塗布液被塗布材の製造方法
【課題】 より良質な成膜を行える塗布液被塗布材の製造方法を提供する。
【解決手段】塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法は、(1)前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含む方法と、(2)塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成する方法とがある。
【解決手段】塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法は、(1)前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含む方法と、(2)塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成する方法とがある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、塗布液被塗布材の製造方法、特に塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法、すなわちウエットプロセスが知られている。例えば、塗布液被塗布材として有機EL素子を用いた製造方法が挙げられる。
【0003】
図1に有機EL素子の構造の一例を示す。有機EL素子は、発光機能層が主に有機物からなり、陽極からホールが、陰極から電子が注入され、発光層で再結合し発光する。有機EL素子の有機機能層は通常、ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層など、それぞれの機能を持つ複数の層からなる。これら各々の有機機能層は通常、有機物からなり、更に、低分子の有機物からなる場合、高分子の有機物からなる場合がある。
【0004】
下記特許文献1の段落「0003」などに、有機EL素子の問題点が指摘されている。同文献では、図2のように、異物が原因で、第1電極と第2電極とが近接して、電界集中が生じ、発光輝度が変化することがあり、また、場合によっては、第1電極と第2電極とが接触してリーク電流が生じ、ダークスポットと呼ばれる発光しない領域が生じたり、素子1の破壊につながったりしてしまう、ことが開示される。特に、有機機能層を蒸着法で形成する場合に、この問題は顕著となる。
【0005】
この問題を解決する方法が、いくつかの文献に開示されている。これら文献では、リーク電流の原因となる基板の凹凸を、平坦化するような処理を行うことにより、リーク電流を防止している。
【0006】
特許文献1に開示されるのは、図3のような技術である。つまり、有機機能層を、異物固体が混入されたとしても有機機能層のガラス転移温度以上、時には融解まで加熱することにより異物を包埋するような、包埋処理を行うことにより、リーク電流などを防止する。
【0007】
一方で下記特許文献2に開示されるのは、図4のような技術である。つまり、何れかの有機機能層をスピンコートもしくは、ディップ法により形成することにより、ゴミや突起を包み込むように有機機能層が成膜され、突起の上部に対しても十分な厚さの有機層が形成され、リーク電流の発生を防止できる、というものである。
【0008】
基板の凹凸の原因となるものは、異物や傷などの不良箇所だけではない。例えば、下記特許文献3には100nm〜5μmの膜厚を有する絶縁膜パターンを第1電極と第2電極間に設ける技術が開示されるが、この絶縁膜パターンも、基板の凹凸の1種であり、電流リークの原因となりうる。
【0009】
これに対して近年、TFTアレイを有する基板上に有機EL素子を形成した、アクティブ駆動型の有機ELパネルの開発が盛んである。これらTFTアレイを形成することによって、有機機能層を形成する基板面の凹凸は大きくなる一方である。
【特許文献1】特開2000−91067号公報
【特許文献2】特開平11−121172号公報
【特許文献3】特開平3−250583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、包埋処理が施される有機機能層の膜厚を大きく超えるような異物では、効果的に包埋処理を行うことができない場合がある。この技術では、異物の周辺に付着した有機機能層を溶融し、異物の影の部分を埋める。異物のサイズが大きくなり、影となる部分の体積が大きくなると、それを埋めるために必要な有機機能層の体積も大きくなる。影を埋めるのに用いられる有機機能層は主に異物近傍に存在する膜からのものであるから、埋めることのできる体積は、有機機能層の膜厚にほぼ比例すると考えられる。有機機能層を構成する各層の膜厚は、素子の発光特性を重視して決定されるが、厚くなると駆動電圧が上昇するため、通常厚くとも、100nm程度である。よって、膜厚を大きく超えるような異物は、包埋処理が良好に行われず、上記技術では、リーク電流の防止が不十分である場合があった。基板の凹凸の形状にもよるが、一般に、包埋処理が良好に行えるのは、包埋処理を施す有機層膜厚の10倍程度の高さまでであると一考察する。この一例としての考察によれば、例えば、有機機能層の膜厚が100nm程度の場合、包埋処理が良好に行えるのは、凹凸の高低差が1μm程度までである。このような問題は、上記特許文献1では想定されていない。
【0011】
一方、上記特許文献2に開示される技術は、第1電極上に展開された塗布液の流動性が高いため、凹凸の包埋性が上記特許文献1の技術よりも高い。スピンコートする有機機能層の膜厚の10倍を超えるような高低差の凹凸も、問題なく埋めることができる傾向にある。しかし、スピンコートのような溶液を塗布する方法は、基板の濡れ性の影響を受けやすい場合がある。濡れ性の悪い部分では良好な塗布が行われず、最悪の場合、溶液がはじいて膜が形成されなくなる場合も生じる。これを防止するために、基板の濡れ性を改善するために、例えば、UV/O3処理、プラズマ処理などを行うことにより、基板の濡れ性を高める前処理を行った上で、塗布を行うことが考えられる。
【0012】
しかしながら、前述した、絶縁膜を有する基板やTFTアレイを有する基板では、基板表面に露出するのは第1電極や基板ガラスの表面だけではなく、様々な構造物も露出する。このような基板では、前処理を行っても、表面に露出する材料により、効果が異なって濡れ性が異なってしまう。また、前処理により、露出した構造物からのアウトガスが発生し、このアウトガスが他の部分に作用し濡れ性を悪化させる場合もある。特に構造物が有機物からなる場合は、UV/O3処理やO2プラズマ処理などにより、構造物が分解され、様々なアウトガスを生じてしまう。これらアウトガスが露出した第1電極に再付着すると、その部分の濡れ性が変化してしまう。
【0013】
これらの理由により、実用に用いられる複雑な構造を有する基板について、塗布する表面の全面の濡れ性を均一かつ十分に高めることは困難である。このような基板上に、溶液の塗布を行うと、部分的に濡れ性が悪化している部分で溶液がはじき、ピンホール欠陥となってしまう。更に、ピンホールの境界付近では溶液が盛り上がった形状となりやすく、ピンホールのエッジ部分が基板の凹凸となってしまい、新たなリーク電流の原因となる問題があった。
【0014】
