基板の製造方法
【課題】比較的大面積化が可能なナノインプリントプロセスによるマスクの形成と、大面積の処理が可能な化学エッチングとに着目することで,基板の表面に比較的大面積の所望の微細凹凸構造を形成可能な方法を提供する。
【解決手段】半導体材料または金属材料からなる基板の表面上に設けられたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法により、基板の表面上にモールドの凹凸構造を転写した形状を有するマスク層を形成し、基板の前記マスク層によるマスク部分または非マスク部分に化学エッチングを行うことにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することを特徴とする基板の製造方法。
【解決手段】半導体材料または金属材料からなる基板の表面上に設けられたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法により、基板の表面上にモールドの凹凸構造を転写した形状を有するマスク層を形成し、基板の前記マスク層によるマスク部分または非マスク部分に化学エッチングを行うことにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することを特徴とする基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の製造方法に関し、とくに、表面に微細な規則的凹凸構造が形成された半導体材料や金属材料からなる基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面構造を制御し、数ミクロンからナノスケールの表面凹凸構造を形成する技術は、様々な機能性デバイスを作製するための手法として重要度が増している。このような微細凹凸構造の応用例としては、ハスの葉効果にもとづく撥水・撥油表面や、反射防止構造などがある。通常、半導体材料や金属材料の表面に微細な凹凸構造の形成を行う際には、リソグラフィーとドライエッチングを組み合わせた手法が用いられている。このような手法を用いれば、所望の凹凸構造の形成が可能であるが、電子ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィー技術では大面積のマスクを形成することが難しく、ドライエッチングを行う際も、一度にエッチングが可能なサイズには限界があるといった問題があった。そのため、既存の微細加工技術では大面積の凹凸構造の形成は難しいといった問題点を有していた。
【0003】
一方、大面積の処理が可能な手法として、半導体材料や金属材料をアルカリ溶液や酸溶液等のエッチャントに浸漬し、化学エッチングを行う試みが検討されている。このような手法を用いれば、大面積の基板表面に微細凹凸パターンの形成を行うことが可能である。しかしながら、形成される凹凸構造はランダムなものであり、一般に形状の制御は困難である。化学エッチングを行う基板に、あらかじめマスクを形成しておけば、その開口部に対応してエッチングが進行するため、形状を制御した凹凸構造の形成が可能である。しかしながら、先にも述べたように、既存のマスク形成技術では、大面積のレジストマスクの形成が困難であるため、マスクサイズの制限から大面積化は困難であるといった問題点があった。
【0004】
他方、シリコン(Si)基板の表面にあらかじめ集束イオンビーム(FIB)装置によりArイオンビームを照射し、その後、ヒドラジン溶液中で化学エッチングを行うと、イオン照射を行った部分がマスクとして機能し、その後の化学エッチングにより所望の微細凹凸パターンの形成が可能であることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、集束イオンビーム装置では、大面積のマスクを描画することは困難であり、得られるパターンが微小エリアのものに制限されるといった問題点があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Koh et al., Jpn. J. Appl. Phys., 39, 2186 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術における問題点に鑑み、比較的大面積化が可能なナノインプリントプロセスによるマスクの形成と、大面積の処理が可能な半導体材料や金属材料への化学エッチングとに着目することで,基板の表面に比較的大面積の所望の微細凹凸構造を形成可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、ナノインプリント法によるマスク形成と、化学エッチングによる凹凸構造の形成を行うための手法について鋭意検討を行った結果なされたものである。すなわち、本発明に係る基板の製造方法は、半導体材料または金属材料からなる基板の表面上に設けられたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法により、基板の表面上にモールドの凹凸構造を転写した形状を有するマスク層を形成し、基板の前記マスク層によるマスク部分または非マスク部分に化学エッチングを行うことにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することを特徴とする方法からなる。
【0008】
このような本発明に係る基板の製造方法においては、ナノインプリント法により半導体材料または金属材料の表面に所定形状のマスク層の形成を行い、該マスク層を有する基板をエッチャントに浸漬することでそのマスク層による非マスク部分を化学エッチングする、もしくは、非マスク部分に別の化学エッチング耐性のある処理(例えば、後述のイオンビーム照射)を行ってその処理が行われた非マスク部分を化学エッチング処理におけるマスク部分として機能させ、元のマスク部分に対して化学エッチングすることにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することができる。化学エッチング後には、必要に応じて化学エッチングに用いたマスク層を除去すればよい。上記ナノインプリント法による、基板表面上に形成するレジストマスクの作製には、上記のように、アルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することにより得られる陽極酸化ポーラスアルミナ、さらには、それを出発構造として作製したネガ型構造やポジ型構造をモールドとして用いることができる。ネガ型構造の作製には、陽極酸化ポーラスアルミナの表面に高分子材料やシリカ材料、金属材料など他の材料を充填し、その後、鋳型を溶解除去することで得ることができる。さらには、一旦作製したネガ型を再度鋳型として同様に構造転写を行えば、ポジ型構造のモールドの作製も可能である。陽極酸化ポーラスアルミナ、あるいは、それを出発構造として作製したネガ型構造やポジ型構造を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法では、比較的大面積で高精度なインプリント処理が可能であることから、モールドの凹凸構造が転写されるマスクも、比較的大面積にわたって高精度でマスク部分と非マスク部分とが形成されることになる。本発明では、このマスクを利用して、元々大面積の処理が可能な化学エッチングを施すので、化学エッチングが大面積にわたって対象とする部位に対してのみ精度よく行われることになり、広い面積にわたって表面に目標とする微細凹凸構造が形成された基板が得られる。
【0009】
上記のような本発明に係る基板の製造方法において、上記化学エッチングで基板の表面に形成される規則的な凹凸構造は、とくに、突起または窪みが比較的大面積にわたって規則的に配列した構造として形成される。形成される突起または窪みのサイズとしては、10nmから2μmの範囲とすることができ、突起または窪みのピッチとしては、10nmから2μmの範囲とすることができる。
【0010】
