基板用コネクタ
【課題】 電線54を回路基板64に接続するための基板用コネクタ1の小型化を図り、回路基板64上の省スペース化を図ること。
【解決手段】 ハウジング2の天壁に形成するハウジング8の係止部9の位置を端子挿入口側とし、端子5の係止突起7が、端子挿入孔3への挿入時に係止部9を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部9に係止して抜け止めとなる。係止突起7を端子5の連結片12に形成することで小型化を図る。基板用コネクタ1をライトアングルタイプとした場合に、LがDの2倍以上(例えばL=1.6mm)という強度上の条件を満たすように連結片12の長さを設定することで、回路基板64の端面を基板コネクタ1の端面と一致させ省スペース化を図る。
【解決手段】 ハウジング2の天壁に形成するハウジング8の係止部9の位置を端子挿入口側とし、端子5の係止突起7が、端子挿入孔3への挿入時に係止部9を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部9に係止して抜け止めとなる。係止突起7を端子5の連結片12に形成することで小型化を図る。基板用コネクタ1をライトアングルタイプとした場合に、LがDの2倍以上(例えばL=1.6mm)という強度上の条件を満たすように連結片12の長さを設定することで、回路基板64の端面を基板コネクタ1の端面と一致させ省スペース化を図る。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電線を回路基板に接続するための基板用コネクタに関するものである。さらに詳しくは、端子挿入孔が形成されたハウジングと、電線を圧着保持して端子挿入孔に挿入保持される端子とを具備し、端子の半田付け足を回路基板への半田付け部とする基板用コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の基板用コネクタ51は、例えば図1717から図21までに示すように構成されていた。すなわち、ハウジング52に2個の端子挿入孔53、53を形成し、各端子挿入孔53に、電線54の端末に圧着保持された端子55を挿入し、端子55の先端部56の一側に突設された係止突起57をハウジングランス(可撓係止腕)58の係止部59に係止して抜け止めとする。この端子55の端子挿入孔53への挿入において、挿入時には係止突起57によって係止部59が2点鎖線で示すように外側へ弾性変形し、挿入完了時には係止部59が実線で示す元の位置に戻って抜け止めとなる。
【0003】端子55の被覆圧着バレル60と芯線圧着バレル61を連結する連結片66から半田付け足63を突設し、この半田付け足63をハウジング52から突出して回路基板64の貫通孔65を貫通させ、半田(図示省略)によって回路基板64の導体部分に接続固定する。66は、端子55の連結片62から半田付け足63と反対側へ突設されて、先端を折り曲げて端子挿入孔53の内壁面に当接させる横振れ規制片である。67は、端子55の先端部56から係止突起57と反対側へ突設されて、先端を折り曲げて端子挿入孔53の内壁面に当接させる横振れ規制片である。68は係止突起57を挿入して案内する係止突起挿入溝である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図17〜図21に示した従来の基板用コネクタ51では、ハウジングランス58の係止部59が端子挿入口と反対側(図17では上側)に形成されていたので、抜け止め用の係止突起57を形成するために、端子55に先端部56を設ける必要があり、小型化が難しいという問題点があった。
【0005】また、端子55の連結片62を短くして小型化を図ろうとした場合、図17に示すように回路基板64の端面と基板用コネクタ51の端面との間に長さS(例えばS=0.6mm)のスペースを設ける必要があるため、回路基板64上の省スペース化が難しいという問題点があった。すなわち、回路基板64の厚さをD、回路基板64の端面から貫通孔65の中心線までの長さをLとすると、強度上の観点からLをD(例えばD=0.8mm)の2倍以上(例えば1.6mm)にする必要があるからである。
【0006】また、端子55が横方向(図18〜図20では左右方向)に振れるのを防止するために、端子55に横振れ規制片66、67を形成しなければならないので、端子55の構造が複雑になるという問題点があった。
