説明

塵芥収集装置及びそれを備えた塵芥収集車

【課題】簡単な構成で、塵芥の逆流及び噛み込みを防止しながら塵芥を効率よく塵芥収容箱へ押し込むようにする。
【解決手段】塵芥投入箱と塵芥収容箱との間に仕切板21を配置し、塵芥投入箱の投入口7から投入された塵芥を圧縮して仕切板21下方から後方開口部側へ押し込む塵芥積込機構20を配置する。この塵芥積込機構20として、塵芥投入箱の一対の側壁6aに一対の回転支持部材22をそれぞれ回転可能に支持し、この一対の回転支持部材22間に、回転支持部材22間に偏心して設けた回転軸25を中心に押込板26を回転可能に支持する。回転支持部材22が1回転する間に押込板26を同方向に1/2回転させ、回転軸25の軸心方向から見た先端縁軌跡がカージオイド曲線を描くようにする。回転軸25の軸心方向から見て仕切板21の下端21cと押込板26の長手方向中間との隙間を埋めるように、この押込板26に膨出部26aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥投入箱に投入された塵芥を圧縮して塵芥収容箱へ押し込む塵芥積込機構を備えた塵芥収集装置及びそれを備えた塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、塵芥収容箱の開口部に連接された塵芥投入箱と、この塵芥投入箱の前側に設けられた仕切板と、塵芥投入箱に設けられ、塵芥投入箱に投入された塵芥を圧縮して仕切板下方から塵芥収容箱へ押し込む塵芥積込機構とを備えた塵芥収集車は知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、塵芥収容箱の後方開口部に連接した塵芥投入箱と、この投入箱の側壁に軸着された回転体と、回転体を回転駆動装置によって回転運動させる第1の動力伝達機構と、回転体の軸着部と偏心した位置で回転可能に回転体に立設支持される押込板と、回転体と同方向かつ回転体の回転数の1/2の回転数となるように押込板を回転体に対して相対的に回転運動させる第2の動力伝達機構とを備え、押込板を公転自転運動させる塵芥収集車が知られている。この塵芥収集車では、塵芥投入箱の上部に固設された仕切板(固定プレート)の下部に噛み込み防止手段を装設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−44476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の塵芥収集車では、噛み込み防止手段として、仕切板の下部に噛み込み防止用のローラ及び専用の駆動用モータを設けたり、押込板の表面に常時接する遮蔽板及びそれを付勢するスプリングを設けたりしなければならず、その分だけ部品が増え、故障の可能性や製造費用が増加するという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、塵芥の逆流及び噛み込みを防止しながら塵芥を効率よく塵芥収容箱へ押し込むようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、押込板を、押込板の軸心方向から見て先端縁がカージオイド曲線を描くように回転可能に支持させ、仕切板下端と押込板の長手方向中間との間を埋める膨出部を設けた。
【0008】
具体的には、第1の発明では、塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の開口部に連接した塵芥投入箱と、該塵芥投入箱の該開口部と対向する側に設けられた仕切板と、該塵芥投入箱に設けられ、該塵芥投入箱から投入された塵芥を圧縮して上記仕切板下方から上記開口部側へ押し込む塵芥積込機構とを備えた塵芥収集装置を対象とする。
【0009】
そして、上記塵芥積込機構は、
上記塵芥投入箱の一対の対向側壁にそれぞれ回転可能に支持された一対の回転支持部材と、
上記一対の回転支持部材間に延びると共に該回転支持部材の回転中心と偏心して設けた回転軸を中心に回転可能に支持され、上記回転支持部材が1回転する間に同方向に1/2回転し、上記回転軸の軸心方向から見た一対の先端縁の軌跡がそれぞれカージオイド曲線を描く押込板とを備え、
上記軸心方向から見て、上記仕切板の下端と上記押込板の長手方向中間との隙間を埋めるように該押込板には膨出部が形成されている。
【0010】
