基板に金属パターンを製造する方法
【課題】できるだけ低コストで、高微細度の金属パターンを基板に形成できる方法を提供する。
【解決手段】基板に金属パターンを製造する方法において、初めにパターン電極2を用いて導電性ポリマーによる重合工程4の後、電気メッキ工程8を行い、前記金属パターンの基板への転写工程および/または前記ポリマーパターンの基板への転写工程12の後に、ポリマーパターンの除去工程16、行うことを特徴とする、基板に金属パターンを製造する方法によって解決される。
【解決手段】基板に金属パターンを製造する方法において、初めにパターン電極2を用いて導電性ポリマーによる重合工程4の後、電気メッキ工程8を行い、前記金属パターンの基板への転写工程および/または前記ポリマーパターンの基板への転写工程12の後に、ポリマーパターンの除去工程16、行うことを特徴とする、基板に金属パターンを製造する方法によって解決される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板に金属パターンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、配線板上の導電性パターン製造のために、異なる方法が数多く知られている。公知の方法の違いは、各製造に必要な設備コストと並んで、主にその方法で達成可能な微細度(Aufloesung)、表面の品質および方法の速度である。電子部材を電気的に接続する配線は、通常マスキング・エッチング、適切なプリント法またはレーザー加工で配線板に作製される。基本的に配線板はいろいろな種類、特にフレキシブルなプリント配線板、フィルム、セラミック等であってよい。
【0003】
この関係において従来技術では、適切なプリント法により電子素子、ユニットやアプリケーション、また特に配線を完全または部分的に配線板に施与する、プリント電子回路が知られている。この場合印刷インクの代わりに、液状またはペースト状の機能性材料で印刷する。
【0004】
配線板に配線を作製するために使用されるレーザー加工法に関しては、特にLDI(レーザー直描)とLDP(レーザーダイレクト・パターニング)が挙げられる。レーザー直描ではまず金属化するが、通常は配線板上を平面状に金属化する。この上にフォトレジストを施与し、その上に直接レーザーで描画するか、またはマスクで覆い感光する。引き続き金属をエッチングし、レジストを除去する。
【0005】
その反対にレーザー・ダイレクト・パターニング法では、成形したレーザービームをマスク上面に走らせて、直接パターニングする。この方法のメリットはレーザー直描より処理が速いという利点があるが、ごく薄い金属層を必要とする。
【0006】
配線板に配線を作製するための、従来技術から公知の方法の共通点は、電子業界の数多くの応用にとって、もはや微細度が不充分であり、将来的にはもっと満足できなくなる事である。
【0007】
更に、従来技術から、基板に金属パターンを製作する方法が知られており、この方法の特徴は、まず基板に薄い金属フィルムを広範囲に施与することである。この金属フィルム上にフォトレジストを施与し、光化学的に、またはレーザー技術により除去して、補充的に所望のパターンを作製する。この補充領域に残った金属パターンは次いでエッチングして取り除く。最後に金属パターンにまだ接合しているフォトレジストを、例えば溶剤で溶除する。
【0008】
従来技術からのもう一つの方法の特徴は、主にプリント工程と電気メッキ工程である。この方法ではまず基板にいわゆるシード層を印刷する。この印刷は、シード層に所望のパターンが形成されるように実施する。その為に適切な印刷剤は、溶剤に溶解した導電性のポリマーである。印刷後溶剤は気体凝集状態になり、基板には導電性ポリマーが付着する。シード層はその後電解液と接触する。電解液には、電気メッキ工程により析出すべき物質が導入されており、この析出は電解法により行う。電気メッキに必要なのは、電極と対極である。電極はシード層により基板に形成される。その為シード層を設計する際には、シード層のどんな小さな部分要素にも、基板の電気接続する角に対して、側面配線があるように注意する。というのも、電気メッキで金属をシード層へ析出するためには、シード層のどの部分領域も第1電位と接続し、対極が第1電位以外の電位と接続していれば、完全な析出が行われるからである。実際には、所望するパターンが上記のように角に対して側面接続している例はほとんど無い。その為この接続を可能にするために、シード層にはしばしば追加の部分面がある。後に製品を使用する場合、この接続は嫌われる。金属の基板への追加析出は、後の加工工程で元通りにされる。
【0009】
上記の工程の共通点は、金属パターンの最大微細度が低い事である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、できるだけ低コストで、高微細度の金属パターンを基板に形成できる方法を提供することである。
【0011】
その方法により、連続工程でも金属パターンを製造できれば有利である。
【0012】
更に、特に5マイクロメーター範囲の高微細度で金属パターンを製造できれば有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、基板に金属パターンを製造する方法において、以下の方法工程:
a.重合工程、
この工程では、設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)が表面にある少なくとも1つのパターン電極が使用され、その際、前記電極接触領域は第1電位と接続可能であり、前記電極接触領域の少なくとも一部が、好ましくは液状の、第1電解質に接触され、その際、前記第1電解質には重合および/または架橋性化合物が導入されており、かつ前記パターン電極を介して第1電解質を通じて第1電流が発生され、その際、第1電解質と接触した電極接触領域には、設定したパターンの導電性ポリマーフィルムが形成される(ポリマーパターン)
b.電気メッキ工程、
この工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が、好ましくは液状の、第2電解質と接触され、その際、前記第2電解質には金属性物質が導入されており、その際、前記ポリマーパターンを介して第2電解質を通じて第2電流が発生され、その際、第2電解質と接触した前記ポリマーパターンの領域には、設定したパターンの導電性金属フィルムが形成および/または析出される(金属パターン)
c.前記金属パターンの基板への転写工程および/または前記ポリマーパターンの基板への転写工程
前者の工程では、前記金属パターンの少なくとも一部が基板に施与され、後者の工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が基板に施与される
を特徴とする、基板に金属パターンを製造する方法によって解決される。
【0014】
本発明により、基板上に高微細度の金属パターンを安価に製造する事ができる。その為にはまず重合工程を行い、その際、パターン電極の表面に設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)があるパターン電極を最低1個使用する。その際電極接触領域は第1電位と接続でき、少なくとも電極接触領域の一部が、好ましくは液状の第1電解質と接触する。その際重合および/または架橋性化合物を第1電解質に導入し、パターン電極を介して、第1電解質により第1電流が発生する。その際に第1電解質と接触する電極接触領域に、重合および/または架橋性化合物から成る、設定パターンの導電性フィルムが形成される(ポリマーパターン)。その後第1電解質からパターン電極を取出し、導電性フィルムでコーティングされた電極接触領域の少なくとも一部を、好ましくは液状の、第2電解質と接触させる。その際第2電解質には金属イオンが導入されており、パターン電極を介して、第2電解質により電流が発生する。その際第2電解質と接触した、電極接触領域にある導電性フィルムに、金属パターンが形成および/または析出される。
【0015】
この方法の目的は、基板上に金属パターンを作製することである。この基板というのは、基材、またはその最表層であってよい。合成樹脂性の基板が好ましい。また基板が絶縁されている、特に電絶されていると好ましい。基板の表面の形は任意なものであってよい。しかし基板の表面は、少なくとも大体平面であると好ましい。好ましい実施形態では、基板は配線板、および/または基材、またはプリント基板の基材である。
【0016】
本発明の対象はまた、この方法で製造した基板上の金属パターンである。これはつまり、金属パターンの少なくとも大部分が基板だけにあることを意味する。しかしながら、金属パターンと基板が形状接続、摩擦接続および/または材料接続により結合されている事も可能である。基本的には金属パターンの形は任意に形成できる。パターンは基板表面のある任意の部分を覆うことができる。特に基板が配線板である場合は、金属パターンで基板の機能的表面の一部、複数部分またはその全面を覆う事もできる。基板の機能的表面というのは、この部分が他の機能的物質、機能的材料および/または他のデバイスと相互作用できるように用意された表面であってよい。相互作用というのは特に保持であってよい。
【0017】
金属パターンは特定の、特に設定されたパターンであると特に有利である。つまり設定できるパターンというのは、表面パターンであってよい。
【0018】
電子素子は配線によって相互に接続するのが好ましい。基板の金属パターンにより電子素子が互いに接続されていてもよい。その際金属パターンは、特に基板上の部材間の配線であってよい。電気回路の全部材の全接続が、相互に電気的に「星型」に接続されているのは、基本的に好ましくない。むしろ電気回路があるパターンを描いていることがよくある。その意味で電気回路というのは、むしろ選ばれた特定の接続の間だけを、特に電気部材間の配線だけを形成するように構成されている。
【0019】
方法の好ましい、重要な工程のひとつは、重合工程である。重合工程のためには、パターン電極の表面に設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)があるパターン電極を最低1個使用する。設定可能なパターンがあるという事は、もう既に述べた。この設定可能のパターンというのは、例として電気回路のパターンおよび/または表面配置、もしくは回路の電気(接続)配線の表面パターンであり得る。基板上の金属パターンが設定のパターンを形成できるように、パターン電極表面の少なくとも一部が、設定可能なパターンに相応するパターンを形成しているとよい。この意味で、パターン電極は、電極接触領域を有している。この電極接触領域はパターン電極表面と関連する面でもよい。しかし実際には、好んで使われるケースはほとんどない。電極接触領域の形態は、この領域がパターン電極の関連のない、複数の表面領域から成り立っていることが特徴である。この複数の関連の無い領域は、パターン電極の第1領域であってよい。電極補充領域は、パターン電極表面の残りの第2領域であってよい。電極補充領域は、パターン電極表面の関連する部分領域であってよい。電極補充領域はパターン電極表面の複数の部分領域から成り立っている場合もある。その為に電極接触領域と電極補充領域が重なっている部分および/または交点が無い、ということもあり得る。パターン電極表面はパターン電極の機能性表面とも考えられる。パターン電極の機能性表面は、電解質と接触できるように規定されている表面であってよい。パターン電極の接続領域はパターン電極表面から除外されているとよい。パターン電極は基本的に、従来技術で知られている電極の特性を有していてもよい。ここでは、この電極に最低2つの領域があるために、パターン電極と名付けている。
【0020】
その他の本発明の範囲は、電極接触領域が第1電位と接続可能なことである。そのために、電極接触領域は少なくともリード線1本により第1電位と接続できる。特に、電極接触領域または、特にパターン電極の一部が電気的に相互に接続していると応用しやすい。接続した電極接触領域は、特にリード線で第1電位と接続されていてもよい。電源は通常、電圧の高さが互いに異なる電位を最低2つもつ。電源には通常電圧コネクターがあるので、装置はこの電位にアクセスできる。これにより、電極接触領域もリード接続により、電源の第1電位のコネクターと接続可能となる。パターン電極の電極接触領域はそのため導電性であると好ましい。電極補充領域はその反対に絶縁性であってよい。
【0021】
重合工程では、電極接触領域の少なくとも一部を、できれば液状の、第1電解質と接触させる。その為にパターン電極は少なくとも部分的に第1電解質に浸漬できる。その際、パターン電極全体を第1電解質に浸漬する事は、どうしても必要というわけではない。むしろパターン電極の一部分だけを第1電解質と接触させる事が可能である。そのためにはパターン電極を部分的、例えば半分だけ、第1電解質に浸漬できる。しかしながら、パターン電極の表面全部および/または機能性表面全体を第1電解質と接触させる事が好ましい。基本的に第1電解質は任意の凝集状態でありうる。つまり第1電解質は固体、液体または気体でありうる。電解質は、できるなら有機物質を溶解できる溶剤を含有できる。第1電解質は液体であるとよい。溶剤はメタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール、NMP、塩化メチレンまたは水が好い。また2種類以上の溶剤、例えば水、アセトニトリル、プロピレンカーボネートおよび/または塩化メチレンの混合物も可能である。特に好ましい電解質は、特に陽イオンと陰イオンを含む導電性溶液である。更に第1電解質には重合および/または架橋性化合物が導入されていてもよい。重合性化合物はモノマーがよい。重合性化合物は基本的にポリマーに、例えば分岐していない、または分岐したポリマーに結合可能な、低分子および/または反応性の分子であり得る。重合性化合物は、反応性の二重結合および/または特に不飽和有機化合物を有していてもよい。架橋性化合物としては、三次元の架橋に結合できる、特にマクロ分子のような分子と理解される。架橋性化合物は、重合を促進および/または誘発するように選択することができる。
【0022】
方法の好ましい実施例の特徴は、第1電解質は、有利には有機性の溶剤および/または溶剤に溶かした塩を含有し、その際重合および/または架橋性、特に低分子化合物がその電解質で溶解できるような、第1電解質を選択することである。溶剤としてプロピレンカーボネート、アセトニトリル、一価または多価アルコール、テトラヒドロフランまたは水をそれぞれ単独で、または任意の混合物として使用できる。塩としては例えばテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸塩、テトラエチルアンモニウム−ヘキサフルオロリン酸塩、テトラエチルアンモニウム過塩素酸塩、またはポリ(スチレンスルホン酸)−ナトリウム塩をそれぞれ単独で、または任意の組み合わせとして使用できる。
【0023】
方法の好ましい、もう一つの実施形態の特徴は、第1電解質に導入する化合物としてピロール、3−アルキルピロール、特に3−メチル−、3−エチル−、3−プロピルピロール、N−アルキルピロール、特にN−メチル−、N−エチル−、N−プロピルピロール、N−アルキルピロール、特にN−フェニル−、N−(4−アミノ)フェニル−、N−(4−メトキシ)フェニル−、N−ナフチルピロール、N−ヘテロアリールピロール、特にN−(3−チエニル)−、N−(2−チエニル)−、N−(3−フラニル)−、N−(2−フラニル)−、N−(3−セレノフェニル)−、N−(2−セレノフェニル)−、N−(3−ピロリル)ピロール、チオフェン、3−アルキルチオフェン、特に3−メチル−、3−エチル−、3−プロピルチオフェン、フラン、3−アルキルフラン−、3−メチル−、3−エチル−、3−プロピルフラン、セレノフェン、3−アルキルセレノフェン、特に3−メチル−、3−エチル−、3‐プロピルセレノフェン、テルロフェン、アニリン、ビフェニル、アズレン、2−(アルファ−チエニル)チオフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)チオフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)チオフェン、2−(アルファ−チエニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−チエニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−チエニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−チエニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−フラニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)フラニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)フラニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−フラニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−ピロリル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)ピロリル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)ピロリル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−ピロリル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−セレノフェニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)−(3−アルキル)セレノフェン、2−(アルファ−チエニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)セレノフェン、2−(アルファ−チエニル)−(3−アルキル)セレノフェン、2−(アルファ−セレノフェニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−セレノフェニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−セレノフェニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−セレノフェニル)−(3−アルキル)ピロール、チエノチオフェン、チエノフラン、チエノセレノフェン、チエノピロール、2−フェニルチオフェン、2−フェニルフラン、2−フェニルピロール、2−フェニルセレノフェン、2−フェニル・テルロフェン、N−ビニルカルバゾール、N−エチニルカルバゾール、3.4−エチレンジオキシチオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)チオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−3.4−エチレンジオキシチオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)チオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)フラン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)ピロール、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)セレノフェン、または2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)セレノフェンをそれぞれ単独で、または任意の組み合わせで、またはオリゴマーのモノマー単位として使用することである。
【0024】
電解質は第2クラスの導電体、またはイオン導電体であってよい。この意味で分子結合の少なくともひとつが解離または分離することで、電解質の導電性が発生できる。電解質においてはこの様にして、電気性を帯びたイオンが発生できる。電解質の導電性は電荷を帯びた、特に自由に動くイオンに起因しうる。そのため電解質は、電界の影響下で、有利には2つの異なる高い電圧レベル間で電荷担体の移動を可能にする物質でありうる。つまり電解質とは、電流を通すことができる物質であればよい。
【0025】
パターン電極および/または電極接触領域は第1電位と接続できる。好ましい形態では、対極を電解質と接続する。そのため対極はパターン電極ではありえない。更に対極は、特に独立した電極でありうる。更に対極を第2の、有利には第1電位とは異なる電位と結合できる。その為、第1電位と第2電位間には電位差がありうる。本発明の好ましい実施形態は、電極補充領域を第2電位と接続できることである。この意味で第1電位と第2電位をパターン電極に接続できる。パターン電極の電極補充領域は導電性であってもよい。電極接触領域が電極補充領域から絶縁されるように構成されていてもよい。そのため、パターン電極は電極接触領域と電極補充領域の間に絶縁物を設ける事ができる。
【0026】
電極接触領域の少なくとも一部を第1電解質と接触させる前、接触させている間および/または接触後、電極接触領域を第1電位と、および/または対極を第2電位と、および/または電極補充領域を第2電位と接続する事ができる。パターン電極を通じて第1電解質により第1電流が発生する事も、重合工程の特徴である。そのために第1電解質により電界を形成することができる。この電界は電位差が要因でありうる。特に第1電流は、第1電位と、特に第2電位の間に形成される電界が要因でありうる。つまり第1電解質とパターン電極の電極接触領域により荷電担体が移動することができる。つまり電極接触領域や電解を通じて第1電流が発生する。言い換えるならば、第1電解質とパターン電極の電極接触領域により(この意味ではパターン電極を通じて)電流が流れる。
【0027】
第1電解質と接触させる電極接触領域に、設定したパターンの導電性ポリマーフィルム(ポリマーパターン)が形成されることは、本発明の範囲である。ポリマーフィルムおよび/またはポリマーパターンの形成は、第1電解質に導入した重合および/または架橋性化合物の重合によって行うのが好ましい。重合というのは、化合物がマクロ分子に結合される化学反応と解釈できる。これらの化合物が第1電解質に導入されている重合および/または架橋性化合物であってよい。重合したマクロ分子は、合成および/または製造に使う化合物とほとんど同じ化学組成を有していてよい。しかしマクロ分子は別の分子構造を有していてもよい。重合および/または架橋性化合物が二重結合を有していると、重合には都合がよい。というのは、エネルギーを加えると、これらの二重結合が「開かれる」からである。第1電流をエネルギーとして重合および/または架橋性化合物に供給することができる。重合および/または架橋性化合物のエネルギー供給または電流によって「開かれた」二重結合を有する化合物は、分子鎖やマクロ分子に結合できる。この様にしてポリマーフィルム、特に導電性のポリマーフィルムを形成できる。電極接触領域を通じ、電解質により電流が流れるのが好ましい。従って第1電解質の重合および/または架橋性化合物は、有利には電極接触領域および/またはその近傍で重合する。言い換えるならば、第1電解質が電極接触領域と少なくとも部分的に接触するため、また、重合および/または架橋性化合物が特に電極接触領域で重合するために、ポリマーフィルムはほとんどが電極接触領域のみで析出される。つまり第1電解質の重合および/または架橋性化合物は特に電極接触領域で析出され、その際電気化学的重合は特に接触面で有利に行われる。
【0028】