また、形成される突起または窪みの形状としては、円柱状や直行ホール状の形状に形成することも可能であり、基板厚み方向の断面においてテーパー形状を有する形状に形成することも可能である。テーパー形状の突起または窪みの形成には、例えば、異方性の化学エッチングを行う手法が有効である。基板表面にテーパー形状の突起や窪みが配列した構造の形成を行うと、例えば反射防止構造として機能する。そのため、例えばシリコン基板の表面にこのような構造の形成を行えば、シリコン太陽電池への光取り込み効率を向上させることも可能となる。
【0011】
また、ネガ型モールド、ポジ型モールドの作製に、アクリル系の樹脂やエポキシ系の樹脂、シリカ材料などの光透過可能な材料を使用すれば、透明なモールドを得ることができる。このような透明モールドを用いれば、不透明な基板上に光インプリント法によりマスクの形成を行うことも可能である。光インプリント法は、光硬化性樹脂を用いて微細パターンの形成を行う手法であるが、熱可塑性樹脂を用いた熱インプリント法など、他の手法に比べ、高速にパターン形成を行うことが可能であるといった特徴を有する。そのため、光インプリント法によれば、高スループットにマスク形成を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明において、化学エッチングを行う前のマスク層の凹部に対応する部位に残膜層が形成される場合には、この部分を、イオンミリングやプラズマエッチング、UVオゾン処理、深紫外光照射処理などにより除去した後、化学エッチングを行うこともできる。残膜を除去した後に化学エッチングを行うので、化学エッチングの対象部位に対し、正確に精度よく処理を施すことが可能になり、より高精度の基板表面凹凸構造の形成に寄与できることになる。
【0013】
また、本発明においては、前述したように、マスク層による基板の非マスク部分に別の化学エッチング耐性のある処理を行ってその処理が行われた非マスク部分を化学エッチング処理におけるマスク部分として機能させることも可能である。例えば、基板表面にナノインプリント法で上記マスク層の形成を行った後、イオンビーム照射によりマスク層の凹部に対応する位置の基板表面を露出させるとともに露出させた基板表面部分にさらにイオンビーム照射を行い、該イオンビーム照射を行った基板表面部分を化学エッチングにおけるマスク部分として機能させることができる。つまり、上記さらなるイオンビーム照射により基板表面にイオンビーム照射による損傷層を形成した後、化学エッチングを行うと、イオンビームの照射部分が化学エッチングの際のマスクとして機能できるようになり、これにもとづく化学エッチングにより基板の表面に所望の凹凸構造の形成を行うこともできる。
【0014】
本発明における化学エッチングを行う基板には種々のものを用いることが可能であるが、とくに、シリコン、インジウムリン、ガリウムヒ素、アルミニウムなどの材料に対して本発明は特に有効である。また、化学エッチングを行う際のエッチャントには、ヒドラジン、水酸化カリウム、フッ酸、水酸化ナトリウム、塩酸のうち少なくともひとつを含むエッチャントであることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る基板の製造方法によれば、比較的大面積化が可能なナノインプリントプロセスによるマスクの形成と、大面積の処理が可能な半導体材料や金属材料への化学エッチングの技術を効果的に組み合わせることにより、基板の表面に比較的大面積の目標とする微細凹凸構造を精度よく形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示した概略構成図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示した概略構成図である。
【図3】化学エッチングによるテーパー状凹凸パターンの形成例を模式的に示した概略構成図である。
【図4】イオンビーム照射による凹凸パターンの形成例を模式的に示した概略構成図である。
【図5】陽極酸化ポーラスアルミナを用いたナノインプリントによる基板加工プロセスの一例を模式的に示した概略構成図である。
【図6】陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするネガ型モールドの作製と基板加工プロセスの一例を模式的に示した概略構成図である。
【図7】陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするポジ型モールドの作製と基板加工プロセスの一例を模式的に示した概略構成図である。
【図8】実施例1で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図9】実施例2で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図10】実施例3で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図11】実施例4で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図12】実施例5で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図13】実施例6で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図14】実施例3で作製した凹凸パターンを有するシリコン基板と、平滑なシリコン基板の反射率測定を行った結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る基板の製造方法をより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示しており、ナノインプリント法によるレジストマスクの形成と化学エッチングによる基板加工プロセスを模式的に示したものである。図1において、半導体材料または金属材料からなる基板1の表面上にあらかじめ設けられていたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造2を有するモールド3として用いてナノインプリントを行う。このナノインプリントにより、基板1の表面上にモールド3の凹凸構造2を転写した形状を有するマスク(層)4(レジストマスク)が形成される。図1に示す態様では、このマスク層4による非マスク部分5に対して化学エッチングが行われ、該化学エッチングによって、表面に規則的な微細凹凸構造6が形成された基板7(例えば、半導体基板)が作製される。レジストマスク4は、所定の凹凸構造6を形成した後に除去されればよい。
【0018】
図2は、本発明の別の実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示した概略構成図であり、図1に示した例が非マスク部分に対して化学エッチングが行われる場合であるのに比べ、本実施態様では、その非マスク部分が化学エッチングにおけるマスク部分に変換されたのち、元のマスク部分に対して化学エッチングが行われる例を示している。図2に示した態様では、図1に示した例と同様に、マスク形成用層に対し、規則的な凹凸構造2を有するモールド3を用いたナノインプリント法により、基板1の表面上にモールド3の凹凸構造2を転写した形状を有するマスク(層)4(レジストマスク)が形成されるが、マスク4による基板1の非マスク部分5に化学エッチング耐性のある処理(例えば、後述のイオンビーム照射)が行われ、その処理が行われた非マスク部分5が化学エッチングを行う際のマスク部分として機能される。その結果、元のマスク部分11に対して化学エッチングが行われることになり、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造12が形成された基板13が作製される。レジストマスク4は、所定の凹凸構造12を形成した後に除去されればよい。
【0019】
