説明

場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法および管理装置

【課題】ケーシング管、トレミー管の引き抜き作業の合理化を図る上で有利な場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法および管理装置を提供する。
【解決手段】ケーシング管下端深度Dc、トレミー管下端深度Dt、コンクリート天端深度Dkをそれぞれ検出する。コンクリート天端深度Dkと、ケーシング管下端深度Dcと、最上部のケーシング管単体12の長さとに基づいて最上部のケーシング管単体12を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する。コンクリート天端深度Dkと、トレミー管下端深度Dtと、最上部のトレミー管単体18の長さとに基づいて最上部のトレミー管単体18を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する。それら判定結果を報知する。これにより報知結果に基づいてケーシング管14、トレミー管20の引き抜き作業を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法および管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
場所打ちコンクリート杭の構築工法として以下の工程を含むものが知られている(特許文献1参照)。
(1)複数のケーシング管単体が長手方向に接続されたケーシング管を地中に押し込む。
(2)ケーシング管の内部の土砂を掘削排出して掘削孔を形成する。
(3)複数のトレミー管単体が長手方向に接続されたトレミー管を掘削孔に挿入し、トレミー管で掘削孔にコンクリートを打設する。
(4)コンクリートの打設後、ケーシング管およびトレミー管を引き抜く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−16787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケーシング管を引き抜く場合、掘削孔の壁面が崩れることを防止するため、ケーシング管の下端が打設されたコンクリートの天端から上に抜けてないように、ケーシング管の引き抜き作業を管理する必要がある。
また、トレミー管を引き抜く場合、トレミー管から吐出されるコンクリートが安定して掘削孔に打設されるように、トレミー管の下部が打設されたコンクリートに予め定められた深さで埋設されるように、トレミー管の引き抜き作業を管理する必要がある。
従来、これらの管理は、作業者がコンクリート天端の位置を手作業で計測すると共に、ケーシング管やトレミー管の先端の位置を推定して行っている。
しかしながら、これらの管理作業は煩雑で作業者の負担が大きく、ケーシング管、トレミー管の引き抜き作業を的確に実施する上で改善の余地がある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ケーシング管、トレミー管の引き抜き作業の合理化を図れ、ひいては場所打ちコンクリート杭の施工の合理化を図る上で有利な場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法および管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、複数のケーシング管単体が長手方向に接続されたケーシング管を地中に押し込み、前記ケーシング管の内部の土砂を掘削排出して掘削孔を形成した後、複数のトレミー管単体が長手方向に接続されたトレミー管を前記掘削孔に挿入し、前記トレミー管で前記掘削孔にコンクリートを打設し、前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜く場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法であって、前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜くことに先立って、予め定められた基準位置から前記掘削孔に打設された前記コンクリートの天端までの距離であるコンクリート天端深さを検出するコンクリート天端深度検出工程と、前記基準位置から前記ケーシング管の下端までの距離であるケーシング管下端深度を検出するケーシング管下端深度検出工程と、前記基準位置から前記トレミー管の下端までの距離であるトレミー管下端深度を検出するトレミー管下端深度検出工程と、前記コンクリート天端深度と、前記ケーシング管下端深度と、前記ケーシング管のうち最も上部に位置する最上部ケーシング管単体の長さとに基づいて前記最上部ケーシング管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第1の判定工程と、前記コンクリート天端深度と、前記トレミー管下端深度と、前記トレミー管のうち最も上部に位置する最上部トレミー管単体の長さとに基づいて前記最上部トレミー管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第2の判定工程と、前記第1、第2の判定工程の判定結果を報知する報知工程とを含むことを特徴とする。
【0006】
