説明

基板の貼合せ装置及び方法

【課題】 硬化性樹脂の塗布量を最小限に抑えながら、ボイドの混入を防いで、配線電極パターンが形成された比較的広い面積の基板全面に対して、対向する配線電極パターン同士の接触面積を増やして貼り合わせる装置及び方法を提供する。
【解決手段】 表面に配線電極パターンが形成された第一の基板と、表面に配線電極パターンを有する第二の基板とをお互いの前記電極配線パターン同士を対向させて、貼合せをする装置において、前記第二の基板を保持する手段と、前記第二の基板を保持した状態でたわませる手段とを備え、硬化性樹脂が塗布された前記第一の基板もしくは前記第二の基板とを近接させ、前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させる手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に配線電極パターンが形成された基板同士を、硬化性樹脂を用いて貼合せをする、基板の貼合せ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に配線電極パターンが形成された基板の上に、電子回路が形成された半導体チップや基板を実装する装置及び方法は、従来より広く用いられている。さらに近年では、前記半導体チップや基板上の配線電極パターンの狭ピッチ化に伴い、電極接合部分の半田付けだけでは十分な強度が確保出来なくなっているため、接合部分の周囲に硬化性樹脂を流し込んで硬化させ、接合強度を向上させる、アンダーフィル工法が用いられている。
【0003】
配線電極パターンの狭ピッチ化が進み、高い実装精度が要求される一方で、前記半導体チップや基板の大型化・大面積化が進み、基板の上に比較的広い面積の基板を実装するようになってきている。
【0004】
基板の上に基板を貼り合わせると、各々の基板の材料や厚み、製作段階での熱履歴など
が異なるため、温度変化によって個々の基板に反りが生じた際に反り具合が異なり、接合面には必要以上の外力(以下、ストレス)がかかる。このストレスが継続して繰り返し生じることにより、基板上や基板内部の配線パターンにもストレスがかかり、配線の断裂や破断、接合面の剥離といった、製品の故障に繋がる。
【0005】
前記アンダーフィル工法などの、硬化性樹脂による基板同士の貼り合わせは、前記温度変化によって個々の基板の反り具合が異なる問題を解決するために有効な技術であり、製品の故障を防止出来る。
【0006】
基板同士の貼合せにおいて、接合部分やその周辺に硬化性樹脂を塗布し、基板を押圧することにより貼合せをする装置や方法が、従来より用いられている。硬化性樹脂を塗布した第1の基板上に、第2の基板の貼合せをする場合、前記基板の少なくとも一方の表面にうねりなどがあると、お互いの基板間に空気の気泡(以下、ボイド)が混入してしまう場合がある。混入してしまった前記ボイドは、周りを粘度の高い硬化性樹脂で囲まれているため、前記基板を押圧したとしても、完全に除去することが困難である。
【0007】
ここでいう、硬化性樹脂とは、常温では流動性を保つが、加熱により硬化する熱硬化性樹脂や、紫外線などの光を照射する前は流動を保つが、紫外線などの光を照射するすることにより硬化する紫外線硬化樹脂もしくは光硬化樹脂などを含み、はじめは流動性を保っているが、物理的変化や化学反応などにより硬化する特性を持つ樹脂を意味する。
【0008】
前記ボイドが混入すると、電極と、ボイド中に含まれる窒素、酸素、水分や不純物などとが化学反応を起こし、電極が腐食する原因となる。また、前記ボイドが混入すると、基板の温度変化が生じた場合に、前記基板材料と前記ボイド部分とでは熱膨張係数が異なるため、基板の変形の程度が異なる。前記温度変化による基板の変形の程度の異なりは、前記基板上の配線電極パターンや、前記基板同士の接合面に、ストレスを生じさせる原因となる。前記ストレスが生じると、配線の断裂や破断、接合面の剥離といった、製品の故障に繋がる。
【0009】
したがって、基板の貼合せを行う際にボイドの混入を防ぐことは、製品の故障を防ぐために必要なことである。
【0010】
特許文献1によれば、複数の保持子を用いて、有機EL素子形成基板に硬化性樹脂で保護基板を貼り合わせる方法が開示されている。この方法によれば、気泡が発生しにくい貼合せが可能で、硬化性樹脂の膜厚は所定の厚さで均一となる。
【0011】
特許文献2によれば、基板を凸面状に反らせて樹脂接着剤に接触させ、凸面の頂部から外周領域に向けて順次平坦形状に戻し、基板を接着するEL表示装置の製造方法が開示されている。この方法によれば、気泡を巻き込まずに全面を接着することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−317273号
【特許文献2】特開平11−283739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
有機ELの基板のように、一方の基板表面上に形成された配線電極パターンと外気とを遮断する場合、基板を貼り合わせる際のボイドの混入を防ぐことに重点を置けば良い。そのために、基板の貼合せのために硬化性樹脂を多く使うことが出来、ボイドの混入を防ぐことも容易である。
【0014】
しかし、配線電極パターンが形成された基板同士を貼合せする場合、対向する基板上の全ての配線電極パターン同士を確実に接触させることが必要で、かつ前記配線電極パターンの接触面積を増やすことが望ましい。したがって、絶縁物質である硬化性樹脂を多く使用することは、接触不良に繋がる恐れがあるため、好ましくない。
【0015】
もし表面にうねりがある基板同士を貼合せすると、対向する配線電極パターンの間に絶縁物質である硬化性樹脂が残ってしまい、対向する電極間の通電を妨げ、製品として正常に動作しなくなる可能性が高くなる。したがって、表面にうねりがある基板同士を貼り合わせる場合は、ボイドの進入を防ぎつつ、硬化性樹脂を適切に除去しながら、貼合せを行う必要がある。
【0016】
