基部が可撓性の特徴を備えた高温充填可能なプラスチック容器
プラスチック容器用の基部は、外側支持部、複数の逐次形成部を含む構造形成リング、構造形状リング部の半径方向の内方に配置された内側反転部、および中央部を有してなる。実施例において、逐次形成部は実質的に環状の形態で配置されており、また少なくとも内側反転部は容器に関連した内部の真空力に応答して撓むように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2008年12月31に出願番号61/141,812号で出された米国仮出願の利益を主張するものであり、この出願の全ては参照することにより本願に組み込まれ援用される。
【0002】
(技術分野)
本願発明は、概略的にはプラスチック容器の分野に関し、特に、高温充填条件に対応ないし適合するための改良された基部デザインないし基部構造を有するプラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、非常に多数のプラスチック容器には、高温ないし昇温で、液体および他の内容物が充填される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器内部の製品が冷える際に、製品により占有された容積ないし容量が減少することから、部分的な真空が起こり、容器の壁に内側への力が生じる。「高温充填」プロセスにより充填されることを目的ないし意図した容器は一般的に高温充填用容器と称される。高温充填用容器のデザインないし構造は、特に、予測される内容物の冷却/収縮、およびこれらに関連する力に対処する要求により影響される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明に係わるプラスチック容器の基部は、外側支持部、複数の逐次形成部(連続形成部)を含む構造形成リング(構造形成環状部)、構造形成リングの半径方向(放射方向)内側に配置された内側反転部、および中央部を有してなる。1つの実施例において、逐次形成部は、実質的にリング状(環状)の構造ないし形状で配置され、また、少なくとも内側反転部は、容器に関連した内部真空力に応答して撓む(曲がる)ように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本願発明の実施例に係わるプラスチック容器の概要を例示した説明図である。
【図2】本願発明の実施例に係わる容器基部の底面図である。
【図3】本願発明の実施例に係わる容器基部の一部の前方からの断面図である。
【図4】本願発明の実施例に係わる容器基部の前方の一部の斜視図である。
【図5】本願発明の実施例に係わる容器基部における高温充填前におけるアウトライン(輪郭)を示した側面図である。
【図6】図5に例示したタイプないし形式の容器基部の高温充填後(つまり、冷却後)におけるアウトラインを示した側面図である。
【図7】本願発明の他の実施例に係わる容器基部の底面図である。
【図8】本願発明の他の実施例に係わる容器の部の高温充填前におけるアウトラインを示した側面図である。
【図9】図8に例示したタイプの容器基部の高温充填後(つまり、冷却後)におけるアウトラインを示した側面図である。
【図10】本願発明のさらに別の実施例に係わる容器基部の高温充填前におけるアウトラインを示した側面図である。
【図11】図10に例示したタイプないし形式の容器基部の高温充填後(つまり、冷却後)におけるアウトラインを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本願発明の一例としての実施例を添付図面を参照して説明する。
本願発明の実施例を詳細に説明する。実施例の各例が以下に説明され、また添付図面に例示されいている。本願発明を実施例に関連して説明するが、これらの実施例は本願発明を限定することを意図したものではない。むしろ、本願発明は、添付の特許請求の範囲により規定される発明の技術思想および範囲内に含まれる、全ての代替手段、改良ないし変更、変形および同等物を包含することを意図している。
【0008】
図1に、本願発明の実施例に係わる、垂直な中央線CLを有し、基部(ベース部)20を含む、プラスチック容器を例示した。容器10、および結果的に基部20は、これに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリマーから構成されており、また2軸配向(2軸延伸)されている。基部20の平面図を図2に概略的に示した。なお、本願発明は、図示された容器の種類や形(形式)に限定されることはなく、種々の他の寸法や形状(例えばこれに限定されないが、図7に概略的に形状を例示したようなもの)も本願発明の技術思想および範囲内のものである。
