説明

基板テープの搬送装置

【課題】基板テープにバックテンションを長期に渡って安定して付与することが可能な基板テープを搬送する搬送装置を提供する。
【解決手段】基板テープ3を搬送する主搬送部移動クランパー31と、基板テープ3にバックテンションを付与するバックテンション移動クランパー15との各々において、基板テープ3をクランプする上爪25、30と下爪22b、36bにおける基板テープ3と接する面は、ほぼ平面に形成され、基板テープに配置される上爪25、30と下爪22b、36bは、その長手方向が搬送方向P側に、厚さ方向が幅方向側に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板テープの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置などの電子部品をフレキシブル絶縁テープなどの基板テープに実装(取付け)し、この電子部品の周囲に合成樹脂などの封止樹脂を塗布し、しかる後に加熱硬化して樹脂封止することは広く行われている。
これらの一連の作業は、連続した基板テープを用い、電子部品の実装、電子部品周辺への封止樹脂の塗布、封止樹脂の加熱硬化の各工程が、各々の装置にて連続して行われる。
上記基板テープの搬送の際には、基板テープが搬送方向において弛みが生じないようにバックテンションが付与される。搬送時に上記弛みが生じると、基板テープが所望の搬送位置に搬送されず、各電子部品が所望位置に実装されなかったり、封止樹脂の塗布が所望位置に行われず電子部品を正しく封止することができなくなる。
【0003】
特許文献1は、図5に図示されているように、テープ10をピッチ送り用駆動装置(P送り装置)にてピッチ送り方向(搬送方向)に送り、バックテンション用駆動装置(BT装置)にてテープ10に張力を付与する装置が開示されている。
具体的には、図5(c)のように、テープ10は、P送り装置のP送り歯車8bがテープ送り方向に回転して上記ピッチ送り方向に送り、BT装置のBT歯車8aがテープ送り方向とは逆方向に回転して所望の張力を付与するようにしている。
この場合、BT装置は、図2に図示のように、スプロケット歯車8のスプロケット歯9がテープ10に形成されたスプロケット孔11に噛み合って、テープ10に上記張力を付与するものである。
【0004】
特許文献2は、図6に図示のように、テープ100を前方に送る送りローラ101に対してテープ100にテンションをかけるためのテンションローラ102が配置されている。
この場合、送りローラ101とテンションローラ102は、ゴムローラであって、テープ接触面がゴム材である。
あるいは図2図示のように、第1送りローラ21が回転し始めるに先立って、第1送りローラ21よりも先方に存在する第2の送りローラ42が回転し始めて、テープ12のたるみがない状態で走行されるようにしている。この第1送りローラ21と第2の送りローラ42は、ゴムローラであって、テープ接触面がゴム材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−213432号公報([0013]、[0026]〜[0027]、図2、図5等)
【特許文献2】特開2004−165615号公報([0005]、[0009]、[0068]、図6、図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、バックテンション用駆動装置(BT装置)のスプロケット歯車8のスプロケット歯9がテープ10に形成されたスプロケット孔11に噛み合って、テープ10に上記張力を付与しているため、スプロケット歯9がテープ10のスプロケット孔11を破ってしまう危険性を有している。特にテープ10が合成樹脂製薄板で形成されている場合は、その危険性が高まる。しかも高速でテープ10が搬送される場合には、スプロケット孔11に付与するスプロケット歯9の反力は強くなり、よりスプロケット孔11が破壊されやすい。またテープ10が間欠送りされる場合で、テープ10の停止状態から送り始める際には、スプロケット孔11に付与するスプロケット歯9の反力は強くなり、よりスプロケット孔11が破壊されやすい。
【0007】
特許文献2は、ゴムローラがテープに接触してテープのたるみを防止するために、図6の場合の送りローラ101及びテンションローラ102、図2の場合の第1送りローラ21及び第2の送りローラ42が共にゴムローラで構成されているので、各ローラのテープとの接触面が磨耗しやすい。特に上記テープのたるみを防止するためには、各ローラがテープを押さえつける押圧力は相当高くなるので、上記たるみ防止を目的にしないローラの場合に比べ、ローラの磨耗は生じやすく、一旦磨耗が生じると磨耗は増長してゆく。それはローラとローラによりテープを挟み付けるので各ローラにとってテープとの接触部は線接触となるからである。従って上記テープのたるみを防止することができず、あるいはテープに強力な押圧力を掛けてしまうことになり、各ローラの磨耗がより促進し、テープにいたずらな変形をもたらせてしまう。さらに、ローラが偏磨耗を生じやすくなり、テープの搬送速度が不安定となって、電子部品の所望位置に封止樹脂を塗布することができない等の不具合をもたらす危険性を有する。
【0008】
本発明は、上記課題を解消するものであり、基板テープを搬送するにあたり、基板テープにバックテンションを長期に渡って安定して付与することが可能な基板テープの搬送装置をもたらすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明実施態様1の基板テープの搬送装置は、電子部品の少なくとも一部となる基板を構成する基板テープの搬送装置であって、前記基板テープを所定搬送方向に搬送するための搬送部と、前記基板テープに前記搬送方向とは逆方向のバックテンションを付与するバックテンション付与部と、を備え、前記搬送部は、前記搬送時に挟持した基板テープを搬送方向に搬送する搬送部移動クランパーと、基板テープの非搬送時に基板テープを挟持し、前記基板テープの搬送時に挟持しない搬送部保持クランパーとを有し、前記バックテンション付与部は、前記搬送時に基板テープを挟持し前記搬送方向に移動されるバックテンション移動クランパーと、前記バックテンション移動クランパーが前記搬送部移動クランパーにより前記搬送方向に移動させられる際に、前記バックテンション移動クランパーに前記搬送方向の移動を妨げるバックテンションを付与するバックテンション付与手段とを備えており、前記搬送部移動クランパーとバックテンション移動クランパーは、基板テープの表面と接触する表面接触部と、基板テープの裏面と接触し前記表面接触部と協働して基板テープを挟持する裏面接触部とを備えており、前記表面接触部と裏面接触部とは、ほぼ平面に形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記本発明実施態様1の構成によれば、基板テープを搬送する場合及びバックテンションを付与する場合に、基板テープに損傷を与えることがなく、確実に所定の搬送を行うことができる。しかも長期にわたって初期の良好状態を維持することができる。
即ち、前記搬送部移動クランパーが基板テープを搬送方向に搬送(移動)する際には、バックテンション付与部が基板テープにバックテンションを付与している。この状態において搬送部移動クランパーは、表面接触部と裏面接触部により基板テープを挟持しながらバックテンションに打ち勝つ強力な搬送力で基板テープを搬送するものである。よって搬送部移動クランパーは基板テープを強固に挟持しながら搬送方向に引っ張ることになる。従って、上記挟持されている基板テープ箇所には、強力な押圧力と搬送方向への張力とが作用している。しかるに前記搬送部移動クランパーの前記表面接触部と裏面接触部とがほぼ平面に形成されているから、前記表面接触部と裏面接触部は比較的広い面積で基板テープを挟むことになる。よって、基板テープには局部的な押圧力と張力とが付与されることがない。即ち、基板テープは、前記表面接触部と裏面接触部の比較的広い面積いっぱいに渡って万便なく押圧力と張力とが付与される。よって、基板テープに損傷を与えることがなく、確実に所定の搬送を行うことができ、長期にわたって良好状態を維持することができるものである。
【0011】
一方、前記バックテンション移動クランパーが前記搬送部移動クランパーにより前記搬送方向に移動させられる際には、バックテンション付与部が前記搬送部移動クランパーの前記搬送力に抗して基板テープにバックテンションを付与している。バックテンション移動クランパーは、バックテンションが付与された状態で前記搬送部移動クランパーにより搬送方向に搬送移動させられる。従って、バックテンション移動クランパーには、上記バックテンションと搬送部移動クランパーによる搬送方向に引かれる張力とが付与されている。よって、前記バックテンション移動クランパーにおける基板テープを挟持している箇所には、上記バックテンションと搬送方向の張力とに耐ええる耐力が必要となる。しかるに前記バックテンション移動クランパーの前記表面接触部と裏面接触部とがほぼ平面に形成されているから、前記表面接触部と裏面接触部は比較的広い面積で基板テープを挟むことになる。よって、基板テープには局部的な押圧力と張力とが付与されることがない。即ち、基板テープは、前記表面接触部と裏面接触部の比較的広い面積いっぱいに渡って万便なく押圧力と張力とが付与される。よって、基板テープに損傷を与えることがなく、確実に所定の搬送を行うことができ、長期にわたって良好状態を維持することができるものである。
【0012】
本発明実施態様2の基板テープの搬送装置は、前記搬送部移動クランパー及びバックテンション移動クランパーにおける前記表面接触部と裏面接触部の少なくともいずれか一方は、爪部であり、前記爪部の前記平面の形状は、前記搬送方向側の寸法が長く前記搬送方向に直交する幅方向側の寸法が前記搬送方向側の寸法より短いことを特徴とする。
【0013】
上記本発明実施態様2の構成によれば、次の様な作用効果を有する。
まず、前記爪部の前記平面の形状は、前記搬送方向の寸法が幅方向の寸法よりも長く形成されていることから、前記搬送部移動クランパーによる搬送方向に引っ張る張力を確実に基板テープに付与することができ、同様に前記バックテンション移動クランパーによる逆搬送方向に相対的に引っ張る張力を確実に基板テープに付与することができる。しかも前記爪部が搬送方向に長く形成されていることは、基板テープを長い距離に渡って挟持するので基板テープの歪みやたるみを防止することが可能となる。
一方、前記爪部の前記平面の形状は、搬送方向に直交する幅方向の寸法が前記搬送方向の寸法より短いことから、基板テープの中心側の面積が有効利用できる。例えば、電子部品を基板テープの中心側に実装した場合には、前記爪部の前記幅方向の寸法が短く形成されているので基板テープの中心側の面積が広く確保でき、この中心側に電子部品を効率よく配置することができる。
なお、前記搬送部移動クランパー及びバックテンション移動クランパーにおける前記表面接触部と裏面接触部の両者のうち少なくとも一方を爪部で構成することによって上述の作用効果を得ることができる。
また前記爪部は、基板テープの幅方向の両側に配置されていると、基板テープの幅方向の歪みやたるみがより防止されて好ましい。
【0014】