また本発明は、複数のケーシング管単体が長手方向に接続されたケーシング管を地中に押し込み、前記ケーシング管の内部の土砂を掘削排出して掘削孔を形成した後、複数のトレミー管単体が長手方向に接続されたトレミー管を前記掘削孔に挿入し、前記トレミー管で前記掘削孔にコンクリートを打設し、前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜く場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置であって、前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜くことに先立って、予め定められた基準位置から前記掘削孔に打設された前記コンクリートの天端までの距離であるコンクリート天端深さを検出するコンクリート天端深度検出手段と、前記基準位置から前記ケーシング管の下端までの距離であるケーシング管下端深度を検出するケーシング管下端深度検出手段と、前記基準位置から前記トレミー管の下端までの距離であるトレミー管下端深度を検出するトレミー管下端深度検出手段と、前記コンクリート天端深度と、前記ケーシング管下端深度と、前記ケーシング管のうち最も上部に位置する最上部ケーシング管単体の長さとに基づいて前記最上部ケーシング管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第1の判定手段と、前記コンクリート天端深度と、前記トレミー管下端深度と、前記トレミー管のうち最も上部に位置する最上部トレミー管単体の長さとに基づいて前記最上部トレミー管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第2の判定手段と、前記第1、第2の判定手段の判定結果を報知する報知手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンクリート天端深度と、ケーシング管下端深度と、最上部のケーシング管単体の長さとに基づいて最上部のケーシング管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定し、コンクリート天端深度と、トレミー管下端深度と、最上部のトレミー管単体の長さとに基づいて最上部のトレミー管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定し、それら判定結果を報知するようにした。
したがって、報知結果に基づいてケーシング管、トレミー管の引き抜き作業を行えばよく、手作業による計測作業が不要となることから、ケーシング管、トレミー管の引き抜き作業の合理化を図れ、ひいては場所打ちコンクリート杭の施工の合理化、杭コンクリート品質の確保、また、施工履歴情報が残るためにトレーサビリティの確保を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(A)〜(H)は場所打ちコンクリート杭10の構築工法の説明図である。
【図2】本実施の形態に係る場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置30の構成を示す構成図である。
【図3】コンピュータ38の構成を示すブロック図である。
【図4】ケーシング管14、トレミー管20、コンクリートCの位置関係を示す説明図である。
【図5】管理装置30の動作を示すフローチャートである。
【図6】(A)〜(F)はケーシング管14、トレミー管20の引き抜き手順を示す説明図である。
【図7】初期入力画面の説明図である。
【図8】計測画面の説明図である。
【図9】操作入力画面の説明図である。
【図10】線図表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態の場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置について管理方法と共に説明する。
まず、図1を参照して本発明が適用される場所打ちコンクリート杭の構築工法について説明する。
図1(A)に示すように、場所打ちコンクリート杭10を構築すべき地盤Gに、ケーシング管の押し込み引き抜き装置2と、クローラクレーン4Aとを設置する。
次いで、図1(B)に示すように、押し込み引き抜き装置4Aによってケーシング管単体12を回転させつつ地盤に押し込む。なお、最初に押し込まれるケーシング管単体12の下端(先端)には地盤掘削用の複数のビットが設けられ、これらビットにより地盤Gが削られる。
図1(C)に示すように、1つのケーシング管単体12が地盤Gに押し込まれたならば、クローラクレーン4Aに昇降可能に吊り下げられたグラブハンマー6を用いてケーシング管単体12の内側の土砂を掘削し、この掘削した土砂を掴んで排出する。これによりケーシング管単体12の内側に掘削孔Hを形成する。
1つのケーシング管単体12の長さに相当する掘削孔Hが形成されたならば、ケーシング管単体12の上端に別のケーシング管単体12を接続し、前記と同様に、押し込み引き抜き装置2によって上側のケーシング管単体12を地盤Gに押し込む。これにより接続された2つのケーシング管単体12からなるケーシング管14が地盤Gに押し込まれることになる。
ケーシング管14が地盤Gに押し込まれたならば、前記と同様に、グラブハンマー6を用いてケーシング管単体12の内側に掘削孔Hを形成する。
上述のようにケーシング管単体12を継ぎ足して掘削を行うことにより所望の深度の掘削孔Hを得る。
なお、ケーシング管単体12は、施工の都合上、異なる長さのものを組み合わせて用いることが多い。
【0010】
次に、図1(D)に示すように、クローラクレーン4Aに昇降可能に吊り下げられた沈殿バスケット8を用いてスライム処理を実施する。
次に、図1(E)に示すように、別のクローラクレーン4Bによって鉄筋かご16を掘削孔Hに建て込む。
次に、図1(F)に示すように、複数のトレミー管単体18が長手方向に接続されたトレミー管20をクローラクレーン4Bによって掘削孔Hに挿入する。
なお、トレミー管単体18は、施工の都合上、異なる長さのものを組み合わせて用いることが多い。
次に、図1(G)に示すように、コンクリートミキサー車4Cから不図示のホッパを介してコンクリートCをトレミー管20に流し込み、掘削孔HにコンクリートCを打設する。
コンクリートCの打設作業と、押し込み引き抜き装置2によるケーシング管14の引き抜き作業、および、クローラクレーン4Bによるトレミー管20の引き抜き作業とが交互に行われる。本発明は、この図1(G)の作業に適用されるものである。
図1(H)に示すように、コンクリートCの打設が完了し、コンクリートCが硬化することにより場所打ちコンクリート杭10が構築される。なお、図1(H)では、コンクリート天端から上部に残存する掘削孔Hの空間(空堀部)にショベルカー4Dで土砂を埋め戻す場合について図示している。