上記の構成によると、回転支持部材が1回転する間に押込板が同方向に1/2回転し、塵芥投入箱の投入口から投入された塵芥が仕切板の下方を通って塵芥収容箱に押し込まれる。続けて、回転支持部材が1回転する間に押込板が同方向に1/2回転し、仕切板の反対側の面で塵芥投入箱の投入口から投入された塵芥が仕切板の下方を通って塵芥収容箱に押し込まれる。このように押込板が連続的に回転して塵芥の押込作業を行うので、いわゆるプレス式塵芥収集装置や回転板式収集装置のような、圧縮、押込等各工程に切り換わるときの切換音が発生しない。そして、押込板の膨出部が、回転軸の軸心方向から見て仕切板の下端と押込板の長手方向中間との隙間を埋めるので、一度塵芥収容箱側へ押し込まれた塵芥は、膨出部があるために塵芥投入箱側へ逆流しない。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記膨出部は、上記回転軸の軸心方向から見て上記押込板の厚さ方向に対向する一対の表面における、一方の表面の長手方向一端側と他方の表面の長手方向他端側とに該押込板の先端縁が塵芥投入空間部の底部を形成する壁面に沿って移動するときに上記投入口側となるようにそれぞれ形成され、かつ、該膨出部は、上記各表面の上記長手方向中央から上記一端側又は上記他端側へ向かうにつれて該各表面から離れるように傾斜する傾斜面を有する。
【0012】
上記の構成によると、押込板の厚さ方向に対向する一対の表面に、押込板の先端縁が塵芥投入空間部の底部を形成する壁面に沿って移動するときに上記投入口側となるように、膨出部をそれぞれ設けることにより、押込板における下方に位置する表面と上方に位置する傾斜面との間で塵芥が圧縮されながら塵芥が効率的に仕切板の下方を通って塵芥収容箱へ押し込まれる。
【0013】
第3の発明の塵芥収集車は、第1又は第2の発明の塵芥収集装置を車体後部に備える構成とする。
【0014】
上記の構成によると、一般的なプレス式塵芥収集車や回転板式塵芥収集車と比較した場合、アクチュエータの数を減らすと共に圧縮,押込等各工程に切り換わるときの切換音の発生や各行程の制御をなくすことによって軽量化、構造の簡素化及び低騒音化を図りつつ、さらに、塵芥の逆流や噛み込みを防止してトラブルの少ない塵芥収集車が得られる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、一対の回転支持部材間に、この回転支持部材の回転中心に対して偏心して延びる回転軸を中心に押込板を回転可能に支持し、回転支持部材が1回転する間に押込板を同方向に1/2回転させ、回転軸の軸心方向から見て一対の先端縁の軌跡がカージオイド曲線を描くようにし、回転軸の軸心方向から見て仕切板の下端と押込板の長手方向中間との隙間を埋めるように押込板から膨出部を膨出させたことにより、簡単な構成で、塵芥の逆流及び噛み込みを防止しながら塵芥を効率よく塵芥収容箱へ押し込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態にかかる塵芥投入箱内部の概要を示す斜視図である。
【図2】塵芥収集車の側面図である。
【図3】塵芥投入箱の後側を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】塵芥積込機構の駆動部分及びその周辺を示す側面図である。
【図5】図4のV−V線拡大断面図である。
【図6】塵芥収集装置の油圧回路図である。
【図7】押込板が略水平の状態で、塵芥投入箱に塵芥が投入された様子を示す側面図である。
【図8】塵芥が回転する押込板の下方に位置する表面及び傾斜面で圧縮されながら前方へ押し込まれる様子を示す側面図である。
【図9】塵芥が圧縮されながらさらに前方へ押し込まれる様子を示す側面図である。
【図10】塵芥が圧縮されながらさらに前方へ押し込まれて仕切板の下方から塵芥収容箱内に押し込まれる様子を示す側面図である。
【図11】膨出部が仕切板下端との間の隙間を最小限に保って逆流を防ぎながら塵芥がさらに仕切板の下方から塵芥収容箱内に押し込まれる様子を示す側面図である。
【図12】塵芥がさらに仕切板の下方から塵芥収容箱内に押し込まれる様子を示す側面図である。
【図13】塵芥がほぼ塵芥収容箱内へ押し込まれ、次の塵芥が投入された様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
−塵芥収集車の構造−
図2は本発明の実施形態にかかる塵芥収集装置を備えた塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1の車体2上に塵芥収容箱3が搭載されている。車体2の前側には、運転台2aが設けられている。塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。詳しくは図示しないが、この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた油圧シリンダ(電動シリンダでもよい)である回動シリンダ9(図3等に示す)により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。塵芥収容箱3は、車体2に設けた傾動シリンダ12(図6にのみ示す)を伸縮させることにより、車体2後側の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成されている。
【0019】
図1に示すように、塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込機構20が装備されている。塵芥積込機構20は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。
