塗布装置及び塗布方法
【課題】 大きな塗布領域に均一にムラなく、色度の仕様に関する要求を満たし、さらに反射光に発生するムラを低減するカラーフィルター等を低コストで実現する塗布装置を提供する。
【解決手段】 複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布装置であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布することを特徴とする塗布装置。
【解決手段】 複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布装置であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布することを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の所定の位置に保持された塗布対象物に対して、複数の吐出ノズルを有する塗布ヘッドによって塗布材を供給する塗布装置及び塗布方法に関する。特に塗布対象物の塗布領域が小区画(画素と呼ぶ)に分割されたその画素に着色材料を塗布する場合等に大きな効果を期待できる。
【背景技術】
【0002】
最近の情報端末の画像表示技術の進展は目を見張るものがあり、大画面のものや、或いは小型の画面でも、非常に高い精細度の表示機器(ディスプレイ)が製造、実用化されている。そのような状況の中、低コストで高品位な画像表示を可能とするディスプレイに対する要求が強い。こうした要求に応えるディスプレイのキーデバイスとして、カラーフィルタがあり、そのカラーフィルタ製造方法・装置にも様々な工夫が取り入れられている。
【0003】
そうしたカラーフィルタの製造方法・装置にむけた従来の技術では、
基材であるガラス基板等に、遮光機能を果たす種々の材料によってマトリクス状に遮光部を形成して、そのマトリクス状の遮光部のマス目の中に着色材料を充填してカラーフィルタとしての機能を実現しており、その充填方法としてはコーティング技術を利用している。
【0004】
この工法ではRGB3色の着色材料の塗布の工程それぞれが独立しており、それぞれの工程で、遮光などのための非常に高い精度を要求する遮蔽部材(マスク)を必要としていた。したがって、3色それぞれの着色工程を必要とするという工数的(時間)な面においても、3色それぞれの着色で使用する塗布に加えて余分な着色剤の剥離に要する装置及びそれらの工程で使用される治工具及び部材といった面において等、設備及び製造コストが高くつくという問題を抱えていた。
【0005】
最近では、コーティング工法に代わり、塗布材を供給する「塗布ヘッド」としてインクジェットヘッドを装備した塗布装置により、基材であるマトリクス状に遮光部を形成したガラス基板等上に、「塗布材」である着色材料をインクジェットヘッドに形成された「吐出ノズル」であるインクジェットノズルから供給・塗布してカラーフィルタを製造する方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−273868
【特許文献2】特許第3925525号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大画面を持つカラー液晶TV、プラズマTV或いは大型のディスプレイ向けのカラーフィルターなど大きな面積に、インクジェットヘッドによる塗布装置を用いて着色材料等を塗布する場合、或いは小型の情報端末向けのディスプレイのように、個々の製品に必要な塗布面積が小さいものでも一枚の基板に複数個を同時並行で生産をしようとする場合、一度に大きな面積に着色材料等を塗布する必要がある。
こうした場合、迅速・効率的に塗布を完了させるには、大きな有効塗布幅のインクジェットヘッドを準備して、このインクジェットヘッドと基板とを相対的に移動させ、その移動中にインクジェットヘッドに着色材料を供給し、塗布対象物であるカラーフィルターの塗布すべき場所に、インクジェットヘッドのインクジェットノズルより吐出・塗布する。
実際には、着色材料を塗布するインクジェットノズルの配列密度に制約があって、インクジェットノズルの小さな配列密度を実現する為、さらに隣接するインクジェットヘッド間の塗布不能部分を補完する為にインクジェットヘッドの配置を並列にする必要がある。
しかし、これでは塗布装置の移動方向に直角方向に直線的な塗布をするだけでも、移動方向に大きなスペースを必要とすることになってしまう。
【0008】
これを解消する方法として特許文献1では、複数のインクジェットヘッドのそれぞれを傾けて配列・配置して、インクジェットノズルの配列密度を小さくして塗布に必要なインクジェットノズルの配列密度を実現する方法が開示されている。
こうしてインクジェットヘッドと基板とを相対的に移動させて塗布する場合、インクジェットヘッドのインクジェットノズルの配列による弊害、例えばインクジェットノズル毎の着色材料の吐出量の偏りによる塗布量のバラツキが一部にあれば、そのインクジェットノズルを装着した塗布装置によって製造されるカラーフィルタには、そのバラツキによる透過光量の差がインクジェットヘッドの移動方向に直線的に出る。
製造されたカラーフィルタがディスプレイに組み込まれた場合には、そのカラーフィルタを透過する光量の差が色のムラとなってスジ状に発生してしまう。
【0009】
本発明者等は現状のインクジェットヘッドによる塗布方法・装置の開発において、この原因探求に取り組むうち、一つのインクジェットヘッド内で数十μmという細かいピッチで形成されたインクジェットノズルで同時に吐出動作をさせた場合、ある1つのインクジェットノズルから吐出された着色材料の量に注目すると、その量は隣接する近傍のインクジェットノズルの吐出による影響を受け、そのインクジェットノズルを単独で着色材料を吐出した場合に比べ5〜10%程度着色材料の吐出量が増加することを確認した。
【0010】
したがって、隣接するインクジェットノズルが同時に駆動されるとインクジェットヘッド或いは同時に塗出動作を行なったインクジェットノズルの両端に位置する数個のインクジェットノズルの吐出量は常に他のインクジェットノズルよりも吐出量が少なくなる。この結果、インクジェットバーの直線的な移動によって連続塗布をした場合に、どちらの場合でも、この両端のインクジェットノズルが通過した塗布領域に塗布量が少ない部分がスジ状に現れてしまう。
【0011】
特許文献2では、こうした弊害を避ける一案として、隣接する一組のインクジェットヘッドを移動方向にずらしてその端部を重ね合うように配置して一つの長尺ノズル列とし、また別の隣接する一組のインクジェットヘッドを移動方向に直角な方向にずらして、その端部も同じように重ね合うように配置し一つの長尺ノズル列とし、その上で、それぞれの長尺ノズル列の繋ぎ(重ね合わせ)部分をずらした配置とし、吐出量の少ない端部のノズルを使用しないことで、色ムラの発生が抑えることができると開示している。
【0012】
しかしながら、特許文献2によるカラーフィルタの製造装置では、吐出量が少ないとして端部のノズルの吐出を停止すると、吐出する隣接したノズルの端になるノズルにおいてその吐出量に低下が現出し、やはりその吐出量が低下したノズルによって塗布された部分がインクジェットヘッドの移動方向に連続して、透過光量に差が出て結果として色ムラなどが発生してしまう。
【0013】
また吐出量の低い部分を使用しないように、移動方向に直角な方向に重ねあわせてインクジェットヘッドを配列・配置すれば、インクジェットヘッドの配置スペースに大きな無駄が生じて装置の大型化等を誘因し、その上にすべてのインクジェットヘッドの両端のノズルを使用しないのは不経済である。
【0014】
そしてさらに、本発明者等の検討が進む中で、
1つのインクジェットヘッド内のインクジェットノズルにおいて、そのノズルごとの吐出・非吐出を組み合わる等の工夫する等で、1画素あたりの着色材料の総吐出量の平準化をし透過光量の差、色ムラとしては十分に許容できるカラーフィルタであっても、なお着色材料の着弾の時差による乾燥時間等の違いで、乾燥後の画素表面に微妙な‘うねり’が発生することが確認された。
これによる不具合としては、明度が低い状態でカラーフィルタの表面の外光反射光を観察すると、この‘うねり’の部分で光の反射に変化が出て、その‘うねり’が連続するとスジ状に反射の強い、或いは弱い部分が起きることである。
【0015】
本発明は、カラーフィルターとしての色度の許容値が有効画面領域全体において1000分の3であり、この色度の許容値を実現する着色材料の塗布量バラツキの許容値が3%以下であることを確認しており、これをカラーフィルタの目標仕様とし、その仕様を満足する本発明の塗布装置・方法を実現し、さらにカラーフィルタとしてディスプレイに装着され、その表面に外光が当たって反射光があっても反射光の強弱が部分的に発生することが無いものを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本発明では、
複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布装置及び塗布方法であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布する構成とした。
また、前記間欠塗布する領域の幅が、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅、及び/或いは少なくとも3画素以上である構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、「塗布ヘッド」であるインクジェットヘッドの各「吐出ノズル」であるインクジェットノズルから1回に吐出する塗布材である着色材料の一塗布領域(画素)当たりの総量が均一化し、複数のインクジェットヘッドを搭載して縦横にインクジェットヘッド、或いは塗布対象物を移動させ塗布材である着色材料を塗布することにより、大きな面積を全体にわたり塗布量のバラツキが少なく塗布することが可能で、さらにインクジェットヘッドの直線的な移動による連続した領域に起こりやすいスジ状の塗布ムラを防止し、加えて表面に発生する僅かな‘うねり’が残ってもそれが直線的に連続したものにすることなく、無透過光時等に外光反射の強弱が部分的に発生することのないカラーフィルタを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の塗布装置の実施の形態を、カラーフィルタ製造装置を例にとって詳細に説明する。
【0019】
図1はカラーフィルタ製造のための塗布装置の一実施形態を示す斜視図である。この例のカラーフィルタ製造装置は、機台1上に吸着テーブル3、塗布ガントリー4、カメラガントリー6などを支承している。
「保持ステージ」である吸着テーブル3は、ガラス基板2を吸着保持するものであり、このガラス基板2の位置決めを達成するために、図示しない駆動機構、ガイド機構によって、回転駆動されるとともに、Y方向に駆動される。
塗布ガントリー4は、図示しない駆動機構、ガイド機構によって機台1上をX方向に移動し、インクジェットヘッドバー5をX方向に制御・駆動させて、「塗布対象物」であるガラス基板2に「塗布材」である着色材料をインクジェットヘッドバー5のインクジェットヘッド51に形成されたインクジェットノズル52から「塗布対象物」であるガラス基板2の塗布領域に吐出・塗布する。