以上のように、従来技術では、複雑な構造を持つ実用的な基板に対して、リーク電流を防止する効果が不十分である場合があった。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より良質な成膜を行える塗布液被塗布材の製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本実施形態の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態については、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
【0019】
「塗布液被塗布材の製造方法」
本実施形態では、有機機能層を形成する工程に、溶液を塗布する方法で形成されるウエット成膜工程(塗布液塗布層形成工程)、有機機能層を加熱する包埋処理工程(加熱工程)、の両方を少なくとも1回ずつ含む。これらには以下の第1の工程、第2の工程がある。
【0020】
第1の工程であって、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法は、前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含む。
【0021】
第2の工程であって、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法は、塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成する。
【0022】
本発明により作製された有機EL素子の一例を、図5に示す。図5の有機EL素子は、ウエット成膜工程により形成されたウエット成膜層、包埋処理が行われた包埋処理層を含んでいる。
【0023】
図5では、便宜上、ウエット成膜層と包埋処理層を分けて書いたが、ウエット成膜層を包埋処理しても良い。つまり。ウエット成膜する層と包埋処理する層が同一であっても良い。
【0024】
本実施形態は、有機EL素子を形成する層を被塗布材とし、層の材料を塗布液として塗布し、有機EL素子を塗布液被塗布材とする態様について例示し、本実施形態による詳細な有機EL素子の作製工程を、図6A〜図6F、図7A〜図7Fを参照しつつ説明する。これらの実施例は工程は本実施形態の一例であって、本発明は何ら限定を受けない。
【0025】
また、「濡れ性」とは、被塗布材に対する塗布液の濡れ性を示す。塗布液の濡れ性は、塗布液の接触角で評価することができる。接触角が小さいほど、濡れ性良好と判断できる。「濡れ性良好」とは言い換えれば、濡れ性が大きい、もしくは濡れ性が高いということである。一般に、塗布液が固形分である溶質と、溶質を溶解する溶媒とからなる場合、塗布液の濡れ性は、塗布液に用いる溶媒の影響を強く受ける。
【0026】
また、本願において「所定温度以上に加熱する」、例えば「ガラス転移温度以上に加熱する」とは複数の層を含み、各層の材料のガラス転移温度が相違する場合には、それらの層のうち最低のガラス転移温度以上に加熱することを意味する。
【0027】
また、本願において「包埋処理」とは、上記特許文献1の包埋処理の記載に限定されることがない。本願において、層をガラス転移温度以上に加熱する処理全てを含み、異物や凹凸が完全に包埋されることがなくても、少しでも部分的に包埋されているものも勿論含む概念である。
【0028】
「有機EL素子の製造方法」
「第1の工程:ウエット成膜工程を先に行う場合」
図6A、図6B:第1電極形成:
基板上に、所定のパターンで例えば膜厚110nmのITOからなる第1電極を形成する。第1電極は、例えばスパッタ、CVD法、蒸着法などで成膜した後、フォトエッチング法でパターニングし、形成することができる。
【0029】
第1電極を形成する前に、TFTアレイ、種々の配線、カラーフィルター、保護バリア膜などを形成しても良い。また、第1電極を形成してから、有機機能層の形成前までに、絶縁膜パターンなどを形成しても良い。
【0030】
これら工程を有機機能層の形成前に行う際、図6Bの様に、意図に反し、第1電極上に異物やキズなどによる凹凸、部分的に濡れ性の悪い部分が生じてしまう場合がある。図6Bでは、この濡れ性が悪い部分を太線で示している。濡れ性の悪い部分に異物が存在することも、当然、あり得る。
【0031】
図6C:ウエット成膜層(塗布液塗布層)の形成:
例えば、膜厚25nmのポリアニリンからなるウエット成膜層を形成する。ウエット成膜層は、溶液を塗布することによって形成される。例えば、スピンコート、スプレー法、フレキソ印刷やインクジェット法などの印刷法、などにより形成することができる。
【0032】
ウエット成膜層は異物の包埋性が良いため、異物を良好に覆うことができる。一方、濡れ性が悪い部分があると、その部分ではじいてしまい、ピンホールが生じてしまうこともある。ピンホールのエッジは塗布液が盛り上がった形状となることが多く、第1電極上に新たな凹凸を作ってしまうことになりかねない。
【0033】
溶液を塗布後、必要に応じて膜を硬化、乾燥する。膜の硬化は、例えば、加熱や紫外線の照射で行うことができる。膜の乾燥は、例えば、減圧乾燥、加熱などによって行うことができる。
【0034】
膜を硬化、乾燥する前に、膜をレベリングしても良い。レベリングとは、膜を固化する前、膜の流動性を利用して、膜表面を平坦化する処理のことである。レベリング方法の一例として、例えば、膜に流動性がある状態で、ある一定時間放置することで、膜表面の凹凸を自然に平坦化することが可能である。放置時間は10秒〜10分間程度が適当である。レベリングを減圧下や、加熱して行うこともできる。
【0035】
図6D:有機層(包埋処理層)の成膜:
後の工程で加熱処理を行う有機層を形成する。例えばこの有機層を、膜厚45nmのTPDとすることもできる。この有機層はウエット成膜層と同様の成膜法、蒸着法、CVD法、スパッタ法などで形成することができる。ただし、先に形成したウエット成膜層と同様な欠陥が生じることを防ぐためには、ウエット成膜層の形成の工程とは異なる成膜法を選択することが好ましい。
【0036】
図6Dでは、有機層を蒸着法など、ウエット成膜とは異なる成膜法で形成した場合を示している。このため、有機層は濡れ性に関わらず、異物のある部分以外には、ほぼ均一に形成することができる。
【0037】
ウエット成膜層に用いる材料が、蒸着法、CVD法、スパッタ法などでも成膜可能な場合は、有機層の材料を、ウエット成膜層と同一としても良い。図6Cで形成したウエット成膜した層を加熱処理する場合は、この工程は省略してもよい。
【0038】
図6E:有機層の加熱工程:
有機層を加熱する。加熱することにより有機層が融解し、異物を包埋処理することができる。図6Dの有機層の形成工程を省略した場合は、図6Cのウエット成膜層の形成工程で形成したウエット成膜層を加熱することになる。
【0039】
加熱する温度は有機層のガラス転移温度以上が望ましい。そうすることにより、有機層が融解し、包埋処理が有効に行われる。ただし。加熱温度を高くし過ぎると、有機層にダメージを与えるので、加熱温度は有機層の融点もしくは昇華温度以下にするのが望ましい。
【0040】
例えば有機層をTPDとした場合は、TPDのガラス転移温度95℃を考慮して、150℃で5分間の加熱を行うことができる。
【0041】
