説明

塀構造

【課題】 ブロック塀の一部に開口部を形成し、この開口部にフェンスを設ける塀構造において、簡単な構造で外観上の一体感を得ることができる塀構造を提供する。
【解決手段】 ブロック塀10の開口部12にフェンス20が設けられている。フェンス20は、両側の縦枠21、上枠22、下枠23と、これらの縦枠21、上枠22及び下枠23で形成された枠体に設けられた複数の格子24とから構成されている。ブロック塀10の上部には笠木30が設けられている。フェンス20の上枠22と笠木30とが連続する外観となるように形成されている。すなわち、上枠22の上面221と笠木30の上面31、上枠22の側面222と笠木30の側面32とが同一形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック塀の開口部にフェンスを設けた塀構造に関し、さらに詳しくは、ブロック塀に設けた笠木とフェンスを構成する上枠とを連続した外観となるように形成した塀構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロック塀の一部に開口部を形成し、この開口部にフェンスを設ける塀構造が知られている。例えば、コンクリートブロックから成るブロック塀の上部を一部開口し、この開口部にフェンスを設けたもので、フェンスを支脚及び支承ボルトでコンクリートブロックに固定したブロックフェンスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、コンクリートブロックから成るブロック塀の上部を一部開口し、この開口部に丸太材を設けたもので、丸太材をだぼそ等によりコンクリートブロックに取り付けた丸太材組み込みブロック塀が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭50−64139号公報
【特許文献2】実開平4−27060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のブロック塀の開口部にフェンスを設けた塀構造においては、ブロック塀とフェンスとに一体感が無く、外観上美しいとは言えないものであった。すなわち、視線を水平方向に移動して塀構造を眺めた際、その上部においてブロック塀とフェンスとの間に間隙があり、またブロック塀とフェンスの質感が相違していることが相俟って、外観上の一体感が得られないものであった。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、簡単な構造で外観上の一体感を得ることができる塀構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上述した課題を達成するために鋭意検討し、ブロック塀の上部に笠木を設けるとともに、フェンスの上枠を笠木と略同様な形状とすることにより、笠木と上枠とを連続する一体感のある外観にすることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、請求項1に係る発明は、ブロック塀と、該ブロック塀に形成した開口部に設けたフェンスと、該ブロック塀の上部に設けた笠木とを有し、該フェンスは、上部に上枠が設けられ、該上部上枠の上面が笠木の上面と連続する外観となるように形成したことを特徴とした塀構造である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、フェンスの上枠の上面及び側面が笠木の上面及び側面と同一形状に形成したことを特徴とした塀構造である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明においては、ブロック塀の上部に設けた笠木と、フェンスの上枠とを連続する外観となるように形成したので、塀構造全体としての一体感を得ることができる。また、フェンスの上枠を笠木と兼用させることとなるので、フェンス用の笠木を別途用意する必要がない。したがって、フェンスをブロック塀に固定するだけでよく、笠木を取り付ける作業を省くことができるので施工が簡単である。さらに、従来のフェンスの上枠を変更するだけでブロック塀用のフェンスとすることができる。
【0010】
請求項2に係る発明においては、フェンスの上枠の上面及び側面が笠木の上面及び側面と同一形状に形成されているので、ブロック塀とフェンスの上部において笠木が連続して形成されている外観を呈し、塀構造全体としての一体感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の塀構造はブロック塀が設けられている。このブロック塀は複数のブロックを積み上げて形成したもので、ブロックとしては従来用いられている各種ブロックを用いることができる。また、ブロック塀にはフェンスを設けるための開口部が形成されている。この開口部は、ブロック塀の上部を一部開口して形成しても、ブロック塀の上端から下端にかけて全面的に開口して形成してもよい。
【0012】
ブロック塀の開口部にはフェンスが設けられている。このフェンスは、少なくとも上枠を設けたものであるが、より具体的には、上下に設けた上枠及び下枠と、両側に設けた縦枠と、これらの上枠、下枠及び縦枠からなる枠体に複数の格子を設けたものが使用される。また、平板状のパネル体又は鋳物体の上端に上枠を設けたものも使用することができる。ブロック塀への固定方法は特に限定されず、例えば、フェンスにブロックの貫通孔に挿入するアンカー部材を設け、モルタルにより固定する方法、フェンスの周囲に突条を形成し、この突条をモルタルによりブロック塀に固定する方法がある。
【0013】
ブロック塀の上部には笠木が設けられており、前記フェンスの上枠と笠木とが連続する外観となるように形成されている。連続する外観となるように形成するには、塀構造を観察した際、塀構造の上端部において略同一形状の印象を受けるようにするものである。具体的には、笠木の両側面と上枠の両側面、笠木の上面と上枠の上面とを同一形状に形成することにより達成できる。笠木の下面と上枠の下面は、通常、外部から観察しづらい部分であり外観に与える影響は小さいので、同一形状である必要は無いが、同一であることが好ましい。なお、笠木と上枠とが連続する外観となっていれば、笠木と上枠とを直線状(笠木の上端が上枠の上端と水平方向に略一致する場合)に形成する他、上枠が上に円弧状の凸形状、又は下に円弧状の凹形状等に形成することができる。