また、ボイドの混入を防ぐために絶縁物質である硬化性樹脂を多く使用し、配線電極パターン同士を確実に密着させようとすると、基板同士を相当な力で押圧したり、押圧の時間を増やしたりする必要が出てくる。もし、押圧の圧力が増すと、基板に必要以上の圧縮応力が加わり、基板や配線電極パターンにクラックを生じる恐れがある。もし、押圧の時間が増えると、所定の時間で処理出来る枚数が減ってしまい、生産性が低下することになる。
【0017】
ボイドの混入を防ぐことだけでなく、再加圧の仕方についても、十分に気を配る必要がある。複数の保持子による押し付けでは、基板全体に均一な荷重が加わらず、接触面積のばらつきが生じてしまう。また、周囲のみを保持した保持機構では、中央部の荷重が不足し、接触面積を増加させることが出来ないだけでなく、周辺部の加重が大きくなってしまい基板の破損に繋がる恐れがある。
【0018】
先ず始めにボイドのない貼合せをした後、別の工程で再加圧する方法もあるが、一度加わった荷重が解放されてしまうと、その時に硬化性樹脂が電極間に入り込んでしまい、再加圧しても硬化性樹脂を除去しきれないといった不具合が生じる。
【0019】
したがって従来技術では、配線電極パターンが形成された基板同士を、ボイドの混入を防ぎながら貼り合わせることは、非常に困難であった。
【0020】
そこで本発明の目的は、硬化性樹脂の塗布量を最小限に抑えながら、ボイドの混入を防いで、配線電極パターンが形成された比較的広い面積の基板全面に対して、対向する配線電極パターン同士の接触面積を増やして貼り合わせる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
表面に配線電極パターンが形成された第一の基板と、表面に配線電極パターンを有する第二の基板とを、お互いの前記電極配線パターン同士を対向させて、貼合せをする装置において、
前記第二の基板を保持する手段と、
前記第二の基板を保持した状態でたわませる手段と、
前記第一の基板もしくは前記第二の基板の少なくとも一方には硬化性樹脂が塗布されており、
前記第一の基板と前記第二の基板とを近接させる手段と、
前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させる手段と
を備えたことを特徴とする、基板の貼合せ装置である。
【0022】
請求項2に記載の発明は、
前記第二の基板を保持する手段と、前記第二の基板をたわませる手段とが、
前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させる手段に具備されており、
前記第二の基板を前記第一の基板に押圧させた時に、前記第二の基板が前記第一の基板の表面形状にならわせる手段を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の基板の貼合せ装置である。
【0023】
請求項3に記載の発明は、
前記第二の基板を前記第一の基板に押圧させた状態で、前記硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の基板の貼合せ装置である。
【0024】
請求項4に記載の発明は、
表面に配線電極パターンを有する第一の基板と、表面に配線電極パターンを有する第二の基板とを、お互いの前記電極配線パターン同士を対向させて、貼合せをする方法において、
前記第二の基板を保持するステップと、
前記第二の基板を保持した状態でたわませるステップとを有し、
前記第一の基板もしくは前記第二の基板の少なくとも一方には硬化性樹脂が塗布されており、
前記第一の基板と前記第二の基板とを近接させるステップと、
前記第二の基板を前記第一の基板の表面形状にならわせながら、前記第二の基板と前記第一の基板とを貼り合わせるステップと、
前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させるステップを有することを特徴とする、基板の貼合せ方法である。
【0025】
請求項5に記載の発明は、
前記第二の基板を前記第一の基板に押圧させた状態で、前記硬化性樹脂を硬化させるステップを有することを特徴とする、請求項4に記載の基板の貼合せ方法である。
【0026】
請求項6に記載の発明は、
容器構造の筐体からなり、少なくとも1つの面が弾性体である、
基板貼合せヘッドであって、
前記弾性体の面を用いて第二の基板を保持する手段と、
前記第二の基板を保持する面を変形させて、前記第二の基板をたわませる手段とを備えた
ことを特徴とする、基板貼合せヘッドである。
【0027】
請求項7に記載の発明は、
前記第二の基板を保持する面を変形させる手段を備え、
前記第二の基板を保持する面を変形させて、前記第二の基板をたわませる構造を有していることを特徴とする、請求項6に記載の基板貼合せヘッドである。
【0028】
請求項8に記載の発明は、
筐体内部の圧力を調節する手段を備え、
前記圧力を調節して、前記第二の基板を保持する前記弾性体の面を変形させて、前記第二の基板をたわませる構造を有していることを特徴とする、請求項6に記載の基板貼合せヘッドである。
【0029】
請求項9に記載の発明は、
前記第二の基板を第一の基板に押し付けた時に、前記第二の基板を前記第一の基板の表面形状にならわせ、前記第二の基板に対して均等な荷重を付与できる構造を有していることを特徴とする、請求項6〜8に記載の基板貼合せヘッドである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の基板の貼合せ装置及び方法を用いて、表面に配線電極パターンを有する基板同士を、硬化性樹脂を介して貼り合わせることより、ボイドの混入を防ぎながら、基板全面の、対向する配線電極パターン同士の接触面積を増やすことが可能となる。その結果、配線の導通に対する信頼性が向上し、導通不良による製品の故障を防ぐことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態の一例を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態の一例を示す主要構成機器の正面図。