本発明実施態様3の基板テープの搬送装置は、実施態様2に記載された基板テープの搬送装置であって、前記搬送部移動クランパー及び前記バックテンション移動クランパーにおける前記表面接触部と裏面接触部は、前記爪部であることを特徴とする。
【0015】
上記本発明実施態様3の構成によれば、前記表面接触部と裏面接触部は前記爪部であり、前記爪部の前記平面の形状は、前記搬送方向の寸法が長く前記搬送方向に直交する幅方向の寸法が前記搬送方向の寸法より短いことから、上記本発明実施態様2で述べた作用効果をより発揮することができる。
即ち、基板テープにおける表面及び裏面において、前記爪部の前記平面の形状は、前記搬送方向において幅方向の寸法よりも長く形成されており表面側及び裏面側の爪部同士の平面位置がほぼ一致していると、前記表面側及び裏面側の爪部同士が基板テープを確実に挟持することができ、前記搬送部移動クランパーによる搬送方向に引っ張る張力を確実に基板テープに付与することができ、同様に前記バックテンション移動クランパーによる逆搬送方向に相対的に引っ張る張力を確実に基板テープに付与することができる。しかも前記爪部が搬送方向に長く形成されていることは、基板テープを長い距離に渡って挟持するので基板テープの歪みやたるみを防止することも可能となる。
また基板テープにおける表面側及び裏面側において、搬送方向に直交する幅方向の寸法が前記搬送方向の寸法より短いことから、基板テープの中心側の面積を有効利用できる。
【0016】
上述のように前記爪部同士により基板テープの表面及び裏面を挟持しているから、その単位面積あたりの押圧力(挟持力)が高まり、その分、搬送部移動クランパーによる搬送方向に引っ張る張力を確実に基板テープに付与することができ、同様に前記バックテンション移動クランパーによる逆搬送方向に引っ張る張力を確実に基板テープに付与することができる。
なお、前記爪部は、基板テープの幅方向の両側に配置されていると、基板テープの幅方向の歪みやたるみが防止されてより好ましい。但し、前記爪部は基板テープの幅方向の一方のみに配置されていても良い。
【0017】
本発明実施態様4の基板テープの搬送装置は、実施態様1から実施態様3のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置であって、前記バックテンション付与部は、前記バックテンション移動クランパーに近接して配置され基板テープの前記非搬送時に基板テープを挟持し前記基板テープの搬送時に挟持しないバックテンション保持クランパーを有し、前記搬送部保持クランパー及びバックテンション保持クランパーは、前記表面接触部が前記爪部で構成され、前記裏面接触部が前記基板テープを載置するレール状に構成されていることを特徴とする。
【0018】
上記本発明実施態様4の構成によれば、次の様な作用効果を有する。
前記搬送部保持クランパー及びバックテンション保持クランパーは、基板テープの前記非搬送時に基板テープを挟持し前記基板テープの搬送時に挟持しないものである。即ち、前記搬送部保持クランパー及びバックテンション保持クランパーは、基板テープの前記非搬送時に基板テープを所定位置に保持するためのものであり、前記搬送の際のように搬送方向の張力又はバックテンションを基板テープに付与するものではない。従って、基板テープを所定状態に保持すれば良い。このため、前記表面接触部が前記爪部で構成され、前記裏面接触部が前記基板テープを載置するレール状、即ち基板テープを受ける面積が前記爪部より広いレール状に構成することができる。基板テープは、レール状の広い受け部に確実に案内支持され、爪部により確実に保持されるものである。このため、基板テープに、いたずらな損傷や歪みをもたらすことがない。
【0019】
本発明実施態様5の基板テープの搬送装置は、実施態様1から実施態様2のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置であって、前記搬送部は、前記搬送部移動クランパーを前記搬送方向又は逆搬送方向に移動させる移動クランパー駆動手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、前記搬送部移動クランパーは、基板テープを挟持した状態で移動クランパー駆動手段の駆動により基板テープを搬送方向に搬送することができるものである。
前記移動クランパー駆動手段は、例えば前記搬送部移動クランパーに噛み合うボールネジとボールネジを回転駆動するサーボモーターを備えて構成される。
【0021】
本発明実施態様6の基板テープの搬送装置は、実施態様1から実施態様5のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置であって、バックテンション付与手段は、前記搬送部移動クランパーが基板テープを挟持して前記搬送方向に搬送し移動している際に、前記表面接触部及び裏面接触部が基板テープを挟持している状態で前記搬送方向に移動させられている前記バックテンション移動クランパーに噛み合うことにより駆動されるタイミングベルトと、前記タイミングベルトが前記駆動される際に前記搬送部移動クランパーによる前記搬送方向の搬送力に抗して該搬送力より小さい前記バックテンションを前記タイミングベルトに付与するバックテンション発生部とを備えていることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、前記バックテンション移動クランパーは前記タイミングベルトに噛み合っているので、両者の連動は確実に行われ、且つ構造が平易である。
またタイミングベルトが駆動させられている際に、前記バックテンション発生部によりタイミングベルト及び前記搬送部移動クランパーを介して基板テープにバックテンションを付与することが出来る。この際、前記バックテンション発生部のバックテンションの大きさを適宜設定することができれば、最適な上記バックテンションを付与することができる。
前記バックテンション発生部は、タイミングベルトが前記駆動される際にタイミングベルトにバックテンションを付与するもので、例えば、タイミングベルトの駆動軸に連結して該駆動軸の軸線方向に隣接配置されている。前記バックテンション発生部は、例えば、磁石と反発あるいは吸引する磁性部との磁力作用により、前記駆動される際に反力(バックテンション)を誘起するものである。
なお、前記バックテンション発生部は、タイミングベルトが前記駆動させられる際にタイミングベルトにバックテンションを付与することができるものであれば、どのような原理を用いたものでもよい。
【0023】
本発明実施態様7の基板テープの搬送装置は、実施態様6に記載された基板テープの搬送装置であって、前記搬送部とバックテンション付与部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、基板テープの搬送の前記開始前段階では、搬送部の前記搬送部保持クランパーを閉じて実装テープを挟持させ、前記バックテンション移動クランパーを開くとともに前記バックテンション移動クランパーを前記搬送方向側の所定位置に移動するまで前記タイミングベルトを駆動するようタイミングベルト駆動手段を駆動させ、しかる後、前記搬送部保持クランパーを開く前に前記バックテンション移動クランパーを閉じて実装テープを挟持させ、前記搬送部保持クランパーを開いた後、前記タイミングベルト駆動手段を駆動して前記バックテンション移動クランパーを前記搬送方向とは逆方向側の所定位置まで駆動して前記バックテンション移動クランパーを介して前記基板テープにバックテンションを付与させ、基板テープの前記搬送時には、前記搬送部移動クランパーとバックテンション移動クランパーを閉じた後に、前記搬送部保持クランパーを開いて実装テープを挟持させず、この後に前記搬送部移動クランパーとバックテンション移動クランパーを閉じて実装テープを挟持させ、且つ前記移動クランパー駆動手段を駆動して前記搬送部移動クランパーを搬送方向に移動させることにより前記バックテンション移動クランパーを介して基板テープにバックテンションを付与させることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、前記制御手段は、まず基板テープの搬送の前記開始前段階において、基板テープを所定の作業開始位置に配置させることができ、基板テープにおいて所定のスタート位置から一連の搬送を開始することができ、しかもバックテンションの付与状態を維持しているので、基板テープの前記スタート位置を正確に確保することができる。よって、例えば、基板テープに実装された電子部品の所定位置に確実に封止樹脂を吐出することができる。
一方、基板テープの前記搬送時には、基板テープにバックテンションを付与させながら搬送させるので、基板テープが弛むことがなく基板テープ及び実装されている電子部品などを所定位置に確実に搬送することができる。
【0025】
本発明実施態様8の基板テープの搬送装置は、実施態様1から実施態様7のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置は、基板テープに実装された前記電子部品への封止樹脂の塗布及び前記封止樹脂の加熱硬化を行う処理装置であって、前記搬送方向に向かって順に、前記電子部品への封止樹脂の塗布を行う封止樹脂塗布部、前記封止樹脂の加熱硬化部を供えており、前記バックテンション付与部は、前記封止樹脂塗布部に対して前記逆搬送方向側に配置されており、前記搬送部は、前記封止樹脂塗布部と前記加熱硬化部との中間位置と、前記加熱硬化部に対して前記搬送方向の先方側とに配置されていることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、前記バックテンション付与部は、前記封止樹脂塗布部に対して前記搬送方向の手前側に配置されており、前記搬送部は、前記封止樹脂塗布部と前記加熱硬化部との中間位置、及び前記加熱硬化部に対して前記搬送方向の先方側に配置されていることから、基板テープにはバックテンションが付与された状態で基板テープに実装されている電子部品への封止樹脂の塗布が行われる。
また前記搬送部は前記封止樹脂塗布部と前記加熱硬化部との中間位置、及び前記加熱硬化部に対して前記搬送方向の先方側に配置されているので、長い基板テープでありながらも確実に搬送することが出来る。また基板テープは、前記バックテンション付与部により、前記加熱硬化部においても弛みがなく、従って封止樹脂塗部に対して加熱が安定した位置や角度で行われることになって封止樹脂塗を良好に加熱硬化することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態における基板テープに実装された電子部品への封止樹脂の塗布及び封止樹脂の加熱硬化を行う処理装置の全体配置図。
【図2】図1のA−A位置での主要部断面図であって、バックテンション付与部の移動クランパーの主要断面図。
【図3】図1のB−B位置での主要部断面図であって、バックテンション付与部の保持クランパーの主要断面図。
【図4】本発明の第1実施形態における実装テープの主要部平面図。
【図5】本発明の第1実施形態における主搬送部移動クランパーの主要部断面図。
【図6】本発明の第1実施形態における制御系ブロック図。
【図7】本発明の第1実施形態における基板テープの搬送開始前段階における各ステップの状態図。
