説明

基板検査装置

【課題】基板検査装置において、搬送路が長くなっても、基板が変形することなく、しかも良好な精度で基板を搬送することができるようにする。
【解決手段】被検体である薄板状の基板4を搬送するための浮上ステージ1A、2A、3Aと、これら浮上ステージの搬送方向に直交する方向のいずれかの側方に配置され、基板4の端部を保持して基板4に搬送力を付勢する吸着搬送部5、6、7を備え、これら吸着搬送部の間で、基板4を順次受け渡すことにより基板4の搬送を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板検査装置に関する。例えば、液晶ガラス基板などのような薄板状の基板を水平搬送して表面欠陥を検査する基板検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイの大型化に伴い、液晶ガラス基板も大型化している。そのため、このような薄板状の基板の表面欠陥を検査する基板検査装置は、製造工程にある基板をガス浮上ステージなどの搬送ステージに移載し、基板の端部を例えば吸着保持するなどして検査部に搬送し、検査部において基板を水平移動することで基板表面の検査を行うものが多い。それにより、基板移動のための時間、エネルギーロス、および搬送による基板へのダメージなどを低減している。
例えば、特許文献1には、基板を浮上させる浮上ブロックと、浮上ブロック上の基板の両端を吸着保持して一方向に基板を搬送する基板搬送部を備える基板搬送装置が記載されている。
また、特許文献2には、ころ搬送部の片側に搬送方向に沿ってYテーブルが設けられ基板の片側を把持機構により厚さ方向に把持して搬送するフラットパネル検査装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−279335号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−9661号公報(図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の基板検査装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、基板搬送部により、基板の両端を吸着保持して搬送するので、基板の大型化に伴いたわみやすくなっている薄板状の基板では、基板搬送部の平行度の狂いなどにより基板が変形しやすくなり、基板が歪むことで検査精度に影響するといった問題がある。
また、特許文献1に記載の基板検査装置では、浮上ブロックに対して、共通の基板搬送部を設けているが、搬送路のレイアウトや検査部の数などによっては複数の浮上ブロックを配列して長大な搬送路を形成するとともに、搬送路中に複数の製造装置や検査装置を配置する必要がある場合がある。このような場合、複数の浮上ブロックと各装置に共通する両端保持の基板搬送部を設けるには、互いの配置精度を高精度にする必要があるため、基板検査装置の設置の手間や組立コストが増大してしまうという問題がある。特に基板検査装置は、外部からの振動を遮断するために除振台に載せられている。このように除振台に載せられた装置の場合、基板の移動にともない除振台に載せられた浮上ブロックの上面が傾いたり、外部からの振動により複雑な動きを行うため、共通の基板搬送部を設けることができないという問題がある。
後者の問題を回避するため、基板搬送部を浮上ブロックごとに分割して設けることも考えられるが、一方の基板搬送部から他方の基板搬送部に載せ替えるための搬送ロボットなどが必要となり、装置構成が複雑となってしまうという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、基板を下流側の搬送部に受け渡す場合に基板を一度離す必要がある。このとき、基板は水平方向の拘束がなくなるので、基準位置にアライメントされた基板の位置決め状態が損なわれてしまう。