説明

基板とマスクの位置合わせ装置

【課題】安価なレンズ及び撮像素子を用いることで、高精度な位置合わせ精度を維持することができる基板とマスクの位置合わせ装置を提供すること。
【解決手段】基板のアライメントマークと、該マスクのアライメントマークとを互いに合致させることで、位置合わせを行なうものであって、該アライメントマークの相対位置を検出する手段を有し、該基板或は該マスクのどちらか一方を移動せしめる手段を有し、これにより、該基板或は該マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間し、該移動を行う位置合わせ装置において、前記アライメントマークの相対位置を検出する手段に、光学レンズを用い、該光学レンズが上記一定の距離だけ離間した該基板及び該マスクのアライメントマークにて、それぞれが合焦可能となるように、該合焦位置を変更可能とする手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライメントマークを有する基板と、アライメントマークを有するマスクとを用いて、その各々のアライメントマークの位置を一致させることによる、基板とマスクとの位置合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アライメントマークを有する基板と、アライメントマークを有するマスクとを用いて、その各々のアライメントマークの位置を、一致させて用いる基板とマスクとの位置合わせを用いる工程として、有機ELパネルのマスク蒸着による製造方法がある。
【0003】
上記の製造方法によって、フルカラーで発光可能な有機ELパネルの製作を行うためには、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の蒸着工程において、シャドーマスクを用いて、各色の塗り分けを行う方法が良く用いられている。
【0004】
この塗り分けを行うためには、RGBの塗り分け用にマスクを製作し、そのマスクを所定の位置に位置合わせを行い、その後に蒸着を行う方法が多く用いられている。
【0005】
そのために、基板及びシャドーマスクには、予めアライメントマークが設けられており、その位置を追跡して、位置合わせを行なう方法が、一般的に用いられている。
【0006】
図5に従来の位置合わせ装置40の例を示す。
【0007】
図5は真空チャンバー内にて基板8とマスク7との位置合わせを行う機構の概略を示している。
【0008】
位置合わせ装置40の構成は、図から分かるように、真空チャンバー41内に、基板8とマスク7が配置されており、真空チャンバー41の上方には、位置検出装置51が2個搭載されている。
【0009】
真空チャンバー41には、排気ポンプ42が接続されており、チャンバー内を真空に保つことができるようになっている。
【0010】
又、真空チャンバー41内には、ヒータ44により加熱制御が可能である蒸着源43が設けられている。これにより、蒸着を行なうことができる構成となっている。
【0011】
更に、図において、真空チャンバー41内に、支持フレーム45があり、このフレームにてマスク7が支持されている。
【0012】
基板8は、主軸48の先端部に設けられているハンド48aに保持されており、基板8は、マスク7の近傍に位置している。
【0013】
主軸48は、軸の長さ方向であるZ軸方向48cと、Z軸の回転方向であるθ方向48dと、基板7の面内方向であるXY方向に、不図示のアクチュエータによって動作可能になっている。
【0014】
更に、主軸48は、ベローズ49とその接合部50とによって、真空チャンバー41と大気との遮断が行われた状態で、動作可能になっている。
【0015】
位置検出装置51は、フレーム55、フランジ54、画像検出部53及び撮像レンズ52とによって構成され、フレーム55は、真空チャンバー41の大気側上面に、不図示のボルトによって固定されている。
【0016】
フランジ54は、フレーム55に固定され、更にその先端には、画像検出部53が固定されている。上記の拡大図を図6に示した。
【0017】
画像検出部53には、撮像レンズ52が取り付けられており、その光軸は、真空チャンバー41に設けられた穴56によって、チャンバー内を観察することができる。
【0018】
穴56には、ガラス56aが取り付けてあり、不図示のOリングにより、シールが施されており、大気との遮断が行えるようになっている。
【0019】
主軸48の下方には、穴48bが設けられていて、その穴を、上記レンズ52からの光軸52aが通過可能になっている。
【0020】
以上が、従来の位置合わせ装置40の構成を示したものである。
【0021】
次に、従来の位置合わせ装置40の動作について説明する。
【0022】
真空チャンバー41に接続されている排気ポンプ42を駆動することによって、チャンバー内が真空に保持されるようになる。
【0023】