加熱工程により、ガラス転移温度以上に加熱して包埋処理層を形成するが、この工程中の最高温度は、図6Cのウエット成膜層の工程中の最高温度よりも、低いことが望ましい。包埋処理層工程中に加熱を行うと、下層にあるウエット成膜層も同時に加熱される。よって、もし、後から形成する包埋処理層工程の温度が、それより前に形成されたウエット成膜工程における温度よりも高いと、ウエット成膜層からのアウトガスが包埋処理層にダメージを与える可能性が高くなってしまう。これは、ウエット成膜工程の中では放出されなかったウエット成膜層に含まれる成分、例えば残留する溶媒などが、包埋処理工程中により高温で加熱されることにより、アウトガスとして大量に放出されてしまう危険性があるためである。本実施形態では、ウエット成膜層と包埋処理層とが隣接する上層下層関係について説明しているがこれら層に限定されない。複数形成される膜の上層膜・基板、下層膜・基板の関係があるもの一般に適用できる。
【0042】
ウエット成膜層からの残留溶媒のアウトガスをおさえるためには、有機層の加熱温度を、ウエット成膜工程で使用した塗布液の溶媒の沸点以下にすることも、効果的である。
【0043】
ウエット成膜層を加熱し包埋処理する場合は、これらアウトガスの問題は考慮する必要がない
有機層の材料を、ウエット成膜層の固形分と同一とした場合は、ウエット成膜層も包埋処理されるので、異物を更に良好に覆うことが可能である。
【0044】
図6F:他の有機機能層、第2電極の形成:
ウエット成膜層、包埋処理層以外の有機機能層、及び、第2電極を必要に応じ形成する。例えば、発光層としてAlq3を60nm、電子注入層としてLi2Oを1nm、第2電極としてAlを100nm、それぞれ真空蒸着法を用いて形成することができる。この後に防湿のための封止膜の形成、基板側からの保護バリア膜の形成を行うのが望ましい。
【0045】
「第2の工程ウエット成膜工程を後に行う場合」
図7A、図7B:第1電極形成:
前述した第1の工程における第1電極形成と同様に、基板上に、第1電極を形成する。図6B同様、図7Bの様に、意図に反し、第1電極上に異物やキズなどによる凹凸、部分的に濡れ性の悪い部分が生じてしまう場合がある。
【0046】
図7C:有機層(濡れ性保持層、包埋処理層):
前述した第1の工程の有機層の形成工程と同様に、有機層を形成する。
【0047】
図7Cでは、有機層を蒸着法など、ウエット成膜とは異なる成膜法で形成した場合を示している。この場合、有機層は濡れ性に善し悪しに関わらず、異物のある部分以外には、ほぼ均一に形成することができ、望ましい。
【0048】
図7D:有機層の加熱工程:
前述した第1の工程の加熱工程(包埋処理工程)と同様に、有機層を加熱する。有機層を加熱することにより、有機層が融解し、異物を包埋処理することができる。
【0049】
図7E:ウエット成膜層(塗布液塗布層)の形成:
前述した第1の工程のウエット成膜層の形成工程と同様に、ウエット成膜層を形成する。
【0050】
第1電極の濡れ性が悪い部分を含め、塗布領域が包埋処理層により覆われているので、塗布表面の濡れ性は、ほぼ均一である。また、一般に有機層同士の親和性は高いので、塗布表面は塗布液に対して濡れ性の高い状態となっている。よって、ウエット成膜層を欠陥なく、均一に形成することができる。
【0051】
図7F:他の有機機能層、第2電極の形成:
第1の図6Fに示される工程と同様に、ウエット成膜層、包埋処理層以外の有機機能層、及び、第2電極を必要に応じ形成する。この後に防湿のための封止膜の形成、基板側からの保護バリア膜の形成を行うのが望ましい。
【0052】
第2の工程のように、ウエット成膜工程を後に行う場合では、包埋処理層上にウエット成膜層を形成する際、包埋処理層がダメージを受ける可能性がある。よって、包埋処理層に用いる材料は、耐湿性、耐溶剤性、耐熱性などが高く、ウエット成膜工程に耐えうる材料である必要がある。例えば、塗布液が包埋処理層を溶解してしまうことを防ぐためには、包埋処理層の材料を塗布液に対する溶解度が低いものとするのが望ましい。例えば、CuPC等の顔料系の材料が好適である。
【0053】
本実施形態では、図1のような有機EL素子における有機機能層の少なくとも1層を上記のような工程で形成する。図1は有機機能層が4層からなる場合を示したもので、当然、本発明は4層以下、もしくは5層以上の公知のあらゆる有機EL素子の構造に適用可能である。ウエット成膜層、包埋処理層がそれぞれ、どの層に適用されるかについても、任意であることは言うまでもない。
【0054】
ただし、ウエット成膜層の成膜工程や、包埋処理層形成時には、溶媒の使用や加熱など、他の有機機能層にダメージを与えやすい。特に、ウエット成膜層の形成ではダメージが大きくなりやすい。このため、これらの層は、できる限り始めの方の工程で形成されることが望ましい。具体的には、第1の工程、第2の工程の様に、第1電極に接して、ウエット成膜層と包埋処理層を設けることが望ましい。特に、第1電極/ウエット成膜層/包埋処理層の順に形成するのが、最も好ましい。第1電極は陽極であっても陰極であってもよい。電極材料は一般的に耐溶剤性や耐熱性が高くウエット成膜層に対して耐性が高い。
【0055】
ウエット成膜層に用いることのできる、塗布可能な有機機能層材料は、たとえば以下のようなものが挙げられる。有機溶媒に可溶な有機物からなる有機機能層の例が、例えば、特開2003−7461に示されている。特開2003−7461、6頁「0023」〜「0024」には、有機機能層に用いる高分子材料として、PEDOT、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアルキルフェニレン、ポリアセチレン誘導体、などが挙げられている。更に特開2003−7461、7頁「0031」によると、これらの高分子材料は、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラリン、キシレン、アニソール、ジクロロメタン、γブチロラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、ジオキサンまたは、THF(テトラヒドロフラン)等の溶媒から選ばれた1種または複数種、に前駆体を溶解し、塗布される。これら有機機能層は、既知のあらゆる成膜法を用いて形成することができる。特に可溶な有機物からなる有機機能層は、ウエットプロセスによって形成する事ができる。ウエットプロセスで形成する場合は、通常、材料を溶媒に溶解した塗布液を用いる。溶媒としては、前述の溶媒の他、PGME(propyleneglycol monomethyl ether)、PGMEA(propyleneglycol monomethyl ether acetate)、乳酸エチル、DMAc(N.N−dimethylacetamide)、MEK(methyl ethyl ketone)、MIBK(methyl isobutyl ketone)、IPA(iso propyl alcohol)、エタノール等、既知の溶剤を用いる事ができる。包埋処理層に用いることのできる、ホール輸送性の化合物としては、例えば、例えば、テトラアリールベンジシン化合物、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。また、電子受容性の高い化合物をドープしても良い。以上は、主に、ホール輸送性の材料を挙げたが、これらは材料の一例で、電子輸送性のものであっても良いし、発光材料であっても良い。
