説明

基板温度表示装置およびこれを具備するリフロー炉、リフロー炉における基板温度確認方法

【課題】リフロー炉によりリフロー処理をする基板が設計どおりに温度変化するか否かを容易に確認する。
【解決手段】搬送路に沿って、プリヒートゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンが配設されたリフロー炉に用いられる基板温度表示装置であって、搬送路に沿って搬送される基板に取り付けられた温度センサにより、各ゾーンを通過する基板の通過時間における基板温度をグラフ表示する表示部を有し、表示部には、基板が通過する各ゾーンにおける、基板温度の設定上限値および設定下限値の設定温度プロファイルのグラフTが表示可能であって、温度プロファイルのグラフTがグラフスライダーIにより時間軸方向に所要距離平行移動可能に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板温度表示装置およびこれを具備するリフロー炉、リフロー炉における基板温度確認方法に関し、より詳細には、リフロー炉によりリフロー処理をする基板が設計どおりに温度変化するか否かを容易に確認することが可能な基板温度表示装置およびこれを具備するリフロー炉、リフロー炉における基板温度確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リフローにおける予備テストの合否判定方法において、搬送路を搬送された基板の温度変化を測定し、測定結果を表示部に表示すると共に、基板の温度変化の許容値を示す曲線を表示部に表示して、リフロー炉を通過させた基板が設計通りの温度変化をするか否かについて確認する方法がある。
このようなリフロー炉を通過させた基板の温度変化を確認する方法としては、例えば特許文献1のようなものがある。
【0003】
特許文献1記載のリフローにおける予備テストの合否判定方法においては、リフロー領域における温度条件がプリヒート領域や冷却領域の温度条件より厳しい条件になっているため、実際にはんだが溶融する温度域であるリフロー領域を厳しく管理することができるため、基板に搭載した電子部品の故障やはんだの不完全溶融部分の発生を抑えることができるため、リフロー処理した基板の歩留まりを向上させることが可能である。
【特許文献1】特許第2734065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度変化の確認を行う基板のサイズが小さい場合であれば、基板の温度を計測する温度センサの配設位置が接近しているため、表示部に表示された温度変化のグラフのずれが少ない状態で現れてくるが、温度変化の確認を行う基板のサイズが大きくなった場合においては、基板の搬送方向に配設された温度センサ同士の間隔が広くなってしまい、基板の各測定点における温度変化グラフの間隔が広くなってしまう。このようなグラフにおいては基板の温度変化の許容値を示す曲線がうまく適用させることができなくなってしまうという課題が明らかになった。
【0005】
そこで、本発明は、基板のサイズ(基板搬送方向における長さ寸法)が大きい場合であっても、基板内の各測定点における温度変化状態について、設計基板温度変化の曲線を容易に適用させることが可能な基板温度表示装置およびこれを具備するリフロー炉、リフロー炉における基板温度確認方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、搬送路に沿って、プリヒートゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンが配設されたリフロー炉に用いられる基板温度表示装置であって、前記搬送路に沿って搬送される基板に取り付けられた温度センサにより、前記各ゾーンを通過する前記基板の通過時間における基板温度をグラフ表示する表示部を有し、該表示部には、前記基板が通過する前記各ゾーンにおける、基板温度の設定上限値および設定下限値の設定温度プロファイルのグラフが表示可能であって、該温度プロファイルのグラフがグラフスライダーにより時間軸方向に所要距離平行移動可能に設けられていることを特徴とする基板温度表示装置である。
【0007】
また、搬送方向に所要間隔をおいて複数の温度センサが取り付けられた基板の基板温度を表示すべく、前記表示部には、前記複数の各温度センサによって検出された基板温度が表示可能になっており、前記設定温度プロファイルのグラフが、前記各温度センサの通過時間のずれ分、前記グラフスライダーによって時間軸方向に並行移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、前記各温度センサによって検出された基板温度のグラフは、前記表示部に前記温度センサごとに選択的に表示可能に設けられていることを特徴とする。これにより、判断に必要な基板温度のグラフのみを表示することができるため、温度変化の状態確認を間違えることがない。また、迅速に良否判断をすることができるため好都合である。
