塊供給部材
【課題】成形用デバイスのドラムとの間を密封状態に維持する塊供給部材を提供すること。
【解決手段】肉塊を成形用デバイスのドラムの外周側に設けられた型穴に供給する塊供給部材(18)であって、入口側の側面、及び、前記ドラムに面するドラム側の側面を有するハウジング(140)と、前記肉塊を入り口(144)から前記ドラム側に位置する出口(146)に向けて送るための貫通通路(142)とを備え、前記ドラム側の側面は、前記ドラム(16)の外周が密封状態になるように、前記ドラム(16)の外周の凹凸形状に順応させて設計されている塊供給部材(18)。
【解決手段】肉塊を成形用デバイスのドラムの外周側に設けられた型穴に供給する塊供給部材(18)であって、入口側の側面、及び、前記ドラムに面するドラム側の側面を有するハウジング(140)と、前記肉塊を入り口(144)から前記ドラム側に位置する出口(146)に向けて送るための貫通通路(142)とを備え、前記ドラム側の側面は、前記ドラム(16)の外周が密封状態になるように、前記ドラム(16)の外周の凹凸形状に順応させて設計されている塊供給部材(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊供給部材に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊から、特に肉塊から三次元生産物を成型するための方法に関する。その方法は、下記ステップ、すなわち、
a)成型された三次元生産物を成型するために、一方の側面が開いている壁部および底部を有する境界が形成する型穴を、消費に適している食品原料の塊で充填するステップaと、
b)型穴から成型した三次元生産物を取り出すステップbと
を含む。
【0003】
このタイプの方法およびこの方法のために使用するデバイスは、従来技術として周知の、例えば本出願人の国際特許出願第WO−A−00/30458号公報(特許文献1)に開示されており、例えばこねた肉から食品を成型するために使用することができる。いわゆる「回転ドラム・タイプ」のこの周知のデバイスは、関連するドライブにより連続的に駆動される回転可能なドラムを有する。生産される生産物の形を形成する複数の型穴は、ドラムの外面に位置する。充填位置には、回転中にそこを通って移動する型穴を塊で充填する充填部材が位置する。この方法で形成された生産物は、充填位置の下流に位置する取出し位置で型穴から取り出される。この周知の成型用デバイスは、充填された型穴が閉じられた後で、型穴内の塊上に固定圧力を加えるように設計されている固定圧力を加えるための手段を用いる。この固定圧力は、型穴を充填している間にこの部分で塊の一部に加えられる充填圧力とは異なる。固定圧力は、充填動作の後で塊の各部分を一体に密着させるために、またこの方法により型穴から取り出すことができる所望の最終重量を有し一定寸法の生産品を得るために使用される。
【0004】
現在、成型生産品の形状、特にその縁部の形状が十分均一でないことが分かっている。そのため生産物の歩留まりが悪くなる。今まで観察された欠陥には、リップ、縁部で分離する小片、凹み等の形成が含まれる。
【0005】
さらに、使用するプラスチック・フィルムの耐用年数が満足いくものではないことも分かっている。耐用年数が短いということは、生産上の無駄な時間、保守作業および他のコストに関するすべてに関連する欠点のために、プラスチック・フィルムを頻繁に交換しなければならないことを意味する。
【0006】
これら周知技術のもう一つの欠点は、食品原料と接触する部品数のために、これらデバイス内を監視し、衛生状態を維持することが難しいことである。
【0007】
また、いわゆる「回転ドラム・タイプ」のこの周知のデバイスに対する態様では、弾性により変形することができる(可塑性の)材料のストリップが、充填部材の上流に位置する充填位置からドラム下側の生産物取出し位置までドラムの外周縁に対して提供される。このストリップは、型穴の底面および側壁部と、型穴内の通路の開口部を覆う働きをする。そのため、この底部および側壁部は塊と直接接触しない。圧力を低減することにより、その壁部および底部上の型穴内にストリップが吸引される。負荷が解放されると、ストリップはもとの形状に戻るので、ストリップを鋭角で上方に案内することにより、生産物をストリップから解放することができる。その結果、生産物がストリップから落下する。何故なら、これらの生産物はストリップ方向のこの急激な変化に追随できないからである。
【0008】
しかし、使用するプラスチック・フィルムの耐用年数が満足のいくものではないことが分かっている。耐用年数が短いので、無駄時間、保守作業および他のコストに関するすべての関連欠陥のために、フィルムを頻繁に交換しなければならない。
【0009】
さらに、成型生産物の縁部の形状がいつでも満足いくものとは限らず、そのため生産物のロスにつながる場合がある。さらに、型穴からの生産物の取出しは、常に満足できるものとは限らず、同様に成型生産物の品質に悪影響を及ぼす。
【0010】
特許文献1(国際特許出願第WO−A−00/30458号公報)に開示されているこの周知のデバイスの一態様には、例えば、金属または硬質プラスチックからできておりその内部に型穴を有する交換可能な型がドラム壁部内に固定されている。汚染を防止するために、形状記憶の柔軟な膜が型穴内に配置されている。型穴の底部は、あちこちに位置する通路を通して、空気供給源および/または真空手段と通じている。選択的に作動させることにより、柔軟な膜を型穴内に吸引させることもできるし、成型生産物を取出すこともできる。
【0011】
現在、複数の場合に、この動作は実際には不必要なものであるが、型穴内に導入された塊のこの部分上に固定圧力をかけるのは難しいことが分かっている。さらに、動作中、いくつかの場合、型穴全体を充填するのは不可能であり、そのため成型生産物の形および重量にバラツキがあることが分かっている。
【0012】
また、公開米国特許第US−A−4,987,643号公報(特許文献2)および第US−A−4,212,609号公報(特許文献3)は、それ自身、型穴が成型生産物を取り出すために上下に移動することができる底部を有する成型機械を開示していることに留意されたい。上記底部は多孔性で、型穴から成型生産物を容易に取出すことができるように、圧縮空気供給源等と通じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願第WO-A-00/30458号公報
【特許文献2】公開米国特許第US-A-4,987,643号公報
【特許文献3】公開米国特許第US-A-4,212,609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一つの目的は、時間が経過しても、もっと均一な形を有する生産物を供給することができる方法およびデバイスを提供することである。本発明のもう一つの目的は、重量のバラツキが少ない生産物を生産するために使用することができる方法およびデバイスを提供することである。本発明の更にもう一つの目的は、食品原料と接触する構成要素の数が非常に少ない方法およびデバイスを提供することである。
【0015】
また、本発明の一つの目的は、かなりのストリップ耐用年数を有する食用の三次元生産物を供給するための成型用デバイスを提供することである。さらに、本発明の一つの目的は、所望の形状の生産物を製造するために使用することができる成型用デバイスを提供することである。また本発明の一つの目的は、生産物を効率的に取出すことができる成型用デバイスを提供することである。
【0016】
更に、本発明の一つの目的は、食品の塊から(許容誤差の範囲内の)均一な外見および形状並びに同じ重量を有する三次元生産物を提供するための成型用デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願明細書においては、重力のもとで対象の型穴からの成型生産物の取出しを容易にするために使用する多くの技術について説明する。一つの態様では、ドラムの各回転中に、フィルム上のウェブが型穴内に置かれる。取り出すために、応力が一方の側面からウェブに加えられるので、ウェブとそれに従って成型生産物とが、一方の側面から型穴の外に持ち上げられる。適切であれば、型穴の底部に位置する中央の点から、ウェブの下に吹き付けられる圧縮空気により生産物を更に容易に取出すことができる。
【0018】
他の提要では、汚染を防止するために柔軟な膜が型穴内に固定される。型穴の底部は、通路を通してあちこちに位置する空気源および/または真空手段と通じている。選択的に作動させることにより、柔軟な膜を型穴内に吸引させることもできるし、成型生産品を取り出すこともできる。この実施形態の場合にも、中央位置からおよび底部の周縁部の付近に位置する複数の点から膜の下面に吹き付けられる圧縮空気により生産品の取出しを容易にすることができる。
【0019】
本発明の方法によれば、この目的のために、ステップbには、成型した三次元生産物と境界との間のすべての界面で、ほぼ同時に生産物と型穴の境界との間の接着力を取り去るステップが含まれる。本発明によれば、底部と周壁部とに同時に接触している成型生産物のすべての表面で、生産物を取り出すと同時に、接着力が実質的に除去される。すべての側面(型穴の開いた側面は別として)での接着力が除去された場合には、成型生産物をもっと簡単に取り出すことができ、そのため生産ロスが少なくなることが分かっている。この生産物の取出しは、部分的には、重力による力(成型した生産物の固有の重量)により行われる。すなわち、この自然の力が、すべての側面での接着力を除去することにより、取出しの応援を同時に行っている。
【0020】
すべての側面で同時に取出されるために、成型生産物の縁部の形状は、従来技術と比較すると大幅に改善され、最終成型生産物は型穴にもっと正確に対応する。何故なら、生産物がその形状を保持するからである。本発明の場合には、重力の他に、型穴から成型生産物を取り出すために、ある力が一時的に加わることを強調しておかなければならない。この力は、例えば、生産物と接触しているプランジャのような機械的手段によるものではない。さらに、この追加の押し出す力は、取出しの時点で発生するもので、例えば、非接着層の場合のように永続しない。本発明のこの態様によるデバイス内の成型生産物の形状の再現性は、重量の再現性のようにこの方法により改善される。さらに、従来技術の成型用デバイスで使用する使い捨てフィルムのような追加の材料、または関連する処理装置を全く必要としない。
【0021】
都合のよいことに、接着力排除用手段は、接着力を取り除くために使用される。この場合、接着力排除用手段と生産物が成型される食品原料の手段との間に存在する特性の違いが利用される。
【0022】
この手段の好適な例としては、押込み流体(加圧流体)、接着力排除作用が作動できるコーティング材料による境界の任意の永久コーティング、例えば静電電荷をかけることによるもの、例えば加熱により水の薄膜を水蒸気に変換するように例えば固体から液体または液体から気体へ変換させて凝集状態に変化を起こさせることによる、若しくは対抗力が発生するかまたは固有の接着特性が低減する化学反応の発生によるもの、またはその作用が使用する充填圧力および時間に依存する粘性−弾性物質がある。また、これら方策の組合せも可能である。
【0023】
より好適なものは、押込み流体、特に圧縮空気または水蒸気を使用することである。加湿するために、水のような液体成分が分散している圧縮空気の組合せも使用することができる。さらに、これにより、必要な場合には、例えば、水または油等に溶解した(保存用の)塩を生産物に必要に応じて追加することができるようになる。このタイプの押込み流体を供給することができるように、境界は浸透性を有している。
【0024】
すべての側面(開いている頂面は別にして)に押込み流体を供給するため、型穴の境界に、型穴の底部および周壁部に分布して境界表面で開く開口部を持った通路を設けることが効果的である。その通路には、加圧流体が供給される。この通路は、直線的なもの、角度を有するもの、または曲線状のもののように所望の任意の形を有することができる。また、規則的なもの、不規則なもの、テーパ状のものであってもよく、またはその端部のところが広くなっているものでもよい。通路の形状およびサイズは、部分的には、塊の境界内へ広がる深さと流体の境界に沿った流れとを決め、それ故、流体により加えられる力を決める。さらに、通路の出口開口部のサイズは、食品原料の各片が通路に引っかからないように選択することが好ましい。これについては、以下にさらに詳細に説明する。このタイプの境界用に使用される材料の例としては、例えば、ニッケルまたはステンレス鋼からできている穴あきプレートまたは開口部を有するフォイル等がある。通路は、例えば、レーザ処理により形成することができる。適当な製造技術の他の例としては、エッチングまたは電鋳法がある。
【0025】
特に好適な境界は、相互に通じている孔隙を有する多孔性構造を有する。これにより、境界と成型生産物との間のすべての界面上に押込み流体を均一に分布させることができる。それにより容易に生産物を均一に取り出すことができる。孔隙のサイズは、処理する原料および使用する押込み流体の機能として選択される。一例を挙げて説明すると、約1〜20ミクロンの範囲内の実効孔隙直径を有する焼結ステンレス鋼からできている多孔性境界の場合には、特定の肉塊を効果的に取出すことができる。通路構造および多孔性構造の組み合わせも使用することができる。
【0026】
境界の多孔性構造用の適当な材料の例としては、特定の焼結鋼を含むセラミック材料、プラスチックおよび金属等がある。
【0027】
ここで、公開米国特許第US−A−4,987,643号公報(特許文献2)および第US−A−4,212,609号公報(特許文献3)は、それ自身、型穴が成型生産物を取り出すために上下に移動することができる底部を有する成型機械を開示していることに留意されたい。上記底部は多孔性で、型穴から成型生産物を容易に取出すことができるように、圧縮空気供給源等と通じている。
【0028】
型穴は、放電加工により多孔性境界に形成すると効果的である。多孔性金属からの型の形成は、多くの場合、表面のところで開いている孔隙の開口部を事実上完全に閉鎖する処理を使用する。放電加工を使用すると、境界の多孔性構造が、型穴のところで再度開く。
【0029】
使用後、通路および/または開口部には、型穴をクリーニングするため、例えば、水または水蒸気を、また供給されるクリーニング剤または洗剤を随意に追加して、使用することができる。
【0030】
しかし、もう一つの好ましい実施形態では、ステップaの間、塊と境界との間に閉じこめられた空気が、境界を通して放出される。通路および/または孔隙を有する境界構造は、この目的のために特に適している。例えば、閉じこめられた空気が完成品の形に何の痕跡も残さないように、または均一な取出しに干渉しないように、吸引手段により吸引することにより、閉じこめられた空気を除去して型穴の完全充填が達成できる。
【0031】