【0007】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、小型化、基板上の省スペース化を図ることができ、横振れ防止のための端子構造の簡単化を図ることができる基板用コネクタを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、端子挿入孔(3)が形成されたハウジング(2)と、電線(54)を圧着保持して端子挿入孔(3)に挿入保持される端子(5)とを具備し、端子(5)の半田付け足(13)を回路基板(64)への半田付け部とする基板用コネクタであって、ハウジング(2)の側壁に、外側へ弾性変形可能な係止部(9)が端子挿入口側に位置するハウジングランス(8)を形成し、端子(5)に、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなる係止突起(7)を形成してなることを特徴とする。
【0009】このような構成において、ハウジング(2)の側壁に形成されたハウジングランス(8)の係止部(9)が端子挿入口側に位置し、端子(5)に形成された係止突起(7)が、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形し、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなるので、この係止突起(7)を端子(5)の中間部(例えば連結片)に形成することができる。このため、図17〜図21に示した従来例のような端子55の先端部56が不要となり、基板用コネクタの小型化を図ることができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、回路基板(64)上の省スペスース化を図るために、端子(5)は、電線(54)の軸線方向に沿って順次形成された被覆圧着バレル(10)、連結片(12)及び芯線圧着バレル(11)を具備し、半田付け足(13)を電線(54)の軸線方向と略垂直な方向に連結片(12)から突出して形成し、係止突起(7)を半田付け足(13)の反対側へ連結片(12)から突出して形成する。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1又は2の発明において、横振れ防止のための端子構造の簡単化を図るために、ハウジング(2)に、端子(5)の端子挿入孔(3)への挿入時には係止突起(7)を案内し、挿入完了時には係止突起(7)の横振れを規制する係止突起挿入溝(18)を形成し、この係止突起挿入溝(18)内に係止部(9)を形成する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による基板用コネクタの一実施形態例を、図1から図16までを用いて説明する。図1から図5において、1は基板用コネクタで、この基板用コネクタ1は、図17〜図21に示した基板用コネクタ51と同様に、電線54を回路基板64に接続するためのコネクタである。基板用コネクタ1は、ハウジング2と、このハウジング2の端子挿入孔3、3に挿入保持された端子5、5とで構成されている。
【0013】ハウジング2は絶縁性を有する樹脂材料によって形成されている。このハウジング2には、図6〜図11に示すように前後方向(図6では上下方向、図7では紙面に垂直な前後方向)に貫通する端子挿入孔3、3が所定間隔(例えば1.5mm間隔)で形成されている。
【0014】ハウジング2の天壁(図7では上側の側壁)には、上側から見た形状がU字形の孔4,4が形成され、このU字形孔4,4によって舌片状のハウジングランス(可撓係止腕)8,8が形成されている。
【0015】ハウジングランス8の先端部は、端子挿入口側(図6では下側)に位置し、外側(図7では上側)へ弾性変形可能に形成されている。ハウジングランス8の底面には、後述する係止突起7を挿入して案内するための係止突起挿入溝18が形成され、この係止突起挿入溝18内の端子挿入口側には、図10,図11に示すような係止部9が形成されている。
【0016】ハウジング2の天壁のうち、U字形孔4,4で区切られた前側部には、係止突起挿入溝19,19が形成されている。この係止突起挿入溝19は、前面側が端子挿入口側に開口し、背面側がU字形孔4による隙間を介して係止突起挿入溝18に連通している。
【0017】ハウジング2の底壁(図17では下側の側壁)には、端子挿入口側に開口し上下に貫通したスリット20,20が形成されている。このスリット20は、後述する半田付け足13を挿入、案内、係合するためのものである。
【0018】電線54に固着される前の端子5は、弾性を有する金属製の板材を図12に示すような形状に打ち抜き、切断線SHで切断することによって形成される。そして、折り曲げ加工で被覆圧着バレル10と芯線圧着バレル11を電線54の被覆と芯線に圧着固定することによって、電線54の端末に端子5が固着される。すなわち、被覆圧着バレル10、芯線圧着バレル11は、電線54が圧着される前には図15,図14に示すように断面が略V字形状に形成され、電線54が圧着された後には図1〜図4に示すように被覆、芯線を包み込むように圧着する。