【図8】本発明の第1実施形態における基板テープの搬送時における各ステップの状態図。
【図9】本発明の変形例におけるバックテンション移動クランパーを示し、(1)は主要部の断面図、(2)は(1)の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態は、基板テープの搬送装置を、基板テープに実装された電子部品への封止樹脂の塗布及び封止樹脂の加熱硬化を行う処理装置1に適用したものである。
【0030】
〔全体構成〕
図1は、上記基板テープに実装された電子部品への封止樹脂の塗布及び封止樹脂の加熱硬化を行う処理装置1の全体配置図である。
図1には、全体の配置関係が図示されている。
処理装置1は、電子部品としての半導体装置(IC、LSI等)2を実装した基板テープ3を用いて、前記半導体装置2に封止樹脂を塗布する封止樹脂塗布装置4、及びこの塗布された封止樹脂を加熱硬化する加熱硬化装置5を有する。
【0031】
上記基板テープ3は、ポリイミド樹脂などの合成樹脂からなり、幅35mmまたは48mmの薄板からなるフレキシブル絶縁テープであり、フレキシブル絶縁テープの表面の所定位置に半導体装置2が接合されている。
上記基板テープ3の上表面には、銅やアルミニュームなどからなる配線部である導電パターン(図示せず)が形成されており、半導体装置2の各電極が各導電パターンの内端部に導通接合されており、こうして半導体装置2が基板テープ3に実装されている。
この半導体装置2の周辺である外周や上面には、後述する封止樹脂が塗布され、硬化されて封止樹脂部が構成されるようになる。
【0032】
図1の左側には、前述した封止樹脂塗布装置4が配置されている。封止樹脂塗布装置4の左端からは、半導体装置2を上表面に実装した基板テープ3が封止樹脂塗布装置4に挿入され、図1の右側に搬送されるものである。
この場合、封止樹脂塗布装置4に挿入される前の基板テープ3は、既に上表面に半導体装置2が実装された状態で図示されていないリールに巻かれているか、基板テープ3の上表面に半導体装置2が実装される前工程から搬送されてくるものである。
図1の封止樹脂塗布装置4の中央には上記半導体装置2に封止樹脂を塗布する封止樹脂塗布部6と、その左側(搬送方向Pとは逆側)には搬送方向Pとは逆方向である逆搬送方向Q向きの張力であるバックテンションを基板テープ3に付与するバックテンション付与部7と、封止樹脂塗布部6の右側(搬送方向P側)には基板テープ3を搬送方向P側に搬送する搬送部である主搬送部8を有している。
【0033】
加熱硬化装置5は、前述のように、封止樹脂塗布装置4から搬送されてくる基板テープ3を加熱し、塗布された封止樹脂を硬化するものである。
加熱硬化装置5は、搬送されてきた基板テープ3を案内して搬送向きを180度反転させるように図1の右側に配置された第1ターンローラー9と、第1ターンローラー9より上方且つ左側に配置され基板テープ3を案内して搬送向きを約90度上方に変える第2ターンローラー10と、第2ターンローラー10の上方に近接配置され基板テープ3を案内して搬送向きを約90度、即ち図1の右方向に変える第3ターンローラー11と、各ターンローラー9、10、11の近傍に配置され基板テープ3、特に前述の塗布された封止樹脂を加熱するヒーター(図示省略)及び好ましくは発生するガスを排気する排気装置を有した加熱部12と、第3ターンローラー11の右側に配置され封止樹脂が加熱硬化された基板テープ3を搬送方向Pに搬送する炉出口搬送部13を備えている。
【0034】
上記第3ターンローラー11は、逆搬送方向R向きの作用力を受け2点差線のように移動可能に構成され、主搬送部保持クランパー34から炉出口搬送部保持クランパー38までの基板テープ3に張力を持たせ弛みを除去することができる。上記第3ターンローラー11が上記逆搬送方向R向きの作用力を受けるには、一端が第2ターンローラー10の回転軸を中心に揺動可能な揺動レバー60を設け、上記第3ターンローラー11が揺動レバー60の他端で回転可能に軸支されている。揺動レバー60の上記他端に結び付けられた紐61は、小ローラー62を介して錘63に結び付けられている。従って、錘63が重力を受けて図1の下側(鉛直方向)に降下しようとするので、紐61を介して揺動レバー60が逆搬送方向R向きに揺動しようとするので、上記第3ターンローラー11も上記逆搬送方向R向きに揺動しようとする。よって上記第3ターンローラー11は、逆搬送方向R向きの作用力を受け2点差線のように移動可能となり、第3ターンローラー11から搬送方向P側の炉出口搬送部13(炉出口搬送部保持クランパー38等)迄の基板テープ3及び第3ターンローラー11から逆搬送方向Q側の主搬送部8(主搬送部保持クランパー34等)迄の基板テープ3に張力を持たせ弛みを除去することができる。
加熱部12は、加熱硬化装置5に基板テープ3が搬送される入口付近からターンローラー11の右側部まで前述のヒーターが配置されて構成されている。
上記炉出口搬送部13から搬出された基板テープ3は、図示されていないリールに巻き取られる、あるいは次工程に搬送される。
【0035】
以下、詳細に説明する。
〔封止樹脂塗布部〕
上記封止樹脂塗布部6は、概略、次のように構成されている。
上記封止樹脂塗布部6は、バックテンション付与部7と主搬送部8との中間に配置されており、封止樹脂を基板テープ3上の各半導体装置2の周辺及び上面に吐出するための複数個のニードル14を備えている。この複数個のニードル14は、搬送方向P側に等間隔に配置されている。
このニードル14は、基板テープ3に実装された各半導体装置2の周辺において半導体装置2の電極と基板テープ3上に配置された導電パターンとの導通接合部をはじめ、ボンディングされたワイヤー、さらに必要に応じて半導体装置2の外周部や上面または下面等に、封止樹脂としての液状のエポキシ樹脂などを適量吐出するものである。上記ニードル14は、搬送されて来た基板テープ3の各半導体装置2に対して、所定タイミングで上記封止樹脂を適量吐出するものである。複数個のニードル14が、封止樹脂を吐出している時間(10秒程度)は、基板テープ3の搬送は停止している。封止樹脂は、エポキシ樹脂以外の合成樹脂でもよい。また上記封止樹脂は、半導体装置2を封止することができるならば、合成樹脂以外のものも含むものである。
【0036】
〔バックテンション付与部〕
封止樹脂塗布装置4に備えられているバックテンション付与部7について、詳述する。
バックテンション付与部7は、前記搬送時に基板テープ3を挟持し搬送方向P側に移動させられるバックテンション移動クランパー15と、バックテンション移動クランパー15が前述の主搬送部8により搬送方向P側に移動させられる際に、バックテンション移動クランパー15に搬送方向P側への移動を妨げる方向のバックテンションを付与するバックテンション付与手段としてのトルク制御装置16(例えば株式会社工進精工所の商品名「パーマトルク」)と、バックテンション移動クランパー15を搬送方向P側または逆搬送方向Q側に移動させるためのバックテンション移動クランパー駆動手段としてのタイミングベルト17及びステッピングモーター18と、タイミングベルト17と噛合う第1歯車19及びその搬送方向P側に近接配置された第2歯車20と、基板テープ3を搬送しない場合に基板テープ3をクランプし移動しないように保持しているバックテンション保持クランパー21と、を有している。
【0037】
ここで、バックテンション移動クランパー15とバックテンション保持クランパー21は、基板テープ3を保持したり開放(非保持)したりするように構成されているものである。そのうち、バックテンション移動クランパー15は、基板テープ3を保持している際、基板テープ3とともに搬送方向P側または逆搬送方向Q側に移動可能であり、バックテンション保持クランパー21は前記両方向に移動せず予め定められた固定位置にて基板テープ3を保持しあるいは開放するものである。その詳細は、後述する。
上記タイミングベルト17は、閉ループ状に形成されているベルトで、バックテンション移動クランパー15が搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に移動する場合には、バックテンション移動クランパー15との噛合い部分がともに移動する。上記タイミングベルト17は、第1歯車19と第2歯車20により保持されている。
上記第1歯車19の回転軸には、トルク制御装置16及びステッピングモーター18が連結配置されている。
【0038】
トルク制御装置16は、その回転軸に外部から回転力が加わると、例えばその回転軸に配置された磁石とその周辺に配置された磁性部品との磁気作用により上記回転力に抗して所定の回転ブレーキ力を誘起する。従って前記バックテンション移動クランパー15が基板テープ3をクランプ(挟持)した状態で、前記主搬送部8により基板テープ3が搬送方向Q側に搬送されると、その搬送力は、バックテンション移動クランパー15からタイミングベルト17、第1歯車19、その回転軸、トルク制御装置16に伝わる。するとトルク制御装置16は、前述の磁気作用によりその回転軸に所定の回転抵抗、即ちブレーキトルクを付与する。よってこのブレーキトルクにより、前記主搬送部8が基板テープ3を搬送方向Q側に搬送することにより基板テープ3には逆搬送方向Q向きのバックテンションが付与されることになる。
【0039】
ここで、バックテンション移動クランパー15について、上述した以外の構造、作用について説明する。
図2は、バックテンション移動クランパー15を図1のA−A位置において切断しA−Aの矢印側に向かって見た主要部の側面図である。
図2において、22はバックテンション移動クランパー基台である。
バックテンション移動クランパー基台22は、金属(アルミニウム等)または合成樹脂からなり、その上部の上下の一対の爪にて基板テープ3を保持し、下端22aに小ねじ等で取り付けられたタイミングベルト噛合板64にてタイミングベルト17と噛合っている。即ち、タイミングベルト噛合板64の上面に形成された上歯64aがタイミングベルト17の本体17aの内側に形成された内歯17bに噛合っている。
なお、タイミングベルト17は硬質の合成ゴム等の弾性材から、タイミングベルト噛合板64は硬質合成ゴム又は金属あるいは硬質合成樹脂から構成されている。
従って、タイミングベルト17が移動すると、上記内歯17bが上記上歯64aと噛合うのでバックテンション移動クランパー基台22も同様の方向に移動することになる。
【0040】
図2において、バックテンション移動クランパー基台22の上部には、左右一対の下爪22b、22bが上方に突出して基板テープ3の下面を支えている。
バックテンション移動クランパー基台22の上記下爪22b、22bの各々の外側位置には、移動クランパーシリンダー23、23が収納配置されている。この移動クランパーシリンダー23、23の上方にはシリンダー軸23a、23aが上下移動可能に突出しており、シリンダー軸23a、23aは、先端にて上爪ホルダー24,24と連結している。
この上爪ホルダー24、24には、上爪25、25が保持されており、上爪25、25の下端にて基板テープ3の上面を押し当てることが可能に構成されている。この上爪25、25は、金属(ステンレススチール等)または合成樹脂、硬質合成ゴムから構成されている。
