説明

増量シンジオタクテイツクポリスチレンエラストマーブロツクコポリマー類

【課題】 増量シンジオタクティックポリスチレンエラストマーブロックコポリマー類。
【解決手段】 少なくとも1種のエラストマーブロックと少なくとも1種のシンジオタクティックポリスチレンブロックを有するブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物を開示し、ここでは、これに、シンジオタクティックポリスチレン(sPS)ブロック(類)を1から80重量%とゴム状エラストマーブロック(類)を99から20重量%含めたポリマー成分を100重量部含有させそして増量剤を少なくとも30重量部含有させる。上記ブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物は、熱可塑性エラストマーの特性を示し、そしてユニークな柔らかさを示すことから、高温用途で用いるに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンジオタクティック(syndiotactic)ポリスチレンで構成させたブロックとゴム状エラストマー(コ)ポリマー類、例えばスチレン/ブタジエンまたはポリブタジエンなどで構成させたブロックを持たせた新規なブロックコポリマー類に関する。より詳細には、本発明は、高い度合のシンジオタクティック性を示すポリスチレンブロック−エラストマーブロックのコポリマー類に増量剤、例えばオイルまたは他の低分子量成分を添加することで高温耐性(high temperature resistance)と加工可能機械的特性(processable mechanical properties)を有する軟質組成物を製造することに関する。
【背景技術】
【0002】
過去において、石油を基とするオイル、例えばナフテン系オイル、芳香族系オイルおよびパラフィン系オイルなどおよび他の低分子量有機材料などで熱可塑性エラストマーを増量するとコストが低くなりかつ熱可塑性エラストマーが有する特定のエラストマー特性が向上することが知られていた。本譲受人が所有する特許文献1では、ハードブロック(hard block)とソフトブロック(soft block)を有する高分子量のブロックコポリマーと大量の油状もしくは低分子量材料から成るブレンド物を用いて、数多くの産業用途で用いるに有用なユニークな柔らかさと充分な機械的強度とダンピング(damping)特性を示す組成物を得ている。その組成物が示す耐熱性は、より高い温度の用途(自動車および電気器具における数多くの用途が含まれる)で用いるには充分でない。
【0003】
特許文献2には、アニオン重合のポリブタジエンもしくはポリ(ブタジエン/スチレン)ブロックとシンジオタクティックポリスチレン(sPS)ブロックを有するブロックコポリマー類が開示されている。しかしながら、上記特許にも他の如何なる従来特許にも、低いショアA硬度を示す軟質材料を得る目的でそのような高オイル含有量の組成物を用いることは全く示唆されていない。
【0004】
エラストマー特性を示し、良好な機械的強度を有し、ユニークな柔らかさを持ちかつ高温用途で使用できるブロックコポリマー組成物を製造することが非常に望まれている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,451,454号
【特許文献2】特開93−320280号
【発明の要約】
【0006】
本発明の目的は、エラストマー特性、例えば向上した耐熱性、柔らかさ、弾性および機械的強度などを示しかつまた産業材料、例えば電気材料および電子材料など、産業用建設材料、自動車部品、家庭用電気器具およびいろいろな機械部品などに成形するによく適合しているポリスチレン−エラストマーブロックコポリマー含有組成物を提供することにある。
【0007】
本発明に従い、(1)シンジオタクティックポリスチレンで構成させたブロックと(2)エラストマー組成物、例えばポリブタジエンまたはスチレン/ブタジエンなどで構成させたブロックを持たせたブロックコポリマーを含有させてそれを増量剤で増量した(extended)組成物を製造する。この組成物は、このような組成物が有する柔らかさも弾性も損なわれることなく、耐熱性と機械的強度が非常に向上している。本発明の増量ブ
ロックコポリマー組成物に(1)少なくとも1種のエラストマーブロックと(2)少なくとも1種のシンジオタクティックポリスチレンブロックを含めるが、ここでは、この組成物に、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)、好適にはシンジオタクティックポリスチレン(sPS)ブロック(類)を1から80重量%とゴム状エラストマーブロック(類)を99から20重量%含むブロックコポリマーを100重量部含有させそして増量剤、例えばオイルエクステンダー(oil extender)または低分子量成分などを少なくとも約30重量部、好適には30から約1000重量部含有させる。
【好適な態様の説明】
【0008】
本発明の増量ブロックコポリマー組成物には、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)、好適にはシンジオタクティックポリスチレン(sPS)ブロック(類)を1から80重量%とゴム状エラストマーブロック(類)を99から20重量%有するブロックコポリマーを100重量部含有させそして増量剤、例えば低分子量成分またはオイルエクステンダーなどを少なくとも約30重量部、好適には30から約1,000重量部含有させる。好適な態様において、本発明の組成物は、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)、好適にはシンジオタクティックポリスチレン(sPS)ブロック(類)を10から50重量%とゴム状エラストマーブロック(類)を90から50重量%含むブロックコポリマー類をオイルで増量した組成物である。このsPSブロックの重量パーセントが80%を越えると、最終組成物の弾性が悪影響を受けかつ上記ブロックコポリマーとオイルまたは低分子量増量剤との混和性が容認されなくなる。上記sPSブロックの重量パーセントが1%未満であると、耐熱性と機械的特性の実質的な向上が得られない。
【0009】
本発明に従って調製するブロックコポリマー類のエラストマーブロックセグメントは如何なるエラストマーブロックセグメントであってもよく、これには、これらに限定するものでないが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエンのランダムコポリマー(SBR)、好適にはブタジエン/スチレンの重量比が約85/15から約45/55のSBR、スチレン/ブタジエン/スチレンのブロックコポリマー(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレンのブロックコポリマー(SIS)、そして上記ポリマー類およびコポリマー類の部分水添版もしくは完全水添版が含まれる。好適なエラストマーブロックセグメントには、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエンのランダムコポリマー(ランダムSBR)、勾配(tapered)SBR、ミクロブロック(microblock)SBR、スチレン/イソプレンのランダムコポリマー(ランダムSIR)、勾配SIR、スチレン/ブタジエン/イソプレンのランダムコポリマー(ランダムSIBR)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのブロックコポリマー(SEBE)、スチレン−エチレン/ブチレンのブロックコポリマー(SEB)、スチレン−エチレン/プロピレン−ブロックコポリマー(SEP)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンのブロックコポリマー(SEPS)、スチレン−エチレン/プロピレン−エチレンのブロックコポリマー(SEPE)、スチレン−エチレン/ブチレン−エチレンのブロックコポリマー(SEBE)、スチレン−エチレン/スチレンのブロックコポリマー(SES)、エチレン−エチレン/ブチレンのブロックコポリマー(EEB)、エチレン−エチレン/ブチレン/スチレンのブロックコポリマー(水添BR−SBRブロックコポリマー)、エチレン−エチレン/ブチレン/スチレン−エチレンのブロックコポリマー(水添BR−SBR−BRブロックコポリマー)、エチレン−エチレン/ブチレン−エチレンのブロックコポリマー(EEBE)などが含まれる。