第二の態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊、特に肉塊から三次元生産物を成型するためのデバイスに関する。このデバイスは、一つの側面で開いていて壁部および底部を有する境界により形成されている一つ以上の型穴を備える一方の側面上に設けられている成型用面と、上記塊を型穴に供給するために、塊供給位置に配置されている塊供給部材とを備える。
【0032】
成型用面がドラムの外壁部であるこのタイプのデバイスには、上記特許文献1(国際特許出願第WO00/30458号公報)により開示された周知のものがある。
【0033】
しかし、本発明によれば、上記デバイスは、また、成型した三次元生産物と境界との間のすべての界面で、生産物と型穴の境界との間の接着力を同時に除去するための手段も備える。このタイプのデバイスは、成型生産物縁部の形成および形状および重量の均一性に関する上記目的を達成する。
【0034】
上記手段は、対象の実施形態における一つの機能として選択される。
【0035】
押込み流体が、接着力排除用手段として使用される場合には、上記手段は、型穴の境界と流体で通じていて、圧縮空気または水のような加圧流体を供給するために使用される過圧手段を備える。押込み流体を均一に分配するには、境界に開口部を含む通路を設けると効果的である。上記通路は、過圧手段と通じている。境界は、上記概略で述べた理由により、相互に通じている孔隙を有する多孔性構造を備えることが好ましい。
【0036】
他の好ましい実施形態の場合には、上記手段は、本発明による方法ですでに説明したように、型穴に任意の永久コーティングを形成する。
【0037】
さらにもう一つの好ましい実施形態の場合には、デバイスは、また、閉じこめられた空気を吸い出すことができるように、充填動作中、型穴内を減圧させるための減圧手段も備える。
【0038】
デバイス、特に加圧流体を供給するためまたは空気を除去するために使用するラインのシステムの構造を簡単にするため、接続通路を型穴の境界と通じると効果的である。上記接続通路は、減圧手段および過圧手段に選択的に結合することができる。
【0039】
成型用面は、型穴が放電加工により形成される焼結金属から完全形成されると効果的である。一体型成型用面は、成型用デバイスを異なる生産物形状の生産に使用する必要性がある場合、または成型用デバイスをクリーニングまたは修理のような保守のために提供する場合、容易に交換することができる構成要素である。
【0040】
生産物の柔軟性という見地から、成型用面に、対応するインサートが取外し可能に収容される凹部を設けると効果的である。これらのインサートは、型穴を備える。このタイプのある実施形態では、同じ成型用面により種々の生産物を成型することができるように、インサートを交換することができる。
【0041】
凹部の形状は、ほぼ長方形にすると効果的であり、ドラムの外壁部が成型用面の場合には、インサートは、ほぼ対応する長方形の本体を有する。この本体の、型穴が位置する頂面だけが、ドラムの曲率半径に一致する曲率半径を有する。この形状の凹部は、比較的容易にドラムに形成することができ、対応するインサートも、簡単に製造することができる。
【0042】
本発明のもう一つの効果的な実施形態の場合には、インサートの高さが、凹部の深さより若干短く、凹部の底部とインサートの下面との間にスペーサが設けられている。そのため、抽出した空気用の収集チャンバ、または押込み流体用の分配チャンバとしての機能可能な空間ができる。当然、スペーサは、例えば短い脚部の形状でインサートの一体型部材を形成することもできる。
【0043】
上記方法は、例えば、ターンテーブル、タレット、ドラム、または任意の固定された平らなプレートのような種々のタイプの成型用デバイスにより実行することができる。
【0044】
高い生産速度を達成するために、成型用面は、関連する駆動手段の回転方向に回転することができ、ドラムの外周で開口している少なくとも一つの型穴を備え、壁部および底部を有し関連する境界を形成するドラムの壁部であることが好ましい。
【0045】
第三の態様によれば、本発明は、特に、一つの側面に開いていて壁部および底部を有する境界により形成されている一つ以上の型穴を備える一つの側面に位置し、消費に適している食品原料の塊、特に肉塊から三次元生産物を成型するための成型用面、詳述すれば成型用ドラムに関する。ドラムの形をしているこのタイプの成型用面は、すでに説明したように、特許文献1(第WO−A−00/30458号公報)により周知である。
【0046】
しかし、本発明によれば、境界を形成している壁部および底部は、境界を貫通して延びる孔部を備える。このタイプの成型用面を使用すれば、すでに説明したように例えば押込み流体を使用して、境界と成型生産物との間の接着力を、すべての界面で、ほとんど同時に取り去ることができる。そのため、生産物を簡単に容易に取り出すことができ、生産物の無駄が少なくなるという上記利点が得られる。さらに、成型生産物を迅速に取出すことができ、そのため生産速度を速くすることができる。
【0047】
成型用面が成型用ドラムであると効果的である。このタイプのドラムは、ほぼシリンダー状のドラム壁部を有する。ドラムの直径は、例えば、0.15〜0.7mであり、一方、長さは、例えば、30cmのような数十センチから数メートルまでいろいろな長さにすることができる。ドラムは、例えば、パイプのような単一の片から作ることもできるし、または複数の相互に接続しているパイプ・セクションから作ることもできる。そうしたい場合には、例えば、リブ、プレートまたはプレ・ストレス手段により補強を行うことができる。型穴は、例えば、軸方向に平行なまたはズレている複数の列の形で、ドラム壁部の外面に設けられる。成型用面の他の例としては、直線状のプレート、ターンテーブルまたはタレットがある。
【0048】
都合のよいことに、孔部は、充填動作中、通常、粘弾性材料と見なすことができる塊に加えられる充填圧力のために、孔部内に深く押し込まれないように、塊が十分な抵抗を受けるような形状および/または寸法を有する。充填圧力は、充填中短時間しかかけられないので、抵抗が十分大きいと、塊は若干変形するだけであり、孔部内に少々侵入できるだけである。塊が孔部内に比較的深く押し込まれた場合、塊またはその一部は取出す際に孔部内に引っかかる危険性がある。この危険性は、本発明により避けることができる。不規則で、角度を有し、または湾曲した孔部は適当な形状の例である。何故なら、これらの孔部は、充填中塊に十分大きな対抗圧力を与えるからである。型穴を形成する境界の表面のところの比較的小さな開口部を有する孔部もこのような抵抗を与える。一例としては、上記境界面の方向にテーパ状になっている孔部がある。さらに、このような孔部の形状および/または寸法は、押込み手段が、原料の塊よりも広い範囲に通常流れることができ、取出し動作中すべての孔部を通して塊の上に放出圧力を加え、塊がすでに解放されたこれら孔部に沿ってはほとんど通過させないという利点を有する。孔部の形状および/または寸法は、食品原料の流動学的性質および使用する押込み手段の機能として効果的に選択される。
【0049】
好ましい実施形態の場合には、孔部または開口部を有する通路は、型穴で開いている。開口部は、底部および壁部上に規則的に、または不規則に配置することができる。一例を挙げて説明すると、底部から壁部への遷移の近くの通路の数を、例えば、これら壁部および底部の残りの表面内の通路の数よりも多くなるように変えることができる。
【0050】
もう一つのある好ましい実施形態の場合には、孔部は相互に通じている孔隙を含む多孔性構造を備える。このタイプの実施形態を使用すれば、境界上に孔部を均一に分配することができ、それ故、型穴から成型生産物を均一に取り出すことができる。
【0051】
すでに説明したように、境界は、焼結金属から、特に放電加工により効果的に形成される。成型用面は、多孔性焼結金属から作ると都合がよい。表面のところで開くその孔隙の開口部は、成型用面の形成中に行われる機械ステップにより密封され、その後で、型穴が放電加工により形成される。そのため孔隙の開口部が局部的に再度開く。
【0052】
もう一つの好ましい実施形態の場合、その中に型穴を有する成型用面は、特に類似形の型穴を有する単一片から形成される。このタイプの成型用面は、例えば、生産物の変更が行われた場合、別々に交換することができ、一つ以上の型穴を有する成型素子を備え、各成型素子を別々に交換しなければならない各成型素子を有して多数の動作を必要とする成型用面と比較すると、迅速に容易に交換することができる。この比較的速い交換速度により、保守、修理または交換のために必要な時間が短縮されるので、成型用面を使用する成型用デバイスの無駄時間短縮を継続することができる。
【0053】
本発明は、また、三次元生産物を成型するための少なくとも二つの成型用面を有するアセンブリ、特に、一つの成型用面内の型穴形状が同じであり、もう一つの成型用面内の型穴形状とは異なる本発明による成型用ドラムに関する。すでに説明したように、このタイプの成型用面は、迅速に容易に交換することができる。
【0054】
本発明による成型用面の他の効果的な実施形態については、本発明の第1の二つの態様としてすでに説明した。
【0055】
更に一つの態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊から三次元生産物を成型するための成型用デバイスに関する。上記デバイスは、関連する駆動手段の回転方向に回転することができ、ドラムの外周のところで開いていて壁部および底部により境界を形成されている型穴を備えるドラム壁部を有するドラムと、ドラムの外周に沿った塊供給位置のところに配置されている型穴に上記塊を供給するための塊供給部材と、かつ、型穴内で減圧を行うための減圧手段とを備える。
【0056】
また、本発明は、ドラムの外周辺周囲にストリップが位置するという、特許請求の範囲に記載されるタイプの成型用デバイスを供給する。そのストリップは、型穴にほぼ対応する柔軟なプリモールドを有し、型穴の位置に供給される。本発明によるこの成型用デバイスにおいて、ストリップは、ドラムの周囲に巻かれており、プラスチック材料でできていることが好ましく、ストリップ内には、型穴の位置に予め製造された柔軟プリモールドが位置している。プリモールドは、その形状が対応する型穴にほぼ等しく、その作動の前にストリップ内に形成されるので、減圧手段によりその度にその元の平らな形に戻り連続的に更新される従来技術によるストリップの場合よりも、より迅速により容易に型穴内に吸引することができる。
【0057】
ストリップを形成するウェブの端部は、接着テープ、接着剤、機械的固定手段等により、ドラムに固定することができる。上記端部は、また例えば高温溶接により相互に固定することができるので、エンドレス・ストリップが形成される。
【0058】
過圧手段もまた、型穴と通じていて、型穴に圧力媒体を供給するように設計されていることが好ましい。例えば圧縮空気のような加圧媒体が型穴の底部および壁部と柔軟プリモールドの下面との間で型穴に供給された際には、プリモールドが成型生産物と一緒に型穴から押し出されるので、成型生産物を簡単に取出すことができる。
【0059】
柔軟プリモールドが反復して吸い込まれ押し出されるので、ストリップ上の負荷が変動する間にストリップが押し出されてドラムから離脱するのを確実に防止するために、プリモールドの柔軟性はストリップ周囲部分の柔軟性より大きいことが好ましい。ストリップの比較的硬質の部分は、ドラムの周囲にピンと張られた状態に保持され、一方、プリモールドは十分柔軟なので圧力状態の変動に対処することができる。
【0060】
作動の間、ドラム上の正しい位置に、ストリップを、特に、型穴に対して正しく柔軟プリモールドを維持するために、ストリップは、都合のよいことに、第1のプラスチック材料による柔軟プリモールドを有する層とその内部に開口部を有する層とを備えるサンドイッチ構造になっている。そして、柔軟プリモールドに対応する開口部の周辺は、第1のプラスチック材料のものより高い剛性を有する第2のプラスチック材料からできている。
【0061】
熱可塑性エラストマは、柔軟プリモールドを有する層の第1のプラスチック材料用に効果的に使用される。第2のプラスチック材料としては、例えば、ポリスチレンを使用することができる。通常、第2のプラスチック材料は、ドラム側に配置される。
【0062】
それ故、プリモールドを、熱可塑性および変形の軟化点より高い温度に予熱し、その後に冷却することにより作ることができる。一方、弾性特性により、プリモールドは、型穴の壁部および底部に対して正しい位置を占めることができる。ドラム自身を加熱できる場合には、上記方法により、平らなストリップから開始し、充填動作の前に一つずつ取り出せるようにその内部でプリモールドを形成することが利用できる。適当な熱可塑性エラストマの例としてはSEBSがある。
【0063】
都合のよいことに、プリモールドは熱成型により平らなストリップに形成される。この方法で形成されたプリモールドは、成型中に従来技術よりも優れた縁部の形を有する生産物を生産する。
【0064】
ストリップの耐用年数をさらに延ばすために、ストリップの周辺部を、開口部を備える耐磨耗材料からできている保護ストリップにより保護することが好ましい。開口部周辺部は、ドラムの型穴周辺部にほぼ対応する。
【0065】
充填動作中に、プリモールドを有するストリップが、塊供給部材と頻繁に接触する。そのストリップを有するドラムは、食品原料の損失を防止するために、密封状態で回転する。そのため、塊供給部材とストリップとの間の摩擦により磨耗が起こる。薄い柔軟ストリップは、例えば、ばね鋼のような金属または金属合金からできており、必要な耐磨耗性が得られ、それにより下に位置するプラスチック・ストリップが保護される。保護ストリップの端部は、相互に取り付けることもできるし、または例えば、フックまたはカムのような適当な方法でドラムに取り付けることもできる。
【0066】
本発明は、また、本発明による少なくとも1つの型穴を備える上記成型用デバイス専用のストリップに関する。上記ストリップは、型穴にほぼ対応する柔軟なプリモールドと一緒に、成型用デバイスの型穴に対応する位置に置かれる。すでに説明したように、対応する従属請求項が、このストリップの好ましい実施形態を定義している。
【0067】
さらに、本発明は、このタイプの本発明によるストリップのアセンブリ、および開口部を有する耐磨耗材料からできている保護ストリップに関する。保護ストリップの周辺は、ストリップ内のプリモールドの周辺にほぼ対応する。
【0068】
さらにもう一つの態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊から三次元生産物を成型するための成型用デバイスに関する。上記デバイスは、関連する駆動手段の回転方向に回転することができ、ドラムの外周辺で開いていて壁部および底部を有する境界により形成されている型穴を備えるドラム壁部を有するドラムと、ドラムの外周に沿った塊供給位置に配置されている型穴に上記塊を供給するための塊供給部材と、型穴内で減圧を行うための減圧手段とを備える。
