後、2枚のフィルムのラミネート強度を測定することができ、破壊様式を観察することができる。適切な接着剤は、接着剤層上に破壊様式が認められないような3.5N/インチ未満の接着強度を有する接着剤である。接着は、プラスチックフィルムが破壊するほど高くてもよい。この場合、フィルムを破壊するのに要する力の値は、接着の値と解釈することができる。
【0040】
基材は、好ましくは、金属または金属酸化物の蒸着層を有する。好適な金属および酸化物としては、これらに限定されるものではないが、アルミニウム、銅、金、銀、鉄、マグネシウム、ケイ素、またはチタンが挙げられる。好ましい例としては、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または酸化ケイ素が挙げられる。
【0041】
金属または金属酸化物は、通常、蒸着またはスパッタリングによって基材上に適用される。この工程は、通常、真空中で実施される。金属または金属酸化物層の厚みは、通常は約1nm以上、好ましくは約3nm以上である。通常、この厚みは約100μm以下、好ましくは約40μm以下であろう。金属または金属層の基材に対する接着力は、好ましくは、2または3N/インチの引き裂き力に耐えるのに十分に強力である。接着力は基材に依存して異なる可能性があり、例えばポリオレフィンフィルムの場合は、未処理の基材と比較して接着力を改善することができる。金属または金属酸化物層のプラスチック層に対する接着強度を改善するための好ましい方法としては、基材のプラズマ、コロナ、UV放射、または電子線処理が挙げられる。
【0042】
基材は、担体としての役割を果たす材料を含み、これは、通常、フィルムまたは形状の形態のプラスチックまたは紙であろう。
【0043】
一般に、包装材は、軟包装および剛性包装に分けられる。軟包装材は、通常、フィルムまたはシート様材料(以下、フィルムと称する)をベースとする。一般に、剛性包装は、特定の形状(三次元形状)を有している。
【0044】
本発明による複合層、特に基材としてフィルムを有するものは、そのまま使用することもできるが、プラスチック、紙、板紙、金属、あらゆる形状に、または例えばペットボトル等の物品として、適用することもできる。
【0045】
剛性包装の場合、基材は、プラスチック材料、板紙、または紙材であってもよい。剛性包装の好適な例としては、ボトルまたは予備成形された包装箱が挙げられる。好ましい物品の例は、PETまたはPPから作製された物品である。
【0046】
本発明の一実施形態においては、層は、食品および飲料製品の包装体の一部である。最も好ましい包装用品としては、コーヒー豆もしくは挽いたコーヒー豆用の包装体またはビール用の包装体が挙げられる。
【0047】
予期せぬことに、他の実施形態においては、結晶性有機化合物層は、ソーラーシステムに使用するのに適している。その理由は、無機(結晶性および非晶質)または有機材料(色素増感)はどちらも酸素および水から保護しなければならないためである。有機化合物は、用途に応じたガラス、プラスチック、または金属を基材とする高剛性およびフレキシブル薄膜太陽電池用のバリアおよび封止材として理想的である。特に、結晶性有機化合物層は、これらに限定されるものではないが、光起電化合物(photovoltaic compound)として以下の材料を使用することを含む、様々な薄膜技術に基づく太陽電池セルの製造に好適である:カドミウムテルリド、銅−インジウムセレニド(CIS)、銅インジウムガリウムジセレニド(CIGS)、ガリウムヒ素(GaAs)多接合型、ハイブリッド電池、光吸収色素(DSSC)、有機/ポリマー太陽電池セル、シリコン薄膜(アモルファスシリコン、プロトクリスタルシリコン、およびナノ結晶シリコン)、およびナノ結晶太陽電池セル。現在は、酸化ケイ素またはアルミナがバリア層として使用される場合が多い。しかしながら、これらは技術が複雑であり、かつ非常にまたは極めて高い真空を用いるため、費用がかかり過ぎる。さらに、この層は脆い。
【0048】
下層および/または最上層としての1つ以上の有機化合物層を1つ以上の金属酸化物層と組み合わせることによってより適切な解決策が確実に得られることが分かった。
【0049】
本発明の他の実施形態においては、有機化合物層を重ねることによって損傷を受けやすい装置を効果的に保護することができる。好ましくは、有機化合物層は、例えばアクリル酸エステル系被膜等の中間平坦化層に重ねられる。同様に、有機化合物被膜は、フレキシブル太陽電池(flexible solar)用途に非常に好適である。
【0050】
例えば、色素増感型太陽電池セルは、透明導電性基板上に形成されたナノ粒子状チタニア(二酸化チタン)層を備え、色素の単層により光増感されている。ヨウ化物イオン−三ヨウ化物イオン酸化還元系に基づく電極が、光増感されたチタニアの層および第2の導電性触媒基材の間に配される。この方法は、柔軟な鋼を基材として用いたフレキシブル太陽電池の製造に使用することができる。活性な太陽電池構成要素(active solar component)(光起電性)を有する積層体を柔軟な鋼の上に積層することができる。別法として、この光起電性構成要素を、バリア層としての有機化合物(おそらく金属酸化物をベースとするものなどの他の透明バリア層と併用される)を有する鋼基材の上面に直接印刷してもよい。最終層として、鋼基材に最上保護層としての層状被膜を塗布してもよい。
【0051】
一実施形態においては、有機化合物は、フレキシブル太陽電池用途におけるバリア層として、好ましくは中間平坦化層と重ねて使用される。
【0052】
他の実施形態においては、有機化合物は、高剛性太陽電池用途におけるバリア層として、好ましくは中間平坦化層と重ねて使用される。
【0053】
予期せぬことに、さらなる他の実施形態においては、結晶性有機化合物層は、場合により有機化合物層を分離(decouple)するためのアクリル酸エステル等の層と組み合わせて、液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)または高分子発光ダイオード(PLED)または電気泳動ディスプレイまたはエレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL)または燐光発光ディスプレイ等のフレキシブルディスプレイを封止するためのバリア層として重ねて使用するのに十分に適している。無機または有機半導体デバイスに関わらず半導体回路が(例えば、個々の表示要素(ピクセルまたはサブピクセル)を駆動するために)埋め込まれたこのようなフレキシブルディスプレイにおいては、これらの半導体デバイスを封止するためにこの種の有機化合物バリア層を分離層と組み合わせて使用することもできる。フレキシブルディスプレイの場合、可撓性基材(これらに限定されるものではないが、PET、PEN、PES等)に、有機化合物の層および分離層(これらに限定されるものではないが、有機ポリマー、無機ポリマー、有機金属ポリマー、無機/有機ポリマーハイブリッド系、ケイ酸塩等)を繰り返し塗布してもよい。さらに、積層された有機化合物バリアに隣接して、損傷を受けやすい表示装置または任意的な半導体デバイスが適用されるであろう。任意的な半導体デバイスを封止するために、他の有機化合物バリアがこの半導体デバイスの上面に積層され、その上面に表示装置が適用される。これを封止するために、積層された有機化合物バリアを有する他の可撓性基材が表示装置の上面に装着される。表示装置を封止するための第2の可撓性基材を省略することができるOLED、PLED、EL、燐光発光性ディスプレイ等の場合は、損傷を受けやすい表示装置を湿気および酸素から保護するために、結晶性有機層バリアをその上面にインライン(真空中)で直接積層することができる。
【0054】
OLEDまたはPLEDディスプレイがガラスまたは金属封止を用いずに単一の硬質ガラス基材上に構築される他の実施形態においては、封止として1つ以上の有機化合物層を1つ以上の上記分離層と組み合わせて、他のOLEDディスプレイ積層体の上面にインライン(真空中)で直接塗布することができる。例えば、水バリアをさらに改善するための、フッ素化合物をベースとするさらなる層もインラインで塗布することができる。より高い保護を得るためにさらなる層をオフラインで塗布することができる。
【0055】
予期せぬことに、さらなる他の実施形態においては、結晶性有機化合物層は、液晶化合物に基づく(フレキシブル)ディスプレイまたは有機発光ダイオード(OLED)を製造するために、場合により金属酸化物をベースとする他の層と組み合わせて、バリア層として使用するのに十分に適している。フレキシブルディスプレイの場合、PET等の可撓性基材に、有機化合物の層および金属酸化物(酸化ケイ素または酸化アルミニウムまたはこれらの組合せ等)の層を繰り返し塗布することができる。高剛性OLEDディスプレイの場合、有機化合物層を保護層として他のOLED分子の上面にインライン(真空中)で直接塗布してもよい。例えば、水バリアをさらに改善するためのフッ素化合物をベースとするさらなる層もインラインで塗布してもよい。より高い保護を得るためにさらなる層をオフラインで塗布してもよい。さらに、積層された有機化合物層は、損傷を受けやすい装置を効果的に保護できることが分かった。好ましくは、有機化合物層は、例えばアクリル酸エステル系被膜等の中間平坦化層と積層される。