【0056】
本実施形態では、ウエット成膜層の形成工程(塗布液塗布層形成工程)と、有機層の包埋処理(加熱工程)を備えたので、第1電極上に、大きな凹凸や、局所的に濡れ性が悪い部分、があった場合でも、より良質な成膜を行えるので、リーク電流の発生が少ない有機EL素子を作製できる。また、この成膜が良好に行えるので、リーク電流以外の成膜が不良であったため不具合を生じること一般に適用できる。
【0057】
更に、下層を形成する際の最高温度である下層形成最高温度と、上層を形成する際の最高温度である上層形成最高温度について、前記下層形成最高温度は、前記上層形成最高温度よりも高くしている。すなわち、ウエット成膜層、包埋処理層であると好適であるが、上層とその下層について、先に形成される工程中の最高温度を、後に形成される工程中の最高温度よりも、高くしたので、先に形成される層からのアウトガスが、後に形成される層に与える悪影響を防止でき、発光効率や耐久性の高い素子を実現できる。この結果、特性の良好な有機EL素子を実現できるが、この工程は好適要件であって、必須要件ではない。
【0058】
ウエットプロセスの問題上から、前記被塗布材は、有機機能層の各層以外とすると好適である。より好ましくは、被塗布材は、ウエットプロセスに耐性が高い前記陽極と前記陰極とのうち少なくとも一方の層であるとするとよいが、塗布液塗布層をどこにするかは特に限定されない。
【0059】
前記塗布液塗布層形成工程は、噴射ノズルから前記塗布液を噴射するスプレー塗布工程またはインクジェット法による塗布工程の少なくとも一方を含むと好適であるが特に限定されない。塗布方式としては、インクジェット、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ダイコート、リップコート、キャストコート、ロールコート、エアーナイフコート、メイヤーバーコート、押し出しコート、オフセット、紫外線硬化オフセット、フレキソ、孔版、シルク、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の各種印刷方式を用いることができる。
【0060】
本実施形態では、好適であるので有機EL素子構成層に対して、基板、陽極、有機機能層の各層、陰極、基板側の保護バリア膜、封止膜のうち少なくとも1層であることを例示して塗布方法を説明しているがこれに限られない。被塗布材が半導体基板、有機トランジスタ構成層であってもよく、これら以外であってもよい。有機トランジスタ構成層とは、ドレイン電極、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、有機半導体層などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】従来技術における有機EL素子の断面図である。
【図2】従来技術における塗布液被塗布材の製造方法を模式的に説明する図である。
【図3】従来技術における塗布液被塗布材の製造方法を模式的に説明する図である。
【図4】従来技術における塗布液被塗布材の製造方法を模式的に説明する図である。
【図5】本実施形態における有機EL素子の断面図である。
【図6A】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6B】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6C】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6D】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6E】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6F】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7A】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7B】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7C】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7D】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7E】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7F】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、塗布液被塗布材の製造方法、特に塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法、すなわちウエットプロセスが知られている。例えば、塗布液被塗布材として有機EL素子を用いた製造方法が挙げられる。
【0003】
図1に有機EL素子の構造の一例を示す。有機EL素子は、発光機能層が主に有機物からなり、陽極からホールが、陰極から電子が注入され、発光層で再結合し発光する。有機EL素子の有機機能層は通常、ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層など、それぞれの機能を持つ複数の層からなる。これら各々の有機機能層は通常、有機物からなり、更に、低分子の有機物からなる場合、高分子の有機物からなる場合がある。
【0004】
下記特許文献1の段落「0003」などに、有機EL素子の問題点が指摘されている。同文献では、図2のように、異物が原因で、第1電極と第2電極とが近接して、電界集中が生じ、発光輝度が変化することがあり、また、場合によっては、第1電極と第2電極とが接触してリーク電流が生じ、ダークスポットと呼ばれる発光しない領域が生じたり、素子1の破壊につながったりしてしまう、ことが開示される。特に、有機機能層を蒸着法で形成する場合に、この問題は顕著となる。
【0005】
この問題を解決する方法が、いくつかの文献に開示されている。これら文献では、リーク電流の原因となる基板の凹凸を、平坦化するような処理を行うことにより、リーク電流を防止している。
【0006】
特許文献1に開示されるのは、図3のような技術である。つまり、有機機能層を、異物固体が混入されたとしても有機機能層のガラス転移温度以上、時には融解まで加熱することにより異物を包埋するような、包埋処理を行うことにより、リーク電流などを防止する。
【0007】
一方で下記特許文献2に開示されるのは、図4のような技術である。つまり、何れかの有機機能層をスピンコートもしくは、ディップ法により形成することにより、ゴミや突起を包み込むように有機機能層が成膜され、突起の上部に対しても十分な厚さの有機層が形成され、リーク電流の発生を防止できる、というものである。
【0008】
基板の凹凸の原因となるものは、異物や傷などの不良箇所だけではない。例えば、下記特許文献3には100nm〜5μmの膜厚を有する絶縁膜パターンを第1電極と第2電極間に設ける技術が開示されるが、この絶縁膜パターンも、基板の凹凸の1種であり、電流リークの原因となりうる。
【0009】