図3は、本発明における化学エッチングにより、各突起や窪みがテーパー形状を有する凹凸パターンを基板表面に形成する場合を模式的に示したものである。図3に示す例においては、例えば半導体からなる基板21上に設けられたマスク形成用層に対し、規則的な凹凸構造22を有する透明材料からなるモールド23を用いたナノインプリント法(例えば、光インプリント法)により、基板21の表面上にモールド23の凹凸構造22を転写した形状を有するマスク(層)24(例えば、光硬化性樹脂からなるマスク)が形成される。マスク24による基板21の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングが行われるが、化学エッチングの条件を制御することにより、あるいは化学エッチング順次繰り返すことにより、表面凹凸構造としてテーパー状凹凸パターン構造25が表面に形成された基板26を作製することができる。
【0020】
図4は、図2に示した基板の非マスク部分に化学エッチング耐性のある処理が行われ、その処理が行われた非マスク部分が化学エッチングを行う際のマスク部分として機能される場合の一例を示したものである。図4に示した例では、マスク形成用層に対し、規則的な凹凸構造32を有するモールド33を用いたナノインプリント法により、基板31の表面上にモールド33の凹凸構造32を転写した形状を有するマスク(層)34が形成され、マスク34による基板31の非マスク部分35に化学エッチング耐性のある処理、本例では、イオンビーム36の照射が行われ(ただし、照射は、マスク層34全体に対して行われる。)、イオンビーム36が照射された上記非マスク部分35に対応する部分37が、イオンビーム36による基板31の損傷部分となり、化学エッチングを行う際にはマスク部分として機能する。この状態で化学エッチングが行われると、イオンビーム36が照射された部分37においては化学エッチングが進行せず、マスク層34による元のマスク部分38で化学エッチングが進行し、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造39が形成された基板40が作製される。
【0021】
図5は、モールドとして陽極酸化ポーラスアルミナ41を用い、ナノインプリント法により基板42の表面上に陽極酸化ポーラスアルミナ41の凹凸構造43を転写した形状を有するマスク(層)44を形成する基板加工プロセスを模式的に示したものである。このマスク44による基板42の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングを行うことにより、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造45が形成された基板46が作製される。
【0022】
図6は、陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするネガ型モールドの作製と、そのモールドを用いた基板加工プロセスを模式的に示したものである。図示例では、陽極酸化ポーラスアルミナ51の凹凸構造52に対し充填物質53を充填してネガ型モールド54を形成し、このネガ型モールド54を用いて、ナノインプリント法により基板55の表面上にネガ型モールド54の凹凸構造56を転写した形状を有するマスク(層)57を形成する。このマスク57による基板55の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングを行うことにより、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造58が形成された基板59が作製される。
【0023】
図7は、陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするポジ型モールドの作製と、そのモールドを用いた基板加工プロセスを模式的に示したものである。図示例では、陽極酸化ポーラスアルミナ61の凹凸構造62に対し充填物質63を充填してネガ型モールド64を形成し、さらに、このネガ型モールド64に対し充填物質65を充填してポジ型モールド66を形成し、このポジ型モールド66を用いて、ナノインプリント法により基板67の表面上にポジ型モールド66の凹凸構造68を転写した形状を有するマスク(層)69を形成する。このマスク69による基板67の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングを行うことにより、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造70が形成された基板71が作製される。
【実施例】
【0024】
実施例1(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
400℃で1時間アニールを行った純度99.99%のアルミニウム板に、500nmピッチで突起が規則配列したNiモールドを用いてテクスチャリング処理を施し規則的な窪み配列の形成を行った。その後、0.1Mリン酸浴,浴温0℃、化成電圧200Vの条件下で30秒間陽極酸化を行った。その後、10wt%リン酸30℃中に15分間浸漬し、孔径拡大処理を施した。この操作を5回繰り返しテーパー状細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナモールドは、0.1%オプツール溶液中(ダイキン工業社製)で離型処理を行った。このようにして得られた陽極酸化ポーラスアルミナモールドを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板表面で光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)に光インプリントを行い、テーパー形状の突起が配列したポリマーネガ型モールドの作製を行った。作製したネガ型モールド表面にNiを5nmイオンビームスパッタ装置によりコートした後0.4wt%の濃度のオプツール溶液に浸漬し離型処理を施した。作製したポリマーモールドを、光硬化性樹脂PAK-01(東洋合成工業社製)をスピンコートにより塗布したシリコン基板表面に押し付け、モールド側よりUV光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させた。この後、モールドを剥離しシリコン基板表面にホールアレー型のレジスト(レジストマスク)を形成した。シリコン基板上へのレジストマスクの形成を行った後、アルゴンエッチングを用いて残膜除去処理を行った。残膜除去処理を施したシリコン基板を、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比 8:;75:17)の混合溶液中で1秒間化学エッチングを行った。これによりレジストホール部に対応した部分に窪み構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図8に示す。
【0025】
実施例2(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
実施例1と同様の手法によりポリマーモールド、シリコン基板上へのレジストマスクの形成を行った。レジストを形成したシリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図9に示す。
【0026】
実施例3(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
実施例1と同様の手法によりポリマーモールド、シリコン基板上へのレジストマスクの形成を行った後、アルゴンエッチングを用いて残膜除去処理を行った。この後、シリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図10に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0027】
実施例4(200nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
