説明

塵芥収集車

【課題】車両走行中にバッテリの蓄電量が減少するのを抑制することができる塵芥収集車を提供する。
【解決手段】塵芥収集車1の運転室1a内に、サイドブレーキがオフ状態であることを検出する近接センサ39を設ける。近接センサ39によりサイドブレーキがオフ状態であることを検出すると、塵芥投入箱3を開閉させるスイングシリンダ20の駆動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを動力源として積込装置を動作させる塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の塵芥収集車は、車体フレーム上に搭載された塵芥収容箱の後方に塵芥投入箱を備えており、この塵芥投入箱内には、当該塵芥投入箱内に投入された塵芥を塵芥収容箱に積み込むための積込装置が設けられている。この積込装置は、車両に搭載された駆動装置を駆動させることにより積み込み動作を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
上記駆動装置は、車両エンジンとは独立した動力源であるバッテリや、このバッテリから電力供給を受けて駆動する電動モータ及び油圧ポンプ等を備えており、車両エンジンを停止させた状態で積込装置を動作させることができるようになっている。これにより、積み込み作業を低騒音で行うことができるとともに、排気ガス量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−29602号公報(図7参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記塵芥収集車の積込装置は、車両エンジンとは独立したバッテリを動力源としているため、車両エンジンを作動させているときであっても積込装置を動作させることができる。このため、積込装置を停止させた状態で塵芥収集車を塵芥積込場所まで移動させている間に、例えば作業者が積込装置を動作させるための操作をしてしまうと積込装置が動作することがあった。このような場合、車両走行中にバッテリの蓄電量が減少し、積込場所において塵芥収容箱に塵芥を積み込むことができないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、車両走行中にバッテリの蓄電量が減少するのを抑制することができる塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の塵芥収集車は、車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱に対して開閉可能に連接して設けられ、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、前記積込装置の少なくとも一部を動作させるパワーユニットと、前記パワーユニットの動力源であるバッテリと、を備えた塵芥収集車であって、前記塵芥収集車が走行準備中又は走行中であることを検出する走行状態検出手段と、前記走行状態検出手段により前記塵芥収集車が走行準備中又は走行中であることを検出すると、前記積込装置の動作を制限する制御装置と、を備えていることを特徴としている。
【0006】
このような構成の塵芥収集車によれば、塵芥収集車が走行準備中又は走行中であるときは、積込装置が動作するのを制限するようにしたので、車両走行中にバッテリの蓄電量が減少するのを抑制することができる。
【0007】
また、前記積込装置が、前記塵芥投入箱を開放させる投入箱駆動手段を有し、前記制御装置は、前記走行状態検出手段により前記塵芥収集車が走行準備中であることを検出すると、前記投入箱駆動手段の駆動を規制することが好ましい。
この場合、塵芥収集車が走行準備中であるときに投入箱駆動手段が駆動するのを規制するようにしたので、車両走行中に塵芥投入箱が開放されるのを防止することができる。したがって、車両走行中に塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥が外部へ落下するのを防止することができる。
【0008】
また、上記塵芥収集車は、前記塵芥収集車の走行速度を検出する速度検出手段をさらに備え、前記制御装置は、前記速度検出手段により検出された走行速度が所定値以上になると、前記バッテリから前記パワーユニットへの通電を遮断することが好ましい。
この場合、塵芥収集車の走行速度が所定値以上になると、パワーユニットへの通電を遮断するようにしたので、車両走行中に積込装置が動作するのを効果的に制限することができる。したがって、車両走行中にバッテリの蓄電量が減少するのを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の塵芥収集車によれば、車両走行中に積込装置が動作するのを制限することができるため、車両走行中にバッテリの蓄電量が減少するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る塵芥収集車の側断面図である。