【0069】
また、本発明のこの態様によれば、冒頭に記載したタイプの成型用デバイスの場合、境界の少なくとも一部は、減圧手段と通じている多数の小さな開口部を有している。
【0070】
本発明によるこの成型用デバイスにおいて、型穴の境界を一緒に形成している底部および/または側壁部は多数の開口部を備える。これらの開口部の寸法は、食品原料の塊のすべての固体片がこれらの開口部を通しては全くまたはほとんど通過できない大きさになっている。これらの開口部は、充填動作中、型穴内の圧力を低減するための減圧手段に接続している。比較的広い面積上のおよび従来技術による局地的吸込ノズルと比較した場合、多数の開口部を通して型穴から空気が吸い出されるために、塊を充填している間の空気の混入は全く不可能である。
【0071】
この空気の混入が、特許文献1(国際特許出願第WO00/30458号公報)の態様による生産物の形状および重量のバラツキに対する原因の一つであると考えられている。成型生産物の形状の再現性は、重量の再現性のように、本発明の態様によるデバイスにより改善される。さらに、従来技術の成型用デバイスで使用する使い捨てフィルムのようなすべての追加材料、または関連する処理装置を全く必要としない。この境界用の材料の例としては、例えば、ニッケルまたはステンレス鋼からできている穴あきプレートまたは開口部を備える熱成型フォイル等がある。
【0072】
好ましい実施形態の場合、境界は、相互に通じている孔隙を有する多孔性構造を備える。型穴の全境界はユニット化され、更に好ましくは、単一のユニットとして生産されることである。このタイプの構造は、ガスまたは他の流体に対しては浸透性を有するが、塊の小さな粒子に対しては浸透性を有さないか、ほとんど浸透性を有さない。このタイプの孔隙構造により、空気を非常に均一に型穴から吸い出すことができ、そのため、形状および重量の点でもっと均一な品質を有する生産物を作ることができる。
【0073】
型穴が、成型生産物を取り出すために上下に移動することができる底部を有し、上記底部が多孔性で型穴から成型生産物を容易に取り出すことができるように、圧縮空気供給源等と通じている成型機械は、公開米国特許第US−A−4,987,643号公報および第US−A−4,212,609号公報によりそれ自身が周知であることに留意されたい。
【0074】
境界の多孔性構造用の適当な材料の例としては、特に焼結鋼を含むセラミック材料、プラスチックおよび金属等がある。
【0075】
ここでの一つの好ましい実施形態では、ドラムの外周は、対応するインサートが取出し可能に収容される凹部を備える。このインサートは型穴を有する。このタイプの実施形態の場合には、インサートを交換することができ、そのためある生産物から他の生産物への切替え時間が比較的短い。何故なら、この目的のための型穴の交換を迅速にまた容易に行うことができるからである。
【0076】
凹部の形状は、ほぼ長方形にすると効果的であり、インサートは、ほぼ対応する長方形の本体を有すると効果的である。この本体の型穴が位置する頂面だけが、ドラムの曲率半径に一致する曲率半径を有する。この形状の凹部は、比較的容易にドラムに形成することができ、関連するインサートも簡単に製造することができる。
【0077】
もう一つの有利な実施形態の場合には、インサートの高さが凹部の深さより若干短く、凹部の底部とインサートの下面の間にスペーサが設けられている。そのため、空気用の収集チャンバ、または分配チャンバとして機能することができる空間ができる。当然、スペーサは、例えば、短い脚部形状でインサートの一体型部材を形成することもできる。
【0078】
都合のよいことに、境界の開口部も、型穴に圧力媒体を供給するように設計されている過圧手段と通じている。そのため、その固有の重量による型穴からの生産物の取出しを、内部から外側への小さな開口部を通過する適切な圧力媒体により容易にすることができ、かつこの方法で生産物が型穴から押し出される。さらに、このことは、必要に応じて任意に、生産物に例えば水または油のような添加物を供給することである。このように、使用後、デバイス、特に型穴をクリーニング剤により洗浄して清掃することもできる。
【0079】
都合のよいことに、凹部の底部には、多くの目的に使用することができる一つ以上の開口部が配置される。接続通路は、凹部の底部開口部と通じることが好ましい。上記接続通路は、減圧手段および過圧手段に選択的に接続することができる。
【0080】
望むならば、取出し位置に配置されている取出しデバイスを、型穴から成型生産物を取出すために設置することができる。このタイプの取出しデバイスは、成型生産物が柔軟プリモールドに付着する傾向がかなりある場合には、柔軟プリモールドを有する成型用デバイスにとって非常に役に立つ。取出しデバイスは、柔軟プリモールドおよび成型生産物のどちらにも損傷を与えないで、この両者間に導入することができる分離素子を有するように設計されている。
【0081】
このタイプの取出しデバイスの好ましい実施形態は、取出しデバイスが平行に配置されていて方向転換素子の周囲に移動経路を形成する駆動可能なエンドレス・コンベアを備える。そのコンベアの間には、接続素子が、取出し位置で、対象の方向転換素子の中心軸に沿って通過するように位置する。
【0082】
この好ましい実施形態の場合には、例えば、方向転換ロールまたは歯車のようなこの方向転換素子により、接続素子の移動経路は取出し位置において急激に反転する。この反転位置が、ドラムの接線に沿って、特に取り出された柔軟プリモールドの接線に沿って位置し、成型生産物が自身の重量により、プリモールド位置から少しだけ移動している結果、及び、運動方向がドラムの運動の接線方向に対して反対に選択されている結果、成型生産物を効率的に取り出すことができる。接続素子の表面積は狭いので、取り出した生産物は、接続素子に付着しないで取出しデバイスの底部に沿って移動する排出ベルト上に落下する。
【0083】
このタイプの取出しデバイスの好ましい実施形態では、エンドレス・コンベアはチェインを備え、チェインのリンクは横方向スピンドルを接続する内側に突出している部分を有する。
【0084】
このタイプの取出しデバイスは他の用途でもまた使用することができることを理解できるだろう。すなわち、例えば、対象物を一定の間隔で、他のコンベア・ベルトの上または若干の空間をもつ位置上に置くためのいわゆるシュータ・ベルトとして知られるようなもの、および他の周知の成型用デバイスでもまた使用できることを。
【0085】
例えばプラスチックまたは(焼結した)金属でできており中空でないまたは中空の、また本発明の成型用デバイスの好ましい実施形態で使用するドラムは、一定の直径で作るのが難しい。このことは、塊供給部材とドラムの外周との間で漏洩が起こることを意味しており、食品原料の損失の点のみならず、成型生産物の品質劣化の点でも望ましくない。
【0086】
この問題を避けるために、都合のよいことに、塊供給部材は、入口からドラム側に位置する出口に塊を通過させる貫通通路が設けられるハウジングと、ドラムに対して密封状態になっていて、ドラムの外周での凹凸に対応できるように設計されているドラム側ベアリングとを備える。これにより、塊供給部材は、充填シューとも呼ばれ、ドラムが完全にシリンダー状でない場合でも、ドラムに対して確実に密封状態にできる。その結果、塊の損失が制限され、真空および/または圧力がかかっている間の漏洩が防止される。この目的のために、充填シューのドラム側はある程度柔軟になっているので、すべての変位に追随することができる。
【0087】
好ましい実施形態の場合には、塊供給部材のドラム側は、過圧手段による圧力の下でドラムの外周に対して保持されている柔軟プレートを備える。柔軟プレート用の適当な材料としては、必要な密封作用の他に耐磨耗性も有するテフロン(登録商標)がある。もう一つの好ましい実施形態によれば、過圧手段は、少なくとも一つの圧力クッションと、ドラムの回転方向に対して横に位置していて圧力クッションとプレートとの間に配置されている多数の薄板とを備える。これらの薄板はドラムの軸方向に高度の剛性を有するラインを供給し、一方、プレートはドラムの直径の変動に追随することができる。
【0088】
連続的供給による塊の損失をさらに低減するために、塊供給部材のドラム側は、ドラムを円周方向に見た場合、出口の両側面上を少なくとも一つの型穴をカバーする距離だけ延びる。塊供給部材が連続的に動作する場合で、もしも望むならば、例えば、柔軟なプレート内に、一方の側で貫通通路と通じていて、他方の側で次に充填される型穴が位置する貫通通路出口の上流のある位置に出口開口部と通じている横にそらす通路を設けることができる。塊供給部材の出口開口部の正面に型穴が位置していない場合には、そのため、塊の流れの一部は、次に充填される型穴が貫通通路からの通常の出口を通して充填できるようになるまで、次に充填される型穴内に導入される。
【0089】
丈夫な(筋)繊維を含む塊を含む食品原料の種々のタイプに対して塊供給部材を使用できるようにするためには、切断デバイスをドラム側の貫通通路内、好ましくは、回転方向に見て、貫通通路の下流側の縁部に設置するのが効果的である。
【0090】
上記塊供給部材は、また、上記実施形態の他に、回転成型用ドラムを備える成型用デバイスで使用するのにも適していることを理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による成型用デバイスの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図2】図1における成型用デバイスの側面を示す説明図である。
【図3】インサートを含む成型用デバイスの実施の一形態を分解斜視で示す説明図である。
【図4】型穴を有するインサートの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図5】本発明による成型用デバイスの実施の一形態を断面で動作的に示す説明図である。
【図6】図5における実施形態の部分詳細を示す説明図である。
【図7】本発明による成型用デバイスのこれまでとは別の実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図8】本発明による取出しデバイスを備える成型用デバイスの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図9】図8における実施形態の部分詳細を斜視で示す説明図である。
【図10】図8における実施形態の部分詳細を側面で動作的に示す説明図である。
【図11】本発明による塊供給部材を備える成型用デバイスの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図12】図11における供給デバイスの部分詳細を断面斜視で示す説明図である。
【図13】本発明における塊供給デバイスの実施の一形態を断面側面で動作的に示す説明図である。
【図14】本発明に関連する境界を有する型穴の実施の一形態を断面で簡単に示す説明図である。
【図15】本発明に関連する境界を有する型穴に対する別の実施の一形態を断面で簡単に示す説明図である。
【図16】本発明の型穴に関し境界の孔隙形状の詳細に対する実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図17】本発明の型穴に関し境界の孔隙形状の詳細に対する別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図18】本発明の型穴の境界に関し通路構造の詳細に対する実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図19】本発明による方法の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図20】本発明による方法における別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図21】本発明による成型用面の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図22】本発明による成型用面における別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図23】本発明による成型用面における更に別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
添付の図面を参照しながら本発明について以下に説明する。
【0093】
図1は、本発明による成型用デバイス10の実施の一形態を斜視で示す説明図であり、図2は、そのデバイスの側面図である。
【0094】
成型用デバイス10は、ホイール12により移動することができるフレーム14を備える。成型用ドラム16は、水平軸を中心にして回転することができ、かつ、例えば電気モータのようなドライブと結合するように、フレーム14上に装着されている。成型用ドラム16は、図1および図2には図示されていない型穴を備える。成型する塊を成型用ドラムの型穴に供給するための塊供給部材18は成型用ドラム16の外周に密着している。塊は、導入ファネル20を有し移動できる貯蔵デバイス19から、次いで、(任意としては、連続的に)動作するポンプ(図示せず)によって、解放可能な接続パイプ22を通して塊供給部材18に供給される。
【0095】
成型用ドラム16の下面近くには、成型用ドラム16の型穴から成型生産物を取り出すための取出しデバイス24とその下の排出ベルト26とが位置する。この排出ベルト26を通して、生産物を、例えば、蛋白質コーティング・デバイス、冷凍デバイス、または包装設備のような他の処理ステーションに送ることができる。成型用デバイス10は、また、種々の構成要素を制御するための制御ユニット28を備える。デバイス、特に成型用ドラム16および塊供給部材18に保守および清掃のためにアクセス可能とするため、塊供給部材18は、ピストン/シリンダー・アセンブリ32により、ピボット・ピン34を中心にして回転することができるサブフレーム30に固定されている。そのため、塊供給部材18は、接続パイプ22と塊供給部材18との間の結合36が切り離された後、図1および図2の作業位置から、成型用ドラム16からある距離の休止位置(図示せず)に移動することができる。
【0096】
図3の実施形態では、長方形の凹部42が、この場合には中空の成型用ドラム16の外周40に設けられている。対応する寸法の交換可能なインサート44をこの凹部42内に固定することができる。この目的のために、孔部46が凹部42の底部48のネジ山付きの孔部47と整合しているインサート44の隅に設けられていて、ボルト50をこれら孔部に挿入することができる。凹部42の底部48には、一つ以上の軸方向連絡通路および分配デバイス(図示せず)を通して、成型用ドラム16の端部片56内の開口部54と通じている開口部52が配置される。この開口部54は、柔軟なホース57を通して押込み流体を供給するためのコンプレッサのような過圧手段(図示せず)と連絡しており、また、柔軟なホース58を通して、例えば真空ポンプのような減圧手段(図示せず)と連絡している。その頂面側では、インサート44が、生産される生産物の形状に対応する形状の型穴60を備える。
