説明

塗装ラインの搬送設備

【課題】搬器に付着した塗料に起因するワークの塗装不良の発生を防止しながら、ワークが搭載される搬器の個数の削減および設備の小型化により、設備のコストおよび設置コストを削減する搬送設備を提供する。
【解決手段】塗装ライン1の搬送設備100は、塗装工程において自動車ボディWが搭載されている塗装用搬器C1を搬送する塗装用コンベヤ111と、乾燥工程において、塗装工程で塗装された塗装済みボディW1が搭載された乾燥用搬器C2を搬送する乾燥用コンベヤ114と、搬器洗浄工程において、塗装工程での塗料が付着している塗装用搬器C1である塗料付着搬器Cbの洗浄が行われる塗料付着搬器Cbを搬送し、洗浄が完了した洗浄済み搬器C3を乾燥用コンベヤ114まで搬送する搬器洗浄用コンベヤ113とを備える。乾燥用搬器C2は洗浄済み搬器C3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの塗装が行われる塗装ラインに備えられる搬送設備に関し、より詳細には、塗装されるワークを、該ワークが搭載された搬器を介して搬送するコンベヤを備える搬送設備に関する。そして、ワークは、例えば自動車ボディである。
【背景技術】
【0002】
塗装ラインにおいて、塗装されるワークが搭載された搬器を搬送するコンベヤを備える搬送設備が、塗装工程でワークが搭載された塗装用搬器を搬送する塗装用コンベヤと、ワークに塗装された塗料の乾燥が行われる乾燥工程でワークが搭載された乾燥用搬器を搬送する乾燥用コンベヤとを備えるものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、塗装工程において、塗装されるワークが搭載された搬器が、該搬器に付着した塗料を除去するための洗浄が行われた後に、塗装工程に戻されることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−81764号公報(段落0014〜0019、図1)
【特許文献2】特開平6−210214号公報(段落0011〜0016、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塗装ラインにおいて、塗装工程で塗装されるワークを搭載している搬器が、引き続いて乾燥ラインでも使用される場合に、塗装工程ではワークを塗装するための塗料が搬器にも付着するため、ワークを搭載している搬器がハンガであるときには、ハンガからワークに滴下する塗料による塗装不良が発生することがあり、また搬器がハンガおよび台車のいずであるときにも、搬器に付着した塗料が乾燥し、その乾燥した塗料が搬器から剥離して、ワークに付着して塗装不良が発生することがある。
そこで、このような塗装不良の発生を防止するために、塗装工程および乾燥工程において、それぞれに専用の塗装用搬器および乾燥用搬器が使用される場合には、搬器の種類の増加、および該搬器に対応したコンベヤの種類に応じて異なるコンベヤ設置構造が必要になることにより、搬器を備える搬送設備のコストおよび該搬送設備の設置コストが増加するという問題があった。
【0005】
また、塗装工程においてワークが搭載された塗装用搬器を搬送する塗装用コンベヤと、乾燥工程において、塗装された塗料を乾燥させるためのワークが搭載された乾燥用搬器を搬送する乾燥用コンベヤとが、互いに独立している塗装用搬送ラインと乾燥用搬送ラインとをそれぞれ構成する場合に、乾燥用搬送ラインには、塗装用搬器から移載される塗装されたワークを搭載するための乾燥用搬器を乾燥用コンベヤに搬入する搬入用コンベヤが必要になり、また、塗装用搬送ラインおよび乾燥用搬送ラインがいずれも無端の搬送ライン(すなわち、閉じた搬送ライン)である場合には、各搬送ラインには、搬器を返送するための搬器返送用コンベヤが必要になるため、各コンベヤを備える搬送設備が大型化して、搬送設備のコストが増加すると共に、搬送設備の設置スペースが増大し、搬送設備の設置コストも増加するという問題があった。
【0006】
さらに、前記塗装用搬送ラインで順次搬送される複数の塗装用搬器の搬器間の時間間隔である塗装用搬送サイクル時間と、前記乾燥用搬送ラインで順次搬送される複数の乾燥用搬器の搬器間の時間間隔である乾燥用搬送サイクル時間とが異なることから、移載機により、塗装工程で塗装されたワークが塗装用搬送ラインの塗装用搬器から乾燥用搬送ラインの乾燥用搬器に移載される際には、塗装用搬送サイクル時間とのサイクル時間差を吸収して塗装用搬送サイクル時間に合わされた乾燥用搬送サイクル時間で乾燥用搬器を用意するために、乾燥用搬器を乾燥用コンベヤに搬入する前記搬入用コンベヤには、乾燥用搬器を待機させるための待機部がバッファとして設けられるので、該待機部に待機する乾燥用搬器の分だけ、乾燥用搬器の個数が増加して搬送設備のコストが増加し、さらに待機部の分だけ、搬入用コンベヤのコンベヤ長が増加して、搬送設備のコストおよびその設置コストが増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するものであり、その目的は、ワークを搬器を介して搬送するコンベヤを備える塗装ラインにおいて、搬器に付着した塗料に起因するワークの塗装不良の発生を防止しながら、ワークが搭載される搬器の種類または個数の削減、および設備の小型化により、設備のコストおよび設置コストを削減する搬送設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、塗装用搬器に搭載された状態のワークに塗装が行われる塗装工程において前記塗装用搬器を搬送する塗装用コンベヤと、前記塗装工程で塗装された前記ワークである塗装済みワークが乾燥用搬器に搭載された状態で前記塗装済みワークの塗料の乾燥が行われる乾燥工程において前記乾燥用搬器を搬送する乾燥用コンベヤとを備える、塗装ラインの搬送設備において、前記塗装工程で塗料が付着した前記塗装用搬器である塗料付着搬器に付着している塗料を除去するために前記塗装済みワークが搭載されていない状態で前記塗料付着搬器の洗浄が行われる搬器洗浄工程において、前記塗料付着搬器を搬送し、そして洗浄が完了した前記塗料付着搬器である洗浄済み搬器を前記乾燥用コンベヤまで搬送する搬器洗浄用コンベヤを備え、前記乾燥用搬器が前記洗浄済み搬器であることにより、前述の課題を解決したものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の構成に加えて、前記搬器洗浄用コンベヤが、前記塗装用コンベヤから前記塗料付着搬器が搬入される搬入部と、前記乾燥用コンベヤに前記洗浄済み搬器が搬出される搬出部とを有し、前記搬入部に位置する前記塗料付着搬器に搭載されている前記塗装済みワークを、前記搬出部に位置する前記洗浄済み搬器に移載する移載機を備えることにより、前述の課題を解決したものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明の構成に加えて、前記乾燥工程での乾燥が完了した前記塗装済みワークである乾燥済みワークを搬送する搬出用コンベヤと、前記搬出用コンベヤにおいて前記乾燥済みワークが前記塗装ラインの次工程のラインに移載された後の前記乾燥用搬器を、前記ワークが搭載されていない前記塗装用搬器として前記塗装用コンベヤに搬出する搬器返送用コンベヤとを備え、前記塗装用コンベヤ、前記搬器洗浄用コンベヤ、前記乾燥用コンベヤ、前記搬出用コンベヤおよび前記搬器返送用コンベヤが、1つの無端コンベヤを構成することにより、前述の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
そこで、本発明の塗装ラインの搬送設備は、塗装用搬器に搭載された状態のワークに塗装が行われる塗装工程において塗装用搬器を搬送する塗装用コンベヤと、塗装工程で塗装されたワークである塗装済みワークが乾燥用搬器に搭載された状態で塗装済みワークの塗料の乾燥が行われる乾燥工程において乾燥用搬器を搬送する乾燥用コンベヤとを備えることにより、塗装ラインにおいて、搬器に搭載された状態のワークに対して塗装および乾燥が行われるので、塗装および乾燥のためのワークを、安定した状態で、かつ効率よく搬送することができるばかりでなく、以下のような本発明に特有の効果を奏する。
【0012】
すなわち、請求項1に係る本発明の塗装ラインの搬送設備によれば、塗装工程で塗料が付着した塗装用搬器である塗料付着搬器に付着している塗料を除去するために、塗装済みワークが搭載されていない状態で塗料付着搬器の洗浄が行われる搬器洗浄工程において、塗料付着搬器を搬送し、そして洗浄が完了した塗料付着搬器である洗浄済み搬器を乾燥用コンベヤまで搬送する搬器洗浄用コンベヤを備え、乾燥用搬器が洗浄済み搬器であることにより、塗装工程でワークが塗装されるときに使用されたために塗料が付着している塗料付着搬器は、搬器洗浄工程で洗浄されて塗料が除去された洗浄済み搬器となり、この洗浄済み搬器は、乾燥工程で塗装済みワークが搭載される乾燥用搬器として使用されるので、塗装用搬器に付着した塗料に起因するワークの塗装不良の発生を防止することができるうえ、ワークを搭載する搬器として、塗装工程および乾燥工程にそれぞれ専用の搬器を用意する必要がないので、塗装工程および乾燥工程が実施される塗装ラインにおいて該工程毎に専用の搬器が不要になることによる搬器の種類の削減で、搬器を備える搬送設備のコストを削減することができ、および、搬器の種類の削減によるコンベヤ設置構造の簡単化により、コンベヤを備える搬送設備のコストおよび該搬送設備の設置コストを削減することができる。
【0013】