これに対して近年、TFTアレイを有する基板上に有機EL素子を形成した、アクティブ駆動型の有機ELパネルの開発が盛んである。これらTFTアレイを形成することによって、有機機能層を形成する基板面の凹凸は大きくなる一方である。
【特許文献1】特開2000−91067号公報
【特許文献2】特開平11−121172号公報
【特許文献3】特開平3−250583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、包埋処理が施される有機機能層の膜厚を大きく超えるような異物では、効果的に包埋処理を行うことができない場合がある。この技術では、異物の周辺に付着した有機機能層を溶融し、異物の影の部分を埋める。異物のサイズが大きくなり、影となる部分の体積が大きくなると、それを埋めるために必要な有機機能層の体積も大きくなる。影を埋めるのに用いられる有機機能層は主に異物近傍に存在する膜からのものであるから、埋めることのできる体積は、有機機能層の膜厚にほぼ比例すると考えられる。有機機能層を構成する各層の膜厚は、素子の発光特性を重視して決定されるが、厚くなると駆動電圧が上昇するため、通常厚くとも、100nm程度である。よって、膜厚を大きく超えるような異物は、包埋処理が良好に行われず、上記技術では、リーク電流の防止が不十分である場合があった。基板の凹凸の形状にもよるが、一般に、包埋処理が良好に行えるのは、包埋処理を施す有機層膜厚の10倍程度の高さまでであると一考察する。この一例としての考察によれば、例えば、有機機能層の膜厚が100nm程度の場合、包埋処理が良好に行えるのは、凹凸の高低差が1μm程度までである。このような問題は、上記特許文献1では想定されていない。
【0011】
一方、上記特許文献2に開示される技術は、第1電極上に展開された塗布液の流動性が高いため、凹凸の包埋性が上記特許文献1の技術よりも高い。スピンコートする有機機能層の膜厚の10倍を超えるような高低差の凹凸も、問題なく埋めることができる傾向にある。しかし、スピンコートのような溶液を塗布する方法は、基板の濡れ性の影響を受けやすい場合がある。濡れ性の悪い部分では良好な塗布が行われず、最悪の場合、溶液がはじいて膜が形成されなくなる場合も生じる。これを防止するために、基板の濡れ性を改善するために、例えば、UV/O3処理、プラズマ処理などを行うことにより、基板の濡れ性を高める前処理を行った上で、塗布を行うことが考えられる。
【0012】
しかしながら、前述した、絶縁膜を有する基板やTFTアレイを有する基板では、基板表面に露出するのは第1電極や基板ガラスの表面だけではなく、様々な構造物も露出する。このような基板では、前処理を行っても、表面に露出する材料により、効果が異なって濡れ性が異なってしまう。また、前処理により、露出した構造物からのアウトガスが発生し、このアウトガスが他の部分に作用し濡れ性を悪化させる場合もある。特に構造物が有機物からなる場合は、UV/O3処理やO2プラズマ処理などにより、構造物が分解され、様々なアウトガスを生じてしまう。これらアウトガスが露出した第1電極に再付着すると、その部分の濡れ性が変化してしまう。
【0013】
これらの理由により、実用に用いられる複雑な構造を有する基板について、塗布する表面の全面の濡れ性を均一かつ十分に高めることは困難である。このような基板上に、溶液の塗布を行うと、部分的に濡れ性が悪化している部分で溶液がはじき、ピンホール欠陥となってしまう。更に、ピンホールの境界付近では溶液が盛り上がった形状となりやすく、ピンホールのエッジ部分が基板の凹凸となってしまい、新たなリーク電流の原因となる問題があった。
【0014】
以上のように、従来技術では、複雑な構造を持つ実用的な基板に対して、リーク電流を防止する効果が不十分である場合があった。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より良質な成膜を行える塗布液被塗布材の製造方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本実施形態の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態については、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
【0019】
「塗布液被塗布材の製造方法」
本実施形態では、有機機能層を形成する工程に、溶液を塗布する方法で形成されるウエット成膜工程(塗布液塗布層形成工程)、有機機能層を加熱する包埋処理工程(加熱工程)、の両方を少なくとも1回ずつ含む。これらには以下の第1の工程、第2の工程がある。
【0020】
第1の工程であって、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法は、前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含む。
【0021】
第2の工程であって、塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法は、塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成する。
【0022】
本発明により作製された有機EL素子の一例を、図5に示す。図5の有機EL素子は、ウエット成膜工程により形成されたウエット成膜層、包埋処理が行われた包埋処理層を含んでいる。
【0023】
図5では、便宜上、ウエット成膜層と包埋処理層を分けて書いたが、ウエット成膜層を包埋処理しても良い。つまり。ウエット成膜する層と包埋処理する層が同一であっても良い。
【0024】
本実施形態は、有機EL素子を形成する層を被塗布材とし、層の材料を塗布液として塗布し、有機EL素子を塗布液被塗布材とする態様について例示し、本実施形態による詳細な有機EL素子の作製工程を、図6A〜図6F、図7A〜図7Fを参照しつつ説明する。これらの実施例は工程は本実施形態の一例であって、本発明は何ら限定を受けない。
【0025】
また、「濡れ性」とは、被塗布材に対する塗布液の濡れ性を示す。塗布液の濡れ性は、塗布液の接触角で評価することができる。接触角が小さいほど、濡れ性良好と判断できる。「濡れ性良好」とは言い換えれば、濡れ性が大きい、もしくは濡れ性が高いということである。一般に、塗布液が固形分である溶質と、溶質を溶解する溶媒とからなる場合、塗布液の濡れ性は、塗布液に用いる溶媒の影響を強く受ける。
【0026】
また、本願において「所定温度以上に加熱する」、例えば「ガラス転移温度以上に加熱する」とは複数の層を含み、各層の材料のガラス転移温度が相違する場合には、それらの層のうち最低のガラス転移温度以上に加熱することを意味する。
【0027】
また、本願において「包埋処理」とは、上記特許文献1の包埋処理の記載に限定されることがない。本願において、層をガラス転移温度以上に加熱する処理全てを含み、異物や凹凸が完全に包埋されることがなくても、少しでも部分的に包埋されているものも勿論含む概念である。
【0028】
「有機EL素子の製造方法」
「第1の工程:ウエット成膜工程を先に行う場合」
図6A、図6B:第1電極形成:
基板上に、所定のパターンで例えば膜厚110nmのITOからなる第1電極を形成する。第1電極は、例えばスパッタ、CVD法、蒸着法などで成膜した後、フォトエッチング法でパターニングし、形成することができる。