【0020】
塵芥投入箱6における後方開口部4と対向する側には、仕切板21が上方から延びるように設けられている。この仕切板21は、塵芥投入箱6内の塵芥投入空間部6dと塵芥収容箱3の内部とを仕切るものであり、例えは、塵芥収容箱3の後方開口部4の約上半分を覆う連接部21aと、この連接部21aに連続し、下方に向かって後方へ傾斜する下端部21bとを備えている。塵芥55は、この仕切板21の下端部21bの下端21cよりも下方から塵芥積込機構20によって圧縮されて後方開口部4側へ押し込まれるようになっている。
【0021】
そして、図3〜図5に示すように、塵芥積込機構20は、塵芥投入箱6の一対の対向側壁6aにそれぞれ回転可能に支持された、例えば円板よりなる一対の回転支持部材22を備えている。この回転支持部材22を回転させる方法としては種々の構成が考えられるが、例えば本実施形態では、油圧モータよりなる駆動モータ14を塵芥投入箱6の左右一方の側壁6aの内側に取り付け、この駆動モータ14の出力軸14aに設けた駆動スプロケット31と、回転支持部材22の側壁6a外側(左右外側)の外側面に設けた回転支持部材側スプロケット32との間に減速機構24を設けている。これにより、駆動モータ14が所定の減速割合で回転支持部材22を回転するように構成されている。
【0022】
円板状の回転支持部材22の円周面には、小径部221と大径部222からなる段付部223が形成されている。また、回転支持部材22の外側面には、その回転中心に孔部224が設けられている。この回転支持部材22の孔部224には、回転支持部材側スプロケット32に設けた中央孔32aを通じて中心軸22aが嵌め込まれ、回転支持部材22は、中心軸22aに回転可能に支持される。
【0023】
中心軸22aの左右外側には、円板状の鍔部22bが一体に形成され、この鍔部22bには、例えば4つのネジ穴22cが形成されている。左右の側壁6aには、中心軸22aと同心に回転支持部材22の外径よりも若干大きい内径を有する貫通孔6bがそれぞれ形成され、この貫通孔6b内に回転支持部材22の段付部223の小径部221が収容されている。側壁6aにおける貫通孔6bの周辺には、側面視でT字状の固定ブラケット23(図4では二点鎖線で示す)が固定され、この固定ブラケット23のボルト穴22dにボルト22eを挿通してネジ穴22cに締結することで、中心軸22aが側壁6aに対して固定されている。これにより、回転支持部材22は、段付部223の小径部221が貫通孔6b内で回転可能となるように、側壁6aに直接支持される。また、回転支持部材22は、側壁6aに、固定ブラケット23及び中心軸22aを介して間接支持されている。また、回転支持部材22は、段付部223の大径部222と中心軸22aによって左右方向への移動が規制されている。
【0024】
減速機構24は、例えば駆動スプロケット31よりも外径の大きい減速スプロケット24aを備え、駆動スプロケット31と減速スプロケット24aとの間が第1減速チェーン24bで連結されている。減速スプロケット24aの側壁6a側(左右内側)のスプロケット24c(図4に破線でのみ示す)と回転支持部材側スプロケット32との間が第2減速チェーン24dで連結されている。
【0025】
一対の回転支持部材22間には、中心軸22aと偏心した位置に1本の回転軸25が回転可能に支持されている。この回転軸25には、左右の側壁6a間に延びる押込板26が回転一体に取り付けられている。押込板26は、概ね平板状形態を有し、例えば図10に示す上下に立った状態において回転軸の軸心方向から見て、厚さ方向に対向する一対の表面26bにおける車両前方側の表面26bの上端側と、車両後方側の表面26bの下端側とに回転軸25に沿って(奥行き方向に)それぞれ膨出した膨出部26aが形成されている。そして、膨出部26aは、車両前方側の表面26bの上下方向中央から上端側へ又は車両後方側の表面26bの上下方向中央から下端側へ向かうにつれて各表面26bから離れるように傾斜する傾斜面26cを有する。言い換えれば、押込板26の先端縁が塵芥投入空間部6dの底部を形成する壁面6cに沿って移動するときに投入口7側となるように膨出部26aがそれぞれ膨出している。
【0026】
