説明

基板取付構造

【課題】コイルやコンデンサなどの重量物となる比較的重い部品を基板に搭載した場合であっても、基板の振動を抑える。
【解決手段】フィルタボックス112の基板取付面113aに、ボルト取付部119を利用して基板117を取り付ける。基板117には、コイルを取り付けたコイルケース125,127を、締結部137を利用して取り付ける。基板取付面113aには、格子状の補強リブ121を一体形成し、そのうちコイルケース125,127(コイル123)の縦方向の中心軸Lおよび横方向の中心軸Mにそれぞれ対応する第1補強リブ147および第2補強リブ149の高さを高くしてそれらの先端面を基板117の裏面に当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を搭載した基板をハウジングに取り付ける基板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板上にバッテリ充電用スイッチング電源を搭載した基板回路組立体を、該基板回路組立体を覆うようにしてハウジング内に収容したヒートシンクに取り付けた基板取付構造が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3006939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばコイルやコンデンサなどの比較的重い重量物となる部品を基板に搭載した場合には、外部から振動入力を受けたときに、剛性の低い基板が振動しやすく、搭載部品や基板に悪影響を及ぼすことになる。
【0005】
そこで、本発明は、コイルやコンデンサなどの重量物となる比較的重い部品を基板に搭載した場合であっても、基板の振動を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ハウジングの基板取付面に、基板の部品を取り付けた面と反対側の面が当接する補強部を設け、この補強部は、部品の重心を通る軸線に対応する位置に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハウジングの基板取付面に設けた補強部が、部品の重心を通る軸線に対応する位置に設定されているので、部品は補強部を中心としてその両側の重量が略同等となって補強部が部品の重量を効率的に保持できる。そのため、外部から振動入力を受けたときに、補強部を中心としてその両側の重量が異なる場合に比較して基板の振動を抑えることができ、搭載部品や基板に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る充電装置を搭載した車両後部を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】図1の充電装置を下から見た底面図である。
【図3】図1の充電器の内部を示す正面図である。
【図4】図3の基板の主要部を抜き出して見た正面図である。
【図5】第1コンデンサの取付状態を示す斜視図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】第1コンデンサ用取付板を示す斜視図である。
【図8】図7のA−A線による断面図である。
【図9】図7のB−B線による断面図である。
【図10】第2コンデンサの保持状態を示す斜視図である。
【図11】図10の正面図である。
【図12】図10の保持台を示す斜視図である。
【図13】図12の保持台を示す平面図である。
【図14】図10の第2コンデンサ用取付板を示す斜視図である。
【図15】図14のC−C線による断面図である。
【図16】図14のD−D線による断面図である。
【図17】ノイズフィルタボックスを分解した斜視図であり、蓋は省略している。
【図18】コイルケースの正面図である。
【図19】コイルケースの側面図である。
【図20】コイルケースの底面図である。
【図21】ノイズフィルタボックスの筐体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
なお、本実施形態においては、電動車両の一例として電気自動車を例にとって説明するが、電気自動車以外にも、いわゆるハイブリッド車等にも適用可能である。
【0011】
図1に示すように、車両室内の後部には、本実施形態に係わる充電装置1を配置してある。車体の側部には、車内側に突出する左右一対のホイールハウス3,3を設けてあり、これらのホイールハウス3,3同士を円筒状の取付バー5,5により車幅方向に沿って連結している。