【0010】
好適には、本発明のブロックコポリマー類に入っているブタジエン由来単位含有エラストマーブロックセグメントが含有するビニル含有率を低くするか、或は本ブロックコポリマー類に入っているイソプレン由来単位含有エラストマーブロックセグメントが含有する
3,4−イソプレン含有率を低くし、個々のブタジエン由来単位またはイソプレン由来単位中のビニルまたは3,4−イソプレン含有率を20%未満、好適にはビニルまたは3,4−イソプレン含有率を10%未満にする。上記ブロックコポリマー類に適切な増量剤を添加した組成物は、優れた加工性と優れた耐熱性および耐候性を示す。
【0011】
最も好適なエラストマーブロックセグメントは、半バッチ式技術によるSBRブロックおよびミクロブロックSBRである。半バッチ式技術によるSBRブロックは、調節供給技術(計量と呼ぶ)で調節剤(modifier)をほとんどか或は全く用いないでブタジエン由来単位中のビニル含有率が低くてスチレン由来単位がランダムに分布しているブロックを生じさせることで作られる。ミクロブロックSBRは、通常、カリウム型ランダム化剤(randomizer)、例えば米国特許第5,153,159号に記述されている如きカリウムt−アミラートまたはドデシルベンゼンスルホン酸カリウムなどを用いたバッチ式方法で作られる。このようなシステムを用いると、ジエン由来単位中のビニル含有率が低くなり、ミクロブロックスチレン配列がS3からS8の線状ブロックセグメントにピークを示すようになる。
【0012】
本発明のブロックコポリマー類に含めるエラストマーブロックセグメントを生じさせる時に使用可能な重合性1,3−ジエンモノマー類は、炭素原子を含めて1分子当たり4から12個含む1種以上の1,3−共役ジエン類である。典型的なモノマー類には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、2−メチル−3−エチル−1,3−ブタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどが含まれる。ジアルキル−1,3−ブタジエン類の中で、アルキル基が炭素原子を1から3個含むものが好適である。本発明の方法で用いるに好適な1,3−ジエンモノマーは1,3−ブタジエンである。
【0013】
本発明のブロックコポリマー類に含めるエラストマーブロックセグメントまたは本発明のシンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)を生じさせる時に用いる典型的なビニル置換芳香族炭化水素モノマー類(通常、ビニル芳香族炭化水素モノマー類またはVAMと呼ぶ)には、スチレン、アルファ−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1−アルファメチルビニルナフタレン、2−アルファメチルビニルナフタレン、およびそれらの混合物ばかりでなく、それらのハロ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、アルカリールおよびアラルキル誘導体(組み合わせた炭化水素中の全炭素原子数は一般に12以下である)などが含まれる。後者の化合物の例には、4−メチルスチレン、ビニルトルエン、3,5−ジエチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−フェニルスチレン、4−パラ−トリルスチレンおよび4,5−ジメチル−1−ビニルナフタレンなどが含まれる。時には、モノビニル芳香族炭化水素に加えてジ−およびトリ−ビニル芳香族炭化水素を少量用いる。好適なビニル芳香族炭化水素はスチレンである。
【0014】
本発明では、必要なアニオン開始剤、「リビング(living)」ポリマーまたはシンジオタクティック触媒を存在させてブロックの生成に必要なモノマーを逐次的に仕込むと複数のブロックから成るコポリマー類が生じると考える。本発明では、1種のシンジオタクティックポリスチレンブロックと1種のエラストマーブロックを有するジブロックコポリマー類を生じさせるのが好適である。また、本分野の技術者に知られている如き適切なカップリング剤を用いてジブロックコポリマーを連成させてトリブロックコポリマー類を生じさせることも本発明の範囲内である。
【0015】
本発明に従う方法を下記の様式で実施する。最初に、反応槽または反応ゾーン内で適切なモノマー類、特にジエンモノマー類および/またはビニル芳香族モノマー類をアニオン
開始剤存在下の適切な希釈剤中で重合させて1種以上のブロックを生じさせることでブロックコポリマーのエラストマーブロックセグメントを生じさせる。その結果として生じたエラストマーブロックポリマーは、その末端部に触媒活性アニオンが存在していることから「リビング」である。このアニオンは反応ゾーン内でさらなるモノマー類の重合を開始させる能力を有する。
【0016】
本発明で用いるべきブロックポリマーに含めるエラストマーブロック部分の分子量には特に制限はないが、重量平均分子量で表して望ましくは5,000から1,000,000、より望ましくは10,000から500,000である。
【0017】
このエラストマーブロックポリマーセグメントを生じさせた後、この「リビング」エラストマーブロックが入っている反応ゾーンにビニル芳香族炭化水素モノマー、好適にはスチレンモノマーの仕込み物(この重合系にまだ存在させていない場合には)とメタロセン触媒を同時にか或は逐次的に加えることでチーグラー・ナッタ(Ziegler−Natta)重合を実施する。このメタロセン触媒仕込み物は、スチレンモノマーが重合してシンジオタクティックポリスチレンブロックが生じるように重合を調節する。
【0018】
次に、この反応混合物を処理して上記触媒を失活させた後、(シンジオタクティックポリスチレンブロック)−(エラストマーブロック)のブロックコポリマーを回収する。適切な如何なる処理方法も使用可能であると理解されるべきであるが、所望の処理を達成する1つの方法は、触媒失活用材料を添加することを含む。典型的な触媒失活用材料には、水、アルコール、有機酸、無機酸、それらの混合物などが含まれる。このポリマーを単離するに先立ってポリマー溶液に抗酸化剤を添加するのが有利であることを確認した。次に、触媒失活用材料および抗酸化剤を添加した後、この触媒失活用材料を過剰量で添加して、まだ沈澱していないポリマーおよび溶液中に残存するポリマーを沈澱させるか、或は溶媒を瞬間蒸発(flashing)させることでポリマーの単離を行ってもよい。この触媒の失活および任意に必要なポリマー沈澱を単一段階で達成することも可能である。次に、この沈澱させたポリマーの回収を濾過、デカンテーションなどで行ってもよい。その分離したポリマーを再び溶媒、例えば上記重合で用いるに適切な溶媒などに溶解させた後、アルコールを添加することで再び沈澱を起こさせることを通して、ポリマーの精製を行ってもよい。その後、再び、適切な分離手段(本明細書の以下に示す如き)を用いて上記ポリマーを回収して乾燥させる。上記溶媒とアルコールは例えば分別蒸留などで分離可能であり、それらは再利用可能である。上記抗酸化剤は、ポリマーを沈澱させる前の反応混合物にか、ポリマーを再溶解させた溶液にか、或は後で上記ポリマーを再溶解させる溶媒に添加可能である。
【0019】
重合は重合技術で利用される便利な如何なる温度で実施されてもよい。典型的な重合温度は、各段階で、約0℃以下から約200℃以上の範囲、好適には約40℃から100℃の範囲である。上記重合の反応温度は、該ポリマーが融合する温度より低い温度である限り重要でなく、この温度を一般に150℃以下の温度に設定する。
【0020】
重合時間は便利さに応じて幅広く変えることができるが、勿論、選択した重合温度の影響を受ける。各段階で実質的に完全な重合が得られるように時間を選択すべきである。
【0021】
本発明の方法では、ジエンモノマー類とビニル芳香族炭化水素の共重合で用いるに有効であるとして本技術分野で知られる如何なるアニオン開始剤も使用可能である。典型的な有機リチウム触媒には、式R(Li)[式中、Rは、R基当たりの炭素原子数が1から20、好適には2から8のヒドロカルビル基を表し、そしてxは、1から4の整数である]で表されるリチウム化合物が含まれる。典型的なR基には、脂肪族基および環状脂肪族基、例えばアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキ
ル、アリールおよびアルキルアリール基などが含まれる。上記式中のR置換基の具体例には、第一級、第二級および第三級基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−アミル、イソアミル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、シクロペンチル−メチル、シクロヘキシル−エチル、シクロペンチル−エチル、メチルシクロペンチルエチル、シクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、イソプロピルシクロヘキシルなどが含まれる。
【0022】
他の適切なリチウム触媒の具体例には、p−トリルリチウム、4−フェニルブチルリチウム、4−ブチルシクロヘキシルリチウム、4−シクロヘキシルブチルリチウム、リチウムジアルキルアミン類、リチウムジアルキルホスフィン類、リチウムアルキルアリールホスフィン、リチウムジアリールホスフィン類、1,3,3−トリリチオ−1−オクチン、1,1,3−トリリチオ−1,2−ブタジエンなどが含まれる。本発明で用いるに好適な触媒はn−ブチルリチウムおよびs−ブチルリチウムである。
【0023】
上記エラストマーブロックの重合開始で用いるアニオン開始剤の仕込み量は、一般に、上記反応ゾーンに仕込む全モノマー量100重量部当たり0.1から5ミリ当量の開始剤から成る範囲であり、好適には仕込む全モノマー100重量部当たり0.4から2ミリ当量の開始剤から成る範囲である。
【0024】
触媒系をLi型からTi型(スチレン型モノマーのシンジオタクティック重合で用いるに適した)に変える前のスチレニルリチウム鎖末端を円滑にスチレニル−Ti活性種に変化させるのは比較的困難であることを見い出した。従って、Ti触媒を仕込む前にブタジエンモノマーを少量添加してスチレニルリチウム鎖末端をブタジエニル−Liに変化させておくのが有効である。このような変換技術は、特に、上記エラストマーブロックのスチレン含有量が高い時(>30%)にか或はスチレニル−Li/ブタジエニル−Liの鎖末端構造比が30/70より高い時に適用可能である。
【0025】
上記エラストマーブロックの重合が終了した時点で、スチレンモノマーとこのスチレンモノマーがシンジオタクティック形態で重合するのを助長する触媒を重合反応槽に添加する。このシンジオタクティック形態で重合するスチレンのブロックは上記エラストマーブロックの「生きている(live)」末端に結合して生じる。
【0026】
シンジオタクティック形態を有するスチレン系ポリマーブロックはシンジオタクティック形態の立体化学構造を有する、即ち側鎖として存在する置換フェニル基のフェニル基が、炭素−炭素結合から成る主鎖に関して、向かい合う方向で交互に位置している立体構造を有する。立体規則性は、炭素同位体を用いた核磁気共鳴方法(13C−NMR方法)で定量的に測定される。この13C−NMR方法で測定した時の立体規則性は、互いに連続的に連結している構造単位の比率で表示可能である、即ち2つの構造単位が互いに連結しているダイアド(diad)、3つの構造単位が互いに連結しているトリアド(triad)、および5つの構造単位が互いに連結しているペンタド(pentad)として表示可能である。本発明で述べる如きシンジオタクティック形態を有するスチレン系ブロックは、上述した方法で測定した時にラセミ型ダイアドの比率が少なくとも75%、好適には少なくとも85%であるか或はラセミ型ペンタドの比率が少なくとも30%、好適には少なくとも50%であるシンジオタクティック性(syndiotacticity)を示すポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(安息香酸ビニル)、それらの水添ポリマー、それらの混合物、および上記ポリマー類を主成分として含有するコポリマー類であり得る。このようなポリ(アルキルスチレン)には、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(t−ブチルスチ
レン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)およびポリ(ビニルスチレン)などが含まれる。ポリ(ハロゲン化スチレン)にはポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)およびポリ(フルオロスチレン)などが含まれる。ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)にはポリ(クロロメチルスチレン)などが含まれる。ポリ(アルコキシスチレン)にはポリ(メトキシスチレン)およびポリ(エトキシスチレン)などが含まれる。
【0027】
特に望ましいスチレン系ブロックは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、ハロゲン化ポリスチレン、およびそれらの構造単位を含有するコポリマーである。シンジオタクティックポリスチレンブロックの成形で用いるに好適なスチレンモノマー類には、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびそれらの混合物が含まれる。本発明で上記ポリマー類またはそれのブロックを水添する時に用いる水添技術は本分野の技術者に公知の標準的水添方法である。
【0028】
本発明で用いるべきブロックポリマーに含めるスチレン系ブロック部分の分子量には特に制限はないが、重量平均分子量で表して望ましくは1,000から1,000,000、より望ましくは5,000から500,000である。このスチレン系ポリマーの分子量分布、即ち分子量の幅広さも同様に特に制限はなく、幅広い範囲であってもよい。重量平均分子量を1,000未満にするのは望ましくない、と言うのは、得られる組成物または成形品の熱特性および機械的特性がそれによって悪化するからである。
【0029】
本発明で用いるブロックポリマーに含めるスチレン系ブロック部分の融点温度は、上記ブロックポリマーが高温で使用可能なように、必然的に少なくとも150℃、最も好適には200℃以上である。
【0030】
そのようなシンジオタクティック形態を有するスチレン系ブロックは、上記スチレン系ポリマーに相当するスチレン系モノマーを最初のエラストマーブロックの開始で用いた溶媒の存在下で触媒[これにはチタン化合物、および水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物(特開187708/1987号)が含まれる]を用いて重合させると生じ得る。加うるに、それぞれ特開46912/1989号および178505/1989号に記述されている方法を用いて、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)およびそれの水添生成物を生じさせることも可能である。
【0031】
スチレンを基にしていてシンジオタクティック形態を高い度合で有する本発明のブロックは、触媒(これにはチタン化合物、および縮合剤と有機アルミニウム化合物の反応生成物が含まれる)を用いてスチレンを基とするモノマー(これには、スチレンを基とする所望のポリマーブロックに相当して、スチレンおよびスチレン誘導体が含まれる)を無溶媒または不活性炭化水素溶媒の存在下で重合させることなどで得ることができる。
【0032】
ここでは、いろいろなチタン化合物を触媒として用いることができる。好適な例は、一般式
【0033】
【化1】

【0034】
[式中、
、RおよびRは、各々、水素原子、炭素原子数が1から20のアルキル基、炭素原子数が1から20のアルコキシル基、炭素原子数が6から20のアリール基、炭素原子数が6から20のアルキルアリール基、炭素原子数が6から20のアリールアルキル基、炭素原子数が1から20のアシルオキシ基、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基またはインデニル基であり、Xはハロゲン原子であり、a、bおよびcは、各々、0から4の整数であり、そしてdおよびeは、各々、0から3の整数である]
で表されるチタン化合物およびチタンキレート化合物から成る群から選択される少なくとも1種の化合物である。
【0035】
加うるに、一般式
【0036】
【化2】

【0037】
[式中、
