説明

塗工紙

【課題】印刷工程で発生するおけるシワ(ヒジワ)やモットリング(印字濃度ムラ)の発生を防止することのできる塗工紙を提供する。
【解決手段】基紙および当該基紙上に顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を設けた塗工紙である。上記顔料に含まれる粒子のうち粒子径2.0μm以上の粒子の割合が当該顔料全体の10%以下である。上記接着剤は少なくとも水溶性高分子化合物を含有する。上記塗工紙の坪量に対する上記水溶性高分子化合物の割合が2.0〜5.0質量%であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒジワやモットリング(印字濃度ムラ)の発生を防止した塗工紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源化による環境負荷の低減、二酸化炭素排出量の削減の取り組みから、紙分野においては、従来と同程度の品質でありながら、より軽量である紙が求められている。塗工紙分野においては、高精細な印刷物を得るために、不透明度、印刷適性、印刷後の見栄え、剛度、白紙光沢度、印刷光沢度などの品質を満足する必要がある。
【0003】
塗工紙は、塗工液の塗工量や塗工層表面の平坦化処理の度合い、要求品質に応じて、アート紙(A1グレード)、塗工紙(A2グレード)、軽量塗工紙(A3グレード)、微塗工紙に分類される。
【0004】
A1グレードの塗工紙は、高級美術書や、雑誌の表紙、口絵、カレンダー、ポスター、ラベル、煙草包装用などの、高精細な印刷を要求されるものに使用される。A2グレードの塗工紙はカタログ、パンフレット等の見栄えが必要とされる商業印刷等に使用される。A3グレードの塗工紙および微塗工紙は、チラシ等の商業印刷等に使用される。
【0005】
印刷では乾燥工程において、印字部分に比べて非印字部分の紙中水分が蒸発して収縮しやすく、印刷部分と非印刷部分との収縮差に起因するシワ(ヒジワ)が発生する問題があった。また、印刷機の乾燥により面感が悪化して(ボコツキ)、モットリング(印字濃度ムラ)が発生する問題があった。
【0006】
従来、ヒジワを改善するためには、特定範囲のルーメン幅および繊維幅を有するパルプ繊維を用いることで収縮を抑制する技術(特許文献1を参照)、基紙上にポリビニルアルコールの皮膜を形成して剛性を向上させる技術(特許文献2を参照)、潰れやすい有機顔料を最表層に塗布することで平坦化における線圧を低減し、塗工紙製造工程中の剛性低下を防止する技術(特許文献3を参照)がある。しかしながら何れの技術もヒジワやモットリングを防止できる程度の剛性は得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−226979号公報
【特許文献2】特開平11−350391号公報
【特許文献3】特開2006−138025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ故に、本発明の目的は、印刷工程で発生するおけるシワ(ヒジワ)やモットリング(印字濃度ムラ)の発生を防止することのできる塗工紙を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような目的を達成するために、本発明の塗工紙は、基紙および当該基紙上に顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を設けた塗工紙である。上記顔料に含まれる粒子のうち粒子径2.0μm以上の粒子の割合が当該顔料全体の10%以下である。上記接着剤は少なくとも水溶性高分子化合物を含有する。上記塗工紙の坪量に対する上記水溶性高分子化合物の割合が2.0〜5.0質量%であることを特徴とする。
【0010】
また、上記のような目的を達成するために、本発明の塗工紙の製造方法は、基紙および基紙上に顔料と接着剤とを主成分とする塗料を塗工して塗工層を設けた塗工紙の製造方法である。また、上記顔料に含まれる粒子のうち粒子径2.0μm以上の粒子の割合が当該顔料全体の10%以下である。上記接着剤は少なくとも水溶性高分子化合物を含有する。また、濃度30〜50%、かつB型粘度が50〜300cpsの上記塗料をフィルム転写型ロールコーターで塗工し、上記塗工紙の坪量に対する上記水溶性高分子化合物の割合が2.0〜5.0質量%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、塗工紙の坪量に対する水溶性高分子化合物の割合が2.0〜5.0質量%と多いため、水溶性高分子が基紙に充分浸透して塗工紙の剛性が高くなり、印刷後乾燥時の水分蒸発による収縮が発生しにくくなり、収縮ムラに起因するヒジワを抑制でき、さらにはモットリングの悪化を防止することができる。