【0009】
例示した実施例の基部20は、外側支持部(環状の支持リング30の形を採ることができる)、第1の反転部(例えば、第1の反転リング部(反転環状部)40)、平面部(またはステップ部(段部))50、構造形成リング60(「ジッパーリング」とも称される)、第2の反転リング部(反転環状部)70、および中央部80を含んでいる。概略的に例示したように、中央部80に、従来の種々の容器において設けられたものも含む、ドーム状部ないし隆起部を含ませても良い。さらに、概略的に例示したように、中央部80に1以上の構造補強形成部90を含ませても良い。
【0010】
実施例において、平面部(あるいはステップ部)50を、外側支持リング部30とジッパーリング60との間に設けても良く、また第1の反転部40(これは、曲がったセグメント/屈曲部でも良い)とジッパーリング60との間にさらに設けても良い。平面部(あるいはステップ部)50は、実質的に平らであり、また実施例によっては垂直な中央線CLに対して略垂直であっても良い。しかしながら、実施例によっては平面部50に(垂直面ないし垂線から)ある程度の角度ないし傾斜度を付けても良い。
【0011】
外側支持部は、環状支持リング30から構成されており、容器10を面で支持するように形作られている。図5および6により良く例示したように、第1の反転部は、曲がったセグメントから構成されており、つまり容器の垂直な中央線CLに対して角度が付けられている。
【0012】
本願発明の実施例において、構造補強形成部は、複数の半径方向(放射状)に延在するリブ90を含んでも良く、この構造補強形成部の寸法および/または形状は種々変更可能である。例示した実施例では、3つの半径方向ないし放射状に延在するリブ90が、容器10の垂直な中央線CLの回りに120°の間隔で配置されている形態で示されている。さらに、必要に応じて設けられる構造補強形成部は、容器の基部20に隣接する壁部に対して内方に延在する構成(例えば、内方凹み(窪み)あるいはスリット)および/または外方に延在する構成とすれば良い。ここで、本願発明は、例示した構造補強形成部に限定されることなく、例示した形成部に加えてあるいは代えて、当業者に公知である他の種々の形成部が使用できる。
【0013】
図3は、本願発明の実施例に係わる容器の基部20の一部分の前方から見た断面図である。図3に例示した容器は、空つまり無充填の状態のものが示されている。図3に示したタイプないし形式の容器の基部の一部の、前方から見た部分的な斜視図を図4に例示した。図4に概略的に例示したように、構造形成リング(あるいはジッパーリング)60は、複数の逐次形成部110(「歯部」とも称される)を有してなる。1つの実施例において、逐次形成部110は、基部の直接隣接する部分に対して内方に延在させても良い。他の実施例において、逐次形成部110は、基部の直接隣接する部分に対して外方に延在させても良い。例示したように、隣接する歯部110(図2の例では「ダイヤモンド」(菱形)のような形状の形成部として示されている)は、それらの間に設けられた中間面部100によって、全部(全体的に)あるいは要部(大部分)が、分離ないし仕切られている。特定の実施形態ではダイヤモンド形状の歯部110として例示されているが、所望の機能を提供し得る他の構成(例えば、これに限定されないが、複数の歯部(三角形状の歯部)を含む構成)を代わりに設けても良く、あるいは、他のいくつかの実施例では異なる形状の歯部を散在させたパターン(例えば、交互に並べる)とすることもできる。1つの実施例では、中間面部100は略平らな部分あるいはセグメント(区分)を有してなる。さらに、実施例によっては、ジッパーリング60の逐次形成部110は、1以上の妨害形成部(中断形成部)、例えば突起や配向形成によって妨害ないし中断させても良い。ジッパーリング60は、複数の交互に並んだ(設けられた)歯部110と中間平面部100を含む環状のセグメントを有してなり、ヒンジ先端部として機能する構造とすることができ、また応力集中力つまり応力集中により発生する力ないし応力集中に伴う力(真空冷却により生成する)を支持リング30の周囲に実質的に均等に分配する。実施例ではこの構造によって、真空下における支持リング30の皺や折れの可能性が軽減されると共により均一な変位を行うことができる。さらに、例示した実施例を参照して、平面部50は、ジッパーリング60を囲繞し、また更に外周反転リングとしても機能する。この外周反転リングは、ジッパーリング60と協働して真空圧下における基部20のより大きな変位を許容する。
【0014】