さらに、搬器洗浄用コンベヤが、乾燥用コンベヤに乾燥用搬器を搬入するための搬入用コンベヤを兼ねるので、乾燥用コンベヤが、塗装用コンベヤおよび搬器洗浄用コンベヤにより構成される塗装用搬送ラインに対して独立した乾燥用搬送ラインを構成する場合に、該乾燥用搬送ラインを構成する前記乾燥用コンベヤへ乾燥用搬器を搬入するための専用の搬入用コンベヤが不要になり、塗装用コンベヤ、搬器洗浄用コンベヤおよび乾燥用コンベヤを備える搬送設備の小型化およびその設置スペースの削減が可能になり、搬送設備のコストおよび搬送設備の設置コストを削減することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明の塗装ラインの搬送設備によれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、搬器洗浄用コンベヤが、塗装用コンベヤから塗料付着搬器が搬入される搬入部と、乾燥用コンベヤに洗浄済み搬器が搬出される搬出部とを有し、搬入部に位置する塗料付着搬器に搭載されている塗装済みワークを、搬出部に位置する洗浄済み搬器に移載する移載機を備えることにより、塗装済みワークを搭載している塗料付着搬器が塗装用コンベヤにより搬入部に位置する状態で、塗装済みワークが塗料付着搬器から乾燥用搬器に、移載機により移載される際に、搬出部に位置する乾燥用搬器は、搬器洗浄工程で洗浄された塗料付着搬器であることから、洗浄済み搬器が搬器洗浄用コンベヤにより搬出部に向けて順次搬送されるときの搬器間の時間間隔である乾燥用搬送サイクル時間と、塗料付着搬器が塗装用コンベヤにより搬入部に順次搬入されるときの搬器間の時間間隔である塗装用搬入サイクル時間とのサイクル時間差を小さく(サイクル時間差がゼロの場合が含まれる。)できるので、搬器洗浄用コンベヤには、前記サイクル時間差を吸収するために洗浄済み搬器を待機させる待機部が不要になること、または、待機部が設けられる場合にも待機させる洗浄済み搬器の個数が削減され、それに伴って待機部のコンベヤ長の短縮が可能になることから、搬送設備が備える搬器の個数の削減および搬器洗浄用コンベヤの小型化により搬送設備のコストを削減することができ、さらに搬送設備の設置コストを削減することができる。
【0015】
請求項3に係る本発明の塗装ラインの搬送設備によれば、請求項1または請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、乾燥工程での乾燥が完了した塗装済みワークである乾燥済みワークを搬送する搬出用コンベヤと、搬出用コンベヤにおいて乾燥済みワークが塗装ラインの次工程のラインに移載された後の乾燥用搬器を、ワークが搭載されていない塗装用搬器として塗装用コンベヤに搬出する搬器返送用コンベヤとを備え、塗装用コンベヤ、搬器洗浄用コンベヤ、乾燥用コンベヤ、搬出用コンベヤおよび搬器返送用コンベヤが、1つの無端コンベヤを構成することにより、塗装ラインにおいて、搬器を搬送するための、塗装用コンベヤ、搬器洗浄用コンベヤおよび乾燥用コンベヤにより構成される搬送ラインが、1つの閉じた搬送ラインとなることから、乾燥用搬器が塗装用搬器として利用されるので、必要な搬器の個数の削減が可能になり、しかも、塗装ラインが複数の無端の搬送ラインを備える場合に比べて、搬器を返送するための搬器返送用コンベヤの個数が削減されるので、搬送設備が小型化されて、搬送設備のコストおよびその設置コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例である搬送設備を備える塗装ラインの模式図。
【図2】図1の塗装ラインにおける各工程を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の塗装ラインの搬送設備は、塗装用搬器に搭載された状態のワークに塗装が行われる塗装工程において塗装用搬器を搬送する塗装用コンベヤと、塗装工程で塗装されたワークである塗装済みワークが乾燥用搬器に搭載された状態で塗装済みワークの塗料の乾燥が行われる乾燥工程において乾燥用搬器を搬送する乾燥用コンベヤと、塗装工程で塗料が付着した塗装用搬器である塗料付着搬器に付着している塗料を除去するために塗装済みワークが搭載されていない状態で塗料付着搬器の洗浄が行われる搬器洗浄工程において、塗料付着搬器を搬送し、そして洗浄が完了した塗料付着搬器である洗浄済み搬器を乾燥用コンベヤまで搬送する搬器洗浄用コンベヤとを備え、乾燥用搬器が洗浄済み搬器であることにより、ワークを搬器を介して搬送するコンベヤを備える塗装ラインにおいて、搬器に付着した塗料に起因するワークの塗装不良の発生を防止しながら、ワークが搭載される搬器の種類または個数の削減、および設備の小型化により、設備のコストおよび設置コストを削減するものであれば、その具体的な態様はいかなるものであっても構わない。
【0018】
例えば、搬器は、台車のほかに、ハンガまたは載置台であってもよい。
コンベヤは、搬器を搬送する機械であれば、いかなる構造のものでもよく、さらに、フロアコンベヤまたはオーバーヘッドコンベヤであってもよい。
ワークは、自動車ボディ、または自動車ボディ以外の物品であってもよい。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施例を図1,図2を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例である搬送設備100は、ワークとしての自動車ボディW(以下、「ボディW」という。)を塗装するための塗装ライン1に備えられる。
【0020】