上記の状態によって、蒸着源43に予め設置されている材料を、ヒータ44を所定の温度に制御することで材料の蒸発が開始され、これにより基板8への蒸着が可能となる。
【0024】
上記蒸着の前に、基板8とマスク7との相対位置を、所定の位置に、位置合わせを行う必要がある。
【0025】
図7にマスク7の詳細図を示す。
【0026】
図において、マスク7は、Ni電鋳によって形成されたNi箔を用いている。厚さは10〜200μm程度のものを用いている。
【0027】
上記マスク7は、マスクフレーム7aに、その外周部7hにて、溶接することで固着されている。
【0028】
上記溶接時には、マスク7が、蒸着時の熱膨張によって撓みを生じさせないように、所定のテンションを加えた状態で溶接を行っている。
【0029】
マスクフレーム7aには、開口部7bが設けられていて、蒸着源からの蒸着物がマスクの画素開口部7gを通過てできるようになっている。更に、マスク7には、アライメントマーク7fが2個設けられている。このアライメントマーク7fを、位置検出装置51が観測することになる。アライメントマーク7fは、図から分かる解るように、円形の穴とした形状を用いている。
【0030】
図8に基板8の詳細図を示す。
【0031】
基板8には、画素電極部8bが設けられていて、更に円形のアライメントマーク8aが2個設けられている。従って、図5において、マスク7を図のように設置し、基板8は、図8にて示した面を下向きにして、画素電極が蒸着源の方向に面するように設置している。
【0032】
更に、図5において、基板8とマスク7は、ギャップ48eの空隙をもって配置している。
【0033】
上記の構成において、基板8を主軸48の駆動によって、マスク7へ位置合わせを行う方法について説明する。
【0034】
基板8とマスク7に各々設けられているアライメントマークは、位置検出装置51によって観測可能になっている。
【0035】
位置検出装置51のレンズ52の合焦点52bは、図から分かるように、基板8とマスク7との間のギャップ48eのほぼ中央部に位置するようになっている。
【0036】
レンズ52の合焦位置を上記のようにすると、基板8及びマスク7に設けられているアライメントマークが、レンズ52の被写界深度内にあるため、同時に観測することができている。
【0037】
位置検出装置51の画像検出部53には、不図示の画像処理部が接続されており、マスクのアライメントマークと、基板のアライメントマークとの位置ズレ量を画像処理によって計測し、その位置情報を、主軸48を駆動するためのアクチュエーター(不図示)のコントローラー(不図示)に接続され、位置制御が可能になっている。
【0038】
上記の位置制御手段によって、マスクのアライメントマークに、基板のアライメントマークとを一致させることができる。
【0039】
又、上記構成では、マスク7と基板8との間にギャップ48eが設けられたようになっていて、説明したように、このギャップの大きさがレンズ52の焦点位置からの被写界深度よりも小さい大きさになっている。
【0040】
上記ギャップ48eを設けることで、図から分かるように、マスク7と基板8とが非接触となり、このときに、主軸48によって互いのアライメントマークを一致させるために、基板8の位置を移動させるようになっている。
【0041】
このために、基板8の位置を移動させるときに、上記ギャップ48eにより、互いに非接触となっているため、基板とマスクとが擦れることによって、マスク或は基板にキズが生じるということがない。
【0042】
従って、上記位置合わせが終了すると、主軸48は、Z方向48c上を移動し、基板8をマスク7へ密着させる位置へ駆動し、位置合わせが終了する。
【0043】
次に、図9に基板サイズと撓みとの関係を説明する概念図を示す。
【0044】
図9において、基板サイズが小さい場合61と、基板サイズが大きい場合62を示す。図から分かるように、小基板70及び大基板72は、それぞれのマスク71及び73から離間した状態を示す。
【0045】
上記離間におけるギャップの大きさは、それぞれ同じg0という大きさになっている。
【0046】
図から分かるように、小基板70及び大基板72は、自重によって、図中点線の位置から撓んだ状態になっている。
【0047】
上記撓み量は、小基板70は、撓み量f1、大基板72は、撓み量f2となっている。大基板の方が、小基板よりも重いため、その撓み量が大きく、
f1<f2
となっている。
【0048】
次に、位置検出装置の光学系からの光軸74は、図示する位置に設けられていて、この位置は、マスク及び基板の画素部以外の場所に設けられている。
【0049】
この光軸位置における小基板及び大基板からマスクまでの距離は、図から分かるように、d1及びd2となっている。
【0050】
この大きさの関係は、
d1<d2
となっており、当然自重が大きい大基板の方が、距離が大きくなっている。
【0051】