【0019】端子5の被覆圧着バレル10,芯線圧着バレル11は、圧着する電線54の軸線方向(図12では上下方向)に沿って形成され、被覆圧着バレル10と芯線圧着バレル11の間には連結片12が形成されている。連結片12には、電線54の軸線方向と略垂直な方向(図12では左方向)に半田付け足13が突設されるとともに、半田付け足13の反対側(図12では右側)に係止突起7が突設されている。図12において、30はキャリア、31は送り孔である。
【0020】上述のように電線54の端末に固着された端子5を、図1に矢印で示すようにハウジング2の対応する端子挿入孔3に挿入する。この端子5の端子挿入孔3への挿入において、スリット20に挿入、案内された半田付け足13がスリット20の閉塞端に係合することによって、背面側(図1では上側)への動きが規制され、係止突起挿入溝19、18に挿入、案内された係止突起7がハウジングランス8の係止部9に係止することによって、前面側(図1では下側)への抜け止めとなる。
【0021】上述の端子5の端子挿入孔3への挿入において、挿入時には係止突起7によってハウジングランス8の係止部9が2点鎖線で示すように外側へ弾性変形し、挿入完了時にはハウジングランス8の係止部9が実線で示す位置に戻っ係止突起7に係止する。このとき、ハウジングランス8の係止部9が前面側(端子挿入口側)に形成されているので、ハウジングランス8のバネ長を確保することができる。また半田付け足13がスリット20に係合されとともに係止突起7が係止突起挿入溝18に挿入されて横方向(図2〜図4では左右方向)への動きが規制されているので、端子5の横振れを防止することができる。
【0022】上述のように形成された基板用コネクタ1は、その半田付け足13を図1に示すように回路基板64の貫通孔65を貫通させ、半田(図示省略)によって回路基板64の導体部分に接続固定される。
【0023】本発明による基板用コネクタ1では、ハウジングランス8の係止部9が端子挿入口側に位置し、係止部9に係止する係止突起7を連結片12に形成しているので、連結片12の長さを適宜に形成することによって、基板用コネクタ1の端面と回路基板64の端面を一致させて、回路基板64上の省スペース化を図ることができる。すなわち、図1に示すように、LがDの2倍以上(例えば1.6mm)となる条件を満足するように、連結片12の長さを設定して基板用コネクタ1の端面と回路基板64の端面を一致させた場合、連結片12の長さは図17に示した従来例の連結片62より長くなるが、従来例のような先端部56が不要となるので、基板用コネクタ1の全長は従来例の基板用コネクタ51と同じかそれ以下にすることができる。
【0024】また、連結片12の長さを図17の従来例の連結片62と同じにした場合、基板用コネクタ1の端面と回路基板64の端面との間に図17に示したような長さSのスペースを設ける必要はあるが、基板用コネクタ1自体の全長をさらに短くすることができる。
【0025】前記実施形態例では、ハウジング2に2つの端子挿入孔3を形成し、各端子挿入孔3に端子5を挿入、係止した2極の場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、ハウジング2に1つの端子挿入孔3を形成して端子5を挿入、係止した単極の場合や、ハウジング2に3つ以上の端子挿入孔3を形成し、各端子挿入孔3に端子5を挿入、係止した3極以上の場合についても利用することができる。
【0026】前記実施形態例では、端子5の構造を複雑にすることなく横振れを防止するために、ハウジング2に、端子5の端子挿入孔3への挿入時には係止突起7を案内し、挿入完了時には係止突起7の横振れを規制する係止突起挿入溝18を形成し、この係止突起挿入溝18内に係止部9を形成した場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、係止突起挿入溝18を省略し、端子5の連結片12に横振れ規制片を設けた場合についても利用することができる。
【0027】前記実施形態例では、回路基板64上の省スペース化を図るために、半田付け足13の突出方向が電線54の軸線方向と垂直なライトアングルタイプの基板用コネクタ1について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、半田付け足の突出方向が電線54の軸線方向と平行なストレートタイプの基板用コネクタについても利用することができる。
