説明

塗料接着付与剤を含有する硬化性シリル含有ポリマー組成物

加水分解性シリル含有ポリマーおよびシリコーン含有塗料接着付与剤とを含有する硬化性組成物であって、コーティング剤、塗料、接着剤、および他の表面処理剤による改善されたそれらへの接着を有する硬化性シリル含有ポリマー組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性シリル含有ポリマー組成物に関する。本発明はとりわけ、コーティング剤、塗料、接着剤、および他の表面処理剤による改善されたそれらへの接着を有する硬化性シリル含有ポリマー組成物を提供する、加水分解性シリル含有ポリマーとシリコーン含有接着付与剤とを含有する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング剤、塗料、接着剤および他の表面処理剤、特に水性バージョンのものはポリマー系表面に対し、それらのポリマー性表面がしばしば低い表面エネルギーを有するか、化学的に不活性であるか、または、弱い境界層を形成する不純物および他の付加物を含有するために、不十分に接着する。例えば、室温において硬化してエラストマーを生成する加水分解性シリル含有ポリマー組成物は、それらがビル建築において用いられる封止剤のような多くの用途に対して優れた特性プロファイルを有しているため、コーティング剤、工業製品、封止剤およびコーキング材として広く用いられている。それらの特性は優れた耐候性、堅牢性、強度、耐久性、利便性、および適所での急速な硬化などを含む。しかしながら、そのような封止剤およびコーキング材が用いられるような用途はしばしば、塗料、ニス、ラッカー塗料、およびセラックニスのような化粧塗料および保護塗料によってコートされている。硬化したシリル含有ポリマー組成物は、そのような有機系化粧塗料もしくは保護塗料を容易に受け付ける表面を持たないという欠点を有している。
【0003】
産業において、美的な目的のために、および表面へと周囲環境からの何らかの保護を提供するために塗料を受け入れる、硬化したシリル含有ポリマー組成物の露出した表面を有する必要性がある。いくつかの硬化したシリル含有ポリマー組成物はある種の塗料を受け入れるが、ある種の塗料をペイントするための特定の硬化したシリル含有組成物を市販で提供するのは非常に不便である。例えば、多くの種類のコーティング剤、塗料および他の表面処理剤は市販されており、それらの組成物は、加水分解性シリル含有ポリマーに基づいて封止剤組成物に対する異なる度合いの接着を示す。特に多くの種類のラテックス塗料が市販されており、それらの塗料は加水分解性シリル含有ポリマーを用いる封止剤組成物への異なる度合いの接着を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、シリル含有ポリマーおよびシリコーン含有接着付与剤とから調製されるポリマー組成物を含有する硬化したシリル含有ポリマー組成物の表面が、それらへと塗料、コーティング剤および他の表面処理剤が、特に硬化後に、容易に接着する接着性能を有することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は:
a)少なくとも一つの加水分解性シリル含有ポリマー;
b)少なくとも一つのシリコーン含有塗料接着付与剤;および
c)充填剤、可塑剤、揺変剤、抗酸化剤、紫外線安定化剤、接着促進剤、硬化触媒、湿気除去剤、顔料、染料、界面活性剤、溶媒および殺生物剤からなる群より選択される少なくとも一つの成分、
を含有する硬化性組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明はシリル含有ポリマーとシリコーン含有接着付与剤とを用いる硬化性組成物であって、塗料、特にラテックス塗料、コーティング剤および他の表面処理剤によるそれらへの改善された接着を提供する。さらに本発明は、コーティング剤、塗料および他の表面処理剤がそこへと強力に接着する、シリル含有ポリマーとシリコーン含有塗料接着付与剤との硬化した組成物を用いる製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は「不可」のペイント性(paintability)、すなわち塗料のサンプルが硬化した封止剤へと塗布されたときに多くの非連続的な幅広い筋を形成するようなスケールを描写する。
【図2】図2は「可」のペイント性、すなわち塗料のサンプルが硬化した封止剤へと塗布されたときに多くの狭い筋を形成するようなスケールを描写する。
【図3】図3は「優秀」のペイント性、すなわち塗料のサンプルが硬化した封止剤へと塗布されたときにほとんどなく、かつ狭い筋を形成するようなスケールを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例以外において、もしくは特に示されないとき、明細書および請求書において述べられる、物質の量、反応条件、時間、物質の定量化された性質、などを表現するすべての数字は、すべての場合において、「約」という語句によって修飾されていると理解されるべきである。
【0009】
ここで列挙される任意の数値範囲は、すべてのサブ範囲(sub−range)とそのような範囲およびサブ範囲のさまざまな終点の任意の組み合わせとを含むことを意図されているともまた理解されるべきである。
【0010】
構造的、構成的および/もしくは機能的に関連している成分、物質もしくは基質として、明確にもしくは暗に、明細書に開示される、および/もしくは請求書中に列挙される任意の成分、物質もしくは基質は、群の個々の代表およびそれらのすべての組み合わせを含むこともさらに理解されよう。
【0011】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、シリル化ポリオール、シリル化ポリエーテル、シリル化ポリウレタン樹脂ならびに、ビニルシラン、アリルシランおよびメタリルシラン、アクリロキシアルキルシラン、メタクリロキシアルキルシランのようなエチレン性不飽和シランの一つもしくはそれ以上と、オレフィン炭化水素、アクリル酸、メタクリル酸、アクリラートエステル、メタクリラートエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸および/もしくはそれらの無水物のような他のエチレン性不飽和モノマー、エチレン性不飽和を有するオリゴマーならびに/またはポリマーの一つもしくはそれ以上との共重合化によって誘導されるシラン含有コポリマーなどを含む。
【0012】
一実施態様において、本発明の組成物において有用な加水分解性シリル含有ポリマー(a)は一般式(1):
【化1】

によって表され、
ここで:
は500から100,000グラム/モルの数平均分子量を有する一価のもしくは多価の有機ポリマーフラグメントであり;
の各々は独立して、二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンおよびアラルキレンからなる群より選択される1から12個の炭素原子を含有する二価のヒドロカルビル基であり、そして酸素、窒素および硫黄からなる群より選択されるヘテロ原子を任意選択で少なくとも一つ含有し;
の各々は独立して二価の酸素(−O−)、硫黄(−O−)もしくは構造(−)NRの置換窒素から選択され、ここでRは水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキルもしくは−RSiX基であり、ここで水素以外のそれぞれのRは1から18個までの炭素原子を含有し、そしてAが酸素もしくは硫黄の時、Aは(−)NRであるという条件であり、そしてaが0の時、Aは酸素であるという条件であり;
の各々は独立して、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)もしくは構造(−)NRの置換窒素より選択され、ここでRは水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキルもしくは−RSiX基であり、ここで水素以外のそれぞれのRは1から18個までの炭素原子を含有し、そしてAが酸素もしくは硫黄の時、Aは(−)NRであるという条件であり;
の各々は独立してRO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RC=CRO−およびRNO−からなる群より選択され、ここでRは独立して水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリールおよびアラルキル基からなる群より選択され、ここで水素以外のそれぞれのRは、1から18個までの炭素原子と、そして任意選択で少なくともひとつの酸素もしくは硫黄原子とを含有し;
およびXの各々は独立して、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RC=CRO−、RNO−およびRからなる群より選択され、ここでそれぞれのRは独立して水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリールおよびアラルキル基からなる群より選択され、ここで水素以外のそれぞれのRは、1から18個までの炭素原子と、そして任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子とを含有し;そして
下付き文字aおよびbの各々は独立して整数であり、ここでaは0もしくは1であり、かつbは1から6である。
【0013】
有用な加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、ポリオール、好ましくはポリマー性ジオールもしくはトリオールと、イソシアナトシランとの反応によって調製されるものを含む。ポリオールは、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオールもしくはヒドロキシ末端ポリブタジエン、特に水素化ポリブタジエンジオール、もしくはそれらの混合物であり得る。他の有用なポリオールは、複金属シアン化物(DMC)触媒を用いて二官能性開始剤を酸化エチレン、酸化プロピレンもしくはそれらの混合物によってオキシアルキル化することによって得られる、例えば約0.018から約0.20meq/gのオーダーの低い末端不飽和と約5,000から約100,000の数平均分子量とを有するポリエーテルジオールであり得る。