【0097】
図4の実施形態の場合には、インサート44は、スペーサ62と一緒にアセンブリ64を形成する。インサート44は、垂直な壁部66および底部68により形成される型穴60を備えている。一方、スペーサ62は、内部にその寸法が型穴60よりも大きい寸法の貫通孔72を有する平らなプレートである。インサート44は、焼結鋼のような多孔性材料からできている。参照番号73は孔隙を示す。孔隙は底部68および周壁部66内に開いている。それ故、組み立てた場合、このインサート44の下面と凹部42の底部48との間には空間ができ、この空間も、スペーサ62内の開口部72の周壁部74により形成される。この空間は、一方ではインサート44内の孔隙73と通じていて、他方では開口部52と通じている。そのため、作動中、型穴60を効率的に真空状態にすることができ、取出し動作中、押込み流体を生産物と境界との間に供給することができる。インサート44は、湾曲している頂面75を除いて平らな下面および側面を有する長方形の本体である。湾曲している頂面75の曲率半径は、成型用ドラム16の曲率半径と同じである。
【0098】
図5は本発明によるデバイス10に対する実施形態の作用状態を示している。成型される塊は、塊供給部材18を通して充填位置にある型穴60内に強制的に注入される。一方、空気は減圧手段により、インサート44内の孔隙、開口部52および接続通路76を通して、この型穴60から吸い出される。この型穴60は、成型用ドラム16が(矢印で示す回転方向に)回転して充填位置を通過する間に充填される。さらに回転すると型穴60は取出し位置に移動し、ここで、成型生産物78が重力により型穴60からその下を移動している排出ベルト26上に落下する。取出し動作は、接続通路76および多孔性インサート44を通して、型穴60に圧縮空気または水のような他の圧力媒体を供給することにより容易に行うことができる。圧縮空気は、過圧手段(図示せず)により供給される。
【0099】
図6は、上述した後半の態様の詳細図である。圧縮空気は、接続通路76からドラム16内の凹部52で底部48の開口部52を通して分配空間82内に供給され、ここから(矢印で示す)圧縮空気は、インサート44の境界内の孔隙を通り生産物を強制的に押し出す。
【0100】
図3から図6までは、図面を簡単にするためにそれぞれ過圧手段および減圧手段の組み合わせを示す。既に、一般的な説明をしたのでその説明は省略する。読めば分かるように、これら2つの態様は別々に使用することもできる。
【0101】
ここで、図14から図20までを参照して、細孔構造について先に説明する。
【0102】
図14は、底部68および周壁部66用の完全な細孔構造を含む浸透性を有する境界を備える型穴60の実施形態である。孔隙73の他に、底部68には通路200が設けられている。図示された状況では、孔隙73には別の供給装置202を通して、圧縮空気のようなガス状の押込み流体が供給される。通路200には、別の供給装置204を通して、水のような液体の押込み流体が供給される。独立供給に代わるものとして、液体および気体の押込み流体の混合物を使用することもできる。
【0103】
図15は、その内部の型穴60の境界が層状構造であるさらに他の実施形態を示す。一番内側の境界層206は、孔隙構造を備えている一方、一番外側の境界層208は通路200を備える。押込み流体は、供給装置210を通して分配チャンバ212内に導入される。ここから、流体は通路200を通して流れ、次に孔隙73を通して型穴内に入る。
【0104】
図16および図17は、2つの異なる孔隙構造を示す。図16の孔隙構造は、焼結したほぼ丸い金属のグレーンからなり、図17の孔隙構造は、焼結した不規則な形状の金属粒子からなる。図17の孔隙構造の場合には、肉塊または肉の小片が孔隙内に付着する危険性は、図16の構造の場合よりも低い。何故なら、塊が貫通する深さは、孔隙が不規則でそれによる抵抗が比較的大きいために浅いからである。
【0105】
図18は、外側から型穴60の方向にテーパ状になっている不規則な通路200を含む境界部分を示す。
【0106】
図19は、境界が生産物の原料から反対に帯電した粒子(ダイポールで示す)を反発する可逆化学反応により表面電荷が与えられるコーティング層220を有する型穴60の境界を示す。
【0107】
図20は、電磁石222により型穴60から生産物を取り出すために、追加の電磁反発力を発生させる方法を示す。
【0108】
次に、図7から図11までを参照して、本発明による成型用デバイス10の他の実施形態について逐次説明する。
【0109】
図7は、同じ参照番号が、図1から図6までに示す構成要素に対応する構成要素を示す、本発明による成型用デバイス10の他の実施形態である。成型用ドラム16は、その円周上に分布していて、充填装置片81が位置する凹部42を有する。この場合、型穴60は、充填装置片81の頂面83および凹部42の側壁部84により形成される。この場合、頂面83は、ある輪郭を有する面を備えていて、そのため生産物の外観を魅力的な形状にすることができる。成型用ドラム16の型穴60は、この場合も、図5および図6を参照しつつ別の実施形態のところで説明したように、減圧手段または供給手段に選択的に結合することができる。この目的のために、充填装置片81内の孔部85と整合している開口部52は、凹部42の底部48に位置する。
【0110】
ウェブまたはストリップ86は、成型用ドラム16の周囲に巻かれている。このストリップ86は、サンドイッチ構造をしていて、上層88と下層92とを備える。上層88は型穴60にほぼ対応する位置に柔軟プリモールド90を有するプラスチック材料からできている。下層92は、動作中、成型用ドラム16の外周に接触するもっと硬い材料でできており、丸い開口部94を有する。この開口部94の直径はプリモールド90の直径、すなわち型穴60の直径にほぼ対応している。二つの層88および92は、適当な方法で相互に接続している。サンドイッチ構造のウェブ86の一方の端部96は、ドラム16上の固定機能と相互作用する固定手段を備える。その一例としては、ドラム16上の短い突起上に位置する一列の小さな開口部98がある。ウェブの自由端102は、例えば、接着テープ等により、ドラム16またはそれ自身に固定することができる。
【0111】
ウェブ86を保護するために、例えば、ステンレス鋼のような耐磨耗材料が使用されている保護ストリップ104がある。保護ストリップ104には同様に柔軟プリモールドに対応する開口部106が設けられている。保護ストリップ104の一方の端部は、フランジ付き縁部108を有し、この縁部は、動作中、ドラム16の外周上に設けられている軸方向の溝110と係合する。他方の端部112は、その隅にスプリング固定手段114を有していて、これらの固定手段はドラム16上の突起に固定することができる。そのため、保護ストリップ104をドラム16の周囲にしっかりと締め付けることができ、そうすることによりその下の柔軟ストリップ86を正しい位置に保持する。
【0112】
動作中、充填位置において、型穴62内の柔軟プリモールド90は、塊または塊の一部により充填され、型穴60内の柔軟プリモールド90の下に位置する空気を、例えば、充填装置片81の中央孔部85と凹部42の底部48とでそれに接続している開口部52を通して吸い出すことができる。上記開口部は、上記の方法で軸方向の接続通路を通して、減圧手段に接続することができる。図8に示される取出し位置では、柔軟プリモールド90が、すでに説明した方法により型穴60に供給される圧縮空気により、型穴60から押し出され、所望であれば、成型生産物78を、例えば以下に説明するスピンドル・ベルトのような取出しデバイスにより取り出すことができる。
【0113】
図8から図10までの取出しデバイス24は、成型用ドラム16の下の取出し位置に配置されていて、図示の場合には、エンドレス・コンベアを備える。図9に示されるコンベアは、相互に平行に配置されていて、歯車122上の固定経路内を案内される二本のエンドレス・チェーン120を備える。共通の駆動軸126に配備されている歯車128は、頂部124の中心近くで係合し、コンベアのドラム16方向に移動する。参照番号130は駆動ユニット全体を示す。図10に示されるように、チェーン120のリンク132は、内側に突き出ている延長片134により内側に延びる。二つのエンドレス・チェーン120の対応するリンク132の延長片134は、横方向スピンドル136が、反転点のところで歯車122の中心軸に沿って通過するように、横方向スピンドル136により相互に接続している。その結果として、さらに、型穴60から成型生産物78を取出すための尖った先端が形成される。
【0114】
次に、図11から図13までを参照して塊供給部材18について説明する。図11から図13までは、塊供給部材18の実施の一形態を示す概要図である。同一構成要素には同一参照番号が付与されている。
【0115】
塊供給部材18は、貫通通路142を有するほぼ半円形状のハウジング140を備える。貫通通路142は、成型される塊用の貯蔵デバイス19からの入口144と、型穴60に送られる塊用の出口146とを有する。ハウジング140の側壁部148,150は、半径方向に延びる開口部152を備える。半径方向に移動可能な例えば金属でできている薄板154は、側壁部148,150で対応する開口部152間に配置されている。塊供給部材18の中央部は、ハウジングに固定状態で接続していて、貫通通路142を有する充填装置ブロック156を備える。成型用ドラム16の方を向いている塊供給部材18のこの側面は、例えば、テフロン(登録商標)のような柔軟なプラスチックからできているプレート158を備え、型穴60への出口146を有する。ハウジング140の内壁部と薄板154との間には、圧縮空気、または加圧水または他の液体のような適切な圧力媒体により加圧することができる圧力クッション160が配置される。このようにして、作動中、テフロン(登録商標)・プレート158は密封状態になるように成型用ドラム16上に圧着され、薄板154が、成型用ドラム16の軸方向に延びる多数のリブを形成して必要な硬度を与えている。また、テフロン(登録商標)・プレート158は、成型用ドラム16の半径で起こり得る変化に対応することができる。貫通通路152の一方の側面には、筋繊維のような丈夫な片を切断するための切断ブレードが配置される。
【0116】
この図示される成型用ドラム16の実施形態には、その外壁部に幅広い底部162を有する凹部42が縦方向に延びて配置される。その凹部42内に、型穴60に対応するインサート44を成型用ドラム16の対応する端部から押し込むことができる。
【0117】
次に、図21は、本発明による成型用面の実施形態としての、交換できる成型用ドラム16の斜視図を示す。軸250を中心にして回転することができる成型用ドラム16は、シリンダー状のドラム壁部252を備える。シリンダー状のドラム壁部252の外面は凹部42を備える。各凹部42内にはインサート44が配置されており、このインサート44は、孔部を含む境界、すなわち壁部66および底部68が形成する型穴60を備える。図示される実施形態では、すべての型穴60の形状は同じである。例えば、各環状ドラム壁部が同じ形状の型穴を有するように、一方、型穴の形状が環状ドラム壁部ごとに異なるように、型穴の形状を異なるものにすることもできる。それ故、比較的容易に、ある範囲の異なる形状の生産物を作り、次にこれら生産物を包装することができる。
【0118】
図22では、交換できるインサート44がドラムの縦方向に延びていて、それぞれ4つの型穴60を備える素子である点を除けば、図21の成型用ドラムに類似している成型用ドラムが示されている。
【0119】
図23は、全体を交換することができる本発明による成型用ドラム16の特に好ましい実施形態を示す。成型用ドラム16は、その表面の孔隙が外表面および内表面ですでに密封されている単一の多孔性金属を備える。型穴60は放電加工により形成されている。その結果、底部68および側壁部66を有する境界は多孔性構造となっている。何故なら、その結果として孔隙が開かれるからである。ある成型用ドラムの他の成型用ドラムとの交換は、図21および図22に示される実施形態で使用される交換可能なインサートを交換するより容易である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、塊供給部材に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊から、特に肉塊から三次元生産物を成型するための方法に関する。その方法は、下記ステップ、すなわち、
a)成型された三次元生産物を成型するために、一方の側面が開いている壁部および底部を有する境界が形成する型穴を、消費に適している食品原料の塊で充填するステップaと、
b)型穴から成型した三次元生産物を取り出すステップbと
を含む。
【0003】
このタイプの方法およびこの方法のために使用するデバイスは、従来技術として周知の、例えば本出願人の国際特許出願第WO−A−00/30458号公報(特許文献1)に開示されており、例えばこねた肉から食品を成型するために使用することができる。いわゆる「回転ドラム・タイプ」のこの周知のデバイスは、関連するドライブにより連続的に駆動される回転可能なドラムを有する。生産される生産物の形を形成する複数の型穴は、ドラムの外面に位置する。充填位置には、回転中にそこを通って移動する型穴を塊で充填する充填部材が位置する。この方法で形成された生産物は、充填位置の下流に位置する取出し位置で型穴から取り出される。この周知の成型用デバイスは、充填された型穴が閉じられた後で、型穴内の塊上に固定圧力を加えるように設計されている固定圧力を加えるための手段を用いる。この固定圧力は、型穴を充填している間にこの部分で塊の一部に加えられる充填圧力とは異なる。固定圧力は、充填動作の後で塊の各部分を一体に密着させるために、またこの方法により型穴から取り出すことができる所望の最終重量を有し一定寸法の生産品を得るために使用される。
【0004】
現在、成型生産品の形状、特にその縁部の形状が十分均一でないことが分かっている。そのため生産物の歩留まりが悪くなる。今まで観察された欠陥には、リップ、縁部で分離する小片、凹み等の形成が含まれる。
【0005】
さらに、使用するプラスチック・フィルムの耐用年数が満足いくものではないことも分かっている。耐用年数が短いということは、生産上の無駄な時間、保守作業および他のコストに関するすべてに関連する欠点のために、プラスチック・フィルムを頻繁に交換しなければならないことを意味する。
【0006】
これら周知技術のもう一つの欠点は、食品原料と接触する部品数のために、これらデバイス内を監視し、衛生状態を維持することが難しいことである。
【0007】