図2を併せて参照すると、塗装ライン1は、該塗装ライン1に搬入されるボディWに塗装前処理工程としての下地工程が実施される下地ライン2と、塗装ライン1から搬出されたボディWに塗装後処理工程としての部品組付工程が実施される組立ライン3と、ボディWを下地ライン2から塗装ライン1に搬入するワーク搬入機4と、塗装および乾燥が完了したボディWを塗装ライン1から組立ライン3に搬出するワーク搬出機5と共に、自動車ボディの生産ラインを構成する。
【0021】
塗装ライン1の前工程のラインとしての下地ライン2では、下地工程として、ボディWに付着した油分や塵埃などが除去される搬器洗浄工程S3と、該搬器洗浄工程S3での洗浄処理が行われた後のボディWの耐食性や塗料の密着性を向上させるための化成皮膜が形成される化成工程とが実施される。
塗装ライン1の次工程のラインとしての組立ライン3では、塗装完了後のボディWに各種部品が組み付けられる部品組付工程が実施される。
【0022】
塗装ライン1は、ボディWを搭載可能な複数の搬器Cを備えると共に該ボディWおよび各搬器Cを搬送する搬送設備100と、ボディWおよび搬器Cに対する処理を行うための処理設備130と、搬送設備100および処理設備130の作動を制御する制御装置140とを備える。
搬器Cは、該搬器Cに搭載されるボディWを搬送設備100により搬送するための部材であり、本実施例では台車である。そして、塗装ライン1においては、1種類のボディWに対して1種類の搬器Cが使用され、本実施例では、1種類の複数のボディWが塗装される。
【0023】
塗装ライン1は、搬器Cである塗装用搬器C1に搭載された状態のボディWに塗装が行われる塗装工程S1が実施される塗装ゾーンA1と、塗装工程S1(または、塗装ゾーンA1)において塗料が付着した塗装用搬器C1に付着している塗料を除去するためにボディWが搭載されていない状態で塗料付着搬器Cbの洗浄が行われる搬器洗浄工程S3が実施される搬器洗浄ゾーンA3と、塗装工程S1でボディWに塗装された塗料の乾燥が行われる乾燥工程S4が実施される乾燥ゾーンA4と、乾燥工程S4(または、乾燥ゾーンA4)での塗料の乾燥が完了したボディWにおける塗装状態の検査が行われる検査工程S6が実施される検査ゾーンA6と、検査工程S6(または、検査ゾーンA6)での検査の順番待ちのためにボディWを待機可能とするための待機工程S5が実施される待機ゾーンA5と、検査工程S6での検査が完了したボディWが組立ライン3に搬出された後の空搬器である搬器Cが塗装ゾーンA1に搬送される搬器返送工程S7が実施される搬器返送ゾーンA7とを有する。
【0024】
搬器Cは、説明の便宜上、必要に応じて、前述したように塗装工程S1で使用されるときには塗装用搬器C1と、乾燥工程S4で使用されるときには乾燥用搬器C2と、それぞれ称される。また、塗装工程S1でのボディWへの塗装の際に塗料が付着した塗装用搬器C1は塗料付着搬器Cbと、搬器洗浄工程S3で洗浄が完了した塗料付着搬器Cbは洗浄済み搬器C3と、それぞれ称される。
そして、乾燥用搬器C2は洗浄済み搬器C3である。
また、検査工程S6、待機工程S5および搬器返送工程S7において使用される搬器Cは、乾燥用搬器C2である。
さらに、搬器Cが、塗料付着搬器Cbと、塗料付着搬器Cb以外の非塗料付着搬器Caとに二分されるとき、塗料付着搬器Cbになる前の塗装用搬器C1、乾燥用搬器C2および洗浄済み搬器C3は、非塗料付着搬器Caである。
【0025】
塗装ライン1において洗浄済み搬器C3が乾燥用搬器C2として搬送される状態を模式的に示している図1を主に参照し、図2を適宜参照すると、搬送設備100は、複数の搬器Cのほかに、塗装ゾーンA1、搬器洗浄ゾーンA3、乾燥ゾーンA4、待機ゾーンA5、検査ゾーンA6および搬器返送ゾーンA7に、それぞれ配置された塗装用コンベヤ111、搬器洗浄用コンベヤ113、乾燥用コンベヤ114、待機用コンベヤ115、検査用コンベヤ116および搬器返送用コンベヤ117から構成されるコンベヤ装置110と、塗装工程S1で塗装されたボディWである塗装済みボディW1を乾燥工程S4で乾燥させる前に塗装用搬器C1から乾燥用搬器C2に移載する移載工程S2において使用される移載機120とを備える。
【0026】
コンベヤ装置110は、塗装用コンベヤ111、搬器洗浄用コンベヤ113、乾燥用コンベヤ114、待機用コンベヤ115、検査用コンベヤ116および搬器返送用コンベヤ117が、搬器Cの搬送方向に直列に配置されていて、この順で連なって形成される1つの無端のコンベヤであり、搬送設備100における搬送ラインを構成する。
このため、搬器洗浄用コンベヤ113は、塗装用コンベヤ111と乾燥用コンベヤ114との間に配置されていて、塗装用コンベヤ111、搬器洗浄用コンベヤ113および乾燥用コンベヤ114は、この順で直列に配置されている。
【0027】
塗装用搬器C1を搬送する塗装用コンベヤ111と、乾燥用搬器C2を搬送する乾燥用コンベヤ114と、いずれも乾燥ゾーンA4を通過した乾燥用搬器C2を搬送する待機用コンベヤ115および検査用コンベヤ116とは、搬器Cを搬送することにより該搬器Cを介してボディWを搬送し、換言すればボディWが搭載されている搬器Cである実搬器を搬送する。
