説明

塗装システム

【課題】塗装ブースの小型化を図ることができる塗装システムを提供すること。
【解決手段】天井11と側壁12a,12bとで囲まれた塗装ブース10と、塗装ブース10内に配置され、被塗装物2を搬送する搬送ライン50と、被塗装物2に対して塗装を行なう塗装ロボット20a,20bとを備える。そして、塗装ロボット20a,20bは、塗装ブース10の側壁12a,12b側に固定されたベース部21と、ベース部21に連結された7軸構成のアーム部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース部が床に固定され、7軸構成のアーム部がベース部に連結されたロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかるロボットは、7軸構成のアーム部先端に作業用途に応じたエンドエフェクタが装着され、エンドエフェクタを作業内容に応じた位置および姿勢に制御することによって、作業を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のロボットは、エンドエフェクタとして塗装ガンなどをアーム部先端に装着することにより、塗装ロボットとして用いることができる。塗装ロボットを設置する塗装ブース内では、温度や湿度などの空調制御に加え、塗料の飛散を抑制する気流制御が行われる。かかる空調制御や気流制御を行なう装置は、塗装ブースが大きくなるほど大型化し、消費するエネルギーも大きくなる。そのため、塗装システムにおいては、塗装ブースの小型化を図ることが望ましい。
【0005】
しかしながら、上記従来のロボットを塗装ロボットとして用いる場合、塗装ブースの床にベース部を固定するためのスペースが必要となる。そのため、塗装ブースの小型化を図る点で課題があった。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、塗装ブースの小型化を図ることができる塗装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示するロボットシステムは、一つの態様において、側壁と天井とで囲まれた塗装ブースと、前記塗装ブース内に配置され、被塗装物を搬送する搬送ラインと、前記被塗装物に対して塗装を行なう塗装ロボットとを備え、前記塗装ロボットは、前記塗装ブースの側壁側に固定されたベース部と、前記ベース部に連結された7軸構成のアーム部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する塗装システムの一つの態様によれば、塗装ブースの小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1に係る塗装システムの構成を示模式的に表した図である。
【図2】図2は、実施例1に係る塗装ロボットの外観模式図である。
【図3】図3は、実施例1に係るチューブの配置を示す模式図である。
【図4】図4は、実施例1に係る塗装ロボットの軸構成を示す図である。
【図5A】図5Aは、6軸構成を有する塗装ロボットの姿勢例を示す図(その1)である。
【図5B】図5Bは、実施例1に係る塗装ロボットの姿勢例を示す図(その1)である。
【図6A】図6Aは、6軸構成を有する塗装ロボットの姿勢例を示す図(その2)である。
【図6B】図6Bは、実施例1に係る塗装ロボットの姿勢例を示す図(その2)である。
【図7A】図7Aは、6軸構成を有する塗装ロボットの姿勢例を示す図(その3)である。
【図7B】図7Bは、実施例1に係る塗装ロボットの姿勢例を示す図(その3)である。
【図8A】図8Aは、6軸構成を有する塗装ロボットの姿勢例を示す図(その4)である。
【図8B】図8Bは、実施例1に係る塗装ロボットの姿勢例を示す図(その4)である。
【図9A】図9Aは、6軸構成を有する塗装ロボットの姿勢例を示す図(その5)である。
【図9B】図9Bは、実施例1に係る塗装ロボットの姿勢例を示す図(その5)である。
【図10A】図10Aは、6軸構成を有する塗装ロボットの姿勢例を示す図(その6)である。
【図10B】図10Bは、実施例1に係る塗装ロボットの姿勢例を示す図(その6)である。
【図11】図11は、実施例1に係る制御装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、実施例1に係る制御装置による塗装ロボットの制御方法の説明図(その1)である。
【図13】図13は、実施例1に係る制御装置による塗装ロボットの制御方法の説明図(その2)である。
【図14】図14は、実施例2に係る制御装置の構成を示す図である。
【図15】図15は、実施例2に係る制御装置によって実行される処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する塗装システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下においては、Y軸の正側を右側、Y軸の負側を左側、Z軸の正側を上側、Z軸の負側を下側、X軸の正側を後側、およびX軸の負側を前側とそれぞれ規定する。
【実施例1】
【0011】
まず、実施例1に係る塗装システムについて説明する。図1は、実施例1に係る塗装システム1の構成を模式的に表した図である。
【0012】
図1に示すように、実施例1に係る塗装システム1は、塗装ブース10と、塗装ロボット20a,20bと、搬送ライン50と、制御装置60a,60bとを備える。塗装ロボット20aは、制御装置60aによって制御され、塗装ロボット20bは、制御装置60bによって制御される。なお、図示しないが、塗装システム1には、例えば、塗装ブース10内における空調制御を行なう装置や、塗装時に噴霧される塗料の飛散を抑制する気流制御を行なう装置などが配置される。