方法の好ましい実施形態の特徴はさらに、重合および/または架橋性化合物が析出される際に形成されるポリマーフィルムが、電解質イオンでドーブされ、ポリマーフィルムが導電性になることである。従来技術では相応する方法が知られている。特許DE10140666C2にその様な方法が説明されている。この方法の好ましい実施形態の特徴は、電極接触領域が陽極となるように第1電位を選ぶことである。そのため対極が陰極となるように第2電位を選択できる。
【0029】
形成されたポリマーパターンは析出の際に、第1電解質のイオンでドーブされていてもよいので、第1電解質はポリマーパターンの材料特性に直接影響を与えられる。そのため、ポリマーパターンの導電性は第1電解質のイオン量および/または電極接触領域と対極間の電位差に強く依存する。ポリマーパターンの導電性を弱めたり、強めたりするためには、ポリマーパターンで被膜された、または接続された電極を重合工程後、および電気メッキ工程前に第2対極と一緒に「第3の」電解質に浸漬できる。この第3の電解質は溶剤の他には塩のみを含有し、かつ/または重合および/または架橋性化合物は含有しない。
【0030】
パターン電極と対極間に電圧をかけると、ポリマーパターンのイオン量を変える事ができる。逆の方向(重合工程の電圧に対する)に電圧をかけると、ポリマーパターンのイオン量を減少できる。これによりポリマーパターンの導電性を弱め、特にポリマーパターンをほとんど絶縁性にまで変換する事ができる。重合工程と同じ方向に電圧をかければ、ポリマーパターンのイオン量を増加したり、ポリマーパターンの導電性を強めたりできる。基本的には、重合および/または架橋性化合物の電気特性により導電度には限界がある。
【0031】
つまり重合工程により、特に導電性のポリマーパターンを基板に析出できる。更にポリマーパターンは電極接触領域のパターンと同じパターンを有していてよい。これは、有利には電極接触領域と第1電解質間の接触領域で電気化学的重合を行なえば達成できる。
【0032】
ポリマーフィルムの厚みはごく薄いものが良く、最高50mm、特に0.1nm〜1mm、好ましいのは1μm〜100μm、また20nm〜500nmであるともっと有利である。
【0033】
基板に金属パターンを製造する方法は、重合工程の他に、電気メッキ工程があることが特徴である。電気メッキ工程は重合工程の後で行うのが好ましい。電気メッキ工程のためには少なくともポリマーパターンの一部が、できれば液状の第2電解質と接触するようにすると好ましい。その際第2電解質には金属性物質が導入されている。つまり第2電解質は金属性物質を含有していてよい。金属性物質として考えられるのは、導電性の物質、それも高導電性の物質が好ましい。金属性物質は純粋な物質、混合物(特に均一混合物)が考えられ、かつ/またははんだ、ステンレス、遷移金属、金属化合物、合金、ナノメタル、または銅(特に純銅)であるか、またはそれらを含有するものが可能である。更に金属性物質は半導性、および/または非導電性の物質を含有する場合もある。特に好ましい金属性物質は銅、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、鉛、金および/またはチタン、またはこれらの金属を最低ひとつ含有する合金である。金属性物質は固体でもよい。更に金属性物質は電極の少なくとも一部であってよい。金属性物質はその他の形体も考えられる。例えば粉末状や、クラム状の金属性物質であり得る。特に粉末状の金属性物質または金属塩は第2電解質の中に、および/または第2電解質と混ぜるか、かつ/または、電解質と懸濁液または溶液を形成することができる。基本的に第2電解質は、導入した金属性物質との異種混合物であってよい。
【0034】
特に好ましい実施形態では、第2電解は液状であるか、または溶解されている。第2電解質は導入した金属性物質で懸濁液または溶液を形成できる。つまり、第2電解は金属性物質を溶解でき、かつ/または液体の中で金属性物質が懸濁できる液体を含んでいる。
【0035】
特に液状の電解質は基本的に、イオン、特にカチオンとアニオンを含有する導電性の溶液と解釈できる。イオンは正または負に荷電した原子および/または分子であり得る。これらは、塩、酸またはアルカリ液が、正または負の電荷を帯びた原子および/または分子に分解する事で発生できる。カチオンおよび/またはアニオンは電解質の電荷担体であり得る。
【0036】
電気メッキ工程では、ポリマーパターンの少なくとも一部を第2電解質と接触するようにできる。ポリマーパターンを少なくとも部分的に第2電解質に浸漬させるのが好ましい。好ましいのは、ポリマーパターン全体を第2電解質と接触させることである。
【0037】
電気メッキ工程のためにはさらに、ポリマーパターンを通じ、第2電解質によって第2電流が発生するようにする。ここでは陰極と陽極との間で、特に電解質により電流が流れることが好ましい。そのためには陰極と陽極を電源に接続できる。第2電流がポリマーパターンを通じて流れると好ましい。またそのためには、ポリマーパターンが少なくとも陰極表面の一部分であるように設計できる。特にポリマーパターンは陰極表面を形成できる。陰極と電解質との間でポリマーパターンの領域だけに、電気メッキ工程用の電流が流れるようにすると好ましい。
【0038】
陽極は、従来技術から公知の電気メッキ用の任意の陽極であってよい。陽極はそのため、金属性物質を含有するものが好ましい。特に陽極をほとんど金属性物質により形成することができる。
【0039】
電気メッキ工程には、陽極電圧を陰極電圧よりも高く、有利には顕著に高くすると、大変好ましい。言い換えるならば、陽極は正極、陰極は負極を形成することができる。
【0040】
方法の好ましい実施形態ではまた、犠牲電極、または犠牲電極表層の少なくとも一領域が金属性物質であることも特徴である。
【0041】
本発明のその他の範囲は、第2電解質と接触するポリマーパターンの領域に、設定されたパターンの導電性金属フィルムが形成され、かつ/または析出される事である(金属パターン)。つまり、電気メッキにより金属層、特に金属性物質の層が、ポリマーパターンに析出されることが好ましい。ポリマーパターンと対極、特に金属性物質製であるか、または金属性物質を含有する対極との間に、電圧をかける事で、金属性物質の原子または分子を、正に荷電した金属イオン(ここではカチオン)に酸化できる。この金属イオンをポリマーパターン(ここでは陰極)で金属に還元できる。それにより金属性物質をポリマーパターンへ析出できる。電圧の高さや電圧をかける時間を変えると、ポリマーパターンに析出する金属層の厚みを決めたり、制御したりできる。ポリマーパターンの一部だけが第2電解質と接触する場合には、電気メッキもこの範囲だけに析出する。
【0042】
この場で再度、金属性物質の電気メッキによる析出は、ポリマーパターン領域および/またはポリマーパターン上だけに行われるのが好ましいという事をはっきり指摘しておく。そのため、導電性のポリマーパターンで覆われていない、および/または形成されていない(パターン)電極および/または陰極の表面には、電気メッキによる金属性物質の析出は、少なくともほとんど行われないことが好ましい。表面が少なくとも部分的にポリマーパターンで形成されている、および/またはポリマーパターンで覆われている、特に第2電解質と接触する領域において、電極、特に陰極が、ポリマーパターンの補充領域および/または残りの表面部分で絶縁されているか、かつ/または絶縁性物質を含有しているか、かつ/または絶縁性物質で覆われていてもよい。ポリマーパターンと絶縁性物質が大体滑らかな平面、および/または連続している表面となるよう、絶縁性物質はラジアル方向または厚みに設けられる。
【0043】
本発明による方法のその他の特徴は、金属パターンを基板に転写する事であり、その際少なくとも金属パターンの一部が基板に施与される。その為に金属パターンをまず基板と接触できる。特に金属パターンの上面を基板の上面と接触させることができる。更に金属パターンと基板間の接触面および/または接触領域を、基板と金属パターンを接触させる際および/またはその後で、両者間が結合するように構成できる。基板と金属パターン間の結合には、形状接続、摩擦接続、および/または材料接続であってよいいろいろな結合の仕方がある。
【0044】
特に好ましい方法の実施形態の特徴は、基板に施与した金属パターンおよび/またはポリマーパターンが接着剤(基板粘着剤)で基板と好ましくは材料接続的に結合することである。更に基板粘着剤に関しては、電極とポリマーパターン間の固着力が、基板粘着剤と金属パターン、基板および/またはポリマーパターン間の固着力よりも弱いように、基板粘着剤を選ぶと良い。また、金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板が粘着剤に固着できるような、基板粘着剤を選べる。基板粘着剤は、少なくとも部分的に、基板と金属パターンまたはポリマーパターン間に薄いフィルムや極薄の層を形成できる。粘着剤は金属パターンおよび/またはポリマーパターンの転写前に、基板(特に部分的)および/または金属パターン(特に部分的)および/またはポリマーパターン(特に部分的)に塗布できる。金属パターンおよび/またはポリマーパターンを基板に転写した後、粘着剤により、基板と金属パターンまたはポリマーパターン間が固着できる。
【0045】
好ましい方法の他の実施形態の特徴は、基板に施与した金属パターンおよび/またはポリマーパターンを、特にハンダ、溶接、積層、および/または超音波などの熱結合法で、基板と好ましくは材料接続的に結合することである。ハンダ付けまたは溶接の場合、金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板は、基板と金属パターンまたはポリマーパターン間の予想する接触範囲だけに集中して、エネルギー、特に熱エネルギーを加えることができる。溶接の場合、金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板がそれぞれ液相温度に到達し、その後冷却する事で相互結合できる。ハンダ付けの場合には、ハンダ剤を使用して、基板と金属パターンまたはポリマーパターンの間にハンダを位置付けし、特に熱エネルギーをハンダに加える。ハンダは金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板よりも液相温度が低い。ハンダ付けには、ナノメタル、特にナノシルバーを使用できる。ハンダは特に冷却の際に、金属パターンと基板を結合できる。
【0046】
積層法には熱積層と冷積層法がある。積層法は金属パターンおよび/またはポリマーパターンが接着フィルムで基板に接着される、という事が特徴であってよい。この際接着フィルムは金属パターンおよび/またはポリマーパターンを基板に押し付ける事ができる。金属パターンと基板、またはポリマーパターンと基板が直接に接触し合う部分には、接着フィルムを付けない方が好い。
【0047】
むしろ、金属パターンおよび/またはポリマーパターンで覆われない基板の部分に、接着フィルムを接着できる。接着フィルムの形体は接着カバーとすることも可能である。その際接着フィルムは基板と、基板に施与した金属パターンおよび/またはポリマーパターンを、外部から接着しながら結合できる。積層法の特徴は、金属パターンと基板、および/またはポリマーパターンと基板を摩擦接続的に相互結合する事である。その際接着フィルムが摩擦接続の要因であり得る。
【0048】
その他に、金属パターンと基板および/またはポリマーパターンと基板は超音波または摩擦溶接で結合できる。
【0049】
本発明による方法は総合して、基板に金属パターンを製造するのに適している。その為該方法は様々な技術分野で応用できる。該方法の特に好い実施形態は、基板が配線板であることが特徴である。プリント基板とは基本的に、電子部品や配線の支持エレメント(Traegerelement)または支持デバイス(Traegervorrichtung)、と解釈できる。プリント基板上には電子素子および/または配線を固着できる。プリント基板または基板は電気的に絶縁されていてよい。その為、電子素子を電気的配線により相互配線するのが好ましい。この方法の好い実施形態は、金属パターンが配線である事が特徴である。その為金属パターンはプリント基板上の(つまり基板の)1つ以上の配線でもある。金属パターンはまた、でこぼこした部品素子から構成されている場合もある。金属パターンの各素子は非導電的に相互配線され、および/または非物質接続的に相互配線されるように構成できる。
【0050】
特に配線の場合は、その電気抵抗ができるだけ低い事、または物質の選択で電気抵抗を決める事が可能であると好い。該方法の好い実施形態は、電気メッキ工程を何回も、特に金属性物質を交替に使用し、例えば銅、銀、白金や金のような様々な金属を使用して、連続して行えることが特徴である。つまり、電気メッキ工程を何回も、連続して行える。その為少なくとも1回は、例えば銀、金は白金のような、特に高導電性の金属性物質で電気メッキができるように、構成できる。例えば、電気的配線の最縁部の電流密度はスキン効果のため、中心部より高い場合がある、ということが知られている。できるだけ低い、特に効率的な抵抗を持つ金属パターンを提供するために、数回行われる電気メッキ工程の最初および/または最後の工程を、特に高導電性の金属性物質で行うのが好い。その為例として、ニッケルと銅を析出して、ハンダ付け効果を向上できる。その為には銅の析出を、ニッケル析出前に行う事が可能である。この様にすれば、ニッケルを外側に配置して、ハンダ付けを特に容易くできる。
【0051】
本発明による方法の重要な特徴は基本的に、重合工程、電気メッキ工程と金属パターンの基板への転写である。該方法の好い実施形態は、電気メッキ工程がポリマー・コーティングされたパターン電極で行われる、ということが特徴である。そのため、重合工程後、そして電気メッキ工程前にポリマーパターンがパターン電極から剥離されないと好い。ポリマーパターンはパターン電極と特に電気的に接続できる。特にポリマーパターンの裏面を接続できる。つまり重合工程では、パターン電極を少なくとも部分的に第1電解質と接触できる。
【0052】
その際パターン電極上にポリマーパターンを形成または析出できる。その後パターン電極を第1電解質から取り出せる。場合によっては表面を清浄できる。清浄方法は特に、表面を液体で洗浄できる。ポリマーパターンが固着したパターン電極は、その後少なくとも部分的に第2電解質と接触させる事ができる。電気メッキ工程により、金属性物質をポリマーパターンに析出できる。その際電流はパターン電極を通じ(特にパターン電極の電極接触領域を通じ)、好ましくはパターン電極の電極接触領域とのみ、裏面が特に電気的に接触しているポリマーパターンを流れるので、金属析出のほとんどがポリマーパターンでのみ行われる。電気メッキ工程および/または重合工程では、金属パターン、もしくはポリマーパターンの層厚を電流の強さ、電圧の高さ及び/又は荷電、つまり電流と時間の積で、制御できる。
【0053】
本発明による方法は、基板上の金属パターンというプロセス製品をできるだけ低コスト、及び/又はできるだけ速く製造できれば、とりわけ有利である。特に好い方法の特徴は、とりわけ高くつく部品を再使用でき、及び/又は数多くの工程で「停止」しない(できれば各工程後また「解除」される)という事である。
【0054】
好ましい実施形態は、パターン電極を再使用できる事である。
【0055】
パターン電極表面、特に電極接触領域及び/又は電極補充領域の素材に関しては、ポリマーパターンに充分(但し、余り強すぎ無いほうが良い)固着できるような素材を選ぶ事ができる。電極接触領域のパターン電極表面の素材は白金、金またはステンレス製、または白金、金、ステンレスを含有する物質が好いであろう。例えば、電極接触領域のパターン電極表面を白金、金、及び/又はステンレスを含有する物質でコーティング(特に蒸着により)できる。またパターン電極の表面を研磨する事もできる。その様に表面処理すれば、パターン電極表面のざらつきをできるだけ小さくして、またはポリマーパターンとの固着度を目的に従って調整できる。パターン電極の電極補充領域は、硝子及び/又はダイヤモンド状炭素(DLC)を含有する物質、またはこれらの物質からなるものが考えられる。基本的に電極補充領域は、ここに物質がごくわずかしか固着しないように設計する。電極補充領域の接続は内部にある配線で行われる。
【0056】
好い実施形態は、高ドープシリコン製のパターン電極である。ケイ素は表面で酸化するので、表面上に絶縁性の酸化被膜ができ、その際表面は、設定パターンに相応して酸化被膜は付かずに、CR/Auで覆われている。
【0057】
パターン電極の裏面には特に導電性のウエハーを使い、基本的にすべてを相互接続できる。
【0058】
その他、第1電解液に有機溶剤を使用すると、析出したポリマーパターンを第1電極から、特に容易く剥離できるということが分かった。その為、該方法の好い実施形態の特徴は、電解質が有機性溶剤を含有しているという事である。
【0059】
パターン電極表面に適した素材を選ぶ事、パターン電極表面の機械的抵抗力を高める事、および/または第1電極に目的にかなった溶剤を使う事(特に有機溶剤)で、重合工程でも、パターン電極からポリマーパターンを剥離する事でも、パターン電極が傷んだり、破損したりすることを避けられる。その為、パターン電極を再度ポリマーパターンの製造に使用できる。更に、投入した化合物が消耗するまで、第1・第2電解液を何回も使用できたり、段階的または継続的に再生したりする事ができる。
【0060】
基本的にパターン電極の表面をパターン化するのは1回だけ必要である。その為にはパターン電極表面を電極接触領域と電極補充領域に分割する。両領域にはそれぞれ数多くの部分範囲がある。その為パターン電極のパターン化には、従来技術の方法を任意(特にハイコストのものも)に利用できる。基板上の金属パターンの製造に必要な全経費を鑑みると、大量生産でパターン電極を再使用できるために、(ハイコストでも)ほとんど問題ではない。更に、設定可能なパターンを形成すべきところにのみ、導電性のポリマーが析出する事も有利である。同じ事が電気メッキ工程に関しても通用する。その為基板上の金属パターン製造では、素材消費、それに関係する費用を最低限にとどめる事ができる。
【0061】
つまり、ポリマーパターンをパターン電極から破壊せずに分離するのは、基本的に可能である。該方法の好い実施形態は、基板に固着するポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくともその一部を、特に破壊せずに、パターン電極から剥離できる、ということが特徴である。基本的に基板は剛質および/または硬質でよい。しかしながら、基板がフレキシブルおよび/または弾性で、および/または折り曲げられるものである、という事も有利である。こうして、基板を電極、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの形に合わせられ、またはこれらの形に「順応」させる事が可能である。更にポリマーパターンおよび/または金属パターンが、パターン電極に固着するよりも、もっと強力に基板に固着できる。その為には、基板粘着剤がパターン電極よりも、基板に強力に固着するように、基板表面を調整するか、および/またはその様に形成できる。その他の方法は、特に基板粘着剤がここに固着できない様に、パターン電極の表面、特に電極補充領域に非粘着コーティングを施す事ができる。
【0062】
またポリマーパターンが基板に直接接触しないようにも構成できる。その際は、基板粘着剤による基板との金属パターンの固着度を、ポリマーパターンとの金属パターンの固着度より大きくしたり、および/または電極接触領域とのポリマーパターンの固着度より大きくしたり、および/またはポリマーパターンの機械的安定度より大きくしたりできる。
【0063】
その他の特に好い実施形態を説明するためには、まず下記の説明が必要である。
パターン電極の役目は電極の役目を果すだけではない。電極接触領域のパターン、つまり設定可能なパターンにより、パターン電極は少なくとも間接的にポリマーパターンおよび/または金属パターンのパターンを決められる。というわけで、パターン電極は少なくとも2つの役目がある。ひとつは、電流を流す事であり得る。2番目の役目はポリマーパターンおよび/または金属パターンの形成であり得る。該方法の少なくともひとつの実施形態にとっては、パターン電極が1番目の役目から開放され、第2電流がパターン電極を通じて流れず、および/またはパターン電極に依存せず、ポリマーパターンに金属パターンが析出できれば、有利であろう。
【0064】
該方法の好い実施形態の特徴は、ポリマーパターンの少なくとも一部、および/または金属パターンの少なくとも一部を、転写基板に転写することである。その際ポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を転写基板と接触できる。ポリマーパターンの少なくとも一部を転写基材に転写する事は、重合工程後、また電気メッキ工程前に行える。ポリマーパターンの少なくとも一部、また特に、ポリマーパターンと結合している金属パターンの少なくとも一部を基板に転写する工程は、重合工程後で、金属パターンを基材に転写する前に実施できる。ポリマーパターンおよび/または金属パターンと転写基材の結合は、形状接続、摩擦接続、および/または材料接続により結合できる。ポリマーパターンの少なくとも一部、また金属パターンの少なくとも一部が粘着剤(転写粘着剤)、特に粘着性の物質で、転写基材と好ましくは材料接続的に結合されると良い。つまり転写粘着剤に関しては、転写基材、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが転写粘着剤に固着できるような、転写粘着材を選ぶと良い。転写粘着剤は自硬性であり得る。転写粘着剤はまた、エネルギー、特に熱エネルギーを加えることで硬化する粘着剤でも良い。更に、転写粘着剤は接着剤でも良い。転写粘着剤は、特にその粘着作用のために、転写基材とポリマーパターンおよび/または金属パターンの間に形成されると良い。また転写粘着剤は絶縁性であり得る。
【0065】
該方法の好い実施形態の特徴は、ポリマーパターンの少なくとも一部、および/または金属パターンの少なくとも一部を基板に転写する事である。その際ポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を基板と結合できる。ポリマーパターンの少なくとも一部を基板に転写するのは、重合工程後で、電気メッキ工程前に行える。ポリマーパターンの少なくとも一部、および/または特にポリマーパターンと結合している金属パターンの少なくとも一部を基板に転写するのは、電気メッキ工程後に行える。ポリマーパターンおよび/または金属パターンの基板は、形状接続、摩擦接続、および/または材料接続により結合できる。ポリマーパターンの少なくとも一部、また金属パターンの少なくとも一部が基板粘着剤、特に粘着性物質で基板と好ましくは材料接続的に結合されていると好い。基板粘着財に関しては、転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが、基板粘着剤に固着できるような、基板粘着剤を選ぶとよい。基板粘着剤は自硬性であり得る。基板粘着剤はまた、エネルギー、特に熱エネルギーを加えることで硬化する粘着剤でも良い。更に、基板粘着剤は接着剤でも良い。基板粘着剤、特にその粘着作用を、基板とポリマーパターン間、および/または基板と金属パターン間に形成できる。また基板粘着剤は絶縁性であり得る。
【0066】
好ましい実施形態の特徴は、転写基板の形成の為に流体を硬化する事である。その際流体は溶剤の除去、紫外線の照射及び/又は硬化剤の投入で硬化できる。硬化剤はエネルギー及び/又は熱を加えても硬化できる。
【0067】
