説明

堆肥発酵処理システム及び排気方法

【課題】 堆肥発酵処理システムにおいて、大型の送風機を設けなくとも臭気ガスの排気を確実に行う。
【解決手段】 建屋内に設けた堆肥発酵槽1と、堆肥発酵槽1中の堆肥を攪拌する攪拌装置3と、前記堆肥発酵槽1の堆肥投入口側から所定距離までを覆った排気フード20と、臭気ガスを排気する排気管22とを備えた堆肥発酵処理システム50において、前記排気フード20で覆った領域の堆肥から発生する臭気ガスをビニルシートなどの空気流通防止手段20aで遮断した状態で排気する。また、排気フード20を設けない堆肥発酵槽部分で発生する臭気ガスは、その臭気が所定のレベルを越えたときのみ排気を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物をコンポスト化する設備において排気を行う堆肥発酵処理システム及び排気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、堆肥の主な原料は畜糞等の農業有機排泄物であったが、最近は食品残査等の生ごみの焼却が困難になってきたことやリサイクルの認識が高まってきたことから、これらの生ごみを農業有機排泄物に混合して有機性廃棄物としてコンポスト化(堆肥化)し、農地に還元することが行われるようになった。これに伴い堆肥製造時の臭気、汚水の問題を解決することが大きな課題となり、更には、堆肥の品質に対する要求が厳しくなっている。
【0003】
堆肥製造工程は、一般に堆肥原料を圧縮混練して昇温させ発酵槽で発酵させた後、所定時間養生して製品にするものであるが、上記のような堆肥原料の増加、環境問題、品質要求に対応するために種々の発酵処理システムが提案されている。中でも効率の良い発酵処理システムの一例としてロータリー方式の発酵処理システムが広く使用されている。このロータリー式攪拌装置は、発酵槽の長手方向に沿って移動しながら堆肥原料をロータリーにより撹拌することにより、堆肥原料を空気に触れさせて好気発酵を促すものである。
【0004】
図5は、このロータリー式攪拌装置を備えた発酵処理システムの斜視図である。この発酵処理システムは、発酵槽1R全体を建屋30Rで覆い、発酵槽1R内の堆肥をロータリー式撹拌機3Rで撹拌しながら、堆肥から発生するガスの臭気強度を、ロータリー式攪拌機3Rのフード20Rの内側頂部に設けた臭気検知器によって測定し、測定した臭気強度からそれに対応する有機性廃棄物の腐熟度を推定し、有機性廃棄物に供給する空気量(酸素)を制御することで適正な腐熟化を図り、臭気の発生を防ぐものである(特許文献1)。
【0005】
この発酵処理システムでは、供給酸素量を制御することで臭気の発生を防いでいるが、攪拌機3Rで撹拌された場所だけに酸素を供給するため、酸素を供給しない他の場所で発生する臭気ガスの排気のために、発酵槽全体をフードで覆い臭気ガスの強制換気ができる大型の送風機を設置している。この場合、前記大型の送風機は1時間当たり排気対象容積の8倍の容積を排気する能力を有することが要求されている一方、堆肥の熟成度により臭気ガスの発生量は異なるにもかかわらず、臭気ガスの発生量に応じた排気制御までは行っていない。
【0006】
また、他の従来例として、コンポスト製造施設において、発酵槽と操作室に、発酵促進給気系機構と脱臭給気系機構とを装備し、前記脱臭給気系機構は、基端部の操作室に送風機を設け、その送風機の一方には通気管を延出し、その先方を前記発酵槽の開口部上方に配し、当該開口部上方に配した通気管部分には吸入口を開口して臭気吸入部となし、当該送風機の他方には送風管を延出し、その先方に送風孔を穿設した送風管を発酵槽内の底面部に配管して底部送風部となし、送風機を駆動することにより、発酵槽の開口部上方の臭気吸入部の吸入口から臭気のある空気を吸入し、これを底部送風部の送風管を介して送風し、これを発酵槽内の底部送風管の送風孔より吹き出し、発酵処理物内を通気させるように構成し、当該脱臭給気系機構の送風機を作動させ、発酵槽用社屋内の臭気ある空気を吸い込み、送風して、これを発酵槽内の底部より吹き出して、空気が発酵処理物内を通気することにより脱臭するようにしたものも知られている(特許文献2参照)。
【0007】
このコンポスト製造装置では、投入直後から発酵が盛んに行われるまでの部分を区切って、その部分で生じる臭気のある空気を、発酵槽用社屋内から集めて、発酵槽へ送り、その底部から吹き出して、脱臭効果がなる発酵処理物内を通気させることにより脱臭するものである。