また、いわゆる「回転ドラム・タイプ」のこの周知のデバイスに対する態様では、弾性により変形することができる(可塑性の)材料のストリップが、充填部材の上流に位置する充填位置からドラム下側の生産物取出し位置までドラムの外周縁に対して提供される。このストリップは、型穴の底面および側壁部と、型穴内の通路の開口部を覆う働きをする。そのため、この底部および側壁部は塊と直接接触しない。圧力を低減することにより、その壁部および底部上の型穴内にストリップが吸引される。負荷が解放されると、ストリップはもとの形状に戻るので、ストリップを鋭角で上方に案内することにより、生産物をストリップから解放することができる。その結果、生産物がストリップから落下する。何故なら、これらの生産物はストリップ方向のこの急激な変化に追随できないからである。
【0008】
しかし、使用するプラスチック・フィルムの耐用年数が満足のいくものではないことが分かっている。耐用年数が短いので、無駄時間、保守作業および他のコストに関するすべての関連欠陥のために、フィルムを頻繁に交換しなければならない。
【0009】
さらに、成型生産物の縁部の形状がいつでも満足いくものとは限らず、そのため生産物のロスにつながる場合がある。さらに、型穴からの生産物の取出しは、常に満足できるものとは限らず、同様に成型生産物の品質に悪影響を及ぼす。
【0010】
特許文献1(国際特許出願第WO−A−00/30458号公報)に開示されているこの周知のデバイスの一態様には、例えば、金属または硬質プラスチックからできておりその内部に型穴を有する交換可能な型がドラム壁部内に固定されている。汚染を防止するために、形状記憶の柔軟な膜が型穴内に配置されている。型穴の底部は、あちこちに位置する通路を通して、空気供給源および/または真空手段と通じている。選択的に作動させることにより、柔軟な膜を型穴内に吸引させることもできるし、成型生産物を取出すこともできる。
【0011】
現在、複数の場合に、この動作は実際には不必要なものであるが、型穴内に導入された塊のこの部分上に固定圧力をかけるのは難しいことが分かっている。さらに、動作中、いくつかの場合、型穴全体を充填するのは不可能であり、そのため成型生産物の形および重量にバラツキがあることが分かっている。
【0012】
また、公開米国特許第US−A−4,987,643号公報(特許文献2)および第US−A−4,212,609号公報(特許文献3)は、それ自身、型穴が成型生産物を取り出すために上下に移動することができる底部を有する成型機械を開示していることに留意されたい。上記底部は多孔性で、型穴から成型生産物を容易に取出すことができるように、圧縮空気供給源等と通じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際特許出願第WO-A-00/30458号公報
【特許文献2】公開米国特許第US-A-4,987,643号公報
【特許文献3】公開米国特許第US-A-4,212,609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の一つの目的は、時間が経過しても、もっと均一な形を有する生産物を供給することができる方法およびデバイスを提供することである。本発明のもう一つの目的は、重量のバラツキが少ない生産物を生産するために使用することができる方法およびデバイスを提供することである。本発明の更にもう一つの目的は、食品原料と接触する構成要素の数が非常に少ない方法およびデバイスを提供することである。
【0015】
また、本発明の一つの目的は、かなりのストリップ耐用年数を有する食用の三次元生産物を供給するための成型用デバイスを提供することである。さらに、本発明の一つの目的は、所望の形状の生産物を製造するために使用することができる成型用デバイスを提供することである。また本発明の一つの目的は、生産物を効率的に取出すことができる成型用デバイスを提供することである。
【0016】
更に、本発明の一つの目的は、食品の塊から(許容誤差の範囲内の)均一な外見および形状並びに同じ重量を有する三次元生産物を提供するための成型用デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願明細書においては、重力のもとで対象の型穴からの成型生産物の取出しを容易にするために使用する多くの技術について説明する。一つの態様では、ドラムの各回転中に、フィルム上のウェブが型穴内に置かれる。取り出すために、応力が一方の側面からウェブに加えられるので、ウェブとそれに従って成型生産物とが、一方の側面から型穴の外に持ち上げられる。適切であれば、型穴の底部に位置する中央の点から、ウェブの下に吹き付けられる圧縮空気により生産物を更に容易に取出すことができる。
【0018】
他の提要では、汚染を防止するために柔軟な膜が型穴内に固定される。型穴の底部は、通路を通してあちこちに位置する空気源および/または真空手段と通じている。選択的に作動させることにより、柔軟な膜を型穴内に吸引させることもできるし、成型生産品を取り出すこともできる。この実施形態の場合にも、中央位置からおよび底部の周縁部の付近に位置する複数の点から膜の下面に吹き付けられる圧縮空気により生産品の取出しを容易にすることができる。
【0019】
本発明の方法によれば、この目的のために、ステップbには、成型した三次元生産物と境界との間のすべての界面で、ほぼ同時に生産物と型穴の境界との間の接着力を取り去るステップが含まれる。本発明によれば、底部と周壁部とに同時に接触している成型生産物のすべての表面で、生産物を取り出すと同時に、接着力が実質的に除去される。すべての側面(型穴の開いた側面は別として)での接着力が除去された場合には、成型生産物をもっと簡単に取り出すことができ、そのため生産ロスが少なくなることが分かっている。この生産物の取出しは、部分的には、重力による力(成型した生産物の固有の重量)により行われる。すなわち、この自然の力が、すべての側面での接着力を除去することにより、取出しの応援を同時に行っている。
【0020】
すべての側面で同時に取出されるために、成型生産物の縁部の形状は、従来技術と比較すると大幅に改善され、最終成型生産物は型穴にもっと正確に対応する。何故なら、生産物がその形状を保持するからである。本発明の場合には、重力の他に、型穴から成型生産物を取り出すために、ある力が一時的に加わることを強調しておかなければならない。この力は、例えば、生産物と接触しているプランジャのような機械的手段によるものではない。さらに、この追加の押し出す力は、取出しの時点で発生するもので、例えば、非接着層の場合のように永続しない。本発明のこの態様によるデバイス内の成型生産物の形状の再現性は、重量の再現性のようにこの方法により改善される。さらに、従来技術の成型用デバイスで使用する使い捨てフィルムのような追加の材料、または関連する処理装置を全く必要としない。
【0021】
都合のよいことに、接着力排除用手段は、接着力を取り除くために使用される。この場合、接着力排除用手段と生産物が成型される食品原料の手段との間に存在する特性の違いが利用される。
【0022】
この手段の好適な例としては、押込み流体(加圧流体)、接着力排除作用が作動できるコーティング材料による境界の任意の永久コーティング、例えば静電電荷をかけることによるもの、例えば加熱により水の薄膜を水蒸気に変換するように例えば固体から液体または液体から気体へ変換させて凝集状態に変化を起こさせることによる、若しくは対抗力が発生するかまたは固有の接着特性が低減する化学反応の発生によるもの、またはその作用が使用する充填圧力および時間に依存する粘性−弾性物質がある。また、これら方策の組合せも可能である。
【0023】
より好適なものは、押込み流体、特に圧縮空気または水蒸気を使用することである。加湿するために、水のような液体成分が分散している圧縮空気の組合せも使用することができる。さらに、これにより、必要な場合には、例えば、水または油等に溶解した(保存用の)塩を生産物に必要に応じて追加することができるようになる。このタイプの押込み流体を供給することができるように、境界は浸透性を有している。
【0024】
すべての側面(開いている頂面は別にして)に押込み流体を供給するため、型穴の境界に、型穴の底部および周壁部に分布して境界表面で開く開口部を持った通路を設けることが効果的である。その通路には、加圧流体が供給される。この通路は、直線的なもの、角度を有するもの、または曲線状のもののように所望の任意の形を有することができる。また、規則的なもの、不規則なもの、テーパ状のものであってもよく、またはその端部のところが広くなっているものでもよい。通路の形状およびサイズは、部分的には、塊の境界内へ広がる深さと流体の境界に沿った流れとを決め、それ故、流体により加えられる力を決める。さらに、通路の出口開口部のサイズは、食品原料の各片が通路に引っかからないように選択することが好ましい。これについては、以下にさらに詳細に説明する。このタイプの境界用に使用される材料の例としては、例えば、ニッケルまたはステンレス鋼からできている穴あきプレートまたは開口部を有するフォイル等がある。通路は、例えば、レーザ処理により形成することができる。適当な製造技術の他の例としては、エッチングまたは電鋳法がある。
【0025】
特に好適な境界は、相互に通じている孔隙を有する多孔性構造を有する。これにより、境界と成型生産物との間のすべての界面上に押込み流体を均一に分布させることができる。それにより容易に生産物を均一に取り出すことができる。孔隙のサイズは、処理する原料および使用する押込み流体の機能として選択される。一例を挙げて説明すると、約1〜20ミクロンの範囲内の実効孔隙直径を有する焼結ステンレス鋼からできている多孔性境界の場合には、特定の肉塊を効果的に取出すことができる。通路構造および多孔性構造の組み合わせも使用することができる。
【0026】
境界の多孔性構造用の適当な材料の例としては、特定の焼結鋼を含むセラミック材料、プラスチックおよび金属等がある。
【0027】
ここで、公開米国特許第US−A−4,987,643号公報(特許文献2)および第US−A−4,212,609号公報(特許文献3)は、それ自身、型穴が成型生産物を取り出すために上下に移動することができる底部を有する成型機械を開示していることに留意されたい。上記底部は多孔性で、型穴から成型生産物を容易に取出すことができるように、圧縮空気供給源等と通じている。
【0028】
型穴は、放電加工により多孔性境界に形成すると効果的である。多孔性金属からの型の形成は、多くの場合、表面のところで開いている孔隙の開口部を事実上完全に閉鎖する処理を使用する。放電加工を使用すると、境界の多孔性構造が、型穴のところで再度開く。
【0029】
使用後、通路および/または開口部には、型穴をクリーニングするため、例えば、水または水蒸気を、また供給されるクリーニング剤または洗剤を随意に追加して、使用することができる。
【0030】
しかし、もう一つの好ましい実施形態では、ステップaの間、塊と境界との間に閉じこめられた空気が、境界を通して放出される。通路および/または孔隙を有する境界構造は、この目的のために特に適している。例えば、閉じこめられた空気が完成品の形に何の痕跡も残さないように、または均一な取出しに干渉しないように、吸引手段により吸引することにより、閉じこめられた空気を除去して型穴の完全充填が達成できる。
【0031】
第二の態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊、特に肉塊から三次元生産物を成型するためのデバイスに関する。このデバイスは、一つの側面で開いていて壁部および底部を有する境界により形成されている一つ以上の型穴を備える一方の側面上に設けられている成型用面と、上記塊を型穴に供給するために、塊供給位置に配置されている塊供給部材とを備える。
【0032】
成型用面がドラムの外壁部であるこのタイプのデバイスには、上記特許文献1(国際特許出願第WO00/30458号公報)により開示された周知のものがある。
【0033】
しかし、本発明によれば、上記デバイスは、また、成型した三次元生産物と境界との間のすべての界面で、生産物と型穴の境界との間の接着力を同時に除去するための手段も備える。このタイプのデバイスは、成型生産物縁部の形成および形状および重量の均一性に関する上記目的を達成する。
【0034】
上記手段は、対象の実施形態における一つの機能として選択される。
【0035】
押込み流体が、接着力排除用手段として使用される場合には、上記手段は、型穴の境界と流体で通じていて、圧縮空気または水のような加圧流体を供給するために使用される過圧手段を備える。押込み流体を均一に分配するには、境界に開口部を含む通路を設けると効果的である。上記通路は、過圧手段と通じている。境界は、上記概略で述べた理由により、相互に通じている孔隙を有する多孔性構造を備えることが好ましい。
【0036】
他の好ましい実施形態の場合には、上記手段は、本発明による方法ですでに説明したように、型穴に任意の永久コーティングを形成する。
【0037】
さらにもう一つの好ましい実施形態の場合には、デバイスは、また、閉じこめられた空気を吸い出すことができるように、充填動作中、型穴内を減圧させるための減圧手段も備える。
【0038】
デバイス、特に加圧流体を供給するためまたは空気を除去するために使用するラインのシステムの構造を簡単にするため、接続通路を型穴の境界と通じると効果的である。上記接続通路は、減圧手段および過圧手段に選択的に結合することができる。
【0039】
成型用面は、型穴が放電加工により形成される焼結金属から完全形成されると効果的である。一体型成型用面は、成型用デバイスを異なる生産物形状の生産に使用する必要性がある場合、または成型用デバイスをクリーニングまたは修理のような保守のために提供する場合、容易に交換することができる構成要素である。
【0040】
生産物の柔軟性という見地から、成型用面に、対応するインサートが取外し可能に収容される凹部を設けると効果的である。これらのインサートは、型穴を備える。このタイプのある実施形態では、同じ成型用面により種々の生産物を成型することができるように、インサートを交換することができる。
【0041】
凹部の形状は、ほぼ長方形にすると効果的であり、ドラムの外壁部が成型用面の場合には、インサートは、ほぼ対応する長方形の本体を有する。この本体の、型穴が位置する頂面だけが、ドラムの曲率半径に一致する曲率半径を有する。この形状の凹部は、比較的容易にドラムに形成することができ、対応するインサートも、簡単に製造することができる。
【0042】
本発明のもう一つの効果的な実施形態の場合には、インサートの高さが、凹部の深さより若干短く、凹部の底部とインサートの下面との間にスペーサが設けられている。そのため、抽出した空気用の収集チャンバ、または押込み流体用の分配チャンバとしての機能可能な空間ができる。当然、スペーサは、例えば短い脚部の形状でインサートの一体型部材を形成することもできる。
【0043】
上記方法は、例えば、ターンテーブル、タレット、ドラム、または任意の固定された平らなプレートのような種々のタイプの成型用デバイスにより実行することができる。
