説明

塗料組成物

【課題】臭い成分やVOC(揮発性有機化合物)の分解性能効果に優れるとともに、淡色や透明な塗料組成物にした場合でも、光が照射された場合は元より、光照射されない場合においても、優れた抗菌性、防カビ性を発揮する塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することを目的としている。
【解決手段】レーザードップラー法により求めたメジアン径(D50)が0.01μm〜10.00μmであるアパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子と、レーザードップラー法により求めたメジアン径(D50)が1nm〜100nmである銀粒子とを含むことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性に優れる塗膜を形成可能な塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタン、特にアナターゼ型の100nm以下の二酸化チタン粒子は、光触媒性能を有している。光触媒性能を有する二酸化チタン粒子( 以下、「光触媒二酸化チタン粒子」と記す)内では、紫外線照射により電子と正孔とが発生する。
【0003】
光触媒二酸化チタン粒子内に発生した正孔は、空気中の水分をヒドロキシラジカル(・OH) と、水素イオン(H+ ) に分解し、発生したヒドロキシラジカルが、有機物を酸化分解する。したがって、有機物である油分等を分解して壁面等に汚れが付かないようにしたり、細菌やウイルスを酸化分解して死滅させたりすることができる。
【0004】
一方、光触媒二酸化チタン粒子内に発生した電子は、空気中の酸素を還元してスーパー
オキサイドアニオン(O2-)を発生させ、このスーパーオキサイドアニオンが細菌やかびをその細胞膜を破壊することによって死滅させる。
さらに、光触媒二酸化チタン粒子は、上記のように、光、特に紫外線が当たるという条件で初めて効果を発揮し、光の量が多いほど、抗菌、消臭、防カビ、VOC(揮発性有機化合物)の分解、セルフクリーニング、水質浄化、大気浄化などの効果を発揮するが、近年では紫外線のみならず、可視光でも効果を発揮する光触媒二酸化チタン粒子も開発されている。
【0005】
また、この光触媒二酸化チタン粒子の表面の一部をアパタイトで被覆したアパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子(以下、「アパタイト被覆二酸化チタン粒子」と記す)が塗料成分中に含まれた塗料組成物も提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、光触媒二酸化チタン粒子は、いくら十分な量の光が照射されても、酸化により分解される物質と光触媒二酸化チタン粒子とが接触していないと、光触媒による効果が得られない。
【0006】
一方、リン酸カルシウム系セラミックスであるアパタイトは、タンパク質やにおいの成分の吸着能に優れている。
アパタイト被覆二酸化チタン粒子は、二酸化チタンの表面にこのアパタイトの微細な結晶を析出させたもので、アパタイトが二酸化チタン粒子の表面を完全に覆っているのではなく、分散して析出しているため、二酸化チタン粒子の表面は部分的に露出し、その光触媒機能も発揮できるようになっている。
【0007】
したがって、上記のようなアパタイト被覆二酸化チタン粒子を配合した塗料組成物を用いて得られる塗装面では、塗装面表面に露出したアパタイト被覆二酸化チタン粒子の光触媒効果によって、二酸化チタン粒子に接触した細菌、ウイルス、カビ等を分解死滅させることができる。また、二酸化チタン粒子表面の一部がアパタイトで被覆されているので、塗料成分に有機物が用いられていても、塗膜を形成する有機物が二酸化チタン粒子の光触媒作用によって分解されることが防止されるとともに、アパタイトが浮遊する細菌、ウイルス、カビ等を二酸化チタン粒子近傍に吸着するため、つぎつぎに二酸化チタン粒子によって分解死滅させることができ、より高い抗菌力や防カビ作用を発揮する。
しかしながら、光触媒では、光の照射が足りないと十分な抗菌、防カビ、臭い成分の分解作用を発揮できないという問題があるとともに、アパタイト被覆二酸化チタン粒子においては、アパタイトに吸着したカビが却ってアパタイト上で増殖する恐れがある。
【0008】
一方、光の照射がなくても抗菌性を示す物質としてAgイオンがある。
銀イオンは、下式に示すように、
【化1】