これによれば、前記特許文献1に記載されたもののように、発酵槽用社屋内全体の排気・脱臭を行うことはなく、その排気対象容積を小さくすることができる。
しかしながら、この脱臭システムでは、発酵が盛んに行われる部分から外側の部分では、堆肥の好気性発酵作用により脱臭が十分に行われることを前提に、臭気の強い部分の空気を吸入して、これを前記外側の部分で堆肥の下側から排気して脱臭しようとするものである。
しかしながら、堆肥原料の投入から所定の時間が経過すれば必ず一様に好気性発酵が十分に行われるとは限らず、例えば、部分的に発酵が進みにくい部分が生じたりすると、その部分からの臭気はそのまま外部に排出されることになり、脱臭が必ずしも十分には行い得ない虞がある。
【特許文献1】特開2004−196421号公報
【特許文献2】特開平11−228270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来の脱臭排気システムに比して小型のシステムで確実に堆肥の脱臭排気を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、堆肥発酵建屋と、堆肥発酵建屋内の堆肥を攪拌・移動する攪拌装置とを備えた堆肥発酵処理システムにおいて、前記堆肥発酵建屋内の堆肥の臭気ガスを常時排気する区域と、臭気ガスのレベルが予め定めた所定値を越えた時のみ排気する区域とに分割し、それぞれの区域の堆肥の臭気を排気する排気システムを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記堆肥の臭気を常時排気する区域は、前記堆肥が前記攪拌装置により前記堆肥投入から所定期間内に通過する区域であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記所定期間は、堆肥の全臭気発生量中の予め定めた所定量が発生する期間であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された堆肥発酵処理システムにおいて、前記堆肥発酵建屋内の堆肥の臭気ガスを常時排気する区域と、臭気ガスのレベルが予め定めた所定値を越えた時のみ排気する区域間には、両区域間の自由な通風を防止する空気流通防止手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れかに記載された堆肥発酵処理システムにおいて、前記攪拌装置の位置を検出する手段を備え、前記攪拌装置の位置検出に基づき、前記堆肥発酵建屋内の堆肥の臭気を常時排気する区域と、臭気のレベルが予め定めた所定値を越えた時のみ排気する区域とにおけるそれぞれの排気システムを切り換える制御を行う制御装置を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、堆肥発酵建屋内の臭気を検知する臭気検知手段を備え、前記制御装置が、前記臭気検知手段で検知する臭気のレベルに応じて前記排気システムにおける送風機の送風量を制御することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、前記臭気検知手段が前記攪拌装置に備えられていることを特徴とする。
請求項8の発明は、堆肥発酵建屋と、堆肥発酵建屋内の堆肥を攪拌・移動する攪拌装置とを備えた堆肥発酵処理システムにおける臭気ガスの排気方法であって、攪拌装置の位置を検知する工程と、検出した位置が所定距離に達したかいなか判断する工程と、所定位置に達しないことを条件に、検知した臭気ガスのレベルに応じて排気量を制御する工程と、検出した位置が所定距離に達したことを条件に、検知した臭気ガスが所定レベルを越えたとき排気を行う工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の堆肥発酵処理システムは、建屋内の堆肥発酵槽の一部、つまり、とくに臭気ガスの発生が盛んな領域にのみに排気フードとその排気フードに設置された排気装置を備えるとともに、その他の領域では臭気ガスのレベルが所定レベルを越えたときのみ排気を行うようにしたため、堆肥発酵槽全体を排気フードで覆わなくともほぼ完全に臭気ガスの排気ができるようにして、排気装置を小型化し大幅にコストを削減することができる。
【0011】
また、前記排気フードに設置された排気装置は、臭気ガスの発生量に応じて適正な排気量を調節できるので、コストを逓減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の1実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の1例である実施形態に係る堆肥発酵処理システム50の構成図である。