【0009】
また、前記各温度センサによって検出される基板温度が前記表示部に異なる色グラフによって表示されることを特徴とする。これにより、基板温度のグラフが識別容易になるため好都合である。
【0010】
また、他の発明は、搬送路に沿って、プリヒートゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンが配設され、前記搬送路に沿って基板を搬送して、はんだをリフローさせることにより基板に搭載された電子部品をはんだ付けするリフロー炉において、上記のうちいずれかの基板温度表示装置を具備することを特徴とするリフロー炉である。
【0011】
また、方法の発明として、温度センサを取り付けた基板をリフロー炉内の搬送路に搬送すると共に、該温度センサにより前記基板の通過時間における基板温度を検出し、表示手段に、前記温度センサの検出結果に基づく前記基板温度のグラフと、予めユーザにより設定上限値と設定下限値がそれぞれ入力されている設定温度プロファイルのグラフと、を表示し、グラフスライダーにより前記設定温度プロファイルのグラフを時間軸方向に平行移動させて、前記基板温度のグラフが前記設定温度プロファイルのグラフに適合するか否かを確認することを特徴とするリフロー炉における基板温度確認方法がある。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる基板温度表示装置およびこれを具備するリフロー炉、リフロー炉における基板温度確認方法によれば、基板に配設した温度センサの配設間隔が広い場合であっても、各温度センサが計測した基板温度の変化状態と設計温度条件との比較が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本実施形態におけるリフロー炉について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるリフロー炉の概略構成を示す基板搬送方向に対して水平方向に直交する方向から臨んだ説明図である。図2は、本実施形態におけるリフロー炉の概略構成を示す基板搬送方向を臨んだ説明図である。
【0014】
本実施形態におけるリフロー炉100は、図1に示すように、搬送路30に沿って単位炉10が複数配設され、単位炉10毎に炉内ガスが循環されている。搬送路30の上を搬送される基板20に加熱した炉内ガスを噴きつけることにより基板20に電子部品24をはんだ付けするものである。単位炉10には、炉内ガスを加熱して基板に噴き付ける加熱炉10aと、炉内ガスを加熱せずに基板に噴き付ける冷却炉10bとがある。加熱炉10aと冷却炉10bとによりリフロー炉100内を、プリヒートゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンに構成している。
【0015】
本実施形態においては、加熱炉10aと冷却炉10bは共に同じ構造の単位炉10を用いている。冷却炉10bにおいては、単位炉10に配設されている加熱装置を作動させずに用いればよい。12は台座である。リフロー炉100の入口側14と出口側16にはそれぞれ、リフロー炉100内への外気の流入を防止するためのラビリンス18が配設されている。
本実施形態におけるリフロー炉100は、搬送路30内に搬送された基板の基板温度を確認することが可能な基板温度表示装置200を有している。
【0016】
搬送路30内には、耐熱性部材により形成されたメッシュコンベア等に例えられる無端の循環式の基板搬送装置31が配設される。基板搬送装置31は、リフロー炉100の入口側14から出口側16に向けて(図1における矢印Xの方向)基板20を搬送する。
【0017】
各単位炉10について説明する。図2に示すように、単位炉10は断面形状が下に開口するコ字状に形成された断熱材からなるフード40が仕切板50により仕切られることにより、電子部品20が載置された基板22を水平方向に搬送する搬送部30と、ヒータ62とファン(送風ファン)64とが配設された熱風発生部60とに区画されている。このように搬送路30と熱風発生部60との間は仕切板50により区画されている。熱風循環路80は、熱風発生部60で生成された熱風が循環可能に形成されている。
【0018】
熱風発生部60には炉内ガスを加熱するヒータ62と加熱した炉内ガスによる熱風を熱風循環路80に送り出す送風ファン64を有している。ヒータ62と送風ファン64は直方体状に形成されたヒータボックス68に収容されている。