およびRは、各々、ハロゲン原子、炭素原子数が1から20のアルコキシル基または炭素原子数が1から20のアシルオキシル基であり、そしてkは、2から20の数である]
で表される縮合チタン化合物も上記チタン化合物として使用可能である。上記チタン化合物はエステル類、エーテル類などとの錯体として使用可能である。
【0038】
有機チタン化合物と縮合剤を接触させると、本発明の触媒の主成分である上記反応生成物ばかりでなく上述したチタン化合物も生じる。
【0039】
上述した有機チタン化合物と同様にいろいろな化合物を用いることができる。通常は、一般式:
AIR
[式中、
は、炭素原子数が1から8のアルキル基である]
で表されるトリアルキルアルミニウム化合物を用いる。
【0040】
上記有機アルミニウム用縮合剤の典型的な例は水である。加うるに、有機アルミニウム化合物(アルキルアルミニウムを包含)と一緒に縮合反応を起こし得る如何なる化合物も使用可能である。このような反応生成物の典型的な例は、トリアルキルアルミニウムと水の反応生成物であり、これには、式:
【0041】
【化3】

【0042】
[式中、nは重合度を示す]
で表される鎖状アルキルアルミノキサン、および一般式:
【0043】
【化4】

【0044】
で表される繰り返し単位を有するシクロアルキルアルミノキサンなどが含まれる。
【0045】
有機アルミニウム化合物、例えばトリアルキルアルミニウムなどと水の反応生成物は、一般に、上述した鎖状アルキルアルミノキサンとシクロアルキルアルミノキサン、未反応のトリアルキルアルミニウム、いろいろな縮合生成物の混合物、そして更にそれらが複雑に会合した分子を含み、これらは、トリアルキルアルミニウムと水を接触させる条件に応じていろいろな生成物になる。
【0046】
有機アルミニウム化合物と水の反応に関しては明記しないが、公知方法に従って実施可能であり、例えば(1)有機アルミニウム化合物を有機溶媒に溶解させた後にそれを水に接触させる方法、(2)有機アルミニウム化合物を重合時に添加した後に水を添加する方法、および(3)有機アルミニウム化合物を金属塩などに入っている結晶水または無機化合物もしくは有機化合物に吸収されている水と反応させる方法などに従って実施可能である。
【0047】
上述した水にアンモニア、アミン、例えばエチルアミンなど、硫黄化合物、例えば硫化水素など、燐化合物、例えば亜燐酸エステルなどを20%以下の割合で含有させることも可能である。
【0048】
この上に記述した反応生成物は、触媒として、単独にか或は上記有機アルミニウム化合物または他の有機金属化合物と組み合わせて使用可能であるか、或は無機物質などに付着または吸収させた形態で使用可能である。
【0049】
上述したチタン化合物の量および有機アルミニウム化合物と縮合剤の反応生成物の量の設定は、出発材料として用いるスチレンの種類(スチレンまたはスチレン誘導体)および触媒成分の種類および他の条件に応じて任意である。
【0050】
ここでは、触媒の量が上記重合を完了させるに充分な量である限り、触媒の添加量には制限がないが、この量は、通常、触媒を添加して30分後の変換率上昇度合が2%以上、好適には10%以上になるような量である。反応効率は触媒添加量を多くすればするほど
高くなるが、後処理過程とコストを考慮して上記量を適切に選択すべきである。
【0051】
上記ポリマーブロックを生成させている間、ジエン由来単位中の1,2−ミクロ構造を調節しそしてビニル芳香族モノマー、例えばスチレンなどがジエンモノマー、例えばブタジエンなどと一緒にゴム相にランダムに組み込まれるようにする目的で、1,2−ミクロ構造調節剤またはランダム化調節剤を用いることができる。適切な調節剤には、これらに限定するものでないが、テトラメチレンジアミン(TMEDA)、オリゴマー状オキソラニルプロパン類(OOPS)、2,2−ビス−(4−メチル−1,3−ジオキサン)(BMD)、カリウムt−アミラート(KTA)、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム(DBSK)、テトラヒドロフラン(THF)、ビステトラヒドロフリルプロパンなどが含まれる。ブタジエン由来単位中のビニル含有率を低くするか或はイソプレン由来単位中の3,4−イソプレン含有率を低くするに好適な調節剤にはKTAおよびDBSKが含まれる。ランダム化調節剤を1種以上用いることも可能である。反応槽に入れるモノマー重量に対する調節剤の量は多様であり、反応槽に現に仕込むモノマー100グラム当たり0ミリモルの如き最小量から400ミリモルの如き最大量に至る範囲であってもよく、好適には調節剤の量を0.01から300.0ミリモルにする。この調節剤の仕込み量を多くするにつれて、ジエンモノマー由来単位中の1,2−ミクロ構造のパーセントが上昇する。また、極性有機化合物、例えばエーテル、ポリエーテル、第三級アミン、ポリアミン、チオエーテルおよびヘキサメチルホスホルトリアミドなどを用いて共役ジエン成分中のビニル結合含有率を調節することも可能である。このビニル結合含有率は、通常、そのような極性有機化合物の添加量および重合温度に伴って変化する。
【0052】
本発明の方法を好適には炭化水素希釈剤の存在下で実施する。脂肪族、芳香族炭化水素、パラフィン類およびシクロパラフィン類が使用可能である。好適な炭化水素は、炭素原子数が含めて3から12の炭化水素、特にn−ヘキサンである。希釈剤の例には、プロパン、イソブテン、n−ペンタン、イソオクタン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが含まれる。また、上記炭化水素の2種以上から成る混合物も使用可能である。
【0053】
この重合方法は連続、バッチ式または半バッチ式条件下で実施可能である。
【0054】
また、本発明のブロックコポリマーには増量剤、例えばエクステンダーオイルまたは低分子量の化合物なども添加するが、この添加を、その調製したブロックコポリマーと上記増量剤を上記ブロックコポリマーがセメント状態の間にか或はそれの加工中に混合することで行う。適切なエクステンダーオイルには、本分野でよく知られているエクステンダーオイル、例えばナフテン系オイル、芳香族系オイル、パラフィン系石油オイル、およびシリコンオイルなどが含まれる。本発明の組成物に入れる増量剤として用いるに有用な低分子量化合物もしくは成分の例は、20,000未満、好適には10,000未満、最も好適には5,000未満の数平均分子量を有する低分子量の有機材料である。使用可能な材料に対して特に制限はないが、下記が適切な材料の例のリストである:
(1)軟化剤(softening agents)、即ちゴムまたは樹脂用の芳香族ナフテン系およびパラフィン系軟化剤、
(2)可塑剤、即ちエステルを含む可塑剤(これにはフタル酸エステル、混合フタル酸エステル、脂肪族二塩基性酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸エステル、燐酸エステルおよびステアリン酸エステルなどが含まれる)、エポキシ可塑剤、プラスチック用の他の可塑剤、およびNBR用のフタレート、アジペート、セバケート、ホスフェート、ポリエーテルおよびポリエステル可塑剤、
(3)粘着付与剤(tackifiers)、即ちクマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油炭化水素およびロジン誘導体、
(4)オリゴマー類、即ちクラウンエーテル、フッ素含有オリゴマー類、ポリブテン類、
キシレン樹脂、塩化ゴム、ポリエチレンワックス、石油樹脂、ロジンエステルゴム、ポリアルキレングリコールジアクリレート、液状ゴム(ポリブタジエン、スチレン/ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム、ポリクロロプレンなど)、シリコンオリゴマー類、およびポリ−α−オレフィン類、
(5)滑剤、即ち炭化水素滑剤、例えばパラフィンおよびワックスなど、脂肪酸滑剤、例えば高級脂肪酸およびヒドロキシ脂肪酸など、脂肪酸アミド滑剤、例えば脂肪酸アミドおよびアルキレン−ビス−脂肪酸アミドなど、エステル滑剤、例えば脂肪酸と低級アルコールのエステル、脂肪酸と多価アルコールのエステル、脂肪酸とポリグリコールのエステルなど、アルコール系滑剤、例えば脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコールおよびポリグリセロールなど、金属石鹸、および混合滑剤など、そして