【0028】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、基板用コネクタにおいて、ハウジング(2)の側壁に形成するハウジングランス(8)の係止部(9)の位置を端子挿入口側とし、端子挿入孔3の係止突起(7)が、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなる構成としたので、係止突起(7)を端子(5)の中間部(例えば連結片)に形成することができ、基板用コネクタの小型化を図ることができる。
【0029】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、端子(5)が電線(54)の軸線方向に沿って順次形成された被覆圧着バレル(10)、連結片(12)及び芯線圧着バレル(11)を具備し、半田付け足(13)が電線(54)の軸線方向と略垂直な方向に連結片(12)から突出し、係止突起(7)が半田付け足(13)の反対側の連結片(12)から突出する構成(すなわちライトアングルタイプ)としたので、基板用コネクタの端面を回路基板(64)の端面と一致させて回路基板(64)上の省スペース化を図ることができる。
【0030】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、ハウジング(2)に、端子(5)の端子挿入孔(3)への挿入時には係止突起(7)を案内し、挿入完了時には係止突起(7)の横振れを規制する係止突起挿入溝(18)を形成し、この係止突起挿入溝(18)内に係止部(9)を形成する構成としたので、端子(5)の構造を複雑にすることなく端子(5)の横振れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による基板用コネクタの一実施形態例を示す図で、図中の基板用コネクタ1は図2のAーA線断面図を示す。
【図2】図1中の基板用コネクタ1を示す図で、一部を切り欠いて表示した平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3の背面図である。
【図5】図2の右側面図である。
【図6】図1中のハウジング2を示す平面図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】図7の背面図である。
【図9】図6の左側面図である。
【図10】図6のA−A線断面図である。
【図11】ハウジングランス8の係止部9を示す部分斜視図である。
【図12】電線54に固着される前の、キャリア30に連結された端子5を示す平面図である。
【図13】図12において、切断線SHで切断された後のハウジング(2)の右側面図である。
【図14】図12のA−A線断面図である。
【図15】図12のB−B線端面図である。
【図16】図12のC−C線端面図である。
【図17】従来例を示す図で、図中の基板用コネクタ51は図18のA−A線断面図を示す。
【図18】図17中の基板用コネクタ51を示す図で、一部を切り欠いて表示した平面図である。
【図19】図18の正面図である。
【図20】図19の背面図である。
【図21】図18の右側面図である。
【符号の説明】
1…基板用コネクタ、 2…ハウジング、 3…端子挿入孔、 4…U字形孔、 5…端子、 7…係止突起、 8…ハウジングランス、 9…係止部、 10…被覆圧着バレル、 11…芯線圧着バレル、 12…連結片、 13…半田付け足、 18、19…係止突起挿入溝、 20…スリット、 54…電線、64…回路基板。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電線を回路基板に接続するための基板用コネクタに関するものである。さらに詳しくは、端子挿入孔が形成されたハウジングと、電線を圧着保持して端子挿入孔に挿入保持される端子とを具備し、端子の半田付け足を回路基板への半田付け部とする基板用コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の基板用コネクタ51は、例えば図1717から図21までに示すように構成されていた。すなわち、ハウジング52に2個の端子挿入孔53、53を形成し、各端子挿入孔53に、電線54の端末に圧着保持された端子55を挿入し、端子55の先端部56の一側に突設された係止突起57をハウジングランス(可撓係止腕)58の係止部59に係止して抜け止めとする。この端子55の端子挿入孔53への挿入において、挿入時には係止突起57によって係止部59が2点鎖線で示すように外側へ弾性変形し、挿入完了時には係止部59が実線で示す元の位置に戻って抜け止めとなる。
