説明

塵芥収集車

【課題】塵芥投入箱を開閉操作していない状態で、塵芥投入箱が誤作動するのを抑制することができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】スイングシリンダ用電磁切換弁27のソレノイド27eが故障により励磁した際に、塵芥投入箱3がロック解除されたことを検知する第2近接センサ55を設ける。積込スイッチ43の操作中に第2近接センサ55が検知すると、ソレノイド27eと対をなすソレノイド27sを励磁させ、スイングシリンダ用電磁切換弁27を中立位置に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみや粗大ごみ等の塵芥を積み込むことができる塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、塵芥収容箱の後部に開閉可能に連接して設けられた塵芥投入箱を備えている。この塵芥投入箱に投入された塵芥は、積込駆動シリンダの伸縮作動によって押込板を動作させることにより塵芥収容箱内に積み込まれる。塵芥投入箱は、投入箱駆動シリンダを伸長作動させることにより開閉することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記投入箱駆動シリンダと積込駆動シリンダは、それぞれ一対のソレノイドを有する三位置電磁切換弁を介して油圧ポンプに接続されている。そして、この投入箱駆動シリンダと積込駆動シリンダは、それぞれ専用の操作スイッチを操作すると、これに対応する三位置電磁切換弁のソレノイドが励磁されることにより、個別に伸縮作動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−55745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の塵芥収集車にあっては、投入箱駆動シリンダにそれぞれ接続された三位置電磁切換弁が例えば配線短絡等により故障した際に、操作スイッチを操作していない状態で、この故障した電磁切換弁の一方のソレノイドが励磁された状態で保持されることがあった。具体的には、例えば積込駆動シリンダの操作スイッチを操作して積込作業を行っている際に、投入箱駆動シリンダを作動させる三位置電磁切換弁が故障し、この電磁切換弁の一方のソレノイドが励磁されることにより、投入箱駆動シリンダが勝手に作動して塵芥投入箱が開放されることがあった。この場合には、積込作業中に塵芥投入箱が開放された状態となるため、塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥が箱外へ落下して周囲に散乱するという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、塵芥投入箱の開閉操作が行われていない状態で、塵芥投入箱が誤作動するのを抑制することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱に対して開閉可能に連接して設けられ、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、三位置電磁切換弁の一対のソレノイドを個別に励磁させることにより作動して前記塵芥投入箱を開閉させる油圧アクチュエータを有する投入箱駆動手段と、前記三位置電磁切換弁の各ソレノイドを個別に励磁させる操作指令を出力する投入箱操作手段と、を備えた塵芥収集車であって、前記一対のソレノイドのうち一方のソレノイドが励磁して前記投入箱駆動手段が駆動していることを検知する検知手段と、前記投入箱操作手段から操作指令が出力されていない状態で、前記検知手段が前記投入箱駆動手段の駆動を検知した際に、前記一対のソレノイドのうち他方のソレノイドを励磁させる制御装置と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
このような構成の塵芥収集車によれば、投入箱操作手段から操作指令が出力されていない状態で、一方のソレノイドが励磁して投入箱駆動手段が駆動していることを検知手段が検知した際に、制御装置により他方のソレノイドを励磁させるようにしたので、この他方のソレノイドの励磁力を一方のソレノイドの励磁力と釣り合う励磁力にすることにより、三位置電磁切換弁を中立位置に保持させることができる。