従って、基板に上記撓みが生じたとしても、撓み量とギャップg0との総和が光軸74のレンズの被写界深度の範囲内であれば、上記基板の位置検出及び制御が行える。
【0052】
又、上記離間におけるギャップg0の大きさは、マスク及び基板の平面度のバラツキを考慮すると、0.05〜0.2mm程度の大きさが必要であった。
【0053】
上記離間距離に加えて、基板のアライメントマーク位置での自重による撓み量を加えた大きさが、上記d1及びd2という大きさになっている。
【0054】
通常のレンズの被写界深度は、0.2mm程度であって、これに画像処理装置が、アライメントマークを認識できる限界を考慮すると、上記d1及びd2の大きさが0.15〜0.2mm程度が限界であった。
【0055】
従って、基板サイズが或る程度以上に大きい場合は、その自重による撓み量が大きくなり、これにより、画像処理装置の認識限界を超えてしまい、位置合わせが困難になるという場合があった。
【0056】
そしてメタルマスクと基板とを高精度で位置合わせすることができ、それによりメタルマスクのパターンを正確に転写できる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法について特許文献1を挙げることができる。
【0057】
【特許文献1】特開2004−152705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0058】
従って、上記の従来例では、被写界深度よりも、撓み量とギャップg0との総和が大きい場合は、レンズによって、アライメントマークの認識ができなくなり、これにより従来の位置合わせ装置では、上記のように位置制御が困難となるという問題があった。
【0059】
更に、上記レンズの被写界深度を広くするために、レンズの絞り値を大きく設定しなければならず、これにより位置検出装置内の撮像素子をより高感度のものを用いなければならず、これにより大幅な装置のコストアップが生じていた。
【0060】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、基板サイズによらず、アライメントマークの位置を良好に観測することが可能となり、安価なレンズ及び撮像素子を用いることで、高精度な位置合わせ精度を維持することができ、位置合わせ装置の設備コスト高を低減することができる基板とマスクの位置合わせ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0061】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、アライメントマークを有する基板と、アライメントマークを有するマスクとの位置合わせ装置であって、該位置合わせは、該基板のアライメントマークと、該マスクのアライメントマークとを互いに合致させることで、位置合わせを行なうものであって、該アライメントマークの相対位置を検出する手段を有し、該基板或は該マスクのどちらか一方を移動せしめる手段を有し、これにより、該基板或は該マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間し、該移動を行う位置合わせ装置において、
前記アライメントマークの相対位置を検出する手段に、光学レンズを用い、該光学レンズが上記一定の距離だけ離間した該基板及び該マスクのアライメントマークにて、それぞれが合焦可能となるように、該合焦位置を変更可能とする手段を設けたことを特徴とする。
【0062】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、基板のアライメントマークと、該マスクのアライメントマークとの相対位置を検出する手段は、光学レンズと画像検出部から成るユニットとして構成され、該基板と該マスクとの離間距離と同じ大きさの距離の移動を、該検出ユニット全体が、移動可能とする手段を設けたことを特徴とする。
【0063】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記光学レンズは、合焦位置を任意に変更可能な機能を有しているものであって、該合焦位置を、基板とマスクとの離間距離と同じ大きさの距離だけ、変更可能とする手段を設けたことを特徴とする。
【0064】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記基板又は前記マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間したタイミングに同期して、光学レンズと画像検出部から成るユニット全体を、前記離間距離を同じ距離だけ移動し、且つ、その後は、該基板のアライメントマーク或は該マスクのアライメントマークを任意のタイミングで読み取り可能となるように、該光学レンズと画像検出部から成るユニット全体の位置を移動可能とすることを特徴とする。