一方、搬器洗浄用コンベヤ113と、乾燥ゾーンA4を通過した乾燥用搬器C2を搬送する搬器返送用コンベヤ117とは、ボディWが搭載されていない搬器Cである空搬器を搬送する。
【0028】
乾燥用コンベヤ114と搬器返送用コンベヤ117とを接続している待機用コンベヤ115および検査用コンベヤ116は、乾燥工程S4で塗装された塗料の乾燥が完了した塗装済みボディW1である乾燥済みボディW2を組立ライン3にワーク搬出機5により搬出するための搬出用コンベヤを構成する。
そして、乾燥ゾーンA4と搬器返送ゾーンA7との間に位置している待機ゾーンA5および検査ゾーンA6は、搬出用ゾーンを構成する。
【0029】
塗装用コンベヤ111と乾燥用コンベヤ114とを接続している搬器洗浄用コンベヤ113は、塗装用コンベヤ111により塗料付着搬器Cbが搬入される搬入部113aと、乾燥用コンベヤ114により洗浄済み搬器C3が搬出される搬出部113bと、1つの洗浄済み搬器C3が搬出部113bに位置しているときに、搬出部113bに搬送される前の1以上の洗浄済み搬器C3が待機可能な待機部113cとを有する。
【0030】
移載機120は、塗装済みボディW1の、塗料付着搬器Cbからの離脱および乾燥用搬器C2への搭載を行うワーク着脱機であり、搬入部113aに停止状態で位置する塗料付着搬器Cbに搭載されている塗装済みボディW1を、搬出部113bに停止状態で位置する洗浄済み搬器C3に移載する。
搬入部113aは、塗料付着搬器Cbに搭載されている塗装済みボディW1の移載が開始される移載開始工程S2aが実施される移載開始部であり、搬出部113bは、搬入部113aにおいて塗料付着搬器Cbから離脱した塗装済みボディW1が洗浄済み搬器C3に搭載される移載完了工程S2bが実施される移載完了部である。移載工程S2は、移載開始工程S2aおよび移載完了工程S2bから構成される。
本実施例では、移載機120が搬入部113aに在る塗料付着搬器Cbから塗装済みボディW1を離脱させた直後の時点で、洗浄済み搬器C3が搬出部113bに用意されている。
【0031】
処理設備130は、塗装ゾーンA1、搬器洗浄ゾーンA3、乾燥ゾーンA4および検査ゾーンA6にそれぞれ配置された、ボディWを吹付けなどにより塗装する塗装装置131、塗料付着搬器Cbを洗浄する搬器洗浄装置133、塗装済みボディW1に塗装された塗料を乾燥させる乾燥装置134および乾燥済みボディW2の塗装状態を検査する検査装置136を備える。
なお、図1において、塗装工程S1での塗装前のボディWが白丸で示され、塗装後のボディWが、ハッチングが施されたで丸で示され、塗料付着搬器Cbが、円周にハッチングが施された丸で示されている。
【0032】
塗装ゾーンA1において、塗装装置131に対してボディWを搬入出する塗装用コンベヤ111は、ワーク搬入機4により下地ライン2から搬送されたボディWが搬入されるワーク搬入部111aを有する。
塗装用コンベヤ111は、塗装装置131内を貫通して延びていて、ワーク搬入部111aに位置する塗装用搬器C1にワーク搬入機4により移載されたボディWを、塗装用搬器C1を介して搬送する。塗装工程S1において、ボディWは、塗装用搬器C1に搭載された状態で、塗装装置131により塗装される。
【0033】
搬器洗浄ゾーンA3において、塗料付着搬器Cbを搬器洗浄装置133に対して搬入出する搬器洗浄用コンベヤ113は、搬器洗浄装置133内を貫通して延びている。
搬器洗浄用コンベヤ113は、搬入部113aを有すると共に塗装済みボディW1が移載機120により移載された後の塗料付着搬器Cbを搬器洗浄装置133まで搬送する搬入側コンベヤ113iと、搬出部113bおよび待機部113cを有すると共に搬器洗浄装置133による洗浄が完了した塗料付着搬器Cbである洗浄済み搬器C3を乾燥用コンベヤ114まで搬送する搬出側コンベヤ113oとを有する。
【0034】
乾燥ゾーンA4において、乾燥装置134に対して塗装済みボディW1を搬入出する乾燥用コンベヤ114は、乾燥装置134内を貫通して延びていて、乾燥用搬器C2を介して塗装済みボディW1を搬送する。
塗装工程S1においてボディWに塗装された未乾燥状態の塗料は、塗装済みボディW1が乾燥用搬器C2に搭載された状態で、乾燥装置134により乾燥させられる。
【0035】
待機ゾーンA5において、検査装置136に搬送される1以上の乾燥済みボディW2を、乾燥用搬器C2に搭載された状態で待機させる待機用コンベヤ115は、乾燥用コンベヤ114と検査用コンベヤ116との間に配置されている。
【0036】
検査ゾーンA6において、検査装置136に対して乾燥済みボディW2を搬入出する検査用コンベヤ116は、ワーク搬出機5により組立ライン3に搬出される乾燥済みボディW2が搬送されるワーク搬出部116bを有する。
検査用コンベヤ116は、検査装置136内を貫通して延びていて、乾燥用搬器C2を介して乾燥済みボディW2を搬送する。そして、乾燥済みボディW2は、乾燥用搬器C2に搭載された状態で、検査装置136によりその塗装状態について検査される。
【0037】