【0044】
高い生産速度を達成するために、成型用面は、関連する駆動手段の回転方向に回転することができ、ドラムの外周で開口している少なくとも一つの型穴を備え、壁部および底部を有し関連する境界を形成するドラムの壁部であることが好ましい。
【0045】
第三の態様によれば、本発明は、特に、一つの側面に開いていて壁部および底部を有する境界により形成されている一つ以上の型穴を備える一つの側面に位置し、消費に適している食品原料の塊、特に肉塊から三次元生産物を成型するための成型用面、詳述すれば成型用ドラムに関する。ドラムの形をしているこのタイプの成型用面は、すでに説明したように、特許文献1(第WO−A−00/30458号公報)により周知である。
【0046】
しかし、本発明によれば、境界を形成している壁部および底部は、境界を貫通して延びる孔部を備える。このタイプの成型用面を使用すれば、すでに説明したように例えば押込み流体を使用して、境界と成型生産物との間の接着力を、すべての界面で、ほとんど同時に取り去ることができる。そのため、生産物を簡単に容易に取り出すことができ、生産物の無駄が少なくなるという上記利点が得られる。さらに、成型生産物を迅速に取出すことができ、そのため生産速度を速くすることができる。
【0047】
成型用面が成型用ドラムであると効果的である。このタイプのドラムは、ほぼシリンダー状のドラム壁部を有する。ドラムの直径は、例えば、0.15〜0.7mであり、一方、長さは、例えば、30cmのような数十センチから数メートルまでいろいろな長さにすることができる。ドラムは、例えば、パイプのような単一の片から作ることもできるし、または複数の相互に接続しているパイプ・セクションから作ることもできる。そうしたい場合には、例えば、リブ、プレートまたはプレ・ストレス手段により補強を行うことができる。型穴は、例えば、軸方向に平行なまたはズレている複数の列の形で、ドラム壁部の外面に設けられる。成型用面の他の例としては、直線状のプレート、ターンテーブルまたはタレットがある。
【0048】
都合のよいことに、孔部は、充填動作中、通常、粘弾性材料と見なすことができる塊に加えられる充填圧力のために、孔部内に深く押し込まれないように、塊が十分な抵抗を受けるような形状および/または寸法を有する。充填圧力は、充填中短時間しかかけられないので、抵抗が十分大きいと、塊は若干変形するだけであり、孔部内に少々侵入できるだけである。塊が孔部内に比較的深く押し込まれた場合、塊またはその一部は取出す際に孔部内に引っかかる危険性がある。この危険性は、本発明により避けることができる。不規則で、角度を有し、または湾曲した孔部は適当な形状の例である。何故なら、これらの孔部は、充填中塊に十分大きな対抗圧力を与えるからである。型穴を形成する境界の表面のところの比較的小さな開口部を有する孔部もこのような抵抗を与える。一例としては、上記境界面の方向にテーパ状になっている孔部がある。さらに、このような孔部の形状および/または寸法は、押込み手段が、原料の塊よりも広い範囲に通常流れることができ、取出し動作中すべての孔部を通して塊の上に放出圧力を加え、塊がすでに解放されたこれら孔部に沿ってはほとんど通過させないという利点を有する。孔部の形状および/または寸法は、食品原料の流動学的性質および使用する押込み手段の機能として効果的に選択される。
【0049】
好ましい実施形態の場合には、孔部または開口部を有する通路は、型穴で開いている。開口部は、底部および壁部上に規則的に、または不規則に配置することができる。一例を挙げて説明すると、底部から壁部への遷移の近くの通路の数を、例えば、これら壁部および底部の残りの表面内の通路の数よりも多くなるように変えることができる。
【0050】
もう一つのある好ましい実施形態の場合には、孔部は相互に通じている孔隙を含む多孔性構造を備える。このタイプの実施形態を使用すれば、境界上に孔部を均一に分配することができ、それ故、型穴から成型生産物を均一に取り出すことができる。
【0051】
すでに説明したように、境界は、焼結金属から、特に放電加工により効果的に形成される。成型用面は、多孔性焼結金属から作ると都合がよい。表面のところで開くその孔隙の開口部は、成型用面の形成中に行われる機械ステップにより密封され、その後で、型穴が放電加工により形成される。そのため孔隙の開口部が局部的に再度開く。
【0052】
もう一つの好ましい実施形態の場合、その中に型穴を有する成型用面は、特に類似形の型穴を有する単一片から形成される。このタイプの成型用面は、例えば、生産物の変更が行われた場合、別々に交換することができ、一つ以上の型穴を有する成型素子を備え、各成型素子を別々に交換しなければならない各成型素子を有して多数の動作を必要とする成型用面と比較すると、迅速に容易に交換することができる。この比較的速い交換速度により、保守、修理または交換のために必要な時間が短縮されるので、成型用面を使用する成型用デバイスの無駄時間短縮を継続することができる。
【0053】
本発明は、また、三次元生産物を成型するための少なくとも二つの成型用面を有するアセンブリ、特に、一つの成型用面内の型穴形状が同じであり、もう一つの成型用面内の型穴形状とは異なる本発明による成型用ドラムに関する。すでに説明したように、このタイプの成型用面は、迅速に容易に交換することができる。
【0054】
本発明による成型用面の他の効果的な実施形態については、本発明の第1の二つの態様としてすでに説明した。
【0055】
更に一つの態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊から三次元生産物を成型するための成型用デバイスに関する。上記デバイスは、関連する駆動手段の回転方向に回転することができ、ドラムの外周のところで開いていて壁部および底部により境界を形成されている型穴を備えるドラム壁部を有するドラムと、ドラムの外周に沿った塊供給位置のところに配置されている型穴に上記塊を供給するための塊供給部材と、かつ、型穴内で減圧を行うための減圧手段とを備える。
【0056】
また、本発明は、ドラムの外周辺周囲にストリップが位置するという、特許請求の範囲に記載されるタイプの成型用デバイスを供給する。そのストリップは、型穴にほぼ対応する柔軟なプリモールドを有し、型穴の位置に供給される。本発明によるこの成型用デバイスにおいて、ストリップは、ドラムの周囲に巻かれており、プラスチック材料でできていることが好ましく、ストリップ内には、型穴の位置に予め製造された柔軟プリモールドが位置している。プリモールドは、その形状が対応する型穴にほぼ等しく、その作動の前にストリップ内に形成されるので、減圧手段によりその度にその元の平らな形に戻り連続的に更新される従来技術によるストリップの場合よりも、より迅速により容易に型穴内に吸引することができる。
【0057】
ストリップを形成するウェブの端部は、接着テープ、接着剤、機械的固定手段等により、ドラムに固定することができる。上記端部は、また例えば高温溶接により相互に固定することができるので、エンドレス・ストリップが形成される。
【0058】
過圧手段もまた、型穴と通じていて、型穴に圧力媒体を供給するように設計されていることが好ましい。例えば圧縮空気のような加圧媒体が型穴の底部および壁部と柔軟プリモールドの下面との間で型穴に供給された際には、プリモールドが成型生産物と一緒に型穴から押し出されるので、成型生産物を簡単に取出すことができる。
【0059】
柔軟プリモールドが反復して吸い込まれ押し出されるので、ストリップ上の負荷が変動する間にストリップが押し出されてドラムから離脱するのを確実に防止するために、プリモールドの柔軟性はストリップ周囲部分の柔軟性より大きいことが好ましい。ストリップの比較的硬質の部分は、ドラムの周囲にピンと張られた状態に保持され、一方、プリモールドは十分柔軟なので圧力状態の変動に対処することができる。
【0060】
作動の間、ドラム上の正しい位置に、ストリップを、特に、型穴に対して正しく柔軟プリモールドを維持するために、ストリップは、都合のよいことに、第1のプラスチック材料による柔軟プリモールドを有する層とその内部に開口部を有する層とを備えるサンドイッチ構造になっている。そして、柔軟プリモールドに対応する開口部の周辺は、第1のプラスチック材料のものより高い剛性を有する第2のプラスチック材料からできている。
【0061】
熱可塑性エラストマは、柔軟プリモールドを有する層の第1のプラスチック材料用に効果的に使用される。第2のプラスチック材料としては、例えば、ポリスチレンを使用することができる。通常、第2のプラスチック材料は、ドラム側に配置される。
【0062】
それ故、プリモールドを、熱可塑性および変形の軟化点より高い温度に予熱し、その後に冷却することにより作ることができる。一方、弾性特性により、プリモールドは、型穴の壁部および底部に対して正しい位置を占めることができる。ドラム自身を加熱できる場合には、上記方法により、平らなストリップから開始し、充填動作の前に一つずつ取り出せるようにその内部でプリモールドを形成することが利用できる。適当な熱可塑性エラストマの例としてはSEBSがある。
【0063】
都合のよいことに、プリモールドは熱成型により平らなストリップに形成される。この方法で形成されたプリモールドは、成型中に従来技術よりも優れた縁部の形を有する生産物を生産する。
【0064】
ストリップの耐用年数をさらに延ばすために、ストリップの周辺部を、開口部を備える耐磨耗材料からできている保護ストリップにより保護することが好ましい。開口部周辺部は、ドラムの型穴周辺部にほぼ対応する。
【0065】
充填動作中に、プリモールドを有するストリップが、塊供給部材と頻繁に接触する。そのストリップを有するドラムは、食品原料の損失を防止するために、密封状態で回転する。そのため、塊供給部材とストリップとの間の摩擦により磨耗が起こる。薄い柔軟ストリップは、例えば、ばね鋼のような金属または金属合金からできており、必要な耐磨耗性が得られ、それにより下に位置するプラスチック・ストリップが保護される。保護ストリップの端部は、相互に取り付けることもできるし、または例えば、フックまたはカムのような適当な方法でドラムに取り付けることもできる。
【0066】
本発明は、また、本発明による少なくとも1つの型穴を備える上記成型用デバイス専用のストリップに関する。上記ストリップは、型穴にほぼ対応する柔軟なプリモールドと一緒に、成型用デバイスの型穴に対応する位置に置かれる。すでに説明したように、対応する従属請求項が、このストリップの好ましい実施形態を定義している。
【0067】
さらに、本発明は、このタイプの本発明によるストリップのアセンブリ、および開口部を有する耐磨耗材料からできている保護ストリップに関する。保護ストリップの周辺は、ストリップ内のプリモールドの周辺にほぼ対応する。
【0068】
さらにもう一つの態様によれば、本発明は、消費に適している食品原料の塊から三次元生産物を成型するための成型用デバイスに関する。上記デバイスは、関連する駆動手段の回転方向に回転することができ、ドラムの外周辺で開いていて壁部および底部を有する境界により形成されている型穴を備えるドラム壁部を有するドラムと、ドラムの外周に沿った塊供給位置に配置されている型穴に上記塊を供給するための塊供給部材と、型穴内で減圧を行うための減圧手段とを備える。
【0069】
また、本発明のこの態様によれば、冒頭に記載したタイプの成型用デバイスの場合、境界の少なくとも一部は、減圧手段と通じている多数の小さな開口部を有している。
【0070】
本発明によるこの成型用デバイスにおいて、型穴の境界を一緒に形成している底部および/または側壁部は多数の開口部を備える。これらの開口部の寸法は、食品原料の塊のすべての固体片がこれらの開口部を通しては全くまたはほとんど通過できない大きさになっている。これらの開口部は、充填動作中、型穴内の圧力を低減するための減圧手段に接続している。比較的広い面積上のおよび従来技術による局地的吸込ノズルと比較した場合、多数の開口部を通して型穴から空気が吸い出されるために、塊を充填している間の空気の混入は全く不可能である。
【0071】
この空気の混入が、特許文献1(国際特許出願第WO00/30458号公報)の態様による生産物の形状および重量のバラツキに対する原因の一つであると考えられている。成型生産物の形状の再現性は、重量の再現性のように、本発明の態様によるデバイスにより改善される。さらに、従来技術の成型用デバイスで使用する使い捨てフィルムのようなすべての追加材料、または関連する処理装置を全く必要としない。この境界用の材料の例としては、例えば、ニッケルまたはステンレス鋼からできている穴あきプレートまたは開口部を備える熱成型フォイル等がある。
【0072】
好ましい実施形態の場合、境界は、相互に通じている孔隙を有する多孔性構造を備える。型穴の全境界はユニット化され、更に好ましくは、単一のユニットとして生産されることである。このタイプの構造は、ガスまたは他の流体に対しては浸透性を有するが、塊の小さな粒子に対しては浸透性を有さないか、ほとんど浸透性を有さない。このタイプの孔隙構造により、空気を非常に均一に型穴から吸い出すことができ、そのため、形状および重量の点でもっと均一な品質を有する生産物を作ることができる。
【0073】
型穴が、成型生産物を取り出すために上下に移動することができる底部を有し、上記底部が多孔性で型穴から成型生産物を容易に取り出すことができるように、圧縮空気供給源等と通じている成型機械は、公開米国特許第US−A−4,987,643号公報および第US−A−4,212,609号公報によりそれ自身が周知であることに留意されたい。
【0074】
境界の多孔性構造用の適当な材料の例としては、特に焼結鋼を含むセラミック材料、プラスチックおよび金属等がある。
【0075】
ここでの一つの好ましい実施形態では、ドラムの外周は、対応するインサートが取出し可能に収容される凹部を備える。このインサートは型穴を有する。このタイプの実施形態の場合には、インサートを交換することができ、そのためある生産物から他の生産物への切替え時間が比較的短い。何故なら、この目的のための型穴の交換を迅速にまた容易に行うことができるからである。
【0076】
凹部の形状は、ほぼ長方形にすると効果的であり、インサートは、ほぼ対応する長方形の本体を有すると効果的である。この本体の型穴が位置する頂面だけが、ドラムの曲率半径に一致する曲率半径を有する。この形状の凹部は、比較的容易にドラムに形成することができ、関連するインサートも簡単に製造することができる。
【0077】
もう一つの有利な実施形態の場合には、インサートの高さが凹部の深さより若干短く、凹部の底部とインサートの下面の間にスペーサが設けられている。そのため、空気用の収集チャンバ、または分配チャンバとして機能することができる空間ができる。当然、スペーサは、例えば、短い脚部形状でインサートの一体型部材を形成することもできる。
【0078】