【0012】
加えて、顔料粒子のうち、粒子径2.0μm以上の粒子の割合を顔料全体の10%以下にすることで、水溶性高分子が基紙にさらに吸収されやすくなる。つまり、大粒径の顔料粒子は塗工直後に基紙表面に堆積して顔料層を形成すると、水溶性高分子の基紙への吸収を阻害しやすいが、本願においては粒子径2.0μm以上の粒子の割合が全体の10%以下であるため、基紙に水溶性高分子を充分浸透させることができる。
【0013】
すなわち、本願は上記の構成にすることにより、水溶性高分子が基紙に特に吸収されやすくなるため、本願課題であるヒジワおよびモットリングを抑制した塗工紙が得られるものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、基紙、および当該基紙上に顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を設けた塗工紙である。以下、本発明に係る塗工紙について説明する。なお、これらの説明は本発明を限定するものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【0015】
まず、基紙に配合されるパルプ繊維および填料について説明する。
【0016】
<基紙>
<パルプ繊維>
本発明において、基紙に配合されるパルプ繊維として、後述する無機粒子の歩留りを向上させるため、柔軟性に優れ、繊維長が短い、パルプ繊維を用いることが望ましい。すなわち、粒子径の大きい無機粒子はパルプ繊維に引っ掛かって、基紙中に抄き込まれ易い一方で、容易に脱落して表面強度の低下に繋がりやすい。従って、粒子径の大きい無機粒子とパルプ繊維とを絡みやすくするため、本発明において、基紙に配合されるパルプ繊維として、柔軟性に優れ、繊維長が短い、パルプ繊維を用いることが望ましい。なお、以下の説明において、繊維長が短いパルプ繊維(具体的には繊維長が0.2〜1.2mm程度)のことを短繊維長パルプ繊維と称すことがある。
【0017】
本発明においては、繊維長が0.2〜1.2mm程度のパルプ繊維が、基紙に配合されているパルプ繊維の全体のうち75〜90%含まれていることが好ましい。この理由としては、例えば、繊維長が0.2〜1.2mm程度のパルプ繊維が、基紙に配合されているパルプ繊維のうち75%未満で、0.2mm未満の繊維長を有するパルプ繊維が多い場合、後述する無機粒子がパルプ繊維間の網目に残留しにくく、不透明度に劣る可能性があるため好ましくない。また、例えば、繊維長が0.2〜1.2mm程度のパルプ繊維が、基紙に配合されているパルプ繊維のうち75%未満で、1.2mmを超過する繊維長を有するパルプ繊維が多い場合においても、上述のとおり無機粒子が残留しにくく地合に劣る可能性があるだけではなく、パルプ繊維が目立ち見栄えに劣る塗工紙となりやすいため好ましくない。
【0018】
なお、上記繊維長とは、塗工紙を日本工業規格(JIS)の規格名称「パルプ繊維離解方法(JIS P 8220:1998)」に準拠し、当該方法で離解して得られたパルプ繊維について、Kajaani社製の繊維長分布測定装置(商品名:FiberLab)を用いて測定した中心線繊維長を繊維長とし、このパルプ繊維について、重さ加重の繊維長分布を求め、繊維長0.05mmごとに集計したものである。
【0019】
上記の短繊維長パルプ繊維(繊維長が0.2〜1.2mm程度のパルプ繊維)としては、パルプ繊維を機械的に叩解してフィブリル化して調製しても良いが、好ましくは紙として一旦使用され、古紙として回収後に再生処理して得られた再生古紙パルプ繊維を用いることが好ましい。つまり、再生古紙パルプ繊維に含まれるパルプ繊維は、市中での使用や再生処理により当該パルプ繊維が切れて短くなっているだけではなく、使用時や再生処理においてパルプ繊維に傷がつきフィブリル化し、高い柔軟性を有するからである。
【0020】
このように、柔軟であり、かつ繊維長が短い再生古紙パルプ繊維を用いると、後述の無機粒子を基紙に留めやすく、かつ無機粒子が脱落しにくく表面強度に優れた塗工紙が得られるため好ましい。
【0021】
また、パルプ繊維の柔軟性は、当該パルプ繊維のフィブリル化が進むことで向上する。ここで、パルプ繊維のフィブリル化は、Kajaani社製の繊維長分布測定装置(商品名:FiberLab)を用いて測定したフィブリル化率(Fibrillation)により評価することができる。なお、本発明において、このフィブリル化率は4.3〜5.8%であることが好ましく、4.5〜5.1%であることがさらに好ましい。
【0022】
この理由としては、フィブリル化率が4.3%未満であると、無機粒子がパルプ繊維に保持されにくく基紙の表面強度が低下しやすくなるからである。一方、フィブリル化率が5.8%を超過すると、パルプ繊維が柔らかくなりすぎて基紙の剛度が劣りやすくなるからである。
