説明

塩基性悪臭物質の低減方法および包装物

【課題】本発明は、塩基性悪臭物質、特に家禽肉、畜肉、魚介類等の食品包装した際に発生する塩基性悪臭物質を簡易かつ効率的に低減できる方法を提供する。
【解決手段】本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、ポリグリコール酸と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする。また、本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、ポリグリコール酸を消臭成分として含有する消臭剤と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする。前記消臭剤の形態が、フィルム、ペレット、包装体、粉末、繊維または布地であることが好ましい。また、本発明の包装物は、包装体と内容物とから形成され、少なくともポリグリコール酸を含有する包装体内に、塩基性悪臭物質を発生する内容物を設置し、密封包装を行うことにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
塩基性悪臭物質の低減方法および包装物に関する。
【背景技術】
【0002】
においとは、味覚、嗅覚、神経等に大きな影響を及ぼす因子である。良いにおいであれば、リラックスしたり、食欲が増大したりする。逆に悪いにおい(以下「悪臭」とも記す。)であると、危険を感じたり、記憶力を衰退させたり、集中力を損なったり、不快感をもたらしたりする。一般的に、におい物質は非常に低濃度であっても鼻で感知できるレベルのにおいを発現するため、悪いにおいの対策が大きな問題となっている。
【0003】
悪いにおいの原因となる物質(以下「悪臭物質」とも記す。)としては、塩基性悪臭物質、中性悪臭物質および酸性悪臭物質が挙げられる。塩基性悪臭物質としては、屎尿、ペット、汗、靴下等から発生するアンモニア、生ゴミ、下水、釣りえさ等から発生するトリメチルアミン、メチルアミン、エチルアミンなどが挙げられる。中性物質としては、生ゴミ、糞便、下水等から発生するエチルメルカプタン、飲酒した者の呼気に含まれたり、たばこ等から発生するアセトアルデヒド、古米等から発生するヘキサナール、化学工場等から発生するキシレン、トルエンなどが挙げられる。酸性悪臭物質としては、糞便、下水、ペット等から発生する硫化水素、生ゴミ、下水、ペット等から発生するメチルメルカプタン、汗、靴下、ペット等から発生するイソ吉草酸、糞便、下水、ペット等から発生するスカトールなどが挙げられる。これらの中でも、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素およびメチルメルカプタンは4大悪臭物質といわれている。
【0004】
これらの悪臭物質を低減する方法としては、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、含硫黄化合物、アルデヒド類、低級脂肪酸類、アミン類等の中の少なくとも2種あるいは3種以上が入り混じった混合型悪臭を消臭することができる二液型消臭剤が記載されている。
【0005】
特許文献2には、ヒトおよび動物の排泄物の脱臭組成物であって、酸性剤と水溶性ポリマーとを含む脱臭組成物が記載されている。
特許文献3には、吸水性樹脂に、水に対する溶解度の小さいマレイン酸、コハク酸、フタル酸等のカルボン酸を添加した消臭性のある吸水性樹脂が記載されている。
【0006】
しかし、これらの方法は、消臭成分としていずれも低分子量の物質を用いたものであり、消臭成分として高分子量の物質を用いたもので、簡易かつ効率的に悪臭物質を低減できる方法は未だ開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−252543号公報
【特許文献2】特表2001−507970号公報
【特許文献3】特開平9−108317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、悪臭物質の中でも、特に塩基性悪臭物質を簡易かつ効率的に低減できる方法であり、消臭成分として高分子量の物質を用いた塩基性悪臭物質の低減方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩基性悪臭物質に、特定の高分子量の物質と水とを接触させることにより、塩基性悪臭物質を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、ポリグリコール酸と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする。
また、本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、ポリグリコール酸を消臭成分として含有する消臭剤と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする。前記消臭剤の形態は、フィルム、ペレット、包装体、粉末、繊維または布地であることが好ましい。
【0011】
本発明の包装物は、包装体と内容物とから形成され、少なくともポリグリコール酸を含有するフィルムからなる包装体内に、塩基性悪臭物質を発生する内容物を設置し、密封包装を行うことにより得られる。前記内容物は食品であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塩基性悪臭物質を簡易かつ効率的に低減することができる。また、ポリグリコール酸を含有するフィルムからなる包装体と内容物とから形成される包装物は、前記内容物から発生する塩基性悪臭物質を大幅に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1および比較例1〜2におけるアンモニア濃度の経時変化を示したグラフである。
【図2】図2は、実施例2および比較例3〜4におけるトリメチルアミン濃度の経時変化を示したグラフである。
【図3】図3は、実施例3および比較例5〜6におけるトリメチルアミン濃度の経時変化を示したグラフである。
【図4】図4は、実施例4および比較例7〜8におけるトリエチルアミン濃度の経時変化を示したグラフである。
【図5】図5は、比較例9〜11におけるトリエチルアミン濃度の経時変化を示したグラフである。
【図6】図6は、実施例5および比較例12〜13における内袋および外袋の構成を表した略図である。
【図7】図7は、実施例6および7におけるアンモニア濃度の経時変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の塩基性悪臭物質の低減方法について具体的に説明する。
本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、ポリグリコール酸と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、ポリグリコール酸を消臭成分として含有する消臭剤と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする。
消臭成分として高分子量の物質、すなわちポリグリコール酸を用いる本発明の塩基性悪臭物質の低減方法は、消臭成分として低分子量の物質を用いる方法に比べて、消臭成分の保存方法または使用方法等が簡易であり、また気体状の悪臭物質のように広範囲に漂う悪臭物質を長期間持続して効率的に低減することが可能である。
【0016】
(ポリグリコール酸)
本発明で使用するポリグリコール酸は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する単独重合体または共重合体である。
【0017】
【化1】