【図3】本発明の実施形態の一例を示すシステム構成図。
【図4】本発明の実施形態の一例による基板貼合せの手順を示すフロー図。
【図5】(a)〜(e)本発明の実施形態による基板貼合せ時のヘッド断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するための形態について、図を用いながら説明する。
[装置構成]
図1は、本発明の実施形態の一例を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態の一例を示す主要構成機器の正面図である。
各図において直交座標系の3軸をX、Y、Zとし、XY平面を水平面、Z方向を鉛直方向
とする。特にZ方向は矢印の方向を上とし、その逆方向を下と表現する。
【0033】
基板の貼合せ装置1は、ステージ部2と、ヘッド部3と、トレイ搬送部4と、塗布ユニット部5と、硬化ユニット部6と、バルーンヘッド部7と、制御部9とが含まれて、構成されている。
【0034】
ステージ部2は、基板の貼合せ装置1の装置ベース20上に取り付けられた、X1軸ステージ21と、X1軸ステージ21上に取り付けられた、第一の基板載置テーブル22とが含まれて、構成されている。X1軸ステージ1は、第一の基板載置テーブル22をX方向に移動させることが出来る。
【0035】
第一の基板載置テーブル22の上には、第一の基板11を載置するためのキャリア60を載置することが出来る。キャリア60は、第一の基板11をハンドリングするために用いる、枠体や皿構造の部材である。キャリア60は、一つの第一の基板11に対して1つの場合や、複数の第一の基板11に対して1つの場合など、種々形態があり、外形寸法を変えることなく、サイズや寸法が異なる第一の基板11を同じ寸法の基板としてハンドリングすることが出来る役目を持っている。
【0036】
キャリア60は、第一の基板載置テーブル22上に載置され、外力が加わっても位置がずれないように保持される。保持方法としては、平坦な面同士で接触させ、接する部分に予め溝や孔を設けておき、前記溝や孔を真空源に連通させることで、その部分を負圧吸着する方法や、第一の基板載置テーブル22に予め溝や孔や突起物を設けておき、それに対応したキャリア60の突起や溝や孔とをはめ込む方法や、さらに前記はめ込みの後で負圧吸着などで保持するなど、種々形態がある。
【0037】
ステージ部2は、前記のような機器構成をしているので、第一の基板11をキャリア60を用いて基板載置テーブルに載置し、X方向に移動させることが出来る。
【0038】
ヘッド部3は、装置ベース20上に取り付けられた支柱31と梁32で構成された門型の構造体上に取り付けられた、Y1軸ステージ33と、Y1軸ステージ33上に取り付けられた、ヘッド上下動機構34と、ヘッド上下動機構34上に取り付けられた、θ軸モータ36と、θ軸モータ36上に取り付けられた、バルーンヘッド部7とが含まれて、構成されている。
【0039】
Y1軸ステージ33は、その上に載置されたヘッド上下動機構34をY方向に移動させることが可能である。また、ヘッド上下動機構34には、モータ35が搭載されており、θ軸モータ36とバルーンヘッド部7とを、Z方向に移動させることが可能である。
【0040】
また、θ軸モータ36は、バルーンヘッド部7をθ方向に回転させることが可能である。
【0041】
トレイ搬送部4は、装置ベース40上に取り付けられた、X2軸ステージ41と、X2軸ステージ41上に載置された、第二の基板載置テーブル42と、装置ベース40上に取り付けられた支柱43と、支柱43上に取り付けられた梁44と、梁44に取り付けられた、Y2軸ステージ45と、Y2軸ステージ45上に載置された、Z2軸ステージ46と、Z2軸ステージ46上に載置された、ハンド部47とを含んで構成されている。
【0042】
X2軸ステージ41は、第二の基板載置テーブル42を、X方向に移動させることができる。Y2軸ステージ45は、Z2軸ステージ46を、Y方向に移動させることができる。Z2軸ステージ46は、ハンド部47を、Z方向に移動させることができる。
【0043】
第二の基板載置テーブル42上には、第二の基板12を並べて配置させるためのトレイ48を載置することが出来る。トレイ48は、複数の第二の基板12を並べ、更にトレイ48を幾重にも重ねることで、一度にハンドリングすることが出来る構造をしている。
【0044】
トレイ48は、第二の基板載置テーブル42上に載置され、外力が加わっても位置がずれないように保持される。保持方法としては、平坦な面同士で接触させ、接する部分に予め溝や孔を設けておき、前記溝や孔を真空源に連通させることで、その部分を負圧吸着する方法や、第二の基板載置テーブル42に予め溝や孔や突起物を設けておき、それに対応したトレイ48の突起や溝や孔とをはめ込む方法や、さらに前記はめ込みの後で負圧吸着などで保持するなど、種々形態がある。
【0045】
トレイ搬送部4は、前記のような機器構成をしているので、第二の基板12をトレイ48を用いて基板載置テーブルに載置させてX方向に移動させると共に、ハンド部47をY方向とZ方向に移動させることが出来、第二の基板12をピックアップ出来るようになっている。
【0046】
装置ベース20上には仮置き台26が設置されており、トレイ搬送部4のハンド部47でピックアップした第二の基板12を仮置きすることが出来る。また、仮置き台26は、仮置きされた第二の基板12aがバルーンヘッド部7の先端部分でピックアップ出来るように、配置されている。
【0047】
仮置き台26の上面は、略平面をなしており、表面に多数の穴や溝が設けられている。前記穴や溝は、バルブを介して真空源に連通されているので、仮置きされた第二の基板12aを負圧で吸着保持することが出来る。仮置きされた第二の基板12aは、負圧で吸着保持されるので、ハンド47による移載時や、仮置き台26上に載置されている間に、仮置き台26の上面から滑り落ちることがない。
【0048】