該方法のその他の好ましい実施形態の特徴は、転写基板を形成するために、特に揮発性の溶剤に溶解した非導電性のポリマー製の溶液(転写ポリマー)、特に紫外線硬化の2成分接着剤(エポキシ)、接着フィルムおよび/または接着被膜付きポリマーフィルムを、ポリマーパターン、金属パターンおよび/または電極補充領域に、特に広範囲に塗布する事である。その際溶剤は有機溶剤でよい。溶剤の気化温度は、転写ポリマーの気化温度または昇華温度よりもずっと低くできる。転写基板を形成するために、溶剤を気体集合状態に転換できる。転換は、エネルギーや熱を加えることでも転換できる。加熱やエネルギーを加える場合は、転写ポリマーが気体集合状態に転換しないように、加熱やエネルギーを加えることができる。また転写ポリマーをも、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが転写ポリマーに固着し、特にポリマーパターンおよび/または金属パターンが、パターン電極よりも転写ポリマーに強力に固着するように、転写ポリマーを選べる。
【0068】
基板に固着するポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を、パターン電極からできれば破壊しないように、分離および/または剥離できる事を、以前に説明した。更にこの件で、破壊せずに剥離できる要因、またはそのために効用に関する、好い特性や関係についても説明した。同じことは転写基板にも当てはまる。該方法の好ましい実施形態の特徴は、転写基板に固着するポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を、好ましくは破壊せずに、パターン電極から分離および/または剥離できることである。他の表現をすると、転写基板に固着するポリマーパターンまたは金属パターンを、重合工程後で電気メッキ工程前に、とくに破壊せずに分離および/または剥離できるということである。電気メッキ工程後、そして金属パターンを基板に転写する前に、ポリマーパターンと、電気メッキによりポリマーパターンと結合した金属パターンを、特に破壊せずにパターン電極から分離および/または剥離できる。転写粘着剤によりポリマーパターンおよび/または金属パターンを、パターン電極に対するよりも、転写基板に対しより強く固着できる。
【0069】
その他の好ましい方法の特徴は、転写ポリマーおよび/または転写粘着剤を適切に選択したり、および/または電極補充領域の表面を機械的および/または化学処理したりして、電極補充領域の転写基板および/または転写粘着剤に対する固着強度をきわめて弱くしたり、および/または電極補充領域の転写基板および/または転写粘着剤に対する固着強度を、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの転写基板および/または転写粘着剤に対する固着強度よりも、ずっと弱くする事である。電極補充領域は、例えば非粘着性コーティングを施したり、および/または研磨したりすることができる。電極補充領域の粗さも極めて低いと良い。電極補充領域内にあるパターン電極の表面は例えば酸化物、硝子または類似の、好ましくは絶縁性の物質を含有するか、および/またはこれらの物質からなるものであり得る。
【0070】
該方法のその他の好ましい実施形態の特徴は、少なくとも金属パターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部をパターン電極から好ましくは破壊せずに分離および/または剥離できることである。特にパターン電極から分離する際、ポリマーパターンが規定切断点および/または規定切断層であると好い。ポリマーパターンが規定切断点および/または規定切断層として作用するという事を、様々な(部分)工程で活用できる。金属パターンおよび/またはポリマーパターンが(少なくとも間接的に)基板または転写基板と、特に固着結合しているなら、ポリマーパターンが力の影響下で、パターン電極と金属パターン間で砕けたり、裂けたり、および/またはポリマーパターンが少なくとも2分割してしまうように、変形してしまうと、金属パターンをパターン電極から分離および/または剥離できる。その際ポリマーパターンは幾つかの部分に分割される場合もある。その為ポリマーパターンの一部が金属パターンに固着する場合がある。他の部分がパターン電極に固着している場合もある。
【0071】
物質特性を活用して金属パターン、転写基板および/またはパターン電極を、ポリマーパターンからできるだけ容易く分離できたら、好都合であろう。ポリマーパターンは規定分割点および/または規定分割層とすることができる、ということはもう既に説明した。
【0072】
該方法の好い実施形態の特徴は、金属パターン、金属パターンと結合している基板および/または金属パターンと結合している転写基板を、ポリマーパターンの少なくとも一部から分離できる事である。その方法は特に溶解および/またはエッチングにより、ポリマーパターンの少なくとも一部を、好ましくは液状の、および/または好ましくはポリマーパターンを溶解できるが、金属パターンはほとんど溶解したり、腐食したりしない溶剤で分離する方法、および/またはエネルギーや熱を加えてポリマーパターンを液化する方法(その際ポリマーパターンの融点は金属パターンの融点よりも低い)、また、特にエネルギーおよび/または熱を加えてポリマーパターンを気体集合体に気化して分離する方法(その際ポリマーパターンの気化温度または昇華温度は金属パターンの溶解温度よりもずっと低い)、および/または例えばウォータージェット、エアジェット、ドクターブレード、サンドブラスト、および/または研削プロセスなどの機械的な分離方法がある。
【0073】
前記の実施形態によりポリマーパターン、パターン電極および/または転写基板を金属パターンから剥離できる。つまり前記の方法なら、ポリマーパターンの少なくとも一部、または例えば転写基板のような他の物体を破壊する事で、特にパターン電極から金属パターンを破壊する事無しに分離したり、および/または破壊する事無しに剥離したりできる。
【0074】
この様にして金属パターンとパターン電極、または転写基板の間のポリマーパターンをエッチングにより除去できる。基板、転写基板、転写粘着剤、基板粘着剤および/またはパターン電極を、エッチングで傷まず、および/または破損しないように設計できる。熱依存性に関しても同等の考察ができる。つまりポリマーパターンが液化および/または気化する温度に、ポリマーパターンを加熱できる。そうすれば金属パターンを基板および/または転写基板から分離できる。というのは、液状のポリマーパターンはほとんど粘着作用がないからである。気体集合状態に転換したポリマーパターンも同等のことが言える。というのは気化したポリマーパターンにはもう粘着作用は無いからである。
【0075】
基板、パターン電極、基板粘着剤、転写粘着剤および/または転写基板は、化学作用および/または腐食性溶剤に対して充分な耐性は無い、という可能性が基本的にある。その為この特性を活用して、ポリマーパターンの少なくとも一部から金属パターンを分離できる方法を提供することが好ましい。該方法の良い実施形態の特徴は、ポリマーパターンの引張強度や破壊強度は、パターン電極、パターン電極表面、金属パターン、基板粘着剤、転写粘着剤、転写基板および/または基板より弱い事である。そうすると金属パターンを力作用により、ポリマーパターンの少なくとも一部から機械的に分離できる。ポリマーパターンの引張強度や破壊強度が弱いために、規定切断点や規定切断層として作用する。
【0076】
発明の特徴は基本的に、転写基板から金属パターンを基板に転写する事でもある。転写用として、例えば転写粘着剤および/または基板粘着剤が導入された。該方法の好ましい実施形態の特徴は、基板粘着剤と転写粘着剤が異なる粘着剤であり、特に異なる接着剤である事である。基板粘着剤と転写粘着剤の融点(または溶融温度)が異なる事、および/または転写粘着剤の溶融温度が基板粘着剤よりもずっと低いことが可能である。また基板粘着剤と転写粘着剤の昇華および/または気化温度が異なる事、また転写粘着剤の昇華温度および/または気化温度が、基板粘着剤よりもずっと低い、ということも可能である。上記に述べた転写粘着剤と基板粘着剤の特性の違いの少なくともひとつにより、金属パターンを転写基板から基板に転写または転記できる。エネルギーを加える事で、転写粘着剤が金属パターンに固着する強度を、基板粘着剤が金属パターンに固着する強度よりも、ずっと弱くなるように転写粘着剤の状態を変化できる。該方法の好い実施形態の特徴は、転写粘着剤が、特に金属パターンから転写基板を分離する際、規定切断点および/または規定切断層であることである。この意味で、この方法の好い実施形態の特徴は、転写粘着剤を特に水、アルコール、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、NMPおよび/またはジクロロメタンなどの溶剤に溶解できる事である。転写粘着剤を溶解できる溶剤では、基板粘着剤および/または基板を溶解できないと好い。
【0077】
転写基板を利用すれば、特にパターン電極を該方法で何回も使用できるようになる、ということを以前説明した。電気メッキ工程前でも、ポリマーパターンを転写基板に転写する事は、選択的に可能である。パターン電極上の電気メッキ工程後、金属パターンとポリマーパターンを転写基板に転写することが可能である。転写基板への転写は、従来技術で知られている、適切な方法のひとつに従って行うことができる。本発明による方法の好い実施形態のひとつは、転写基板を形成するために、特に有機性の(例えばポリウレタンベースの)自硬化性、光化学硬化性、および/または熱硬化性の物質、特にシリコーン接着剤または熱接着剤をポリマーパターン、金属パターンおよび/または電極補充領域に特に広範囲に塗布する事が特徴である。その際、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが好ましくは自硬化性物質に固着するように、好ましくは自硬化性の物質を選べる。転写基板とポリマーパターンおよび/または金属パターンの間を固着するためには、転写粘着剤はこの場合どうしても必要というわけではない。むしろここで紹介した転写基板はポリマーパターンおよび/または金属パターンに充分に固着できる。転写粘着剤は形状接続、摩擦接続、および/または材料接続的に、転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンと結合されている場合がある。その為特に、転写基板は形状接続、摩擦接続、および/または材料接続的に、ポリマーパターンおよび/または金属パターンと結合できる。この様な材料接続的な結合の要因は、転写粘着剤および/または転写ポリマーのポリマーが、転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンと化学結合を有しているか、または化学結合を構成していることが考えられる。更に転写粘着剤および/または転写ポリマーのポリマーが硬化中に膨張し、その為転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが形状接続的に相互結合する事が考えられる。
【0078】
ポリマーパターンの転写が重合工程後そして電気メッキ工程前に行われる場合、または例としてポリマーパターンと金属パターンを転写基板に転写した後に、その他の電気メッキ工程が行われる場合は、電気メッキ工程は間接的に転写基板に行える。該方法の好い実施形態の特徴は、転写基材および/または基板と結合したポリマーパターンに電気メッキ工程を施す事である。つまり電気メッキ工程は、転写基材および/または基板に固着しているポリマーパターンに行われる。パターン電極で電気メッキ工程をする場合は金属性物質を、好ましくはポリマーパターンおよび/または金属パターンのパターン電極の反対側に析出できる。転写基材および/または基板でも同様に析出できる。この様にして電気メッキ工程では、ポリマーパターンまたは金属パターンの、転写基材および/または基板と反対側で、金属物質が析出できる。
【0079】
間接的に電極で行う事のできる電気メッキ工程では、ポリマーパターンおよび/または金属パターンを、電極の電極接触領域を通じて導電接続できる。ポリマーパターンと金属パターンを転写基材に転写する際には、この接続を切断できる。特に電極がポリマーパターンから切断されると、この接続はもう存在しない。特にその為、該方法の好い実施形態は、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが転写基材と電気接続されている事を、特徴とする。その為に、転写基材を少なくとも部分的に、特に表面を導電性に設計できる。該方法の好い実施形態は、転写基材の表面が導電性の物質を含有している事を特徴とする。導電性物質は特に広範囲な、連続した転写基材の表面を形成でき、特にポリマーパターンに向いた面をその様に形成できる。他の表現をすると、転写基材は導電性の表面のある、かなり大きな領域をもつ事ができる。この領域にポリマーパターンおよび/または金属パターンを転写する事ができる。そのため転写により、ポリマーパターンが転写基材で電気的に相互接続されている事が可能となる。特にポリマーパターンのどの部分要素も電気的に相互接続されている事が可能である。そのため転写基材の導電性物質はわずかばかり固有抵抗がある。特に転写基材表面の導電性物質は金属性の物質、および/または特に銀、金および/または白金などの金属である。ここまで集約すると、転写基材の表面も、転写基材に転写され得るポリマーパターンおよび/または金属パターンも導電性とすることができる。その際、転写粘着剤が導電性、それも高導電性であると特に好い。
【0080】
固着しているポリマーパターンおよび/または少なくとも間接的に固着している金属パターンの付いた上記の転写基板を、第2電解質と接触させるのは余り好ましくない。というのは、この境界条件で実施する電気メッキ工程では、第2電解質の金属性の物質も、直接転写基板に析出されてしまうからである。その為、ポリマーパターンの直接の隙間に、電解物質や金属性物質が入らないように保護すると良い。この処置は、特に前記の余り芳しくないケースにも、本発明による方法と関連する他の任意のケースでも役に立つ場合がある。該方法の好い実施形態のひとつは、ポリマーパターンの隙間を充填する事を特徴とする。その際、特に揮発性の溶剤に溶解した、非導電性のポリマー溶剤を、ポリマーパターンで覆われていない電極(つまり特に補充領域)または転写基板の少なくとも一部に、塗布する事ができる。その際、溶液はまずポリマーパターンまたは隙間に、広範囲に配分できる。その後ポリマーパターンの表面を剥離できる。このようにすれば、溶液および/または非導電性のポリマーが、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの隙間にだけあるようにできる。揮発性の溶剤はその後、特にエネルギーまたは熱エネルギーを加えることによって、気体集合状態に転換できる。つまり、転写基板に広範囲な導電性表面があるようにできる。ポリマーパターンおよび/または金属パターンを、この導電性表面と特に導電接続できる。ポリマーパターンの隙間は絶縁性に形成できる。それにより、ポリマーパターンや金属パターンの付いた転写基板を、第2電解質と接触させ、電気メッキ工程を行う事が可能になる。その際電流により、第2電解質の金属性物質がポリマーパターンおよび/または金属パターンに析出する。ここでは、特に転写基板に金属は直接析出されない。というのは、転写基板はポリマーパターンで、また当該の電極補充領域では絶縁性物質、特にポリマーで覆われているからである。
【0081】
転写基板の導電性表面は、側面接続や内部電気的配線によって接続できる。転写基板の導電性表面はその為電位と接続可能である。
【0082】
該方法のその他の好い実施形態は、転写基板および/または基板が絶縁性であることを特徴とする。この場合、導電性の領域は導電性のポリマーパターンで形成することができ、この際ポリマーパターンは電気接続可能である。
【0083】
発明のその他の好い実施形態に関しては、全てがドイツ特許出願DE 10 2009 010 434.8の対象であり、特に配線板に導電性の配線を製造するための「装置および/または方法」に関して、そこに好く明示してある詳細、利点や特徴、また特性も本特許出願の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の方法を実施するための、様々な形態を伴うフローチャート
【図2】パターン電極の断面図
【図3】重合工程を行うための重合ステーションの略図
【図4】ポリマーパターンを備えたパターン電極の断面図
【図5】ポリマーパターン及び転写基板を備えたパターン電極の断面図
【図6】転写基板により少なくとも部分的に剥離された、ポリマーパターンを備えたパターン電極の断面図
【図7】電気メッキ工程を行うための電気メッキステーションの略図
【図8a】ポリマーパターン及び金属パターンを備えた転写基板の断面図
【図8b】ポリマーパターン及び金属パターンを備えたパターン電極の断面図
【図9a】基板と結合したポリマーパターン及び金属パターンを備えた転写基板の断面図
【図9b】基板と結合したポリマーパターン及び金属パターンを備えたパターン電極の断面図
【図10a】転写基板と少なくとも部分的に接合している、ポリマーパターンによる規定切断点の断面図
【図10b】パターン電極と少なくとも部分的に接合している、ポリマーパターンによる規定切断点のその他の断面図
【図11】基板上の金属パターンの断面図
【実施例】
【0085】
下記の図により、発明のその他の詳細、利点と特性を説明する。
【0086】
図1にフローチャートを示している。このフローチャートには、本発明の工程を実施するための様々な方法を包括している。引き続きこの経路を具体的に説明する前に、フローチャートの略図に使用している符号を説明する。長方形の中には出発状態及び目標状態を示している。長方形は矢印で結合している。矢印の方向は好ましい状態の変化を指している。矢印の傍らには、各状態の変化に作用する操作を示している。
【0087】
本発明による方法の有利な目標、つまり基板上の金属パターンを達成するために、まずパターン電極2があることを前提とする。パターン電極2を用いて重合4が行われる。重合により、電気化学的に導電性ポリマーがパターン電極2に析出される。この析出は、少なくともほとんどが設定可能なパターンの範囲でのみ行われる。この設定可能なパターンとは電極接触領域である。つまり導電性ポリマーはパターン電極2の電極接触領域に析出される。そのため、パターン電極上のポリマーパターン6ということもできる。パターン電極上のポリマーパターン6に、更に重合工程6、基板への転写31、電気メッキ工程8、または転写基板への転写20が行われる。パターン電極上のポリマーパターン6から出発すると、4つの選択可能な工程を行うことができる。まず電気メッキ工程8で始まる工程を行う。電気メッキ工程8によって、金属材料がポリマーパターンに析出する。ポリマーパターンに補充する領域には、金属材料が全くまたはほとんど析出されない。重合工程4と電気メッキ工程8により、パターン電極2が多層材料と結合する。他の表現をすると、パターン電極2が多層材料と結合する。というのは、パターン電極はまずポリマーパターンと結合するからである。ポリマーパターンは、パターン電極と反対側で、金属パターンと結合する。それにより、金属パターンは少なくとも間接的に、パターン電極と結合される。材料の配置に基づいて、つまりパターン電極がまずポリマーパターンと結合され、ポリマーパターンがまた金属パターンと結合することに基づいて、この配置を、以後、「パターン電極上の金属・ポリマーパターン」10と名付けることができる。この名称の命名法は、材料及び/又は層の配置、外側から内側へ向かう配置による。パターン電極上の金属・ポリマーパターン10から出発し、基板への転写12及び/又は転写基板への転写30及び/又はその他の電気メッキ工程8を行うことができる。「転写基板への転写30」操作で始まる経路は、後のパラグラフで説明する。電気メッキ8を特徴とする(まずパターン電極上の金属・ポリマーパターン10に至る経路は後のパラグラフで説明する。パターン電極上の金属・ポリマーパターン10から、前記経路は「基板への転写12」で始まる工程を進む。ここでは金属パターン及びポリマーパターンの基板への転写14が行われる。単純なケースでは、基板を金属パターンまたはパターン電極上の金属・ポリマーパターン10に貼付する。(基板から見ると、そのため金属パターンと基板パターンの層順は反対となる)。金属パターンは有利には直接基板と結合する。場合により金属パターンと基板との間に基板粘着剤を配置できる。金属パターンの基板とは反対側で、金属パターンがポリマーパターンと結合している。つまりポリマーパターンは、少なくとも間接的に基板とも結合している。パターン電極のために用いた命名法と同様に、基板はポリマー・金属パターンと結合している。そのためパターン電極上の金属・ポリマーパターン10は、基板への転写12により、「基板上のポリマー・金属パターン」14が生じる。基板上のポリマー・金属パターン14からのポリマーパターンの除去16により、基板上の金属パターン18が残る。
【0088】
前記パラグラフで行われた目標に達する経路では、様々な岐路があるが、それぞれの岐路では唯一の特定の経路を辿る。そのために一飛びして最初の岐路、つまりパターン電極上のポリマーパターン6に戻る。
【0089】
パターン電極上のポリマーパターン6は、転写基板への転写20により複写できる。ひとつの実施形態では、ポリマーパターンを転写粘着剤で、転写基板に貼付できる。転写基板はパターン電極よりも、強力にポリマーパターンに固着するので、力作用でパターン電極からポリマーパターンを分離及び/又は剥離できる。これはパターン電極の表面の固着力をごく低くすること、ポリマーパターンの成分を適切にすることで容易になる。転写基板上のポリマーパターン22を用いて、電気メッキ工程24を行える。その際、ポリマーパターンを通じて電流が流れる。ポリマーパターンで覆われていない転写基板の面は、特に付加的な絶縁材料で覆うことができる。電気メッキ工程により、ポリマーパターンにのみ金属材料が析出する。そのため電気メッキ工程24により、転写基板上の金属・ポリマーパターン26が生じる。この命名法はパターン電極上の金属・ポリマーパターン10と同様に用いられ、基板上のポリマー・金属パターンにも使われる。つまり、転写基板上の金属・ポリマーパターン26は、材料の積層またはデバイスである。この際、ポリマーパターンは転写基板と、特に直接結合している。更にポリマーパターンは、転写基板を反対側で金属パターンと結合されていてもよい。これは、重合工程4に電気メッキ工程24が続く順序のためである。転写基板上の金属・ポリマーパターン26から出発して、再度転写基板上の金属・ポリマーパターン26に通じる電気メッキ工程24を実施するか、または基板への転写28を行える。電気メッキ工程24については後のパラグラフで説明する。まずは「基板への転写28」を詳しく説明する。というのは、基板への転写28により、転写基板の金属パターンとポリマーパターンを基板に転写できるからである。この場合金属パターンを基板と結合できる。この場合特に適しているのは接着結合である。更に転写基板は、金属パターン及び/又は転写粘着剤が基板に固着するほど、強くはポリマーパターンに固着しない。そのためポリマーパターンを、少なくとも分割して、基板から分離及び/又は剥離できる。この場合、ポリマーパターンが割れる及び/又は破壊するということは十分にありえる。そのためポリマーパターンは規定切断点として作用できる。基板には金属パターンと、少なくともポリマーパターンの一部が残る。つまり、このようにして基板上にポリマー・金属パターン14が形成される。
【0090】
2つ前のパラグラフで2つの岐路を紹介した。このパラグラフはこの2つの岐路の最初の経路から出発するもうひとつの経路と関連している。そのためここでまた一飛びして第2の岐路(2つ前のパラグラフ)、つまりパターン電極)上のポリマーパターン10に戻る。
【0091】