【図2】塵芥収集車の背面図である。
【図3】塵芥収集車の制御ブロック図である。
【図4】塵芥収集車の平面図である。
【図5】制御装置において実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る塵芥収集車の側断面図である。図において、この塵芥収集車1は、運転室(キャブ)1aと、運転室1aの下部から後方へ延びて形成されている左右一対の車体フレーム1bと、車体フレーム1bの上方に配置された塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2に対して開閉可能に連設して設けられた塵芥投入箱3とを備えている。塵芥収容箱2の後面には、開口部2aが形成されている。塵芥投入箱3の後部には、塵芥が投入される投入口3aが形成されており、この投入口3aを上下にスライドして開閉する蓋3bが設けられている。塵芥投入箱3の前方下部には、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥収容箱2に収容するための開口3dが設けられている。
【0012】
塵芥投入箱3は、上部に設けられた支点Pを中心に回動可能であり、これによって塵芥収容箱2に対しての開閉動作が可能である。塵芥投入箱3は、図の実線で示す位置では塵芥収容箱2を閉鎖し、図の二点鎖線で示すように上方へ回動したときは塵芥収容箱2を開放して塵芥を排出することができる状態とする。
【0013】
次に、塵芥投入箱3内に設けられている積込装置Tについて説明する。まず、塵芥投入箱3の左右の側壁3cには斜め上下に延びるガイドレール4が設けられており、スライダ5に取り付けられた左右一対二組のローラ6は、このガイドレール4内を斜め上下に移動することができる。スライダ5は、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示省略)により接続して一体化したものである。また、スライダ5の下端部には、ピン7を介して押込板8が回動自在に取り付けられている。押込板8もまた、図示のような側面形状の左右の部材間を車幅方向に延びるプレート等(図示省略)により接続して一体化したものである。
【0014】
一方、プッシュシリンダ9のシリンダ側端部はピン10により左右両側壁3cに取り付けられており、ピストン側端部はピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。他方、プレスシリンダ12のシリンダ側端部はピン13により押込板8に接続されており、ピストン側端部は上記ピン11により、スライダ5の上端部に接続されている。スライダ5は押込板8と共に、プッシュシリンダ9の伸長動作により斜めに上昇し、収縮動作により斜めに下降する。また、押込板8は、プレスシリンダ12の伸長作動によりピン7を中心として時計回り方向に回動し、収縮作動により反時計回り方向に回動する。
【0015】
これにより、押込板8は、図の実線で示す原位置から、プレスシリンダ12の収縮作動によりピン7を中心として反時計回り方向に回動する「反転」の行程を行う。また、押込板8は、反転工程後に、プッシュシリンダ9の収縮作動により「一次圧縮」の行程を行い、続いてプレスシリンダ12の伸長作動により時計回り方向に回動する「二次圧縮」の行程を行う。さらに、押込板8は、プッシュシリンダ9の伸長作動により「押込」の行程を行い、原位置に戻る。なお、プッシュシリンダ9及びプレスシリンダ12により積込駆動手段14を構成している。
【0016】
塵芥収容箱2の内部には、車両の前後方向に移動可能に排出板18が設けられ、この排出板18の後方(排出板18と開口部2aとの間)に、塵芥を収容する収容スペースSaが形成されている。テレスコ式のディスチャージシリンダ (排出板駆動手段)19のシリンダ側端部19aは排出板18下部の車幅方向略中間部に接続され、ピストン側端部19bは塵芥収容箱2の前壁2dの車幅方向略中間部に接続されている。
【0017】
排出板18は、ディスチャージシリンダ19の伸縮により、図1の実線で示す最後方位置と二点鎖線で示す最前方位置との間で移動可能である。上記収容スペースSaが空のとき、排出板18は最後方位置より少し前方に位置する初期位置にあり、押込板8により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を、押込板8と排出板18との間で圧縮するようになっている。そして、上記塵芥の積み込み量が増加すると、ディスチャージシリンダ19を徐々に収縮させて排出板18を前方へ移動させ、収容スペースSaを広げるようになっている。また、ディスチャージシリンダ19を伸長させて排出板18を後方へ移動させることにより、塵芥収容箱2に収容された塵芥を、開口部2aから外部へ排出できるようになっている。
【0018】
図2は、塵芥収集車1の背面図である。塵芥投入箱3の左右両端に配置された一対のスイングシリンダ(投入箱駆動手段)20は、上端が塵芥収容箱2側に取り付けられ(図1参照)、下端が塵芥投入箱3に取り付けられている。このスイングシリンダ20を伸長動作させると塵芥投入箱3が上方回動(開放)され、収縮作動させると塵芥投入箱3が下方回動(閉鎖)される。