搬器返送ゾーンA7において、ワーク搬出機5により乾燥済みボディW2が移載されて空搬器となった乾燥用搬器C2を搬送する搬器返送用コンベヤ117は、検査用コンベヤ116と塗装用コンベヤ111との間に配置されて、ワーク搬出部116bからワーク搬入部111aまで延びていて、両コンベヤ116,111を接続している。
【0038】
各コンベヤ111,113〜117は、搬器Cが移動可能な案内部としての案内レール(図示せず)と、該案内レールに沿って搬器Cを移動させる駆動部(図示せず)とを備える駆動装置(図示せず)を備え、前記駆動部が制御装置140により制御されて、搬器Cの搬送速度を制御する。
【0039】
また、搬器洗浄工程A3において搬器洗浄装置133が洗浄処理に要する洗浄時間は、乾燥工程S4において乾燥装置134が乾燥処理に要する乾燥時間、検査工程S6において検査装置136が検査処理に要する検査時間よりも短い。
そして、すべてのコンベヤ111,113〜117により構成される前記搬送ラインにおいて、搬器洗浄ゾーンA3は、塗装ゾーンA1および乾燥ゾーンA4よりも短い。
【0040】
図1,図2を参照して、塗装ライン1での搬器CおよびボディWの流れおよびその処理について説明する。
塗装ゾーンA1で実施される塗装工程S1では、下地ライン2から搬入されたボディWが、ワーク搬入機4により、ワーク搬入部111aに位置する塗装用搬器C1に搭載される。塗装用搬器C1に搭載された状態ボディWは、塗装用コンベヤ111により、ワーク搬入部111aから搬入部113aまで搬送される過程で、塗装装置131により塗装が行われる。
【0041】
搬器洗浄ゾーンA3で実施される移載工程S2および搬器洗浄工程S3では、先ず、移載工程S2において、塗装済みボディW1が、搬入部113aに位置する塗料付着搬器Cbから、搬出部113bに位置する洗浄済み搬器C3に移載機120により移載される。
そして、搬器洗浄工程S3において、塗料付着搬器Cbは、搬入側コンベヤ113iにより、搬器洗浄装置133に搬送され、次いで搬器洗浄装置133により塗料付着搬器Cbに付着している塗料が除去され、洗浄が完了した後、搬出側コンベヤ113oにより搬出部113bに向かって、先ず待機部113cまで搬送され、その後に、搬出部113bまで搬送され、さらに乾燥用コンベヤ114に搬出される。
【0042】
待機部113cには、塗装ライン1の運転開始前に、1以上の乾燥用搬器C2が初期待機用搬器として載置されている。これにより、塗装ライン1の運転開始後に、移載機120が、最初に、搬入部113aの塗料付着搬器Cbから塗装済みボディW1を離脱させた直後の時点で、待機部113cの1つの乾燥用搬器C2は、搬出側コンベヤ113oにより搬送されて搬出部113bに位置する。
なお、初期待機用搬器がすべて搬出部113bまで搬送された後は、乾燥用搬器C2としての洗浄済み搬器C3が搬出部113bまで搬送される。
【0043】
乾燥ゾーンA4で実施される乾燥工程S4では、塗装済みボディW1を搭載した乾燥用搬器C2(または、洗浄済み搬器C3)は、乾燥用コンベヤ114により乾燥装置134に搬送されて、乾燥装置134により塗装された塗料の乾燥が行われる。乾燥済みボディW2は、乾燥用搬器C2に搭載された状態で、乾燥用コンベヤ114により、待機用コンベヤ115まで搬送される。
待機ゾーンA5で実施される待機工程S5では、待機用コンベヤ115上の乾燥済みボディW2は、待機用コンベヤ115により、検査用コンベヤ116まで搬送される。
【0044】
検査ゾーンA6で実施される検査工程S6では、検査装置136により乾燥済みボディW2の塗装状態が検査される。検査に合格した乾燥済みボディW2は、検査用コンベヤ116により搬送されて、ワーク搬出部116bにおいて、ワーク搬出機5により、組立ライン3に移載される。
搬器返送ゾーンA7で実施される搬器返送工程S7では、乾燥済みボディW2が移載された後の乾燥用搬器C2は、搬器返送用コンベヤ117により、新たに塗装用搬器C1として、塗装用コンベヤ111のワーク搬入部111aまで搬送される。
【0045】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
塗装ライン1の搬送設備100は、塗装用搬器C1に搭載された状態のボディWに塗装が行われる塗装工程S1において塗装用搬器C1を搬送する塗装用コンベヤ111と、塗装工程S1で塗装されたボディWである塗装済みボディW1が乾燥用搬器C2に搭載された状態で塗装済みボディW1の塗料の乾燥が行われる乾燥工程S4において乾燥用搬器C2を搬送する乾燥用コンベヤ114とを備えることにより、塗装ライン1において、搬器Cに搭載された状態のボディWに対して塗装および乾燥が行われるので、塗装および乾燥のためのボディWを、安定した状態で、かつ効率よく搬送することができる。
【0046】
塗装工程S1で塗料付着搬器Cbに付着している塗料を除去するために、塗装済みボディW1が搭載されていない状態で塗料付着搬器Cbの洗浄が行われる搬器洗浄工程S3において、塗料付着搬器Cbを搬送し、そして洗浄が完了した塗料付着搬器Cbである洗浄済み搬器C3を乾燥用コンベヤ114まで搬送する搬器洗浄用コンベヤ113を備え、乾燥用搬器C2が洗浄済み搬器C3である。
