説明

塩素分析装置

【課題】試料の加熱によって得られる塩化水素を電解液としての酢酸中で電量滴定することにより試料中の塩素量を測定する塩素分析装置であって、滴定セルから排出される酢酸蒸気を確実かつ効率的に処理し得る塩素分析装置を提供する。
【解決手段】塩素分析装置は、試料収容用の内管(11)及び塩化水素回収用の外管(14)から成る二重管構造を備えた反応管(1)、反応管(1)が装入される反応管装入穴を備え且つ当該反応管装入穴の周囲にヒーターが配置された電気炉(9)、電解液としての酢酸が収容され且つ反応管(1)から取り出された塩化水素を電量滴定する滴定セル(3)から主として構成される。滴定セル(3)の後段には、当該滴定セルから排出される酢酸蒸気を熱分解する脱臭管(4)が配置され、脱臭管(4)は、電気炉(9)に収められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素分析装置に関するものであり、詳しくは、電量滴定法を利用して微量塩素を測定する塩素分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川水、湖沼水などの環境水や各種の工場排水に含まれる微量塩素化合物は、例えば、塩素吸着装置を使用し、活性炭充填カラムに液体試料を流通させて当該液体試料中の塩素化合物を活性炭に吸着させた後、塩素分析装置を使用し、電量滴定法により測定することが出来る。すなわち、試料である活性炭を反応管に収容し、当該反応管を電気炉に装入して酸素気流下で加熱することにより、試料中の塩素化合物を燃焼させて塩化水素に変換した後、これを滴定セル内の電解液に吸収し、滴定セルにおいて電量的に発生させた銀イオンで滴定する。そして、滴定に要した電気量から、ファラデーの法則に基づき塩素量を演算することが出来る。なお、滴定セルにおいては、電解液として酢酸が使用される。
【0003】
【非特許文献1】株式会社ダイヤインスツルメンツ、“塩素の測定方法(縦型炉・クーロメトリー法)”、[online]、[平成18年3月3日検索]、インターネット〈http://www.dins.co.jp/dins_j/3seihin/genri/gts300cl.htm〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の塩素分析装置においては、滴定セルへの塩化水素の導入に伴い、滴定セルから酢酸蒸気が排出されるが、酢酸蒸気については、除害装置を使用して中和処理するにせよ、臭気がなくなるまで完全に処理するのは難しく、また、処理機能を更に高めようとすると、除害装置が大型化すると言う問題がある。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試料の加熱によって得られる塩化水素を電解液としての酢酸中で電量滴定することにより試料中の微量の塩素量を測定する塩素分析装置であって、滴定セルから排出される酢酸蒸気を確実かつ効率的に処理し得る塩素分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明においては、滴定セルから排出される酢酸蒸気を反応管加熱用の電気炉の熱によって分解することにより、装置を大型化させることなく、効率的に酢酸蒸気を処理する様にした。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、試料の加熱によって得られる塩化水素を電量滴定することにより試料中の塩素量を測定する塩素分析装置であって、空気または酸素の導入口が設けられた試料収容用の内管およびサンプリングガス取出口が設けられた塩化水素回収用の外管から成り且つ前記内管から前記外管へ気体が流通可能な二重管構造を備えた反応管と、当該反応管が装入される反応管装入穴を備え且つ当該反応管装入穴の周囲にヒーターが配置された電気炉と、電解液としての酢酸が収容され且つ前記反応管から取り出された塩化水素を電量滴定する滴定セルとから主として構成され、かつ、前記滴定セルの後段には、当該滴定セルから排出される酢酸蒸気を熱分解する脱臭管が配置され、当該脱臭管は、前記電気炉に収められていることを特徴とする塩素分析装置に存する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の塩素分析装置によれば、脱臭管が反応管加熱用の電気炉に収められており、電気炉の熱を利用して脱臭管を加熱し、滴定セルから排出される酢酸蒸気を熱分解するため、装置が大型化することなく、かつ、酢酸蒸気を確実に処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る塩素分析装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の塩素分析装置に設けられた電気炉、反応管および脱臭管を示す斜視図であり、図2は、本発明の塩素分析装置に設けられた電気炉の構造を示す縦断面図および水平断面図である。そして、図3は、本発明の塩素分析装置の全体構成を模式的に示すフロー図である。