なお、本実施形態では、上記押込板8と、プッシュシリンダ9と、プレスシリンダ12と、排出版18と、ディスチャージシリンダ19と、スイングシリンダ20とによって、積込装置Tが構成されている。
【0019】
図2において、塵芥投入箱3の左右両側壁3cの後部には、それぞれスイッチボックスSB2,SB3が設けられている。スイッチボックスSB2の側面には、押込板8の動作として「連続サイクル」又は「1サイクル」のどちらかの動作モードに選択するための動作選択スイッチ42が、正面には、各動作モードで積込動作を開始させるための積込スイッチ43、連続サイクル動作を停止させるための停止スイッチ44がそれぞれ設けられている。その他のスイッチについては、緊急時にのみ用いるスイッチ等であり、詳細な説明は省略する。なお、停止スイッチ44は右側のスイッチボックスSB3にも設けられている。
【0020】
図3は、塵芥収集車1の制御ブロック図である。油圧ポンプ22は、オイルタンク21から吐出した作動油を、プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19、及びスイングシリンダ20に供給するものである。この油圧ポンプ22を駆動する電動モータ45は、車両エンジンとは独立した専用のバッテリ46を動力源として制御部47の出力により駆動される。本実施形態では、油圧ポンプ22と電動モータ45とによりパワーユニット49が構成されている。なお、パワーユニット49は、電動ポンプ等の電動アクチュエータのみで構成することも可能である。また、パワーユニット49は、積込装置Tを構成するすべてのシリンダ9,12,19,20を動作させているが、少なくとも一つのシリンダを動作させていればよい。
【0021】
バッテリ46は、バッテリケース46aにバッテリ本体46bが内蔵されたものである。バッテリ本体46bは、1回の充電により6回の収集作業を行うことができる程度の電力を蓄電することができる。なお、1回の収集作業は、積込装置Tの1サイクル動作を100回及び排出板18の排出動作を1回行う作業を想定している。
バッテリケース46a内には、バッテリ本体46bからパワーユニット49への電力供給を断接するためのコンタクタ46cが内蔵されている。このコンタクタ46cは、通常時は運転室1a内に設けられたモーメンタリスイッチであるパワースイッチ38を操作することによりオン・オフされるようになっている。
【0022】
バッテリ46は、充電器50を介して外部の商用電源から供給される電力で充電されるようになっている。この充電器50は、バッテリ46の充電を制御する充電制御部50aと、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流部50bとを備えている。充電器50は、商用電源からの電源ケーブル51をコネクタ52に接続することにより、電力が供給されるようになっている。
【0023】
コネクタ52は、制御ボックス56(後述)に収納されたAC/DCコンバータ53にも接続されている。このAC/DCコンバータ53は、商用電源からコネクタ52を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を制御部47に供給するようになっている。これにより、制御部47は、電動モータ45を商用電源からの電力供給によりバッテリ46を介さずに直接駆動させることもできる。なお、AC/DCコンバータ53は、制御部47に内蔵されていてもよい。
【0024】
制御部47は、制御ボックス56内に収納されており、運転室1a内に設けられたエンジン始動用のキースイッチ55及びメインスイッチ34を介して通電される。運転室1a内には、上記メインスイッチ34、塵芥投入箱3を開閉操作するテールゲートスイッチ35、排出板18を前後移動操作するための排出板スイッチ36等を有するスイッチボックスSB1が設けられている。
【0025】
また、運転室1a内には、塵芥収集車1が走行準備中であることを検出する近接センサ(走行状態検出手段)39が設けられている。ここで、「走行準備中」とは、停車状態にある塵芥収集車1を走行するための準備が開始されてから、塵芥収集車1の走行が開始される前までのことを意味する。本実施形態では、走行準備中にサイドブレーキ(図示省略)がオフ状態(ブレーキが解除された状態)になったことを、近接センサ39により検出している。制御部47は、近接センサ39によりサイドブレーキがオフ状態であることを検出すると、上記テールゲートスイッチ35による塵芥投入箱3の開放操作を無効(入力信号を受け付けない又は出力信号を出力しない)にして、スイングシリンダ20の駆動を規制する。
【0026】