【0003】端子55の被覆圧着バレル60と芯線圧着バレル61を連結する連結片66から半田付け足63を突設し、この半田付け足63をハウジング52から突出して回路基板64の貫通孔65を貫通させ、半田(図示省略)によって回路基板64の導体部分に接続固定する。66は、端子55の連結片62から半田付け足63と反対側へ突設されて、先端を折り曲げて端子挿入孔53の内壁面に当接させる横振れ規制片である。67は、端子55の先端部56から係止突起57と反対側へ突設されて、先端を折り曲げて端子挿入孔53の内壁面に当接させる横振れ規制片である。68は係止突起57を挿入して案内する係止突起挿入溝である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図17〜図21に示した従来の基板用コネクタ51では、ハウジングランス58の係止部59が端子挿入口と反対側(図17では上側)に形成されていたので、抜け止め用の係止突起57を形成するために、端子55に先端部56を設ける必要があり、小型化が難しいという問題点があった。
【0005】また、端子55の連結片62を短くして小型化を図ろうとした場合、図17に示すように回路基板64の端面と基板用コネクタ51の端面との間に長さS(例えばS=0.6mm)のスペースを設ける必要があるため、回路基板64上の省スペース化が難しいという問題点があった。すなわち、回路基板64の厚さをD、回路基板64の端面から貫通孔65の中心線までの長さをLとすると、強度上の観点からLをD(例えばD=0.8mm)の2倍以上(例えば1.6mm)にする必要があるからである。
【0006】また、端子55が横方向(図18〜図20では左右方向)に振れるのを防止するために、端子55に横振れ規制片66、67を形成しなければならないので、端子55の構造が複雑になるという問題点があった。
【0007】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたもので、小型化、基板上の省スペース化を図ることができ、横振れ防止のための端子構造の簡単化を図ることができる基板用コネクタを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、端子挿入孔(3)が形成されたハウジング(2)と、電線(54)を圧着保持して端子挿入孔(3)に挿入保持される端子(5)とを具備し、端子(5)の半田付け足(13)を回路基板(64)への半田付け部とする基板用コネクタであって、ハウジング(2)の側壁に、外側へ弾性変形可能な係止部(9)が端子挿入口側に位置するハウジングランス(8)を形成し、端子(5)に、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなる係止突起(7)を形成してなることを特徴とする。
【0009】このような構成において、ハウジング(2)の側壁に形成されたハウジングランス(8)の係止部(9)が端子挿入口側に位置し、端子(5)に形成された係止突起(7)が、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形し、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなるので、この係止突起(7)を端子(5)の中間部(例えば連結片)に形成することができる。このため、図17〜図21に示した従来例のような端子55の先端部56が不要となり、基板用コネクタの小型化を図ることができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、回路基板(64)上の省スペスース化を図るために、端子(5)は、電線(54)の軸線方向に沿って順次形成された被覆圧着バレル(10)、連結片(12)及び芯線圧着バレル(11)を具備し、半田付け足(13)を電線(54)の軸線方向と略垂直な方向に連結片(12)から突出して形成し、係止突起(7)を半田付け足(13)の反対側へ連結片(12)から突出して形成する。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1又は2の発明において、横振れ防止のための端子構造の簡単化を図るために、ハウジング(2)に、端子(5)の端子挿入孔(3)への挿入時には係止突起(7)を案内し、挿入完了時には係止突起(7)の横振れを規制する係止突起挿入溝(18)を形成し、この係止突起挿入溝(18)内に係止部(9)を形成する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明による基板用コネクタの一実施形態例を、図1から図16までを用いて説明する。図1から図5において、1は基板用コネクタで、この基板用コネクタ1は、図17〜図21に示した基板用コネクタ51と同様に、電線54を回路基板64に接続するためのコネクタである。基板用コネクタ1は、ハウジング2と、このハウジング2の端子挿入孔3、3に挿入保持された端子5、5とで構成されている。