【0023】
なお、上述では再生古紙パルプ繊維を用いることが好ましいと述べたが、再生古紙パルプ繊維のなかでも、新聞古紙から再生して得られた新聞古紙パルプ繊維が特に好ましい。当該新聞古紙パルプ繊維は、特にパルプ繊維の柔軟性が高く、繊維長が短いためである。一般的に、新聞古紙はリサイクル率が高いため、新聞古紙に含まれるパルプ繊維は紙とし使用された後の古紙パルプ繊維への再生処理を数回経ているので、特に柔軟であり、かつ繊維長が短いパルプ繊維となっているからである。
【0024】
ここで、基紙中の全パルプ繊維に対する新聞古紙パルプ繊維の含有量は、質量換算で絶乾パルプ繊維のうち5〜70質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。この理由としては、全パルプ繊維に対する新聞古紙パルプ繊維の含有量が、質量換算で絶乾パルプ繊維のうち5質量%未満であると、無機粒子が脱落しやすく不透明度に劣るため好ましくないからである。一方、全パルプ繊維に対する新聞古紙パルプ繊維の含有量が、質量換算で絶乾パルプ繊維のうち70質量%を超過すると基紙が柔軟になりすぎて紙腰のない塗工紙となり、例えば、印刷後に印刷物が揃わずに梱包しにくいなど、印刷作業性が低下しやすいため好ましくないからである。
【0025】
なお、上記新聞古紙パルプ繊維以外にも、一般に製紙用途で使用されている、化学パルプ繊維や機械パルプ繊維を使用した古紙から再生される古紙パルプ繊維も使用することができる。すなわち、上記新聞古紙パルプ繊維以外の古紙パルプ繊維として、例えば、雑誌古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、上白古紙等から製造される離解・脱墨古紙パルプ繊維、離解・脱墨・漂白古紙パルプ繊維等も挙げることができ、これらも上記古紙パルプ繊維として使用することができる。
【0026】
しかしながら、古紙パルプ繊維は柔軟性が高い一方で、剛度が低く、紙腰が劣りやすい。このため、上記古紙パルプ繊維に加えて、繊維長が長く、強度が高い針葉樹からなるパルプ繊維を併用することが好ましい。例えば、針葉樹からなるパルプ繊維の中でも、より繊維が長く、強度に優れた針葉樹晒クラフトパルプ繊維を併用すると、より紙腰に優れた塗工紙が得られやすい。加えて、針葉樹パルプ繊維(特に針葉樹晒クラフトパルプ繊維)は繊維長が長いため、繊維長の短いパルプ繊維の歩留まりを向上させやすく、ひいては繊維長の短いパルプ繊維による後述する無機粒子の歩留まり向上をも図ることでき、上記古紙パルプ繊維に加えて、針葉樹からなるパルプ繊維を併用することが好ましい。
【0027】
なお、本発明において、基紙に配合されるパルプ繊維として、上記針葉樹パルプ繊維(例えば、針葉樹晒クラフトパルプ繊維)を用いる場合、繊維長が1.2〜3.2mmのパルプ繊維が、基紙におけるパルプ繊維の全体のうち50〜70%であることが好ましい。この理由としては、例えば、繊維長が1.2〜3.2mmのパルプ繊維が、基紙に配合されているパルプ繊維のうち50%未満で、1.2mm未満の繊維長を有するパルプ繊維が多い場合、充分な剛度が得られにくいため好ましくないからである。また、例えば、繊維長が1.2〜3.2mmのパルプ繊維が、基紙に配合されているパルプ繊維の全体のうち50%未満で、3.2mmを超過する繊維長を有するパルプ繊維が多い場合、繊維の網目に無機粒子が残留しにくく不透明度に劣る可能性があるだけではなく、パルプ繊維が目立ち、見栄えに劣る塗工紙となりやすいため好ましくないからである。
【0028】
なお、基紙におけるパルプ繊維全体に占める、繊維長が1.2mm未満のパルプ繊維の割合が50%を超過する場合は、充分な剛度が得られにくいため好ましくない。
【0029】
このような、繊維長が1.2〜3.2mmの上記針葉樹パルプ繊維(例えば、針葉樹晒クラフトパルプ繊維)の含有量としては、絶乾質量換算で、基紙中のパルプ繊維100質量%に対して5〜25質量%が好ましく、7〜20質量%がより好ましい。この理由としては、繊維長が1.2〜3.2mmの針葉樹パルプ繊維(例えば、針葉樹晒クラフトパルプ繊維)の含有量が、絶乾質量換算で、基紙中のパルプ繊維100質量%に対して5質量%未満であると、繊維長が短いパルプ繊維の歩留まりが低下しやすく、後述する無機粒子による不透明度向上効果が低下しやすいため好ましくないからである。また、繊維長が1.2〜3.2mmの針葉樹パルプ繊維(例えば、針葉樹晒クラフトパルプ繊維)の含有量が、絶乾質量換算で、基紙中のパルプ繊維100質量%に対して25質量%を超過すると、繊維長が長いパルプ繊維が塗工紙上に目立ち、見栄えが低下しやすい傾向があるからである。
【0030】
なお、上記古紙パルプ繊維以外で本発明で用いるパルプ繊維には特に限定はなく、一般に製紙用途で使用される化学パルプ繊維や機械パルプ繊維なども用いることができる。