また、制御部47は、バッテリ46を充電する際に上記電源ケーブル51がコネクタ52に接続されると、パワースイッチ38のオン操作を無効(入力信号を受け付けない)にする。さらに、制御部47は、電源ケーブル51がコネクタ52に接続された状態で、近接センサ39によりサイドブレーキがオフ状態であることを検出すると、運転室1a内に設けられた警報手段である警報ブザー41を鳴動させ、作業者に警報を発するようになっている。なお、警報手段は、警報ブザー41に替えて又は警報ブザー41とともに警報ランプを点灯させるようにしてもよい。
【0027】
制御ボックス56には、制御部47への電力供給を断接するためのコントロールスイッチ57が設けられている。コントロールスイッチ57は、通常時はオン状態に保持されており、制御部47が故障をした場合などの非常時に、オフ状態に切り換え、バッテリ46及びAC/DCコンバータ53(商用電源)から制御部47への電力供給を遮断できるようになっている。
【0028】
また、制御ボックス56には、バッテリ46の残り蓄電量やバッテリ46が放電中及び充電中のいずれの状態であるかを表示したり、メンテナンス情報等の各種車両情報を表示するための表示器54が設けられている。この表示器54は、図1に示すように、作業者が歩道側から容易に視認することができるように制御ボックス56の左舷側の側面に設けられている。
【0029】
制御部47には、図示の各機能スイッチ(SWと表記。以下同様。)34〜36,38,42〜44から入力信号が与えられる。プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、ディスチャージシリンダ19、及びスイングシリンダ20は、制御部47によって各シリンダ9,12,19,20の伸縮動作を切り換える電磁弁(図示省略)を切り換えることにより、それぞれ個別に伸縮動作される。
【0030】
また、制御部47には、塵芥収集車1の走行速度を検出する車速センサ(速度検出手段)40から入力信号が与えられるようになっている。制御部47は、上記コンタクタ46cがオンにされた状態で塵芥収集車1を走行させた場合、車速センサ40により上記走行速度が所定値(例えば20km/h)以上になったことを検出すると、コンタクタ46cをオンからオフに切り換え、バッテリ46からパワーユニット49への通電を遮断するようになっている。
【0031】
なお、上記制御部47、AC/DCコンバータ53、制御ボックス56及びコントロールスイッチ57とにより制御装置Cが構成されている。また、上記オイルタンク21、バッテリ46、パワーユニット49、充電器50、コネクタ52及び制御装置Cとにより駆動装置58が構成されている。
【0032】
図1において、車体フレーム1b上には、塵芥収容箱2の底部を車体フレーム1bに対して所定の高さ位置で支持するための支持部材61が設けられている。支持部材61は、塵芥収容箱2の底板2bに沿って配置された支持本体部62と、支持本体部62の前端部、中央部及び後端部のそれぞれ下方に配置された前支持部63、中央支持部64及び後支持部65とを備えている。
【0033】
支持本体部62は、前後方向に延びて形成された左右一対のチャンネル材からなり、各支持本体部62の上面は、塵芥収容箱2の底板2bに溶接により固定されている。各支持本体部62の前後方向の長さは、塵芥収容箱2の底板2bの前後方向の長さと略同一に形成されている。また、各支持本体部62の車幅方向の配置間隔は、各車体フレーム1bの車幅方向の配置間隔と略同一に形成されている。また、支持本体部62の下面前部には、下方に開口する凹部62aが形成されている。
【0034】
前支持部63及び中央支持部64は、後述する取付部材71の上面に溶接により固定され、一体的にユニット化されている。前支持部63及び中央支持部64の上面には、支持本体部62下面の前端部及び中央部がそれぞれ載置された状態で、図示しないボルトにより固定されている。
【0035】
後支持部65は、車体フレーム1b上面の後端部に溶接により固定されている。後支持部65の上面には、支持本体部62下面の後端部が載置された状態で、図示しないボルトにより固定されている。なお、後支持部65は、取付部材71を後方に延長し、この取付部材71の上面に固定することも可能である。また、支持部材61は支持本体部62と各支持部63〜65とが全て一体形成されたものであってもよい。さらに、支持部材61を嵩高に形成した支持本体部62のみにより構成することも可能である。
【0036】
支持部材61には、支持本体部62の下面に形成された上記凹部62aと、前支持部63の後面と、中央支持部64の前面とによって、下方に開口する窪み部66が形成されている。この窪み部66と車体フレーム1bの上面との間には箱下空間Sdが形成されている。前支持部63の前面及び塵芥収容箱2の前壁2dと運転室1aの後壁との間には、箱前空間Sf(キャブバックスペース)が形成されている。
なお、箱下空間Sdは、塵芥収容箱2の底板2bと上方に開口させた窪み部とにより形成することも可能である。また、支持部材61に貫通孔を形成することにより箱下空間Sdを形成してもよい。さらに、箱下空間Sdは、中間支持部63と後支持部65との間に形成することも可能である。
【0037】