【0065】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記基板又は前記マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間したタイミングに同期して、光学レンズの合焦位置を、前記離間距離と同じ距離だけ移動し、且つ、その後は、該基板のアライメントマーク或は該マスクのアライメントマークを任意のタイミングで読み取り可能となるように、該光学レンズの合焦位置を可変可能とすることを特徴とする。
【0066】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記アライメントマークの相対位置を検出する手段に、光学レンズを用い、該光学レンズが、上記一定の距離だけ離間した該基板及び該マスクのアライメントマークにて、それぞれが合焦可能となるように、該合焦位置を変更可能とする手段を設けたことであって、合焦位置とは、該光学レンズの被写界深度の範囲内に、基板及びマスクのアライメントマークが入ることとした合焦位置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0067】
アライメントマークを有する基板及びマスク等で、各々のアライメントマークを合致させることで、位置合わせを行う位置合わせ装置において、基板が或る程度以上の大きさになると、その自重による撓みが大きくなる。
【0068】
この撓み量が或る程度以上大きくなると、基板とマスクとの相対位置を移動させるために離間を行う際、その離間量を大きく設定する必要が生じ、その結果、撮像レンズの被写界深度を超えてしまい、アライメントマークの観測が不可能になってしまうが、本発明は、アライメントマークの位置検出装置を、基板の撓み方向へ位置を移動可能とすることで、基板及びマスクのアライメントマークの位置を常に撮像レンズの被写界深度内で観測することができる。
【0069】
以上により、本発明では、基板サイズによらず、アライメントマークの位置を良好に観測することが可能となり、安価なレンズ及び撮像素子を用いることで、高精度な位置合わせ精度を維持することができ、位置合わせ装置の設備コスト高を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
本発明では、基板のアライメントマークとマスクのアライメントマークとを、光学レンズと画像処理による位置検出装置によって、その相対ズレ量を検出する。次に、そのズレ量を演算し、その結果を、基板或はマスクを移動させて、アライメントマーク同士を合致させるためのアクチュエーターを駆動して合致を行う位置合わせ装置に関している。
【0071】
上記の位置合わせ装置では、各々アライメントマークを検出しその結果に基づいて、基板とマスクとを位置合わせする際、この基板とマスクとの間を、一旦離間して、基板或はマスクのどちらか一方を、アクチュエーターによって駆動を行って位置合わせを行う。
【0072】
この動作時に、上記離間する大きさが、使用する光学レンズの被写界深度内の大きさであれは、各々のアライメントマークを同時に観測できるので、その位置の検出を行うことが可能であるが、基板の大きさが或る程度以上大きい場合は、その基板の自重によって撓みが生ずるため、基板とマスクとを離間する量が比較的に大きな量が必要になってしまう。
【0073】
従って、その離間量が、使用するレンズの被写界深度を超える大きさである場合は、基板及びマスクのアライメントマークを同時に観測できないので、位置検出不能になってしまう。
【0074】
そこで、本発明では、光学レンズの搭載位置を、上記基板或はマスクの離間量とに応じて、位置を可変する機能を有し、これにより、基板とマスクとの離間量が、使用する光学レンズの被写界深度以上であっても、基板或はマスクのアライメントマークのどちらか一方が光学レンズの被写界深度以内にあり、更にレンズ位置を可変して切り換えることで、両者の観察を行なうことができる。
【0075】
<実施の形態1>
図1に本発明の実施の形態である位置合わせ装置1を示す。
【0076】
図1は真空チャンバー内にて基板8とマスク7との位置合わせを行う機構の概略を示している。
【0077】
基板8及びマスク7は、従来例で用いた物と同一のもを用いているので、説明を省略する。
【0078】
位置合わせ装置1の構成は、図から分かるように、真空チャンバー2内に、基板8とマスク7が配置されており、真空チャンバー2の上方には、位置検出装置12が2個搭載されている。
【0079】
真空チャンバー2には、排気ポンプ3が接続されており、チャンバー内を真空に保つことができるようになっている。
【0080】
又、真空チャンバー2内には、ヒータ5により加熱制御が可能である蒸着源4が設けられている。これにより、蒸着を行うことができる構成となっている。
【0081】