(6)石油炭化水素、即ち合成のテルペン樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂肪族の環状炭化水素樹脂、脂肪族もしくは脂環式の石油樹脂、脂肪族もしくは芳香族の石油樹脂、不飽和炭化水素のポリマー類、および水添炭化水素樹脂。
【0055】
他の適切な低分子量有機材料には、ラテックス類、エマルジョン、液晶、歴青組成物およびホスファゼン類が含まれる。上記材料の1つ以上を増量剤として用いることができる。
【0056】
本発明に従い、本発明のブロックコポリマー組成物に増量剤をブロックコポリマー100重量部当たり少なくとも約30重量部から約1,000重量部添加する。好適な増量剤添加量には、ブロックコポリマー100部当たり約50から約500部の増量剤、理想的にはブロックコポリマー100部当たり約80から約400部の増量剤が含まれる。
【0057】
本出願の組成物にゴム技術でよく知られる他の添加剤を含めるのがしばしば望ましい可能性があり、無機充填材または他の添加剤をブロックコポリマー100部当たり1から350部の量で含めるのが望ましい。安定剤、抗酸化剤、通常の充填材、補強材、補強用樹脂、相溶化用(compatibilizing)樹脂、顔料、香料などがそのような添加剤いくつかの例である。有用な抗酸化剤および安定剤の具体例には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどが含まれる。典型的な通常の充填材および顔料には、シリカ、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄などが含まれる。このようなコンパンド化用(compounding)材料を、その製品の意図した使用に応じた適切な量で添加する。
【0058】
補強材は、樹脂様マトリックスに添加された時にそのポリマーの強度を向上させる材料であるとして定義可能である。このような補強材の大部分は高い分子量を有する無機もしくは有機製品または繊維である。いろいろな例には、ガラス繊維、アスベスト、ホウ素繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ホイスカ、石英繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、金属繊維、天然の有機繊維および合成の有機繊維などが含まれる。また、弾性、機械的強度、ダンピング特性、接着性および加工性などの如き特定の性質を向上させる目的でエラストマー類および樹脂を用いるのも有効である。ブチルゴム、非晶質ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンのブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンの水添ブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンのブロックコポリマー(SIS)、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/プロピレン/ジエンゴム(EPDM)、ブタジエン/アクリロニトリルのエラストマー、接着剤、例えばReostomer[理研ビニル工業株式会社(Riken−Vinyl Inc.)が製造]、スチレン−イソプレン−スチレンのブロックコポリマー類の水添品、例えばHybler[Kurare Inc.が製造]、ポリノルボルネン類、例えばNorsorex[日本ゼオン株式会社(Nip
pon Zeon Inc.)が製造]、および他の熱可塑性エラストマー類および樹脂などを用いることができる。このような補強材はブロックコポリマー100部当たり1から1500部、好適には10から1000部の量で有効である。
【0059】
本発明のブロックポリマー類は高温用途で使用することができ、そのような使用には、射出成形品における使用、またはエラストマー特性で典型的に用いられる他の全ての組成物における使用が含まれる。
【0060】
要約として、本発明に従うシンジオタクティックポリスチレン−エラストマーブロックコポリマー組成物は、エラストマー特性を保持していて、高温用途で用いるに有用である。本発明に従って製造するポリマーゲルは、一般に、約20℃から約25℃、即ち室温で約0から約50、好適には約1から50、最も好適には約10から30の範囲のショアA硬度を示す。
【0061】
本発明の組成物は、下記の特性を持たせるのが有利である如何なる製品の製造でも好適に用いられる:軟化度が高いこと、耐熱性が高いこと、機械的特性が適当であること、そして弾性であること。本発明の組成物は全産業分野で使用可能であり、特に家庭用電気器具、産業用機械、精密装置、輸送用機械、建設、エンジニアリング、および医学装置などの製造で使用可能である。
【0062】
ダンピング材料、振動抑制材料、クッション用ゲルが用いられる代表的な例は、連結用材料、例えばシーリング材料、パッキン、ガスケットおよびゴメットなど、支持材料、例えばマウント(mounts)、ホルダーおよび絶縁体など、およびクッション材料、例えばストッパー、クッションおよびバンパーなどである。また、このような材料は、振動またはノイズを発する装置および家庭用電気器具、例えばエアコン、洗濯機、冷蔵庫、扇風機、掃除機、乾燥機、印刷機および換気扇などでも用いられる。更にまた、このような材料は、オーディオ装置、電子もしくは電気器具に入っている衝撃吸収用材料、スポーツ用品および靴などで用いるにも適切である。更に、このような材料は、超低硬度ゴムとして器具、ダンピングゴムなどの用途で使用可能であり、そして低硬度のプラスチックとして用いるに適切であり、これらは成形用材料で用いるに好適である。更に、本組成物を用いて、この組成物の内部に低分子量の材料を入れてそれがそこから出て来る量を調節することができることから、本組成物は、芳香材料、医学材料および他の機能材料の如き材料を放出させるための放出用支持体(release support)としても有用である。また、本発明の組成物は、液晶、接着剤およびコーティング材料における使用でも有用性を有する。
【0063】
本発明の組成物の具体的使用例は下記である:
(1)オーディオ装置、例えばポータブルCDまたは車搭載CD、ホームビデオカセットレコーダー用マイクホルダー、ラジオカセットレコーダー、カラオケまたはハンディーマイクなど用の絶縁体、スピーカーのエッジコーン、ラジオカセットのテープホルダー、ポータブルミニディスクプレーヤーのホルダー、デジタルビデオディスクのオプティカルディスクホルダーなど、
(2)情報関連装置、例えばハードディスク用絶縁体、モーター、例えばHHD用スピンドルモーターおよびステッピングモーターなど用の絶縁体、フロッピーディスクドライブ用の絶縁体、パーソナルコンピューターのCD−ROM用の絶縁体、およびオプティカルディスク用のホルダーなど、
(3)伝達装置、例えば高性能のコンパクトマイクまたはポータブルテレホン、ポケットベルまたはPHSのスピーカー用のホルダー、ワイヤレス装置用のマイクホルダー、およびポータブルノート型電子装置用のディスクホルダーなど、
(4)家庭用電子装置、例えばホームTVゲームのCD−ROM用絶縁体、カセットホル
ダーまたはカセットホルダーもしくはゲーム機のCD−ROM用絶縁体、高性能マイクのホルダー、およびスピーカーのコーンエッジなど、そして
(5)他の用途、例えばワードプロセッサーのプリンターヘッド、パーソナルコンピューターのプリンター、小型または中型のハンディータイププリンターまたはネームプリンター用のダンピング材料、および測定装置で用いられるCD−ROM用の絶縁体など。
【0064】
以下に、非制限実施例を言及することで本発明をより詳細に記述する。以下に示す実施例は単に例示の目的で示すものであり、制限の意味で解釈されるべきでない。特に明記しない限り、パーセントは全部重量パーセントである。
【実施例】
【0065】
実施例1
BR−sPSの合成
(1)リビングBRセメント(cement)の調製