【0014】
笠木及びフェンスの上枠は、金属製材料で形成したもの、例えば、アルミニウム形材等の金属製形材や、折り曲げ加工、ロールフォーミング加工等で形成することができ、同一の材料で形成することが好ましい。笠木をブロック塀に固定するには、モルタル等を介して固定することができ、笠木にモルタル固定用のアンカー部を形成することにより、強固に固定することができる。また、笠木取付金具を介して固定することもできる。すなわち、笠木取付金具をコンクリートボルト等でブロック塀に固定し、この笠置取付金具に笠木を取り付けるものである。
【0015】
本発明の塀構造の第一実施形態を図面を参照して説明する。図1は塀構造の全体正面図、図2は塀構造のブロック塀上端部分の断面図、図3は塀構造のフェンス上端部分の断面図である。
【0016】
図1において、10はブロック塀で、このブロック塀10は複数のブロック11を積み上げることにより形成されており、その中央の上部には開口部12が形成されている。このブロック塀10の開口部12にはフェンス20が設けられており、このフェンス20は、両側の縦枠21、上枠22、下枠23と、これらの縦枠21、上枠22及び下枠23で形成された枠体に設けられた複数の格子24とから構成されている。なお、本実施形態においては枠体内に格子24を設けたフェンスについて説明するが、格子の他、パネル体、鋳物体を設けてたフェンスであっても構わない。さらに、枠体構造とすることは必須ではなく、少なくとも上枠を備えたフェンスであれば構わない。
【0017】
ブロック塀10の上部には笠木30が設けられている。この笠木30は、図2に示すように、アルミニウム形材で形成したもので、上面31、両側の側面32及び底面33からなる略箱状に形成され、側面32は底面33より下方に突出して底面33を外部から観察しづらくなるように遮蔽している。底面33の下面には、幅方向(塀構造の前後方向、図中左右方向、以下、同様)の中央にモルタル固定用のアンカー部34が形成されるとともに、その両側であってブロック塀10の両端に対応する個所に断面L字状の設置片35が形成されている。そして、設置片35をブロック塀10の上面に載置した状態で、ブロック塀10と笠木30との間に充填したモルタル40により笠木30をブロック塀10に固定している。
【0018】
フェンス20の上枠22は、図3に示すように、アルミニウム形材で形成したもので、上面221、両側の側面222、底面223からなる箱状に形成され、底面223の下面には、幅方向の中央において長手方向に連続して格子取付部224が形成されるとともに、この格子取付部224の下面に取付片225が形成されている。そして、この取付片225によりネジ25で格子24に固定している。また、フェンス20の縦枠21、下枠23及び格子24も、上枠22と同様にアルミニウム形材で形成されている。
【0019】
前記フェンス20の上面221と笠木30の上面31とは同一に形状に形成されるとともに、フェンス20の側面222と笠木の側面32とも同一形状に形成されている。したがって、塀構造を観察すると、上部において連続して一体となった印象を受けるものである。なお、フェンス20の底面223と笠木30の底面33とは、格子取付部224、取付片225、アンカー部34及び設置片35において異なる形状であるが、アンカー部35と設置片35とは、ブロック塀10により遮蔽されるので外部から観察できないものであり、また、格子取付部224と取付片225とは、フェンスの一部として認識されるもので観察者の注意を引き付ける部位ではないので、一体感を損なうことは無い。
【0020】
以上のような塀構造を施工するには、まず、ブロック塀10を形成した後、その開口部12に予め組み立てたフェンス20を固定する。そして、ブロック塀10にモルタル40を介して端面がフェンス20の上枠22の端面と接するように配置して笠木30を固定する。
【0021】
本発明の塀構造の第二実施形態を図面を参照して説明する。図4は塀構造の全体正面図である。第二実施形態は、フェンスの形状を変更したもので、フェンス50は、両側の縦枠51、上枠52、下枠53と、これらの縦枠51、上枠52及び下枠53で形成された枠体に設けられた複数の格子54とで形成されているば、上枠52が上方へ突出した円弧状に形成されている。なお、ブロック塀及び笠木は第一実施形態と同様である。
【0022】
なお、上記実施形態におけるフェンスは、ブロック塀の笠木と連続させない場合においては、笠木形状を有さない上枠が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による塀構造の第一実施形態の全体正面図
【図2】本発明による塀構造の第一実施形態のブロック塀上端部分の断面図
【図3】本発明による塀構造の第一実施形態のフェンス上端部分の断面図
【図4】本発明による塀構造の第二実施形態の全体正面図
【符号の説明】
【0024】
10 ブロック塀
20 フェンス
21 縦枠
22 上枠
23 下枠
24 格子
30 笠木
40 モルタル
50 フェンス
51 縦枠
52 上枠
53 下枠
54 格子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック塀と、該ブロック塀に形成した開口部に設けたフェンスと、該ブロック塀の上部に設けた笠木とを有し、該フェンスは、上部に上枠が設けられ、該上部上枠の上面が笠木の上面と連続する外観となるように形成したことを特徴とする塀構造。
【請求項2】
前記フェンスの上枠の上面及び側面が笠木の上面及び側面と同一形状に形成したことを特徴とする請求項1記載の塀構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−40050(P2007−40050A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227708(P2005−227708)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】