【0013】
塗装ブース10は、天井11、左側壁12aおよび右側壁12bで囲まれたブースである。かかる塗装ブース10の外側には、左支柱13aおよび右支柱13bが設置される。左支柱13aは左側壁12aの外側面に沿って設置され、右支柱13bは右側壁12bの外側面に沿って設置される。
【0014】
塗装ロボット20a,20bは、各関節を駆動するモータが気密室に配置される内圧防爆構造の塗装ロボットである。各塗装ロボット20a,20bは、塗装ブース10の側壁12a,12b側に固定されたベース部21と、ベース部21に連結された7軸構成のアーム部22とを備える。アーム部22の先端には、塗装ガン23が装着されており、制御装置60a,60bによるアーム部22の制御によって、塗装ガン23の位置および姿勢が制御される。
【0015】
各塗装ロボット20a,20bは、制御装置60a,60bによる制御に基づき、被塗装物2の左右半分をそれぞれ塗装する。具体的には、塗装ロボット20aは、制御装置60aによる制御に基づき、アーム部22の先端に装着された塗装ガン23によって被塗装物2の左側半分を塗装する。また、塗装ロボット20bは、制御装置60bによる制御に基づき、アーム部22の先端に装着された塗装ガン23によって被塗装物2の右側半分を塗装する。
【0016】
搬送ライン50は、被塗装物2を前方向(X軸の負方向)へ搬送する装置であり、被塗装物2を上面に載置する載置台51と、載置台51を前方向に移動させる移動機構52とを備える。制御装置60a,60bは、塗装ロボット20a,20bのアーム部22を制御することで、アーム部22の先端に装着された塗装ガン23の位置および姿勢を制御する。そして、制御装置60a,60bは、塗装ガン23の位置および姿勢を制御しつつ、塗装ガン23から塗料を噴霧させることによって、搬送ライン50の載置台51に載置された被塗装物2を塗装する。
【0017】
このように、塗装システム1は、搬送ライン50によって被塗装物2を搬送し、塗装ロボット20a,20bによって被塗装物2を塗装する。かかる塗装システム1では、各塗装ロボット20a,20bのベース部21が被塗装物2よりも高い位置で側壁12a,12b側に固定される。そのため、ベース部が床に固定される塗装ロボットを備えた塗装ブースに比べ、塗装ブース10の左右方向の幅を狭くすることができ、その結果、塗装ブース10の小型化を図ることができる。
【0018】
なお、側壁12a,12bに塗装ロボット20a,20bを保持できる強度がある場合には、塗装ロボット20a,20bのベース部21を側壁12a,12bに直接固定することもできる。すなわち、ベース部21の側壁12a,12b側への固定は、支柱13a,13bへの固定であっても、側壁12a,12b自体への固定であってもよい。
【0019】
次に、各塗装ロボット20a,20bの構成について具体的に説明する。なお、塗装ロボット20bは、塗装ロボット20aに対して鏡対称であるため、以下においては、塗装ロボット20aの構成を中心に説明する。図2は、塗装ロボット20aの外観模式図である。なお、塗装ロボット20aには、塗装ガン23へ流体を供給するチューブ38(図3参照)が配置されるが、以下においては、後述する図3を除き、省略する。
【0020】
塗装ロボット20aは、上述したように、ベース部21と、アーム部22と、塗装ガン23とを備える。図2に示すように、ベース部21は、左支柱13aの支持面15aに固定される。また、アーム部22は、回転ベース部31と、第1アーム32と、第2アーム33と、第3アーム34と、手首部35とを備える。
【0021】
回転ベース部31は、搬送ライン50の搬送方向(X軸方向)に対して平行な第1軸L1を中心軸として回転可能にベース部21に支持される。第1アーム32は、第1軸L1に対してねじれの位置にあり且つ直交する関係にある第2軸L2を中心軸として回転可能に回転ベース部31に支持される。このように、第2軸L2が第1軸L1に対してねじれの位置にあり且つ直交する関係にあるため、第2軸L2が第1軸L1に対して直交且つ交差する関係にある場合に比べ、アーム部22を長くすることが可能となる。なお、第2軸L2を第1軸L1に対して直交且つ交差する関係にしてもよい。
【0022】
第2アーム33は、第2軸L2に対して直交する第3軸L3を中心軸として回転可能に第1アーム32に支持される。第3アーム34は、第3軸L3に対して直交する第4軸L4を中心軸として回転可能に第2アーム33に支持される。なお、第4軸L4を形成する関節部44は、第2アーム33の先端部および第3アーム34の基端部を含む領域によって形成される。
【0023】
手首部35は、第5軸L5から第7軸L7までの合計3軸で構成されており、その基端が第3アーム34の先端に回転可能に支持される。かかる手首部35の先端には塗装ガン23が装着され、塗装ガン23から塗料が噴霧される。
【0024】
塗装ガン23の駆動にはエアーが用いられ、また、塗装ガン23の洗浄にはシンナーなどが用いられる。そのため、塗装ロボット20aには、エアーやシンナーなどの流体を塗装ガン23へ供給するためのチューブ38(図3参照)が設けられる。かかるチューブ38は、エアーを塗装ガン23へ供給する配管や、シンナーを塗装ガン23へ供給する配管などを収納する。
【0025】
図3は、チューブ38の配置を示す模式図である。なお、図3では、図2に示す状態から第4軸L4を回転させて第3アーム34を略水平にした状態を示す。また、以下においては、説明の便宜上、図3に示す姿勢の各アーム32〜34において、左側壁12aと対向する側面を左側面とし、右側壁12bと対向する側面を右側面とする。