更に、図において、真空チャンバー2内に支持フレーム6があり、このフレームにてマスク7が支持されている。
【0082】
基板8は、主軸9の先端部に設けられているハンド9aに保持されており、基板8は、マスク7の近傍に位置している。
【0083】
主軸9は、軸の長さ方向であるZ軸方向9cと、Z軸の回転方向であるθ方向9dと、基板7の面内方向であるXY方向に、不図示のアクチュエータによって動作可能になっている。
【0084】
更に、主軸9は、ベローズ10とその接合部11とによって、真空チャンバー2と大気との遮断が行われた状態で、動作可能になっている。
【0085】
位置検出装置12は、フレーム19が真空チャンバー2の上面にボルト等の手段によって固定されていて、スライダー15の片側がフレーム19に固定され、その反対側が画像検出部16に固定されている。
【0086】
画像検出部16には、光学レンズ13が取り付けられている。又、更に上記フレーム19にはソレノイド18が設けられていて、ソレノイドは、通電することによって動作ロッド18aを駆動可能になっている。
【0087】
動作ロッド18aの先端には軸受け部18bがあり、ここには回動レバー17が接続されており、回動部材17の回動中心は、軸受け部17aによって支持されている。
【0088】
回動レバー17の他端は、スライダー15に設けられた軸受け部15aによって支持され ている。
【0089】
図から分かるように、画像検出部16には、撮像レンズ13が取り付けられており、その光軸は、真空チャンバー2に設けられた穴14によって、チャンバー内を観察することができる。
【0090】
穴14には、ガラス14aが取り付けてあり、不図示のOリングにより、シールが施されており、大気との遮断が行えるようになっている。
【0091】
主軸9の下方には、穴9bが設けられていて、その穴を、上記レンズ52からの光軸が通過可能になっている。
【0092】
以上が、従来の位置合わせ装置1の構成を示したものである。
【0093】
次に、従来の位置合わせ装置1の動作について説明する。
【0094】
真空チャンバー2に接続されている排気ポンプ3を駆動することによって、チャンバー内が真空に保持されるようになる。
【0095】
上記の状態によって、蒸着源4に予め設置されている材料を、ヒータ5を所定の温度に制御することで、材料の蒸発が開始され、これにより基板8への蒸着が可能となる。
【0096】
上記蒸着の前に、基板8とマスク7との相対位置を、所定の位置に、位置合わせを行う必要がある。
【0097】
図7にマスク7の詳細図を示しているが、従来例と同じもを使用しているため説明は省略する。
【0098】
図8に基板8の詳細図を示しているが、従来例と同じものを使用しているため説明は省略する。
【0099】
従って、図1において、マスク7を図のように設置し、基板8は、図8にて示した面を下向きにして、画素電極が蒸着源の方向に面するように設置している。
【0100】
更に、図1において、基板8とマスク7は、ギャップ9eの空隙をもって配置している。
【0101】
次に、図2において、位置検出装置12の詳細について説明する。
【0102】
フレーム19に取り付けられているソレノイド18を通電することによって、動作ロッド18aがソレノイドの磁力によって吸引され、図中点線の位置に引き込まれる。
【0103】
これにより、回動レバー17が回転中心17aで回転し、画像検出部16とレンズ13が図中点線の位置に引き上げられるようになっている。レンズ13の位置は、不図示のストッパネジによって予め調整可能になっている。ストッパネジは、位置を手動で任意に設定可能になっている。
【0104】
次に、図3において、基板8を主軸9の駆動によって、マスク7へ位置合わせを行う方法について説明する。
【0105】
基板8とマスク7に各々設けられているアライメントマークは、位置検出装置12によって観測可能になっている。
【0106】
位置検出装置12のレンズ13の合焦点13aは、図から分かるように、基板8のアライメントマーク上に位置し、基板8のアライメントマークの位置を検出することが可能となっている。
【0107】
次に、ソレノイド18への通電をOFFとすると、画像検出部16及びレンズ13が自重で降下し、レンズ13の合焦位置は、図のように13bの位置、即ちマスク上のアライメントマークに合焦可能となる。
【0108】
従って、ソレノイドのON及びOFFによって、レンズの合焦位置が基板或はマスクへ合わせることができ、上記のON及びOFFによって基板及びマスクのアライメントマークを適宜に読み取ることができる。
【0109】
位置検出装置12の画像検出部16には、不図示の画像処理部が接続されており、マスクのアライメントマークと、基板のアライメントマークとの位置ズレ量を画像処理によって計測し、その位置情報を、主軸9を駆動するためのアクチュエーター(不図示)のコントローラー(不図示)に接続され、位置制御が可能になっている。