【0012】
前記充電装置1は、充電器7と、該充電器7を車体のフロアパネル9に取り付ける側部側取付プレート11および中央側取付プレート13と、図示しないバッテリへの充電時に使用する外部の電源やハーネスから発生するノイズ(伝導ノイズ)を除去するノイズフィルタ15と、を備えている。
【0013】
前記充電器7は、内部に後述する基板47等を収容する充電器本体17と、該充電器本体17の車両前方側の開口部を封鎖する蓋19と、充電器本体17の左右両端部の蓋19近傍に設けた取手21とを備えている。また、充電器本体17の上面17aの車幅方向両側における車両後方端部付近には、円柱状の取付部23が上方に向けて突出しており、該取付部23とその後方に位置する取付バー5のブラケット25とを、平面状の支持プレート27およびボルト29を介して連結している。この支持プレート27は、弾性を有する金属から形成している。なお、取付部23の上面と取付バー5のブラケット25の上面とは、略同一高さに設定している。
【0014】
また、前記側部側取付プレート11の前後両端部には取付部31を下方に凹んで形成し、該取付部31は、図2に示す取付部31に形成したボルト孔33にボルト29を挿入してフロアパネル9に締結している。
【0015】
前記中央側取付プレート13の前部には下方に凹んだ取付部35を形成し、該取付部31は、取付部35に形成したボルト孔33にボルト29を挿入してフロアパネル9に締結している。さらに、図2に示すように、中央側取付プレート13には、ノイズフィルタ15から引き出された接地線37の他端を接続することで接地しており、その接地点Pは、取付部35のボルト孔33を通り車両前後方向に延びる直線Lよりも車幅方向内側(直線Lを挟んで充電器7と反対側)に設定している。また、図示していないが、ノイズフィルタ15と充電器本体7とを接地線で接続している。
【0016】
これにより、充電器本体17から発生する放射ノイズを、上記した図示しない接地線からノイズフィルタ15を経て、中央側取付プレート13に接続した接地線37を通って確実に除去することができる。その結果、図示しない外部の電源から電源ラインを経て侵入するノイズの除去を、より確実なものとすることができ、充電装置1の誤作動を抑制することができる。
【0017】
なお、充電器7には、冷却部を設けており、該冷却部内に冷却水を導入する冷却水入口39、冷却水を排出する冷却水出口41およびエア抜き口43を設けている。
【0018】
図3に示すように、充電器本体17内には、左端部に第1コンデンサ45を配置し、該第1コンデンサ45の右側に基板47を配置している。
【0019】
前記基板47は、図3,4に示すように、角部に複数の取付部49を配置し、これらの取付部49を介して充電器本体17の縦壁面51に取り付けている。基板47の左側上部には第1補強部材53を取り付け、右側には上下方向に沿って第2補強部材55を取り付け、左側の下端には左右方向に沿って第3補強部材57を取り付けている。
【0020】
これら各補強部材53,55,57は、板状の部材を適宜組み合わせて基板47上に、例えば接着剤を用いて固定している。
【0021】
図3,4に示すように、前記第1補強部材53には、周囲が囲まれた囲い部58,59,60を複数設けており、これらの囲い部58,59,60の内部に、コンデンサ61、コイル63、抵抗65およびリレーなどの各種の電子部品を配置している。また、前記第2補強部材55にも、複数の囲い部68,69,70,71を設けており、これらの囲い部68〜71の内方に、コンデンサ61、コイル73、抵抗65およびダイオード75等の各種の電子部品を配置している。なお、第2補強部材55の下側には、第2コンデンサ77を取り付けている。
【0022】
第2補強部材55の右上端部55aは、基板47の充電器本体17への取付部49近傍に配置し、第2補強部材55の下端部55bも取付部49近傍に配置している。また、第3補強部材57は、左端部57aを基板47の取付部49近傍に配置し、右端部57bも取付部49近傍に配置している。このように、第2および第3補強部材55,57は、基板47の取付部49近傍同士を結ぶように延設して配置している。
【0023】