この構成により、塗装工程S1でボディWが塗装されるときに使用されたために塗料が付着している塗料付着搬器Cbは、搬器洗浄工程S3で洗浄されて塗料が除去された洗浄済み搬器C3となり、この洗浄済み搬器C3は、乾燥工程S4で塗装済みボディW1が搭載される乾燥用搬器C2として使用されるので、塗装用搬器C1に付着した塗料に起因するボディWの塗装不良の発生を防止することができる。
そのうえ、ボディWを搭載する搬器として、塗装工程S1および乾燥工程S4にそれぞれ専用の搬器を用意する必要がないので、塗装工程S1および乾燥工程S4が実施される塗装ライン1において該工程毎に専用の搬器が不要になることによる搬器の種類の削減で、搬器Cを備える搬送設備100のコストを削減することができ、および、搬器Cの種類の削減によるコンベヤ設置構造の簡単化(例えば、コンベヤ設置構造を搬器の種類に応じて異なる構造とする必要がない。)により、コンベヤを備える搬送設備100のコストおよび該搬送設備100の設置コストを削減することができる。
【0047】
さらに、搬器洗浄用コンベヤ113が、乾燥用コンベヤ114に乾燥用搬器C2を搬入するための搬入用コンベヤを兼ねるので、乾燥用コンベヤが、塗装用コンベヤおよび搬器洗浄用コンベヤにより構成される塗装用搬送ラインに対して独立した乾燥用搬送ラインを構成する場合に、該乾燥用搬送ラインを構成する前記乾燥用コンベヤへ乾燥用搬器を搬入するための専用の搬入用コンベヤが不要になり、塗装用コンベヤ111、搬器洗浄用コンベヤ113および乾燥用コンベヤ114を備える搬送設備100の小型化およびその設置スペースの削減が可能になり、搬送設備100のコストおよび搬送設備100の設置コストを削減することができる。
【0048】
搬器洗浄用コンベヤ113が、塗装用コンベヤ111から塗料付着搬器Cbが搬入される搬入部113aと、乾燥用コンベヤ114に洗浄済み搬器C3が搬出される搬出部113bとを有し、搬入部113aに位置する塗料付着搬器Cbに搭載されている塗装済みボディW1を、搬出部113bに位置する洗浄済み搬器C3に移載する移載機120を備える。
この構成により、塗装済みボディW1を搭載している塗料付着搬器Cbが塗装用コンベヤ111により移載開始部としての搬入部113aに位置する状態で、塗装済みボディW1が塗料付着搬器Cbから乾燥用搬器C2に、移載機120により移載される際に、移載完了部としての搬出部113bに位置する乾燥用搬器C2は、搬器洗浄工程S3で洗浄された塗料付着搬器Cbであることから、洗浄済み搬器C3が搬器洗浄用コンベヤ113により搬出部113bに向けて順次搬送されるときの搬器C3間の時間間隔である乾燥用搬送サイクル時間と、塗料付着搬器Cbが塗装用コンベヤ111により搬入部113aに順次搬入されるときの搬器Cb間の時間間隔である塗装用搬入サイクル時間とのサイクル時間差を小さく(サイクル時間差がゼロの場合が含まれる。)できるので、待機部113cに待機させる洗浄済み搬器C3の個数が削減され、それに伴って待機部113cのコンベヤ長の短縮が可能になることから、搬送設備100が備える搬器Cの個数の削減および搬器洗浄用コンベヤ113の小型化により搬送設備100のコストを削減することができ、さらに搬送設備100の設置コストを削減することができる。
【0049】
また、搬器洗浄工程S3での洗浄処理の処理速度の高速化により、前記サイクル時間差の一層短縮が容易になり、さらには待機部113cの不要化が容易になる。
搬器洗浄用コンベヤ113が待機部113cを有することにより、乾燥工程S4での乾燥処理の開始を早めることができること、および、搬器洗浄装置133の洗浄処理の処理速度が比較的遅いことで、低コストの搬器洗浄装置133の使用も可能になるので、搬送設備100のコスト削減に寄与することができる。
【0050】
搬送設備100が、乾燥済みボディW2を搬送する搬出用コンベヤを構成する待機用コンベヤ115および検査用コンベヤ116と、検査用コンベヤ116において乾燥済みボディW2が塗装ライン1の次工程のラインである組立ライン3に移載された後の乾燥用搬器C2を、ボディWが搭載されていない塗装用搬器C1として塗装用コンベヤ111に搬出する搬器返送用コンベヤ117とを備え、塗装用コンベヤ111、搬器洗浄用コンベヤ113、乾燥用コンベヤ114、待機用コンベヤ115、検査用コンベヤ116および搬器返送用コンベヤ117が、1つの無端コンベヤを構成する。
この構成により、塗装ライン1において、搬器Cを搬送するための、各コンベヤ111,113〜117により構成される搬送ラインが、1つの閉じた搬送ラインとなることから、乾燥用搬器C2が塗装用搬器C1として利用されるので、必要な搬器Cの個数の削減が可能になり、しかも、塗装ラインが複数の無端の搬送ラインを備える場合に比べて、搬器Cを返送するための搬器返送用コンベヤの個数が削減されるので、搬送設備100が小型化されて、搬送設備100のコストおよびその設置コストを削減することができる。
【0051】