【0029】
第1電極を形成する前に、TFTアレイ、種々の配線、カラーフィルター、保護バリア膜などを形成しても良い。また、第1電極を形成してから、有機機能層の形成前までに、絶縁膜パターンなどを形成しても良い。
【0030】
これら工程を有機機能層の形成前に行う際、図6Bの様に、意図に反し、第1電極上に異物やキズなどによる凹凸、部分的に濡れ性の悪い部分が生じてしまう場合がある。図6Bでは、この濡れ性が悪い部分を太線で示している。濡れ性の悪い部分に異物が存在することも、当然、あり得る。
【0031】
図6C:ウエット成膜層(塗布液塗布層)の形成:
例えば、膜厚25nmのポリアニリンからなるウエット成膜層を形成する。ウエット成膜層は、溶液を塗布することによって形成される。例えば、スピンコート、スプレー法、フレキソ印刷やインクジェット法などの印刷法、などにより形成することができる。
【0032】
ウエット成膜層は異物の包埋性が良いため、異物を良好に覆うことができる。一方、濡れ性が悪い部分があると、その部分ではじいてしまい、ピンホールが生じてしまうこともある。ピンホールのエッジは塗布液が盛り上がった形状となることが多く、第1電極上に新たな凹凸を作ってしまうことになりかねない。
【0033】
溶液を塗布後、必要に応じて膜を硬化、乾燥する。膜の硬化は、例えば、加熱や紫外線の照射で行うことができる。膜の乾燥は、例えば、減圧乾燥、加熱などによって行うことができる。
【0034】
膜を硬化、乾燥する前に、膜をレベリングしても良い。レベリングとは、膜を固化する前、膜の流動性を利用して、膜表面を平坦化する処理のことである。レベリング方法の一例として、例えば、膜に流動性がある状態で、ある一定時間放置することで、膜表面の凹凸を自然に平坦化することが可能である。放置時間は10秒〜10分間程度が適当である。レベリングを減圧下や、加熱して行うこともできる。
【0035】
図6D:有機層(包埋処理層)の成膜:
後の工程で加熱処理を行う有機層を形成する。例えばこの有機層を、膜厚45nmのTPDとすることもできる。この有機層はウエット成膜層と同様の成膜法、蒸着法、CVD法、スパッタ法などで形成することができる。ただし、先に形成したウエット成膜層と同様な欠陥が生じることを防ぐためには、ウエット成膜層の形成の工程とは異なる成膜法を選択することが好ましい。
【0036】
図6Dでは、有機層を蒸着法など、ウエット成膜とは異なる成膜法で形成した場合を示している。このため、有機層は濡れ性に関わらず、異物のある部分以外には、ほぼ均一に形成することができる。
【0037】
ウエット成膜層に用いる材料が、蒸着法、CVD法、スパッタ法などでも成膜可能な場合は、有機層の材料を、ウエット成膜層と同一としても良い。図6Cで形成したウエット成膜した層を加熱処理する場合は、この工程は省略してもよい。
【0038】
図6E:有機層の加熱工程:
有機層を加熱する。加熱することにより有機層が融解し、異物を包埋処理することができる。図6Dの有機層の形成工程を省略した場合は、図6Cのウエット成膜層の形成工程で形成したウエット成膜層を加熱することになる。
【0039】
加熱する温度は有機層のガラス転移温度以上が望ましい。そうすることにより、有機層が融解し、包埋処理が有効に行われる。ただし。加熱温度を高くし過ぎると、有機層にダメージを与えるので、加熱温度は有機層の融点もしくは昇華温度以下にするのが望ましい。
【0040】
例えば有機層をTPDとした場合は、TPDのガラス転移温度95℃を考慮して、150℃で5分間の加熱を行うことができる。
【0041】
加熱工程により、ガラス転移温度以上に加熱して包埋処理層を形成するが、この工程中の最高温度は、図6Cのウエット成膜層の工程中の最高温度よりも、低いことが望ましい。包埋処理層工程中に加熱を行うと、下層にあるウエット成膜層も同時に加熱される。よって、もし、後から形成する包埋処理層工程の温度が、それより前に形成されたウエット成膜工程における温度よりも高いと、ウエット成膜層からのアウトガスが包埋処理層にダメージを与える可能性が高くなってしまう。これは、ウエット成膜工程の中では放出されなかったウエット成膜層に含まれる成分、例えば残留する溶媒などが、包埋処理工程中により高温で加熱されることにより、アウトガスとして大量に放出されてしまう危険性があるためである。本実施形態では、ウエット成膜層と包埋処理層とが隣接する上層下層関係について説明しているがこれら層に限定されない。複数形成される膜の上層膜・基板、下層膜・基板の関係があるもの一般に適用できる。
【0042】
ウエット成膜層からの残留溶媒のアウトガスをおさえるためには、有機層の加熱温度を、ウエット成膜工程で使用した塗布液の溶媒の沸点以下にすることも、効果的である。
【0043】
ウエット成膜層を加熱し包埋処理する場合は、これらアウトガスの問題は考慮する必要がない
有機層の材料を、ウエット成膜層の固形分と同一とした場合は、ウエット成膜層も包埋処理されるので、異物を更に良好に覆うことが可能である。
【0044】
図6F:他の有機機能層、第2電極の形成:
ウエット成膜層、包埋処理層以外の有機機能層、及び、第2電極を必要に応じ形成する。例えば、発光層としてAlq3を60nm、電子注入層としてLi2Oを1nm、第2電極としてAlを100nm、それぞれ真空蒸着法を用いて形成することができる。この後に防湿のための封止膜の形成、基板側からの保護バリア膜の形成を行うのが望ましい。
【0045】
「第2の工程ウエット成膜工程を後に行う場合」
図7A、図7B:第1電極形成:
前述した第1の工程における第1電極形成と同様に、基板上に、第1電極を形成する。図6B同様、図7Bの様に、意図に反し、第1電極上に異物やキズなどによる凹凸、部分的に濡れ性の悪い部分が生じてしまう場合がある。
【0046】
図7C:有機層(濡れ性保持層、包埋処理層):
前述した第1の工程の有機層の形成工程と同様に、有機層を形成する。
【0047】
図7Cでは、有機層を蒸着法など、ウエット成膜とは異なる成膜法で形成した場合を示している。この場合、有機層は濡れ性に善し悪しに関わらず、異物のある部分以外には、ほぼ均一に形成することができ、望ましい。
【0048】
図7D:有機層の加熱工程:
前述した第1の工程の加熱工程(包埋処理工程)と同様に、有機層を加熱する。有機層を加熱することにより、有機層が融解し、異物を包埋処理することができる。
【0049】
図7E:ウエット成膜層(塗布液塗布層)の形成:
前述した第1の工程のウエット成膜層の形成工程と同様に、ウエット成膜層を形成する。
【0050】
第1電極の濡れ性が悪い部分を含め、塗布領域が包埋処理層により覆われているので、塗布表面の濡れ性は、ほぼ均一である。また、一般に有機層同士の親和性は高いので、塗布表面は塗布液に対して濡れ性の高い状態となっている。よって、ウエット成膜層を欠陥なく、均一に形成することができる。
【0051】
図7F:他の有機機能層、第2電極の形成:
第1の図6Fに示される工程と同様に、ウエット成膜層、包埋処理層以外の有機機能層、及び、第2電極を必要に応じ形成する。この後に防湿のための封止膜の形成、基板側からの保護バリア膜の形成を行うのが望ましい。
【0052】