【0026】
図3に示すように、チューブ38は、回転ベース部31から第1および第2アーム32,33の右側面に沿って配設される。さらに、チューブ38は、第4軸L4の位置において第2アーム33の右側面側から第2アーム33内へ入り込み、第3アーム34の左側面側から出て、第3アーム34の左側面に沿う方向に向きを変える。そして、第3アーム34の左側面に沿いながら手首部35まで配設される。
【0027】
第4軸L4を形成する関節部44内には、回転軸の位置に中空部を有する減速機が設けられ、かかる減速機の中空部内に、関節部44内の気密室に対して気密性を阻害しない貫通路が形成される。かかる貫通路にチューブ38を配設することで、モータが配置される気密室の気密性が保持される。
【0028】
すなわち、塗装ブース10内は、塗装ガン23からの塗料の噴霧によって危険雰囲気となるが、関節部44内のモータなどが危険雰囲気に曝されないように、関節部44内の気密室の気密性が保持される。なお、関節部44内の気密室には、例えば、外部から爆発性を有しない気体が送り込まれ、気密室内は、塗装ブース10外の雰囲気と同じ雰囲気に維持される。
【0029】
また、チューブ38は、アーム部22などに比べて破損しやすい部分であるため、被塗装物2から遠い位置に配置される。すなわち、塗装ロボット20aでは、上述のように、第1アーム32〜第3アーム34のうち、塗装ロボット20aが基本姿勢である状態で被塗装物2に対して最も近い第3アーム34の左側面に沿ってチューブ38が第3アーム34に配設される。これにより、チューブ38が被塗装物2などに接触することを防止することができる。
【0030】
ここで、塗装ロボット20aの基準姿勢について説明する。塗装ロボット20aの基準姿勢は、塗装ロボット20aの待機時の姿勢であり、制御装置60aによって制御される。
【0031】
塗装ロボット20aの基本姿勢は、図2に示す姿勢である。すなわち、塗装ロボット20aの姿勢が基本姿勢である場合、第1アーム32は回転ベース部31に対して右側(Y軸の正方向)に位置する状態で回転ベース部31に片持ち支持され、第2アーム33は前後方向(X軸方向)において第1アーム32よりも被塗装物2側(X軸の正側)に位置する状態で第1アーム32に片持ち支持される。
【0032】
また、塗装ロボット20aの姿勢が基本姿勢である場合、第3アーム34は第2アーム33よりも左側壁12a側に位置する状態で第2アーム33に片持ち支持される。
【0033】
また、塗装ロボット20aの姿勢が基本姿勢である場合、図4に示すように、第2軸L2と第4軸L4とは水平の位置にあり、また、第3アーム34は鉛直方向(Z軸の負方向)に下垂する状態である。また、第5軸L5と第7軸L7とが鉛直方向(Z軸の負方向)にある。図4は、塗装ロボット20aの軸構成を示す図である。
【0034】
上述したように、塗装ロボット20aは、塗装ブース10の小型化を図るために、被塗装物2よりも高い位置でベース部21が左側壁12a側に固定されるが、塗装ロボット20aは、さらに、7軸構成のアーム部22を備えており、これによって、さらに、塗装ブース10の小型化を図ることができる。
【0035】
図5乃至図7は、塗装ロボットの姿勢例を示す図である。図5は、被塗装物2として車体の外板を塗装する場合の例を示し、図6および図7は、被塗装物2として車体の内板を塗装する場合の例を示す。なお、図5A、図6Aおよび図7Aに示す塗装ロボット100は、塗装ロボット20aの第3軸L3に対応する軸がない6軸構成のアーム部を有する。また、塗装ロボット100において、塗装ロボット20aの第4軸L4を形成する関節部44に対応する部分を関節部144とする。
【0036】
図5A、図6Aおよび図7Aに示すように、6軸構成の塗装ロボット100では、被塗装物2を塗装する際に、ベース部21の固定面である左支柱13aの支持面15aよりも被塗装物2側に関節部144を位置させることができない場合がある。そのため、左側壁12aが、塗装ロボット100を支持する左支柱13aの支持面15aよりも左側へ配置される。
【0037】
一方、7軸構成の塗装ロボット20aでは、第3軸L3を含む一以上の軸が駆動されることで、左支柱13aの支持面15aよりも被塗装物2側に位置させることができる。具体的には、塗装ロボット20aでは、第3軸L3の回転位置が維持された状態で第1軸L1および第2軸L2が駆動されることで関節部44の位置が支持面15aよりも左側壁12a側になる場合、関節部44の位置が支持面15aよりも左側壁12a側になる前に、制御装置60aによって、第3軸L3が駆動される。そのため、図5B、図6Bおよび図7Bに示すように、第4軸L4を形成する関節部44の位置を、左支柱13aの支持面15aよりも被塗装物2側に位置させることができる。
【0038】
このように、7軸構成の塗装ロボット20aを用いることによって、塗装ブース10の横幅を狭くすることが可能となる。すなわち、左側壁12aと車体中央との間の距離を、図5B、図6Bおよび図7Bに示す例では、図5A、図6Aおよび図7Aに示す例に比べて、それぞれ(Y2−Y1)、(Y4−Y3)および(Y6−Y5)だけ短くすることができる。
【0039】
また、塗装ロボット20aを用いることにより、塗装ロボット100を用いる場合に比べて、塗装ブース10の高さを低くすることもできる。図8Aおよび図9Aは、塗装ロボット100の姿勢例を示す図であり、図8Bおよび図9Bは、塗装ロボット20aの姿勢例を示す図である。なお、図8Aおよび図8Bは、被塗装物2として車体の外板を塗装する場合の例を示し、図9Aおよび図9Bは、被塗装物2として車体の内板を塗装する場合の例を示す。