【0010】
本発明の塩素分析装置は、試料の加熱によって得られる塩化水素を電量滴定することにより試料中の塩素量を測定する分析装置であり、図3に示す様に、概略、試料(P)を収容する反応管(1)、当該反応管を加熱する電気炉(9)、および、滴定を行う滴定セル(3)を備え、滴定セル(3)から排出された酢酸蒸気を脱臭管(4)で分解処理する様になされている。なお、本発明において、試料(P)としては、通常、塩素化合物を吸着した活性炭が挙げられる。
【0011】
反応管(1)は、上記の試料(P)を収容すると共に、当該試料中の塩素化合物を燃焼させて塩化水素を回収する容器である。図1及び図3に示す様に、反応管(1)は、試料収容用の内管(11)及び塩化水素回収用の外管(14)から成る二重管構造を備えている。
【0012】
内管(11)は、長軸の円筒管の頭部に試料供給部(12)を設けて構成される。内管(11)を構成する円筒管は、外管(14)の内周面との間に気体通過用の隙間を確保するため、外管(14)の内径よりも小さな外径で且つ外管(14)の深さよりも短い長さに設計される。しかも、内管(11)の下端は、試料(P)を保持し且つ分解ガスを取り出すため、多数の小孔が設けられて通気可能に構成される。
【0013】
試料供給部(12)は、後述する外管(14)よりも大径の短軸円筒状のケーシングであり、その上端に設けられた蓋を開閉することにより試料(P)の投入および取出を行う様になされている。そして、内管(11)の頭部、すなわち、試料供給部(12)には、燃焼用の空気または酸素を導入するための導入口(13)が設けられる。
【0014】
外管(14)は、上記の内管(11)の試料供給部(12)よりも小径で且つ長軸の有底円筒管で構成される。外管(14)の上部には、燃焼によって得られた塩化水素を取り出すためのサンプリングガス取出口(15)が設けられる。そして、外管(14)の上端は、当該外管に内管(11)を挿入した場合、内管(11)の試料供給部(12)の下端に気密に螺着する様に構成される。
【0015】
すなわち、反応管(1)は、空気または酸素の導入口(13)から内管(11)に空気または酸素が供給され、試料(P)に含まれる塩素化合物の燃焼で発生した塩化水素が余剰の空気または酸素と共に外管(14)へ流れ、更に外管(14)と内管(11)の隙間に流れ、サンプリングガス取出口(15)から取り出される様になされている。なお、内管(11)の直径は20〜40mm程度とされ、内管(11)の円筒管の長さは350〜400mm程度とされる。また、外管(14)の直径は30〜50mm程度とされ、外管(14)の長さは400〜450mm程度とされる。
【0016】
電気炉(9)は、上記の反応管(1)を加熱するための加熱手段であり、本発明においては、滴定セル(3)から排出された酢酸蒸気を脱臭管(4)に通して加熱分解するため、図1に示す様に、反応管(1)と共に脱臭管(4)を加熱する様に構成される。すなわち、電気炉(9)は、図1及び図2に示す様に、上端に開口された反応管装入穴(91)を備えており、反応管装入穴(91)の周囲にヒーター(93)が配置される。更に、電気炉(9)は、上端側が開口した脱臭管装入穴(94)を反応管装入穴(91)の近傍に備えている。
【0017】
具体的には、電気炉(9)は、保温材(92)をケーシング(90)で被覆し、かつ、保温材(92)の内部に複数のヒーター(93)を埋設して構成される。保温材(92)としては、セラミックファイバー、または、セラミックファイバーとアルミナファイバーの混合繊維から成る円柱状の成形体が使用される。保温材(92)には、上端側が開口した円形断面の反応管装入穴(91)が中心線に沿って設けられ、また、上端側が開口した長方形断面の脱臭管装入穴(94)が上記の反応管装入穴(91)と平行かつ並列にヒーター(93)の外周側に設けられる。