パターン電極上の金属・ポリマーパターン10は、転写基板への転写30により複写される。その際転写基板を金属パターンに貼付して、その後転写基板を金属パターンと一緒に、パターン電極またはポリマーパターンから分離及び/又は剥離することが有利である。その際ポリマーパターンが破砕及び/又は数々の片に分割する可能性がある。つまりポリマーパターンはその際規定切断点として使える。金属・ポリマーパターンを転写基板に転写した後、転写基板にポリマー・金属パターン32が生じる。この場合ポリマーパターンは、析出した元のポリマーパターンの複数の部分からなっていてもよい。このポリマーパターンは例えば化学的及び/又は機械的に除去できる。ポリマーパターンの除去34により、転写基板上の金属パターン36が残る。その後基板への転写38を行う。ここで金属パターンを基板と結合できる。特に基板粘着剤によって、金属パターンを基板と結合できる。転写基板はその後分離及び/又は除去できる。分離及び/又は除去は化学的または機械的に行うことができる。転写基板は特に転写基板に合った溶剤で、金属パターン及び/又は基板から溶離できる。転写の後に基板上の金属パターンが生じる。
【0092】
これまで述べた目標に向か経路のそれぞれの岐路では、特定の経路を進んできた。しかしながら経路がもうひとつの、つまり再度パターン電極上のポリマーパターン6から出発する経路が残っている。
【0093】
パターン電極上のポリマーパターン6は基板への転写31により複写することも可能である。ひとつの実施形態では、基板粘着剤を使ってポリマーパターンを基板に貼付できる。基板はパターン電極よりも強力にポリマーパターンに固着するので、力作用によりポリマーパターンをパターン電極から分離及び/又は剥離できる。パターン電極の表面の固着力が微弱であること及び/又はポリマーパターン成分が適切であることで、剥離は容易になる。基板上のポリマーパターン33を使って電気メッキ工程35を行うことができる。その際ポリマーパターンを通って電流が流れる。ポリマーパターンで覆われていない基板の面は、特に付加的な絶縁材料で覆うことができる。電気メッキ工程により、ポリマーパターン上にのみ金属材料が析出する。そのため電気メッキ工程35により、基板上の金属パターン37が生じる。この命名法はパターン電極上の金属・ポリマーパターン10と同様に用いられ、基板上のポリマー・金属パターンにも使われる。つまり、基板上の金属・ポリマーパターン37は、材料の積層またはデバイスである。この際、ポリマーパターンは基板と、特に直接結合している。更にポリマーパターンは、転写基板の反対側で金属パターンと結合していることができる。これは、重合工程4に電気メッキ工程24が続く、順序に起因する。そのためポリマーパターンは粘着層としても作用できる。
【0094】
次に電気メッキ工程8、35及び/又は24について詳しく説明する。この電気メッキ工程8、24、35の基本は同じである。というのは、パターン電極上の金属・ポリマーパターン10、転写基板上の金属・ポリマーパターン26、または基板上の金属・ポリマーパターン37は、電気メッキ工程8、24又は35で作製されるからである。そのため、その後に更に電気メッキ工程8、24、35を設けることも基本的に可能である。その際、その前に使用した金属材料とは異なる他の金属材料を、後続の電気メッキ工程8、24、35に使うことが有利である。つまり第1電気メッキ工程の金属材料は、例えば銅であるかまたは銅を含有することができる。金属パターンに高電流を流すことを意図する場合は、一番外側の金属層を高導電性の金属材料、例えばニッケルを合有しているのが有利である。このことを相応する電気メッキ工程8、24、35で考慮すべきである。
【0095】
同様のことが、連続して何回も行うことができる重合4にも通用する。この際、その前に使用した重合性及び/又は架橋性化合物とは異なる、他の重合性及び/又は架橋性化合物を、後続の重合工程6に使うことが好ましい。
【0096】
図2はパターン電極50の断面図を示している。パターン電極50には支持材料40がある。支持材料40上に機能性支持層52を設けている。機能性支持層52は導電性の電極表層42と非導電性の電極表層44がある。電極表層42の支持材料40と反対側の導電性の表面には、電極接触領域46がある。電極表層44の支持材料40と反対側の非導電性の表面には、電極補充領域48がある。電極接触領域46と電極補充領域48はそれぞれパターン電極の個々の部分表面から成っていてもよい。
【0097】
あまり有利でない実施形態は、支持層40が硝子、導電性の電極表層42が酸化インジウム錫、非導電性の電極表層44が絶縁材料(特に絶縁性ポリマー)である。
【0098】
それに代わる有利な実施形態は、全ての導電性の電極表層42及び/又は電極接触領域46を電気接続するために、支持層40が導電性である。導電性の電極表層42は支持材料40の材料とは違う材料からなることができる。例えば、支持材料40がSiウェハーであり、その際導電性の支持材料はケイ素である。導電性の電極表層42はCr/AuであるかまたはCr/Auを含有する。その他非導電性の電極表層44はSiO2であるかまたはそれを含有することができる。
【0099】
図3は重合工程を実施するための重合ステーション54を略図で示している。パターン電極50は少なくとも部分的に第1電解質56に浸漬または電解質と接触させる。第1電解質56はこの際容器60に入れることもできる。パターン電極50は少なくとも第1電解質56と接続し、パターン電極50の電極接触領域46と電極補充領域48の少なくとも一部が、第1電解質と接触できるようにする。更に、対極58を第1電解質56と接続する。パターン電極50と対極58は配線62で電源60と接続されている。重合ステーション54の電気化学的重合により、電極接触領域46に導電性のポリマーが析出する。そのためにパターン電極50と対極58との間に電圧をかける。
【0100】
そのため、実施例のためにポリマーパターンは、ドープ処理したポリ(3−メチルチオフェン)から製造できる。その際第1電解は乾燥プロピレンカーボネート中の0.03Et4NBF4の溶剤からなる。重合工程ではパターン電極50が陽極であり、対極58が陰極である。対極は白金を含有するかまたは白金からなることができる。電源60をスイッチオンすると、パターン電極50と対極58との間に例えば10Vの電圧がかかる。パターン電極50の電極接触領域46で電気化学的重合が行われる。その際設定可能なパターンに相当するパターンを有するドープ処理したポリ(3−メチルチオフェン)からなるポリマーフィルムが析出する。析出したポリマーフィルムまたはポリマーパターンが所望の厚み、ここでは0.5mmに到達すると(約30秒後)、電圧を切ることができる。その後、パターン電極50を第1電解質56から取り出せる。その後、電極接触領域46に形成したポリマーフィルム(ポリマーパターン)46を有するパターン電極50を、その他の工程段階で使用できる。
【0101】
図4はパターン電極50の電極接触領域46に析出したポリマーフィルム66を示している。電極接触領域46には設定可能なパターンがあるので、析出した導電性のポリマーフィルム、つまりポリマーパターン66もほとんど設定したパターンとなる。というのは、重合工程で流れる電流は、電極接触領域46にのみ流れるからである。非導電性の電極表層44及び/又は電極補充領域48には電流は流れない。そのため電極補充領域48では電気化学的な重合は行われない。そのためここでは第1電解質からポリマーが析出されない。電極接触領域46のパターンはそのため、等方性の積層成長を考慮の下に、ポリマーパターン66のパターンをも決める。
【0102】
図5はポリマーパターン66及び転写基板68を備えたパターン電極50の断面を示している。その際ポリマーパターン66と転写基板68との間は、転写粘着剤70で結合される。転写粘着剤70は、転写基板68とパターン電極50とを接触させる前に、ポリマーパターン66に塗布できる。転写基板68とパターン電極50とを接触した後、転写粘着剤70が硬化する。それにより転写基板68とポリマーパターン66との間には、力による及び/又は材料による結合が生じる。更に転写粘着剤が、ポリマーパターン66及び/又は転写基板68と化学結合する可能性もある。転写粘着剤70が、パターン電極50の非導電性の電極表層44及び/又は電極補充領域48に固着する強度は、転写基板68及び/又はポリマーパターン66に固着する強度よりもずっと低い。そのため、特に力作用により、ポリマーパターン66をパターン電極50から分離及び/又は剥離することができる。
【0103】
図6は、転写基板68によって少なくとも部分的に分離されたポリマーパターン66を備えたパターン電極50の断面図を示している。この実施形態では、ポリマーパターン66は、パターン電極50の導電性の電極表層42及び/又はパターン電極50の電極接触領域46よりも、転写基板68及び/又は転写粘着剤70に強力に固着する。そのため転写基板68により、パターン電極50からポリマーパターン66を剥離及び/又は分離できる。分離及び/又は剥離を側部から始め及び/又はパターン電極50の側面を介して広げていくと、切断領域74を形成できる。この切断領域74は楔形の場合がある。この様にしてポリマーパターンの転写が、パターン電極50から転写基板68へ行われる。
【0104】
図7は電気メッキ工程を行う電気メッキステーション80を略図で示している。電気メッキステーション80には容器82がある。この容器82に第2電解質84を入れる。電解質は銅を含有する。この意味で、特に硫酸銅(CuSO4)のような金属塩を含有できる。更に、例えば銅からなる及び/又は銅を含有する対極86を容器82に投入する及び/又は第2電解質84と接触する。更に、ポリマーパターン66を第2電解質84と接触する。その際ポリマーパターンはパターン電極50または転写基板68と結合していることができる。ポリマーパターン66がパターン電極50と接続されている限りは、パターン電極を少なくとも部分的に、第2電解質82と接触できる。図4と図2で既に説明したように、パターン電極50には非導電性の電極表層44及び/又は電極補充領域48がある。電気メッキ工程により、パターン電極50の電極補充領域48には全くまたはほとんど金属が析出されない。金属の析出はポリマーパターン66に行われる。金属析出により、ポリマーパターン66に金属パターン92が生じる。
【0105】
重合工程でパターン電極50ではなく、転写基板68を使用する限りは、転写基板68を少なくとも部分的に第2電解質と接触できる。ポリマーパターン66は転写基板68と結合している。更に転写基板68には非導電性の領域70がある。非導電性の領域はポリマーパターン66に対し補充的であることができる。前件の場合は、転写基板68の非導電性の領域70は、特に非導電性の転写粘着剤で覆われている。重合工程により、第2電解84から金属材料がポリマーパターン66に析出される。転写基板68の非導電性の領域70には金属材料は全くまたはほとんど析出しない。
【0106】
基本的に電源90にスイッチオン又はオフすることで、金属材料の析出をコントロールできる。というのは対極86もポリマーパターンもそれぞれ接続配線で電源90と接続されているからである。そのため、電源がスイッチオンされている場合及び/又は対極とポリマーパターンとの間に電圧差がある場合にのみ、析出が行われる。
【0107】
まとめると、つまり第2電解質84の金属材料が、電気メッキでポリマーパターン66に析出し、その際そのポリマーパターン66はパターン電極50及び/又は転写基板68と接続している。
【0108】
後続する図で示されている、符号「a」を伴う図は、転写素材68で電気メッキ工程を行ったものである。符号「b」を伴う図は、パターン電極50で電気メッキ工程を行ったものである。
【0109】
図8aはポリマーパターン66及び金属パターン92を備えた転写基板68の断面を示している。金属パターン92はポリマーパターン66とだけ結合しているかまたはほとんどポリマーパターン66とだけ結合している。金属パターン92は、ポリマーパターン66の転写基板68と反対側の表面を超えて側面には少なくともほとんど広がらない。特に電圧及び/又は電気メッキ工程の時間に応じて、金属パターン92は特定の厚み94となる。金属の析出が少なくともほとんどポリマーパターン66にだけで行われるために、ポリマーパターン66のパターンが、金属パターン92のパターンを作り出す。パターンは有利にほとんど同じものであり、特に厚みが同じである。またパターンは有利にパターン電極の設定可能なパターンに相当する。電気メッキ工程により転写粘着剤70に金属は析出されない。
【0110】
図8bはポリマーパターン66及び金属パターン92を備えたパターン電極50の断面図を示している。電気メッキ工程により、金属材料はポリマーパターン66にのみ析出する。そのため金属パターン92は、ポリマーパターン66を越えて側面に広がっていくことはないか又はほとんどない。電圧及び/又は電気メッキ工程で電圧をかける時間に応じて、金属パターン92は特定の厚み92となる。少なくとも電気化学電気メッキにより、パターン電極50の電極補充領域48には金属は析出しない。そのためポリマーパターン66のパターンが、金属パターン92のパターンを作り出す。2つのパターンは、パターン電極50の設定可能なパターンと少なくともほとんど同じである。
【0111】
図9aは基板96と結合したポリマーパターン66及び金属パターン92を備えた転写基板68の断面を示している。金属パターン92はポリマーパターン66及び/又は転写基板68と反対側100で、基板96と結合している。基板96と金属パターン92を結合する前に、基板、金属パターン92及び/又はその隙間98に基板粘着剤を塗布又は導入する。基板粘着剤は基板96にも金属パターン92にも固着する。基板96は絶縁性である。特に絶縁性の支持材料102を有する。
【0112】
図9bは基板96と結合した、ポリマーパターン66及び金属パターン92を備えたパターン電極50の断面を示している。金属パターン92と基板96との間の接続領域は図9aの接続領域と同様に形成されている。ここでも基板96は基板粘着剤98で金属パターンと結合されている。しかし、基板粘着剤98はポリマーパターン66を金属パターン92及び/又はや基板96とは結合していない。図9aに説明されている基板96、転写粘着剤98、金属パターン92、及び/又は金属パターン92と基板との間の接触及び/又は結合領域の利点、特徴及び/又は特性は、ここでも同様に通用する。
【0113】
図10aは少なくとも部分的に転写基板68と結合している、ポリマーパターン66による規定切断箇所106の断面図を示している。転写基板68と基板とへの少なくともほぼ通常の、外側に向けた力作用によるかまたは他の方向に向けた力作用、例えば斜めに外側に向けた剥離力により、ポリマーパターン66を規定切断箇所及び/又は規定説断層として活用できる。ポリマーパターン66及び/又は転写粘着剤70の強度はそのため特に低く、特に比強度は金属パターン92、基板96、転写粘着剤及び/又は転写基板68の比強度より低い。強度及び/又は比強度は破壊強度であり得る。上記の力作用では、そのためポリマーパターンは図10aで示しているように、角を成して割れる可能性がある。その際ポリマーパターン66は多数の部分に砕かれたり、分離したりする場合がある。そのためポリマーパターン66が部分的に転写基板68に固着して残る場合がある。転写基板68に固着したままのポリマーパターンの部分は、次いで金属パターン92に固着したままのポリマーパターン66の部分から分離される。
【0114】
その代わりに(図に示していない)、ポリマーパターン66を転写基板68と一緒に、金属パターン92から、特にほとんど完全に、分離できる。そのために、ポリマーパターン66と金属パターン92との結合は、両パターンを分離するにはポリマーパターン66を破壊、破断、引き裂くためには充分でない力作用が必要となるように形成することができる。他の表現をすると、そのためにはポリマーパターン66の破壊強度が、ポリマーパターン66と金属パターン92との間の結合強度よりも、強いということである。ポリマーパターンの破壊強度及び/又はポリマーパターンと金属パターン間の結合強度は、第1電解質の適切な溶剤の選択、第1電解質の重合性及び/又は架橋性化合物の適切な選択により有利に決められる。
【0115】
図10bは少なくとも部分的にパターン電極50と結合しているポリマーパターン66による、規定切断箇所106のその他の断面図である。パターン電極50及び基板96に対して外側に向けた力作用により、ポリマーパターンは第1部分66aと第2部分66bに破断及び/又は分離する。力作用は、特に図10aと同じく、少なくともほぼ通常の外側または他の力方向で、パターン電極50と基板96かかる。ポリマーパターン66の強度、特に破壊強度は、パターン電極50、特にその導電性の電極表層42及び/又はその電極接触領域46、金属パターン92、転写粘着剤98及び/又は基板96よりも低い。
【0116】
図11は基板96上の金属パターン92の断面図である。図10a又は図10bではまだ金属パターン92と結合しているポリマー、特にポリマーパターン66またはポリマーパターンの一部66bが、熱的、化学的及び/又は機械的に金属パターン99から除去される。転写粘着剤も(少なくとも部分的に)除去することができる。そのためにも機械的、熱的及び/又は化学的方法が適している。そのために図11では重要な部材、つまり基板96上の金属パターン92を示している。
【符号の説明】
【0117】
2 パターン電極、 4 重合、 6 パターン電極上のポリマーパターン、 8 電気メッキ工程、 10 パターン電極上の金属・ポリマーパターン、 12 基板への転写、 14 基板上のポリマー・金属パターン、 16 ポリマーパターンの除去、 18 基板上の金属パターン、 20 転写基板への転写、 22 転写基板上のポリマーパターン、 24 電気メッキ工程、 26 転写基板上の金属・ポリマーパターン、 28 基板への転写、 30 転写基板への転写、 31 基板への転写、 32 転写基板上のポリマー・金属パターン、 33 基板上のポリマーパターン、 34 ポリマーパターンの除去、 35 電気メッキ工程、 36 転写基板上の金属パターン、 37 基板上の金属・ポリマーパターン、 38 基板への転写
【技術分野】
【0001】
本発明は基板に金属パターンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、配線板上の導電性パターン製造のために、異なる方法が数多く知られている。公知の方法の違いは、各製造に必要な設備コストと並んで、主にその方法で達成可能な微細度(Aufloesung)、表面の品質および方法の速度である。電子部材を電気的に接続する配線は、通常マスキング・エッチング、適切なプリント法またはレーザー加工で配線板に作製される。基本的に配線板はいろいろな種類、特にフレキシブルなプリント配線板、フィルム、セラミック等であってよい。
【0003】
この関係において従来技術では、適切なプリント法により電子素子、ユニットやアプリケーション、また特に配線を完全または部分的に配線板に施与する、プリント電子回路が知られている。この場合印刷インクの代わりに、液状またはペースト状の機能性材料で印刷する。
【0004】
配線板に配線を作製するために使用されるレーザー加工法に関しては、特にLDI(レーザー直描)とLDP(レーザーダイレクト・パターニング)が挙げられる。レーザー直描ではまず金属化するが、通常は配線板上を平面状に金属化する。この上にフォトレジストを施与し、その上に直接レーザーで描画するか、またはマスクで覆い感光する。引き続き金属をエッチングし、レジストを除去する。
【0005】
その反対にレーザー・ダイレクト・パターニング法では、成形したレーザービームをマスク上面に走らせて、直接パターニングする。この方法のメリットはレーザー直描より処理が速いという利点があるが、ごく薄い金属層を必要とする。
【0006】
配線板に配線を作製するための、従来技術から公知の方法の共通点は、電子業界の数多くの応用にとって、もはや微細度が不充分であり、将来的にはもっと満足できなくなる事である。
【0007】
更に、従来技術から、基板に金属パターンを製作する方法が知られており、この方法の特徴は、まず基板に薄い金属フィルムを広範囲に施与することである。この金属フィルム上にフォトレジストを施与し、光化学的に、またはレーザー技術により除去して、補充的に所望のパターンを作製する。この補充領域に残った金属パターンは次いでエッチングして取り除く。最後に金属パターンにまだ接合しているフォトレジストを、例えば溶剤で溶除する。
【0008】
従来技術からのもう一つの方法の特徴は、主にプリント工程と電気メッキ工程である。この方法ではまず基板にいわゆるシード層を印刷する。この印刷は、シード層に所望のパターンが形成されるように実施する。その為に適切な印刷剤は、溶剤に溶解した導電性のポリマーである。印刷後溶剤は気体凝集状態になり、基板には導電性ポリマーが付着する。シード層はその後電解液と接触する。電解液には、電気メッキ工程により析出すべき物質が導入されており、この析出は電解法により行う。電気メッキに必要なのは、電極と対極である。電極はシード層により基板に形成される。その為シード層を設計する際には、シード層のどんな小さな部分要素にも、基板の電気接続する角に対して、側面配線があるように注意する。というのも、電気メッキで金属をシード層へ析出するためには、シード層のどの部分領域も第1電位と接続し、対極が第1電位以外の電位と接続していれば、完全な析出が行われるからである。実際には、所望するパターンが上記のように角に対して側面接続している例はほとんど無い。その為この接続を可能にするために、シード層にはしばしば追加の部分面がある。後に製品を使用する場合、この接続は嫌われる。金属の基板への追加析出は、後の加工工程で元通りにされる。
【0009】
上記の工程の共通点は、金属パターンの最大微細度が低い事である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、できるだけ低コストで、高微細度の金属パターンを基板に形成できる方法を提供することである。
【0011】
その方法により、連続工程でも金属パターンを製造できれば有利である。
【0012】
更に、特に5マイクロメーター範囲の高微細度で金属パターンを製造できれば有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、基板に金属パターンを製造する方法において、以下の方法工程:
a.重合工程、
この工程では、設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)が表面にある少なくとも1つのパターン電極が使用され、その際、前記電極接触領域は第1電位と接続可能であり、前記電極接触領域の少なくとも一部が、好ましくは液状の、第1電解質に接触され、その際、前記第1電解質には重合および/または架橋性化合物が導入されており、かつ前記パターン電極を介して第1電解質を通じて第1電流が発生され、その際、第1電解質と接触した電極接触領域には、設定したパターンの導電性ポリマーフィルムが形成される(ポリマーパターン)
b.電気メッキ工程、
この工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が、好ましくは液状の、第2電解質と接触され、その際、前記第2電解質には金属性物質が導入されており、その際、前記ポリマーパターンを介して第2電解質を通じて第2電流が発生され、その際、第2電解質と接触した前記ポリマーパターンの領域には、設定したパターンの導電性金属フィルムが形成および/または析出される(金属パターン)
c.前記金属パターンの基板への転写工程および/または前記ポリマーパターンの基板への転写工程
前者の工程では、前記金属パターンの少なくとも一部が基板に施与され、後者の工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が基板に施与される
を特徴とする、基板に金属パターンを製造する方法によって解決される。
【0014】