ポリグリコール酸が単独重合体の場合、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有割合は100質量%となる。
【0018】
また、ポリグリコール酸が共重合体の場合、上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有割合は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。ポリグリコール酸中の上記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量が低すぎると、結晶性が低下する傾向があり、また、ポリグリコール酸から形成される包装体のバリアー性が損なわれたり、安定性が損なわれたりする。
【0019】
本発明で使用するポリグリコール酸は、通常、融点を有する結晶性ポリマーである。このようなポリグリコール酸は、例えば、グリコール酸、グリコール酸アルキルエステル、またはグリコール酸塩を重縮合する方法により製造することができる。また、ポリグリコール酸は、グリコリドの開環重合によっても製造することができる。
【0020】
このような重縮合または開環重合は、公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、通常、触媒の存在下で実施する。触媒の種類は、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化スズ(例えば、二塩化スズ、四塩化スズ)、有機カルボン酸スズ(例えば、オクタン酸スズ、オクチル酸スズ)などのスズ系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモン、酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物;などを挙げることができる。
【0021】
ポリグリコール酸としてグリコール酸の共重合体を製造するには、グリコリドまたはグリコール酸などのモノマーと各種コモノマーとを共重合させる。コモノマーとしては、例えば、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン)、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサンなどの環状モノマー;乳酸、3−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸またはそのアルキルエステル;エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールと、こはく酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸またはそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物を挙げることができる。これらのコモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0022】
これらのコモノマーの中でも、共重合させ易く、物性に優れた共重合体が得られ易い点で、ラクチド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートなどの環状モノマー;乳酸などのヒドロキシカルボン酸などが好ましい。ポリグリコール酸の原料としてグリコリドを用いる場合には、コモノマーとして、ラクチド、カプロラクトン、トリメチレンカーボネートなどの環状モノマーを使用することが好ましい。グリコリドと環状モノマーとは、開環共重合させることが容易である。ポリグリコール酸の共重合体の好ましい例としては、グリコリドとラクチドとの共重合体、グリコリドとカプロラクトンとの共重合体などが挙げられる。ラクチドとしては、入手の容易性の観点から、L−ラクチドが好ましい。カプロラクトンとしては、ε−カプロラクトンが好ましい。
【0023】
コモノマーは、全原料中、好ましくは40質量%以下である。コモノマーの共重合割合が大きくなると、ポリグリコール酸の結晶性が損なわれ易くなり、また、ポリグリコール酸から形成される包装体のバリアー性が損なわれたり、安定性が損なわれたりする。また、ポリグリコール酸による塩基性悪臭物質の低減効果をより発揮させるためには、ポリグリコール酸の結晶性を低くすることが好ましい。一方、ポリグリコール酸の消臭形態としてフィルム、ペレット、包装体または粉末の形状や各消臭形態に要求される物性を維持するためには結晶性を高くすることが好ましい場合がある。特にフィルムや包装体のバリアー性の維持、形状維持のためには結晶性を高くすることが好ましい。
【0024】
ポリグリコール酸の重合装置としては、押出機型装置、パドル翼を持った縦型装置、ヘリカルリボン翼を持った縦型装置、ニーダー型の横型装置、アンプル型装置、環状型装置などの様々な装置の中から、適宜選択することができる。
【0025】
重合温度は、実質的な重合開始温度である120〜300℃の範囲内の温度で、目的に応じて設定することができる。重合温度は、好ましくは130〜250℃、より好ましくは140〜220℃、特に好ましくは150〜200℃である。重合温度が高くなりすぎると、生成重合体が熱分解を受け易くなる。重合時間は、3分間〜20時間、好ましくは5分間〜18時間の範囲内である。重合時間が短すぎると、重合が充分に進行し難く、長すぎると、生成重合体が着色し易くなる。
【0026】
本発明で使用するポリグリコール酸の重量平均分子量(Mw)は、通常30,000〜800,000であり、好ましくは50,000〜500,000である。本発明で使用するポリグリコール酸の数平均分子量(Mn)は、通常10,000〜800,000であり、好ましくは16,000〜500,000である。なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定でポリメチルメタクリレート換算した値である。
【0027】
本発明で使用するポリグリコール酸は、融点Tmより20℃高い温度(Tm+20℃)及び剪断速度122sec-1で測定した溶融粘度が、通常100〜10,000Pa・sであり、好ましくは200〜8,000Pa・sであり、より好ましくは300〜4,000Pa・sである。
【0028】
このようなポリグリコール酸は、水とともに塩基性悪臭物質に接触させると、該塩基性悪臭物質を効率的に低減することができる。塩基性悪臭物質を低減させるメカニズムは、明らかではないが、本発明者らは以下のように推定している。まず、ポリグリコール酸の一部が水および塩基性悪臭物質の作用により加水分解して加水分解物を生成する。次に生成した加水分解物が塩基性悪臭物質と化学的中和反応を起こし、結果として塩基性悪臭物質が低減するのではないかと推定している。
【0029】
ポリグリコール酸は、合成時に、その末端が水酸基及び/またはカルボキシル基となるため、加水分解性を示し、かつ、溶融加工中に着色し易い。そこで、通常、ポリグリコール酸に非酸形成性のOH基封止剤、及び/またはカルボキシル基封止剤を配合することにより、耐水性や加水分解性を改善し、着色を抑制している。
【0030】
しかしながら、本発明で使用するポリグリコール酸は、上述のとおり加水分解性を示すことが望まれるため、非酸形成性のOH基封止剤およびカルボキシル基封止剤を配合しない方が好ましい。一方、ポリグリコール酸の消臭形態としてフィルム、ペレット、包装体または粉末の形状や各消臭形態に要求される物性を維持するため、特にフィルムや包装体のバリアー性の維持、形状維持のために、ポリグリコール酸による塩基性悪臭物質の低減能力を阻害しない範囲で、非酸形成性のOH基封止剤、及び/またはカルボキシル基封止剤を配合してもよい。
【0031】