【0056】
同様に、有機化合物被膜は、フレキシブルエレクトロニクスにも非常に好適である。
【0057】
本発明の他の実施形態においては、積層体または複合層がディスプレイまたは他のエレクトロニクス製品、好ましくはフレキシブルエレクトロニクス製品の内部または表面上で使用される。フレキシブルエレクトロニクス製品の一例としては、フレキシブルディスプレイがある。
【0058】
他の実施形態においては、ディスプレイ(フレキシブルおよび高剛性の両方)を基礎とする有機発光ダイオード(OLED)および液晶ディスプレイにおいて有機化合物がバリア層として適用される。OLED化合物は、特に湿度および酸素の作用による影響を受けやすい。高剛性ディスプレイの現在の製造方法においては、OLED分子が真空蒸着される。最終的な高剛性ディスプレイは、酸素および湿気がディスプレイ装置内に拡散するのを防ぐために真空中で封止される。この方法は非常に費用および時間がかかる。驚くべきことに、本発明者らは、OLED分子の上面に結晶性有機化合物を最上層として直接適用すると、様々な種類の封止機構の適用を必要とすることなくこのようなディスプレイの寿命が大幅に延長されることを見出した。湿気バリアを増大させるために有機化合物層に様々な種類のフッ素系化合物等の蒸着可能な化合物を塗布することも可能である。蒸着可能な化合物の最終積層体(OLED/結晶性有機/フッ素化合物)の上面に、保護トップコートを様々な湿式方法を用いてオフラインで適用することができる。
【0059】
予期せぬことに、他の実施形態においては、結晶性有機化合物層は、プレコートおよびトップコートされた包装用金属蒸着紙に使用するのに十分に適している。現在の蒸着用紙は特殊な種類の紙であり、紙/クレーコート/プレコート/アルミナ/トップコートという構造を有する。この紙は、通常、表面を平滑にするためにカレンダにかけられる。次いで、紙製造業者によりクレーコートが紙に適用され、表面が一層平滑になる。次いで、この紙が蒸着に使用される。まず最初に、Al層の接着を高めるためのプレコートが適用され、次いで、アルミナ層が適用され、その後、印刷適性を生じさせるためのトップコートが適用される。プレコートおよびトップコートは両方ともオフラインで適用され、これは非常に費用がかかる。高温耐熱化合物等の特殊な結晶性有機化合物被膜は、プレコートとしてもトップコートとしてもインラインで適用することが可能であることが分かった。このために、3つの蒸発源を有するウェブコーターを使用することができる。まず最初に、結晶性有機化合物蒸発装置(プレコート)から結晶性被膜を、次いで、アルミニウム源、次いで、再び有機化合物をトップコートとして適用する。2つの結晶性有機層の一方は、他方がトリアジンでない限り、トリアジンであってもよい。この有機化合物は、特に、これらの蒸気圧が高い、すなわちAlの堆積の際にAlと有機化合物蒸気の混合を引き起こす昇華が起こらない場合は、理想的な材料である。その利点は、Alのバリアがより高いことと、非常に時間および費用がかかるオフラインのプレコートおよびトップコートが不要になることとにある。
【0060】
予期せぬことに、他の実施形態においては、有機化合物層は、所望の光学特性を有するバリア被膜としての用途に使用するのに十分に適している。すなわち、これらの有機化合物は、長波長(>500nm)を吸収しない。このことは、無機透明バリア材料よりも有利である。電子デバイスにおける用途に用いることが可能である。
【0061】
蒸着された結晶性有機層は、2つの金属(堆積)層の間の誘電体層(絶縁層)として用いてもよく、金属は、例えば、クロム、ジルコニウム、銅、金、または銀であってもよい。
【0062】
フィルムは、均質な材料からなるものであってもよいし、あるいはそれ自体が均質でないかまたは複合材料であってもよい。フィルムは様々な層を備えていてもよい。
【0063】