ヒータボックス68は取付板69により仕切板50に取り付けられている。ヒータボックス68の底面と取付板69と仕切板50により、搬送路30の上方に搬送方向と直交する方向に伸びるトンネル部が形成される。ヒータボックス68の上面には開口部68Aが形成されていて、この開口部68Aに対向して送風ファン64が配設されている。ヒータボックス68の底面板には円形の貫通孔68Bが複数形成されていて、吸引部(吸引管)56を介して搬送路30に連通している。貫通孔68Bは、ヒータボックス68の底面板に千鳥配列をなすように形成されている。
【0019】
熱風発生部60内には、図2に示すように、ヒータボックス68とフード40および仕切板50により、熱風循環路80が形成されている。熱風循環路80は、送風ファン64により送られる熱風を、基板搬送方向と直交する方向(図2中の矢印A方向)の両側に向けて分配すると共に、両側部から搬送路30の方向に向けて下方側(図2中の矢印B方向)に案内し、さらにはトンネル部によりリフロー炉100の中央部分に向かって互いに対向する逆向き方向(図2中の矢印C方向)に案内した後、熱風噴出部54から搬送路30の上に搬送されてくる基板20に向けて(図2中の矢印D方向)噴出することができるように形成されている。
【0020】
搬送路30と熱風循環路80とは、仕切板50に形成された熱風噴出部54により連通している。また搬送路30と熱風発生部60(ヒータ62)とは、仕切板50の貫通孔52とヒータボックス68の底面板に形成された貫通孔68Bとを渡すようにして両孔に両端が嵌着された吸引部(吸引管)56により連通している。したがって、吸引管56は上記トンネル部内を上下方向に通過する状態に伸びて、搬送路30とヒータボックス68とを連通している。仕切板50に形成された貫通孔52は、ヒータボックス68に形成された貫通孔68Bと同一配列の千鳥配列となるようにプレス加工等により形成されている。
【0021】
図3は、本実施形態におけるリフロー炉の仕切板を搬送路側から臨む仕切板の底面図である。図4は、図3中のX部分の拡大図である。
貫通孔52の形状は、図3,図4に示すように吸引部56として用いられる管体からなる吸引管56の一端が圧入される内孔53と、内孔53の周上にさらに半円状をなす外孔(熱風噴出部)54とを有する形状に形成されている。内孔53の内径寸法は、吸引管56の外径寸法に等しく形成されている。
【0022】
仕切板50に形成された貫通孔52の外孔54は仕切板50に吸引管56を装着した後においても仕切板50を板厚方向に貫通した状態を維持する。本実施形態においてはこの外孔54が熱風噴出部54となる。すなわち、各熱風噴出部54は各吸引管56と対をなして設けられ、吸引管56の吸引部分を外側から囲むようにして、吸引管56の外周面の一部に接した状態で複数箇所に配設された状態となる。
熱風噴出部54から加熱された炉内ガスが搬送路30内(図2中の矢印D方向)に噴出され、搬送路30内の炉内ガスは吸引管56により吸引されてヒータボックス68(図2中の矢印E方向)に導入され、ヒータボックス68を通過した炉内ガスは送風ファン64に吸引される(図2中の矢印F方向)。このようにしてリフロー炉100内を炉内ガスが循環する。
【0023】
本実施形態におけるリフロー炉100の本体部は以上のような構成を有している。次に、基板温度表示装置200の構成と、基板温度表示装置200を有するリフロー炉100を用いた基板温度の確認方法について説明する。図5は温度計測用基板を示す説明図である。図6は基板温度表示装置の概略構成図である。
温度測定用基板20Aは、リフロー炉100において実際にリフロー処理される基板20と同一配列に電子部品24を搭載した基板に温度センサ22を配設してなるものである。温度センサ22により検出された基板温度は、通信線26により基板温度表示装置200に送信される。温度センサ22は、温度計測用基板20Aに配設された電子部品24の状態に応じて適宜配設される。図5では基板20の平面位置において温度センサ22が基板搬送方向に所要間隔をあけた状態で二列に配設されているが、温度センサ22同士をランダムな間隔で配設することもできる。
【0024】
図6に示すように、基板温度表示装置200は、リフロー処理をする基板20の設定温度プロファイルを入力する入力手段210と、入力手段210からの入力値を記憶すると共に、温度計測用基板20Aに配設された温度センサ22が検出した基板温度を記憶する記憶手段220と、入力手段210により入力された設定温度プロファイルと温度センサ24が検出した基板温度とを、リフロー炉100内の各ゾーンを通過する通過時間におけるグラフ化する演算手段230と、演算手段230により生成された各グラフを出力する表示手段(表示部)240と、を有している。また、記憶手段220には、本実施形態におけるリフロー炉100において、所定の設定温度プロファイルが与えられた際において、各機器の出力値例の組み合わせが温度条件データベースとして予め記憶されている。
