説明

基礎構造

【課題】 基礎構造のコスト低減を図るとともに、強度向上を図ること。
【解決手段】 基礎10の上面に建物100の下部構造材113を支持する基礎構造において、建物100の外周に沿う外周基礎11の上面に基礎パッキン20を設け、該基礎パッキン20の上面に建物100の下部構造材113を載置するとともに、外周基礎11に囲まれる内部に設置される内部基礎12の上面の高さを上記外周基礎11の上の基礎パッキン20の上面の高さと概略一致させ、該内部基礎12の上面に建物100の下部構造材113を載置してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基礎パッキンを用いた基礎構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎構造として、特許文献1に記載の如く、建物の基礎の上面に基礎パッキンを設け、該基礎パッキンの上面に建物の床パネル、土台等の下部構造材を載置し、基礎に植設してあるアンカーボルトを上記基礎パッキン及び下部構造材に挿通し、このアンカーボルトにナットを緊結することにより、基礎と下部構造材との間に基礎パッキンを挟持した状態で固定するものである。
【0003】
従来の基礎構造にあっては、基礎パッキンが備える通気孔により、建物の床下換気性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4589502
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の基礎構造では、建物の外周に沿う外周基礎の上面に基礎パッキンを設けるともに、外周基礎に囲まれる内部に設置される内部基礎の上面にも基礎パッキンを設けている。
従って、建物の基礎全体に用いる基礎パッキンが大量になり、コスト高になる。
【0006】
また、建物の下部構造材が基礎に対しアンカーボルトにより固定される位置が、基礎の上面から基礎パッキンの厚みだけ高位になる。これにより、アンカーボルトは基礎パッキンの厚み分だけ長くなり、建物の下部構造材が及ぼす剪断力に対して不利になる。
【0007】
本発明の課題は、基礎構造のコスト低減を図るとともに、強度向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、基礎の上面に建物の下部構造材を支持する基礎構造において、建物の外周に沿う外周基礎の上面に基礎パッキンを設け、該基礎パッキンの上面に建物の下部構造材を載置するとともに、外周基礎に囲まれる内部に設置される内部基礎の上面の高さを上記外周基礎の上の基礎パッキンの上面の高さと概略一致させ、該内部基礎の上面に建物の下部構造材を載置してなるようにしたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記内部基礎が外周基礎に囲まれる内部を複数の区画に仕切るとき、それらの区画を連通する通口が該内部基礎に設けられてなるようにしたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において更に、前記建物がユニット建物であり、相隣る建物ユニットが内部基礎の上面に載置されるとき、内部基礎の上面が外周基礎の上面より幅広にされてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
(請求項1)
(a)外周基礎に囲まれる内部に設置される内部基礎の上面の高さを外周基礎の上の基礎パッキンの上面の高さと概略一致させるようにふかし(膨らませる如くに高くし)、該内部基礎の上面に建物の下部構造材を載置する。
【0012】
これにより、基礎パッキンは外周基礎にだけ設けられ、内部基礎には設けられない。建物の基礎全体に用いる基礎パッキンを減量するものになり、コスト低減できる。
【0013】
建物の下部構造材が内部基礎に対しアンカーボルトにより固定される位置は、内部基礎の直上とされ、基礎パッキンを用いない分だけ低位になる。これにより、アンカーボルトは基礎パッキンを用いない分だけ短くなり、建物の下部構造材が及ぼす剪断力に対して有利になる。
【0014】
内部基礎の上面が上述の如くにふかされた分だけ、内部基礎の断面強度を補強するものになる。
【0015】
(請求項2)
(b)内部基礎に設けた通口は、床下作業に供されるだけでなく、通気孔付きの基礎パッキンが内部基礎に設けられない場合にも、内部基礎が仕切った区画の間での風通しを良くし、建物の床下換気性を向上する。
【0016】
(請求項3)
(c)相隣る建物ユニットが載置される内部基礎の上面は外周基礎の上面より幅広になる。幅広の内部基礎に対する幅広の基礎パッキンを不用にしたから、一層コスト低減できる。また、幅広の内部基礎の上面をふかしたから、内部基礎の断面強度を一層向上するものになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は建物の基礎を示す平面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は基礎パッキンを示し、(A)は平面図、(B)は拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示した基礎10は、図2、図3に示す如く、ユニット建物100の下部構造材を支持する。
【0019】
ユニット建物100は、複数の建物ユニット110を図1に示す如くに基礎10の上に隣接設置して構築される。各建物ユニット110は、例えば木質建物ユニットであり、図2、図3に示す如く、床パネル111の外縁に壁パネル112を立設して構成され、床パネル111の下面の外周に土台113を設けている。
【0020】
基礎10は、図1に示す如く、ユニット建物100の外周に沿う外周基礎11と、外周基礎11に囲まれる内部に設置される内部基礎12とからなる。内部基礎12は、外周基礎11に囲まれる内部を複数の区画13A、13Bに仕切り、それらの区画13A、13Bを連通する通口14が長手方向の1ヵ所又は複数ヵ所に設けられている。外周基礎11、内部基礎12はそれらの長手方向複数位置に植設されたアンカーボルト10Aがそれらの上面から突き出ている。
【0021】
外周基礎11の上面にはユニット建物100の外周に位置する建物ユニット110の下部構造材としての土台113が載置される。内部基礎12の上面には相隣る2個の建物ユニット110の下部構造材としての土台113が隣り合わせに載置される。内部基礎12の上面は、2個の建物ユニット110の土台113を隣り合わせで載置可能にする分、唯1個の建物ユニット110の土台113を載置可能にする外周基礎11の上面より幅広にされている。
【0022】