好ましくは、フィルムは、高分子材料を含む。高分子化合物の例は、熱可塑性化合物および熱硬化性化合物である。熱可塑性化合物の好適な例としては、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリエステル、およびポリアミドが挙げられる。さらなる好ましい熱可塑性化合物は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコリド酸(polyglycolideacid)(PGA)、コ−ポリ乳酸/グリコール酸(PLGA)等の生分解性ポリマーである。
【0064】
非分解性ポリマーの好適な例としては、HDまたはLDポリエチレン(PE)、LLDポリエチレン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。これらの熱可塑性化合物は、そのまままたは延伸のいずれかのフィルム形態で使用される場合が多く、このような延伸は、二軸性であってもよい。好適な例としては、キャストポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)、二軸延伸ポリアミド(BOPA)が挙げられる。フィルムは、紙の層も含んでいてもよい。
【0065】
積層体は、好ましくは、基材としてのプラスチックフィルムおよび1種のラミネートフィルムを有する。これらのプラスチックフィルムは同一であっても異なっていてもよく、好ましくは、両方とも上の一覧から選択される。
【0066】
本発明による複合層は、好ましいバリア性、例えば、低い酸素透過度(OTR)および低い水蒸気透過度(WVTR)を有しており、かつ十分な耐摩耗性を有している。したがって、本発明の複合層は、そのまま印刷および積層に使用することができる。
【0067】
OTRは、通常、30℃および70%RHの雰囲気中で測定される。一般に、好ましい値は、基材に応じて異なる。基材が20μmの二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)である場合、OTRは、通常、約40cc/m・24h以下、好ましくは約30cc/m・24h以下、よりさらに好ましくは約20cc/m・24h以下であろう。通常、BOPPの場合、OTRは約2cc/m・24h以上であろう。これは、例えば、約5cc/m・24h以上であってもよい。OTRは、好適な装置、例えばモダン・コントロール・コーポレーション(Modern Control Co.)製のオキシトラン(OXTRAN)2/20等で測定することができる。基材がPETフィルムの場合、OTRは通常、約15cc/m・24h以下、好ましくは約10cc/m・24h以下、よりさらに好ましくは約5cc/m・24h以下であろう。通常、BOPPの場合、OTRは約0.5cc/m・24h以上であろう。これは、例えば、約1または2cc/m・24h以上であってもよい。
【0068】
水蒸気透過度(WVTR)は、モダン・コントロール・コーポレーション製のパーマトラン(PERMATRAN)3/31を用いて、40℃、90%RHの雰囲気中で測定することができる。好ましい値は基材に応じて異なるであろう。例えば20μmのBOPPの場合、WVTRは、通常は約3g/m・24h以下、好ましくは約2g/m・24h以下、より好ましくは約1g/m・24h以下である。通常、水蒸気透過度は約0.1g/m・24h以上、例えば約0.2g/m・24h以上であろう。例えば、PETの場合、WVTRは、通常は約8g/m・24h以下、好ましくは約7g/m・24h以下、より好ましくは約4g/m・24h以下である。通常、水蒸気透過度は、約0.5g/m・24h以上、例えば約2g/m・24h以上であろう。
【0069】
好ましくは、積層体のOTRおよびWVTRは、他の基材を用いた場合も、前の2つの段落で示した値に一致する。
【0070】
場合により例えば印刷および積層によってさらに加工された複合層は、あらゆる種類の包装材(例えば、ボトル、紙、シート、およびフィルム)として用いるかまたはそれらに適用することができる。包装材は、その内容物を例えば酸素から非常に適切に保護し、このようにして食品の貯蔵寿命を延長するかまたは電子部品を酸素の攻撃から保護する。
【0071】
一実施形態においては、積層体は、基材としてのPETまたはBOPPフィルムと、上記基材上のバリア層としての金属または金属酸化物層と、金属層上の保護およびバリア層としての結晶性有機化合物層とを備え、この有機化合物層は模様または図形を有し、この積層体は、結晶性有機化合物層上に模様または図形ならびに接着剤と、その上にさらなるフィルム(ポリオレフィンフィルムであってもよく、好ましくは、PEフィルム等)とをさらに含む。