上記移動クランパーシリンダー23、23に後述の制御部からの制御信号が入力すると、そのシリンダー軸23a、23aが上下移動することになり、上爪ホルダー24、24及び上爪25、25も上下方向に移動することになる。
【0041】
下爪22b、22bと上爪25、25は、互いに平面位置は同じであり、両者が基板テープ3をクランプ(挟持)することができる。
下爪22b、22bが基板テープ3と接する上端の厚さは2〜3mm、長さは30〜50mm、上爪25、25が基板テープ3と接する下端の厚さは0.5〜1.5mm、長さは30〜50mmである。上爪25、25の厚さは下爪22b、22bの厚さよりも薄く、長さは下爪22b、22bと同様である。下爪22b、22bは、金属(ステンレススチール等)または合成樹脂、硬質合成ゴムからなる。
下爪22b、22bと上爪25、25は、その全長(30〜50mm)に渡って、基板テープ3を押圧してクランプしている。
【0042】
図4は、下爪22b、22bと上爪25、25における基板テープに対する平面配置の関係を図示している。図4のように、上爪25、25は、基板テープ3の幅方向(搬送方向Pと直交方向)において、基板テープ3の両端側に配置されており、上爪25、25は、その長さ方向が搬送方向Pに沿って配置され、上爪25、25の厚さ方向が基板テープ3の幅方向に配置されている。下爪22b、22bは、図4には図示されていないが、上爪25、25の配置位置と同じ位置に配置されている。
上爪25、25と下爪22b、22bの各々長さ方向が搬送方向Pに沿って配置されているので、上爪25、25と下爪22b、22bが基板テープ3を上下からクランプした際に、基板テープ3を確実にクランプできるものであり、基板テープに搬送方向の搬送力が掛かった際にも滑ることを防止し、確実にクランプすることができる。また上爪25、25と下爪22b、22bが基板テープ3の幅方向の両端側に配置されているので、上爪25、25と下爪22b、22bが薄く形成されていることと相まって、基板テープ3の幅方向の中央側の非クランプ面積が多くなり、半導体装置2が配置される面積が多くなり基板テープ3の利用効率を向上することができる。
【0043】
次に、バックテンション保持クランパー21について、上述した以外の構造、作用について説明する。
図3は、バックテンション保持クランパー21を図1のB−B位置において切断しB−Bの矢印向きに見た主要部の側面図である。
図3において、26はバックテンション保持クンパー基台である。
バックテンション保持クンパー基台26は、金属(ステンレススチール等)または合成樹脂からなる。
図3において、バックテンション保持クンパー基台26の上部には、左右一対のレール27、27が配置されている。このレール27、27は、断面形状がL字形で、L字形の内側上面27a、27aで基板テープ3の下面を支えている。上記レール27、27は装置本体に固定されており、移動しないものである。
バックテンション保持クンパー基台26の上記レール27、27の各々の外側位置には、保持クランパーシリンダー28、28が収納配置されている。この保持クランパーシリンダー28、28の上方にはシリンダー軸28a、28aが上下移動可能に突出しており、シリンダー軸28a、28aは、先端にて上爪ホルダー29、29と連結している。
この上爪ホルダー29、29には、上爪30、30が保持されており、上爪30、30の下端にて基板テープ3の上面を押し当てることが可能に構成されている。この上爪30、30は、金属(ステンレススチール等)または合成樹脂、硬質合成ゴムから構成されている。
上記保持クランパーシリンダー28、28に制御部からの制御信号が入力すると、そのシリンダー軸28a、28aが上下移動することにより、上爪ホルダー29、29及び上爪30、30も上下方向に移動することになる。
【0044】
上爪30、30は、レール27、27の内側上面27a、27aと平面位置としては重なっており、両者が基板テープ3をクランプすることができる。
内側上面27a、27aが基板テープ3と接する幅方向の幅は2〜5mmで前記下爪22b、22bの幅より広く、内側上面27a、27aの長さは50mm以上である。又、上爪30、30が基板テープ3と接する下端の厚さは0.5〜1.5mm、長さは30〜50mmである。上爪30、30の厚さはレールの内側上面27a、27aの幅よりも狭く、長さは内側上面27a、27aより短いものである。
【0045】
図4は、上爪30、30における基板テープ3に対する平面配置の関係を図示している。
図4のように、上爪30、30は、基板テープ3の幅方向(搬送方向Pと直交方向)において、基板テープ3の両端側に配置されており、上爪30、30は、その長さ方向が搬送方向Pに沿って配置され、上爪30、30の厚さ方向が基板テープ3の幅方向に配置されている。レールの内側上面27a、27aは、図4には図示されていないが、上爪30、30の平面位置を覆って配置されているが、上爪30、30よりも搬送方向Pの先方まで長く形成されている。
上爪30、30の長さ方向が搬送方向Pに沿って配置されていることは、前述と同様に基板テープ3を確実にクランプできるものである。また上爪30、30が基板テープ3の幅方向の両端に配置されているので、基板テープ3の幅方向の中央側の非クランプ面積が多くなり、半導体装置2が配置される面積が多くなって基板テープ3の利用効率を向上することができる。
【0046】
なお、図4において、バックテンション移動クランパー15及びバックテンション保持クランパー21の上爪25、25及び上爪30、30との平面配置関係は、基板テープ3の幅方向では基板テープ3の両端の同一平面位置であり、各々の長さ方向では搬送方向Pである。また両方の上爪25、25、30、30は、その厚さと長さが同一で上記の如く薄く形成されている。また上記長さ30〜50mmは、基板テープ3に配置された半導体装置2と隣接配置された半導体装置2との配置ピッチよりも長くすることが可能である。その場合は、上爪25、25、30、30は、搬送方向での基板テープにおいて、少なくとも一つの半導体装置2が配置された半導体装置実装領域をクランプすることが可能であり、基板テープ3の上記半導体装置実装領域の歪みを確実に防止できることから、実装された半導体装置2への歪など不要な応力を与えることを防止することも可能である。
【0047】
〔主搬送部8〕
搬送部としての主搬送部8は、図1の封止樹脂塗布装置4において、前述した封止樹脂塗布部6より搬送方向Pの先方に配置されているもので、基板テープ3を搬送し、あるいは搬送停止中の基板テープ3を保持するものである。
主搬送部8は、前記搬送時に基板テープ3を挟持し搬送方向P側に移動する搬送部移動クランパーとしての主搬送部移動クランパー31と、主搬送部移動クランパー31とネジ係合して主搬送部移動クランパー31を搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に移動させる移動用回転軸32と、この移動用回転軸32を制御部からの制御信号により回転させるサーボモーター33と、基板テープ3が搬送されない場合に基板テープ3をクランプし移動しないように保持している搬送部保持クランパーとしての主搬送部保持クランパー34と、を有している。上記移動用回転軸32の先端は、移動用回転軸受35により軸支されている。
【0048】
上記主搬送部移動クランパー31は、前述したバックテンション移動クランパー15の構造と殆ど同一である。主搬送部移動クランパー31が前述したバックテンション移動クランパー15と異なる点は、両者の駆動部構成である。即ち、バックテンション移動クランパー15の駆動部構成は、タイミングベルト17、トルク制御装置16、ステッピングモーター18、第1歯車19、第2歯車20を備えていた。これに対して主搬送部移動クランパー31の駆動部構成は、主搬送部移動クランパー31とネジ係合して主搬送部移動クランパー31を搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に移動させる移動用回転軸32と、この移動用回転軸32を制御部からの制御信号により回転させるサーボモーター33を備えている。
図5は、図2に対応する主搬送部移動クランパー31の主要部断面図である。
図5において、主搬送部移動クランパー基台36の下部中央には雌ネジのネジ穴36aが開けられており、このネジ穴36aに外周に雄ネジが切られた前述の移動用回転軸32がネジ込まれている。この移動用回転軸32には、サーボモーター33が連結しているので、制御部からの制御信号を受けてサーボモーター33が左右に回転することにより移動用回転軸32も回転し、従って主搬送部移動クランパー基台36が搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に移動させられることになる。
【0049】
主搬送部移動クランパー31の上記駆動部構成以外は、前述したバックテンション移動クランパー15の構造及び材料と同一である。即ち、主搬送部移動クランパー31の下爪36b、36b、保持クランパーシリンダー41、41、上爪ホルダー55、55、上爪54、54は、バックテンション移動クランパー15を図示した図2と同様である。
従って、制御部からの制御信号により、主搬送部移動クランパー31の一対の上爪54、54が移動クランパーシリンダー41、41により降下して下爪36b、36bとともに基板テープ3をクランプ(挟持)し、サーボモーター33の回転により基板テープ3を搬送方向P側の所定位置まで搬送することができる。また逆に制御部からの制御信号により、主搬送部移動クランパー31の一対の上爪54、54が移動クランパーシリンダー41、41により上昇し基板テープ3のクランプを解除してから、サーボモーター33の逆回転により主搬送部移動クランパー31自身を逆搬送方向Q側の元の所定位置まで移動することができる。
【0050】
主搬送部保持クランパー34の構成及び材料は、前述したバックテンション保持クランパー21と同様である。
即ち、その主要部断面図は、図3と同様である。そこで、バックテンション保持クランパー21のレール27は、搬送方向P側に延長して主搬送部保持クランパー34のレールと兼用することも可能である。
【0051】
〔炉出口搬送部〕
他の搬送部としての炉出口搬送部13は、主搬送部8と殆ど同様の構成であり、材料も同様である。
炉出口搬送部13の構成が主搬送部8と異なっている点は、主搬送部8ではサーボモーター33が主搬送部移動クランパー31位置より逆搬送方向Q側(図1では左側)に配置されているのに対し、炉出口搬送部13のサーボモーター39が他の搬送部移動クランパーである炉出口搬送部移動クランパー37より搬送方向P側(図1では右側)に配置されていることである。
それ以外においては主搬送部8と同様の構成と動作をなすものであり、炉出口搬送部移動クランパー37及び他の搬送部保持クランパーとしての炉出口搬送部保持クランパー38は、主搬送部移動クランパー31及び主搬送部保持クランパー34と同一である。従って、炉出口搬送部移動クランパー37の主要部断面図は図5と同様であり、炉出口搬送部保持クランパー38の主要部断面図は図3と同様である。
【0052】
〔制御部〕
次に、処理装置1の各部の動作を制御する制御部について説明する。