【0020】
インクジェットヘッドバー5はまた、塗布ガントリー上で、図示しない駆動機構、ガイド機構によってZ方向、Y方向に保持・駆動され、ガラス基板2に対するインクジェットノズル52からの着色材料の吐出・塗布に最適な位置に制御移動される。
【0021】
カメラガントリー6は、塗布ガントリーと同じように図示しない駆動機構、ガイド機構によって機台1上をX方向に往復移動される。
カメラガントリー6にはアラインメントカメラ7、8が機台1上の測定基準位置に調整した上でカメラガントリー6に装着・固定されており、アラインメントカメラ7、8によってガラス基板2上に付されたアライメントマーク(図示せず)を読み取り、基準点からのズレを計測して機台1上のガラス基板2の傾きを計算し、計算結果に基づいて吸着テーブル3を回転させ、および/またはY方向に移動させることにより、ガラス基板2のアラインメントを達成することができるする。
【0022】
また、カメラガントリー6には、ガラス基板2に着弾した着色材料を検出・計測するスキャンカメラ9を装着・保持することがより好ましく、このスキャンカメラ9は、カメラガントリー6上を、図示しない駆動機構、ガイド機構によってY方向、Z方向に往復移動される。
【0023】
ここで、X、Yは、吸着テーブル3により吸着保持されたガラス基板2の上面と平行な平面を規定すべく設定された互いに直交する方向を表し、Zは、X、Yにより規定された平面と直交する方向を表している。
【0024】
なお、スキャンカメラ9に代えて二次元CCDカメラを採用することによれば、ガラス基板に着弾した液滴を、ガラス基板表面におけるその直径から面積を演算し、徐々に高さを一定のステップで上げて、それぞれの面積を演算することにより、液滴の体積を算出することが可能であり、その着色材料を吐出したインクジェットノズルごとにインクジェットノズル52からの着色材料の吐出量を精度高く計測・演算することができる。
【0025】
図2は、インクジェットヘッドバー5の構成を示す一例の概略図である。
この例ではインクジェットヘッド51を5つ並列に配置した5段で一つの列を構成し、段を構成するインクジェットヘッドを3段と2段と2分割して、それらを千鳥状に6列配備した合計30ヘッドの例を示している。
【0026】
図2に示すインクジェットヘッドバー5は、赤(R)、緑(G)、青(B)の着色材料のいずれかを塗布するためのものであり、特には図示していないが、他の着色材料を塗布するためのインクジェットヘッドバーも設けられている。
【0027】
図3は、インクジェットヘッド51に設けられたインクジェットノズル52の、インクジェットバー5の移動方向に直角の向きの配列ピッチを示している。
列をなす2段と3段の5つのインクジェットヘッド51によって、インクジェットノズル52に必要な配列密度を実現する為に、インクジェットヘッド51の移動方向に直角にそれぞれのインクジェットノズル52が配列ピッチPでもって形成されている。
さらに隣接する列を構成する5つのインクジェットヘッド51の端のインクジェットノズル52が配列ピッチPになるように、配置され、インクジェットバー5の1回の移動で塗布すべき幅に応じてインクジェットヘッド51を連続して配置する。
【0028】
図4は、インクジェットノズル52を選択するためにインクジェットヘッドバー5、インクジェットヘッド51を制御するための構成の一例を示す概略ブロック図である。
ここでの構成は、計測手段であるスキャンカメラ9及びスキャンカメラ9による撮像データ(例えば、全てのインクジェットノズル52から着色材料を試験領域に吐出・塗布させた状態に対応する撮像データ)を入力として各インクジェットノズル52から吐出した着色材料の着弾痕のX,Y座標、及び着色材料の直径、面積、または体積を算出する画像処理装置11と、
算出された直径、面積、または体積などの必要なデータや、後述する吐出データテーブルを記憶・保持する保持手段であるメモリ12と、
メモリ12に保持されている直径、面積、または体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータを考慮して動作させるべきインクジェットノズル52を選択するために、外部の周辺装置とのデータや制御信号などを授受する入出力のインターフェースなどを受け持つ周辺回路や演算回路などを含むインクジェットヘッドバー5を駆動・停止させる制御手段である制御装置13とを有している。
【0029】
次に、本発明の塗布装置により塗布領域を全面にわたり均一に塗布する仕組みを実施例をもとに説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施例として、代表的な37インチサイズの高精細テレビ受像機に対応できる幅180μm、長さ530μmの大きさの画素に着色材料を適量、塗布充填することで説明する。
【0031】
この場合、微小な液滴で、100万を越える上記した大きさの画素に3色それぞれの着色材料を塗布することから、インクジェットノズル52の密度にもそれに対応した密度が必要であり、この場合にはインクジェットインクジェットノズル52の配列密度を1800dpiとして、1つのインクジェットノズル52からの着色材料1発(滴)の吐出量を30pl(ピコ・リットル)として50発、合計1500plの着色材料を、ガラス基板2等にマトリクス状の遮光部を形成したガラス基板2のそのマス目=画素の中に吐出・塗布してカラーフィルタを製造することとしている。
【0032】
1800dpiのインクジェットノズル52の配列ピッチPは、14.11μmとなるが、この14.11μmという狭ピッチの値は、現状の基本的なインクジェット方式によるインクジェットノズル52を構成する部材寸法・機構上等の制約から1つのインクジェットヘッド51で実現することが困難である。そこでこの狭ピッチを、5つのインクジェットヘッド51で実現する、つまり1つのインクジェットヘッド51に形成されるインクジェットノズル52の配列間隔は360dpiで70.56μmでインクジェットノズル52を形成したインクジェットヘッド51を準備し、そのインクジェットヘッド51をピッチ14.11μmづつずらした構成で実現している。
【0033】
インクジェットノズル52が吐出・塗布する着色材料は、それが基板上に形成されたマトリクス状の遮光部に乗り上げて隣接する画素間の着色材料が混じり、或いは乗り越えて隣接する画素に混色を起こしたりすることを避ける必要がある。そのために、インクジェットノズル52の事前の吐出液滴の計測で、基板への飛翔中の液滴の直径が平均すると40μmであることから、長さ530μmの両端の縁からインクジェットノズル52から基板に塗布された着色材料の飛翔中の液滴の半径である20μmの位置より外側の区域を吐出禁止領域とし、長手方向で490μm、短手方向で140μmの範囲にインクジェットノズル52からの着色材料の液滴を飛翔・着弾させる。
【0034】
短手方向の着弾位置の精度は、塗布ガントリーの速度を生産性の許容する範囲で速度を設定することで可能だが、長手方向の着段位置の制約は画素の上空を通過するインクジェットノズル52のうち、着弾すべき範囲にあるインクジェットノズル52だけに吐出・塗布制御する必要がある。
したがって、インクジェットノズル52から吐出塗布すべき範囲は490μmの間で位置するインクジェットノズル52から選択する吐出・塗布制御により、基板に形成されたそれぞれの画素への着色材料の吐出・塗布を行う。
【0035】
1800dpiのインクジェットノズル52の配列ピッチ14.11μmから、この画素1つの長さ490μmに着色材料を吐出・塗布可能なインクジェットノズル52の数は34個となる。
図2のようにこの配列ピッチを列をなす1番目の配列から5番目の配列の5つのインクジェットヘッド51で実現するので、吐出・塗布可能なインクジェットノズル52の数は、端となるインクジェットヘッド51から6個のインクジェットノズル、残る4つのインクジェットヘッド51から7個のインクジェットノズル52で吐出・塗布が可能となる。
【0036】
つまり、5つのインクジェットヘッド51の列で、1つは6個のインクジェットノズル52が、対応する画素に吐出・塗布すべきものとなり、その他のインクジェットヘッド51は7個のインクジェットノズル52が吐出・塗布すべきものとして、それぞれ対象となる34個のインクジェットノズル52が制御手段により吐出・非吐出が制御されることとなる。
【0037】
この対象となる34個のインクジェットノズル52の画素への吐出・塗布による吐出量がより安定する方法として、本発明者は、1つおきのインクジェットノズル52を吐出・非吐出を制御して吐出動作を指令し、吐出指令のあったインクジェットノズル52から画素に着色材料を吐出する方法が効果が‘大’であること確認している。そのため、前述の34個のインクジェットノズル52から、一つのインクジェットヘッド51内の隣接するインクジェットノズル52が同時に吐出しないような制御とすることで、それぞれの画素にインクジェットノズル52で安定した量の着色材料を吐出・塗布して充填することが出来る。
【0038】
1つおきに吐出制御すれば、インクジェットノズル52からの吐出量が少なくなるが、それぞれの吐出量が一定して等量となり、画素への着色材料の塗布量が安定して塗布量の許容値3%以内の塗布が可能となる。
この場合1つおきのインクジェットノズル52を動作させることができるのは、前述のように、5つのインクジェットヘッド51の列で、1つは6個のインクジェットノズル52が、対応する画素に吐出・塗布すべきものとなり、その他のインクジェットヘッド51は7個のインクジェットノズル52となるので、6個のインクジェットノズル51が対象となるインクジェットヘッド51からは3個,7個のインクジェットノズル52が対象となるインクジェットヘッド51からは4個或いは3個を使用する以下の組合わせが選択できる。
1)3+4+3+4+3 の合計17個
2)3+3+4+3+4 の合計17個
この17個のインクジェットノズル52を使い1500plの着色材料を1つの画素に吐出・塗布するには、それぞれのインクジェットノズル52から3発の着色材料を吐出をすることで合計51発の着色材料の吐出が可能となり、1つの画素の塗布に必要な50発の着色材料の吐出・塗布を確保できる。
つまり、余りの1発の着色材料の吐出は平常時には非吐出とし、各インクジェットノズル52の吐出量が僅かに低下した場合に、この余裕分のインクジェットノズル52から吐出を行うことで適正な吐出・塗布量を確保できる。
【0039】
個々のインクジェットノズル52からの着色材料の吐出量である30plは、事前に行うそれぞれの装備するインクジェットヘッド51の試射による計測で、或いは後述するテストパターン検査により計測されて塗布開始前に最新の状態でのテストパターン塗布における着弾痕の直径や体積など正確な1回の吐出量が確認・調節され、そのデータが吐出データテーブルとしてメモリーに格納され、その格納した数値等を用いてインクジェットノズル52の選択と吐出・非吐出の制御を行い、カラーフィルターとしての色度の許容値が有効画面領域全体において1000分の3、この色度の許容値を実現する着色材料の塗布量バラツキの許容値が3%以下という色度の仕様を満足させる。
【0040】