1ガロンの反応槽にブタジエン/ヘキサンのブレンド物(ブタジエンを23.7重量%含む)を2.110ポンド(956.9グラム)およびヘキサンを1311.0グラム仕込んだ後、この反応槽に、70グラムのヘキサンで希釈したn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.60モル規定)を2.27ミリモル仕込んだ。次に、重合を45℃で6時間実施した。モノマーからポリマーへの変換率は本質的に100%であった。リビングポリマーセメントのサンプルを上記反応槽から少量取り出してイソプロパノールで凝固させた。結果として得たポリブタジエンの分析結果は下記の通りである:M=90,723,M=97,154;M/M=1.07(GPC);1,4含有率(%)=92.6%;ビニル含有率(%)=7.4%(NMR);およびTg=−95.2℃(DSC)。
【0066】
(2)ジブロックコポリマーBR−sPSの調製
オーブンで乾燥しておいた32オンスのガラス製ボトルに自己密封型ゴムライナーと穴開き金属製キャップを取り付けて窒素流下で冷却した。実施例1(1)で調製したリビングポリマーセメントを100.6グラムの仕込み量で上記反応槽から上記32オンスのボトルに移した。ポリブタジエン基礎ポリマー上で起こさせるスチレンのブロック重合を、上記ボトルに逐次的にシクロペンタジエニルチタントリクロライド(CpTiCl)を0.086ミリモル、スチレン/ヘキサンのブレンド物(スチレンを33.3重量%含む)を121.9gおよびメチルアルミノキサン(MAO)を60.0ミリモル加えることで行った。その結果として生じた混合物を室温で17時間振とうした後、過剰量のイソプロパノールの中に注ぎ込み、乾燥を真空オーブン内で行うことにより、BR−sPSブロックコポリマーを17.1g得た。示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)は−92.6℃であり、溶融温度(Tm)は249.5℃であり、そしてこのブロックコポリマー中のsPS重量パーセントは35%であった。この実験データを表Iに要約する。
【0067】
実施例2から4
実施例1(1)で得た如きリビングポリマーセメントの量、CpTiClの量、スチレン/ヘキサンブレンド物の量およびMAOの量を表1に示す如く変える以外は実施例1(2)の手順を繰り返した。この実験データを表Iに要約する。
【0068】
実施例5および6
実施例1(1)で得た如きリビングポリマーセメントの量、CpTiClの量、スチレン/ヘキサンブレンド物の量およびMAOの量を表1に示す如く変えそしてリビングBRセメントにCpTiClを添加した後にMAOに続いてスチレン/ヘキサンブレンド物を添加する以外は実施例1(2)の手順を繰り返した。この実験データを表Iに要約する。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例7
(1)リビング勾配SBRセメントの調製
1ガロンの反応槽にスチレン/ヘキサンのブレンド物(ヘキサンにスチレンが33.3重量%入っている)を1.515ポンド(687.3グラム)、ブタジエン/ヘキサンのブレンド物(ヘキサンに1,3−ブタジエンが23.7重量%入っている)を2.110ポンド(956.9グラム)、ヘキサンを623.8グラムおよびn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.60モル規定)を2.27ミリモル仕込んだ。次に、1,3−ブタジエンとスチレンの共重合を50℃で3.5時間実施した。この方法のこの時点におけるモノマーからポリマーへの変換率は51%であった。結果として生じたリビングポリマーセメントは未反応のスチレンを実質的量で含んでいた。このポリマーセメントを上記反応槽から少量取り出してイソプロパノールで凝固させて、分析を行った。このSBRコポリマーの分析結果は下記の通りである:M=132,332,M=139,443;M/M=1.0537(GPC);スチレン含有率=13.0%;ブロックスチレン含有率=0%;1,4BD含有率(%)=92.6%;ビニルBD含有率(%)=7.4%(NMR分析);およびTg=−81.6℃。
【0071】
(2)ジブロックコポリマーSBR−sPSの調製
オーブンで乾燥しておいた32オンスのガラス製ボトルに自己密封型ゴムライナーと穴開き金属製キャップを取り付けて窒素流下で冷却した。実施例7(1)で調製したリビングポリマーセメントを275.0gの仕込み量で上記反応槽から上記32オンスのボトルに移した。SBR基礎ポリマー上で起こさせるスチレンのブロック重合を、上記ボトルに逐次的にCpTiClを0.234ミリモルおよびMAOを164ミリモル加えることで行った。その結果として生じた混合物を室温で10時間振とうした後、過剰量のイソプロパノール(抗酸化剤が入っている)の中に注ぎ込んだ。ポリマー生成物を濾別し、イソプロパノールで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで、SBR−sPSブロックコポリマーを36.0g得た。この実験データを表IIに要約する。
【0072】
実施例8
重合時間、実施例7(1)で得た如きリビングポリマーセメントの量、CpTiCl
の量およびMAOの量を表IIに示す如く変える以外は実施例7(2)の手順を繰り返した。この実験データを表IIに要約する。
【0073】
分析データ、アニオン重合理論および本発明者らが以前に得た経験を基にして、上記コポリマーのポリスチレン−ブタジエンブロック部分は、生成中に鎖に沿ってスチレン含有量が増大して行くことでベロード(bellowed)勾配構造を示した。鎖バックボーンに沿って次第に低スチレン含有量のエラストマーSBRセメントからスチレン含有量が増したSBRそして次に硬質sPSへと移行して行くことで、組織化された形態を有しかつオイルおよび他のポリマー類に対する混和性が向上した結果として機械的強度および/または他の物性が向上したコポリマーが生じる。
【0074】
スチレンモノマーをTi触媒導入時にもTi触媒導入後にも追加的に仕込まないことから、不必要な触媒失活(スチレンモノマーを追加的にいくらか仕込むことで存在する不純物によって引き起こされる可能性がある)が避けられた。実際の産業的規模製造では、そのような不純物を存在させないことが、生じるポリマー生成物の品質がより安定になることの一因になるであろう。
【0075】
【表2】

【0076】
実施例9
(1)半バッチ式のリビングSBRセメント調製
5ガロンの反応槽にヘキサンを3679gおよびn−ブチルリチウムを24.98ミリモル仕込んだ。この反応槽に入っている混合物を83℃に維持しながら、コンピューター制御計量システムを用いて、ヘキサン中33重量%のスチレン溶液が912gでヘキサン中31.4%のブタジエン溶液が5071gの混合物を66.5g/分の流量でゆっくりと上記反応槽に加えた。この添加が終了して30分後、上記反応槽にブタジエン/ヘキサンのブレンド物(ブタジエンを31.4重量%含む)を318g加えた。この添加をリビング末端が全部「ブタジエニルLi」末端に変化するように実施した。その結果として生じた混合物を83℃の反応槽内に30分間保持した。
【0077】
この反応槽からリビングポリマーセメントを少量取り出してイソプロパノールで凝固させた。このSBRコポリマーの分析結果は下記の通りである:M=91,301;M=102,101;M/M=1.11(GPC);スチレン含有率=16.3%;ブロ
ックスチレン含有率=3.7%;1,4BD含有率(%)=90.7%;ビニルBD含有率(%)=9.7%(NMR分析);およびTg=−79.6℃。
【0078】
(2)ジブロックコポリマーSBR−sPSの調製
実施例9(1)で調製したリビングポリマーセメントを254.6gの仕込み量で上記反応槽から32オンスのガラス製ボトルに移した後、逐次的にCpTiClを0.509ミリモル、ヘキサン中33重量%のスチレン溶液を97.6gおよびMAOを356ミリモル加えた。その結果として生じた混合物を室温で40分間撹拌した後、過剰量のイソプロパノール(抗酸化剤が入っている)の中に注ぎ込んだ。ポリマー生成物を濾別し、イソプロパノールで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで、SBR−sPSブロックコポリマーを64.9g得た。この実験データを表IIIに要約する。
【0079】
【表3】

【0080】
実施例10
重合時間、実施例9(1)で得た如きリビングポリマーセメントの量、CpTiClの量、スチレン/ヘキサンブレンド物の量およびMAOの量を表IIIに示す如く変える以外は実施例9(2)の手順を繰り返した。この結果を表IIIに要約する。
【0081】
実施例11
(1)半バッチ式のリビングSBRセメント調製