押込板26は、例えば、鋼板の製缶品によって構成されている。図3及び図4に示すように、回転軸25は、その端部に設けた押込板用減速機構27により、回転支持部材22が1回転する間に同方向に1/2回転するように構成されている。具体的には、押込板用減速機構27は、中心軸22aに回転一体の第1スプロケット27aと、回転軸25に回転一体の第2スプロケット27bと、オートテンショナ28のアイドラスプロケット28aとが回転調整用チェーン27cで連結されている。オートテンショナ28のレバー形状のオートテンショナ本体28bが回動ピン28cを中心に回転支持部材側スプロケット32に回動可能に支持され、回動量調整ボルト28dを調整することで回転調整用チェーン27cの張力を調整可能となっている。オートテンショナ本体28bは、張力調整後に固定ナット28eによって回転支持部材側スプロケット32に固定されるようになっている。第1スプロケット27aのピッチ円直径と、第2スプロケット27bのピッチ円直径との比は、1:2となっている。このことで、図7〜図13に示すように、回転軸25の軸心から見た押込板26の先端縁軌跡が、それぞれいわゆるカージオイド曲線29を描くようになっている。カージオイド曲線29は、心臓型の軌跡であり、この軌跡を、塵芥投入空間部6dの底部を形成すると共に車両の左右側面から見て円弧状の壁面6cに沿うように配置することで、押込板26が塵芥投入空間部6dの底部に投入された塵芥55を圧縮しながら確実に仕切板21の下方へ押し込むように構成されている。なお、図面においては各チェーン及び各スプロケットを簡略化して描いている。
【0027】
本実施形態では、カージオイド曲線29は1箇所凹んだ部分(凹部29a)を有するが、この凹部29aは、仕切板21の下端21cから若干ずれた位置に配置されている。このため、仕切板21の下端21cと押込板26の長手方向中間との間には、図11に示すように、隙間cが形成されている。この隙間cは、膨出部26aが押込板26の各表面26bに回転軸25を中心に180°ずれた位置に形成されていることによって、押込板26の回転に合わせて塞がれるようになっている。
【0028】
一方、詳しくは図示しないが、塵芥収集車1は、車両エンジンに駆動される発電機を備え、この発電機で得られた電力又は蓄電装置に蓄えた電力が電動モータ46に供給されるように構成されている。図6に塵芥収集車1の油圧機器60の油圧回路61を示す。油圧機器60は、電動モータ46に駆動される油圧ポンプ47を備えている。作動油タンク62内の作動油は、油圧配管64を通して油圧ポンプ47で吸い上げられて供給側の油圧配管61aに流通されてコントロールバルブ63に供給されるように構成されている。各シリンダ9,12及び駆動モータ14は、油圧配管61bを介してコントロールバルブ63に接続されている。コントロールバルブ63は、図示しない複数の電磁弁を備え、電磁弁の開閉ポートを切り替えることにより、電動モータ46を駆動して回転させた油圧ポンプ47から吐出された作動油を所望のシリンダ9,12又は駆動モータ14に対して供給するように構成されている。このことで、コントロールバルブ63を介してシリンダ9,12の伸縮動作の切換及び駆動モータ14の回転が制御され、又は運転が停止されるようになっている。
【0029】
−塵芥収集車による塵芥の収集方法−
まず、塵芥収集車1は、塵芥55の収集場所へ移動し、投入口7を開く。
【0030】
次いで、図7に示すように、押込板26がほぼ水平になった状態で、塵芥55を押込板26の下方へ投入する。このとき、押込板26の軌跡を調整することで投入口7の底辺が低く設定されているので、塵芥55が投入しやすい。
【0031】
次いで、駆動モータ14を回転させると、回転支持部材22が図7において時計周りに回転すると共に、押込板用減速機構27の作用により、その1/2のスピードで押込板26が時計回りに回転する。すると、図8及び図9に示すように、押込板26の平坦な表面26bで塵芥55を下方へ押し込み、さらに上方にある傾斜面26cで塵芥55の上方が押さえ込まれるので、塵芥55が適度に圧縮されながら塵芥収容箱3側へ移動する。
【0032】
次いで、図10に示すように、押込板26により塵芥55が仕切板21の下端21cの下方を通って後方開口部4から塵芥収容箱3に押し込まれる。
【0033】
次いで、図11に示すように、塵芥55が表面26b及び傾斜面26cで効果的に圧縮されながら押し込まれる。同時に膨出部26a(傾斜面26c)の頂点がほぼ仕切板21の下端21cまで移動するので、押し込まれた塵芥55が逆流してくることはない。
【0034】
次いで、図12及び図13に示すように、押込板26の先端で塵芥55をさらに塵芥収容箱3側へ押し込む。この間に新たに押込板26の下方へ塵芥55を投入する。
【0035】
次いで、押込板26が1/2回転して図7の状態に戻り、反対側の表面26bで図6からの作業が繰り返される。
【0036】
このように押込板26が連続的に回転して塵芥の押込作業を行うので、日本で一般的なプレス式塵芥車や回転板式塵芥車のように各工程に切り換わるときの切換音が発生しない。そして、押込板26の膨出部26aが、回転軸の軸心方向から見て仕切板21の下端21cと押込板26の長手方向中間との隙間cを埋めるので、一度塵芥収容箱3側へ押し込まれた塵芥は、膨出部26aがあるために塵芥投入箱6側へ逆流しない。
【0037】
したがって、簡単な構成で、塵芥の逆流及び噛み込みを防止しながら塵芥を効率よく塵芥収容箱へ押し込むことができる。
【0038】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0039】