ここで、基板47は、通常ガラスエポキシなどの樹脂で構成していて、外部からの振動入力によって振動しやすいものとなっている。このため、上記したような補強部材53,55,57を設けることで、基板47の面剛性が高まり、特に車両走行時での充電装置1への振動入力による基板47の振動を抑えることができる。
【0024】
特に、これら補強部材53,55,57を、電子部品としては重量物となるコイル63,73などの周囲を囲むように設定し、あるいは取付部49近傍まで延設することで、基板47の振動をより効果的に抑えることができる。
【0025】
図5,6に示すように、第1コンデンサ45は、略円筒状に形成しており、互いに同一形状の一対の第1コンデンサ用取付板79,79により上下から挟持されている。具体的には、図7〜9に示すように、第1コンデンサ用取付板79は、互いに間隔をおいて配置した締結板となる当接面81,81と、これらの当接面同士81,81を半円状に結ぶ2つのバンド部83,85とが一体に結合して構成されている。
【0026】
これらのバンド部83,85は、弾性変形可能な細長い板状部材を湾曲させて形成したものであり、一方側のバンド部83の頂部には、下方(内周方向)に突出する凸部87を1箇所形成し、他方側のバンド部85の頂部には、上記凸部87に対して周方向にずれた位置となる2つの凸部89,89を下方に向けて突出形成している。従って、第1コンデンサ用取付板79を上から見ると合計で3箇所の凸部87,89,89が形成されている。
【0027】
そして、これら一対の第1コンデンサ用取付板79,79を上下に組み合わせると、凸部87を1つ備えるバンド部83の下側に、凸部89を2つ備えるバンド部85が位置し、凸部89を2つ備えるバンド部85の下側に、凸部87を1つ備えるバンド部83が位置する。これにより、上下方向に沿った断面においても、凸部87,89が合計で3箇所配置されるように構成される。
【0028】
このように、第1コンデンサ用取付板79を上から見ると合計で3箇所の凸部87,89,89を備えると共に、上下方向に沿った断面においても、凸部87,89が合計で3箇所備えている。このため、これら各3箇所の凸部によって第1コンデンサ45を弾性的に押圧保持することで、外形形状にばらつきのあるコンデンサであっても、安定した固定状態を確保することができる。
【0029】
図10〜14を用いて、第2コンデンサ77の保持状態を説明する。
【0030】
第2コンデンサ77は、略円筒状に形成されており、下側に配置した保持台91と、上側に配置した第2コンデンサ用取付板93とにより挟持されている。前記保持台91は、図12,13に示すように、上面の保持面95を第2コンデンサ77の外周面に沿った凹面状に形成している。この凹面状の保持面95の一端側(図13中で右側)に2つの突起97を設け、保持面95の他端側(図13中で左側)には1つの突起97を設けている。これらの突起97は、保持される第2コンデンサ77の軸方向(図13中で左右方向)に沿って延びるように細長く形成されている。
【0031】
また、保持台91の外側面の一方側(図13中で下部側)の下端部には、基板47に取り付ける基板取付部99が2箇所形成され、他方側の下端部には基板取付部99を1箇所形成している。この2箇所の基板取付部99相互間の上部には、1箇所のバンド取付部101を設け、上記1箇所の基板取付部99の両側の上部には、2箇所のバンド取付部101を設けている。従って、図13に示すように、平面視で、保持台91の外側面の一方側にはバンド取付部101と基板取付部99とを合計で3箇所設け、他方側にもバンド取付部101と基板取付部99とを合計で3箇所設けていることになる。
【0032】
なお、図11に示すように、第2コンデンサ77の中心軸をCとした場合、第2コンデンサ用取付板93における後述するバンド部105の凸部110と第2コンデンサ77の外周面との2箇所の接触部分と、中心軸Cとを結ぶ直線の中心角θは、90°以下に設定している。
【0033】
これにより、第2コンデンサ用取付板93を保持台91に取り付けるときに、バンド部105の2箇所の凸部110が第2コンデンサ77の外周面に沿って下方に移動してバンド部105が効率よく弾性変形して拡開し、第2コンデンサ77の保持が安定する。
【0034】