【0014】
これらおよび他のポリオールをシリル化するのに有用なイソシアナトシランは一般式(2):
O=C=N−R−SiX (2)
によって提供され、
ここで、
は、二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンおよびアラルキレンからなる群より選択される1から12個までの炭素原子を含有する二価のヒドロカルビル基であって、そして酸素および硫黄からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を任意選択で含有し;
の各々は独立してRO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RC=CRO−およびRNO−からなる群より選択され、ここでRは独立して水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリールおよびアラルキル基からなる群より選択され、ここで水素以外のそれぞれのRは、1から18個までの炭素原子と、そして任意選択で少なくともひとつの酸素もしくは硫黄原子とを含有し;
およびXの各々は独立して、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RC=CRO−、RNO−およびRからなる群より選択され、ここでそれぞれのRは独立して水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリールおよびアラルキル基からなる群より選択され、ここで水素以外のそれぞれのRは、1から18個までの炭素原子と、そして任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子とを含有する。
【0015】
イソシアナトシランの非限定的な代表例は、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、イソシアナトイソプロピルトリメトキシシラン、イソシアナト−n−ブチルトリメトキシシラン、イソシアナト−t−ブチルトリメトキシシラン、イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、イソシアナトイソプロピルトリエトキシシラン、イソシアナト−n−ブチルトリエトキシシラン、イソシアナト−t−ブチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルトリメトキシシラン、イソシアナトメチルトリエトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジメトキシシラン、イソシアナトメチルメチルジエトキシシランなどならびにそれらの混合物を含む。
【0016】
合成は標準的な滴定法(ASTM−2572−87)もしくは赤外線分析を用いて観察された。ポリオールのシリル化は、残余のイソシアナート基(−NCO)がどちらの方法によってもまったく検出できないとき、完了したとみなされた。
【0017】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、ジオールとイソシアナトシランとの直接の反応によって最初に中間体であるポリウレタンプレポリマーの形成を伴うことなく得られる。明らかに、この合成アプローチの利点の一つはポリマー(a)のワンステップのプロセスを用いる形成である。この化学の詳細は参照によりそのすべての内容をここに組み入れる米国特許第5,990,257号にて議論されている。
【0018】
上述のように調製された加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、滴定もしくは赤外線分光法のいずれかによって測定すると、少量の(典型的には0.10%未満)の残余の未反応のイソシアナートを含有し得る。この場合、イソシアナート除去剤を樹脂へと添加できる。典型的な除去剤は、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベータ−アミノエチル−ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランもしくはN−エチル−ガンマ−アミノイソブチルトリメトキシシランのような第1級もしくは第2級アミノシラン、メタノール、エタノールもしくはイソプロパノールのような低分子アルコール、ブチルアミンもしくはジブチルアミンのような第1級もしくは第2級アミン、メルカプトプロピルトリエトキシシランのようなメルカプトシラン、または炭酸アンモニウムもしくは乳酸アンモニウムのようなアンモニウム塩を含む。これらの試薬は、過剰のイソシアナート基を除去するために、加水分解性シリル含有ポリマー(a)へと単純に後から添加される。
【0019】
本発明の有用な加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーの活性水素含有加水分解性シランによるエンドキャッピング(end−capping)によって得られるものを含む。
【0020】
これらの加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、それ自身は化学量論的に過剰な有機ポリイソシアナトと任意の上述のもののようなポリオールとの反応によって、そして好ましくはイソホロンジイソシアナト(IPDI)のようなジイソシアナートと任意の上述のもののようなポリエーテルジオールとの反応によって得られるイソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーと、イソシアナート基と反応性の官能性、特に第2級のアミンもしくはメルカプト官能性を有するシランとの反応によって作製され得る。末端活性イソシアナート基を持つポリウレタンプレポリマーは、加水分解性シリル含有ポリマー(a)の産生に有用であり、有機ジ−イソシアナートもしくはポリイソシアナート反応物の化学量論的に過剰な(ここで上述のような)ポリオール反応物での反応、およびさらにアミノシランとの反応によって調製し得る。
【0021】
イソシアナート末端ポリウレタンプレポリマーは、一つもしくはそれ以上のポリオール、有利にはジオールと、一つもしくはそれ以上の(ここで上述のような)ポリイソシアナート、有利にはジイソシアナートとの、プレポリマーがイソシアナートによって末端化するような割合における反応によって得られる。ジオールとジイソシアナートとを反応させる場合、モル過剰のジイソシアナートが用いられる。
【0022】
上述のイソシアナト末端ポリウレタンプレポリマーとの反応のためのシリル化反応は、イソシアナートと反応性の官能性を含有し、少なくとも一つの容易に加水分解してそして続いて架橋可能な基、例えばアロキシであるべきである。特に、有用なシリル化反応物は、一般式(4)のシランである。ポリオールとポリイソシアナートとの反応後のイソシアナート末端プレポリマーは一般式(3):
−[−(N=C=O)] (3)
を有し、
ここでR、そして下付き文字cは整数であり、ここでcは2から6である。Rは、ポリオールとイソシアナート基との反応の結果であるウレタン基を含有するポリマーフラグメントであることは理解されよう。イソシアナート末端プレポリマーは、具体的には約1.1から約2.0、より具体的には約1.4から約1.9、そしてもっとも具体的には約1.6から約1.8の範囲の異なるNCO対OH比において、ジイソシアナートとポリオールと反応させることによって調製される。
【0023】
好適なポリイソシアナートは、それから、プレポリマーを産生するポリオールとの通常の反応の連続によってポリウレタンポリマーが調製され得るような任意のものを含む。有用なジイソシアナートは、例えば、2,4−トルエンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート、2,4−および2,6−トルエンジイソシアナートの混合物(市販のTDIの多くは混合物である)、4−4’−ジフェニル−メタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアナート、2,4−および4,4’イソマーの混合物を含有するさまざまな液体のジフェニルメタン−ジイソシアナートなど、ならびにそれらの混合物を含む。本発明の一実施態様において、用いられるイソシアナート官能性モノマーは、BayerからDesmodur ID230の商標名で入手可能なイソホロンジイソシアナート(IPDI)である。
【0024】
触媒を上述のイソシアナート末端プレポリマーの調製に用いても良い。好適な触媒は金属塩もしくは塩基であり、そしてビスマストリスネオデカノエートおよび他のカルボン酸ビスマスのようなビスマス塩;ジルコニウムキレートおよびアルミニウムキレートのようなジルコニウム化合物もしくはアルミニウム化合物;ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズアセタートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、第3級アミン、オクチル酸第一スズおよび酢酸第一スズのようなカルボン酸の第1スズ塩などの非限定的例を含む。
【0025】
第2のステップにおいて、一般式(3)のイソシアナート末端プレポリマーを活性水素官能基を含有するシランと反応させ加水分解性シリル含有ポリマー(a)を調製する。活性水素官能基を含有するシランは一般式(4):
H−Y−R−SiX (4)
によって与えられ、
ここでR、X、XおよびXは上述の意味を有し、Y1の各々は独立して、酸素(−O−)、硫黄(−O−)、(−)NR、−NR(C=O)NR−、−NR(C=O)O−および−NR(C=O)S−からなる群より選択され、ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アラルキルもしくは−RSiX基であり、ここで水素以外のそれぞれのRは1から18個の炭素原子を含有する。
【0026】
本発明のシラン末端反応は、当分野で既知のいずれのものであって良く、たとえば参照によりそのすべての内容をここに組み入れる米国特許6,197,912号および米国特許5,990,257号に開示されるような反応であって良い。
【0027】