塗布ユニット部5は、ヘッド部3のY1軸ステージ33上に並設された、Z軸ステージ51と、Z軸ステージ51上に取り付けられた、ディスペンサ53とが含まれ、構成されている。Z軸ステージ51には、モータ52が搭載されており、ディスペンサ53が、Z方向に移動可能な構造をしている。Z軸ステージ51は、Y方向に移動させることが出来るため、ディスペンサ53を、Y方向とZ方向の任意の位置に移動させることが出来る。
【0049】
ディスペンサ53は、硬化性樹脂55を充填するシリンジと、充填された硬化性樹脂55を押し出すピストン部と、硬化性樹脂55を第一の基板11上の所定の位置に塗布するためのニードル部とで構成されている。
【0050】
硬化性樹脂55として、エポキシやフェノール、メラミン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミドなどの樹脂や、前記樹脂に硬化剤を加えたものが例示出来る。
【0051】
硬化性樹脂55の成分や粘度や塗布量などの塗布条件は、所望する硬化後の強度や、貼り合わせる第二の基板12の面積に応じて、適宜設定される。
【0052】
シリンジ内の硬化性樹脂55が無くなってくれば、適宜補充する。補充の際には、送液ラインのバルブを切り替え、加圧圧送して補充すると、シリンジ内でのボイドの発生を防止出来る。また、塗布する硬化性樹脂55を予め脱泡処理をすることにより、塗布した後のボイドの発生を防止出来る。
【0053】
図1で示す実施の形態ではヘッド部3と塗布ユニット部5とがY1軸ステージ33上に並設されているが、Y方向に移動出来るステージを設け、そのステージ上に塗布ユニット部5を取り付け、ヘッド部3と塗布ユニット部5とが、それぞれが別のY方向移動手段のに載置されていても良い。
【0054】
また、ヘッド部3に、塗布ユニット部5を取り付けて、ヘッド部3と塗布ユニット部5とが一体でY方向に動く様にしても良い。
【0055】
制御部9は、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93を含んで構成されており、外部との情報のやりとりが可能な構造をしている。
【0056】
図2は、本発明の実施形態による主要機器を正面から見た図である。
硬化ユニット部6は、第一の基板載置テーブル22の下方、X1軸ステージ21の上に、配置されている。
硬化ユニット部6としては、UVランプなどの紫外線を照射するための紫外線照射ユニットや、赤外線ヒーターなどの赤外線を照射するための赤外線照射ユニットなど、所定の波長を含む光線を照射するものが例示できる。硬化樹脂55は、硬化ユニット部6から照射された光線を吸収し、硬化が始まる。
【0057】
基板の貼合せ装置1は、前記のような構造をしているので、ヘッド部3にあるバルーンヘッド部7の先端で保持された第二の基板12bを第一の基板11に貼り付け、更には前記第二の基板12bを第一の基板11に向かって押し付け、その状態で硬化性樹脂を硬化させるために、紫外線を照射したり、加熱したりすることが出来る。バルーンヘッド部7の詳細な構造については、後述する。
【0058】
第一の基板載置テーブル22は、中央部分がくり貫かれた枠体を含んで構造されている。そのため、第1の基板11上に第二の基板12が貼合せされる部分は、硬化ユニット部6からの照射されるエネルギー61が透過して照射される構造になっている。くり貫かれた部分は、単なる空間の場合だけでなく、エネルギー61が実質的に透過出来る様な格子状や網目の補強部材や、透明材料などが組み合わされて用いられても良い。
【0059】
キャリア60は、外側の枠体とその内側に透明なガラス材料とが組み合わされた構造のものや、外側の枠体とその内側に格子状の部材が組み合わされた構造のものなどが例示出来る。
【0060】
キャリア60は、第一の基板11の寸法や厚み、第二の基板を貼り付けるレイアウトに応じて、種々の形態をなすが、ヘッド部3からの加圧に対して十分な反力を生じさせられる構造であって、硬化ユニット部6から照射されるエネルギー61が透過する材質もしくは、構造であれば良い。
【0061】
図3に示すように、制御部9には、制御用コンピュータ90と、情報入力手段91と、情報出力手段92と、発報手段93と、情報記録手段94と、機器制御ユニット95とが接続されて含まれている。
【0062】
制御用コンピュータ90としては、マイコン、パソコン、ワークステーションなどの、数値演算ユニットが搭載されたものが例示出来る。
情報入力手段91としては、キーボードやマウスやスイッチなどが例示出来る。
情報出力手段92としては、画像表示ディスプレイやランプなどが例示出来る。
【0063】
発報手段93としては、ブザーやスピーカ、ランプなど、作業者に注意喚起できるものが例示出来る。
情報記録手段94としては、メモリーカードやデータディスクなどの、半導体記録媒体や磁気記録媒体や光磁気記録媒体などが例示出来る。
機器制御ユニット95としては、プログラマブルコントローラやモーションコントローラと呼ばれる機器などが例示出来る。
【0064】
機器制御ユニット95は、X1軸ステージ21と、Y1軸ステージ33と、Z1軸ステージと、θ軸モータ36と、X2軸ステージ41と、Y2軸ステージ45と、Z2軸ステージ46と、制御用アンプ(図示せず)を介して接続されている。
【0065】
さらに、その他の制御機器(図示せず)とも接続されている。機器制御ユニット95は、前記接続された各機器の制御用アンプに対して制御用信号を与えることにより、前記各機器を動作させたり静止させたりすることが出来るようになっている。
【0066】
硬化性樹脂55の塗布条件の設定や変更は、制御部9の制御コンピュータ90に接続された、情報入力手段91を用いて行われ、情報表示手段92によって確認することが出来る。
【0067】
また、設定された前記塗布条件は、制御コンピュータ90に接続された、情報記録手段94に登録することが可能で、適宜読み出し、編集し、変更をすることが出来る。
【0068】
[基板貼合せのフロー]
図4は、基板を貼り合わせる手順をステップ毎に示した、フロー図である。