また、図14〜16に示すように、第2コンデンサ用取付板93は、互いに間隔をおいて配置した締結面となる当接面103,103と、これらの当接面103,103同士を結ぶ2つのバンド部105,107とが一体に結合して構成されている。これらのバンド部105,107は細長い板状部材を湾曲させて形成したものであり、一方側のバンド部107の頂部には、下方(内周方向)に突出する凸部109を1箇所形成し、他方側のバンド部105には、上記凸部109に対して周方向にずれた位置にある2つの凸部110,110を下方に向けて突出形成している。従って、第2コンデンサ用取付板93を上から見ると合計で3箇所の凸部109,110が形成されている。
【0035】
そして、第2コンデンサ用取付板93を保持台91に組み付けたときに、凸部109を1つ備えるバンド部107の下側には、保持台91の突起97が2つ位置し、凸部110を2つ備えるバンド部105の下側には、保持台91の突起109が1つ位置するものとする。これにより、上下方向に沿った断面においても、凸部109,110と突起97が合計で3箇所配置されるように構成される。
【0036】
このように、第2コンデンサ用取付板93を上から見ると合計で3箇所の凸部109,110を備えると共に、上下方向に沿った断面においても、凸部109,110と突起97が合計で3箇所備えている。このため、これら各3箇所の凸部や突起によって第2コンデンサ77を弾性的に押圧保持することで、外形形状にばらつきのあるコンデンサであっても、安定した固定状態を確保することができる。
【0037】
図17に示すように、ノイズフィルタ15を構成するハウジングとしてのフィルタボックス112は、樹脂製の箱状部材であり、図1に示す充電器本体17と反対側に開口部を備えるボックス本体112aと、ボックス本体112aの上記開口部を封鎖する蓋112bとを備えている。
【0038】
ボックス本体112aは、基板117が取り付けられる箱状部材の底壁に相当する側壁113と、該側壁113の外周を囲んだ外周壁115とを備えている。前記側壁113の四隅には、基板117をボルト締結するボルト取付部119を形成し、また、側壁113の基板117を取り付ける側の基板取付面113aには、上下方向および左右方向に沿って正面視格子状の補強リブ121を側壁113に一体形成している。
【0039】
そして、基板117の側壁113と反対側の一方の面には、コイル123を巻回したコイルケース125,127等の部品を取り付けている。このため、補強リブ121は、基板117の他方の面に対向する基板取付面113aに設けていることになる。
【0040】
前記基板117のボルト孔129とフィルタボックス112の側壁113のボルト取付部119とを対応させ、前記ボルト孔129に図外のボルトを挿入してボルト取付部119に締結させることにより、基板117を側壁113の基板取付面113aに取り付けている。
【0041】
図18〜図20は、樹脂製の前記コイルケース125を示している。コイルケース125は、下側に位置する支持部131と、該支持部131の上側に位置するコイル保持部133と、を備えている。前記コイル保持部133は、中心部に貫通孔133aを備えて正面視略円盤状に形成されており、コイル保持部133に貫通孔133aを通してコイル123が巻回される。
【0042】
また、支持部131の底面の外形は図20中で左右方向に長い略長方形状を呈し、その底面の四隅にはボルト締結部137を形成している。このボルト締結部137に対応して基板117側にはボルト挿入孔を備え、該ボルト挿入孔にコイルケース125と反対側からボルト138を挿入してボルト締結部137に締結することで、コイルケース125を基板17に取り付ける。
【0043】
そして、支持部131の底面における上記長方形状の各辺(四辺)の中央、即ち、ボルト締結部137相互間の中央にそれぞれ1箇所、支持部131の底面の中心部に1箇所、合計5箇所の接合部139を互いに離間して設けている。これらの接合部139同士は、8本の連結リブ141により互いに連結している。
【0044】
また、図20中で上部側の2つのボルト締結部137と、この2つのボルト締結部137と同一直線上にある接合部139との間の底面には、図18中で下方に延びて基板117の位置決め孔に挿入される位置決めピン135が2本突出している。
【0045】
なお、図20に示すように、5箇所の接合部139の底面139aは、円形状に形成されると共に、図18,19に示すように、ボルト締結部137の底面137aから高さHだけ上側に配置されている。このため、ボルト締結部137を基板117の上に締結すると、基板117と接合部139の底面139aとの間に高さH分の隙間が形成される。
【0046】