【0011】
次に本実施の形態に係る場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置について説明する。
図2に示すように、管理装置30は、RFIDタグ32と、受信装置34(リーダ)と、コンクリート天端深度測定装置36と、コンピュータ38とを含んで構成されている。
RFIDタグ32は、トレミー管20を構成する各トレミー管単体18のそれぞれに取着されており、本実施の形態では、RFIDタグ32は、トレミー管単体18の外周面で長手方向における予め定められた位置に取着されている。
RFIDタグ32は、各トレミー管単体18を識別するためのIDデータを保持している。
【0012】
受信装置34は、アンテナ3402を備え、場所打ちコンクリート杭10を施工する地盤Gの近傍に設置された支持部材35に支持され、アンテナ3402は、予め定められた位置に設置されている。
受信装置34は、トレミー管単体18に取着されたRFIDタグ32がアンテナ3402の通信可能範囲に位置したときにRFIDタグ32との間で無線通信がなされるように配置されており、通信可能範囲に入るRFIDタグ32が常に1つとなるように、アンテナ3402とトレミー管20との位置関係が設定されている。
受信装置34は、アンテナ3402を介してRFタグ32と通信を行い、RFIDタグ32が保持するIDデータを受信して、コンピュータ38に供給するものである。
【0013】
コンクリート天端深度測定装置36は、錘3602と、ワイヤ3604と、リール3606と、測定部3608とを含んで構成されている。
錘3602は、打設されたコンクリートCの天端に載置される。
ワイヤ3604は、その先端が錘3602に取着されている。
リール3606は、ワイヤ3604を巻回しており、ワイヤ3604を繰り出し、巻き取り可能に収容するものである。
リール3606は、錘3602がコンクリートの天端に載置され、かつ、ワイヤ3604にたるみが生じない程度の張力をワイヤ3604に与えるように構成され、場所打ちコンクリート杭10を施工する地盤Gの近傍に設置された支持部材37に支持されている。
測定部3608は、リール3606の回転量に基づいてワイヤ3604の繰り出し量、すなわち、コンクリートCの天端の高さHc(以下コンクリート天端深度Dkという)を測定し、その測定結果をコンピュータ38に供給するものである。
図4に示すように、コンクリート天端深度Dkは、予め定められた基準位置から天端までの距離をいうものとする。本実施の形態では、基準位置P0を、施工する場所打ちコンクリート杭10よりも上方の予め定められた位置に設定する。
本実施の形態では、コンクリート天端深度測定装置36により「コンクリート天端深度検出手段」が構成されている。
なお、コンクリート天端深度検出手段は、本実施の形態に限定されるものではなく、従来公知の様々な距離測定装置が使用可能である。
【0014】
図3に示すように、コンピュータ38は、CPU3802と、不図示のインターフェース回路およびバスラインを介して接続されたROM3804、RAM3806、ハードディスク装置3808、ディスク装置3810、キーボード3812、マウス3814、ディスプレイ3816、タッチパネル3818、プリンタ3820、入出力インターフェース3822などを有している。
ROM3804は所定の制御プログラムなどを格納し、RAM3806はワーキングエリアを提供するものである。
ハードディスク装置3808は、管理装置30の機能を実現するための管理プログラムを格納している。
【0015】
ディスク装置3810はCDやDVDなどの記録媒体に対してデータの記録および/または再生を行うものである。
キーボード3812およびマウス3814は、操作者による操作入力を受け付けるものである。
ディスプレイ3816はデータを表示出力するものであり、プリンタ3820はデータを印刷出力するものであり、ディスプレイ3816およびプリンタ3820によってデータを出力する。
タッチパネル3818は、ディスプレイ3816の表示面に設けられ、ディスプレイ3316と共にタッチパネルディスプレイを構成することで操作者による操作入力を受け付けるものである。
入出力インターフェース3822は、外部装置との間でデータの授受を行うものであり、本実施の形態では、受信装置34および測定部3608からデータを受け付ける。
なお、図3において、符号60は入出力インターフェース3822に接続された無線LAN装置を示し、符号62は、タブレットPCなどのモバイルモニタ装置を示す。
モバイルモニタ装置62は、無線LAN装置60を介してパーソナルコンピュータ38と無線通信を行うことにより、情報の授受を行うものである。
【0016】
管理装置30は、CPU3802が前記の管理プログラムを実行することによって、図2に示すように、ケーシング管下端深度検出手段40と、トレミー管下端深度算出手段42と、天端低下量算出手段44と、第1の判定手段46と、第2の判定手段48と、報知手段50と、線図表示手段52とを実現する。
【0017】
ケーシング管下端深度検出手段40は、コンクリートCの打設後、ケーシング管14およびトレミー管20を引き抜くことに先立って、基準位置P0からケーシング管14の下端までの距離であるケーシング管下端深度Dcを検出するものである。
本実施の形態では、場所打ちコンクリート杭10の構築に先立って、ケーシング管14を構成する複数のケーシング管単体12のそれぞれに設定されたIDデータと、ケーシング管単体12の長さとを対応付けたデータテーブルが作成され、このデータテーブルがハードディスク装置3808に格納される。
そして、ケーシング管下端深度検出手段40は、キーボード3812あるいはタッチパネル3818からの操作入力に応じて最上部に位置するケーシング管単体12のIDデータを特定することにより、データテーブルから最上部のケーシング管単体12の長さを読み出し、最上部のケーシング管単体12の長さをケーシング管14の全長から減算した値に基づいてケーシング管下端深度Dcを算出する。