そのため、受け渡し後に再度アライメント調整を行わなければならないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、搬送路が長くなっても、基板が変形することなく、しかも良好な精度で基板を搬送することができる基板検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の基板検査装置は、被検体である薄板状の基板を搬送するための搬送ステージと、該搬送ステージの、搬送方向に直交する方向のいずれかの側方に配置され、前記基板の端部を保持して該基板に搬送力を付勢する複数の片側搬送部とを備え、該複数の片側搬送部の間で前記基板を順次受け渡すことにより、該基板の搬送を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の基板検査装置によれば、複数の片側搬送部の間で基板を受け渡して搬送するので、搬送長さが長くなっても、基板が変形することなく、しかも良好な精度で基板を搬送することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0008】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る基板検査装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。図2(a)は、図1のA部の部分拡大図である。図2(b)は、図2(a)のB視正面図である。
【0009】
本実施形態は、例えば液晶ガラス基板などからなる薄板状の基板4を被検体とし、基板4を水平方向に、浮上させながら搬送して、基板4の表面を検査する基板検査装置100に適用したものである。
基板検査装置100の概略構成は、図1に示すように、基板搬入部1、検査部2、および基板搬出部3が、搬送方向に沿ってこの順に配置されてなる。
基板4の平面視形状は、搬送方向の長さがL、搬送方向に直交する方向(以下、搬送幅方向と略称する)の幅がWの略矩形状であるとして説明する。
【0010】
基板搬入部1は、装置外部から、例えば搬送ロボットなどにより搬送された基板4を複数のリフトピンを備えたリフタにより受け取り、浮上ステージ1Aに載置し、浮上ステージ1A上に浮上した基板4を、水平面内で搬送方向および搬送幅方向に位置決めする基準ピン8a、8a、8bと押付けピン8c、8cからなる基板位置決め機構を備え、さらに、浮上ステージ1Aおよび吸着搬送部5(片側搬送部)を備える。
浮上ステージ1Aは、基板4を水平方向に載置して水平方向に移動自在とし、基板4を低荷重で一定方向に搬送するための搬送ステージである。本実施形態では、不図示のエア供給源に接続されたエア噴射孔Nがステージ表面に多数設けられ、これらエア噴射孔Nからエアを噴射することで、基板4を浮上支持するガス浮上ステージにより構成されている。
浮上ステージ1Aの大きさは、搬送方向の長さが、基板4の搬送方向長Lよりも長く、搬送幅方向の幅が、基板4の幅Wよりわずかに狭い設定とされる。
【0011】
基準ピン8a、8aは、基板4の搬送幅方向側の端部に突き当てることで、搬送幅方向の位置決めを行うための係止部材であり、浮上ステージ1Aの搬送方向に向かって右側(図1の下側、以下、搬送方向右側と略称する)の固定配置で、基板4の載置面に対して上下方向に出没可能に設けられている。
基準ピン8bは、基板4の搬送方向側の端部に突き当てることで、搬送方向の位置決めを行うための係止部材であり、浮上ステージ1Aの搬送方向下流側において、基板4の載置面に対して上下方向に出没可能に設けられている。
なお、図1は模式図のため大きさなどが誇張されている結果、基準ピン8bがスライドガイド9と干渉するような位置関係に描かれているが、基準ピン8bは、スライドガイド9から少し離れた位置に設けられ、さらにスライダ10と干渉しないように基板4の位置決め後に下降して後述する吸着搬送部5と干渉しない位置に退避できるように構成される。
押付けピン8cは、基板4を押圧して基準位置に設置された基準ピン8a、8a、8b側に付勢するための押圧部材であり、浮上ステージ1Aの搬送方向に向かって左側(図1の上側、以下、搬送方向左側と略称する)と浮上ステージ1Aの搬送方向上流側において、基板4に向けて移動可能に設けられている。
【0012】
なお、基準ピン8a、8b、押付けピン8cは、基板4の端部を傷つけることなく当接することができる係止部材であれば、ピン状部材には限定されず、例えばブロック状の部材であってもよい。また、押圧部材は、表面が緩衝材などに覆われていてもよい。
【0013】
吸着搬送部5は、浮上ステージ1Aの搬送方向右側に沿って配置され、浮上ステージ1A上に浮上支持された基板4の搬送方向右側の裏面側を吸着保持し、搬送方向に搬送力を付勢するものである。
吸着搬送部5の概略構成は、図2(a)、(b)に示すように、スライドガイド9、スライダ10、昇降機構11、昇降ベース12、吸着ベース13、および吸着ブロック14からなる。
【0014】