【0072】
本発明はまた、金属または金属酸化物層を有する基材上に有機化合物を蒸着することによって本発明による有機化合物層を適用する方法であって、
a)金属または金属酸化物層を減圧下で適用するステップと、
b)減圧下でこの被膜を維持しながら有機化合物を金属または金属酸化物層上に蒸着するステップと
を含む方法にも関する。
【0073】
基材に金属または金属酸化物層および有機化合物を同じ真空器具内で、ただし好ましくは別々の真空チャンバ内でインライン塗布することにより、十分に活性化したアルミナを有する複合層が得られ、それによって、例え3〜6ヵ月後に積層を行う場合であっても、十分な接着力が得られる。
【0074】
本発明の一実施形態においては、金属または金属酸化物を適用する前に基材にプレコートが適用される。これは、基材表面をより平坦にするのに有利であり、かつ/または接着力を改善することができる。
【0075】
本発明の一実施形態においては、層内の有機化合物は、x線回折により測定すると少なくとも80%が結晶化している。好ましくは、層内の有機化合物は、約90%以上、よりさらに好ましくは約95%以上、最も好ましくは約98%以上が結晶化している。
【0076】
さらなる他の実施形態においては、金属または金属酸化物層は、接着力を向上させるためにシランカップリング剤で処理されている。
【0077】
さらなる他の実施形態においては、金属または金属酸化物層は、接着力を向上させるためにウレタンポリマーまたはポリエステルで処理されている。
【0078】
好ましくは、基材は、約50℃以下の温度に維持されている。
【0079】
蒸着自体は当業者に周知の方法である。蒸着ステップは、減圧下、すなわち大気圧未満で実施される場合が多い。本発明による方法においては、圧力は、好ましくは約1000Pa(10ミリバール)未満、好ましくは約100Pa(1ミリバール)未満、よりさらに好ましくは約10Pa(0.1ミリバール)未満である。結晶性有機化合物の堆積が、金属または金属酸化物を堆積させるチャンバ内で実施される場合は、蒸着ステップを実施する圧力をさらに減圧することも同様に可能であるが、約1×10−2ミリバール未満の圧力がより好ましい。通常、蒸着ステップは、約1×10−3Pa(10−5ミリバール)以上、好ましくは約約1×10−2Pa(10−4ミリバール)以上で実施される。
【0080】
蒸着ステップの際の基材の温度は約−60℃以上、好ましくは約−30℃以上、より好ましくは約−20℃以上、最も好ましくは約15℃以上である。基材の温度は、通常、約+125℃以下、好ましくは約+100℃以下、より好ましくは約+80℃以下、最も好ましくは約30℃以下であろう。本明細書において、基材の温度は、基材の蒸着されていない部分の温度と定義される。例えば、蒸着ステップが、温度制御された塗布ドラム上に誘導されるフィルム上で実施される場合、基材の温度は、塗布ドラムが制御される温度、したがって、塗布ドラムに直に接触するフィルムの表面部分の温度である。このような場合、堆積すべき化合物が125℃よりもはるかに高い温度を有する場合が多いという事実を鑑みると、典型的には(周知のことであるが)、基材の堆積される面の温度が堆積されない面の温度より高くなるであろう。
【0081】
基材が確実に規定の温度を有するようにする方法はそれ自体周知である。基材が確実に規定の温度を有するようにするそのような方法の1つは、層が蒸着されない少なくとも一部分、一平面、または片面が基材に存在する場合に適用できる。次いで、上記部分、平面、または面を冷却または加熱された表面に接触させ、温度を所望の水準にして維持することができる。その例として、基材がフィルムである場合は、蒸着ステップは連続式の半回分式プロセスとして実施され、それによってフィルムの片面に層が蒸着されることになり、前記フィルムは、好ましくは塗布ドラムとしても周知の温度制御されたロール上に誘導され、これは、層が蒸着されないことになるフィルムの反対側の面が、蒸着ステップの前および/または途中および/または後に、温度制御されたロールと接触するような方法で実施される。
【0082】