図4は塵芥収集車の平面図である。図1及び図4において、駆動装置58の全構成部材は、箱下空間Sd及び箱前空間Sfにそれぞれ配置されている。具体的には、箱下空間Sdにはバッテリ46及び充電器50が配置され、箱前空間Sfにはパワーユニット49、制御装置C及びオイルタンク21が配置されている。バッテリ46は、図4の平面視において矩形状に形成されており、その長手方向が車幅方向(左右方向)に延びるように配置されている。また、駆動装置58の全構成部材は、一体的にユニット化した状態で車体フレーム1bに搭載されるように共用の取付部材71上に取り付けられている。この取付部材71は車体フレーム1b上にUボルト等により固定されている。
【0038】
図1において、充電器50に接続されるコネクタ52は、左舷側の中央支持部64後方の取付部材71上面に、その接続口52aを外側方に向けて取り付けられている。したがって、外部電源からの電源ケーブル51を車両の左舷側から容易にコネクタ52に接続することができる。なお、コネクタ52は、中央支持部64の後面に取り付けられていてもよい。
【0039】
次に、上記のように構成された塵芥収集車1の本発明の関する制御について、図5のフローチャートを参照して説明する。処理開始により制御部47は、パワースイッチ38がオンされるのを待ち(ステップS1)、オンになるとバッテリ46が充電中であるか否か、具体的には電源ケーブル51がコネクタ52に接続されているか否かを判別(ステップS2)する。バッテリ46を充電していない場合には、制御部47はコンタクタ46cをオフからオンに切り換え(ステップS3)、積込装置Tを動作させる各種操作スイッチ34〜36及び42〜44の操作を有効(入力信号を受け付けて出力信号を出力する)にする。
【0040】
次に、制御部47は、パワースイッチ38がオン状態で作業者がサイドブレーキをオフにするか否かを近接センサ39の検出状態により監視する(ステップS4)。そして、サイドブレーキがオフにされると、テールゲートスイッチ35による塵芥投入箱3の開放操作を無効にして(ステップS5)、塵芥収集車1の走行中にスイングシリンダ20が駆動されるのを規制する。
【0041】
次に、制御部47は、塵芥収集車1の走行速度が20km/h以上になったか否かを車速センサ40により監視する(ステップS6)。そして、車速センサ40により上記走行速度が20km/h以上になったことを検出すると、制御部47はコンタクタ46cをオンからオフに切り換え(ステップS7)、バッテリ46からパワーユニット49への通電を遮断する。これにより、スイングシリンダ20に加えて、プッシュシリンダ9、プレスシリンダ12、及びディスチャージシリンダ19の駆動も規制される。
【0042】
一方、ステップS2において、バッテリ46を充電している場合、制御部47はパワースイッチ38によるオン操作を無効にする(ステップS11)。これにより、作業者がバッテリ46の充電中に誤って積込装置Tを動作させるのを防止することができる。この結果、電源ケーブル51やコネクタ52が破損するのを防止することができる。
続いて、制御部47は、バッテリ46の充電中に作業者がサイドブレーキをオフにするか否かを近接センサ39の検出状態により監視する(ステップS12)。そして、サイドブレーキがオフにされると、制御部47は、警報ブザー41を鳴動させ(ステップS13)、作業者に警報を発する。これにより、作業者がバッテリ46の充電中に誤って車両を走行させるのを防止することができる。
【0043】
以上のように構成された本実施形態の塵芥収集車1によれば、塵芥収集車1が走行準備中であることを近接センサ39が検出した際に、スイングシリンダ20の駆動を規制するようにしたので、走行中に積込装置Tが動作するのを制限することができる。したがって、車両走行中にバッテリ46の蓄電量が減少するのを抑制することができる。また、車両走行中に塵芥投入箱3が開放されるのを防止することができるため、車両走行中に塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥が外部へ落下するのを防止することができる。
【0044】
また、塵芥収集車1の走行速度が所定値以上になったことを車速センサ40が検出した際に、コンタクタ46cをオフにしてバッテリ46からパワーユニット49への通電を遮断するようにしたので、車両走行中に積込装置Tが動作するのを効果的に制限することができるとともに、制御装置Cの待機電力が消費されるのを抑制することができる。したがって、車両走行中にバッテリ46の蓄電量が減少するのを効果的に抑制することができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の走行状態検出手段(近接センサ39)は、塵芥収集車1が走行準備中であることを検出するために、サイドブレーキがオフ状態であることを検出しているが、運転室1a内に備えられている変速用シフトレバーがニュートラル以外の位置に切り換わったことを検出するようにしてもよい。すなわち、運転手が走行準備中に行う一連の作業のうち、少なくとも一つの作業が行われた(行われる)ことを検出すればよい。