400℃で1時間アニールを行った純度99.99%のアルミニウム板に、200nmピッチで突起が規則配列したNiモールドを用いてテクスチャリング処理を施し規則的な窪み配列の形成を行った。その後、0.05Mシュウ酸浴、浴温17℃、化成電圧80Vの条件下で4秒間陽極酸化を行った。その後、10wt%リン酸30℃中に8.5分間浸漬し、孔径拡大処理を施した。この操作を10回繰り返しテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナモールドは、0.1%オプツール溶液中(ダイキン工業社製)で離型処理を行った。このようにして得られた陽極酸化ポーラスアルミナモールドを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板表面で光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)に光インプリントを行いテーパー形状の突起が配列したポリマーネガ型モールドの作製を行った。作製したネガ型モールド表面にNiを5nmイオンビームスパッタ装置によりコートした後0.4wt%の濃度のオプツール溶液に浸漬し離型処理を施した。作製したポリマーモールドを、光硬化性樹脂PAK-01(東洋合成工業社製)をスピンコートにより塗布したシリコン基板表面に押し付け、モールド側よりUV光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させた。この後、モールドを剥離しシリコン基板表面にホールアレー型のレジストを形成した。この後、シリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図11に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0028】
実施例5(100nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
純度99.99%のアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液を電解液とし、化成電圧40Vにおいて、15時間陽極酸化を行った。その後、クロム酸リン酸混合溶液中、浴温50℃において、アルミナ皮膜の溶解除去を行った。その後、同じ陽極酸化条件下で25秒間陽極酸化を行った。その後、5wt%リン酸30℃中に9分間浸漬し、孔径拡大処理を施した。この操作を4回繰り返しテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナモールドは、0.1%オプツール溶液中(ダイキン工業社製)で離型処理を行った。このようにして得られた陽極酸化ポーラスアルミナモールドを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板表面で光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)に光インプリントを行いテーパー形状の突起が配列したポリマーネガ型モールドの作製を行った。作製したネガ型モールド表面にNiを5nmイオンビームスパッタ装置によりコートした後0.4wt%の濃度のオプツール溶液に浸漬し離型処理を施した.作製したポリマーモールドを,光硬化性樹脂PAK-01(東洋合成工業社製)をスピンコートにより塗布したシリコン基板表面に押し付け、モールド側よりUV光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させた。この後、モールドを剥離しシリコン基板表面にホールアレー型のレジストを形成した。この後、シリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図12に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0029】
実施例6(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
実施例3と同様の手法によりアルゴンイオンビームエッチングにより残膜除去処理を施したシリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、20wt%に調整した水酸化カリウム溶液、60℃を用いて90秒間化学エッチングを行った。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図13に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0030】
実施例7(本発明による凹凸パターンを形成したシリコン基板の反射防止特性の評価)
実施例3の方法で作製した凹凸パターンを有するシリコン(Si)基板と、平滑なシリコン基板の反射防止特性を比較するために、シリコン基板の反射スペクトルを測定したところ、実施例3で作製した凹凸パターンを有するシリコン基板は、図14に示すように、波長450nmから750nmの範囲で10%以下の反射率を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る基板の製造方法は、比較的大面積にわたって表面に微細凹凸構造を精度よく形成することが求められるあらゆる基板の製造に適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、21、31、42、55、67 基板
2、22、32、43、56、68 モールドの凹凸構造
3、23、33 モールド
4、24、34、44、57、69 マスク(層)
5、35 非マスク部分
6、12、25、39、45、58、70 基板表面の凹凸構造
7、13、26、40、46、59、71 表面に凹凸構造が形成された基板
41、51、61 陽極酸化ポーラスアルミナ
43、52、62 陽極酸化ポーラスアルミナ表面の凹凸構造
53、63、65 充填物質
54 ネガ型モールド
64 ネガ型
66 ポジ型モールド
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の製造方法に関し、とくに、表面に微細な規則的凹凸構造が形成された半導体材料や金属材料からなる基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面構造を制御し、数ミクロンからナノスケールの表面凹凸構造を形成する技術は、様々な機能性デバイスを作製するための手法として重要度が増している。このような微細凹凸構造の応用例としては、ハスの葉効果にもとづく撥水・撥油表面や、反射防止構造などがある。通常、半導体材料や金属材料の表面に微細な凹凸構造の形成を行う際には、リソグラフィーとドライエッチングを組み合わせた手法が用いられている。このような手法を用いれば、所望の凹凸構造の形成が可能であるが、電子ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィー技術では大面積のマスクを形成することが難しく、ドライエッチングを行う際も、一度にエッチングが可能なサイズには限界があるといった問題があった。そのため、既存の微細加工技術では大面積の凹凸構造の形成は難しいといった問題点を有していた。
【0003】
一方、大面積の処理が可能な手法として、半導体材料や金属材料をアルカリ溶液や酸溶液等のエッチャントに浸漬し、化学エッチングを行う試みが検討されている。このような手法を用いれば、大面積の基板表面に微細凹凸パターンの形成を行うことが可能である。しかしながら、形成される凹凸構造はランダムなものであり、一般に形状の制御は困難である。化学エッチングを行う基板に、あらかじめマスクを形成しておけば、その開口部に対応してエッチングが進行するため、形状を制御した凹凸構造の形成が可能である。しかしながら、先にも述べたように、既存のマスク形成技術では、大面積のレジストマスクの形成が困難であるため、マスクサイズの制限から大面積化は困難であるといった問題点があった。
【0004】