本発明の一実施態様において、活性水素有機官能性シランは、例えば、第1級および第2級アミノ−アルコキシシラン、ウレイドアルコキシシラン、カルバマトシラン、チオカルバマトシランおよびメルカプトアルコキシシランを含む。
【0028】
ここで用いるための具体的なシランは、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、ウレイドメチルトリメトキシシラン、ウレイドメチルメチルジメトキシシランおよびそれらの混合物の非限定的例のようなウレイドシランを含む。
【0029】
ここで用いるための具体的なシランは、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルカルバマート、N−(3−トリメトキシシリルメチル)メチルカルバマート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルカルバマート、N−(3−トリエトキシシリルメチル)メチルチオカルバマート、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルカルバマート、N−(3−トリメトキシシリルメチル)メチルチオカルバマート、N−(3−トリエトキシシリルプロピルメチルチオカルバマート、N−(3−トリエトキシシリルメチル)メチルチオカルバマート、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)メチルカルバマート、N−(3−トリメトキシシリルメチル)エチルカルバマート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)エチルカルバマート、N−(3−トリエトキシシリルメチル)エチルカルバマート、O−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバマートおよびそれらの混合物の非限定的例のようなカルバマトシランおよびチオカルバマトシランを含む。
【0030】
ここで用いるための具体的なシランは、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロキシシラン、2−メルカプトエチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピル−tri−t−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリオクトキシシラン、2−メルカプトエチルトリ−2’−エチルヘキソキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルシクロヘキソキシジメチルシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、3−メルカプト−3−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプト−3−メチルプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプト−3−エチルプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプト−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプト−2−メチルプロピルジメトキシフェニルシラン、3−メルカプトシクロヘキシルトリメトキシシラン、12−メルカプトドデシルトリメトキシシラン、12−メルカプトドデシルトリエトキシシラン、18−メルカプトオクタデシルトリメトキシシラン、18−メルカプトオクタデシルメトキシジメチルシラン、2−メルカプト−2−メチルエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプト−2−メチルエチルトリオクトキシシラン、2−メルカプトフェニルトリメトキシシラン、2−メルカプトフェニルトリエトキシシラン、2−メルカプトトリルトリメトキシシラン、2−メルカプトトリルトリエトキシシラン、1−メルカプトメチルトリルトリメトキシシラン、1−メルカプトメチルトリルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルフェニルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルフェニルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルフェニルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルフェニルトリエトキシシランならびにそれらの混合物の非限定的例のようなメルカプトシランを含む。
【0031】
有用なシランは、アミノメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノメチルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチル(メチルエチルオキシマト)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノイソブチルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノブチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルメトキシジエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルジメチルメトキシシラン、N−メチルアミノブチルエチルジエトキシシラン、N−メチルアミノブチルジエチルエトキシシラン、N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N−ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N,N―ビス(3−トリエトキシシリルブチル)アミン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシランのジブチルマレアート付加物などの非限定的例のような第1級および第2級アミノシランを含む。
【0032】
好ましい活性水素含有シランは、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランのジブチルマレアート付加物、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシランのジブチルマレアート付加物、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチル(メチルエチルオキシマト)シラン、N−メチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルジエトキシメチルシラン、N−エチル−2−アミノ−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、N−エチル−3−アミノ−2−メチルプロピルメチルジメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−(N−メチル−2−アミノ−1−メチル−1−エトキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−エチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、N−エチル−4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、ビス−(3−トリメトキシシリル−2−メチルプロピル)アミン、N−(3’−トリメトキシシリルプロピル)−3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルメチルジメトキシシラン、O−(3−トリメトキシシリルプロピル)カルバマートおよびそれらの混合物である。
【0033】
本発明において有用な加水分解性シリル含有ポリマー(a)のさらに他のタイプは、それ自身化学量論的に過剰なポリオールとポリイソシアナートとの反応によって、そして有利には上述の任意のもののようなポリエーテルジオールとイソホロンジイソシアナートのようなジイソシアナートとの反応によって得られるヒドロキシル末端ポリウレタンプレポリマーと、イソホロンジイソシアナートのようなジイソシアナートとの反応と、そしてそのあとの上述の任意のもののようなイソシアナトシランとの反応とによって作製され得る。鎖延長剤によって生成する追加のハードセグメントは、プレポリマーの弾力性だけでなく、多くの有機基質に対する接着を改善する。
【0034】
末端活性水素原子を有するポリウレタンプレポリマーは、加水分解性シリル含有ポリマー(a)の産生に有用であり、有機のジ−イソシアナートもしくはポリイソシアナート反応物と、ポリエーテルポリオールであり得るかまたはポリオールの組み合わせを含有する化学量論的に過剰なポリオール反応物との反応によって作製され得る。代表的な反応物の反応性によって、触媒が用いられるかも知れない。反応温度は典型的には60℃から90℃の範囲で、反応時間は典型的には約2から8時間のオーダーである。
【0035】
好適な有機のジ−ポリイソシアナートおよびポリイソシアナートは、2,4−トルエンジイソシアナート(TDI)、2,6−トルエンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、4,4’ジシクロヘキシルメタン、ジイソシアナトイソマー、DesmodurNなど、ならびにそれらの混合物を含むがそれらには限定されない。
【0036】
ポリウレタンプレポリマーの作製のために、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンジオール、ポリオキシアルキレンジオール、ポリオキシアルキレントリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクタンジオールおよびトリオールなどのような、二つもしくはそれ以上のヒドロキシル基を有する一つもしくはそれ以上のジオールおよびトリオールを反応において使用できる。またはモノールとジオールもしくはトリオールとの混合物である。好ましいポリオールはポリプロピレングリコールである。ここで用いられるポリオールは低い不飽和レベルを有し、それゆえに高い官能性である。これらのポリオールは典型的には、酸化アルキレンの重合化のための金属錯体触媒を用いて調製され、ポリオールのグラム当たり0.2未満、好ましくは0.1未満、そしてより好ましくは0.02ミリ当量(meq/g)未満の低いレベルの末端エチレン性不飽和を有するポリオールを生じる。ポリオールの数平均分子量は典型的には500から50,000の間の、好ましくは約2,000から20,000の範囲である。