基板温度表示装置200はいわゆるパソコンやマイコンにより実現することができ、記憶手段220としてはハードディスクやメモリを用いることができ、演算手段230としてはCPUを用いることができる。表示手段240としてはモニタを用いることができる。基板温度表示装置200は、リフロー炉100と別体に設けても良いし、リフロー炉100に組み込んだ状態とすることもできる。
【0025】
図7は、基板温度表示装置の実際の動作状態を示す説明図であり、モニタ内に出力された基板温度確認状態を示す説明図である。
基板温度表示装置200の入力部Aはマウスやキーボード等の入力手段210を用いて設計上における基板20の温度変化を規定する設計温度プロファイルがそれぞれ入力可能になっている。設計温度プロファイルとしては、リフロー炉100内のプリヒート領域における条件(昇温速度(℃/秒)、プリヒート開始温度(℃)、プリヒート終了温度(℃)、プリヒート時間(秒))と、リフロー領域における条件(昇温速度(℃/秒)、上限温度(℃)、リフロー時間(秒))と、冷却領域における条件(冷却速度(℃/秒))と、基板搬送手段31であるコンベア速度(m/min)がある。
【0026】
入力部Aの数値が入力されると、自動入力部Bの数値が自動的に入力される。
演算手段230は、入力部Aに入力された入力値に基づいて記憶手段220に予め記憶されている温度条件データベースを参照し、各単位炉10におけるヒータ62の温度や送風ファン64の周波数(回転数)を記憶手段220から抽出する。演算手段230に抽出された各数値は、自動入力部Bに自動入力される。
演算手段230により入力された自動入力部Bの数値は、ユーザが入力手段210を用いて数値を変更することができるように設定されている。
【0027】
チャンネル情報部Cは、温度測定用基板20Aに配設された温度センサ22の検出結果を使用するか否かを選択するためのものである。ユーザがチャンネル情報部Cのチェックボックスにチェックを入れることによりチェックされた温度センサ22が検出した基板温度の検出データが画面上に出力される。チェックボックスにチェックが入れられなかった温度センサ22が検出した基板温度の検出データは、表示手段240であるモニタ上に出力させることがなくても記憶手段220に記憶させることは可能である。
チェックボックスにチェックが入れられたチャンネル(温度センサ22)が検出した基板温度のうち最高温度がチャンネル(温度センサ22)ごとに表示可能になっている。
【0028】
測定開始指示部Dは温度測定用基板20Aをリフロー炉100の搬送路30に搬送する際のタイミングを設定するものである。測定開始ボタンのみをクリックすれば温度測定用基板20Aは即座に搬送路30に搬送され、搬送された温度計測用基板20Aによる温度計測が開始される。測定停止ボタンをクリックすれば、温度計測は停止する。
自動開始のチェックボックスにチェックを入れると、測定開始温度部分に数値が入力可能になる。ユーザが入力手段210により自動開始のチェックボックスにチェックを入れると共に測定開始温度を入力すると、演算手段230がリフロー炉100の自動運転を開始する。リフロー炉100の搬送路30の温度が測定開始温度に到達すると、演算手段230が自動的に温度計測用基板20Aの温度測定を開始させる。
【0029】
グラフ設定部Eは、温度計測用基板20Aの温度センサ22が検出した基板温度の検出データに基づいて演算手段230が横軸と縦軸をそれぞれ時間軸と基板温度としてグラフ化する際に、横軸と縦軸の最大値を設定するための設定部分である。グラフ設定部Eに入力する値は入力手段210を介してユーザにより入力される。
グラフ設定部Eの値は、入力部Aの入力値に基づいて演算手段230が自動入力する形態とすることもできる。
【0030】
先に説明した入力部Aの数値および自動入力部Bの最終的に決定した数値は、それぞれ記憶手段220に記憶させることが可能になっている。入力部Aおよび自動入力部Bのそれぞれに入力されている数値は、基板名と保存先フォルダ名を識別記号として記憶手段220に記憶可能に設定されている。ユーザは、フォルダ設定部Fの基板名の欄と設定フォルダの欄に基板名と保存先のフォルダ名をそれぞれ入力し、画面保存ボタンf1をクリックすることにより画面に表示されている数値を記憶手段220に記憶させることができる。また、印刷ボタンf2をクリックすることにより、表示手段240であるモニタに表示されている内容を基板温度表示装置200に接続されている図示しない印刷機により紙出力することができる。
【0031】
また、温度測定用基板20Aの温度センサ22が検出した基板温度の検出データも記憶手段220に記憶させることができる。この場合においては、フォルダ設定部Fの測定データ保存先フォルダの欄に識別記号を入力しておけば、演算手段230が温度測定用基板20Aによる基板温度の測定開始にあわせて、自動的に温度センサ22による検出データを記憶手段220に記憶させる。