非酸形成性のOH基封止剤における「非酸形成性」とは、ポリグリコール酸中に残存するOH基と結合してこれを封止した際にカルボキシル基を生成しないことを意味している。非酸形成性のOH基封止剤としては、ジケテン化合物、イソシアネート類などが用いられる。これらのOH基封止剤の中でも、反応性の観点から、ジケテン化合物が好ましい。OH基末端封止剤は、ポリグリコール酸100質量部に対して、通常0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部の割合で用いられる。
【0032】
カルボキシル基封止剤としては、カルボキシル基末端封止作用を有し、脂肪族ポリエステルの耐水性向上剤として知られている化合物を用いることができる。カルボキシル基封止剤の具体例としては、例えば、N,N−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物;2,2′−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2−フェニル−2−オキサゾリン、スチレン・イソプロペニル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン化合物;2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジンなどのオキサジン化合物;N−グリシジルフタルイミド、シクロへキセンオキシド、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどのエポキシ化合物;などが挙げられる。
【0033】
これらのカルボキシル基封止剤の中でも、カルボジイミド化合物が好ましく、芳香族、脂環族、及び脂肪族のいずれのカルボジイミド化合物も用いられるが、とりわけ芳香族カルボジイミド化合物が好ましく、特に純度の高いものが耐水安定化効果を与える。カルボキシル基封止剤は、ポリグリコール酸100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜2.5質量部の割合で用いられる。
【0034】
(水)
本発明において、水の形態としては、液体状であってもよく、気体状(水蒸気)であってもよい。また、塩基性悪臭物質を含む内容物に含まれる水分であってもよい。
【0035】
(塩基性悪臭物質)
前記塩基性悪臭物質は、アンモニウム化合物およびアミン類からなる群より選択される物質であることが好ましい。前記塩基性悪臭物質の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、メチルアミンまたはエチルアミン等が挙げられる。
【0036】
(各成分の接触態様)
本発明の塩基性悪臭物質の低減方法とは、ポリグリコール酸と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させる方法である。
【0037】
各成分を接触させる態様としては、塩基性悪臭物質を低減できる態様であれば特に限定されないが、たとえば(i)固体状のポリグリコール酸と、塩基性悪臭物質を含む水溶液とを接触させる態様、(ii)固体状のポリグリコール酸と、気体状または液体状の塩基性悪臭物質とを、水蒸気を含む雰囲気下で接触させる態様、(iii)固体状のポリグリコール酸と、液体状の水とを接触させたものに、気体状または液体状の塩基性悪臭物質を接触させる態様、(iv)固体状のポリグリコール酸と、塩基性悪臭物質を透過する材料などを介して塩基性悪臭物質を含む水溶液を接触させる態様、(v)固体状のポリグリコール酸と、液体状の水とを接触させたものに、塩基性悪臭物質を透過する材料、例えばシーラントなどを介して気体状または液体状の塩基性悪臭物質を接触させる態様などが挙げられる。
【0038】
各成分の接触温度は、水が凍らない温度であれば特に制限されず、0〜140℃であることが好ましく、0〜100℃であることがより好ましく、0〜60℃であることが特に好ましい。各成分の接触温度が前記範囲内であると、塩基性悪臭物質を効率的に低減することができる。
【0039】
ポリグリコール酸の量は、塩基性悪臭物質を低減できる量であれば特に限定されないが、ポリグリコール酸における一般式(1)で表される繰り返し単位が、塩基性悪臭物質1molに対し、好ましくは10〜10,000molであり、より好ましくは10〜1,000molであり、さらに好ましくは10〜100molである。ポリグリコール酸の量が前記範囲内であれば、塩基性悪臭物質を効率的に低減することができる。
水の量は、塩基性悪臭物質を低減できる量であれば特に限定されない。
【0040】
(消臭剤)
本発明に用いる消臭剤は、上述したポリグリコール酸を消臭成分として含有している。また、前記消臭剤の形態としては、フィルム、ペレット、包装体、粉末、繊維または布地であることが好ましい。前記包装体はポリグリコール酸を含有するフィルムから得られるものが好ましい。
【0041】
前記消臭剤の形態が、フィルム、ペレットまたは包装体の場合、単層であってもよく、多層であってもよい。以下、前記消臭剤の形態が、粉末または単層のフィルム、単層のペレットもしくは単層の包装体の場合について説明する。
【0042】
粉末または単層のフィルム、単層のペレットもしくは単層の包装体の場合の消臭剤には、上述したポリグリコール酸を70質量%以上含有していることが好ましく、75質量%以上含有していることがより好ましく、80質量%以上含有していることがさらに好ましい。
【0043】
また、当該消臭剤には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、各種添加剤を配合することができる。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンなどのポリ芳香族ビニル樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、他の脂肪族ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0044】
他の熱可塑性樹脂を配合割合は、ポリグリコール酸100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。他の熱可塑性樹脂を前記範囲内で配合すると、積層する基材との密着性を向上させたり、成型加工性を向上させる点で好ましい。
【0045】
熱安定剤としては、重金属不活性化剤、ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステル、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物、金属炭酸塩などが好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0046】
ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルは、特異的にポリグリコール酸の溶融安定性を向上させる作用を示す。ペンタエリスリトール骨格構造を有するリン酸エステルの具体例としては、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(モノノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−オクタデシルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0047】
リン系化合物の中では、ポリグリコール酸の溶融安定性を阻害する作用を示さない化合物であって、少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つの長鎖アルキルエステル基とを持つリン化合物が好ましい。長鎖アルキルの炭素原子数は、8〜24個の範囲が好ましい。このようなリン化合物の具体例としては、モノまたはジ−ステアリルアシッドホスフェートが挙げられる。