第一の基板11を基板キャリア60に載置し(s101)、基板キャリア60を第一の基板載置テーブル22の上に載置し(s102)、基板キャリア60を真空吸着して保持させる(s103)。
【0069】
次に、第一の基板11上にあるアライメントマーク(図示せず)を観察カメラ(図示せず)によって読み取り(s104)、第一の基板11上にあるアライメントマークの位置情報を取得する。取得した第一の基板11上にあるアライメントマークの位置情報は、制御部9の制御用コンピュータ90に伝送され、基板載置テーブル22の上に載置されている第一の基板11の位置や姿勢を演算して求めるために用いられる。
【0070】
前記のようにして求められた、第一の基板11の位置や姿勢の情報に基づいて、第一の基板11を樹脂塗布位置に移動させ(s105)、硬化性樹脂を所定量塗布する(s106)。
【0071】
続いて、硬化性樹脂55が所定量塗布された第一の基板11を、予め登録された貼合せ位置に移動させる(s107)。
【0072】
一方、第二の基板12をトレイ48に所定枚数だけ載置し(s111)、トレイ48を第二の基板載置テーブル42の上に載置し(s112)、トレイ48を真空吸着して保持させる(s113)。
【0073】
次に、トレイ搬送部4の移載ハンド47にて、第二の基板12をピックアップし(s114)、第二の基板12を仮置き台26に載置させる(s115)。
【0074】
続いて、ステージ部2のヘッド部3を移動させ、ヘッド部3のバルーンヘッド部7の先端で、仮置き台26上に仮置きされた第二の基板12aを保持させる(s116)。
【0075】
バルーンヘッド部7で保持された第二の基板12bの表面上にあるアライメントマーク(図示せず)を観察カメラ(図示せず)によって読み取り(s117)、前記第二の基板12b上にある、前記アライメントマークの位置情報を取得する。取得した前記アライメントマークの位置情報は、制御部9の制御用コンピュータ90に伝送され、基板載置テーブル22の上に載置されている第一の基板11の位置や姿勢を演算して求めるために用いられる。
【0076】
前記のようにして求められた、第二の基板12bの位置や姿勢の情報に基づいて、第二の基板12bを予め登録された貼合せ位置に移動させる(s118)。この時、第一の基板11と第二の基板12bとは、お互い位置合わせが済んだ状態で、接触し合う配線電極パターン同士が対向している。
【0077】
バルーンヘッド部7の先端で保持された第二の基板12bをたわませる(s121)。
第二の基板12bをたわませる機構及びフローについては、後述するバルーンヘッド部7の詳細説明で開示する。
【0078】
第二の基板12bをZ方向下向きに下降させ(s122)、第一の基板11上に塗布された硬化性樹脂55に接触させる(s123)。
【0079】
さらに、第二の基板12bをZ方向下向きに下降させ(s124)、第一の基板11にならわせる(s125)。第二の基板12bを第一の基板11にならわせる機構及びフローについては、後述するバルーンヘッド部7の詳細説明で開示する。
【0080】
さらに、第二の基板12bを第一の基板11に向けて押し込み(s126)、第二の基板12bの全面を押圧した状態で紫外線を所定時間だけ照射し(s127)、硬化性樹脂55を硬化させる。
【0081】
硬化性樹脂55が硬化した後は、第二の基板12bの吸着保持を解除し、ヘッド部3を上昇させる(s128)。
【0082】
その後は、第一の基板11上に設定された次の貼合せ位置に、次の第二の基板を貼り付けるために、前記と同様にして、次の第二の基板をトレイ48からピックアップし、仮置き台26に載置する。続いて、仮置き台26に仮置きされた次の第二の基板をピックアップし、アライメントマークを読み取り、位置合わせをして、第一の基板に貼り付ける動作を繰り返す。
【0083】
前述のようにして、第二の基板12を、所定の枚数、第一の基板11上に貼り合わせた後は、キャリア60とともに第一の基板11を第一の基板載置テーブル22から取り外す。その後、第二の基板が未だ貼り付けされていない、次のキャリアに載置された第一の基板を第一の基板載置テーブル22上に載置する。
【0084】
第二の基板が所定枚数貼り付けられた第一の基板11は、キャリア60と共に基板の貼合せ装置1の外に取り出しされる。前記の取り出しされた第一の基板は、キャリア60から取り外され、次の工程へと運ばれる。前述の工程を繰り返すことで、第二の基板が貼り付けられた第一の基板を、所望の枚数、生産することが出来る。
【0085】
第二の基板12が収納されたトレイ48は、第二の基板を所定の枚数ピックアップすると空になるので、空のトレイは装置から取り出し、第二の基板12が収納されている次のトレイを補充する。
【0086】
[バルーンヘッド部]
図5(a)〜(e)に、バルーンヘッド部7の内部構成を示す断面図及び、基板の貼合せ時の様子を示す。
図5(a)は、バルーンヘッド部7の先端で第二の基板12bが保持された状態を示した図である。バルーンヘッド部7は、箱や筒状の容器構造をしており、少なくともその一面が開口した形態の筐体70と、筐体70の内部に配置された基板変形機構部71と、筐体70の前記開口部を塞ぐように取り付けられた基板保持膜72とを含んで構成されている。
【0087】
基板保持膜72としては、ゴムや軟性樹脂などの伸縮自在な弾性材料や、金属材料と前記弾性材料とを適宜組み合わせたような、3次元方向に伸縮可能な弾性体を用いる。基板保持膜72は、第二の基板12bの平面視寸法と同一又は、より小さい場合でも実施可能であるが、第二の基板12bの平面視寸法よりも大きいことが望ましい。そうすれば、仮置きされた第二の基板12aが仮置き台26上に、ずれて置かれていたとしても、第二の基板12b全面が、基板保持膜72で覆われた状態となる。
【0088】
基板保持膜72には、第二の基板12bを吸引保持するための、基板保持膜連通ポート721が備えられており、バルーンヘッド部7の外部の吸引手段(図示せず)に切替バルブを介して接続されている。
【0089】