【0040】
図8Aおよび図9Aに示すように、6軸構成の塗装ロボット100では、被塗装物2を塗装する際に、関節部144を低い位置にすることができない場合がある。一方、7軸構成の塗装ロボット20aでは、第3軸L3を含む一以上の軸が駆動されることによって、関節部44の位置を低い位置にすることができる。具体的には、塗装ロボット20aでは、第3軸L3の回転位置が維持された状態で第1軸L1および第2軸L2が駆動されることで、関節部44の位置が天井11よりも高くなる場合、制御装置60aによって、関節部44の位置が天井11よりも高くなる前に、第3軸L3が駆動される。これにより、塗装ロボット20aでは、図8Bおよび図9Bに示すように、塗装ロボット100に比べて、関節部44の位置を低い位置にすることができる。
【0041】
このように、7軸構成の塗装ロボット20aを用いることによって、塗装ブース10の高さを低くすることが可能となる。すなわち、塗装ブース10の床と天井11との間の距離を、図8Bおよび図9Bに示す例では、図8Aおよび図9Aに示す例に比べて、それぞれ(Z2−Z1)および(Z4−Z3)だけ短くすることができる。
【0042】
また、塗装ロボット20aを用いることにより、塗装ロボット100を用いる場合に比べて、被塗装物2との距離を離すこともできる。図10Aは、塗装ロボット100の姿勢例を示す図であり、図10Bは、塗装ロボット20aの姿勢例を示す図である。なお、図10Aおよび図10Bは、被塗装物2として車体の外板を塗装する場合の例を示す。
【0043】
図10Aに示すように、6軸構成の塗装ロボット100では、被塗装物2を塗装する際に、関節部144が被塗装物2に近づき、関節部144が被塗装物2に接触する場合もある。一方、7軸構成の塗装ロボット20aでは、第3軸L3を含む一以上の軸が駆動されることで、関節部44の位置を被塗装物2の高さ以上にすることができる。具体的には、塗装ロボット20aでは、第3軸L3の回転位置が維持された状態で第1軸L1および第2軸L2が駆動されることで、関節部44の位置が被塗装物2の高さよりも低くなる場合、制御装置60aによって、関節部44の位置が被塗装物2の高さよりも低くなる前に、第3軸L3が駆動される。これにより、図10Bに示すように関節部44の位置を被塗装物2の高さ以上にすることができる。
【0044】
ここで、制御装置60a,60bによる塗装ロボット20a,20bの駆動方法について、図面を参照して具体的に説明する。以下においては、まず、制御装置60a,60bの構成を説明した後、塗装ロボット20a,20bの駆動方法の具体例を説明する。図11は、制御装置60aの構成を示す図である。制御装置60bは制御装置60aと同様の構成であるため、ここでは、制御装置60aの構成について説明する。
【0045】
図11に示すように、制御装置60aは、通信部61と、記憶部62と、制御部63とを備える。通信部61は、塗装ロボット20aと制御装置60a間のデータ送受信を行なうLANボードなどの通信デバイスである。この通信部61は、例えば、制御部63から受け取った動作命令を塗装ロボット20aへ送信する処理を行なう。
【0046】
記憶部62は、塗装データ62aを記憶する。塗装データ62aは、補間動作データ、調整動作データおよび移動動作データを含む。補間動作データは、塗装ガン23から塗料を噴霧する際に用いられるアーム部22の制御データである。すなわち、補間動作データは、塗装ガン23から塗料の噴霧を開始してから終了するまでの期間、アーム部22の先端が一定速度で上下方向に移動するようにアーム部22を制御するためのデータである。なお、塗装データ62aには、塗装ガン23による塗料の噴霧などを制御するための制御データも含まれる。
【0047】
制御部63は、制御装置60aの全体制御を行なう。制御部63は、記憶部62から塗装データ62aに含まれる補間動作データ、調整動作データ、または移動動作データを読み出し、かかるデータに基づいて、アーム部22に対する動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。塗装ロボット20aは、制御装置60aからアーム部22に対する動作指令を受信すると、第1軸L1〜第7軸L7のうち、受信した動作指令に対応する軸を動作指令に応じた回転量だけ駆動する。
【0048】
ここで、補間動作データ、調整動作データおよび移動動作データに基づく、制御装置60による塗装ロボット20aの制御方法について具体的に説明する。図12および図13は、制御装置60aによる塗装ロボット20aの制御方法の説明図である。なお、制御装置60bによる塗装ロボット20bの制御方法も、制御装置60aによる塗装ロボット20aの制御方法と同様である。
【0049】
図12に示すように、被塗装物2において、塗装すべき塗装領域として塗装領域A〜Dがあるとする。また、塗装領域A〜Dは、上下方向(Z軸方向)を塗装方向とし、塗装の順番は、塗装領域A、塗装領域B、塗装領域C、塗装領域Dの順であるとする。
【0050】
この場合、塗装データ62aには、第1補間動作データ、第2補間動作データ、第3補間動作データ、および第4補間動作データが含まれる。第1補間動作データは、第1補間動作を実行させる動作指令を生成するためのデータである。第1補間動作は、塗装ガン23の先端を塗装領域Aに沿って上下方向に一定速度で上下方向に移動させるアーム部22の動作である。第2補間動作データは、第2補間動作を実行させる動作指令を生成するためのデータである。第2補間動作は、塗装ガン23の先端を塗装領域Bに沿って上下方向に一定速度で上下方向に移動させるアーム部22の動作である。