【0013】ハウジング2は絶縁性を有する樹脂材料によって形成されている。このハウジング2には、図6〜図11に示すように前後方向(図6では上下方向、図7では紙面に垂直な前後方向)に貫通する端子挿入孔3、3が所定間隔(例えば1.5mm間隔)で形成されている。
【0014】ハウジング2の天壁(図7では上側の側壁)には、上側から見た形状がU字形の孔4,4が形成され、このU字形孔4,4によって舌片状のハウジングランス(可撓係止腕)8,8が形成されている。
【0015】ハウジングランス8の先端部は、端子挿入口側(図6では下側)に位置し、外側(図7では上側)へ弾性変形可能に形成されている。ハウジングランス8の底面には、後述する係止突起7を挿入して案内するための係止突起挿入溝18が形成され、この係止突起挿入溝18内の端子挿入口側には、図10,図11に示すような係止部9が形成されている。
【0016】ハウジング2の天壁のうち、U字形孔4,4で区切られた前側部には、係止突起挿入溝19,19が形成されている。この係止突起挿入溝19は、前面側が端子挿入口側に開口し、背面側がU字形孔4による隙間を介して係止突起挿入溝18に連通している。
【0017】ハウジング2の底壁(図17では下側の側壁)には、端子挿入口側に開口し上下に貫通したスリット20,20が形成されている。このスリット20は、後述する半田付け足13を挿入、案内、係合するためのものである。
【0018】電線54に固着される前の端子5は、弾性を有する金属製の板材を図12に示すような形状に打ち抜き、切断線SHで切断することによって形成される。そして、折り曲げ加工で被覆圧着バレル10と芯線圧着バレル11を電線54の被覆と芯線に圧着固定することによって、電線54の端末に端子5が固着される。すなわち、被覆圧着バレル10、芯線圧着バレル11は、電線54が圧着される前には図15,図14に示すように断面が略V字形状に形成され、電線54が圧着された後には図1〜図4に示すように被覆、芯線を包み込むように圧着する。
【0019】端子5の被覆圧着バレル10,芯線圧着バレル11は、圧着する電線54の軸線方向(図12では上下方向)に沿って形成され、被覆圧着バレル10と芯線圧着バレル11の間には連結片12が形成されている。連結片12には、電線54の軸線方向と略垂直な方向(図12では左方向)に半田付け足13が突設されるとともに、半田付け足13の反対側(図12では右側)に係止突起7が突設されている。図12において、30はキャリア、31は送り孔である。
【0020】上述のように電線54の端末に固着された端子5を、図1に矢印で示すようにハウジング2の対応する端子挿入孔3に挿入する。この端子5の端子挿入孔3への挿入において、スリット20に挿入、案内された半田付け足13がスリット20の閉塞端に係合することによって、背面側(図1では上側)への動きが規制され、係止突起挿入溝19、18に挿入、案内された係止突起7がハウジングランス8の係止部9に係止することによって、前面側(図1では下側)への抜け止めとなる。
【0021】上述の端子5の端子挿入孔3への挿入において、挿入時には係止突起7によってハウジングランス8の係止部9が2点鎖線で示すように外側へ弾性変形し、挿入完了時にはハウジングランス8の係止部9が実線で示す位置に戻っ係止突起7に係止する。このとき、ハウジングランス8の係止部9が前面側(端子挿入口側)に形成されているので、ハウジングランス8のバネ長を確保することができる。また半田付け足13がスリット20に係合されとともに係止突起7が係止突起挿入溝18に挿入されて横方向(図2〜図4では左右方向)への動きが規制されているので、端子5の横振れを防止することができる。
【0022】上述のように形成された基板用コネクタ1は、その半田付け足13を図1に示すように回路基板64の貫通孔65を貫通させ、半田(図示省略)によって回路基板64の導体部分に接続固定される。