バルーンヘッド部7の空気室73は、筐体70に設けられた、空気室連通ポート731を介して、外部の圧力調節手段(図示せず)に連通している。
前記圧力調節手段は、装置外部の圧力供給手段や減圧手段、外気と接続された切替バルブ手段を適宜含んで構成されている。
【0090】
基板変形機構部71は、シリンダ711と、ピストン712と、ピストンに取り付けられた押圧ヘッド713と、シリンダ711に連通した、ピストン押し側連通ポート714及びピストン引き側ポート715が含まれて構成されている。
【0091】
ピストン押し側連通ポート714と、ピストン引き側ポート715とは、それぞれが、外部の圧力調節手段(図示せず)に連通している。
前記圧力調節手段は、装置外部の圧力供給手段や減圧手段、外気と接続された切替バルブ手段を適宜含んで構成されている。
【0092】
例えば、ピストン押し側連通ポート714の圧力が、ピストン引き側ポート715の圧力よりも高くなれば、ピストン712がZ方向下向きに移動する。逆に、ピストン押し側連通ポート714の圧力が、ピストン引き側ポート715の圧力よりも低くなれば、ピストン712がZ方向上向きに移動する。
【0093】
基板保持膜72は、基板変形機構部71によって、Z方向下向きに押圧されたときに、変形する構造になっている。そのため、バルーンヘッド部7の先端で保持された第二の基板12bを、たわませることが可能となっている。
【0094】
前記動作が、前述したバルーンヘッド部7の先端で保持された第二の基板12bをたわませるステップ(s121)と対応する。
【0095】
図5(b)は、バルーンヘッド部7で保持された第二の基板12bをたわませた状態を示した図である。
【0096】
空気室73内の圧力は、空気室連通ポート731が外気と連通させており、外気と同じ圧力になっている。一方、ピストン引き側連通ポート715を外気と連通させ、ピストン押し側連通ポート714は、所定の圧力(例えば0.3MPa)に加圧されている。
【0097】
したがって、ピストン712と、ピストン712に連結されている押圧ヘッド713は、Z方向下向きに移動して静止した状態になる。基板保持膜72は、ピストン712が押し下げられることで変形し、同時に、保持している第二の基板12はたわむ。この時、ピストン712を押し下げる力と、基板保持膜72内部の反力と、第二の基板12の曲げに対する反力とが釣り合った状態で、変形が止まり、均衡状態となっている。
【0098】
続いて、空気室連通ポート731を閉じ、空気室内部を密閉状態にする。
この時、空気室73内部に所定の圧力(例えば0.2MPa)に加圧されたエアを送り、与圧状態にしても良い。
【0099】
空気室73は、筐体70と、基板保持膜72とで密閉された空間であり、空気室連通ポート731に加圧された流体が送り込まれてくると、空気室73の内部の圧力が外気よりも高くなり、基板保持膜72は、外部に膨らむように変形する。空気室73の圧力と、弾性体が変形したときに弾性体内部で生じる張力とが釣り合った状態で、基板保持膜72の変形が止まり、均衡状態となる。
【0100】
続いて、ヘッド部3をZ方向下向きに移動(つまり、下降)させ、変形した第二の基板12と、第一の基板11上に塗布された、硬化性樹脂55に接触させる。
図5(c)は、前記変形した第二の基板12と、第一の基板11上に塗布された、硬化性樹脂55とが接触した状態を示した図である。
【0101】
引き続き、ヘッド部3を下降させて、変形した第二の基板12と、第一の基板11とを接触させる。
図5(d)は、前記変形した第二の基板12と、第一の基板11上とが接触した状態を示した図である。
【0102】
この時、第一の基板11上に塗布されていた硬化性樹脂55は、周囲に押し広げられ、第一の基板11と第二の基板12との間の僅かな凹凸の隙間に浸透しながら、薄く延ばされ塗布されてゆく。この時、第一の基板11と第二12の基板との対向する配線電極パターン同士は接触しており、ボイドの混入も防がれている。
【0103】
さらに、ヘッド部3を下降させて、第二の基板12の周辺部が、第一の基板11と接触させる。この時、硬化性樹脂55は第二の基板12の周辺部の外部まで達し、第一の基板11に向かって第二の基板12が押し込まれ、お互いの基板のわずかな隙間を塞ぐようになる。
【0104】
前記動作が、前述した、第二の基板12を第1の基板11にならわせるステップ(s125)と対応する。
【0105】
この時、空気室73は密閉状態で、内部の圧力は高くなっており、第二の基板保持膜72は第二の基板12よりも平面視寸法が大きな弾性体であるので、保持している第二の基板12全面に均等な力が加わる。
【0106】
第二の基板12と第二の基板保持膜72との間に異物が混入してしまった場合でも、異物部分に押圧の力が集中することを防ぎ、第二の基板12全面に均等な力を加えることが出来る。
【0107】
この後、更に所定の圧力(例えば0.4MPa)に加圧されたエアを空気室73内に送り込み、加圧しても良い。
【0108】
図5(e)は、第一の基板11に向かって第二の基板12が押し込まれた状態で、硬化性樹脂55を硬化させている状態を示した図である。
紫外線照射ユニット6から、紫外線61が照射されている状態を示した図である。
を所定時間だけ照射させる。
【0109】
第二の基板12が第一の基板11に向かって押し込まれている状態で、紫外線照射ユニット90から、紫外線91を所定時間(例えば5秒)だけ照射させる。照射させる紫外線91のエネルギー強度や照射時間は、塗布された硬化性樹脂55の硬化特性に合わせて適宜調節されれば良い。
【0110】
硬化性樹脂が紫外線91を吸収して硬化した後、ピストン押し側連通ポート
714を大気開放させ、ピストン引き側連通ポート715に加圧エアを送り、ピストン712をZ方向上向きに移動(つまり、上昇)させる。
【0111】
続いて、基板保持膜連通ポート721を大気開放させ、場合により適宜圧縮されたエアを送り、基板の吸着保持を解除する。
【0112】
その後、空気室連通ポート731を大気開放させ、空気室731の加圧状態を解除させ、バルーンヘッド部7を上昇させる。