堆肥発酵処理システム50は、ロータリー式攪拌装置3、排気フード20、排気管22、下部送風管24及び排気管26からなる。符号30は堆肥発酵処理システム50を収納する建屋であり、建屋30内の堆肥発酵槽1は、堆肥製造の混練、加圧工程で発酵温度に昇温させた堆肥2を投入して発酵工程を行うための処理槽であり、符号1aは、例えばトラック等で運搬されてきた堆肥2の投入口側(前部)を示し、符号1bは堆肥2の出口側(後部)を示す。ロータリー式の発酵処理槽1は、撹拌装置3の備えるロータリー4で撹拌を自動的に行うために、撹拌装置3が往復走行するのに充分な長さと巾を有し、撹拌中に堆肥原料が槽外にこぼれないように適宣の深さに形成されている。
【0013】
前記堆肥発酵槽1の投入口側1aから所定の距離までの部分を、堆肥発酵槽1の上部を排気フード20で覆い、かつ、その排気フード20の出口側方向の端部に空気遮断膜、例えばビニールシート又は暖簾状の空気流通防止手段20aが吊下されており発生した臭気ガス、例えばアンモニアガスが出口側方向に流出しないようにその流通を遮断している。前記排気フード20には臭気ガスを吸引排気するため、水平部分とこの水平部分の一端から垂直上方に延びた排気管22が取り付けられている。排気管22の水平部分には多数の臭気ガスの吸入孔22aが穿設されており、図示しない送風機により、臭気ガスは前記吸入孔22aから垂直上方に吸引されて、図示しない脱臭装置などを経由して外気に排気される。
【0014】
図1に示すように、トラック等で運搬された堆肥を受け入れる室の上部には室送風管28が取付けられ、室内の低濃度の臭気ガスは、投入口側1a近傍に設けられた送風機9により吸引されて、前記堆肥発酵槽1の下部に敷設した下部送風管24の吹出孔24aから堆肥2中に放出される。これは臭気ガスを発酵の進んだ堆肥に効率よく吸収して脱臭するためである。
即ち、堆肥中の堆肥の発酵・分解は、微生物の体内及び体外の酵素によって行われるが、分解完了により微生物自体は死滅しても、酵素は活性を保って残留するために、体外酵素により臭気成分を分解する微生物脱臭機能により脱臭することができるからである。
【0015】
ところで、発酵過程で発生する臭気ガスであるアンモニアガスの90%以上は、堆肥原料投入から所定期間、堆肥原料にもよるが例えば1週間以内に発生する。そこで、撹拌装置3の移動に伴う堆肥2の移動を考慮して、堆肥発酵槽1の投入口側1aから投入した堆肥原料が出口側1bに向かって10日間で移動する距離、例えば約20メートルを排気フード20で覆うことで、その覆われた堆肥2から発生する90%以上の臭気ガスをこの排気フード20で吸引排気することができる。
【0016】
前記約20メートルから出口側1bまでの堆肥の臭気ガス発生は微量なので、一般的には大気に自然に晒しても問題を生じない。しかしながら、上述した食品残査が混合された最近の堆肥原料は多糖類を多く含むため、これらを混練・撹拌した堆肥原料は粘質性が高いため団塊になり易く、外気温度が上昇しかつ堆肥が水分を含むと、排気フード20で覆われている堆肥発酵槽1(以下、「排気フード槽」という。)以外の堆肥発酵槽1(以下、「非排気フード槽」という。)の堆肥からも、再度発酵が起きて臭気ガスを発生する可能性がある。
【0017】
そのために、本実施形態では、非排気フード槽の上側に、建屋30の上部梁から臭気ガスを吸収する排気管26を吊架している。この排気管26は、非排気フード槽を撹拌装置3が撹拌中に臭気ガスが発生した場合、後述する送風機を作動させて非排気フード槽から発生する臭気ガスを排気する。なお、図示していないが、排気ガスを吸引する吸気口は、排気管26の先頭端部に形成しても或いは、排気管22と同様に排気管26に下向きに多数の吸入孔を形成してもよい。
【0018】
撹拌装置3は図1に示すように門扉状の台車8に設置されており、この台車8の下端部には図示しないローラが取り付けられ、投入口側1aから出口側1bに敷設されたレール上に乗っており、従って、台車8に設置された駆動モータを作動させることで前記ローラを駆動し、撹拌装置3が移動する。
ここで、前記ローラには、その軸に取り付けられたパルスエンコーダで出力されたパルス数によって台車8の走行基準点から現在の走行位置を検出する、周知の位置検出器が取り付けられている。
【0019】