【0023】本発明による基板用コネクタ1では、ハウジングランス8の係止部9が端子挿入口側に位置し、係止部9に係止する係止突起7を連結片12に形成しているので、連結片12の長さを適宜に形成することによって、基板用コネクタ1の端面と回路基板64の端面を一致させて、回路基板64上の省スペース化を図ることができる。すなわち、図1に示すように、LがDの2倍以上(例えば1.6mm)となる条件を満足するように、連結片12の長さを設定して基板用コネクタ1の端面と回路基板64の端面を一致させた場合、連結片12の長さは図17に示した従来例の連結片62より長くなるが、従来例のような先端部56が不要となるので、基板用コネクタ1の全長は従来例の基板用コネクタ51と同じかそれ以下にすることができる。
【0024】また、連結片12の長さを図17の従来例の連結片62と同じにした場合、基板用コネクタ1の端面と回路基板64の端面との間に図17に示したような長さSのスペースを設ける必要はあるが、基板用コネクタ1自体の全長をさらに短くすることができる。
【0025】前記実施形態例では、ハウジング2に2つの端子挿入孔3を形成し、各端子挿入孔3に端子5を挿入、係止した2極の場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、ハウジング2に1つの端子挿入孔3を形成して端子5を挿入、係止した単極の場合や、ハウジング2に3つ以上の端子挿入孔3を形成し、各端子挿入孔3に端子5を挿入、係止した3極以上の場合についても利用することができる。
【0026】前記実施形態例では、端子5の構造を複雑にすることなく横振れを防止するために、ハウジング2に、端子5の端子挿入孔3への挿入時には係止突起7を案内し、挿入完了時には係止突起7の横振れを規制する係止突起挿入溝18を形成し、この係止突起挿入溝18内に係止部9を形成した場合について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、係止突起挿入溝18を省略し、端子5の連結片12に横振れ規制片を設けた場合についても利用することができる。
【0027】前記実施形態例では、回路基板64上の省スペース化を図るために、半田付け足13の突出方向が電線54の軸線方向と垂直なライトアングルタイプの基板用コネクタ1について説明したが、本発明はこれに限るものでなく、半田付け足の突出方向が電線54の軸線方向と平行なストレートタイプの基板用コネクタについても利用することができる。
【0028】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、基板用コネクタにおいて、ハウジング(2)の側壁に形成するハウジングランス(8)の係止部(9)の位置を端子挿入口側とし、端子挿入孔3の係止突起(7)が、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなる構成としたので、係止突起(7)を端子(5)の中間部(例えば連結片)に形成することができ、基板用コネクタの小型化を図ることができる。
【0029】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、端子(5)が電線(54)の軸線方向に沿って順次形成された被覆圧着バレル(10)、連結片(12)及び芯線圧着バレル(11)を具備し、半田付け足(13)が電線(54)の軸線方向と略垂直な方向に連結片(12)から突出し、係止突起(7)が半田付け足(13)の反対側の連結片(12)から突出する構成(すなわちライトアングルタイプ)としたので、基板用コネクタの端面を回路基板(64)の端面と一致させて回路基板(64)上の省スペース化を図ることができる。
【0030】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、ハウジング(2)に、端子(5)の端子挿入孔(3)への挿入時には係止突起(7)を案内し、挿入完了時には係止突起(7)の横振れを規制する係止突起挿入溝(18)を形成し、この係止突起挿入溝(18)内に係止部(9)を形成する構成としたので、端子(5)の構造を複雑にすることなく端子(5)の横振れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による基板用コネクタの一実施形態例を示す図で、図中の基板用コネクタ1は図2のAーA線断面図を示す。
【図2】図1中の基板用コネクタ1を示す図で、一部を切り欠いて表示した平面図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3の背面図である。
【図5】図2の右側面図である。
【図6】図1中のハウジング2を示す平面図である。
【図7】図6の正面図である。
【図8】図7の背面図である。
【図9】図6の左側面図である。
【図10】図6のA−A線断面図である。
【図11】ハウジングランス8の係止部9を示す部分斜視図である。