細菌表面の細胞膜と細胞壁間にある呼吸酵素に含まれるタンパク室を構成するアミノ酸であるシスチン(cystine)のS−S結合を切断し、細菌を呼吸できなくして不活性化、また、ウイルスの場合、エンベロープ(envelope,外套)を破壊、不活性化する。
【0009】
したがって、塗料に銀イオンを添加して用いると、容易に塗膜に抗菌性を付与させることができるが、銀イオンは細菌、ウイルスに対し強い殺菌作用を持つが、微量水分の存在下容易に流出してしまうという欠点があり、塗膜に固定させることが事実上不可能である。銀イオンの抗菌性を塗膜中で長期間継続的に維持させるためには、銀イオンを徐々に生成させることが望ましい。銀イオンを生成させる方法として、金属銀を硝酸等の強酸に溶解させることはよく知られているが、この方法では全ての銀が一気にイオンとなってしまい、イオン流出の問題があるため、抗菌性を塗膜中で長期間継続的に維持させることはできない。この課題を解決する方法として、ナノサイズの銀粒子を塗料等に分散させることが有効である。ナノサイズの銀粒子は、単位質量当たりの表面積が大きくなるため、ミクロンサイズ以上の銀粒子と比較するとイオン生成量が多いが、銀イオンと比較すると水中に流出する量が少ないため、塗料中に分散させて用いることができる。この用途に適したナノサイズ銀粒子の製造方法については、液相で分散剤と還元剤との存在下、銀イオンを直接還元する液相還元法を用いた方法も提案されている(特許文献2〜4参照)。
【0010】
ナノサイズの微細なAg粒子は、貴金属ナノ粒子特有のプラズモン吸収を持ち、黄〜褐色の色相を呈する。
したがって、抗菌性を高めようとして、塗料成分中に多量に添加すると、塗料組成物が黄〜褐色に着色されてしまうため、淡色や透明な塗料組成物の場合、添加量を少なくしなければならず、十分な抗菌効果が発揮できない。
また、銀イオンは、上記のように、抗菌性や防カビ性を備えているものの、臭い成分やVOC(揮発性有機化合物)の分解性能がない。
【0011】
【特許文献1】特開2000−1631号公報
【特許文献2】特開2004−018923号公報
【特許文献3】特開2005−235533号公報
【特許文献4】特開2005−248204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みて、臭い成分やVOC(揮発性有機化合物)の分解性能効果に優れるとともに、淡色や透明な塗料組成物にした場合でも、光が照射された場合は元より、光照射されない場合においても、優れた抗菌性、防カビ性を発揮する塗膜を形成することができる塗料組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明にかかる塗料組成物は、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子と、メジアン径(D50)が1nm〜100nmである銀粒子とを含むことを特徴としている。
【0014】
本発明の塗料組成物は、水性でも有機溶剤型でも構わない。水性塗料組成物としては、水溶液型とエマルジョン型が挙げられ、樹脂成分としては、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの変性樹脂などが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、この中には、架橋型アクリルエマルジョンや該エマルジョンと水性ポリウレタン樹脂との併用による架橋型エマルジョンも含まれる。一方、有機溶剤型塗料組成物の樹脂成分としては、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの変性樹脂などが挙げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの中には架橋型の樹脂も含まれる。有機溶剤型塗料組成物における溶剤の種類も何ら制限はなく、用途に応じて適宜選択できる。例えば、脂肪族系および芳香族系溶剤、植物性溶剤、アルコール類溶剤、エステル系溶剤、ケトン系・エーテル系溶剤、塩素化合物溶剤などが挙げられ、アクリルウレタン樹脂エマルションが好適に用いられ、アクリルウレタン樹脂エマルションの中でも、アクリル樹脂がもつ耐水性、耐アルカリ性、防カビ性、乾燥性とウレタン樹脂がもつ弾性、低感温性、耐磨耗性、密着性などで優れた特徴を併せ持つものが好ましい。
【0015】
樹脂成分として、アクリルウレタン樹脂エマルションを用いる場合、その配合量は、製品に対して固形分割合で10〜30重量%とすることが好ましい。すなわち、10重量%未満では良好な塗膜が形成できず、30重量%を超えると、塗膜が厚くなりすぎて、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子が塗膜表面に露出しにくくなり、光触媒効果が十分に発揮できなくなる恐れがある。
【0016】
本発明において用いられる銀粒子の粒径は、レーザードップラー法により求めたメジアン径(D50)で1nm〜100nmであるものを用いることが好ましい。
すなわち、メジアン径が1nm未満の場合、銀粒子の製造が困難である。一方、メジアン径が100nmを越えると、銀粒子の分散が不安定となり、沈降等の問題があり、好ましくない。
【0017】
上記銀粒子の製造方法は、特に限定されないが、均一な粒径の銀粒子が得られやすいことから液相還元法を用いることが好ましい。
なお、液相還元法を用いた銀粒子の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、特開2004−18923号公報に記載されているような、「4価のチタンイオンを含む、pHが7以下の水溶液を陰極電解処理して、4価のチタンイオンの一部を3価に還元することで、3価のチタンイオンと4価のチタンイオンとが混在した還元剤水溶液を得る工程と、上記還元剤水溶液に、銀微粉末のもとになる水溶性の銀化合物を添加、混合して、3価のチタンイオンが4価に酸化する際の還元作用によって銀イオンを還元して銀粒子を析出させる工程と、を含む製造方法」が好適である。