こうして、1つの画素に1500plの着色材料を安定して吐出・塗布して、1画素あたりの着色材料の総吐出量の平準化をし透過光量の差、色ムラとしては十分に許容できるカラーフィルタであっても、なお着色材料の着弾の時差による乾燥時間の違いで、乾燥後の画素表面に微妙な‘うねり’が発生することが確認された。
これによる不具合としては、明度が低い状態でカラーフィルタの表面の外光反射光を観察すると、この‘うねり’の部分で光の反射に変化が出て、その‘うねり’が連続するとスジ状に反射の強い、或いは弱い部分が起きることである。
【0041】
そのため、本発明ではさらに、このインクジェットバー5,インクジェットヘッド51、インクジェットノズル52に対し制御装置からの吐出・非吐出の指示を図5のように、1つのインクジェットヘッドバー5の幅の両端、その吐出領域の端部から非吐出とする画素の数を一部間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上のインクジェットヘッドバー5の往復走査によって、その非吐出の部分を補完して塗布完了させる。
【0042】
この場合の、間欠部分の領域に含まれる画素の数は、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する隣接同時吐出において相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅にある画素数、及び/或いは少なくとも3画素以上であることが好ましい。
【0043】
この1800dpiの配列密度を5つのインクジェットヘッド51を組として列をなす構成のインクジェットヘッド51を複数組準備して、隣接位置となるインクジェットノズル52を図2のように配列ピッチPを確保してインクジェットヘッドバー5に装着・配備することにより、一度に塗布する領域に必要な塗布幅のインクジェットバー5を構成することが可能で、大きな塗布面積を塗布する要求に対しても、必要な工程時間等との兼ね合いで、使用するインクジェットヘッドバー5の設計を行うことが可能となる。
【0044】
ここで示したインクジェットノズル52は塗布すべき着色材料の中の一つを表わしており、カラーフィルタとしてはRGB各色の分を準備する必要がある。
この場合、RGB各着色材料の隣り合う画素において間引く数も、それぞれが違う設定とすることが好ましい。
それによって、画素への着色材料の総吐出量を所定の量に平準化し、かつ画素に吐出され着色材料が乾燥した後にその表面に僅かな‘うねり’発生しても、可視範囲内の角度からの外光反射の確認でそこが明暗のスジとならないようにすることができる。
【0045】
前述のように、この計測手段及び保持手段であるメモリー12を装備することにより、インクジェットヘッドバー5に搭載されるインクジェットヘッド51に形成されたインクジェットノズル52による塗布動作を行う毎にメモリー12に保持されている各インクジェットノズルの吐出・塗布による着弾痕の直径、面積、または体積を更新するので、インクジェットヘッドバー5による次の塗布動作を行うに当って、最新の各インクジェットノズル52の塗布量のデータにより、インクジェットヘッドバー5を制御し、塗布領域にある画素の位置座標に合わせ、吐出動作させるべきインクジェットノズル52を選択し、「吐出」の制御指令を出して着色材料の最適な塗布量を維持することができる。
【0046】
なお、制御装置13は、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測した体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量を一定にするよう吐出すべきインクジェットノズル52の選択と着色材料の液滴の吐出数などにより着色材料の供給量を塗布領域全体で平均化すべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御することが好ましく、結果としてカラーフィルターとしての色度の要求に対し高次な精度で満たすことができる。
【0047】
或いは、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測して得た体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量の最適化を狙いとして、吐出すべき対応インクジェットノズル52の選択とそのインクジェットノズル52からの液滴の吐出量の制御を行うことなどにより着色材料の供給量を許容誤差範囲内にすべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御して塗布領域全体の塗布量を許容範囲にすることが好ましく、結果としてカラーフィルターとしての色度の要求をさらに高次な精度で満たすことができる。
【0048】
供給量をインクジェットノズルの選択と吐出数の制御により塗布領域全域で平均化する場合には、画素領域23に対する着色材料の塗布品質を著しく高めることができ、インクジェットノズル52の個々の吐出量の制御を行う後者の場合には、画素領域23に対する1回の吐出量が増減変化したインクジェットノズル52でも塗布動作に供することができるようになり、着色材料の塗布品質の維持と使用可能なインクジェットノズル52の数の増加とを両立させることができる。
【0049】
次いで、上記の構成のカラーフィルタ製造装置の作用を説明する。
図6は着色材料塗布及びテストパターン検査の処理を説明するタイミングチャートの一例である。この例では塗布ガントリー5の2回の往復移動で、塗布対象物に着色材料の塗布を行い、また1回目と2回目の往復移動の間に、テストパターン検査工程を入れたもとのして塗布工程を終えるようにしている。
【0050】
図7はガラス基板2上に6個のカラーフィルタCFが形成されたサンプルを示しており、しかも、カラーフィルタCFよりも外方の余剰領域に各着色材料毎のテストパターンTPを形成するようにしている。
【0051】
図8はテストパターンTP形成部を拡大して示す図であり、カメラガントリー6に搭載されたスキャンカメラ9等により検査されるものとして、3色分のインクジェットノズル52によって形成されたテストパターンTPを示している。このテストパターンTPはガラス基板2上に各インクジェットノズル52から吐出された着色材料がガラス基板2に着弾した形状そのものであり、スキャンカメラ9、或いは2次元CCDカメラによる撮像を画像処理する。
【0052】
図8に示したように、着色材料同士は互いに離れているとともに千鳥状に着弾させている。こうすることで、着色材料同士の間隔が大きく、計測時の画像処理にゆとりがあり、検査精度を高めて、カメラガントリー6に装着されたスキャンカメラ9、或いは2次元CCDカメラによりテストパターンTPを検査することができ、インク着弾痕のX,Y座標と共に、インク着弾痕の直径、面積、或いはZ方向に計測高さを変化させ面積を連続計算することにより体積も計測・演算することができる。そしてインク着弾痕の形状の不正や、未着弾などの吐出不良が検出された場合には、後述するように、直ちに必要な対処(カラーフィルタの製造中断、インクジェットヘッド51の交換など)を行うことができ、不良品が製造されることを最小限にすることができる。
【0053】
図9はテストパターン検査処理の一例を説明するフローチャートである。なお、図8のタイミングチャートには、図9のフローチャートに基づく処理は示されていない。
【0054】
図9により、テストパターン検査処理を説明する。
ステップSP1において、図示しない搬入ロボットなどによる吸着テーブル3へのテスト用ガラス基板の搬入が行われた後に、ステップSP2において、図示しない外形規制手段によって、テスト用ガラス基板の概略の位置決めを達成する。そして、ステップSP3において、吸着テーブル3によりテスト用ガラス基板を吸着し、その後、ステップSP4において、カメラガントリー6を往動させ、ステップSP5において、テスト用ガラス基板のアラインメントマークを検出し、Y方向の位置決め、θ(Z軸回りの回点)方向のアラインメントを達成し、ステップSP6において、カメラガントリー6を復動させる。
【0055】
次いで、ステップSP7において、塗布ガントリー4を往動/復動させるとともに、塗布ガントリー4のX座標値を出力し、ステップSP8において、X座標値に基づいて塗布ガントリー4がテストパターン塗布位置に達したか否かを判定し、テストパターン塗布位置に達していない場合には、再びステップSP7の処理を行う。
【0056】
ステップSP8において塗布ガントリー4がテストパターン塗布位置に達したと判定された場合には、ステップSP9において、塗布ガントリー4の移動を停止させ、インクジェットヘッドバー5の全てのインクジェットノズル52から着色材料の液滴を吐出し、ステップSP10において、塗布ガントリー4を復動させ、待機位置で停止させる。
【0057】
次いで、テストパターン(TP)の撮像及び検査を行うフローに入り、ここではステップSP11において、カメラガントリー6を往動させ、ステップSP12において、カメラガントリー6がテストパターン検査位置に達したか否かを判定する。
そして、テストパターン検査位置に達していない場合には、再びステップSP11の処理を行う。
【0058】
そして、ステップSP12においてカメラガントリー6がテストパターン検査位置に達したと判定された場合には、ステップSP13において、カメラガントリー6を停止させ、ステップSP14において、スキャンカメラ9をY方向に移動させてテストパターンを検出しながらテストパターンを終端まで撮像し、その後、スキャンカメラ9をY方向に待機位置まで戻す。
【0059】
ステップSP14の処理後、ステップSP15において、カメラガントリー6を復動させて待機位置で停止させ「テストパターン(TP)撮像フロー」を終えて、ステップSP16において、テスト用ガラス基板の吸着を解除して、排出し、一連の処理を終了する。
【0060】
また、ステップSP15、ステップSP16の処理と並行して、ステップSP17において、スキャンカメラ9による検出信号を画像処理し、X,Y座標と、着色材料の着弾痕の直径、面積そして/又は体積を計測・演算し、ステップSP18において、テストパターンの着色材料着弾痕から検出した座標位置情報等を入力し、ステップSP19において、テスト用ガラス基板上の全画素の位置情報(座標値)を入力し、ステップSP20において、その他のパラメータを入力し、ステップSP21において、全画素に対応して吐出すべきインクジェットノズルの選択と吐出量(吐出数)等を基本データとする吐出データテーブルの演算/作成を行い、ステップSP22において、演算結果を吐出データテーブルに記憶し、画像処理及び計測・演算といった一連の処理を終了する。
【0061】
次いで、図10に示すカラーフィルタ製造フローチャートにより、カラーフィルタ製造処理の実施例を説明する。
装置の効率的な稼動を実現するためには、塗布ガントリー4の所定の開始位置から「一筆書き」で塗布動作を完了するよう必要塗布領域に対し、塗布ガントリー4を少なくとも1回以上の往復動作で済むように有効インクジェットヘッドノズルの幅を設定することが望ましい。
【0062】
図10中のステップSP1において、図示しない搬入ロボットなどによる吸着テーブル3へのガラス基板2の搬入が行われた後に、ステップSP2において、図示しない外形規制手段によって、ガラス基板2の概略の位置決めを達成する。そして、ステップSP3において、吸着テーブル3によりガラス基板2を吸着し、その後、ステップSP4において、カメラガントリー6を往動させ、ステップSP5において、ガラス基板2のアラインメントマークを検出し、Y方向、θ(シータ)方向の位置決めを行うことによって、ガラス基板2のアラインメントを達成し、ステップSP6において、カメラガントリー6を復動させる。