【0048】
重金属不活性剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−N−1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル−ベンズアミド、ビス〔2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジン〕ドデカン二酸などが挙げられる。金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどが挙げられる。
【0049】
熱安定剤の配合割合は、ポリグリコール酸100質量部に対して、通常0.001〜5質量部、好ましくは0.003〜3質量部、より好ましくは0.005〜1質量部である。
【0050】
添加剤としては、可塑剤、無機フィラー、触媒失活剤、熱線吸収剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防湿剤、防水剤、撥水剤、滑剤、離型剤、カップリング剤、顔料、染料などが挙げられる。これらの各種添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲内で、極少量配合することが好ましい。これらの添加剤の多くは、それぞれの機能や用途に応じて、ポリグリコール酸100質量部に対して、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下の割合で配合される。
【0051】
消臭剤の形態が単層のフィルムの場合、該フィルムの製造方法としては、特に制限はなく、種々の公知のフィルムの製造方法を用いることができる。例えば、上記ポリグリコール酸または該ポリグリコール酸と、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、各種添加剤とを、押出機を用いて溶融押出する方法を挙げることができる。さらに溶融押出後、延伸してもよい。延伸成形の製造方法としては、一軸延伸法、二軸延伸法が挙げられる。二軸延伸法としては、テンター法、チューブ法が挙げられる。特に、二軸延伸フィルムを製造する場合には、延伸ロールとテンター延伸機とを組み合わせた方式が好ましい。ロール延伸とテンター延伸の組み合わせの順序は、任意である。延伸の順序も、縦方向(シートが送り出される機械方向;MD)及び横方向(機械方向とは横断する方向;TD)のいずれが先でもよい。一次延伸工程と二次延伸工程を連続的に行ってもよいが、所望により、オフラインで行ってもよい。
【0052】
消臭剤の形態が単層のペレットの場合、該ペレット製造方法としては、特に制限はなく、種々の公知のペレットの製造方法を用いることができ、例えば、上述したポリグリコール酸と、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、各種添加剤を、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサーなどで混合し、通常の単軸押出機あるいは2軸押出機、ブラベンダー又はロールを使用して、170〜300℃、好ましくは190〜250℃で溶融混練し、ペレットを得る方法が挙げられる。
【0053】
消臭剤の形態が包装体の場合の製造方法も特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明に用いる消臭剤の形態が多層のフィルムの場合は、ポリグリコール酸を含有する層を少なくとも1層以上含んでいればよく、他の層については特に限定されない。
【0054】
ポリグリコール酸を含有する層は、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂、熱安定剤、各種添加剤を配合することができ、これらの配合する化合物の種類および割合については、上述した単層の場合と同様である。
【0055】
他の層としては、例えば、ポリグリコール酸以外の熱可塑性樹脂を含有する層またはシーラント樹脂を含有する層が挙げられる。
他の層に含有する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂を挙げることができる。これらの中でも、透明性、表面硬度、印刷性、耐熱性等の表面特性に優れるという観点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂が特に好ましい。
【0056】
また、ポリグリコール酸の延伸性、強度等を補うことができるという観点からは、ポリアミド系樹脂が好ましい。このようなポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン69、ナイロン610等の脂肪族ポリアミド重合体;ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/ナイロン69、ナイロン6/ナイロン610、ナイロン6/ナイロン12等の脂肪族ポリアミド共重合体を挙げることができる。これらの中でも、ナイロン6/ナイロン66やナイロン6/ナイロン12が成形加工性の点で特に好ましい。これらの脂肪族ポリアミド(共)重合体は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0057】
また、これらのポリアミド系樹脂は、融点が160〜210℃となるものが好ましく用いられる。さらに、これらのポリアミド系樹脂には、マレイン酸等の酸またはこれらの無水物によって変成されたオレフィン系樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びそのケン化物等の熱可塑性樹脂を30質量%程度まで含有させることができる。
【0058】
その他の層に含有するシーラント樹脂としては、90〜250℃の範囲において適当なシール強度を有するものを挙げることができる。このようなシーラント樹脂としては、例えば、ポリエチレンの単独重合体もしくは共重合体、ポリプロピレンの単独重合体もしくは共重合体、エチレン系共重合体、及びアイオノマーを挙げることができる。これらのシーラント樹脂は、1種種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0059】
また、多層フィルムの場合、通常、層間剥離強度を高める目的で、各層間に接着剤層を介在させることができる。接着剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体若しくは変性樹脂、セルロース系樹脂等を媒体の主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0060】
多層フィルムの場合の構成としては、ポリグリコール酸を含有する層を「PGA」と表記したとき、例えば、PGA/樹脂層、樹脂層/PGA/樹脂層、PGA/樹脂層/PGA/樹脂層、樹脂層/PGA/樹脂層/PGA/樹脂層、PGA/紙、紙/PGA/紙、紙/PGA/金属箔、樹脂層/PGA/紙、PGA/金属箔、樹脂層/PGA/金属箔、PGA/樹脂層/金属箔、PGA/金属箔/樹脂層などを挙げることができる。
【0061】
多層フィルムの場合の「PGA」の層厚みは、0.1〜50μmであることが好ましく、0.5〜30μmであることがより好ましく、1〜20μmであることがさらに好ましい。
【0062】
多層フィルムの作製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
前記包装体は、このようなフィルムから得られる包装体であってもよい。このような多層フィルムから得られる包装体の製造方法については、特に制限はなく、例えば自動充填包装機で、フィルムを筒状に成形した後、該フィルムが折り重なる部分を熱風、又はシールバーによりヒートシールし、1〜2mm程度のシール線を1本ないし2本により封筒貼りシールして製造する方法が挙げられる。