前記操作入力は、図8に示すように、ケーシング管引き抜き開始を指示する操作ボタン220の操作によりなされる。すなわち、ケーシング管引き抜き開始が指示される毎に、ケーシング管単体12が1本ずつ引き抜かれることになるため、このボタン操作による指示に応じてケーシング管単体12のIDデータを特定することができる。
また、ケーシング管単体12のIDデータの特定は、上述したボタン操作を行う代わりに以下のようにしてもよい。
すなわち、図2に示すように、予めケーシング管単体12に、各ケーシング管単体12を識別するためのIDデータを保持するRFIDタグ33を取着しておく。
そして、受信装置34(アンテナ3402)を用いてケーシング管単体12に取着されたRFIDタグ33によりケーシング管単体12のIDデータを自動認識させるようにしてもよい。
【0018】
トレミー管下端深度算出手段42は、基準位置P0からトレミー管20の下端までの距離であるトレミー管下端深度Dtを算出するものである。
本実施の形態では、場所打ちコンクリート杭10の構築に先立って、トレミー管20を構成する複数のトレミー管単体18のそれぞれに設定されたIDデータと、トレミー管単体18の長さとを対応付けたデータテーブルが作成され、このデータテーブルがハードディスク装置3808に格納される。
そして、トレミー管下端深度算出手段42は、受信装置34から供給されるトレミー管単体18のIDデータから最上部のトレミー管単体18のIDデータを特定することにより、データテーブルから最上部のトレミー管単体18の長さを読み出し、最上部トレミー管単体18の長さをケーシング管14の全長から減算した値に基づいてトレミー管下端深度Dtを算出する。
本実施の形態では、RFタグ32と、受信装置34と、トレミー管下端深度算出手段42とによって「トレミー管下端深度検出手段」が構成されている。
【0019】
天端低下量算出手段44は、打設されたコンクリートCからケーシング管14が最上部のケーシング管単体12の長さ分引き抜かれることによって生じるコンクリートCの天端が低下する低下量を算出するものである。
本実施の形態では、ケーシング管14(ケーシング管単体12)が単位長さ分引き抜かれたときにコンクリートCの天端が低下する単位低下量が予め設定されており、天端低下量算出手段44は、引き抜かれたケーシング管14の長さと前記の単位低下量とに基づいてコンクリートCの天端が低下する低下量を算出する。
【0020】
第1の判定手段46は、コンクリート天端深度Dkと、ケーシング管下端深度Dcと、ケーシング管14のうち最も上部に位置する最上部のケーシング管単体12の長さとに基づいて最上部のケーシング管単体12を引き抜く作業が可能であるか否かを判定するものである。
本実施の形態では、第1の判定手段46は、ケーシング管14が最上部のケーシング管単体12の長さ分引き抜かれた状態で、コンクリートCの天端とケーシング管14の下端との間に予め定められた第1の距離ΔL1が確保されるという条件が成立するか否かに基づいて前記の判定を行う。
第1の距離ΔL1は、打設されたコンクリートCの圧力によって掘削孔Hの壁面が安定して支持されるために必要な距離である。
また、第1の判定手段46は、天端低下量算出手段44によって算出された低下量を考慮して前記の判定を行う。
【0021】
第2の判定手段48は、コンクリート天端深度Dkと、トレミー管下端深度Dtと、トレミー管20のうち最も上部に位置する最上部のトレミー管単体18の長さとに基づいて最上部のトレミー管単体18を引き抜く作業が可能であるか否かを判定するものである。
本実施の形態では、第2の判定手段48は、トレミー管20が最上部のトレミー管単体18の長さ分引き抜かれた状態で、コンクリートCの天端とトレミー管20の下端との間に予め定められた第2の距離ΔL2が確保されるという条件が成立するか否かに基づいて前記の判定を行う。
第2の距離ΔL2は、トレミー管20の下部が打設されたコンクリートCに予め定められた深さで埋設された状態で、コンクリートCを打設するために必要な距離である。
【0022】
報知手段50は、第1、第2の判定手段46、48の判定結果を報知するものである。
本実施の形態では、報知手段50は、第1、第2の判定手段46、48の判定結果をディスプレイ3816に表示させる。ディスプレイ16の表示例を図7、図9に示す。
【0023】
線図表示手段52は、コンクリート天端深度Dkの時系列データと、ケーシング管下端深度Dcの時系列データと、トレミー管下端深度Dtの時系列データとを時間軸に沿ってプロットした線図を表示するものである。
本実施の形態では、線図表示手段52は、線図をディスプレイ3816に表示させ、あるいは、プリンタ3820に印刷出力させる。ディスプレイ16の表示例を図9に示す。
また、本実施の形態では、図3に示すように、モバイルモニタ装置62が無線LAN装置60を介してパーソナルコンピュータ38と無線通信を行うことにより、モバイルモニタ装置62をパーソナルコンピュータ38と同様に機能させている。
したがって、モバイルモニタ装置62が有するディスプレイにより、報知手段50と、線図表示手段52とが実現される。
【0024】
次に、管理装置30の動作について図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、初期入力操作がなされ、この入力操作に伴い各種パラメータがディスプレイ16に表示される(ステップS10、S12)。すなわち、図7に示すように、初期入力画面がディスプレイ16に表示される。
初期入力画面には、ケーシング管リスト102、トレミー管リスト104、単位低下量入力欄106が表示される。
ケーシング管リスト102は、ケーシング管単体12の番号と、ケーシング管単体12の長さとが入力されるように構成されている。ここで、ケーシング管単体12の番号は、ケーシング管単体12を接続してケーシング管14を構成した場合、上から下に向かって順番に付された番号であり、言い換えると、ケーシング管単体12のIDデータに相当する。