【0032】
テンプレート表示選択部Gは、入力部Aの入力値に基づいて、演算手段230が作成した設定温度プロファイルのグラフ(以下、温度テンプレートTという)を表示手段240であるモニタ上のデータ表示部分Hに表示させる表示ボタンと、一旦表示させた温度テンプレートTをモニタ上の表示部Hから削除させる削除ボタンとを有している。テンプレート表示選択部Gの各ボタンはユーザがマウス等の入力手段210を用いてクリックしてオンオフを選択することができる。
【0033】
温度テンプレートスライダーI(グラフスライダー)はテンプレート表示部Gの表示ボタンによりモニタ上の表示部Hに表示させた温度テンプレートTを時間軸方向にスライドさせるものである。ユーザがマウス等の入力手段210を用いて温度テンプレートスライダーIをスライドさせると、演算手段230が入力部Aに入力されている数値を座標変換処理し、モニタ上の表示部Hに表示させた温度テンプレートTを時間軸方向にスライドさせた状態で表示する。
【0034】
スクロール部Jは、温度測定用基板20Aが計測した基板温度のデータの横軸が、グラフ設定部Eに入力した時間スケールmaxの値を越えた場合等において用いる。グラフ設定部Eに入力する時間スケールmaxの値を任意の値に設定し、表示部Hのグラフの横軸(時間軸)を詳細に表示すれば、計測温度のグラフと温度テンプレートTとを詳細に検討することができ好都合である。
【0035】
本実施形態における基板温度表示装置200は以上のような構成を有している。次に、実際に基板温度表示装置200を用いたリフロー炉内の温度条件確認方法について説明する。図8はリフロー炉内の温度条件確認方法の手順を示すフロー図である。図9〜図11は温度テンプレートスライダーを用いた際における表示部Hの状態を示す説明図である。
【0036】
まず、マウスやキーボードなどの入力手段210を用いて入力部Aの各数値を入力する(ステップ1)。入力部Aに数値が入力されると、基板温度表示装置200の演算手段230が記憶手段220に予め記憶されている、温度条件データベースを参照し、自動入力部Bの欄に適切な数値を自動入力する(ステップ2)。ユーザは自動入力部Bに入力された数値を必要に応じて入力手段210を用いて修正する(ステップ3)。続いて、ユーザは入力手段210を用いてグラフ設定部Eの数値を入力する(ステップ4)。
【0037】
ユーザは、入力部A、自動入力部B、グラフ設定部Eに入力された各数値を確認した後、入力手段210を用いてフォルダ設定部Fの基板名の欄と設定フォルダの欄に基板名と保存先のフォルダ名をそれぞれ入力し、画面保存ボタンf1をクリックして、記憶手段220に、基板名と保存先のフォルダ名を識別記号として入力部A、自動入力部B、グラフ設定部Eに入力された各数値データの保存先と、温度センサ22の検出データの保存先を指定する(ステップ5)。
【0038】
次にユーザは、基板温度の計測を実行する際において、温度変化の状態を表示させるチャンネル(温度センサ22)を選択し、入力手段210を用いてチャンネル情報部Cの各チャンネルに対応するチェックボックスにチェックを入れる(ステップ6)。
次に、ユーザは測定開始指示部Dの測定開始ボタンまたは自動開始ボタンを選択し、温度計測用基板20Aの搬送タイミングを決定し、リフロー炉100の搬送路30が所定の条件になった後に、温度計測用基板20Aを搬送路30に搬送させる(ステップ7)。
【0039】
搬送路30内に搬送された温度計測用基板20Aは、温度センサ22により基板温度を検出すると共に、基板温度表示装置200の記憶手段220に基板温度の検出データを送信し、記憶手段220は送信された基板温度の検出データをチャンネル(各温度センサ22)ごとに対応させて記憶する(ステップ9)。演算手段230は記憶手段220に送信された計測温度のうち各チャンネルにおける最高温度をチャンネル情報部Cの最高温度表示部に表示させる。
【0040】
演算手段230は、記憶手段220に記憶されている各チャンネルの基板温度の検出データに基づいて、温度計測用基板20Aを搬送路30に搬送してからの経過時間と基板温度のグラフを作成し、表示手段240であるモニタ上の表示部Hに基板温度のグラフを表示する(ステップ10)。また、演算手段230は、入力部Aに入力されている数値に基づいて、温度テンプレートTを作成する(ステップ11)。ユーザがマウス等の入力手段210を用いて温度テンプレート表示選択部Gの表示ボタンをクリックするとステップ11で作成された温度テンプレートTがモニタ上の表示部Hに表示される。
【0041】
ユーザは、温度テンプレートスライダーIをマウス等の入力手段210によりスライドし(ステップ12)、温度テンプレートTを時間軸方向に平行移動させて、各温度センサ22(各チャンネル)が検出した基板温度のグラフが温度テンプレートTの上限値及びか現地の範囲内にあるか否かを判断する(ステップ13)。ステップ13をより詳細に説明すると次のようになる。