本発明の装置は、基材上に真空中で金属または金属酸化物ならびに有機化合物を堆積させるための装置であって、巻き取りロールと、金属または金属酸化物堆積部分および有機化合物堆積部分を有する少なくとも1つの真空チャンバとを備え、有機化合物堆積部分は、有機化合物蒸発装置を含む。蒸発装置は、好ましくは真空チャンバ外部に配置されているが、真空チャンバ内への高温気体によって連絡している。このことは、塗布すべき次のロールを配置するために真空チャンバを開放する際に蒸発装置を運転温度のままに維持できるという利点がある。こうすることによって、有効なサイクル時間を増加させることができる。
【0083】
好ましくは、有機化合物堆積部分は、冷却ドラムを備える。
【0084】
以下の非限定的な実施例を用いることにより本発明をさらに説明する。
【0085】
[実施例1〜6および比較実験1]
長時間加熱可能なチャンバを装備したロールツーロール塗布装置で塗布実験を実施する。厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(BOPP)にアルミニウム(平均厚さ28nm)を、次いで、表に示した有機化合物を約0.01ミリバールの真空中で塗布する。フィルム速度を5m/秒とする。アルミナ塗布されたロールを6ヵ月間保管した後、さらに加工する。複合層の一部にさらに印刷を行う。いずれもラミネート強度を測定するためにさらなるプラスチックフィルムを積層する。
【0086】
JIS Z0238に従い、ラミネート強度を、テンシロンインストロン(Tensilon instron)試験機で速度を30mm/分とし、2枚のフィルムの角度を90°として測定する。封止材(第2フィルム)としてTohcello Co Ltd(TUX FCS)からのLLDPEを、接着剤として三井武田ケミカル(Mitsui Takeda Chemicals)からの溶剤中の反応性ポリウレタン(タケラック(Takelac)A−515およびタケネート(Takenate)A50、使用直前に混合)を使用する。
【0087】
酸素透過度(OTR)を、30℃および70%RHの雰囲気中、モダン・コントロール・コーポレーション製のオキシトラン2/20を用いて測定する。
【0088】
蒸気透過度を、40℃、90%RHの雰囲気中、モダン・コントロール・コーポレーション製のパーマトラン3/31で測定する。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】



【0090】
[実施例6]
同様にして、実施例1に記載した複合層と一緒に積層体を作製する。さらなる積層において、Novacote NC 275Aおよび触媒CA 12(それぞれ42.7および10.7重量%)および酢酸エチル46.6%からなる接着剤を有機化合物層に塗布する。接着剤の固形分は40%である。積層後のOTRは12である。ラミネート強度は>2.5N/インチである。
【0091】
[実施例7]
実施例1と同様にして、平坦なPETフィルムを4,4−アゾキシアニソールを蒸着することによって処理する。酸素バリア性の改善が認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、プラスチックフィルムと、その間に蒸着されたトリアジン化合物以外の有機化合物層と、金属または金属酸化物層とを備える積層体であって、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度が約2N/25mm(インチ)以上である、積層体。
【請求項2】
基材層と、プラスチックフィルムと、その間に蒸着されたトリアジン以外の結晶性有機化合物層とを備える積層体であって、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度が約2N/25mm(インチ)以上であり、前記結晶性有機化合物によって前記積層体のバリア性が改善されている、積層体。
【請求項3】
前記有機化合物層と前記プラスチックフィルムのうちの1つとの間に接着層を含む、請求項1〜2のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項4】
基材と、金属または金属酸化物バリア層と、蒸着されたトリアジン化合物以外の有機化合物層とを備える複合層であって、前記有機化合物層上に接着剤およびプラスチックフィルムが積層された場合、90°引張試験で30mm/分で測定されたラミネート強度が約2N/25mm(インチ)以上を示すことができる、複合層。
【請求項5】