【0031】
化学パルプ繊維としては、例えば、未晒針葉樹パルプ繊維(NUKP)、未晒広葉樹パルプ繊維(LUKP)、晒針葉樹パルプ繊維(NBKP)、晒広葉樹パルプ繊維(LBKP)等が挙げられ、これらを原料パルプ繊維として使用することができる。
【0032】
機械パルプ繊維としては、例えば、ストーングランドパルプ繊維(SGP)、加圧ストーングランドパルプ繊維(PGW)、リファイナーグランドパルプ繊維(RGP)、ケミグランドパルプ繊維(CGP)、サーモグランドパルプ繊維(TGP)、グランドパルプ繊維(GP)、サーモメカニカルパルプ繊維(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ繊維(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ繊維(RMP)等が挙げられ、これらも原料パルプ繊維として使用することができる。
【0033】
次に、基紙に配合される填料について説明する。
【0034】
<填料>
本発明においては、填料として従来から一般に製紙用途で使用される填料をパルプ繊維に含有させることができる。しかしながら、凝集状無機粒子、特に凝集状炭酸カルシウム(凝集型炭酸カルシウムと称すこともある)を含有することが好ましい。上記凝集状炭酸カルシウムは炭酸カルシウムの一次粒子が凝集した凝集状であるため粒子径が大きく、粒子形状が一定ではなく粒子表面の凹凸も大きい。そのため、よりパルプ繊維に絡みやすく歩留まりが高い。また、地合を悪化させる凝集剤や凝結剤などの歩留まり剤の添加量を最小限にできるため、より面感が良く、ボコツキを低減でき、モットリングの発生を防止した塗工紙が得られるため好ましい。
【0035】
ここで、本発明に用いられる上記凝集状炭酸カルシウムについて、以下説明する。
【0036】
<凝集状炭酸カルシウム>
製紙用途において一般に填料として使用される炭酸カルシウムは、一次粒子のみで形成されており二次粒子を形成していない。本発明においては、これら炭酸カルシウムが凝集して二次粒子を形成した凝集状炭酸カルシウムを使用することが好ましい。例えば、一般的に填料として使用される紡錘状の一次粒子では、当該一次粒子の粒子径が0.05〜0.5μm程度であるが、一次粒子が凝集して形成した凝集状炭酸カルシウム(二次粒子)の粒子径は2.0〜6.0μm程度と大きくなる。なお、このような凝集状炭酸カルシウムとしては、例えば、特開平07−197398号公報、特開2008−156204号公報等に記載のものを用いることができる。
【0037】
また、凝集状炭酸カルシウムには、一次粒子を有機系凝集剤または無機系凝集剤で凝集させ、凝集状二次粒子を形成させたもの(例えば、特開2007−239150号公報、特開2007−023428号公報を参照)や、一次粒子同士を炭酸化工程にて反応させて結合させ、凝集状二次粒子を形成させたもの(例えば、特開2008−156204号公報を参照)等も挙げることができる。なお、本発明においては、一次粒子同士を炭酸化工程にて反応させて結合させて得られた凝集状炭酸カルシウムを用いると、より歩留剤の含有量を低減できるため地合の悪化を防止でき、ボコツキを改善しやすいため好ましい。
【0038】
なお、上記填料は、基紙中に10〜20質量%含有させることが好ましい。含有量が10質量%未満では不透明度が低下しやすいため好ましくない。また、含有量が20質量%を超過すると、パルプ繊維の繊維長およびフィブリル化率を上述の範囲内(繊維長:0.2〜1.2mm、フィブリル化率:4.3〜5.8%)としても、充分にモットリングを向上できない可能性があるため好ましくない。
【0039】
以上説明したように、基紙に繊維長が0.2〜1.2mm程度であり、かつフィブリル化率が4.3〜5.8%(より好ましくは4.5〜5.1%)のパルプ繊維を用い、さらに填料として凝集状炭酸カルシウムを含有させることで、塗工紙において、地合および面感向上効果(ボコツキ改善効果)が得られ、モットリングを防止でき、かつ断紙防止効果も得られる。
【0040】
しかし、その一方で、単に凝集状炭酸カルシウムを基紙に含有させたのみではモットリングは充分に改善できなかった。そのため、詳細は後述するが、塗工顔料として粒子径2.0μm未満の粒子の割合を上記塗工顔料全体の10%以下とし、塗工紙の坪量に対する、塗工層中の接着剤(具体的には水溶性高分子化合物)の割合を2〜5質量%、好ましくは2.5〜4.0質量%とすることで、充分にヒジワおよびモットリングを防止できる塗工紙を得ることができる。
【0041】
次に、基紙上に設けられる塗工層の主成分である顔料と接着剤とについて説明する。
【0042】
<塗工層>
<顔料>