本発明により、基板上に高微細度の金属パターンを安価に製造する事ができる。その為にはまず重合工程を行い、その際、パターン電極の表面に設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)があるパターン電極を最低1個使用する。その際電極接触領域は第1電位と接続でき、少なくとも電極接触領域の一部が、好ましくは液状の第1電解質と接触する。その際重合および/または架橋性化合物を第1電解質に導入し、パターン電極を介して、第1電解質により第1電流が発生する。その際に第1電解質と接触する電極接触領域に、重合および/または架橋性化合物から成る、設定パターンの導電性フィルムが形成される(ポリマーパターン)。その後第1電解質からパターン電極を取出し、導電性フィルムでコーティングされた電極接触領域の少なくとも一部を、好ましくは液状の、第2電解質と接触させる。その際第2電解質には金属イオンが導入されており、パターン電極を介して、第2電解質により電流が発生する。その際第2電解質と接触した、電極接触領域にある導電性フィルムに、金属パターンが形成および/または析出される。
【0015】
この方法の目的は、基板上に金属パターンを作製することである。この基板というのは、基材、またはその最表層であってよい。合成樹脂性の基板が好ましい。また基板が絶縁されている、特に電絶されていると好ましい。基板の表面の形は任意なものであってよい。しかし基板の表面は、少なくとも大体平面であると好ましい。好ましい実施形態では、基板は配線板、および/または基材、またはプリント基板の基材である。
【0016】
本発明の対象はまた、この方法で製造した基板上の金属パターンである。これはつまり、金属パターンの少なくとも大部分が基板だけにあることを意味する。しかしながら、金属パターンと基板が形状接続、摩擦接続および/または材料接続により結合されている事も可能である。基本的には金属パターンの形は任意に形成できる。パターンは基板表面のある任意の部分を覆うことができる。特に基板が配線板である場合は、金属パターンで基板の機能的表面の一部、複数部分またはその全面を覆う事もできる。基板の機能的表面というのは、この部分が他の機能的物質、機能的材料および/または他のデバイスと相互作用できるように用意された表面であってよい。相互作用というのは特に保持であってよい。
【0017】
金属パターンは特定の、特に設定されたパターンであると特に有利である。つまり設定できるパターンというのは、表面パターンであってよい。
【0018】
電子素子は配線によって相互に接続するのが好ましい。基板の金属パターンにより電子素子が互いに接続されていてもよい。その際金属パターンは、特に基板上の部材間の配線であってよい。電気回路の全部材の全接続が、相互に電気的に「星型」に接続されているのは、基本的に好ましくない。むしろ電気回路があるパターンを描いていることがよくある。その意味で電気回路というのは、むしろ選ばれた特定の接続の間だけを、特に電気部材間の配線だけを形成するように構成されている。
【0019】
方法の好ましい、重要な工程のひとつは、重合工程である。重合工程のためには、パターン電極の表面に設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)があるパターン電極を最低1個使用する。設定可能なパターンがあるという事は、もう既に述べた。この設定可能のパターンというのは、例として電気回路のパターンおよび/または表面配置、もしくは回路の電気(接続)配線の表面パターンであり得る。基板上の金属パターンが設定のパターンを形成できるように、パターン電極表面の少なくとも一部が、設定可能なパターンに相応するパターンを形成しているとよい。この意味で、パターン電極は、電極接触領域を有している。この電極接触領域はパターン電極表面と関連する面でもよい。しかし実際には、好んで使われるケースはほとんどない。電極接触領域の形態は、この領域がパターン電極の関連のない、複数の表面領域から成り立っていることが特徴である。この複数の関連の無い領域は、パターン電極の第1領域であってよい。電極補充領域は、パターン電極表面の残りの第2領域であってよい。電極補充領域は、パターン電極表面の関連する部分領域であってよい。電極補充領域はパターン電極表面の複数の部分領域から成り立っている場合もある。その為に電極接触領域と電極補充領域が重なっている部分および/または交点が無い、ということもあり得る。パターン電極表面はパターン電極の機能性表面とも考えられる。パターン電極の機能性表面は、電解質と接触できるように規定されている表面であってよい。パターン電極の接続領域はパターン電極表面から除外されているとよい。パターン電極は基本的に、従来技術で知られている電極の特性を有していてもよい。ここでは、この電極に最低2つの領域があるために、パターン電極と名付けている。
【0020】
その他の本発明の範囲は、電極接触領域が第1電位と接続可能なことである。そのために、電極接触領域は少なくともリード線1本により第1電位と接続できる。特に、電極接触領域または、特にパターン電極の一部が電気的に相互に接続していると応用しやすい。接続した電極接触領域は、特にリード線で第1電位と接続されていてもよい。電源は通常、電圧の高さが互いに異なる電位を最低2つもつ。電源には通常電圧コネクターがあるので、装置はこの電位にアクセスできる。これにより、電極接触領域もリード接続により、電源の第1電位のコネクターと接続可能となる。パターン電極の電極接触領域はそのため導電性であると好ましい。電極補充領域はその反対に絶縁性であってよい。
【0021】
重合工程では、電極接触領域の少なくとも一部を、できれば液状の、第1電解質と接触させる。その為にパターン電極は少なくとも部分的に第1電解質に浸漬できる。その際、パターン電極全体を第1電解質に浸漬する事は、どうしても必要というわけではない。むしろパターン電極の一部分だけを第1電解質と接触させる事が可能である。そのためにはパターン電極を部分的、例えば半分だけ、第1電解質に浸漬できる。しかしながら、パターン電極の表面全部および/または機能性表面全体を第1電解質と接触させる事が好ましい。基本的に第1電解質は任意の凝集状態でありうる。つまり第1電解質は固体、液体または気体でありうる。電解質は、できるなら有機物質を溶解できる溶剤を含有できる。第1電解質は液体であるとよい。溶剤はメタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール、NMP、塩化メチレンまたは水が好い。また2種類以上の溶剤、例えば水、アセトニトリル、プロピレンカーボネートおよび/または塩化メチレンの混合物も可能である。特に好ましい電解質は、特に陽イオンと陰イオンを含む導電性溶液である。更に第1電解質には重合および/または架橋性化合物が導入されていてもよい。重合性化合物はモノマーがよい。重合性化合物は基本的にポリマーに、例えば分岐していない、または分岐したポリマーに結合可能な、低分子および/または反応性の分子であり得る。重合性化合物は、反応性の二重結合および/または特に不飽和有機化合物を有していてもよい。架橋性化合物としては、三次元の架橋に結合できる、特にマクロ分子のような分子と理解される。架橋性化合物は、重合を促進および/または誘発するように選択することができる。
【0022】
方法の好ましい実施例の特徴は、第1電解質は、有利には有機性の溶剤および/または溶剤に溶かした塩を含有し、その際重合および/または架橋性、特に低分子化合物がその電解質で溶解できるような、第1電解質を選択することである。溶剤としてプロピレンカーボネート、アセトニトリル、一価または多価アルコール、テトラヒドロフランまたは水をそれぞれ単独で、または任意の混合物として使用できる。塩としては例えばテトラエチルアンモニウム−テトラフルオロホウ酸塩、テトラエチルアンモニウム−ヘキサフルオロリン酸塩、テトラエチルアンモニウム過塩素酸塩、またはポリ(スチレンスルホン酸)−ナトリウム塩をそれぞれ単独で、または任意の組み合わせとして使用できる。
【0023】
方法の好ましい、もう一つの実施形態の特徴は、第1電解質に導入する化合物としてピロール、3−アルキルピロール、特に3−メチル−、3−エチル−、3−プロピルピロール、N−アルキルピロール、特にN−メチル−、N−エチル−、N−プロピルピロール、N−アルキルピロール、特にN−フェニル−、N−(4−アミノ)フェニル−、N−(4−メトキシ)フェニル−、N−ナフチルピロール、N−ヘテロアリールピロール、特にN−(3−チエニル)−、N−(2−チエニル)−、N−(3−フラニル)−、N−(2−フラニル)−、N−(3−セレノフェニル)−、N−(2−セレノフェニル)−、N−(3−ピロリル)ピロール、チオフェン、3−アルキルチオフェン、特に3−メチル−、3−エチル−、3−プロピルチオフェン、フラン、3−アルキルフラン−、3−メチル−、3−エチル−、3−プロピルフラン、セレノフェン、3−アルキルセレノフェン、特に3−メチル−、3−エチル−、3‐プロピルセレノフェン、テルロフェン、アニリン、ビフェニル、アズレン、2−(アルファ−チエニル)チオフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)チオフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)チオフェン、2−(アルファ−チエニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−チエニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−チエニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−チエニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−フラニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)フラニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)フラニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−フラニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−ピロリル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)ピロリル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)ピロリル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−ピロリル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−セレノフェニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)−(3−アルキル)セレノフェン、2−(アルファ−チエニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)セレノフェン、2−(アルファ−(3−アルキル)チエニル)−(3−アルキル)セレノフェン、2−(アルファ−チエニル)−(3−アルキル)セレノフェン、2−(アルファ−セレノフェニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)フラン、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−セレノフェニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−セレノフェニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)ピロール、2−(アルファ−(3−アルキル)セレノフェニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−セレノフェニル)−(3−アルキル)ピロール、チエノチオフェン、チエノフラン、チエノセレノフェン、チエノピロール、2−フェニルチオフェン、2−フェニルフラン、2−フェニルピロール、2−フェニルセレノフェン、2−フェニル・テルロフェン、N−ビニルカルバゾール、N−エチニルカルバゾール、3.4−エチレンジオキシチオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)チオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−3.4−エチレンジオキシチオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)チオフェン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)フラン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)フラン、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)ピロール、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)ピロール、2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)セレノフェン、または2−(アルファ−(3.4−エチレンジオキシ)チエニル)−(3−アルキル)セレノフェンをそれぞれ単独で、または任意の組み合わせで、またはオリゴマーのモノマー単位として使用することである。
【0024】
電解質は第2クラスの導電体、またはイオン導電体であってよい。この意味で分子結合の少なくともひとつが解離または分離することで、電解質の導電性が発生できる。電解質においてはこの様にして、電気性を帯びたイオンが発生できる。電解質の導電性は電荷を帯びた、特に自由に動くイオンに起因しうる。そのため電解質は、電界の影響下で、有利には2つの異なる高い電圧レベル間で電荷担体の移動を可能にする物質でありうる。つまり電解質とは、電流を通すことができる物質であればよい。
【0025】
パターン電極および/または電極接触領域は第1電位と接続できる。好ましい形態では、対極を電解質と接続する。そのため対極はパターン電極ではありえない。更に対極は、特に独立した電極でありうる。更に対極を第2の、有利には第1電位とは異なる電位と結合できる。その為、第1電位と第2電位間には電位差がありうる。本発明の好ましい実施形態は、電極補充領域を第2電位と接続できることである。この意味で第1電位と第2電位をパターン電極に接続できる。パターン電極の電極補充領域は導電性であってもよい。電極接触領域が電極補充領域から絶縁されるように構成されていてもよい。そのため、パターン電極は電極接触領域と電極補充領域の間に絶縁物を設ける事ができる。
【0026】
電極接触領域の少なくとも一部を第1電解質と接触させる前、接触させている間および/または接触後、電極接触領域を第1電位と、および/または対極を第2電位と、および/または電極補充領域を第2電位と接続する事ができる。パターン電極を通じて第1電解質により第1電流が発生する事も、重合工程の特徴である。そのために第1電解質により電界を形成することができる。この電界は電位差が要因でありうる。特に第1電流は、第1電位と、特に第2電位の間に形成される電界が要因でありうる。つまり第1電解質とパターン電極の電極接触領域により荷電担体が移動することができる。つまり電極接触領域や電解を通じて第1電流が発生する。言い換えるならば、第1電解質とパターン電極の電極接触領域により(この意味ではパターン電極を通じて)電流が流れる。
【0027】
第1電解質と接触させる電極接触領域に、設定したパターンの導電性ポリマーフィルム(ポリマーパターン)が形成されることは、本発明の範囲である。ポリマーフィルムおよび/またはポリマーパターンの形成は、第1電解質に導入した重合および/または架橋性化合物の重合によって行うのが好ましい。重合というのは、化合物がマクロ分子に結合される化学反応と解釈できる。これらの化合物が第1電解質に導入されている重合および/または架橋性化合物であってよい。重合したマクロ分子は、合成および/または製造に使う化合物とほとんど同じ化学組成を有していてよい。しかしマクロ分子は別の分子構造を有していてもよい。重合および/または架橋性化合物が二重結合を有していると、重合には都合がよい。というのは、エネルギーを加えると、これらの二重結合が「開かれる」からである。第1電流をエネルギーとして重合および/または架橋性化合物に供給することができる。重合および/または架橋性化合物のエネルギー供給または電流によって「開かれた」二重結合を有する化合物は、分子鎖やマクロ分子に結合できる。この様にしてポリマーフィルム、特に導電性のポリマーフィルムを形成できる。電極接触領域を通じ、電解質により電流が流れるのが好ましい。従って第1電解質の重合および/または架橋性化合物は、有利には電極接触領域および/またはその近傍で重合する。言い換えるならば、第1電解質が電極接触領域と少なくとも部分的に接触するため、また、重合および/または架橋性化合物が特に電極接触領域で重合するために、ポリマーフィルムはほとんどが電極接触領域のみで析出される。つまり第1電解質の重合および/または架橋性化合物は特に電極接触領域で析出され、その際電気化学的重合は特に接触面で有利に行われる。
【0028】
方法の好ましい実施形態の特徴はさらに、重合および/または架橋性化合物が析出される際に形成されるポリマーフィルムが、電解質イオンでドーブされ、ポリマーフィルムが導電性になることである。従来技術では相応する方法が知られている。特許DE10140666C2にその様な方法が説明されている。この方法の好ましい実施形態の特徴は、電極接触領域が陽極となるように第1電位を選ぶことである。そのため対極が陰極となるように第2電位を選択できる。
【0029】
形成されたポリマーパターンは析出の際に、第1電解質のイオンでドーブされていてもよいので、第1電解質はポリマーパターンの材料特性に直接影響を与えられる。そのため、ポリマーパターンの導電性は第1電解質のイオン量および/または電極接触領域と対極間の電位差に強く依存する。ポリマーパターンの導電性を弱めたり、強めたりするためには、ポリマーパターンで被膜された、または接続された電極を重合工程後、および電気メッキ工程前に第2対極と一緒に「第3の」電解質に浸漬できる。この第3の電解質は溶剤の他には塩のみを含有し、かつ/または重合および/または架橋性化合物は含有しない。
【0030】
パターン電極と対極間に電圧をかけると、ポリマーパターンのイオン量を変える事ができる。逆の方向(重合工程の電圧に対する)に電圧をかけると、ポリマーパターンのイオン量を減少できる。これによりポリマーパターンの導電性を弱め、特にポリマーパターンをほとんど絶縁性にまで変換する事ができる。重合工程と同じ方向に電圧をかければ、ポリマーパターンのイオン量を増加したり、ポリマーパターンの導電性を強めたりできる。基本的には、重合および/または架橋性化合物の電気特性により導電度には限界がある。
【0031】
つまり重合工程により、特に導電性のポリマーパターンを基板に析出できる。更にポリマーパターンは電極接触領域のパターンと同じパターンを有していてよい。これは、有利には電極接触領域と第1電解質間の接触領域で電気化学的重合を行なえば達成できる。
【0032】
ポリマーフィルムの厚みはごく薄いものが良く、最高50mm、特に0.1nm〜1mm、好ましいのは1μm〜100μm、また20nm〜500nmであるともっと有利である。
【0033】
基板に金属パターンを製造する方法は、重合工程の他に、電気メッキ工程があることが特徴である。電気メッキ工程は重合工程の後で行うのが好ましい。電気メッキ工程のためには少なくともポリマーパターンの一部が、できれば液状の第2電解質と接触するようにすると好ましい。その際第2電解質には金属性物質が導入されている。つまり第2電解質は金属性物質を含有していてよい。金属性物質として考えられるのは、導電性の物質、それも高導電性の物質が好ましい。金属性物質は純粋な物質、混合物(特に均一混合物)が考えられ、かつ/またははんだ、ステンレス、遷移金属、金属化合物、合金、ナノメタル、または銅(特に純銅)であるか、またはそれらを含有するものが可能である。更に金属性物質は半導性、および/または非導電性の物質を含有する場合もある。特に好ましい金属性物質は銅、銀、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、鉛、金および/またはチタン、またはこれらの金属を最低ひとつ含有する合金である。金属性物質は固体でもよい。更に金属性物質は電極の少なくとも一部であってよい。金属性物質はその他の形体も考えられる。例えば粉末状や、クラム状の金属性物質であり得る。特に粉末状の金属性物質または金属塩は第2電解質の中に、および/または第2電解質と混ぜるか、かつ/または、電解質と懸濁液または溶液を形成することができる。基本的に第2電解質は、導入した金属性物質との異種混合物であってよい。
【0034】
特に好ましい実施形態では、第2電解は液状であるか、または溶解されている。第2電解質は導入した金属性物質で懸濁液または溶液を形成できる。つまり、第2電解は金属性物質を溶解でき、かつ/または液体の中で金属性物質が懸濁できる液体を含んでいる。
【0035】
特に液状の電解質は基本的に、イオン、特にカチオンとアニオンを含有する導電性の溶液と解釈できる。イオンは正または負に荷電した原子および/または分子であり得る。これらは、塩、酸またはアルカリ液が、正または負の電荷を帯びた原子および/または分子に分解する事で発生できる。カチオンおよび/またはアニオンは電解質の電荷担体であり得る。
【0036】
電気メッキ工程では、ポリマーパターンの少なくとも一部を第2電解質と接触するようにできる。ポリマーパターンを少なくとも部分的に第2電解質に浸漬させるのが好ましい。好ましいのは、ポリマーパターン全体を第2電解質と接触させることである。
【0037】
電気メッキ工程のためにはさらに、ポリマーパターンを通じ、第2電解質によって第2電流が発生するようにする。ここでは陰極と陽極との間で、特に電解質により電流が流れることが好ましい。そのためには陰極と陽極を電源に接続できる。第2電流がポリマーパターンを通じて流れると好ましい。またそのためには、ポリマーパターンが少なくとも陰極表面の一部分であるように設計できる。特にポリマーパターンは陰極表面を形成できる。陰極と電解質との間でポリマーパターンの領域だけに、電気メッキ工程用の電流が流れるようにすると好ましい。
【0038】
陽極は、従来技術から公知の電気メッキ用の任意の陽極であってよい。陽極はそのため、金属性物質を含有するものが好ましい。特に陽極をほとんど金属性物質により形成することができる。
【0039】
電気メッキ工程には、陽極電圧を陰極電圧よりも高く、有利には顕著に高くすると、大変好ましい。言い換えるならば、陽極は正極、陰極は負極を形成することができる。
【0040】
方法の好ましい実施形態ではまた、犠牲電極、または犠牲電極表層の少なくとも一領域が金属性物質であることも特徴である。
【0041】
本発明のその他の範囲は、第2電解質と接触するポリマーパターンの領域に、設定されたパターンの導電性金属フィルムが形成され、かつ/または析出される事である(金属パターン)。つまり、電気メッキにより金属層、特に金属性物質の層が、ポリマーパターンに析出されることが好ましい。ポリマーパターンと対極、特に金属性物質製であるか、または金属性物質を含有する対極との間に、電圧をかける事で、金属性物質の原子または分子を、正に荷電した金属イオン(ここではカチオン)に酸化できる。この金属イオンをポリマーパターン(ここでは陰極)で金属に還元できる。それにより金属性物質をポリマーパターンへ析出できる。電圧の高さや電圧をかける時間を変えると、ポリマーパターンに析出する金属層の厚みを決めたり、制御したりできる。ポリマーパターンの一部だけが第2電解質と接触する場合には、電気メッキもこの範囲だけに析出する。
【0042】