図6は、上記制御部である制御コントローラー40が、バックテンション付与部7、主搬送部8、炉出口搬送部13を制御する制御系ブロック図である。
上記制御コントローラー40は、中央演算処理装置と、下記の各動作を制御する制御プログラムを予め記憶しておき、加えて各部の動作状況を都度記憶しておく記憶部とを備えている。
【0053】
制御コントローラー40は、まずバックテンション付与部7の各部の動作を制御する。
制御コントローラー40は、電磁バルブ45を操作して移動クランパーシリンダー23、23を動作させる。即ち、移動クランパーシリンダー23、23のシリンダー軸23a、23aを上下動させ、この上下動により図2の上爪25、25を上昇及び降下させる。上爪25、25を降下させると、下爪22b、22bとにより基板テープ3をクランプする。逆に上昇させると、基板テープ3の上記クランプを解除する。
制御コントローラー40は、電磁バルブ46を操作して保持クランパーシリンダー28、28を動作させ、シリンダー軸28a、28aを上下動させる。この上下動により、図3の上爪30、30を上昇及び降下させる。上爪30、30を降下させると、レール27、27とにより基板テープ3をクランプする。逆に上昇させると、基板テープ3の上記クランプを解除する。
制御コントローラー40は、ドライバー51を操作してステッピングモーター18を回転制御する。ステッピングモーター18を回転させることにより、第1歯車19、タイミングベルト17、バックテンション移動クランパー15を搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に所定量移動させる。
【0054】
制御コントローラー40は、更に主搬送部8の各部の動作を制御する。
制御コントローラー40は、電磁バルブ47を操作して、図5の移動クランパーシリンダー41、41を動作させ、そのシリンダー軸41a、41aを上下動させ、この上下動により上爪54、54を上昇及び降下させる。上爪54、54を降下させると、下爪36b、36bとにより基板テープ3をクランプする。逆に上昇させると、基板テープ3の上記クランプを解除する。
制御コントローラー40は、電磁バルブ48を操作して保持クランパーシリンダー43、43を動作させ、そのシリンダー軸を上下動させる。この上下動により、上爪を上昇及び降下させる。上爪を降下させると、レールとにより基板テープ3をクランプする。逆に上昇させると、基板テープ3の上記クランプを解除する。これらの構造は、図3と同様である。
制御コントローラー40は、ドライバー52を操作してサーボモーター33を回転制御する。サーボモーター33を回転させることにより、移動用回転軸32とネジ係合している主搬送部移動クランパー31を搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に所定量移動させる。この構造は、図5に図示されている。
【0055】
制御コントローラー40は、更に炉出口搬送部13の各部の動作を制御する。
制御コントローラー40は、電磁バルブ49を操作して移動クランパーシリンダー42、42を動作させ、そのシリンダー軸を上下動させ、この上下動により上爪を上昇及び降下させる。上爪を降下させると、下爪とにより基板テープ3をクランプする。逆に上昇させると、基板テープ3の上記クランプを解除する。これらの構造は、図5と同様である。
制御コントローラー40は、電磁バルブ50を操作して保持クランパーシリンダー44、44を動作させ、そのシリンダー軸を上下動させる。この上下動により、上爪を上昇及び降下させる。上爪を降下させると、レールとにより基板テープ3をクランプする。逆に上昇させると、基板テープ3の上記クランプを解除する。これらの構造は、図3と同様である。
制御コントローラー40は、ドライバー53を操作してサーボモーター39を回転制御する。サーボモーター39を回転させることにより、移動用回転軸32とネジ係合している炉出口搬送部移動クランパー37を搬送方向P側又は逆搬送方向Q側に所定量移動させる。この構造は、図5と同様である。
【0056】
次に、制御コントローラー40により制御される各部の動作について説明する。
〔逆搬送作業動作〕
基板テープ3に実装された半導体装置2に封止樹脂を塗布するため基板テープ3を搬送する場合、基板テープ3の搬送方向P(基板テープ3の長手方向)に沿って規則的に配置された各半導体装置2が封止樹脂塗布部6の所定位置に正確に搬送されなくてはならない。そこで、上記封止樹脂を塗布する作業を開始する前に、図1のように基板テープ3を封止樹脂塗布装置4及び加熱硬化装置5に挿入セットしてから、基板テープ3の搬送初期所定位置に基板テープ3を位置出ししておかなければならない。
図7は、上記基板テープ3を搬送初期所定位置にセットするため、基板テープ3を逆搬送方向に搬送する上での逆搬送作業動作の工程を図示したものである。実際に上記基板テープ3を搬送初期所定位置にセットするには、この逆搬送作業動作の工程と後述する搬送作業動作の工程(基板テープ3を搬送方向P側に搬送する作業動作の工程)とを適宜組み合わせて行うものである。
図7の(1)から(4)は、逆搬送作業動作の工程を各工程毎に図示している。
【0057】
まず図7の(1)の様に、バックテンション保持クランパー21、主搬送部保持クランパー34、炉出口搬送部保持クランパー38が基板テープ3をクランプする。
即ち、制御コントローラー40の指令により、電磁バルブ46、48、50が動作して保持クランパーシリンダー28、43、44の駆動により各上爪30等が降下し、バックテンション保持クランパー21、主搬送部保持クランパー34、炉出口搬送部保持クランパー38が基板テープ3をクランプする。図7の(1)の下向きの矢印は、上記の様にクランプしているクランプ状態を意味している。即ち、各保持クランパー21、34、38の上爪が上述のように降下して、各上爪が各レールと相まって基板テープ3を挟持するものである。従って、各保持クランパー21、34、38により、基板テープ3が搬送されず、そのクランプ位置に保持されている。
一方、各移動クランパー15、31、37は基板テープ3を非クランプしている。
即ち制御コントローラー40の指令により、電磁バルブ45、47、49が動作して各移動クランパーシリンダー23、41、42の駆動により各上爪25、54等が上昇するので、バックテンション移動クランパー15、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37は、基板テープをクランプしていない(非クランプ状態)となる。図7の(1)の上向きの矢印は、上記非クランプ状態を意味している。即ち各移動クランパー15、31、37の上爪が上述の様に上昇して各上爪と各下爪とにより基板テープ3を挟持することはない。
【0058】
次に、上記非クランプ状態の各移動クランパー15、31、37は、搬送方向P側に移動した際の所定位置(図7の(1)では右側位置)に移動させられる。
即ち、制御コントローラー40の指令により、バックテンション移動クランパー15の移動は、ドライバー51からの駆動信号の出力によるステッピングモーター18の正回転駆動により、主搬送部移動クランパー31の移動は、ドライバー52からの駆動信号の出力によるサーボモーター33の正回転駆動により、炉出口搬送部移動クランパー37の移動は、ドライバー53からの駆動信号の出力によるサーボモーター39の正回転駆動により行われる。上記搬送方向P側の所定位置に各移動クランパー15、31、37が移動させられた状態が、図7の(1)の状態である。
以下、各移動クランパー15、31、37及び各保持クランパー21、34、38の動作において、各々のクランプ状態、非クランプ状態、搬送方向P側又は逆搬送方向Q側への移動に関しては、図6の様に、制御コントローラー40の指令に基づいて、各電磁バルブ45〜50が動作して各クランパーシリンダー23、28、41、43、42、44が作動し、この作動に伴って上爪が上下動すること、各ドライバー51、52、53から駆動信号が出力されてステッピングモーター18及び各サーボモーター33、39が正回転又は逆回転するものであるが、都度の説明は省略する(図7、図8とも)。
【0059】
次に、図7の(2)の様に、各移動クランパー15、31、37が、基板テープ3をクランプする。即ち、各移動クランパー15、31、37の上爪が各移動クランパーシリンダー23、41、42により降下して各上爪が各下爪と相まって基板テープ3を挟持する。
しかる後に、各保持クランパー21、34、38は、基板テープのクランプを解除(非クランプ状態に)する。この非クランプ状態は、各保持クランパー21、34、38の上爪が各保持クランパーシリンダー23、41、42により上昇することにより行われる。
従って、各保持クランパー21、34、38が非クランプ状態になっても、各移動クランパー15、31、37が、基板テープ3をクランプしているので、基板テープ3は移動しない。
【0060】
次に、図7の(3)の様に、ステッピングモーター18を逆回転駆動してバックテンション移動クランパー15を逆搬送方向Q側に移動しようとする。このためバックテンション移動クランパー15により基板テープ3にはバックテンションが掛けられる。
上記ステッピングモーター18の逆回転駆動の直ぐ後で、サーボモーター33とサーボモーター39を各々逆回転駆動し、主搬送部移動クランパー31と炉出口搬送部移動クランパー37を逆搬送方向Q側に移動する。その時にはステッピングモーター18は逆回転駆動しているので、バックテンション移動クランパー15は、逆搬送方向Q側の所定位置まで移動する。
各移動クランパー15、31、37の逆搬送方向Q側への移動は、基板テープ3の基準位置が搬送開始位置に到達するまで継続する。上記基板テープ3の基準位置が搬送開始位置に到達したことは、例えば封止樹脂塗布部4の所定位置に基板テープ3に実装された先頭の半導体装置2が到達したことを画像認識により検出すること等により行われる。
基板テープ3の基準位置が搬送開始位置に到達したことが上記のように検出されると、制御コントローラー40の指令でサーボモーター33とサーボモーター39が停止し、主搬送部移動クランパー31と炉出口搬送部移動クランパー37の逆搬送方向Q側への移動が停止する。上記逆搬送方向Q側の所定位置は、基板テープ3の正規の搬送作業の開始点となる。
【0061】
この際、ステッピングモーター18は逆回転駆動をし続けており、従ってバックテンション移動クランパー15は逆搬送方向Q側に移動しようとする。この際、主搬送部移動クランパー31が停止していることによりバックテンション移動クランパー15は逆搬送方向Q側に移動できないが、前述のトルク制御装置16により主搬送部移動クランパー31との間の基板テープ3に所定値のバックテンションが付与されることになる。
なお、主搬送部移動クランパー31と炉出口搬送部移動クランパー37との間の基板テープ3には、前述した揺動レバー60、紐61、小ローラー62、錘63により第3ターンローラー11には逆搬送方向R向きの作用力が作用しているので、弛み、歪み等が無い。
【0062】
次に、図7の(4)の様に、各保持クランパー21、34、38をクランプ状態にする。
即ち、各保持クランパー21、34、38の上爪が降下しレールと相まって基板テープ3を挟持する。