【0037】
本発明に有用な活性ヒドロキシル基末端ポリウレタンを調製するために、−NCO等価物(基)に対して少なくともわずかでもモル過剰のヒドロキシル等価物(−OH基)が、ヒドロキシル基でポリマー鎖を停止させるために用いられる。NCO対OHの好ましいモル比は、約0.3から0.95、そしてより好ましくは0.4から0.8の間であり、用いられるポリオールに依存する。
【0038】
上述のものから最初に生成するポリウレタンプレポリマーは、次に第2のステップにおいてイソシアナトシランによってエンドキャップされ、所望の加水分解性シリル含有ポリマー(a)を生成する。活性水素末端原子含有ウレタンプレポリマーのエンドキャッピングに好適なイソシアナトシランは、ここで上に記載される一般式(3)によって表される。
【0039】
本発明の一実施態様において、活性水素末端原子含有ウレタンプレポリマーのエンドキャッピングに好適なイソシアナトシランは、ガンマイソシアナトプロピルトリエトキシシラン(Momentive Performance MaterialsからのA−Link25もしくはSilquest A−1310)およびガンマ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(Momentive Performance MaterialsからのA−Link35)を含む。
【0040】
活性水素原子を有するポリウレタンプレポリマーは、おおよそ化学両論的な量で上述のイソシアナトシランと反応し、一つもしくはそれ以上の末端アルコキシシラン基を有する安定化ポリマー(a)を生成する。
【0041】
ポリウレタンプレポリマー合成ならびにそれに続くシリル化反応は、無水条件で、そして好ましくは窒素ブランケット(blanket)のような不活性の環境において実施された。両方の反応ステップのための典型的な温度範囲は0℃から150℃であり、そしてより好ましくは60℃と90℃の間である。典型的に、シリル化ポリウレタン合成のための全反応時間は4から8時間の間である。
【0042】
上述のポリウレタンプレポリマーならびに対応するシリル化ポリウレタンの調製において典型的に用いられる触媒は、ジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズアセタートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、第3級アミン、オクチル酸第一スズおよび酢酸第一スズのようなカルボン酸の第1スズ塩などである。本発明の具体的な一実施態様によると触媒はジブチルスズジラウレートである。
【0043】
式(1)の加水分解性シリル含有ポリマーに関するさらなる詳細について、ここでの参照によってそのすべての内容を組み込む、係争中の同一出願人により2007年3月7日に出願された「湿気硬化型シリル化ポリマー樹脂組成物」という名称のHuangらによる米国特許出願連続番号11/715000を参照できるであろう。
【0044】
低VOCの加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、ここでの参照によりそのすべての内容を組み込む、2005年12月1日出願の米国特許出願連続番号11/290045に開示される。
【0045】
本発明の一実施態様によると、加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との全重量に基づいて、90から99.5重量パーセント、そして他の実施態様において、95から99.9重量パーセント、そしてさらに他の実施態様において、97から99.5重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0046】
シリコーン含有塗料接着付与剤(b)は、ペンダントポリアルキレンオキシド基を含有するシリコーンポリマーである。一実施態様において、シリコーン含有塗料接着付与剤は一般式(5):
【化2】

によって表され、
ここで、
の各々は独立して、1から6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;
の各々は独立して、1から10個の炭素原子を有する二価の炭化水素であり;
の各々は、2から6個の炭素原子を有する二価の直鎖アルキレン基であり;
10の各々は独立して、3から6個の炭素原子を有する二価の分岐アルキレン基であり;
Zの各々は、水素、1から12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、および−C(=O)R11基からなる群より選択され、ここでR11は水素、または1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり;
下付き文字m、n、xおよびyの各々は整数であり、ここでmは1から100であり;nは1から100であり;xは10から200であり;そしてyは1から20である。
【0047】
シリコーン含有塗料接着付与剤(b)は、硬化性組成物に対して向上した接着性能を提供するためにいくつかの特徴を要求する。シリコーン含有塗料接着付与剤(b)は、硬化性組成物における付与剤(b)の可溶性を調節するために充分な数のシリコーンリピート単位を有することと、塗料、コーティング剤もしくは他の表面処理剤のコートされた層に応力がかかった時に剥離することを防ぐために硬化性シリル含有ポリマーとの充分なエンタングルメント(entanglement)提供することとを必要とする。塗料付与剤(b)は、コーティング剤、塗料もしくは他の表面処理剤の湿潤性を増大させ、それらの物質のポリマーおよび/もしくはエマルション樹脂との反応するために、充分な分子量のポリアルキレンオキシド単位の充分な数を有することを必要とする。ポリアルキレンオキシド基は、直鎖および/もしくは分岐アルキレンオキシドリピート単位からなる。これらの直鎖および分岐のアルキレンオキシド単位は、ランダムに分布できるか、もしくは直鎖アルキレンオキシドリピート単位のブロックおよび分岐アルキレンオキシドリピート単位のブロックで出現できる。直鎖アルキレンオキシド単位、好ましくはエチレンオキシドのブロックは、R基を介してシリコーンの骨格へと共有結合し、分岐アルキレンオキシド単位、好ましくはプロピレンオキシド単位のブロックは直鎖ポリアルキレンオキシドフラグメントへと共有結合する。しかしながら、もし、ポリアルキレンオキシド基がすべてエチレンオキシドのような直鎖アルキレンオキシド単位からなるなら、それは疎水性であるべきキャピング基、Zとして望ましく、それゆえそれは塗料もしくはラテックス粒子とより良く相互作用できる。R11が6から20個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、アラルキルもしくはアレニル基であるとき、Z基は疎水性である。
【0048】
他の実施態様において、それぞれのRはメチルであり;Rはプロピレンであり;Rはエチレンであり;R10は2−メチルエチレン(イソプロピレン)であり;mは50から50であり;nは5から50であり;xは50から150であり;そしてyは3から20である。
【0049】
シリコーン含有塗料接着付与剤の非限定的な代表例は:
(CHSiO−[Si(CHO−]20[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]50[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]10Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)22(CHCH(CH)O)H)O−]10Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]100[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]15Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]50[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)10CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]70[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]70[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]100[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)20CH)O−]15Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)13(CHCH(CH)O)15H)O−]−[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40H)O−]Si(CH;およびそれらの混合物を含む。
【0050】
シリコーン含有塗料接着付与剤(b)は、0.0001から0.005m/s(100から5000cSt)の範囲の粘度を持つ透明で無色もしくはほんの少し色のついた液体もしくはワックスである。一実施態様において、0.1%表面張力は、約28から40mN/m、好ましくは30から38mN/m、そしてより好ましくは33から36nN/mである。限界ミセル濃度(CMC)は、100グラムの溶液当たり、0.01から0.1グラム、好ましくは0.015から0.05グラム、そしてもっとも好ましくは0.02から0.04グラムのシリコーン含有塗料接着付与剤の範囲である。
【0051】