この場で再度、金属性物質の電気メッキによる析出は、ポリマーパターン領域および/またはポリマーパターン上だけに行われるのが好ましいという事をはっきり指摘しておく。そのため、導電性のポリマーパターンで覆われていない、および/または形成されていない(パターン)電極および/または陰極の表面には、電気メッキによる金属性物質の析出は、少なくともほとんど行われないことが好ましい。表面が少なくとも部分的にポリマーパターンで形成されている、および/またはポリマーパターンで覆われている、特に第2電解質と接触する領域において、電極、特に陰極が、ポリマーパターンの補充領域および/または残りの表面部分で絶縁されているか、かつ/または絶縁性物質を含有しているか、かつ/または絶縁性物質で覆われていてもよい。ポリマーパターンと絶縁性物質が大体滑らかな平面、および/または連続している表面となるよう、絶縁性物質はラジアル方向または厚みに設けられる。
【0043】
本発明による方法のその他の特徴は、金属パターンを基板に転写する事であり、その際少なくとも金属パターンの一部が基板に施与される。その為に金属パターンをまず基板と接触できる。特に金属パターンの上面を基板の上面と接触させることができる。更に金属パターンと基板間の接触面および/または接触領域を、基板と金属パターンを接触させる際および/またはその後で、両者間が結合するように構成できる。基板と金属パターン間の結合には、形状接続、摩擦接続、および/または材料接続であってよいいろいろな結合の仕方がある。
【0044】
特に好ましい方法の実施形態の特徴は、基板に施与した金属パターンおよび/またはポリマーパターンが接着剤(基板粘着剤)で基板と好ましくは材料接続的に結合することである。更に基板粘着剤に関しては、電極とポリマーパターン間の固着力が、基板粘着剤と金属パターン、基板および/またはポリマーパターン間の固着力よりも弱いように、基板粘着剤を選ぶと良い。また、金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板が粘着剤に固着できるような、基板粘着剤を選べる。基板粘着剤は、少なくとも部分的に、基板と金属パターンまたはポリマーパターン間に薄いフィルムや極薄の層を形成できる。粘着剤は金属パターンおよび/またはポリマーパターンの転写前に、基板(特に部分的)および/または金属パターン(特に部分的)および/またはポリマーパターン(特に部分的)に塗布できる。金属パターンおよび/またはポリマーパターンを基板に転写した後、粘着剤により、基板と金属パターンまたはポリマーパターン間が固着できる。
【0045】
好ましい方法の他の実施形態の特徴は、基板に施与した金属パターンおよび/またはポリマーパターンを、特にハンダ、溶接、積層、および/または超音波などの熱結合法で、基板と好ましくは材料接続的に結合することである。ハンダ付けまたは溶接の場合、金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板は、基板と金属パターンまたはポリマーパターン間の予想する接触範囲だけに集中して、エネルギー、特に熱エネルギーを加えることができる。溶接の場合、金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板がそれぞれ液相温度に到達し、その後冷却する事で相互結合できる。ハンダ付けの場合には、ハンダ剤を使用して、基板と金属パターンまたはポリマーパターンの間にハンダを位置付けし、特に熱エネルギーをハンダに加える。ハンダは金属パターン、ポリマーパターンおよび/または基板よりも液相温度が低い。ハンダ付けには、ナノメタル、特にナノシルバーを使用できる。ハンダは特に冷却の際に、金属パターンと基板を結合できる。
【0046】
積層法には熱積層と冷積層法がある。積層法は金属パターンおよび/またはポリマーパターンが接着フィルムで基板に接着される、という事が特徴であってよい。この際接着フィルムは金属パターンおよび/またはポリマーパターンを基板に押し付ける事ができる。金属パターンと基板、またはポリマーパターンと基板が直接に接触し合う部分には、接着フィルムを付けない方が好い。
【0047】
むしろ、金属パターンおよび/またはポリマーパターンで覆われない基板の部分に、接着フィルムを接着できる。接着フィルムの形体は接着カバーとすることも可能である。その際接着フィルムは基板と、基板に施与した金属パターンおよび/またはポリマーパターンを、外部から接着しながら結合できる。積層法の特徴は、金属パターンと基板、および/またはポリマーパターンと基板を摩擦接続的に相互結合する事である。その際接着フィルムが摩擦接続の要因であり得る。
【0048】
その他に、金属パターンと基板および/またはポリマーパターンと基板は超音波または摩擦溶接で結合できる。
【0049】
本発明による方法は総合して、基板に金属パターンを製造するのに適している。その為該方法は様々な技術分野で応用できる。該方法の特に好い実施形態は、基板が配線板であることが特徴である。プリント基板とは基本的に、電子部品や配線の支持エレメント(Traegerelement)または支持デバイス(Traegervorrichtung)、と解釈できる。プリント基板上には電子素子および/または配線を固着できる。プリント基板または基板は電気的に絶縁されていてよい。その為、電子素子を電気的配線により相互配線するのが好ましい。この方法の好い実施形態は、金属パターンが配線である事が特徴である。その為金属パターンはプリント基板上の(つまり基板の)1つ以上の配線でもある。金属パターンはまた、でこぼこした部品素子から構成されている場合もある。金属パターンの各素子は非導電的に相互配線され、および/または非物質接続的に相互配線されるように構成できる。
【0050】
特に配線の場合は、その電気抵抗ができるだけ低い事、または物質の選択で電気抵抗を決める事が可能であると好い。該方法の好い実施形態は、電気メッキ工程を何回も、特に金属性物質を交替に使用し、例えば銅、銀、白金や金のような様々な金属を使用して、連続して行えることが特徴である。つまり、電気メッキ工程を何回も、連続して行える。その為少なくとも1回は、例えば銀、金は白金のような、特に高導電性の金属性物質で電気メッキができるように、構成できる。例えば、電気的配線の最縁部の電流密度はスキン効果のため、中心部より高い場合がある、ということが知られている。できるだけ低い、特に効率的な抵抗を持つ金属パターンを提供するために、数回行われる電気メッキ工程の最初および/または最後の工程を、特に高導電性の金属性物質で行うのが好い。その為例として、ニッケルと銅を析出して、ハンダ付け効果を向上できる。その為には銅の析出を、ニッケル析出前に行う事が可能である。この様にすれば、ニッケルを外側に配置して、ハンダ付けを特に容易くできる。
【0051】
本発明による方法の重要な特徴は基本的に、重合工程、電気メッキ工程と金属パターンの基板への転写である。該方法の好い実施形態は、電気メッキ工程がポリマー・コーティングされたパターン電極で行われる、ということが特徴である。そのため、重合工程後、そして電気メッキ工程前にポリマーパターンがパターン電極から剥離されないと好い。ポリマーパターンはパターン電極と特に電気的に接続できる。特にポリマーパターンの裏面を接続できる。つまり重合工程では、パターン電極を少なくとも部分的に第1電解質と接触できる。
【0052】
その際パターン電極上にポリマーパターンを形成または析出できる。その後パターン電極を第1電解質から取り出せる。場合によっては表面を清浄できる。清浄方法は特に、表面を液体で洗浄できる。ポリマーパターンが固着したパターン電極は、その後少なくとも部分的に第2電解質と接触させる事ができる。電気メッキ工程により、金属性物質をポリマーパターンに析出できる。その際電流はパターン電極を通じ(特にパターン電極の電極接触領域を通じ)、好ましくはパターン電極の電極接触領域とのみ、裏面が特に電気的に接触しているポリマーパターンを流れるので、金属析出のほとんどがポリマーパターンでのみ行われる。電気メッキ工程および/または重合工程では、金属パターン、もしくはポリマーパターンの層厚を電流の強さ、電圧の高さ及び/又は荷電、つまり電流と時間の積で、制御できる。
【0053】
本発明による方法は、基板上の金属パターンというプロセス製品をできるだけ低コスト、及び/又はできるだけ速く製造できれば、とりわけ有利である。特に好い方法の特徴は、とりわけ高くつく部品を再使用でき、及び/又は数多くの工程で「停止」しない(できれば各工程後また「解除」される)という事である。
【0054】
好ましい実施形態は、パターン電極を再使用できる事である。
【0055】
パターン電極表面、特に電極接触領域及び/又は電極補充領域の素材に関しては、ポリマーパターンに充分(但し、余り強すぎ無いほうが良い)固着できるような素材を選ぶ事ができる。電極接触領域のパターン電極表面の素材は白金、金またはステンレス製、または白金、金、ステンレスを含有する物質が好いであろう。例えば、電極接触領域のパターン電極表面を白金、金、及び/又はステンレスを含有する物質でコーティング(特に蒸着により)できる。またパターン電極の表面を研磨する事もできる。その様に表面処理すれば、パターン電極表面のざらつきをできるだけ小さくして、またはポリマーパターンとの固着度を目的に従って調整できる。パターン電極の電極補充領域は、硝子及び/又はダイヤモンド状炭素(DLC)を含有する物質、またはこれらの物質からなるものが考えられる。基本的に電極補充領域は、ここに物質がごくわずかしか固着しないように設計する。電極補充領域の接続は内部にある配線で行われる。
【0056】
好い実施形態は、高ドープシリコン製のパターン電極である。ケイ素は表面で酸化するので、表面上に絶縁性の酸化被膜ができ、その際表面は、設定パターンに相応して酸化被膜は付かずに、CR/Auで覆われている。
【0057】
パターン電極の裏面には特に導電性のウエハーを使い、基本的にすべてを相互接続できる。
【0058】
その他、第1電解液に有機溶剤を使用すると、析出したポリマーパターンを第1電極から、特に容易く剥離できるということが分かった。その為、該方法の好い実施形態の特徴は、電解質が有機性溶剤を含有しているという事である。
【0059】
パターン電極表面に適した素材を選ぶ事、パターン電極表面の機械的抵抗力を高める事、および/または第1電極に目的にかなった溶剤を使う事(特に有機溶剤)で、重合工程でも、パターン電極からポリマーパターンを剥離する事でも、パターン電極が傷んだり、破損したりすることを避けられる。その為、パターン電極を再度ポリマーパターンの製造に使用できる。更に、投入した化合物が消耗するまで、第1・第2電解液を何回も使用できたり、段階的または継続的に再生したりする事ができる。
【0060】
基本的にパターン電極の表面をパターン化するのは1回だけ必要である。その為にはパターン電極表面を電極接触領域と電極補充領域に分割する。両領域にはそれぞれ数多くの部分範囲がある。その為パターン電極のパターン化には、従来技術の方法を任意(特にハイコストのものも)に利用できる。基板上の金属パターンの製造に必要な全経費を鑑みると、大量生産でパターン電極を再使用できるために、(ハイコストでも)ほとんど問題ではない。更に、設定可能なパターンを形成すべきところにのみ、導電性のポリマーが析出する事も有利である。同じ事が電気メッキ工程に関しても通用する。その為基板上の金属パターン製造では、素材消費、それに関係する費用を最低限にとどめる事ができる。
【0061】
つまり、ポリマーパターンをパターン電極から破壊せずに分離するのは、基本的に可能である。該方法の好い実施形態は、基板に固着するポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくともその一部を、特に破壊せずに、パターン電極から剥離できる、ということが特徴である。基本的に基板は剛質および/または硬質でよい。しかしながら、基板がフレキシブルおよび/または弾性で、および/または折り曲げられるものである、という事も有利である。こうして、基板を電極、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの形に合わせられ、またはこれらの形に「順応」させる事が可能である。更にポリマーパターンおよび/または金属パターンが、パターン電極に固着するよりも、もっと強力に基板に固着できる。その為には、基板粘着剤がパターン電極よりも、基板に強力に固着するように、基板表面を調整するか、および/またはその様に形成できる。その他の方法は、特に基板粘着剤がここに固着できない様に、パターン電極の表面、特に電極補充領域に非粘着コーティングを施す事ができる。
【0062】
またポリマーパターンが基板に直接接触しないようにも構成できる。その際は、基板粘着剤による基板との金属パターンの固着度を、ポリマーパターンとの金属パターンの固着度より大きくしたり、および/または電極接触領域とのポリマーパターンの固着度より大きくしたり、および/またはポリマーパターンの機械的安定度より大きくしたりできる。
【0063】
その他の特に好い実施形態を説明するためには、まず下記の説明が必要である。
パターン電極の役目は電極の役目を果すだけではない。電極接触領域のパターン、つまり設定可能なパターンにより、パターン電極は少なくとも間接的にポリマーパターンおよび/または金属パターンのパターンを決められる。というわけで、パターン電極は少なくとも2つの役目がある。ひとつは、電流を流す事であり得る。2番目の役目はポリマーパターンおよび/または金属パターンの形成であり得る。該方法の少なくともひとつの実施形態にとっては、パターン電極が1番目の役目から開放され、第2電流がパターン電極を通じて流れず、および/またはパターン電極に依存せず、ポリマーパターンに金属パターンが析出できれば、有利であろう。
【0064】
該方法の好い実施形態の特徴は、ポリマーパターンの少なくとも一部、および/または金属パターンの少なくとも一部を、転写基板に転写することである。その際ポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を転写基板と接触できる。ポリマーパターンの少なくとも一部を転写基材に転写する事は、重合工程後、また電気メッキ工程前に行える。ポリマーパターンの少なくとも一部、また特に、ポリマーパターンと結合している金属パターンの少なくとも一部を基板に転写する工程は、重合工程後で、金属パターンを基材に転写する前に実施できる。ポリマーパターンおよび/または金属パターンと転写基材の結合は、形状接続、摩擦接続、および/または材料接続により結合できる。ポリマーパターンの少なくとも一部、また金属パターンの少なくとも一部が粘着剤(転写粘着剤)、特に粘着性の物質で、転写基材と好ましくは材料接続的に結合されると良い。つまり転写粘着剤に関しては、転写基材、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが転写粘着剤に固着できるような、転写粘着材を選ぶと良い。転写粘着剤は自硬性であり得る。転写粘着剤はまた、エネルギー、特に熱エネルギーを加えることで硬化する粘着剤でも良い。更に、転写粘着剤は接着剤でも良い。転写粘着剤は、特にその粘着作用のために、転写基材とポリマーパターンおよび/または金属パターンの間に形成されると良い。また転写粘着剤は絶縁性であり得る。
【0065】
該方法の好い実施形態の特徴は、ポリマーパターンの少なくとも一部、および/または金属パターンの少なくとも一部を基板に転写する事である。その際ポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を基板と結合できる。ポリマーパターンの少なくとも一部を基板に転写するのは、重合工程後で、電気メッキ工程前に行える。ポリマーパターンの少なくとも一部、および/または特にポリマーパターンと結合している金属パターンの少なくとも一部を基板に転写するのは、電気メッキ工程後に行える。ポリマーパターンおよび/または金属パターンの基板は、形状接続、摩擦接続、および/または材料接続により結合できる。ポリマーパターンの少なくとも一部、また金属パターンの少なくとも一部が基板粘着剤、特に粘着性物質で基板と好ましくは材料接続的に結合されていると好い。基板粘着財に関しては、転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが、基板粘着剤に固着できるような、基板粘着剤を選ぶとよい。基板粘着剤は自硬性であり得る。基板粘着剤はまた、エネルギー、特に熱エネルギーを加えることで硬化する粘着剤でも良い。更に、基板粘着剤は接着剤でも良い。基板粘着剤、特にその粘着作用を、基板とポリマーパターン間、および/または基板と金属パターン間に形成できる。また基板粘着剤は絶縁性であり得る。
【0066】
好ましい実施形態の特徴は、転写基板の形成の為に流体を硬化する事である。その際流体は溶剤の除去、紫外線の照射及び/又は硬化剤の投入で硬化できる。硬化剤はエネルギー及び/又は熱を加えても硬化できる。
【0067】
該方法のその他の好ましい実施形態の特徴は、転写基板を形成するために、特に揮発性の溶剤に溶解した非導電性のポリマー製の溶液(転写ポリマー)、特に紫外線硬化の2成分接着剤(エポキシ)、接着フィルムおよび/または接着被膜付きポリマーフィルムを、ポリマーパターン、金属パターンおよび/または電極補充領域に、特に広範囲に塗布する事である。その際溶剤は有機溶剤でよい。溶剤の気化温度は、転写ポリマーの気化温度または昇華温度よりもずっと低くできる。転写基板を形成するために、溶剤を気体集合状態に転換できる。転換は、エネルギーや熱を加えることでも転換できる。加熱やエネルギーを加える場合は、転写ポリマーが気体集合状態に転換しないように、加熱やエネルギーを加えることができる。また転写ポリマーをも、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが転写ポリマーに固着し、特にポリマーパターンおよび/または金属パターンが、パターン電極よりも転写ポリマーに強力に固着するように、転写ポリマーを選べる。
【0068】
基板に固着するポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を、パターン電極からできれば破壊しないように、分離および/または剥離できる事を、以前に説明した。更にこの件で、破壊せずに剥離できる要因、またはそのために効用に関する、好い特性や関係についても説明した。同じことは転写基板にも当てはまる。該方法の好ましい実施形態の特徴は、転写基板に固着するポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を、好ましくは破壊せずに、パターン電極から分離および/または剥離できることである。他の表現をすると、転写基板に固着するポリマーパターンまたは金属パターンを、重合工程後で電気メッキ工程前に、とくに破壊せずに分離および/または剥離できるということである。電気メッキ工程後、そして金属パターンを基板に転写する前に、ポリマーパターンと、電気メッキによりポリマーパターンと結合した金属パターンを、特に破壊せずにパターン電極から分離および/または剥離できる。転写粘着剤によりポリマーパターンおよび/または金属パターンを、パターン電極に対するよりも、転写基板に対しより強く固着できる。
【0069】
その他の好ましい方法の特徴は、転写ポリマーおよび/または転写粘着剤を適切に選択したり、および/または電極補充領域の表面を機械的および/または化学処理したりして、電極補充領域の転写基板および/または転写粘着剤に対する固着強度をきわめて弱くしたり、および/または電極補充領域の転写基板および/または転写粘着剤に対する固着強度を、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの転写基板および/または転写粘着剤に対する固着強度よりも、ずっと弱くする事である。電極補充領域は、例えば非粘着性コーティングを施したり、および/または研磨したりすることができる。電極補充領域の粗さも極めて低いと良い。電極補充領域内にあるパターン電極の表面は例えば酸化物、硝子または類似の、好ましくは絶縁性の物質を含有するか、および/またはこれらの物質からなるものであり得る。
【0070】
該方法のその他の好ましい実施形態の特徴は、少なくとも金属パターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部をパターン電極から好ましくは破壊せずに分離および/または剥離できることである。特にパターン電極から分離する際、ポリマーパターンが規定切断点および/または規定切断層であると好い。ポリマーパターンが規定切断点および/または規定切断層として作用するという事を、様々な(部分)工程で活用できる。金属パターンおよび/またはポリマーパターンが(少なくとも間接的に)基板または転写基板と、特に固着結合しているなら、ポリマーパターンが力の影響下で、パターン電極と金属パターン間で砕けたり、裂けたり、および/またはポリマーパターンが少なくとも2分割してしまうように、変形してしまうと、金属パターンをパターン電極から分離および/または剥離できる。その際ポリマーパターンは幾つかの部分に分割される場合もある。その為ポリマーパターンの一部が金属パターンに固着する場合がある。他の部分がパターン電極に固着している場合もある。
【0071】
物質特性を活用して金属パターン、転写基板および/またはパターン電極を、ポリマーパターンからできるだけ容易く分離できたら、好都合であろう。ポリマーパターンは規定分割点および/または規定分割層とすることができる、ということはもう既に説明した。
【0072】
該方法の好い実施形態の特徴は、金属パターン、金属パターンと結合している基板および/または金属パターンと結合している転写基板を、ポリマーパターンの少なくとも一部から分離できる事である。その方法は特に溶解および/またはエッチングにより、ポリマーパターンの少なくとも一部を、好ましくは液状の、および/または好ましくはポリマーパターンを溶解できるが、金属パターンはほとんど溶解したり、腐食したりしない溶剤で分離する方法、および/またはエネルギーや熱を加えてポリマーパターンを液化する方法(その際ポリマーパターンの融点は金属パターンの融点よりも低い)、また、特にエネルギーおよび/または熱を加えてポリマーパターンを気体集合体に気化して分離する方法(その際ポリマーパターンの気化温度または昇華温度は金属パターンの溶解温度よりもずっと低い)、および/または例えばウォータージェット、エアジェット、ドクターブレード、サンドブラスト、および/または研削プロセスなどの機械的な分離方法がある。
【0073】
前記の実施形態によりポリマーパターン、パターン電極および/または転写基板を金属パターンから剥離できる。つまり前記の方法なら、ポリマーパターンの少なくとも一部、または例えば転写基板のような他の物体を破壊する事で、特にパターン電極から金属パターンを破壊する事無しに分離したり、および/または破壊する事無しに剥離したりできる。
【0074】
この様にして金属パターンとパターン電極、または転写基板の間のポリマーパターンをエッチングにより除去できる。基板、転写基板、転写粘着剤、基板粘着剤および/またはパターン電極を、エッチングで傷まず、および/または破損しないように設計できる。熱依存性に関しても同等の考察ができる。つまりポリマーパターンが液化および/または気化する温度に、ポリマーパターンを加熱できる。そうすれば金属パターンを基板および/または転写基板から分離できる。というのは、液状のポリマーパターンはほとんど粘着作用がないからである。気体集合状態に転換したポリマーパターンも同等のことが言える。というのは気化したポリマーパターンにはもう粘着作用は無いからである。
【0075】
基板、パターン電極、基板粘着剤、転写粘着剤および/または転写基板は、化学作用および/または腐食性溶剤に対して充分な耐性は無い、という可能性が基本的にある。その為この特性を活用して、ポリマーパターンの少なくとも一部から金属パターンを分離できる方法を提供することが好ましい。該方法の良い実施形態の特徴は、ポリマーパターンの引張強度や破壊強度は、パターン電極、パターン電極表面、金属パターン、基板粘着剤、転写粘着剤、転写基板および/または基板より弱い事である。そうすると金属パターンを力作用により、ポリマーパターンの少なくとも一部から機械的に分離できる。ポリマーパターンの引張強度や破壊強度が弱いために、規定切断点や規定切断層として作用する。