これにより、塵芥投入箱の開閉操作が行われていない状態で、塵芥投入箱が誤作動するのを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の塵芥収集車は、前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む際に作動する積込駆動手段と、前記積込駆動手段を作動させる操作指令を出力する積込操作手段と、をさらに備え、前記三位置電磁切換弁の前記一対のソレノイドが、前記塵芥投入箱を開放するように前記投入箱駆動手段を駆動させる際に励磁される開放用ソレノイド、及び前記塵芥投入箱を閉鎖するように前記投入箱駆動手段を駆動させる際に励磁される閉鎖用ソレノイドであり、前記検知手段は、前記開放用ソレノイドが励磁して前記投入箱駆動手段が駆動していることを検知するものであり、前記制御装置は、前記投入箱操作手段から操作指令が出力されていない状態であってかつ前記積込操作手段から操作指令が出力されている状態で、前記検知手段が前記投入箱駆動手段の駆動を検知した際に、前記閉鎖用ソレノイドを励磁させることが好ましい。
この場合は、積込操作手段により積込駆動手段を作動させているときに、開放用ソレノイドが勝手に励磁して投入箱駆動手段が駆動していることを検知手段が検知した際に、制御装置により閉鎖用ソレノイドを励磁させるようにしたので、この開放用ソレノイドの励磁力を閉鎖用ソレノイドの励磁力と釣り合う励磁力にすることにより、三位置電磁切換弁を中立位置に保持させることができる。この結果、積込操作手段により積込駆動手段を作動させているときに、三位置電磁切換弁の故障により投入箱駆動手段が誤作動して塵芥投入箱が開放されるのを抑制することができる。したがって、積込作業中に塵芥投入箱が開放されることによって、塵芥収容箱内の塵芥が外部へ落下するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塵芥収集車によれば、塵芥投入箱の開閉操作が行われていない状態で、塵芥投入箱が誤作動するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。
【図2】塵芥収集車の背面図である。
【図3】塵芥収集車の後部側の側面図である。
【図4】塵芥投入箱をロック解除した状態を示す側面図である。
【図5】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図6】塵芥収集車のスイッチボックスの正面図である。
【図7】塵芥収集車の制御装置のブロック図である。
【図8】制御装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態による塵芥収集車を左舷側から見た側断面図である。図において、この塵芥収集車1は、車体1a上に搭載された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後方に連設して設けられた塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
【0012】
塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図の実線で示すように塵芥収容箱2の開口部2aを閉鎖する閉鎖位置と、図の二点鎖線で示すように上方回動により上記開口部2aを開放して塵芥を排出することができる開放位置との間で回動するようになっている。
【0013】
次に、塵芥投入箱3内に設けられている積込装置Tについて説明する。まず、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには斜め上下に延びるガイドレール4が設けられており、スライダ5に取り付けられた左右一対二組のローラ6は、このガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示せず)により接続して一体化したものである。
【0014】
一方、プッシュシリンダ9のシリンダ側端部はピン10により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ12のシリンダ側端部はピン13により押込板8に接続されており、ピストン側端部は上記ピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。スライダ5は押込板8とともに、プッシュシリンダ9の伸長作動により斜めに上昇し、収縮作動により斜めに下降する。また、押込板8は、プレスシリンダ12の伸長作動によりピン7を中心として時計回り方向に回動し、収縮作動により反時計回り方向に回動する。
【0015】
これにより、押込板8は、図の実線で示す原位置から、プレスシリンダ12の収縮作動によりピン7を中心として反時計回り方向に回動する「反転」の行程を行う。また、押込板8は、反転工程後に、プッシュシリンダ9の収縮作動により「一次圧縮」の行程を行い、続いてプレスシリンダ12の伸長作動により時計回り方向に回動する「二次圧縮」の行程を行う。さらに、押込板8は、プッシュシリンダ9の伸長作動により「押込」の行程を行い、原位置に戻る。なお、本実施形態では、プッシュシリンダ9とプレスシリンダ12とによって、積込駆動手段71が構成されている。