【0018】
後述する様に、反応管(1)の加熱温度が800〜1100℃であるのに対し、脱臭管(4)の加熱温度は500〜800℃である。従って、保温材(92)において、上記の脱臭管装入穴(94)は、図2に示す様に、ヒーター(93)の外周側で且つヒーター(93)から例えば10〜20mm程度離間した位置に設けられる。なお、保温材(92)の厚さ(反応管装入穴(91)の周面から外周面までの厚さ)は40〜50mm程度であり、セラミックファイバーの場合の嵩密度は290〜350kg/m3程度とされる。
【0019】
ヒーター(93)としては、例えば、カンタル発熱体、ニクロム発熱体、シルバー発熱体などを金属管に収容して成るシーズドヒーターが使用される。そして、斯かるヒーター(93)は、その表面が反応管装入穴(91)に露出する状態で当該反応管装入穴の周囲に配置される。なお、本発明の塩素分析装置においては、例えば、出力が合計して1kWとなる様に10〜12本のヒーター(93)が配置される。そして、図示しないが、反応管(1)の温度が所定の温度となる様に、反応管(1)の温度を検出してこれらヒーター(93)への通電を制御する様になされている。
【0020】
上記の様に、電気炉(9)は、当該電気炉の上端に開口された反応管装入穴(91)を備えている。そして、反応管(1)は、内管(11)の頭部に空気または酸素の導入口(13)を有し且つ外管(14)の上部にサンプリングガス取出口(15)を有しており、電気炉(9)の反応管装入穴(91)に対して上方から着脱可能に装入される。従って、本発明の塩素分析装置においては、極めて簡単に反応管(1)を交換することが出来るため、取扱および保守管理が容易であり、また、操作スペースが小さくなるため、装置の小型化を図ることが出来る。
【0021】
また、図3に示す様に、反応管(1)の後段(採取したガスの流れ方向の下流側)には、反応管(1)から取り出された塩化水素の脱水および洗気を行うため、脱水剤として例えば濃硫酸が収容された脱水浴(2)が設けられる。すなわち、反応管(1)の外管(14)のサンプリングガス取出口(15)は、流路(81)を介して脱水浴(2)に接続されている。
【0022】
滴定セル(3)は、上記の脱水浴(2)の後段に配置される。すなわち、上記の脱水浴(2)は、当該脱水浴の空間部に基端が浸漬された流路(82)を介し、滴定セル(3)に接続されており、流路(82)の先端は、滴定セル(3)の電解液に浸漬されている。滴定セル(3)は、電解液として70〜90%酢酸が収容され且つ反応管(1)から取り出された塩化水素を電量滴定する機器である。滴定セル(3)は、そのメカニズムは周知であり、電解液中に浸漬される発生電極、発生対極、検出電極および参照電極を備えている。
【0023】
滴定セル(3)による電量滴定では、試料(P)から得られた塩化水素を電解液としての酢酸に吸収させ、電量的に発生させた銀イオンで滴定してこれに要した電気量を測定することにより、ファラデーの法則に基づいて塩素量を演算する。具体的には、上記の電量滴定においては、電解液の電位が予め設定した電位(終点電位)に保持される様に、銀発生電極と発生対極の間に電解電流を制御して流し、(Ag)と(e)の平行を維持すると共に、塩化水素の導入により(HCl+Ag→AgCl+H)の反応を生起し、電解液の電位が変化した際、電解液の電位が終点電位に戻る様に電解電流を流して銀発生電極より銀イオン(Ag)を発生させる。そして、電位が終点電位に戻って電解電流がブランク電流と等しくなった段階で滴定を終了し、滴定に要した電気量から塩素量を算出する。なお、滴定セル(3)に予め収容される上記の酢酸の量は20〜40mlである。
【0024】
また、滴定セル(3)においては、上記の滴定操作により電解液である酢酸の蒸気が発生するが、滴定セル(3)の排気口には、当該滴定セルから排出される酢酸蒸気を冷却する冷却器(31)が付設される。斯かる冷却器(31)としては、例えば、酢酸蒸気が通過する蛇管をケーシングに収納して成る蛇管式冷却器が使用される。そして、冷却器(31)は、図示しないが、例えばペルチェ素子を利用して構成された小型電子冷却装置から冷水を供給可能に構成される。
【0025】