【0063】
消臭剤の形態が繊維の場合の製造方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法により繊維を得る方法などが挙げられる。布地は、前記繊維から公知の方法で得ることができる。
【0064】
このような各形態の消臭剤が、水とともに塩基性悪臭物質に接触すると、該塩基性悪臭物質を効率的に低減することができる。
本発明の塩基性悪臭物質の低減方法の具体例としては、(I)上述のような包装体で、塩基性悪臭物質を発生し、かつ水分を含む内容物を包装する方法、(II)上述のような包装体で、塩基性悪臭物質を発生する内容物を包装し、包装体内に水または水蒸気を含有させる方法、(III)上述のような包装体で塩基性悪臭物質を発生する内容物を高湿度下で包装する方法、(IV)塩基性悪臭物質を発生する雰囲気下において、上述のようなポリグリコール酸またはポリグリコール酸を含有する消臭剤を水または水蒸気に接触させる方法などが挙げられる。
【0065】
上記(IV)の方法の具体例としては、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸を含有する消臭剤を含む、下着類、オムツ、携帯用トイレ、犬猫等ペットのトイレ用品により、し尿や汗など水分を含む代謝物から発生する塩基性悪臭物質を低減する方法が挙げられる。また、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸を含有する消臭剤を含む、釣魚用クーラーボックスなどの鮮魚を保管する容器により、トリメチルアミンなど鮮魚の初期腐敗によって生じる塩基性悪臭物質を低減する方法が挙げられる。
【0066】
前記下着類、オムツ、携帯用トイレ、犬猫等ペットのトイレ用品、釣魚用クーラーボックスなどの鮮魚を保管する容器等は、これらの原料にポリグリコール酸を予め混合させて含んでいてもよく、これらを成形後、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸を含有する消臭剤を、別途含侵等の方法により含ませてもよい。
【0067】
その他の具体例としては、室内空間に存在する塩基性悪臭物質を低減するために、通気性の高い容器に、ポリグリコール酸またはポリグリコール酸を含有する消臭剤と水とを加えたものを室内等に配置してもよい。
【0068】
(包装物)
本発明の包装物は、包装体と内容物とから形成され、少なくともポリグリコール酸を含有する包装体内に、塩基性悪臭物質を発生する内容物を設置し、密封包装を行うことにより得られる。このような包装物は、内容物から発生した塩基性悪臭物質を簡便に低減することができる。
【0069】
ポリグリコール酸を含有する包装体としては、上述したようなフィルムから得られる包装体を好適に用いることができる。該フィルムは、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。多層フィルムの場合は、ポリグリコール酸を含有する層を1層以上含む。フィルムの作製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。該フィルムから得られる包装体の製造方法も、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0070】
また、包装体の形態としてはボトルやカップなどのような形態でもよい。ボトルやカップは、単層ボトルや単層カップであってもよく、多層ボトルや多層カップであってもよい。多層ボトルや多層カップの場合は、ポリグリコール酸を含有する層を1層以上含む。ボトルやカップの作製方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。該ボトルやカップからなる包装体の製造方法も、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0071】
塩基性悪臭物質は、上述したとおりである。
前記内容物としては、食品、オムツ、生ごみ、使用済みの寝巻き・シーツ・下着類などが挙げられるが、中でも食品が好ましい。
【0072】
塩基性悪臭物質を発生する食品としては、通常、家禽肉、畜肉、魚介類などが挙げられる。塩基性悪臭物質を低減させるために、包装体内に水分を含有させる必要があるが、上述した食品中に通常水分が含まれているので、積極的に水分を添加する必要はない。内容物が水分を含まない場合は、包装体内に水分を添加する必要がある。
【実施例】
【0073】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0074】
〔製造例1〕
本実施例において、消臭剤として使用したポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムは、以下のように製造した。
【0075】
ポリグリコール酸(PGA)としては、グリコール酸の単独重合体を用いた。当該ポリグリコール酸(PGA)は、融点Tmより20℃高い温度(Tm+20℃)及び剪断速度122sec-1で測定した溶融粘度が1,600Pa・sであった。当該ポリグリコール酸(PGA)は、融点(Tm)が224℃であり、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いたGPCによる数平均分子量(Mn)が55,000であり、重量平均分子量が104,000であった。
【0076】
前記ポリグリコール酸(PGA)に、熱安定剤として、(株)ADEKA製アデカスタブAX−71(リン酸モノステアリル50モル%とリン酸ジステアリル50モル%)を300ppmの割合で含有させ、ペレットに成形した。該ペレットから延伸機を用いてポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルム(厚さ:15μm)を作製した。
【0077】
〔実施例1〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムの試験片1枚(縦;10cm、横;10cm、厚さ;15μm、重さ;0.18g)と、28%アンモニア水溶液14μlとを入れて密封し、25℃で保存した。経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってアンモニア(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表1および図1に示す。
なお、ガスクロマトグラフィーによるアンモニア濃度の測定条件は下記の通りとした。
【0078】
<測定条件>
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC-2014 検出器TCD
使用カラム:Chromosorb 103 60/80 3φ×3m ガラスカラム
流量:30ml/min 電流:120A
カラム温度:80℃
インジェクション温度:180℃
注入量:ヘッドスペースガス1ml
【0079】
〔比較例1〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムを用いず、30mlのバイアル瓶に、28%アンモニア溶液14μlを入れて密封し、25℃で保存した。実施例1と同様に、経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってアンモニア(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。当該測定をブランクとした。結果を表1および図1に示す。
【0080】