顔料としては、一般に製紙用途で用いる塗工顔料を使用することができる。例えば軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、クレー、焼成クレー、合成ゼオライト、シリカ等の無機填料や、ポリスチレンラテックス、尿素ホルマリン樹脂等を用いることができる。また、これらの顔料粒子を複合させた複合顔料粒子として、シリカ複合炭酸カルシウムやシリカ複合再生粒子等を用いることもできる。なお、これら顔料は1種類、または2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0043】
顔料は、粒子径2.0μm以上の粒子の割合を、全体の10%以下に抑える必要がある。粒子径2.0μm以上の顔料粒子は基紙内部に沈み込みにくいため、塗工直後に顔料粒子が基紙表面に堆積して顔料層を形成しやすく、水溶性高分子の基紙への吸収を阻害しやすい。このため粒子径2.0μm以上の粒子の割合が全体の10%を超過する場合に比べて、10%以下の方が、はるかに水溶性高分子が基紙に吸収されやすくなり、本願課題であるヒジワおよびモットリングを改善した塗工紙を得ることができる。
【0044】
粒子径2.0μm以上の粒子が全体の10%を超過すると、水溶性高分子が基紙に吸収されにくく、パルプ繊維同士が水溶性高分子により充分に接着されないため、印刷時の乾燥による水分変化でパルプ繊維が収縮してヒジワが発生したり、モットリングの発生を充分に抑制できない問題がある。
【0045】
また、粒子径2.0μm以上の顔料粒子が顔料全体の10%以下となるようにする方法は特に限定されず、例えば市販の微粒クレーを塗工層に用いる一方、2級クレーやデラミクレーなどの大粒径クレーの含有量を抑制すればよい。例えば顔料のうち2級クレーを10質量部以下とし、2μm以下の粒子が90%以上を占める微粒クレーや炭酸カルシウムを90質量部以上含有させればよい。
【0046】
<接着剤>
本発明においては、ヒジワおよびモットリングを防止するために接着剤として水溶性高分子を塗工紙中(塗工層中)に2〜5質量%含有させる必要がある。水溶性高分子を塗工紙中に2〜5質量%含有させることで塗工紙の剛性を向上しつつ、塗工紙の柔軟性を維持できるため、印刷後乾燥時の紙中水分の蒸発ムラに起因する収縮を抑制してヒジワの発生を防止でき、かつモットリングも発生しない塗工紙を得ることができる。
【0047】
なお、以下の説明において、塗料とは、顔料と接着剤とを主成分とするものである。
【0048】
以下、上記水溶性高分子について、更に説明する。
【0049】
<水溶性高分子>
水溶性高分子としては従来一般に製紙用途で用いるものを使用することができる。すなわち、例えば、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、生澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコールなどの水溶性合成高分子などが挙げられ、これらの中から一種又は二種以上を適宜選択して併用することができる。
【0050】
水溶性高分子の含有量は、塗工紙の坪量に対して2.0〜5.0質量%、好ましくは2.5〜4.0質量%である。2.0質量%未満であると、水溶性高分子が少なく塗工紙の剛性を充分に向上できないため、印刷後乾燥時の水分蒸発により塗工紙の収縮が発生しやすくなり、収縮ムラに起因するヒジワが発生する問題がある。一方、5.0質量%を超過すると、水溶性高分子に起因する剛性の向上効果が高すぎて塗工紙に柔軟性がなくなり、印刷インキが均一に転写せず印刷ムラとなりモットリングが発生する問題がある。
【0051】
なお、通常の塗工紙では基紙に対する水溶性高分子の含有量は少なく、おおよそ0.4〜0.8%程度であり、モットリングは発生しないものの、ヒジワの発生を防止できるものではない。
【0052】
このように、本願発明の塗工紙は、当該塗工紙の坪量に対して塗工量や塗工層中の水溶性高分子含有量が多いことに特徴を有している。このような塗工紙を得るためには、塗工紙の坪量を少なくするか、または塗工量や塗工層中の水溶性高分子の量を増加させればよい。例えば坪量であれば30g/m2〜50g/m2程度の低坪量にすること、水溶性高分子の含有量は、顔料100質量部に対して20〜60質量部、好ましくは25〜50質量部と多くすることで、坪量に対する水溶性高分子の割合を2.0〜5.0質量%、好ましくは2.5〜4.0質量%とすることができ、ヒジワおよびモットリングを充分に防止することができる。
【0053】
なお、塗工紙(塗工層)に水溶性高分子を含有させる方法は特に限定されず、例えばカチオン化澱粉などの変性澱粉をパルプ繊維スラリー中に含有させて抄紙する方法(内添法)や、基紙に対して澱粉やPVA(ポリビニルアルコール)を多く含有する塗料を塗工させ、基紙内部に澱粉やPVAを基紙に含浸させる方法(外添法)がある。