【0016】
図1において、塵芥収容箱2の内部には、車両の前後方向に移動可能に排出板18が設けられている。テレスコ式のディスチャージシリンダ (排出駆動手段)19の一端部19aは排出板18に接続され、他端部19bは塵芥収容箱2に接続されている。排出板18は、ディスチャージシリンダ19の伸縮により、図1の実線で示す後方位置と二点鎖線で示す前方位置との間で移動可能である。
【0017】
塵芥が空のとき、排出板18は後方位置にあり、押込板8により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を、押込板8と排出板18との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、後述する圧力制御弁23cが動作してディスチャージシリンダ19を徐々に収縮させて排出板18を前方へ移動させる。また、ディスチャージシリンダ19を伸長させて排出板18を後方へ移動させることにより、塵芥収容箱2に収容された塵芥を、開口部2aから外部へ排出できるようになっている。
【0018】
図2は、塵芥収集車1の背面図である。塵芥投入箱3の左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(油圧アクチュエータ)20は、上端が塵芥収容箱2側に取り付けられ(図1参照)、下端が塵芥投入箱3に取り付けられている。このスイングシリンダ20を伸長作動させると塵芥投入箱3が上方回動(開放)され、収縮作動させると塵芥投入箱3が下方回動(閉鎖)される。
【0019】
図3は、塵芥収集車1の後部側の側面図である。塵芥収容箱2の後端縁には補強用のスチフナ2bが形成されている。このスチフナ2bの内部には、ステー50を介して第1近接センサ51が取り付けられている。第1近接センサ51は、塵芥投入箱3に固定されたドグ52を検知することにより、塵芥投入箱3が閉鎖位置にあることを検知する。そして、上記ドグ52が塵芥投入箱3とともに上方回動して第1近接センサ51から離れると、第1近接センサ51は非検知状態となり、塵芥投入箱3が閉鎖位置から上方へ回動したことを検知することができる。
【0020】
図3において、車体1aの後部には、塵芥投入箱3を車体1aに固縛するためのロック装置60が設けられている。このロック装置60は、車体1a側に回動可能に取り付けられたフック61と、塵芥投入箱3側に固定されたロックピン62と、フック61を回動させるためのロックシリンダ(油圧アクチュエータ)63と、フック61とロックシリンダ63とを連結する連結機構64とを備えている。
【0021】
フック61は、車体1aの下面に固定されたブラケット65にピン66を介して回動自在に取り付けられている。ロックピン62は、塵芥投入箱3の下部前面に固定されており、フック61の先端部が下方から係脱可能に係合されている。ロックシリンダ63のシリンダ側端部は塵芥収容箱2の下部にピン67を介して取り付けられている。ロックシリンダ63のピストン側端部は、ピン68を介して後述する第1連結ブラケット64bに取り付けられている。ロックシリンダ63のピストン径は、スイングシリンダ20のピストン径よりも小径に形成されている。
【0022】
連結機構64は、塵芥収容箱2の底部に回転可能に取り付けられたトルクシャフト64aと、このトルクシャフト64aの外周面に固定された第1連結ブラケット64b及び第2連結ブラケット64cと、第2連結ブラケット64cとフック61とを連結している連結片64dとによって構成されている。連結片64dの一端はピン69を介して第2連結ブラケット64cに取り付けられ、連結片64dの他端はピン70を介してフック61の基端部に取り付けられている。
【0023】
以上の構成により、ロックシリンダ63を図3の状態から伸長作動させると、第1連結ブラケット64bを介してトルクシャフト64aが図3反時計回り方向に回転する。この回転により連結片64dは、図4に示すように、第2連結ブラケット64cを介して図3右方向へ押され、フック61がピン66を中心に図3時計回り方向に回動する。これにより、フック61とロックピン62との係合が解除され、塵芥投入箱3はロック解除された状態となる。また、ロックシリンダ63を図4の状態から収縮作動させると、連結機構64が上記と逆の動きをすることによって、フック61がロックピン62に係合し、塵芥投入箱3は開口部2aを閉鎖した状態でロックされる。なお、本実施形態では、ロックシリンダ63と上記スイングシリンダ20とによって、投入箱駆動手段72が構成されている。
【0024】