前記撹拌装置3では堆肥を撹拌するロータリー4が回転軸5の支持部5aに設置され、その支持部5aに臭気ガスを検出する臭気検知器6が設けられている。この臭気検知機6は所定のレベル以上の臭気ガスを検知したときに、その検知信号を後述する制御装置に送信する。この制御装置は図示しない送風機を作動制御させて臭気ガスを排気する。
【0020】
上記の実施形態として、前記撹拌装置3をロータリー式として説明したが、これに限定されるものではなく、パドル式、スクリュー式、オーガス式、スクープ式等の攪拌装置であってもよい。
【0021】
図2は堆肥発酵処理システム50の制御系のブロック図である。図中、符号60は制御装置であり、この制御装置60は臭気検知器6及び位置検知器7の信号に基づき送風機(常用送風機)62及び送風機(補助用送風機)64を制御する常用送風機制御部60a及び補助用送風機制御部60bを備えている。前記位置検知器の走行基準点は、例えば、投入口側1aが基準点として設定されており、前記制御装置60は、前記位置検知器7のパルスエンコーダで出力されたパルス数を基に走行距離を演算して、20メータの位置、即ち、排気フード槽と非排気フード槽の境の位置を検出すると、前記臭気検知器6からの信号の送信先を常用送風機制御部62aから補助用送風機制御部62bに切り替える制御を行う。
【0022】
堆肥発酵処理システム50の制御装置60の処理手順を図3及び4のフローチャートを参照して説明する。図3は前記補助用送風機制御部60bの処理動作を説明するフローチャートである。非排気フード槽内を前記攪拌装置3が攪拌中に、前記臭気検知器6が臭気ガスを検知すると(S1)、その検知信号の値が所定のレベル以上か否かを判断する(S2)。
【0023】
所定レベルに達しなければ前記臭気検知器6が臭気ガスの検知を繰り返す。所定レベル以上であれば補助用送風機64を作動させて、臭気ガスを排気管26で吸引して建屋30外の大気中に排気する(S3)。臭気検知器6からの送信信号が依然として所定のレベル以上か否かを判断して(S4)、所定レベルと以上であれば継続して補助用送風機64を作動し続ける。所定レベル未満であれば補助用送風機64を停止させる(S5)。
【0024】
前記攪拌装置3が攪拌を終了した後、前記撹拌装置3が非排気フード槽から排気フード槽へ移動する際には、前記制御装置60は位置検出器から信号を受信して(S6)、臭気検知器6からの信号の送信先を補助用送風機制御部60bから常用送風機制御部60aに切り替えて、つまり排気システムを切り換えて(S7)処理を終了する。
【0025】
図4は、前記常用送風機制御部60aの処理手順を説明するフローチャートである。なお、前記常用送風機62は常時作動しており、排気フード槽内から発生する臭気ガスを排気し続けている。前記臭気検知器6が臭気ガスを検知して(S11)、その検知信号の値がどのレベルにあるかを判断する(S12)。例えば、臭気検知器6で検知された信号値のレベルを3段階に分けておき、その3段階の何れのレベルにあるかの判断を行い、そのレベルに応じた送風機62の回転制御を行う(S13)。
【0026】
即ち、前記検知信号の値が最も高いレベルであれば常用送風機62の回転数を上げて臭気ガスの排気量を増やす。前記撹拌装置3が排気フード槽内で堆肥を撹拌している間は、このように前記制御装置60は検知信号の値がどのレベルにあるかの判断を行う。一方、前記撹拌装置3が排気フード槽から非排気フード槽へ移動する際には、前記制御装置60は位置検出器から信号を受信して(S14)、臭気検知器6からの信号の送信先を常用送風機制御部60aから補助用送風機制御部60bに切り替えて、つまり排気システムを切り換えて(S15)処理を終了する。
【0027】
なお、上記の例では、検知信号の値のレベル判断を継続的に行うものを示したが、これに限定されるものではなく、例えば所定時間毎の検知信号の値の平均値、又は複数箇所での検知信号の値の平均値を用いて検知信号値のレベル判断を行ってもよい。同様に、位置検出器の例としてパルスエンコーダを示したが、これに限定されるものではなく、周知の他の位置検出手段を用いることができる。
【0028】
以上のように、従来、発酵槽全体を覆う排気フード20とその排気フード内20に排気装置を設ける必要があったが、前記堆肥発酵処理システム50は、堆肥発酵槽の一部を覆う排気フード20とその排気フード20に設置された排気装置を備えるだけで、90%以上の臭気ガスを除去することができるので、排気装置を小型化し大幅なコスト削減ができる。また、非排気フード槽で臭気ガスが発生した場合には、補助排気システムで臭気ガスの排気ができる。即ち、堆肥発酵槽全体50を排気フード20で覆わなくともほぼ完全に臭気ガスの排気ができる。
【0029】