〔比較例2〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムに換えて、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)単層フィルム(株式会社クラレ社製:エバールEF-CR レトルト用フィルム)を用いた以外は、実施例1と同様にしてアンモニア(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表1および図1に示す。
【0081】
【表1】

表1の結果からポリグリコール酸(PGA)を用いた場合(実施例1、図1ではPGA)は、ポリグリコール酸(PGA)を用いなかった場合(比較例1、図1ではブランク)またはエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた場合(比較例2、図1ではEVOH)に比べてバイアル瓶内のアンモニア(塩基性悪臭物質)の濃度を効率的に低減させる効果があることがわかった。
【0082】
〔実施例2〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムの試験片1枚(縦;10cm、横;10cm、厚さ;15μm、重さ;0.18g)と、30%トリメチルアミン水溶液13μlとを入れて密封し、25℃で保存した。経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表2および図2に示す。
なお、ガスクロマトグラフィーによるトリメチルアミン濃度の測定条件は下記の通りとした。
【0083】
<測定条件>
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC-2010 検出器FID
使用カラム:CBP10-M25-025 キャピラリーカラム
流量:30ml/min
カラム温度:80℃
インジェクション温度:150℃
注入量:ヘッドスペースガス0.5ml
【0084】
〔比較例3〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムを用いず、30mlのバイアル瓶に、30%トリメチルアミン水溶液13μlのみを入れて密封し、25℃で保存した。実施例2と同様に、経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。当該測定をブランクとした。結果を表2および図2に示す。
【0085】
〔比較例4〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムに換えて、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)単層フィルム(株式会社クラレ社製:エバールEF-CR レトルト用フィルム)を用いた以外は、実施例2と同様にしてトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表2および図2に示す。
【0086】
【表2】

〔実施例3〕
保存温度を25℃から37℃に換えた以外は、実施例2と同様にしてトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表3および図3に示す。
【0087】
〔比較例5〕
保存温度を25℃から37℃に換えた以外は、比較例3と同様にしてトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表3および図3に示す。
【0088】
〔比較例6〕
保存温度を25℃から37℃に換えた以外は、比較例4と同様にしてトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表3および図3に示す。
【0089】
【表3】

表2および表3の結果からポリグリコール酸(PGA)を用いた場合(実施例2および実施例3、図2および図3ではPGA)は、ポリグリコール酸(PGA)を用いなかった場合(比較例3および比較例5、図2および図3ではブランク)またはエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた場合(比較例4および6、図2および図3ではEVOH)に比べてバイアル瓶内のトリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を効率的に低減させる効果があることがわかった。また、保存温度を25℃から37℃に上げると、トリメチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度の低減速度が速くなることがわかった。
【0090】
〔実施例4〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムの試験片1枚(縦;10cm、横;10cm、厚さ;15μm、重さ;0.18g)と、蒸留水0.5mlと、トリエチルアミン8μlとを入れて密封し、37℃で保存した(加湿条件)。経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表4および図4に示す。
なお、ガスクロマトグラフィーによるトリエチルアミン濃度の測定条件は下記の通りとした。
【0091】
<測定条件>
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC-2014 検出器FID
使用カラム:PEG-20M 20%+Chromosoeb WAW 80/100 3φ×3m ガラスカラム
流量:30ml/min
カラム温度:80℃
インジェクション温度:150℃
注入量:ヘッドスペースガス0.5ml
【0092】
〔比較例7〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムを用いず、30mlのバイアル瓶に、蒸留水0.5mlと、トリエチルアミン8μlとを入れて密封し、37℃で保存した(加湿条件)。実施例4と同様に、経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。当該測定をブランクとした。結果を表4および図4に示す。
【0093】
〔比較例8〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムに換えて、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)単層フィルム(株式会社クラレ社製:エバールEF-CR レトルト用フィルム)を用いた以外は、実施例4と同様にしてトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表4および図4に示す。
【0094】
【表4】

表4の結果から、ポリグリコール酸(PGA)を用いた場合(実施例4、図4ではPGA)は、ポリグリコール酸(PGA)を用いなかった場合(比較例7、図4ではブランク)またはエチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた場合(比較例8、図4ではEVOH)に比べてバイアル瓶内のトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を効率的に低減させる効果があることがわかった。
【0095】
〔比較例9〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムの試験片1枚(縦;10cm、横;10cm、厚さ;15μm、重さ;0.18g)と、トリエチルアミン4μlとを入れて密封し、37℃で保存した(ドライ条件)。経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表5および図5に示す。
なお、ガスクロマトグラフィーによるトリエチルアミン濃度の測定条件は下記の通りとした。
【0096】
<測定条件>