スライドガイド9およびスライダ10は、スライドガイド9をガイド部材として、スライダ10を一定の直線上で往復移動せしめる移動機構であり、本実施形態では、リニアモータを採用しているが、ボールネジなどを用いた1軸駆動機構を採用することもできる。
吸着搬送部5のスライドガイド9は、図1に示すように、浮上ステージ1Aの搬送方向右側に沿って配置され、浮上ステージ1Aにおける基準位置決め領域Pの中間部から、浮上ステージ2Aの上流側の基板受渡し領域Pの中間部まで延ばされている。
【0015】
昇降機構11は、スライダ10上に固定され、基板4を搬送する際に吸着ベース13を上昇させ、基板4を受渡して、元の位置に戻る際に基板4に干渉しないように下降させるものである。
昇降ベース12は、昇降機構11の上端面に設けられた吸着ベース13を保持する保持部材である。
吸着ベース13は、複数の吸着ブロック14を上面側に固定するために設けられた、基板4の搬送方向長さLよりわずかに短い長さの矩形状の支持部材であり、長手方向が浮上ステージ1Aの端面に平行となる状態で昇降ベース12上に固定されている。
吸着ブロック14は、その上端面で、基板4の搬送方向右側の端部を裏面側から吸着するための吸着パッドであり、各上端面が平面上に整列した状態で、吸着ベース13上に適宜間隔をあけて複数設けられている。本実施形態では、基板4の搬送方向幅方向の端部の全長Lを略等分割する位置に6個設けられ、片側の端部が全体的に吸着されている。
吸着ブロック14の構成としては、例えば、平面視矩形状の吸着面に凹部14aと、この凹部14aの中央に、吸引源により真空吸引を行う吸引孔14bが設けられた構成を採用することができる。
【0016】
検査部2は、基板搬入部1から搬送された基板4を検査し、基板搬出部3に受け渡すものである。
検査部2は、不図示のベース上に固定された門型のガントリー2aと、このガントリー2aの水平アームに移動可能に設けられた顕微鏡等の検査ヘッド2bと、浮上ステージ2Aおよび吸着搬送部6からなる。検査部2は、検査時に外部振動の影響を受けないように、除振台上に設置されることが好ましい。
【0017】
浮上ステージ2Aは、基板4を水平方向に載置して一定方向に搬送するための搬送ステージであり、本実施形態では、浮上ステージ1Aと同様のガス浮上ステージを採用している。ただし、検査部2の浮上ステージ2Aの大きさは、搬送幅方向の幅は浮上ステージ1Aと同幅としているが、搬送方向の長さは2・L以上に設定している。そのため、浮上ステージ2Aの基板受渡し領域Pの下流側に、検査領域Pを設ける場合、浮上ステージ2A上の基板受渡し領域Pで基板4を吸着搬送部5から吸着搬送部6に受渡した状態で、検査ヘッド2aにより基板4の全面を検査できるように基板4を検査ヘッド2aの検査ラインに対して搬送方向の先端から後端まで移動させることができる長さが確保されていればよい。
検査部2は、基板4を基板搬入部1から搬入する際、除振台をロックして浮上ステージ2Aを浮上ステージ1Aと同高さとすることが好ましい。
【0018】
吸着搬送部6は、図2(b)に示された吸着搬送部5の構成と同様の構成を備え、図1に示すように、吸着搬送部5と反対側の浮上ステージ2Aの搬送方向左側に沿って配置され、基準位置に位置決めされた状態で、吸着搬送部5から基板4を受け取って浮上搬送させるものである。
吸着搬送部6は、複数の吸着ブロック14によって、基板4の搬送方向左側の裏面を吸着し、基板4に搬送力を付勢できるようになっている。
検査部2のスライドガイド9は、図1に示すように浮上ステージ2Aの搬送方向左側に沿って配置され、浮上ステージ2Aの上流側が基板受渡し領域Pの中間部から下流側の基板受渡し領域(検査領域)Pの中間部まで延ばされている。このスライドガイド9の長さは、隣り合う2つの基板受渡し領域P、Pでスライダ10が浮上ステージ2Aの搬送方向長さの範囲を往復移動できる長さであればよく、浮上ステージ2Aの搬送方向長さと略同じ長さでもよい。
したがって、平面視において、吸着搬送部5のスライドガイド9と、吸着搬送部6のスライドガイド9とが浮上ステージ2Aを挟んで互いに平行に対向している。対向配置された吸着搬送部5、6は、基板受渡し領域Pで基板4の受渡しができればスライダ10が必ずしも基板受渡し領域Pの中間(L/2)でなくともよいが、位置決めされた基板を正確、かつ安定に搬送するためにはそれぞれのスライダ10を基板受渡し領域Pの中間(L/2)に移動させるとよい。