【0063】
そして、ステップSP7において、往路塗布か、復路塗布かを判定する。
【0064】
ステップSP7において往路塗布であると判定された場合には、ステップSP8において、塗布ガントリー4を往動させるとともに、塗布ガントリー4のX座標値を出力し、逆に、ステップSP7において復路塗布であると判定された場合には、ステップSP9において、塗布ガントリー4を復動させ、X座標値を出力させる。
【0065】
そして、ステップSP8の処理、またはステップSP9の処理が行われた場合には、ステップSP10において、塗布が塗布領域終端まで行われたか否かを判定する。
【0066】
ステップSP10において塗布が塗布領域終端までは行われていないと判定された場合には、ステップSP11において、塗布ガントリー4のX座標出力信号と吐出データテーブルとを比較し、ステップSP12において、X座標と吐出データとが一致しているか否かを判定し、X座標と吐出データとが一致していれば、ステップSP13において、インクジェットノズル52により着色材料の液滴を吐出し、一致していなければ、ステップSP7に戻る。
【0067】
このステップSP13の着色材料の液滴の吐出動作について説明する。
図5Aのようにインクジェットヘッドバー5の1走査(往路)の塗布で、両端のインクジェットノズルが通過した塗布領域に塗布量が少ない部分がスジ状に現れてしまい易い塗布領域の端部から数画素の範囲を非吐出として未塗布の画素を残した間欠塗布とし、図5Bのように復路の1走査ではその領域を重複してインクジェットヘッドバー5をY方向にシフトさせて移動してその部分を補完する吐出を含む残りの区域に着色材料を塗布する制御を行う。
【0068】
インクジェットノズル52の個々の着色材料の吐出量の僅かなバラツキについては、制御装置13によって、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測した体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量を一定にするよう吐出すべきインクジェットノズル52の組合せの選択により着色材料の供給量を塗布領域全体で平均化すべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御して、カラーフィルターとしての吐出量の許容量の要求を満たすように吐出動作の制御を行う。
【0069】
或いは、制御装置13によって、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測して得た体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量の最適化を狙いとして、吐出すべき対応インクジェットノズル52の組合せの選択とそのインクジェットノズル52からの着色材料の吐出量の増減の調節や、液滴の数の吐出指令などにより着色材料の供給量を許容誤差範囲内にすべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御して塗布領域全体の塗布量を許容範囲にすることが好ましく、結果としてカラーフィルターとしての色度の要求を満たすように着色材料の液滴の吐出動作の制御を行なう。
【0070】
続いて、ステップSP10において、X座標値に基づいて塗布が終端まで行われたか否かを判定する。
【0071】
そして、ステップSP12においてX座標と吐出データとが一致していないと判定された場合、またはステップSP13の処理が行われた場合には、再びステップSP7に戻り往路復路の判定を行う。
【0072】
ステップSP10において塗布が終端まで行われたと判定された場合には、ステップSP14において、往路1回目の塗布か否かを判定し、往路1回目の塗布であった場合には、ステップSP15において、塗布ガントリー4をテストパターン塗布位置に移動させ、ステップSP16において、インクジェットヘッドバー5によりテストパターンを形成する。具体的には、インクジェットヘッドバー5をX方向に移動させるとともに、インクジェットヘッド51の列毎にすべてのインクジェットノズル52から吐出動作を行い、着色材料を吐出・塗布することによって、千鳥状のテストパターンを形成する。
【0073】
ステップSP14において往路1回目の塗布でないと判定された場合、またはステップSP16の処理が行われた場合には、ステップSP17において、塗布領域全域を塗布するための所定回数の塗布が行われたか否かを判定する。
【0074】
ステップSP17において塗布回数が所定回数に達していないと判定された場合には、ステップSP18において、塗布ガントリー4を停止させ、インクジェットヘッドバー5をY方向に移動させ、再びステップSP7の判定を行う。
Y方向の移動距離は、インクジェットヘッドバー5の仕様によるインクジェットヘッド51の有効塗布幅で決り、塗布領域全幅を少なくとも1回以上の往復走査で隙間無く塗布を完了させる。
【0075】
また、ステップSP17において所定回数の塗布が行われたと判定された場合には、ステップSP19において、塗布処理を終了し、ステップSP20において、前記図11で説明した「TP撮像フロー」で得た、全てのインクジェットノズル52から吐出した着色材料の着弾痕の画像から、インクジェットノズル52の吐出不良の数が、塗布領域で対象となる画素単位の範囲で許容される数を超えているかの判定を行う。
【0076】
判定の結果、許容範囲を超えるインクジェットヘッド51の吐出不良の発生が確認された場合には、クリーニングフローに移り、許容範囲内であれば、ステップSP21において、吸着テーブル3によるガラス基板2の吸着を解除し、図示しない搬出ロボットなどによりガラス基板2を搬出し、そのまま一連の処理を終了する。
【0077】
一方、ステップ7で復路と判定された場合には、ステップSP9の塗布ガントリー4の復路移動と並行して、図9で説明した「TP撮像フロー」を経て、前記のステップSP19の塗布終了の処理に移る。
【0078】
前述の例では、塗布ガントリー4を吸着テーブル3に対してX方向に移動させるようにした実施形態を説明したが、塗布ガントリー4を固定し、吸着テーブル3を移動させるように構成することも可能である。
【実施例2】
【0079】
上の実施形態においては、吐出するインクジェットノズル52を選択と吐出数の制御をすることによってカラーフィルタ上の画素に対する総塗布量を必要塗布量に近づけるようにしているだけであって、インクジェットノズル52から吐出される吐出1回当たりの量を変化させることは全く行っていない。
しかし、塗布動作中にインクジェットノズル52の吐出動作を繰り返し行うことで、それぞれのインクジェットノズル52からの吐出量が僅かながら変化してしまい、ガラス基板単位での塗布工程の合間にメンテナンスの回数が増えることを避けられない。
この僅かなインクジェットノズル52からの吐出量の変化に対応してインクジェットノズル52の吐出量を補正することでメンテナンスの頻度を抑えることができれば、生産性が向上することを期待出来る。
そのため塗布装置に、前記インクジェットヘッド51内のインクジェットノズル52から吐出される吐出1回当たりの量を変化させるノズル制御手段(図示せず)と、前記インクジェットヘッド51内の各インクジェットノズル52から吐出される吐出1回当たりの量の合計をインクジェットヘッド51毎に所定量に近づけるようにインクジェットノズル52の制御手段を制御する上位制御手段(図示せず)と、をさらに備えていることが好ましい。
【0080】
前記ノズル制御手段は、例えば、インクジェットノズル52に印加する駆動電圧を変化させることによって吐出1回当たりの吐出量を変化させるものである。
【0081】
前記上位制御手段は、例えば、スキャンカメラ9によって得られた吐出量の不均一性データ等を入力として、インクジェットヘッド51内の各インクジェットノズル52の吐出1回当たりの吐出量の合計(インクジェットヘッド51の吐出1回当たりの吐出量)を目標とする吐出量に近づけるように、各インクジェットノズル52の制御手段に対する動作指令を行うものである。
【0082】
この場合には、それぞれの画素の着色材料の塗布量をインクジェットヘッド51毎の吐出量を制御して合わせ込むことができる。さらに説明すると、特定のインクジェットヘッド51がインクの粘度などの影響を受けて吐出量が低くなった場合にも、上位制御手段によって各ノズル制御手段に対する動作指令を設定し、ノズル制御手段によってインクジェットノズル52に印加する駆動電圧等を変えることで、他のインクジェットヘッド51との吐出量ばらつきを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上、塗布装置の代表的な応用例として液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタ製造への適用例を述べたが、この装置は他の平面的な部材に着色材料或いは被膜材料を塗布する装置へと展開することも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】塗布装置の一実施例の斜視概観図
【図2】インクジェットヘッドバーのインクジェットヘッドの配置の一例
【図3】インクジェットヘッドバーのノズルの配置を示す一例
【図4】インクジェットノズルの駆動時の選択を示す一例
【図5】往復動作による補完塗布を示す一例の図
【図6】塗布動作、塗布パターン検査処理のタイミングフローチャート図
【図7】基板上に6個のカラーフィルタとテストパターンを塗布した状態の図
【図8】テストパターン形成部の部分拡大図
【図9】テストパターン検査処理のフローチャートの例
【図10】カラーフィルタ製造処理のフローチャートの例
【符号の説明】
【0085】
2 ガラス基板
3 吸着テーブル
5 インクジェットヘッドバー
9 スキャンカメラ
11 画像処理装置
12 メモリー
13 制御装置
51 インクジェットヘッド
52 インクジェットノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内の所定の位置に保持された塗布対象物に対して、複数の吐出ノズルを有する塗布ヘッドによって塗布材を供給する塗布装置及び塗布方法に関する。特に塗布対象物の塗布領域が小区画(画素と呼ぶ)に分割されたその画素に着色材料を塗布する場合等に大きな効果を期待できる。
【背景技術】
【0002】
最近の情報端末の画像表示技術の進展は目を見張るものがあり、大画面のものや、或いは小型の画面でも、非常に高い精細度の表示機器(ディスプレイ)が製造、実用化されている。そのような状況の中、低コストで高品位な画像表示を可能とするディスプレイに対する要求が強い。こうした要求に応えるディスプレイのキーデバイスとして、カラーフィルタがあり、そのカラーフィルタ製造方法・装置にも様々な工夫が取り入れられている。
【0003】
そうしたカラーフィルタの製造方法・装置にむけた従来の技術では、