【0113】
バルーンヘッド部7は、前記の様に、容器構造の筐体からなり、少なくとも1つの面が弾性体である、基板貼合せヘッドとしての構造をしている。そのため、第二の基板12をたわませてから、第一の基板11に貼り合わせ、表面形状にならわせ、均等な荷重を付与することが出来る。よって、第二の基板12を第一の基板11に貼り合わせる際に、ボイドの混入を防ぐ事が可能になっている。
【0114】
さらに、バルーンヘッド部7は第二の基板12の変形と加圧を1つのヘッドで連続的に行うことが出来る構造になっているため、短時間で基板同士の貼り合わせを行うことが可能となる。その結果、単位時間当たりの生産数量を増やすことが出来る。
【0115】
また、第二の基板12は、前記のようにバルーンヘッド部7によって第一の基板11に向かって押圧されるので、第一の基板11と第二の基板12との対向する配線電極パターンの接触面積が増える。この後、硬化性樹脂を硬化させることで、第一の基板と第二の基板との密着性は維持され、前記配線電極パターンの接触面積も維持される。その結果、導通に対する信頼性がさらに向上する。
【0116】
さらに、硬化性樹脂55に熱膨張を伴う性質を持つ材料を選択することで、高温で加熱してを硬化させた後、常温に戻すと、第一の基板と第二の基板との密着性がさらに高まる。あるいは、硬化性樹脂55に経時的に体積が収縮する性質を持つ材料を選択することで、硬化させた後も、第一の基板と第二の基板との密着性がさらに高まる。これにより、第一の基板と第二の基板との対向する配線電極パターンの接触面積がさらに増える。その結果、導通に対する信頼性がさらに向上する。
【0117】
前述した実施形態とは別に、前記ステップs121〜s123において、第二の基板12をZ方向下向きに下降させて、第一の基板11に接触する直前で前記下降を止め、その後に第二の基板12をたわませて、前記第位置の基板11上に塗布された硬化性樹脂55に接触させても良い。これにより、ピストン712を押し下げる力と、基板保持膜72内部の反力と、第二の基板12の曲げに対する反力と、第一の基板11からの反力とが釣り合い、安定した均衡状態を作ることが出来る。
【0118】
そのため、ピストン712を押し下げる力と、基板保持膜72内部の反力と、第二の基板12の曲げに対する反力とが釣り合わず、第二の基板を曲げすぎて、塑性変形してしまったり、割れたりすることを防ぐ事が出来る。
【0119】
前記ステップs127において、第二の基板12の全面を押圧した状態で紫外線する時間は、前記硬化性樹脂が完全に硬化するのに必要な時間をかけることが望ましい。しかし、樹脂が完全に硬化するまでに必要な時間が長い(例えば1時間)場合、第一の基板11と第二の基板12の電極配線パターン同士が離れない程度の仮硬化に必要な時間(例えば5秒)だけ紫外線や加熱を行い、その後で基板を取り出し、別の装置を用いて所定の時間(例えば1時間)かけて完全硬化させても良い。
【0120】
前記のように硬化性樹脂の硬化工程を、仮硬化と完全硬化とに分けることにより、本発明の装置や方法を用いて基板を貼り合わせるための時間を短縮することが出来る。こうすることで、単位時間当たりに生産出来る数量を増やすことが出来る。
【0121】
前記バルーンヘッド部7の別の形態として、基板変形機構部71を省略し、空気室73の圧力を調節して、基板保持膜72を変形させて、保持された第二の基板12bをたわませる構造が例示できる。この構造であれば、基板変形機構部71を省略しても、第二の基板12bをたわませて、第一の基板11に貼合せすることができる。そのため、簡単な構造で基板の貼合せをすることが出来、貼合せの際にボイドが混入することを防ぐこともことが出来る。
【0122】
前記実施の形態では、硬化性樹脂を硬化させる方法として、紫外線により硬化する材料を用いて紫外線を照射させる方法や、加熱により硬化する材料を用いて加熱する方法について主に記載したが、加熱により軟化して冷却により硬化する材料を用いて加熱・冷却させる方法、加湿により硬化する材料を用いて加湿させる方法、乾燥により硬化する材料を用いて乾燥させる方法を用いたり、それぞれを適宜組み合わせたりして実施することも可能である。
【0123】
紫外線により硬化する材料としては、紫外線を照射すると重合を起こして高分子の網状構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる性質を有するもので、エポキシ樹脂、ポリチオール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが例示出来る。
【0124】
加熱により硬化する材料としては、加熱すると重合を起こして高分子の網状構造を形成し、硬化して元に戻らなくなる性質を有するもので、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミドなどが例示出来る。
【0125】
加熱により軟化して冷却により硬化する材料としては、融点まで加熱して軟化させ、その後冷却することで固化する性質を有するもので、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、PTFE、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ナイロン、ポリカーボネート、PETなどの熱可塑性樹脂が例示出来る。
【0126】
加湿により硬化する材料としては、水分を吸収して硬化する性質を有するもので、シリコン樹脂などが例示出来る。
【0127】
乾燥により硬化する材料としては、材料中の水分が外部へ放出されることで固化する性質を有するもので、自然乾燥するものが例示出来る。
【0128】
前記以外に硬化性樹脂55として、外部からマイクロ波やX線などのエネルギー強制的にを与えることで硬化する材料も用いることが出来る。
【0129】