【0051】
また、第3補間動作データは、第3補間動作を実行させる動作指令を生成するためのデータである。第3補間動作は、塗装ガン23の先端を塗装領域Cに沿って上下方向に一定速度で上下方向に移動させるアーム部22の動作である。第4補間動作データは、第4補間動作を実行させる動作指令を生成するためのデータである。第4補間動作は、塗装ガン23の先端を塗装領域Dに沿って上下方向に一定速度で上下方向に移動させるアーム部22の動作である。
【0052】
なお、第1補間動作、第2補間動作、および第4補間動作は、第3軸L3の回転位置を上述した基準姿勢での回転位置(以下、基準回転位置と記載する)とした状態でアーム部22の第1軸L1および第2軸L2が駆動された場合に関節部44が左側壁12a、天井11、および被塗装物2に衝突しないものとする。一方、第3補間動作は、第3軸L3の回転位置を基準回転位置とした状態でアーム部22の第1軸L1および第2軸L2が駆動された場合に関節部44が左側壁12a、天井11、または被塗装物2に衝突するものとする。
【0053】
制御部63は、まず、第1補間動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、塗装ガン23の先端を一定速度で上下方向に移動させる第1補間動作を塗装ロボット20aに実行させる(図13に示す時間Ta〜Tb参照)。
【0054】
かかる第1補間動作において、塗装ロボット20aでは、第3軸L3の回転位置が基準回転位置に維持された状態で、第3軸L3を除く軸L1,L2,L4〜L7が駆動されて、塗装ガン23の先端が一定速度で上下方向に移動する。制御部63は、第1補間動作の間、塗装ガン23を制御して、塗装ガン23から塗料を噴霧させており、これにより、塗装領域Aに対する塗装が行われる。
【0055】
第1補間動作が終了すると、制御部63は、移動動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。これにより、第3軸L3の回転位置を基準回転位置に維持した状態で、塗装ガン23が第2補間動作を開始する位置および姿勢になるようにアーム部22が駆動される(図13に示す時間Tb〜Tc)。
【0056】
その後、制御部63は、第2補間動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、塗装ガン23の先端を一定速度で上下方向に移動させる第2補間動作を塗装ロボット20aに実行させる(図13に示す時間Tc〜Td参照)。かかる第2補間動作において、塗装ロボット20aでは、第1補間動作と同様に、第3軸L3の回転位置が基準回転位置に維持された状態で、第3軸L3を除く軸L1,L2,L4〜L7が駆動されることによって、塗装ガン23の先端が一定速度で上下方向に移動する。制御部63は、第2補間動作の間、塗装ガン23を制御して、塗装ガン23から塗料を噴霧させており、これにより、塗装領域Bに対する塗装が行われる。
【0057】
第2補間動作が終了すると、制御部63は、調整動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。これにより、塗装ロボット20aの動作を一次停止させた後、第3補間動作の実行時に関節部44が左側壁12a、天井11、および被塗装物2に衝突しない位置となるように、第3軸L3を含む一以上の軸が駆動される(図13に示す時間Td〜Te)。
【0058】
次に、制御部63は、移動動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。これにより、第3軸L3の回転位置が上記調整動作によって調整された位置を維持した状態で、塗装ガン23が第3補間動作を開始する位置および姿勢になるようにアーム部22が駆動される(図13に示す時間Te〜Tf)。
【0059】
その後、制御部63は、第3補間動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、塗装ガン23の先端を一定速度で上下方向に移動させる第3補間動作を塗装ロボット20aに実行させる(図13に示す時間Tf〜Tg参照)。制御部63は、第3補間動作の間、塗装ガン23を制御して、塗装ガン23から塗料を噴霧させており、これにより、塗装領域Cに対する塗装が行われる。
【0060】
上述した調整動作データに基づく指令によって、第3軸L3の回転位置を基準回転位置から移動させており、これにより、第3補間動作において、関節部44が左側壁12a、天井11、および被塗装物2に衝突することを回避する。
【0061】
すなわち、第3補間動作は、上述したように、第3軸L3の回転位置を基準回転位置に維持させつつアーム部22が駆動された場合、第4軸L4を形成する関節部44の位置が左側壁12a、天井11、および被塗装物2などの障害物に接触しない範囲(以下、所定範囲Vと記載する)外になる。
【0062】
そこで、制御装置60aは、第3軸L3の回転位置が基準回転位置でない場合に関節部44の位置が所定範囲V外になる第3補間動作の前に、第3軸L3を含む一以上の軸を駆動することにより、第3補間動作において、関節部44の位置を所定範囲V内に維持させる。また、第3補間動作において、制御部63は、第1補間動作と同様に、第3軸L3の回転位置を固定した状態であり、6軸に対する制御となるため、アーム部22に対する制御が複雑化することを回避できる。
【0063】
第3補間動作が終了すると、制御部63は、調整動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。これにより、第3軸L3の回転位置が基準回転位置に戻る(図13に示す時間Tg〜Th)。