【0054】
また、上記澱粉および/または澱粉誘導体に、非水溶性接着剤を併用することもできる。しかし非水溶性接着剤は水溶性接着剤に比べて、塗工層中の水分が基紙に吸収されるにしたがって不動化しやすくなり、水溶性接着剤の基紙への吸収を阻害しやすいため、大量に含有させないことが好ましい。好ましくは1〜10質量部であり、この範囲内であれば水溶性高分子に起因するヒジワ防止効果およびモットリング防止効果を得ることができる。
【0055】
これら非水溶性接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類;スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系ラテックス;アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックス若しくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤などが挙げられる。
【0056】
次に、上記接着剤について、当該接着剤の物性について説明する。
【0057】
<物性>
塗工により水溶性高分子を基紙中に含浸させる場合、水溶性高分子が基紙内部にまで浸透しやすいよう、塗料の濃度および粘度を低くすることが好ましい。例えば水溶性高分子として澱粉を用いた場合、塗料濃度で30〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。粘度はB型粘度で50〜300cpsが好ましく、70〜200cpsがより好ましい。濃度が30質量%を下回ったり、粘度が50cpsを下回ったりすると、塗布量が低くなりやすく澱粉の含浸量が低くなってヒジワを改善しにくいため好ましくない。一方、濃度が50質量%を超過したり、粘度が300cpsを超過したりすると、基紙内部にまで澱粉が浸透しにくくなり、ヒジワおよびモットリングを改善しにくいため好ましくない。
【0058】
なお、塗料中の水溶性高分子の含有量は特に限定されないが、例えば顔料100質量部に対して質量換算で、20〜60質量部、好ましくは25〜50質量部程度とし、塗料の塗布量を片面あたり3〜6g/m2とすることで、坪量30〜50g/m2の塗工紙に対して、2.0〜5.0質量%、好ましくは2.5〜4.0質量%の水溶性高分子を含有させることができる。
【0059】
<塗工設備>
上述のごとく、水溶性高分子を基紙内部にまで浸透させるため、塗工ムラが発生するとヒジワやモットリングを充分に改善できない可能性がある。このため本発明においては、均一に塗工を行うために、フィルム転写型のロールコーターを用いることが好ましい。フィルム転写型のロールコーターとしては、例えば2ロールサイズプレスコーターやゲートロールコーター、ブレードメタリングサイズプレスコーター、ロッドメタリングサイズプレスコーター、シムサイザーやJFサイザー等が挙げられる。従来一般に用いるブレードコーターは、塗工面の平滑性が高い一方で塗工厚みにムラが発生しやすいため、本発明のごとく低塗工量の塗工紙に用いることは好ましくない。
【0060】
上述のごとく、顔料として粒子径2.0μm以上の粒子の割合を全体の10%以下に抑え、かつ、水溶性接着剤を塗工紙の坪量に対して2〜5質量%、好ましくは2.5〜4.0質量%とすることで、ヒジワおよびボコツキを改善できる。好ましくは、非水溶性接着剤の含有量を、顔料100質量部に対して1〜10質量部に抑えることで、よりヒジワおよびボコツキを防止しやすいため好ましい。
【0061】
また、塗料濃度を30〜50質量%、好ましくは35〜45質量%とし、かつB型粘度を50〜300cps、好ましくは70〜200cpsとし、かつフィルム転写型のロールコーターを用いて塗工することで、水溶性高分子がより基紙内部にまで浸透しやすくなり、ヒジワおよびボコツキを特に改善した塗工紙が得られるため好ましい。
【実施例】
【0062】
次に、本発明の塗工紙を実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、表1〜表3の実1〜27とは実施例1〜27のことであり、比1〜4とは比較例1〜4のことである。
【0063】
まず、原料パルプ繊維として、針葉樹晒クラフトパルプ繊維(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ繊維(LBKP)、新聞古紙パルプ繊維(NDIP)を表1に記載の割合(質量比)で混合し、このパルプ繊維100質量部(絶乾量)に対して、表1に記載の種類と量となるように、填料と、各々固形分で内添サイズ剤(ハリマ化成(株)製、品番:AK−720H、)0.02質量部、カチオン化澱粉(アベベジャパン(株)製、品番:アミロファックスT−2600、)1.0質量部、及び歩留向上剤(日産エカケミカルス(株)製、品番:NP442、)0.02質量部を添加してパルプ繊維スラリーを得た。