操作者は、キーボード3812あるいはタッチパネル3818を操作してケーシング管単体12の番号と、ケーシング管単体12の長さとを入力する。
CPU3802は、入力されたケーシング管単体12の番号からなるIDデータと、ケーシング管単体12の長さとを対応付けたデータテーブルを作成し、ハードディスク装置3808に格納する。
【0025】
トレミー管リスト104は、トレミー管単体18の番号と、トレミー管単体18のIDデータと、トレミー管単体18の長さとが入力されるように構成されている。
なお、トレミー管単体18には、前述したRFタグ32が取着されており、それらRFIDタグ32に保持されているIDデータと同じIDデータをトレミー管リスト104から入力設定する。
また、トレミー管単体18の番号は、トレミー管単体18を接続してトレミー管20を構成した場合、上から下に向かって順番に付された番号である。
操作者は、キーボード3812あるいはタッチパネル3818を操作してトレミー管単体18の番号と、トレミー管単体18のIDデータと、トレミー管単体18の長さを入力する。
CPU3802は、入力されたトレミー管単体18のIDデータと、トレミー管単体18の長さとを対応付けたデータテーブルを作成し、ハードディスク装置3808に格納する。
【0026】
単位低下量入力欄106は、ケーシング管14(ケーシング管単体12)が単位長さ分引き抜かれたときにコンクリートCの天端が低下する単位低下量を入力するものであり、例えば、現場において、ケーシング管14の単位長さ当たりの容積に基づいて計算してキーボード3812あるいはタッチパネル3818を操作して入力する。
【0027】
なお、本実施の形態では、ケーシング管全長算出ボタン108を操作すると、CPU3802がケーシング管リスト102に入力したデータに基づいてケーシング管14の全長を算出して表示欄110に表示する。
同様に、トレミー管全長算出ボタン112を操作すると、CPU3802がトレミー管リスト104に入力したデータに基づいてトレミー管20の全長を算出して表示欄114に表示する。
また、CPU3802は、最上部のケーシング管単体12を引き抜く場合において、コンクリートCの天端とケーシング管14の下端との間に確保されるべき第1の距離ΔL1を「ケーシング管の管理値」として表示欄116に表示させる。
本実施の形態では、1本目のケーシング管単体12に対する管理値(例えば5.0m)を、2本目以降のケーシング管単体12に対する管理値(例えば3.0m)よりも大きな異なる値としている。
このようにすると、まだコンクリート打設高さが土圧に抵抗するのに十分でない段階でのケーシング管撤去に起因する削孔壁崩落を防止することができるため、場所打ち杭の品質確保を図る上で有利となる。
【0028】
また、最上部のトレミー管単体18を引き抜く場合において、コンクリートCの天端とトレミー管20の下端との間に確保されるべき第2の距離ΔL2を「トレミー管の管理値」として表示欄118に表示させる。
【0029】
また、その他のパラメータとして以下に例示するものが表示される。これらのパラメータは予め作業者によって入力される。
(1)場所打ちコンクリート杭10の杭径
(2)杭天端(コンクリートCの天端)から孔底(掘削孔Hの底部)までの高さHp
(3)基準高(基準位置P0)から孔底までの高さHb
(4)基準高からトレミー管天端までの高さSt
(5)基準高からケーシング管天端までの高さSk
なお、基準高からトレミー管天端までの高さStは、トレミー管単体18の引き抜きを行う時点での高さであり、基準高からケーシング管天端までの高さSkはケーシング管単体12の引き抜きを行う時点での高さである。
(6)生コン車1台当たりのコンクリート量
(7)生コン車1台打設時のコンクリート天端上がり
以上の入力が終了すると、以下に説明するように生コン車1台分のコンクリートCの打設が完了した時点で、管理装置30による動作が開始される。
すなわち、図6(A)に示すように、ケーシング管14の押し込みが完了し、掘削孔Hの形成、スライム処理が終了すると、図6(B)に示すように、トレミー管20が掘削孔Hに挿入され、コンクリートCの打設が可能な状態に準備される。そして、図6(C)に示すように、生コン車1台分のコンクリートCがトレミー管20の上端から流し込まれ、掘削孔Hの底部にコンクリートCが打設される。
コンクリートCの打設が終了した時点で、作業者が計測画面移行用の操作ボタン120(図7)を操作することにより、管理装置30による動作が開始される。
すなわち、コンクリート天端深度測定装置36によってコンクリート天端深度Dkが検出される(ステップS14:コンクリート天端深度検出工程)。
ケーシング管下端深度検出手段40によってケーシング管下端深度Dcが検出される(ステップS16:ケーシング管下端深度検出工程)。
トレミー管下端深度算出手段42によってトレミー管下端深度Dtが算出される(ステップS18:トレミー管下端深度検出工程)。
天端低下量算出手段44によって、最上位のケーシング管単体12が引き抜かれた場合のコンクリートCの天端の低下量が算出される(ステップS20:天端低下量算出工程)。
【0030】
第1の判定手段46は、コンクリート天端深度Dkと、ケーシング管下端深度Dcと、最上部のケーシング管単体12の長さとに基づいて、かつ、天端低下量算出手段44によって算出された低下量を考慮して最上部のケーシング管単体12を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する(ステップS22:第1の判定工程)。
すなわち、第1の判定手段46は、最上部のケーシング管単体12が引き抜かれた状態で、コンクリートCの天端とケーシング管14の下端との間に予め定められた第1の距離ΔL1が確保されるという条件が成立するか否かに基づいて判定を行う。
【0031】
第2の判定手段48は、コンクリート天端深度Dkと、トレミー管下端深度Dtと、最上部のトレミー管単体18の長さとに基づいて最上部のトレミー管単体18を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する(ステップS24:第2の判定工程)。