【0076】
発明の特徴は基本的に、転写基板から金属パターンを基板に転写する事でもある。転写用として、例えば転写粘着剤および/または基板粘着剤が導入された。該方法の好ましい実施形態の特徴は、基板粘着剤と転写粘着剤が異なる粘着剤であり、特に異なる接着剤である事である。基板粘着剤と転写粘着剤の融点(または溶融温度)が異なる事、および/または転写粘着剤の溶融温度が基板粘着剤よりもずっと低いことが可能である。また基板粘着剤と転写粘着剤の昇華および/または気化温度が異なる事、また転写粘着剤の昇華温度および/または気化温度が、基板粘着剤よりもずっと低い、ということも可能である。上記に述べた転写粘着剤と基板粘着剤の特性の違いの少なくともひとつにより、金属パターンを転写基板から基板に転写または転記できる。エネルギーを加える事で、転写粘着剤が金属パターンに固着する強度を、基板粘着剤が金属パターンに固着する強度よりも、ずっと弱くなるように転写粘着剤の状態を変化できる。該方法の好い実施形態の特徴は、転写粘着剤が、特に金属パターンから転写基板を分離する際、規定切断点および/または規定切断層であることである。この意味で、この方法の好い実施形態の特徴は、転写粘着剤を特に水、アルコール、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、NMPおよび/またはジクロロメタンなどの溶剤に溶解できる事である。転写粘着剤を溶解できる溶剤では、基板粘着剤および/または基板を溶解できないと好い。
【0077】
転写基板を利用すれば、特にパターン電極を該方法で何回も使用できるようになる、ということを以前説明した。電気メッキ工程前でも、ポリマーパターンを転写基板に転写する事は、選択的に可能である。パターン電極上の電気メッキ工程後、金属パターンとポリマーパターンを転写基板に転写することが可能である。転写基板への転写は、従来技術で知られている、適切な方法のひとつに従って行うことができる。本発明による方法の好い実施形態のひとつは、転写基板を形成するために、特に有機性の(例えばポリウレタンベースの)自硬化性、光化学硬化性、および/または熱硬化性の物質、特にシリコーン接着剤または熱接着剤をポリマーパターン、金属パターンおよび/または電極補充領域に特に広範囲に塗布する事が特徴である。その際、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが好ましくは自硬化性物質に固着するように、好ましくは自硬化性の物質を選べる。転写基板とポリマーパターンおよび/または金属パターンの間を固着するためには、転写粘着剤はこの場合どうしても必要というわけではない。むしろここで紹介した転写基板はポリマーパターンおよび/または金属パターンに充分に固着できる。転写粘着剤は形状接続、摩擦接続、および/または材料接続的に、転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンと結合されている場合がある。その為特に、転写基板は形状接続、摩擦接続、および/または材料接続的に、ポリマーパターンおよび/または金属パターンと結合できる。この様な材料接続的な結合の要因は、転写粘着剤および/または転写ポリマーのポリマーが、転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンと化学結合を有しているか、または化学結合を構成していることが考えられる。更に転写粘着剤および/または転写ポリマーのポリマーが硬化中に膨張し、その為転写基板、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが形状接続的に相互結合する事が考えられる。
【0078】
ポリマーパターンの転写が重合工程後そして電気メッキ工程前に行われる場合、または例としてポリマーパターンと金属パターンを転写基板に転写した後に、その他の電気メッキ工程が行われる場合は、電気メッキ工程は間接的に転写基板に行える。該方法の好い実施形態の特徴は、転写基材および/または基板と結合したポリマーパターンに電気メッキ工程を施す事である。つまり電気メッキ工程は、転写基材および/または基板に固着しているポリマーパターンに行われる。パターン電極で電気メッキ工程をする場合は金属性物質を、好ましくはポリマーパターンおよび/または金属パターンのパターン電極の反対側に析出できる。転写基材および/または基板でも同様に析出できる。この様にして電気メッキ工程では、ポリマーパターンまたは金属パターンの、転写基材および/または基板と反対側で、金属物質が析出できる。
【0079】
間接的に電極で行う事のできる電気メッキ工程では、ポリマーパターンおよび/または金属パターンを、電極の電極接触領域を通じて導電接続できる。ポリマーパターンと金属パターンを転写基材に転写する際には、この接続を切断できる。特に電極がポリマーパターンから切断されると、この接続はもう存在しない。特にその為、該方法の好い実施形態は、ポリマーパターンおよび/または金属パターンが転写基材と電気接続されている事を、特徴とする。その為に、転写基材を少なくとも部分的に、特に表面を導電性に設計できる。該方法の好い実施形態は、転写基材の表面が導電性の物質を含有している事を特徴とする。導電性物質は特に広範囲な、連続した転写基材の表面を形成でき、特にポリマーパターンに向いた面をその様に形成できる。他の表現をすると、転写基材は導電性の表面のある、かなり大きな領域をもつ事ができる。この領域にポリマーパターンおよび/または金属パターンを転写する事ができる。そのため転写により、ポリマーパターンが転写基材で電気的に相互接続されている事が可能となる。特にポリマーパターンのどの部分要素も電気的に相互接続されている事が可能である。そのため転写基材の導電性物質はわずかばかり固有抵抗がある。特に転写基材表面の導電性物質は金属性の物質、および/または特に銀、金および/または白金などの金属である。ここまで集約すると、転写基材の表面も、転写基材に転写され得るポリマーパターンおよび/または金属パターンも導電性とすることができる。その際、転写粘着剤が導電性、それも高導電性であると特に好い。
【0080】
固着しているポリマーパターンおよび/または少なくとも間接的に固着している金属パターンの付いた上記の転写基板を、第2電解質と接触させるのは余り好ましくない。というのは、この境界条件で実施する電気メッキ工程では、第2電解質の金属性の物質も、直接転写基板に析出されてしまうからである。その為、ポリマーパターンの直接の隙間に、電解物質や金属性物質が入らないように保護すると良い。この処置は、特に前記の余り芳しくないケースにも、本発明による方法と関連する他の任意のケースでも役に立つ場合がある。該方法の好い実施形態のひとつは、ポリマーパターンの隙間を充填する事を特徴とする。その際、特に揮発性の溶剤に溶解した、非導電性のポリマー溶剤を、ポリマーパターンで覆われていない電極(つまり特に補充領域)または転写基板の少なくとも一部に、塗布する事ができる。その際、溶液はまずポリマーパターンまたは隙間に、広範囲に配分できる。その後ポリマーパターンの表面を剥離できる。このようにすれば、溶液および/または非導電性のポリマーが、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの隙間にだけあるようにできる。揮発性の溶剤はその後、特にエネルギーまたは熱エネルギーを加えることによって、気体集合状態に転換できる。つまり、転写基板に広範囲な導電性表面があるようにできる。ポリマーパターンおよび/または金属パターンを、この導電性表面と特に導電接続できる。ポリマーパターンの隙間は絶縁性に形成できる。それにより、ポリマーパターンや金属パターンの付いた転写基板を、第2電解質と接触させ、電気メッキ工程を行う事が可能になる。その際電流により、第2電解質の金属性物質がポリマーパターンおよび/または金属パターンに析出する。ここでは、特に転写基板に金属は直接析出されない。というのは、転写基板はポリマーパターンで、また当該の電極補充領域では絶縁性物質、特にポリマーで覆われているからである。
【0081】
転写基板の導電性表面は、側面接続や内部電気的配線によって接続できる。転写基板の導電性表面はその為電位と接続可能である。
【0082】
該方法のその他の好い実施形態は、転写基板および/または基板が絶縁性であることを特徴とする。この場合、導電性の領域は導電性のポリマーパターンで形成することができ、この際ポリマーパターンは電気接続可能である。
【0083】
発明のその他の好い実施形態に関しては、全てがドイツ特許出願DE 10 2009 010 434.8の対象であり、特に配線板に導電性の配線を製造するための「装置および/または方法」に関して、そこに好く明示してある詳細、利点や特徴、また特性も本特許出願の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の方法を実施するための、様々な形態を伴うフローチャート
【図2】パターン電極の断面図
【図3】重合工程を行うための重合ステーションの略図
【図4】ポリマーパターンを備えたパターン電極の断面図
【図5】ポリマーパターン及び転写基板を備えたパターン電極の断面図
【図6】転写基板により少なくとも部分的に剥離された、ポリマーパターンを備えたパターン電極の断面図
【図7】電気メッキ工程を行うための電気メッキステーションの略図
【図8a】ポリマーパターン及び金属パターンを備えた転写基板の断面図
【図8b】ポリマーパターン及び金属パターンを備えたパターン電極の断面図
【図9a】基板と結合したポリマーパターン及び金属パターンを備えた転写基板の断面図
【図9b】基板と結合したポリマーパターン及び金属パターンを備えたパターン電極の断面図
【図10a】転写基板と少なくとも部分的に接合している、ポリマーパターンによる規定切断点の断面図
【図10b】パターン電極と少なくとも部分的に接合している、ポリマーパターンによる規定切断点のその他の断面図
【図11】基板上の金属パターンの断面図
【実施例】
【0085】
下記の図により、発明のその他の詳細、利点と特性を説明する。
【0086】
図1にフローチャートを示している。このフローチャートには、本発明の工程を実施するための様々な方法を包括している。引き続きこの経路を具体的に説明する前に、フローチャートの略図に使用している符号を説明する。長方形の中には出発状態及び目標状態を示している。長方形は矢印で結合している。矢印の方向は好ましい状態の変化を指している。矢印の傍らには、各状態の変化に作用する操作を示している。
【0087】
本発明による方法の有利な目標、つまり基板上の金属パターンを達成するために、まずパターン電極2があることを前提とする。パターン電極2を用いて重合4が行われる。重合により、電気化学的に導電性ポリマーがパターン電極2に析出される。この析出は、少なくともほとんどが設定可能なパターンの範囲でのみ行われる。この設定可能なパターンとは電極接触領域である。つまり導電性ポリマーはパターン電極2の電極接触領域に析出される。そのため、パターン電極上のポリマーパターン6ということもできる。パターン電極上のポリマーパターン6に、更に重合工程6、基板への転写31、電気メッキ工程8、または転写基板への転写20が行われる。パターン電極上のポリマーパターン6から出発すると、4つの選択可能な工程を行うことができる。まず電気メッキ工程8で始まる工程を行う。電気メッキ工程8によって、金属材料がポリマーパターンに析出する。ポリマーパターンに補充する領域には、金属材料が全くまたはほとんど析出されない。重合工程4と電気メッキ工程8により、パターン電極2が多層材料と結合する。他の表現をすると、パターン電極2が多層材料と結合する。というのは、パターン電極はまずポリマーパターンと結合するからである。ポリマーパターンは、パターン電極と反対側で、金属パターンと結合する。それにより、金属パターンは少なくとも間接的に、パターン電極と結合される。材料の配置に基づいて、つまりパターン電極がまずポリマーパターンと結合され、ポリマーパターンがまた金属パターンと結合することに基づいて、この配置を、以後、「パターン電極上の金属・ポリマーパターン」10と名付けることができる。この名称の命名法は、材料及び/又は層の配置、外側から内側へ向かう配置による。パターン電極上の金属・ポリマーパターン10から出発し、基板への転写12及び/又は転写基板への転写30及び/又はその他の電気メッキ工程8を行うことができる。「転写基板への転写30」操作で始まる経路は、後のパラグラフで説明する。電気メッキ8を特徴とする(まずパターン電極上の金属・ポリマーパターン10に至る経路は後のパラグラフで説明する。パターン電極上の金属・ポリマーパターン10から、前記経路は「基板への転写12」で始まる工程を進む。ここでは金属パターン及びポリマーパターンの基板への転写14が行われる。単純なケースでは、基板を金属パターンまたはパターン電極上の金属・ポリマーパターン10に貼付する。(基板から見ると、そのため金属パターンと基板パターンの層順は反対となる)。金属パターンは有利には直接基板と結合する。場合により金属パターンと基板との間に基板粘着剤を配置できる。金属パターンの基板とは反対側で、金属パターンがポリマーパターンと結合している。つまりポリマーパターンは、少なくとも間接的に基板とも結合している。パターン電極のために用いた命名法と同様に、基板はポリマー・金属パターンと結合している。そのためパターン電極上の金属・ポリマーパターン10は、基板への転写12により、「基板上のポリマー・金属パターン」14が生じる。基板上のポリマー・金属パターン14からのポリマーパターンの除去16により、基板上の金属パターン18が残る。
【0088】
前記パラグラフで行われた目標に達する経路では、様々な岐路があるが、それぞれの岐路では唯一の特定の経路を辿る。そのために一飛びして最初の岐路、つまりパターン電極上のポリマーパターン6に戻る。
【0089】
パターン電極上のポリマーパターン6は、転写基板への転写20により複写できる。ひとつの実施形態では、ポリマーパターンを転写粘着剤で、転写基板に貼付できる。転写基板はパターン電極よりも、強力にポリマーパターンに固着するので、力作用でパターン電極からポリマーパターンを分離及び/又は剥離できる。これはパターン電極の表面の固着力をごく低くすること、ポリマーパターンの成分を適切にすることで容易になる。転写基板上のポリマーパターン22を用いて、電気メッキ工程24を行える。その際、ポリマーパターンを通じて電流が流れる。ポリマーパターンで覆われていない転写基板の面は、特に付加的な絶縁材料で覆うことができる。電気メッキ工程により、ポリマーパターンにのみ金属材料が析出する。そのため電気メッキ工程24により、転写基板上の金属・ポリマーパターン26が生じる。この命名法はパターン電極上の金属・ポリマーパターン10と同様に用いられ、基板上のポリマー・金属パターンにも使われる。つまり、転写基板上の金属・ポリマーパターン26は、材料の積層またはデバイスである。この際、ポリマーパターンは転写基板と、特に直接結合している。更にポリマーパターンは、転写基板を反対側で金属パターンと結合されていてもよい。これは、重合工程4に電気メッキ工程24が続く順序のためである。転写基板上の金属・ポリマーパターン26から出発して、再度転写基板上の金属・ポリマーパターン26に通じる電気メッキ工程24を実施するか、または基板への転写28を行える。電気メッキ工程24については後のパラグラフで説明する。まずは「基板への転写28」を詳しく説明する。というのは、基板への転写28により、転写基板の金属パターンとポリマーパターンを基板に転写できるからである。この場合金属パターンを基板と結合できる。この場合特に適しているのは接着結合である。更に転写基板は、金属パターン及び/又は転写粘着剤が基板に固着するほど、強くはポリマーパターンに固着しない。そのためポリマーパターンを、少なくとも分割して、基板から分離及び/又は剥離できる。この場合、ポリマーパターンが割れる及び/又は破壊するということは十分にありえる。そのためポリマーパターンは規定切断点として作用できる。基板には金属パターンと、少なくともポリマーパターンの一部が残る。つまり、このようにして基板上にポリマー・金属パターン14が形成される。
【0090】
2つ前のパラグラフで2つの岐路を紹介した。このパラグラフはこの2つの岐路の最初の経路から出発するもうひとつの経路と関連している。そのためここでまた一飛びして第2の岐路(2つ前のパラグラフ)、つまりパターン電極)上のポリマーパターン10に戻る。
【0091】
パターン電極上の金属・ポリマーパターン10は、転写基板への転写30により複写される。その際転写基板を金属パターンに貼付して、その後転写基板を金属パターンと一緒に、パターン電極またはポリマーパターンから分離及び/又は剥離することが有利である。その際ポリマーパターンが破砕及び/又は数々の片に分割する可能性がある。つまりポリマーパターンはその際規定切断点として使える。金属・ポリマーパターンを転写基板に転写した後、転写基板にポリマー・金属パターン32が生じる。この場合ポリマーパターンは、析出した元のポリマーパターンの複数の部分からなっていてもよい。このポリマーパターンは例えば化学的及び/又は機械的に除去できる。ポリマーパターンの除去34により、転写基板上の金属パターン36が残る。その後基板への転写38を行う。ここで金属パターンを基板と結合できる。特に基板粘着剤によって、金属パターンを基板と結合できる。転写基板はその後分離及び/又は除去できる。分離及び/又は除去は化学的または機械的に行うことができる。転写基板は特に転写基板に合った溶剤で、金属パターン及び/又は基板から溶離できる。転写の後に基板上の金属パターンが生じる。
【0092】
これまで述べた目標に向か経路のそれぞれの岐路では、特定の経路を進んできた。しかしながら経路がもうひとつの、つまり再度パターン電極上のポリマーパターン6から出発する経路が残っている。
【0093】
パターン電極上のポリマーパターン6は基板への転写31により複写することも可能である。ひとつの実施形態では、基板粘着剤を使ってポリマーパターンを基板に貼付できる。基板はパターン電極よりも強力にポリマーパターンに固着するので、力作用によりポリマーパターンをパターン電極から分離及び/又は剥離できる。パターン電極の表面の固着力が微弱であること及び/又はポリマーパターン成分が適切であることで、剥離は容易になる。基板上のポリマーパターン33を使って電気メッキ工程35を行うことができる。その際ポリマーパターンを通って電流が流れる。ポリマーパターンで覆われていない基板の面は、特に付加的な絶縁材料で覆うことができる。電気メッキ工程により、ポリマーパターン上にのみ金属材料が析出する。そのため電気メッキ工程35により、基板上の金属パターン37が生じる。この命名法はパターン電極上の金属・ポリマーパターン10と同様に用いられ、基板上のポリマー・金属パターンにも使われる。つまり、基板上の金属・ポリマーパターン37は、材料の積層またはデバイスである。この際、ポリマーパターンは基板と、特に直接結合している。更にポリマーパターンは、転写基板の反対側で金属パターンと結合していることができる。これは、重合工程4に電気メッキ工程24が続く、順序に起因する。そのためポリマーパターンは粘着層としても作用できる。
【0094】
次に電気メッキ工程8、35及び/又は24について詳しく説明する。この電気メッキ工程8、24、35の基本は同じである。というのは、パターン電極上の金属・ポリマーパターン10、転写基板上の金属・ポリマーパターン26、または基板上の金属・ポリマーパターン37は、電気メッキ工程8、24又は35で作製されるからである。そのため、その後に更に電気メッキ工程8、24、35を設けることも基本的に可能である。その際、その前に使用した金属材料とは異なる他の金属材料を、後続の電気メッキ工程8、24、35に使うことが有利である。つまり第1電気メッキ工程の金属材料は、例えば銅であるかまたは銅を含有することができる。金属パターンに高電流を流すことを意図する場合は、一番外側の金属層を高導電性の金属材料、例えばニッケルを合有しているのが有利である。このことを相応する電気メッキ工程8、24、35で考慮すべきである。
【0095】
同様のことが、連続して何回も行うことができる重合4にも通用する。この際、その前に使用した重合性及び/又は架橋性化合物とは異なる、他の重合性及び/又は架橋性化合物を、後続の重合工程6に使うことが好ましい。
【0096】
図2はパターン電極50の断面図を示している。パターン電極50には支持材料40がある。支持材料40上に機能性支持層52を設けている。機能性支持層52は導電性の電極表層42と非導電性の電極表層44がある。電極表層42の支持材料40と反対側の導電性の表面には、電極接触領域46がある。電極表層44の支持材料40と反対側の非導電性の表面には、電極補充領域48がある。電極接触領域46と電極補充領域48はそれぞれパターン電極の個々の部分表面から成っていてもよい。
【0097】
あまり有利でない実施形態は、支持層40が硝子、導電性の電極表層42が酸化インジウム錫、非導電性の電極表層44が絶縁材料(特に絶縁性ポリマー)である。
【0098】
それに代わる有利な実施形態は、全ての導電性の電極表層42及び/又は電極接触領域46を電気接続するために、支持層40が導電性である。導電性の電極表層42は支持材料40の材料とは違う材料からなることができる。例えば、支持材料40がSiウェハーであり、その際導電性の支持材料はケイ素である。導電性の電極表層42はCr/AuであるかまたはCr/Auを含有する。その他非導電性の電極表層44はSiO2であるかまたはそれを含有することができる。
【0099】
図3は重合工程を実施するための重合ステーション54を略図で示している。パターン電極50は少なくとも部分的に第1電解質56に浸漬または電解質と接触させる。第1電解質56はこの際容器60に入れることもできる。パターン電極50は少なくとも第1電解質56と接続し、パターン電極50の電極接触領域46と電極補充領域48の少なくとも一部が、第1電解質と接触できるようにする。更に、対極58を第1電解質56と接続する。パターン電極50と対極58は配線62で電源60と接続されている。重合ステーション54の電気化学的重合により、電極接触領域46に導電性のポリマーが析出する。そのためにパターン電極50と対極58との間に電圧をかける。
【0100】
そのため、実施例のためにポリマーパターンは、ドープ処理したポリ(3−メチルチオフェン)から製造できる。その際第1電解は乾燥プロピレンカーボネート中の0.03Et4NBF4の溶剤からなる。重合工程ではパターン電極50が陽極であり、対極58が陰極である。対極は白金を含有するかまたは白金からなることができる。電源60をスイッチオンすると、パターン電極50と対極58との間に例えば10Vの電圧がかかる。パターン電極50の電極接触領域46で電気化学的重合が行われる。その際設定可能なパターンに相当するパターンを有するドープ処理したポリ(3−メチルチオフェン)からなるポリマーフィルムが析出する。析出したポリマーフィルムまたはポリマーパターンが所望の厚み、ここでは0.5mmに到達すると(約30秒後)、電圧を切ることができる。その後、パターン電極50を第1電解質56から取り出せる。その後、電極接触領域46に形成したポリマーフィルム(ポリマーパターン)46を有するパターン電極50を、その他の工程段階で使用できる。
【0101】
図4はパターン電極50の電極接触領域46に析出したポリマーフィルム66を示している。電極接触領域46には設定可能なパターンがあるので、析出した導電性のポリマーフィルム、つまりポリマーパターン66もほとんど設定したパターンとなる。というのは、重合工程で流れる電流は、電極接触領域46にのみ流れるからである。非導電性の電極表層44及び/又は電極補充領域48には電流は流れない。そのため電極補充領域48では電気化学的な重合は行われない。そのためここでは第1電解質からポリマーが析出されない。電極接触領域46のパターンはそのため、等方性の積層成長を考慮の下に、ポリマーパターン66のパターンをも決める。