基材であるガラス基板等に、遮光機能を果たす種々の材料によってマトリクス状に遮光部を形成して、そのマトリクス状の遮光部のマス目の中に着色材料を充填してカラーフィルタとしての機能を実現しており、その充填方法としてはコーティング技術を利用している。
【0004】
この工法ではRGB3色の着色材料の塗布の工程それぞれが独立しており、それぞれの工程で、遮光などのための非常に高い精度を要求する遮蔽部材(マスク)を必要としていた。したがって、3色それぞれの着色工程を必要とするという工数的(時間)な面においても、3色それぞれの着色で使用する塗布に加えて余分な着色剤の剥離に要する装置及びそれらの工程で使用される治工具及び部材といった面において等、設備及び製造コストが高くつくという問題を抱えていた。
【0005】
最近では、コーティング工法に代わり、塗布材を供給する「塗布ヘッド」としてインクジェットヘッドを装備した塗布装置により、基材であるマトリクス状に遮光部を形成したガラス基板等上に、「塗布材」である着色材料をインクジェットヘッドに形成された「吐出ノズル」であるインクジェットノズルから供給・塗布してカラーフィルタを製造する方法が提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−273868
【特許文献2】特許第3925525号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大画面を持つカラー液晶TV、プラズマTV或いは大型のディスプレイ向けのカラーフィルターなど大きな面積に、インクジェットヘッドによる塗布装置を用いて着色材料等を塗布する場合、或いは小型の情報端末向けのディスプレイのように、個々の製品に必要な塗布面積が小さいものでも一枚の基板に複数個を同時並行で生産をしようとする場合、一度に大きな面積に着色材料等を塗布する必要がある。
こうした場合、迅速・効率的に塗布を完了させるには、大きな有効塗布幅のインクジェットヘッドを準備して、このインクジェットヘッドと基板とを相対的に移動させ、その移動中にインクジェットヘッドに着色材料を供給し、塗布対象物であるカラーフィルターの塗布すべき場所に、インクジェットヘッドのインクジェットノズルより吐出・塗布する。
実際には、着色材料を塗布するインクジェットノズルの配列密度に制約があって、インクジェットノズルの小さな配列密度を実現する為、さらに隣接するインクジェットヘッド間の塗布不能部分を補完する為にインクジェットヘッドの配置を並列にする必要がある。
しかし、これでは塗布装置の移動方向に直角方向に直線的な塗布をするだけでも、移動方向に大きなスペースを必要とすることになってしまう。
【0008】
これを解消する方法として特許文献1では、複数のインクジェットヘッドのそれぞれを傾けて配列・配置して、インクジェットノズルの配列密度を小さくして塗布に必要なインクジェットノズルの配列密度を実現する方法が開示されている。
こうしてインクジェットヘッドと基板とを相対的に移動させて塗布する場合、インクジェットヘッドのインクジェットノズルの配列による弊害、例えばインクジェットノズル毎の着色材料の吐出量の偏りによる塗布量のバラツキが一部にあれば、そのインクジェットノズルを装着した塗布装置によって製造されるカラーフィルタには、そのバラツキによる透過光量の差がインクジェットヘッドの移動方向に直線的に出る。
製造されたカラーフィルタがディスプレイに組み込まれた場合には、そのカラーフィルタを透過する光量の差が色のムラとなってスジ状に発生してしまう。
【0009】
本発明者等は現状のインクジェットヘッドによる塗布方法・装置の開発において、この原因探求に取り組むうち、一つのインクジェットヘッド内で数十μmという細かいピッチで形成されたインクジェットノズルで同時に吐出動作をさせた場合、ある1つのインクジェットノズルから吐出された着色材料の量に注目すると、その量は隣接する近傍のインクジェットノズルの吐出による影響を受け、そのインクジェットノズルを単独で着色材料を吐出した場合に比べ5〜10%程度着色材料の吐出量が増加することを確認した。
【0010】
したがって、隣接するインクジェットノズルが同時に駆動されるとインクジェットヘッド或いは同時に塗出動作を行なったインクジェットノズルの両端に位置する数個のインクジェットノズルの吐出量は常に他のインクジェットノズルよりも吐出量が少なくなる。この結果、インクジェットバーの直線的な移動によって連続塗布をした場合に、どちらの場合でも、この両端のインクジェットノズルが通過した塗布領域に塗布量が少ない部分がスジ状に現れてしまう。
【0011】
特許文献2では、こうした弊害を避ける一案として、隣接する一組のインクジェットヘッドを移動方向にずらしてその端部を重ね合うように配置して一つの長尺ノズル列とし、また別の隣接する一組のインクジェットヘッドを移動方向に直角な方向にずらして、その端部も同じように重ね合うように配置し一つの長尺ノズル列とし、その上で、それぞれの長尺ノズル列の繋ぎ(重ね合わせ)部分をずらした配置とし、吐出量の少ない端部のノズルを使用しないことで、色ムラの発生が抑えることができると開示している。
【0012】
しかしながら、特許文献2によるカラーフィルタの製造装置では、吐出量が少ないとして端部のノズルの吐出を停止すると、吐出する隣接したノズルの端になるノズルにおいてその吐出量に低下が現出し、やはりその吐出量が低下したノズルによって塗布された部分がインクジェットヘッドの移動方向に連続して、透過光量に差が出て結果として色ムラなどが発生してしまう。
【0013】
また吐出量の低い部分を使用しないように、移動方向に直角な方向に重ねあわせてインクジェットヘッドを配列・配置すれば、インクジェットヘッドの配置スペースに大きな無駄が生じて装置の大型化等を誘因し、その上にすべてのインクジェットヘッドの両端のノズルを使用しないのは不経済である。
【0014】
そしてさらに、本発明者等の検討が進む中で、
1つのインクジェットヘッド内のインクジェットノズルにおいて、そのノズルごとの吐出・非吐出を組み合わる等の工夫する等で、1画素あたりの着色材料の総吐出量の平準化をし透過光量の差、色ムラとしては十分に許容できるカラーフィルタであっても、なお着色材料の着弾の時差による乾燥時間等の違いで、乾燥後の画素表面に微妙な‘うねり’が発生することが確認された。
これによる不具合としては、明度が低い状態でカラーフィルタの表面の外光反射光を観察すると、この‘うねり’の部分で光の反射に変化が出て、その‘うねり’が連続するとスジ状に反射の強い、或いは弱い部分が起きることである。
【0015】
本発明は、カラーフィルターとしての色度の許容値が有効画面領域全体において1000分の3であり、この色度の許容値を実現する着色材料の塗布量バラツキの許容値が3%以下であることを確認しており、これをカラーフィルタの目標仕様とし、その仕様を満足する本発明の塗布装置・方法を実現し、さらにカラーフィルタとしてディスプレイに装着され、その表面に外光が当たって反射光があっても反射光の強弱が部分的に発生することが無いものを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本発明では、
複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布装置及び塗布方法であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布する構成とした。
また、前記間欠塗布する領域の幅が、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅、及び/或いは少なくとも3画素以上である構成とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、「塗布ヘッド」であるインクジェットヘッドの各「吐出ノズル」であるインクジェットノズルから1回に吐出する塗布材である着色材料の一塗布領域(画素)当たりの総量が均一化し、複数のインクジェットヘッドを搭載して縦横にインクジェットヘッド、或いは塗布対象物を移動させ塗布材である着色材料を塗布することにより、大きな面積を全体にわたり塗布量のバラツキが少なく塗布することが可能で、さらにインクジェットヘッドの直線的な移動による連続した領域に起こりやすいスジ状の塗布ムラを防止し、加えて表面に発生する僅かな‘うねり’が残ってもそれが直線的に連続したものにすることなく、無透過光時等に外光反射の強弱が部分的に発生することのないカラーフィルタを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の塗布装置の実施の形態を、カラーフィルタ製造装置を例にとって詳細に説明する。
【0019】
図1はカラーフィルタ製造のための塗布装置の一実施形態を示す斜視図である。この例のカラーフィルタ製造装置は、機台1上に吸着テーブル3、塗布ガントリー4、カメラガントリー6などを支承している。
「保持ステージ」である吸着テーブル3は、ガラス基板2を吸着保持するものであり、このガラス基板2の位置決めを達成するために、図示しない駆動機構、ガイド機構によって、回転駆動されるとともに、Y方向に駆動される。
塗布ガントリー4は、図示しない駆動機構、ガイド機構によって機台1上をX方向に移動し、インクジェットヘッドバー5をX方向に制御・駆動させて、「塗布対象物」であるガラス基板2に「塗布材」である着色材料をインクジェットヘッドバー5のインクジェットヘッド51に形成されたインクジェットノズル52から「塗布対象物」であるガラス基板2の塗布領域に吐出・塗布する。
【0020】
インクジェットヘッドバー5はまた、塗布ガントリー上で、図示しない駆動機構、ガイド機構によってZ方向、Y方向に保持・駆動され、ガラス基板2に対するインクジェットノズル52からの着色材料の吐出・塗布に最適な位置に制御移動される。
【0021】
カメラガントリー6は、塗布ガントリーと同じように図示しない駆動機構、ガイド機構によって機台1上をX方向に往復移動される。
カメラガントリー6にはアラインメントカメラ7、8が機台1上の測定基準位置に調整した上でカメラガントリー6に装着・固定されており、アラインメントカメラ7、8によってガラス基板2上に付されたアライメントマーク(図示せず)を読み取り、基準点からのズレを計測して機台1上のガラス基板2の傾きを計算し、計算結果に基づいて吸着テーブル3を回転させ、および/またはY方向に移動させることにより、ガラス基板2のアラインメントを達成することができるする。
【0022】
また、カメラガントリー6には、ガラス基板2に着弾した着色材料を検出・計測するスキャンカメラ9を装着・保持することがより好ましく、このスキャンカメラ9は、カメラガントリー6上を、図示しない駆動機構、ガイド機構によってY方向、Z方向に往復移動される。
【0023】
ここで、X、Yは、吸着テーブル3により吸着保持されたガラス基板2の上面と平行な平面を規定すべく設定された互いに直交する方向を表し、Zは、X、Yにより規定された平面と直交する方向を表している。
【0024】
なお、スキャンカメラ9に代えて二次元CCDカメラを採用することによれば、ガラス基板に着弾した液滴を、ガラス基板表面におけるその直径から面積を演算し、徐々に高さを一定のステップで上げて、それぞれの面積を演算することにより、液滴の体積を算出することが可能であり、その着色材料を吐出したインクジェットノズルごとにインクジェットノズル52からの着色材料の吐出量を精度高く計測・演算することができる。