すなわち、第2の判定手段48は、最上部のトレミー管単体18が引き抜かれた状態で、コンクリートCの天端とトレミー管20の下端との間に予め定められた第2の距離ΔL2が確保されるという条件が成立するか否かに基づいて判定を行う。
【0032】
報知手段50は、ステップS22、S24の判定結果を報知する(ステップS26:報知工程)。
本実施の形態では、図8の計測画面に示すように、報知手段50は、表示欄202にケーシング管単体12の引き抜きの可否を示すメッセージを表示し、表示欄204にコンクリートCの天端とケーシング管14の下端との間の距離を表示し、表示欄206に第1の距離ΔL1を表示する。
また、報知手段50は、表示欄208にトレミー管単体18の引き抜きの可否を示すメッセージを表示し、表示欄210にコンクリートCの天端とトレミー管20の下端との間の距離を表示し、表示欄212に第2の距離ΔL2を表示する。
【0033】
線図表示手段52は、図10に示すように、コンクリート天端深度Dkの時系列データと、ケーシング管下端深度Dcの時系列データと、トレミー管下端深度Dtの時系列データとを時間軸に沿ってプロットした線図を表示する(ステップS28:線図表示工程)。なお、図10で示した時系列グラフの基準は、杭の仕上がり高さを基準としている。
また、線図表示手段52による各時系列データの取り込みは、以下のように(1)主に手動操作(作業者の操作入力)によって指示される方法、(2)RFIDタグを利用して自動的に行われる方法の何れとしてもよい。
(1)手動操作による時系列データの取り込み:
すなわち、図8に示すように、ケーシング管引き抜き作業の開始時点と、ケーシング管引き抜き作業の終了時点との双方で操作ボタン220を操作することにより、線図表示手段52は、ケーシング管下端深度Dcの時系列データを取り込む。
また、トレミー管引き抜き作業の開始時点と、トレミー管引き抜き作業の終了時点との双方で操作ボタン222を操作することにより、線図表示手段52は、トレミー管下端深度Dtの時系列データを取り込む。
また、線図表示手段52は、予め定められた時間間隔でコンクリート天端深度Dkの時系列データを取り込む。
(2)RFIDタグを利用した自動的な時系列データの取り込み:
受信装置34(アンテナ3402)により、トレミー管単体12のRFIDタグ32、ケーシング管単体12のRFIDタグ33が認識された時点で時系列データの取り込みを行う。
コンクリート天端深度Dkの時系列データの取り込みは、(1)の場合と同様に、線図表示手段52が予め定められた時間間隔で実施する。
【0034】
本実施の形態では、以下のデータについても線図に記載している。
(1)ケーシング管撤去開始可能ライン:1本目のケーシング管単体12を引き抜くことが可能となるケーシング管下端深度Dcを示すライン
(2)ケーシング管撤去後のコンクリート天端許容下がりライン:ケーシング管単体12を引き抜いた場合に許容されるコンクリートCの天端の低下量を示すライン
(3)ケーシング管管理基準ライン:第1の距離ΔL1に相当するライン
(4)トレミー管管理基準ライン:第2の距離ΔL2に相当するライン
なお、本実施の形態では、図10においても、図9に示した表示欄202、204、206、208、210を表示している。
【0035】
作業者は、ステップS26の報知結果に基づいて、ケーシング管単体12およびトレミー管単体18の引き抜き作業を実施するか否かを判断する(ステップS30)。
引き抜き作業が可能であると判断したならば、図6(D)に示すように、ケーシング管単体12およびトレミー管単体18のうち引き抜き作業が可能なものについて引き抜き作業を実施する(ステップS32)。
具体的には、ケーシング管単体12の引き抜き作業は、押し込み引き抜き装置2(図1)を用いて実施され、トレミー管単体18の引き抜き作業は、クローラクレーン4B(図1)を用いて実施される。
【0036】
次に、作業者は、全てのケーシング管単体12および全てのトレミー管単体18の引き抜き作業が完了したか否かを判定する(ステップS34)。
ステップS34の判定結果が否定ならば、ステップS14に戻る。
一方、ステップS30で引き抜き作業ができないと判断したならば、コンクリートCの打設作業を実施し(ステップS36)、ステップS14に戻り、同様の処理を繰り返して実施する。
この結果、図6(E)、(F)に示すように、コンクリートCの打設と、ケーシング管単体12およびトレミー管単体18の引き抜き作業とが交互に実施され、やがて、全てのケーシング管単体12およびトレミー管単体18の引き抜き作業が完了すると、ステップS34の判定結果が肯定となり、一連の作業が終了する。
【0037】
なお、図8に示すように計測動作時における表示画面には、CPU3802の動作により、以下に示すパラメータが表示される。
(1)コンクリート天端実測値:コンクリート天端深度計測装置36によって検出されたコンクリート天端深度Dkが表示される。
(2)残り打設深さ:現時点でのコンクリートCの天端から場所打ちコンクリート杭10の完成時におけるコンクリートCの天端(杭天端)までの距離
(3)残り打設量:現時点から場所打ちコンクリート杭10が完成するまでに必要なコンクリートCの打設量
(4)打設済みコンクリート量:現時点までに打設されたコンクリートCの量
(5)ケーシング管の引き抜き完了本数:現時点までに引き抜きが終了したケーシング管単体12の数
(6)トレミー管の引き抜き完了本数:現時点までに引き抜きが終了したトレミー管単体18の数
また、図8には、置数キー(テンキー)230と、数値入力欄232とが表示されている。
これら置数キー230、数値入力欄232は、コンクリート天端深度計測装置36を用いる代わりに手作業で測定したコンクリート天端深度Dkの値を入力するためのものである。
この場合、先端に錘を付けた巻尺を用意し、錘を地上からコンクリートCの天端に設置したときのコンクリートCの天端から基準位置P0までの距離をコンクリート天端深度Dkとして測定する。