図5は、本願発明の実施例に係わる容器の基部20の、高温充填前の、アウトライン(外観)を概略的に例示した側面図である。図6は、高温充填後、つまり容器10の内容物が冷却され容器が関連する真空力の影響を受けた後における、図5に示した基部を概略的に例示したものである。図5に概略的に示したように、高温充填前の状態では、ジッパーリング60は、支持リング30のレベル(高さ)のレベル、あるいはこの支持リングのレベルと略同じレベルまで、下方に延在している。さらに、いつくかの実施例では、未充填の容器10に関連したジッパーリング60は、支持リング30のレベル(高さ)より下に延在している。
【0015】
本願発明の教示に従って提供される容器を搬送ないし運搬するには種々の搬送技術ないし運搬技術を使用できる。例えば、これに限定されないが、テーブル(台)を使用した種々の運搬技術および/または首部の向きを揃えて支持する技術(空気搬送を利用したものを含む)などを本願発明の実施例に採用しても良く、この実施例には未充填の容器のジッパーリング60が支持リング30のレベルよりも下まで延在するものも含まれる。
【0016】
図5をさらに参照して、距離Dが概略的に示されている。距離Dは、平面部50と支持リング30の最下部との間の高さの差を表している。いくつかの実施例では、これに限定されないが、距離Dは0.065インチ(1.651mm)から0.010インチ(0.254mm)の程度の長さである。さらに、いくつかの他の実施例において、容器の基部20が外側反転部を含んでいない場合には、これに限定されないが、距離Dは0.065インチ(1.651mm)から0.000インチ(0mm)の長さである。
【0017】
一例として、これに限定されないが、また容器の全体の重さに一部ないし部分的に依存ないし関係するが、本願発明の実施例において、(a)ジッパーリング60の壁厚は0.008インチ(0.2032mm)から0.030インチ(0.762mm)であり、(b)第1(外側)の反転リング40の壁厚は0.006インチ(0.1524mm)から0.035インチ(0.889mm)とすれば良い。
【0018】
容器10は、140°F(60℃)から210°F(98.9℃)の間の温度を有する液体を高温充填するのに略適合している。一例として、これに限定されないが、容器10は、160°F(71.1℃)から190°F(87.8℃)の間で充填される。
【0019】
本願の教示に係わる基部20の他の実施例の平面図が図7に概略的に示されている。例示した実施例の基部20は、外側支持部(環状の支持リング30’の形態のもの)、第1の反転部(例えば、第1の反転リング40’)、平面部(ステップ部)50’、構造形成リング60’(「ジッパーリング」とも称される)、第2の反転部70’、および中央部80’を含んでいる。概略的に例示したように、中央部80’は、種々の従来の容器において設けられるものと同様な、ドーム状部分ないし隆起部を含んでも良い。さらに、概略的に例示したように、基部20’には1つ以上の構造補強形成部90’を含ませても良い。ここで、中央部80’は種々の他の形態に構成しても良い。例えば、これに限定されないが、中央部80’は、図2に示した中央部80の実施例において概略的に例示された構造に代替えすることもできる。
【0020】
図8は、本願発明の実施例に係わる容器の基部20Aの、高温充填前の、アウトラインの側面図を概略的に例示したものである。図9は、高温充填後、つまり、容器の内容物が冷却され容器が関連する真空力の影響を受けた後における、図8に示した基部20Aを概略的に例示したものである。図8に概略的に例示したように、高温充填前の状態では、ジッパーリング60’は、支持リング30’のレベル(高さ)より知覚的に下側、あるいは下方のレベルまで下方に延在している。図9は、真空力の影響の後において、支持リング30’が次いで関連するジッパーリングの下側ないし下方のレベルまで移動した構造を例示したものである。図9はまた、開示された実施例に関連したいくつかの角度寸法が表されている。例えば、例示された角度αは8.0°±5.0°、例示された角度βは14.0°±5.0°、および例示された角度γは55°±25°である。
【0021】
図10は、本願発明の他の実施例に係わる容器の基部20Bの、高温充填前におけるアウトラインの側面図を概略的に例示したものである。図11は、高温充填後、つまり、容器の内容物が冷却し容器が関連する真空力に関連する影響を受けている状態の、図10に示した基部20Bのを概略的に例示したものである。図10に概略的に例示した通り、高温充填前の状態では、ジッパーリング60’’は、支持リング30’’のレベル(高さ)より下側あるいは下方のレベルまで下方に延在している。図11は、ジッパーリング60’’が、真空力の影響を受けた後に、支持リング30’’のレベル(高さ)の上部に延在していることが例示されている。図11にはまた、開示された実施例に関連した角度寸法、角度α、βが明示されている。この実施例において、図11に関連した例示された角度は、図9に関連して開示された角度と同じあるいは実質的に同等であり、つまり図11に示された角度αは8.0°±5.0°、および例示された角度βは14.0°±5.0°である。