本発明のシリコーン含有塗料接着付与剤(b)は、当業者に公知の一般的な方法によって調製され得るシリコーンポリエーテルコポリマーである。例えば、米国特許第3,280,160号、米国特許第3,299,112号および米国特許第3,507,815号はこのタイプのコポリマーの合成を報告し、ポリウレタン泡安定剤、パーソナルケア品、および繊維製品の加工助剤としての使用を提示している。コポリマーは、溶媒の存在下(米国特許第3,980,688号および米国特許第4,025,456号)および非存在下(米国特許4,847,398号および米国特許5,191,103号)においてすべてのポリエーテルおよびポリジメチルメチルヒドリドシロキサンから調製され得る。上述の特許の開示は参照によりそのすべてをここに組み入れる。
【0052】
本発明の一実施態様によると、シリコーン含有塗料接着付与剤は、加水分解性シリル含有ポリマー(a)およびシリコーン含有塗料接着付与剤(b)の全重量に基づいて、0.05から10重量パーセント、他の実施態様において0.1から5重量パーセント、そしてさらに他の実施態様において0.5から3重量パーセンの範囲の量で存在する。
【0053】
さらに、少なくとも一つの加水分解性シリル含有ポリマーおよび少なくとも一つのシリコーン含有塗料接着付与剤を含有する硬化性組成物は、任意選択で、充填剤、可塑剤、揺変剤、抗酸化剤、紫外線安定剤、接着促進剤、殺生物剤、硬化触媒、湿気除去剤、顔料、染料、界面活性剤、溶媒および殺生物剤からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含有し得る。
【0054】
さまざまなフェノールおよびヒンダードアミンが、安定化ポリマー(a)に好適である。非限定的な代表例は、Irganox1010、すなわちテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート)]メタン;Iganox1076、すなわちオクタデシル−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマート;Irganox1135、すなわち3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイ皮酸、C7−9分岐アルキルエステル;Ethanox 330、すなわち1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;Tthanox703、すなわち2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチル)フェノール;Ionol、すなわち2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;TEMPO、すなわち2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシフリーラジカル;4−ヒドロキシTEMPO、すなわち4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニロキシフリーラジカルのようなフェノールを含む。ヒンダードアミンの例は、Irganox5057、すなわち置換芳香族アミン;Tinuvin327、すなわち2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;Tinuvin326、すなわち2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール;Tinuvin622、すなわちジメチルコハク酸エステルポリマーとヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール;Tinuvin213、すなわちポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、(α、(3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)−1−オキソプロピル)−ω−ヒドロキシを含む。
【0055】
フェノールおよびヒンダードアミンを単独でもしくは組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との全重量に基づいて、0.1から2.0重量パーセントの濃度で用いられる。しかしながら、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との全重量に基づいて、0.1から1.0重量パーセントがより典型的である。
【0056】
最後にビタミンEはまた、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との組成物の安定化のための抗酸化剤として用いられる。
【0057】
抗酸化剤に加えて、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との組成物は典型的に、長期間の保存安定性を維持するために湿気除去剤を含有する。ビニルトリメトキシシラン(Momentive Performance MaterialsからのSilquest A−171)のようなさまざまなアルコキシシラン、またはメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランなどのようなアルキルトリアルコキシシランはこの用途に効果的である。それらは典型的に、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.1から5.0重量パーセントの濃度で混合され、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.5から2.5重量パーセントがより典型的である。
【0058】
封止剤の配合に好適な典型的な充填剤は、ヒュームドシリカ、沈降シリカおよび炭酸カルシウムのような強化充填剤を含む。0.07マイクロメートルから5.5マイクロメートル(ミクロン)の粒径を有する処理された炭酸カルシウムは好ましく、そしていくつかの商標名:Spacialty MineralsからのUltrra Pflex、Super Pflex, Hi Pflex, Pfinyl 402;SolvayからのWinnofil SPM、SPT;HuberからのHubercarb 1Qt、Hubercarb 3QtおよびHubercarb W;ECCからのKotomite;OmyaからのOyacarb FT、Oyacarb 3TおよびOmyacarb UFT;ImerysからのCamel−Fine ST、Cael−Wite STおよびCamel−Cal ST、で入手可能である。日本において一般に用いられる充填剤は、白石工業からの白艶華CCR、白艶華CC、白艶華TDDおよびViscolite OS;丸尾カルシウムからのCalfine200を含む。これらの充填剤は単独でも組み合わせても用いられる。充填剤は、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量において200重量パーセントまでを構成し、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて80から150重量パーセントがより好ましい充填レベルである。
【0059】
通常の可塑剤もまた伸長を改善し、より高い充填剤濃度の使用を促進するために用いられ得る。例示的な可塑剤は、旭電化、旭硝子もしくは三協化学より入手可能な、フタラート、ジプロピレンおよびジエチレングリコールジベンゾアート、ジエチレングリコールジベンゾアート、ジプロピレングリコールジベンゾアートならびにそれらの混合物(200〜5000amu、そしてより好ましくは1000から4000amuの分子量)、エポキシ化大豆油などを含む。アジピン酸塩およびセバシン酸塩のような脂肪酸ジエステルもまたそうである。ジオクチルおよびジイソデシルフタラートの有用なソースは、Exxon ChemicalよりJayflex DOPおよびJayFlex DIDPの商標名で入手可能なものを含む。これらのジベンゾアートはVelsicol Chemical CorporationよりBenzoflex 9−88、Benzoflex 9−88SG、Benzoflex 50およびBenzoflex400として入手可能である。他の有用な可塑剤はShell ChemicalからのShellsol D60およびShellsol D80;PenrecoからのConosol C−200およびConosol C−260;Exxon Mobil ChemicalからのExxsol D−10;Petrochem CarlessからのPilot 900のような炭化水素の液体を含む。可塑剤は典型的には、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量において150重量パーセントまでを構成し、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて5から50重量パーセントがより好ましい。
【0060】
可塑剤とシリコーン含有塗料接着付与剤との相互作用は塗料の接着を改善する。可塑剤の例はBenzoflex 50、Benzoflex 9−88もしくはBenzoflex 9−88 SGを含み、例えば:
(CHSiO−[Si(CHO−]20[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]50[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]10Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)22(CHCH(CH)O)H)O−]10Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]100[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]15Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]50[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)10CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]70[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]70[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]100[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)20CH)O−]15Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)13(CHCH(CH)O)15H)O−]−[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40H)O−]Si(CHのようなシリコーン塗料付与剤と組み合わせて用いられる。加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて、可塑剤の量は5と50の間の重量パーセントであり、そしてシリコーン含有塗料接着付与剤は0.1と5の間の重量パーセントである。