なお、ペルチェ素子は、周知の通り、電子機器などの冷却装置として使用される電子部品であり、2種の金属板の間にP型半導体とN型半導体を多数配置すると共に、一方の金属板でN−P接合を構成し且つ他方の金属板でP−N接合を構成して成り、PN接合部分に電流を流すことによって一方の金属板で吸熱現象を生起させる素子である。本発明においては、上記の様な冷却器(31)が配置されていることにより、滴定セル(3)から蒸気として排出される酢酸の少なくとも一部を液化して滴定セル(3)へ還流することが出来、後述する脱臭管(4)で処理する酢酸蒸気の量を低減でき、しかも、滴定セル(3)内の電解液である酢酸の減少を抑制することが出来る。
【0026】
脱臭管(4)は、滴定セル(3)から排出される酢酸蒸気を分解処理するために滴定セル(3)の後段に配置される。すなわち、滴定セル(3)の排気口は、上記の冷却器(31)及び流路(83)を介して脱臭管(4)に接続されている。脱臭管(4)は、前述の電気炉(9)の脱臭管装入穴(94)に収められていることにより、上記の酢酸蒸気を加熱分解する様に構成されている。
【0027】
具体的には、図1に示す様に、脱臭管(4)は、気体導入口(配管継手)及び気体排出口(配管継手)が上端に設けられたU字管で構成される。そして、電気炉(9)の脱臭管装入穴(94)が上記の様に上端側が開口されていることにより、脱臭管装入穴(94)に対して上方から着脱可能に装入される。従って、本発明の塩素分析装置においては、脱臭管(4)の保守管理が極めて容易であり、また、操作スペースが小さくなるため、装置の小型化を図ることが出来る。
【0028】
脱臭管(4)においては、滴定セル(3)から排出される酢酸蒸気の通過時間を長くして確実に熱分解するため、脱臭管(4)には金属酸化物触媒などの耐熱性の充填剤が充填される。通常、脱臭管(4)の直径は4〜8mm程度とされ、脱臭管(4)の長さは200〜400mm程度とされる。そして、上記の充填剤の充填量は0.2〜2g程度に設定される。
【0029】
また、図3に示す様に、脱臭管(4)における酢酸蒸気の熱分解により最終的に発生する炭酸ガス及び水をより安全に排出するため、すなわち、微量の酢酸が残存していた場合でも臭気をより確実に除去するため、脱臭管(4)の後段には、脱水および洗気を行う脱水浴(5)、中空糸膜を利用して水分を分離するドライヤー(6)、ならびに、例えば珪藻土にアルカリを担持させて成る除害装置(7)が配置される。
【0030】
すなわち、脱臭管(4)の気体排出口には、流路(84)を介して脱水浴(5)が接続され、脱水浴(5)の後段には、流路(85)を介してドライヤー(6)が接続され、ドライヤー(6)の後段には、流路(86)を介して除害装置(7)が接続される。そして、系内の気体の流量を一定に保つため、換言すれば、試料である塩化水素を滴定セル(3)へ一定流量で導入し且つ滴定セル(3)から一定流量で酢酸蒸気を排気するため、最下流部の除害装置(7)の後段には、流量調整用ニードル弁が付設された流路(87)を介し、ロータリーポンプ等の真空ポンプ(8)が配置される。
【0031】
次に、本発明に係る塩素分析装置の機能について説明する。本発明の塩素分析装置を使用した微量塩素の測定においては、図3に示す様に、先ず、塩素化合物を吸着させた活性炭、すなわち、試料(P)を反応管(1)の内管(11)に投入する。試料(P)の大きさは、通常は0.02〜0.1g程度である。次いで、空気または酸素の導入口(13)を通じて反応管(1)の内管(11)に空気または酸素を供給する。斯かる空気または酸素は、例えば、空気または酸素が圧縮充填された容器から、減圧弁および流量調整弁が付設された流路(図示省略)を通じて一定の圧力で定量供給する。具体的には、圧力1〜3MPa、流量1〜2L/minで空気または酸素を供給する。
【0032】
次いで、電気炉(9)に通電し、ヒーター(93)によって反応管(1)の内部を800〜1100℃に加熱する。反応管(1)を加熱すると、内管(11)の試料(P)に含まれる塩素化合物が空気または酸素の気流下で燃焼して塩化水素が生成し、余剰の空気または酸素と共に塩化水素が外管(14)へ流れ、更に外管(14)と内管(11)の隙間を流れ、外管(14)のサンプリングガス取出口(15)を通じて取り出される。
【0033】
反応管(1)で得られた塩化水素は、脱水浴(2)に送気し、脱水処理した後に滴定セル(3)に導入する。滴定セル(3)においては、電解液である酢酸に塩化水素を吹き込み、前述した方法により電量滴定する。電量滴定においては、滴定中に電極に流れた電気量を測定することにより、別途設けられたコンピュータを使用し、塩素量を算出し、その結果を塩素換算値で表示する。