更に、前記排気フード槽では、排気装置の排気量を臭気ガスの発生量(レベル)に応じて適正に調節でき、また非排気フード槽では、臭気ガスの発生量が所定レベル以上になると排気装置が作動して臭気ガスを排気できるので、臭気ガスの排出を低廉なコストで確実に行うことができる。なお、非排気フード槽においても、前記排気制御に加えて、排気装置の排気量を臭気ガスの発生レベルに応じて適正に調節するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】堆肥発酵処理システムの構成図である。
【図2】堆肥発酵処理システムの制御ブロック図である。
【図3】送風機制御部が情報を処理するフローチャートである。
【図4】送風機制御部が情報を処理するフローチャートである。
【図5】従来のロータリー式攪拌機を備えた発酵処理システムの斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・堆肥発酵槽、2・・・堆肥、3・・・攪拌装置、6・・・臭気検知器、7・・・位置検出器、30・・・建屋、20・・・排気フード、20a・・・空気流通防止手段、22・・・排気管、50・・・堆肥発酵処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆肥発酵建屋と、堆肥発酵建屋内の堆肥を攪拌・移動する攪拌装置とを備えた堆肥発酵処理システムにおいて、
前記堆肥発酵建屋内の堆肥の臭気ガスを常時排気する区域と、臭気ガスのレベルが予め定めた所定値を越えた時のみ排気する区域とに分割し、それぞれの区域の堆肥の臭気を排気する排気システムを備えたことを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記堆肥の臭気を常時排気する区域は、前記堆肥が前記攪拌装置により前記堆肥投入から所定期間内に通過する区域であることを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記所定期間は、堆肥の全臭気発生量中の予め定めた所定量が発生する期間であることを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記堆肥発酵建屋内の堆肥の臭気ガスを常時排気する区域と、臭気ガスのレベルが予め定めた所定値を越えた時のみ排気する区域間には、両区域間の自由な通風を防止する空気流通防止手段を備えたことを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記攪拌装置の位置を検出する手段を備え、前記攪拌装置の位置検出に基づき、前記堆肥発酵建屋内の堆肥の臭気を常時排気する区域と、臭気のレベルが予め定めた所定値を越えた時のみ排気する区域とにおけるそれぞれの排気システムを切り換える制御を行う制御装置を有することを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項6】
請求項5に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
堆肥発酵建屋内の臭気を検知する臭気検知手段を備え、
前記制御装置が、前記臭気検知手段で検知する臭気のレベルに応じて前記排気システムにおける送風機の送風量を制御することを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載された堆肥発酵処理システムにおいて、
前記臭気検知手段が前記攪拌装置に備えられていることを特徴とする堆肥発酵処理システム。
【請求項8】
堆肥発酵建屋と、堆肥発酵建屋内の堆肥を攪拌・移動する攪拌装置とを備えた堆肥発酵処理システムにおける臭気ガスの排気方法であって、
攪拌装置の位置を検知する工程と、
検出した位置が所定距離に達したかいなか判断する工程と、
所定位置に達しないことを条件に、検知した臭気ガスのレベルに応じて排気量を制御する工程と、
検出した位置が所定距離に達したことを条件に、検知した臭気ガスが所定レベルを越えたとき排気を行う工程と
を有することを特徴とする臭気ガスの排気方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−70208(P2007−70208A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262498(P2005−262498)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】