さらに、乾燥工程S4から待機工程S5、検査工程S6および搬器返送工程S7の各工程において、1つのボディWに対して同じ搬器Cが使用されるので、異なる工程間で搬器Cが変更される場合に比べて、搬送効率を高めることができる。
【0052】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
搬器洗浄用コンベヤ113は、待機部113cを有していなくてもよい。この場合、搬器洗浄用コンベヤ113には、前記サイクル時間差を吸収するために洗浄済み搬器C3を待機させる待機部113cが不要になるため、搬送設備100が備える搬器Cの個数の削減および搬器洗浄用コンベヤ113の小型化により搬送設備100のコストを削減することができ、さらに搬送設備100の設置コストを削減することができる。
【0053】
搬器洗浄用コンベヤ113において、搬入部113aおよび搬出部113bが同一の部分により構成されて、搬器洗浄用コンベヤ113が、搬入部113aおよび搬出部113bを兼ねる搬入出部を有していてもよい。この場合、移載機120は、時期をずらして、該搬入出部において塗料付着搬器Cbから塗装済みボディW1を離脱させ、その後、該搬入出部に位置する洗浄済み搬器C3に、塗装済みボディW1を離脱させた塗装済みボディW1を搭載する。
前記各コンベヤ111,113〜117から構成されるコンベヤ装置110が使用可能であることを条件として、異なる種類の搬器が使用されてもよく、また同じ搬器に異なるボディWまたはワークが搭載されてもよい。
移載工程S2での移載または検査工程S6での検査は、作業者により行われてもよい。
塗装装置131は、浸漬による塗装を行うものであってよい。
待機ゾーンA5および検査ゾーンA6は、塗装ライン1には設けられておらず、塗装ライン1対して次工程のラインに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100・・・搬送設備
111・・・塗装用コンベヤ
113・・・搬器洗浄用コンベヤ
113a・・・搬入部
113b・・・搬出部
113c・・・待機部
114・・・乾燥用コンベヤ
115・・・待機用コンベヤ
116・・・検査用コンベヤ
117・・・搬器返送用コンベヤ
120・・・移載機
W ・・・自動車ボディ
W1 ・・・塗装済み自動車ボディ
W2 ・・・乾燥済み自動車ボディ
C ・・・搬器
C1 ・・・塗装用搬器
C2 ・・・乾燥用搬器
C3 ・・・洗浄済み搬器
Cb ・・・塗料付着搬器
S1 ・・・塗装工程
S3 ・・・搬器洗浄工程
S4 ・・・乾燥工程
S5 ・・・待機工程
S6 ・・・検査工程
S7 ・・・搬器返送工程


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装用搬器に搭載された状態のワークに塗装が行われる塗装工程において前記塗装用搬器を搬送する塗装用コンベヤと、前記塗装工程で塗装された前記ワークである塗装済みワークが乾燥用搬器に搭載された状態で前記塗装済みワークの塗料の乾燥が行われる乾燥工程において前記乾燥用搬器を搬送する乾燥用コンベヤとを備える、塗装ラインの搬送設備において、
前記塗装工程で塗料が付着した前記塗装用搬器である塗料付着搬器に付着している塗料を除去するために前記塗装済みワークが搭載されていない状態で前記塗料付着搬器の洗浄が行われる搬器洗浄工程において、前記塗料付着搬器を搬送し、そして洗浄が完了した前記塗料付着搬器である洗浄済み搬器を前記乾燥用コンベヤまで搬送する搬器洗浄用コンベヤを備え、
前記乾燥用搬器が前記洗浄済み搬器であることを特徴とする塗装ラインの搬送設備。
【請求項2】
前記搬器洗浄用コンベヤが、前記塗装用コンベヤから前記塗料付着搬器が搬入される搬入部と、前記乾燥用コンベヤに前記洗浄済み搬器が搬出される搬出部とを有し、
前記搬入部に位置する前記塗料付着搬器に搭載されている前記塗装済みワークを、前記搬出部に位置する前記洗浄済み搬器に移載する移載機を備えることを特徴とする請求項1に記載の塗装ラインの搬送設備。
【請求項3】
前記乾燥工程での乾燥が完了した前記塗装済みワークである乾燥済みワークを搬送する搬出用コンベヤと、前記搬出用コンベヤにおいて前記乾燥済みワークが前記塗装ラインの次工程のラインに移載された後の前記乾燥用搬器を、前記ワークが搭載されていない前記塗装用搬器として前記塗装用コンベヤに搬出する搬器返送用コンベヤとを備え、
前記塗装用コンベヤ、前記搬器洗浄用コンベヤ、前記乾燥用コンベヤ、前記搬出用コンベヤおよび前記搬器返送用コンベヤが、1つの無端コンベヤを構成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗装ラインの搬送設備。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−66811(P2013−66811A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205012(P2011−205012)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】