【0038】
また、図9に示すように、入力・計測ミスを確認することと、施工に関わる異常時のチェックを目的にコンクリートの打設量に応じたコンクリート天端深度Dkの上昇値を示す表示欄302を表示させてもよい。
この場合、図8に示すコンクリートの打設終了を指示する打設終了ボタン240を操作すると、予め定められた量のコンクリート(例えば、予め定められた生コン車1台分のコンクリート)が打設された場合のコンクリート天端深度Dkの上昇値が表示される。
なお、図8の入力やり直しボタン304は、コンクリート天端深度Dkを再度、手作業によってし直す場合に操作することで、表示欄302の表示数値をクリアさせるものである。
また、一時停止ボタン306は、値が正しいときにコンクリートの打設を一時停止するものであり、終了ボタン308は、値が正しいときにコンクリートの打設を終了するときに操作することで、次の作業選択へ進めるものである。
【0039】
以上説明したように本実施の形態によれば、ケーシング管下端深度Dc、トレミー管下端深度Dt、コンクリート天端深度Dkをそれぞれ検出し、コンクリート天端深度Dkと、ケーシング管下端深度Dcと、最上部のケーシング管単体12の長さとに基づいて最上部のケーシング管単体12を引き抜く作業が可能であるか否かを判定し、コンクリート天端深度Dkと、トレミー管下端深度Dtと、最上部のトレミー管単体18の長さとに基づいて最上部のトレミー管単体18を引き抜く作業が可能であるか否かを判定し、それら判定結果を報知するようにした。
したがって、報知結果に基づいてケーシング管14、トレミー管20の引き抜き作業を行えばよく、手作業によるコンクリート天端の計測作業やケーシング管14、トレミー管20の位置の推定が不要となることから、ケーシング管14、トレミー管20の引き抜き作業の合理化を図れ、ひいては場所打ちコンクリート杭の施工の合理化、品質確保を図る上で有利となる。
【0040】
また、本実施の形態では、最上部のケーシング管単体12を引き抜く作業が可能であるか否かの判定を、ケーシング管14が最上部のケーシング管単体の長さ分引き抜かれた状態で、コンクリートCの天端とケーシング管14の下端との間に予め定められた第1の距離ΔL1が確保されるという条件が成立するか否かに基づいて行うようにした。
したがって、第1の距離ΔL1を確実に確保できることから掘削孔Hの壁面をコンクリートCで安定して支持し、所定の形状の場所打ちコンクリート杭を精度良く構築する上で有利となる。
【0041】
また、本実施の形態では、ケーシング管14が、打設されたコンクリートCから最上部ケーシング管単体12の長さ分引き抜かれることによって生じるコンクリートCの天端が低下する低下量を算出し、この低下量を考慮して最上部のケーシング管単体12を引き抜く作業が可能であるか否かの判定を行うようにしたので、判定を的確に行う上で有利となる。
【0042】
また、本実施の形態では、最上部のトレミー管単体18を引き抜く作業が可能であるか否かの判定を、トレミー管20が最上部トレミー管単体18の長さ分引き抜かれた状態で、コンクリートCの天端とトレミー管20の下端との間に予め定められた第2の距離ΔL2が確保されるという条件が成立するか否かに基づいて行うようにした。
したがって、第2の距離ΔL2を確実に確保できることから、トレミー管20の下部を打設されたコンクリートCに確実に埋設しつつ打設することができ、コンクリートCの打設を安定し、かつコンクリートに地下水または泥水を巻き込まないよう場所打ちコンクリート杭を構築する上で有利となる。
【0043】
また、本実施の形態では、コンクリート天端深度Dkの時系列データと、ケーシング管下端深度Dcの時系列データと、トレミー管下端深度Dtの時系列データとを時間軸に沿ってプロットした線図を表示するようにしたので、各データを即座に把握でき、施工管理を的確に行う上で有利となる。
【0044】
また、本実施の形態では、各トレミー管単体18に取着されたRFIDタグ32と、RFIDタグ32からIDデータを読み出す受信装置34と、IDデータとトレミー管単体18の長さとを対応付けて格納するデータテーブルとを用いてトレミー管下端深度Dtの検出を自動で行うようにした。
したがって、RFIDタグ32を利用することにより自動でトレミー管下端深度Dtの検出を行うことができ、管理装置30の構成の簡素化、低コスト化を図る上で有利となる。
【符号の説明】
【0045】
C……コンクリート、G……地盤、H……掘削孔、10……場所打ちコンクリート杭、12……ケーシング管単体、14……ケーシング管、16……鉄筋かご、18……トレミー管単体、20……トレミー管、30……管理装置、32、33……RFIDタグ、34……受信装置、36……コンクリート天端深度測定装置(コンクリート天端深度検出手段)、38……コンピュータ、40……ケーシング管下端深度検出手段、42……トレミー管下端深度算出手段、44……天端低下量算出手段、46……第1の判定手段、48……第2の判定手段、50……報知手段、52……線図表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーシング管単体が長手方向に接続されたケーシング管を地中に押し込み、前記ケーシング管の内部の土砂を掘削排出して掘削孔を形成した後、複数のトレミー管単体が長手方向に接続されたトレミー管を前記掘削孔に挿入し、前記トレミー管で前記掘削孔にコンクリートを打設し、前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜く場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法であって、
前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜くことに先立って、予め定められた基準位置から前記掘削孔に打設された前記コンクリートの天端までの距離であるコンクリート天端深さを検出するコンクリート天端深度検出工程と、