【0025】
図2は、インクジェットヘッドバー5の構成を示す一例の概略図である。
この例ではインクジェットヘッド51を5つ並列に配置した5段で一つの列を構成し、段を構成するインクジェットヘッドを3段と2段と2分割して、それらを千鳥状に6列配備した合計30ヘッドの例を示している。
【0026】
図2に示すインクジェットヘッドバー5は、赤(R)、緑(G)、青(B)の着色材料のいずれかを塗布するためのものであり、特には図示していないが、他の着色材料を塗布するためのインクジェットヘッドバーも設けられている。
【0027】
図3は、インクジェットヘッド51に設けられたインクジェットノズル52の、インクジェットバー5の移動方向に直角の向きの配列ピッチを示している。
列をなす2段と3段の5つのインクジェットヘッド51によって、インクジェットノズル52に必要な配列密度を実現する為に、インクジェットヘッド51の移動方向に直角にそれぞれのインクジェットノズル52が配列ピッチPでもって形成されている。
さらに隣接する列を構成する5つのインクジェットヘッド51の端のインクジェットノズル52が配列ピッチPになるように、配置され、インクジェットバー5の1回の移動で塗布すべき幅に応じてインクジェットヘッド51を連続して配置する。
【0028】
図4は、インクジェットノズル52を選択するためにインクジェットヘッドバー5、インクジェットヘッド51を制御するための構成の一例を示す概略ブロック図である。
ここでの構成は、計測手段であるスキャンカメラ9及びスキャンカメラ9による撮像データ(例えば、全てのインクジェットノズル52から着色材料を試験領域に吐出・塗布させた状態に対応する撮像データ)を入力として各インクジェットノズル52から吐出した着色材料の着弾痕のX,Y座標、及び着色材料の直径、面積、または体積を算出する画像処理装置11と、
算出された直径、面積、または体積などの必要なデータや、後述する吐出データテーブルを記憶・保持する保持手段であるメモリ12と、
メモリ12に保持されている直径、面積、または体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータを考慮して動作させるべきインクジェットノズル52を選択するために、外部の周辺装置とのデータや制御信号などを授受する入出力のインターフェースなどを受け持つ周辺回路や演算回路などを含むインクジェットヘッドバー5を駆動・停止させる制御手段である制御装置13とを有している。
【0029】
次に、本発明の塗布装置により塗布領域を全面にわたり均一に塗布する仕組みを実施例をもとに説明する。
【実施例1】
【0030】
本発明の実施例として、代表的な37インチサイズの高精細テレビ受像機に対応できる幅180μm、長さ530μmの大きさの画素に着色材料を適量、塗布充填することで説明する。
【0031】
この場合、微小な液滴で、100万を越える上記した大きさの画素に3色それぞれの着色材料を塗布することから、インクジェットノズル52の密度にもそれに対応した密度が必要であり、この場合にはインクジェットインクジェットノズル52の配列密度を1800dpiとして、1つのインクジェットノズル52からの着色材料1発(滴)の吐出量を30pl(ピコ・リットル)として50発、合計1500plの着色材料を、ガラス基板2等にマトリクス状の遮光部を形成したガラス基板2のそのマス目=画素の中に吐出・塗布してカラーフィルタを製造することとしている。
【0032】
1800dpiのインクジェットノズル52の配列ピッチPは、14.11μmとなるが、この14.11μmという狭ピッチの値は、現状の基本的なインクジェット方式によるインクジェットノズル52を構成する部材寸法・機構上等の制約から1つのインクジェットヘッド51で実現することが困難である。そこでこの狭ピッチを、5つのインクジェットヘッド51で実現する、つまり1つのインクジェットヘッド51に形成されるインクジェットノズル52の配列間隔は360dpiで70.56μmでインクジェットノズル52を形成したインクジェットヘッド51を準備し、そのインクジェットヘッド51をピッチ14.11μmづつずらした構成で実現している。
【0033】
インクジェットノズル52が吐出・塗布する着色材料は、それが基板上に形成されたマトリクス状の遮光部に乗り上げて隣接する画素間の着色材料が混じり、或いは乗り越えて隣接する画素に混色を起こしたりすることを避ける必要がある。そのために、インクジェットノズル52の事前の吐出液滴の計測で、基板への飛翔中の液滴の直径が平均すると40μmであることから、長さ530μmの両端の縁からインクジェットノズル52から基板に塗布された着色材料の飛翔中の液滴の半径である20μmの位置より外側の区域を吐出禁止領域とし、長手方向で490μm、短手方向で140μmの範囲にインクジェットノズル52からの着色材料の液滴を飛翔・着弾させる。
【0034】
短手方向の着弾位置の精度は、塗布ガントリーの速度を生産性の許容する範囲で速度を設定することで可能だが、長手方向の着段位置の制約は画素の上空を通過するインクジェットノズル52のうち、着弾すべき範囲にあるインクジェットノズル52だけに吐出・塗布制御する必要がある。
したがって、インクジェットノズル52から吐出塗布すべき範囲は490μmの間で位置するインクジェットノズル52から選択する吐出・塗布制御により、基板に形成されたそれぞれの画素への着色材料の吐出・塗布を行う。
【0035】
1800dpiのインクジェットノズル52の配列ピッチ14.11μmから、この画素1つの長さ490μmに着色材料を吐出・塗布可能なインクジェットノズル52の数は34個となる。
図2のようにこの配列ピッチを列をなす1番目の配列から5番目の配列の5つのインクジェットヘッド51で実現するので、吐出・塗布可能なインクジェットノズル52の数は、端となるインクジェットヘッド51から6個のインクジェットノズル、残る4つのインクジェットヘッド51から7個のインクジェットノズル52で吐出・塗布が可能となる。
【0036】
つまり、5つのインクジェットヘッド51の列で、1つは6個のインクジェットノズル52が、対応する画素に吐出・塗布すべきものとなり、その他のインクジェットヘッド51は7個のインクジェットノズル52が吐出・塗布すべきものとして、それぞれ対象となる34個のインクジェットノズル52が制御手段により吐出・非吐出が制御されることとなる。
【0037】
この対象となる34個のインクジェットノズル52の画素への吐出・塗布による吐出量がより安定する方法として、本発明者は、1つおきのインクジェットノズル52を吐出・非吐出を制御して吐出動作を指令し、吐出指令のあったインクジェットノズル52から画素に着色材料を吐出する方法が効果が‘大’であること確認している。そのため、前述の34個のインクジェットノズル52から、一つのインクジェットヘッド51内の隣接するインクジェットノズル52が同時に吐出しないような制御とすることで、それぞれの画素にインクジェットノズル52で安定した量の着色材料を吐出・塗布して充填することが出来る。
【0038】
1つおきに吐出制御すれば、インクジェットノズル52からの吐出量が少なくなるが、それぞれの吐出量が一定して等量となり、画素への着色材料の塗布量が安定して塗布量の許容値3%以内の塗布が可能となる。
この場合1つおきのインクジェットノズル52を動作させることができるのは、前述のように、5つのインクジェットヘッド51の列で、1つは6個のインクジェットノズル52が、対応する画素に吐出・塗布すべきものとなり、その他のインクジェットヘッド51は7個のインクジェットノズル52となるので、6個のインクジェットノズル51が対象となるインクジェットヘッド51からは3個,7個のインクジェットノズル52が対象となるインクジェットヘッド51からは4個或いは3個を使用する以下の組合わせが選択できる。
1)3+4+3+4+3 の合計17個
2)3+3+4+3+4 の合計17個
この17個のインクジェットノズル52を使い1500plの着色材料を1つの画素に吐出・塗布するには、それぞれのインクジェットノズル52から3発の着色材料を吐出をすることで合計51発の着色材料の吐出が可能となり、1つの画素の塗布に必要な50発の着色材料の吐出・塗布を確保できる。
つまり、余りの1発の着色材料の吐出は平常時には非吐出とし、各インクジェットノズル52の吐出量が僅かに低下した場合に、この余裕分のインクジェットノズル52から吐出を行うことで適正な吐出・塗布量を確保できる。
【0039】
個々のインクジェットノズル52からの着色材料の吐出量である30plは、事前に行うそれぞれの装備するインクジェットヘッド51の試射による計測で、或いは後述するテストパターン検査により計測されて塗布開始前に最新の状態でのテストパターン塗布における着弾痕の直径や体積など正確な1回の吐出量が確認・調節され、そのデータが吐出データテーブルとしてメモリーに格納され、その格納した数値等を用いてインクジェットノズル52の選択と吐出・非吐出の制御を行い、カラーフィルターとしての色度の許容値が有効画面領域全体において1000分の3、この色度の許容値を実現する着色材料の塗布量バラツキの許容値が3%以下という色度の仕様を満足させる。
【0040】
こうして、1つの画素に1500plの着色材料を安定して吐出・塗布して、1画素あたりの着色材料の総吐出量の平準化をし透過光量の差、色ムラとしては十分に許容できるカラーフィルタであっても、なお着色材料の着弾の時差による乾燥時間の違いで、乾燥後の画素表面に微妙な‘うねり’が発生することが確認された。
これによる不具合としては、明度が低い状態でカラーフィルタの表面の外光反射光を観察すると、この‘うねり’の部分で光の反射に変化が出て、その‘うねり’が連続するとスジ状に反射の強い、或いは弱い部分が起きることである。
【0041】
そのため、本発明ではさらに、このインクジェットバー5,インクジェットヘッド51、インクジェットノズル52に対し制御装置からの吐出・非吐出の指示を図5のように、1つのインクジェットヘッドバー5の幅の両端、その吐出領域の端部から非吐出とする画素の数を一部間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上のインクジェットヘッドバー5の往復走査によって、その非吐出の部分を補完して塗布完了させる。
【0042】
この場合の、間欠部分の領域に含まれる画素の数は、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する隣接同時吐出において相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅にある画素数、及び/或いは少なくとも3画素以上であることが好ましい。
【0043】
この1800dpiの配列密度を5つのインクジェットヘッド51を組として列をなす構成のインクジェットヘッド51を複数組準備して、隣接位置となるインクジェットノズル52を図2のように配列ピッチPを確保してインクジェットヘッドバー5に装着・配備することにより、一度に塗布する領域に必要な塗布幅のインクジェットバー5を構成することが可能で、大きな塗布面積を塗布する要求に対しても、必要な工程時間等との兼ね合いで、使用するインクジェットヘッドバー5の設計を行うことが可能となる。
【0044】