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC-2014 検出器FID
使用カラム:PEG-20M 20%+Chromosoeb WAW 80/100 3φ×3m ガラスカラム
流量:30ml/min
カラム温度:80℃
インジェクション温度:150℃
注入量:ヘッドスペースガス0.5ml
【0097】
〔比較例10〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムを用いず、30mlのバイアル瓶に、トリエチルアミン4μlを入れて密封し、37℃で保存した(ドライ条件)。比較例9と同様に、経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。当該測定をブランクとした。結果を表5および図5に示す。
【0098】
〔比較例11〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムに換えて、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)単層フィルム(株式会社クラレ社製:エバールEF-CR レトルト用フィルム)を用いた以外は、比較例9と同様にしてトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を表5および図5に示す。
【0099】
【表5】

表4および表5の結果から、加湿条件とドライ条件とを比較すると、ドライ条件ではポリグリコール酸(PGA)を用いた場合(比較例9、図5ではPGA)、ポリグリコール酸(PGA)を用いなかった場合(比較例10、図5ではブランク)、エチレン・ビニルアルコール共重合体を用いた場合(比較例11、図5ではEVOH)、いずれの場合も差異がなく、ポリグリコール酸(PGA)を用いた場合によるトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の低減効果は認められなかった。しかし、加湿条件ではポリグリコール酸(PGA)を用いた場合、速やかにトリエチルアミン(塩基性悪臭物質)の濃度を低減させた。このことより、ポリグリコール酸(PGA)を用いる塩基性悪臭物質の低減には水の存在が不可欠であることがわかった。
【0100】
〔実施例5〕
包装物Aを以下のように製造し、アンモニア(塩基性悪臭物質)の低減効果を評価した。
【0101】
ポリグリコール酸(PGA)としては、グリコール酸の単独重合体を用いた。当該ポリグリコール酸(PGA)は、270℃及び剪断速度122sec-1で測定した溶融粘度が1150Pa・sであった。当該ポリグリコール酸(PGA)は、融点Tmが250℃であり、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒を用いたGPCによる数平均分子量は110,000であり、重量平均分子量は240,000であった。
【0102】
前記ポリグリコール酸(PGA)から形成したペレット(以下「PGA」とも記す。)と、(株)ベルボリダクツ社製ベルペットIFG−8L(以下「PET」とも記す。)と、東レ(株)製アミランCM6241FS(以下「Ny6−66」とも記す。)と、出光石油化学製モアテック0238CN(以下「LLDPE」とも記す。)とから、以下のような構成の多層フィルムA(以下「VS−20(PGA構成)」とも記す。)を作製した。なお、各層間の接着剤としては、三菱化学株式会社製のモディック F563を用いた。
【0103】
(多層フィルムAの構成)
VS−20(PGA構成):PET//Ny6−66//PGA//LLDPE
上記多層フィルムAを用いて、内寸11cm×11cmの三方シールを施した包装体Aを作製した。ただし、上記多層フィルムAにおけるPET側を、包装体Aの外側とした。
【0104】
前記包装体Aに内包させる内容物として、28%アンモニア水100μlを含浸させた6cm×6cmのガーゼを用いた。該ガーゼをのせたプラスチックトレイ(9cmφの丸形トレイ)を前記包装体A内に設置して密封包装を行うことにより、包装物A(内袋)を得た。
【0105】
次に、アルミニウム(以下「Al」とも記す。)と、PETと、(未延伸ポリプロピレン)(以下「CPP」とも記す。)とから、以下のような構成のAlパウチを作製した。なお、各層間の接着剤としては、三井化学ポリウレタン(株)製のタケラックA-620を用いた。硬化剤としては、三井化学ポリウレタン(株)製のタケネートA-65を用いた。
【0106】
(Alパウチの構成)
Alパウチ:PET//Al//CPP
上記Alパウチを用いて、内寸12cm×12cmの三方シールを施した包装体D(外袋)を作製した。ただし、上記AlパウチにおけるPET側を、包装体Dの外側とした。この包装体D(外袋)内に、前記包装物A(内袋)を内包した(図6参照)。室温(25℃)で4日間放置し、前記包装物A(内袋)内のアンモニア濃度、および前記包装物A(内袋)外であって前記包装体D(外袋)内のアンモニア濃度をガスクロマトグラフィーで測定した。これらのアンモニア濃度からアンモニア残存量を算出した。結果を表6に示す。
【0107】
なお、アンモニア残存量の算出方法は、以下のとおりである。
まず、30mlのバイアル瓶に28%アンモニア水を2.8μLと28μLをそれぞれ入れ、130℃の高温槽で3分加熱した。加熱後、バイアル瓶内のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってアンモニア濃度を測定した。この結果を利用して検量線を作成し、その結果からアンモニア残存量を算出した。
【0108】
〔比較例12〕
包装物Aを、以下に示す包装物Bに換えた以外は、実施例5と同様にして、アンモニア(塩基性悪臭物質)の低減効果を評価した。結果を表6に示す。
【0109】
前記包装物Bは、以下のように製造した。
日本合成(株)社製ソアノールH4815(以下「EVOH」とも記す。)と、PETと、Ny6−66と、LLDPEとから、以下のような構成の多層フィルムB(以下「VS−20(EVOH構成)」とも記す。)を作製した。なお、各層間の接着剤としては、三菱化学 株式会社製のモディック F563を用いた。
【0110】
(多層フィルムBの構成)
VS−20(EVOH構成):PET//Ny6−66//EVOH//LLDPE
上記多層フィルムBを用いて、内寸11cm×11cmの三方シールを施した包装体Bを作製した。ただし、上記多層フィルムBにおけるPET側を、包装体Bの外側とした。
【0111】
前記包装体Bに内包させる内容物として、28%アンモニア水100μlを含浸させた6cm×6cmのガーゼを用いた。該ガーゼをのせたプラスチックトレイ(9cmφの丸形トレイ)を前記包装体B内に設置して密封包装を行うことにより、包装物B(内袋)を得た。
【0112】
〔比較例13〕
包装物Aを、以下に示す包装物Cに換えた以外は、実施例5と同様にしてアンモニア(塩基性悪臭物質)の低減効果を評価した。結果を表6に示す。
【0113】
前記包装物Cは、以下のように製造した。
アルミニウム(以下「Al」とも記す。)と、PETと、未延伸ポリプロピレン(以下「CPP」とも記す。)とから、以下のような構成の多層フィルムC(以下「Alパウチ」とも記す。)を作製した。なお、各層間の接着剤としては、三井化学ポリウレタン(株)製のタケラックA-620を用いた。硬化剤としては、三井化学ポリウレタン(株)製のタケネートA-65を用いた。
【0114】
(多層フィルムCの構成)
Alパウチ:PET//Al//CPP
上記多層フィルムCを用いて、内寸11cm×11cmの三方シールを施した包装体Cを作製した。ただし、上記多層フィルムCにおけるPET側を、包装体Cの外側とした。
【0115】