本実施形態では、吸着搬送部5で吸着搬送された基板4を浮上ステージ2A上の基板搬送領域Pで吸着搬送部6に受け渡すことができるように設定する。すなわち、図2に示すように基板4の搬送幅方向の端部全体を、吸着搬送部5の各吸着ブロック14、吸着搬送部6の各吸着ブロック14により吸着保持できるようにしているため、吸着搬送部5のスライダ10の移動範囲を基準位置決め領域Pと基板受渡し領域Pのそれぞれの中間位置に設定されている。
同様に吸着搬送部6のスライダ10の移動範囲は、基板受渡し領域P、Pのそれぞれの中間位置に設定されている。
【0019】
基板搬出部3は、検査部2での検査が終了した基板4を、例えば搬送ロボットにより装置外部に搬出するためのものであり、浮上ステージ3Aと吸着搬送部7とを備える。
浮上ステージ3A、吸着搬送部7は、それぞれ、浮上ステージ1A、吸着搬送部5と同様な構成を備え、吸着搬送部6と反対側の浮上ステージ3Aの搬送方向右側に沿って配置されている。ただし、吸着搬送部7のスライドガイド9は、浮上ステージ2Aの下流側の基板受渡し領域Pの中間部から浮上ステージ3Aの基板搬出領域Pの中間部まで延出されている。
したがって、吸着搬送部6のスライドガイド9と、吸着搬送部7のスライドガイド9とのそれぞれの一部が浮上ステージ2Aの基板受渡し領域Pを挟んで互いに平行に対向しているため、吸着搬送部6で吸着搬送された基板4を浮上ステージ2Aの上流側の浮上ステージ3Aに隣接する基板受渡し領域Pで吸着搬送部7に受け渡すことができるようになっている。
【0020】
このように、本実施形態の基板検査装置100では、浮上ステージ1A、2A、3Aが、搬送方向に順次隣接して延ばされ、その搬送方向の左右に、吸着搬送部5、6、7が千鳥状に配置することにより、浮上ステージ1Aと浮上ステージ2A、浮上ステージ2Aと浮上ステージ3Aとの間で基板4の受渡しを行うそれぞれの基板受渡し領域P、Pで基板受渡し位置となる位置決めされた基板4を吸着搬送部5から吸着搬送部6へ、また、吸着搬送部6から吸着搬送部7へそれぞれ順次受け渡して搬送することができる構成となっている。
【0021】
次に、本実施形態の基板検査装置100の動作について、基板4の搬送動作を中心に説明する。
図3、4は、本発明の第1の実施形態に係る基板検査装置の動作について説明する平面図である。
【0022】
まず、図1の図示左端側に示すように、吸着搬送部5のスライダ10を搬送開始側に移動させる。このとき、昇降機構11の高さを調整し、吸着ブロック14の上端面が、基板4の裏面の浮上高さより低い状態にしておく。
そして、不図示の搬送ロボットなどによって、検査を行う基板4を浮上ステージ1A上より突出したリフタの各リフトピン上に移載する。リフタは、搬送ロボットから基板4を受け取った後、下降して基板4を浮上ステージ1A上に載置する。浮上ステージ1A上に移載された基板4は浮上ステージ1Aから上方に噴射されるエアにより所定高さに浮上される。
【0023】
次に、押付けピン8c、8cを移動して、浮上状態の基板4を基準ピン8a、8a、8bに押し付けて基準位置に位置決めを行う。
これらの動作により、浮上ステージ1A上に浮上した基板4の2辺が基準ピン8a、8a、8bに押し付けられることで、平面視の位置が搬送幅方向、搬送方向の基準位置に対してそれぞれ位置決めされる。基板4は、浮上ステージ1A上に浮上されているので、平面方向の移動が自由となっており、基板4のサイズが大きくてもわずかの負荷で移動できる(図1左端側参照)。
【0024】
この状態で、昇降機構11を駆動して、吸着ブロック14を基板4の裏面の高さまで上昇させ、基板4を真空吸着する(図2(a)参照)。
真空吸着が完了した後、基準ピン8bを下降あるいは退避させる。
そして、吸着搬送部5のスライダ10を搬送方向に移動し、基板4を検査部2の基板受渡し領域Pまで搬送する。
このとき、吸着搬送部6のスライダ10は、昇降機構11を下降させ、吸着ブロック14の上端面が、基板4の裏面の高さより低くなるようにして、浮上ステージ1Aの基板受渡し領域Pまで移動し待機する(図3参照)。
【0025】
この結果、図3に示すように、浮上ステージ2A上の基板受渡し領域Pに移動した基板4の下面には、吸着搬送部5、6の各スライダ10が、互いに対向する位置に配置される。この状態で、吸着搬送部6の吸着ブロック14の上端面が基板4の裏面に当接するまで昇降機構11を上昇させる。そして基板4を吸着搬送部5の吸着ブロック14で吸着保持した状態で、吸着搬送部6により真空吸着する。このとき、搬送幅方向に対向する基板4の端部がそれぞれ吸着搬送部5、6の各吸着ブロック14により略全長にわたって吸着保持されている。