【0064】
このように、制御装置60aは、第2補間動作の完了後、第3補間動作の実行前に塗装ロボット20aを一時停止させてから第3軸L3を駆動させた後、第3補間動作を塗装ロボット20aに実行させる。そして、かかる第3補間動作の完了後に、制御装置60aは、第3軸L3の回転位置を基準回転位置へ戻し、さらに次の第4補間動作を塗装ロボット20aに実行させる。したがって、第3軸L3の回転位置が基準回転位置であっても関節部44の位置が所定範囲V内になる補間動作の際には、第3軸L3の回転位置を基準回転位置に維持することができるため、塗装データ62aの作成を容易に行なうことができる。
【0065】
次に、制御部63は、移動動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。これにより、第3軸L3の回転位置が基準回転位置に維持された状態で、塗装ガン23が第4補間動作を開始する位置および姿勢になるようにアーム部22が駆動される(図13に示す時間Th〜Ti)。
【0066】
その後、制御部63は、第4補間動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、塗装ガン23の先端を一定速度で上下方向に移動させる第4補間動作を塗装ロボット20aに実行させる(図13に示す時間Ti〜Tj参照)。制御部63は、第4補間動作の間、塗装ガン23を制御して、塗装ガン23から塗料を噴霧させており、これにより、塗装領域Dに対する塗装が行われる。
【0067】
このように、実施例1に係る塗装システム1では、側壁12a,12bと天井11とで囲まれた塗装ブース10と、塗装ブース10内に配置され、被塗装物2を搬送する搬送ライン50と、被塗装物2に対して塗装を行なう塗装ロボット20a,20bとを備える。そして、塗装ロボット20a,20bは、塗装ブース10の側壁12a,12b側に固定されたベース部21と、ベース部21に連結された7軸構成のアーム部22とを備える。これにより、塗装ブース10の小型化を図ることができる。
【0068】
なお、上述においては、X軸方向に隣接する塗装領域A〜Dに対する補間動作について説明したが、これに限られるものではない。例えば、Z軸方向に隣接する各塗装領域に対する補間動作や、間隔が空いた各塗装領域に対する補間動作であってもよい。
【0069】
また、上記塗装ロボット20aの関節部44は、第2アーム33の先端部および第3アーム34の基端部を含む領域によって形成されるものとして説明したが、第4軸L4によって形成される関節部44を第2アーム33および第3アーム34とは別に設け、かかる関節部44に第2アーム33と第3アーム34とを連結するようにしてもよい。
【0070】
また、上述においては、関節部44の位置が、左側壁12a、天井11、および被塗装物2などの障害物に接触しない所定範囲V外になる場合に、第3軸L3を駆動させるようにしたが、これに限られない。例えば、関節部44の位置を所定範囲Vよりも小さい所定範囲Vaに収まるように制限する場合には、関節部44の位置が所定範囲Va外になる場合に、第3軸L3を駆動させてもよい。
【実施例2】
【0071】
次に、実施例2に係る塗装システムについて説明する。実施例2に係る塗装システムは、アーム部22における第3軸L3の駆動を制御装置の制御部が判断する点で、実施例1に係る塗装システム1と異なる。図14は、実施例2に係る制御装置60Aの構成を示す図である。なお、以下においては、説明を分かり易くするために、実施例1に係る塗装システム1の制御装置60aと同様の構成については同一の符号を付して説明する。なお、ここでは、塗装ロボット20aを制御する制御装置60Aについて説明するが、塗装ロボット20bを制御する不図示の制御装置も制御装置60Aと同様の構成である。
【0072】
図14に示すように、制御装置60Aは、通信部61と、記憶部62Aと、制御部63Aとを備える。記憶部62Aは、塗装データ62bを記憶する。塗装データ62bは、調整動作データを除き、塗装データ62aと同様のデータである。すなわち、塗装データ62bには、第1補間動作データ、第2補間動作データ、第3補間動作データ、第4補間動作データおよび移動動作データが含まれる。
【0073】
制御部63Aは、制御装置60Aの全体制御を行なう。制御部63Aは、記憶部62Aから塗装データ62bを読み出し、かかる塗装データ62bに基づいて、アーム部22に対する動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させる。
【0074】
次に、図14に示した制御装置60Aによって実行される処理手順について図15を用いて説明する。図15は、実施例2に係る制御装置60Aによって実行される処理手順を示すフローチャートである。
【0075】
図15に示すように、制御部63Aは、塗装データ62bのうち、次に実行すべき補間動作に対応する補間動作データを記憶部62Aから読み出す(ステップS10)。例えば、塗装ロボット20aにおいて第1補間動作の実行が完了した状態である場合、第2補間動作データを読み出す。
【0076】
次に、制御部63Aは、次に実行すべき補間動作において、第4軸L4により形成される関節部44が所定範囲W外になるか否かを判定する(ステップS11)。例えば、次に実行すべき補間動作が第2補間動作である場合には、関節部44が所定範囲W外にならないと判定し、一方、次に実行すべき補間動作が第3補間動作である場合には、関節部44が所定範囲W外になると判定する。なお、「所定範囲W」とは、例えば、関節部44が塗装ブース10や被塗装物2などの障害物に接触しない範囲である。