【0034】
一方、反応管(1)への空気または酸素の供給と共に真空ポンプ(8)を作動させるが、反応管(1)への空気または酸素の供給、滴定セル(3)における滴定操作の間、滴定セル(3)から排出される酢酸蒸気の一部を冷却器(31)で補足して滴定セル(3)に還流し、また、酢酸蒸気の他の一部を流路(83)を通じて脱臭管(4)に導入し、脱臭管(4)において分解処理する。本発明においては、脱臭管(4)が上記の様に電気炉(9)に収められており、脱臭管(4)を440℃以上、好ましくは600〜800℃に加熱し、これにより酢酸蒸気を熱分解する。そして、脱臭管(4)から炭酸ガスと水を排出する。そして、脱臭管(4)から排出される炭酸ガスと水は、これに含まれる微量の酢酸を一層確実に処理するため、脱水浴槽(5)及びドライヤー(6)に送気して水分を除去した後、除害装置(7)に送気して無害化処理する。
【0035】
上記の様に、本発明の塩素分析装置は、脱臭管(4)が反応管加熱用の電気炉(9)に収められており、電気炉(9)の熱を利用して脱臭管(4)を加熱し、滴定セル(3)から排出される酢酸蒸気を熱分解するため、酢酸蒸気を確実に処理でき、臭気の放出を防止することが出来る。しかも、加熱手段を別途に設置する必要がないため、装置が大型化することがなく、効率的に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の塩素分析装置に設けられた電気炉、反応管および脱臭管を示す斜視図である。
【図2】本発明の塩素分析装置に設けられた電気炉の構造を示す縦断面図および水平断面図である。
【図3】本発明の塩素分析装置の全体構成を模式的に示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
1 :反応管
11:内管
12:試料供給部(試料投入口)
13:空気または酸素の導入口
14:外管
15:サンプリングガス取出口
3 :滴定セル
31:冷却器
4 :脱臭管
6 :ドライヤー
7 :除害装置
8 :真空ポンプ
9 :電気炉
91:反応管装入穴
92:保温材
93:ヒーター
94:脱臭管装入穴
P :試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の加熱によって得られる塩化水素を電量滴定することにより試料中の塩素量を測定する塩素分析装置であって、空気または酸素の導入口が設けられた試料収容用の内管およびサンプリングガス取出口が設けられた塩化水素回収用の外管から成り且つ前記内管から前記外管へ気体が流通可能な二重管構造を備えた反応管と、当該反応管が装入される反応管装入穴を備え且つ当該反応管装入穴の周囲にヒーターが配置された電気炉と、電解液としての酢酸が収容され且つ前記反応管から取り出された塩化水素を電量滴定する滴定セルとから主として構成され、かつ、前記滴定セルの後段には、当該滴定セルから排出される酢酸蒸気を熱分解する脱臭管が配置され、当該脱臭管は、前記電気炉に収められていることを特徴とする塩素分析装置。
【請求項2】
前記電気炉は、当該電気炉の上端に開口された脱臭管装入穴を備え、脱臭管は、気体導入口および気体排出口が上端に設けられたU字管で構成され、前記電気炉の脱臭管装入穴に対して上方から着脱可能に収められている請求項1に記載の塩素分析装置。
【請求項3】
前記電気炉は、当該電気炉の上端に開口された反応管装入穴を備え、反応管は、内管の頭部に空気または酸素の導入口を有し且つ外管の上部にサンプリングガス取出口を有し、前記電気炉の反応管装入穴に対して上方から着脱可能に装入されている請求項2に記載の塩素分析装置。
【請求項4】
脱臭管に耐熱性の充填剤が充填されている請求項1〜3の何れかに記載の塩素分析装置。
【請求項5】
滴定セルの排気口には、当該滴定セルら排出される酢酸蒸気を冷却する冷却器が付設されている請求項1〜4の何れかに記載の塩素分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−286032(P2007−286032A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310156(P2006−310156)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(595111929)株式会社ダイアインスツルメンツ (8)
【Fターム(参考)】