そして、前記接合部139の底面139aに接着剤を塗布することで、接合部139と基板117の表面とを接着剤を介して接合する。その際、接着剤は上記高さH分の隙間に位置することになるので、基板117と接合部139の底面139aとの間に接着剤を確実に介在させることができる。また、接合部139の底面139aが円形状であることから、接着剤を底面139a全域に効率よく塗布することができる。
【0047】
一方、図21の正面視で示すように、フィルタボックス112の側壁113に設けた補強リブ121は、上下方向(縦方向)に延設される縦リブ143と、該縦リブ143に交差して略水平方向(横方向)に延設される横リブ145とで、格子状に形成している。
【0048】
これらの補強リブ121のうち、フィルタボックス112への取付状態を二点鎖線で示すコイルケース125の支持部131の左右方向中央に位置して縦方向に延びる中心軸Mに対応する縦リブ143を第1補強リブ147とする。また、コイルケース125の支持部131の上下方向中央を通り横方向に延びる中心軸Nに対応する横リブ145を第2補強リブ149とする。
【0049】
なお、第1補強リブ147が第1補強部を、第2補強リブ149が第2補強部をそれぞれ構成し、これら第1補強部および第2補強部で補強部を構成している。
【0050】
すると、コイルケース125を側壁113に取り付けたときに、コールケース125の支持部131に設けた接合部139が第1補強リブ147上に3箇所配置され、第2補強リブ149上にも3箇所配置される。また、4箇所のボルト締結部137も縦リブ143上に配置される。なお、図21に示すように、コイルケース125と同形状の下側に配置したコイルケース127も同様に、5箇所の接合部151は第1補強リブ147と第2補強リブ149の上に配置される。また、4箇所のボルト締結部153は縦リブ143上に配置される。
【0051】
ここで、第1補強リブ147および第2補強リブ149の基板取付面113aからの高さは、ボルト取付部119の基板取付面113aからの高さと略同等であって、他の補強リブ121の基板取付面113aからの高さよりも高くなっている。
【0052】
つまり、基板117を基板取付面113aに取り付けたときに、基板117の裏面はボルト取付部119の先端面に当接すると共に、補強部である第1補強リブ147および第2補強リブ149の先端面にも当接する。その際、コイルケース125,127を基板117に取り付ける際に使用する前記したボルト138の頭部は、第1補強リブ147および第2補強リブ149よりも高さの低い他の補強リブ121と基板117との間に位置する。
【0053】
このように、本実施形態によれば、フィルタボックス112の基板取付面113aに設けた第1補強リブ147および第2補強リブ149は、部品であるコイル123およびコイルケース125(127)の前記各中心軸M,Nに対応する位置に設定されている。
【0054】
ここでコイル123およびコイルケース125(127)は、図21の二点鎖線で示す取付状態で、上記中心軸Mに対して略左右対称形状であると共に、中心軸Nに対して略上下対称形状である。このため、コイル123およびコイルケース125(127)からなる部品の重心は、その中心部の1箇所の接合部139に対応する位置となり、この重心は、第1補強リブ147と第2補強リブ149とが交差する位置に対応することになる。従って、中心軸M,Nは、部品の重心を通る軸線に相当する。
【0055】
つまり、補強部は、部品の重心に対応する位置を一方向(縦方向)に延びる第1補強部と、この第1補強部に対して交差する方向(横方向)に延びる第2補強部と、を有することになる。
【0056】
中心軸M,Nが、コイル123およびコイルケース125(127)からなる部品の重心を通る軸線としたとき、中心軸Mを基板取付面113aに対して垂直な方向にフィルタボックス(ハウジング)の側壁113上に投射した軸線上に第1補強リブ147が設けられ、中心軸Nを基板取付面113aに対して垂直な方向にフィルタボックス(ハウジング)の側壁113上に投射した軸線上に第2補強リブ149が設けられる。この実施形態では、中心軸Mと中心軸Nとは直交しており、第1補強リブ147が延びる方向と第2補強リブ149が延びる方向も互いに直交している。
【0057】
このように本実施形態によれば、基板117を基板取付面113aのボルト取付部119に取り付けたときに、基板117の裏面が、補強部である第1補強リブ147および第2補強リブ149の先端面に当接するので、取付状態での基板117の面剛性を高めることができる。