吸着終了後、吸着搬送部5の吸着を解除し、吸着搬送部5の昇降機構11を下降させる。吸着搬送部5は、基板搬入部1の基板位置決め領域Pに移動され、上記の搬送開始時の状態に復帰し、次の基板4を搬送に備える。
これにより、基板位置決め機構で位置決めされた基板4は、位置決めされた状態で搬送方向右側の吸着搬送部5から、搬送方向左側の吸着搬送部6に受け渡される。
このように、吸着搬送部5により搬送された基板4の反対側を吸着搬送部6で吸着保持した状態で吸着搬送部5の吸着を解除することにより、基板4の平面方向の基準位置は不変であり、基板4は基板位置決め機構により基準位置が維持された状態で対向する吸着搬送部6に受け渡すことができる。
【0026】
次に、吸着搬送部6のスライダ10を検査領域Pに移動し、浮上ステージ2A上において、浮上ステージ3A側に向けて基板4を搬送する(図4参照)。このとき、検査部2での検査の必要に応じて予め設定された一定速度で搬送したり、所定の速度変化をつけて搬送したり、所定の位置移動を行って搬送したりする。本実施形態では、基板4上の各欠陥の座標データに基づいて、指定された欠陥が検査ヘッド2bの検査ラインに一致するように基板4を搬送して停止させるとともに、検査ヘッド2bの光軸が欠陥に一致するように検査ヘッド2bをガントリー2aに沿って移動させる。このようにして基板4と検査ヘッド2bを相対的にXY移動させることで基板4の任意の位置を検査することができる。
このとき、吸着搬送部7のスライダ10は、昇降機構11を下降させ、吸着ブロック14の上端面が、基板4の裏面の高さより低くなるようにして、浮上ステージ2Aの基板受渡し領域Pまで移動し待機する。
そして、基板4が浮上ステージ2Aの搬送方向の端部に移動されると、基板4の下面には、吸着搬送部6、7のスライダ10が対向して配置される。この状態で、吸着搬送部7の昇降機構11を駆動し、吸着搬送部7の吸着ブロック14の上端面が基板4の裏面に当接するまで上昇させる。そして基板4を吸着搬送部6の吸着ブロック14で吸着保持した状態で吸着搬送部7により真空吸着する。このとき、搬送幅方向に対向する基板4の端部がそれぞれ吸着搬送部6、7の各吸着ブロック14により略全長にわたって吸着保持されている。
吸着搬送部7の吸着終了後、吸着搬送部6の吸着を解除し、吸着搬送部6の昇降機構11を下降させる。吸着搬送部6は、基板位置決め領域Pに移動され、上記の基板受け取り時の状態に復帰し、次の基板4の受け取りに備える。
【0027】
次に、吸着搬送部7のスライダ10を移動して、基板4を浮上ステージ3A上に搬送する。そして、不図示の搬送ロボットなどに基板4を受け渡すとともに、吸着搬送部7の吸着を解除し、次の基板4を受け取るため、吸着搬送部7のスライダ10を基板受渡し領域Pに復帰させる。
このようにして、基板4の受入、検査、搬出が終了する。
【0028】
このように、本実施形態の基板検査装置100によれば、基板4の搬送幅方向の片方の端部を吸着搬送部5、6、7によりそれぞれ保持して、基板4を浮上ステージ1A、2A、3A上を順次搬送することができる。このように片側搬送を行うことにより、基板4の搬送時には、吸着搬送部5、6、7により基板4の一方端部のみが吸着保持されるため、両側を保持して搬送する場合のようなストレスを基板4に与えなくて済むので、検査時に基板4が歪んだり、たわんだりしないようにして、搬送することができる。
また、各片側搬送部の配置精度を緩くしたり、必要に応じて、搬送方向を搬送ステージごとに切り替えたりすることが可能となる。
また、浮上ステージ1Aから浮上ステージ2Aへの移行、浮上ステージ2Aから浮上ステージ3Aへの移行する際に、浮上ステージ2Aの基板受渡し領域P、Pに基板4を配置した状態で、吸着搬送部5、6、および吸着搬送部6、7により搬送幅方向の両端部を吸着して、基板4の受け渡しを行うため、浮上ステージ1A上で位置決めした状態を維持して搬送することができる。これにより受け渡しのたびに位置調整などを行う手間を省くことができ、基板検査装置100の調整機構を簡素化することができるとともに、検査効率を向上することができる。
また、基板4の位置決め状態を維持しながら基板搬出領域Pまで搬送できるため、基板4を搬送ロボットに正確に受け渡すことができるため、搬送ロボットにより基板4がカセットの側壁にぶつかることなく基板4をカセット内に搬送することができる。