【0102】
図5はポリマーパターン66及び転写基板68を備えたパターン電極50の断面を示している。その際ポリマーパターン66と転写基板68との間は、転写粘着剤70で結合される。転写粘着剤70は、転写基板68とパターン電極50とを接触させる前に、ポリマーパターン66に塗布できる。転写基板68とパターン電極50とを接触した後、転写粘着剤70が硬化する。それにより転写基板68とポリマーパターン66との間には、力による及び/又は材料による結合が生じる。更に転写粘着剤が、ポリマーパターン66及び/又は転写基板68と化学結合する可能性もある。転写粘着剤70が、パターン電極50の非導電性の電極表層44及び/又は電極補充領域48に固着する強度は、転写基板68及び/又はポリマーパターン66に固着する強度よりもずっと低い。そのため、特に力作用により、ポリマーパターン66をパターン電極50から分離及び/又は剥離することができる。
【0103】
図6は、転写基板68によって少なくとも部分的に分離されたポリマーパターン66を備えたパターン電極50の断面図を示している。この実施形態では、ポリマーパターン66は、パターン電極50の導電性の電極表層42及び/又はパターン電極50の電極接触領域46よりも、転写基板68及び/又は転写粘着剤70に強力に固着する。そのため転写基板68により、パターン電極50からポリマーパターン66を剥離及び/又は分離できる。分離及び/又は剥離を側部から始め及び/又はパターン電極50の側面を介して広げていくと、切断領域74を形成できる。この切断領域74は楔形の場合がある。この様にしてポリマーパターンの転写が、パターン電極50から転写基板68へ行われる。
【0104】
図7は電気メッキ工程を行う電気メッキステーション80を略図で示している。電気メッキステーション80には容器82がある。この容器82に第2電解質84を入れる。電解質は銅を含有する。この意味で、特に硫酸銅(CuSO4)のような金属塩を含有できる。更に、例えば銅からなる及び/又は銅を含有する対極86を容器82に投入する及び/又は第2電解質84と接触する。更に、ポリマーパターン66を第2電解質84と接触する。その際ポリマーパターンはパターン電極50または転写基板68と結合していることができる。ポリマーパターン66がパターン電極50と接続されている限りは、パターン電極を少なくとも部分的に、第2電解質82と接触できる。図4と図2で既に説明したように、パターン電極50には非導電性の電極表層44及び/又は電極補充領域48がある。電気メッキ工程により、パターン電極50の電極補充領域48には全くまたはほとんど金属が析出されない。金属の析出はポリマーパターン66に行われる。金属析出により、ポリマーパターン66に金属パターン92が生じる。
【0105】
重合工程でパターン電極50ではなく、転写基板68を使用する限りは、転写基板68を少なくとも部分的に第2電解質と接触できる。ポリマーパターン66は転写基板68と結合している。更に転写基板68には非導電性の領域70がある。非導電性の領域はポリマーパターン66に対し補充的であることができる。前件の場合は、転写基板68の非導電性の領域70は、特に非導電性の転写粘着剤で覆われている。重合工程により、第2電解84から金属材料がポリマーパターン66に析出される。転写基板68の非導電性の領域70には金属材料は全くまたはほとんど析出しない。
【0106】
基本的に電源90にスイッチオン又はオフすることで、金属材料の析出をコントロールできる。というのは対極86もポリマーパターンもそれぞれ接続配線で電源90と接続されているからである。そのため、電源がスイッチオンされている場合及び/又は対極とポリマーパターンとの間に電圧差がある場合にのみ、析出が行われる。
【0107】
まとめると、つまり第2電解質84の金属材料が、電気メッキでポリマーパターン66に析出し、その際そのポリマーパターン66はパターン電極50及び/又は転写基板68と接続している。
【0108】
後続する図で示されている、符号「a」を伴う図は、転写素材68で電気メッキ工程を行ったものである。符号「b」を伴う図は、パターン電極50で電気メッキ工程を行ったものである。
【0109】
図8aはポリマーパターン66及び金属パターン92を備えた転写基板68の断面を示している。金属パターン92はポリマーパターン66とだけ結合しているかまたはほとんどポリマーパターン66とだけ結合している。金属パターン92は、ポリマーパターン66の転写基板68と反対側の表面を超えて側面には少なくともほとんど広がらない。特に電圧及び/又は電気メッキ工程の時間に応じて、金属パターン92は特定の厚み94となる。金属の析出が少なくともほとんどポリマーパターン66にだけで行われるために、ポリマーパターン66のパターンが、金属パターン92のパターンを作り出す。パターンは有利にほとんど同じものであり、特に厚みが同じである。またパターンは有利にパターン電極の設定可能なパターンに相当する。電気メッキ工程により転写粘着剤70に金属は析出されない。
【0110】
図8bはポリマーパターン66及び金属パターン92を備えたパターン電極50の断面図を示している。電気メッキ工程により、金属材料はポリマーパターン66にのみ析出する。そのため金属パターン92は、ポリマーパターン66を越えて側面に広がっていくことはないか又はほとんどない。電圧及び/又は電気メッキ工程で電圧をかける時間に応じて、金属パターン92は特定の厚み92となる。少なくとも電気化学電気メッキにより、パターン電極50の電極補充領域48には金属は析出しない。そのためポリマーパターン66のパターンが、金属パターン92のパターンを作り出す。2つのパターンは、パターン電極50の設定可能なパターンと少なくともほとんど同じである。
【0111】
図9aは基板96と結合したポリマーパターン66及び金属パターン92を備えた転写基板68の断面を示している。金属パターン92はポリマーパターン66及び/又は転写基板68と反対側100で、基板96と結合している。基板96と金属パターン92を結合する前に、基板、金属パターン92及び/又はその隙間98に基板粘着剤を塗布又は導入する。基板粘着剤は基板96にも金属パターン92にも固着する。基板96は絶縁性である。特に絶縁性の支持材料102を有する。
【0112】
図9bは基板96と結合した、ポリマーパターン66及び金属パターン92を備えたパターン電極50の断面を示している。金属パターン92と基板96との間の接続領域は図9aの接続領域と同様に形成されている。ここでも基板96は基板粘着剤98で金属パターンと結合されている。しかし、基板粘着剤98はポリマーパターン66を金属パターン92及び/又はや基板96とは結合していない。図9aに説明されている基板96、転写粘着剤98、金属パターン92、及び/又は金属パターン92と基板との間の接触及び/又は結合領域の利点、特徴及び/又は特性は、ここでも同様に通用する。
【0113】
図10aは少なくとも部分的に転写基板68と結合している、ポリマーパターン66による規定切断箇所106の断面図を示している。転写基板68と基板とへの少なくともほぼ通常の、外側に向けた力作用によるかまたは他の方向に向けた力作用、例えば斜めに外側に向けた剥離力により、ポリマーパターン66を規定切断箇所及び/又は規定説断層として活用できる。ポリマーパターン66及び/又は転写粘着剤70の強度はそのため特に低く、特に比強度は金属パターン92、基板96、転写粘着剤及び/又は転写基板68の比強度より低い。強度及び/又は比強度は破壊強度であり得る。上記の力作用では、そのためポリマーパターンは図10aで示しているように、角を成して割れる可能性がある。その際ポリマーパターン66は多数の部分に砕かれたり、分離したりする場合がある。そのためポリマーパターン66が部分的に転写基板68に固着して残る場合がある。転写基板68に固着したままのポリマーパターンの部分は、次いで金属パターン92に固着したままのポリマーパターン66の部分から分離される。
【0114】
その代わりに(図に示していない)、ポリマーパターン66を転写基板68と一緒に、金属パターン92から、特にほとんど完全に、分離できる。そのために、ポリマーパターン66と金属パターン92との結合は、両パターンを分離するにはポリマーパターン66を破壊、破断、引き裂くためには充分でない力作用が必要となるように形成することができる。他の表現をすると、そのためにはポリマーパターン66の破壊強度が、ポリマーパターン66と金属パターン92との間の結合強度よりも、強いということである。ポリマーパターンの破壊強度及び/又はポリマーパターンと金属パターン間の結合強度は、第1電解質の適切な溶剤の選択、第1電解質の重合性及び/又は架橋性化合物の適切な選択により有利に決められる。
【0115】
図10bは少なくとも部分的にパターン電極50と結合しているポリマーパターン66による、規定切断箇所106のその他の断面図である。パターン電極50及び基板96に対して外側に向けた力作用により、ポリマーパターンは第1部分66aと第2部分66bに破断及び/又は分離する。力作用は、特に図10aと同じく、少なくともほぼ通常の外側または他の力方向で、パターン電極50と基板96かかる。ポリマーパターン66の強度、特に破壊強度は、パターン電極50、特にその導電性の電極表層42及び/又はその電極接触領域46、金属パターン92、転写粘着剤98及び/又は基板96よりも低い。
【0116】
図11は基板96上の金属パターン92の断面図である。図10a又は図10bではまだ金属パターン92と結合しているポリマー、特にポリマーパターン66またはポリマーパターンの一部66bが、熱的、化学的及び/又は機械的に金属パターン99から除去される。転写粘着剤も(少なくとも部分的に)除去することができる。そのためにも機械的、熱的及び/又は化学的方法が適している。そのために図11では重要な部材、つまり基板96上の金属パターン92を示している。
【符号の説明】
【0117】
2 パターン電極、 4 重合、 6 パターン電極上のポリマーパターン、 8 電気メッキ工程、 10 パターン電極上の金属・ポリマーパターン、 12 基板への転写、 14 基板上のポリマー・金属パターン、 16 ポリマーパターンの除去、 18 基板上の金属パターン、 20 転写基板への転写、 22 転写基板上のポリマーパターン、 24 電気メッキ工程、 26 転写基板上の金属・ポリマーパターン、 28 基板への転写、 30 転写基板への転写、 31 基板への転写、 32 転写基板上のポリマー・金属パターン、 33 基板上のポリマーパターン、 34 ポリマーパターンの除去、 35 電気メッキ工程、 36 転写基板上の金属パターン、 37 基板上の金属・ポリマーパターン、 38 基板への転写
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に金属パターンを製造する方法において、以下の方法工程:
a.重合工程、
この工程では、設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)が表面にある少なくとも1つのパターン電極が使用され、その際、前記電極接触領域は第1電位と接続可能であり、前記電極接触領域の少なくとも一部が、好ましくは液状の、第1電解質に接触され、その際、前記第1電解質には重合および/または架橋性化合物が導入されており、かつ前記パターン電極を介して第1電解質を通じて第1電流が発生され、その際、第1電解質と接触した電極接触領域には、設定したパターンの導電性ポリマーフィルムが形成される(ポリマーパターン)
b.電気メッキ工程、
この工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が、好ましくは液状の、第2電解質と接触され、その際、前記第2電解質には金属性物質が導入されており、その際、前記ポリマーパターンを介して第2電解質を通じて第2電流が発生され、その際、第2電解質と接触した前記ポリマーパターンの領域には、設定したパターンの導電性金属フィルムが形成および/または析出される(金属パターン)
c.前記金属パターンの基板への転写工程および/または前記ポリマーパターンの基板への転写工程
前者の工程では、前記金属パターンの少なくとも一部が基板に施与され、後者の工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が基板に施与される
を特徴とする、基板に金属パターンを製造する方法。
【請求項2】
基板が配線板であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板に施与された金属パターンおよび/またはポリマーパターンを、粘着剤(基板粘着剤)および/または特に熱結合技術、特にハンダ付け、溶接、積層および/または超音波結合によって、前記基板と、好ましくは材料接続的に結合させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基板粘着剤を、電極とポリマーパターンとの間の付着が、基板粘着剤と金属パターン、基板および/またはポリマーパターンとの間の付着よりも弱いように選ぶことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマーパターンの少なくとも一部および/または金属パターンの少なくとも一部を転写基板に転写し、その際、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を転写基板と結合させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
転写基板を形成するために、流体を硬化させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
流体を、溶剤の除去、紫外線照射および/または硬化剤の投入によって硬化させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電極を再使用できることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
転写基板に付着しているポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部が、特に破壊せずにパターン電極から剥離されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
金属パターンおよび/または金属パターンと結合している基板を、導電性のポリマーパターンの少なくとも一部から分離するが、特に、好ましくは液状の、および/または好ましくはポリマーパターンを溶解するが、金属パターンを特に実質的に溶解および/または腐食しない溶剤により前記ポリマーパターンの少なくとも一部を溶解および/または腐食することによって分離し、および/または特に、エネルギーおよび/または熱を加えて前記ポリマーパターンを液化することによって分離し、その際、ポリマーパターンの融点は金属パターンの融点より低く、および/または特に、エネルギーおよび/または熱を加えて前記ポリマーパターンを気体状に変換して分離し、その際、ポリマーパターンの気化温度は金属パターンの融点より低く、および/または特に、機械的分離によって、例えばウォータージェット法、エアジェット法、ドクターブレード法、サンドブラスト法および/または研削法によって分離することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ポリマーパターンの引張強度および/または破壊強度が、パターン電極、パターン電極表面、金属パターン、基板粘着剤、転写粘着剤、転写基板および/または基板よりも低いことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
基板粘着剤と転写粘着剤の融点(もしくは溶融温度)が異なっており、および/または転写粘着剤の融点が基板粘着剤の融点よりも、特にずっと低いことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基板粘着剤と転写粘着剤の昇華温度が異なっており、および/または転写粘着剤の昇華温度が基板粘着剤の昇華温度よりも、特にずっと低いことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第1電解質に導入される化合物が、少なくとも部分的に、低分子化合物、好ましくはモノマー、ダイマー、またはポリマーの他の短鎖状の基礎構造単位であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
基板に金属パターンを製造する方法において、以下の方法工程:
a.重合工程、
この工程では、設定可能なパターンの第1領域(電極接触領域)と残りの第2領域(電極補充領域)が表面にある少なくとも1つのパターン電極が使用され、その際、前記電極接触領域は第1電位と接続可能であり、前記電極接触領域の少なくとも一部が、好ましくは液状の、第1電解質に接触され、その際、前記第1電解質には重合および/または架橋性化合物が導入されており、かつ前記パターン電極を介して第1電解質を通じて第1電流が発生され、その際、第1電解質と接触した電極接触領域には、設定したパターンの導電性ポリマーフィルムが形成される(ポリマーパターン)
b.電気メッキ工程、
この工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が、好ましくは液状の、第2電解質と接触され、その際、前記第2電解質には金属性物質が導入されており、その際、前記ポリマーパターンを介して第2電解質を通じて第2電流が発生され、その際、第2電解質と接触した前記ポリマーパターンの領域には、設定したパターンの導電性金属フィルムが形成および/または析出される(金属パターン)
c.前記金属パターンの基板への転写工程および/または前記ポリマーパターンの基板への転写工程
前者の工程では、前記金属パターンの少なくとも一部が基板に施与され、後者の工程では、前記ポリマーパターンの少なくとも一部が基板に施与される
を特徴とする、基板に金属パターンを製造する方法。
【請求項2】
基板が配線板であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板に施与された金属パターンおよび/またはポリマーパターンを、粘着剤(基板粘着剤)および/または特に熱結合技術、特にハンダ付け、溶接、積層および/または超音波結合によって、前記基板と、好ましくは材料接続的に結合させることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
基板粘着剤を、電極とポリマーパターンとの間の付着が、基板粘着剤と金属パターン、基板および/またはポリマーパターンとの間の付着よりも弱いように選ぶことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマーパターンの少なくとも一部および/または金属パターンの少なくとも一部を転写基板に転写し、その際、ポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部を転写基板と結合させることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
転写基板を形成するために、流体を硬化させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
流体を、溶剤の除去、紫外線照射および/または硬化剤の投入によって硬化させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電極を再使用できることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
転写基板に付着しているポリマーパターンおよび/または金属パターンの少なくとも一部が、特に破壊せずにパターン電極から剥離されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
金属パターンおよび/または金属パターンと結合している基板を、導電性のポリマーパターンの少なくとも一部から分離するが、特に、好ましくは液状の、および/または好ましくはポリマーパターンを溶解するが、金属パターンを特に実質的に溶解および/または腐食しない溶剤により前記ポリマーパターンの少なくとも一部を溶解および/または腐食することによって分離し、および/または特に、エネルギーおよび/または熱を加えて前記ポリマーパターンを液化することによって分離し、その際、ポリマーパターンの融点は金属パターンの融点より低く、および/または特に、エネルギーおよび/または熱を加えて前記ポリマーパターンを気体状に変換して分離し、その際、ポリマーパターンの気化温度は金属パターンの融点より低く、および/または特に、機械的分離によって、例えばウォータージェット法、エアジェット法、ドクターブレード法、サンドブラスト法および/または研削法によって分離することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ポリマーパターンの引張強度および/または破壊強度が、パターン電極、パターン電極表面、金属パターン、基板粘着剤、転写粘着剤、転写基板および/または基板よりも低いことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
基板粘着剤と転写粘着剤の融点(もしくは溶融温度)が異なっており、および/または転写粘着剤の融点が基板粘着剤の融点よりも、特にずっと低いことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基板粘着剤と転写粘着剤の昇華温度が異なっており、および/または転写粘着剤の昇華温度が基板粘着剤の昇華温度よりも、特にずっと低いことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第1電解質に導入される化合物が、少なくとも部分的に、低分子化合物、好ましくはモノマー、ダイマー、またはポリマーの他の短鎖状の基礎構造単位であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【公開番号】特開2010−199591(P2010−199591A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43418(P2010−43418)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(508375550)ザイラス ベタイリグングスゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー パテンテ イー コマンディートゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】ZYRUS Beteiligungsgesellschaft mbH & Co. Patente I KG
【住所又は居所原語表記】Berliner Str. 1, D−12529 Schoenefeld/Waltersdorf, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(508375550)ザイラス ベタイリグングスゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー パテンテ イー コマンディートゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】ZYRUS Beteiligungsgesellschaft mbH & Co. Patente I KG
【住所又は居所原語表記】Berliner Str. 1, D−12529 Schoenefeld/Waltersdorf, Germany
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]