また、走行状態検出手段は、塵芥収集車1が走行準備中であることを検出しているが、走行中であること検出してもよい。この場合は、速度検出手段である車速センサ40を走行状態検出手段として兼用することができる。具体的な制御例としては、塵芥収集車1の走行開始直後に積込装置Tの動作を制限すればよい。
【0046】
さらに、走行状態検出手段が検出したときに、テールゲートスイッチ35の操作を無効にしているが、コンタクタ46cをオフにしてバッテリ46からパワーユニット49への通電を遮断してもよい。この場合、パワースイッチ49はモーメンタリスイッチであるため、走行検出手段が検出してコンタクタ46cをオフにしたとしても、その後の使用時には、パワースイッチ49を押す操作のみでコンタクタ46cをオンに切り換えることができ、トグルスイッチのように一端オフ操作をしてから再度オン操作しなければならない場合に比べて、作業性が向上する。
また、走行状態検出手段が検出したときに、スイングシリンダ20が駆動されるを規制しているが、積込装置Tを構成するシリンダ9、12、19、20のうち少なくとも一以上のシリンダが駆動されるのを規制すればよい。
【0047】
また、パワーユニット49への通電を遮断する際、塵芥収集車1の走行速度は20km/hに設定されているが、その設定値は適宜変更可能である。
また、パワーユニット49への通電遮断は、塵芥収集車1の走行速度が所定値以上になったときに行っているが、塵芥収集車1が走行準備中であることを近接センサ39が検出したときに行ってもよい。この場合は、走行準備中にパワーユニット49による電力消費を抑えることができるため、バッテリ46の蓄電量の減少をさらに効果的に抑制することができる。
また、バッテリ46内のコンタクタ46cによりパワーユニット49への通電を遮断しているが、バッテリ本体46bからパワーユニット49までの任意の箇所において通電を遮断していればよい。
【0048】
また、積込装置Tは、押込板8のみで塵芥を積み込むプレス式であるが、押込板と回転板との協働により塵芥を積み込む回転板式であってもよい。この場合、押込板と、回転板と、これらを動作させるシリンダ及び/又はモータとが、積込装置Tの一部を構成する。
また、積込装置Tは、排出板18により塵芥収容箱2内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するようになっているが、塵芥収容箱2をダンプさせることにより上記塵芥を外部へ排出してもよい。この場合、塵芥収容箱2をダンプさせるためのシリンダが、積込装置Tの一部を構成する。
【符号の説明】
【0049】
1 塵芥収集車
1b 車体フレーム
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
3a 投入口
20 投入箱駆動手段
39 近接センサ(走行状態検出手段)
40 車速センサ(速度検出手段)
46 バッテリ
49 パワーユニット
58 駆動装置
C 制御装置
T 積込装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの上方に配置されている塵芥収容箱と、
前記塵芥収容箱に対して開閉可能に連接して設けられ、後部に塵芥の投入口を有する塵芥投入箱と、
前記塵芥投入箱内に投入された塵芥を前記塵芥収容箱に積み込む動作を行うとともに、当該塵芥収容箱内に積み込まれた塵芥を外部へ排出するための動作を行う積込装置と、
前記積込装置の少なくとも一部を動作させるパワーユニットと、
前記パワーユニットの動力源であるバッテリと、を備えた塵芥収集車であって、
前記塵芥収集車が走行準備中又は走行中であることを検出する走行状態検出手段と、
前記走行状態検出手段により前記塵芥収集車が走行準備中又は走行中であることを検出すると、前記積込装置の動作を制限する制御装置と、を備えていることを特徴とする塵芥収集車。
【請求項2】
前記積込装置が、前記塵芥投入箱を開放させる投入箱駆動手段を有し、
前記制御装置は、前記走行状態検出手段により前記塵芥収集車が走行準備中であることを検出すると、前記投入箱駆動手段の駆動を規制する請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
前記塵芥収集車の走行速度を検出する速度検出手段をさらに備え、
前記制御装置は、前記速度検出手段により検出された走行速度が所定値以上になると、前記バッテリから前記パワーユニットへの通電を遮断する請求項2に記載の塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−190016(P2011−190016A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56090(P2010−56090)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000163095)極東開発工業株式会社 (215)
【Fターム(参考)】