【0022】
上述した本願発明の特定の実施例の記述は、例示および説明の目的で提示されたものである。これら実施例は、包括的なものではなく、また本願発明は開示された正確な形態に限定されるものではなく、本願発明の教示を踏まえた種々の改良や変形が可能である。
これら実施例は、本願発明の原理およびその実用的な応用を説明し、これにより当業者が本願発明を利用できるように選択され説明されたものであり、予期される特定の用途に適したように実施例に対して種々の変更や改良を行えば良い。本願発明の範囲は、添付した特許請求の範囲およびその等価物により規定される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2008年12月31に出願番号61/141,812号で出された米国仮出願の利益を主張するものであり、この出願の全ては参照することにより本願に組み込まれ援用される。
【0002】
(技術分野)
本願発明は、概略的にはプラスチック容器の分野に関し、特に、高温充填条件に対応ないし適合するための改良された基部デザインないし基部構造を有するプラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、非常に多数のプラスチック容器には、高温ないし昇温で、液体および他の内容物が充填される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器内部の製品が冷える際に、製品により占有された容積ないし容量が減少することから、部分的な真空が起こり、容器の壁に内側への力が生じる。「高温充填」プロセスにより充填されることを目的ないし意図した容器は一般的に高温充填用容器と称される。高温充填用容器のデザインないし構造は、特に、予測される内容物の冷却/収縮、およびこれらに関連する力に対処する要求により影響される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明に係わるプラスチック容器の基部は、外側支持部、複数の逐次形成部(連続形成部)を含む構造形成リング(構造形成環状部)、構造形成リングの半径方向(放射方向)内側に配置された内側反転部、および中央部を有してなる。1つの実施例において、逐次形成部は、実質的にリング状(環状)の構造ないし形状で配置され、また、少なくとも内側反転部は、容器に関連した内部真空力に応答して撓む(曲がる)ように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本願発明の実施例に係わるプラスチック容器の概要を例示した説明図である。
【図2】本願発明の実施例に係わる容器基部の底面図である。
【図3】本願発明の実施例に係わる容器基部の一部の前方からの断面図である。
【図4】本願発明の実施例に係わる容器基部の前方の一部の斜視図である。
【図5】本願発明の実施例に係わる容器基部における高温充填前におけるアウトライン(輪郭)を示した側面図である。
【図6】図5に例示したタイプないし形式の容器基部の高温充填後(つまり、冷却後)におけるアウトラインを示した側面図である。
【図7】本願発明の他の実施例に係わる容器基部の底面図である。
【図8】本願発明の他の実施例に係わる容器の部の高温充填前におけるアウトラインを示した側面図である。
【図9】図8に例示したタイプの容器基部の高温充填後(つまり、冷却後)におけるアウトラインを示した側面図である。
【図10】本願発明のさらに別の実施例に係わる容器基部の高温充填前におけるアウトラインを示した側面図である。
【図11】図10に例示したタイプないし形式の容器基部の高温充填後(つまり、冷却後)におけるアウトラインを示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本願発明の一例としての実施例を添付図面を参照して説明する。
本願発明の実施例を詳細に説明する。実施例の各例が以下に説明され、また添付図面に例示されいている。本願発明を実施例に関連して説明するが、これらの実施例は本願発明を限定することを意図したものではない。むしろ、本願発明は、添付の特許請求の範囲により規定される発明の技術思想および範囲内に含まれる、全ての代替手段、改良ないし変更、変形および同等物を包含することを意図している。
【0008】