【0077】
次に実行すべき補間動作において関節部44が所定範囲W外になると判定すると(ステップS11:Yes)、制御部63Aは、塗装ロボット20aに対する動作指令の出力を行わず、塗装ロボット20aの動作を一次停止する。その後、制御部63Aは、次に実行すべき補間動作の実行時に関節部44の位置を所定範囲W内にする動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、第3軸L3を含む一以上の軸を駆動する(ステップS12)。
【0078】
一方、次に実行すべき補間動作において関節部44が所定範囲W外にならないと判定すると(ステップS11:No)、制御部63Aは、第3軸L3の回転位置が基準回転位置であるか否かを判定する(ステップS13)。第3軸L3の回転位置が基準回転位置ではないと判定すると(ステップS13:No)、制御部63Aは、調整動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、第3軸L3の回転位置を基準回転位置に戻す(ステップS14)。
【0079】
ステップS12,S14の処理が終了した場合、または、ステップS13において第3軸L3の回転位置が基準回転位置であると判定された場合(ステップS13:Yes)、制御部63Aは、次に実行すべき補間動作の開始位置へアーム部22の先端に装着した塗装ガン23を移動させる移動処理を実行する(ステップS15)。具体的には、制御部63Aは、記憶部62Aから読み出した移動動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、アーム部22を駆動する。
【0080】
次に、制御部63Aは、アーム部22を駆動して補間動作をさせながら、塗装ガン23から塗料を噴霧させる塗装処理を実行する(ステップS16)。具体的には、制御部63Aは、記憶部62Aから読み出した補間動作データに基づく動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、アーム部22を駆動する。また、制御部63Aは、記憶部62Aに記憶した制御データに基づいて塗装ガン23を制御して、塗装ガン23から塗料を噴霧させる。
【0081】
ステップS16において塗装処理が終了すると、制御部63Aは、未実行の補間動作データがあるか否かを判定する(ステップS17)。例えば、ステップS16において第4補間動作による塗装処理が終了した場合、制御部63Aは、未実行の補間動作データがないと判定する。一方、ステップS16において第3補間動作による塗装処理が終了した場合、未実行の第4補間動作データがあるため、制御部63Aは、未実行の補間動作データがあると判定する。
【0082】
制御部63Aは、未実行の補間動作データがあると判定すると(ステップS17:Yes)、ステップS10からの処理を繰り返す。一方、制御部63Aは、未実行の補間動作データがない判定すると(ステップS17:No)、アーム部22を基本姿勢に戻す動作指令を通信部61から塗装ロボット20aへ出力させることによって、アーム部22を基本姿勢に戻し、アーム部22および塗装ガン23の制御を終了する。
【0083】
以上のように、実施例2に係る制御装置60Aでは、次に実行すべき補間動作において、第4軸L4により形成される関節部44が所定範囲W外になるか否かを判断する。そして、関節部44が所定範囲W外になる場合、制御装置60Aは、第3軸L3を駆動して、次に実行すべき補間動作において、関節部44が所定範囲W内になるようにアーム部22を制御する。かかる制御装置60Aでは、塗装データ62bに調整動作データが含まれないため、実施例1の制御装置60aに比べて、塗装データ62bの作成を容易に行なうことができる。
【0084】
なお、制御装置60Aは、関節部44が所定範囲Wになるか否かの判断は、例えば、第3軸L3と第4軸L4とが交差する点の位置が予め設定した範囲内になるか否かを判断することによって行なうことができ、また、関節部44の外表面位置のいずれかが所定範囲Wになるか否かを判断することによって行なうこともできる。
【0085】
また、制御装置60Aは、関節部44が所定範囲Wになるかを判断することとしたが、かかる判断に代えて、関節部44が禁止領域になっていないかの判断を行なうようにしてもよい。
【0086】
なお、上述の実施例1,2では、各塗装ロボット20a,20bをそれぞれ異なる制御装置で制御する例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、2つの塗装ロボット20a,20bを一つの制御装置で制御してもよい。
【0087】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施例に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 塗装システム
2 被塗装物
10 塗装ブース
11 天井
12a,12b 側壁
13a,13b 支柱
20a,20b 塗装ロボット
21 ベース部
22 アーム部
23 塗装ガン
31 回転ベース部
32 第1アーム
33 第2アーム
34 第3アーム
35 手首部
50 搬送ライン
60 制御装置
L1 第1軸
L2 第2軸
L3 第3軸
L4 第4軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁と天井とで囲まれた塗装ブースと、
前記塗装ブース内に配置され、被塗装物を搬送する搬送ラインと、
前記被塗装物に対して塗装を行なう塗装ロボットと