ここで示したインクジェットノズル52は塗布すべき着色材料の中の一つを表わしており、カラーフィルタとしてはRGB各色の分を準備する必要がある。
この場合、RGB各着色材料の隣り合う画素において間引く数も、それぞれが違う設定とすることが好ましい。
それによって、画素への着色材料の総吐出量を所定の量に平準化し、かつ画素に吐出され着色材料が乾燥した後にその表面に僅かな‘うねり’発生しても、可視範囲内の角度からの外光反射の確認でそこが明暗のスジとならないようにすることができる。
【0045】
前述のように、この計測手段及び保持手段であるメモリー12を装備することにより、インクジェットヘッドバー5に搭載されるインクジェットヘッド51に形成されたインクジェットノズル52による塗布動作を行う毎にメモリー12に保持されている各インクジェットノズルの吐出・塗布による着弾痕の直径、面積、または体積を更新するので、インクジェットヘッドバー5による次の塗布動作を行うに当って、最新の各インクジェットノズル52の塗布量のデータにより、インクジェットヘッドバー5を制御し、塗布領域にある画素の位置座標に合わせ、吐出動作させるべきインクジェットノズル52を選択し、「吐出」の制御指令を出して着色材料の最適な塗布量を維持することができる。
【0046】
なお、制御装置13は、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測した体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量を一定にするよう吐出すべきインクジェットノズル52の選択と着色材料の液滴の吐出数などにより着色材料の供給量を塗布領域全体で平均化すべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御することが好ましく、結果としてカラーフィルターとしての色度の要求に対し高次な精度で満たすことができる。
【0047】
或いは、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測して得た体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量の最適化を狙いとして、吐出すべき対応インクジェットノズル52の選択とそのインクジェットノズル52からの液滴の吐出量の制御を行うことなどにより着色材料の供給量を許容誤差範囲内にすべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御して塗布領域全体の塗布量を許容範囲にすることが好ましく、結果としてカラーフィルターとしての色度の要求をさらに高次な精度で満たすことができる。
【0048】
供給量をインクジェットノズルの選択と吐出数の制御により塗布領域全域で平均化する場合には、画素領域23に対する着色材料の塗布品質を著しく高めることができ、インクジェットノズル52の個々の吐出量の制御を行う後者の場合には、画素領域23に対する1回の吐出量が増減変化したインクジェットノズル52でも塗布動作に供することができるようになり、着色材料の塗布品質の維持と使用可能なインクジェットノズル52の数の増加とを両立させることができる。
【0049】
次いで、上記の構成のカラーフィルタ製造装置の作用を説明する。
図6は着色材料塗布及びテストパターン検査の処理を説明するタイミングチャートの一例である。この例では塗布ガントリー5の2回の往復移動で、塗布対象物に着色材料の塗布を行い、また1回目と2回目の往復移動の間に、テストパターン検査工程を入れたもとのして塗布工程を終えるようにしている。
【0050】
図7はガラス基板2上に6個のカラーフィルタCFが形成されたサンプルを示しており、しかも、カラーフィルタCFよりも外方の余剰領域に各着色材料毎のテストパターンTPを形成するようにしている。
【0051】
図8はテストパターンTP形成部を拡大して示す図であり、カメラガントリー6に搭載されたスキャンカメラ9等により検査されるものとして、3色分のインクジェットノズル52によって形成されたテストパターンTPを示している。このテストパターンTPはガラス基板2上に各インクジェットノズル52から吐出された着色材料がガラス基板2に着弾した形状そのものであり、スキャンカメラ9、或いは2次元CCDカメラによる撮像を画像処理する。
【0052】
図8に示したように、着色材料同士は互いに離れているとともに千鳥状に着弾させている。こうすることで、着色材料同士の間隔が大きく、計測時の画像処理にゆとりがあり、検査精度を高めて、カメラガントリー6に装着されたスキャンカメラ9、或いは2次元CCDカメラによりテストパターンTPを検査することができ、インク着弾痕のX,Y座標と共に、インク着弾痕の直径、面積、或いはZ方向に計測高さを変化させ面積を連続計算することにより体積も計測・演算することができる。そしてインク着弾痕の形状の不正や、未着弾などの吐出不良が検出された場合には、後述するように、直ちに必要な対処(カラーフィルタの製造中断、インクジェットヘッド51の交換など)を行うことができ、不良品が製造されることを最小限にすることができる。
【0053】
図9はテストパターン検査処理の一例を説明するフローチャートである。なお、図8のタイミングチャートには、図9のフローチャートに基づく処理は示されていない。
【0054】
図9により、テストパターン検査処理を説明する。
ステップSP1において、図示しない搬入ロボットなどによる吸着テーブル3へのテスト用ガラス基板の搬入が行われた後に、ステップSP2において、図示しない外形規制手段によって、テスト用ガラス基板の概略の位置決めを達成する。そして、ステップSP3において、吸着テーブル3によりテスト用ガラス基板を吸着し、その後、ステップSP4において、カメラガントリー6を往動させ、ステップSP5において、テスト用ガラス基板のアラインメントマークを検出し、Y方向の位置決め、θ(Z軸回りの回点)方向のアラインメントを達成し、ステップSP6において、カメラガントリー6を復動させる。
【0055】
次いで、ステップSP7において、塗布ガントリー4を往動/復動させるとともに、塗布ガントリー4のX座標値を出力し、ステップSP8において、X座標値に基づいて塗布ガントリー4がテストパターン塗布位置に達したか否かを判定し、テストパターン塗布位置に達していない場合には、再びステップSP7の処理を行う。
【0056】
ステップSP8において塗布ガントリー4がテストパターン塗布位置に達したと判定された場合には、ステップSP9において、塗布ガントリー4の移動を停止させ、インクジェットヘッドバー5の全てのインクジェットノズル52から着色材料の液滴を吐出し、ステップSP10において、塗布ガントリー4を復動させ、待機位置で停止させる。
【0057】
次いで、テストパターン(TP)の撮像及び検査を行うフローに入り、ここではステップSP11において、カメラガントリー6を往動させ、ステップSP12において、カメラガントリー6がテストパターン検査位置に達したか否かを判定する。
そして、テストパターン検査位置に達していない場合には、再びステップSP11の処理を行う。
【0058】
そして、ステップSP12においてカメラガントリー6がテストパターン検査位置に達したと判定された場合には、ステップSP13において、カメラガントリー6を停止させ、ステップSP14において、スキャンカメラ9をY方向に移動させてテストパターンを検出しながらテストパターンを終端まで撮像し、その後、スキャンカメラ9をY方向に待機位置まで戻す。
【0059】
ステップSP14の処理後、ステップSP15において、カメラガントリー6を復動させて待機位置で停止させ「テストパターン(TP)撮像フロー」を終えて、ステップSP16において、テスト用ガラス基板の吸着を解除して、排出し、一連の処理を終了する。
【0060】
また、ステップSP15、ステップSP16の処理と並行して、ステップSP17において、スキャンカメラ9による検出信号を画像処理し、X,Y座標と、着色材料の着弾痕の直径、面積そして/又は体積を計測・演算し、ステップSP18において、テストパターンの着色材料着弾痕から検出した座標位置情報等を入力し、ステップSP19において、テスト用ガラス基板上の全画素の位置情報(座標値)を入力し、ステップSP20において、その他のパラメータを入力し、ステップSP21において、全画素に対応して吐出すべきインクジェットノズルの選択と吐出量(吐出数)等を基本データとする吐出データテーブルの演算/作成を行い、ステップSP22において、演算結果を吐出データテーブルに記憶し、画像処理及び計測・演算といった一連の処理を終了する。
【0061】
次いで、図10に示すカラーフィルタ製造フローチャートにより、カラーフィルタ製造処理の実施例を説明する。
装置の効率的な稼動を実現するためには、塗布ガントリー4の所定の開始位置から「一筆書き」で塗布動作を完了するよう必要塗布領域に対し、塗布ガントリー4を少なくとも1回以上の往復動作で済むように有効インクジェットヘッドノズルの幅を設定することが望ましい。
【0062】
図10中のステップSP1において、図示しない搬入ロボットなどによる吸着テーブル3へのガラス基板2の搬入が行われた後に、ステップSP2において、図示しない外形規制手段によって、ガラス基板2の概略の位置決めを達成する。そして、ステップSP3において、吸着テーブル3によりガラス基板2を吸着し、その後、ステップSP4において、カメラガントリー6を往動させ、ステップSP5において、ガラス基板2のアラインメントマークを検出し、Y方向、θ(シータ)方向の位置決めを行うことによって、ガラス基板2のアラインメントを達成し、ステップSP6において、カメラガントリー6を復動させる。
【0063】
そして、ステップSP7において、往路塗布か、復路塗布かを判定する。
【0064】
ステップSP7において往路塗布であると判定された場合には、ステップSP8において、塗布ガントリー4を往動させるとともに、塗布ガントリー4のX座標値を出力し、逆に、ステップSP7において復路塗布であると判定された場合には、ステップSP9において、塗布ガントリー4を復動させ、X座標値を出力させる。
【0065】
そして、ステップSP8の処理、またはステップSP9の処理が行われた場合には、ステップSP10において、塗布が塗布領域終端まで行われたか否かを判定する。
【0066】
ステップSP10において塗布が塗布領域終端までは行われていないと判定された場合には、ステップSP11において、塗布ガントリー4のX座標出力信号と吐出データテーブルとを比較し、ステップSP12において、X座標と吐出データとが一致しているか否かを判定し、X座標と吐出データとが一致していれば、ステップSP13において、インクジェットノズル52により着色材料の液滴を吐出し、一致していなければ、ステップSP7に戻る。
【0067】
このステップSP13の着色材料の液滴の吐出動作について説明する。
図5Aのようにインクジェットヘッドバー5の1走査(往路)の塗布で、両端のインクジェットノズルが通過した塗布領域に塗布量が少ない部分がスジ状に現れてしまい易い塗布領域の端部から数画素の範囲を非吐出として未塗布の画素を残した間欠塗布とし、図5Bのように復路の1走査ではその領域を重複してインクジェットヘッドバー5をY方向にシフトさせて移動してその部分を補完する吐出を含む残りの区域に着色材料を塗布する制御を行う。