【0061】
封止剤配合物はさまざまな揺変剤もしくは垂れ防止剤を含む事が出来る。典型的な添加剤はさまざまなカストールワックス、フュームドシリカ、処理粘土およびポリアミドである。揺変剤は、:DegussaからAerosil、CabotからCabo−Sil TS720、CasChemからCastorwax、RheoxからThixatrolおよびTchixcin;King IndustriesからDisparlon6500;ならびにCray ValleyからCrayvallac Super、Crayvallac SLXおよびCrayvallac SLとして入手可能なものを含む。これらの添加剤は典型的には、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との総重量に基づいて、0.1から10重量パーセントを構成し、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.5から6重量パーセントが好ましい。
【0062】
紫外線安定化剤もしくは抗酸化剤を、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.1から5重量パーセントの量で封止剤配合物へと混入出来、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.5から3重量パーセントが好ましい。これらの材料はCiba−GeigyよりTinuvin(登録商標)770、Tinuvin327、Tinuvin326、Tinuvin213、Tinuvin622およびIrganox(登録商標)の商標で入手可能である。
【0063】
無機基質に対するさまざまな有機官能性シランおよびシロキサン接着促進剤は、封止剤組成物において有用である。これらの材料は典型的には、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との総重量に基づいて、0.1から5重量パーセントの濃度で用いられ、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.5から2.5重量パーセントが好ましい。好適な接着促進剤は、Momentive Performance Materialsから入手可能な、Silqueat(登録商標)A−1120シラン、SilqueatA−1110シラン、SilqueatA−2120シランおよびSilqueatA−1170シランのようなアミノシラン;SilqueatA−187シランのようなエポキシシラン;SilqueatA−597シランのようなイソシアヌラートシラン;ならびにSilqueatA−189シラン、SilqueatA−1891シラン、SilqueatA−599シランのようなメルカプトシランを含むがそれらに限定されない。
【0064】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との組成物は典型的には、硬化性のシリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有接着付与剤(b)との組成物を適時に硬化(架橋)するために硬化触媒を混入する。スズ、チタニウム、ジルコニウムなどのさまざまな金属錯体はこれらの組成物の硬化に好適である。ジブチルスズジラウラートおよびジブチルスズアセタートのようなジアルキルスズジカルボキシラート、オクチル酸第一スズおよび酢酸第一スズのようなカルボン酸の第一スズ塩などがもっとも好適である。スズ触媒は単独でもラウリルアミンのような第3級アミンと組み合わせても用いられる。触媒は典型的には、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.01から3重量パーセントを構成し、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.05から1.0重量パーセントが好ましい。
【0065】
配合物はまた、貯蔵安定性を維持するために、追加の量の脱水剤を含有しても良い。ビニルトリメトキシシラン(Momentive Performance MaterialsからのSilquest A−171)の非限定的例のようなアルコキシシラン、またはメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシランなどの非限定的例のようなアルキルトリアルコキシシランはこの用途に効果的である。それらは典型的には、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて、0.1から5.0重量パーセントの濃度で混入され、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて、1.0から3.0重量パーセントがより典型的である。
【0066】
配合物はまた、封止剤の用途に典型的に用いられる他の添加剤を含んでも良く、これらは顔料もしくは他の着色剤、染料、抗カビ剤ならびに殺生物剤を含む。
【0067】
本発明に有用な加水分解性シリル含有ポリマー(a)は、Momentive Performance Materialsから入手可能なSPUR1015LM、SPUR1050MMを含むがそれらに限定されない。
【0068】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)、シリコーン含有塗料接着付与剤(b)および他の追加的成分は、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、機械的スターラー、押出機、ハウスチャイルドミキサーなどを含む当分野に既知のプロセスによって混合される。一般的に、シリコーン含有塗料接着付与剤(b)、充填剤、乾燥剤、および他の追加的な成分が加水分解性シリル含有ポリマー(a)へと添加される。乾燥剤は充填剤、顔料および他の成分に存在するかもしれない任意の過剰の水を除去するのに用いられ、加水分解性シリル含有ポリマー(a)、シリコーン含有塗料接着付与剤(b)および他の任意追加の成分を含有する硬化性の組成物の安定性を高める。
【0069】
General Electric Companyへと与えられた米国特許第5,519、104号に記載されるような連続モード調製は参照によりここに組み入れる。封止剤の非限定的な例のような、本発明の加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)とを含有する硬化性の組成物は、本発明の成分を混合するのに用いられる押出機を用いて連続的に調製されても良い。
【0070】
非限定的例において、表1に示される成分を混入する硬化性の組成物が、30mm Werner−Pfliederer双軸押出機において以下の手順を用いて調製される。:Werner−Pfliederer押出機の混合手順:押出機の全セクションを75℃へと加熱した。押出機のバレル(barrel)1へと、加水分解性シリル含有ポリマー(a)、シリコーン含有塗料接着付与剤(b)および炭酸カルシウム充填剤が連続的に計り入れられた。押出機のバレル3へと、可塑剤、有機官能性シラン接着促進剤ならびに抗酸化剤(Irganox)および光安定化剤(Tinuvins)の混合物が計り入れられた。押出機のバレル3へと、可塑剤とスズ触媒のあらかじめ混合されたものが連続的に計り入れられた。封止剤、すなわち本発明の硬化性組成物は、押出機において18.14kg/hr(40lb/hr)の速さで作製された。本発明の組成物を調製するために他のサイズの押出機も使用出来る。
【0071】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)、シリコーン含有接着付与剤(b)および任意選択の他の成分を含有する硬化性の組成物の調製に関するさらなる詳細について、2007年3月7日に出願されたHuangらの「湿気硬化型シリル化ポリマー樹脂組成物」と題する米国特許出願連続番号11/71500を参照出来、ここでの参照によりそのすべての内容を組み入れる。
【0072】
充填剤、可塑剤、揺変剤、抗酸化剤、紫外線安定剤、接着促進剤、殺生物剤、硬化触媒など任意選択の成分を伴って本発明の加水分解性シリル含有ポリマー(a)およびシリコーン含有接着付与剤(b)を混入する1成分系もしくは2世文系の封止剤のような硬化性組成物を、バッチもしくは連続プロセスを用いて調製できる。
【0073】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)とを含有する1成分系硬化性組成物の非限定的な代表例は、表1に示される。
【0074】
【表1】

【0075】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)、シリコーン含有塗料接着付与剤(b)および任意選択の他の成分を含有する硬化性の組成物は、水への暴露によって硬化される。もっとも一般的な方法は、硬化性組成物を所望の形へと成型し、そしてその後に大気の湿気もしくは大気中の人工的に調整された湿気成分中へと置くことである。暴露は0から120℃の間に起こりえるが、成型された硬化性組成物を好ましくは10から50℃、そしてより好ましくは15℃と35℃の間で暴露する。
【0076】