前記包装体Cに内包させる内容物として、28%アンモニア水100μlを含浸させた6cm×6cmのガーゼを用いた。該ガーゼをのせたプラスチックトレイ(9cmφの丸形トレイ)を前記包装体C内に設置して密封包装を行うことにより、包装物C(内袋)を得た。
【0116】
【表6】

表6の結果から、VS−20(EVOH構成)の場合では、包装物Bの内外でアンモニアが検出されたが、VS−20(PGA構成)の場合では、包装物Aの内外ともアンモニアが検出されなかったことがわかった。
【0117】
また、Alパウチを用いた包装物Cの内部のみアンモニアが検出され、外部にはアンモニアが検出されなかったことから、Alパウチを用いた外袋からのアンモニアのリーク(漏れ)はなかったと考えられる。したがって、VS−20(PGA構成)の場合では、アンモニア残存量は、多層フィルムAにより低減したと考えるのが妥当である。
【0118】
VS−20(EVOH構成)の場合では、包装物Bの内外ともアンモニアが検出されていることから、多層フィルムBはアンモニア残存量の低減作用がなかったと考えられる。
VS−20(PGA構成)の場合では、多層フィルムAのうちポリグリコール酸(PGA)層によりアンモニア残存量が低減し、ポリグリコール酸(PGA)のアンモニア(塩基性悪臭物質)低減効果が発揮されたと考えられる。
【0119】
〔実施例6〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムの試験片1枚(縦;10cm、横;10cm、厚さ;15μm、重さ;0.18g)と、28%アンモニア水溶液14μlとを入れて密封し、25℃で保存した。経時的にバイアル瓶中のヘッドスペースガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーを使ってアンモニア(塩基性悪臭物質)の濃度を測定した。結果を図7に示す。また、実施例5と同様の方法でアンモニア残存量を算出した。結果を表7に示す。
なお、ガスクロマトグラフィーによるアンモニア濃度の測定条件は下記の通りとした。
【0120】
<測定条件>
ガスクロマトグラフィー:島津製作所製GC-2014 検出器TCD
使用カラム:Chromosorb 103 60/80 3φ×3m ガラスカラム
流量:30ml/min 電流:120A
カラム温度:80℃
インジェクション温度:180℃
注入量:ヘッドスペースガス1ml
【0121】
〔実施例7〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムを、カルボジイミド(以下「CDI」とも記す。)を添加したポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムに変更した以外は、実施例6と同様にして、アンモニア(塩基性悪臭物質)の低減効果を評価した。結果を表7および図7に示す。
【0122】
【表7】

この結果からCDIを添加しないポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムの方がより速やかにアンモニア濃度を低減する効果を発揮したが、CDIを添加したポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムでもアンモニア濃度を低減する効果を有することがわかった。このことより、どちらの場合でも効果を有するが、アンモニア濃度を低減する速度に若干の差が出ることがわかった。
【0123】
加水分解性を抑制するためにCDIを添加したフィルムの方が、CDIを添加しないフィルムよりもアンモニア濃度を低減する速度が遅いことから、先のメカニズム推定のように、塩基性悪臭物質の低減にはフィルムの加水分解により生じる分解生成物の存在が大きく関与していることが示唆された。
【0124】
〔ポリグリコール酸(PGA)の分子量変化の確認〕
〔確認実験1〕
ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムについて下記前処理を行って、GPCによる分子量を測定した。結果を表8に示す。
【0125】
(前処理)
試料5mgにジメチルスルホキシド200μlを添加し、160℃のオイルバス中で2分作用させ、試料を溶解した。次に、流水中で冷却し、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を5ml入れて溶解し、試料溶液をろ過した。
【0126】
〔確認実験2〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムと、28%アンモニア水溶液14μlとを入れて密封し、25℃で保存した。1時間保存後、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムについて確認実験1と同様の前処理を行って、GPCによる分子量を測定した。結果を表8に示す。
【0127】
〔確認実験3〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムと、30%トリメチルアミン水溶液13μlとを入れて密封し、37℃で保存した。3日間保存後、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムについて確認実験1と同様の前処理を行って、GPCによる分子量を測定した。結果を表8に示す。
【0128】
〔確認実験4〕
30mlのバイアル瓶に、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムと、トリエチルアミン4μlとを入れて、水0.5mlを添加し、密封し、37℃で保存した。3日間保存後、ポリグリコール酸(PGA)単層延伸フィルムについて適切な前処理を行って、GPCによる分子量を測定した。結果を表8に示す。
【0129】
【表8】

表8の結果から、ポリグリコール酸(PGA)は、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの塩基性悪臭物質および水の存在下で保存すると、分子量が低下することがわかった。すなわち、ポリグリコール酸(PGA)の分解が起こったと考えられる。特にアンモニアと水との存在下では、Mw/Mnの値が大きくなっていることから、ポリグリコール酸(PGA)の分解が進み、低分子量の物質の割合が大きくなったと考えられる。
【符号の説明】
【0130】
1:内袋(実施例5の場合は包装物A、比較例12の場合は包装物B、比較例13 の場合は包装物C)
2:外袋(Alパウチ)
3:アンモニア含浸ガーゼ
4:丸形トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリグリコール酸と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする塩基性悪臭物質の低減方法。
【請求項2】
ポリグリコール酸を消臭成分として含有する消臭剤と、水と、塩基性悪臭物質とを接触させることを特徴とする塩基性悪臭物質の低減方法。
【請求項3】
前記消臭剤の形態が、フィルム、ペレット、包装体、粉末、繊維または布地であることを特徴とする請求項2に記載の塩基性悪臭物質の低減方法。
【請求項4】
少なくともポリグリコール酸を含有する包装体内に、塩基性悪臭物質を発生する内容物を設置し、密封包装を行うことにより得られる、包装体と内容物とから形成される包装物。
【請求項5】
内容物が食品であることを特徴とする請求項4に記載の包装物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−167071(P2010−167071A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−11817(P2009−11817)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】