図1に、本願発明の実施例に係わる、垂直な中央線CLを有し、基部(ベース部)20を含む、プラスチック容器を例示した。容器10、および結果的に基部20は、これに限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリマーから構成されており、また2軸配向(2軸延伸)されている。基部20の平面図を図2に概略的に示した。なお、本願発明は、図示された容器の種類や形(形式)に限定されることはなく、種々の他の寸法や形状(例えばこれに限定されないが、図7に概略的に形状を例示したようなもの)も本願発明の技術思想および範囲内のものである。
【0009】
例示した実施例の基部20は、外側支持部(環状の支持リング30の形を採ることができる)、第1の反転部(例えば、第1の反転リング部(反転環状部)40)、平面部(またはステップ部(段部))50、構造形成リング60(「ジッパーリング」とも称される)、第2の反転リング部(反転環状部)70、および中央部80を含んでいる。概略的に例示したように、中央部80に、従来の種々の容器において設けられたものも含む、ドーム状部ないし隆起部を含ませても良い。さらに、概略的に例示したように、中央部80に1以上の構造補強形成部90を含ませても良い。
【0010】
実施例において、平面部(あるいはステップ部)50を、外側支持リング部30とジッパーリング60との間に設けても良く、また第1の反転部40(これは、曲がったセグメント/屈曲部でも良い)とジッパーリング60との間にさらに設けても良い。平面部(あるいはステップ部)50は、実質的に平らであり、また実施例によっては垂直な中央線CLに対して略垂直であっても良い。しかしながら、実施例によっては平面部50に(垂直面ないし垂線から)ある程度の角度ないし傾斜度を付けても良い。
【0011】
外側支持部は、環状支持リング30から構成されており、容器10を面で支持するように形作られている。図5および6により良く例示したように、第1の反転部は、曲がったセグメントから構成されており、つまり容器の垂直な中央線CLに対して角度が付けられている。
【0012】
本願発明の実施例において、構造補強形成部は、複数の半径方向(放射状)に延在するリブ90を含んでも良く、この構造補強形成部の寸法および/または形状は種々変更可能である。例示した実施例では、3つの半径方向ないし放射状に延在するリブ90が、容器10の垂直な中央線CLの回りに120°の間隔で配置されている形態で示されている。さらに、必要に応じて設けられる構造補強形成部は、容器の基部20に隣接する壁部に対して内方に延在する構成(例えば、内方凹み(窪み)あるいはスリット)および/または外方に延在する構成とすれば良い。ここで、本願発明は、例示した構造補強形成部に限定されることなく、例示した形成部に加えてあるいは代えて、当業者に公知である他の種々の形成部が使用できる。
【0013】
図3は、本願発明の実施例に係わる容器の基部20の一部分の前方から見た断面図である。図3に例示した容器は、空つまり無充填の状態のものが示されている。図3に示したタイプないし形式の容器の基部の一部の、前方から見た部分的な斜視図を図4に例示した。図4に概略的に例示したように、構造形成リング(あるいはジッパーリング)60は、複数の逐次形成部110(「歯部」とも称される)を有してなる。1つの実施例において、逐次形成部110は、基部の直接隣接する部分に対して内方に延在させても良い。他の実施例において、逐次形成部110は、基部の直接隣接する部分に対して外方に延在させても良い。例示したように、隣接する歯部110(図2の例では「ダイヤモンド」(菱形)のような形状の形成部として示されている)は、それらの間に設けられた中間面部100によって、全部(全体的に)あるいは要部(大部分)が、分離ないし仕切られている。特定の実施形態ではダイヤモンド形状の歯部110として例示されているが、所望の機能を提供し得る他の構成(例えば、これに限定されないが、複数の歯部(三角形状の歯部)を含む構成)を代わりに設けても良く、あるいは、他のいくつかの実施例では異なる形状の歯部を散在させたパターン(例えば、交互に並べる)とすることもできる。1つの実施例では、中間面部100は略平らな部分あるいはセグメント(区分)を有してなる。さらに、実施例によっては、ジッパーリング60の逐次形成部110は、1以上の妨害形成部(中断形成部)、例えば突起や配向形成によって妨害ないし中断させても良い。ジッパーリング60は、複数の交互に並んだ(設けられた)歯部110と中間平面部100を含む環状のセグメントを有してなり、ヒンジ先端部として機能する構造とすることができ、また応力集中力つまり応力集中により発生する力ないし応力集中に伴う力(真空冷却により生成する)を支持リング30の周囲に実質的に均等に分配する。実施例ではこの構造によって、真空下における支持リング30の皺や折れの可能性が軽減されると共により均一な変位を行うことができる。さらに、例示した実施例を参照して、平面部50は、ジッパーリング60を囲繞し、また更に外周反転リングとしても機能する。この外周反転リングは、ジッパーリング60と協働して真空圧下における基部20のより大きな変位を許容する。