5ガロンの反応槽にヘキサンを4536gおよびn−ブチルリチウムを14.19ミリモル仕込んだ。この反応槽に入っている混合物を83℃に維持しながら、コンピューター制御計量システムを用いて、ヘキサン中33重量%のスチレン溶液が517gでヘキサン中31.4%のブタジエン溶液が2880gでヘキサンが3225gの混合物を73.6g/分の流量でゆっくりと上記反応槽に加えた。この添加が終了して30分後、上記反応槽にブタジエン/ヘキサンのブレンド物(ブタジエンを31.4重量%含む)を181g加えた。その結果として生じた混合物を83℃の反応槽内に30分間保持した。
【0082】
この反応槽からリビングポリマーセメントを少量取り出してイソプロパノールで凝固させた。このSBRコポリマーの分析結果は下記の通りである:M=85,533;M=93,020;M/M=1.09(GPC);スチレン含有率=18.1%;ブロックスチレン含有率=8.9%;1,4BD含有率(%)=90.4%;ビニルBD含有率(%)=9.6%(NMR分析);およびTg=−81.2℃。
【0083】
(2)ジブロックコポリマーSBR−sPSの調製
実施例11(1)で調製したリビングポリマーセメントを8160gの仕込み量で5ガロンの反応槽に加えた後、逐次的にCpTiClを8.16ミリモル、ヘキサン中33重量%のスチレン溶液を1646gおよびMAOを5712ミリモル加えた。その結果として生じた混合物を、上記MAOを添加した後55分間25℃で撹拌した後、この反応槽から反応混合物を5715g取り出して過剰量のイソプロパノール(抗酸化剤が入っている)の中に注ぎ込んだ。ポリマー生成物を濾別し、イソプロパノールで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで、SBR−sPSブロックコポリマーを452.6g得た。このポリマーを示差走査熱量計(DSC)で測定した時のガラス転移温度(Tg)は−80.7℃で、溶融温度(Tm)は244.9℃であり、そしてこのブロックコポリマー中のsPS重量パーセントは11%であった。
【0084】
実施例12
実施例11(2)において、MAOを添加して85分後、上記反応槽から反応混合物を5416g取り出して過剰量のイソプロパノール(抗酸化剤が入っている)の中に落下させた。ポリマー生成物を濾別し、イソプロパノールで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで、ポリマーを428.9g得た。DSCで測定した時のガラス転移温度(Tg)は−79.8℃で、溶融温度(Tm)は247.2℃であり、そしてこのブロックコポリマー中のsPS重量パーセントは13%であった。
【0085】
実施例13
(1)KTA修飾リビングSBRセメントの調製
1ガロンの反応槽にヘキサン中33重量%のスチレン溶液を171.8g、ヘキサン中32.2%のブタジエン溶液を528.4g、ヘキサンを1467.8グラム、n−ブチルリチウムを2.83ミリモル、およびカリウムt−アミラート(KTA)(50mlのヘキサンで希釈)を0.010ミリモル仕込んだ。次に、スチレンとブタジエンの共重合を50℃で5.5時間実施した。次に、この反応槽にブタジエン/ヘキサンのブレンド物(ブタジエンを23.9重量%含む)を47g加えた後、その混合物を50℃に30分間加熱した。
【0086】
この反応槽からリビングポリマーセメントを少量取り出してイソプロパノールで凝固させた。その結果として生じたSBRコポリマーの分析結果は下記の通りである:M=78,564;M=84,607;M/M=1.08(GPC);スチレン含有率=23.3%;ブロックスチレン含有率=14.2%;1,4BD含有率(%)=87.2%;ビニルBD含有率(%)=12.4%(NMR分析);およびTg=−72.1℃。
【0087】
(2)ジブロックコポリマーSBR−sPSの調製
実施例13(1)で調製したリビングポリマーセメントを319.4gの仕込み量で32オンスのボトルに加えた後、逐次的にCpTiClを0.339ミリモル、ヘキサン中33重量%のスチレン溶液を60.0gおよびMAOを237ミリモル加えた。その結果として生じた混合物を室温で5時間振とうした後、過剰量のイソプロパノール(抗酸化剤が入っている)の中に注ぎ込んだ。ポリマー生成物を濾別し、イソプロパノールで洗浄した後、真空オーブンに入れて乾燥させることで、KTAで修飾したSBR−sPSブロックコポリマーを36.3g得た。このポリマーをDSCで測定した時のガラス転移温度(Tg)は−71.0℃で、溶融温度(Tm)は249.2℃であり、そしてこのブロックコポリマー中のsPS重量パーセントは20%であった。
【0088】
実施例14から26
オイルで増量したブロックコポリマー類
ローラーブレードが備わっているブラベンダーミキサー(容量65グラム)に、個々別々に、実施例1から13で製造した各ポリマーを24.5グラムの仕込み量で導入しそし
て抗酸化剤を0.5グラムの仕込み量で導入した。上記ブラベンダー内で各ポリマー仕込み物を室温で15分間60rpmで粉砕した後、各ポリマーに24.5グラムのオイルを10分間かけてゆっくりと添加した。このオイルの添加が終了した後、上記ブラベンダーミキサー各々を120rpmにして110℃に25分間加熱し、続いて20rpmで更に10分間混合した。その結果として生じたオイル増量ポリマーはドウ(dough)様材料であり、成形前数カ月に渡って室温で非常に安定であった。
【0089】
このオイル増量ポリマーを290℃のプレスで〜10分間成形した後、この鋳型を、デルタ相が生成しないように1分当たり2℃の速度で冷却した。このオイル増量ポリマーの物性を表IVとVに示す。また、オイル増量sPS、ポリブタジエンおよびSBRをそれぞれ用いて実施例14から26の手順に従って生じさせた比較対照ポリマー1、2および3の物性も表IVとVに示す。
【0090】
【表4】

【0091】
混合では、(1)増量剤とポリマーの混和性が単相コンシステンシー(single
phase consistency)を示しかつ(2)混合物がガス、即ち気泡の捕捉を示さない時、加工性が良好であると決定した。成形では、成形品の表面が均一に滑らかで柔らかくかつ焼け焦げがない時、加工性が良好であると決定した。
** 加工不能
*** サンプルサイズとディスプレイスメント(displacement)を下記の如く変える以外はASTM D395−89の条件を基にして圧縮永久歪みの測定を行った:サンプル高−15mm;サンプル直径−8mm;ディスプレイスメント−サンプルを10mmに圧縮して100℃のオーブン(または150℃のオーブン)に22時間入れた。このサンプルをオーブンから取り出し、そのサンプルの応力を解放し、そのサンプルを室温で30分間貯蔵した後、下記のように、最終的なサンプルの高さをXとしてサンプルの回復率を測定する:圧縮永久歪み=((15−X)/(15−10))x100%。
【0092】
対照1では、表IVで見られるように、オイルで増量したsPSホモポリマーはプラスチック様で、弾性が不足しており、かつ伸びをほとんど示さなかった。また、ホモポリブタジエンポリマーに関しても、オイルを添加すると加工性が劣ったが、それでもサンプルを作成して特性の測定を行った。この組成物は低いショアA硬度と良好な圧縮永久歪みを示しはしたが、その引張り強度は、実際に用いるにはあまりにも低い。
【0093】
【表5】

【0094】
本発明の特徴および態様は以下のとおりである。
【0095】
1. 少なくとも1種のエラストマーブロックと少なくとも1種のシンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロックを有するブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物を含む、圧力と熱で成形可能な未加硫組成物であって、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)を1から80重量%とゴム状エラストマーブロック(類)を99から20重量%含むブロックコポリマーを100重量部含有しそしてエクステンダーオイルまたは数平均分子量が20,000以下の有機材料を含む増量剤を上記ブロックコポリマー100重量部当たり少なくとも約30重量部含有する組成物。
【0096】
2. 該エラストマーブロックが共役ジエン/ビニル芳香族ブロックである第1項記載の組成物。
【0097】
3. 該エラストマーブロックがジエンを基とするエラストマーである第1項記載の組成物。