【0110】
上記の位置制御手段によって、マスクのアライメントマークに、基板のアライメントマークとを一致させることができる。
【0111】
又、上記構成では、マスク7と基板8との間にギャップ9eが設けられたようになっていて、説明したように、このギャップの大きさが、レンズ13の焦点位置からの被写界深度よりも大きい場合は、上記のソレノイドのON及びOFFによって、それぞれのアライメントマークの位置を読み取ることができる。
【0112】
又、上記ギャップ9eを設けることで、図から分かるように、マスク7と基板8とが非接触となり、このときに、主軸9によって、互いのアライメントマークを一致させるために、基板8の位置を移動させるようになっている。
【0113】
このために、基板8の位置を移動させるときに、上記ギャップ9eにより、互いに非接触となっているため、基板とマスクとが擦れることによって、マスク或は基板にキズが生じるということがない。
【0114】
従って、上記位置合わせが終了すると、主軸9は、Z方向9に移動し、基板8をマスク7へ密着させる位置へ駆動し、位置合わせが終了する。
<実施の形態2>
図4に本発明の実施の形態2について説明する。
【0115】
図4は真空チャンバー2の上部に固定して用いる画像検出装置20の拡大図を示す。
【0116】
画像検出装置20は、実施の形態1の画像検出装置12と同じ真空チャンバー及び主軸による位置合わせ機構に搭載することが可能である。
【0117】
図において、フレーム24にフランジ23が設けられていて、このフランジに画像検出部22が取り付けられている。
【0118】
画像検出部22には、レンズ21が取り付けられていて、このレンズには回転式のヘリコイド21aが設けられている。
【0119】
又、レンズ21には、モーター30及びフレーム27が設けられていて、モーターの出力軸29には、ギア28が直結されている。出力軸の他端は、図から分かるように、フレームの軸受け部27aにて支持されている。
【0120】
ヘリコイド21aの外周部にはギアが設けられていて、モータ軸に設けられているギア28と噛み合うようようになっている。
【0121】
従って、モーター30を通電することで、モーター30の軸29が回転駆動され、それによりギア28が駆動されることで、ヘリコイド21aが回転し、レンズ21のフォーカス調整が可能となり、これにより、レンズ21の合焦位置を自在に変更することができる。
【0122】
図において、上記の駆動によって、ヘリコイド位置を可変することで、光軸を21b〜21cへと変更することができ、これにより合焦位置を変えることができる。
【0123】
モーター30は、ステッピングモーターを用いた。又、ヘリコイドは、不図示の原点位置を検知するセンサーにより原点出しが行えるようになっている。
【0124】
図において、21cは、基板8上のアライメントマークに合焦していることを示し、21bは、マスク7上のアライメントマークに合焦していることを示している。
【0125】
以上により、実施の形態1,2について説明したが、実施の形態1で用いたソレノイドは、ごく一般的で安価なものを使用した。回動レバーにより、位置検出部とレンズの重さよりも大きな力を発せられるものであれば、他のどんなものを用いても差し支えない。
【0126】
又、ソレノイドで、動作ロッドのストローク位置を、予め設定した位置に保持できるプシュップル機能を有するものを用いれば、スライダーの位置規制手段を省略して用いることも可能である。
【0127】
更に、上記位置検出部とレンズの位置駆動手段は、他のアクチュエーターを用いても差し支えない。
【0128】
例えば、リニアステップモーターを用いると、レンズの光軸方向の位置を、予め設定した位置に制御することができる。
【0129】
実施の形態2で用いたモーターは、一般的なステッピングモーターを用い、レンズのヘリコイドの原点を検知するセンサーを併用して用いることで、必要な位置制御を行うことができたが、他の方式のモーターやエンコーダー内蔵のモーターを用いても差し支えない。
【0130】
又、実施の形態1,2における光学レンズのアライメントマークへの合焦位置は、上記光学レンズの被写界深度の範囲内に、アライメントマークがあるということを含むものである。
【0131】
実施の形態1,2で用いた基板の材質は、無機アルカリガラス、板厚0.7mmのものを用いたが、本発明に用いる基板は、この材質及び板厚に限定されるものではない。
【0132】
以上が実施の形態1,2であるが、本発明は、真空蒸着装置内で使用するマスク及び基板の位置合わせ装置について説明を行ったが、これは真空機器に限定されるものではなく、アライメントマークを有する基板及びマスクとを位置合わせするための装置であれば、実施の形態1,2に限定されるものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置合わせ装置の全体図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る位置検出装置の詳細図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る位置合わせ装置の動作説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る位置検出装置の詳細図である。