【0029】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態の変形例の基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【0030】
本変形例の基板検査装置110は、図5に示すように、上記第1の実施形態の基板検査装置100の吸着搬送部5、7に代えて、吸着搬送部15(片側搬送部)を備えたものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
吸着搬送部15は、吸着搬送部5のスライドガイド9を、吸着搬送部7のスライドガイド9の位置まで延長したスライドガイド16に代えるとともに、吸着搬送部5のスライダ10に代えて、同様の構成からなる2つのスライダ10A、10Bをスライドガイド16上で移動可能に設けたものである。
なお、スライダ10A、10Bの上部には、図2(b)に示すように、昇降機構11、昇降ベース12、吸着ベース13、および吸着ブロック14を備える。
すなわち、上記第1の実施形態の吸着搬送部5、7をそれぞれのスライドガイド9を接続して一体化した場合の構成に相当している。
【0031】
本変形例の基板検査装置110によれば、上記第1の実施形態の吸着搬送部5のスライダ10と、吸着搬送部6のスライダ10とを、それぞれ吸着搬送部15のスライダ10A、10Bに代えることにより、まったく同様の動作を行うことができる。そのため、上記第1の実施形態と同様の作用効果を備える。
さらに、本変形例によれば、吸着搬送部5、7が吸着搬送部15として一体化されるので、部品点数を低減することができる。また、スライダ10A、10Bが、浮上ステージ2A側の任意の位置に移動することができるので、基板4の長さLが変わった場合でも容易に対応できるとともに、浮上ステージ2Aの基板受渡し領域P、Pの位置を容易に変更することができるという利点がある。
【0032】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る基板検査装置について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【0033】
本実施形態の基板検査装置120は、図6に示すように、上記第1の実施形態の基板検査装置100の吸着搬送部5、6に代えて、吸着搬送部17、19(片側搬送部)を備え、吸着搬送部7を削除したものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
吸着搬送部17は、基板検査装置100の吸着搬送部5のスライドガイド9を浮上ステージ2A側に延長し、浮上ステージ2Aの搬送方向の略全長の範囲で、スライダ10を移動できるようにしたスライドガイド18に代えたものである。
吸着搬送部19は、吸着搬送部6のスライドガイド9を浮上ステージ3A側に延長し、吸着搬送部7のスライドガイド9の可動範囲に、スライダ10を移動できるようにしたものである。
【0034】
このような構成により、吸着搬送部17により基板搬入部1と検査部2との範囲で、また、吸着搬送部19により検査部2と基板搬出部3との範囲で、それぞれ基板4を搬送することができる。そして、吸着搬送部17、19の搬送範囲が共有される浮上ステージ2A上の任意の位置で、基板4を吸着搬送部17から吸着搬送部19に受け渡すことができる。すなわち、浮上ステージ2A上の受け渡し位置は、浮上ステージ2Aの浮上ステージ1A側、浮上ステージ3A側、あるいは、それらの中間位置など任意の位置に、必要に応じて選択することができる。
【0035】
このように、本実施形態は、3つの搬送ステージに対して、2つの片側搬送部を配置することにより、各片側搬送部の間で基板を受け渡して搬送する構成を実現した例となっている。これは、本発明において、3つの搬送ステージに対して最小限の片側搬送部を備える構成例である。
本実施形態によれば、片側搬送部の数を第1の実施形態に比べて低減することができる。
また、本実施形態では、吸着搬送部17、19が、浮上ステージ2Aの搬送方向の略全長の搬送範囲を共有しているため、検査部2内で、吸着保持する端部を左右交代させることができる。そのため、例えば、吸着ブロック14が検査の障害となるような検査、例えば、図1に示すように検査ヘッド2bを基板4の搬送幅方向に走査する場合あっても、検査ヘッド2bが基板4を吸着保持している側の吸着ブロック14と干渉する場合には、反対側の吸着ブロック14により基板4を持ち替えることにより、それぞれの端部での検査が可能となる。