【0014】
図5は、本願発明の実施例に係わる容器の基部20の、高温充填前の、アウトライン(外観)を概略的に例示した側面図である。図6は、高温充填後、つまり容器10の内容物が冷却され容器が関連する真空力の影響を受けた後における、図5に示した基部を概略的に例示したものである。図5に概略的に示したように、高温充填前の状態では、ジッパーリング60は、支持リング30のレベル(高さ)のレベル、あるいはこの支持リングのレベルと略同じレベルまで、下方に延在している。さらに、いつくかの実施例では、未充填の容器10に関連したジッパーリング60は、支持リング30のレベル(高さ)より下に延在している。
【0015】
本願発明の教示に従って提供される容器を搬送ないし運搬するには種々の搬送技術ないし運搬技術を使用できる。例えば、これに限定されないが、テーブル(台)を使用した種々の運搬技術および/または首部の向きを揃えて支持する技術(空気搬送を利用したものを含む)などを本願発明の実施例に採用しても良く、この実施例には未充填の容器のジッパーリング60が支持リング30のレベルよりも下まで延在するものも含まれる。
【0016】
図5をさらに参照して、距離Dが概略的に示されている。距離Dは、平面部50と支持リング30の最下部との間の高さの差を表している。いくつかの実施例では、これに限定されないが、距離Dは0.065インチ(1.651mm)から0.010インチ(0.254mm)の程度の長さである。さらに、いくつかの他の実施例において、容器の基部20が外側反転部を含んでいない場合には、これに限定されないが、距離Dは0.065インチ(1.651mm)から0.000インチ(0mm)の長さである。
【0017】
一例として、これに限定されないが、また容器の全体の重さに一部ないし部分的に依存ないし関係するが、本願発明の実施例において、(a)ジッパーリング60の壁厚は0.008インチ(0.2032mm)から0.030インチ(0.762mm)であり、(b)第1(外側)の反転リング40の壁厚は0.006インチ(0.1524mm)から0.035インチ(0.889mm)とすれば良い。
【0018】
容器10は、140°F(60℃)から210°F(98.9℃)の間の温度を有する液体を高温充填するのに略適合している。一例として、これに限定されないが、容器10は、160°F(71.1℃)から190°F(87.8℃)の間で充填される。
【0019】
本願の教示に係わる基部20の他の実施例の平面図が図7に概略的に示されている。例示した実施例の基部20は、外側支持部(環状の支持リング30’の形態のもの)、第1の反転部(例えば、第1の反転リング40’)、平面部(ステップ部)50’、構造形成リング60’(「ジッパーリング」とも称される)、第2の反転部70’、および中央部80’を含んでいる。概略的に例示したように、中央部80’は、種々の従来の容器において設けられるものと同様な、ドーム状部分ないし隆起部を含んでも良い。さらに、概略的に例示したように、基部20’には1つ以上の構造補強形成部90’を含ませても良い。ここで、中央部80’は種々の他の形態に構成しても良い。例えば、これに限定されないが、中央部80’は、図2に示した中央部80の実施例において概略的に例示された構造に代替えすることもできる。
【0020】
図8は、本願発明の実施例に係わる容器の基部20Aの、高温充填前の、アウトラインの側面図を概略的に例示したものである。図9は、高温充填後、つまり、容器の内容物が冷却され容器が関連する真空力の影響を受けた後における、図8に示した基部20Aを概略的に例示したものである。図8に概略的に例示したように、高温充填前の状態では、ジッパーリング60’は、支持リング30’のレベル(高さ)より知覚的に下側、あるいは下方のレベルまで下方に延在している。図9は、真空力の影響の後において、支持リング30’が次いで関連するジッパーリングの下側ないし下方のレベルまで移動した構造を例示したものである。図9はまた、開示された実施例に関連したいくつかの角度寸法が表されている。例えば、例示された角度αは8.0°±5.0°、例示された角度βは14.0°±5.0°、および例示された角度γは55°±25°である。
【0021】