【0018】
銀粒子の塗料への配合量としては、特に限定されないが、製品に対して固形分割合で0.5ppm〜1000ppmが好ましい。すなわち、銀粒子が0.5ppm未満では添加による抗菌効果がほとんど期待できず、1000ppmを超えると、透明あるいは白色などの淡色の塗料組成物では黄〜褐色に着色されてしまい、意匠感が損なわれ、好ましくない。
【0019】
本発明において、光触媒二酸化チタンとは、アナターゼ型結晶構造の二酸化チタンが好適に使用される。
また、本発明においてアパタイトとは、Ca1 0(PO46(OH)2 であらわされるハイドロキシアパタイトを意味する。
【0020】
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子は、光触媒二酸化チタン粒子表面の全体が多孔質状態のアパタイトで被覆され、多孔質の隙間を通して光を二酸化チタン粒子に照射可能になっているもの、あるいは、二酸化チタン粒子の一部がアパタイトで被覆されたもので、特に限定されないが、たとえば、ヒトの体液と同種・同濃度の無機イオンを含む所定温度の疑似体液の飽和溶液に光触媒二酸化チタン粒子を所定時間浸漬するとともに撹拌することによって得られる。
【0021】
擬似体液は、NaCl、NaHCO3 、KCl、K2HPO4・3H2O、MgCl2・6H2O、CaCl2 とNa2SO4あるいはNaFなどを、水に溶かすことで調製される。またHCl や(CH2OH)3CNH2 等によりpHを7〜8、特に7.4に調整することが好ましい。
このようなアパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子として、たとえば、市販のナノウエイヴ社製商品名NSP-S001などを用いるようにしても構わない。
【0022】
本発明において用いられるアパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子の粒径は、特に限定されないが、レーザードップラー法により求めたメジアン径(D50)で0.01μm〜10μmであるものを用いることが好ましい。
すなわち、上記メジアン径が0.01μm未満の場合、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子の製造が困難である。一方、メジアン径が10μmを越えると、塗膜表面のアパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子の表面積の総計が小さくなる為、室内に浮遊する細菌、ウイルス、カビ等をアパタイトが吸着する量が少なくなり、また二酸化チタンが分解死滅させる効果も少なくなる。
【0023】
また、本発明の塗料組成物には、上記樹脂成分、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子、銀粒子以外に、必要に応じて、たとえば、分散剤(界面活性剤)、ホルマリンキャッチャー、着色剤、顔料、無機充填剤等の従来から塗料組成物に用いられている公知の添加剤を、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子や銀粒子の分散性を損なわない範囲で添加しても構わない。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる塗料組成物は、以上のように、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子を含むので、塗膜に光が照射されれば、光触媒二酸化チタン粒子の光触媒作用によって光触媒二酸化チタン粒子近傍の細菌、ウイルスを死滅させることができる。
また、空気中のアンモニアなどの臭い成分を効果的に吸着し、酸化分解することにより、消臭するとともに、シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎の原因とされている建材や家具などから発散される有害なVOC(揮発性有機化合物)を吸着し、酸化分解することにより、無害なものにすることができる。
【0025】
そして、ナノサイズの銀粒子も含んでいるので、光が照射されていない場合でも、塗膜中の銀粒子から生成した銀イオンに接触した細菌やウイルス等を死滅させることができる。
さらに、アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子は、アパタイトが多孔質体であるので、銀粒子の少なくとも一部がアパタイトの細孔内に入り込んだ状態で担持されているので、光の照射がなくても上記のようにアパタイトに吸着された細菌、ウイルス、カビ等をアパタイトの細孔内に入り込んで担持された銀粒子によって効率よく死滅させることができる。
したがって、銀粒子の添加による塗料組成物の着色を抑えるために、銀粒子の添加量を少なくしても、良好な抗菌、防カビ性能が発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。
【0027】
(実施例1)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/200に希釈した100ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Aを得た。
なお、銀は日本では食品添加物に指定されており、抗菌剤としては安全性の高いものである。今回採用した住友電気工業社製ナノ銀分散体も、抗菌製品技術協議会(SIAA)の自主登録データシート記載項目である、急性経口毒性、皮膚一次刺激性、変異原性、皮膚感作性の4試験で、LD50が>2,000mg, 急性経口毒性なし、皮膚一次刺激性、変異原性、皮膚感作性は何れも陰性との試験結果を得ている。