【図5】従来の位置合わせ装置の全体図である。
【図6】従来の位置検出装置の詳細図である。
【図7】マスクの詳細図である。
【図8】基板の詳細図である。
【図9】基板の自重による撓みの説明図である。
【符号の説明】
【0134】
2 真空チャンバー
3 排気ポンプ
4 蒸着源
7 マスク
7f アライメントマーク
8 基板
8a アライメントマーク
9 主軸
12 位置検出装置
13 レンズ
15 スライダ
16 位置検出部
17 回動レバー
19 フレーム
20 位置検出装置
22 位置検出部
21 レンズ
30 モーター
28 ギア
29 モーター軸
21a ヘリコイド
70 小型基板
72 大型基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントマークを有する基板と、アライメントマークを有するマスクとの位置合わせ装置であって、
該位置合わせは、該基板のアライメントマークと、該マスクのアライメントマークとを互いに合致させることで、位置合わせを行なうものであって、
該アライメントマークの相対位置を検出する手段を有し、該基板或は該マスクのどちらか一方を移動せしめる手段を有し、これにより、該基板或は該マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間し、該移動を行う位置合わせ装置において、
前記アライメントマークの相対位置を検出する手段に、光学レンズを用い、該光学レンズが上記一定の距離だけ離間した該基板及び該マスクのアライメントマークにて、それぞれが合焦可能となるように、該合焦位置を変更可能とする手段を設けたことを特徴とする基板とマスクの位置合わせ装置。
【請求項2】
基板のアライメントマークと、該マスクのアライメントマークとの相対位置を検出する手段は、光学レンズと画像検出部から成るユニットとして構成され、該基板と該マスクとの離間距離と同じ大きさの距離の移動を、該検出ユニット全体が、移動可能とする手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の基板とマスクの位置合わせ装置。
【請求項3】
前記光学レンズは、合焦位置を任意に変更可能な機能を有しているものであって、該合焦位置を、基板とマスクとの離間距離と同じ大きさの距離だけ、変更可能とする手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の基板とマスクの位置合わせ装置。
【請求項4】
前記基板又は前記マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間したタイミングに同期して、光学レンズと画像検出部から成るユニット全体を、前記離間距離を同じ距離だけ移動し、且つ、その後は、該基板のアライメントマーク或は該マスクのアライメントマークを任意のタイミングで読み取り可能となるように、該光学レンズと画像検出部から成るユニット全体の位置を移動可能とすることを特徴とする請求項1記載の基板とマスクの位置合わせ装置。
【請求項5】
前記基板又は前記マスクのどちらか一方を移動せしめるとき、該基板と該マスクとを、一定の距離だけ離間したタイミングに同期して、光学レンズの合焦位置を、前記離間距離と同じ距離だけ移動し、且つ、その後は、該基板のアライメントマーク或は該マスクのアライメントマークを任意のタイミングで読み取り可能となるように、該光学レンズの合焦位置を可変可能とすることを特徴とする請求項1記載の基板とマスクの位置合わせ装置。
【請求項6】
前記アライメントマークの相対位置を検出する手段に、光学レンズを用い、該光学レンズが、上記一定の距離だけ離間した該基板及び該マスクのアライメントマークにて、それぞれが合焦可能となるように、該合焦位置を変更可能とする手段を設けたことであって、合焦位置とは、該光学レンズの被写界深度の範囲内に、基板及びマスクのアライメントマークが入ることとした合焦位置であることを特徴とする請求項1記載の基板とマスクの位置合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−249477(P2006−249477A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−65421(P2005−65421)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】