従って、この状態では、上述のようにバックテンション移動クランパー15と主搬送部移動クランパー31との間の基板テープ3にバックテンションが付与されており、バックテンション保持クランパー21と主搬送部保持クランパー34との間の基板テープ3にもバックテンションが付与されている。
この状態で、ステッピングモーター18の駆動を停止する。
以上の準備動作により、基板テープ3が搬送開始基準位置に定められると共に、基板テープ3に適度なバックテンションが付与されることになる。従って、基板テープ3の歪みや緩みが除去され、以後の封止樹脂塗布が正確な位置で行われるようになる。
【0063】
〔搬送作業動作〕
搬送作業動作は、まず前述した逆搬送作業動作と適宜組み合わせて、基板テープ3を搬送初期所定位置にセットするために行う。
上記基板テープ3を搬送初期所定位置にセットする準備動作が完了すると、本番の搬送作業動作が行われる。
この搬送作業動作は、図8のように行われる。図8の(1)から(4)には各工程毎に関係装置の動作状態が表示されている。
図8の(1)の状態は、図7の(4)の様に、バックテンション保持クランパー21、主搬送部保持クランパー34、炉出口搬送部保持クランパー38がクランプ状態、即ち、各保持クランパー21、34、38の上爪が降下しレールと相まって基板テープ3を挟持している状態である。この状態では、前述のようにバックテンション保持クランパー21と主搬送部保持クランパー34との間も基板テープ3にバックテンションが付与されている。また前述のように、主搬送部移動クランパー31と炉出口搬送部移動クランパー37との間の基板テープ3には、前述した揺動レバー60、紐61、小ローラー62、錘63により第3ターンローラー11には逆搬送方向R向きの作用力が作用しているので、弛み、歪み等が無い。
この状態では、バックテンション移動クランパー15、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37は、基板テープ3の上記搬送開始基準位置に対応した位置である逆搬送Q側の左側の所定位置(図8の左側位置)にあり、非クランプ状態にある。
【0064】
上記各保持クランパー21、34、38が基板テープ3をクランプしている間に、封止樹脂塗布部6が半導体装置2の周辺に封止樹脂を塗布する。
【0065】
次に、上記封止樹脂塗布部6が半導体装置2の周辺に封止樹脂を塗布する作業が終了すると、図8の(2)の様に、各移動クランパー15、31、37が、基板テープ3をクランプする。即ち、各移動クランパー15、31、37の上爪が各移動クランパーシリンダーにより降下して各上爪が各下爪と相まって基板テープ3を挟持する。
しかる後に、各保持クランパー21、34、38は、基板テープのクランプを解除(非クランプ状態に)する。この非クランプ状態は、各保持クランパー21、34、38の上爪が各保持クランパーシリンダーにより上昇することにより行われる。
ここで、各保持クランパー21、34、38が非クランプ状態になっても、各移動クランパー15、31、37が、既に基板テープ3をクランプしているので、基板テープ3の上記バックテンションは除去されないものである。
【0066】
次に、図8の(3)の様に、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37を搬送方向P側に移動させる。これらの移動は、サーボモーター33及びサーボモーター39を正回転駆動することにより行われる。この際、ステッピングモーター18は駆動しない。
上記主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37が搬送方向P側に移動すると、それらにクランプされている基板テープ3も同様に搬送方向P側に搬送される。この搬送により、封止樹脂が塗布された半導体装置2の逆搬送方向Q側に配置された次の半導体装置2が封止樹脂塗布部6の封止樹脂塗布位置に搬送されてくると、上記次の半導体装置2が画像認識手段等の検出手段により検出され、制御コントローラー40の指令によりサーボモーター33及びサーボモーター39が停止し、主搬送部移動クランパー31及び炉出口搬送部移動クランパー37の搬送方向P側への移動も停止する。この搬送された基板テープ3の停止位置は、封止樹脂塗布部6が上記次の半導体装置2に封止樹脂塗布を行う設定位置である。
【0067】
上記の様に、サーボモーター33及びサーボモーター39を正回転駆動することにより主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37が基板テープ3をクランプした状態で搬送方向P側に移動すると、バックテンション移動クランパー15は、基板テープ3をクランプしているので搬送方向P側に移動させられることになるバックテンション移動クランパー15が搬送方向P側に移動させられると、前述の様にバックテンション移動クランパー15の下部に噛合っているタイミングベルト17が移動する。このタイミングベルト17は、バックテンション移動クランパー15の下端22aに保持されているタイミングベルト噛合板64の上歯64aと噛合っている内歯17b部分(図8の(3)では上辺部)が搬送方向P側に移動することになる。従って、タイミングベルト17の内歯と噛合っている第1歯車19が回転し、それと同軸のトルク制御装置16が回転させられることになる。
【0068】
しかるに前述した様に、トルク制御装置16はその回転軸に回転力が作用すると内部の磁気作用によって回転軸の回転力を妨げる回転抵抗力が誘起される。この回転抵抗力はほぼ一定である。よって、トルク制御装置16の上記回転抵抗力が、第1歯車19、タイミングベルト17、バックテンション移動クランパー15を介して基板テープ3に伝わる。従って、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37によって基板テープ3が搬送方向P側に搬送している搬送力に一定のバックテンションが付与されることになるものである。
なお、前記バックテンションは、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37による前記搬送方向P側の張力(搬送力)よりも小さく設定されているので、基板テープ3には適度のテンションが付与され、弛み歪みが無い状態で前記搬送が行われることになる。そこで、トルク制御装置16の上記回転抵抗力は、前述の様にバックテンションが前記搬送力よりも小さくなる条件で設定される必要がある。
なお、主搬送部移動クランパー31と炉出口搬送部移動クランパー37との間の基板テープ3には、前述した揺動レバー60、紐61、小ローラー62、錘63により第3ターンローラー11には逆搬送方向R向きの作用力が作用しているので、弛み、歪み等が無い。
【0069】
次に、図8の(4)の様に、各保持クランパー21、34、38が基板テープ3をクランプし、一連の搬送が終了する。
この状態において、封止樹脂塗布部6が上記次の半導体装置2に封止樹脂塗布を行うものである。
【0070】
次の新たなる搬送動作は、図8の(4)の状態、即ち、各保持クランパー21、34、38が基板テープ3をクランプしたクランプ状態において、各移動クランパー15、31、37を非クランプ状態にした上で、バックテンション移動クランパー15、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37を図8の(1)の搬送初期所定位置(図8の(1)の左側の位置)に戻す。この戻す動作は、ステッピングモーター18、サーボモーター33、サーボモーター39を逆回転して行う。
しかるに図8の(1)から次の搬送動作が行われ、以上を何回も繰り返すものである。
【0071】
上記一連の動作は、記憶装置に記憶されているプログラムに基づいて制御コントローラー40により制御される。特に、ステッピングモーター18、サーボモーター33、サーボモーター39の各々の正転駆動及び逆転駆動、各々の駆動開始および停止のタイミング、搬送速度、搬送停止時間はもとより、封止樹脂塗布部6による半導体装置2への封止樹脂塗布動作、基板テープ3の搬送位置の検出(画像認識)及び搬送開始位置が検出されたことに伴って搬送開始すること等も制御コントローラー40より制御される。
【0072】
以上の様に、バックテンション付与部7により、基板テープ3にバックテンションが付与されるので、上記準備動作の時及び上記搬送動作の時に、基板テープ3が弛むこと及び歪むことが無く、正確な搬送位置に基板テープ3を搬送することができる。従って、封止樹脂塗布部6による半導体装置2への封止樹脂塗布動作を正確に行うことができる。
しかもバックテンション移動クランパー21及び主搬送部移動クランパー31が共に上爪と下爪により基板テープ3をクランプし、上爪と下爪において基板テープ3の表面と裏面に接する各々の面が平面、即ちフラットに形成されているので、基板テープ3を確実に且つ基板テープに損傷を与えることがなく挟持することができる。ことに、その各々の爪が搬送方向P側に長く幅方向に薄く形成されているので、基板テープ3の搬送方向P側において長い距離をクランプすることができ、従って基板テープ上を滑ることがない。しかも長い距離をクランプすることにより基板テープ3の局部的な弛み及び歪みを防止することができる。また各上爪と下爪は、基板テープ3の幅方向に薄く形成されているので、基板テープ3の中央側が広くなり、面積の大きな半導体装置2を配置でき、あるいはその複数個を配置することができる。上記各上爪と下爪は、基板テープ3の幅方向の両側縁側に配置されているので、基板テープ3が幅方向において弛んだり歪んだりすることを確実に防止することができる。
なお、主搬送部移動クランパー31についての作用は、炉出口搬送部移動クランパー37においても同様に得られるものである。
【0073】
ここで、バックテンション移動クランパー21及び主搬送部移動クランパー31の各々の上爪と下爪の長さと厚さ及びクランプ力は、次の条件を満足させる必要がある。即ち、主搬送部移動クランパー31の上爪と下爪がクランプした基板テープ3を搬送方向P側に搬送する際に、前記バックテンションが付与された状態でバックテンション以上の搬送力が掛かっても主搬送部移動クランパー31の上爪と下爪が基板テープ3と滑らないように設定されていることが必要である。また、バックテンション移動クランパー21の上爪と下爪がクランプした状態で、前述のように主搬送部移動クランパー31が基板テープ3を搬送方向P側に搬送する際に、トルク制御装置16の反力を受けてもバックテンション移動クランパー21の上爪と下爪が基板テープ3と滑らずにクランプし、そのままで主搬送部移動クランパー31により基板テープ3と共に搬送方向P側に移動できるように設定されていることが必要である。
【0074】
なお、上記上爪と下爪は、厚さが薄く形成されており相対的に押圧されて基板テープ3を挟むため、上記厚さが厚い場合に比べて、基板テープ3を部分的に挟持することになり、押圧力が分散することなく確実に挟持することができる。このため、主搬送部移動クランパー31は、基板テープ3を確実にクランプして搬送方向P側に搬送することができ、バックテンション移動クランパー21は、搬送時に基板テープ3に対して確実にバックテンションを付与することができる。
【0075】