図10は、本願発明の他の実施例に係わる容器の基部20Bの、高温充填前におけるアウトラインの側面図を概略的に例示したものである。図11は、高温充填後、つまり、容器の内容物が冷却し容器が関連する真空力に関連する影響を受けている状態の、図10に示した基部20Bのを概略的に例示したものである。図10に概略的に例示した通り、高温充填前の状態では、ジッパーリング60’’は、支持リング30’’のレベル(高さ)より下側あるいは下方のレベルまで下方に延在している。図11は、ジッパーリング60’’が、真空力の影響を受けた後に、支持リング30’’のレベル(高さ)の上部に延在していることが例示されている。図11にはまた、開示された実施例に関連した角度寸法、角度α、βが明示されている。この実施例において、図11に関連した例示された角度は、図9に関連して開示された角度と同じあるいは実質的に同等であり、つまり図11に示された角度αは8.0°±5.0°、および例示された角度βは14.0°±5.0°である。
【0022】
上述した本願発明の特定の実施例の記述は、例示および説明の目的で提示されたものである。これら実施例は、包括的なものではなく、また本願発明は開示された正確な形態に限定されるものではなく、本願発明の教示を踏まえた種々の改良や変形が可能である。
これら実施例は、本願発明の原理およびその実用的な応用を説明し、これにより当業者が本願発明を利用できるように選択され説明されたものであり、予期される特定の用途に適したように実施例に対して種々の変更や改良を行えば良い。本願発明の範囲は、添付した特許請求の範囲およびその等価物により規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器用の基部であって、
外側支持部、
実質的に環状の形態で配置された複数の逐次形成部を含む構造形成リング、
前記構造形状リング部の半径方向の内方に配置された内側反転部、および
中央部を有してなり、
少なくとも前記内側反転部が、前記容器に関連した内部の真空力に応答して撓むように構成されている、基部。
【請求項2】
外側支持部が環状の支持リングを有してなる、請求項1記載の基部。
【請求項3】
外側支持部と構造形成リングとの間に設けられた平面部ないしステップ部を含む、請求項1記載の基部。
【請求項4】
前記中央部が1つ以上の構造補強形成部を含む、請求項1記載の基部。
【請求項5】
前記中央部が、複数の半径方向に延在するリブを含む、請求項1記載の基部。
【請求項6】
前記リブが内方に延在する構造である、請求項5記載の基部。
【請求項7】
前記複数の逐次形成部が、複数の歯部を有してなる、請求項1記載の基部。
【請求項8】
底面図において、前記複数の歯部のそれぞれがダイヤモンド形状の構造を有している、請求項7記載の基部。
【請求項9】
隣接する逐次形成部の間の少なくとも一部に中間面部が設けられている、請求項1記載の基部。
【請求項10】
前記複数の逐次形成部が、複数の交互の歯部と中間面部を含む環状セグメントを有してなる、請求項1記載の基部。
【請求項11】
構造補強形成リングがヒンジとして機能するように構成されている、請求項1記載の基部。
【請求項12】
構造補強形成リングが、応力集中力を基部の周辺の回りに実質的に均等に分配するように構成されている、請求項11記載の基部。
【請求項13】
前記容器が空の状態であるときに、構造補強形成リングが、支持リングと同じ垂直レベル、あるいは略同じ垂直レベルで配置されている、請求項1記載の基部。
【請求項14】
プラスチック容器用の可撓性で真空応答性の基部であって、
外側支持部、
実質的に環状の形態で配置された複数の逐次形成部を含む構造形成リング、
前記外側支持部と前記構造形成リングとの間に設けられた外側反転部、
前記外側反転部と前記構造形成リングとの間に設けられた平面ないしステップ部、
内側反転部、および
中央部を有してなる、基部。
【請求項15】
請求項1記載の基部を有してなるプラスチック容器。
【請求項16】
請求項14記載の基部を有してなるプラスチック容器。
【請求項17】
プラスチック容器用の基部であって、
環状支持リングを有してなる外側支持部、
実質的に環状の形態で配置された複数の歯部を含む、複数の逐次形成部を含む構造形成リング、
前記外側支持部と前記構造形成リングとの間に設けられた平面ないしステップ部、
前記構造形状リング部の半径方向の内方に配置された内側反転部、および
1以上の構造補強形成部を含む中央部を有してなり、
少なくとも前記内側反転部が、前記容器に関連した内部の真空力に応答して撓むように構成される、プラスチック容器用の基部。
【請求項18】
前記中央部が複数の半径方向に延在するリブを含む、請求項17記載の基部。
【請求項19】
前記中間面部が、隣接する逐次形成部の間の少なくとも一部に設けられている、請求項17記載の基部。
【請求項20】