【0064】
次に、ギャップフォーマからなるワイヤーパート、オープンドローのないストレートスルー型のプレスパート、シングルデッキドライヤーからなるプレドライヤーパートを経て基紙を製造した。
【0065】
次に、塗料として、表2に記載の顔料および接着剤を、それぞれ質量換算で表2に記載の量で混合して、表2に記載の濃度となるよう上塗り塗工液を調製した。なお、B型粘度は保水剤を適宜添加して調整した。基紙に片面あたりそれぞれ表に記載の塗工量(固形分量)となるよう、表2に記載の塗工機を用いて塗工した。乾燥後にスーパーカレンダーを用い、ニップ圧250kN/m、ロール温度80℃で平坦化処理を行い、塗工紙を得た。なお、塗工紙の坪量は48g/m2であった。
【0066】
なお、上述の説明および表1および表2において、用いた原料および薬品は、それぞれ以下の通りである。
【0067】
(填料)
凝集状炭酸カルシウム:奥多摩工業株式会社製、品番:TP−NPF
紡錘状炭酸カルシウム:奥多摩工業株式会社製、品番:TP−121―6S
【0068】
(顔料)
デラミクレー(2級クレー):イメリス社製のカオリンクレー、品番:カピムCC、平均粒子径3.2μm
微粒クレー:カダム社製のカオリンクレー、品番:アマゾンプラス、平均粒子径0.3μm
炭酸カルシウム:備北粉化工業株式会社製の重質炭酸カルシウム、品番:ハイドロカーブ90
【0069】
(接着剤)
SBR:日本A&L株式会社製のスチレン‐ブタジエンラテックス、品番:XY4
澱粉:日本食品化工株式会製の尿素燐酸エステル化澱粉、品番:スターコート18
PVA:株式会社クラレ製のポリビニルアルコール、品番:PVA‐110
【0070】
(保水剤)
アニオン性合成ポリマー:ソマール株式会社製、品番:ソマレックス270K
【0071】
なお、ここでの平均粒子径とは、スラリー状の粒子をレーザー粒度分布測定装置(レーザー解析式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、品番:SALD−2200型))を用いて粒度分布を測定し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になるときの粒子径(d50)を平均粒子径とした。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
得られた塗工紙について、各物性を以下の方法にて調べた。結果は表3に示す。なお、表3中のa)〜i)は、以下説明するa)〜i)にそれぞれ対応している。
【0075】
a):繊維長0.2〜1.2mmの割合(%)
実施例1〜27および比較例1〜4に係る塗工紙それぞれを、日本工業規格(JIS)の規格名称「パルプ繊維離解方法(JIS P 8220:1998)」に準拠し、当該方法で離解して得られたパルプ繊維について、Kajaani社製の繊維長分布測定装置(商品名:FiberLab)を用いて測定した中心線繊維長を繊維長とし、このパルプ繊維について、重さ加重の繊維長分布を求め、全繊維に対する繊維長0.2〜1.2mmの繊維の割合を求めた。
【0076】
b):フィブリル化率(%)
上記(a)と同じ方法で測定した。
【0077】
c):粒子径が2.0μm以上の粒子の割合(%)
実施例1〜27および比較例1〜4に係る塗工紙をそれぞれA4サイズに切り出し、当該A4サイズに切り出された用紙の短辺を上辺として、当該上辺から下にAcm、左辺からAcmの地点で、縦横5mm角のサンプルを切り出した。ここでAは1〜20の整数であり、合計20サンプルを採取した。
【0078】
そして、切り出した各サンプルの表面を、走査電子顕微鏡(株式会社日立製作所、型番:S−2150)を用いて倍率12000倍で写真撮影した。また、写真の上辺から下にBcm、左辺からBcmの地点に最も近く、かつ粒子全体が判る程度に撮影されている顔料粒子について、粒子径を測定した。ここでBは1〜5の整数であり、1サンプルから5個の顔料粒子の粒子径を求め、合計100点の顔料粒子について粒子径を求めた。そして、この100点の粒子のうち、粒子径が2.0μm以上の粒子数の割合を算出した。
【0079】
d):坪量(g/m2
実施例1〜27および比較例1〜4に係る塗工紙の坪量を、日本工業規格(JIS)の規格名称「紙及び板紙−坪量測定方法(JIS P 8124:1998)」に準拠し、当該方法で坪量を測定した。
【0080】
e):坪量に対する水溶性高分子の割合(%)
実施例1〜27および比較例1〜4に係る塗工紙における坪量に対する水溶性高分子の割合を以下の式(1)により求めた。
(水溶性高分子の含有量/塗料)×両面の塗工量/塗工紙の坪量 …(1)