【0036】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る基板検査装置について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【0037】
本実施形態の基板検査装置130は、図7に示すように、上記第1の実施形態の基板検査装置100の検査部2に代えて、検査部2a、2bを複数備え、それに応じて吸着搬送部6に代えて吸着搬送部6a、6b(片側搬送部)を複数備え、さらに各検査部2a、2bの間に吸着搬送部70(片側搬送部)を追加したものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0038】
検査部2a、2bは、それぞれ異なる検査を行うためのもので、特に図示しないが、それぞれの検査に応じて異なる検査部分を備える。検査部分以外の構成は、検査部2aは、浮上ステージ2Aと吸着搬送部6a、検査部2bは、浮上ステージ2Aと吸着搬送部6bとを備える。
そして、基板搬入部1と検査部2aの隣接位置近傍では、第1の実施形態と同様の位置関係に吸着搬送部5が配置されている。
また、吸着搬送部70のスライドガイドは、検査部2a、2bの隣接する検査領域P3と基板受渡し領域P2の中間部まで延出されている。吸着搬送部70の構成は、スライドガイド90の長さが異なるのみで、他の構成は吸着搬送部7と同様である。
また、検査部2bと基板搬出部3との隣接位置近傍では、第1の実施形態と同様の位置関係に吸着搬送部7が配置されている。
【0039】
このような構成により、第1の実施形態と同様にして、基板搬入部1で位置決めされた基板4を吸着搬送部6aに受け渡すことができる。そして、検査部2aでの検査後、吸着搬送部6aと吸着搬送部70との間で搬送範囲が共有された浮上ステージ2Aの検査領域Pで、基板4を吸着搬送部70に受け渡すことができる。
吸着搬送部70に吸着保持された基板4は、同様にして、隣の検査部2bの基板受渡し領域Pまで搬送され、吸着搬送部6bに基板を受け渡すことができる。
そして、検査部2bで検査終了した基板4は、吸着搬送部6aにより、下流側の基板受渡し領域Pに搬送され、この基板受渡し領域Pで、基板4を吸着搬送部7に受け渡し、基板搬出部3の吸着搬送部7により基板搬出領域Pまで搬送して図示しない搬送ロボットにより装置外部に搬送することができる。
【0040】
このように、本実施形態は、検査部を複数設けた場合の例となっている。このように、本発明では、基板搬入部1と基板搬出部3との間に、複数の検査部2を増設することができる。
したがって、それぞれの搬送ステージ、片側搬送部の搬送距離が短くても、それらを隣接して配列することで、全体の搬送距離を伸ばすことができる。
【0041】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る基板検査装置について説明する。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【0042】
本実施形態の基板検査装置140は、図8に示すように、上記第1の実施形態の基板検査装置100の浮上ステージ1A、2A、3Aに代えて、ローラステージ1B、2B、3B(搬送ステージ)を備えるものである。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0043】
ローラステージ1B、2B、3Bは、平面視でそれぞれ浮上ステージ1A、2A、2Bと同様大きさの矩形状のステージ面上に、一定高さで基板4を水平方向に搬送する搬送ローラ30が適宜間隔で多数配列されたものである。
搬送ローラ30としては、例えば、ローラステージ1B、2B、3Bの水平面内で360°方向に回転自在に支持された円筒ローラや、球状のローラなどを採用することができる。
このような構成によれば、基板4が、搬送ローラ30上でローラ搬送される点を除いて、上記第1の実施形態と同様の動作を行うことができるので、上記第1の実施形態と同様の作用効果を有する。
【0044】
なお、上記の説明では、搬送ステージが複数隣接して配置された場合の例で説明したが、1つの搬送ステージが搬送方向に延設され、複数の片側搬送部が、搬送方向に直交する方向のいずれかの側方に配置され、それら複数の片側搬送部の間で、基板を受け渡して搬送する構成としてもよい。例えば、上記各実施形態、変形例において、浮上ステージ1A、2A、3Aや、ローラステージ1B、2B、3Bなどをそれぞれ一体の搬送ステージとするように変形した構成としてもよい。