図3及び図4において、塵芥収容箱2の下部には第2近接センサ55が取り付けられている。この第2近接センサ55は、図3に示すように塵芥投入箱3がロック装置60によりロックされた状態のとき、上記トルクシャフト64aの外周面に突設されたドグ56を検知している。そして、このドグ56が図4に示すようにトルクシャフト64aとともに図4反時計回り方向に回動して第2近接センサ55から離れると、第2近接センサ55は非検知状態となり、塵芥投入箱3がロック解除されたことを検知することができる。これにより、第2近接センサ55が非検知となったときに、スイングシリンダ20を伸長作動させることにより、ロック解除された塵芥投入箱3を自動的に上方回動させることができる。
なお、本実施形態では、第1近接センサ51と第2近接センサ55とによって、検知手段57が構成されている。
【0025】
図5は、プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19、スイングシリンダ20、及びロックシリンダ63に関する油圧回路図である。当該油圧回路は、オイルタンク21、油圧ポンプ22、圧力制御弁23a〜23f、プッシュシリンダ用電磁切換弁24、プレスシリンダ用電磁切換弁25、ディスチャージシリンダ用電磁切換弁26、ロックシリンダ用電磁切換弁を兼用するスイングシリンダ用電磁切換弁(三位置電磁切換弁)27、切換弁28a〜28b、逆止弁29a〜29g、及びフィルタ30a〜30b、及び圧力センサ32を図示のように接続して構成されている。
【0026】
各電磁切換弁24〜27は、いずれも一対のソレノイドを有する三位置の電磁切換弁であって、両ソレノイドが消磁状態のとき中立位置に保持されるようになっている。各電磁切換弁24〜27が図5に示すようにすべて中立位置にあるとき、油圧ポンプ22から吐出される作動油(作動流体)は、各電磁切換弁24〜27を通過してオイルタンク21へ還流されるようになっている。
【0027】
押込板8が原位置で停止しているとき、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12は共に伸長状態にあり、対応する各電磁切換弁24,25は中立位置にある。プレスシリンダ用電磁切換弁25のソレノイド25sが励磁されると「反転」、ソレノイド25eが励磁されると「二次圧縮」、プッシュシリンダ用電磁切換弁24のソレノイド24sが励磁されると「一次圧縮」、ソレノイド24eが励磁されると「押込」、の各工程動作が行われる。
【0028】
排出板18が最後方位置(図1の実線)で停止しているとき、ディスチャージシリンダ19は最も伸長した状態にあり、ディスチャージシリンダ用電磁切換弁26は中立位置にある。ディスチャージシリンダ用電磁切換弁26のソレノイド26eが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は伸長作動する。また、ソレノイド26sが励磁されると、ディスチャージシリンダ19は収縮作動する。この状態からソレノイド26sが消磁されると、ディスチャージシリンダ用電磁切換弁26は中立位置に戻り、ディスチャージシリンダ19の収縮作動は停止する。但し、圧力制御弁23cが動作すれば、ディスチャージシリンダ用電磁切換弁26が中立位置であってもディスチャージシリンダ19が収縮可能となり、排出板18は前方移動可能となる。
【0029】
塵芥投入箱3が閉鎖位置にあるとき(図1の実線)、スイングシリンダ20は最も収縮した状態にあり、スイングシリンダ用電磁切換弁27は中立位置にあり、切換弁28bは図示の位置にある。この状態からスイングシリンダ用電磁切換弁27のソレノイド27e(開放用ソレノイド)が励磁されると、作動油がロックシリンダ63とスイングシリンダ20とに同時に供給されるが、ピストン径(受圧面積)の小さいロックシリンダ63がスイングシリンダ20よりも先に伸長作動し、ロック装置60による塵芥投入箱3のロックが解除される。ロック解除後は、スイングシリンダ20が伸長作動を開始し、塵芥投入箱3が閉鎖位置から上方回動する。
【0030】
ソレノイド27eが消磁され、かつ切換弁28bが励磁されると、塵芥投入箱3の自重によりスイングシリンダ20内の作動油が切換弁28b及びスイングシリンダ用電磁切換弁27を介してタンク21に戻され、これにより、スイングシリンダ20が収縮作動して塵芥投入箱3が下方回動する。また、塵芥投入箱3が閉鎖位置に達した後、スイングシリンダ用電磁切換弁27のソレノイド27s(閉鎖用ソレノイド)が励磁されると、ロックシリンダ63が収縮作動し、塵芥投入箱3はロック装置60によりロックされる。その後、ソレノイド27sは消磁されるが、逆止弁29gによりロックシリンダ63のロック状態(収縮状態)で保持される。
【0031】