を備え、
前記塗装ロボットは、
前記塗装ブースの側壁側に固定されたベース部と、
前記ベース部に連結された7軸構成のアーム部と
を備えたことを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
前記アーム部は、
前記ベース部に回転可能に支持され、前記搬送ラインの搬送方向に対して平行な第1軸を中心軸として回転可能な回転ベース部と、
前記回転ベース部に回転可能に支持され、前記第1軸に対して直交且つ交差する関係、または、ねじれの位置にあり且つ直交する関係にある第2軸を中心軸として回転可能な第1アームと、
前記第1アームに回転可能に支持され、前記第2軸に対して直交する第3軸を中心軸として回転可能な第2アームと、
前記第2アームに回転可能に支持され、前記第3軸に対して直交する第4軸を中心軸として回転可能な第3アームと、
前記第3アームの先端に回転可能に支持され、第5軸乃至第7軸を有する3軸構成の手首部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の塗装システム。
【請求項3】
前記塗装ロボットを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記第2軸と前記第4軸とが水平の位置にあり、かつ前記第3アームが鉛直方向に下垂する姿勢を前記塗装ロボットの基準姿勢とし、前記塗装ロボットを待機させる場合に、前記塗装ロボットを前記基準姿勢にすることを特徴とする請求項2に記載の塗装システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記基準姿勢での前記第3軸の回転位置を維持させつつ前記アーム部を駆動することで前記第4軸を形成する関節部の位置が所定範囲外になる場合、前記関節部の位置が所定範囲外になる前に、前記第3軸を駆動し、前記関節部の位置を前記所定範囲内に維持させることを特徴とする請求項3に記載の塗装システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記塗装ロボットに複数の補間動作を順次実行させて前記被塗装物を塗装させ、かつ、一の前記補間動作が完了してから次の前記補間動作が開始するまでの期間に、前記第3軸を駆動することを特徴とする請求項4に記載の塗装システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記一の補間動作の完了時から前記基準姿勢での前記第3軸の回転位置を維持させることで、前記次の補間動作の実行時において前記関節部の位置が前記所定範囲外になる場合、前記一の補間動作の完了後に前記塗装ロボットを一時停止させてから前記第3軸を駆動し、前記次の補間動作の完了後に、前記第3軸を前記基準姿勢の回転位置へ戻し、その後、さらに次の前記補間動作を前記塗装ロボットに実行させることを特徴とする請求項5に記載の塗装システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記基準姿勢での前記第3軸の回転位置を維持させつつ前記第1軸および前記第2軸を駆動することで、前記関節部の位置が前記ベース部の固定面よりも側壁側になる場合、前記関節部の位置がベース部の固定面よりも側壁側になる前に、前記第3軸を駆動し、前記関節部の位置を前記ベース部の固定面よりも被塗装物側にすることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の塗装システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記基準姿勢での前記第3軸の回転位置を維持させつつ前記第1軸および前記第2軸を駆動することで、前記関節部の位置が所定の高さよりも高くなる場合、前記関節部の位置が前記所定の高さよりも高くなる前に、前記第3軸を駆動し、前記関節部の位置を前記所定の高さ以下にすることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の塗装システム。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記基準姿勢での前記第3軸の回転位置を維持させつつ前記第1軸および前記第2軸を駆動することで、前記関節部の位置が前記被塗装物の高さよりも低くなる場合、前記関節部の位置が前記被塗装物の高さよりも低くなる前に、前記第3軸を駆動し、前記関節部の位置を前記被塗装物の高さ以上にすることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の塗装システム。
【請求項10】
前記塗装ロボットは、
前記基準姿勢の状態において、前記第2アームが前記第1アームよりも前記被塗装物側に位置する状態で前記第1アームに片持ち支持され、前記第3アームが前記第2アームよりも前記側壁側に位置する状態で前記第2アームに支持され、さらに、前記手首部に装着された塗装ガンに流体を供給するチューブが前記第3アームの側壁側に沿って前記第3アームに配設されることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の塗装システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−6235(P2013−6235A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140295(P2011−140295)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】