前記複数の逐次形成部が、複数の交互に並んだ歯部および中間の平面部を含む環状セグメントを有してなる、請求項17記載の基部。
【請求項1】
プラスチック容器用の基部であって、
外側支持部、
実質的に環状の形態で配置された複数の逐次形成部を含む構造形成リング、
前記構造形状リング部の半径方向の内方に配置された内側反転部、および
中央部を有してなり、
少なくとも前記内側反転部が、前記容器に関連した内部の真空力に応答して撓むように構成されている、基部。
【請求項2】
外側支持部が環状の支持リングを有してなる、請求項1記載の基部。
【請求項3】
外側支持部と構造形成リングとの間に設けられた平面部ないしステップ部を含む、請求項1記載の基部。
【請求項4】
前記中央部が1つ以上の構造補強形成部を含む、請求項1記載の基部。
【請求項5】
前記中央部が、複数の半径方向に延在するリブを含む、請求項1記載の基部。
【請求項6】
前記リブが内方に延在する構造である、請求項5記載の基部。
【請求項7】
前記複数の逐次形成部が、複数の歯部を有してなる、請求項1記載の基部。
【請求項8】
底面図において、前記複数の歯部のそれぞれがダイヤモンド形状の構造を有している、請求項7記載の基部。
【請求項9】
隣接する逐次形成部の間の少なくとも一部に中間面部が設けられている、請求項1記載の基部。
【請求項10】
前記複数の逐次形成部が、複数の交互の歯部と中間面部を含む環状セグメントを有してなる、請求項1記載の基部。
【請求項11】
構造補強形成リングがヒンジとして機能するように構成されている、請求項1記載の基部。
【請求項12】
構造補強形成リングが、応力集中力を基部の周辺の回りに実質的に均等に分配するように構成されている、請求項11記載の基部。
【請求項13】
前記容器が空の状態であるときに、構造補強形成リングが、支持リングと同じ垂直レベル、あるいは略同じ垂直レベルで配置されている、請求項1記載の基部。
【請求項14】
プラスチック容器用の可撓性で真空応答性の基部であって、
外側支持部、
実質的に環状の形態で配置された複数の逐次形成部を含む構造形成リング、
前記外側支持部と前記構造形成リングとの間に設けられた外側反転部、
前記外側反転部と前記構造形成リングとの間に設けられた平面ないしステップ部、
内側反転部、および
中央部を有してなる、基部。
【請求項15】
請求項1記載の基部を有してなるプラスチック容器。
【請求項16】
請求項14記載の基部を有してなるプラスチック容器。
【請求項17】
プラスチック容器用の基部であって、
環状支持リングを有してなる外側支持部、
実質的に環状の形態で配置された複数の歯部を含む、複数の逐次形成部を含む構造形成リング、
前記外側支持部と前記構造形成リングとの間に設けられた平面ないしステップ部、
前記構造形状リング部の半径方向の内方に配置された内側反転部、および
1以上の構造補強形成部を含む中央部を有してなり、
少なくとも前記内側反転部が、前記容器に関連した内部の真空力に応答して撓むように構成される、プラスチック容器用の基部。
【請求項18】
前記中央部が複数の半径方向に延在するリブを含む、請求項17記載の基部。
【請求項19】
前記中間面部が、隣接する逐次形成部の間の少なくとも一部に設けられている、請求項17記載の基部。
【請求項20】
前記複数の逐次形成部が、複数の交互に並んだ歯部および中間の平面部を含む環状セグメントを有してなる、請求項17記載の基部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−513943(P2012−513943A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544589(P2011−544589)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069707
【国際公開番号】WO2010/078341
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(507215839)プラスチパック パッケージング,インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069707
【国際公開番号】WO2010/078341
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(507215839)プラスチパック パッケージング,インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】
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