他方、シリコン(Si)基板の表面にあらかじめ集束イオンビーム(FIB)装置によりArイオンビームを照射し、その後、ヒドラジン溶液中で化学エッチングを行うと、イオン照射を行った部分がマスクとして機能し、その後の化学エッチングにより所望の微細凹凸パターンの形成が可能であることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、集束イオンビーム装置では、大面積のマスクを描画することは困難であり、得られるパターンが微小エリアのものに制限されるといった問題点があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Koh et al., Jpn. J. Appl. Phys., 39, 2186 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明の課題は、上記のような従来技術における問題点に鑑み、比較的大面積化が可能なナノインプリントプロセスによるマスクの形成と、大面積の処理が可能な半導体材料や金属材料への化学エッチングとに着目することで,基板の表面に比較的大面積の所望の微細凹凸構造を形成可能な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、ナノインプリント法によるマスク形成と、化学エッチングによる凹凸構造の形成を行うための手法について鋭意検討を行った結果なされたものである。すなわち、本発明に係る基板の製造方法は、半導体材料または金属材料からなる基板の表面上に設けられたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法により、基板の表面上にモールドの凹凸構造を転写した形状を有するマスク層を形成し、基板の前記マスク層によるマスク部分または非マスク部分に化学エッチングを行うことにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することを特徴とする方法からなる。
【0008】
このような本発明に係る基板の製造方法においては、ナノインプリント法により半導体材料または金属材料の表面に所定形状のマスク層の形成を行い、該マスク層を有する基板をエッチャントに浸漬することでそのマスク層による非マスク部分を化学エッチングする、もしくは、非マスク部分に別の化学エッチング耐性のある処理(例えば、後述のイオンビーム照射)を行ってその処理が行われた非マスク部分を化学エッチング処理におけるマスク部分として機能させ、元のマスク部分に対して化学エッチングすることにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することができる。化学エッチング後には、必要に応じて化学エッチングに用いたマスク層を除去すればよい。上記ナノインプリント法による、基板表面上に形成するレジストマスクの作製には、上記のように、アルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することにより得られる陽極酸化ポーラスアルミナ、さらには、それを出発構造として作製したネガ型構造やポジ型構造をモールドとして用いることができる。ネガ型構造の作製には、陽極酸化ポーラスアルミナの表面に高分子材料やシリカ材料、金属材料など他の材料を充填し、その後、鋳型を溶解除去することで得ることができる。さらには、一旦作製したネガ型を再度鋳型として同様に構造転写を行えば、ポジ型構造のモールドの作製も可能である。陽極酸化ポーラスアルミナ、あるいは、それを出発構造として作製したネガ型構造やポジ型構造を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法では、比較的大面積で高精度なインプリント処理が可能であることから、モールドの凹凸構造が転写されるマスクも、比較的大面積にわたって高精度でマスク部分と非マスク部分とが形成されることになる。本発明では、このマスクを利用して、元々大面積の処理が可能な化学エッチングを施すので、化学エッチングが大面積にわたって対象とする部位に対してのみ精度よく行われることになり、広い面積にわたって表面に目標とする微細凹凸構造が形成された基板が得られる。
【0009】
上記のような本発明に係る基板の製造方法において、上記化学エッチングで基板の表面に形成される規則的な凹凸構造は、とくに、突起または窪みが比較的大面積にわたって規則的に配列した構造として形成される。形成される突起または窪みのサイズとしては、10nmから2μmの範囲とすることができ、突起または窪みのピッチとしては、10nmから2μmの範囲とすることができる。
【0010】
また、形成される突起または窪みの形状としては、円柱状や直行ホール状の形状に形成することも可能であり、基板厚み方向の断面においてテーパー形状を有する形状に形成することも可能である。テーパー形状の突起または窪みの形成には、例えば、異方性の化学エッチングを行う手法が有効である。基板表面にテーパー形状の突起や窪みが配列した構造の形成を行うと、例えば反射防止構造として機能する。そのため、例えばシリコン基板の表面にこのような構造の形成を行えば、シリコン太陽電池への光取り込み効率を向上させることも可能となる。
【0011】
また、ネガ型モールド、ポジ型モールドの作製に、アクリル系の樹脂やエポキシ系の樹脂、シリカ材料などの光透過可能な材料を使用すれば、透明なモールドを得ることができる。このような透明モールドを用いれば、不透明な基板上に光インプリント法によりマスクの形成を行うことも可能である。光インプリント法は、光硬化性樹脂を用いて微細パターンの形成を行う手法であるが、熱可塑性樹脂を用いた熱インプリント法など、他の手法に比べ、高速にパターン形成を行うことが可能であるといった特徴を有する。そのため、光インプリント法によれば、高スループットにマスク形成を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明において、化学エッチングを行う前のマスク層の凹部に対応する部位に残膜層が形成される場合には、この部分を、イオンミリングやプラズマエッチング、UVオゾン処理、深紫外光照射処理などにより除去した後、化学エッチングを行うこともできる。残膜を除去した後に化学エッチングを行うので、化学エッチングの対象部位に対し、正確に精度よく処理を施すことが可能になり、より高精度の基板表面凹凸構造の形成に寄与できることになる。
【0013】
また、本発明においては、前述したように、マスク層による基板の非マスク部分に別の化学エッチング耐性のある処理を行ってその処理が行われた非マスク部分を化学エッチング処理におけるマスク部分として機能させることも可能である。例えば、基板表面にナノインプリント法で上記マスク層の形成を行った後、イオンビーム照射によりマスク層の凹部に対応する位置の基板表面を露出させるとともに露出させた基板表面部分にさらにイオンビーム照射を行い、該イオンビーム照射を行った基板表面部分を化学エッチングにおけるマスク部分として機能させることができる。つまり、上記さらなるイオンビーム照射により基板表面にイオンビーム照射による損傷層を形成した後、化学エッチングを行うと、イオンビームの照射部分が化学エッチングの際のマスクとして機能できるようになり、これにもとづく化学エッチングにより基板の表面に所望の凹凸構造の形成を行うこともできる。
【0014】
本発明における化学エッチングを行う基板には種々のものを用いることが可能であるが、とくに、シリコン、インジウムリン、ガリウムヒ素、アルミニウムなどの材料に対して本発明は特に有効である。また、化学エッチングを行う際のエッチャントには、ヒドラジン、水酸化カリウム、フッ酸、水酸化ナトリウム、塩酸のうち少なくともひとつを含むエッチャントであることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る基板の製造方法によれば、比較的大面積化が可能なナノインプリントプロセスによるマスクの形成と、大面積の処理が可能な半導体材料や金属材料への化学エッチングの技術を効果的に組み合わせることにより、基板の表面に比較的大面積の目標とする微細凹凸構造を精度よく形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示した概略構成図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示した概略構成図である。