都合のよいことに、境界の開口部も、型穴に圧力媒体を供給するように設計されている過圧手段と通じている。そのため、その固有の重量による型穴からの生産物の取出しを、内部から外側への小さな開口部を通過する適切な圧力媒体により容易にすることができ、かつこの方法で生産物が型穴から押し出される。さらに、このことは、必要に応じて任意に、生産物に例えば水または油のような添加物を供給することである。このように、使用後、デバイス、特に型穴をクリーニング剤により洗浄して清掃することもできる。
【0079】
都合のよいことに、凹部の底部には、多くの目的に使用することができる一つ以上の開口部が配置される。接続通路は、凹部の底部開口部と通じることが好ましい。上記接続通路は、減圧手段および過圧手段に選択的に接続することができる。
【0080】
望むならば、取出し位置に配置されている取出しデバイスを、型穴から成型生産物を取出すために設置することができる。このタイプの取出しデバイスは、成型生産物が柔軟プリモールドに付着する傾向がかなりある場合には、柔軟プリモールドを有する成型用デバイスにとって非常に役に立つ。取出しデバイスは、柔軟プリモールドおよび成型生産物のどちらにも損傷を与えないで、この両者間に導入することができる分離素子を有するように設計されている。
【0081】
このタイプの取出しデバイスの好ましい実施形態は、取出しデバイスが平行に配置されていて方向転換素子の周囲に移動経路を形成する駆動可能なエンドレス・コンベアを備える。そのコンベアの間には、接続素子が、取出し位置で、対象の方向転換素子の中心軸に沿って通過するように位置する。
【0082】
この好ましい実施形態の場合には、例えば、方向転換ロールまたは歯車のようなこの方向転換素子により、接続素子の移動経路は取出し位置において急激に反転する。この反転位置が、ドラムの接線に沿って、特に取り出された柔軟プリモールドの接線に沿って位置し、成型生産物が自身の重量により、プリモールド位置から少しだけ移動している結果、及び、運動方向がドラムの運動の接線方向に対して反対に選択されている結果、成型生産物を効率的に取り出すことができる。接続素子の表面積は狭いので、取り出した生産物は、接続素子に付着しないで取出しデバイスの底部に沿って移動する排出ベルト上に落下する。
【0083】
このタイプの取出しデバイスの好ましい実施形態では、エンドレス・コンベアはチェインを備え、チェインのリンクは横方向スピンドルを接続する内側に突出している部分を有する。
【0084】
このタイプの取出しデバイスは他の用途でもまた使用することができることを理解できるだろう。すなわち、例えば、対象物を一定の間隔で、他のコンベア・ベルトの上または若干の空間をもつ位置上に置くためのいわゆるシュータ・ベルトとして知られるようなもの、および他の周知の成型用デバイスでもまた使用できることを。
【0085】
例えばプラスチックまたは(焼結した)金属でできており中空でないまたは中空の、また本発明の成型用デバイスの好ましい実施形態で使用するドラムは、一定の直径で作るのが難しい。このことは、塊供給部材とドラムの外周との間で漏洩が起こることを意味しており、食品原料の損失の点のみならず、成型生産物の品質劣化の点でも望ましくない。
【0086】
この問題を避けるために、都合のよいことに、塊供給部材は、入口からドラム側に位置する出口に塊を通過させる貫通通路が設けられるハウジングと、ドラムに対して密封状態になっていて、ドラムの外周での凹凸に対応できるように設計されているドラム側ベアリングとを備える。これにより、塊供給部材は、充填シューとも呼ばれ、ドラムが完全にシリンダー状でない場合でも、ドラムに対して確実に密封状態にできる。その結果、塊の損失が制限され、真空および/または圧力がかかっている間の漏洩が防止される。この目的のために、充填シューのドラム側はある程度柔軟になっているので、すべての変位に追随することができる。
【0087】
好ましい実施形態の場合には、塊供給部材のドラム側は、過圧手段による圧力の下でドラムの外周に対して保持されている柔軟プレートを備える。柔軟プレート用の適当な材料としては、必要な密封作用の他に耐磨耗性も有するテフロン(登録商標)がある。もう一つの好ましい実施形態によれば、過圧手段は、少なくとも一つの圧力クッションと、ドラムの回転方向に対して横に位置していて圧力クッションとプレートとの間に配置されている多数の薄板とを備える。これらの薄板はドラムの軸方向に高度の剛性を有するラインを供給し、一方、プレートはドラムの直径の変動に追随することができる。
【0088】
連続的供給による塊の損失をさらに低減するために、塊供給部材のドラム側は、ドラムを円周方向に見た場合、出口の両側面上を少なくとも一つの型穴をカバーする距離だけ延びる。塊供給部材が連続的に動作する場合で、もしも望むならば、例えば、柔軟なプレート内に、一方の側で貫通通路と通じていて、他方の側で次に充填される型穴が位置する貫通通路出口の上流のある位置に出口開口部と通じている横にそらす通路を設けることができる。塊供給部材の出口開口部の正面に型穴が位置していない場合には、そのため、塊の流れの一部は、次に充填される型穴が貫通通路からの通常の出口を通して充填できるようになるまで、次に充填される型穴内に導入される。
【0089】
丈夫な(筋)繊維を含む塊を含む食品原料の種々のタイプに対して塊供給部材を使用できるようにするためには、切断デバイスをドラム側の貫通通路内、好ましくは、回転方向に見て、貫通通路の下流側の縁部に設置するのが効果的である。
【0090】
上記塊供給部材は、また、上記実施形態の他に、回転成型用ドラムを備える成型用デバイスで使用するのにも適していることを理解することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明による成型用デバイスの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図2】図1における成型用デバイスの側面を示す説明図である。
【図3】インサートを含む成型用デバイスの実施の一形態を分解斜視で示す説明図である。
【図4】型穴を有するインサートの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図5】本発明による成型用デバイスの実施の一形態を断面で動作的に示す説明図である。
【図6】図5における実施形態の部分詳細を示す説明図である。
【図7】本発明による成型用デバイスのこれまでとは別の実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図8】本発明による取出しデバイスを備える成型用デバイスの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図9】図8における実施形態の部分詳細を斜視で示す説明図である。
【図10】図8における実施形態の部分詳細を側面で動作的に示す説明図である。
【図11】本発明による塊供給部材を備える成型用デバイスの実施の一形態を斜視で示す説明図である。
【図12】図11における供給デバイスの部分詳細を断面斜視で示す説明図である。
【図13】本発明における塊供給デバイスの実施の一形態を断面側面で動作的に示す説明図である。
【図14】本発明に関連する境界を有する型穴の実施の一形態を断面で簡単に示す説明図である。
【図15】本発明に関連する境界を有する型穴に対する別の実施の一形態を断面で簡単に示す説明図である。
【図16】本発明の型穴に関し境界の孔隙形状の詳細に対する実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図17】本発明の型穴に関し境界の孔隙形状の詳細に対する別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図18】本発明の型穴の境界に関し通路構造の詳細に対する実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図19】本発明による方法の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図20】本発明による方法における別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図21】本発明による成型用面の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図22】本発明による成型用面における別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【図23】本発明による成型用面における更に別の実施の一形態を断面で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
添付の図面を参照しながら本発明について以下に説明する。
【0093】
図1は、本発明による成型用デバイス10の実施の一形態を斜視で示す説明図であり、図2は、そのデバイスの側面図である。
【0094】
成型用デバイス10は、ホイール12により移動することができるフレーム14を備える。成型用ドラム16は、水平軸を中心にして回転することができ、かつ、例えば電気モータのようなドライブと結合するように、フレーム14上に装着されている。成型用ドラム16は、図1および図2には図示されていない型穴を備える。成型する塊を成型用ドラムの型穴に供給するための塊供給部材18は成型用ドラム16の外周に密着している。塊は、導入ファネル20を有し移動できる貯蔵デバイス19から、次いで、(任意としては、連続的に)動作するポンプ(図示せず)によって、解放可能な接続パイプ22を通して塊供給部材18に供給される。
【0095】
成型用ドラム16の下面近くには、成型用ドラム16の型穴から成型生産物を取り出すための取出しデバイス24とその下の排出ベルト26とが位置する。この排出ベルト26を通して、生産物を、例えば、蛋白質コーティング・デバイス、冷凍デバイス、または包装設備のような他の処理ステーションに送ることができる。成型用デバイス10は、また、種々の構成要素を制御するための制御ユニット28を備える。デバイス、特に成型用ドラム16および塊供給部材18に保守および清掃のためにアクセス可能とするため、塊供給部材18は、ピストン/シリンダー・アセンブリ32により、ピボット・ピン34を中心にして回転することができるサブフレーム30に固定されている。そのため、塊供給部材18は、接続パイプ22と塊供給部材18との間の結合36が切り離された後、図1および図2の作業位置から、成型用ドラム16からある距離の休止位置(図示せず)に移動することができる。
【0096】
図3の実施形態では、長方形の凹部42が、この場合には中空の成型用ドラム16の外周40に設けられている。対応する寸法の交換可能なインサート44をこの凹部42内に固定することができる。この目的のために、孔部46が凹部42の底部48のネジ山付きの孔部47と整合しているインサート44の隅に設けられていて、ボルト50をこれら孔部に挿入することができる。凹部42の底部48には、一つ以上の軸方向連絡通路および分配デバイス(図示せず)を通して、成型用ドラム16の端部片56内の開口部54と通じている開口部52が配置される。この開口部54は、柔軟なホース57を通して押込み流体を供給するためのコンプレッサのような過圧手段(図示せず)と連絡しており、また、柔軟なホース58を通して、例えば真空ポンプのような減圧手段(図示せず)と連絡している。その頂面側では、インサート44が、生産される生産物の形状に対応する形状の型穴60を備える。
【0097】
図4の実施形態の場合には、インサート44は、スペーサ62と一緒にアセンブリ64を形成する。インサート44は、垂直な壁部66および底部68により形成される型穴60を備えている。一方、スペーサ62は、内部にその寸法が型穴60よりも大きい寸法の貫通孔72を有する平らなプレートである。インサート44は、焼結鋼のような多孔性材料からできている。参照番号73は孔隙を示す。孔隙は底部68および周壁部66内に開いている。それ故、組み立てた場合、このインサート44の下面と凹部42の底部48との間には空間ができ、この空間も、スペーサ62内の開口部72の周壁部74により形成される。この空間は、一方ではインサート44内の孔隙73と通じていて、他方では開口部52と通じている。そのため、作動中、型穴60を効率的に真空状態にすることができ、取出し動作中、押込み流体を生産物と境界との間に供給することができる。インサート44は、湾曲している頂面75を除いて平らな下面および側面を有する長方形の本体である。湾曲している頂面75の曲率半径は、成型用ドラム16の曲率半径と同じである。
【0098】
図5は本発明によるデバイス10に対する実施形態の作用状態を示している。成型される塊は、塊供給部材18を通して充填位置にある型穴60内に強制的に注入される。一方、空気は減圧手段により、インサート44内の孔隙、開口部52および接続通路76を通して、この型穴60から吸い出される。この型穴60は、成型用ドラム16が(矢印で示す回転方向に)回転して充填位置を通過する間に充填される。さらに回転すると型穴60は取出し位置に移動し、ここで、成型生産物78が重力により型穴60からその下を移動している排出ベルト26上に落下する。取出し動作は、接続通路76および多孔性インサート44を通して、型穴60に圧縮空気または水のような他の圧力媒体を供給することにより容易に行うことができる。圧縮空気は、過圧手段(図示せず)により供給される。
【0099】
図6は、上述した後半の態様の詳細図である。圧縮空気は、接続通路76からドラム16内の凹部52で底部48の開口部52を通して分配空間82内に供給され、ここから(矢印で示す)圧縮空気は、インサート44の境界内の孔隙を通り生産物を強制的に押し出す。
【0100】
図3から図6までは、図面を簡単にするためにそれぞれ過圧手段および減圧手段の組み合わせを示す。既に、一般的な説明をしたのでその説明は省略する。読めば分かるように、これら2つの態様は別々に使用することもできる。
【0101】
ここで、図14から図20までを参照して、細孔構造について先に説明する。
【0102】
図14は、底部68および周壁部66用の完全な細孔構造を含む浸透性を有する境界を備える型穴60の実施形態である。孔隙73の他に、底部68には通路200が設けられている。図示された状況では、孔隙73には別の供給装置202を通して、圧縮空気のようなガス状の押込み流体が供給される。通路200には、別の供給装置204を通して、水のような液体の押込み流体が供給される。独立供給に代わるものとして、液体および気体の押込み流体の混合物を使用することもできる。
【0103】
図15は、その内部の型穴60の境界が層状構造であるさらに他の実施形態を示す。一番内側の境界層206は、孔隙構造を備えている一方、一番外側の境界層208は通路200を備える。押込み流体は、供給装置210を通して分配チャンバ212内に導入される。ここから、流体は通路200を通して流れ、次に孔隙73を通して型穴内に入る。
【0104】