すなわち、上記実施形態では、塵芥収集装置を電動の塵芥収集車1に備えた例を示したが、この塵芥収集装置は、ビルや工場などの床に固定設置するものであってもよい。具体的には、塵芥収集装置を車体フレーム2b上ではなく床に載置されるフレーム上に載置すればよい。
【0040】
上記実施形態では、押込板26を駆動させる機構は、チェーン機構で構成しているが、歯車を直結して駆動させるようにしてもよい。
【0041】
上記実施形態では、電動の塵芥収集車1の例を示しているが、塵芥収集装置は、電動ではなく、エンジンの出力を動力取り出し装置(PTO)を介して油圧ポンプから取り出すものでもよい。回転支持部材22の駆動方法についても、本実施形態では、駆動モータ14の動力を減速させて駆動しているようにしているが、電動モータ46の動力を用いてもよい。これら駆動モータ14や電動モータ46の動力源も特に限定されない。
【0042】
また、上記実施形態では、駆動モータ14を左右一方の側壁の内側に取り付けていたが、駆動モータは左右の側壁の両方に設けてもよい。また、駆動モータ14の出力軸14aと駆動スプロケット31との間に遊星歯車減速機ユニットを介してもよい。
【0043】
上記実施形態のように傾動シリンダ12を設けて塵芥収容箱3をダンプ可能に構成するのではなく、塵芥収容箱3に塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置を設けてもよい。具体的には、塵芥収容箱3内に排出板を前後方向に摺動自在に配設し、排出シリンダの伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようにすればよい。
【0044】
上記実施形態では、回転支持部材を円板で構成しているが、棒状、板状のリンクで構成してもよい。要は、中心軸22aを中心に回転し、この中心軸22aから偏心した位置で回転軸25を支える剛性の高い部材であればよい。
【0045】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明は、塵芥投入箱の投入口から投入された塵芥を圧縮して塵芥収容箱へ押し込む塵芥積込機構を備えた載置用の塵芥収集装置、車体後部に塵芥収集装置を備えた塵芥収集車等について有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 塵芥収集車
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
6 塵芥投入箱
6a 側壁
6d 塵芥投入空間部
7 投入口
20 塵芥積込機構
21 仕切板
21c 下端
22 回転支持部材
22a 中心軸(回転中心)
25 回転軸
26 押込板
26a 膨出部
26b 表面
26c 傾斜面
29 カージオイド曲線
55 塵芥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱の後方開口部に連接した塵芥投入箱と、該塵芥投入箱の該開口部と対向する側に設けられた仕切板と、該塵芥投入箱に設けられ、該塵芥投入箱の投入口から投入された塵芥を圧縮して上記仕切板下方から上記後方開口部側へ押し込む塵芥積込機構とを備えた塵芥収集装置であって、
上記塵芥積込機構は、
上記塵芥投入箱の一対の対向側壁にそれぞれ回転可能に支持された一対の回転支持部材と、
上記一対の回転支持部材間に延びると共に該回転支持部材の回転中心と偏心して設けた回転軸を中心に回転可能に支持され、上記回転支持部材が1回転する間に同方向に1/2回転し、上記回転軸の軸心方向から見た一対の先端縁の軌跡がそれぞれカージオイド曲線を描く押込板とを備え、
上記軸心方向から見て、上記仕切板の下端と上記押込板の長手方向中間との隙間を埋めるように該押込板には膨出部が形成されている
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塵芥収集装置において、
上記膨出部は、上記回転軸の軸心方向から見て上記押込板の厚さ方向に対向する一対の表面における、一方の表面の長手方向一端側と他方の表面の長手方向他端側とに該押込板の先端縁が塵芥投入空間部の底部を形成する壁面に沿って移動するときに上記投入口側となるようにそれぞれ形成され、かつ、該膨出部は、上記各表面の上記長手方向中央から上記一端側又は上記他端側へ向かうにつれて該各表面から離れるように傾斜する傾斜面を有する
ことを特徴とする塵芥収集装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の塵芥収集装置を車体後部に備えたことを特徴とする塵芥収集車。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−71906(P2012−71906A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215932(P2010−215932)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】