【図3】化学エッチングによるテーパー状凹凸パターンの形成例を模式的に示した概略構成図である。
【図4】イオンビーム照射による凹凸パターンの形成例を模式的に示した概略構成図である。
【図5】陽極酸化ポーラスアルミナを用いたナノインプリントによる基板加工プロセスの一例を模式的に示した概略構成図である。
【図6】陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするネガ型モールドの作製と基板加工プロセスの一例を模式的に示した概略構成図である。
【図7】陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするポジ型モールドの作製と基板加工プロセスの一例を模式的に示した概略構成図である。
【図8】実施例1で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図9】実施例2で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図10】実施例3で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図11】実施例4で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図12】実施例5で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図13】実施例6で得られた基板の電子顕微鏡による観察結果を示した図である。
【図14】実施例3で作製した凹凸パターンを有するシリコン基板と、平滑なシリコン基板の反射率測定を行った結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る基板の製造方法をより具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示しており、ナノインプリント法によるレジストマスクの形成と化学エッチングによる基板加工プロセスを模式的に示したものである。図1において、半導体材料または金属材料からなる基板1の表面上にあらかじめ設けられていたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造2を有するモールド3として用いてナノインプリントを行う。このナノインプリントにより、基板1の表面上にモールド3の凹凸構造2を転写した形状を有するマスク(層)4(レジストマスク)が形成される。図1に示す態様では、このマスク層4による非マスク部分5に対して化学エッチングが行われ、該化学エッチングによって、表面に規則的な微細凹凸構造6が形成された基板7(例えば、半導体基板)が作製される。レジストマスク4は、所定の凹凸構造6を形成した後に除去されればよい。
【0018】
図2は、本発明の別の実施態様に係る基板の製造方法を模式的に示した概略構成図であり、図1に示した例が非マスク部分に対して化学エッチングが行われる場合であるのに比べ、本実施態様では、その非マスク部分が化学エッチングにおけるマスク部分に変換されたのち、元のマスク部分に対して化学エッチングが行われる例を示している。図2に示した態様では、図1に示した例と同様に、マスク形成用層に対し、規則的な凹凸構造2を有するモールド3を用いたナノインプリント法により、基板1の表面上にモールド3の凹凸構造2を転写した形状を有するマスク(層)4(レジストマスク)が形成されるが、マスク4による基板1の非マスク部分5に化学エッチング耐性のある処理(例えば、後述のイオンビーム照射)が行われ、その処理が行われた非マスク部分5が化学エッチングを行う際のマスク部分として機能される。その結果、元のマスク部分11に対して化学エッチングが行われることになり、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造12が形成された基板13が作製される。レジストマスク4は、所定の凹凸構造12を形成した後に除去されればよい。
【0019】
図3は、本発明における化学エッチングにより、各突起や窪みがテーパー形状を有する凹凸パターンを基板表面に形成する場合を模式的に示したものである。図3に示す例においては、例えば半導体からなる基板21上に設けられたマスク形成用層に対し、規則的な凹凸構造22を有する透明材料からなるモールド23を用いたナノインプリント法(例えば、光インプリント法)により、基板21の表面上にモールド23の凹凸構造22を転写した形状を有するマスク(層)24(例えば、光硬化性樹脂からなるマスク)が形成される。マスク24による基板21の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングが行われるが、化学エッチングの条件を制御することにより、あるいは化学エッチング順次繰り返すことにより、表面凹凸構造としてテーパー状凹凸パターン構造25が表面に形成された基板26を作製することができる。
【0020】
図4は、図2に示した基板の非マスク部分に化学エッチング耐性のある処理が行われ、その処理が行われた非マスク部分が化学エッチングを行う際のマスク部分として機能される場合の一例を示したものである。図4に示した例では、マスク形成用層に対し、規則的な凹凸構造32を有するモールド33を用いたナノインプリント法により、基板31の表面上にモールド33の凹凸構造32を転写した形状を有するマスク(層)34が形成され、マスク34による基板31の非マスク部分35に化学エッチング耐性のある処理、本例では、イオンビーム36の照射が行われ(ただし、照射は、マスク層34全体に対して行われる。)、イオンビーム36が照射された上記非マスク部分35に対応する部分37が、イオンビーム36による基板31の損傷部分となり、化学エッチングを行う際にはマスク部分として機能する。この状態で化学エッチングが行われると、イオンビーム36が照射された部分37においては化学エッチングが進行せず、マスク層34による元のマスク部分38で化学エッチングが進行し、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造39が形成された基板40が作製される。
【0021】
図5は、モールドとして陽極酸化ポーラスアルミナ41を用い、ナノインプリント法により基板42の表面上に陽極酸化ポーラスアルミナ41の凹凸構造43を転写した形状を有するマスク(層)44を形成する基板加工プロセスを模式的に示したものである。このマスク44による基板42の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングを行うことにより、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造45が形成された基板46が作製される。
【0022】
図6は、陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするネガ型モールドの作製と、そのモールドを用いた基板加工プロセスを模式的に示したものである。図示例では、陽極酸化ポーラスアルミナ51の凹凸構造52に対し充填物質53を充填してネガ型モールド54を形成し、このネガ型モールド54を用いて、ナノインプリント法により基板55の表面上にネガ型モールド54の凹凸構造56を転写した形状を有するマスク(層)57を形成する。このマスク57による基板55の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングを行うことにより、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造58が形成された基板59が作製される。
【0023】