【0058】
その結果、例えば充電装置1を搭載した車両が走行する際に、フィルタボックス112が振動を受けたとしても、取付状態での面剛性を高めた基板117の振動を抑えることができ、搭載部品であるコイル123や基板117に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0059】
その際、本実施形態では、第1補強リブ147および第2補強リブ149を、部品の重心を通る中心軸M,Nに対応する位置に設定している。これにより、部品は、第1、第2補強リブ147,149を中心としてそれら両側の重量が略同等となって、各補強リブ147,149が部品の重量を効率的に保持できる。このため、フィルタボックス112が外部から振動入力を受けたときに、部品がコイル123のような重量物であっても、該部品を起点とする基板117の振動を、補強部(重心)を中心としてその両側の重量が異なる場合に比較してより効率的に抑えることができ、搭載部品や基板に悪影響を及ぼすことをより確実に抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、補強部は、部品の重心に対応する位置を一方向に延びる第1補強部である第1補強リブ147と、この第1補強部に対して交差する方向に延びる第2補強部である第2補強リブ149と、を有している。このため、基板117の上下方向および左右方向の面剛性が高まり、外部振動入力に対する抑制効果をより一層高めることができる。
【0061】
また、本実施形態では、補強部である第1補強リブ147および第2補強リブ149は、ハウジングであるフィルタボックス112のボックス本体112aに一体化している。このため、第1補強リブ147および第2補強リブ149は、ボックス本体112aの樹脂成形時に一体形成できるので、第1補強リブ147および第2補強リブ149をボックス本体112aとは別に製造する場合に比較して製造が容易となり、コスト低下に寄与することができる。
【0062】
また、これら第1補強リブ147および第2補強リブ149は、フィルタボックス112の補強リブとしても機能するので、他の補強リブよりも高さを高くする分、フィルタボックス112の剛性をより高めることができる。
【0063】
なお、上記した実施形態では、基板117に搭載する部品として、コイル123およびコイルケース125(127)を例にとって説明したが、これらの部品に限るものではなく、他の重力物である例えばコンデンサなどでもよい。
【符号の説明】
【0064】
112 フィルタボックス(ハウジング)
113a フィルタボックスの基板取付面
117 基板
123 コイル(部品)
125,127 コイルケース(部品)
147 第1補強リブ(第1補強部、補強部)
149 第2補強リブ(第2補強部、補強部)
M,N 中心軸(部品の重心を通る軸線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に部品を取り付けた基板をハウジングに取り付け、このハウジングにおける前記基板の他方の面に対向する基板取付面に、前記基板の他方の面が当接する補強部を設け、この補強部は、前記部品の重心を通る軸線に対応する位置に設定されていることを特徴とする基板取付構造。
【請求項2】
前記補強部は、前記部品の重心に対応する位置を一方向に延びる第1補強部と、この第1補強部に対して交差する方向に延びる第2補強部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の基板取付構造。
【請求項3】
前記補強部は、前記ハウジングに一体化していることを特徴とする請求項1または2に記載の基板取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−23153(P2012−23153A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159072(P2010−159072)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000004606)ニチコン株式会社 (656)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】