前記実施形態とは別に、第一の基板載置テーブル22上に載置された、キャリア60や、第1の基板11の位置がずれやすい場合には、X1軸ステージ21と第一の基板載置テーブル22との間に、第一の基板載置テーブル22のθ方向の角度を変更させる手段を追加しても良い。この場合、第1の基板11にあるアライメントマークの位置を読み取り、第一の基板載置テーブル22のθ方向を調節し、第1の基板11を所定の向きに合わせることが出来る。
【0130】
前記実施形態では、キャリア60を用いた説明をしているが、第一の基板11がヘッド部3からの加圧に対して十分な反力を生じさせられる強度を持っており、第一の基板載置テーブル22に直接載置することが可能であれば、キャリア60を使用しなくても良い。
【0131】
さらに別の実施形態として、第一の基板11がロール状に巻かれたシートであっても、前記シートをキャリア60や基板載置テーブル22上に延ばし、平坦にさせて保持したものであれば同様に基板とみなし、本発明を用いて第二の基板12を貼り付けることが出来る。
【符号の説明】
【0132】
1 基板の貼合せ装置
2 ステージ部
3 ヘッド部
4 トレイ搬送部
5 塗布ユニット部
6 硬化ユニット部
7 バルーンヘッド部
9 制御部
11 第一の基板
12 第二の基板
12a 仮置きされた第二の基板
12b バルーンヘッド部で保持された第二の基板
12c 貼合せが済んだ第二の基板
20 装置ベース
21 X1軸ステージ
22 第一の基板載置テーブル
26 仮置き台
31 支柱
32 梁
33 Y1軸ステージ
34 ヘッド上下動機構
35 モータ
36 θ軸モータ
40 装置ベース
41 X2軸ステージ
42 第二の基板載置テーブル
43 支柱
44 梁
45 Y2軸ステージ
46 Z2軸ステージ
47 ハンド部
48 トレイ
51 Z軸ステージ
52 モータ
53 ディスペンサ
55 硬化性樹脂
60 基板キャリア
61 紫外線
70 筐体
71 基板変形機構部
72 基板保持膜
73 空気室
80 シリンジ
81 Z軸ステージ
82 モータ
90 制御用コンピュータ
91 情報入力手段
92 情報表示手段
93 発報手段
94 情報記録手段
95 機器制御ユニット
96 画像情報入力部
711 シリンダ
712 ピストン
713 押圧ヘッド
714 ピストン押し側連通ポート
715 ピストン引き側連通ポート
721 基板保持膜連通ポート
731 空気室連通ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に配線電極パターンが形成された第一の基板と、表面に配線電極パターンを有する第二の基板とを、お互いの前記電極配線パターン同士を対向させて、貼合せをする装置において、
前記第二の基板を保持する手段と、
前記第二の基板を保持した状態でたわませる手段と、
前記第一の基板もしくは前記第二の基板の少なくとも一方には硬化性樹脂が塗布されており、
前記第一の基板と前記第二の基板とを近接させる手段と、
前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させる手段と
を備えたことを特徴とする、基板の貼合せ装置。
【請求項2】
前記第二の基板を保持する手段と、前記第二の基板をたわませる手段とが、
前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させる手段に具備されており、
前記第二の基板を前記第一の基板に押圧させた時に、前記第二の基板が前記第一の基板の表面形状にならわせる手段を備えたことを特徴とする、
請求項1に記載の基板の貼合せ装置。
【請求項3】
前記第二の基板を前記第一の基板に押圧させた状態で、前記硬化性樹脂を硬化させることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の基板の貼合せ装置。
【請求項4】
表面に配線電極パターンを有する第一の基板と、表面に配線電極パターンを有する第二の基板とを、お互いの前記電極配線パターン同士を対向させて、貼合せをする方法において、
前記第二の基板を保持するステップと、
前記第二の基板を保持した状態でたわませるステップとを有し、
前記第一の基板もしくは前記第二の基板の少なくとも一方には硬化性樹脂が塗布されており、
前記第一の基板と前記第二の基板とを近接させるステップと、
前記第二の基板を前記第一の基板の表面形状にならわせながら、前記第二の基板と前記第一の基板とを貼り合わせるステップと、
前記第二の基板を前記第一の基板に向かって押圧させるステップを有することを特徴とする、基板の貼合せ方法。
【請求項5】
前記第二の基板を前記第一の基板に押圧させた状態で、前記硬化性樹脂を硬化させるステップを有することを特徴とする、
請求項4に記載の基板の貼合せ方法。
【請求項6】
容器構造の筐体からなり、少なくとも1つの面が弾性体である、
基板貼合せヘッドであって、
前記弾性体の面を用いて第二の基板を保持する手段と、
前記第二の基板を保持する面を変形させて、前記第二の基板をたわませる手段とを備えた
ことを特徴とする、基板貼合せヘッド。
【請求項7】
前記第二の基板を保持する面を変形させる手段を備え、
前記第二の基板を保持する面を変形させて、前記第二の基板をたわませる構造を有していることを特徴とする、請求項6に記載の基板貼合せヘッド。
【請求項8】
筐体内部の圧力を調節する手段を備え、
前記圧力を調整して、前記第二の基板を保持する前記弾性体の面を変形させて、前記第二の基板をたわませる構造を有していることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の基板貼合せヘッド。
【請求項9】
前記第二の基板を第一の基板に押し付けた時に、前記第二の基板を前記第一の基板の表面形状にならわせ、前記第二の基板に対して均等な荷重を付与できる構造を有していることを特徴とする、請求項6〜8に記載の基板貼合せヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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