図7は、陽極酸化ポーラスアルミナを出発構造とするポジ型モールドの作製と、そのモールドを用いた基板加工プロセスを模式的に示したものである。図示例では、陽極酸化ポーラスアルミナ61の凹凸構造62に対し充填物質63を充填してネガ型モールド64を形成し、さらに、このネガ型モールド64に対し充填物質65を充填してポジ型モールド66を形成し、このポジ型モールド66を用いて、ナノインプリント法により基板67の表面上にポジ型モールド66の凹凸構造68を転写した形状を有するマスク(層)69を形成する。このマスク69による基板67の非マスク部分やマスク部分に対し、図1や図2に示したのと同様の手法により化学エッチングを行うことにより、図示のような表面に規則的な微細凹凸構造70が形成された基板71が作製される。
【実施例】
【0024】
実施例1(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
400℃で1時間アニールを行った純度99.99%のアルミニウム板に、500nmピッチで突起が規則配列したNiモールドを用いてテクスチャリング処理を施し規則的な窪み配列の形成を行った。その後、0.1Mリン酸浴,浴温0℃、化成電圧200Vの条件下で30秒間陽極酸化を行った。その後、10wt%リン酸30℃中に15分間浸漬し、孔径拡大処理を施した。この操作を5回繰り返しテーパー状細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナモールドは、0.1%オプツール溶液中(ダイキン工業社製)で離型処理を行った。このようにして得られた陽極酸化ポーラスアルミナモールドを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板表面で光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)に光インプリントを行い、テーパー形状の突起が配列したポリマーネガ型モールドの作製を行った。作製したネガ型モールド表面にNiを5nmイオンビームスパッタ装置によりコートした後0.4wt%の濃度のオプツール溶液に浸漬し離型処理を施した。作製したポリマーモールドを、光硬化性樹脂PAK-01(東洋合成工業社製)をスピンコートにより塗布したシリコン基板表面に押し付け、モールド側よりUV光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させた。この後、モールドを剥離しシリコン基板表面にホールアレー型のレジスト(レジストマスク)を形成した。シリコン基板上へのレジストマスクの形成を行った後、アルゴンエッチングを用いて残膜除去処理を行った。残膜除去処理を施したシリコン基板を、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比 8:;75:17)の混合溶液中で1秒間化学エッチングを行った。これによりレジストホール部に対応した部分に窪み構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図8に示す。
【0025】
実施例2(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
実施例1と同様の手法によりポリマーモールド、シリコン基板上へのレジストマスクの形成を行った。レジストを形成したシリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図9に示す。
【0026】
実施例3(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
実施例1と同様の手法によりポリマーモールド、シリコン基板上へのレジストマスクの形成を行った後、アルゴンエッチングを用いて残膜除去処理を行った。この後、シリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図10に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0027】
実施例4(200nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
400℃で1時間アニールを行った純度99.99%のアルミニウム板に、200nmピッチで突起が規則配列したNiモールドを用いてテクスチャリング処理を施し規則的な窪み配列の形成を行った。その後、0.05Mシュウ酸浴、浴温17℃、化成電圧80Vの条件下で4秒間陽極酸化を行った。その後、10wt%リン酸30℃中に8.5分間浸漬し、孔径拡大処理を施した。この操作を10回繰り返しテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナモールドは、0.1%オプツール溶液中(ダイキン工業社製)で離型処理を行った。このようにして得られた陽極酸化ポーラスアルミナモールドを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板表面で光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)に光インプリントを行いテーパー形状の突起が配列したポリマーネガ型モールドの作製を行った。作製したネガ型モールド表面にNiを5nmイオンビームスパッタ装置によりコートした後0.4wt%の濃度のオプツール溶液に浸漬し離型処理を施した。作製したポリマーモールドを、光硬化性樹脂PAK-01(東洋合成工業社製)をスピンコートにより塗布したシリコン基板表面に押し付け、モールド側よりUV光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させた。この後、モールドを剥離しシリコン基板表面にホールアレー型のレジストを形成した。この後、シリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図11に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0028】
実施例5(100nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
純度99.99%のアルミニウム板を、0.3Mシュウ酸水溶液を電解液とし、化成電圧40Vにおいて、15時間陽極酸化を行った。その後、クロム酸リン酸混合溶液中、浴温50℃において、アルミナ皮膜の溶解除去を行った。その後、同じ陽極酸化条件下で25秒間陽極酸化を行った。その後、5wt%リン酸30℃中に9分間浸漬し、孔径拡大処理を施した。この操作を4回繰り返しテーパー状細孔を有するポーラスアルミナを得た。得られたポーラスアルミナモールドは、0.1%オプツール溶液中(ダイキン工業社製)で離型処理を行った。このようにして得られた陽極酸化ポーラスアルミナモールドを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板表面で光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)に光インプリントを行いテーパー形状の突起が配列したポリマーネガ型モールドの作製を行った。作製したネガ型モールド表面にNiを5nmイオンビームスパッタ装置によりコートした後0.4wt%の濃度のオプツール溶液に浸漬し離型処理を施した.作製したポリマーモールドを,光硬化性樹脂PAK-01(東洋合成工業社製)をスピンコートにより塗布したシリコン基板表面に押し付け、モールド側よりUV光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させた。この後、モールドを剥離しシリコン基板表面にホールアレー型のレジストを形成した。この後、シリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、115℃に加温した濃ヒドラジン溶液に20秒間浸漬し化学エッチングを行った。最後に、エキシマランプでレジスト層を除去した。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図12に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0029】
実施例6(500nm周期陽極酸化ポーラスアルミナを鋳型として作製したポリマーモールドによるマスク形成と化学エッチング)