【0028】
(比較例1)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、精製水を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Bを得た。
【0029】
(実施例2)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/1000に希釈した20ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Cを得た。
【0030】
(実施例3)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/400に希釈した50ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Dを得た。
【0031】
(実施例4)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/100に希釈した200ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Eを得た。
【0032】
(実施例5)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で3/200に希釈した300ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Fを得た。
【0033】
(実施例6)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/40に希釈した500ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Gを得た。
【0034】
(実施例7)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/20に希釈した1000ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Hを得た。
【0035】
(実施例8)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/10に希釈した2000ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Iを得た。
【0036】
上記実施例1及び比較例1で得られた塗料組成物A,Bについて、以下のようにしてE.coil(大腸菌)、St.aureus(黄色フ゛ト゛ウ球菌)、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対する抗菌性を調べ、その結果を表1〜表3に示した。
〔抗菌性試験方法〕
抗菌処理したアクリル樹脂板(50mm×50mm角)上に上記実施例1及び比較例1で得られた塗料組成物Aあるいは塗料組成物Bを3μmの厚さに塗布し塗膜を形成してサンプル板を得た。
そして、抗菌製品技術協議会の光照射フィルム密着法に準拠して、それぞれ塗膜上に1/500の普通ブイヨン(栄研社製)でそれぞれ調製したEscherichia coliNBRC−3972(以下、「E.coil」と記す)、Staphylococcus aureusNBRC−12732(以下、「St.aureus」と記す)、Methicillin resistant Staphylococcus aureus KB−1006(以下、「MRSA」と記す)の菌液を各サンプル板に個別に滴下し、その上に被覆フィルムを被せたのち、紫外線強度2μW/cm2の光(照度500Lx)を被覆フィルム越しに塗膜に24時間照射した場合および照射しなかった場合のそれぞれの、照射24時間後の生菌数と、照射前(0時間)の生菌数を測定した。また、塗料組成物Aについては、サンプル板を暗室(光に当たらない状態)で24時間保持したものについても菌液滴下後と、24時間後の生菌数を比較した。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
上記表1〜表3に示すように、実施例1で得られた本発明の塗料組成物Aによれば、比較例1で得られた銀粒子が配合されていない塗料組成物Bに比べ、塗膜への光の照射によって、24時間でいずれの菌もほぼ100%に近い状態まで死滅させることができ、抗菌性に優れていることがわかる。しかも、光が照射されない状態でも十分な抗菌効果を発揮できることがわかる。
【0041】
つぎに、JIS Z 2911-2000の方法に準じた方法を用いて、上記各サンプル板およびブランクの無処理アクリル板にあらかじめ、調製しておいた以下の5種類のかび胞子懸濁液を接種し、温度29±1℃、相対湿度90%以上にて、暗所ならびに照度500Lx(2μw/cm2)の条件でそれぞれ4週間保存し、保存後のかびの生育を観察し、その結果を表4に示した。また、塗料組成物Bを塗布したサンプル板については照度5000Lx(10μw/c m2)の条件で4週間保存した場合の保存後のかびの生育を観察し、その結果を表4に併せて示した。
【0042】
(かび胞子)
・黒コウジカビ(Aspergillus niger NBRC 6341)
・青カビ(Penicillium funiculosum NBRC 33285)
・キノコ寄生菌(Paecilomyces variotii NBRC 33284)
・ミルク腐敗菌(Gliocladium virens NBRC 6355)
・毛玉カビ(Cheatomium globosum NBRC 6347)
【0043】
【表4】