まず図9に示すように、温度計測用基板20Aの搬送方向における先頭部分に配設されている温度センサ22(CH1,2)に温度テンプレートTをスライドさせ、CH1,2が検出した基板温度のグラフが温度テンプレートTの上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを確認する。次に温度テンプレートスライダーIにより、温度テンプレートTを図10に示すように、CH3,4が検出した基板温度のグラフ部分にスライドさせ、CH3,4による基板温度のグラフが温度テンプレートTの上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを確認する。そして、温度テンプレートスライダーIにより温度テンプレートTを図11に示すように、CH5,6が検出した基板温度のグラフ部分にスライドさせ、CH5,6による基板温度のグラフが温度テンプレートTの上限値と下限値の範囲内に収まっているか否かを確認する。
【0042】
すべてのチャンネル(CH1〜6)における基板温度のグラフが温度テンプレートTの上限値と下限値の範囲に入っている場合には、リフロー炉100の搬送路30における温度条件の確認が完了する(END)。もし、1つのチャンネルであっても温度テンプレートTの上限値および下限値の範囲内に検出データに基づく基板温度のグラフが収まらない場合には、ステップ3に戻り、自動入力部Bの入力値を修正した後、ステップ4以降の工程を繰り返し、すべてのチャンネルにおける検出データによる基板温度のグラフが、温度テンプレートTの上限値と下限値の範囲内に収まるまで繰り返される。
【0043】
以上に、本実施形態におけるリフロー炉100の基板温度表示装置200およびこれを用いたリフロー炉100内の温度条件確認方法について説明したが、本発明の技術的範囲は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において各種の改変を行ったとしても本発明の技術的範囲に含まれるのはもちろんである。
例えば、本発明にかかる基板温度表示装置200を適用可能なリフロー炉100は、本実施形態において説明した構成のリフロー炉100に限定されるものではない。プリヒートゾーンと加熱ゾーンと冷却ゾーンを有しているリフロー炉100であれば他の形態のリフロー炉100に本発明の基板温度表示装置200を適用することができるのはもちろんである。
【0044】
また、本実施形態においては、温度テンプレートTの作成ステップにおいては、ユーザによる指示が必要な形態について説明しているが、演算手段230が自動的に入力部Aの入力数値に基づいて温度テンプレートTを作成・表示する形態としてもよいのはもちろんである。
【0045】
また、本実施形態ではステップ5において、入力部A、自動入力部B、グラフ設定部Eに入力された各数値を記憶手段220に記憶させているが、温度計測用基板20Aに搭載したすべての温度センサ22(またはステップ6で選択されたすべてのチャンネル)において検出された基板温度のグラフが温度テンプレートTの上限値と下限値の範囲に収まった後にステップ5を実行する形態とすることもできる。
【0046】
また、本実施形態においては、温度計測用基板20Aの温度センサ22が検出した基板温度の検出データは、通信線26を介して基板温度表示装置200に送信されているが、温度センサ22による基板温度の計測データは無線通信により基板温度表示装置200に送信する形態や、温度センサ22に記憶手段を取り付け、基板温度の検出データを温度センサ22の記憶手段に記憶させた後、読み取り装置により記憶手段に記憶させた検出データを読み取ることで基板温度表示装置200に送信する形態とすることもできる。
【0047】
また、本実施形態におけるステップ13においては、図9〜図11の各々に示すように、あるチャンネル(温度センサ22)の検出データに基づく基板温度のグラフが温度テンプレートTの範囲に含まれるか否かを確認する場合に、確認の対象外になっているチャンネルにより検出された基板温度の検出データのグラフも表示部Hに表付された状態にあるが、チャンネル情報部Cのチェックボックスを操作することにより、温度テンプレートTとの比較を行っているチャンネルが検出した基板温度のグラフのみを表示部Hに表示させる形態を採用することができるのはもちろんである。この形態を採用することにより、さらに簡単に温度センサ22が検出した検出データに基づく基板温度のグラフと温度テンプレートTとの比較を行うことができるため好適である。
また、各チャンネルが検出した検出データに基づく基板温度のグラフは、各チャンネルに対応させて線の色や種類を区分することもできるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態におけるリフロー炉の概略構成を示す基板搬送方向に対して水平方向に直交する方向から臨んだ説明図である。