【0098】
4. 該ブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物が約20℃から25℃において約0から約50の範囲のショアA硬度を示す第1項記載の組成物。
【0099】
5. 該ブロックコポリマーがシンジオタクティックポリスチレン(sPS)ブロック(類)を10から50重量%とゴム状エラストマーブロック(類)を90から50重量%含有する第1項記載の組成物。
【0100】
6. 該ブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物がブタジエン/スチレン−シンジオタクティックポリスチレンブロックコポリマーをオイルで増量した組成物である第1項記載の組成物。
【0101】
7. 該増量剤が該ブロックコポリマー100重量部当たり約30から約1000重量部の範囲の量で存在している第1項記載の組成物。
【0102】
8. 上記シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)が、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびそれらの混合物から成る群から選択されるスチレン系モノマーを重合させることで生じさせたシンジオタクティックポリスチレンから本質的に成る第1項記載の組成物。
【0103】
9. 上記ゴム状エラストマーブロックがスチレン/ブタジエンコポリマーゴム、スチレン/イソプレンコポリマーゴムおよびスチレン/イソプレン/ブロックゴムから成る群から選択される第1項記載の組成物。
【0104】
10. 上記ゴム状エラストマーブロックがポリブタジエン、スチレン/ブタジエンのランダムコポリマー類、スチレン/ブタジエンの勾配コポリマー、スチレン/ブタジエンのミクロブロックコポリマー、スチレン/イソプレンのランダムコポリマー、スチレン/イソプレンの勾配コポリマー、スチレン/ブタジエン/イソプレンのランダムコポリマーから成る群から選択される第1項記載の組成物。
【0105】
11. 上記ゴム状エラストマーブロックがジエンモノマー由来単位中20%以下のビニル含有率または3,4−イソプレン含有率を示す第1項記載の組成物。
【0106】
12. 上記ゴム状エラストマーブロックがスチレン/ブタジエンのランダムコポリマーである第11項記載の組成物。
【0107】
13. 上記ゴム状エラストマーブロックがスチレン/ブタジエンの勾配コポリマーである第11項記載の組成物。
【0108】
14. 上記ゴム状エラストマーブロックがカリウム型ランダム化剤を用いて合成したスチレン/ブタジエンのミクロブロックコポリマーである第1項記載の組成物。
【0109】
15. 該増量剤が芳香族系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイルおよびシリコンオイルから成る群から選択される第1項記載の組成物。
【0110】
16. 該増量剤が軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、オリゴマー類、滑剤および石油炭化水素から成る群から選択される少なくとも1種の化合物である第1項記載の組成物。
【0111】
17. 更に非晶質ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ブチルゴム、天然ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンのブロックコポリマー、スチレン/ブタジエン/スチレンの水添ブロックコポリマー、スチレン/イソプレン/スチレンのブロックコポリマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴム、ブタジエン/アクリロニトリルエラストマーをブロックコポリマー100部当たり1500部以下の量で含有する第1項記載の組成物。
【0112】
18. 更に無機充填材を第1項の組成物100重量部を基準にして1から350重量部含有する第1項記載の組成物。
【0113】
19. 上記無機充填材がガラス繊維を含む第17項記載の組成物。
【0114】
20. 上記シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)が少なくとも150℃の融点を有するシンジオタクティックポリスチレンを含む第1項記載の組成物。
【0115】
21. 上記シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)が少なくとも200℃
の融点を有するシンジオタクティックポリスチレンを含む第1項記載の組成物。
【0116】
22. 該ブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物が約20℃から25℃において約10から約30の範囲のショアA硬度を示す第1項記載の組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタジエン/スチレン−シンジオタクチックポリスチレンブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物を含む、圧力と熱で成形可能な未加硫組成物であって、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)を1から50重量%とジエンモノマー由来単位中20%以下のビニル含有率または3,4−イソプレン含有率を有するゴム状エラストマーブロック(類)を99から50重量%含むブロックコポリマーを100重量部含有し、増量剤を上記ブロックコポリマー100重量部当たり少なくとも30重量部含有する、ショアA硬度が25℃で10〜35である組成物。
【請求項2】
ブタジエン/スチレン−シンジオタクチックポリスチレンブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物を含む、圧力と熱で成形可能な未加硫組成物であって、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)を1から50重量%とジエンモノマー由来単位中20%以下のビニル含有率または3,4−イソプレン含有率を有し、スチレン/ブタジエンコポリマーゴム、スチレン/イソプレンコポリマーゴムおよびスチレン/イソプレン/ブロックゴムから成る群から選択される重量平均分子量が5,000〜1,000,000のゴム状エラストマーブロック(類)を99から50重量%含むブロックコポリマーを100重量部含有し、増量剤を上記ブロックコポリマー100重量部当たり少なくとも30重量部含有する、ショアA硬度が25℃で10〜35である組成物。
【請求項3】
ブタジエン/スチレン−シンジオタクチックポリスチレンブロックコポリマーを増量剤で増量した組成物を含む、圧力と熱で成形可能な未加硫組成物であって、シンジオタクティックポリ(ビニル芳香族炭化水素)ブロック(類)を1から50重量%とジエンモノマー由来単位中20%以下のビニル含有率または3,4−イソプレン含有率を有し、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエンのランダムコポリマー類、スチレン/ブタジエンの勾配コポリマー、スチレン/ブタジエンのミクロブロックコポリマー、スチレン/イソプレンのランダムコポリマー、スチレン/イソプレンの勾配コポリマー、スチレン/ブタジエン/イソプレンのランダムコポリマーから成る群から選択される重量平均分子量が5,000〜1,000,000のゴム状エラストマーブロック(類)を99から50重量%含むブロックコポリマーを100重量部含有し、増量剤を上記ブロックコポリマー100重量部当たり少なくとも30重量部含有する、ショアA硬度が25℃で10〜35である組成物。

【公開番号】特開2008−81747(P2008−81747A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299086(P2007−299086)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【分割の表示】特願平9−271931の分割
【原出願日】平成9年9月19日(1997.9.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】