実施例3と同様の手法によりアルゴンイオンビームエッチングにより残膜除去処理を施したシリコン基板を濃フッ酸溶液中に1分間浸漬し自然酸化皮膜を除去したのち、20wt%に調整した水酸化カリウム溶液、60℃を用いて90秒間化学エッチングを行った。これによりレジストホール部に対応した部分に突起構造の形成が可能であった。電子顕微鏡による観察結果を図13に示す。電子顕微鏡による観察結果から、突部の上層には、アルゴンイオンビームによる損傷領域がエッチングされずに残っていたが、フッ酸、硝酸、酢酸(体積比:8:;75:17)の混合溶液中で1秒間エッチングすることで除去することが可能であった。
【0030】
実施例7(本発明による凹凸パターンを形成したシリコン基板の反射防止特性の評価)
実施例3の方法で作製した凹凸パターンを有するシリコン(Si)基板と、平滑なシリコン基板の反射防止特性を比較するために、シリコン基板の反射スペクトルを測定したところ、実施例3で作製した凹凸パターンを有するシリコン基板は、図14に示すように、波長450nmから750nmの範囲で10%以下の反射率を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る基板の製造方法は、比較的大面積にわたって表面に微細凹凸構造を精度よく形成することが求められるあらゆる基板の製造に適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1、21、31、42、55、67 基板
2、22、32、43、56、68 モールドの凹凸構造
3、23、33 モールド
4、24、34、44、57、69 マスク(層)
5、35 非マスク部分
6、12、25、39、45、58、70 基板表面の凹凸構造
7、13、26、40、46、59、71 表面に凹凸構造が形成された基板
41、51、61 陽極酸化ポーラスアルミナ
43、52、62 陽極酸化ポーラスアルミナ表面の凹凸構造
53、63、65 充填物質
54 ネガ型モールド
64 ネガ型
66 ポジ型モールド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料または金属材料からなる基板の表面上に設けられたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法により、基板の表面上にモールドの凹凸構造を転写した形状を有するマスク層を形成し、基板の前記マスク層によるマスク部分または非マスク部分に化学エッチングを行うことにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することを特徴とする、基板の製造方法。
【請求項2】
化学エッチングで基板の表面に形成される規則的な凹凸構造が突起または窪みの配列構造であることを特徴とする、請求項1に記載の基板の製造方法。
【請求項3】
形成される突起または窪みのサイズが10nmから2μmの範囲にあり、突起または窪みのピッチが10nmから2μmの範囲にあることを特徴とする、請求項2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
形成される突起または窪みが、基板厚み方向の断面においてテーパー形状を有することを特徴とする、請求項2または3に記載の基板の製造方法。
【請求項5】
前記マスク形成用層に光硬化性樹脂を用い、前記モールドに光透過可能な材料を用い、光インプリント法により前記マスク層を形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項6】
基板表面にナノインプリント法で前記マスク層の形成を行った後、少なくともイオンミリング、プラズマエッチング、UVオゾン処理、深紫外光照射処理のいずれかによりマスク層の凹部の残膜を除去し、しかる後に化学エッチングを行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項7】
基板表面にナノインプリント法で前記マスク層の形成を行った後、イオンビーム照射によりマスク層の凹部に対応する位置の基板表面を露出させるとともに露出させた基板表面部分にさらにイオンビーム照射を行い、該イオンビーム照射を行った基板表面部分を化学エッチングにおけるマスク部分として機能させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項8】
表面に規則的な凹凸構造を形成する基板が、シリコン、インジウムリン、ガリウムヒ素、アルミニウムのいずれかからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項9】
化学エッチングを行う際のエッチャントが、ヒドラジン、水酸化カリウム、フッ酸、水酸化ナトリウム、塩酸のうちの少なくともひとつを含有するものであることを特徴とする、請求項8に記載の基板の製造方法。
【請求項1】
半導体材料または金属材料からなる基板の表面上に設けられたマスク形成用層に対し、陽極酸化ポーラスアルミナまたはそれを鋳型として作製した他の材料からなるネガ型またはポジ型を規則的な凹凸構造を有するモールドとして用いたナノインプリント法により、基板の表面上にモールドの凹凸構造を転写した形状を有するマスク層を形成し、基板の前記マスク層によるマスク部分または非マスク部分に化学エッチングを行うことにより、基板の表面に規則的な凹凸構造を形成することを特徴とする、基板の製造方法。
【請求項2】
化学エッチングで基板の表面に形成される規則的な凹凸構造が突起または窪みの配列構造であることを特徴とする、請求項1に記載の基板の製造方法。
【請求項3】
形成される突起または窪みのサイズが10nmから2μmの範囲にあり、突起または窪みのピッチが10nmから2μmの範囲にあることを特徴とする、請求項2に記載の基板の製造方法。
【請求項4】
形成される突起または窪みが、基板厚み方向の断面においてテーパー形状を有することを特徴とする、請求項2または3に記載の基板の製造方法。
【請求項5】
前記マスク形成用層に光硬化性樹脂を用い、前記モールドに光透過可能な材料を用い、光インプリント法により前記マスク層を形成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項6】
基板表面にナノインプリント法で前記マスク層の形成を行った後、少なくともイオンミリング、プラズマエッチング、UVオゾン処理、深紫外光照射処理のいずれかによりマスク層の凹部の残膜を除去し、しかる後に化学エッチングを行うことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項7】
基板表面にナノインプリント法で前記マスク層の形成を行った後、イオンビーム照射によりマスク層の凹部に対応する位置の基板表面を露出させるとともに露出させた基板表面部分にさらにイオンビーム照射を行い、該イオンビーム照射を行った基板表面部分を化学エッチングにおけるマスク部分として機能させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項8】
表面に規則的な凹凸構造を形成する基板が、シリコン、インジウムリン、ガリウムヒ素、アルミニウムのいずれかからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の基板の製造方法。
【請求項9】
化学エッチングを行う際のエッチャントが、ヒドラジン、水酸化カリウム、フッ酸、水酸化ナトリウム、塩酸のうちの少なくともひとつを含有するものであることを特徴とする、請求項8に記載の基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−48030(P2012−48030A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190985(P2010−190985)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】
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