【0044】
上記表4から本発明の塗料組成物によれば、光の照射がなくても、黒コウジカビを除き、ブランクと同程度の評価が得られ、光の照射によってアパタイト被覆二酸化チタン粒子のみに比べ、光の照度が低くても優れた防カビ性を発揮できることがよくわかる。
【0045】
さらに、実施例1で得られた塗料組成物Aを塗布した上記サンプル板について、アンモニア、硫化水素、トリメチルアミン、ホルマリンについて消臭試験を以下のように行い、その結果をブランクのアクリル板のみの場合と併せて、表5〜8に示した。
(消臭試験)
10cm×10cm各に裁断された試験試料を、試験用のフッ素樹脂製の透明袋(テドラーバック(デュポン社の商標))中に入れ、封をした透明袋内の空気を脱気したのち、アンモニア、硫化水素、トリメチルアミン、ホルマリンをそれぞれ10ppm濃度となるように、透明袋内に充填し、10分、30分、1時間、2時間、5時間、24時間、48時間の各経過時間毎の透明袋内のガス濃度を、検知管を用いて調べた。
【0046】
【表5】

【0047】
【表6】

【0048】
【表7】

【0049】
【表8】

【0050】
上記実施例1〜5および比較例1で得られた塗料組成物A〜Fを、それぞれ塩化ビニル樹脂製壁紙(タピッコ社の塩化ビニル樹脂製壁紙KF301)の表面に3μm厚で塗布したのち、塗膜上に250ppmメチレンブルー水溶液(三栄製薬社製の0.82重量%水溶液を希釈したもの)を塗布し、紫外線照射強度200μw/cm2の光を塗布面に照射し、メチレンブルーの褪色(有機物分解性)を目視で調べ、その結果を表9に示した。
なお、表9中、×は褪色無し、△はやや褪色有り、○は褪色有り、◎はほぼ褪色をそれぞれあらわす。
【0051】
【表9】

【0052】
上記表9から、光触媒作用による有機物の分解性能は、銀粒子濃度に関係なく発揮されることがわかる。
【0053】
上記実施例1〜8および比較例1で得られた塗料組成物A〜Hを、それぞれ塩化ビニル樹脂製壁紙(タピッコ社の塩化ビニル樹脂製壁紙KF301)の表面に3μm厚で塗布し、塗膜の色調を目視で調べ、その結果を表10に示した。
なお、表10中、○は塗料組成物Bの色調を基準として、同じかほぼ同じ、△は塗料組成物Bの色調を基準として、やや黄色に着色、×は塗料組成物Bの色調を基準として、やや褐色に着色をあらわす。
【0054】
【表10】

【0055】
上記表10から、銀粒子濃度が100ppm以上の場合は、やや褐色に着色し、素地が白色の場合は、外観意匠を損なうおそれがあることがわかる。
【0056】
(比較例2)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて15分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.166μm〜2.359μm、D50が1.380μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Jを得た。
【0057】
(比較例3)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が1.364μm〜3.155μm、D50が2.120μmである未分散処理のナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)に精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、精製水を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Kを得た。
【0058】
上記比較例1〜3で得られた塗料組成物B,I,Jを、それぞれ塩化ビニル樹脂製壁紙(タピッコ社の塩化ビニル樹脂製壁紙KF301)の表面に3μm厚で塗布したのち、塗膜上に250ppmメチレンブルー水溶液(三栄製薬社製の0.82重量%水溶液を希釈したもの)を塗布し、紫外線照射強度200μW/cm2の光を塗布面に照射し、メチレンブルーの褪色(有機物分解性)を目視で調べ、その結果を表11に示した。
なお、表11中、×は褪色無し、△はやや褪色有り、○は褪色有り、◎はほぼ褪色をそれぞれあらわす。
【0059】
【表11】