第2の工程のように、ウエット成膜工程を後に行う場合では、包埋処理層上にウエット成膜層を形成する際、包埋処理層がダメージを受ける可能性がある。よって、包埋処理層に用いる材料は、耐湿性、耐溶剤性、耐熱性などが高く、ウエット成膜工程に耐えうる材料である必要がある。例えば、塗布液が包埋処理層を溶解してしまうことを防ぐためには、包埋処理層の材料を塗布液に対する溶解度が低いものとするのが望ましい。例えば、CuPC等の顔料系の材料が好適である。
【0053】
本実施形態では、図1のような有機EL素子における有機機能層の少なくとも1層を上記のような工程で形成する。図1は有機機能層が4層からなる場合を示したもので、当然、本発明は4層以下、もしくは5層以上の公知のあらゆる有機EL素子の構造に適用可能である。ウエット成膜層、包埋処理層がそれぞれ、どの層に適用されるかについても、任意であることは言うまでもない。
【0054】
ただし、ウエット成膜層の成膜工程や、包埋処理層形成時には、溶媒の使用や加熱など、他の有機機能層にダメージを与えやすい。特に、ウエット成膜層の形成ではダメージが大きくなりやすい。このため、これらの層は、できる限り始めの方の工程で形成されることが望ましい。具体的には、第1の工程、第2の工程の様に、第1電極に接して、ウエット成膜層と包埋処理層を設けることが望ましい。特に、第1電極/ウエット成膜層/包埋処理層の順に形成するのが、最も好ましい。第1電極は陽極であっても陰極であってもよい。電極材料は一般的に耐溶剤性や耐熱性が高くウエット成膜層に対して耐性が高い。
【0055】
ウエット成膜層に用いることのできる、塗布可能な有機機能層材料は、たとえば以下のようなものが挙げられる。有機溶媒に可溶な有機物からなる有機機能層の例が、例えば、特開2003−7461に示されている。特開2003−7461、6頁「0023」〜「0024」には、有機機能層に用いる高分子材料として、PEDOT、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアルキルフェニレン、ポリアセチレン誘導体、などが挙げられている。更に特開2003−7461、7頁「0031」によると、これらの高分子材料は、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラリン、キシレン、アニソール、ジクロロメタン、γブチロラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、ジオキサンまたは、THF(テトラヒドロフラン)等の溶媒から選ばれた1種または複数種、に前駆体を溶解し、塗布される。これら有機機能層は、既知のあらゆる成膜法を用いて形成することができる。特に可溶な有機物からなる有機機能層は、ウエットプロセスによって形成する事ができる。ウエットプロセスで形成する場合は、通常、材料を溶媒に溶解した塗布液を用いる。溶媒としては、前述の溶媒の他、PGME(propyleneglycol monomethyl ether)、PGMEA(propyleneglycol monomethyl ether acetate)、乳酸エチル、DMAc(N.N−dimethylacetamide)、MEK(methyl ethyl ketone)、MIBK(methyl isobutyl ketone)、IPA(iso propyl alcohol)、エタノール等、既知の溶剤を用いる事ができる。包埋処理層に用いることのできる、ホール輸送性の化合物としては、例えば、例えば、テトラアリールベンジシン化合物、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。また、電子受容性の高い化合物をドープしても良い。以上は、主に、ホール輸送性の材料を挙げたが、これらは材料の一例で、電子輸送性のものであっても良いし、発光材料であっても良い。
【0056】
本実施形態では、ウエット成膜層の形成工程(塗布液塗布層形成工程)と、有機層の包埋処理(加熱工程)を備えたので、第1電極上に、大きな凹凸や、局所的に濡れ性が悪い部分、があった場合でも、より良質な成膜を行えるので、リーク電流の発生が少ない有機EL素子を作製できる。また、この成膜が良好に行えるので、リーク電流以外の成膜が不良であったため不具合を生じること一般に適用できる。
【0057】
更に、下層を形成する際の最高温度である下層形成最高温度と、上層を形成する際の最高温度である上層形成最高温度について、前記下層形成最高温度は、前記上層形成最高温度よりも高くしている。すなわち、ウエット成膜層、包埋処理層であると好適であるが、上層とその下層について、先に形成される工程中の最高温度を、後に形成される工程中の最高温度よりも、高くしたので、先に形成される層からのアウトガスが、後に形成される層に与える悪影響を防止でき、発光効率や耐久性の高い素子を実現できる。この結果、特性の良好な有機EL素子を実現できるが、この工程は好適要件であって、必須要件ではない。
【0058】
ウエットプロセスの問題上から、前記被塗布材は、有機機能層の各層以外とすると好適である。より好ましくは、被塗布材は、ウエットプロセスに耐性が高い前記陽極と前記陰極とのうち少なくとも一方の層であるとするとよいが、塗布液塗布層をどこにするかは特に限定されない。
【0059】
前記塗布液塗布層形成工程は、噴射ノズルから前記塗布液を噴射するスプレー塗布工程またはインクジェット法による塗布工程の少なくとも一方を含むと好適であるが特に限定されない。塗布方式としては、インクジェット、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ダイコート、リップコート、キャストコート、ロールコート、エアーナイフコート、メイヤーバーコート、押し出しコート、オフセット、紫外線硬化オフセット、フレキソ、孔版、シルク、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、キスコート、ブレードコート、スムーズコート、スプレーコート、かけ流しコート、刷毛塗り等の各種印刷方式を用いることができる。
【0060】
本実施形態では、好適であるので有機EL素子構成層に対して、基板、陽極、有機機能層の各層、陰極、基板側の保護バリア膜、封止膜のうち少なくとも1層であることを例示して塗布方法を説明しているがこれに限られない。被塗布材が半導体基板、有機トランジスタ構成層であってもよく、これら以外であってもよい。有機トランジスタ構成層とは、ドレイン電極、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、有機半導体層などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】従来技術における有機EL素子の断面図である。
【図2】従来技術における塗布液被塗布材の製造方法を模式的に説明する図である。
【図3】従来技術における塗布液被塗布材の製造方法を模式的に説明する図である。
【図4】従来技術における塗布液被塗布材の製造方法を模式的に説明する図である。
【図5】本実施形態における有機EL素子の断面図である。