【0081】
f):不透明度
実施例1〜27および比較例1〜4に係る塗工紙それぞれを日本工業規格(JIS)の規格名称「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法(JIS P 8149:2000)」に準拠し、当該方法により不透明度を測定した。なお、不透明度が80%以上であれば不透明度に優れ、79%以上であれば不透明度が良好であり、79%未満であれば不透明度に劣る。
【0082】
g):モットリング
次の条件で、実施例1〜27および比較例1〜4に係る塗工紙それぞれ印刷を行って印刷試験体を作製した。
印刷機:株式会社明製作所製、型番:RI‐3型
インキ:大日精化工業株式会社製のWebRexNouverHIMARKプロセス(藍)
インキ量:上段ロールに0.3ml、下段ロールに0.2ml
試験方法:上段、下段ロールでそれぞれインキを各3分間練り(2分間練った後、ロールを反転させてさらに1分間練る)、回転速度30rpmで2色同時印刷を行った。
【0083】
この印刷試験体について、モットリングセンサー(TECHPAP社製、型番:KHEOPS)でモットリング試験を行った。なお、指数が25未満であればモットリングの発生がなく、見栄えに優れる。また、30未満であればモットリングの発生が少なく、見栄えは良好である。一方、30以上であればモットリングの発生が多く、見栄えに劣るものである。
【0084】
h):ヒジワ
オフセット輪転印刷機(株式会社小森コーポレーション製、型番:LR−435/546SII)を使用し、カラーインク(東京インキ株式会社製、品番:WEB ACTUS MAJOR)にてカラー4色オフセット印刷を1万7千メートル行った。オフセット印刷物の印刷面について、目視にて印刷のヒジワの程度を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
○:ヒジワがなく、印刷品質に特に優れる
△:ヒジワが僅かに発生したが、印刷品質に優れる
×:ヒジワの発生が多く、印刷品質に劣る
なお、前記評価基準のうち、○、△を実使用可能と判断する。
【0085】
i):印刷作業性
上記ヒジワ評価の印刷において、断紙の発生回数を以下のとおり評価した。
○:断紙がなく、印刷作業性に特に優れる
△:断紙が1回発生し、印刷作業性が僅かに劣るが、実使用可能である
×:断紙が2回以上発生し、印刷作業性に劣り、実使用不可能である
【0086】
【表3】

【0087】
表3に示すように、実施例1〜27の塗工紙は何れも、シワ(ヒジワ)やモットリング(印字濃度ムラ)の発生を防止することができる。
【0088】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る塗工紙は、ヒジワやモットリング(印字濃度ムラ)の発生を防止することのできる塗工紙等に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基紙および当該基紙上に顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を設けた塗工紙であって、
前記顔料に含まれる粒子のうち粒子径2.0μm以上の粒子の割合が当該顔料全体の10%以下であり、
前記接着剤は少なくとも水溶性高分子化合物を含有し、
前記塗工紙の坪量に対する前記水溶性高分子化合物の割合が2.0〜5.0質量%であることを特徴とする、塗工紙。
【請求項2】
前記接着剤としてラテックスを含有し、
前記顔料に対する前記ラテックスの割合が1〜10質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の塗工紙。
【請求項3】
前記基紙は凝集状無機粒子を10〜20質量%含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の塗工紙。
【請求項4】
基紙および基紙上に顔料と接着剤とを主成分とする塗料を塗工して塗工層を設けた塗工紙の製造方法であり、
前記顔料に含まれる粒子のうち粒子径2.0μm以上の粒子の割合が当該顔料全体の10%以下であり、
前記接着剤は少なくとも水溶性高分子化合物を含有し、
濃度30〜50%、かつB型粘度が50〜300cpsの前記塗料をフィルム転写型ロールコーターで塗工し、
前記塗工紙の坪量に対する前記水溶性高分子化合物の割合が2.0〜5.0質量%であることを特徴とする塗工紙の製造方法。

【公開番号】特開2012−7274(P2012−7274A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146645(P2010−146645)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】