前記基材層が、プラスチックフィルムを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項6】
前記積層体が、印刷された模様を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項7】
30℃および70%RHの雰囲気中で測定されたOTRが、積層体が基材としてBOPPを含む場合は約20cc/m・24h以下であり、または基材としてPETを含む場合は約1cc/m・24hである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項8】
40℃および90%RHの雰囲気中で測定された水蒸気透過度(WVTR)が、積層体が基材としてBOPPを含む場合は2g/m・24h以下であり、または基材としてPETを含む場合は約5g/m・24h以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項9】
接着力が少なくとも2.5N/インチ、好ましくは少なくとも3N/インチである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項10】
前記有機化合物が、その分解温度より30℃低い場合の蒸気圧が1Pa(0.01ミリバール)以上かつ約1000Pa以下である、結晶性トリアジン化合物以外の任意の有機化合物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項11】
前記化合物が結晶性であり、Tmが>50℃、好ましくは>100℃である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項12】
前記有機化合物のTgまたはゴム状からプラスチックへの相転移が70℃以上、好ましくは100℃以上である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項13】
前記有機化合物のMwが約1000以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項14】
前記有機化合物が、表面上で重合していない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項15】
前記有機化合物が、非脂肪族であり、前記化合物が前記基材に適切に接着するのに十分な極性を有するように、エーテル、エステル、アミド、ケトン基等を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項16】
前記金属または金属酸化物層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、または酸化ケイ素からの層である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の積層体または複合層。
【請求項17】
金属が塗布されたフィルム上に蒸着された有機化合物の、不活性化量を低減するための使用。
【請求項18】
プラスチックフィルム上に蒸着されたトリアジン化合物以外の結晶性有機化合物の、バリア性を高めるための使用。
【請求項19】
前記有機化合物が、その分解温度より30℃低い場合の蒸気圧が1Pa(0.01ミリバール)以上かつ約1000Pa以下である、結晶性トリアジン化合物以外の任意の有機化合物である、請求項17〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記化合物が結晶性であり、Tmが>50℃、好ましくは>100℃である、請求項17〜19のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
前記化合物が連続的な結晶層の形態にある、請求項17〜20のいずれか一項に記載の使用。

【公表番号】特表2011−527247(P2011−527247A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517146(P2011−517146)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058611
【国際公開番号】WO2010/003958
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】