【図6A】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6B】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6C】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6D】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6E】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図6F】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7A】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7B】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7C】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7D】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7E】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【図7F】本実施形態における有機EL素子の製造方法を模式的に説明する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、
前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含む塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項2】
塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、
塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、
前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、
少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、
前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、
前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成する塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
下層を形成する際の最高温度である下層形成最高温度と、上層を形成する際の最高温度である上層形成最高温度について、
前記下層形成最高温度は、前記上層形成最高温度よりも高い塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材が半導体基板、有機トランジスタ構成層、有機EL素子構成層のうち少なくとも1つである塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記有機EL素子構成層は、基板、陽極、有機機能層の各層、陰極、基板側の保護バリア膜、封止膜のうち少なくとも1層である塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材は、有機機能層の各層以外の層である塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材は、前記陽極に接する層と前記陰極に接する層とのうち少なくとも一方の層である塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記塗布液塗布層形成工程は、噴射ノズルから前記塗布液を噴射するスプレー塗布工程を含む塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記塗布液塗布層形成工程は、インクジェット法による塗布工程を含む塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項1】
塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材表面に塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、
前記塗布液塗布層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含む塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項2】
塗布液を被塗布材表面に塗布してなる塗布液被塗布材の製造方法であって、
塗布液を塗布して塗布液塗布層を形成する塗布液塗布層形成工程と、
前記被塗布材表面よりも濡れ性が大きい濡れ性保持層を形成する濡れ性保持層形成工程と、
少なくとも前記濡れ性保持層以上に形成される上層をガラス転移温度以上に加熱する加熱工程と、を含み、
前記濡れ性保持層形成工程により、濡れ性保持層を被塗布材表面に形成し、
前記形成された濡れ性保持層上に、塗布液塗布層形成工程により塗布液塗布層を形成する塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
下層を形成する際の最高温度である下層形成最高温度と、上層を形成する際の最高温度である上層形成最高温度について、
前記下層形成最高温度は、前記上層形成最高温度よりも高い塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材が半導体基板、有機トランジスタ構成層、有機EL素子構成層のうち少なくとも1つである塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記有機EL素子構成層は、基板、陽極、有機機能層の各層、陰極、基板側の保護バリア膜、封止膜のうち少なくとも1層である塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材は、有機機能層の各層以外の層である塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記被塗布材は、前記陽極に接する層と前記陰極に接する層とのうち少なくとも一方の層である塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記塗布液塗布層形成工程は、噴射ノズルから前記塗布液を噴射するスプレー塗布工程を含む塗布液被塗布材の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の塗布液被塗布材の製造方法であって、
前記塗布液塗布層形成工程は、インクジェット法による塗布工程を含む塗布液被塗布材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【公開番号】特開2006−244917(P2006−244917A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61215(P2005−61215)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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