一実施態様によると、硬化の後、本発明の硬化性組成物を、塗料、コーティング剤もしくは他の表面処理剤でコートすることが出来、塗料、コーティング剤もしくは他の表面処理剤は、ASTM D3359によって測定される、少なくとも3B、好ましくは4Bそしてもっとも好ましくは5Bの接着を有する。具体的には、塗料接着がASTM D3359によって測定される本発明の硬化性組成物は、紫色のPittsburgh Paintによる壁と装飾用のManor Hall(登録商標)Interior Pearl Latex(略して「サテン」)によって塗装されて4日間では、約4Bから約5Bの範囲の値を持つ。
【0077】
本発明およびその多くの利点へのより良い理解は、実施によって与えられる以下の具体的な実施例への参照によって得られる。
【実施例】
【0078】
本発明の硬化性組成物の調製のためのバッチ方法はハウスチャイルドDAC600FVZスピードミキサーを用いる。代替的に、標準的なダブルプラネタリーもしくは同様のミキサーを用いても良い。300グラムのバッチが実施例および比較例のために調製された。
【0079】
連続モード調製は、参照によりここに組み込むGeneral Electric Companyに与えられた米国特許第5,519、104号に記述されるようになされた。封止剤のような本発明の加水分解性シリル含有ポリマー(a)およびシリコーン含有塗料接着付与剤(b)を含有する硬化性の組成物を、30mmWerner−Pfliederer双軸押出機を用いて連続的に調製でき、硬化性組成物は表1に概説される成分を混入し、以下の混合手順を用いる。
【0080】
本発明の硬化性組成物の調製のための連続的な方法はWerner−Pfliederer押出機を用いる。混合手順は以下の通りである。押出機の全セクションを75℃へと加熱した。押出機のバレル(barrel)1へと、加水分解性シリル含有ポリマー(a)、シリコーン含有塗料接着付与剤(b)および炭酸カルシウム充填剤が連続的に計り入れられた。押出機のバレル3へと、可塑剤、有機官能性シラン接着促進剤ならびに抗酸化剤(Irganox)および光安定化剤(Tinuvins)の混合物が計り入れられた。押出機のバレル3へと、可塑剤とスズ触媒のあらかじめ混合されたものが連続的に計り入れられた。封止剤、すなわち本発明の硬化性組成物は、押出機において18.14kg/hr(40lb/hr)の速さで作製された。本発明の組成物を調製するために他のサイズの押出機も使用出来る。
【0081】
本発明のシリコーン含有塗料接着付与剤の代表的な構造は、以下のAおよびBによって例示される:
シリコーン含有塗料接着付与剤A:
(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH
シリコーン含有塗料接着付与剤B:
(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)13(CHCH(CH)O)15H)O−]−[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40H)O−]Si(CH
【0082】
シリコーン含有塗料接着付与剤の範囲の外の比較例のシリコーンコポリマーの構造は以下のシリコーン付与剤C〜Fによって例示される:
シリコーン付与剤C:
(CHSiO((CHO(CHCHO)12OH)O−[Si(CHO−]15Si((CHO(CHCHO)12H)(CH
シリコーン付与剤D:
(CHSi((CHO(CHCHCHO)12OH)O−[Si(CHO−]15Si((CHO(CHCHCHO)12H)(CH
シリコーン付与剤E:
(CHSiO−[SiCH((CHO(CHCHO)CH20H)O−]Si(CH
シリコーン付与剤F:
(CHSiO−[Si(CHO−]80[SiCH((CHO(CHCHO)CHO−]Si(CH
【0083】
封止剤の調製:シリコーン含有塗料接着付与剤を含まない比較例1〜3および本発明のシリコーン含有塗料接着付与剤(すなわち、上述のシリコーン含有塗料接着付与剤A)を含む実施例4〜6代表的な封止剤配合物は表2に列挙される。
【0084】
【表2】

【0085】
加水分解性シリル含有ポリマー(a)、すなわちMomentive Performance Materials、Inc.から入手可能なSPUR 1015LMは、1成分系封止剤へと、ハウスチャイルドミキサーを用いる従来の方法で、以下の手順によって、組み入れられた。ポリマー(a)、DIDP、Consol、TiO2、Crayvallac、Tinuvin327、Tinuvin770、HiPflex100、UltraPflexおよびビニルトリメトキシシランがMAX300カップへと計り入れられた。カップは閉じられ、そしてハウスチャイルドDAC600 FVZスピードミキサー内のミキサー中でハイスピードで20分間混合された。カップは取り出され、そして冷やされた。冷却後、シリコーン含有塗料接着付与剤、Silquest A−1120、およびジブチルスズジラウレート(DBTDL)が添加され、そしてカップは追加の分の間ハイスピードで混合された。
【0086】
封止剤は試験の前に1週間23℃で50%相対湿度という調整された条件で完全に硬化された。物理特性は標準的なASTM試験手順を用いて評価された。これらは張力強度、伸び、モジュラス(ASTM D412);ショアA硬度(ASTM C661)を含んでいた。
【0087】
ペイント性は、不可、可および優秀の尺度で記述される。ペイント性は、硬化した封止剤(すなわち、表2に示される配合物を1週間23℃)の表面へのコーティングによって判断された。「不可」の尺度のペイント性は、塗料が多くの非連続的な幅広い筋を形成し、それによって、むき出しのもしくは非塗装の本発明の硬化した組成物(封止剤)表面を曝す時である(図1を参照)。「可」の尺度のペイント性は、グレイの塗料が、硬化した封止剤の白いベース上に認識できる量の筋を形成する時である(図2を参照)。「優秀」の尺度のペイント性は、塗料が、硬化した封止剤の白いベース上により少なくかつより幅狭い筋を形成する時である(図3を参照)。
【0088】
塗料接着はASTM D3359−95a、試験方法B−クロスカットテープ試験を用いて試験された。塗料コーティングが硬化した封止剤上で乾燥するとき、線をマークするためにクロスカット刃ツールを用い、接着を試験するためにテープを用いる。ASTM D3359−95aによる評価分類は、表2Aに示される。
【0089】
【表2A】

【0090】
接触角は、Rame−hart Inc.によって製作されたadvanced Goniometerによって、硬化した非塗装の封止剤上で測定された液滴のサイズは3マイクロリットルで測定時間は10秒にセットされた。
【0091】
シリコーン含有塗料接着付与剤の利点を例示するのに用いた塗料は:
緑色のWalmartによるColorPlace(登録商標)Exterior Acrylic Latex Flat Home Paint custom color(略して「フラット」)
紫色のPittsburgh Paintによる壁と装飾用のManor Hall(登録商標)Interior Pearl Latex(略して「サテン」)
茶色のTrue Value Manufacturing によるE−Z KARE(登録商標)Interior Acrylic Latexセミグロスエナメル(略して「エナメル」)
である。
【0092】
比較例1〜3、実施例4〜6
表3は、とりわけ封止剤塗料接着が5Bの評価分類へと達するための日数によって表される、比較例1から3および実施例4から6(それぞれの配合は表2に示される)の接着能を示す。
【0093】
【表3】

【0094】
比較例7、実施例8〜10
表4は、DIDP可塑剤およびさまざまな濃度のシリコーン含有塗料接着付与剤Aの比較例7(比較例1と同一の配合を含有する)および実施例8〜10(表4に示されるシリコーン含有塗料接着付与剤の濃度で実施例4と同一の配合を含有する)のペイント性および塗料接着に対する影響を表すデータを示す。
【0095】
【表4】

【0096】
比較例11、実施例12〜14
表5はBenzoflex50可塑剤およびまざまな濃度のシリコーン含有塗料接着付与剤Aの比較例11(比較例2と同一の配合を有する)と実施例12〜14(表5に示されるシリコーン含有塗料接着付与剤の濃度で実施例5と同じ配合を含有する)に対するペイント性および塗料接着に対する影響を表すデータを示す。
【0097】
【表5】

【0098】
比較例15、実施例16〜18
表6はBenzoflex9−88可塑剤およびまざまな濃度のシリコーン含有塗料接着付与剤Aの比較例15(可塑剤としてBenzoflex9−88が11.96重量パーセントの量で添加されたことを除いて比較例1と同一の配合を有する)と実施例16〜18(可塑剤としてBenzoflex9−88が11.96重量パーセントの量で添加されたこととシリコーン含有塗料接着付与剤Aが表6に列挙される濃度で添加されたこととを除いて比較例1と同一の配合を有する)に対するペイント性および塗料接着に対する影響を表すデータを示す。
【0099】
【表6】

【0100】
表7は比較例19〜26および実施例27〜30の接着データを示す。比較例19〜26および実施例27〜30は、シリコーン付与剤C〜Fならびにシリコーン含有塗料接着付与剤AおよびBのそれぞれへの添加を除いては比較例1と同一である。Flat Latex Paintの接着の質的な調査は1日未満で行われた。
【0101】
【表7】

【0102】
本発明は好ましい実施態様を参照して記述されたが、本発明の範囲を離れることなく、さまざまな変更がなされそしてそれらの要素を代替物へと置き換えられることが出来ることは当業者なら理解できるであろう。本発明は、本発明を実施するためのベストモードとして開示される特定の実施態様へと限定することではなく、添付される請求項の範囲に入るすべての実施態様を含むことを意図する。ここに引用されるすべての引用は参照により明確にここに組み入れる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性シリル含有ポリマー組成物であって:
a)少なくとも一つの加水分解性シリル含有ポリマー;
b)少なくとも一つのシリコーン含有塗料接着付与剤;および
c)任意選択で、充填剤、可塑剤、揺変剤、抗酸化剤、紫外線安定化剤、接着促進剤、硬化触媒、湿気除去剤、顔料、染料、界面活性剤、溶媒および殺生物剤からなる群より選択される少なくとも一つの成分、