図6は、運転室内に設けられているスイッチボックスSB1を示す平面図である。スイッチボックスSB1には、メインスイッチ34、テールゲートスイッチ35、排出板スイッチ36、かき出しスイッチ37、メインランプ(報知手段)38、及びロックランプ39が設けられている。
【0032】
メインスイッチ34は、「積込」、「OFF」、及び「排出」のいずれかの位置に保持することができるスイッチであり、「OFF」から「積込」位置に操作することで、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12を作動を許容し、ディスチャージシリンダ19、スイングシリンダ20及びロックシリンダ63の作動を規制する。「排出」位置では、ディスチャージシリンダ19、スイングシリンダ20及びロックシリンダ63の作動を許容し、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12を作動を規制する。
【0033】
テールゲートスイッチ35は、ロックシリンダ63及びスイングシリンダ20を伸縮作動させるスイングシリンダ用電磁切換弁27のソレノイド27e及びソレノイド27sを個別に励磁させる操作指令を出力する操作スイッチである。
投入箱駆動スイッチ35を「上」に操作すると、ソレノイド27eが励磁され、ロックシリンダ63が伸長して塵芥投入箱3のロックが解除される。ロック解除後は、スイングシリンダ20が伸長作動して塵芥投入箱3が上方回動する。
また、投入箱駆動スイッチ35を「下」に操作すると、ソレノイド27sが励磁され、スイングシリンダ20が収縮作動して塵芥投入箱3が閉鎖位置まで下方回動する。下方回動後は、ロックシリンダ63が収縮作動して塵芥投入箱3がロックされる。なお、投入箱駆動スイッチ35は、手を離すと「テールゲート」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
【0034】
排出板スイッチ36は、ディスチャージシリンダ19を伸縮作動させるディスチャージシリンダ用電磁切換弁26の各ソレノイド26e,26sを個別に励磁させる操作指令を出力する操作スイッチである。
排出板スイッチ36を「排出」に操作すると、ソレノイド26eが励磁され、ディスチャージシリンダ19が伸長作動して排出板18が最後方位置まで後退する。
また、排出板スイッチ36を「戻り」に操作すると、ソレノイド26sが励磁され、排出板18が初期位置に戻る。なお、手を離すと「排出板」の中立位置に戻るタイプのスイッチである。
【0035】
かき出しスイッチ37は、「自動」又は「手動」の選択スイッチであり、「自動」位置では、塵芥投入箱3を上方端まで回動させると自動的に積込と同様の動作が行われ、塵芥投入箱3の底に残っている塵芥を排出することができる。
メインランプ38は、スイッチボックスSB1の各スイッチ操作が可能な状態のときに点灯するようになっている。また、メインランプ38は、後述する積込スイッチ43を操作している状態で、第1近接センサ51及び第2近接センサ55のうち一方が非検知状態となったときに点滅するようになっている。これにより、ロックシリンダ63が誤作動していることを作業者に報知することができる。
ロックランプ39は、塵芥投入箱3がロック装置60によりロックされた状態のときに点灯するようになっている。
【0036】
一方、図2において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」又は「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が設けられている。スイッチボックスSB2の正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ(積込操作手段)43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。
【0037】
積込スイッチ43は、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12をそれぞれ伸縮作動させるプッシュシリンダ用電磁切換弁24及びプレスシリンダ用電磁切換弁25の各ソレノイド24e,24s,25e,25sを個別に励磁させる操作指令を出力する操作スイッチである。
なお、その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。また、停止スイッチ44は、右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0038】