また、バックテンション移動クランパー15及び主搬送部移動クランパー31における上爪25、25、54、54と下爪22b、22b、36b、36bが相まって基板テープ3を押圧する圧力(単位面積当たりの押圧力)は、バックテンション保持クランパー21及び主搬送部保持クランパー34における上爪30、30とレールの内側上面27a、27aが相まって基板テープ3を押圧する圧力(単位面積当たりの押圧力)よりも高く(強く)設定しておくと好ましい。それは、主搬送部移動クランパー31が基板テープ3を搬送方向P側に搬送する際にバックテンション移動クランパー15が基板テープ3にバックテンションを付与するので、各移動クランパー15、31の上記上爪25、25、54、54と下爪22b、22b、36b、36bが基板テープ3とスリップすることを防止することができる。又、バックテンション移動クランパー15が基板テープ3を逆搬送方向Q側に逆搬送する際にも、基板テープ3にバックテンションを付与することになるので、各移動クランパー15、31の上記上爪25、25、54、54と下爪22b、22b、36b、36bが基板テープ3とスリップすることを防止することができる。
【0076】
一方、各保持クランパー21、34、38では、上爪とレールとにより基板テープ3をクランプするものである。各保持クランパー21、34、38が基板テープ3をクランプしている際は、基板テープ3が搬送方向P側に搬送されたり、あるいは逆搬送方向Q側に逆搬送されたりすることがなく、停止している基板テープ3を保持すれば良い。従って、各保持クランパー21、34、38は、各々のクランプ時において、裏面側は爪よりも接触面積が広いレールで基板テープ3を安定的にサポートしておき、基板テープ3の表面側から上爪で押圧することが好ましい。このときのクランプ力は、各移動クランパー15、31、37のクランプ力よりも弱くすることが可能である。
なお、上記レールの幅方向の広さは、半導体装置2が基板テープ3の表面に実装されている場合には、特段規制される必要はなく自由であるが、半導体装置2等の電子部品が基板テープ3の裏面に実装されている場合、配線が同裏面に配置されている場合には、それらを逃げる程度の幅寸法に留めておく必要がある。
【0077】
〔第2実施形態〕
第1実施形態は、バックテンション付与部7と主搬送部8との間に封止樹脂塗布部6を配置し、バックテンション付与部7は、主搬送部8との間の基板テープ3にバックテンションを付与するものであった。
第2実施形態は、バックテンション付与部7と主搬送部8との間に、基板テープ3に半導体装置2を載置し、且つ接合する実装装置(図示せず)が配置されているものである。
上記実装装置は、半導体装置2を掴み、基板テープ3の表面の所定位置に載置し、半導体装置2と基板テープ3を接着材等で接合し、基板テープ3の配線パターンと半導体装置2の電極とをワイヤー等で導通接続する。或いは、上記実装装置は、半導体装置2を掴み、基板テープ3の表面の所定位置に載置し、半導体装置2の下面に構成された電極と基板テープ3に配置された導電パターンとを熱結合し、導通と接合とを一挙に行うものでもよい。
上記の場合、主搬送部8と加熱硬化装置5との間に、前述の封止樹脂塗布装置6が配置され、半導体装置2の周辺に封止樹脂を塗布し、封止樹脂塗布装置6の搬送方向Pの先方の位置に、加熱硬化装置5が配置されている。
バックテンション付与部7、主搬送部8、炉出口搬送部13の構成は、第1実施形態と同様である。
従って、バックテンション付与部7と主搬送部8との間の基板テープ3にはバックテンションが付与されているので、基板テープ3には弛みも歪みもなく、半導体装置2を正確な基板テープ3の所定位置に実装することができる。
【0078】
〔第3実施形態〕
第3実施形態は、基板テープ3の表面所定箇所に配線を施す等のために、メッキ槽に基板テープ3を搬送する基板テープの搬送装置である。
第1実施形態では、バックテンション付与部7と主搬送部8との間に封止樹脂塗布部6を配置し、バックテンション付与部7は、主搬送部8との間の基板テープ3にバックテンションを付与するものであった。
第3実施形態は、バックテンション付与部7と主搬送部8との間に、メッキ槽を配置し、搬送された基板テープ3を上記メッキ槽に搬送し、メッキ後にメッキ槽から搬出するようにしたものである。
【0079】
上記メッキ槽は、電解メッキ槽でも無電解メッキ槽でも良い。
基板テープ3にメッキ処理は、例えば基板テープ3に半導体装置3を載置固定した後、半導体装置3の各電極と導通させるための配線パターンを基板テープ3の表面に形成するものである。
よって、電解メッキ槽に搬送される基板テープ3には、バックテンションが付与されているので、撓みや歪みがない状態で基板テープ3にメッキ処理が施される。従って、上記配線パターンが正確な位置に形成でき、ショートすること無く良好に施されるものである。
バックテンション付与部7、主搬送部8の構成は、第1実施形態と同様である。
【0080】
〔変形例1〕
各実施形態の各クランパーにおいて、上爪は上爪ホルダーに固定されているものであった。その場合、上爪の基板テープとの接触面は、基板テープ表面と平行となるように調整しておかなければならない。特に上爪の基板テープとの接触面は、搬送方向P側(上爪の長手方向)の平行度の調整が重要となるものであった。
変形例1は、上爪に弾性部を備えており、上爪の基板テープとの接触面が基板テープ表面と多少平行でなかった場合にも、上記弾性部の弾性により上爪の基板テープとの接触面が基板テープ表面に満遍なく接触できるようにした弾性部具備構造である。
上記弾性部具備構造は、例えば上爪ホルダーに保持された上爪本体の基板テープ側にゴム板部材を接合させ、このゴム板部材の基板テープ側に上爪部を接合させたものである。上記上爪部の基板テープ側平面が、基板テープの表面を押圧するものである。
よって、上爪の基板テープ接触平面が基板テープの表面と多少平行でなかった場合でも、上爪が降下し下爪と相まって基板テープを挟み押圧することにより、上記ゴム板部材が弾性変形し、上爪の搬送方向P側(上爪の長手方向)の全長に渡って基板テープと接触することになり、同時に押圧力も全長に渡って均一化することになる。よって、上爪の基板テープ表面と滑ることをより確実に防止し、基板テープにバックテンションをより確実に付与することができる。
【0081】
上記弾性部具備構造は、バックテンション移動クランパー15以外にも適用できるものであり、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37、バックテンション保持クランパー21、主搬送部保持クランパー34、炉出口搬送部保持クランパー38において、各々の上爪に適用してもよく、また各クランパーの下爪、或いはレール部に適用しても良い。
また上記弾性部具備構造は、上述した構造に限定されるものではなく、その他の機構であってもよく、要するに基板テープを押圧する際に、基板テープと接する面が多少平行でなくても平行状に調整できる上爪、下爪、レール構造であればどのような弾性部具備構造を採用しても良いものである。
従って、上記弾性部具備構造は、例えば上爪又は下爪を弾性材で構成するだけによっても構成可能である。例えば、図2、図3、図5の上爪25、30、54を硬質の合成ゴム材から構成する。すると上爪25、30、54の基板テープ3との接触面が基板テープ3と多少平行でなかった場合でも、上爪の材料が弾性を有するので基板テープ3の表面に上爪の基板テープ3との接触面が馴染み、爪のほぼ全長に渡って良好に密着し押圧すること画可能である。
また上記弾性部具備構造は、上爪又は下爪を金属材や硬質のプラスチック材で形成し、上爪又は下爪において基板テープと接触する側に弾性板を接合するようにしても良い。その弾性板は、硬質合成ゴム、弾性プラスチック材であっても良い。
【0082】
〔変形例2〕
各実施形態の各クランパーにおいて、上爪は上爪ホルダーに固定されているものであった。その場合、上爪の基板テープとの接触面は、基板テープ表面と平行となるように調整しておかなければならない。特に搬送方向P側(上爪の長手方向)の平行度の調整が重要となるものであった。
変形例2は、上記上爪が上爪ホルダーに対して揺動できるようにしたものである。
この揺動機構により、上爪が基板テープを押圧すると上爪における基板テープとの接触面が基板テープの表面に馴染むことになるので、上爪がその長手方向の全長に渡って基板テープと接触し、押圧力も全長に渡って均一化するものである。
図9は、変形例2の具体例を図示したもので、図9の(1)は、バックテンション移動クランパー15に上記揺動機構を採用した主要部断面図であり、図9の(2)は、図9の(1)の右側面図である。図9は、図2の上爪25周辺の構造に、上記揺動機構を追加したものである。
【0083】
図9において、上記揺動機構は、上爪56を上爪ホルダー57に保持するにあたり、上爪保持ピン58を用いている。上爪保持ピン58は、上爪56を貫通し上爪ホルダー57に打ち込まれている。上爪保持ピン58の先端の鍔と上爪56との間にはコイルバネ59が配置され、コイルバネ59は上爪56を上爪ホルダー57に押圧し、上爪56が上爪ホルダー57に及び上爪保持ピン58に対してガタつかないようにしている。
上爪56は、上爪保持ピン58を中心に、図9の(2)の様に左右方向Sに揺動可能に保持されている。
【0084】
従って、上爪56は、図2の様に移動クランパーシリンダー23により降下すると下爪22bとにより、基板テープ3を上下から挟むことになる。その際、上爪56の基板テープ3との接触面が基板テープ3と平行ではなく、例えば長手方向の搬送方向P側先端(図9の(2)右端)が基板テープ3と接触しているが逆搬送方向Q側先端(図9の(2)左端)が基板テープ3と多少離れて隙間が生じている場合でも、上爪56が更に降下すると、上爪56は上爪保持ピン58を中心に逆搬送方向Q側先端(図9の(2)の左端)が下がる、つまり基板テープ3側に近づく)ことになる。よって、上爪56は搬送方向P側(長手方向)の全長に渡って基板テープ3と接触し、且つ上爪56と下爪22bとによる互いの押圧力も均一化することになる。
上記では上爪56側に上記揺動機構を採用する場合について言及したが、下爪側に上記揺動機構を採用してもよい。即ち、下爪における基板テープ3との接触面が基板テープ3と多少平行となっていない場合でも、上爪が更に降下すると、下爪は下爪保持ピンを中心に揺動し、上記と同様に上爪と下爪が搬送方向P側(長手方向)の全長に渡って基板テープ3と接触し、且つ上爪と下爪との押圧力を均一化することも可能である。
【0085】
なお、上記揺動機構は、バックテンション移動クランパー15以外にも適用できるものであり、主搬送部移動クランパー31、炉出口搬送部移動クランパー37、バックテンション保持クランパー21、主搬送部保持クランパー34、炉出口搬送部保持クランパー38において、各々の上爪部に適用してもよく、また各クランパーの下爪部、レール部に適用しても良い。
また上述した揺動機構は、図9の構造に限定されるものではない。要するに基板テープをクランプする際に、基板テープと接する面が多少平行でなくても平行状に調整できる上爪、下爪、レールの揺動機構ならばどのようなものでも良いものである。
【0086】
〔変形例3〕