を含有する組成物。
【請求項2】
前記加水分解性シリル含有ポリマーが一般式:
【化3】

によって与えられ、
ここで:
が約500から約100,000グラム/モルの数平均分子量を有する一価のもしくは多価の有機ポリマーフラグメントであり;
の各々が独立して、二価のアルキレン、アルケニレン、アレニレン、アリーレンおよびアラルキレンからなる群より選択される1から12個の炭素原子を含有する二価のヒドロカルビル基であり、そして酸素、窒素および硫黄からなる群より選択されるヘテロ原子を任意選択で少なくとも一つ含有し;
の各々が独立して二価の酸素(−O−)、硫黄(−O−)もしくは構造(−)NRの置換窒素から選択され、ここでRが水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキルもしくは−RSiX基であり、ここで水素以外のそれぞれのRが1から18個までの炭素原子を含有し、そしてAが酸素もしくは硫黄の時、Aは(−)NRであるという条件であり、そしてaが0の時、Aは酸素であるという条件であり;
の各々が独立して、二価の酸素(−O−)、硫黄(−S−)もしくは構造(−)NRの置換窒素より選択され、ここでRが水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリール、アラルキルもしくは−RSiX基であり、ここで水素以外のそれぞれのRが1から18個までの炭素原子を含有し、そしてAが酸素もしくは硫黄の時、Aが(−)NRであるという条件であり;
の各々が独立してRO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RC=CRO−およびRNO−からなる群より選択され、ここでRが独立して水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリールおよびアラルキル基からなる群より選択され、ここで水素以外のそれぞれのRが、1から18個までの炭素原子と、そして任意選択で少なくともひとつの酸素もしくは硫黄原子とを含有し;
およびXの各々が独立して、RO−、RC(=O)O−、RC=NO−、RC=CRO−、RNO−およびRからなる群より選択され、ここでそれぞれのRが独立して水素、アルキル、アルケニル、アレニル、アリールおよびアラルキル基からなる群より選択され、ここで水素以外のそれぞれのRが、1から18個までの炭素原子と、そして任意選択で少なくとも一つの酸素もしくは硫黄原子とを含有し;そして
下付き文字aおよびbの各々が独立して整数であり、ここでaが0もしくは1であり、かつbが1から6である;
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記加水分解性シリル含有ポリマーが、加水分解性シリル化ポリエーテルジオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記加水分解性シリル含有ポリマーが、加水分解性シリル化ポリウレタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記加水分解性シリル含有ポリマーが、ポリエーテルジオール、ジイソシアナートおよび活性水素含有加水分解性シランから得られる加水分解性シリル化ポリウレタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記加水分解性シリル含有ポリマーが、ヒドロキシル末端ポリエーテルポリオールとイソシアナトシランとの反応によって得られるシリル化ポリウレタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記加水分解性シリル含有ポリマーが、イソシアナート末端ポリエーテルポリオールとアミノシランとの反応によって得られるシリル化ポリウレタンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーン含有塗料接着付与剤が一般式:
【化4】

を有し、
ここで、
の各々が独立して、1から6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;
の各々が独立して、1から10個の炭素原子を有する二価の炭化水素であり;
の各々が、2から6個の炭素原子を有する二価の直鎖アルキレン基であり;
10の各々が独立して、3から6個の炭素原子を有する二価の分岐アルキレン基であり;
Zの各々が、水素、1から12個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカル、および−C(=O)R11基からなる群より選択され、ここでR11が水素、または1から20個の炭素原子を有するヒドロカルビルラジカルであり;
下付き文字m、n、xおよびyの各々が整数であり、ここでmが1から100であり;nが1から100であり;xが10から200であり;そしてyが1から20である;
請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記シリコーン含有塗料接着付与剤が:
(CHSiO−[Si(CHO−]20[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]50[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]10Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)22(CHCH(CH)O)H)O−]10Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]100[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)20H)O−]15Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]50[SiCH((CHO(CHCHO)10(CHCH(CH)O)10CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]70[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]70[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]100[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)20CH)O−]15Si(CH;(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)15(CHCH(CH)O)15CH)O−]Si(CH;および(CHSiO−[Si(CHO−]75[SiCH((CHO(CHCHO)13(CHCH(CH)O)15H)O−]−[SiCH((CHO(CHCHO)35(CHCH(CH)O)40H)O−]Si(CHからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
加水分解性シリル含有ポリマーが、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて90から99.95重量パーセントの量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
加水分解性シリル含有ポリマーが、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて95から99.9重量パーセントの量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
シリル含有ポリマーが、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて97から99.5重量パーセントの量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
シリコーン含有塗料接着付与剤が、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.05から10重量パーセントの量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
シリコーン含有塗料接着付与剤が、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.1から5重量パーセントの量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
シリコーン含有塗料接着付与剤が、加水分解性シリル含有ポリマー(a)とシリコーン含有塗料接着付与剤(b)との総重量に基づいて0.5から3重量パーセントの量の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記シリコーン含有塗料接着付与剤(b)が、0.0001から0.005m/s(100から5000cSt)の範囲の粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
硬化した請求項1の組成物。
【請求項18】
前記硬化した組成物が、3マイクロリットル水滴を用い、そしてそれを10秒間平衡して測定される、90℃未満の接触角を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
請求項1の組成物を用いて調製される封止剤。
【請求項20】
ASTM D3359によって測定される、塗装されて4日内に4Bから5B範囲の塗料接着値を有する、請求項19に記載の封止剤。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−531383(P2010−531383A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514781(P2010−514781)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/007862
【国際公開番号】WO2009/005642
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】