図7は、制御装置47の構成を示すブロック図である。この制御装置47は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)の一部であって、CPUやメモリ等を有する。スイッチボックスSB1のメインスイッチ34、積込スイッチ35、排出板スイッチ36、及びかき出しスイッチ37の操作指令と、スイッチボックスSB2の積込スイッチ43および停止スイッチ44の操作指令とが制御装置47に入力される。また、上記第1近接センサ51及び第2近接センサ55の検知信号は、この制御装置47に入力される。
プッシュシリンダ用電磁切換弁24、プレスシリンダ用電磁切換弁25、ディスチャージシリンダ用電磁切換弁26、スイングシリンダ用電磁切換弁27の各ソレノイド24e〜27e,24s〜27sは、制御装置47によって励磁・消磁される。また、メインランプ38及びロックランプ39は、制御装置47からの出力信号により点灯する。
【0039】
次に、上記のように構成された塵芥収集車の本発明の関する制御について、図8のフローチャートを参照して説明する。処理開始により制御装置47のCPU(以下単にCPUという。)は、積込スイッチ43がオンされるのを待ち(ステップS1)、オンになるとプッシュシリンダ用電磁切換弁24及びプレスシリンダ用電磁切換弁25の各ソレノイド24e,24s,25e,25sをそれぞれ励磁し(ステップS2)、押込板8によって積込動作が開始される。
【0040】
積込動作中において、スイングシリンダ20を作動させるスイングシリンダ用電磁切換弁27が故障することにより、この電磁切換弁27のソレノイド27eが励磁し、この励磁状態で保持される場合がある。この場合には、積込スイッチ43を操作しているにも関わらず、押込板8による積込動作が停止するとともに、塵芥投入箱3がロック解除されて上方へ回動するという誤作動が生じる。CPUは、この誤作動を防止するために、塵芥投入箱3がロック解除されたか否かを第2近接センサ55の検知状態により監視する(ステップS3)。
【0041】
スイングシリンダ用電磁切換弁27の故障により、塵芥投入箱3がロック解除されて第2近接センサ55がオフになると、CPUはステップS5に進む。その際、第2近接センサ55の検知面に泥水等が付着してオン状態に維持されている場合には、ロック解除された塵芥投入箱3が上方回動を開始したことを第1近接センサ51がオフになることにより検知することができる(ステップS4)。この場合も、CPUはステップS5に進む。なお、第2近接センサ55及び第1近接センサ51がいずれもオン状態の場合は、ステップS3に戻る。
【0042】
ステップS5において、CPUはスイングシリンダ用電磁切換弁27のソレノイド27sを励磁させる。その際、ソレノイド27sの励磁力は、ソレノイド27eの励磁力と釣り合う励磁力に設定されている。これにより、ソレノイド27eの励磁力とソレノイド27sの励磁力とが釣り合うことで、スイングシリンダ用電磁切換弁27が図5の中立位置に保持され、塵芥投入箱3(スイングシリンダ20)が誤作動するのを規制することができる。
【0043】
ついで、CPUは、メインランプ38を点滅させ、作業者にロック装置60(ロックシリンダ63)が誤作動していることを報知するとともに(ステップS6)、排出板スイッチ36、かき出しスイッチ37及び積込スイッチ43の各操作入力を無効(入力を受け付けない。)とする(ステップS7)。
【0044】
以上のように構成された本実施形態の塵芥収集車1によれば、積込スイッチ43の操作中に、スイングシリンダ用電磁切換弁27の故障によりソレノイド27eが勝手に励磁してロックシリンダ63が作動したことを第2近接センサ55が検知すると、上記ソレノイド27eと対をなすソレノイド27sを励磁させるようにしたので、ソレノイド27sの励磁力を、ソレノイド27eの励磁力と釣り合う励磁力にすることにより、スイングシリンダ用電磁切換弁27を中立位置に保持させることができる。これにより、積込スイッチ43の操作中に、スイングシリンダ用電磁切換弁27が故障することに起因して、スイングシリンダ20が誤作動するのを防止することができる。したがって、積込作業中に塵芥投入箱3が開放されることによって、塵芥収容箱2内の塵芥が外部へ落下するのを防止することができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば検知手段は、第1近接センサ51と第2近接センサ55とによって構成されているが、いずれか一方の近接センサのみであってもよい。また、第2近接センサ55は、非検知状態となることによりトルクシャフト64aの回転を検知しているが、検知状態となることにより上記回転を検知するようにしてもよい。さらに、第2近接センサ55は、トルクシャフト64aの回転を検知しているが、ロック装置60の他の構成部材の動きを検知してもよい。
【0046】