各実施形態において、バックテンション付与手段として、磁気作用に基づくトルク制御装置16を用いたが、バックテンションを付与することが出来るならば上記トルク制御装置16以外の方法を用いても良い。
例えば、コイル状に巻かれたゼンマイを処理装置1に固定した容器車の円形内周に挿入し、容器車の中心に配置された容器回転軸にゼンマイの内端を取り付け、ゼンマイの外端を前記容器車の円形内周壁に摩擦接触させておく。上記容器回転軸は、前記タイミングベルト17に噛合う前記第1歯車19の回転軸に連結させておく。しかるにタイミングベルト17が移動させられると、その回転により回転させられた第1歯車19の回転軸に前記容器回転軸が連結しているので、上記回転に抗してゼンマイの外端が前記円形内周壁と摩擦摺動して、前記タイミングベルトの上記移動を妨げるブレーキがかかる。従って、タイミングベルト17にブレーキ力が掛かるが、タイミングベルト17に噛合っているバックテンション移動クランパー15を介して基板テープ3にもバックテンションが付与されるものである。従って、基板テープ3が搬送方向P側に搬送されると、その逆搬送方向Q側向きのバックテンションがかかることになる。
【0087】
〔変形例4〕
各実施形態において、バックテンション付与手段には、タイミングベルト17を用いていたが、バックテンション移動クランパー15の搬送方向P側及び逆搬送方向Q側の移動に連動して第1歯車19が回転するならば、どのような構造を用いてもよい。
例えば、剛体からなり、その上面及び下面に各々多数の歯が形成された板状部材を用意し、上記上面の歯がバックテンション移動クランパー15の下側に形成された歯と噛合い、上記下面の歯が上記第1歯車19の外歯と噛合い、上記板状部材が搬送方向P側及び逆搬送方向Q側に移動可能なように案内保持されてもよいものである。
【0088】
〔変形例5〕
第1実施形態において、バックテンション付与部7から炉出口搬送部13までの基板テープ3の長さが比較的短い場合には、主搬送部8を配置せず、主搬送部8の機能を炉出口搬送部13に持たせるようにし、炉出口搬送部13とバックテンション付与部7との間の基板テープ3にバックテンションを付与するようにしてもよい。
或いは、図1において、炉出口搬送部13から搬出された基板テープ3が巻取りリール等により自動的に巻き取られる場合には、炉出口搬送部13を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の基板テープの搬送装置は、基板テープに配置された電子部品の周囲に封止樹脂を連続的に塗布する封止樹脂塗布装置に利用することができる。それ以外にも基板テープに電子部品を配置し且つ基板テープとの間で導通させる連続的実装装置に適用することができる。更には、基板テープに連続メッキを施すメッキ装置に適用することもできる。
上記の基板テープに実装された電子部品の実装体は、基板テープから個々に切断して、例えば携帯電話、電子時計、小型電子計算機、パソコンなどに使用されるものである。
以上の他、基板テープは、電子部品の一部に用いるのではないテープに本発明を適用することも可能であり、たとえ連続プレス加工用の金属テープであってもよく、そのテープにバックテンションを付与するために本発明のバックテンション付与手段を用いた搬送装置であってもよいものである。
【符号の説明】
【0090】
1:処理装置、2:半導体装置、3:基板テープ、4:封止樹脂塗布装置、5:加熱硬化装置、6:封止樹脂塗布部、7:バックテンション付与部、8:主搬送部、9:第1ターンローラー、10:第2ターンローラー、11:第3ターンローラー、12:加熱部、13:炉出口搬送部、14:ニードル、15:バックテンション移動クランパー、16:トルク制御装置、17:タイミングベルト、17a:本体、17b:内歯、18:ステッピングモーター、19:第1歯車、20:第2歯車、21:バックテンション保持クランパー、22:バックテンション移動クランパー基台、22a:下端、22b、36b:下爪、23、41、42:移動クランパーシリンダー、23a、28a、41a:シリンダー軸、24、29、55:上爪ホルダー、25、30、54、56:上爪、26:バックテンション保持クランパー基台、27:レール、27a:内側上面、28、43、44:保持クランパーシリンダー、31:主搬送部移動クランパー、32:移動用回転軸、33、39:サーボモーター、34:主搬送部保持クランパー、35:移動用回転軸受、36:主搬送部移動クランパー基台、36a:ネジ穴、37:炉出口搬送部移動クランパー、38:炉出口搬送部保持クランパー、40:制御コントローラー、45〜50:電磁バルブ、51〜53:ドライバー、58:上爪保持ピン、59:コイルバネ、60:揺動レバー、61:紐、62:小ローラー、63:錘、64:タイミングベルト噛合板、64a:上歯、P:搬送方向、Q、R:逆搬送方向、S:左右方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の少なくとも一部となる基板を構成する基板テープの搬送装置であって、
前記基板テープを所定搬送方向に搬送するための搬送部と、
前記基板テープに前記搬送方向とは逆方向のバックテンションを付与するバックテンション付与部と、を備え、
前記搬送部は、前記搬送時に挟持した基板テープを搬送方向に搬送する搬送部移動クランパーと、基板テープの非搬送時に基板テープを挟持し、前記基板テープの搬送時に挟持しない搬送部保持クランパーとを有し、
前記バックテンション付与部は、
前記搬送時に基板テープを挟持し前記搬送方向に移動されるバックテンション移動クランパーと、前記バックテンション移動クランパーが前記搬送部移動クランパーにより前記搬送方向に移動させられる際に、前記バックテンション移動クランパーに前記搬送方向の移動を妨げるバックテンションを付与するバックテンション付与手段とを備えており、
前記搬送部移動クランパーとバックテンション移動クランパーは、
基板テープの表面と接触する表面接触部と、基板テープの裏面と接触し前記表面接触部と協働して基板テープを挟持する裏面接触部とを備えており、
前記表面接触部と裏面接触部とは、ほぼ平面に形成されている
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載された基板テープの搬送装置であって、
前記搬送部移動クランパー及びバックテンション移動クランパーにおける前記表面接触部と裏面接触部の少なくともいずれか一方は、爪部であり、
前記爪部の前記平面の形状は、前記搬送方向側の寸法が長く前記搬送方向に直交する幅方向側の寸法が前記搬送方向側の寸法より短い
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載された基板テープの搬送装置であって、
前記搬送部移動クランパー及び前記バックテンション移動クランパーにおける前記表面接触部と裏面接触部は、前記爪部である
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置であって、
前記バックテンション付与部は、前記バックテンション移動クランパーに近接して配置され、基板テープの前記非搬送時に基板テープを挟持し前記基板テープの搬送時に挟持しないバックテンション保持クランパーを有し、
前記搬送部保持クランパー及びバックテンション保持クランパーは、前記表面接触部が前記爪部で構成され、前記裏面接触部が前記基板テープを載置するレール状に構成されている
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置であって、
前記搬送部は、
前記搬送部移動クランパーを前記搬送方向又は逆搬送方向に移動させる移動クランパー駆動手段を備えている
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項6】
請求項1または請求項5のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置であって、
バックテンション付与手段は、
前記搬送部移動クランパーが基板テープを挟持して前記搬送方向に搬送し移動している際に、前記表面接触部及び裏面接触部が基板テープを挟持している状態で前記搬送方向に移動させられている前記バックテンション移動クランパーに噛み合うことにより駆動されるタイミングベルトと、
前記タイミングベルトが前記駆動される際に前記搬送部移動クランパーによる前記搬送方向の搬送力に抗して該搬送力より小さい前記バックテンションを前記タイミングベルトに付与するバックテンション発生部とを備えている
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項7】
請求項6に記載された基板テープの搬送装置であって、
前記搬送部とバックテンション付与部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
基板テープの搬送の前記開始前段階では、搬送部の前記搬送部保持クランパーを閉じて実装テープを挟持させ、前記バックテンション移動クランパーを開くとともに前記バックテンション移動クランパーを前記搬送方向側の所定位置に移動するまで前記タイミングベルトを駆動するようタイミングベルト駆動手段を駆動させ、しかる後、前記搬送部保持クランパーを開く前に前記バックテンション移動クランパーを閉じて実装テープを挟持させ、前記搬送部保持クランパーを開いた後、前記タイミングベルト駆動手段を駆動して前記バックテンション移動クランパーを前記搬送方向とは逆方向側の所定位置まで駆動して前記バックテンション移動クランパーを介して前記基板テープにバックテンションを付与させ、
基板テープの前記搬送時には、前記搬送部移動クランパーとバックテンション移動クランパーを閉じた後に、前記搬送部保持クランパーを開いて実装テープを挟持させず、この後に前記搬送部移動クランパーとバックテンション移動クランパーを閉じて実装テープを挟持させ、且つ前記移動クランパー駆動手段を駆動して前記搬送部移動クランパーを搬送方向に移動させることにより前記バックテンション移動クランパーを介して基板テープにバックテンションを付与させることを特徴とする基板テープの搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちいずれかに記載された基板テープの搬送装置は、基板テープに実装された前記電子部品への封止樹脂の塗布及び前記封止樹脂の加熱硬化を行う処理装置であって、
前記搬送方向に向かって順に、前記電子部品への封止樹脂の塗布を行う封止樹脂塗布部、前記封止樹脂の加熱硬化部を供えており、
前記バックテンション付与部は、前記封止樹脂塗布部に対して前記逆搬送方向側に配置されており、
前記搬送部は、前記封止樹脂塗布部と前記加熱硬化部との中間位置と、前記加熱硬化部に対して前記搬送方向の先方側とに配置されている
ことを特徴とする基板テープの搬送装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−54587(P2011−54587A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199176(P2009−199176)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【Fターム(参考)】