【0060】
上記表11から、アパタイト被覆二酸化チタンは、径が小さいほど、有機物分解度が高いことがわかる。
【0061】
(実施例9)
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子10重量%分散水溶液(ナノウエイヴ社製商品名NSP-S001(P25)を、6連サンドミル装置(五十嵐機械製造社製)を用いて240分間分散処理して得られ、日機装社製商品名マイクロトラックHRA・UPAを用いてレーザードップラー法によって実測したD10〜D90が0.1244μm〜0.4475μm、D50が0.2423μmであるものに精製水を加えて濃度調製したもの)を60.0重量部、ナノサイズ銀粒子2%分散体(住友電気工業製:ナノ銀分散体 SD−200W、D50が48nmであるもの)を水で1/2000に希釈した10ppmナノ銀粒子分散体を10.0重量部、分散剤(日油社製界面活性剤商品名ポリスターA)の20重量%水溶液を2.0重量部、塗料成分としてのアクリルウレタン樹脂系エマルション(大日本インキ化学工業社製商品名ボンコートHY−364)を16.7重量部、増粘剤(サンノプコ社製商品名SNシックナー623N)の20重量%水溶液を3.0重量部、ホルマリンキャッチャー(三木理研工業社製商品名リケンレヂンFC−100)を5.0重量部、消泡剤(旭化成社製商品名SLJ 1323/5)を0.05重量部の割合で撹拌容器に投入し、撹拌容器内で均一になるまで撹拌して塗料組成物Lを得た。
【0062】
上記実施例6、実施例7及び実施例9で得られた塗料組成物G,塗料組成物H及び塗料組成物Lについて、上記塗料組成物A,Bと同様の菌性試験方法で大腸菌、黄色ブドウ球菌、及びMRSAに対する抗菌性評価を行い、その結果を上記塗料組成物A,Bの抗菌性評価とともに、表12〜14に示した。
なお、表中、○は24時間後に抗菌活性値が2以上、×は24時間後に抗菌活性値が2未満をあらわす。
【0063】
【表12】

【0064】
【表13】

【0065】
【表14】

【0066】
上記表12〜表14に示すように、大腸菌に対して銀粒子濃度0ppmでは、紫外線量が0μW/cm2及び2μW/cm2で抗菌性がないが、銀粒子濃度1ppm以上で紫外線量が2μW/cm2では、十分な抗菌性能を備えており、黄色ブドウ球菌とMRSAに対して銀粒子濃度10ppm以下では、紫外線量が0μW/cm2で抗菌性がないが、紫外線量が2μW/cm2では、抗菌性がある。
言い換えると、紫外線量が0μW/cm2の光触媒の効果が無い場合、銀濃度が10ppm以下であると抗菌性がない。
また、大腸菌では、銀濃度が0ppm、紫外線量が2μW/cm2でも抗菌性がなく、銀濃度が1ppm、紫外線量が2μW/cm2で抗菌性があることから、銀と光触媒の相乗効果により、抗菌性が高くなったと評価できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子と、レーザードップラー法により測定した平均粒子径(D50)が1nm〜100nmである銀粒子とを含むことを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子は、レーザードップラー法により求めたメジアン径(D50)が0.01μm〜10.00μmである請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子が固形分割合で1〜20重量%含まれる請求項1または請求項2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
アパタイト被覆光触媒二酸化チタン粒子のアパタイト被覆率が二酸化チタンに対して固形分割合で1〜30重量%である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の塗料組成物。
【請求項5】
銀粒子が固形分割合で0.5ppm〜1000ppm含まれる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の塗料組成物。

【公開番号】特開2009−161708(P2009−161708A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2937(P2008−2937)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)刊行物1 ▲1▼ 発行者:日刊工業新聞社 ▲2▼ 刊行物名:日刊工業新聞 ▲3▼ 発行日:平成19年7月11日 ▲4▼ 該当ページ:11面 (2)刊行物2 ▲1▼ 発行者:日刊工業新聞社 ▲2▼ 刊行物名: 工業材料 Vol.55 No.12 ▲3▼ 発行日:平成19年12月1日発行(平成19年11月15日印刷) ▲4▼ 該当ページ:P72−P75
【出願人】(397042159)笹野電線株式会社 (3)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】