また、スイングシリンダ電磁切換弁27の一方のソレノイド27eが故障した場合に他方のソレノイド27sを励磁させて、両ソレノイド27e,27sの励磁力が釣り合うようにしているが、ソレノイド27sの励磁力をソレノイド27eの励磁力よりも強くして上記電磁切換弁27を図5の右位置に切り換えるようにしてもよい。この場合は、ロックシリンダ63が収縮作動して、塵芥投入箱3をロック装置60により再びロックすることができるため、塵芥投入箱3が開放されるのを効果的に防止することができる。
また、スイングシリンダ電磁切換弁27のソレノイド27eが故障した場合にソレノイド27sを励磁させるように制御されているが、ソレノイド27sが故障した場合にソレノイド27eを励磁させるように制御してもよい。この場合は、検知手段として例えば塵芥投入箱3が開放位置にあることを検知する近接センサを設ければよい。これにより、塵芥投入箱3が開放位置にある状態で、排出板スイッチ36により排出板18を後方移動させて塵芥を排出しているときに、スイングシリンダ20が誤作動(収縮作動)して上記近接センサが非検知状態になると、上述にょうにスイングシリンダ電磁切換弁27が中立位置に保持させることができるので、塵芥投入箱3が閉鎖されるのを防止することができる。
【0047】
また、積込装置Tは、押込板8のみで塵芥を積み込むプレス式であるが、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であってもよい。この場合、押込板及び回転板を動作させるシリンダ及びモータが積込駆動手段71を構成する。
また、積込装置Tは、排出板18により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するようになっているが、塵芥収容箱2をダンプさせることにより上記塵芥を外部へ排出してもよい。この場合、塵芥収容箱2をダンプさせるためのシリンダが排出駆動手段となる。
【符号の説明】
【0048】
1 塵芥収集車
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
20 スイングシリンダ(油圧アクチュエータ)
27 スイングシリンダ用電磁切換弁(三位置電磁切換弁)
27e ソレノイド(開放用ソレノイド)
27s ソレノイド(閉鎖用ソレノイド)
43 積込スイッチ(積込操作手段)
47 制御装置
57 検知手段(検知手段)
63 ロックシリンダ(油圧アクチュエータ)
71 積込駆動手段
72 投入箱駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱に対して開閉可能に連接して設けられ、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、
三位置電磁切換弁の一対のソレノイドを個別に励磁させることにより作動して前記塵芥投入箱を開閉させる油圧アクチュエータを有する投入箱駆動手段と、
前記三位置電磁切換弁の各ソレノイドを個別に励磁させる操作指令を出力する投入箱操作手段と、を備えた塵芥収集車であって、
前記一対のソレノイドのうち一方のソレノイドが励磁して前記投入箱駆動手段が駆動していることを検知する検知手段と、
前記投入箱操作手段から操作指令が出力されていない状態で、前記検知手段が前記投入箱駆動手段の駆動を検知した際に、前記一対のソレノイドのうち他方のソレノイドを励磁させる制御装置と、を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む際に作動する積込駆動手段と、
前記積込駆動手段を作動させる操作指令を出力する積込操作手段と、をさらに備え、
前記三位置電磁切換弁の前記一対のソレノイドが、前記塵芥投入箱を開放するように前記投入箱駆動手段を駆動させる際に励磁される開放用ソレノイド、及び前記塵芥投入箱を閉鎖するように前記投入箱駆動手段を駆動させる際に励磁される閉鎖用ソレノイドであり、
前記検知手段は、前記開放用ソレノイドが励磁して前記投入箱駆動手段が駆動していることを検知するものであり、
前記制御装置は、前記投入箱操作手段から操作指令が出力されていない状態であってかつ前記積込操作手段から操作指令が出力されている状態で、前記検知手段が前記投入箱駆動手段の駆動を検知した際に、前記閉鎖用ソレノイドを励磁させる請求項1に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−178548(P2011−178548A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46958(P2010−46958)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】