この場合、基板搬送精度を決定する片側搬送部を搬送方向にわたって複数に分けることができるので、例えば、搬送精度が必要な1つの検査部分ごとに片側搬送部を分割することにより、搬送路全長にわたって高精度な搬送を行う片側搬送部を1つ設ける場合に比べて、簡素かつ安価な構成とすることができる。
【0045】
また、上記の説明では、搬送ステージが複数に分割されている場合において、基板の受け渡し位置が、隣接する搬送ステージの一方の端部側に位置する場合の例で説明したが、搬送ステージの段差が十分小さい場合には、図5、6に示すように、基板が隣接する搬送ステージの両方に跨る位置で、基板受け渡しを行う構成としてもよい。
【0046】
また、上記の説明では、複数の片側搬送部が、基板の受け渡し位置で搬送ステージを挟んで対向可能となる位置に設けられた例で説明したが、基板の受け渡しが可能であれば、複数の片側搬送部を、搬送ステージの同方向側の側方で、搬送方向に直交する方向に対向可能となる位置に設けてもよい。
【0047】
また、上記の説明では、検査部2が除振台に保持されることが好ましいとしたが、必要に応じて、いずれの搬送ステージ、片側搬送部を除振台上に配置してもよい。本発明によれば、このような除振台は、搬送ステージごと、片側搬送部ごとに個別に設置することもできるので、装置の設置が容易になるという利点がある。
【0048】
また、上記に説明した各実施形態、変形例の各構成要素は、技術的に可能であれば、本発明の技術的思想の範囲内で適宜組み合わせて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のA部の部分拡大図、およびそのB視正面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る基板検査装置の動作について説明する平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る基板検査装置の動作について説明する平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例の基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 基板搬入部
1A、2A、3A 浮上ステージ(搬送ステージ)
1B、2B、3B ローラステージ(搬送ステージ)
2 検査部
3 搬出部
4 基板
5、6、7、15、17、19 吸着搬送部(片側搬送部)
8a、8b 基準ピン
8c 押付けピン
14 吸着ブロック
30 搬送ローラ
100、110、120、130、140 基板検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体である薄板状の基板を搬送するための搬送ステージと、
該搬送ステージの、搬送方向に直交する方向のいずれかの側方に配置され、前記基板の端部を保持して該基板に搬送力を付勢する複数の片側搬送部とを備え、
該複数の片側搬送部の間で前記基板を順次受け渡すことにより、該基板の搬送を行うようにしたことを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記搬送ステージが、前記搬送方向に隣接して複数配置されるとともに、
前記各搬送ステージの隣接位置において、
前記隣接する搬送ステージのいずれか一方の端部に前記基板が位置する状態で、
前記複数の片側搬送部の1つが前記複数の片側搬送部の他の1つに前記基板を受け渡すことができるように、前記複数の片側搬送部が配置されたことを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記複数の片側搬送部の1つと、前記複数の片側搬送部の他の1つとが、前記基板の受け渡し位置で前記搬送ステージを挟んで対向する位置に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記搬送ステージが、前記基板をガス噴射で浮上させるガス浮上ステージからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−63130(P2008−63130A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245739(P2006−245739)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】