しかるに、ユニット建物100の外周に沿う外周基礎11の上面には長尺基礎パッキン20が連続状に設けられ、該基礎パッキン20の上面に上述した各建物ユニット110の土台113が載置される。
【0023】
また、外周基礎11に囲まれる内部に設置されている内部基礎12の上面の高さH2(地盤面を基準面とした高さ)(図3)は、上記外周基礎11の上の基礎パッキン20の上面の高さH1(地盤面を基準面とした高さ)(図2)と概略一致されるようにふかされている(膨らませる如くに高くされている)。そして、この内部基礎12の上面に上述した相隣る建物ユニット110の土台113が隣り合わせに直に載置される。ここで、内部基礎12の上面と、外周基礎11の上の基礎パッキン20の上面の高さが概略一致とは、建物ユニット110の下部構造材、本実施例では土台113の下面における接合金物等による突部を吸収できる範囲の寸法差はあっても良いことを意味し、具体的には5mm以内の寸法差があっても良いことを意味する。
【0024】
尚、基礎パッキン20は、図4に示す如く、例えば特開2003-301532、特開2005-330798等に記載のものを採用できる。即ち、基礎パッキン20は、通常、厚さが10〜30mm、幅が70〜200mmである。長さは、500〜2000mm程度と長尺で、これを直列に連結し、また、場合によっては、適当に切断して使用される。材質は、剛性〜多少弾性を持ったもの、例えば、合成樹脂、ゴム、金属、セラミック等が使用可能である。
【0025】
基礎パッキン20には、幅方向に抜ける多数の通気孔21が形成されている。更に、各通気孔21は、上下いずれかの壁面に開放部22が形成されている。また、基礎パッキン20には、その平面中央部にアンカーボルト10Aが通るための四角形の孔23が、全長に渡って連続的に形成されている。このように、外周基礎11と土台113との間に介装された基礎パッキン20には多数の通気孔21が形成されているから、この孔を通って空気の流通が可能であり、床下換気を図ることができる。更に、通気孔21の上面又は下面のいずれかが開放形状になっているので、通気性に富み、かつ外周基礎11や土台113の接触面を乾燥させることができる。
【0026】
従って、本実施例にあっては、外周基礎11の上面に基礎パッキン20が設けられる。そして、外周基礎11の上面に設けた基礎パッキン20の上面と、内部基礎12の上面に、建物ユニット110のアンカーボルト通し孔を穿った土台113が載置される。基礎パッキン20、土台113に挿通された外周基礎11の各アンカーボルト10Aと、基礎パッキン20を介さずに土台113に挿通された内部基礎12の各アンカーボルト10Aのそれぞれの先端にナットを緊結することにより、外周基礎11及び基礎パッキン20と土台113とが固定されるとともに、内部基礎12と土台113とが固定される。
【0027】
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)外周基礎11に囲まれる内部に設置される内部基礎12の上面の高さを外周基礎11の上の基礎パッキン20の上面の高さと概略一致させるようにふかし(膨らませる如くに高くし)、該内部基礎12の上面に建物ユニット110の土台113を載置する。
【0028】
これにより、基礎パッキン20は外周基礎11にだけ設けられ、内部基礎12には設けられない。ユニット建物100の基礎10全体に用いる基礎パッキン20を減量するものになり、コスト低減できる。
【0029】
建物ユニット110の土台113が内部基礎12に対しアンカーボルト10Aにより固定される位置は、内部基礎12の直上とされ、基礎パッキン20を用いない分だけ低位になる。これにより、アンカーボルト10Aは基礎パッキン20を用いない分だけ短くなり、建物ユニット110の土台113が及ぼす剪断力に対して有利になる。
【0030】
内部基礎12の上面が上述の如くにふかされた分だけ、内部基礎12の断面強度を補強するものになる。
【0031】
(b)内部基礎12に設けた通口14は、床下作業に供されるだけでなく、通気孔21付きの基礎パッキン20が内部基礎12に設けられない場合にも、内部基礎12が仕切った区画13A、13Bの間での風通しを良くし、ユニット建物100の床下換気性を向上する。
【0032】
(c)相隣る建物ユニット110が載置される内部基礎12の上面は外周基礎11の上面より幅広になる。幅広の内部基礎12に対する幅広の基礎パッキン20を不用にしたから、一層コスト低減できる。また、幅広の内部基礎12の上面をふかしたから、内部基礎12の断面強度を一層向上するものになる。
【0033】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明はユニット建物100の建物ユニット110として、鉄骨建物ユニットを採用することもできる。また、本発明はユニット建物100に限らず、一般の建物にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、基礎構造のコスト低減を図るとともに、強度向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0035】
10 基礎
10A アンカーボルト
11 外周基礎
12 内部基礎
13A、13B 区画
14 通口
20 基礎パッキン
100 ユニット建物
110 建物ユニット
113 土台(下部構造材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の上面に建物の下部構造材を支持する基礎構造において、
建物の外周に沿う外周基礎の上面に基礎パッキンを設け、該基礎パッキンの上面に建物の下部構造材を載置するとともに、
外周基礎に囲まれる内部に設置される内部基礎の上面の高さを上記外周基礎の上の基礎パッキンの上面の高さと概略一致させ、該内部基礎の上面に建物の下部構造材を載置してなることを特徴とする基礎構造。
【請求項2】
前記内部基礎が外周基礎に囲まれる内部を複数の区画に仕切るとき、それらの区画を連通する通口が該内部基礎に設けられてなる請求項1に記載の基礎構造。
【請求項3】
前記建物がユニット建物であり、相隣る建物ユニットが内部基礎の上面に載置されるとき、内部基礎の上面が外周基礎の上面より幅広にされてなる請求項1又は2に記載の基礎構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−29000(P2013−29000A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167369(P2011−167369)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】