【図2】本実施形態におけるリフロー炉の概略構成を示す基板搬送方向を臨んだ説明図である。
【図3】本実施形態におけるリフロー炉の仕切板を搬送路側から臨む仕切板の底面図である。
【図4】図3中のX部分の拡大図である。
【図5】温度計測用基板を示す説明図である。
【図6】基板温度表示装置の概略構成図である。
【図7】基板温度表示装置の実際の動作状態を示す説明図であり、モニタ内に出力された基板温度確認状態を示す説明図である。
【図8】リフロー炉内の温度条件確認方法の手順を示すフロー図である。
【図9】温度テンプレートスライダーを用いた際における表示部の状態を示す説明図である。
【図10】温度テンプレートスライダーを用いた際における表示部の状態を示す説明図である。
【図11】温度テンプレートスライダーを用いた際における表示部の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 単位炉
10a 加熱炉
10b 冷却炉
20 基板
20A 温度計測用基板
22 温度センサ
24 電子部品
30 搬送路
31 基板搬送装置
40 フード
50 仕切板
52 貫通孔
54 熱風噴出部
56 吸引部
60 熱風発生部
62 ヒータ
64 送風ファン
68 ヒータボックス
69 取付板
80 熱風循環路
100 リフロー炉
200 基板温度表示装置
210 入力手段
220 記憶手段
230 演算手段
240 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って、プリヒートゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンが配設されたリフロー炉に用いられる基板温度表示装置であって、
前記搬送路に沿って搬送される基板に取り付けられた温度センサにより、前記各ゾーンを通過する前記基板の通過時間における基板温度をグラフ表示する表示部を有し、
該表示部には、前記基板が通過する前記各ゾーンにおける、基板温度の設定上限値および設定下限値の設定温度プロファイルのグラフが表示可能であって、
該温度プロファイルのグラフがグラフスライダーにより時間軸方向に所要距離平行移動可能に設けられていることを特徴とする基板温度表示装置。
【請求項2】
搬送方向に所要間隔をおいて複数の温度センサが取り付けられた基板の基板温度を表示すべく、
前記表示部には、前記複数の各温度センサによって検出された基板温度が表示可能になっており、
前記設定温度プロファイルのグラフが、前記各温度センサの通過時間のずれ分、前記グラフスライダーによって時間軸方向に並行移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の基板温度表示装置。
【請求項3】
前記各温度センサによって検出された基板温度のグラフは、前記表示部に前記温度センサごとに選択的に表示可能に設けられていることを特徴とする請求項2記載の基板温度表示装置。
【請求項4】
前記各温度センサによって検出される基板温度が前記表示部に異なる色グラフによって表示されることを特徴とする請求項2または3記載の基板温度表示装置。
【請求項5】
搬送路に沿って、プリヒートゾーン、加熱ゾーン、冷却ゾーンが配設され、前記搬送路に沿って基板を搬送して、はんだをリフローさせることにより基板に搭載された電子部品をはんだ付けするリフロー炉において、
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の基板温度表示装置を具備することを特徴とするリフロー炉。
【請求項6】
温度センサを取り付けた基板をリフロー炉内の搬送路に搬送すると共に、該温度センサにより前記基板の通過時間における基板温度を検出し、
表示手段に、前記温度センサの検出結果に基づく前記基板温度のグラフと、予めユーザにより設定上限値と設定下限値がそれぞれ入力されている設定温度プロファイルのグラフと、を表示し、
グラフスライダーにより前記設定温度プロファイルのグラフを時間軸方向に平行移動させて、前記基板温度のグラフが前記設定温度プロファイルのグラフに適合するか否かを確認することを特徴とするリフロー炉における基板温度確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−210946(P2008−210946A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45410(P2007−45410)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(390035895)株式会社鈴木 (11)
【Fターム(参考)】