【0068】
インクジェットノズル52の個々の着色材料の吐出量の僅かなバラツキについては、制御装置13によって、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測した体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量を一定にするよう吐出すべきインクジェットノズル52の組合せの選択により着色材料の供給量を塗布領域全体で平均化すべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御して、カラーフィルターとしての吐出量の許容量の要求を満たすように吐出動作の制御を行う。
【0069】
或いは、制御装置13によって、それぞれのインクジェットノズル52から着色材料を吐出した着弾痕を計測して得た体積などのデータや、吐出データテーブル内のデータ等のメモリー12に保持されたそれぞれのインクジェットノズル52からの吐出量のデータによって、それぞれの画素領域23に着弾させるべき着色材料の供給量の最適化を狙いとして、吐出すべき対応インクジェットノズル52の組合せの選択とそのインクジェットノズル52からの着色材料の吐出量の増減の調節や、液滴の数の吐出指令などにより着色材料の供給量を許容誤差範囲内にすべく、対応するインクジェットヘッド51及びインクジェットヘッドバー5を制御して塗布領域全体の塗布量を許容範囲にすることが好ましく、結果としてカラーフィルターとしての色度の要求を満たすように着色材料の液滴の吐出動作の制御を行なう。
【0070】
続いて、ステップSP10において、X座標値に基づいて塗布が終端まで行われたか否かを判定する。
【0071】
そして、ステップSP12においてX座標と吐出データとが一致していないと判定された場合、またはステップSP13の処理が行われた場合には、再びステップSP7に戻り往路復路の判定を行う。
【0072】
ステップSP10において塗布が終端まで行われたと判定された場合には、ステップSP14において、往路1回目の塗布か否かを判定し、往路1回目の塗布であった場合には、ステップSP15において、塗布ガントリー4をテストパターン塗布位置に移動させ、ステップSP16において、インクジェットヘッドバー5によりテストパターンを形成する。具体的には、インクジェットヘッドバー5をX方向に移動させるとともに、インクジェットヘッド51の列毎にすべてのインクジェットノズル52から吐出動作を行い、着色材料を吐出・塗布することによって、千鳥状のテストパターンを形成する。
【0073】
ステップSP14において往路1回目の塗布でないと判定された場合、またはステップSP16の処理が行われた場合には、ステップSP17において、塗布領域全域を塗布するための所定回数の塗布が行われたか否かを判定する。
【0074】
ステップSP17において塗布回数が所定回数に達していないと判定された場合には、ステップSP18において、塗布ガントリー4を停止させ、インクジェットヘッドバー5をY方向に移動させ、再びステップSP7の判定を行う。
Y方向の移動距離は、インクジェットヘッドバー5の仕様によるインクジェットヘッド51の有効塗布幅で決り、塗布領域全幅を少なくとも1回以上の往復走査で隙間無く塗布を完了させる。
【0075】
また、ステップSP17において所定回数の塗布が行われたと判定された場合には、ステップSP19において、塗布処理を終了し、ステップSP20において、前記図11で説明した「TP撮像フロー」で得た、全てのインクジェットノズル52から吐出した着色材料の着弾痕の画像から、インクジェットノズル52の吐出不良の数が、塗布領域で対象となる画素単位の範囲で許容される数を超えているかの判定を行う。
【0076】
判定の結果、許容範囲を超えるインクジェットヘッド51の吐出不良の発生が確認された場合には、クリーニングフローに移り、許容範囲内であれば、ステップSP21において、吸着テーブル3によるガラス基板2の吸着を解除し、図示しない搬出ロボットなどによりガラス基板2を搬出し、そのまま一連の処理を終了する。
【0077】
一方、ステップ7で復路と判定された場合には、ステップSP9の塗布ガントリー4の復路移動と並行して、図9で説明した「TP撮像フロー」を経て、前記のステップSP19の塗布終了の処理に移る。
【0078】
前述の例では、塗布ガントリー4を吸着テーブル3に対してX方向に移動させるようにした実施形態を説明したが、塗布ガントリー4を固定し、吸着テーブル3を移動させるように構成することも可能である。
【実施例2】
【0079】
上の実施形態においては、吐出するインクジェットノズル52を選択と吐出数の制御をすることによってカラーフィルタ上の画素に対する総塗布量を必要塗布量に近づけるようにしているだけであって、インクジェットノズル52から吐出される吐出1回当たりの量を変化させることは全く行っていない。
しかし、塗布動作中にインクジェットノズル52の吐出動作を繰り返し行うことで、それぞれのインクジェットノズル52からの吐出量が僅かながら変化してしまい、ガラス基板単位での塗布工程の合間にメンテナンスの回数が増えることを避けられない。
この僅かなインクジェットノズル52からの吐出量の変化に対応してインクジェットノズル52の吐出量を補正することでメンテナンスの頻度を抑えることができれば、生産性が向上することを期待出来る。
そのため塗布装置に、前記インクジェットヘッド51内のインクジェットノズル52から吐出される吐出1回当たりの量を変化させるノズル制御手段(図示せず)と、前記インクジェットヘッド51内の各インクジェットノズル52から吐出される吐出1回当たりの量の合計をインクジェットヘッド51毎に所定量に近づけるようにインクジェットノズル52の制御手段を制御する上位制御手段(図示せず)と、をさらに備えていることが好ましい。
【0080】
前記ノズル制御手段は、例えば、インクジェットノズル52に印加する駆動電圧を変化させることによって吐出1回当たりの吐出量を変化させるものである。
【0081】
前記上位制御手段は、例えば、スキャンカメラ9によって得られた吐出量の不均一性データ等を入力として、インクジェットヘッド51内の各インクジェットノズル52の吐出1回当たりの吐出量の合計(インクジェットヘッド51の吐出1回当たりの吐出量)を目標とする吐出量に近づけるように、各インクジェットノズル52の制御手段に対する動作指令を行うものである。
【0082】
この場合には、それぞれの画素の着色材料の塗布量をインクジェットヘッド51毎の吐出量を制御して合わせ込むことができる。さらに説明すると、特定のインクジェットヘッド51がインクの粘度などの影響を受けて吐出量が低くなった場合にも、上位制御手段によって各ノズル制御手段に対する動作指令を設定し、ノズル制御手段によってインクジェットノズル52に印加する駆動電圧等を変えることで、他のインクジェットヘッド51との吐出量ばらつきを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上、塗布装置の代表的な応用例として液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタ製造への適用例を述べたが、この装置は他の平面的な部材に着色材料或いは被膜材料を塗布する装置へと展開することも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】塗布装置の一実施例の斜視概観図
【図2】インクジェットヘッドバーのインクジェットヘッドの配置の一例
【図3】インクジェットヘッドバーのノズルの配置を示す一例
【図4】インクジェットノズルの駆動時の選択を示す一例
【図5】往復動作による補完塗布を示す一例の図
【図6】塗布動作、塗布パターン検査処理のタイミングフローチャート図
【図7】基板上に6個のカラーフィルタとテストパターンを塗布した状態の図
【図8】テストパターン形成部の部分拡大図
【図9】テストパターン検査処理のフローチャートの例
【図10】カラーフィルタ製造処理のフローチャートの例
【符号の説明】
【0085】
2 ガラス基板
3 吸着テーブル
5 インクジェットヘッドバー
9 スキャンカメラ
11 画像処理装置
12 メモリー
13 制御装置
51 インクジェットヘッド
52 インクジェットノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布装置であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布することを特徴とする塗布装置
【請求項2】
前記間欠塗布する領域の幅が、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅、及び/或いは少なくとも3画素以上である、請求項1記載の塗布装置
【請求項3】
複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布方法であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布することを特徴とする塗布方法
【請求項4】
前記間欠塗布する領域の幅が、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅、及び/或いは少なくとも3画素以上である、請求項3記載の塗布方法
【請求項1】
複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布装置であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布することを特徴とする塗布装置
【請求項2】
前記間欠塗布する領域の幅が、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅、及び/或いは少なくとも3画素以上である、請求項1記載の塗布装置
【請求項3】
複数の吐出ノズルを有した塗布ヘッドにより、塗布対象物に前記吐出ノズルによって微量の液滴として塗布材を噴射塗布する塗布方法であって、
前記塗布ヘッドが塗布対象物と相対移動し、塗布対象物に塗布材を供給して、該塗布ヘッドの有効幅以上の領域を塗布する工程において、
塗布ヘッドによる1回の塗布の塗布領域にある画素の一部を間引いた間欠塗布とし、少なくとも1往復以上の塗布ヘッドの走査により間欠塗布部分及び残りの塗布領域を補完し、
前記塗布対象物の必要塗布領域全体に塗布材を均一に塗布することを特徴とする塗布方法
【請求項4】
前記間欠塗布する領域の幅が、少なくとも塗布ヘッドの全吐出ノズルの両端に位置する相対吐出量の低い吐出ノズルの塗布領域の幅、及び/或いは少なくとも3画素以上である、請求項3記載の塗布方法
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−175168(P2009−175168A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10555(P2008−10555)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】
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