【図12】電線54に固着される前の、キャリア30に連結された端子5を示す平面図である。
【図13】図12において、切断線SHで切断された後のハウジング(2)の右側面図である。
【図14】図12のA−A線断面図である。
【図15】図12のB−B線端面図である。
【図16】図12のC−C線端面図である。
【図17】従来例を示す図で、図中の基板用コネクタ51は図18のA−A線断面図を示す。
【図18】図17中の基板用コネクタ51を示す図で、一部を切り欠いて表示した平面図である。
【図19】図18の正面図である。
【図20】図19の背面図である。
【図21】図18の右側面図である。
【符号の説明】
1…基板用コネクタ、 2…ハウジング、 3…端子挿入孔、 4…U字形孔、 5…端子、 7…係止突起、 8…ハウジングランス、 9…係止部、 10…被覆圧着バレル、 11…芯線圧着バレル、 12…連結片、 13…半田付け足、 18、19…係止突起挿入溝、 20…スリット、 54…電線、64…回路基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 端子挿入孔(3)が形成されたハウジング(2)と、電線(54)を圧着保持して端子挿入孔(3)に挿入保持される端子(5)とを具備し、端子(5)の半田付け足(13)を回路基板(64)への半田付け部とする基板用コネクタであって、ハウジング(2)の側壁にハウジングランス(8)を形成し、このハウジングランス(8)の端子挿入口側に外側への弾性変形可能な係止部(9)を形成し、端子(5)に、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなる係止突起(7)を形成してなることを特徴とする基板用コネクタ。
【請求項2】 端子(5)は、電線(54)の軸線方向に沿って順次形成された被覆圧着バレル(10)、連結片(12)及び芯線圧着バレル(11)を具備し、半田付け足(13)を電線(54)の軸線方向と略垂直な方向に連結片(12)から突出して形成し、係止突起(7)を半田付け足(13)の反対側へ連結片(12)から突出して形成してなる請求項1記載の基板用コネクタ。
【請求項3】 ハウジング(2)に、端子(5)の端子挿入孔(3)への挿入時には係止突起(7)を案内し、挿入完了時には係止突起(7)の横振れを規制する係止突起挿入溝(18)を形成し、この係止突起挿入溝(18)内に係止部(9)を形成してなる請求項1又は2記載の基板用コネクタ。
【請求項1】 端子挿入孔(3)が形成されたハウジング(2)と、電線(54)を圧着保持して端子挿入孔(3)に挿入保持される端子(5)とを具備し、端子(5)の半田付け足(13)を回路基板(64)への半田付け部とする基板用コネクタであって、ハウジング(2)の側壁にハウジングランス(8)を形成し、このハウジングランス(8)の端子挿入口側に外側への弾性変形可能な係止部(9)を形成し、端子(5)に、端子挿入孔(3)への挿入時に係止部(9)を外側へ弾性変形させ、挿入完了時に係止部(9)に係止して抜け止めとなる係止突起(7)を形成してなることを特徴とする基板用コネクタ。
【請求項2】 端子(5)は、電線(54)の軸線方向に沿って順次形成された被覆圧着バレル(10)、連結片(12)及び芯線圧着バレル(11)を具備し、半田付け足(13)を電線(54)の軸線方向と略垂直な方向に連結片(12)から突出して形成し、係止突起(7)を半田付け足(13)の反対側へ連結片(12)から突出して形成してなる請求項1記載の基板用コネクタ。
【請求項3】 ハウジング(2)に、端子(5)の端子挿入孔(3)への挿入時には係止突起(7)を案内し、挿入完了時には係止突起(7)の横振れを規制する係止突起挿入溝(18)を形成し、この係止突起挿入溝(18)内に係止部(9)を形成してなる請求項1又は2記載の基板用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図11】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図11】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2003−163049(P2003−163049A)
【公開日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−360078(P2001−360078)
【出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】
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