前記基準位置から前記ケーシング管の下端までの距離であるケーシング管下端深度を検出するケーシング管下端深度検出工程と、
前記基準位置から前記トレミー管の下端までの距離であるトレミー管下端深度を検出するトレミー管下端深度検出工程と、
前記コンクリート天端深度と、前記ケーシング管下端深度と、前記ケーシング管のうち最も上部に位置する最上部ケーシング管単体の長さとに基づいて前記最上部ケーシング管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第1の判定工程と、
前記コンクリート天端深度と、前記トレミー管下端深度と、前記トレミー管のうち最も上部に位置する最上部トレミー管単体の長さとに基づいて前記最上部トレミー管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第2の判定工程と、
前記第1、第2の判定工程の判定結果を報知する報知工程と、
を含むことを特徴とする場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理方法。
【請求項2】
複数のケーシング管単体が長手方向に接続されたケーシング管を地中に押し込み、前記ケーシング管の内部の土砂を掘削排出して掘削孔を形成した後、複数のトレミー管単体が長手方向に接続されたトレミー管を前記掘削孔に挿入し、前記トレミー管で前記掘削孔にコンクリートを打設し、前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜く場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置であって、
前記コンクリートの打設後、前記ケーシング管および前記トレミー管を引き抜くことに先立って、予め定められた基準位置から前記掘削孔に打設された前記コンクリートの天端までの距離であるコンクリート天端深さを検出するコンクリート天端深度検出手段と、
前記基準位置から前記ケーシング管の下端までの距離であるケーシング管下端深度を検出するケーシング管下端深度検出手段と、
前記基準位置から前記トレミー管の下端までの距離であるトレミー管下端深度を検出するトレミー管下端深度検出手段と、
前記コンクリート天端深度と、前記ケーシング管下端深度と、前記ケーシング管のうち最も上部に位置する最上部ケーシング管単体の長さとに基づいて前記最上部ケーシング管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第1の判定手段と、
前記コンクリート天端深度と、前記トレミー管下端深度と、前記トレミー管のうち最も上部に位置する最上部トレミー管単体の長さとに基づいて前記最上部トレミー管単体を引き抜く作業が可能であるか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第1、第2の判定手段の判定結果を報知する報知手段と、
を含むことを特徴とする場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置。
【請求項3】
前記第1の判定手段による判定は、前記ケーシング管が前記最上部ケーシング管単体の長さ分引き抜かれた状態で、前記コンクリートの天端と前記ケーシング管の下端との間に予め定められた第1の距離が確保されるという条件が成立するか否かに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項2記載の場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置。
【請求項4】
前記ケーシング管が前記打設されたコンクリートから前記最上部ケーシング管単体の長さ分引き抜かれることによって生じる前記コンクリートの天端が低下する低下量を算出する天端低下量算出手段をさらに含み、
前記第1の判定手段は、前記低下量を考慮して前記判定を行う、
ことを特徴とする請求項3記載の場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置。
【請求項5】
前記第2の判定手段による判定は、前記トレミー管が前記最上部トレミー管体の長さ分引き抜かれた状態で、前記コンクリートの天端と前記トレミー管の下端との間に予め定められた第2の距離が確保されるという条件が成立するか否かに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項2乃至4に何れか1項記載の場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置。
【請求項6】
前記コンクリート天端深度の時系列データと、前記ケーシング管下端深度の時系列データと、前記トレミー管下端深度の時系列データとを時間軸に沿ってプロットした線図を表示する線図表示手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項2乃至5に何れか1項記載の場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置。
【請求項7】
前記トレミー管下端深度検出手段は、前記各トレミー管単体に取着されトレミー管単体を識別するためのIDデータを保持するRFタグと、予め定められた位置に設置され前記RFタグと通信を行うアンテナと、前記アンテナを介して前記RFタグからIDデータを読み出す受信装置と、前記IDデータと前記トレミー管単体の長さとを対応付けて格納するデータテーブルとを備え、
前記トレミー管下端深度検出手段による前記トレミー管下端深度の検出は、前記IDデータに基づいて前記データテーブルから読み出した前記トレミー管単体の長さから算出することでなされる、
ことを特徴とする請求項2乃至6に何れか1項記載の場所打ちコンクリート杭の構築工法における管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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