図16および図17は、2つの異なる孔隙構造を示す。図16の孔隙構造は、焼結したほぼ丸い金属のグレーンからなり、図17の孔隙構造は、焼結した不規則な形状の金属粒子からなる。図17の孔隙構造の場合には、肉塊または肉の小片が孔隙内に付着する危険性は、図16の構造の場合よりも低い。何故なら、塊が貫通する深さは、孔隙が不規則でそれによる抵抗が比較的大きいために浅いからである。
【0105】
図18は、外側から型穴60の方向にテーパ状になっている不規則な通路200を含む境界部分を示す。
【0106】
図19は、境界が生産物の原料から反対に帯電した粒子(ダイポールで示す)を反発する可逆化学反応により表面電荷が与えられるコーティング層220を有する型穴60の境界を示す。
【0107】
図20は、電磁石222により型穴60から生産物を取り出すために、追加の電磁反発力を発生させる方法を示す。
【0108】
次に、図7から図11までを参照して、本発明による成型用デバイス10の他の実施形態について逐次説明する。
【0109】
図7は、同じ参照番号が、図1から図6までに示す構成要素に対応する構成要素を示す、本発明による成型用デバイス10の他の実施形態である。成型用ドラム16は、その円周上に分布していて、充填装置片81が位置する凹部42を有する。この場合、型穴60は、充填装置片81の頂面83および凹部42の側壁部84により形成される。この場合、頂面83は、ある輪郭を有する面を備えていて、そのため生産物の外観を魅力的な形状にすることができる。成型用ドラム16の型穴60は、この場合も、図5および図6を参照しつつ別の実施形態のところで説明したように、減圧手段または供給手段に選択的に結合することができる。この目的のために、充填装置片81内の孔部85と整合している開口部52は、凹部42の底部48に位置する。
【0110】
ウェブまたはストリップ86は、成型用ドラム16の周囲に巻かれている。このストリップ86は、サンドイッチ構造をしていて、上層88と下層92とを備える。上層88は型穴60にほぼ対応する位置に柔軟プリモールド90を有するプラスチック材料からできている。下層92は、動作中、成型用ドラム16の外周に接触するもっと硬い材料でできており、丸い開口部94を有する。この開口部94の直径はプリモールド90の直径、すなわち型穴60の直径にほぼ対応している。二つの層88および92は、適当な方法で相互に接続している。サンドイッチ構造のウェブ86の一方の端部96は、ドラム16上の固定機能と相互作用する固定手段を備える。その一例としては、ドラム16上の短い突起上に位置する一列の小さな開口部98がある。ウェブの自由端102は、例えば、接着テープ等により、ドラム16またはそれ自身に固定することができる。
【0111】
ウェブ86を保護するために、例えば、ステンレス鋼のような耐磨耗材料が使用されている保護ストリップ104がある。保護ストリップ104には同様に柔軟プリモールドに対応する開口部106が設けられている。保護ストリップ104の一方の端部は、フランジ付き縁部108を有し、この縁部は、動作中、ドラム16の外周上に設けられている軸方向の溝110と係合する。他方の端部112は、その隅にスプリング固定手段114を有していて、これらの固定手段はドラム16上の突起に固定することができる。そのため、保護ストリップ104をドラム16の周囲にしっかりと締め付けることができ、そうすることによりその下の柔軟ストリップ86を正しい位置に保持する。
【0112】
動作中、充填位置において、型穴62内の柔軟プリモールド90は、塊または塊の一部により充填され、型穴60内の柔軟プリモールド90の下に位置する空気を、例えば、充填装置片81の中央孔部85と凹部42の底部48とでそれに接続している開口部52を通して吸い出すことができる。上記開口部は、上記の方法で軸方向の接続通路を通して、減圧手段に接続することができる。図8に示される取出し位置では、柔軟プリモールド90が、すでに説明した方法により型穴60に供給される圧縮空気により、型穴60から押し出され、所望であれば、成型生産物78を、例えば以下に説明するスピンドル・ベルトのような取出しデバイスにより取り出すことができる。
【0113】
図8から図10までの取出しデバイス24は、成型用ドラム16の下の取出し位置に配置されていて、図示の場合には、エンドレス・コンベアを備える。図9に示されるコンベアは、相互に平行に配置されていて、歯車122上の固定経路内を案内される二本のエンドレス・チェーン120を備える。共通の駆動軸126に配備されている歯車128は、頂部124の中心近くで係合し、コンベアのドラム16方向に移動する。参照番号130は駆動ユニット全体を示す。図10に示されるように、チェーン120のリンク132は、内側に突き出ている延長片134により内側に延びる。二つのエンドレス・チェーン120の対応するリンク132の延長片134は、横方向スピンドル136が、反転点のところで歯車122の中心軸に沿って通過するように、横方向スピンドル136により相互に接続している。その結果として、さらに、型穴60から成型生産物78を取出すための尖った先端が形成される。
【0114】
次に、図11から図13までを参照して塊供給部材18について説明する。図11から図13までは、塊供給部材18の実施の一形態を示す概要図である。同一構成要素には同一参照番号が付与されている。
【0115】
塊供給部材18は、貫通通路142を有するほぼ半円形状のハウジング140を備える。貫通通路142は、成型される塊用の貯蔵デバイス19からの入口144と、型穴60に送られる塊用の出口146とを有する。ハウジング140の側壁部148,150は、半径方向に延びる開口部152を備える。半径方向に移動可能な例えば金属でできている薄板154は、側壁部148,150で対応する開口部152間に配置されている。塊供給部材18の中央部は、ハウジングに固定状態で接続していて、貫通通路142を有する充填装置ブロック156を備える。成型用ドラム16の方を向いている塊供給部材18のこの側面は、例えば、テフロン(登録商標)のような柔軟なプラスチックからできているプレート158を備え、型穴60への出口146を有する。ハウジング140の内壁部と薄板154との間には、圧縮空気、または加圧水または他の液体のような適切な圧力媒体により加圧することができる圧力クッション160が配置される。このようにして、作動中、テフロン(登録商標)・プレート158は密封状態になるように成型用ドラム16上に圧着され、薄板154が、成型用ドラム16の軸方向に延びる多数のリブを形成して必要な硬度を与えている。また、テフロン(登録商標)・プレート158は、成型用ドラム16の半径で起こり得る変化に対応することができる。貫通通路152の一方の側面には、筋繊維のような丈夫な片を切断するための切断ブレードが配置される。
【0116】
この図示される成型用ドラム16の実施形態には、その外壁部に幅広い底部162を有する凹部42が縦方向に延びて配置される。その凹部42内に、型穴60に対応するインサート44を成型用ドラム16の対応する端部から押し込むことができる。
【0117】
次に、図21は、本発明による成型用面の実施形態としての、交換できる成型用ドラム16の斜視図を示す。軸250を中心にして回転することができる成型用ドラム16は、シリンダー状のドラム壁部252を備える。シリンダー状のドラム壁部252の外面は凹部42を備える。各凹部42内にはインサート44が配置されており、このインサート44は、孔部を含む境界、すなわち壁部66および底部68が形成する型穴60を備える。図示される実施形態では、すべての型穴60の形状は同じである。例えば、各環状ドラム壁部が同じ形状の型穴を有するように、一方、型穴の形状が環状ドラム壁部ごとに異なるように、型穴の形状を異なるものにすることもできる。それ故、比較的容易に、ある範囲の異なる形状の生産物を作り、次にこれら生産物を包装することができる。
【0118】
図22では、交換できるインサート44がドラムの縦方向に延びていて、それぞれ4つの型穴60を備える素子である点を除けば、図21の成型用ドラムに類似している成型用ドラムが示されている。
【0119】
図23は、全体を交換することができる本発明による成型用ドラム16の特に好ましい実施形態を示す。成型用ドラム16は、その表面の孔隙が外表面および内表面ですでに密封されている単一の多孔性金属を備える。型穴60は放電加工により形成されている。その結果、底部68および側壁部66を有する境界は多孔性構造となっている。何故なら、その結果として孔隙が開かれるからである。ある成型用ドラムの他の成型用ドラムとの交換は、図21および図22に示される実施形態で使用される交換可能なインサートを交換するより容易である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉塊を成形用デバイスのドラムの外周側に設けられた型穴に供給する塊供給部材(18)であって、
入口側の側面、及び、前記ドラムに面するドラム側の側面を有するハウジング(140)と、前記肉塊を入り口(144)から前記ドラム側に位置する出口(146)に向けて送るための貫通通路(142)とを備え、
前記ドラム側の側面は、前記ドラム(16)の外周が密封状態になるように、前記ドラム(16)の外周の凹凸形状に順応させて設計されていることを特徴とする塊供給部材(18)。
【請求項2】
前記塊供給部材(18)は、前記ドラム側に設けられ、圧力手段による圧力の下で前記ドラム(16)の外周に密着する柔軟性プレート(158)を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の塊供給部材。
【請求項3】
前記圧力手段は、1つ以上の圧力クッション(160)と、前記圧力クッション(160)及び前記柔軟性プレート(158)との間に、前記ドラムの回転方向に対して直交するように配置された多数の薄板(154)とを有していることを特徴とする請求項2に記載の塊供給部材。
【請求項4】
前記ドラム円周方向で見た場合、前記塊供給部材(18)の前記ドラム側の側面は、少なくとも1つの型穴(60)をカバーする距離で、前記出口(146)の前記ドラム円周方向の両側に延びていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項5】
前記貫通通路(142)内における前記ドラム側に、切断デバイス(170)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項6】
横にそらす通路が設けられ、
前記横にそらす通路の一方側は、前記貫通通路に通じ、
前記横にそらす通路の他方側は、前記貫通通路の前記出口の上流側、且つ、次に充填される型穴の位置で開口する出口に通じていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項7】
前記ハウジングは、実質的に半円形状を呈し、
前記貫通通路は、半径方向に延びていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項8】
前記ハウジングの両側壁は、半径方向に延びる開口部をそれぞれ有し、
前記両側壁に形成され相互に対する開口部間に、半径方向に移動自在な薄板が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項1】
肉塊を成形用デバイスのドラムの外周側に設けられた型穴に供給する塊供給部材(18)であって、
入口側の側面、及び、前記ドラムに面するドラム側の側面を有するハウジング(140)と、前記肉塊を入り口(144)から前記ドラム側に位置する出口(146)に向けて送るための貫通通路(142)とを備え、
前記ドラム側の側面は、前記ドラム(16)の外周が密封状態になるように、前記ドラム(16)の外周の凹凸形状に順応させて設計されていることを特徴とする塊供給部材(18)。
【請求項2】
前記塊供給部材(18)は、前記ドラム側に設けられ、圧力手段による圧力の下で前記ドラム(16)の外周に密着する柔軟性プレート(158)を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の塊供給部材。
【請求項3】
前記圧力手段は、1つ以上の圧力クッション(160)と、前記圧力クッション(160)及び前記柔軟性プレート(158)との間に、前記ドラムの回転方向に対して直交するように配置された多数の薄板(154)とを有していることを特徴とする請求項2に記載の塊供給部材。
【請求項4】
前記ドラム円周方向で見た場合、前記塊供給部材(18)の前記ドラム側の側面は、少なくとも1つの型穴(60)をカバーする距離で、前記出口(146)の前記ドラム円周方向の両側に延びていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項5】
前記貫通通路(142)内における前記ドラム側に、切断デバイス(170)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項6】
横にそらす通路が設けられ、
前記横にそらす通路の一方側は、前記貫通通路に通じ、
前記横にそらす通路の他方側は、前記貫通通路の前記出口の上流側、且つ、次に充填される型穴の位置で開口する出口に通じていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項7】
前記ハウジングは、実質的に半円形状を呈し、
前記貫通通路は、半径方向に延びていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【請求項8】
前記ハウジングの両側壁は、半径方向に延びる開口部をそれぞれ有し、
前記両側壁に形成され相互に対する開口部間に、半径方向に移動自在な薄板が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の塊供給部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−78423(P2011−78423A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256930(P2010−256930)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【分割の表示】特願2004−517399(P2004−517399)の分割
【原出願日】平成15年6月26日(2003.6.26)
【出願人】(503423775)ストルク タイタン ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【分割の表示】特願2004−517399(P2004−517399)の分割
【原出願日】平成15年6月26日(2003.6.26)
【出願人】(503423775)ストルク タイタン ベスローテン フェンノートシャップ (3)
【Fターム(参考)】
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